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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】セキュリティボックスシステム
(51)【国際特許分類】
   E05B 65/52 20060101AFI20230907BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20230907BHJP
   E05B 65/00 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
E05B65/52 B
E05B49/00 R
E05B65/00 E
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019199279
(22)【出願日】2019-10-31
(65)【公開番号】P2021071012
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 博美
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 公基
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-223351(JP,A)
【文献】特表2006-509932(JP,A)
【文献】特開2002-089099(JP,A)
【文献】特開2007-327253(JP,A)
【文献】特開2003-269024(JP,A)
【文献】特開2008-121209(JP,A)
【文献】特開2009-281015(JP,A)
【文献】登録実用新案第3162728(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納する収納部と、
前記収納部を開閉する開閉部と、
前記収納部と前記開閉部とを備えるセキュリティボックスと、
前記セキュリティボックスの存在する位置を特定する位置特定部と、
前記位置特定部により特定された前記セキュリティボックスの存在する前記位置が所定の範囲内に位置しているか否かを判定する位置情報判定部と、
前記収納部に収納された前記物品を前記収納部から取り出せない閉状態と、前記収納部に収納された前記物品を前記収納部から取り出せる開状態と、のいずれか一方の状態に前記開閉部を制御する開閉制御部と、
前記開閉制御部が前記開閉部を前記閉状態から前記開状態に制御するために用いる解錠情報を記憶する錠記憶部と、
前記開閉制御部が前記開閉部を前記閉状態から前記開状態に制御した後に、前記錠記憶部に記憶されている前記解錠情報を消去する消去部と、
前記収納部に収納された前記物品を前記収納部から取り出す利用者を特定する利用者特定情報を取得する利用者特定情報取得部と、
前記利用者特定情報に基づいて、前記解錠情報を生成する解錠情報生成部と、
を有してな
前記セキュリティボックスは、移動可能で、
前記開閉制御部は、前記位置情報判定部による判定結果に基づいて、前記開閉部を制御する、
ことを特徴とするセキュリティボックスシステム。
【請求項2】
前記解錠情報生成部は、前記錠記憶部に前記解錠情報が記憶されておらず、かつ、前記開閉部が前記開状態のときにのみ、前記利用者特定情報に基づいて、前記解錠情報を生成する、
請求項1記載のセキュリティボックスシステム。
【請求項3】
前記利用者特定情報は、前記利用者の生体情報である、
請求項1記載のセキュリティボックスシステム。
【請求項4】
前記利用者の身体情報を検出する検出部、
を有してなり、
前記開閉制御部は、前記検出部により検出された前記身体情報が、所定の条件を満たすときにのみ、前記開閉部を前記閉状態から前記開状態に制御する、
請求項1記載のセキュリティボックスシステム。
【請求項5】
前記利用者の利用者端末と通信回線を介して接続し、
前記解錠情報または前記解錠情報に応じた開指示情報を前記利用者端末に送信し、
前記利用者端末から前記解錠情報または前記開指示情報を受信する通信部、
を有してなり、
前記開閉制御部は、前記通信部が前記解錠情報または前記開指示情報を受信したとき、かつ、前記開閉部が前記閉状態のときにのみ、前記開閉部を前記閉状態から前記開状態に制御する、
請求項1記載のセキュリティボックスシステム。
【請求項6】
前記開閉部が前記閉状態に制御された時から、前記開閉部が前記開状態に制御された時まで、の時間を算出する算出部、
を備える、
請求項1記載のセキュリティボックスシステム。
【請求項7】
前記算出部を備える管理端末と通信回線を介して接続し、
前記開閉部が前記閉状態に制御されたときと、前記開閉部が前記開状態に制御されたときと、に通知情報を前記管理端末に送信する通信部、
を有してなる、
請求項6記載のセキュリティボックスシステム。
【請求項8】
複数の前記収納部、
を有してなり、
前記通知情報は、複数の前記収納部ごとに付与されている収納部識別情報を含み、
前記管理端末は、
前記収納部識別情報と前記時間とを関連付けて記憶する時間記憶部、
を備える、
請求項7記載のセキュリティボックスシステム。
【請求項9】
前記位置特定部は、
前記セキュリティボックスの存在する位置を特定する位置情報を受信する位置情報受信部、
を備え
前記位置情報受信部が受信した位置情報に基づいて、前記位置を特定する、
請求項記載のセキュリティボックスシステム。
【請求項10】
前記セキュリティボックスを撮像して撮像画像を生成する撮像部、
を有してなり、
前記開閉制御部は、前記撮像部が撮像して生成した前記撮像画像に基づいて、前記開閉部を制御する
請求項記載のセキュリティボックスシステム。
【請求項11】
前記セキュリティボックスと接続可能な接続部、
を有してなり、
前記開閉制御部は、前記接続部の接続状態に基づいて、前記開閉部を制御する、
請求項記載のセキュリティボックスシステム。
【請求項12】
記セキュリティボックスと通信回線を介して接続する管理端末、
を有してなり
記管理端末は、
少なくとも、前記開閉制御部と、前記錠記憶部と、前記消去部と、
のいずれか1つを備える、
請求項1記載のセキュリティボックスシステム。
【請求項13】
前記開閉制御部は、前記セキュリティボックスの存在する前記位置が前記所定の範囲内に位置していると判定されたときにのみ、前記開閉制御部を前記閉状態から前記開状態に制御する、
