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特許7344755運行管理装置、運行管理方法、および端末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】運行管理装置、運行管理方法、および端末
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/127 20060101AFI20230907BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20230907BHJP
   G06Q 10/02 20120101ALI20230907BHJP
【FI】
G08G1/127 A
G06Q50/30
G06Q10/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019195175
(22)【出願日】2019-10-28
(65)【公開番号】P2021068368
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517326475
【氏名又は名称】BOLDLY株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(72)【発明者】
【氏名】外谷 新
(72)【発明者】
【氏名】須山 温人
(72)【発明者】
【氏名】秋田 晃
(72)【発明者】
【氏名】前田 元気
(72)【発明者】
【氏名】倉知 伸成
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 篤人
【審査官】秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-022646(JP,A)
【文献】特開2016-042251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/127
B61L 27/00
G06Q 50/30
G06Q 10/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体を定路線で運行するスケジュールを定める複数の運行スケジュールであって、各運行スケジュールは少なくとも1つの他の運行スケジュールと実行の時間帯において重複を有する、前記複数の運行スケジュールに対する予約を受け付ける受付部と、
前記受付部において予約を受けた場合、予約された運行スケジュールと実行の時間帯が重複する運行スケジュールに対する予約の受け付けを中止する予約制御部と、
前記移動体が前記予約された運行スケジュールに従って運行されるように指示を出力する管理部と、
を含み、
前記複数の運行スケジュールの実行の時間帯における重複の最大数は、前記管理部が前記定路線の運行で管理する前記移動体の数よりも多く、
前記予約制御部は、前記予約された運行スケジュールに対する予約を利用者がキャンセルした場合、キャンセルされた運行スケジュールに予約している他の利用者がいなければ、前記キャンセルされた運行スケジュールと実行の時間帯が重複する運行スケジュールに対する予約の受け付けを再開する、ことを特徴とする、運行管理装置。
【請求項2】
前記複数の運行スケジュールの実行の時間帯は、前記定路線の運行のための運行期間に加えて、運行前の点検のための点検期間と、前記移動体が運行に使用するエネルギーを充填するための充填期間とのうちの少なくとも一方を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の運行管理装置。
【請求項3】
前記受付部で受け付けた1つの運行スケジュールに対する予約が、前記移動体で予約を受け付け可能な予約受付可能数に対して所定の割合を超えた場合、前記管理部は、前記1つの運行スケジュールに対する予約の状況を示す情報を出力する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の運行管理装置。
【請求項4】
移動体を定路線で運行するスケジュールを定める複数の運行スケジュールであって、各運行スケジュールは少なくとも1つの他の運行スケジュールと実行の時間帯において重複を有する、前記複数の運行スケジュールに対する予約を受け付け、
予約を受けた場合、予約された運行スケジュールと実行の時間帯が重複する運行スケジュールに対する予約の受け付けを中止し、
前記移動体が前記予約された運行スケジュールに従って運行されるように指示を出力する、
ことを含み、
前記複数の運行スケジュールの実行の時間帯における重複の最大数は、前記定路線において運行を管理される前記移動体の数よりも多く、
前記予約された運行スケジュールに対する予約を利用者がキャンセルした場合、キャンセルされた運行スケジュールに予約している他の利用者がいなければ、前記キャンセルされた運行スケジュールと実行の時間帯が重複する運行スケジュールに対する予約の受け付けを再開する、ことを特徴とする、コンピュータが実行する運行管理方法。
【請求項5】
移動体を定路線で運行するスケジュールを定める複数の運行スケジュールであって、各運行スケジュールは少なくとも1つの他の運行スケジュールと実行の時間帯において重複を有する、前記複数の運行スケジュールに対する予約の状況を示す予約情報の提供を要求する要求部と、
提供された前記予約情報において予約されている運行スケジュールがある場合、前記予約されている運行スケジュールと実行の時間帯が重複する運行スケジュールに対する予約の受け付けが中止されている予約受付画面を表示装置に表示させる表示制御部と、
を含み、
前記複数の運行スケジュールの実行の時間帯における重複の最大数は、前記定路線にお
いて運行を管理される前記移動体の数よりも多く、
前記予約されている運行スケジュールに対する予約を利用者がキャンセルした場合、キャンセルされた運行スケジュールに予約している他の利用者がいなければ、前記キャンセルされた運行スケジュールと実行の時間帯が重複する運行スケジュールに対する予約の受け付けを再開する前記予約受付画面を前記表示装置に表示させる、ことを特徴とする、端末。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記予約情報において前記予約されている運行スケジュールの予約者が、前記予約情報の提供を要求した利用者のみである場合、前記予約されている運行スケジュールと実行の時間帯が重複する運行スケジュールに予約を変更可能であることを示す前記予約受付画面を前記表示装置に表示させる、請求項に記載の端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運行管理装置、運行管理方法、および端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、人口減少や高齢化が深刻な地域ではバスなどの公共交通機関の利用者が減少しており、乗車率の低下に伴い、公共交通機関の運行本数が少なくなったり、運行が廃止されたりしている。
