(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニット
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20230907BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20230907BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20230907BHJP
H04N 23/68 20230101ALI20230907BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B30/00
H04N23/50
H04N23/68
(21)【出願番号】P 2019222982
(22)【出願日】2019-12-10
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】南澤 伸司
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/044212(WO,A1)
【文献】特開2012-058361(JP,A)
【文献】特開2012-211994(JP,A)
【文献】国際公開第2014/083894(WO,A1)
【文献】特開2017-016112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
H04N 23/50
H04N 23/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラモジュールおよび当該カメラモジュールを外周側から保持するホルダを備える可動体と、
前記可動体を、前記カメラモジュールの光軸と交差する第1軸回り、並びに、前記光軸および前記第1軸に交差する第2軸回りに回転可能に支持するジンバル機構と、
前記ジンバル機構を介して前記可動体を支持する固定体と、
前記可動体が前記光軸と直交する方向に移動する移動範囲を規制するストッパ機構と、を有し、
前記ホルダは、金属製であり、
前記固定体は、前記ホルダを径方向外側から囲む金属製の固定体側枠板部を有し、
前記固定体側枠板部は、径方向に貫通する貫通孔と、前記貫通孔の開口縁から屈曲して内周側に延びて前記ホルダと隙間を開けて対向する屈曲部と、を備え、
前記ストッパ機構は、前記ホルダと前記屈曲部とを備えることを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
前記光軸、前記第1軸および前記第2軸とが交差する交差点は、前記可動体の内側にあり、
前記屈曲部の内周側の先端面は、前記第1軸および前記第2軸を含む仮想面と重なることを特徴とする請求項1に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
前記可動体を、前記第1軸回りおよび前記第2軸回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構を有し、
前記振れ補正用磁気駆動機構は、前記固定体側枠板部に固定されたコイルと、前記ホルダに固定されて前記径方向で前記コイルと対向する磁石と、を備え、
前記コイルは、前記貫通孔に挿入された状態で前記固定体側枠板部に固定され、
前記屈曲部は、前記固定体側枠板部における前記貫通孔の開口縁において前記コイルに周方向で隣り合う開口縁部分から内周側に延びており、
前記屈曲部の先端は、前記コイルよりも内周側に位置することを特徴とする請求項1または2に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項4】
前記振れ補正用磁気駆動機構として、前記光軸回りの周方向で前記第1軸と前記第2軸との間に設けられた第1振れ補正用磁気駆動機構と、前記周方向で前記第1軸に対する前記第1振れ補正用磁気駆動機構とは反対側において当該第1軸と前記第2軸との間に設けられた第2振れ補正用磁気駆動機構とを備え、
前記コイルとして、前記第1振れ補正用磁気駆動機構の第1コイルと、前記第2振れ補正用磁気駆動機構の第2コイルと、を備え、
前記磁石として、前記径方向で前記第1コイルと対向する前記第1振れ補正用磁気駆動機構の第1磁石と、前記径方向で前記第2コイルと対向する前記第2振れ補正用磁気駆動機構の第2磁石と、を備え、
前記固定体側枠板部は、前記貫通孔として、前記周方向で前記第1軸と前記第2軸との間に設けられた第1貫通孔と、前記周方向で前記第1軸に対する前記第1貫通孔とは反対側で当該第1軸と前記第2軸との間に設けられた第2貫通孔と、を備えるとともに、前記屈曲部として、前記第1貫通孔の開口縁から屈曲する第1屈曲部と、前記第2貫通孔の開口縁から屈曲する第2屈曲部と、を備え、
前記第1コイルは、前記第1貫通孔に挿入されており、
前記第2コイルは、前記第2貫通孔に挿入されていることを特徴とする請求項3に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項5】
前記可動体から外周側に引き出されたフレキシブルプリント基板を備え、
前記固定体側枠板部は、前記第1貫通孔が形成された固定体側第1枠板部分と、前記光軸を間に挟んで前記固定体側第1枠板部分とは反対側に位置する固定体側第2枠板部分と、前記第2貫通孔が形成された固定体側第3枠板部分と、前記光軸を間に挟んで前記固定体側第3枠板部分とは反対側に位置する固定体側第4枠板部分と、前記固定体側第2枠板部分に設けられて前記フレキシブルプリント基板を内側から外側に通過させる基板通過孔と、前記固定体側第2枠板部分における前記基板通過孔の開口縁から内周側に屈曲して前記ホルダと隙間を開けて対向する基板通過孔側屈曲部と、を備え、
前記ストッパ機構は、前記基板通過孔側屈曲部を備えることを特徴とする請求項4に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項6】
前記基板通過孔は、前記固定体側第2枠板部分の前記光軸方向における反被写体側から被写体側に延びる切欠きであり、
前記固定体側枠板部における前記基板通過孔の開口縁は、前記周方向に延びる被写体側開口縁部分を備え、
前記基板通過孔側屈曲部は、前記被写体側開口縁部分から屈曲することを特徴とする請求項5に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項7】
前記固定体側枠板部は、前記固定体側第4枠板部分に設けられて径方向に貫通する開口部と、前記固定体側第4枠板部分における前記開口部の開口縁から内周側に屈曲して前記ホルダと隙間を開けて対向する開口部側屈曲部と、を備え、
前記ストッパ機構は、前記開口部側屈曲部を備えることを特徴とする請求項5または6に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項8】
前記ホルダは、前記カメラモジュールを囲むホルダ側枠板部を備え、
前記固定体側枠板部は、前記第1貫通孔が形成された固定体側第1枠板部分と、前記光軸を間に挟んで前記固定体側第1枠板部分とは反対側に位置する固定体側第2枠板部分と、前記第2貫通孔が形成された固定体側第3枠板部分と、前記光軸を間に挟んで前記固定体側第3枠板部分とは反対側に位置する固定体側第4枠板部分と、を備え、
前記ホルダ側枠板部は、前記固定体側第2枠板部分と対向する第1対向枠板部分に、径方向に貫通する第1開口部と、前記第1開口部の開口縁から外周側に屈曲して固定体側第2枠板部分と隙間を開けて対向する第1開口部側屈曲部と、を備え、
前記ストッパ機構は、前記固定体側枠板部と、前記第1開口部側屈曲部と、を備えることを特徴とする請求項4に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項9】
前記ホルダ側枠板部は、前記固定体側第4枠板部分と対向する第2対向枠板部分に、径方向に貫通する第2開口部と、前記第2開口部の開口縁から外周側に屈曲して固定体側第4枠板部分と隙間を開けて対向する第2開口部側屈曲部と、を備え、
前記ストッパ機構は、前記第2開口部側屈曲部を備えることを特徴とする請求項8に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットの振れを補正する振れ補正機能付き光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末や移動体に搭載される光学ユニットには、携帯端末や移動体の移動時の撮影画像の乱れを抑制するために、レンズを備える可動体を揺動或いは回転させて振れを補正する機構を備えるものがある。特許文献1には、この種の振れ補正機能付き光学ユニットが開示されている。
