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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】羽根駆動装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 11/04 20210101AFI20230907BHJP
【FI】
G03B11/04 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019221562
(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公開番号】P2021092611
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤登 孝司
(72)【発明者】
【氏名】大野 真理
(72)【発明者】
【氏名】渡部 伸昭
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-113951(JP,A)
【文献】特開2019-028157(JP,A)
【文献】特開平08-160493(JP,A)
【文献】特開平11-064929(JP,A)
【文献】特開平05-333404(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0790156(KR,B1)
【文献】中国特許出願公開第103913926(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108322630(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2004-0102482(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 11/04
G03B 9/08-9/54
G03B 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラのレンズ開口を開閉する羽根部材と、
前記羽根部材を開状態と閉状態に駆動する駆動部と、
前記羽根部材を手動操作で閉状態にする操作部材とを備え、
前記操作部材は、非操作時には前記駆動部による前記羽根部材の開閉を可能にする第1位置にあり、手動操作によって前記羽根部材を閉状態にする第2位置に移動可能であることを特徴とする羽根駆動装置。
【請求項2】
前記操作部材は、手動操作によって前記羽根部材を開状態にする第3位置に移動可能であることを特徴とする請求項1記載の羽根駆動装置。
【請求項3】
前記操作部材は、弾性的な付勢力で前記第1位置に戻されることを特徴とする請求項1又は2記載の羽根駆動装置。
【請求項4】
前記操作部材は、前記駆動部におけるロータ部に設けたレバー突起を操作して前記ロータ部を回転させる操作部を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載の羽根駆動装置。
【請求項5】
前記操作部材は、前記羽根部材の一部に設けられたレバー突起を操作して前記羽根部材を移動させる操作部を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載の羽根駆動装置。
【請求項6】
前記操作部は、前記レバー突起を収容して、前記第1位置にて、前記レバー突起の自由な移動を可能にする凹部の端部に設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載の羽根駆動装置。
【請求項7】
前記操作部材は、前記駆動部におけるマグネットに近接して前記駆動部を強制動作させる磁極部を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載の羽根駆動装置。
【請求項8】
