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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】換気システム
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/02 20060101AFI20230907BHJP
   E06B 7/10 20060101ALI20230907BHJP
   F24F 7/08 20060101ALI20230907BHJP
   F24F 7/10 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
E06B7/02
E06B7/10
F24F7/08 101Z
F24F7/10 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020041606
(22)【出願日】2020-03-11
(65)【公開番号】P2021143491
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】大浦 豊
(72)【発明者】
【氏名】朝岡 幸康
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-209876(JP,A)
【文献】特開2007-100437(JP,A)
【文献】実開昭63-153043(JP,U)
【文献】特開平3-76987(JP,A)
【文献】実公平2-16211(JP,Y2)
【文献】実公昭60-36821(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/00-7/36
E04B 1/62-1/99
F24F 7/08-7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建具と熱交換器を備え、建具は、外側仕切体と内側仕切体とを備え、室外空間から外側仕切体と内側仕切体との間の中間層に連通する室外側通気部と、中間層から室内空間に連通する室内側通気部とを有し、外側仕切体の内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、内側仕切体の外側面に沿って他方向に空気が流れるものであり、空気が室外から室内に流れたときに、外側仕切体の室外側と室内側の空気の温度差を減らし、外側仕切体の室外側から室内側に貫流する熱を減らすものであり、外気を、建具を通してから熱交換器に通した後に室内に導入し、内気を、熱交換器に通してから室外に排出するものであり、熱交換器は、外気と内気とを熱交換して内気の冷熱を回収することを特徴とする換気システム
【請求項2】
建具と熱交換器を備え、建具は、外側仕切体と内側仕切体とを備え、室外空間から外側仕切体と内側仕切体との間の中間層に連通する室外側通気部と、中間層から室内空間に連通する室内側通気部とを有し、外側仕切体の内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、内側仕切体の外側面に沿って他方向に空気が流れるものであり、空気が室外から室内に流れたときに、内側仕切体の室内側から室外側に逃げる冷熱を空気で回収するものであり、外気を、建具を通してから熱交換器に通した後に室内に導入し、内気を、熱交換器に通してから室外に排出するものであり、熱交換器は、外気と内気とを熱交換して内気の冷熱を回収することを特徴とする換気システム
【請求項3】
建具と熱交換器を備え、建具は、外側仕切体と内側仕切体とを備え、室外空間から外側仕切体と内側仕切体との間の中間層に連通する室外側通気部と、中間層から室内空間に連通する室内側通気部とを有し、外側仕切体の内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、内側仕切体の外側面に沿って他方向に空気が流れるものであり、空気が室外から室内に流れたときに、外側仕切体の室外側と室内側の空気の温度差を減らし、外側仕切体の室外側から室内側に貫流する熱を減らすものであり、外気を、熱交換器に通してから建具に通した後に室内に導入し、内気を、熱交換器に通してから室外に排出するものであり、熱交換器は、外気と内気とを熱交換して内気の冷熱を回収することを特徴とする換気システム
【請求項4】
建具と熱交換器を備え、建具は、外側仕切体と内側仕切体とを備え、室外空間から外側仕切体と内側仕切体との間の中間層に連通する室外側通気部と、中間層から室内空間に連通する室内側通気部とを有し、外側仕切体の内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、内側仕切体の外側面に沿って他方向に空気が流れるものであり、空気が室外から室内に流れたときに、内側仕切体の室内側から室外側に逃げる冷熱を空気で回収するものであり、外気を、熱交換器に通してから建具に通した後に室内に導入し、内気を、熱交換器に通してから室外に排出するものであり、熱交換器は、外気と内気とを熱交換して内気の冷熱を回収することを特徴とする換気システム
【請求項5】
建具と熱交換器を備え、建具は、外側仕切体と内側仕切体とを備え、室外空間から外側仕切体と内側仕切体との間の中間層に連通する室外側通気部と、中間層から室内空間に連通する室内側通気部とを有し、外側仕切体の内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、内側仕切体の外側面に沿って他方向に空気が流れるものであり、空気が室外から室内に流れたときに、外側仕切体の室外側と室内側の空気の温度差を減らし、外側仕切体の室外側から室内側へ貫流する冷熱を減らすと共に、空気の流れにより日射熱の室内への取得を増加させるものであり、外気を、熱交換器に通してから建具に通した後に室内に導入し、内気を、熱交換器に通してから室外に排出するものであり、熱交換器は、外気と内気とを熱交換して内気の熱を回収することを特徴とする換気システム
【請求項6】
建具と熱交換器を備え、建具は、外側仕切体と内側仕切体とを備え、室外空間から外側仕切体と内側仕切体との間の中間層に連通する室外側通気部と、中間層から室内空間に連通する室内側通気部とを有し、外側仕切体の内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、内側仕切体の外側面に沿って他方向に空気が流れるものであり、空気が室外から室内に流れたときに、内側仕切体の室内側から室外側に逃げる熱を空気で回収するものであり、外気を、熱交換器に通してから建具に通した後に室内に導入し、内気を、熱交換器に通してから室外に排出するものであり、熱交換器は、外気と内気とを熱交換して内気の熱を回収することを特徴とする換気システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気を行いつつ熱の出入りを少なくできる建具を利用した換気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の室内環境は、空調設備で制御していたが、窓からの熱の出入りが多く電気代がかかるため、経済的に優れたものが求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、窓からの熱の出入りを減らし、冷暖房負荷を抑えることのできる換気システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による換気システムは、建具と熱交換器を備え、建具は、外側仕切体と内側仕切体とを備え、室外空間から外側仕切体と内側仕切体との間の中間層に連通する室外側通気部と、中間層から室内空間に連通する室内側通気部とを有し、外側仕切体の内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、内側仕切体の外側面に沿って他方向に空気が流れるものであり、空気が室外から室内に流れたときに、外側仕切体の室外側と室内側の空気の温度差を減らし、外側仕切体の室外側から室内側に貫流する熱を減らすものであり、外気を、建具を通してから熱交換器に通した後に室内に導入し、内気を、熱交換器に通してから室外に排出するものであり、熱交換器は、外気と内気とを熱交換して内気の冷熱を回収することを特徴とする。
【0005】
請求項2記載の発明による換気システムは、建具と熱交換器を備え、建具は、外側仕切体と内側仕切体とを備え、室外空間から外側仕切体と内側仕切体との間の中間層に連通する室外側通気部と、中間層から室内空間に連通する室内側通気部とを有し、外側仕切体の内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、内側仕切体の外側面に沿って他方向に空気が流れるものであり、空気が室外から室内に流れたときに、内側仕切体の室内側から室外側に逃げる冷熱を空気で回収するものであり、外気を、建具を通してから熱交換器に通した後に室内に導入し、内気を、熱交換器に通してから室外に排出するものであり、熱交換器は、外気と内気とを熱交換して内気の冷熱を回収することを特徴とする。
【0006】
請求項3記載の発明による換気システムは、建具と熱交換器を備え、建具は、外側仕切体と内側仕切体とを備え、室外空間から外側仕切体と内側仕切体との間の中間層に連通する室外側通気部と、中間層から室内空間に連通する室内側通気部とを有し、外側仕切体の内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、内側仕切体の外側面に沿って他方向に空気が流れるものであり、空気が室外から室内に流れたときに、外側仕切体の室外側と室内側の空気の温度差を減らし、外側仕切体の室外側から室内側に貫流する熱を減らすものであり、外気を、熱交換器に通してから建具に通した後に室内に導入し、内気を、熱交換器に通してから室外に排出するものであり、熱交換器は、外気と内気とを熱交換して内気の冷熱を回収することを特徴とする。
【0007】
請求項4記載の発明による換気システムは、建具と熱交換器を備え、建具は、外側仕切体と内側仕切体とを備え、室外空間から外側仕切体と内側仕切体との間の中間層に連通する室外側通気部と、中間層から室内空間に連通する室内側通気部とを有し、外側仕切体の内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、内側仕切体の外側面に沿って他方向に空気が流れるものであり、空気が室外から室内に流れたときに、内側仕切体の室内側から室外側に逃げる冷熱を空気で回収するものであり、外気を、熱交換器に通してから建具に通した後に室内に導入し、内気を、熱交換器に通してから室外に排出するものであり、熱交換器は、外気と内気とを熱交換して内気の冷熱を回収することを特徴とする。
【0008】