【0003】
特許文献1の振れ補正機能付き光学ユニットは、カメラモジュールおよびカメラモジュールを保持する筒状ホルダを備える可動体と、可動体を光軸に交差し、かつ、互いに交差する二つの軸線周りに揺動可能に支持するジンバル機構と、ジンバル機構を介して可動体を支持する固定体と、可動体を揺動させる振れ補正用駆動機構と、を備える。振れ補正用駆動機構は、可動体に固定された磁石と、固定体に固定されたコイルと、を備える。磁石は、可動体の筒状ホルダの外周面に固定されている。筒状ホルダは樹脂製である。コイルは、固定体において筒状ホルダを外周側から囲むベース枠部に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
携帯端末や移動体に衝撃が加わると、これらに搭載された振れ補正機能付き光学ユニットにも衝撃が加わるので、可動体が光軸と直交する径方向に移動して可動体に保持された部品と、固定体に保持された部品とが衝突することがある。ここで、可動体と固定体との間に可動体の径方向の移動範囲を規制するストッパ機構を設ければ、可動体および固定体に搭載された部品の損傷を防止或いは抑制できる。
【0006】
ストッパ機構は、例えば、固定体に、可動体の筒状ホルダと狭い間隔で対向する対向部を設けることにより構成することができる。しかし、このようなストッパ機構では、可動体の移動範囲を規制する際に、筒状ホルダと当接部とが接触する。従って、可動体が当接部と接触することを繰り返したときに、樹脂製の筒状ホルダから、微細な塵埃が発生することがある。微細な塵埃は、カメラモジュールによる撮影に影響を及ぼすという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、可動体の径方向の移動範囲を規制する際に、可動体と固定体との接触に起因する微細な塵埃が発生することを防止或いは抑制できる振れ補正機能付き光学ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、カメラモジュールおよび当該カメラモジュールを外周側から保持するホルダを備える可動体と、前記可動体を、前記カメラモジュールの光軸と交差する第1軸回り、並びに、前記光軸および前記第1軸に交差する第2軸回りに回転可能に支持するジンバル機構と、前記ジンバル機構を介して前記可動体を支持する固定体と、前記可動体が前記光軸と直交する方向に移動する移動範囲を規制するストッパ機構と、を有し、前記固定体は、前記ホルダを径方向外
側から囲む金属製の固定体側枠板部を有し、前記ホルダは、金属製であり、前記固定体側枠板部は、径方向に貫通する貫通孔と、前記貫通孔の開口縁から屈曲して内周側に延びて前記ホルダと隙間を開けて対向する屈曲部と、を備え、前記ストッパ機構は、前記ホルダと前記屈曲部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、可動体の径方向の移動範囲を規制するストッパ機構は、可動体のホルダと、固定体の固定体側枠板部に設けた屈曲部とを備える。また、ホルダと屈曲部とは、径方向で隙間を開けて対向する。ここで、ストッパ機構では、可動体の移動範囲を規制する際にホルダと屈曲部とが接触するが、ホルダおよび屈曲部を備える固定体側枠板部は金属製である。従って、ストッパ機構が機能してホルダと屈曲部とが接触することを繰り返した場合でも、ホルダが樹脂製の場合と比較して、ホルダから微細な塵埃が発生することを抑制できる。また、ストッパ機構を構成する屈曲部は、固定体側枠板部を径方向に貫通する貫通孔の開口縁から内周側に屈曲する。すなわち、屈曲部は、固定体側枠板部に貫通孔を形成する際に、貫通孔の内側に位置する板部分の一部分を内周側に折り曲げることによって設けることができる。よって、固定体にストッパ機構を構成する屈曲部を設けることが容易である。
【0010】
本発明において、前記光軸、前記第1軸および前記第2軸とが交差する交差点は、前記可動体の内側にあり、前記屈曲部の内周側の先端面は、前記第1軸および前記第2軸を包含する仮想面と重なることが望ましい。このようにすれば、揺動する可動体に対して、屈曲部と可動体との間の隙間を狭くすることが容易である。
【0011】
本発明において、前記可動体を、前記第1軸回りおよび前記第2軸回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構を有し、前記振れ補正用磁気駆動機構は、前記固定体側枠板部に固定されたコイルと、前記ホルダに固定されて前記径方向で前記コイルと対向する磁石と、を備え、前記コイルは、前記貫通孔に挿入された状態で前記固定体側枠板部に固定され、前記屈曲部は、前記固定体側枠板部における前記貫通孔の開口縁において前記コイルに周方向で隣り合う開口縁部分から内周側に延びており、前記屈曲部の先端は、前記コイルよりも内周側に位置するものとすることができる。このようにすれば、可動体が径方向に移動したときに、可動体とコイルとが衝突することを回避できる。また、屈曲部を固定体側枠板部における貫通孔の開口縁において周方向に位置する開口縁部分から径方向内側に折り曲げたものとすれば、屈曲部の先端面を、仮想面と重ねることが容易である。
【0012】
本発明において、前記振れ補正用磁気駆動機構として、前記光軸回りの周方向で前記第1軸と前記第2軸との間に設けられた第1振れ補正用磁気駆動機構と、前記周方向で前記第1軸に対する前記第1振れ補正用磁気駆動機構とは反対側において当該第1軸と前記第2軸との間に設けられた第2振れ補正用磁気駆動機構とを備え、前記コイルとして、前記第1振れ補正用磁気駆動機構の第1コイルと、前記第2振れ補正用磁気駆動機構の第2コイルと、を備え、前記磁石として、前記径方向で前記第1コイルと対向する前記第1振れ補正用磁気駆動機構の第1磁石と、前記径方向で前記第2コイルと対向する前記第2振れ補正用磁気駆動機構の第2磁石と、を備え、前記固定体側枠板部は、前記貫通孔として、前記周方向で前記第1軸と前記第2軸との間に設けられた第1貫通孔と、前記周方向で前記第1軸に対する前記第1貫通孔とは反対側で当該第1軸と前記第2軸との間に設けられた第2貫通孔と、を備えるとともに、前記屈曲部として、前記第1貫通孔の開口縁から屈曲する第1屈曲部と、前記第2貫通孔の開口縁から屈曲する第2屈曲部と、を備え、前記第1コイルは、前記第1貫通孔に挿入されており、前記第2コイルは、前記第2貫通孔に挿入されているものとすることができる。このようにすれば、第1コイルおよび第2コイルを配置するために固定体側枠板部に設けた貫通孔を利用して、固定体側枠板部に屈曲部を設けることができる。また、光軸回りの2方向にストッパ機構を備えることができる。
【0013】
本発明において、前記可動体から外周側に引き出されたフレキシブルプリント基板を備え、前記固定体側枠板部は、前記第1貫通孔が形成された固定体側第1枠板部分と、前記光軸を間に挟んで前記固定体側第1枠板部分とは反対側に位置する固定体側第2枠板部分と、前記第2貫通孔が形成された固定体側第3枠板部分と、前記光軸を間に挟んで前記固定体側第3枠板部分とは反対側に位置する固定体側第4枠板部分と、前記固定体側第2枠板部分に設けられて前記フレキシブルプリント基板を内側から外側に通過させる基板通過孔と、前記固定体側第2枠板部分における前記基板通過孔の開口縁から内周側に屈曲して前記ホルダと隙間を開けて対向する基板通過孔側屈曲部と、を備え、前記ストッパ機構は、前記基板通過孔側屈曲部を備えるものとすることができる。このようにすれば、フレキシブルプリント基板を引き出すための基板通過孔を利用して、固定体側枠板部に屈曲部を設けることができる。また、光軸回りの3方向にストッパ機構を備えることができる。
【0014】
本発明において、前記基板通過孔は、前記固定体側第2枠板部分の前記光軸方向における反被写体側から被写体側に延びる切欠きであり、前記固定体側枠板部における前記基板通過孔の開口縁は、前記周方向に延びる被写体側開口縁部分を備え、前記基板通過孔側屈曲部は、前記被写体側開口縁部分から屈曲するものとすることができる。このようにすれば、屈曲部を、周方向で長く設けることができる。
【0015】
本発明において、前記固定体側枠板部は、前記固定体側第4枠板部分に設けられて径方向に貫通する開口部と、前記固定体側第4枠板部分における前記開口部の開口縁から内周側に屈曲して前記ホルダと隙間を開けて対向する開口部側屈曲部と、を備え、前記ストッパ機構は、前記開口部側屈曲部を備えるものとすることができる。このようにすれば、光軸回りの4方向にストッパ機構を備えることができる。