前記操作部材は、前記第1位置にて、前記磁極部を前記駆動部におけるマグネットから離間させるように移動することを特徴とする請求項7記載の羽根駆動装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載された羽根駆動装置とカメラモジュールを備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、羽根駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器は、取得した画像を処理・保存・送信する機能を備えるものが多く、画像取得のためにカメラ機能(カメラモジュール)を備えるものが一般化している。また、近年の電子機器は、「IoT:Internet of Things(モノのインターネット)」という言葉で表現されているように、ネットワークに接続された状態で使用するものが多くなっており、このような電子機器は、ネットワークを介した外部からの不正アクセスへの対策が不可欠になっている。
【0003】
カメラ機能を有する電子機器は、電子機器に取り付けられているカメラモジュールのレンズ開口が常に開放されているものが多いので、IoTにおいて悪意の外部操作でカメラ機能が作動すると、ユーザの意図しない画像が取り込まれてしまうことになり、プライベート画像の流出や不正な画像取得による防犯機能の低下などと言った問題が生じる。
【0004】
また、PCやスマートフォンなどの携帯情報端末を使用している際に、ユーザが意図しない操作誤りなどでカメラ機能を作動させてしまう場合がある。このような場合にも、ユーザの意図しない画像が電子機器内に取り込まれて記録されてしまうことになり、記録された画像の外部流出や意図しない画像の記録によって盗撮などの疑いを掛けられたりする問題があった。
【0005】
このような問題に対しては、カメラ機能を使用していないときには、開放されているレンズ開口を遮蔽部材で塞ぎ、カメラ機能を使用するときのみレンズ開口を開放させることが有効であり、例えば、スライド式の遮蔽部材を電子機器の筐体に設けて、カメラ機能の使用時にはレンズ開口から外れるように手動で遮蔽部材をスライドさせ、カメラ機能の非使用時にはレンズ開口を覆うように手動で遮蔽部材をスライドさせるものなどが提案されている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実用新案登録第3170619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した従来技術によると、カメラ機能の非使用時にレンズ開口を遮蔽部材で塞ぐことで、ユーザが意識しない画像が電子機器に取り込まれることを抑止することができる。しかしながら、手動で遮蔽部材を操作するものでは、遮蔽部材の開閉状態が中途半端になり易く、ユーザがレンズ開口を塞ぐつもりで遮蔽部材をスライド操作したとしても、遮蔽部材がレンズ開口を完全に覆っていない状態で止まり、それをユーザが気付かないことがあり、また逆に、ユーザがレンズ開口を開放させるつもりで遮蔽部材をスライド操作したとしても、遮蔽部材がレンズ開口から完全に外れていない状態で止まり、それをユーザが気
付かないことがある。
【0008】
このような状況になると、カメラ機能の非使用時には、一部開放しているレンズ開口からユーザの意図しない画像が電子機器に取り込まれる虞があり、また、カメラ機能の使用時には、レンズ開口の一部が塞がれていることで、所望の画像を得ることに失敗してしまう問題が生じる。また、このような問題を避けるために遮蔽部材を電動操作可能にすると、遮蔽部材の操作自体が不正アクセスによって外部操作される虞があるので、効果的な不正アクセス対策にはならないことになる。
【0009】
本発明は、このような問題に対処するために提案されたものである。すなわち、カメラ機能を備えた電子機器において、不正アクセスやユーザの誤操作などによってユーザの意図しない画像が電子機器に取り込まれることを抑止すること、カメラ機能の使用時にはユーザの意図で確実にレンズ開口を開放させ、カメラ機能の非使用時にはユーザの意図で確実にレンズ開口を閉塞することができるようにすること、などを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題を解決するために、本発明は、以下の構成を具備するものである。
カメラのレンズ開口を開閉する羽根部材と、前記羽根部材を開状態と閉状態に駆動する駆動部と、前記羽根部材を手動操作で閉状態にする操作部材とを備え、前記操作部材は、非操作時には前記駆動部による前記羽根部材の開閉を可能にする第1位置にあり、手動操作によって前記羽根部材を閉状態にする第2位置に移動可能であることを特徴とする羽根駆動装置。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】羽根駆動装置の動作を説明する説明図((a)操作部材が第1位置にあり、羽根部材が開状態、(b)操作部材が第1位置にあり、羽根部材が閉状態)。