請求項1記載のセキュリティボックスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティボックスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、会社の業務に関する情報や、会社の従業者や顧客の個人情報など、機密情報の取り扱いが問題となっている。そのため、多くの会社では、機密情報の社外への持ち出しを制限する社内規定が定められている。しかし、会議や打ち合わせなど(以下「会議等」という。)は、顧客先など社外で行われることもある。その場合、会社の従業者や経営者など(以下「従業者等」という。)は、機密情報が記載された文書や機密情報が記憶された記憶媒体(以下「機密情報媒体」という。)、例えば、PC(personal computer)やUSB(Universal Serial Bus)メモリなどを社内から社外に持ち出す。
【0003】
社外での会議等の終了後、会議等の参加者同士による会食は、しばしば行われる。その際、従業者等は、例えば、機密情報を鞄に入れて持ち歩き、鞄を飲食店内に置いて食事をする。食後、従業者等は、機密情報を入れた鞄を飲食店内や、自宅への移動手段である、電車、バス、タクシーなどの車内に置き忘れる場合がある。特に、鞄の置き忘れは、アルコールを含む飲食後に多く生じ得る。鞄の置き忘れは機密情報の紛失や漏洩に繋がり、機密情報の漏洩は、従業者等が勤務する会社の社会的信用を低下させ得る。また、機密情報の漏洩は、機密情報を取得した第三者により悪用され得る。
【0004】
これまでにも、鞄の置き忘れによる機密情報の紛失・漏洩を防ぐために、例えば飲食店等へ向かう前に銀行の貸金庫が利用されている。
【0005】
しかし、銀行の貸金庫に機密情報を預ける場合、銀行と預ける者(利用者)との間で契約の締結が必要となる。銀行が近くにない場合、利用者は、機密情報を貸金庫に預けることができない。また、契約をしていない銀行が近くにある場合、利用者は同銀行と契約を締結しなければならず、短時間での契約の締結は困難である。さらに、銀行の貸金庫に機密情報を預けた場合、貸金庫に預けた機密情報の取り出しは、原則、銀行の営業時間内に限られる。そのため、銀行の貸金庫では、場所や時間の制約があり、利便性も低い。
【0006】
そこで、銀行の貸金庫よりも場所や時間の制約が少なく、利便性の良い手法として、コインロッカーや預かりボックスに機密情報を預ける手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2002-304666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、コインロッカーや預かりボックスの多くは、駅構内や駅に隣接する場所に設置される。そのため、コインロッカーや預かりボックスを利用可能なエリアは、駅構内や駅に隣接する場所に限定される。したがって、特許文献1に開示された手法においても、依然として利用場所に制約があり、利便性は高くない。
【0009】
本発明は、機密情報を預ける際の場所や時間の制約を低減し、利便性の高いセキュリティボックスシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかるセキュリティボックスシステムは、物品を収納する収納部と、収納部を開閉する開閉部と、収納部に収納された物品を収納部から取り出せない閉状態と収納部に収納された物品を収納部から取り出せる開状態とのいずれか一方の状態に開閉部を制御する開閉制御部と、開閉制御部が開閉部を閉状態から開状態に制御するために用いる解錠情報を記憶する錠記憶部と、開閉制御部が開閉部を閉状態から開状態に制御した後に、錠記憶部に記憶されている解錠情報を消去する消去部と、収納部に収納された物品を収納部から取り出す利用者を特定する利用者特定情報を取得する利用者特定情報取得部と、利用者特定情報に基づいて、解錠情報を生成する解錠情報生成部と、を有してなる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、機密情報を預ける際の場所や時間の制約を低減し、利便性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明にかかるセキュリティボックスシステムの実施の形態を示すネットワーク構成図である。
図2図1のセキュリティボックスシステムの機能ブロック図である。
図3図1のセキュリティボックスシステムが備える記憶部に記憶される情報の例を示す模式図である
図4図1のセキュリティボックスシステムが実行する開閉処理を示すフローチャートである。
図5図1のセキュリティボックスシステムが実行する閉処理の動作を示すフローチャートである。
図6図1のセキュリティボックスシステムが実行する開処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明にかかるセキュリティボックスシステム(以下「本システム」という。)の実施の形態について説明する。
【0014】
本発明は、本システムに機密情報を保管した本システムの利用者が、本システムから機密情報を適切に取り出せるように、機密情報の保管・管理・取り出しを制御するものである。
【0015】
「機密情報」は、例えば、会社の業務に関する情報や、会社の従業者や顧客の個人情報などである。
【0016】
●セキュリティボックスシステム●
先ず、本システムについて説明する。
【0017】
図1は、本システムの実施の形態を示すネットワーク構成図である。
図2は、本システムの機能ブロック図である。
図1図2とは、本システムSが、ネットワーク回線(通信回線)Nを介して、本システムSの利用者の端末(以下「利用者端末」という。)UTに接続されていることを示す。すなわち、本システムSは、利用者端末UTと相互に通信可能である。
【0018】
「利用者」は、例えば、機密情報を鞄に入れて社外に持ち出し、本システムSを利用して、同機密情報を保管する者である。「利用者端末UT」は、例えば、Wi-FiやBluetooth(登録商標)などの無線ネットワーク回線や、USBケーブルなどの有線ネットワーク回線を利用してセキュリティボックスシステムS(後述するセキュリティボックス1)と相互に通信可能な端末である。利用者端末UTは、例えば、スマートホンである。利用者端末UTの具体的構成については、後述する。
【0019】
なお、利用者端末は、本システムと通信可能な情報処理端末であればよく、スマートホンに限定されない。すなわち、例えば、利用者端末は、タブレットPC、ノートPC、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話でもよい。
【0020】
本システムSは、複数のセキュリティボックス1(1),1(2),・・・1(n)と、サーバ2と、を有してなる。
【0021】