請求項5記載の発明による換気システムは、建具と熱交換器を備え、建具は、外側仕切体と内側仕切体とを備え、室外空間から外側仕切体と内側仕切体との間の中間層に連通する室外側通気部と、中間層から室内空間に連通する室内側通気部とを有し、外側仕切体の内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、内側仕切体の外側面に沿って他方向に空気が流れるものであり、空気が室外から室内に流れたときに、外側仕切体の室外側と室内側の空気の温度差を減らし、外側仕切体の室外側から室内側へ貫流する冷熱を減らすと共に、空気の流れにより日射熱の室内への取得を増加させるものであり、外気を、熱交換器に通してから建具に通した後に室内に導入し、内気を、熱交換器に通してから室外に排出するものであり、熱交換器は、外気と内気とを熱交換して内気の熱を回収することを特徴とする。
【0009】
請求項6記載の発明による換気システムは、建具と熱交換器を備え、建具は、外側仕切体と内側仕切体とを備え、室外空間から外側仕切体と内側仕切体との間の中間層に連通する室外側通気部と、中間層から室内空間に連通する室内側通気部とを有し、外側仕切体の内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、内側仕切体の外側面に沿って他方向に空気が流れるものであり、空気が室外から室内に流れたときに、内側仕切体の室内側から室外側に逃げる熱を空気で回収するものであり、外気を、熱交換器に通してから建具に通した後に室内に導入し、内気を、熱交換器に通してから室外に排出するものであり、熱交換器は、外気と内気とを熱交換して内気の熱を回収することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明による換気システムは、建具と熱交換器を備え、建具は、外側仕切体と内側仕切体とを備え、室外空間から外側仕切体と内側仕切体との間の中間層に連通する室外側通気部と、中間層から室内空間に連通する室内側通気部とを有し、外側仕切体の内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、内側仕切体の外側面に沿って他方向に空気が流れるものであり、空気が室外から室内に流れたときに、外側仕切体の室外側と室内側の空気の温度差を減らし、外側仕切体の室外側から室内側に貫流する熱を減らすことで、冷房負荷を抑えることができ、外気を、建具を通してから熱交換器に通した後に室内に導入し、内気を、熱交換器に通してから室外に排出するものであり、熱交換器は、外気と内気とを熱交換して内気の冷熱を回収することで、冷房負荷をより一層抑えることができる
【0011】
請求項2記載の発明による換気システムは、建具と熱交換器を備え、建具は、外側仕切体と内側仕切体とを備え、室外空間から外側仕切体と内側仕切体との間の中間層に連通する室外側通気部と、中間層から室内空間に連通する室内側通気部とを有し、外側仕切体の内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、内側仕切体の外側面に沿って他方向に空気が流れるものであり、空気が室外から室内に流れたときに、内側仕切体の室内側から室外側に逃げる冷熱を空気で回収することで、冷房負荷を抑えることができ、外気を、建具を通してから熱交換器に通した後に室内に導入し、内気を、熱交換器に通してから室外に排出するものであり、熱交換器は、外気と内気とを熱交換して内気の冷熱を回収することで、冷房負荷をより一層抑えることができる
【0012】
請求項3記載の発明による換気システムは、建具と熱交換器を備え、建具は、外側仕切体と内側仕切体とを備え、室外空間から外側仕切体と内側仕切体との間の中間層に連通する室外側通気部と、中間層から室内空間に連通する室内側通気部とを有し、外側仕切体の内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、内側仕切体の外側面に沿って他方向に空気が流れるものであり、空気が室外から室内に流れたときに、外側仕切体の室外側と室内側の空気の温度差を減らし、外側仕切体の室外側から室内側に貫流する熱を減らすことで、冷房負荷を抑えることができ、外気を、熱交換器に通してから建具に通した後に室内に導入し、内気を、熱交換器に通してから室外に排出するものであり、熱交換器は、外気と内気とを熱交換して内気の冷熱を回収することで、冷房負荷をより一層抑えることができる
【0013】
請求項4記載の発明による換気システムは、建具と熱交換器を備え、建具は、外側仕切体と内側仕切体とを備え、室外空間から外側仕切体と内側仕切体との間の中間層に連通する室外側通気部と、中間層から室内空間に連通する室内側通気部とを有し、外側仕切体の内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、内側仕切体の外側面に沿って他方向に空気が流れるものであり、空気が室外から室内に流れたときに、内側仕切体の室内側から室外側に逃げる冷熱を空気で回収することで、冷房負荷を抑えることができ、外気を、熱交換器に通してから建具に通した後に室内に導入し、内気を、熱交換器に通してから室外に排出するものであり、熱交換器は、外気と内気とを熱交換して内気の冷熱を回収することで、冷房負荷をより一層抑えることができる
【0014】
請求項5記載の発明による換気システムは、建具と熱交換器を備え、建具は、外側仕切体と内側仕切体とを備え、室外空間から外側仕切体と内側仕切体との間の中間層に連通する室外側通気部と、中間層から室内空間に連通する室内側通気部とを有し、外側仕切体の内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、内側仕切体の外側面に沿って他方向に空気が流れるものであり、空気が室外から室内に流れたときに、外側仕切体の室外側と室内側の空気の温度差を減らし、外側仕切体の室外側から室内側へ貫流する冷熱を減らすと共に、空気の流れにより日射熱の室内への取得を増加させることで、暖房負荷を抑えることができ、外気を、熱交換器に通してから建具に通した後に室内に導入し、内気を、熱交換器に通してから室外に排出するものであり、熱交換器は、外気と内気とを熱交換して内気の熱を回収することで、暖房負荷をより一層抑えることができる
【0015】
請求項6記載の発明による換気システムは、建具と熱交換器を備え、建具は、外側仕切体と内側仕切体とを備え、室外空間から外側仕切体と内側仕切体との間の中間層に連通する室外側通気部と、中間層から室内空間に連通する室内側通気部とを有し、外側仕切体の内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、内側仕切体の外側面に沿って他方向に空気が流れるものであり、空気が室外から室内に流れたときに、内側仕切体の室内側から室外側に逃げる熱を空気で回収することで、暖房負荷を抑えることができ、外気を、熱交換器に通してから建具に通した後に室内に導入し、内気を、熱交換器に通してから室外に排出するものであり、熱交換器は、外気と内気とを熱交換して内気の熱を回収することで、暖房負荷をより一層抑えることができる
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の建具の第1実施形態を示す縦断面図である。
図2】同建具の横断面図である。
図3】本発明の建具の第2実施形態を示す縦断面図である。
図4】本発明の建具の第3実施形態を示す縦断面図である。
図5】本発明の建具の第4実施形態を示す縦断面図である。
図6】本発明の建具の第5実施形態を示す縦断面図である。
図7】同建具の横断面図である。
図8】本発明の建具の第6実施形態を示す縦断面図である。
図9】同建具の横断面図である。
図10】本発明の建具の第7実施形態を示す縦断面図である。
図11】同建具の横断面図である。
図12】本発明の建具の第8実施形態を示す縦断面図である。
図13】同建具の横断面図である。
図14】本発明の建具の第9実施形態を示す縦断面図である。
図15】同建具の横断面図である。
図16】本発明の建具の第10実施形態を示す縦断面図である。
図17】同建具の横断面図である。
図18】本発明の建具の第11実施形態を示す縦断面図である。
図19】同建具の横断面図である。
図20】本発明の建具の第12実施形態を示す縦断面図である。
図21】同建具の横断面図である。
図22】本発明の建具の第13実施形態を示す縦断面図である。
図23】第13実施形態の変形例を示す縦断面図である。
図24】本発明の建具の第14実施形態を示す縦断面図である。
図25】本発明の建具の第15実施形態を示す縦断面図である。
図26】同建具の横断面図である。
図27】第1実施形態の建具の縦断面図であって、空気の流れの向きを図1と逆向き(室内から室外)にした場合を示す。
図28】(a)は夏期において室外から室内に空気を流したときの建具の働きを示す説明図であり、(b)は夏期において室内から室外に空気を流したときの建具の働きを示す説明図である。
図29】(a)は冬期において室外から室内に空気を流したときの建具の働きを示す説明図であり、(b)は冬期において室内から室外に空気を流したときの建具の働きを示す説明図である。
図30】(a)は本発明の建具の第16実施形態を示す縦断面図であり、(b)は同建具の室内側正面図である。
図31】(a)は本発明の建具の第17実施形態を示す縦断面図であり、(b)は同建具の室内側正面図である。
図32】(a)は本発明の建具の第18実施形態を示す縦断面図であり、(b)は同建具の室内側正面図である。
図33】本発明の建具の第19実施形態を示す縦断面図である。
図34】第19実施形態の建具の横断面図である。
図35】本発明の建具の第20実施形態を示す縦断面図である。
図36】第20実施形態の建具の横断面図である。
図37】本発明の換気システムの第1実施形態を示す模式図である。
図38】本発明の換気システムの第2実施形態を示す模式図である。
図39】本発明の換気システムの第3実施形態を示す模式図である。
図40】本発明の換気システムの第4実施形態を示す模式図である。
図41】本発明の換気システムの第5実施形態を示す模式図である。
図42】本発明の換気システムの第6実施形態を示す模式図である。
図43】本発明の換気システムの第7実施形態を示す模式図である。
図44】本発明の換気システムの第8実施形態を示す模式図である。
図45】(a)は冷暖房負荷の計算に用いた部屋のモデルを示し、(b)は建具のモデルを示す。
図46-1】冷暖房負荷の計算に用いた建具及び換気システムの換気経路のパターンを示す図であって、夏期の運転状態を示す。
図46-2】冷暖房負荷の計算に用いた建具及び換気システムの換気経路のパターンを示す図であって、冬期の運転状態を示す。
図47】比較例1の縦断面図である。
図48】単なる二重窓を設置した場合と比較した冷暖房負荷割合を示すグラフである。
図49】単なる二重窓を設置した場合と比較した冷暖房負荷の削減率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1,2は、本発明の建具の第1実施形態を示している。本建具は、ビル用の単体サッシに適用したものであり、躯体(図示省略)の開口部に取付けられる枠3と、枠3内に開閉自在に支持した障子13とを備える。