図2】羽根駆動装置の動作を説明する説明図((a)操作部材が第2位置に移動、羽根部材が閉状態、(b)操作部材が第3位置に移動、羽根部材が開状態)。
図3】羽根駆動装置の他の例の動作を説明する説明図((a)操作部材が第1位置にあり、羽根部材が開状態、(b)操作部材が第1位置にあり、羽根部材が閉状態)。
図4】羽根駆動装置の他の例(図3の例)の動作を説明する説明図((a)操作部材が第2位置に移動、羽根部材が閉状態、(b)操作部材が第3位置に移動、羽根部材が開状態)。
図5】羽根駆動装置の他の例の動作を説明する説明図((a)操作部材が第2位置に移動、羽根部材が閉状態、(b)操作部材が第1位置にあり、羽根部材が開閉可能状態)。
図6】羽根駆動装置の他の例(図5の例)の動作を説明する説明図((a)操作部材が第3位置にあり、羽根部材が開状態、(b)操作部材が第1位置にあり、羽根部材が開閉可能状態)。
図7】羽根駆動装置の他の例を示した説明図。
図8図7に示した例の動作を示した説明図((a)が操作部材によって開口を閉じた状態、(b)が操作部材によって開口を開けた状態)。
図9図7に示した例の動作を示した説明図((a)羽根部材によって開口を閉じた状態、(b)羽根部材によって開口を開いた状態)。
図10】羽根部材の遮蔽部の例を示した説明図((a)が網目状の遮蔽部、(b)が同心スリット状の遮蔽部、(c)がモザイクフィルタ)。
図11】羽根部材の外表面の意匠を示した説明図((a)が絵柄の意匠、(b)が文字の意匠)。
図12】羽根駆動装置とカメラモジュールが内部に装備された電子機器を示す説明図((a)が正面図、(b)が(a)におけるX-X断面図)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0013】
図1及び図2に示すように、羽根駆動装置1(1A)は、羽根部材2と、駆動部3と、操作部材4とを備えている。羽根部材2と駆動部3は、枠体5に装備されており、操作部材4は、枠体5と一体の摺動枠6内に移動可能に保持されている。
【0014】
操作部材4は、摺動枠6内で、移動方向に沿って伸び縮みするバネ(コイルバネ)7にて両端が支持されており、手動操作で矢印方向に移動可能になっているが、非操作時には、バネ7の弾性的な付勢力で中立位置である第1位置に戻されるようになっている。図示の例では、バネ7としてコイルバネを用いているが、バネ7の形態はコイルバネに限らず、トーションバネや板バネなど各種のバネ(付勢部材)を用いることができる。
【0015】
枠体5は、カメラのレンズ開口に対応する開口10Aを有する開口板10を備えている。羽根部材2は、図1(a)に示すように、開口10Aを開放することでカメラのレンズ開口を開放状態にし、図1(b)に示すように、開口10Aを遮蔽することでカメラのレンズ開口を遮蔽状態にする。以下の説明では、開口10Aを開放している状態を羽根部材2の開状態といい、開口10Aを遮蔽している状態を羽根部材2の閉状態という。
【0016】
羽根部材2は、枠体5に軸11にて軸支されている。軸11は開口10Aの中心軸に平行な軸であり、羽根部材2は、駆動部3によって、軸11回りに回転して、開状態と閉状態とを切り替えるように動作される。
【0017】
駆動部3は、羽根部材2に設けられた軸11と平行に突出する突起部12に係合するレバー部20と、レバー部20と一体のロータ部21と、ロータ部21に固定され軸11と平行な軸周りに回転可能に軸支されるロータマグネット22と、ロータマグネット22を挟むように配置されるヨーク23を備えている。ヨーク23には、その一部に図示省略したコイルが巻かれており、コイルを保持するボビン24と、コイルの一対の端部がそれぞれ接続される一対の通電端子25などが設けられている。なお、駆動部3としては、このような例に限定されるものではなく、マグネットまたはコイルをリニアに移動させるVCM(Voice Coil Motor)など、各種のものを採用することができる。
【0018】
操作部材4は、図1(a),(b)に示した中立位置が、駆動部3によって羽根部材2を開閉動作させることができる第1位置であり、図2(a)に示す第2位置に手動操作で移動することで、強制的に羽根部材2が閉状態になり、図2(b)に示す第3位置に手動操作で移動することで、強制的に羽根部材2が開状態になる。
【0019】
