(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】信号機認識方法及び信号機認識装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
G08G1/09 D
(21)【出願番号】P 2019213698
(22)【出願日】2019-11-26
【審査請求日】2022-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョ ヒョンソン
(72)【発明者】
【氏名】松尾 治夫
【審査官】秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-510373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号機の点灯状態を検出する信号機認識方法であって、
車両に搭載された第1撮像部を用いて前記車両の前方を撮像し、
前記車両に搭載され、前記第1撮像部よりも画角が狭い第2撮像部を用いて前記車両の前方を撮像し、
前記第1撮像部により撮像された第1画像中の信号機を特定し、
前記第2撮像部により撮像された第2画像中の信号機を特定し、
前記第1画像中の信号機と、前記第2画像中の信号機とが同一の信号機であるかを判定し、
同一と判定された信号機が複数ある場合、前記複数の信号機のうちの1の信号機が前記第2画像から消失した際に、前記第2画像から消失した信号機
のみの点灯状態を検出する、
ことを特徴とする信号機認識方法。
【請求項2】
前記第1撮像部と前記第2撮像部とは、前記車両内の異なる位置に搭載され、
同一と判定された信号機が複数ある場合、前記第1撮像部と前記第2撮像部との視差に基づき各信号機の前記車両からの距離を算出し、
同一と判定された前記複数の信号機のうちの1の信号機が前記第2画像から消失していない間は、算出された距離が最も短い信号機の点灯状態を検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の信号機認識方法。
【請求項3】
同一と判定された信号機が複数ある場合、同一と判定された前記複数の信号機のうちの1の信号機が前記第2画像から消失していない間は、前記第1画像中の最も高い位置にある信号機の点灯状態を検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の信号機認識方法。
【請求項4】
前記第1画像中に特定される信号機がない場合、前記第1画像中に信号機が現れるまでの間は、前記第2画像中の最も高い位置にある信号機の点灯状態を検出する、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の信号機認識方法。
【請求項5】
車両に搭載され、前記車両の前方を撮像する第1撮像部と、
前記車両に搭載され、前記第1撮像部よりも画角が狭く且つ前記車両の前方であって前記第1撮像部の撮像可能距離よりも遠方を撮像可能な第2撮像部と、
前記第1撮像部により撮像された第1画像中の信号機を特定する第1信号機特定部と、
前記第2撮像部により撮像された第2画像中の信号機を特定する第2信号機特定部と、
前記第1信号機特定部により特定された信号機と、前記第2信号機特定部により特定された信号機とが同一の信号機であるかを判定する同一信号機判定部と、
前記車両の直近の信号機の点灯状態を検出する現示検出部と、
を備える信号機認識装置であって、
前記現示検出部は、前記同一信号機判定部により同一と判定された信号機が複数ある場合、前記複数の信号機のうちの1の信号機が前記第2画像から消失した際に、前記第2画像から消失した信号機
を前記直近の信号機として、その点灯状態を検出する、
信号機認識装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号機認識方法及び信号機認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の進行方向を撮像した画像から信号機を認識する信号機認識装置が知られている。特許文献1には、地図情報と車両位置検出装置により検出された自車両の位置・姿勢とに基づき、カメラで撮像した画像中に信号機の検出領域を設定する信号機認識装置が開示されている。この信号機認識装置では、検出領域内に存在する信号機を画像処理して該信号機の点灯状態を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された信号機認識装置では、市街地のように信号機間距離が短いところでは、直近の信号機よりも遠方の信号機が同時に検出領域に入ってしまう場合がある。そのため、遠方の信号機の情報を、直近の信号機の情報と誤認識してしまう可能性がある。このような誤認識が発生すると、車両の誤発進、誤停止の原因となる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みたものであり、信号機の誤認識の発生を防止し、車両の誤発進、誤停止を防止する信号機認識方法及び信号機認識装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、信号機の点灯状態を検出する信号機認識方法が提供される。