【0016】
本発明において、前記ホルダは、前記カメラモジュールを囲むホルダ側枠板部を備え、前記固定体側枠板部は、前記第1貫通孔が形成された固定体側第1枠板部分と、前記光軸を間に挟んで前記固定体側第1枠板部分とは反対側に位置する固定体側第2枠板部分と、前記第2貫通孔が形成された固定体側第3枠板部分と、前記光軸を間に挟んで前記固定体側第3枠板部分とは反対側に位置する固定体側第4枠板部分と、を備え、前記ホルダ側枠板部は、前記固定体側第2枠板部分と対向する第1対向枠板部分に、径方向に貫通する第1開口部と、前記第1開口部の開口縁から外周側に屈曲して固定体側第2枠板部分と隙間を開けて対向する第1開口部側屈曲部と、を備え、前記ストッパ機構は、前記固定体側枠板部と、前記第1開口部側屈曲部と、を備えるものとすることができる。このようにしても、光軸回りの3方向にストッパ機構を備えることができる。ここで、ストッパ機構を構成する第1開口部側屈曲部は、ホルダ側枠板部を径方向に貫通する第1開口部の開口縁から内周側に屈曲する。すなわち、屈曲部は、ホルダ側枠板部に第1開口部を形成する際に、第1開口部の内側に位置する板部分の一部分を内周側に折り曲げることによって設けることができる。よって、ホルダにストッパ機構を構成する屈曲部を設けることが容易である。
【0017】
本発明において、前記ホルダ側枠板部は、前記固定体側第4枠板部分と対向する第2対向枠板部分に、径方向に貫通する第2開口部と、前記第2開口部の開口縁から外周側に屈曲して固定体側第4枠板部分と隙間を開けて対向する第2開口部側屈曲部と、を備え、前記ストッパ機構は、前記第2開口部側屈曲部を備えるものとすることができる。このようにすれば、光軸回りの4方向にストッパ機構を備えることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、可動体の移動範囲を規制する際にホルダと屈曲部とが接触するが、ホルダおよび屈曲部を備える固定体側枠板部は金属製である。従って、ストッパ機構を構成するホルダと屈曲部とが接触することを繰り返した場合でも、ホルダから微細な塵埃が発
生することを抑制できる。また、ストッパ機構を構成する屈曲部は、固定体側枠板部を径方向に貫通する貫通孔の開口縁から内周側に屈曲するので、固定体に屈曲部を設けることが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。
【
図2】カバーを外した振れ補正機能付き光学ユニットの平面図である。
【
図3】振れ補正機能付き光学ユニットの分解斜視図である。
【
図4】ジンバルフレーム受け部材の分解斜視図である。
【
図5】ホルダ、第1磁石および第2磁石の斜視図である。
【
図6】ケース、第1コイル、第2コイルを被写体側から見た場合の斜視図である。
【
図7】ケース、第1コイル、第2コイルを反被写体側から見た場合の斜視図である。
【
図8】ジンバルフレームの側面図と、ジンバルフレームおよびジンバルフレーム受け部材の側面図である。
【
図10】変形例の振れ補正機能付き光学ユニットの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に図面を参照して、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの実施形態を説明する。
【0021】
(全体構成)
図1は、振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。
図2は、カバーを外した振れ補正機能付き光学ユニットを被写体側から見た場合の平面図である。
図3は、振れ補正機能付き光学ユニットの分解斜視図である。
図1、
図2に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、レンズ2などの光学素子を備えたカメラモジュール3を有する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ドライブレコーダー等の撮影機器、或いは、ヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等の移動体に搭載されるアクションカメラやウエアラブルカメラに搭載される。これらの光学機器では、撮影時に光学機器が傾くと、カメラモジュール3が傾いて、撮影画像が乱れる。振れ補正機能付き光学ユニット1は、撮影画像の乱れを回避するために、ジャイロスコープ等の検出手段によって検出された加速度や角速度、振れ量等に基づいて、カメラモジュール3の傾きを補正する。
【0022】
以下の説明では、互いに直交する3軸をX軸、Y軸、Z軸とする。また、X軸に沿った方向をX軸方向、X軸方向の一方側を-X方向、他方側を+X方向とする。Y軸に沿った方向をY軸方向、Y軸方向の一方側を-Y方向、他方側を+Y方向とする。Z軸に沿った方向をZ軸方向、Z軸方向の一方側を-Z方向、他方側を+Z方向とする。Z軸方向は、カメラモジュール3の光軸Lに沿った光軸L方向である。-Z方向は、光軸L方向の一方であり、第1方向である。+Z方向は、光軸L方向の他方であり、第2方向である。また、-Z方向(第1方向)は、カメラモジュール3の像側であり、+Z方向は、カメラモジュール3の被写体側である。-Z方向は、カメラモジュール3の反被写体側である。
【0023】
図1に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、カメラモジュール3を備えた可動体4と、可動体4を回転可能に支持するジンバル機構5と、ジンバル機構5を介して可動体4を支持する固定体6と、固定体6に対して可動体4を揺動させる振れ補正用磁気駆動機構7を備える。振れ補正機能付き光学ユニット1は、カメラモジュール3の光軸Lと交差し、且つ、互いに交差する2軸回りに可動体4を揺動させて振れ補正を行う。本例では、振れ補正機能付き光学ユニット1は、カメラモジュール3の光軸Lと直交し、且つ、互いに直交する2軸回りに可動体4を揺動させて振れ補正を行う。すなわち、振れ補正
機能付き光学ユニット1では、X軸回りの振れ補正と、Y軸回りの振れ補正と、を行うことにより、ピッチング方向の振れ補正、および、ヨーイング方向の振れ補正を行う。
【0024】
可動体4は、ジンバル機構5により、光軸Lと直交する第1軸R1回りに回転可能に支持されるとともに、光軸Lおよび第1軸R1と直交する第2軸R2回りに回転可能に支持される。第1軸R1および第2軸R2は、X軸およびY軸に対して45度傾斜する。第1軸R1回りの回転および第2軸R2回りの回転を合成することにより、可動体4は、X軸回りおよびY軸回りに回転する。以下、第1軸R1と一致する軸方向を第1軸方向とし、第2軸R2と一致する軸方向を第2軸方向とする。可動体4には、フレキシブルプリント基板110が接続されている。フレキシブルプリント基板110は、+X方向に引き出されている。
【0025】
図2、
図3に示すように、ジンバル機構5は、ジンバルフレーム10と、可動体4の第1軸R1上の対角位置に設けられる可動体側接続機構11と、固定体6の第2軸R2上の対角位置に設けられる固定体側接続機構12と、を備える。ジンバルフレーム10は、金属製の板ばねである。可動体側接続機構11は、ジンバルフレーム10および可動体4を第1軸R1回りに回転可能に接続する。固定体側接続機構12は、ジンバルフレーム10および固定体6を第2軸R2回りに回転可能に接続する。
【0026】
図4は、ジンバルフレーム受け部材17の分解斜視図である。
図4(a)は、径方向外側から見た分解斜視図であり、
図4(b)は、径方向内側から見た分解斜視図である。可動体側接続機構11は、金属製の球体15および当該球体15が固定された金属製のスラスト受け部材16を備えるジンバルフレーム受け部材17と、ジンバルフレーム10において球体15と接触する凹曲面19を有する支持部20と、を備える。ジンバルフレーム受け部材17は、可動体4に設けられた保持部13に保持される。固定体側接続機構12は、金属製の球体15および当該球体15が固定された金属製のスラスト受け部材16を備えるジンバルフレーム受け部材17と、ジンバルフレーム10において球体15と接触する凹曲面19を有する支持部20と、を備える。ジンバルフレーム受け部材17は、固定体6に設けられた切欠き部14に保持される。
図4に示すように、ジンバルフレーム受け部材17は、球体15の中心が第1軸R1上もしくは第2軸R2上に配置されるように保持される。
【0027】