羽根駆動装置1(1A)では、駆動部3のロータ部21に一体にレバー突起21Aが設けられており、操作部材4は、このレバー突起21Aを操作して駆動部3のロータ部21を強制的に回転させる操作部4A,4Bを備えている。より具体的には、操作部材4は、レバー突起21Aを収容する凹部4Pを備えており、その凹部4Pの両端部が前述した操作部4A,4Bになっている。ロータ部21 は、レバー部20と一体に形成される板部材と、レバー突起21Aとを含む。板部材にはロータマグネット22とレバー突起21Aとが取り付けられている。なお、他の実施の形態では、レバー突起21Aは板部材と一体形成されてもよい。
【0020】
ここで、図1(a),(b)に示すように、操作部材4の非操作状態であって、操作部材4が第1位置にある状態では、凹部4Pに収容されているレバー突起21Aは所要の移動範囲で自由に移動できる状態になっている。この状態では、駆動部3を駆動することで操作部4A,4Bに拘束されること無く、ロータ部21を回転させて、羽根部材2を開状態(図1(a))又は閉状態(図1(b))に動作させることができる。
【0021】
そして、図2(a)に示すように、操作部材4を第2位置に手動操作で移動させた場合には、その移動で、操作部4Aがレバー突起21Aを強制回転させることになり、これによって、羽根部材2が閉状態になる。また、図2(b)に示すように、操作部材4を第3位置に手動操作で移動させた場合には、その移動で、操作部4Bがレバー突起21Aを強制回転させることになり、これによって、羽根部材2が開状態になる。
【0022】
このような構成によれば、 電動で動作する羽根部材2を、手動でも開閉可能な構造とすることができる。これにより、ユーザは意図してカメラ機能を利用するときにはカメラ機能を実行させることでレンズ開口を開放でき、ユーザが意図していないときには自身の操作によってレンズ開口を閉塞することができる。
【0023】
図3及び図4に示した羽根駆動装置1(1B)は、図1及び図2に示した例の変形例であり、レバー突起2Aが羽根部材2の一部に設けられていることを除いては、図1及び図2に示した例と同様である。
【0024】
これによると、図3(a),(b)に示すように、操作部材4の非操作状態であって、操作部材4が第1位置にある状態では、凹部4Pに収容されているレバー突起2Aは所要の移動範囲で自由に移動できる状態になっており、この状態では、駆動部3を駆動することで操作部4A,4Bに拘束されること無く、羽根部材2を開状態(図3(a))又は閉状態(図3(b))に動作させることができる。
【0025】
そして、図4(a)に示すように、操作部材4を第2位置に手動操作で移動させた場合には、その移動で、操作部4Aがレバー突起2Aを強制回転させることになり、これによって、羽根部材2が閉状態になる。また、図4(b)に示すように、操作部材4を第3位置に手動操作で移動させた場合には、その移動で、操作部4Bがレバー突起2Aを強制回転させることになり、これによって、羽根部材2が開状態になる。なお、 羽根部材2にレバー突起2Aを設ける場合、図3(a),(b)の実施例のように羽根部材2と一体形成してもよいし、羽根部材2の補強部材と一体形成してもよい。
【0026】
図5及び図6に示した羽根駆動装置1(1C)は、他の実施形態であり、操作部材4にマグネット(磁極部)8が取り付けられており、操作部材4を手動操作で移動させることで、マグネット8が駆動部3のロータマグネット22に近接して強制的に駆動部3を動作させる。操作部材4を図5(a)に示すように第2位置に手動操作で移動させた場合には、マグネット8によってローターマグネット22が回転して、羽根部材2が閉状態になる。また、操作部材4を図6(a)に示すように第3位置に手動操作で移動させた場合には、マグネット8によってロータマグネット22が回転して、羽根部材2が開状態になる。
【0027】
また、羽根駆動装置1(1C)は、図5(b)及び図6(b)に示すように、操作部材4がマグネット8を駆動部3から離間させるように移動する。この操作部材4の位置が、駆動部3によって羽根部材2を開閉駆動することができる第1位置になる。
【0028】
図5(b)に示す状態では、操作部材4を図5(a)に示す第2位置にて非操作状態にすることで、バネ9によって操作部材4が矢印に示す上方に移動し、操作部材4に取り付けられているマグネット8を駆動部3から遠ざける。図6(b)に示す状態では、操作部材4を図6(a)に示す第3位置にて非操作状態にすることで、バネ9によって操作部材4が矢印に示す上方に移動し、操作部材4に取り付けられているマグネット8を駆動部3から遠ざける。