この信号機認識方法では、車両に搭載された第1撮像部を用いて車両の前方を撮像し、車両に搭載され、第1撮像部よりも画角が狭い第2撮像部を用いて車両の前方を撮像する。そして第1撮像部により撮像された第1画像中の信号機を特定し、第2撮像部により撮像された第2画像中の信号機を特定し、第1画像中の信号機と、第2画像中の信号機とが同一の信号機であるかを判定する。同一と判定された信号機が複数ある場合、複数の信号機のうちの1の信号機が第2画像から消失した際に、第2画像から消失した信号機の点灯状態を検出する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の信号機認識方法によれば、第1撮像部を用いて撮像された第1画像中の信号機と、第1撮像部よりも画角が狭い第2撮像部を用いて撮像された第2画像中の信号機とが同一の信号機であるかを判定する。そして、同一と判定された信号機が複数ある場合、複数の信号機のうちの1の信号機が第2画像から消失した際に、第2画像から消失した信号機の点灯状態を検出する。車両が直近の信号機に近づくと、第1撮像部よりも画角が狭い第2撮像部を用いて撮像された第2画像中からは直近の信号機が消失する。一方、直近の信号機よりも遠方にある信号機は、直近の信号機よりも先には第2画像中から消失しない。従って、第2画像から消失した信号機の点灯状態を検出することにより、複数の信号機の中から直近の信号機の点灯状態を検出することができる。これにより、信号機の誤認識の発生を防止することができ、車両の誤発進、誤停止を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態による信号機認識装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、撮像部の撮像範囲及び信号機間距離が短い場合における直近の信号機の検出方法を説明する図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態による信号機認識装置の信号機認識方法を説明するフローチャートである。
【
図4】
図4は、第2実施形態による信号機認識装置の信号機認識方法を説明するフローチャートである。
【
図5】
図5は、第3実施形態による信号機認識装置の信号機認識方法を説明するフローチャートである。
【
図6】
図6は、第4実施形態による信号機認識装置の信号機認識方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面等を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による信号機認識装置100の構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、第1実施形態に係る信号機認識装置100は、第1撮像部10、第1信号機特定部11、第2撮像部20、第2信号機特定部21、地図情報取得部30、自己位置取得部40、同一信号機判定部50、現示検出部60、コントローラ70を備える。信号機認識装置100は、例えば自動運転機能を有する車両(図示しない)に搭載され、車両前方の信号機の点灯色等の点灯状態(現示)を検出する。信号機認識装置100により検出された現示は、自動運転制御等に用いられる。
【0012】
第1撮像部10は、例えば、CCD、CMOS等の固体撮像素子を備えたデジタルカメラであり、自車両(車両)に搭載される。第1撮像部10は、自車両の走行路の前方を撮像して、前方周辺領域のデジタル画像(第1画像)を取得する。第1撮像部10により取得されたデジタル画像(第1画像)は、第1信号機特定部11に出力される。第1撮像部10の設置位置に関する情報(とくに後述する第2撮像部20の設置位置との車両の前後、車幅、高さ方向における距離)は、第1信号機特定部11、同一信号機判定部50、現示検出部60及びコントローラ70に記憶されている。第1撮像部10の設置位置に関する情報は、後述する同一信号機判定部50による同一信号の判定等に用いられる。
【0013】
第1撮像部10は、画角A1を有し、後述する第2撮像部20に比して、自車両からの前方距離が相対的に近い範囲であって、広角な範囲のデジタル画像(第1画像)を取得する。なお、第1撮像部10の撮像範囲についての詳細は後述する。
【0014】
第2撮像部20は、例えば、CCD、CMOS等の固体撮像素子を備えたデジタルカメラであり、第1撮像部10と同様に車両(自車両)に搭載される。第2撮像部20は、自車両の走行路の前方を撮像して、前方周辺領域のデジタル画像(第2画像)を取得する。第2撮像部20により取得されたデジタル画像(第2画像)は、第2信号機特定部21に出力される。第2撮像部20の設置位置に関する情報(とくに第1撮像部10の設置位置との車両の前後、車幅、高さ方向における距離)は、第2信号機特定部21、同一信号機判定部50、現示検出部60及びコントローラ70に記憶されている。第2撮像部20の設置位置に関する情報は、後述する同一信号機判定部50による同一信号の判定等に用いられる。
【0015】
第2撮像部20は、第1撮像部10の画角A1よりも狭い画角A2を有し、第1撮像部10撮像可能距離よりも遠方を撮像可能である。なお、第2撮像部20の撮像範囲についての詳細は後述する。