ここで、「n」は、1以上の整数である。複数のセキュリティボックス1(1)-1(n)それぞれの構成は、共通する。以下の説明において、各セキュリティボックス1(1)-1(n)のそれぞれを区別する必要がないとき、それぞれを「セキュリティボックス1」と総称する。
【0022】
本システムSは、後述する情報処理を実行することにより、利用者特定情報に基づいて物品が収納されたセキュリティボックス1を施錠し、同利用者特定情報に基づいて物品が収納されたセキュリティボックス1を解錠する。
【0023】
「物品」は、機密情報が記載された文書や、機密情報が記憶された記憶媒体(以下「機密情報媒体」という。)、例えば、PC(Personal Computer)やUSB(Universal Serial Bus)メモリ、である。物品は、機密情報が収納された鞄や袋、容器、あるいは、機密情報である製品や試作品、を含む。
【0024】
「利用者特定情報」は、本システムSがセキュリティボックス1に物品を収納する利用者(セキュリティボックス1に収納された物品を収納部11から取り出す利用者)を特定するための情報である。利用者特定情報は、例えば、利用者の生体情報である。
【0025】
「利用者の生体情報」は、利用者個人が生来有している情報であり、同情報に基づいて生成される情報を含む。本実施の形態において、利用者の生体情報は、利用者の指紋パターンである。
【0026】
なお、利用者の生体情報は、利用者の指紋パターンに限定されない。すなわち、例えば、利用者の生体情報は、利用者の掌紋パターン、声紋パターン、静脈パターン、虹彩パターン、脳波パターン、でもよい。
【0027】
また、利用者特定情報は、本システムSが利用者個人を特定可能であれば、利用者の生体情報に限定されない。すなわち、例えば、利用者特定情報は、利用者端末に搭載されたNFC通信規格(例えば、FeliCa(登録商標)など)による非接触方式の近接無線通信で通信可能な端末固有の情報でもよい。
【0028】
セキュリティボックス1は、物品を収納する容器である。セキュリティボックス1は、例えば、アタッシュケースなどの持ち運び(移動)可能なケースである。セキュリティボックス1は、本システムSが導入されている店舗(例えば、24時間営業のコンビニエンスストア、スーパーマーケット、などの従業員が常駐する店舗)内や、ビル(例えば、警備員が常駐するビル)内に保管される。セキュリティボックス1の具体的な構成は、後述する。
【0029】
サーバ2は、例えば、各セキュリティボックス1-1nの開閉状態や、各セキュリティボックス1-1nに物品が収納されている時間(セキュリティボックス1に物品が収納された時から、同物品が取り出された時までの時間)、を管理する。サーバ2は、ネットワーク回線Nを介して、各セキュリティボックス1-1nに接続される。サーバ2は、例えば、PCである。サーバ2は、例えば、本システムSを運用する管理者が所有する建物内や、同管理者と契約をした事業者が所有する建物内に配置される。サーバ2は、本発明における管理端末の例である。サーバ2の具体的な構成は、後述する。
【0030】
●セキュリティボックスの構成
セキュリティボックス1は、収納部11と、通信部12と、記憶部13と、制御部14と、開閉部15と、利用者特定情報取得部16と、検出部17と、位置特定部18と、を備える。
【0031】
収納部11は、物品を収納する、セキュリティボックス1の筐体である。収納部11は、例えば、アルミニウム合金などの金属製である。
【0032】
通信部12は、ネットワーク回線Nを介して、サーバ2と利用者端末UTそれぞれに接続されて、サーバ2と利用者端末UTそれぞれとの間で情報を送受信する。通信部12は、例えば、通信モジュールや通信回路などの通信インターフェイスである。通信部12の具体的な動作については、後述する。
【0033】
記憶部13は、セキュリティボックス1が後述する情報処理を実行するために必要な情報を記憶する。記憶部13は、例えば、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などの記憶媒体である。記憶部13は、利用者特定情報記憶部131と錠記憶部132とを備える。
【0034】
利用者特定情報記憶部131は、利用者特定情報取得部16が取得した利用者特定情報を記憶する。
【0035】
錠記憶部132は、後述する解錠情報生成部142により生成された解錠情報を記憶する。
【0036】
「解錠情報」は、制御部14(後述する開閉制御部141)が開閉部15を閉状態から開状態に制御するために用いる情報である。閉状態と開状態とについては、後述する。
【0037】
制御部14は、セキュリティボックス1全体の動作を制御する。制御部14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサ、または、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路と、RAM・ROMなどの半導体メモリと、により構成される。制御部14は、開閉制御部141と、解錠情報生成部142と、消去部143と、身体情報判定部144と、位置情報判定部145と、を備える。
【0038】
開閉制御部141は、開閉部15を開状態と閉状態とのいずれか一方の状態に制御する。開閉制御部141による開閉部15の具体的な制御については、後述する。
【0039】
「開状態」は、収納部11に収納された物品を収納部11から取り出せる状態である。すなわち、例えば、開状態は、開閉部15が解錠された(収納部11が開く)状態である。
【0040】
「閉状態」は、収納部11に収納された物品を収納部11から取り出せない状態である。すなわち、例えば、閉状態は、開閉部15が施錠された(収納部11が開かない)状態である。
【0041】
解錠情報生成部142は、例えば、利用者特定情報に基づいて、解錠情報を生成する。解錠情報生成部142の具体的な動作については、後述する。
【0042】
消去部143は、錠記憶部132に記憶されている解錠情報を消去する。消去部143の具体的な動作については、後述する。
【0043】
身体情報判定部144は、検出部17により検出された利用者の身体情報が所定の条件を満たしているか否か、を判定する。身体情報判定部144の具体的な動作については、後述する。
【0044】
「利用者の身体情報」は、利用者の身体の状態に関する情報である。利用者の身体情報は、例えば、呼気中アルコール濃度である。
【0045】
なお、利用者の身体情報は、呼気中アルコール濃度に限定されない。すなわち、例えば、利用者の身体情報は、血中アルコール濃度でもよく、あるいは、利用者の疲労度やストレス度などの自律神経の状態を表す情報でもよい。