【0003】
こうした地域では、利用者の要求に応じて運行する形態のオンデマンドバスや乗り合いタクシーなどのオンデマンド型の公共交通機関が注目を浴びている。そして、オンデマンド型の公共交通機関の運行制御に関連する技術が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5928588号公報
【文献】特開2013-186541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、オンデマンド型の公共交通機関では、経路が定まっていなかったり、目的地までの所要時間を見積もることができなかったりすることがある。そのため、利用者が自身の予定に移動時間を組み込みにくく、利用しづらいことがある。一方、定まった時刻に定まった路線を運行する定時定路線型の公共交通機関であれば、所要時間などを容易に見積もることができるが、コストの面などで、公共交通機関の利用者の少ない地域では運行が難しいことがある。例えば、このような状況から、利用者が少ない状況において好ましい運行の管理技術の提供が望まれている。
【0006】
本発明は係る点に鑑みてなされたものであり、利用者が少ない場合にも利用し易い運行スケジュールで移動体を運行するための運行管理装置、運行管理方法、および端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの態様の運行管理装置は、移動体を定路線で運行するスケジュールを定める複数の運行スケジュールであって、各運行スケジュールは少なくとも1つの他の運行スケジュールと実行の時間帯において重複を有する、複数の運行スケジュールに対する予約を受け付ける受付部と、受付部において予約を受けた場合、予約された運行スケジュールと実行の時間帯が重複する運行スケジュールに対する予約の受け付けを中止する予約制御部と、移動体が予約された運行スケジュールに従って運行されるように指示を出力する管理部と、を含み、複数の運行スケジュールの実行の時間帯における重複の最大数は、管理
部が定路線の運行で管理する移動体の数よりも多く、前記予約制御部は、前記予約された運行スケジュールに対する予約を利用者がキャンセルした場合、キャンセルされた運行スケジュールに予約している他の利用者がいなければ、前記キャンセルされた運行スケジュールと実行の時間帯が重複する運行スケジュールに対する予約の受け付けを再開する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
利用者が少ない場合にも利用し易い運行スケジュールで移動体を運行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】例示的な移動体の運行を説明する図である。
図2】実施形態に係る運行表を例示する図である。
図3】実施形態に係る運行管理システムを例示する図である。
図4】実施形態に係る運行管理装置のブロック構成を例示する図である。
図5】実施形態に係る利用者の端末のブロック構成を例示する図である。
図6】実施形態に係る時刻表を例示する図である。
図7】実施形態に係る運行スケジュールへの予約処理の動作フローを例示する図である。
図8】実施形態に係る予約受付画面を例示する図である。
図9】実施形態に係る予約のキャンセル処理の動作フローを例示する図である。
図10】実施形態に係る予約受付画面の表示制御処理の動作フローを例示する図である。
図11】実施形態に係る予約受付画面を例示する別の図である。
図12】実施形態に係るコンピュータのハードウェア構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。なお、複数の図面において対応する要素には同一の符号を付す。
【0011】
図1は、例示的な移動体102の運行を説明する図である。なお、移動体102は、例えば、バスなどの定路線を運行する公共交通機関であってよい。図1(a)は、例示的な運行スケジュール101を示す図である。運行スケジュール101は、例えば、移動体102を定路線で運行するためのスケジュールを定める情報であり、移動体102の運行に要する運行期間の他に、運行の準備期間や後処理の期間を含んでもよい。例えば、図1(a)では、運行スケジュール101は、点検期間、運行期間、エネルギー充填期間の3つの期間を含んでいる。なお、点検期間およびエネルギー充填期間は状況に応じて運行スケジュール101に含まれていなくてもよい。点検期間は、例えば、運行前に移動体の不良個所や異常を検査する期間である。運行期間は、例えば、移動体102が定められた路線を運行する期間である。エネルギー充填期間は、例えば、移動体102が運行で消費するエネルギーを充填する期間である。エネルギーの充填は、例えば、蓄電池への充電や、燃料タンクへのガソリン、軽油、液化天然ガス、圧縮天然ガス、水素、および重油などの充填を含んでよい。
【0012】
また、図1(a)の例では、移動体102は、運行期間において地点Aから地点Bに移動し、その後、地点Aに戻る路線を運行する。地点Aから地点Bの間には、例えば、乗客を乗車および降車させるための複数の乗降場所が含まれている。乗降場所は、一例ではバス停留所などの停留所であってよい。なお、乗降場所は、固定的な位置に定められていてもよく、または、集落などの所定の地域内のどこかに状況に応じて定められるというように所定の領域内で位置が移動してもよい。なお、ここでは、運行スケジュール101において路線が地点Aから地点Bを結ぶように運行される例を示しているが、実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、運行スケジュール101の路線は地点Aから出発して乗降場所を巡回した後で地点Aに戻るような巡回する路線の運行も含まれるものとする。
【0013】
また、図1(b)は、例示的な運行表を示す図である。運行表は、例えば、1日などの所定の期間に実行される複数の運行スケジュール101を含む。なお、図1(b)では、運行表の一部が抜粋されている。ここで、例えば、路線の運行に利用可能な移動体102の数が1台しかないとする。この場合、移動体102が運行スケジュール101の実行を開始すると、その運行スケジュール101が完了するまで、次の運行スケジュール101を開始することができない。そのため、図1(b)の運行表では、複数の運行スケジュール101は、実行の時間帯が重ならないように配置されている。
【0014】