ここで、可動体4の保持部13に保持されるジンバルフレーム受け部材17を可動体側ジンバルフレーム受け部材とし、固定体6の切欠き部14に保持されるジンバルフレーム受け部材17を固定体側ジンバルフレーム受け部材とする場合に、可動体側ジンバルフレーム受け部材と固定体側ジンバルフレーム受け部材とは同一の部材なので、同一の符号17を付して説明する。また、ジンバルフレーム10において、可動体4に保持されたジンバルフレーム受け部材17(可動体側ジンバルフレーム受け部材)と接触する凹曲面19を有する支持部20を可動体側支持部とし、固定体6に保持されたジンバルフレーム受け部材17(固定体側ジンバルフレーム受け部材)と接触する凹曲面19を有する支持部20を固定体側支持部とする場合に、可動体側支持部と固定体側支持部とは同一の構成を備えるので、同一の符号20を付して説明する。
【0028】
図2に示すように、振れ補正用磁気駆動機構7は、可動体4をX軸回りに回転させる駆動力を発生させる第1振れ補正用磁気駆動機構7Xと、可動体4をY軸回りに回転させる駆動力を発生させる第2振れ補正用磁気駆動機構7Yを備える。第1振れ補正用磁気駆動機構7Xは、可動体4の-Y方向側に配置される。第2振れ補正用磁気駆動機構7Yは、可動体4の-X方向側に配置される。
図3に示すように、第1振れ補正用磁気駆動機構7Xは、1組の第1磁石25Xおよび第1コイル26Xを備える。第2振れ補正用磁気駆動機構7Yは、1組の第2磁石25Yおよび第2コイル26Yを備える。第1振れ補正用磁
気駆動機構7Xの第1磁石25Xおよび第1コイル26Xは、Y軸方向で対向する。第2振れ補正用磁気駆動機構7Yの第2磁石25Yおよび第2コイル26Yは、X軸方向で対向する。本例では、第1磁石25X、第2磁石25Yは可動体4に配置され、第1コイル26Xおよび第2コイル26Yは固定体6に配置される。なお、第1磁石25X、第2磁石25Yを固定体6に配置し、第1コイル26Xおよび第2コイル26Yを可動体4に配置することもできる。
【0029】
(可動体)
図5は、ホルダ、第1磁石25Xおよび第2磁石25Yを-Z方向から見た場合の斜視図である。
図3に示すように、可動体4は、カメラモジュール3と、カメラモジュール3を囲む枠状のホルダ31と、を備える。カメラモジュール3は、Z軸方向から見た場合の形状が8角形の本体部3aと、本体部3aの中央部分から+Z方向に突出する鏡筒部3bと、本体部3aの-Z方向の端部に配置される基板3cと、を備える。また、カメラモジュール3は、鏡筒部3bに保持されるレンズ2と、基板3cに搭載される撮像素子(不図示)を備える。撮像素子は本体部3aに収容され、レンズ2の光軸L上に配置される。本体部3aは、外周側へ突出する複数の突出部30を備える。突出部30は、+Y方向の側面および-Y方向の側面の-Z方向の端部にそれぞれ2箇所ずつ形成されている。
【0030】
ホルダ31は、金属製である。また、ホルダ31は、磁性材料からなる。
図5に示すように、ホルダ31は、カメラモジュール3を外周側から囲むホルダ側枠板部32と、ホルダ側枠板部32の-Z方向の端から屈曲して外周側に突出するフランジ部33と、を備える。
【0031】
ホルダ側枠板部32は、径方向に厚み方向を向けた板状の枠体である。
図3、
図5に示すように、ホルダ側枠板部32は、カメラモジュール3の-X方向でカメラモジュール3の本体部3aの側面に沿ってY軸方向に延びるホルダ側第1枠板部分35、およびカメラモジュール3の+X方向で本体部3aの側面に沿ってY軸方向に延びるホルダ側第2枠板部分36を備える。また、ホルダ側枠板部32は、カメラモジュール3の-Y方向で本体部3aの側面に沿ってX軸方向に延びるホルダ側第3枠板部分37、およびカメラモジュール3の+Y方向で本体部3aの側面に沿ってX軸方向に延びるホルダ側第4枠板部分38を備える。言い換えれば、ホルダ側枠板部32は、周方向で第1軸R1と第2軸R2との間に位置するホルダ側第1枠板部分35、光軸Lを間に挟んでホルダ側第1枠板部分35とは反対側に位置するホルダ側第2枠板部分36、周方向で第1軸R1に対するホルダ側第1枠板部分35とは反対側であって当該第1軸R1と第2軸R2との間に位置するホルダ側第3枠板部分37、および光軸Lを間に挟んでホルダ側第3枠板部分37と反対側に位置するホルダ側第4枠板部分38と、を備える。
【0032】
また、ホルダ側枠板部32は、ホルダ側第1枠板部分35とホルダ側第3枠板部分37とを接続するホルダ側第5枠板部分39と、ホルダ側第5枠板部分39の第1軸R1方向の対角位置でホルダ側第2枠板部分36とホルダ側第4枠板部分38とを接続するホルダ側第6枠板部分40と、ホルダ側第1枠板部分35とホルダ側第4枠板部分38とを接続するホルダ側第7枠板部分と、ホルダ側第7枠板部分に対する第2軸R2方向の対角位置でホルダ側第4枠板部分38とホルダ側第2枠板部分36とを接続するホルダ側第8枠板部分42と、を備える。ホルダ側第5枠板部分39およびホルダ側第6枠板部分40は、第1軸R1方向を外側に張り出している。すなわち、ホルダ側第5枠板部分39およびホルダ側第6枠板部分40は、Z軸方向から見た場合に、第1軸R1方向を外周側に突出した後に、周方向に延びて、第1軸R1方向を内周側に屈曲する屈曲形状を備える。ここで、
図3に示すように、ホルダ31にカメラモジュール3を装着すると、ホルダ側第5枠板部分39およびホルダ側第6枠板部分40と、カメラモジュール3において第1軸R1方向の両側に位置する側面部分との間には、空間が形成される。ホルダ側第5枠板部分39
およびホルダ側第6枠板部分40とカメラモジュール3との間の空間は、可動体側接続機構11のジンバルフレーム受け部材17(可動体側ジンバルフレーム受け部材)を保持する保持部13である。ホルダ側第5枠板部分39およびホルダ側第6枠板部分40に保持されたジンバルフレーム受け部材17は、保持部13の内側に配置される。
【0033】
さらに、ホルダ側枠板部32は、ホルダ側第3枠板部分37およびホルダ側第4枠板部分38の-Z方向の縁を+Z方向に切り欠いた位置決め凹部43を備える。可動体4を組み立てる際、ホルダ31の内側へ-Z方向(像側)からカメラモジュール3を挿入する。その際、カメラモジュール3の突出部30がホルダ31の位置決め凹部43に挿入され、突出部30が位置決め凹部の+Z方向の縁に当接する。これにより、カメラモジュール3がホルダ31に対してZ軸方向(光軸L方向)に位置決めされる。また、ホルダ側枠板部32は、ホルダ側第2枠板部分36の-Z方向の縁を+Z方向に切り欠いた切欠き凹部44を備える。切欠き凹部44は、カメラモジュール3から+X方向に引き出されるフレキシブルプリント基板110とホルダ31との干渉を避けるために設けられている。
【0034】
次に、フランジ部33は、
図5に示すように、ホルダ側枠板部32の-Z方向の端において、位置決め凹部43および切欠き凹部44を避けた位置に設けられている。フランジ部33は、ホルダ側第1枠板部分35から屈曲する第1枠板部分フランジ部33a、ホルダ側第2枠板部分36から屈曲する第2枠板部分フランジ部33b、ホルダ側第3枠板部分37から屈曲する第3枠板部分フランジ部33c、ホルダ側第4枠板部分37から屈曲する第4枠板部分フランジ部33dを備える。また、フランジ部33は、ホルダ側第5枠板部分39から屈曲する第5枠板部分フランジ部33e、ホルダ側第6枠板部分40から屈曲する第6枠板部分フランジ部33f、ホルダ側第7枠板部分から屈曲する第7枠板部分フランジ部33g、およびホルダ側第8枠板部分42から屈曲する第8枠板部分フランジ部33h、を備える。第5枠板部分フランジ部33eは、屈曲形状を備えるホルダ側第5枠板部分39の-Z方向の端の全域から外周側に突出する。第6枠板部分フランジ部33fは、屈曲形状を備えるホルダ側第6枠板部分40の-Z方向の端の全域から外周側に突出する。第7枠板部分フランジ部33gは、ホルダ側第7枠板部分41の-Z方向の端の全域から外周側に突出する。第8枠板部分フランジ部33hは、ホルダ側第8枠板部分42の-Z方向の端の全域から外周側に突出する。
【0035】
第1枠板部分フランジ部33a、第3枠板部分フランジ部33c、および第4枠板部分フランジ部33dが外周側に突出する突出量は、第2枠板部分フランジ部33b、第5枠板部分フランジ部33e、第6枠板部分フランジ部33f、第7枠板部分フランジ部33g、および第8枠板部分フランジ部33hが外周側に突出する突出量よりも大きい。また、第1枠板部分フランジ部33a、第3枠板部分フランジ部33c、および第4枠板部分フランジ部33dの-Z方向の端面は、光軸Lと垂直な平面である。ここで、第1枠板部分フランジ部33a、第2枠板部分フランジ部33b、第3枠板部分フランジ部33c、第4枠板部分フランジ部33d、第5枠板部分フランジ部33e、第6枠板部分フランジ部33f、第7枠板部分フランジ部33g、および第8枠板部分フランジ部33hの-Z方向の端は、光軸Lと垂直な一つの垂直面上に位置する。