【0046】
位置情報判定部145は、位置特定部18により特定されたセキュリティボックス1の位置が所定の範囲(エリア)内に位置しているか否か、を判定する。「所定の範囲(エリア)」は、例えば、セキュリティボックス1が保管されている店舗内またはビル内、もしくは、同店舗内またはビル内における所定の部屋内である。位置情報判定部145の具体的な動作については、後述する。
【0047】
開閉部15は、開閉制御部141の制御に基づいて、収納部11を開閉する。開閉部15は、例えば、電気的な制御で解錠/施錠を切り替える電子錠である。
【0048】
利用者特定情報取得部16は、利用者特定情報を取得して、取得した利用者特定情報を利用者特定情報記憶部131に出力する。利用者特定情報取得部16は、例えば、指紋センサである。利用者特定情報取得部16の具体的な動作については、後述する。
【0049】
検出部17は、利用者の身体情報を検出して、検出した身体情報を身体情報判定部144に出力する。検出部17は、例えば、アルコールセンサである。検出部17の具体的な動作については、後述する。
【0050】
位置特定部18は、セキュリティボックス1の存在する位置を特定して、特定した位置を位置情報判定部145に出力する。位置特定部18は、位置情報受信部181を備える。位置特定部18の具体的な動作については、後述する。
【0051】
「セキュリティボックス1の存在する位置」は、例えば、二次元座標や三次元座標により示される、屋内や屋外におけるセキュリティボックス1の位置である。
【0052】
位置情報受信部181は、セキュリティボックス1の存在する位置を特定する位置情報を受信する。位置情報受信部181は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信器や、Beacon受信器である。位置情報受信部181の具体的な動作については、後述する。
【0053】
「位置情報」は、例えば、位置情報受信部181が複数の人工衛星や複数のBeaconから受信した信号に基づき二点測位方式や三点測位方式により特定する位置に関する情報である。
【0054】
●サーバの構成
サーバ2は、通信部21と、記憶部22と、制御部23と、を備える。
【0055】
通信部21は、ネットワーク回線Nを介して、セキュリティボックス1と利用者端末UTそれぞれに接続されて、セキュリティボックス1と利用者端末UTそれぞれとの間で情報を送受信する。通信部21は、例えば、通信モジュールや通信回路などの通信インターフェイスである。通信部21の具体的な動作については、後述する。
【0056】
記憶部22は、例えば、各セキュリティボックス1-1nの状態や、各セキュリティボックス1-1nに物品が収納されている時間、各セキュリティボックス1-1nが保管(設置)されている場所、を記憶する。記憶部22は、例えば、フラッシュメモリ、RAM、ROMなどの記憶媒体である。記憶部22は、セキュリティボックス情報データベースDB(以下「ボックス情報DBという」。)を備える。
【0057】
図3は、ボックス情報DBに記憶される情報の例を示す模式図である。
【0058】
「ボックス情報DB」は、例えば、セキュリティボックスID(以下「ボックスID」という。)と、状態と、閉時刻と、開時刻と、時間と、場所IDと、が関連付けられて記憶される各セキュリティボックス1-1nの状態に関するデータベースである。
【0059】
「ボックスID」は、各セキュリティボックス1-1nに対応するセキュリティボックス固有の識別情報である。換言すれば、ボックスIDは、収納部11ごとに付与されている識別情報である。ここで、ボックスIDは、本発明における収納部識別情報の例である。「状態」は、開閉部15が「閉状態」か「開状態」かを示す。「閉時刻」は、開閉部15が施錠された時刻を示す。「開時刻」は、開閉部15が解錠された時刻を示す。「時間」は、閉時刻から開時刻までの経過時間を示す。経過時間は、例えば、後述する開処理(ST2:図6参照)において、後述する算出部231(図2参照)により算出される時間である。「場所ID」は、各セキュリティボックス1-1nのそれぞれが保管されている、例えば、店舗やビルなどの名称や住所に対応する固有の識別情報である。
【0060】
同図は、例えば、ボックスIDと、状態と、閉時刻と、開時刻と、時間と、場所IDと、が関連付けられてボックス情報DBに記憶されていることを示す。すなわち、記憶部22は、収納部識別情報と、閉時刻から開時刻までの経過時間と、を関連付けて記憶する、本発明における時間記憶部として機能する。
【0061】
同図は、例えば、ボックスID「B01」に対して、状態「開(開状態)」・閉時刻「T11」・開時刻「T12」・時間「T13」・場所ID「P01」が関連付けられてボックス情報DBに記憶されていることを示す。サーバ2は、ボックスIDを用いてボックス情報DBを参照することで、同ボックスIDと関連付けられてボックス情報DBに記憶されている状態、閉時刻、開時刻、時間、場所IDなどを読み出すことができる。
【0062】
図2に戻る。
制御部23は、サーバ2全体の動作を制御する。制御部23は、例えば、CPU、MPU、DSPなどのプロセッサ、または、ASIC、FPGAなどの集積回路と、RAM、ROMなどの半導体メモリと、により構成される。制御部23は、算出部231を備える。
【0063】
算出部231は、通信部21を介してセキュリティボックス1から情報を受信して、セキュリティボックス1の開閉部15が閉状態に制御された時(閉時刻)から、同開閉部15が開状態に制御された時(開時刻)まで、の経過時間(時間)を算出する。算出部231の具体的な動作については、後述する。
【0064】
●利用者端末の構成
利用者端末UTは、通信部UT1と、記憶部UT2と、制御部UT3と、を備える。
【0065】
通信部UT1は、ネットワーク回線Nを介して、セキュリティボックス1とサーバ2それぞれに接続されて、セキュリティボックス1とサーバ2それぞれとの間で情報を送受信する。通信部UT1は、例えば、通信モジュールや通信回路などの通信インターフェイスである。通信部UT1の具体的な動作については、後述する。
【0066】
記憶部UT2は、利用者端末UTが後述する情報処理を実行するために必要な情報を記憶する。記憶部UT2は、例えば、フラッシュメモリ、RAM、ROMなどの記憶媒体である。
【0067】
制御部UT3は、利用者端末UT全体の動作を制御する。制御部UT3は、例えば、CPU、MPU、DSPなどのプロセッサ、または、ASIC、FPGAなどの集積回路と、RAM、ROMなどの半導体メモリと、により構成される。
【0068】