【0018】
枠3は、上枠(フレーム、外周側フレーム)4と下枠(フレーム、外周側フレーム)5と左右の縦枠(フレーム、外周側フレーム)6,6とを四周枠組みして構成してある。
障子13は、上框(フレーム、内周側フレーム)7と下框(フレーム、内周側フレーム)8と左右の縦框(フレーム、内周側フレーム)9,9とを四周框組みし、その内側に外側ガラス(外側仕切体)1と内側ガラス(内側仕切体)2を嵌め込んで形成してある。外側ガラス1は単板ガラスよりなり、内側ガラス2は複層ガラスになっている。
上框4と下框5と縦框6は、それぞれ外側ガラス保持部14を有する室外側部材7a,8a,9aと、内側ガラス保持部15を有する室内側部材7b,8b,9bとに分割して形成してあり、室外側部材7a,8a,9aと室内側部材7b,8b,9bとの間にはタイト材16が設けてある。
【0019】
図2に示すように、室内側から見て左側の縦框9は、室外側部材9aと室内側部材9bがそれぞれ蝶番17a,17bで縦枠6に連結してある。室内側から見て右側の縦框9には、ハンドル(図示省略)と、室外側部材9aと室内側部材9bとを連結したり切り離したりできる機構が設けてあり、室外側部材9aと室内側部材9bを連結した状態で室内側からハンドルを引っ張ると、外側ガラス1と内側ガラス2を含む障子13全体が蝶番17aの軸18を支点として室内側に回動して開く。室外側部材9aと室内側部材9bとを切り離した状態で室内側からハンドルを引っ張ると、内側ガラス2とその周囲の室内側部材7b,8b,9bだけが蝶番17bの軸18を支点として室内側に回動して開く。
枠3と障子13の間の空間Sは、室外側と室内側にタイト材19a,19bを設けて密閉空間としてある。
【0020】
上枠4は、図1に示すように、上枠本体20と、上枠本体20の室外側に取付けた上枠カバー21とを有している。
上枠本体20は、アルミ形材よりなる室外側部22と室内側部23とを樹脂製の断熱ブリッジ24で連結して構成してあり、室外側部22と室内側部23にはそれぞれ中空部25,26を有している。室外側部22の中空部25の室外側壁と内周側壁とには、通気孔27a,27bが形成してある。内周側壁の通気孔27bの室外側に隣接する位置には、突壁28が上方に立ち上げて設けてある。室内側部23は、中空部26の内周側壁と室内側壁とに通気孔27c,27dが設けてある。室内側壁の通気孔27dには、花粉や埃等の侵入を防ぐフィルタ29が取付けてある。
上枠カバー21は、アルミ形材で形成してあり、上枠本体20の室外側に取付けて上枠本体20の室外側壁の通気孔27aを覆っている。上枠カバー21は、上下方向の中間部に設けた横壁30に、室外に通じる通気孔27eが下向きに開口して設けてあり、当該通気孔27eには虫の侵入を防ぐために網31が取付けてある。上枠カバー21は、通気孔27eの室外側に垂下片32が設けてある。
【0021】
上框7の室外側部材7aは、アルミ形材よりなる室外側部33と室内側部34とを樹脂製の断熱ブリッジ35で連結して構成してあり、室外側部33と室内側部34にはそれぞれ中空部36,37を有している。室外側部33の中空部36の外周側壁と内周側壁の外側ガラス1より室内側の位置には、通気孔27f,27gが設けてある。室内側部34の中空部37の外周側壁と内周側壁にも通気孔27h,27iが設けてある。
上框7の室内側部材7bは、アルミ形材よりなる室外側部38と室内側部39を樹脂製の断熱ブリッジ40で連結して構成してあり、室内側部39に中空部を有している。
【0022】
本建具は、図1に示すように、上枠カバー21の通気孔27eと、上枠本体20の室外側部22に形成した通気孔27a,27bと、上框7の室外側部33に形成した通気孔27f,27gとにより、室外空間から内外ガラス1,2間の中間層10に連通する室外側通気部11が形成されており、室外側通気部11は上枠(外周側フレーム)4と上框(内周側フレーム)7に跨って設けてある。
また、上框7の室内側部34に形成した通気孔27h,27iと、上枠本体20の室内側部23に形成した通気孔27c,27dとにより、中間層10から室内空間に連通する室内側通気部12が形成されており、室内側通気部12は上枠(外周側フレーム)4と上框(内周側フレーム)7に跨って設けてある。
【0023】
本建具は、図1に示すように、上枠(外周側フレーム)4と上框(内周側フレーム)7との間の空間S内に、室外側通気部11と室内側通気部12を仕切る仕切り41が設けてある。この仕切り41は、軟質の樹脂やゴム等で形成してあり、上枠4の断熱ブリッジ24に取付けられており、仕切り41の先端部が上框7の断熱ブリッジ35に設けた突片42に当接している。
さらに、上枠4と上框7との間の空間内の室内側寄りの位置にも仕切り43が設けてあり、当該仕切り43の先端部が上框7の室内側部材7bの断熱ブリッジ40に設けた突片44に当接している。
【0024】
下枠5は、図1に示すように、アルミ形材よりなる室外側部45と中間部46と室内側部47とを断熱ブリッジ48a,48bで連結して構成してあり、室外側部45と中間部46と室内側部47にはそれぞれ中空部49,50,51を有している。室外側部45は、中空部49の内周側壁と室内側壁とに通気孔27j,27kが設けてある。中間部46は、中空部50の室外側壁と内周側壁とに通気孔27l,27mが設けてある。
【0025】
下框8の室外側部材8aは、アルミ形材よりなる室外側部52と室内側部53とを樹脂製の断熱ブリッジ54で連結して構成してあり、室外側部52と室内側部53にはそれぞれ中空部55,56を有している。室外側部52の中空部55の外周側壁と内周側壁の外側ガラス1より室内側の位置には、通気孔27n,27oが設けてある。室内側部53の中空部56の外周側壁と内周側壁にも通気孔27p,27qが設けてある。
下框8の室内側部材8bは、アルミ形材よりなる室外側部57と室内側部58を樹脂製の断熱ブリッジ59で連結して構成してあり、室内側部58に中空部を有している。
【0026】
本建具は、図1に示すように、下框8の室外側部材8aに形成した通気孔27n,27o,27p,27qと、下枠5に形成した通気孔27j,27k,27l,27mとで、外側ガラス1の内側面に沿って一方向(図では上から下)に流れてきた空気が折り返す通気経路60が設けてある。本実施形態では、下枠(外周側フレーム)5内で空気の流れを折り返すようにしている。
【0027】
本建具は、下枠(外周側フレーム)5と下框(内周側フレーム)8との間の空間S内における空気の流れが折り返す位置の内周側に仕切り61が設けてある。当該仕切り61は、下枠5の断熱ブリッジ48aに取付けられており、仕切り61の先端部が下框8の断熱ブリッジ54に設けた突片62に当接している。
さらに、下枠5と下框8との間の空間S内の室内側寄りの位置にも仕切り63が設けてあり、当該仕切り63の先端部が下框8の室内側部材8bの断熱ブリッジ59に設けた突片64に当接している。
【0028】
図1に示すように、中間層10の上部と下部には整流体65が設けてある。上側の整流体65は、上框7の断熱ブリッジ35から垂下して設けてあり、下側の整流体65は下框8の断熱ブリッジ54から立ち上げて設けてある。各整流体65は、室外側面と室内側面とに内周側に向かうにつれてガラス1,2に近づくように傾斜した傾斜面66を有している。
【0029】
縦枠6は、下枠5と同様、図2に示すように、アルミ形材よりなる室外側部67と中間部68と室内側部69を断熱ブリッジ70a,70bで連結して構成してあり、室外側部67と中間部68と室内側部69にはそれぞれ中空部を有している。
縦框9の室外側部材9aは、上框7及び下框8の室外側部材7a,8aと同様に、アルミ形材よりなる室外側部71と室内側部72とを樹脂製の断熱ブリッジ73で連結して構成してあり、室外側部71と室内側部72にはそれぞれ中空部を有している。
縦框9の室内側部材9bは、上框7及び下框8の室内側部材7b,8bと同様に、アルミ形材よりなる室外側部74と室内側部75を樹脂製の断熱ブリッジ76で連結して構成してあり、室内側部75に中空部を有している。
【0030】
縦枠6と縦框9との間の空間S内には、縦枠6の断熱ブリッジ70a,70bの内周側位置に同空間を室内外方向に仕切る仕切り77,78が設けてあり、各仕切り77,78の先端部が縦框9の室外側部材9aの断熱ブリッジ73に設けた突片79と縦框9の室内側部材9bの断熱ブリッジ76に設けた突片80にそれぞれ当接している。
【0031】
本建具は、図1に示すように、上枠4と上框7に跨って設けた室外側通気部11と、下框8と下枠5に跨って設けた通気経路60と、上框7と上框4に跨って設けた室内側通気部12とを通じて室外から室内に空気が流れ(図中の矢印は空気の流れを示す)、又は図27に示すように室内から室外に空気が流れ、その際に中間層10を空気が外側ガラス1の内側面と内側ガラス2の外側面に沿うように迂回して流れることで、換気をしながら窓からの熱の出入りを減らし、冷暖房負荷を抑えることができる。
本建具の使用態様としては、夏期において室外から室内に空気を流す場合(図1参照)、夏期において室内から室外に空気を流す場合(図27参照)、冬期において室外から室内に空気を流す場合、冬期において室内から室外に空気を流す場合の4通りのパターンがあり、以下に説明するようにそれら4通りのパターンのいずれの場合も、冷房負荷又は暖房負荷を抑える働きがある。この点は、第1実施形態だけでなく、後述する第2実施形態以降の他の全ての実施形態についても同様である。
【0032】
まず、夏期において室外から室内に空気を流す場合について説明する。この場合、換気扇により室内を負圧に調整する。これにより、図28(a)に示すように、室外の温かい空気(外気)が、室外側通気部11より中間層10に吸い込まれ、整流体65にガイドされて外側ガラス1の内側面に沿って下向きに流れる。このように、外側ガラス1の内側面に沿って室外の温かい空気を下向きに流すことで、外側ガラス1の室外側と室内側の空気の温度差が小さくなり、これにより外側ガラスの室外側から室内側に貫流する熱を減らすことができる(請求項1)。その後、空気は中間層10の下端部付近で折り返し(より詳細には、下框8を通って下枠5内で折り返す。図1参照。)、内側ガラス2の外側面に沿って上向きに流れ、この間に内側ガラス2の室内側から室外側に逃げる冷熱を空気で回収する(請求項2)。冷熱を回収することで空気は冷やされ、室内側通気部12より室内に流入する。
このように本建具は、夏期において室外から室内に空気が流れることで、外側ガラス1側で室外側から室内側への貫流熱が減り、内側ガラス2側で室内側から室外側に逃げる冷熱を回収するので、非常に高い断熱性能が得られ、冷房負荷を抑えることができる。
【0033】