上述のように、定路線を運行する移動体102は、運行する経路がおおよそ定まっているため、オンデマンド型の公共交通機関と比較して、目的地までの所要時間を見積もり易く、移動体102の利用者は自身の予定に移動時間を組み込みやすい利点がある。しかしながら、路線の運行に利用可能な移動体102の数が少ない場合、同時に実行できる運行スケジュール101の数は移動体102の数に制限されるため、運行間隔が長くなってしまう。例えば、1つの運行スケジュール101の実行にかかる時間が、図1(a)に示すように60分であるとする。この場合、図1(b)の運行表での運行間隔は最短でも60分に1本となってしまう。そして、運行間隔が長くなると、利用者は自身にとって都合のよい時間に移動体102を利用できないことがあり、利用者の利便性が低下している。
【0015】
また、例えば、図1(b)に示すように、定まった時刻に運行を行うように運行表を立ててしまうと、たとえ乗客が1人も乗っていなくても、運行スケジュール101を実行することになり、無駄なコストが生じてしまう。
【0016】
このように、利用者が少ない状況では、定時定路線型で移動体102を運行することが難しいことがある。そのため、利用者が少ない場合にも利用し易い運行スケジュールで移動体を運行することのできる技術の提供が望まれている。
【0017】
以下で述べる実施形態では、定路線を運行される移動体102に対して、運行スケジュール101が、少なくとも1つの他の運行スケジュール101と実行の時間帯において重複を有するように、運行表を立てる。そして、運行表に含まれる複数の運行スケジュール101のうちの1つの運行スケジュール101に予約が入った場合、実行の時間帯が重複する他の運行スケジュール101に対する予約の受け付けを中止し、運行を休止する。
【0018】
図2は、実施形態に係る運行表200を例示する図である。なお、図2では、運行表200の一部が抜粋されている。例えば、図2(a)では、運行スケジュール101bは、運行スケジュール101aおよび運行スケジュール101cと、実行の時間帯が重複している。なお、上述のように、ここでは路線の運行に利用可能な移動体102が1台しかないものとする。この場合、運行スケジュール101a~101cの3つの運行スケジュール101は、実行の時間帯に重複を有するので、1台の移動体102ではいずれか1つしか実行できない。
【0019】
しかしながら、実施形態では、運行表200の複数の運行スケジュール101に対する利用者の乗車予約を受け付け、運行スケジュール101に予約が入ると、その運行スケジュール101と実行の時間帯が重複する他の運行スケジュール101に対する予約の受け付けを中止し、運行を休止する。例えば、図2(b)は、運行スケジュール101bに予約が入った場合を示しており、予約により運行スケジュール101bの運行を確定するとともに、運行スケジュール101bと実行の時間帯が重複する運行スケジュール101aおよび運行スケジュール101cへの予約の受け付けを中止して、運行休止にしている。そして、予約の入った運行スケジュール101bに従って移動体102を運行させる。
【0020】
それにより、1台の移動体102でも運行表200に含まれる運行スケジュール101を実行することができる。また、利用者は、予約する際には多くの運行スケジュール101の中から、自身の都合の良い運行スケジュール101を選択することができる。そのため、利用者の利便性が向上する。
【0021】
また、例えば、予約により重複する運行スケジュール101の運行が休止になるため、その後に同じ時間帯で移動体102を利用したいと望む利用者は、予約された運行スケジュール101への相乗りが促される。更には、予約が入らなかった場合には運行スケジュール101を実行しないことで、乗客が誰もいない状況で運行を実施するなど無駄なコストが発生することを回避することができる。
【0022】
また、上述の実施形態は定路線の運行であるため、利用者は移動時間や到着時刻を推定し易い。以下、実施形態を更に詳細に説明する。
【0023】
図3は、実施形態に係る運行管理システム300を例示する図である。運行管理システム300は、例えば、運行管理装置301、移動体102、利用者の端末302、および管制用端末303を含む。運行管理装置301は、一例ではクラウド310に配置されたサーバであってよい。運行管理装置301は、ネットワークの一例である移動体通信網350を介して、移動体102、利用者の端末302と通信可能に接続されている。また、運行管理装置301は、例えば、インターネットを介して管制用端末303と通信可能に接続されている。管制用端末303は、例えば、移動体102の運行の責任を担う事務所などに配備された端末であってよく、運行管理の責任者は、管制用端末303から運行に関する情報を収集してよい。管制用端末303は、例えば、移動体通信網350を介して、移動体102と通信可能に接続されていてよい。
【0024】
運行管理装置301は、例えば、利用者の端末302から移動体102への乗車予約を受け付ける。利用者の端末302は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話機などであってよい。また、運行管理装置301は、例えば、管制用端末303を介して移動体102に運行指示を送信し、或いは、移動体102に直接運行指示を送信し、それによって移動体102の運行を管理する。なお、以下では、管制用端末303を介して移動体102に運行指示を送信する場合を例に説明を行う。また、移動体102への通知は、一例では移動体102に備えられた通信端末または移動体102の運転手が保持する端末に通知を行うことで実行されてよい。移動体102は、例えば、交通機関や貨物の運送などで利用される車両、船舶、列車、および飛行機であってよい。以下では、移動体102がバスである場合を例に説明を行う。
【0025】
図4は、実施形態に係る運行管理装置301のブロック構成を例示する図である。運行管理装置301は、例えば、制御部401、記憶部402、および通信部403を含む。制御部401は、例えば受付部411、予約制御部412、および管理部413などとして動作する。記憶部402は、例えば、運行表200、後述する時刻表600、および運行スケジュール101に対する予約の情報などを記憶していてよい。通信部403は、例えば、制御部401の指示に従って、利用者の端末302、管制用端末303、および移動体102に備えられた通信端末や運転手が保持する端末と通信する。これらの各部の詳細および記憶部402に格納されている情報の詳細については後述する。
【0026】
図5は、実施形態に係る利用者の端末302のブロック構成を例示する図である。端末302は、例えば、制御部501、記憶部502、通信部503、表示部504、および入力部505を含む。制御部501は、例えば要求部511、および表示制御部512などとして動作する。記憶部502は、例えば、後述する予約受付画面800を表示するための予約情報などを記憶していてよい。通信部503は、例えば、制御部501の指示に従って、運行管理装置301と通信する。表示部504は、例えば、表示画面に情報を表示する。入力部505は、例えば、利用者からの入力を受け付ける。例えば、利用者は、入力部505を介して後述する予約に関する情報を入力してよい。これらの各部の詳細および記憶部502に格納されている情報の詳細については後述する。