【0029】
操作部材4は、ガイド孔4Sに係合する突起部4Tを備えており、操作部材4の手動操作では、ガイド孔4Sに沿って操作部材4が移動する。そして、ガイド孔4Sの両端には逃げ部4S1,4S2が設けられており、操作部材4を第2位置に移動して、非操作状態にすると、バネ9の作用で突起部4Tが逃げ部4S1に逃げて操作部材4が矢印方向に移動し、図5(b)に示す第1位置に収まる。また、操作部材4を第3位置に移動して、非操作状態にすると、バネ9の作用で突起部4Tが逃げ部4S2に逃げて操作部材4が矢印方向に移動し、図6(b)に示す第1位置に収まる。
【0030】
前述した羽根駆動装置1(1A~1C)によると、ユーザは、操作部材4が第1位置にある場合には、カメラ機能の使用時は駆動部3を意図的に駆動させて、確実にレンズ開口を開放させることができ、カメラ機能の非使用時には駆動部3を意図的に駆動させて、確実にレンズ開口を遮蔽することができる。そして、ユーザの意思によって操作部材2を手動で第2位置に移動することで、駆動部3への駆動信号の有無に拘わらず強制的に羽根部材2を閉状態にすることができる。
【0031】
ここで、駆動部3は、無通電の定常時に、羽根部材2が開状態か閉状態のいずれか近い方に両側保持される構造であることが好ましい。このようにすることで、駆動部3が駆動されない時に羽根部材2の位置を安定的に開又は閉位置に保持することができる。
【0032】
なお、 図5及び図6では、バネ9が操作部材4の上方向に突出するように取り付けられているが、他の実施の形態では、バネ9が操作部材4の下方向などに突出するように取り付けられていてもよい。さらに、トーションバネであるバネ9に代えて他の付勢部材を用いることで、付勢部材が操作部材4から突出しないように取り付けられていてもよい。
【0033】
図7図9に示した羽根駆動装置1(1D)は、羽根駆動枠30と操作部材動作枠40が別部材になっており、操作部材動作枠40に対して、羽根駆動枠30を組み付ける構成になっている。
【0034】
羽根駆動枠30には、羽根部材31と羽根部材31を開閉駆動する駆動部32が装備されている。駆動部32は前述した駆動部3と同様のものであり、通電端子32Aへの通電で駆動部32が駆動して、羽根駆動枠30に設けた開口板33の開口33Aに対して羽根部材31を開閉動作させる。
【0035】
操作部材動作枠40は、羽根駆動枠30を収容する収容部40Aを備えていると共に、操作部材41を移動自在に収容する摺動枠42を備えている。操作部材41は、摺動枠42に設けたガイド孔42Aに係合する突起部41Aを備えており、操作部材41の手動操作では、ガイド孔42Aに沿って操作部材41が移動する。
【0036】
操作部材41には遮蔽部材43が取り付けられている。操作部材41は、図8(a)に示す位置に手動操作で移動されることで、遮蔽部材43が開口33Aを遮蔽し、図8(b)に示す位置に手動操作で移動されることで、遮蔽部材43が開口33Aを開放する。また、操作部材41は、バネ44を介して操作部材動作枠40に設けた支持部40Bに支持されており、バネ44の付勢力で、操作部材41は、図8(a)に示す状態と図8(b)に示す状態に選択的に移動される。
【0037】
羽根駆動装置1(1D)によると、駆動部32によって駆動される羽根部材31が開閉いずれの状態であっても、図8(a)に示すように、操作部材41を手動で操作して、遮蔽部材43によって開口33Aを遮蔽することができる。また、図8(b)に示すように、操作部材41を手動操作して、遮蔽部材43を開放位置に移動しておけば、図9(a),(b)に示すように、駆動部32によって羽根部材31を開閉駆動することで、開口33Aを開閉することができる。
【0038】
羽根駆動装置1(1D)は、操作部材動作枠40の収容部40A内に羽根駆動枠30を収容することができるので、厚さ方向の嵩張りを無くして、操作部材41の手動操作による遮蔽部材43の開閉動作と、駆動部32の電動による羽根部材31の開閉動作の両方を行うことができる。これによって、仮に駆動部32がユーザの意図に反して開動作したとしても、ユーザの意図による操作部材41の手動操作で強制的に開口33Aを遮蔽することができる。なお、 他の実施の形態では、操作部材動作枠40に羽根駆動枠30を組み付けずに、後述する電子機器に設けるようにしてもよい。