次に、夏期において室内から室外に空気を流す場合について説明する。この場合、換気扇により室内を正圧に調整する。これにより、図28(b)に示すように、室内の涼しい空気(内気)が室内側通気部12より中間層10に流れ、整流体65にガイドされて内側ガラス2の室外側面に沿って下向きに流れる。このように、室内の空気を内側ガラス2の外側面に沿って下向きに流すことで、内側ガラス2の室内側と室側の空気の温度差が小さくなり、これにより内側ガラス2の室内側から室外側に貫流する冷熱を減らすことができる。その後、空気は中間層10の端部付近で折り返し、外側ガラス1の内側面に沿って上昇し、この間に外側ガラス1の室外側から外側ガラス1の室内側に入ってくる貫流熱と日射熱を空気の流れによって回収する。その後、空気は室外側通気部11より室外に流出し、これにより回収した貫流熱と日射熱を空気で室外に排出する。空気が室外側通気部11を通過する際、上框7と上枠4を伝って室内に入ってくる熱を空気の流れによって回収し、室外に捨てることができる。
このように本建具は、夏期において室内から室外に空気が流れることで、外側ガラス1側で室外側から室内側への貫流熱と日射熱を排出し、内側ガラス2側で室内側から室外側への貫流冷熱が減るため、非常に高い断熱性能が得られ、冷房負荷を抑えることができる。
【0034】
次に、冬期において室外から室内に空気を流す場合について説明する。この場合、換気扇により室内を負圧に調整する。これにより、図29(a)に示すように、室外の冷たい空気(外気)が、室外側通気部11より中間層10に吸い込まれ、整流体65にガイドされて外側ガラス1の内側面に沿って下向きに流れる。このように、外側ガラス1の内側面に沿って室外の冷たい空気を下向きに流すことで、外側ガラス1の室外側と室内側の空気の温度差が小さくなり、外側ガラス1の室外側から室内側に貫流する冷熱を減らすことができる。また、外側ガラス1の内側面に沿って空気が流れることで、日射熱の室内への取得を増加させることができる(請求項5)。その後、空気は中間層10の下端部付近で折り返し、内側ガラス2から室内の熱が伝わることで暖められ、内側ガラス2の室外側面に沿って上昇し、この間に内側ガラス2の室内側から室外側に逃げる熱を空気の流れによって回収する(請求項6)。そうして暖められた空気を室内に取り入れることで、回収した熱を室内に戻すことができる。
このように本建具は、冬期において室外から室内に空気が流れることで、外側ガラス1側で室外側から室内側に貫流する冷熱が減ると共に日射熱の取得が増加し、内側ガラス2側で室内側から室外側に逃げる熱を回収するので、非常に高い断熱性能が得られ、暖房負荷を抑えることができる。また、外気を暖めて室内に採り込めるので、室内に居る人が冷たい風を感じることがない。
【0035】
次に、冬期において室内から室外に空気を流す場合について説明する。この場合、換気扇により室内を正圧に調整する。これにより、図29(b)に示すように、室内の温かい空気(内気)が室内側通気部12より中間層10に流れ、整流体65にガイドされて内側ガラス2の室外側面に沿って下向きに流れる。このように、室内の空気を内側ガラス2の外側面に沿って下向きに流すことで、内側ガラス2の室内側と室外側の空気の温度差が小さくなり、これにより内側ガラスの室内側から室外側に貫流する熱を減らすことができる。その後、空気は中間層10の端部付近で折り返し、外側ガラス1の内側面に沿って上昇し、この間に外側ガラス1の室外側から外側ガラスの室内側に貫流する冷熱を空気で回収し、室外側通気部11より空気が室外に流出することで、回収した冷熱を室外に排出する。
このように本建具は、冬期において室内から室外に空気が流れることで、外側ガラス1側で室外側から室内側への貫流冷熱を回収して室外に排出し、内側ガラス2側で室内側から室外側への貫流熱が減るため、非常に高い断熱性能が得られ、暖房負荷を抑えることができる。
【0036】
中間層10に設けられる整流体65は、図1に示すような上下方向の長さが短いものであってもよいが、図28,29に示すように、中間層10の上端から下部に亘って長く設けてあってもよい。そうすることで、外側ガラス1の内側面に沿う空気の流れと内側ガラス2の外側面に沿う空気の流れがぶつかり合うのを防ぎ、外側ガラス1の内側面と内側ガラス2の外側面に沿うように迂回する空気の流れが良好に得られ、上記した各効果が確実に得られる。整流体65を長く設けることで、夏期においては日射熱の取得を抑制でき、冬期においては日射熱の取得を増加させることができる。そのような長い整流体65としては、ブラインド(ハニカムブラインドを含む)、ロールスクリーン等を用いることができる。
【0037】
以上に述べたように本建具(請求項1)は、外側仕切体(外側ガラス)1と内側仕切体(内側ガラス)2とを備え、室外空間から外側仕切体1と内側仕切体2との間の中間層10に連通する室外側通気部11と、中間層10から室内空間に連通する室内側通気部12とを有し、外側仕切体1の内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層10の端部付近で折り返し、内側仕切体2の外側面に沿って他方向に空気が流れるものであり、空気が室外から室内に流れたときに、外側仕切体1の室外側と室内側の空気の温度差を減らし、外側仕切体1の室外側から室内側に貫流する熱を減らすことで、冷房負荷を抑えることができる。
また本建具(請求項2)は、外側仕切体(外側ガラス)1と内側仕切体(内側ガラス)2とを備え、室外空間から外側仕切体1と内側仕切体2との間の中間層10に連通する室外側通気部11と、中間層10から室内空間に連通する室内側通気部12とを有し、外側仕切体1の内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層10の端部付近で折り返し、内側仕切体2の外側面に沿って他方向に空気が流れるものであり、空気が室外から室内に流れたときに、内側仕切体2の室内側から室外側に逃げる冷熱を空気で回収することで、冷房負荷を抑えることができる。
また本建具は、外側仕切体(外側ガラス)1と内側仕切体(内側ガラス)2とを備え、室外空間から外側仕切体1と内側仕切体2との間の中間層10に連通する室外側通気部11と、中間層10から室内空間に連通する室内側通気部12とを有し、内側仕切体2の外側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層10の端部付近で折り返し、外側仕切体1の内側面に沿って他方向に空気が流れるものであり、空気が室内から室外に流れたときに、外側仕切体1の室外側から室内側に貫流する熱を回収して室外に排出すると共に、外側仕切体1の室外側から外側仕切体1の室内側に入ってくる日射熱を空気で排出することで、冷房負荷を抑えることができる。
また本建具は、外側仕切体(外側ガラス)1と内側仕切体(内側ガラス)2とを備え、室外空間から外側仕切体1と内側仕切体2との間の中間層10に連通する室外側通気部11と、中間層10から室内空間に連通する室内側通気部12とを有し、内側仕切体2の外側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層10の端部付近で折り返し、外側仕切体2の内側面に沿って他方向に空気が流れるものであり、空気が室内から室外に流れたときに、内側仕切体2の室内側と室外側の空気の温度差を減らし、内側仕切体2の室内側から室外側に貫流する冷熱を減らすことで、冷房負荷を抑えることができる。
また本建具(請求項5)は、外側仕切体(外側ガラス)1と内側仕切体(内側ガラス)2とを備え、室外空間から外側仕切体1と内側仕切体2との間の中間層10に連通する室外側通気部11と、中間層10から室内空間に連通する室内側通気部12とを有し、外側仕切体1の内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層10の端部付近で折り返し、内側仕切体2の外側面に沿って他方向に空気が流れるものであり、空気が室外から室内に流れたときに、外側仕切体1の室外側と室内側の空気の温度差を減らし、外側仕切体1の室外側から室内側へ貫流する冷熱を減らすと共に、空気の流れにより日射熱の室内への取得を増加させることで、暖房負荷を抑えることができる。
また本建具(請求項6)は、外側仕切体(外側ガラス)1と内側仕切体(内側ガラス)2とを備え、室外空間から外側仕切体1と内側仕切体との間の中間層10に連通する室外側通気部11と、中間層10から室内空間に連通する室内側通気部12とを有し、外側仕切体1の内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層10の端部付近で折り返し、内側仕切体2の外側面に沿って他方向に空気が流れるものであり、空気が室外から室内に流れたときに、内側仕切体2の室内側から室外側に逃げる熱を空気で回収することことで、暖房負荷を抑えることができる。
また本建具は、外側仕切体(外側ガラス)1と内側仕切体(内側ガラス)2とを備え、室外空間から外側仕切体1と内側仕切体2との間の中間層10に連通する室外側通気部11と、中間層10から室内空間に連通する室内側通気部12とを有し、内側仕切体2の外側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層10の端部付近で折り返し、外側仕切体1の内側面に沿って他方向に空気が流れるものであり、空気が室内から室外に流れたときに、外側仕切体1の室外側から室内側に貫流する冷熱を空気で回収して室外に排出することで、暖房負荷を抑えることができる。
また本建具は、外側仕切体(外側ガラス)1と内側仕切体(内側ガラス)2とを備え、室外空間から外側仕切体1と内側仕切体2との間の中間層10に連通する室外側通気部11と、中間層10から室内空間に連通する室内側通気部12とを有し、内側仕切体2の外側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層10の端部付近で折り返し、外側仕切体1の内側面に沿って他方向に空気が流れるものであり、空気が室内から室外に流れたときに、内側仕切体2の室内側と室外側の空気の温度差を減らし、内側仕切体2の室内側から室外側に貫流する熱を減らすことで、暖房負荷を抑えることができる。
【0038】
本建具(単体サッシ)は、外側及び内側のガラス1,2と、両ガラス1,2を支持するフレーム(上枠4,上框7)とを備え、フレーム4,7は、室外空間から内外ガラス1,2間の中間層10に連通する室外側通気部11と、中間層10から室内空間に連通する室内側通気部12を有し、外側ガラス1の内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層10の端部付近で折り返し、内側ガラス2の外側面に沿って他方向に空気が流れることで、室内から室外に逃げる熱を回収するか、室外から室内に入ってくる熱を室外に捨てることで、窓からの熱の出入りを減らし、冷暖房負荷を抑えることができる。単体サッシのため、外窓と内窓とからなる二重窓を設置する場合と比べ、施工が容易でコストが抑えられる。内窓を設置する必要がないため、窓全体の見込み寸法を小さくできる。
【0039】
本建具(単体サッシ)は、フレームが外周側フレーム(上枠)4と内周側フレーム(上框)7とからなり、内周側フレーム7よりも外周側から空気が出入りするようにしたことで、空気の流れる経路が長くなるため、冬期に室内から室外に逃げる熱と、夏期に室外から室内に入ってくる熱を空気の流れによってより多く回収することができるので、断熱性能がより一層向上する。