【0016】
地図情報取得部30は、地図データベース(図示しない)より、自車両が走行する走行路周辺の地図情報を取得する。この地図情報には、走行路付近に存在する信号機の位置情報等が含まれる。地図情報取得部30は、取得した地図情報をそれぞれ自己位置取得部40、第1信号機特定部11、第2信号機特定部21に出力する。
【0017】
自己位置取得部40は、センサ41及び位置検出部42を含む。センサ41は、自車両の周辺情報を検出する検出機器であり、例えば車載されたカメラやレーダー等である。センサ41により検出される周辺情報には、例えば自車両周辺の路面の白線や停止線、文字、道路周辺の標識等が含まれる。位置検出部42は、センサ41で取得された自車両の周辺情報と、地図情報取得部30から入力された地図情報とに基づき、自車両の地図上の現在位置及び自車両の姿勢(ヨー、ピッチ、ロール)を自車両の位置情報として検出する。即ち、位置検出部42は、センサ41による周辺情報と、地図情報取得部30から入力された地図情報とを照合することで、自車両の位置情報を検出する。自車両の位置情報は、第1信号機特定部11及び第2信号機特定部21に出力される。
【0018】
第1信号機特定部11及び第2信号機特定部21は、それぞれ第1撮像部10及び第2撮像部20から入力された第1画像及び第2画像に信号機検出領域(ROI)を設定し、信号機検出領域の範囲内にある信号機を特定する。信号機検出領域は、地図情報取得部30から入力された信号機の位置情報を含む地図情報と、自己位置取得部40から入力された自車両の位置情報(自車両の地図上の現在位置及び姿勢)とに基づき設定される。即ち、第1信号機特定部11及び第2信号機特定部21は、地図情報と、自車両の位置情報とから、それぞれ第1画像及び第2画像の中で信号機が存在し得る領域を算出し、算出された領域を信号機検出領域として設定する。また、第1信号機特定部11及び第2信号機特定部21は、設定した信号機検出領域の中から信号機を特定する。信号機特定方法としては、例えば、信号機の信号灯が商用電源の交流周波数に同期して点滅することを検出する方法や、機械学習によって色情報や丸形形状等の形の特徴から画像での物体認識をすることで信号機を特定する方法を用いることができる。
【0019】
第1信号機特定部11は、第1撮像部10から取得した第1画像、第1画像から特定した信号機の画像上の座標を同一信号機判定部50に出力する。同様に、第2信号機特定部21は、第2撮像部20から取得した第2画像、第2画像から特定した信号機の画像上の座標を同一信号機判定部50に出力する。
【0020】
同一信号機判定部50は、第1画像及び第2画像中に特定された信号機のうち、同一の信号機を特定する。上記の通り、同一信号機判定部50には、第1信号機特定部11により特定された第1画像中の信号機の座標及び第2信号機特定部21により特定された第2画像中の信号機の座標が入力される。同一信号機判定部50は、第1画像及び第2画像中の信号機の座標と、予め記憶した第1撮像部10及び第2撮像部20の設置位置に関する情報とから、第1画像及び第2画像中に特定された信号機のうち、同一の信号機を特定する。同一信号機判定部50により特定された同一の信号機の情報(同一信号機情報)は、現示検出部60に出力される。なお、同一信号機の特定方法の詳細は後述する。
【0021】
現示検出部60は、自車両前方直近の信号機(以下、直近の信号機と略称する)を検出し、直近の信号機の点灯色等の点灯状態(現示)を検出する。なお、直近の信号機の特定方法の詳細は後述する。
【0022】
コントローラ70は、マイクロコンピュータ、マイクロプロセッサ、CPUを含む汎用の電子回路と周辺機器から構成され、特定のプログラムを実行することにより信号機認識装置100を制御するための処理を実行する。コントローラ70は、例えば信号機特定部11,21、自己位置取得部40、同一信号機判定部50、現示検出部60における処理を実現するとともに、後述する信号機認識制御等、信号機認識装置100全体の制御を行う。なお、コントローラ70は、車両に関する他の制御(例えば、自動運転制御等)に用いるECUと兼用してもよい。
【0023】
図2は、撮像部10,20の撮像範囲及び直近の信号機の検出方法を説明する図である。
【0024】
図2は、直近の信号機及び直近の信号機の次に自車両から近い距離にある信号機(次交差点信号機)の信号機間距離lが短い場合における自車両と第1信号機までの距離と、自車両と信号機との傾斜角(信号機へのピッチ角)の関係を示している。
図2の縦軸は信号機へのピッチ角、横軸は自車両から前方直近の信号機までの距離を表している。なお、直近の信号機と次交差点信号機とは、信号機間距離がlだけ離れているため、
図2において自車両と直近の信号機との距離がLである場合、自車両と次交差点信号機との距離はL+lとなる。
【0025】
前述のとおり、第1撮像部10は、第2撮像部20に比して広角な画角A1を有し、第2撮像部20に比して、自車両からの前方距離が相対的に近い範囲(L1~L3)を撮像した第1画像を取得する。第1画像は、第1信号機特定部11により、自車両からの前方距離(所定距離)L1からL3の範囲における、自車両と信号機との傾斜角(信号機へのピッチ角)d1までの信号機を特定できる画像である。即ち、第1信号機特定部11は、