【0027】
図6は、実施形態に係る時刻表600を例示する図である。時刻表600には、乗降場所における複数の運行スケジュール101の発車予定時刻が時間帯ごとに示されている。例えば、図6は、地点Aにおける時刻表600を例示している。なお、時刻表600の発車予定時刻と対応する運行スケジュール101は、図2で述べたように、実行の時間帯が他の運行スケジュール101と少なくとも一部で重複していてよい。なお、図6の時刻表600では、20分間隔で運行スケジュール101を実行する例が示されているが、実施形態はこれに限定されるものではなく、5分間隔および10分間隔などその他の間隔であってもよい。
【0028】
[予約の受付処理]
続いて、実施形態に係る移動体102への乗車の予約処理を説明する。なお、以下では、運行管理装置301が、路線の運行に利用できる移動体102として、1台の移動体102の運行を管理する場合を例に説明を行う。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、実施形態は複数台の移動体102の運行管理に適用されてもよい。
【0029】
図7は、実施形態に係る運行スケジュール101への予約処理の動作フローを例示する図である。例えば、運行管理装置301の制御部401は、利用者の端末302から予約情報の問い合わせを受信すると、図7の動作フローを開始してよい。なお、問い合わせは、例えば、利用者が乗車を希望する乗車場所と、降車を希望する降車場所の情報を含んでよい。
【0030】
ステップ701(以降、ステップを“S”と記載し、例えば、S701と表記する)において制御部401は、予約情報を端末302に通知する。予約情報は、例えば、運行表200に含まれる運行スケジュール101に対する予約状況を示す情報を含み、端末302の制御部501は、受信した予約情報に基づいて、端末302の表示部504が備える表示画面に予約受付画面800を表示してよい。
【0031】
図8は、実施形態に係る端末302の表示部504に表示される予約受付画面800を例示する図である。予約受付画面800は、例えば、予約情報の問い合わせの際に利用者が端末302の入力部505に入力した希望の乗車場所と降車場所を示す情報を含む。図8では、乗車場所が地点Aであり、降車場所が地点Bである例が示されている。また、予約受付画面800には、運行スケジュール101に対する予約状況を示す一覧801が表示されている。一覧801には、発車時刻、到着時刻、および予約状況が対応づけられたレコードが登録されており、各レコードは、運行表200の運行スケジュール101のそれぞれと対応している。発車時刻は、例えば、運行表200のそれぞれの運行スケジュール101において、乗車場所として指定された地点Aを発車する時刻である。また、到着時刻は、運行表200のそれぞれの運行スケジュール101において降車場所である地点Bに到着する時刻である。予約状況は、レコードと対応する運行スケジュール101に対する予約の状況を示す情報である。
【0032】
例えば、図8(a)の予約受付画面800は、表示されているいずれの運行スケジュール101にも予約が入っていない状況を示しており、予約受付画面800に示される全ての運行スケジュール101で予約状況に「空」が表示されている。
【0033】
ここで、例えば、利用者が、発車時刻が11:20の運行スケジュール101の予約を申請する操作を端末302に入力し、運行管理装置301に予約の申請を送信したとする。すると、図7の動作フローはS702に進む。
【0034】
S702において運行管理装置301の制御部401は、端末302から予約の申請を移動体通信網350と通信部403とを介して受信する。
【0035】
S703において制御部401は、予約申請された運行スケジュール101に利用者の情報を登録して予約を実行する。例えば、制御部401は、予約申請された運行スケジュール101に利用者を識別するための利用者情報と、利用者の乗車場所および降車場所の情報を登録してよい。
【0036】
S704において制御部401は、予約を受け付けた運行スケジュール101に既に別の予約が入っているか否かを判定する。予約を受け付けた運行スケジュール101に他の予約が入っていない場合(S704がNO)、フローはS705に進む。
【0037】
S705において制御部401は、予約の入った運行スケジュール101と実行の時間帯が重複している運行スケジュール101の予約の受け付けを中止する。これは、図2を参照して述べたように、予約の入った運行スケジュール101を移動体102で実行すると、時間帯が重複する他の運行スケジュール101を、その移動体102で実行できなくなるためである。
【0038】
また、S704において予約を受け付けた運行スケジュール101に既に別の予約が入っている場合、S704でYESと判定し、フローはS706に進む。これは、予約を受け付けた運行スケジュール101と実行の時間帯が重複する他の運行スケジュール101は、既に別の予約が行われた際に、予約の受け付けが中止に設定されているためである。
【0039】
S706において制御部401は、利用者の端末302に予約が完了したことを示す予約完了通知を送信する。なお、予約完了通知は、例えば、予約した乗車場所および降車場所に移動体102が到着する時刻といった運行情報などのその他の情報を含んでもよい。
【0040】
S707において制御部401は、予約された運行スケジュール101の実行指示を出力し、本動作フローは終了する。例えば、制御部401は、予約された運行スケジュール101の実行指示を管制用端末303に送信してよい。そして、管制用端末303は、予約された運行スケジュール101の実行指示を受信すると、移動体102に備えられた通信端末や運転手が保持する端末などに、その実行指示を送信してよい。それにより、移動体102の運転手は、実行指示に従って予約された運行スケジュール101を実行することができる。
【0041】
図8(b)は、予約が受け付けられた後の予約受付画面800を例示する図である。例えば、図7の動作フローで、発車時刻が11:20の運行スケジュール101に予約を受け付けたとする。この場合、その後に別の利用者の端末302から予約情報の問い合わせを受信すると、運行管理装置301の制御部401は、S701で図8(b)の予約受付画面800を表示するための予約情報を別の利用者の端末302に送信してよい。そして、別の利用者の端末302の表示画面には、図8(b)の予約受付画面800が表示される。
【0042】