本建具(単体サッシ)は、室外側通気部11と室内側通気部12を外周側フレーム(上枠)4と内周側フレーム(上框)7とに跨って設けたことで、外周側フレーム4及び内周側フレーム7を伝っての熱の出入りが抑えられるので、省エネ効果を高められる。
【0040】
本建具(単体サッシ)は、中間層10の端部よりも外周側で空気の流れを折り返すことで、中間層10の内部で折り返すよりも空気の流れる経路が長くなるので、冬期に室内から室外に逃げる熱と、夏期に室外から室内に入ってくる熱を空気の流れによってより多く回収することができるので、断熱性能がより一層向上する。
【0041】
本建具(単体サッシ)は、フレームが外周側フレーム(下枠)5と内周側フレーム(下框)8とからなり、内周側フレーム8より外周側で空気の流れを折り返すことで、空気の流れる経路が長くなるので、冬期に室内から室外に逃げる熱と、夏期に室外から室内に入ってくる熱を空気の流れによってより多く回収することができるので、断熱性能がより一層向上する。
本建具(単体サッシ)は、外周側フレーム(下枠)5内で空気の流れを折り返すことで、外周側フレーム5及び内周側フレーム8を伝っての熱の出入りが抑えられるので、省エネ効果を高められる。
【0042】
本建具(単体サッシ)は、外周側フレーム(上枠)4と内周側フレーム(上框)7との間の空間S内に室外側通気部11と室内側通気部12とを仕切る仕切り41を有することで、冬期についていえば、室内の熱により暖められて内側ガラス2の外側面に沿って上昇した空気が、室外側通気部11より流入した冷たい空気と混ざって冷やされるのを防止し、回収した熱を確実に室内に戻すことができるので、空気の流れる方向と逆方向の熱輸送が妨げられることによる断熱効果が確実に発揮される。
【0043】
本建具(単体サッシ)は、室外と連通する通気孔27eが下向きに開口して設けてあり、その通気孔27eの室外側に隣接して垂下片32が設けてあるので、通気孔27eから雨水が浸入しにくい。さらに、上枠本体20の室外側の中空部25内に突壁28が上方に立ち上げて設けてあることで、万が一室外側の通気口27eから雨水が浸入しても、突壁28によりせき止められてそれより室内側に雨水が浸入しない。
【0044】
本建具(単体サッシ)は、外側ガラス1と内側ガラス2を含む障子13全体で開閉できる他、内側ガラス2とその周囲の框7b,8b,9bの部分だけを開閉することもできるので、外側ガラス1の内側面と内側ガラス2の外側面の掃除が容易に行える。
【0045】
図3は、本発明の建具(単体サッシ)の第2実施形態を示している。図3に示すように、上枠4は、第1実施形態と同様に上枠本体20と上枠カバー21とからなり、上枠本体20は室外側の中空部25より内周側の室外側壁に通気孔27rが設けてあり、上枠カバー21は、上下方向の中間部に設けた横壁30に、室外に通じる通気孔27eが下向きに開口して設けてある。
上框7は、第1実施形態と同様に、室外側部材7aの室外側部33及び室内側部34の中空部36,37の外周側壁と内周側壁に通気孔27f,27g,27h,27iが設けてあり、加えて室内側部材7bの中空部81より外周側の室内側壁に通気孔27sが設けてある。
【0046】
本建具(単体サッシ)は、外周側フレーム(上枠)4と内周側フレーム(上框)7に上記のように通気孔27r,27e,27f,27g,27h,27i,27sを形成したことで、室外空間から中間層10に連通する室外側通気部11を、外周側フレーム4に設けた通気孔27e,27rから外周側フレーム4と内周側フレーム7の隙間(空間S)を通り内周側フレーム7を貫通して中間層10に通じるように設けてあり、中間層10から室内空間に連通する室内側通気部12を、中間層10から内周側フレーム7を貫通し内周側フレーム7と外周側フレーム4の隙間(空間S)を通り外周側フレーム4又は内周側フレーム7の室内側壁に設けた通気孔27sから室内空間に通じるように設けてある。
このように室外側通気部11と室内側通気部12を設けた場合も、内周側フレーム7より外周側で空気が出入りするため、空気の流れる経路が長くなるので、断熱性能が向上する。また、第1実施形態と異なり外周側フレーム4の中空部25,26に空気を通さないため、通気孔の数を少なくできる。
外周側フレーム4に通気孔27e,27rを設ける代わりに、外周側フレーム4と内周側フレーム7間のタイト材19aの一部に切り欠きを設け、内周側フレーム7に通気孔27sを設ける代わりに、外周側フレーム4と内周側フレーム7間のタイト材19bの一部に切り欠きを設け、そのタイト材19a,19bの切り欠きから外周側フレーム4と内周側フレーム7の間の空間Sに空気が出入りするようにすることもできる。そうすることで、通気孔の数をさらに少なくできる。
【0047】
また、第2実施形態の建具(単体サッシ)は、下框8には第1実施形態と同様に通気孔27n,27o,27p,27qが設けてあるが、下枠5には通気孔を設けておらず、下枠5と下框8との間の隙間(空間S)で空気の流れを折り返している。
このように、外周側フレーム(下枠)5と内周側フレーム(下框)8との間で空気の流れを折り返す場合も、内周側フレーム8より外周側で空気の流れを折り返すことになるので、空気の流れる経路が長くなり、その結果、断熱性能が向上する。外周側フレーム(下枠)5に通気孔の加工が不要なため、コストを削減できる。
【0048】
図4は、本発明の建具(単体サッシ)の第3実施形態を示している。上框7の室外側部材7aは、室外側部33の中空部36の室外側壁と内周側壁に通気孔27t,27uが設けてあり、室内側部34の中空部37の内周側壁と室内側壁に通気孔27v,27wが設けてある。上框7の室内側部材7bは、室外側部38と室内側部39とに通気孔27xが設けてある。これにより本単体サッシは、室外空間から中間層10に連通する室外側通気部11を内周側フレーム(上框)7に設けてあり、中間層10から室内空間に連通する室内側通気部12を内周側フレーム(上框)7に設けてある。
本実施形態によれば、外周側フレーム(上枠)4に通気孔の加工が不要なため、コストを削減できる。
【0049】
また、第3実施形態の建具(単体サッシ)は、下框8の室外側部材8aに、室外側部52の中空部55の内周側壁と室内側壁に通気孔27o,27yを設け、室内側部53の中空部56の室外側壁と内周側壁とに通気孔27z,27qをそれぞれ設け、これにより下框(内周側フレーム)8内で空気の流れを折り返している。
本実施形態によれば、外周側フレーム(下枠)5に通気孔の加工が不要なため、コストを削減できる。
【0050】
図5は、本発明の建具(単体サッシ)の第4実施形態を示している。本実施形態は、下框8には通気孔を設けず、下框8の内周側壁から内周側に離間した位置にL形断面の整流体65を設け、中間層10の端部で空気の流れを折り返している。
本実施形態によれば、下枠5と下框8のどちらにも通気孔の加工が不要なため、より一層コストを削減できる。
【0051】
図6,7は、本発明の建具(単体サッシ)の第5実施形態を示している。フレーム(枠及び框)の構造は第1実施形態と同様で、空気の流れる経路も第1実施形態と同様に設けてある。
本建具(単体サッシ)は、図6に示すように、内側ガラス2の外周側に位置する下框8の室内側部材8bの室外側部57と室内側部58との間の断熱ブリッジ材59同士の間に形成された中空部82と、下枠5の中間部46と室内側部47との間の断熱ブリッジ48b,48b同士の間に形成された中空部83とに、グラスウールやポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の断熱材84を充填してある。
さらに、図7に示すように、内側ガラス2の外周側に位置する縦框9の室内側部材9bの室外側部74と室内側部75との間の断熱ブリッジ材76同士の間に形成された中空部82と、縦枠6の中間部69と室内側部70との間の断熱ブリッジ70b同士の間に形成された中空部83とにも断熱材84を充填してある。縦框9及び縦枠6の断熱材84は、全長のうちの下半分にだけ設けてある。
【0052】
本建具(単体サッシ)は、冬期に外側ガラス1の内側面に沿って冷たい外気が下方向に流れ、且つ下框9や下枠6の内部を外気が流れるため、下框9や下枠6が外気によって冷やされ、そのままでは結露が発生するおそれがある。本実施形態の単体サッシは、上記のように内側ガラス2の外周側に位置する中空部82,83内に断熱材84が充填してあることで、結露の発生を防ぐことができる。断熱材84は、下フレーム(下框9及び下枠6)の中空部82,83内にだけ設けてあってもよいが、縦フレーム(縦框9及び縦枠6)の中空部82,83の下半分にも設けておくことで、結露を防止する効果が高められる。
【0053】
図8,9は、本発明の建具(単体サッシ)の第6実施形態を示している。第1実施形態とは、フレーム(枠及び框)の構造が異なっている。空気の流れる経路は、第1実施形態と同様に設けてある。
上枠4は、図8に示すように、上枠カバー21と上枠本体22と室内側樹脂部材85とで形成してある。上枠カバー21は、アルミ形材で形成されている。上枠本体22は、アルミ形材よりなる室外側部22と室内側部23を樹脂製の断熱ブリッジ24で連結してある。室内側樹脂部材85は、樹脂形材で形成され、上枠本体22の室内側を覆っている。
下枠5は、下枠本体86と室内側樹脂部材87とで形成してある。下枠本体86は、アルミ形材よりなる室外側部45と室内側部46を樹脂製の断熱ブリッジ48で連結して形成してある。室内側樹脂部材87は、樹脂形材で形成され、下枠本体86の室内側を覆っている。
縦枠6は、図9に示すように、縦枠本体88と室内側樹脂部材89とで形成してある。縦枠本体88は、アルミ形材よりなる室外側部67と室内側部69を樹脂製の断熱ブリッジ70で連結して形成してある。室内側樹脂部材89は、樹脂形材で形成され、縦枠本体88の室内側を覆っている。
【0054】
上框7は、図8に示すように、室内側部材7bの室外側部38がアルミ形材で形成され、室内側部39が樹脂形材で形成してある。下框8も、上框7と同様に、室内側部材8bの室外側部57がアルミ形材で形成され、室内側部58が樹脂形材で形成してある。縦框9も、上框7と同様に、図9に示すように、室内側部材9bの室外側部74がアルミ形材で形成され、室内側部75が樹脂形材で形成してある。
【0055】
本実施形態の建具(単体サッシ)は、第1実施形態と同様に、中間層10を外側ガラス1の内側面と内側ガラス2の外側面に沿うように迂回して空気が流れることで(図8参照)、冬期には室内から室外に逃げる熱を空気の流れにより回収して室内に戻し、夏期には室外から室内に入ってくる熱を空気の流れにより回収して室外に捨てることで、窓からの熱の出入りを減らし、冷暖房負荷を抑えることができる。全てのフレームの室内側部85,87,89,39,58,75を樹脂形材で形成したので、断熱性能をより向上できると共に、室内の結露を防止できる。
【0056】
図10,11は、本発明の建具(単体サッシ)の第7実施形態を示している。本実施形態は、フレーム(枠及び框)の構造が第6実施形態と同じである。