図2の点A,B,C,Dで囲まれた四角形R1に示す範囲の信号機を特定することができる。なお、画角A1は、好ましくは、一般的な高さHを有する直近の信号機に対し、自車両が停止線を過ぎて交差点に進入しても、直近の信号機が所定距離L1~L3、信号機へのピッチ角d1の範囲(R1)内に入るような画角である。また、所定距離L3は、第1撮像部10が、第1信号機特定部11によって直近の信号機を特定できる解像度あるいは画像上の信号機の大きさ等を有する画像を得られる位置のうち、直近の信号機から最も遠い距離に相当する。
【0026】
また、次交差点信号機は、直近の信号機よりも自車両から距離lだけ離れている。従って、第1撮像部10は、自車両から直近の信号機までの距離がL1よりも距離lだけ近いL1’から、自車両から直近の信号機までの距離がL3よりも距離lだけ近いL3’までの範囲において次交差点信号機を撮像することが可能である。即ち、第1信号機特定部11は、
図2の点A’,B’,C’,D’で囲まれた四角形R1’に示す範囲の次交差点信号機を特定することができる。
【0027】
第2撮像部20は、第1撮像部10の画角A1よりも狭い画角A2を有し、第1撮像部10撮像可能距離よりも遠方までの範囲(L1~L4)を撮像した第2画像を取得する。第2画像は、第2信号機特定部21により、自車両からの前方距離(所定距離)L1からL4の範囲における、自車両と信号機との傾斜角(信号機へのピッチ角)d2までの信号機を特定できる画像である。即ち、第2信号機特定部21は、
図2の点A,F,G,Eで囲まれた四角形R2に示す範囲の信号機を特定することができる。
図2に示す通り、第2信号機特定部21は、第1信号機特定部11に比べて遠方の信号機まで特定可能であるが、信号機を特定可能なピッチ角の範囲は第1信号機特定部11に比べて狭い。なお、所定距離L4は、第2撮像部20が、第2信号機特定部21によって直近の信号機を特定できる解像度あるいは画像上の信号機の大きさ等を有する画像を得られる位置のうち、直近の信号機から最も遠い距離に相当する。
【0028】
また、次交差点信号機は、直近の信号機よりも自車両から距離lだけ離れている。従って、第2撮像部20は、自車両から直近の信号機までの距離がL1よりも距離lだけ近いL1’から、自車両から直近の信号機までの距離がL4よりも距離lだけ近いL4’までの範囲において次交差点信号機を撮像することが可能である。即ち、第2信号機特定部21は、
図2の点A’,F’,G’,E’で囲まれた四角形R2’に示す範囲の次交差点信号機を特定することができる。
【0029】
自車両から直近の信号機までの距離が、
図2のL2以上L3’以下の範囲に自車両がある場合、直近の信号機と次交差点信号機とは、第1撮像部10及び第2撮像部20の両方によって撮像される。即ち、第1画像中及び第2画像中のいずれにおいても直近の信号機と、次交差点信号機とが存在する。このとき、直近の信号機と、次交差点信号機との信号機間距離lが短いと、直近の信号機及び次交差点信号機のどちらも信号機検出領域に入ってしまい、第1信号機特定部11及び第2信号機特定部21によって2つの信号機(直近の信号機及び次交差点信号機)が特定される。
【0030】
次に、直近の信号機までの距離がL2になる位置まで自車両が直近の信号機に近づくと、直近の信号機へのピッチ角はd2よりも大きくなり、直近の信号機は第2撮像部20によって撮像されない。一方、L2において、次交差点信号機へのピッチ角はd2よりも小さいため、次交差点信号機は第2撮像部20により撮像される。また、L2において、直近の信号機及び次交差点信号機へのピッチ角はいずれもd1よりも小さいため、直近の信号機及び次交差点信号機は、いずれも第1撮像部10によって撮像される。即ち、自車両が直近の信号機からの距離L2まで直近の信号機に近づくと、第1画像中には2つの信号機(直近の信号機及び次交差点信号機)が存在するが、第2画像中からは直近の信号機が消失し、第2画像中には次交差点信号機のみが存在する。従って、自車両が、直近の信号機までの距離L2に位置する場合、直近の信号機と次交差点信号機との信号機間距離lが短いと、第1信号機特定部11によって、2つの信号機(直近の信号機及び次交差点信号機)が特定され、第2信号機特定部21によって、次交差点信号機のみが特定される。
【0031】
図3は、第1実施形態における信号機認識装置100による信号機認識方法(制御)を説明するフローチャートである。信号機認識装置において、撮像された自車両前方の画像内の複数の信号機が存在し、それが市街地のように信号機間距離が短いと、直近の信号機よりも遠方の信号機が同時に信号機検出領域(ROI)に入ってしまう場合がある。このような場合、遠方の信号機の情報を、直近の信号機の情報と誤認識してしまう可能性があり、車両の誤発進、誤停止の原因となる。これに対し、本実施形態では、以下で説明する信号機認識方法(制御)によって、直近の信号機とその以外の信号機との信号機間距離が短く、複数の信号機が信号機検出領域に入ってしまうような場合でも、自車両の前方直近の信号機の現示を検出することができる。従って、信号機の誤認識を防止することができる。なお、以下の制御は一定時間ごとに、いずれもコントローラ70(信号機特定部11,21、自己位置取得部40、同一信号機判定部50、現示検出部60を含む)により実行される。