●セキュリティボックスシステムの動作●
次に、本システムSが実行する開閉部15の開閉処理について、説明する。
【0069】
図4は、本システムSの開閉処理を示すフローチャートである。
「開閉処理」は、制御部14が開閉部15を開状態または閉状態に制御する処理である。開閉処理は、開閉部15を開状態から閉状態にする閉処理(ST1)と、開閉部15を閉状態から開状態にする開処理(ST2)と、を含む。
【0070】
以下に説明する実施の形態は、制御部14が開閉部15を開状態から閉状態に制御した後(すなわち、閉処理(ST1)をした後)、閉状態から開状態に制御する(すなわち、開処理(ST2)をする)場合を例に、本発明の内容を説明する。ここで、開閉処理の前段階として、利用者は、最寄りの店舗やビルに立ち寄り、利用可能なセキュリティボックス1を選択して、物品(機密情報)を収納部11に収納しているものとする(ただし、開閉部15は開状態である。)。
【0071】
先ず、本システムSは、閉処理(ST1)を実行する。次いで、本システムSは、開処理(ST2)を実行する。閉処理(ST1)と開処理(ST2)それぞれの具体的な処理内容は、後述する。
【0072】
●閉処理
次に、閉処理(ST1)の処理内容について説明する。
【0073】
図5は、本システムSが実行する閉処理(ST1)の動作を示すフローチャートである。
【0074】
閉処理(ST1)は、開閉部15が開状態のときに実行される。以下の説明において、本システムSは、利用者特定情報として利用者の指紋パターンを取得し、利用者の指紋パターンに基づいて、解錠情報を生成するものとする。すなわち、機密情報を収納部11に収納した利用者は、指紋センサ(利用者特定情報取得部16)に左右いずれかの手の指先を押し付けるものとする。
【0075】
なお、利用者が利用者特定情報取得部に押し付ける指は、両手の指のうち、いずれの指でもよい。また、利用者が利用者特定情報取得部に押し付ける指の数は、複数でもよい。
【0076】
先ず、利用者特定情報取得部16は、利用者が利用者特定情報取得部16に押し付けた指先の指紋パターン(利用者特定情報)を取得する(ST101)。取得された指紋パターンは、記憶部13(利用者特定情報記憶部131)に記憶される(ST102)。
【0077】
なお、利用者特定情報記憶部は、指紋パターンに代えて、指紋パターンに基づいて生成された符号を記憶してもよい。すなわち、例えば、利用者特定情報取得部は、指紋パターンに所定の情報処理を施して、指紋パターンに対応する符号を生成してもよい。
【0078】
次いで、制御部14は、錠記憶部132を参照して、前回セキュリティボックス1が利用されたときに記憶された解錠情報(以下「前回解錠情報」という。)が錠記憶部132から消去されているか否かを確認する(ST103)。
【0079】
前回解錠情報が消去されているとき、すなわち、錠記憶部132に前回解錠情報が記憶されていないとき(ST103の「Y」)、解錠情報生成部142は、利用者特定情報(指紋パターン)に基づいて、解錠情報を生成する(ST104)。生成された解錠情報は、錠記憶部132に記憶される(ST105)。
【0080】
次いで、制御部14(開閉制御部141)は、開閉部15を閉状態に制御する(ST106)。すなわち、開閉部15は、施錠される。このように、開閉部15は、解錠情報生成部142により生成された解錠情報が錠記憶部132に記憶された後、施錠される。つまり、開閉部15は、解錠情報が生成される前には施錠されない。
【0081】
開閉部15が閉状態に制御された時(とき)(ST106)、制御部14は、開閉部15が閉状態に制御されたことを示す情報(以下「閉情報」という。)を生成する。ここで、閉情報は、本発明における通知情報の例である。閉情報は、開閉部15が閉状態に制御された時刻に関する情報(閉時刻)を含む。通信部12は、閉情報をサーバ2に送信する(ST107)。サーバ2の通信部21が受信した閉情報は、記憶部22に記憶される(ST108)。
【0082】
一方、前回解錠情報が消去されていないとき、すなわち、錠記憶部132に前回解錠情報が記憶されているとき(ST103の「N」)、消去部143は、錠記憶部132に記憶されている前回解錠情報を消去する(ST109)。次いで、本システムSの閉処理(ST1)は、処理(ST104)に戻る。これにより、本システムSは、閉処理(ST1)を実行するごとに、前回解錠情報がリセットされ、前回解錠情報とは異なる、新しい解錠情報が生成される。そのため、本システムSは、解錠情報が使い回される恐れや、第三者に開閉部15が解錠される恐れを低減できる。このように、解錠情報生成部142は、錠記憶部132に解錠情報が記憶されておらず、かつ、開閉部15が開状態のときにのみ、利用者特定情報に基づいて、解錠情報を生成する。
【0083】
●開処理
次に、開処理(ST2)の処理内容について説明する。
【0084】
図6は、本システムSが実行する開処理(ST2)の動作を示すフローチャートである。
【0085】
開処理(ST2)は、開閉部15が閉状態のときに実行される。以下の説明において、本システムSを用いて収納部11に物品(機密情報)を収納した利用者が、同物品を取り出すものとする。すなわち、同利用者は、本システムSに利用者特定情報を取得させるときに利用者特定情報取得部16に押し付けた指の指先を、利用者特定情報取得部16に押し付ける。
【0086】
先ず、利用者特定情報取得部16は、利用者が利用者特定情報取得部16に押し付けた指先の指紋パターン(利用者特定情報)を取得する(ST201)。
【0087】
次いで、制御部14は、閉処理(ST1)において利用者特定情報記憶部131が記憶した指紋パターン(利用者特定情報)を読み出して、読み出した指紋パターンと、今回取得した指紋パターンと、が一致しているか否かを判定する(ST202)。
【0088】
両指紋パターン(利用者特定情報)が一致しているとき(ST202の「Y」)、位置特定部18は、複数の人工衛星からGPS受信機(位置情報受信部181)が受信したセキュリティボックス1の位置情報を取得(受信)する(ST203)。取得した位置情報は、位置情報判定部145に出力される。
【0089】
次いで、位置情報判定部145は、セキュリティボックス1が所定の範囲(エリア)内に位置しているか否かを判定する(ST204)。ここで、所定の範囲(エリア)を示す情報は、予め記憶部13に記憶されている。すなわち、位置情報判定部145は、位置情報受信部181が取得した位置情報と、記憶部13に記憶されている所定の範囲を示す情報と、に基づいて、セキュリティボックス1が所定の範囲内に位置しているか否かを判定する。
【0090】