【0039】
ここで用いられる羽根部材2(31)は、図10及び図11に示すように、前述した開口10A(33A)を塞ぐ遮蔽部2Pを有している。この遮蔽部2Pは、開口10A(33A)に入射する光の全部を遮光する遮光部であってもよいが、それ以外に、図10(a),(b)に示すように、開口10A(33A)に入射する光の一部を遮光して撮影を阻害するものであってもよい。図10(a)に示す例は、網目状の遮蔽部であり、図10(b)に示す例は、同心スリット状の遮蔽部であって、これらを設けることで、開口10A(33A)に入射する光の一部を遮光して撮影を阻害することができる。また、羽根部材2の遮蔽部2Pは、図10(c)に示すように、開口10Aに入射する光をフィルタリングして撮影を阻害するフィルタ部であってもよい。図10(c)に示す例は、モザイクフィルタによって、開口10A(33A)に入射する光をフィルタリングして撮影を阻害することができる。
【0040】
羽根部材2(31)は、閉状態になっているときに、その状態が外観視できて、カメラモジュールのレンズ開口が遮蔽されていることをユーザや他人が確認できることが好ましい。このため、羽根部材2の外表面は、視認性の高い赤色などで着色しておくことが好ましい。また、羽根部材2(31)の遮蔽部2Pの外表面に、図11(a)に示すような絵柄の意匠を設けたり、図11(b)に示すように文字の意匠を設けたりして、外観性を高めることが好ましい。
【0041】
図12は、羽根駆動装置とカメラモジュールを備える電子機器の一例として、カメラ機能を備えたPC(ノート型PC)を示している。羽根駆動装置1(1A~1D)は、操作部材4(41)を電子機器100の筐体Tの外側に突出させ、枠体5が開口10Aとカメラモジュール200のレンズ開口が同軸になるように、筐体T内におけるカメラモジュール200の前側に配備される。羽根駆動装置1(1A~1D)が装備される電子機器100は、このようなPCだけでなく、スマートフォンなどの携帯情報端末、カメラ機能を備えたAIスピーカ(スマートスピーカ)、ホームセキュリティーカメラ、など、カメラ機能を備えたIoT全般が対象になる。
【0042】
カメラモジュール200は、それ自体を薄型化することで、電子機器100の筐体Tの内側に大きなスペースを要すること無く配備することができる。この例では、カメラモジュールの1のレンズ開口が筐体Tに設けた筐体開口T1に重なるように配備されている。また、図示の例のように、羽根駆動装置1(1A~1H)とカメラモジュール200は、電子機器100におけるフロントパネルFやディスプレイパネルDの上などの空間に配備することができる。
【0043】
このような羽根駆動装置1(1A~1D)とカメラモジュール200を備える電子機器100は、羽根駆動装置1(1A~1D)の羽根部材2を閉状態にするか、操作部材4(41)を手動操作して開口を閉状態にすることで、ユーザが意図していない画像(映像)が電子機器100内に取り込まれることを未然に防止することができる。これにより、プライバシー画像の流出や盗撮の疑いを掛けられることを回避することができ、IoT環境下であっても安心してカメラ機能を有する電子機器100を使用することができる。
【0044】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1(1A,1B,1C,1D):羽根駆動装置,
2:羽根部材,2A:レバー突起,2P:遮蔽部,
3:駆動部,4:操作部材,4A,4B:操作部,4P:凹部,
4S:ガイド孔,4T:突起部,4S1,4S2:逃げ部,
5:枠体,6:摺動枠,7,9:バネ,8:マグネット(磁極部),
10:開口板,10A:開口,11:軸,12:突起部,
20:レバー部,21:ロータ部,21A:レバー突起,
22:ロータマグネット,23:ヨーク,24:ボビン,25:通電端子,
30:羽根駆動枠,31:羽根部材,32:駆動部,32A:通電端子,
33:開口板,33A:開口,
40:操作部材動作枠,40A:収容部,40B:支持部,
41:操作部材,41A:突起部,
42:摺動枠,42A:ガイド孔,43:遮蔽部材,44:バネ,
100:電子機器,200:カメラモジュール,
T:筐体,T1:筐体開口,F:フロントパネル,D:ディスプレイパネル
図1
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図12