【0032】
ステップS101において、第1信号機特定部11及び第2信号機特定部21は、第1撮像部10で取得した第1画像及び第2撮像部20で取得した第2画像の中にそれぞれ信号機検出領域(ROI)を設定し、設定した信号機検出領域の中から、信号機を特定する。前述のとおり、信号機検出領域は、地図情報と、自車両の位置情報とから、それぞれ第1画像及び第2画像の中で信号機が存在し得る領域を算出することにより設定される。
【0033】
ステップS102において、コントローラ70は、第2信号機特定部21により特定された信号機が複数あるか否かを判定する。第2信号機特定部21により特定された信号機がない場合または第2信号機特定部21により特定された信号機が1つのみである場合、直近の信号機よりも遠方の信号機が同時に信号機検出領域に入ってしまう状況には該当しない。従ってこの場合、コントローラ70は、信号機認識制御を終了する。一方、ステップS102において、第2信号機特定部21により特定された信号機が複数ある場合、コントローラ70は、ステップS103の処理を実行する。
【0034】
ステップS103において、コントローラ70は、第1信号機特定部11により特定された信号機が複数あるか否かを判定する。第1信号機特定部11により特定された信号機がない場合または第1信号機特定部11により特定された信号機が1つのみである場合、直近の信号機よりも遠方の信号機が同時に第1画像の信号機検出領域に入ってしまう状況には該当しない。従ってこの場合、コントローラ70は、信号機認識制御を終了する。一方、ステップS103において、第1信号機特定部11により特定された信号機が複数ある場合、直近の信号機よりも遠方の信号機が同時に第1画像の信号機検出領域に入ってしまう状況、即ち自車両が
図2おけるL2~L3’の範囲に位置する場合に該当する。この場合、コントローラ70は、ステップS104の処理を実行する。
【0035】
ステップS104において、同一信号機判定部50(コントローラ70)は、第1信号機特定部11により特定された複数の信号機及び第2信号機特定部21により特定された複数の信号機のうち、同一の信号機を特定する。同一信号機の特定は、例えば以下の式(1)~(3)を用いて行うことができる。式(1)において、x1
image、y1
imageは第1画像中での信号機の座標、k1
x、k1
yは第1撮像部10の横方向と縦方向の有効画素サイズ、c1
x、c1
yは第1画像の画像中心、f1は第1撮像部10の焦点距離、X1、Y1、Z1は第1撮像部10から信号機までの実空間での左右、上下、前後方向の距離である。また、式(2)において、x2
image、y2
imageは第2画像中での信号機の座標、k2
x、k2
yは第2撮像部20の横方向と縦方向の有効画素サイズ、c2
x、c2
yは第2画像の画像中心、f2は第2撮像部20の焦点距離、X2、Y2、Z2は第2撮像部20から信号機までの実空間での左右、上下、前後方向の距離である。式(3)におけるLは、第1撮像部10と第2撮像部20との実空間での距離である。なお、本実施形態においては第1撮像部10と第2撮像部20の設置位置はX方向(車幅方向)においてのみ異なり、Y(前後),Z(高さ)方向は同一であるが、第1撮像部10と第2撮像部20の設置位置はこれに限られない。例えばZ方向において異なる位置に設定してもよい。
【数1】
【数2】
【数3】
【0036】
第1撮像部10と第2撮像部20とが信号機に対して正面を向いているとき、第1信号機特定部11により特定された信号機と、第2信号機特定部21により特定された信号機が同一である場合、式(3)が成立する。即ち、同一信号機判定部50は、式(1)~(3)に基づき、同一信号機を特定することができる。
【0037】
ステップS104において、第1信号機特定部11により特定された信号機と第2信号機特定部21により特定された信号機の対応関係(同一信号機)を特定すると、コントローラ70は、ステップS105の処理を実行する。
【0038】
ステップS105において現示検出部60(コントローラ70)は、ステップS104において対応付け(特定)された同一信号機のうち、第2画像中から消失した信号機があるか否かを判定する。第2画像中から消失した信号機がない場合、自車両は、直近の信号機との距離がL2よりも離れたところに位置している。この場合、コントローラ70は、第2画像中から1つの信号機が消失するまで、即ち自車両が、直近の信号機との距離がL2になる位置に到達するまでステップS105の処理を繰り返す。一方、第2画像中から消失した信号機がある場合、即ち、直近の信号機との距離がL2になる位置に自車両が到達した場合、コントローラ70は、ステップS106の処理を実行する。
【0039】
ステップS106において、現示検出部60(コントローラ70)は、第2画像中から消失した信号機の現示を検出する。前述のとおり、自車両から直近の信号機までの距離がL2になると、直近の信号機へのピッチ角はd2よりも大きく、d1よりも小さくなる(
図2を参照)。従って、直近の信号機までの距離がL2になる位置に自車両が到達すると、直近の信号機は第1画像中には存在するが、第2画像中からは消失する。一方、