セキュリティボックス1が所定の範囲(エリア)内に位置しているとき(ST204の「Y」)、検出部17(アルコールセンサ)は、利用者の呼気中アルコール濃度(身体情報)を取得する(ST205)。検出部17による呼気中アルコール濃度の取得は、例えば、利用者が呼気を検出部17に吹き込むことにより、実行される。このとき、例えば、セキュリティボックス1は、利用者に対して検出部17に呼気を吹き込むように音声などで案内してもよい。取得した利用者の呼気中アルコール濃度は、身体情報判定部144に出力される。
【0091】
次いで、身体情報判定部144は、利用者の呼気中アルコール濃度が所定の条件を満たしているか否かを判定する(ST206)。
【0092】
「所定の条件」とは、取得された身体情報が満たすべき条件である。本実施の形態では、例えば、所定の条件は、「呼気1L中のアルコール量<0.15mg」である。すなわち、身体情報判定部144は、呼気中アルコール濃度が「呼気1L中のアルコール量<0.15mg」を満たすか否かを判定する。ここで、所定の条件を示す情報は、予め記憶部13に記憶されている。すなわち、身体情報判定部144は、検出部17が取得した身体情報と、記憶部13に記憶されている所定の条件を示す情報と、に基づいて、セキュリティボックス1が所定の条件を満たしているか否かを判定する。
【0093】
利用者の呼気中アルコール濃度(身体情報)が所定の条件を満たしているとき(ST206の「Y」)、制御部14(開閉制御部141)は、開閉部15を開状態に制御する(ST207)。すなわち、開閉部15は、解錠される。このように、開閉制御部141は、検出部17に検出された呼気中アルコール濃度が所定の条件を満たすときにのみ、開閉部15を閉状態から開状態に制御する。
【0094】
開閉部15が開状態に制御された時(とき)(ST207)、制御部14は、開閉部15が開状態に制御されたことを示す情報(以下「開情報」という。)を生成する。ここで、開情報は、本発明における通知情報の例である。開情報は、開閉部15が開状態に制御された時刻に関する情報(開時刻)を含む。通信部12は、開情報をサーバ2に送信する(ST208)。サーバ2の通信部21が受信した開情報は、記憶部22に記憶される(ST209)。
【0095】
次いで、算出部231は、記憶部22から閉情報に含まれる閉時刻と、開情報に含まれる開時刻と、を読み出して、開閉部15が閉状態に制御された時から開閉部15が開状態に制御された時までの経過時間を算出する(ST210)。算出された経過時間は、記憶部22に記憶される(ST211)。
【0096】
次いで、消去部143は、錠記憶部132に記憶されている解錠情報を消去する(ST212)。すなわち、消去部143は、開閉制御部141が開閉部15を閉状態から開状態に制御した後、錠記憶部132に記憶されている解錠情報を消去する。
【0097】
一方、両指紋パターン(利用者特定情報)が一致していないとき(ST202の「N」)、本システムSは、開処理(ST2)の実行を終了する。このように、本システムSでは、両指紋パターンが一致しない場合、開閉制御部141は、開閉部15を開錠しない。すなわち、本システムSでは、開処理(ST2)を実行するときの利用者が閉処理(ST1)を実行するときの利用者と異なる場合や、開処理(ST2)を実行するときの利用者特定情報取得部16に押し付けた指の指先が閉処理(ST1)を実行するときの利用者特定情報取得部16に押し付けた指の指先と異なる場合、開処理(ST2)は実行されない。
【0098】
これにより、本システムSは、セキュリティボックス1のセキュリティ性を高めることができる。
【0099】
また、セキュリティボックス1が所定の範囲(エリア)内に位置していないとき(ST204の「N」)、本システムSは、開処理(ST2)の実行を終了する。すなわち、本システムSでは、セキュリティボックス1が所定の範囲(エリア)内に位置していない場合、開閉制御部141は、開閉部15を開錠しない。このように、開閉制御部141は、位置特定部18により特定された位置(位置情報受信部181が受信した位置情報に基づいて特定された位置)に基づいて、開閉部15を制御する。換言すれば、本システムSでは、開処理(ST2)を実行する場所が所定の範囲(エリア)内に位置している場合には開処理(ST2)は実行され、開処理(ST2)を実行する場所が所定の範囲(エリア)内に位置していない場合には開処理(ST2)は実行されない。
【0100】
これにより、本システムSは、たとえ開処理(ST2)を実行するときの利用者が利用者本人であっても、セキュリティボックス1が所定の範囲(エリア)内に位置していなければ開処理(ST2)を実行しない。そのため、本システムSは、例えば、セキュリティボックス1が所定の範囲(エリア)から不正に持ち出された上で物品が取り出されることを防止することができ、機密情報のセキュリティ性を高めることができる。
【0101】
さらに、利用者の身体情報が所定の条件を満たしていないとき(ST206の「N」)、本システムSは、開処理(ST2)の実行を終了する。このように、本システムSでは、利用者の血中アルコール濃度が高い場合(利用者の身体情報が所定の条件を満たしていない場合)、開閉制御部141は、開閉部15を解錠しない。すなわち、本システムSでは、利用者が酒(アルコール)に酔っている場合には開処理(ST2)は実行されない。
【0102】
これにより、本システムSは、たとえ開処理(ST2)を実行するときの利用者が利用者本人であっても、利用者の血中アルコール濃度(身体情報)が所定の条件を満たさなければ開処理(ST2)を実行しない。そのため、本システムSは、利用者が収納部から取り出した物品を紛失することを防止することができ、機密情報のセキュリティ性を高めることができる。
【0103】
なお、開閉処理において、算出部は、例えば、サーバの通信部が閉情報を受信した時から、開情報を受信した時までの時間をカウントすることにより、開閉部が閉状態に制御された時から開閉部が開状態に制御された時までの時間を算出してもよい。この場合、閉情報は閉時刻を含まなくてもよく、開情報は開時刻を含まなくてもよい。
【0104】
●まとめ●
以上説明した実施の形態によれば、本システムSは、収納部11と、開閉部15と、開閉制御部141と、錠記憶部132と、消去部143と、利用者特定情報取得部16と、解錠情報生成部142と、を有してなる。また、錠記憶部132に記憶されている解錠情報は、開閉制御部141が開閉部15を閉状態から開状態に制御した後に、消去部143により消去される。さらにまた、解錠情報は、利用者特定情報(利用者の生体情報)に基づいて、解錠情報生成部により生成される。そのため、本システムSは、利用者によって解錠情報が異なり、かつ、解錠情報も都度リセットされるので、セキュリティ性を高めることができる。