下枠5は、図10に示すように、内側ガラス2の外周側で且つ内側ガラス2より室内側に位置する中空部90a内に断熱材84を充填してある。また、下框8の室内側部材8bは、内側ガラス2の外周側で且つ内側ガラス2より室内側に位置する中空部内90bに断熱材84を充填してあり、さらにその中空部90bの内周側に位置する中空部90c内にも断熱材84を充填してある。
縦枠6は、図11に示すように、内側ガラス2の外周側で且つ内側ガラス2より室内側に位置する中空部90a内に断熱材84を充填してある。縦框9の室内側部材9bは、内側ガラス2の外周側で且つ内側ガラス2より室内側に位置する中空部90b内に断熱材84を充填してあり、さらにその中空部90bの内周側に位置する中空部90c内にも断熱材84を充填してある。縦枠6及び縦框9の断熱材84は、全長のうちの下半分にだけ設けてある。
このように、内側ガラス2の外周側に位置する中空部90a,90b内に断熱材84が充填してあることで、第5実施形態と同様に、結露の発生を防ぐ効果がある。
【0057】
図12,13は、本発明の建具(単体サッシ)の第8実施形態を示している。第1実施形態とは、フレーム(枠及び框)の構造が異なっている。空気の流れる経路は、第1実施形態と同様に設けてある。
上枠3は、図12に示すように、上枠カバー21と上枠本体20とで構成してある。上枠カバー21は、アルミ形材で形成してある。上枠本体20は、アルミ形材で形成した室外側部22と中間部91と室内側部23とを有し、室外側部22と中間部91とが樹脂製の断熱ブリッジ24で連結され、中間部91と室内側部23とが樹脂形材92で連結してある。
下枠5は、アルミ形材よりなる室外側部45と中間部46と室内側部47とを有し、室外側部45と中間部46とが樹脂製の断熱ブリッジ48で連結され、中間部46と室内側部47とが樹脂形材92で連結してある。
縦枠6は、下枠5と同様、図13に示すように、アルミ形材よりなる室外側部67と中間部68と室内側部69とを有し、室外側部67と中間部68とが樹脂製の断熱ブリッジ70で連結され、中間部68と室内側部69とが樹脂形材92で連結してある。
【0058】
上框7は、図12に示すように、室内側部材7bの室外側部38が樹脂形材で形成され、室内側部39がアルミ形材で形成してある。下框8も、上框7と同様に、室内側部材8bの室外側部57が樹脂形材で形成され、室内側部58がアルミ形材で形成してある。縦框9も、上框7と同様に、図13に示すように、室内側部材9bの室外側部74が樹脂形材で形成され、室内側部75がアルミ形材で形成してある。
【0059】
本実施形態の建具(単体サッシ)は、第1実施形態と同様に、中間層10を外側ガラス1の内側面と内側ガラス2の外側面に沿うように迂回して空気が流れることで(図12参照)、冬期には室内から室外に逃げる熱を空気の流れにより回収して室内に戻し、夏期には室外から室内に入ってくる熱を空気の流れにより回収して室外に捨てることで、窓からの熱の出入りを減らし、冷暖房負荷を抑えることができる。また、フレームの内側ガラス2を保持している部分の室内側(39,58,75)がアルミ製で、室外側(38,57,74)が樹脂製であるため、フレームの室内外の熱伝導を遮断できる上、室内側に光沢のあるアルミの面を露出させられるので内観意匠が向上する。
【0060】
図14,15は、本発明の建具(単体サッシ)の第9実施形態を示している。フレーム(枠及び框)の構造は第8実施形態と同じである。
本建具(単体サッシ)は、図14に示すように、内側ガラス2の外周側に位置する下框8の室内側部材8bの室外側部57の中空部82内と、下枠5の中間部46と室内側部47との間に配置した樹脂形材92の中空部83内とに断熱材84を充填してある。
さらに、図15に示すように、内側ガラス2の外周側に位置する縦框9の室内側部材9bの室外側部74の中空部82内と、縦枠6の中間部68と室内側部69との間に配置した樹脂形材92の中空部83内とに断熱材84を充填してある。縦框9及び縦枠6の断熱材84は、全長のうちの下半分にだけ設けてある。
このように、内側ガラス2の外周側に位置する中空部82,83内に断熱材84が充填してあることで、第5実施形態と同様に、結露の発生を防ぐ効果がある。
【0061】
図16,17は、本発明の建具(単体サッシ)の第10実施形態を示している。本建具(単体サッシ)は、外周側フレームに相当する上枠4、下枠5及び縦枠6、内周側フレームに相当する上框7、下框8及び縦框9が、すべて樹脂形材のみで形成してある。本建具(単体サッシ)には、空気の流れる経路が第1実施形態と同様に設けてある。
【0062】
本実施形態の建具(単体サッシ)は、第1実施形態と同様に、中間層10を外側ガラス1の内側面と内側ガラス2の外側面に沿うように迂回して空気が流れることで(図16参照)、冬期には室内から室外に逃げる熱を空気の流れにより回収して室内に戻し、夏期には室外から室内に入ってくる熱を空気の流れにより回収して室外に捨てることで、窓からの熱の出入りを減らし、冷暖房負荷を抑えることができる。フレーム(枠及び框)を全て樹脂で形成したので、フレームを伝っての熱の出入りを抑制できる。
【0063】
図18,19は、本発明の建具(単体サッシ)の第11実施形態を示している。フレーム(枠及び框)の構造は第10実施形態と同じである。
本建具(単体サッシ)は、図18に示すように、内側ガラス2の外周側に位置する下框8の室内側部材8bの室外側の中空部82内と、そのさらに外周側に位置する下枠5の中空部83内とに断熱材84を充填してある。
さらに、図19に示すように、内側ガラス2の外周側に位置する縦框9の室内側部材9bの室外側の中空部82内と、そのさらに外周側に位置する縦枠6の中空部83内とに断熱材84を充填してある。縦框9及び縦枠6の断熱材84は、全長のうちの下半分にだけ設けてある。
このように、内側ガラス2の外周側に位置する中空部82,83内に断熱材84が充填してあることで、第5実施形態と同様に、結露の発生を防ぐ効果がある。
【0064】
図20,21は、本発明の建具(単体サッシ)の第12実施形態を示している。本建具(単体サッシ)は、躯体開口部に取付けられる枠3と、枠3内の室外側位置に嵌め殺し状態で取付けた外側ガラス1と、枠3内の室内側位置に開閉自在に取付けた障子13とを備える。
枠3は、上枠4と下枠5と左右の縦枠6,6とを四周枠組みして構成されている。
障子13は、上框7と下框8と左右の縦框9,9とを四周框組みし、その内側に内側ガラス2を嵌め込んで形成してある。障子13は、上枠4と上框7間、下枠5と下框8間に設けたステー93により、室内側にたてすべり出し式に開くようになっている。
【0065】
上枠4は、図20に示すように、上枠本体20と、上枠本体20の室外側に取付けた上枠カバー21と、上枠本体20の室内側に取付けた樹脂カバー94とを有している。
上枠本体21は、アルミ形材よりなり、室外側と室内側に中空部25,26を有している。室外側の中空部25の室外側壁と内周側壁には通気孔95a,95bが設けてあり、内周側壁の通気孔95bにはフィルタ29が取付けてある。室内側の中空部26の内周側壁と室内側壁にも通気孔95c,95dが設けてある。
上枠カバー21は、アルミ形材で形成してあり、上枠本体20の室外側に取付けて上枠本体20の室外側壁の通気孔95aを覆っている。上枠カバー21は、上下方向の中間部に設けた横壁30に、室外に通じる通気孔95eが下向きに開口して設けてあり、当該通気孔95eには虫の侵入を防ぐために網31が取付けてある。上枠カバー21は、通気孔95eの室外側に垂下片32が設けてある。
樹脂カバー94は、樹脂形材で形成してあり、上枠本体20の室内側に取付けて上枠本体20の室内側の通気孔95dを覆っている。樹脂カバー94には、室内外方向に連通する通気孔95fが設けてあり、通気孔95fにはフィルタ29が取付けてある。
【0066】
本建具(単体サッシ)は、図20に示すように、上枠カバー21の通気孔95eと、上枠本体20の室外側の中空部25に形成した通気孔95a,95bとにより、室外空間から中間層10に連通する室外側通気部11が形成されている。
また、上枠本体20の室内側の中空部26に形成した通気孔95c,95dと、樹脂カバー94に形成した通気孔95fとにより、中間層10から室内空間に連通する室内側通気部12が形成されている。
【0067】
上枠4は、室外側の中空部25の内周側壁に形成された通気孔95bの室内側に隣接する位置に、整流体65が垂下して設けてある。整流体65は上枠4と一体成形されており、下端部が室外側に斜めに曲がっている。
【0068】
下枠5は、アルミ形材で形成してあり、図20に示すように、室外側に中空部96a,96bが内外周方向に重ねて二つ形成され、室内側に一つの中空部96cが形成されている。
縦枠6は、アルミ形材で形成され、図21に示すように、室内外方向に並べて中空部97a,97b,97cが三つ形成してある。
【0069】
上框7と下框8は、図20に示すように、室外側部98がアルミ形材で形成され、室内側部99が樹脂形材で形成してある。縦框9も、図21に示すように、室外側部98がアルミ形材で形成され、室内側部99が樹脂形材で形成してある。
【0070】
本実施形態の建具(単体サッシ)は、第1実施形態と同様に、中間層10を外側ガラス1の内側面と内側ガラス2の外側面に沿うように迂回して空気が流れることで(図20参照)、冬期には室内から室外に逃げる熱を空気の流れにより回収して室内に戻し、夏期には室外から室内に入ってくる熱を空気の流れにより回収して室外に捨てることで、窓からの熱の出入りを減らし、冷暖房負荷を抑えることができる。
室外側通気部11と室内側通気部12を上枠4のみで構成し、且つ中間層10の端部で空気の流れを折り返すようにしたので、通気孔の加工が少なくて済み、コストを削減できる。
【0071】
図22は、本発明の建具(単体サッシ)の第13実施形態を示しており、第12実施形態とは上枠の構造が異なっている。
上枠4は、上枠本体20と、上枠本体20の室外側に取付けた上枠カバー21と、上枠本体20の室内側に取付けた樹脂カバー94とを有している。上枠本体20は、アルミ形材よりなる室外側部22と室内側部23とを樹脂製の断熱ブリッジ24で連結して構成してあり、室外側部22と室内側部23はそれぞれ中空部25,26を有している。室外側の中空部25の室外側壁と内周側壁とに通気孔95a,95bを形成して室外側通気部11が形成してあり、室内側の中空部26の内周側壁と室内側壁とに通気孔95c,95dを形成して室内側通気部12を形成してあるのは、第12実施形態と同じである。
上枠4は、断熱ブリッジ24の内周側に整流体65が設けてある。整流体65は、下方に向かって室外側に傾斜した平らな板状となっている。
【0072】
本実施形態の建具(単体サッシ)は、上フレーム(上枠)4は室外側及び室内側に中空部25,26を有し、室外側の中空部25と室内側の中空部26とが断熱ブリッジ24により熱的に遮断されていることで、冬期において室内側の中空部26に室外の冷気が伝わらないため、室内の熱により暖められて内側ガラス2の外側面に沿って上昇した空気が、室内側の中空部26を通過する際に冷やされるのを防止し、回収した熱を確実に室内に戻すことができるので、空気の流れる方向と逆方向の熱輸送が妨げられることによる断熱効果が確実に発揮される。