図2のL2において、直近の信号機よりも遠方にある信号機(次交差点信号機)はピッチ角がd2よりも小さいため、第2画像中から消失しない。従って、現示検出部60は、第1画像中に特定された信号機のうち、第2画像中から消失した信号機と同一の信号機の現示を検出することで、直近の信号機の現示を検出することができる。つまり、直近の信号機と次交差点信号機との信号機間距離lが短く、複数の信号機が同時に第1画像の信号機検出領域に入ってしまう場合でも、信号機認識装置100は直近の信号機の現示を検出することができる。第2画像中から消失した信号機の現示を検出すると、コントローラ70は、信号機認識制御を終了する。
【0040】
以上の信号機認識制御により、本実施形態の信号機認識装置100は、直近の信号機とそれよりも遠方の信号機との信号機間距離lが短く、複数の信号機が同時に信号機検出領域に入ってしまう場合でも、直近の信号機を特定でき、直近の信号機の現示を検出することができる。
【0041】
上記した第1実施形態の信号機認識装置100によれば、以下の効果を得ることができる。
【0042】
信号機認識装置100においては、第1撮像部10を用いて撮像された第1画像中の信号機と、第1撮像部10よりも画角が狭い第2撮像部20を用いて撮像された第2画像中の信号機とが同一の信号機であるかを判定する。そして、同一と判定された信号機が複数ある場合、複数の信号機のうちの1の信号機が第2画像から消失した際に、第2画像から消失した信号機の点灯状態(現示)を検出する。自車両が直近の信号機に近づくと、直近の信号機へのピッチ角が大きくなり、第2撮像部20を用いて撮像された第2画像中からは直近の信号機が消失する。一方、直近の信号機よりも遠方にある信号機へのピッチ角は、直近の信号機へのピッチ角よりも小さいため、遠方にある信号機は直近の信号機よりも先には第2画像中から消失しない。従って、第2画像から消失した信号機の点灯状態(現示)を検出することにより、複数の信号機の中から直近の信号機の点灯状態(現示)を検出することができる。これにより、信号機の誤認識の発生を防止することができ、車両の誤発進、誤停止を防止することができる。
【0043】
なお、本実施形態において、第1撮像部10及び第2撮像部20の設置位置に関する情報は、第1信号機特定部11、第2信号機特定部21、同一信号機判定部50、現示検出部60及びコントローラ70に記憶されている構成としたが必ずしもこれに限られない。例えば、キャリブレーション用のマークなどを自車両に対して既知の位置に設置して、第1及び第2撮像部10,20で撮像された画像上の位置から設置位置を算出してもよい。この場合、算出された設置位置に関する情報は、第1及び第2画像とともに、第1及び第2信号機特定部11,21、同一信号機判定部50、現示検出部60及びコントローラ70に出力される。
【0044】
(第2実施形態)
図4を参照して、第2実施形態の信号機認識装置100を説明する。なお、第1実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0045】
図4は、第2実施形態における信号機認識装置100による信号機認識方法(制御)を説明するフローチャートである。第2実施形態においては、複数の信号機のうちの1の信号機が第2画像から消失していない間は、第1撮像部10と第2撮像部20との視差に基づき直近の信号機を特定する点が第1実施形態と異なる。なお、第2実施形態においては、第1撮像部10と第2撮像部20とは、自車両の異なる位置に搭載されている。
【0046】
ステップS101からS105までは第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0047】
ステップS105において、第2画像中から消失した信号機がある場合、現示検出部60(コントローラ70)は、ステップS106において、第2画像中から消失した信号機の現示を検出する。これにより、現示検出部60(コントローラ70)は直近の信号機の現示を検出することができる。第2画像中から消失した信号機の現示を検出すると、コントローラ70は、信号機認識制御を終了する。
【0048】
一方、ステップ105において、第2画像中から消失した信号機がない場合、即ち直近の信号機との距離がL2になる位置に自車両が到達していない場合、コントローラ70は、ステップS207の処理を実行する。ステップS207において、現示検出部60(コントローラ70)は、第1撮像部10(第1画像)と第2撮像部20(第2画像)との視差に基づき自車両から各信号機までの距離を算出する。現示検出部60には、第1撮像部10及び第2撮像部20の設置位置に関する情報が記憶されているため、第1撮像部10及び第2撮像部20の設置位置と、第1画像及び第2画像とに基づき視差を求めることができる。なお、視差は既知のどの方法によって求めてもよい。現示検出部60は、この視差に基づき、自車両からステップS104において対応付け(特定)された各信号機までの距離を算出する。自車両から各信号機までの距離を算出すると、コントローラ70は、ステップS208の処理を実行する。
【0049】