図8(b)では、一覧801において発車時刻が11:20の運行スケジュール101の予約状況は、予約により運行が確定したことを示す情報に変更されている。なお、予約状況は、追加で乗車可能な残席数の情報を含んでもよい。一方、発車時刻が11:20の予約された運行スケジュール101と実行の時間帯が重複する発車時刻が11:00および11:40の運行スケジュール101は、予約状況が予約受付中止に設定されてグレーアウトしており、利用者が予約できなくなっている。このように、重複する時間帯に実行される運行スケジュール101の予約の受け付けを中止することで、実際に実行が可能な運行スケジュール101を利用者に提供することが可能になる。また、予約の受け付けを中止することで、例えば、11時台に移動体102に乗車したい後続の利用者は、発車時刻が11:20の運行スケジュール101に合わせて予約することが促され、移動体102の乗車率を向上させることができる。なお、後続の利用者は都合が合わなければ、12時以降の運行スケジュール101に予約を行うこともできる。
【0043】
以上で述べたように、図7の動作フローによれば、利用者は、実際に運行可能な運行スケジュール101の本数よりも多い運行スケジュール101の提示を受けて、予約を行うことができる。そのため、利用者は、仮想的に提示された多くの運行スケジュール101の中から、望む時間の運行スケジュール101を選択することが可能であり、利用者にとっての交通の利便性が向上する。
【0044】
そして、上述の実施形態では、運行スケジュール101に予約が入った場合、その運行スケジュール101と実行の時間帯が重複する運行スケジュール101の予約の受け付けを中止する。それにより、実際に実行可能な運行スケジュール101で移動体102を運行することができる。
【0045】
また、例えば、実施形態では、予約が入ってから運行スケジュール101の実行が確定するため、不要な移動体102の運行を抑制することができる。
【0046】
[予約のキャンセル処理]
続いて、予約のキャンセル処理について説明する。図9は、実施形態に係る予約のキャンセル処理の動作フローを例示する図である。制御部401は、例えば、利用者の端末302から予約のキャンセル要求を受信すると、図9の動作フローを開始してよい。
【0047】
S901において制御部401は、予約のキャンセル要求で指定された運行スケジュール101から予約の情報を削除して予約をキャンセルする。なお、予約のキャンセル要求は、キャンセル対象の予約を特定するための情報を含んでよい。例えば、予約のキャンセル要求は、キャンセル対象の予約が登録されている運行スケジュール101を識別する情報、予約のキャンセル要求を送信した利用者を識別するための利用者情報、およびキャンセル対象の予約の乗車場所および降車場所の情報を含んでよい。
【0048】
S902において制御部401は、予約がキャンセルされた運行スケジュール101に他の予約が入っているか否かを判定する。他の予約が入っていない場合(S902がNO)、フローはS903に進む。
【0049】
S903において制御部401は、予約がキャンセルされた運行スケジュール101において運行期間が開始しておらず移動体102が未出発であるか否かを判定する。移動体102が未出発である場合(S903がYES)、その運行スケジュール101を取りやめることが可能であり、フローはS904に進む。
【0050】
S904において制御部401は、予約がキャンセルされた運行スケジュール101と実行の時間帯が重複する運行スケジュール101に対する予約の受付中止を解除し、予約の受け付けを再開する。
【0051】
S905において制御部401は、予約がキャンセルされた運行スケジュール101の実行を中止させる中止指示を管制用端末303に送信し、フローはS909に進む。なお、管制用端末303は、中止指示を受信すると、例えば、移動体102に備えられた通信端末や運転手が保持する端末などに、その中止指示を通知してよい。それにより、移動体102の運転手は運行スケジュール101の実行を取りやめることができる。
【0052】
また、S903において移動体102が出発済みである場合(S903がNO)、フローはS906に進み、制御部401は、キャンセルされた予約の乗降場所を通過するよう指示する通過指示を管制用端末303に送信し、フローはS909に進む。なお、管制用端末303は、通過指示を受信すると、例えば、移動体102に備えられた通信端末や運転手が保持する端末などに、その通過指示を通知してよい。それにより、運転手は予約がキャンセルされた乗降場所で停止する必要がないことを知ることができる。
【0053】
また、S902において予約がキャンセルされた運行スケジュール101に他の予約者の予約が入っている場合(S902がYES)、フローはS907に進む。
【0054】
S907において制御部401は、キャンセルされた予約の利用者の乗降場所と、他の予約者の予約の乗降場所とが同じであるか否かを判定する。乗降場所が同じである場合(S907がYES)、フローはS909に進む。一方、S907において乗降場所の少なくとも一方が異なる場合(S907がNO)、フローはS908に進む。
【0055】
S908において制御部401は、予約をキャンセルした利用者の乗降場所のうち、他の予約者の乗降場所と一致しなかった乗降場所を通過するように指示する通過指示を、管制用端末303に送信し、フローはS909に進む。なお、管制用端末303は、通過指示を受信すると、例えば、移動体102に備えられた通信端末や運転手が保持する端末などに、その通過指示を送信してよい。それにより、運転手は通過指示を受けた乗降場所で停止する必要がないことを知ることができる。
【0056】
S909において制御部401は、予約のキャンセル要求を送信してきた利用者の端末302にキャンセルの完了を通知し、本動作フローは終了する。
【0057】
なお、図9の動作フローのS904を実行し予約の受け付けを再開したとする。この場合、利用者の端末302に表示される予約受付画面800において、予約がキャンセルされた運行スケジュール101と、その運行スケジュール101と時間帯が重複する運行スケジュール101の予約状況は、予約が入っていないことを示す「空」に設定されてよい。
【0058】
以上の図9の動作フローによれば、制御部401は、運行スケジュール101に対する予約が全てキャンセルされた場合に、その運行スケジュール101と時間帯が重複する運行スケジュール101での予約の受け付けを再開することができる。
【0059】
また、図9の動作フローによれば、制御部401は、予約をキャンセルした利用者の乗降場所が他の予約者の乗降場所と一致していない場合、一致していない乗降場所を通過するように、移動体102の運行を管理することができる。
【0060】
[予約受付画面の表示制御]
続いて、利用者の端末302の制御部501が実行する予約受付画面800の表示制御を説明する。図10は、実施形態に係る予約受付画面800の表示制御処理の動作フローを例示する図である。なお、利用者の端末302の制御部501は、例えば、予約情報の問い合わせの実行指示が入力されると、図10の動作フローを開始してよい。予約情報の問い合わせの実行指示は、例えば、利用者が希望する乗車場所および降車場所の情報を含んでよい。