【0036】
ホルダ側第1枠板部分35の外側面には、第2振れ補正用磁気駆動機構7Yの第2磁石25Yが固定される。ホルダ側第3枠板部分37の外側面には、第1磁石25Xが固定される。ホルダ31は磁性材料からなり、第1磁石25X、第2磁石25Yに対するヨークとして機能する。第1磁石25X、第2磁石25Yは、径方向外側を向く面の磁極が、Z軸方向の中央を周方向に延びる着磁分極線を境にして異なるように着磁されている。
【0037】
ここで、ホルダ側第1枠板部分35から屈曲する第1枠板部分フランジ部33aには、+Z方向から第2磁石25Yが当接する。また、ホルダ側第3枠板部分37から屈曲する
第3枠板部分フランジ部33cには、+Z方向から第1磁石25Xが当接する。これにより、第2磁石25Yおよび第1磁石25Xは、Z軸方向で位置決めされた状態でホルダ31に固定される。また、ホルダ31は金属製であり、ホルダ側枠板部32は深絞り加工などによって形成される。従って、フランジ部33は、ホルダ側枠板部32を形成する加工工程において、容易に設けることができる。
【0038】
(固定体)
図6は、ケース、第1コイル26Xおよび第2コイル26Yを+Z方向から見た場合の斜視図である。
図7は、ケース、第1コイル26Xおよび第2コイル26Yを-Z方向から見た場合の斜視図である。
図1、
図3に示すように、固定体6は、枠状のケース50と、ケース50に+Z方向の側から被せられた第1カバー8と、ケース50を-Z方向の側から覆うベース9と、を備える。固定体6には、フレキシブルプリント基板60に固定された第1コイル26Xおよび第2コイル26Yが保持される。ケース50は、可動体4の外周側を径方向外側から囲む矩形枠状である。ケース50は、金属製の平板部材である、第1カバー8、およびベース9は金属製であり、非磁性である。ベース9は、平板部材である。ケース50、第1カバー8、およびベース9は、溶接により互いに固定される。第1カバー8は、略矩形の開口部を備えている。
図1に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、ジンバルフレーム10の一部が、第1カバー8の開口部から+Z方向に突出する。また、ジンバルフレーム10の径方向の中央に設けられた中央穴73からは、カメラモジュール3の鏡筒部3bが+Z方向に突出する。
【0039】
図6に示すように、ケース50は、ホルダ31を径方向外側から囲む固定体側枠板部46と、固定体側枠板部46の-Z方向の端から屈曲して内周側に突出する固定体側フランジ部47と、を備える。固定体側枠板部46は、径方向に厚み方向を向けた板状の枠体である。固定体側枠板部46は、可動体4の-X方向でY軸方向に延びる固定体側第1枠板部分51、可動体4の+X方向でY軸方向に延びる固定体側第2枠板部分52、可動体4の-Y方向でX軸方向に延びる固定体側第3枠板部分53、および可動体4の+Y方向でX軸方向に延びる固定体側第4枠板部分54を備える。固定体側枠板部46において、固定体側第1枠板部分51と固定体側第4枠板部分54との間は、固定体側第1枠板部分51および固定体側第4枠板部分54に対して45°傾斜した固定体側第5枠板部分55により接続されている。また、固定体側第2枠板部分52と固定体側第3枠板部分53との間は、固定体側第2枠板部分52および固定体側第3枠板部分53に対して45°傾斜した固定体側第6枠板部分56により接続されている。さらに、固定体側第1枠板部分51と固定体側第3枠板部分53との間は、固定体側第1枠板部分51および固定体側第3枠板部分53に対して45°傾斜した固定体側第7枠板部分57により接続されている。固定体側第5枠板部分55と固定体側第6枠板部分56とは、第2軸R2方向で対向する。
【0040】
図3、
図6に示すように、固定体側第5枠板部分55および固定体側第6枠板部分56には、固定体側接続機構12のジンバルフレーム受け部材17(固定体側ジンバルフレーム受け部材)を保持するための切欠き部14が形成されている。切欠き部14は、ケース50における第2軸R2方向の対角位置に配置される。各切欠き部14は、ケース50の+Z方向の縁から-Z方向へ切り欠かれている。
【0041】
固定体側第1枠板部分51および固定体側第3枠板部分53には、コイル配置穴58が設けられている。各コイル配置穴58は、貫通穴であり、それぞれ第1振れ補正用磁気駆動機構7Xの第1コイル26X、および、第2振れ補正用磁気駆動機構7Yの第2コイル26Yが配置される。第1コイル26Xおよび第2コイル26Yは、周方向に長い長円形の空芯コイルであり、+Z方向側および-Z方向側に位置する2本の長辺が有効辺として利用される。
図3に示すように、固定体側第1枠板部分51および固定体側第3枠板部分53の径方向外側には、フレキシブルプリント基板60が固定されている。フレキシブル
プリント基板60は、固定体側第3枠板部分53のコイル配置穴58に対して径方向外側から重なる第1基板部分61、および、固定体側第1枠板部分51のコイル配置穴58に対して径方向外側から重なる第2基板部分62を備える。第1基板部分61には、第1コイル26Xが固定され、第2基板部分62に第2コイル26Yが固定される。第1コイル26Xおよび第2コイル26Yは、フレキシブルプリント基板60に電気的に接続されている。
【0042】
第1基板部分61および第2基板部分62には、それぞれ、矩形の磁性板64が配置される。第1基板部分61に配置された磁性板64は、第1磁石25Xと対向しており、可動体4をX軸回りの回転方向における基準回転位置に復帰させるための磁気バネを構成する。また、第2基板部分62に配置された磁性板64は、第2磁石25Yと対向しており、可動体4をY軸回りの回転方向における基準回転位置に復帰させるための磁気バネを構成する。また、第1コイル26Xおよび第2コイル26Yの中心穴と重なる位置には、磁気センサ65が配置される。磁気センサ65は、例えば、ホール素子である。振れ補正機能付き光学ユニット1は、第1コイル26Xの中心に配置される磁気センサ65の出力から、可動体4のX軸回りの揺動角度を検出する。また、第2コイル26Yの中心に配置される磁気センサ65の出力から、可動体4のY軸回りの揺動角度を検出する。
【0043】
固定体側第2枠板部分52には、基板通過孔59が設けられている。基板通過孔59は、固定体側第2枠板部分52の-Z方向から+Z方向に延びる矩形の切欠きである。カメラモジュール3から+X方向に引き出されたフレキシブルプリント基板110は、基板通過孔59を介して、ケース50の外側に引き出される。
【0044】
次に、固定体側フランジ部47は、固定体側枠板部46の-Z方向の端において、基板通過孔59を除く全周に亘って設けられている。ベース9は、固定体側フランジ部47の-Z方向の端面に固定されている。
【0045】
(ジンバルフレーム)
図2、
図3に示すように、ジンバルフレーム10は、Z軸方向から見て略正方形のジンバルフレーム本体部70と、ジンバルフレーム本体部70における第1軸R1方向の対角位置から径方向外側に向かって-Z方向に屈曲してZ軸方向に延びる第1ジンバルフレーム延設部71と、ジンバルフレーム本体部70における第2軸R2方向の対角位置から径方向外側に向かって-Z方向に屈曲してZ軸方向に延びる第2ジンバルフレーム延設部72と、を備える。ジンバルフレーム本体部70の中央には、ジンバルフレーム本体部70を貫通する中央穴73が設けられている。
図2に示すように、ジンバルフレーム本体部70は、Z軸方向から見た場合にカメラモジュール3の本体部3aと重なる。
【0046】
図8(a)は、ジンバルフレーム10の側面図であり、第1軸R1方向から見た図である。
図8(b)は、ジンバルフレーム10およびジンバルフレーム受け部材17の側面図であり、第2軸R2方向から見た図である。
図3、
図8に示すように、ジンバルフレーム本体部70は、第2軸R2方向の中央で第1軸R1方向に延びる長方形形状の中央板部分75と、中央板部分75から第2軸R2方向の両側に向かって+Z方向に傾斜する台形形状の一対の角板部分76を備える。ジンバルフレーム本体部70は、第2軸R2方向の角板部分76が中央板部分75よりも可動体4から離間している。従って、ジンバルフレーム10の-Z方向側で可動体4が第1軸R1回りに回転して可動体4の第2軸R2方向の両端がZ軸方向に移動した場合においても、可動体4とジンバルフレーム10とが衝突することを回避できる。
【0047】
図3、