また、本実施形態の建具(単体サッシ)は、整流体65が上フレーム4の熱伝導遮断位置(断熱ブリッジ24)の内周側に設けてあると共に、整流体65の先端を外側ガラス1側に向けてあるため、整流体65の結露が抑制されるとともに、空気の流れを外側ガラス1の内側面に沿わせられる。
【0073】
室外側の中空部25と室内側の中空部26とを熱的に遮断した上フレーム4の構造としては、上記のアルミ製の室外側部22と室内側部23とを断熱ブリッジ24で連結した構造の他、室外側がアルミ形材で形成され、室内側が樹脂形材で形成されたアルミ+樹脂の複合構造や、全体が樹脂で形成したものであってもよい。
【0074】
図23は、第13実施形態の変形例を示しており、図22のものとは、整流体65の形状が異なっている。図23(a)記載のものは、整流体65が室外側に向けて円弧状に曲がった形になっている。図23(b)記載のものは、整流体65が中間部から室外側に向けて曲がっている。整流体65をこのような形状とした場合も、図22の整流体65と同様に、空気の流れを外側ガラス1の内側面に沿わせられる。
【0075】
図24は、本発明の建具(単体サッシ)の第14実施形態を示している。フレームの構造、空気の流れる経路は、第13実施形態と同様である。本実施形態は、中間層10に整流体としてブラインド100が取付けてある。
ブラインド100は、上枠4の室外側の中空部25と室内側の中空部26の間の熱伝導遮断位置(断熱ブリッジ24)に取付けてある。ブラインド100の下端と下枠5の内周側面との間には、隙間101が設けてある。
【0076】
このように、中間層10に整流体としてブラインド100を設置した場合も、板状の整流体65を設置した場合と同様に、中間層10内の空気の流れを外側ガラス1の内側面と内側ガラス2の外側面に沿うように迂回させることができる上、中間層10を室内外に仕切って外側ガラス1の内側面に沿う空気の流れと内側ガラス2の外側面に沿う空気の流れとが混ざらないようにすることができる。
ブラインド100は、上枠4の熱伝導遮断位置(断熱ブリッジ24)の内周側に設けてあることで、ブラインド上部の結露が抑えられる。
【0077】
整流体65は、内外ガラス1,2間で下降する空気と上昇する空気とがぶつかり合って空気の流れが阻害されるのを防ぐもの、フレーム内に空気を通すためにフレームに設けた通気孔に確実に空気を導くものであればよく、板状のものやブラインドの他、ロールスクリーン等のスクリーンであってもよい(他の実施形態についても同様)。
【0078】
図25,26は、本発明の建具(単体サッシ)の第15実施形態を示している。本建具(単体サッシ)は、ビル用の引違いサッシに適用したものであり、躯体(図示省略)の開口部に取付けられる枠3と、枠3内に引違い状に開閉自在に納めた外障子13aと内障子13bとを備える。
【0079】
枠3は、アルミ形材よりなる上枠4と下枠5と左右の縦枠6,6を四周枠組みして構成してある。外障子13a及び内障子13bは、アルミ形材よりなる上框7と下框8と戸先框115と召合せ框116とを四周框組みし、その内側に複層ガラスの代わりにパネルユニット106を組み込んである。パネルユニット106は、障子13a,13bの框7,8,115,116よりも見込み寸法が大きくなっており、外障子13aは框7,8,115,116よりもパネルユニット106が室外側にはみ出し、内障子13bは框7,8,115,116よりもパネルユニット106が室内側にはみだしている。
【0080】
パネルユニット106は、アルミ形材よりなる上フレーム103と下フレーム104と左右の縦フレーム105,105とを四周枠組みし、その枠内に外側ガラス1と内側ガラス2を嵌め込んで構成してある。
上フレーム103は、図25に示すように、室外側及び室内側の見付壁117a,117bと見込壁118を有し、見込壁118の外周側に設けた一対の係止片119a,119bを、上框7のガラス間口120に挿入・係止して、上框7のガラス間口120に保持されている。
室外側見付壁117aの上部にはスリット状の通気口121を形成し、室外空間から内外ガラス間の中間層7に連通する通気部(室外側通気部)122を設けてある。通気口121の室内側には、タッピングホールに係合する軸123を支点として室内外方向にスイングする弁体124を有し、弁体124は図示しない操作部を操作することで通気口121を開閉自在となっている。弁体124の室内側には、見込壁118と室外側見付壁117aとにまたがって隔壁125が設けてあり、隔壁125の縦壁にも通気口が設けてある。通気部122は、弁体124を迂回するように曲がった形になっており、これにより雨水が通気部122から中間層10に入るのを防いでいる。室外側見付壁117aの内周側端部には、外側ガラス保持部126が溝状に形成してあり、外側ガラス保持部126に外側ガラス1の上端部がパッキン127を介して嵌め込んである。
室内側見付壁117bの上部にはスリット状の通気口128を形成し、中間層10から室内空間に連通する通気部(室内側通気部)129を設けてある。通気口128の室外側には、タッピングホールに係合する軸123を支点として室内外方向にスイングする弁体130を有し、弁体130は図示しない操作部を操作することで通気口128を開閉自在となっている。弁体130の室外側には、見込壁118と室内側見付壁117bとにまたがって隔壁131が設けてあり、隔壁131の縦壁にも通気口が設けてある。通気部129は、室外側の通気部122と同様に、曲がった形になっている。室内側見付壁117bの内周側端部には、内側ガラス保持部132が溝状に形成してあり、内側ガラス保持部132に内側ガラス2の上端部がパッキン127を介して嵌め込んである。
見込壁118の室内外方向の中央部には、整流板133が垂下して設けてある。
【0081】
下フレーム104は、図25に示すように、室外側及び室内側の見付壁134a,134bと外周側及び内周側の見込壁135a,135bを有する略矩形断面に形成され、外周側見込壁135aの外周側に設けた一対の係止片119a,119bを、下框8のガラス間口120に挿入・係止して、下框8のガラス間口120に保持されている。内周側見込壁135bの内周側には外側ガラス保持部126と内側ガラス保持部132が形成してあり、各ガラス保持部126,132に外側ガラス1及び内側ガラス2の端部をパッキン127を介して嵌め込んである。
【0082】
左右の縦フレーム105は、図26に示すように、室外側及び室内側の見付壁136a,136bと外周側及び内周側の見込壁137a,137bとを有する略矩形断面に形成され、外周側見込壁137aの外周側に設けた一対の係止片119a,119bを、縦框(戸先框115及び召合せ框116)のガラス間口120に挿入・係止して、縦框115,116のガラス間口120に保持されている。内周側見込壁137bの内周側には外側ガラス保持部126と内側ガラス保持部132が形成してあり、各ガラス保持部126,132に外側ガラス1及び内側ガラス2の端部をパッキン127を介して嵌め込んである。
【0083】
次に、障子13a,13bの組立て方を説明する。上フレーム103と下フレーム104と左右の縦フレーム105,105を、各フレームの内周側端部に形成した外側・内側ガラス保持部126,132に外側・内側ガラス1,2をそれぞれ嵌め込みながら枠組みし、パネルユニット106を組み立てる。その後、パネルユニット106外周の係止片119a,119bをガラス間口120に嵌め込みつつ、上框7と下框8と戸先框115と召合せ框116を框組みして障子13a,13bを組み立てる。組立てた障子13a,13bは、通常の障子と同じように、上枠4・下枠5間に室内側からけんどんで建て込む。
【0084】
本建具(単体サッシ)は、各障子13a,13bに取付けたパネルユニット106の室外側の通気部122と中間層10と室内側の通気部129を通じて室内外に空気が流れ、その際に中間層10を空気が外側パネル1と内側パネル2に沿うように迂回して流れることで、室内から室外に逃げる熱を回収するか、室外から室内に入ってくる熱を室外に捨て、これにより空気の流入する方向とは逆方向の熱移動が妨げられ、非常に優れた断熱効果を発揮する。
冬期の場合について説明すると、換気扇等により室内を負圧に調整し、図25に示すように、パネルユニット106を空気が室外から室内に向けて流れるようにする(図中の矢印は、空気の流れを示す)。室外側の通気口121から流入した冷たい空気(外気)は、弁体124に当たることで、外側ガラス1の室内側面に沿うように下向きに流出する。その後、冷たい空気はコールドドラフトにより中間層10の下まで流れてから折り返し、内側ガラス2から室内の熱が伝わることで暖められ、内側ガラス2の室外側面に沿って上昇し、この間に内側ガラス2から室外に逃げる熱を空気の流れによって回収する。その後、暖められた空気は弁体130にガイドされて室内側の通気口128から室内に流れる。空気が通気口128等からなる通気部129を通過する際にも、上フレーム103を伝って室内から室外に逃げる熱を空気の流れによって回収する。そうして暖められた空気を室内に取り入れることで、回収した熱を室内に戻すことができる。上フレーム103に整流板133を備えることで、内側ガラス2の室外側面に沿って上昇した空気が室外側に逆流し、室外側の通気部122からの冷たい空気の流れとぶつかるのを防ぎ、室内側の通気部129へと確実に導くことができる。
このように、中間層10内を外側ガラス1と内側ガラス2に沿うように迂回して空気が流れることで、室内から室外に伝わる熱を空気の流れによって回収し、室内に戻すことで、室内から室外への熱の損失がほとんどなくなるので、非常に高い断熱性が得られる。また、外気を暖めて室内に採り込めるので、室内に居る人が冷たい風を感じることがなく、暖房効率も良い。
【0085】
夏期には、換気扇等により室内を正圧に調整し、冬期とは逆に室内から室外に空気が流れるようにする。室内の空気の温度は室外よりも低いので、室内側の通気部129から中間層10に入った空気は内側ガラス2の室外側面に沿って下向きに流れ、その後、中間層10の下部で折り返し、外側ガラス1等の熱が伝わることで外側ガラス1の室内側面に沿って上昇し、この間に外側ガラス1を通じて室外から室内に入ってくる熱を空気の流れによって回収する。その後、室外側の通気部122を通って空気が室外に放出される。空気が通気部122を通過する際、上フレーム103を伝って室内に入ってくる熱を空気の流れによって回収する。そして、空気が室外に放出されることで、外側ガラス1や上フレーム103から回収した熱を室外に捨てる。このように室外から室内に伝わる熱を空気の流れによって回収し、室外に捨てることで、空気が流出する方向とは逆方向である室外側から室内側への熱輸送が妨げられ、優れた断熱効果を発揮して、室内が涼しく保たれる。
【0086】