【0061】
S1001において利用者の端末302の制御部501は、利用者が希望する乗車場所および降車場所の間での予約情報の提供を要求する問い合わせを運行管理装置301に送信する。S1002において制御部501は、運行管理装置301からの応答で予約情報を受信する。
【0062】
S1003において利用者の端末302の制御部501は、予約情報で通知された運行表200に含まれる複数の運行スケジュール101のうちで、予約の入っている運行スケジュール101と実行の時間帯が重複する運行スケジュール101を予約受付中止に設定する。それにより予約の入った運行スケジュール101と実行の時間帯が重複する運行スケジュール101への予約を禁止することができる。
【0063】
S1004において制御部501は、予約情報で通知された運行表200に含まれる複数の運行スケジュール101に、予約をしているのが自分のみの運行スケジュール101があるか否かを判定する。例えば、運行スケジュール101に入っている予約が1つであり、かつ、予約の利用者情報が記憶部502に記憶されている自分の利用者情報と合致する場合に、制御部501はYESと判定してよく、この場合、フローはS1005に進む。
【0064】
S1005において制御部501は、予約している運行スケジュール101を実行する移動体102が未出発であるか否かを判定する。なお、制御部501は、例えば、運行管理装置301に問い合わせを行い、移動体102が運行を開始しているか否かを示す移動体102の運行状態の情報を受信してよい。また、別の実施形態では、運行管理装置301が予約情報に移動体102の運行状態の情報を含めて送信してもよく、S1002で受信する予約情報には移動体102の運行状態の情報が含まれていてよい。そして、移動体102が出発済みの場合(S1005がNO)、移動体102の運行を取り消すことができないため、フローはS1007に進む。一方、未出発である場合(S1005がYES)、運行スケジュール101の実行をキャンセル可能であるため、フローはS1006に進む。
【0065】
S1006において制御部501は、予約をしているのが自分のみの運行スケジュール101の予約状況を変更可能に表示設定する。なお、変更可能の表示設定は、例えば、予約中の運行スケジュール101に対する自分の予約をキャンセルすれば、実行の時間帯が重複する他の運行スケジュール101に予約を変更可能であることを示している。
【0066】
一方、例えば、S1004において予約している運行スケジュール101に他の予約者がいる場合(S1004がNO)、フローはS1007に進む。これは、例えば、予約している運行スケジュール101に他の予約者がいる場合(S1004がNO)、予約をキャンセルしても運行スケジュール101は他の利用者のために実行されるので、予約を移すことができないためである。なお、S1004では、自分が予約している運行スケジュール101が無い場合もNOと判定してよい。
【0067】
そして、S1007において制御部501は、予約受付画面800を表示部504の表示画面に表示させ、本動作フローは終了する。
【0068】
図11は、実施形態に係る予約受付画面800を例示する別の図である。図11(a)は、S1006で変更可能に表示設定された場合に表示される予約受付画面800を例示している。図11(a)に示すように、発車時刻が11:20の運行スケジュール101の予約で、発車時刻が11:00および11:40の運行スケジュール101はグレーアウトされており、予約の受け付けが中止されている。しかしながら、発車時刻が11:20の運行スケジュール101を実行する移動体102が未出発であれば、利用者がその予約をキャンセルすることで、発車時刻が11:00および11:40の運行スケジュール101に予約可能である。そのため、予約状況には「予約の変更可」が表示されている。そして、利用者は、図11(a)の予約受付画面800を参照することで、予約を変更するか否かを自身の都合に合わせて検討することが可能になる。
【0069】
また、図11(b)は、S1004でNOと判定された場合に表示される予約受付画面800を例示している。この場合、発車時刻が11:00および11:40の運行スケジュール101の予約状況は予約受付中止で表示されており、利用者は、発車時刻が11:20の運行スケジュール101に入れた予約をキャンセルしても予約を移すことができないことを知ることができる。また、図11(b)に示すように、予約受付画面800には、「※他の利用者による予約有のため」というように「※」が付された運行スケジュール101について予約を移すことができない理由を表示してもよい。このように表示を行うことで、利用者は予約を移すことができない理由を知ることができる。なお、理由には他にも、例えば、「※出発済みのため」などその他の理由が表示されてもよい。
【0070】
そして、利用者の端末302の制御部501は、予約受付画面800に基づいて利用者から運行スケジュール101を予約する予約指示が入力された場合、その予約指示を運行管理装置301に送信してよい。
【0071】
以上の図10の動作フローによれば、制御部501は、運行管理装置301から受信した予約情報において予約されている運行スケジュールがある場合、予約されている運行スケジュール101と実行の時間帯が重複している運行スケジュールに対する予約の受け付けが中止された予約受付画面800を表示部504に表示させる。そのため、予約により運行されなくなる運行スケジュール101に、利用者が予約をしてしまうことを抑止できる。
【0072】
また、図10の動作フローによれば、利用者は、運行スケジュール101に予約したのが自分のみであり、かつ、移動体102が未出発である場合、その運行スケジュール101を、実行の時間帯が重複する別の運行スケジュール101に移動可能であることを知ることができる。
【0073】
なお、図10の動作フローでは、利用者の端末302において予約状況を設定する例を述べているが、実施形態はこれに限定されるものではなく、運行管理装置301で実行されてもよい。また同様に、上述の実施形態の予約により実行の時間帯が重複する運行スケジュール101の予約の受け付けを中止にする制御は、運行管理装置301が実行しても、利用者の端末302が運行管理装置301から通知された通知情報に基づいて実行してもよい。
【0074】
以上で述べたように、上述の実施形態では、路線の運行において運行管理装置301が管理する移動体102の数よりも多い数の重複を有する複数の運行スケジュール101を仮想的に構築して提供するため、利用者は幅広い運行スケジュール101の選択肢の中から運行スケジュール101を選ぶことができる。
【0075】