図8に示すように、第1ジンバルフレーム延設部71は、ジンバルフレーム本体部70の中央板部分75から第1軸R1方向に向かって-Z方向に傾斜する第1ジンバル
フレーム延設部第1延設部分81と、第1ジンバルフレーム延設部第1延設部分81の-Z方向でZ軸方向に延びる第1ジンバルフレーム延設部第2延設部分82とを備える。第1ジンバルフレーム延設部71は、第1ジンバルフレーム延設部第2延設部分82の-Z方向の先端に、可動体側接続機構11を構成する支持部20(可動体側支持部)を備える。支持部20は、径方向外側の端面の周方向の中央部分に、径方向内側に窪む凹曲面19を備える。
【0048】
第1ジンバルフレーム延設部71の先端に設けられた支持部20(可動体側支持部)は、周方向の中央部分に、径方向内側に突出する凸部21を備える。凸部21は、第1ジンバルフレーム延設部第2延設部分82にプレス加工によって形成されている。凹曲面19は、凸部21に形成されている。また、凸部21には、凹曲面19とは反対側に凸曲面18が形成されている。また、支持部20(可動体側支持部)は、凸部21から周方向の両側へ延びる縁部22を備える。縁部22は、凸部21の周方向の両側において、凸部21を中心として同心円状に形成されている。ここで、凹曲面19は、可動体側接続機構11を構成する球体15の曲率半径よりも曲率半径が大きい。また、第1ジンバルフレーム延設部第2延設部分82は、支持部20の+Z方向に、周方向の幅が支持部20よりも狭い通過部84を備える。
【0049】
図3、
図8に示すように、第2ジンバルフレーム延設部72は、ジンバルフレーム本体部70の一対の角板部分76のそれぞれから第2軸R2方向に向かって-Z方向に傾斜する第2ジンバルフレーム延設部第1延設部分85と、第2ジンバルフレーム延設部第1延設部分85の-Z方向の端からZ軸方向に延びる第2ジンバルフレーム延設部第2延設部分86とを備える。第2ジンバルフレーム延設部72は、第2ジンバルフレーム延設部72第2延設部の第1方向の先端に、固定体側接続機構12を構成する支持部20(固定体側支持部)を備える。支持部20は、径方向外側の端面の周方向の中央部分に、径方向内側に窪む凹曲面19を備える。
【0050】
第2ジンバルフレーム延設部72の先端に設けられた支持部20(固定体側支持部)は、第1ジンバルフレーム延設部71の先端に設けられた支持部20(可動体側支持部)と同一形状である。すなわち、第2ジンバルフレーム延設部72の先端において、支持部20(固定体側支持部)は、周方向の中央部分に、径方向内側に突出する凸部21を備える。凸部21は、第2ジンバルフレーム延設部第2延設部分86にプレス加工によって形成されている。凹曲面19は、凸部21に形成されている。また、凸部21には、凹曲面19とは反対側に凸曲面18が形成されている。また、支持部20(可動体側支持部)は、凸部21から周方向の両側へ延びる縁部22を備える。縁部22は、凸部21の周方向の両側において、凸部21を中心として同心円状に形成されている。凹曲面19は、固定体側接続機構12を構成する球体15の曲率半径よりも曲率半径が大きい。また、第2ジンバルフレーム延設部第2延設部分86は、支持部20の+Z方向に、周方向の幅が支持部20よりも狭い通過部84を備える。
【0051】
ここで、各第1ジンバルフレーム延設部71の支持部20(可動体側支持部)には、可動体4の各保持部13に保持されたジンバルフレーム受け部材17(可動体側ジンバルフレーム受け部材)の球体15が接触する。これにより、
図2に示すように、ジンバルフレーム10と可動体4とを第1軸R1回りに回転可能に接続する可動体側接続機構11が構成される。より具体的には、可動体4の保持部13は、ジンバルフレーム受け部材17(可動体側ジンバルフレーム受け部材)を、第1軸R1が球体15の中心を通過する位置に保持する。第1ジンバルフレーム延設部71の支持部20の凹曲面19には、第1軸R1方向から球体15が部分的に挿入される。これにより、凹曲面19と球体15とが第1軸R1線上で点接触する状態となるので、可動体4とジンバルフレーム10とは、第1軸R1線回りに回転可能な状態で接続される。
【0052】
また、第2ジンバルフレーム延設部72の支持部20(固定体側支持部)には、固定体6の切欠き部14に保持されたジンバルフレーム受け部材17の球体15が接触する。これにより、
図2に示すように、ジンバルフレーム10と固定体6とを第2軸R2回りに回転可能に接続する。固定体側接続機構12が構成される。より具体的には、固定体6の切欠き部14は、ジンバルフレーム受け部材17(固定体側ジンバルフレーム受け部材)を、第2軸R2が球体15の中心を通過する位置に保持する。第2ジンバルフレーム延設部72の支持部20の凹曲面19には、第2軸R2方向から球体15が部分的に挿入される。これにより、凹曲面19と球体15とが第2軸R2線上において点で接触する状態となるので、固定体6とジンバルフレーム10とは、第2軸R2線回りに回転可能な状態で接続される。
【0053】
(振れ補正機能付き光学ユニットの組み立て)
振れ補正機能付き光学ユニット1を組み立てる際には、可動体側接続機構11のジンバルフレーム受け部材17(可動体側ジンバルフレーム受け部材)は、
図8(b)に示すように、第1ジンバルフレーム延設部71の支持部20の凹曲面19を球体15に接触させた状態とされ、第1ジンバルフレーム延設部第2延設部分82と一緒に、+Z方向の側から保持部13に挿入される。第1ジンバルフレーム延設部71は、ジンバルフレーム10の第1軸R1方向の対角位置の2箇所に設けられている。2箇所の第1ジンバルフレーム延設部71をホルダ31の第1軸R1方向の対角位置に設けられた2箇所の保持部13へ挿入する際、第1ジンバルフレーム延設部71が内周側へ撓むように構成することで、第1ジンバルフレーム延設部71は外周側へ付勢される。これにより、ジンバルフレーム受け部材17には、球体15を介して第1ジンバルフレーム延設部71からの付勢力が作用する。従って、保持部13を構成するホルダ側第5枠板部分39およびホルダ側第6枠板部分40は、スラスト受け部材16の板部91にジンバルフレーム10の支持部20とは反対側から接触する。
【0054】
また、固定体側接続機構12のジンバルフレーム受け部材17(固定体側ジンバルフレーム受け部材)は、
図8(b)に示すように、第2ジンバルフレーム延設部72の支持部20の凹曲面19を球体15に接触させた状態とされ、+Z方向の側から切欠き部14に挿入される。このとき、スラスト受け部材16の板部91は切欠き部14の外周側に配置され、一対の腕部94および足部92が切欠き部14の内側へ挿入される
【0055】
固定体側接続機構12は、可動体側接続機構11の場合と同様に、ケース50の第1軸R1方向の対角位置に設けられた2箇所の切欠き部14へ第2ジンバルフレーム延設部72およびジンバルフレーム受け部材17を挿入する際、第2ジンバルフレーム延設部72が内周側へ撓むように構成されており、ジンバルフレーム受け部材17(固定側ジンバルフレーム受け部材)には、第2ジンバルフレーム延設部72から外周側へ付勢する付勢力が作用する。従って、
図6に示すように、スラスト受け部材16の一対の腕部94および足部92の先端が、切欠き部14の縁に係止される。
【0056】
可動体側接続機構11および固定体側接続機構12が構成されると、可動体4は、光軸L、第1軸R1および第2軸R2とが交差する交差点P(
図9参照)を中心に揺動可能となる。交差点Pは、第1磁石25Xおよび第2磁石25Yの径方向内側に位置する。また、交差点Pは、第1コイル26Xおよび第2コイル26Yの径方向内側に位置する。本例では、第1磁石25X、第2磁石25Y、第1コイル26Xおよび第2コイル26Yは、第1軸R1および第2軸R2を包含する仮想面Sと重なる。仮想面Sは、交差点Pを通過して光軸Lと垂直な面である。
【0057】
(ストッパ機構)
図9は、
図2のA-A線断面図であり、第1ストッパ機構および第2ストッパ機構の説明図である。ここで、振れ補正機能付き光学ユニット1を搭載する光学機器に外部から衝撃が加わった場合には、振れ補正機能付き光学ユニット1にも衝撃が加わる。振れ補正機能付き光学ユニット1に衝撃が加わると、可動体4が光軸Lと直交する径方向に移動して可動体4に保持された部品と、固定体に保持された部品とが衝突することがある。例えば、径方向で対向する第1磁石25Xおよび第1コイル26X、或いは、第2磁石25Yおよび第2コイル26Yが衝突すると、第1コイル26Xおよび第2コイル26Yが損傷して、断線などが発生するという問題がある。また、可動体4が径方向に過度に移動すると、可動体4を支持するジンバルフレーム10に塑性変形を発生させる可能性がある。このような問題に対して、振れ補正機能付き光学ユニット1は、可動体4と固定体との間に可動体4の径方向の移動範囲を規制する第1ストッパ機構111を備える。