【0105】
また、本システムSはセキュリティボックス1とサーバ2とを備えていればよく、従来のような銀行の貸金庫、コインロッカーや預かりボックスなどの技術(以下「従来技術」という。)に比べて、機密情報を預ける際の場所や時間の制約が低減し、利便性が高まる。
【0106】
また、以上説明した実施の形態によれば、開閉制御部141は、位置特定部18により特定された位置(位置情報受信部181が受信した位置情報に基づいて特定された位置)に基づいて、開閉部15を制御する。換言すれば、本システムSでは、開処理(ST2)を実行する場所が所定の範囲(エリア)内に位置している場合には開処理(ST2)は実行され、開処理(ST2)を実行する場所が所定の範囲(エリア)内でない場合には開処理(ST2)は実行されない。これにより、本システムSは、たとえ開処理(ST2)を実行するときの利用者が利用者本人であっても、セキュリティボックス1が所定の範囲(エリア)内に位置していなければ開処理(ST2)を実行しない。そのため、本システムSは、セキュリティ性を高めることができる。
【0107】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、開閉制御部141は、利用者の血中アルコール濃度が高い場合(利用者の身体情報が所定の条件を満たしていない場合)、開閉部15を解錠しない。すなわち、本システムSでは、利用者が酒(アルコール)に酔っている場合には開処理(ST2)は実行されない。これにより、本システムSは、たとえ開処理(ST2)を実行するときの利用者が利用者本人であっても、利用者の血中アルコール濃度(身体情報)が所定の条件を満たさなければ開処理(ST2)を実行しない。そのため、本システムSは、セキュリティ性を高めることができる。
【0108】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、サーバ2の記憶部22は収納部識別情報と閉時刻から開時刻までの経過時間とを関連付けて記憶する時間記憶部として機能すると共に、サーバ2の記憶部22は場所IDも関連付けて記憶する。そのため、利用者は、利用者端末UTを用いて、サーバ2の記憶部22(ボックス情報DB)にアクセスすることで、本システムSの利用前においては収納部識別情報の開閉部15の開閉状態を確認でき、本システムSの利用中においては時間(閉時刻から開時刻までの経過時間)を確認できる。また、本システムSは、閉状態において、閉時刻から現在時刻までの経過時間を算出して、利用者に閲覧させるようにしてもよい。
【0109】
なお、以上説明した実施の形態では、セキュリティボックス1の存在する位置は、位置特定部18により特定された位置に基づいて特定していた。これに代えて、または、これと共に、本システムは、セキュリティボックスと接続可能な接続部を備えてもよい。例えば、接続部は、セキュリティボックスを載置可能なテーブルである。すなわち、例えば、本システムは、接続部(テーブル)の上にセキュリティボックスを載置する。セキュリティボックスと接続部とは、有線ケーブルまたは無線通信を介して接続可能である。これにより、制御部は、接続部の接続状態に基づいて、セキュリティボックスと接続部とが通信可能な状態であるか否かを判定し、開閉部を制御してもよい。
【0110】
さらに、以上説明した実施の形態では、セキュリティボックス1の存在する位置は、位置特定部18により特定された位置に基づいて特定していた。これに代えて、または、これと共に、本システムは、セキュリティボックスを撮像して撮像画像を生成する撮像部を備えてもよい。例えば、撮像部は、店舗やビルに設置されたカメラである。すなわち、例えば、撮像部は、セキュリティボックスが保管されている所定の空間を撮像する。これにより、制御部は、撮像部が撮像して生成した撮像画像に基づいて、同撮像画像内にセキュリティボックスがあるか否か、つまり、所定の範囲(エリア)内にセキュリティボックスがあるか否かを判定し、開閉部を制御してもよい。
【0111】
さらにまた、以上説明した実施の形態では、利用者がセキュリティボックス1に利用者特定情報を入力することで、本システムSは開閉部15の開閉制御を実行する。これに代えて、本システムは、例えば、セキュリティボックス(通信部(12))が利用者端末から解錠情報または開指示情報を受信したとき、かつ、開閉部が閉状態のときにのみ、開閉部を閉状態から開状態に制御してもよい。この場合、セキュリティボックスは、利用者端末と通信回線を介して接続する。また、本システムは、解錠情報または開指示情報を、あらかじめ利用者端末に送信しておく(本システムはあらかじめ利用者端末に設定されている電子メールアドレスなどを記憶していて、利用者端末に情報を送信可能である)。ここで、開指示情報は、解錠情報に応じた情報であって、本システムがセキュリティボックスを閉状態から開状態にする際に利用する情報である。すなわち、例えば、本システムは、解錠情報を生成した際に、解錠情報に基づいて開指示情報を生成し、解錠情報と開指示情報とを関連付けて記憶しておき、利用者端末から開指示情報を受信したとき、この開指示情報と関連付けて記憶されている解錠情報を用いて、セキュリティボックスを閉状態から開状態に制御する。
【0112】
さらにまた、以上説明した実施の形態では、本システムSを構成するセキュリティボックス1が、収納部11と、通信部12と、記憶部13と、制御部14と、開閉部15と、利用者特定情報取得部16と、検出部17と、位置特定部18と、を備える。これに代えて、本発明にかかるセキュリティボックスが少なくとも収納部と開口部とを備え、本発明にかかるサーバが、少なくとも記憶部と制御部と開閉部と利用者特定情報取得部と検出部と位置特定部とのいずれか1つを備えてもよい。
【0113】
さらにまた、セキュリティボックスは、アラートを音声により出力する音声出力部を備えてもよい。すなわち、例えば、音声出力部は、セキュリティボックスが所定の範囲から離れたとき(例えば、セキュリティボックスが所定の範囲から持ち出されたとき)にアラートを音声により出力する。これにより、セキュリティボックスが第三者により所定の範囲(保管場所)から持ち出されたとき、アラートが音声により出力されるので、セキュリティボックスの盗難の抑止につながる。さらにまた、アラートが出力された情報が利用者端末の通信部に送信されて利用者が利用者端末を通じてその情報を知ることができるように本システムを構成してもよい。
【0114】