また、予約によって運行スケジュール101の実行を確定し、また、重複する運行スケジュール101の予約の受け付けを中止して運行を休止するので、移動体102が実行可能な運行スケジュール101を提供することができる。
【0076】
また、重複する運行スケジュール101の予約の受け付けを中止にすることで、予約により実行が確定した運行スケジュール101に乗客を集中させることができ、移動体102の運行サービスを提供する提供者の利益率を向上させることができる。
【0077】
なお、上述の実施形態において、例えば、S702の処理では運行管理装置301の制御部401は、受付部411として動作する。また、S705およびS904の処理では運行管理装置301の制御部401は、例えば、予約制御部412として動作する。S707の処理では運行管理装置301の制御部401は、例えば、管理部413として動作する。また、S1001の処理では利用者の端末302の制御部501は、要求部511として動作する。S1007の処理では利用者の端末302の制御部501は、例えば、表示制御部512として動作する。
【0078】
以上においていくつかの実施形態を例示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述の動作フローは例示であり、可能な場合には、動作フローは、処理の順番を変更して実行されてもよく、別に更なる処理を含んでもよく、または、一部の処理が省略されてもよい。
【0079】
また、上述の実施形態では、バスなどの公共交通機関の移動体102の運行管理に実施形態を適用する例を述べている。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、実施形態は、運行需要が少なく運行便数を少なくしたい定時定路線の輸送システ厶であれば、公道だけでなく工場内などの私有地、拠点間での乗客の輸送、および物流用の輸送システムにも適用することができる。一例として、実施形態は、所定の航路を運行される船舶および飛行機の運行管理に適用されてもよい。また、乗客の代わりに貨物を移動体102で運送し、貨物を効率よく運送するために実施形態が適用されてもよい。
【0080】
また、上述の実施形態では、路線において利用可能な移動体102が1台である場合を例に説明を行っているが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、路線において利用可能な移動体102が複数台ある場合にも、実施形態を適用することが可能である。この場合、運行管理装置301の制御部401は、複数の移動体102のうちで最後の1台が運行スケジュール101の実行で出発することになる場合に、その運行スケジュール101への予約の際に上述の実施形態の処理を実行し、その運行スケジュール101と実行の時間帯が重複する以降の運行スケジュール101の予約の受け付けを中止してよい。また、ここで、予約の受け付けを中止する対象となった運行スケジュール101に、複数の移動体102のうち、他の運行スケジュール101の実行で出発した移動体102の戻りが間に合う運行スケジュール101があれば、制御部401は、その運行スケジュール101については、予約の受け付けを中止しなくてもよい。また、このような処理の実行のために、運行管理装置301は、路線の運行で利用可能な移動体102の数を記憶部402に記憶して、移動体102を管理していてもよい。
【0081】
また、例えば、運行管理装置301が路線での運行を管理する移動体102が複数台ある場合、運行表200は、その複数台の移動体102の数よりも、運行スケジュール101の重複の最大数が多くなるように組まれてよい。例えば、運行管理装置301がその路線で運行を管理する移動体102の数が2台であるとする。この場合、運行表200において運行スケジュール101を最大で3個以上重複させるように運行表200を組むことで、実際に実行可能な運行スケジュール101よりも多い運行スケジュール101を利用者に提示することができる。
【0082】
また、例えば、運行管理装置301の制御部401は、運行スケジュール101において予約の数が、移動体102で予約を受け付け可能な予約受付可能数(例えば、乗車可能人数)に対して所定の割合を超えた場合に、その運行スケジュールの予約の状況を示す情報を管制用端末303に送信してよい。それにより、管制用端末303を利用する運行管理の責任者は、臨時便の運行などのために追加の移動体102を手配することができる。このように、例えば、予約者が平時と比較して多い状況でも、需要に合わせて移動体102を供給することが可能である。
【0083】
また、上述の実施形態は、その他の様々な技術と組み合わせて実行されてもよい。例えば、上述の実施形態は、無人運転の定路線バス運行技術と組み合わせて実施されてもよい。この場合、無人運転のバスなどでは発見が困難となり易い折り返し乗車も、上述のように乗車を予約制とすることで、予約の際に検出して防止することができる。なお、折り返し乗車とは、例えば、移動体102に乗車して目的地と逆方向の乗降場所にいったん移動した後、そこから折り返して目的地まで乗車する行為のことである。
【0084】
また、例えば、移動体102にシートベルトの着脱を検知するセンサと通信装置を備えさせることで、運行管理装置301の制御部401は、シートベルトの着脱の情報に基づいて予約をした乗客が実際に移動体102に乗車したか否かの情報を通信装置から取得することが可能になる。そして、予約をした乗客が乗車しなかったことを検知した場合に、運行管理装置301の制御部401は、以降の運行経路において乗らなかった乗客の代わりの予約を受け付けるように制御を行ってもよい。
【0085】
また、上述の実施形態は1つの路線に対する運行スケジュール101を対象に説明を行っているが、実施形態はこれに限定されるものではない。別の実施形態では、異なる複数の路線の運行スケジュール101を混ぜて、実行の時間帯が重複する運行スケジュール101を含む運行表200が生成されてもよい。例えば、第1の路線を運行する運行スケジュール101、第2の路線を運行する運行スケジュール101、および第3の路線を運行する運行スケジュール101を混ぜて運行表200を生成し、利用者に提示したとする。この場合にも、上述の実施形態で述べたように、予約の入った運行スケジュール101と実行の時間帯が重複する運行スケジュール101の予約の受け付けを中止して運行休止にすることで、運行表200に含まれる運行スケジュール101を実行することができる。それにより、利用者に時間だけでなく路線の幅広い選択肢を提供することもできる。また、複数の路線で移動体102を共有することが可能になり、移動体102の利用効率を向上させることができる。
【0086】
図12は、実施形態に係る運行管理装置301、利用者の端末302、管制用端末303、および移動体102に備えられた通信端末や運転手が保持する端末を実現するためのコンピュータ1200のハードウェア構成を例示する図である。
【0087】