【0058】
また、振れ補正機能付き光学ユニット1に衝撃が加わった場合には、可動体4が-Z方向に過度に移動する場合がある。可動体4が-Z方向に過度に移動すると、可動体4を支持するジンバルフレーム10を塑性変形させる可能性がある。このような問題に対して、振れ補正機能付き光学ユニット1は、可動体4と固定体との間に可動体4の-Z方向の移動範囲を規制する第2ストッパ機構112を備える。
【0059】
(第1ストッパ機構)
第1ストッパ機構111は、可動体4のホルダ31と、固定体6の固定体側枠板部46に設けられた複数の屈曲部115a~115dと、を備える。
図6、
図7、
図9に示すように、複数の屈曲部115のそれぞれは、固定体側枠板部46を径方向に貫通する貫通孔の開口縁から屈曲して内周側に延び、ホルダ31と隙間を開けて対向する。
【0060】
図6、
図7に示すように、固定体側枠板部46は、貫通孔として、固定体側第1枠板部分51および固定体側第3枠板部分53にそれぞれ設けられた2つのコイル配置穴58を備える。各コイル配置穴58は、周方向に長い長方形形状を備える。
図2、
図6に示すように、固定体側第1枠板部分51に設けられたコイル配置穴58(第1貫通孔)の開口縁において、当該コイル配置穴58に配置される第2コイル26Yに周方向の両側で隣り合う一対の開口縁部分には、当該開口縁部分から屈曲して内周側に延びる一対の第1屈曲部115aが設けられている。すなわち、固定体側第1枠板部分51に設けられたコイル配置穴58の開口縁において、周方向で対向する一対の開口縁部分には、それぞれ第1屈曲部115aが設けられている。各第1屈曲部115aは、コイル配置穴58に配置された第2コイル26Yよりも内周側に突出する。
【0061】
また、
図2、
図7に示すように、固定体側第3枠板部分53に設けられたコイル配置穴58(第2貫通孔)の開口縁において、当該コイル配置穴58に配置された第1コイル26Xに周方向の両側で隣り合う開口縁部分には、当該開口縁部分から屈曲して内周側に延びる一対の第2屈曲部115bが設けられている。すなわち、固定体側第3枠板部分53に設けられたコイル配置穴58の開口縁において、周方向で対向する一対の開口縁部分には、それぞれ第2屈曲部115bが設けられている。各第2屈曲部115bは、コイル配置穴58に配置された第1コイル26Xよりも内周側に突出する。
【0062】
ここで、第1屈曲部115aおよび第2屈曲部115bは、それぞれ、固定体側枠板部46にコイル配置穴58を形成する際に、コイル配置穴58の内側に位置する板部分の一部分を内周側に向かって周方向に折り曲げることによって設けられている。従って、一対の第1屈曲部115aは、板状であり、その厚み方向をY軸方向に向けている。また、一対の第2屈曲部115bは、板状であり、その厚み方向をX軸方向に向けている。
【0063】
図9に示すように、一対の第1屈曲部115aのそれぞれをY軸方向から見た場合の形
状は、内周側に先細りする台形である。各第1屈曲部115aの内周側の先端面は、第1軸R1および第2軸R2を包含する仮想面Sと重なる。仮想面Sは、光軸L、第1軸R1および第2軸R2とが交差する交差点Pを通過して光軸Lと垂直な面である。一対の第1屈曲部115aのうち+Y方向に位置する第1屈曲部115aは、ホルダ31のホルダ側第1枠板部分35にX軸方向から隙間を開けて対向する。
図2に示すように、一対の第1屈曲部115aのうち-Y方向に位置する第1屈曲部115aは、第1軸R1方向を外周側へ張り出したホルダ側第5枠板部分39にX軸方向から隙間を開けて対向する。-Y方向に位置する第1屈曲部115aは、+Y方向に位置する第1屈曲部115aと比較して、固定体側第1枠板部分51からの突出量が小さい。
【0064】
一対の第2屈曲部115bのそれぞれをX軸方向から見た場合の形状は、第1屈曲部115aと同様に、内周側に向かって先細りする台形である。各第2屈曲部115bの内周側の先端面は、仮想面Sと重なる。一対の第2屈曲部115bのうち+X方向に位置する第2屈曲部115bは、ホルダ31のホルダ側第3枠板部分37にY軸方向から隙間を開けて対向する。一対の第1屈曲部115aのうち-X方向に位置する第1屈曲部115aは、第1軸R1方向を外周側へ張り出したホルダ側第5枠板部分39にY軸方向から隙間を開けて対向する。-Y方向に位置する第2屈曲部115bは、+Y方向に位置する第2屈曲部115bと比較して、固定体側第3枠板部分53からの突出量が小さい。
【0065】
また、固定体側枠板部46は、貫通孔として、固定体側第2枠板部分52に設けられた基板通過孔59を備える。
図6、
図7に示すように、基板通過孔59は、固定体側第2枠板部分52の-Z方向から+Z方向に延びる矩形の切欠きである。従って、基板通過孔59の開口縁は、周方向に延びる被写体側開口縁部分59aと、被写体側開口縁部分59aの+Y方向の端から固定体側第2枠板部分52の-Z方向の端縁に向かって延びる一方側開口縁部分59bと、被写体側開口縁部分59aの-Y方向の端から固定体側第2枠板部分52の-Z方向の端縁に向かって延びる他方側開口縁部分59cとを備える。被写体側開口縁部分59aには、第3屈曲部115c(基板通過孔側屈曲部)が設けられている。第3屈曲部115cは、Y軸方向に一定幅で延びる矩形板状であり、厚み方向をZ軸方向に向けている。
図2に示すように、第3屈曲部115cは、ホルダ31のホルダ側第2枠板部分36にX軸方向から隙間を開けて対向する。
図9に示すように、第2屈曲部115bの内周側の先端面は、第1軸R1および第2軸R2を包含する仮想面Sと重なる。
【0066】
さらに、
図6、
図7に示すように、固定体側枠板部46は、貫通孔として、固定体側第4枠板部分54に設けられた2つの開口部116を備える。2つの開口部116は、X軸方向で離間する位置に設けられている。各開口部116は、矩形形状である。開口部116の開口縁において、+Z方向の側でX軸方向に延びる開口縁部分には、第4屈曲部115d(開口部側屈曲部)が設けられている。第4屈曲部115dは、開口部116を形成していた板部分を、内周側に向かって+Z方向に折り曲げることにより設けられている。従って、第4屈曲部115dは、厚み方向をZ軸方向に向けている。
図2に示すように、第4屈曲部115dは、ホルダ31のホルダ側第4枠板部分38にY軸方向から隙間を開けて対向する。第4屈曲部115dの内周側の先端面は、第1軸R1および第2軸R2を包含する仮想面Sと重なる。
【0067】
ここで、衝撃などに起因して可動体4が-X方向に移動した場合には、固定体側枠板部46に設けた第1屈曲部115aと、可動体4のホルダ31とが接触して、可動体4がそれ以上-X方向に移動することを阻止する。従って、ホルダ31に搭載された第2磁石25Yと固定体6に搭載された第2コイル26Yとが衝突することを回避できる。また、衝撃などに起因して可動体4が+X方向に移動した場合には、ケース50に設けた第3屈曲部115cと、可動体4のホルダ31とが接触して、可動体4がそれ以上+X方向に移動することを阻止する。従って、可動体4の過度な移動により、ジンバルフレーム10など
が塑性変形することを防止できる。
【0068】
さらに、衝撃などに起因して可動体4が-Y方向に移動した場合には、ケース50に設けた第2屈曲部115bと、可動体4のホルダ31とが接触して、可動体4がそれ以上-Y方向に移動することを阻止する。従って、ホルダ31に搭載された第1磁石25Xと固定体6に搭載された第1コイル26Xとが衝突することを回避できる。また、衝撃などに起因して可動体4が+X方向に移動した場合には、ケース50に設けた第4屈曲部115dと、可動体4のホルダ31とが接触して、可動体4がそれ以上+X方向に移動することを阻止する。従って、可動体4の径方向への過度な移動により、ジンバルフレーム10などが塑性変形することを防止できる。また、本例によれば、光軸L回りの4方向において、可動体4の移動範囲を規制できる。
【0069】
(第2ストッパ機構)
第2ストッパ機構112は、可動体4のホルダ31に設けられたフランジ部33と、固定体6のベース9においてZ軸方向でフランジ部33と対向する対向部117と、を備える。
図9に示すように、対向部117は、ベース9の+Z方向の表面においてケース50の固定体側フランジ部47の内周側に位置する表面部分である。フランジ部33と対向部117とは、Z軸方向で所定の隙間を開けて対向する。
【0070】