ステップS208において、現示検出部60(コントローラ70)は、第1画像で特定された信号機のうち、ステップS207で算出した自車両からの距離が最も短い信号機の現示を検出する。これにより、直近の信号機とそれ以外の信号機との信号機間距離が短く、複数の信号機が同時に信号機検出領域に入ってしまう場合に、直近の信号機との距離がL2になる位置に自車両が到達していない間にも、直近の信号機の現示を検出することができる。
【0050】
上記した第2実施形態の信号機認識装置100によれば、以下の効果を得ることができる。
【0051】
信号機認識装置100においては、第1撮像部10と、第1撮像部10よりも画角が狭い第2撮像部20とは、自車両(車両)80内の異なる位置に搭載される。また、第1撮像部10によって撮像された第1画像と第2撮像部20によって撮像された第2画像の中に同一と判定された信号機が複数ある場合、第1撮像部10と第2撮像部20との視差に基づき各信号機の自車両(車両)80からの距離を算出する。そして、同一と判定された複数の信号機のうちの1の信号機が第2画像から消失していない間は、算出された距離が最も短い信号機の点灯状態(現示)を検出する。これにより、直近の信号機とそれ以外の信号機との信号機間距離が短く、複数の信号機が同時に信号機検出領域に入ってしまう場合に、第2画像から直近の信号機が消失する位置(L2)に自車両が到達していない間にも、直近の信号機の現示を検出することができる。従って、信号機の誤認識の発生をより確実に防止することができ、車両の誤発進、誤停止を防止することができる。
【0052】
(第3実施形態)
図5を参照して、第3実施形態の信号機認識装置100を説明する。なお、他の実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0053】
図5は、第3実施形態における信号機認識装置100による信号機認識方法(制御)を説明するフローチャートである。第3実施形態においては、複数の信号機のうちの1の信号機が第2画像から消失していない間は、第1画像中の最も高い位置に特定された信号機の現示を検出する点が第1及び第2実施形態と異なる。
【0054】
ステップS101からS105までは第1及び第2実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0055】
ステップS105において、第2画像中から消失した信号機がある場合、現示検出部60(コントローラ70)は、ステップS106において、第2画像中から消失した信号機の現示を検出する。これにより、現示検出部60(コントローラ70)は直近の信号機の現示を検出することができる。第2画像中から消失した信号機の現示を検出すると、コントローラ70は、信号機認識制御を終了する。
【0056】
一方、ステップ105において、第2画像中から消失した信号機がない場合、即ち直近の信号機との距離がL2になる位置に自車両が到達していない場合、コントローラ70は、ステップS307の処理を実行する。ステップS307において、現示検出部60(コントローラ70)は、第1画像中に特定された信号機の中で、画像中の位置が最も高い信号機の現示を検出する。自車両が信号機に近づくほど、信号機へのピッチ角は大きくなり、信号機は画像中の高い位置に特定される。従って、自車両との距離が近い信号機ほど画像中の高い位置に特定されるため、第1画像中の最も高い位置に特定された信号機の現示を検出することで、直近の信号機の現示を検出することができる。即ち、直近の信号機とそれ以外の信号機との信号機間距離が短く、複数の信号機が同時に信号機検出領域に入ってしまう場合に、直近の信号機との距離がL2になる位置に自車両が到達していない間にも、直近の信号機の現示を検出することができる。
【0057】
なお、本実施形態においては、ステップS307において、第1画像中に特定された信号機の中で、画像中の位置が最も高い信号機の現示を検出しているが、第2画像中に特定された信号機の中で、画像中の位置が最も高い信号機の現示を検出してもよい。
【0058】
上記した第3実施形態の信号機認識装置100によれば、以下の効果を得ることができる。
【0059】
信号機認識装置100においては、第1撮像部10によって第1画像を、第1撮像部10よりも画角が狭い第2撮像部20によって第2画像を撮像する。そして第1画像と第2画像の中に同一と判定された信号機が複数ある場合、同一と判定された複数の信号機のうちの1の信号機が第2画像から消失していない間は、第1画像中の最も高い位置にある信号機の点灯状態(現示)を検出する。これにより、直近の信号機とそれ以外の信号機との信号機間距離が短く、複数の信号機が同時に信号機検出領域に入ってしまう場合に、第2画像から直近の信号機が消失する位置(L2)に自車両が到達していない間にも、直近の信号機の現示を検出することができる。従って、信号機の誤認識の発生をより確実に防止することができ、車両の誤発進、誤停止を防止することができる。
【0060】
また、視差を用いずに簡易な方法で直近の信号機の現示を検出するため、複雑な演算が不要であり、装置を簡素化することができる。
【0061】
(第4実施形態)
図6を参照して、第4実施形態の信号機認識装置100を説明する。なお、他の実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0062】