図12のコンピュータ1200のハードウェア構成は、例えば、プロセッサ1201、メモリ1202、記憶装置1203、読取装置1204、通信インタフェース1206、入出力インタフェース1207、表示装置1211、および入力装置1212を備える。なお、プロセッサ1201、メモリ1202、記憶装置1203、読取装置1204、通信インタフェース1206、入出力インタフェース1207は、例えば、バス1208を介して互いに接続されている。
【0088】
プロセッサ1201は、例えば、シングルプロセッサであっても、マルチプロセッサやマルチコアであってもよい。プロセッサ1201は、メモリ1202を利用して例えば上述の動作フローの手順を記述したプログラムを実行することにより、上述した処理の一部または全部の機能を提供する。例えば、運行管理装置301のプロセッサ1201は、記憶装置1203に格納されているプログラムを読み出して実行することで、制御部401、受付部411、予約制御部412、および管理部413として動作する。また、利用者の端末302のプロセッサ1201は、記憶装置1203に格納されているプログラムを読み出して実行することで、制御部501、要求部511、および表示制御部512として動作する。
【0089】
メモリ1202は、例えば半導体メモリであり、RAM領域およびROM領域を含んでいてよい。記憶装置1203は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、または外部記憶装置である。なお、RAMは、Random Access Memoryの略称である。また、ROMは、Read Only Memoryの略称である。
【0090】
読取装置1204は、プロセッサ1201の指示に従って着脱可能記憶媒体1205にアクセスする。着脱可能記憶媒体1205は、例えば、半導体デバイス(USBメモリ、SDカード等)、磁気的作用により情報が入出力される媒体(磁気ディスク等)、光学的作用により情報が入出力される媒体(CD-ROM、DVD等)などにより実現される。なお、USBは、Universal Serial Busの略称である。CDは、Compact Discの略称である。DVDは、Digital Versatile Diskの略称である。
【0091】
なお、上述の記憶部402および記憶部502は、例えばメモリ1202、記憶装置1203、および着脱可能記憶媒体1205を含んでよい。例えば、運行管理装置301の記憶装置1203には、運行表200、時刻表600、および運行スケジュール101に対する予約の情報が記憶されている。また、例えば、利用者の端末302の記憶装置1203には、予約受付画面800を表示するための予約情報が記憶されている。
【0092】
通信インタフェース1206は、プロセッサ1201の指示に従ってインターネットや移動体通信網350を介してデータを送受信してよい。通信インタフェース1206は、上述の通信部403および通信部503の一例である。
【0093】
入出力インタフェース1207は、例えば、入力装置および出力装置との間のインタフェースであってよい。図12の例では、入出力インタフェース1207はディスプレイなどの表示装置1211および入力装置1212と接続されている。表示装置1211は、上述の表示部504の一例である。例えば、利用者の端末302の表示装置1211は、予約受付画面800を表示してよい。入力装置1212は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、マイクなどの利用者からの入力を受け付ける装置である。なお、入力装置1212として、入出力インタフェース1207にマイクが接続されている場合、利用者は例えばマイクに音声入力で入力を行ってもよい。入力装置1212は、上述の入力部505の一例である。また、入出力インタフェース1207は、スピーカ、プリンタなどの出力装置などその他の装置と接続されていてもよい。
【0094】
上述の実施形態を実施するための各種プログラムは、例えば、下記の形態で運行管理装置301、利用者の端末302、管制用端末303、および移動体102に備えられた通信端末や運転手が保持する端末に提供される。
(1)記憶装置1203に予めインストールされている。
(2)着脱可能記憶媒体1205により提供される。
(3)プログラムサーバなどのサーバから提供される。
【0095】
なお、図12を参照して述べたコンピュータ1200のハードウェア構成は、例示であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述の構成要素の一部が、置換されても、または削除されてもよく、或いは、新たな構成要素が追加されてもよい。また、別の実施形態では、例えば、上述の機能部の一部または全部の機能がFPGAおよびSoCなどによるハードウェアとして実装されてもよい。なお、FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。SoCは、System-on-a-chipの略称である。
【0096】
以上において、いくつかの実施形態が説明される。しかしながら、実施形態は上記の実施形態に限定されるものではなく、上述の実施形態の各種変形形態および代替形態を包含するものとして理解されるべきである。例えば、各種実施形態は、その趣旨および範囲を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できることが理解されよう。また、前述した実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、種々の実施形態が実施され得ることが理解されよう。更には、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してまたは置換して、或いは実施形態に示される構成要素にいくつかの構成要素を追加して種々の実施形態が実施され得ることが当業者には理解されよう。
【符号の説明】
【0097】
101 運行スケジュール
102 移動体
200 運行表
300 運行管理システム
301 運行管理装置
302 端末
303 管制用端末
310 クラウド
350 移動体通信網
401 制御部
402 記憶部
403 通信部
411 受付部
412 予約制御部
413 管理部
501 制御部
502 記憶部
503 通信部
504 表示部
505 入力部
511 要求部
512 表示制御部
600 時刻表
800 予約受付画面
801 一覧
1200 コンピュータ
1201 プロセッサ
1202 メモリ
1203 記憶装置
1204 読取装置
1205 着脱可能記憶媒体
1206 通信インタフェース
1207 入出力インタフェース
1208 バス
1211 表示装置
1212 入力装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12