さらにまた、本システムは、セキュリティボックス(ボックスID)と利用者とを紐付ける(関連付ける)ために、顔認証機能を備えてもよい。このとき、各セキュリティボックスは、顔認証機能により紐づけられたセキュリティボックスが特定されやすくするためにLED(Light Emitting Diode)などの発光部を備えてもよい。
【0115】
さらにまた、以上説明した実施の形態では、本システムSを構成するサーバ2が、通信部21と、記憶部22と、制御部23と、を備える。これに代えて、本発明にかかるセキュリティボックス(または接続部)が記憶部(22)と制御部(23)とを備えてもよい。この場合、サーバは、セキュリティボックスと利用者端末それぞれとの間で情報の送受信が不要となる。すなわち、サーバは不要となる。つまり、本システムは、複数のセキュリティボックスのみで構成されてもよい。
【0116】
以下、これまで説明した本発明にかかるセキュリティボックスの特徴をまとめて記載しておく。
【0117】
(特徴1)
物品を収納する収納部(例えば、収納部11)と、
前記収納部を開閉する開閉部(例えば、開閉部15)と、
前記収納部に収納された前記物品を前記収納部から取り出せない閉状態と、前記収納部に収納された前記物品を前記収納部から取り出せる開状態と、のいずれか一方の状態に前記開閉部を制御する開閉制御部(例えば、開閉制御部141)と、
前記開閉制御部が前記開閉部を前記閉状態から前記開状態に制御するために用いる解錠情報を記憶する錠記憶部(例えば、錠記憶部132)と、
前記開閉制御部が前記開閉部を前記閉状態から前記開状態に制御した後に、前記錠記憶部に記憶されている前記解錠情報を消去する消去部(例えば、消去部143)と、
前記収納部に収納された前記物品を前記収納部から取り出す利用者を特定する利用者特定情報を取得する利用者特定情報取得部(例えば、利用者特定情報取得部16)と、
前記利用者特定情報に基づいて、前記解錠情報を生成する解錠情報生成部(例えば、解錠情報生成部142)と、
を有してなる、
ことを特徴とするセキュリティボックスシステム(例えば、セキュリティボックスシステムS)。
(特徴2)
前記解錠情報生成部は、前記錠記憶部に前記解錠情報が記憶されておらず、かつ、前記開閉部が前記開状態のときにのみ、前記利用者特定情報に基づいて、前記解錠情報を生成する、
特徴1記載のセキュリティボックスシステム。
(特徴3)
前記利用者特定情報は、前記利用者の生体情報である、
特徴1記載のセキュリティボックスシステム。
(特徴4)
前記利用者の身体情報を検出する検出部(例えば、検出部17)、
を有してなり、
前記開閉制御部は、前記検出部により検出された前記身体情報が、所定の条件を満たすときにのみ、前記開閉部を前記閉状態から前記開状態に制御する、
特徴1記載のセキュリティボックスシステム。
(特徴5)
前記利用者の利用者端末(例えば、利用者端末UT)と通信回線(例えば、ネットワーク回線N)を介して接続し、
前記解錠情報または前記解錠情報に応じた開指示情報を前記利用者端末に送信し、
前記利用者端末から前記解錠情報または前記開指示情報を受信する通信部(例えば、通信部12)、
を有してなり、
前記開閉制御部は、前記通信部が前記解錠情報または前記開指示情報を受信したとき、かつ、前記開閉部が前記閉状態のときにのみ、前記開閉部を前記閉状態から前記開状態に制御する、
特徴1記載のセキュリティボックスシステム。
(特徴6)
前記開閉部が前記閉状態に制御された時から、前記開閉部が前記開状態に制御された時まで、の時間を算出する算出部(例えば、算出部231)、
を備える、
特徴1記載のセキュリティボックスシステム。
(特徴7)
前記算出部を備える管理端末(例えば、サーバ2)と通信回線(例えば、ネットワーク回線N)を介して接続し、
前記開閉部が前記閉状態に制御されたときと、前記開閉部が前記開状態に制御されたときと、に通知情報を前記管理端末に送信する通信部(例えば、通信部12)、
を有してなる、
特徴6記載のセキュリティボックスシステム。
(特徴8)
複数の前記収納部、
を有してなり、
前記通知情報は、複数の前記収納部ごとに付与されている収納部識別情報(例えば、ボックスID)を含み、
前記管理端末は、
前記収納部識別情報と前記時間とを関連付けて記憶する時間記憶部(例えば、記憶部22)、
を備える、
特徴7記載のセキュリティボックスシステム。
(特徴9)
前記収納部と前記開閉部とを備えるセキュリティボックス(例えば、セキュリティボックス1)、
を有してなり、
前記セキュリティボックスは、移動可能で、
前記セキュリティボックスの存在する位置を特定する位置特定部(例えば、位置特定部18)、
を有してなり、
前記開閉制御部は、前記位置特定部により特定された位置に基づいて、前記開閉部を制御する、
特徴1記載のセキュリティボックスシステム。
(特徴10)
前記位置特定部は、
前記セキュリティボックスの存在する位置を特定する位置情報を受信する位置情報受信部(例えば、位置情報受信部181)、を備え、
前記位置情報受信部が受信した位置情報に基づいて、前記位置を特定する、
特徴9記載のセキュリティボックスシステム。
(特徴11)
前記セキュリティボックスを撮像して撮像画像を生成する撮像部、
を有してなり、
前記開閉制御部は、前記撮像部が撮像して生成した撮像画像に基づいて、前記開閉部を制御する、
特徴9記載のセキュリティボックスシステム。
(特徴12)
前記セキュリティボックスと接続可能な接続部、
を有してなり、
前記開閉制御部は、前記接続部の接続状態に基づいて、前記開閉部を制御する
特徴9記載のセキュリティボックスシステム。
(特徴13)
セキュリティボックスと、
前記セキュリティボックスと通信回線を介して接続する管理端末と、
を有してなり、
前記セキュリティボックスは、
前記収納部と、
前記開閉部と、
を備え、
前記管理端末は、
少なくとも、前記開閉制御部と、前記錠記憶部と、前記消去部と、
のいずれか1つを備える、
特徴1記載のセキュリティボックスシステム。
【符号の説明】
【0118】
1 セキュリティボックス
11 収納部
12 通信部
13 記憶部
131 利用者特定情報記憶部
132 錠記憶部
14 制御部
141 開閉制御部
142 解錠情報生成部
143 消去部
144 身体情報判定部
145 位置情報判定部
15 開閉部
16 利用者特定情報取得部
17 検出部
18 位置特定部
181 位置情報受信部
2 サーバ(管理端末)
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
231 算出部
S セキュリティボックスシステム
N ネットワーク回線
UT 利用者端末
UT1 通信部
UT2 記憶部
UT3 制御部


図1
図2
図3
図4
図5
図6