図6は、第4実施形態における信号機認識装置100による信号機認識方法(制御)を説明するフローチャートである。第4実施形態においては、第1画像中に信号機が存在しない間は、第2画像中の最も高い位置に特定された信号機の現示を検出する点が他の実施形態と異なる。
【0063】
ステップS101からS103までは他の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0064】
ステップS103において、第1信号機特定部11により複数の信号機が特定されていない(特定された信号機がない、または特定された信号機が1つのみである)場合、コントローラ70は、ステップS407の処理を実行する。一方、第1信号機特定部11により特定された信号機が複数ある場合、コントローラ70は、ステップS104の処理を実行する。
【0065】
ステップS407において、コントローラ70は、第1信号機特定部11により特定された信号機があるか否かを判定する。第1信号機特定部11により特定された信号機がある場合、即ち、第1信号機特定部11により1つの信号機が特定されている場合、コントローラ70は、ステップS408の処理を実行する。
【0066】
ステップS407において、第1信号機特定部11により1つの信号機が特定されていると判定された場合、自車両は、直近の信号機からの距離がL3~L3’の範囲に位置する(
図2参照)。L3~L3’の範囲においては、第1画像中には直近の信号機のみが存在するため、第1信号機特定部11により特定された信号機は直近の信号機である。従って、現示検出部60(コントローラ70)は、ステップS408において、第1画像中に特定された信号機の現示を検出する。これにより直近の信号機の現示を検出することができる。ステップS408において、第1画像中に特定された信号機の現示を検出すると、コントローラ70は、信号機認識制御を終了する。
【0067】
ステップS407において、第1信号機特定部11により特定された信号機がないと判定された場合、コントローラ70は、ステップS409の処理を実行する。
【0068】
ステップS409において、第1信号機特定部11により特定された信号機がないと判定された場合、自車両は、直近の信号機からの距離がL3~L4’の範囲に位置する(
図2参照)。L3~L4’の範囲においては、第1撮像部10によって直近の信号機を撮像できず、第1画像中に信号機が存在しない。従って、ステップS409において、現示検出部60(コントローラ70)は、第2画像中に特定された信号機の中で、画像中の位置が最も高い信号機の現示を検出する。前述のとおり、自車両が信号機に近づくほど、信号機へのピッチ角は大きくなり、信号機は画像中の高い位置に特定される。従って、自車両との距離が近い信号機ほど画像中の高い位置に特定されるため、第2画像中の最も高い位置に特定された信号機の現示を検出することで、直近の信号機の現示を検出することができる。即ち、直近の信号機とそれ以外の信号機との信号機間距離が短い場合に、遠方(第1撮像部10によって直近の信号機を撮像できない距離)に信号機がある際にも、直近の信号機の現示を検出することができる。
【0069】
ステップS409において、第2画像中に特定された信号機の中で、画像中の位置が最も高い信号機の現示を検出すると、コントローラ70は、信号機認識制御を終了する。
【0070】
ステップS103において、第1信号機特定部11により特定された信号機が複数あると判定すると、コントローラ70は、ステップS104~S106の処理を実行し、信号機認識制御を終了する。なお、ステップS104~S106の処理は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0071】
上記した第4実施形態の信号機認識装置100によれば、以下の効果を得ることができる。
【0072】
信号機認識装置100においては、第1撮像部10によって第1画像を、第1撮像部10よりも画角が狭く且つ第1撮像部10の撮像可能距離よりも遠方を撮像可能な第2撮像部20によって第2画像を撮像する。そして第1画像中に特定される信号機がない場合、第1画像中に信号機が現れるまでの間は、第2画像中の最も高い位置にある信号機の点灯状態を検出する。これにより、直近の信号機とその他の信号機との信号機間距離が短く、複数の信号機が同時に(第2画像の)信号機検出領域に入ってしまう場合に、第1画像中に特定される信号機がない間にも、直近の信号機の現示を検出することができる。従って、信号機の誤認識の発生をより確実に防止することができ、車両の誤発進、誤停止を防止することができる。
【0073】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0074】
また、上述した各実施形態は、それぞれ単独の実施形態として説明したが、適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0075】
10 第1撮像部
11 第1信号機特定部
20 第2撮像部
21 第2信号機特定部
30 地図情報取得部
40 自己位置取得部
50 同一信号機判定部
60 現示検出部
70 コントローラ
100 信号機認識装置