ここで、衝撃などに起因して可動体4が-Z方向に移動した場合には、可動体4のホルダ31に設けたフランジ部33と、ベース9の対向部117とがZ軸方向で接触して、可動体4がそれ以上-Z方向に移動することを阻止する。特に、
図5に示すように、外周側に突出する突出量が大きい第1枠板部分フランジ部33a、第3枠板部分フランジ部33c、および第4枠板部分フランジ部33dでは、その反被写体側の端面が比較的広い面積で対向部117に当接して、可動体4の-Z方向に移動を阻止する。従って、可動体4を支持するジンバルフレーム10に塑性変形が発生することを防止できる。
【0071】
(作用効果)
本例では、可動体4が光軸Lと直交する方向に移動する移動範囲を規制する第1ストッパ機構111を備える。従って、振れ補正機能付き光学ユニット1に衝撃が加わって可動体4が径方向に移動した場合でも、可動体4が搭載する第1磁石25X、第2磁石25Yと、固定体6が搭載する第1コイル26X、第2コイル26Yとが衝突して、第1コイル26X、第2コイル26Yが破損することを防止できる。
【0072】
また、本例では、可動体4のホルダ31が金属製である。さらに、固定体6のケース50が金属製なので、ケース50に設けた各屈曲部115a~115dも金属製である。従って、第1ストッパ機構111が機能してホルダ31と各屈曲部115a~115dとが接触することを繰り返した場合でも、ホルダ31が樹脂製の場合と比較して、ホルダ31から微細な塵埃が発生することを抑制できる。従って、ホルダ31から発生する塵埃がカメラモジュール3による撮影に影響を及ぼすことを回避できる。
【0073】
ここで、第1ストッパ機構111を構成する各屈曲部115a~115dは、ケース50を径方向に貫通する貫通孔の開口縁から内周側に屈曲する。従って、各屈曲部115a~115dは、ケース50に貫通孔を形成する際に、貫通孔の内側に位置する板部分の一部分を内周側に折り曲げることによって設けることができる。よって、固定体6に各屈曲部115a~115dを設けることが容易である。
【0074】
さらに、本例では、各屈曲部115a~115dの内周側の先端面は、第1軸R1および第2軸R2を包含する仮想面Sと重なる。すなわち、各屈曲部115a~115dの内周側の先端面は、光軸L、第1軸R1、および第2軸R2が交差する交差点Pを通過して
光軸Lと垂直な仮想面Sと重なる。従って、第1軸R1回り、および第2軸R2回りに揺動する可動体4に対して、各屈曲部115a~115dと可動体4との間の隙間を狭くすることができる。すなわち、このようにすれば、各屈曲部115a~115dがZ軸方向で可動体4の揺動中心に近い位置に設けられる。従って、各屈曲部115a~115dをZ軸方向で可動体4の揺動中心から離間させた場合と比較して、可動体4が揺動したときに各屈曲部115a~115dと可動体4とが干渉することを回避しやすい。よって、可動体4が揺動した場合を考慮して、各屈曲部115a~115dと可動体4との間の距離を、必要以上に離間させなくてもよい。
【0075】
また、本例では、第1屈曲部115aおよび第2屈曲部115bは、ケース50に設けられたコイル配置穴58の周方向の両側の開口縁部分から屈曲して内周側に突出している。従って、第1屈曲部115aおよび第2屈曲部115bを、第1コイル26Xおよび第2コイル26Yの径方向内側にある交差点Pを通過する仮想面Sと重ねることが容易である。
【0076】
また、第3屈曲部115cは、フレキシブルプリント基板110を通過させる基板通過孔59において周方向に延びる開口縁部分に設けられている。従って、第3屈曲部115cを、周方向で長く設けることができる。
【0077】
(変形例)
なお、各屈曲部115a~115dの内周側の先端面は、仮想面Sと重なっていなくてもよい。すなわち、各屈曲部115a~115dは、仮想面Sと重なってなくても、ホルダ31に所定の隙間を開けて対向していれば、可動体4の移動範囲を規定できる。
【0078】
また、第1ストッパ機構111は、可動体4のホルダ31に設けた屈曲部と、固定体6の固定体側枠板部46とを備えてもよい。
図10は、変形例の振れ補正機能付き光学ユニットの説明図である。変形例の振れ補正機能付き光学ユニットでは、可動体4のホルダ31に外周側に突出する屈曲部を備える。
図10に示す例では、ホルダ31において磁石が固定されていないホルダ側第2枠板部分36(第1対向枠板部分)に径方向に貫通する第1開口部を設けるとともに、ホルダ側第4枠板部分38(第2対向枠板部分)に径方向に貫通する第2開口部を設ける。そして、屈曲部として、第1開口部の開口縁から屈曲して外周側に延びる第1開口部側屈曲部と、第2開口部の開口縁から屈曲して外周側に延びる第2開口部側屈曲部と、を設ける。
【0079】
例えば、上記の振れ補正機能付き光学ユニット1では、第1開口部として、ホルダ側枠板部32は、ホルダ側第2枠板部分36(第1対向枠板部分)の-Z方向の縁を+Z方向に切り欠いた切欠き凹部44を備える。従って、切欠き凹部44の+Z方向の開口縁部分を屈曲させることにより、第1開口部側屈曲部115eを設けることができる。また、振れ補正機能付き光学ユニット1では、第2開口部として、ホルダ側枠板部32は、ホルダ側第4枠板部分38(第2対向枠板部分)の-Z方向の縁を+Z方向に切り欠いた位置決め凹部43を備える。従って、位置決め凹部43の+Z方向の開口縁部分を屈曲させて外周側に突出させることにより、第2開口部側屈曲部115eを設けることができる。ここで、第1開口部側屈曲部115eは、固定体側第2枠板部分52と隙間を開けて対向する。第2開口部側屈曲部115fは、固定体側第4枠板部分54と隙間を開けて対向する。また、この場合には、固定体側第2枠板部分52に設けた第3屈曲部115cおよび固定体側第4枠板部分54に設けた第3屈曲部115dを省略することができる。
【0080】
このようにしても、光軸L回りの4方向において、可動体4の移動範囲を規制できる。また、このようにすれば、第1開口部側屈曲部および第2開口部側屈曲部を仮想面Sと重なる位置に設けることが容易である。
【符号の説明】
【0081】
1…機能付き光学ユニット、2…レンズ、3…カメラモジュール、3a…本体部、3b…鏡筒部、3c…基板、4…可動体、5…ジンバル機構、6…固定体、7…振れ補正用磁気駆動機構、7X…第1振れ補正用磁気駆動機構、7Y…第2振れ補正用磁気駆動機構、8…第1カバー、9…ベース、10…ジンバルフレーム、11…可動体側接続機構、12…固定体側接続機構、13…保持部、14…切欠き部、15…球体、16…スラスト受け部材、17…ジンバルフレーム受け部材、18…凸曲面、19…凹曲面、20…支持部、21…凸部、22…縁部、25X…第1磁石、25Y…第2磁石、26X…第1コイル、26Y…第2コイル、30…突出部、31…ホルダ、32…ホルダ側枠板部、33…フランジ部、33a…第1枠板部分フランジ部、33b…第2枠板部分フランジ部、33c…第3枠板部分フランジ部33c…第4枠板部分フランジ部、33e…第5枠板部分フランジ部、33f…第6枠板部分フランジ部、33g…第7枠板部分フランジ部、33h…第8枠板部分フランジ部、35…ホルダ側第1枠板部分、36…ホルダ側第2枠板部分、37…ホルダ側第3枠板部分、38…ホルダ側第4枠板部分、39…ホルダ側第5枠板部分、40…ホルダ側第6枠板部分、41…ホルダ側第7枠板部分、42…ホルダ側第8枠板部分、43…位置決め凹部、44…切欠き凹部、46…固定体側枠板部、47…固定体側フランジ部、50…ケース、51…固定体側第1枠板部分、52…固定体側第2枠板部分、53…固定体側第3枠板部分、54…固定体側第4枠板部分、55…固定体側第5枠板部分、56…固定体側第6枠板部分、57…固定体側第7枠板部分、58…コイル配置穴、59…基板通過孔、59a…被写体側開口縁部分、59b…一方側開口縁部分、59c…他方側開口縁部分、60…フレキシブルプリント基板、61…第1基板部分、62…第2基板部分、64…磁性板、65…磁気センサ、70…ジンバルフレーム本体部、71…第1ジンバルフレーム延設部、72…第2ジンバルフレーム延設部、73…中央穴、75…中央板部分、76…角板部分、81…第1ジンバルフレーム延設部第1延設部分、82…第1ジンバルフレーム延設部第2延設部分、84…通過部、85…第2ジンバルフレーム延設部第1延設部分、86…第2ジンバルフレーム延設部第2延設部分、91…板部、92…足部、94…腕部、96…延設板部分、98…足部延設板部分、101…背壁部、110…フレキシブルプリント基板、111…第1ストッパ機構、112…第2ストッパ機構、115a~115f…屈曲部、16…開口部、117…対向部、L…光軸、R1…第1軸、R2…第2軸