本建具(単体サッシ)は、障子13a,13bの框7,8,115,116のガラス間口120に保持されるパネルユニット106に空気の流路を構成したことで、框7,8,115,116や枠3に特別な細工が不要なため、通常のサッシの障子のガラス間口120に本パネルユニット106を組み込むことにより、低コストで容易に実施することができる。既存の障子に後からパネルユニット106を組み込むことも可能である。
【0087】
パネルユニット106は、フレーム103,104,105の内側ガラス2を保持する部分を別体で形成し、内側ガラス2が開閉又は着脱自在とすることができる。内側ガラス2を開閉又は着脱することで、空気が流れる内側ガラス2の外側面や外側ガラス1の内側面を掃除することができ、メンテナンス性が向上する。
【0088】
パネルユニット106は、フレーム103,104,105の外側ガラス1を保持する部分と内側ガラス2を保持する部分とを熱的に分離してあってもよい。具体的には、外側ガラス1を保持する部分と内側ガラス2を保持する部分とを樹脂製のブリッジ材で連結したり、外側ガラス1を保持する部分をアルミで、内側ガラス2を保持する部分を樹脂で形成したりすることができる。また、フレーム全体を樹脂で形成することもできる。
そのように、フレーム103,104,105の外側ガラス1を保持する部分と内側ガラス2を保持する部分とを熱的に分離してあると、フレーム103,104,105を伝っての熱の出入りを防げることに加え、内側ガラス2を保持する部分に室外の冷気が伝わらないため(冬期の場合)、内側ガラス2に沿って上昇した空気がフレームに当たって冷やされるのを防げるので、断熱性能がより一層向上する。
【0089】
フレーム(103,104,105)は、室外側と室内側で熱的に分離されていなくても、冬期は熱回収した空気をフレームを介さずに断熱パイプを通じて室内に取り込み、夏期は室内の空気をフレームを介さずに断熱パイプを用いて内外ガラス間の中間層10に直接送るようにしてもよい。
【0090】
第15実施形態の建具(単体サッシ)は、引違いサッシに限らず、枠3に一つの障子を開閉自在に支持したもの(例えば、たてすべり出し窓)に適用することもできる。この場合、当該障子の框のガラス間口120に外側ガラス1と内側ガラス2を有するパネルユニット106を支持したものでもよいし、框に外側ガラス1と内側ガラス2を直接支持したものでもよい。また、枠3にパネルユニット106を組み込んで嵌め殺し窓とすることもできる。
【0091】
以上に述べたように第15実施形態の建具(単体サッシ)は、フレーム(上框7,下框8,戸先框115,召合せ框116)と、フレーム7,8,115,116のガラス間口120に保持したパネルユニット106を備え、パネルユニット106は、外側ガラス1と内側ガラス2を有し、室外と連通して外側ガラス1の内側面に沿って一方向に空気が流れ、ガラス1,2の端部付近で折り返し、室内と連通して内側ガラス2の外側面に沿って他方向に空気が流れることで、室内から室外に逃げる熱を回収するか、室外から室内に入ってくる熱を室外に捨てることで、窓からの熱の出入りを減らし、冷暖房効率を高めることができる。フレーム7,8,115,116のガラス間口120にパネルユニット106を組み込むだけでよいため、実施が容易である。
【0092】
第15実施形態の建具においても、第1実施形態のところで述べたように、夏期に空気を室外から室内に流すこともできる。この場合には、外側ガラス1側で貫流熱が減り、内側ガラス2側で冷熱を回収するので、非常に高い断熱性能が得られ、冷房負荷を抑えることができる。また、冬期に空気を室内から室外に流すこともできる。この場合には、外側ガラス1側で貫流冷熱を回収して室外に排出し、内側ガラス2側で貫流熱が減るため、非常に高い断熱性能が得られ、暖房負荷を抑えることができる。
【0093】
本発明の建具は、一つのフレームに外側ガラス1と内側ガラス2を支持した単体サッシに限らず、外窓と内窓を備える二重窓であってもよい。
【0094】
室外側通気部11と室内側通気部12はどこに設けてあってもよく、例えば外壁から中間層10にわたって室外側通気部11を設けたり、内壁から中間層10にわたって室内側通気部12を設けることもできる。
【0095】
図30は、本発明の建具の第16実施形態を示している。本実施形態の建具は、外側ガラス1の室内側に内側仕切体としてカーテン100を設けている。カーテン100の上方には、外側ガラス1とカーテン100との間の中間層10から室内空間に連通する室内側通気部12が設けてある。カーテン100の左右の縁部と下縁部は、マグネット101等で窓枠に固定して気密化してある。
【0096】
本実施形態の建具は、第1実施形態等と同様に、外側ガラス1の内側面とカーテン100の外側面に沿うように空気を室外から室内、又は室内から室外に流すことで、高い断熱性能が得られ、冷暖房負荷を抑える効果がある。内側仕切体をカーテン100としたことで、外側ガラス1と内側ガラス2とでガラスを二重に設ける場合と比べて、コストを削減できる。カーテン100の上方に室内側通気部12を設けたので、中間層10に外側ガラス1の内側面とカーテン100の外側面に沿うように迂回する空気の流れを形成するのが容易である。カーテンレールとカーテン100との間の隙間を室内側通気部12として利用できる。
【0097】
図31は、本発明の建具の第17実施形態を示している。本実施形態の建具は、外側ガラス1の室内側に内側仕切体としてロールスクリーン102を設けている。ロールスクリーン102の上部には、外側ガラス1とロールスクリーン102との間の中間層10から室内空間に連通する室内側通気部12が設けてある。ロールスクリーン102の左右の縁部と下縁部は、窓枠に取付けたガイドレール110に挿入して気密化してある。
【0098】
本実施形態の建具は、第1実施形態等と同様に、外側ガラス1の内側面とロールスクリーン102の外側面に沿うように空気を室外から室内、又は室内から室外に流すことで、高い断熱性能が得られ、冷暖房負荷を抑える効果がある。内側仕切体をロールスクリーン102としたことで、外側ガラス1と内側ガラス2とでガラスを二重に設ける場合と比べて、コストを削減できる。ロールスクリーン102の上部に室内側通気部12を設けたので、中間層10に外側ガラス1の内側面とロールスクリーン102の外側面に沿うように迂回する空気の流れを形成するのが容易である。ロールスクリーン102の巻取り軸と巻取り軸を支持するフレームとの間の隙間を室内側通気部12として利用できる。
【0099】
図32は、本発明の建具の第18実施形態を示している。本実施形態の建具は、外側ガラス1の室内側に内側仕切体として障子111を設けている。障子111の上部には、外側ガラス1と障子104との間の中間層10から室内空間に連通する室内側通気部12が設けてある。障子104の周囲と窓枠との間は気密化してある。
【0100】
本実施形態の建具は、第1実施形態等と同様に、外側ガラス1の内側面と障子111の外側面に沿うように空気を室外から室内、又は室内から室外に流すことで、高い断熱性能が得られ、冷暖房負荷を抑える効果がある。内側仕切体を障子111としたことで、外側ガラス1と内側ガラス2とでガラスを二重に設ける場合と比べて、コストを削減できる。障子111の上部に室内側通気部12を設けたので、中間層10に外側ガラス1の内側面と障子111の外側面に沿うように迂回する空気の流れを形成するのが容易である。
【0101】
図33,34は、本発明の建具の第19実施形態を示している。本建具は、躯体開口部に取付けた枠3と、枠3内の室外側に取付けた雨戸(外側仕切体)112と、枠3内の室内側に引き違い状に開閉自在に設けた外障子13a及び内障子13bと、雨戸112と障子13a,13bの間の中間層10に設けた網戸113を備える。
雨戸112は、図33に示すように、框組みした枠体107内に帯板状のスラット108が上下方向に並べて取付けてあり、一番上のスラット108を室外向きに回動することで室外空間から中間層10に連通する室外側通気部11を設けてある。室外側通気部11の室内側には板状の整流体65が設けてあり、室外側通気部11から流入した空気が整流体65に当たることで下向きに流れるようにしてある。一番下のスラット108には、室内側に向けて湾曲した整流ガイド109が設けてあり、雨戸112の内側面に沿って下向きに流れる空気が整流ガイド109に当たることで、空気の流れが折り返すようにしてある。また、網戸113は、中間層10を室外側と室内側に仕切る整流体としての働きがある。
外障子13a及び内障子13bは、上框7と下框8と戸先框115と召合せ框116とを框組みし、その内側に内側ガラス(内側仕切体)2を嵌め込んで構成してある。上框7は、いわゆる換気框となっており、中間層10から室内空間に連通する室内側通気部12を有している。
【0102】
本実施形態の建具は、第1実施形態等と同様に、雨戸112の内側面と内側ガラス2の外側面に沿うように空気を室外から室内、又は室内から室外に流すことで、高い断熱性能が得られ、冷暖房負荷を抑える効果がある。外側仕切体を雨戸112としたことで、外側ガラス1と内側ガラス2とでガラスを二重に設ける場合と比べて、コストを削減できる。雨戸112の上部に室外側通気部11を設け、雨戸112の下部に整流ガイド109を設けたので、中間層10に雨戸112の内側面と内側ガラス2の外側面に沿うように迂回する空気の流れを形成するのが容易である。
【0103】
図35,36は、本発明の建具の第20実施形態を示している。本建具は、枠3内の室外側に外側仕切体として雨戸112の代わりにロールスクリーン114を設けている。ロールスクリーン114の上部には、図35に示すように、室外空間から中間層10に連通する室外側通気部11が設けてある。ロールスクリーン114の下端部に設けたウエイトバー138には、室内側に向けて突出する整流ガイド109を有している。ロールスクリーン114の側縁部は、図36に示すように、枠3の内周面に取付けたガイドレール139に挿入して気密化してある。
【0104】
本実施形態の建具は、第1実施形態等と同様に、ロールスクリーン114の内側面と内側ガラス2の外側面に沿うように空気を室外から室内、又は室内から室外に流すことで、高い断熱性能が得られ、冷暖房負荷を抑える効果がある。外側仕切体をロールスクリーン114としたことで、外側ガラス1と内側ガラス2とでガラスを二重に設ける場合と比べて、コストを削減できる。ロールスクリーン114の上部に室外側通気部11を設け、ロールスクリーン114の下部に整流ガイド109を設けたので、中間層10にロールスクリーン114の内側面と内側ガラス2の外側面に沿うように迂回する空気の流れを形成するのが容易である。ロールスクリーン114の巻取り軸と上枠との間の隙間を室外側通気部11として利用できる。
【0105】
図37は、本発明の換気システムの第1実施形態(請求項1,2に係る発明の実施形態)を示している。本換気システムは、オフィスビルや住宅等の建物の換気システムに適用したものであって、夏期における運転状態を示している。本換気システムは、これまでに説明した建具(請求項1,2、図28(a)参照)と、天井裏に設置した熱交換器140とを組み合わせて構成される。
【0106】
建具は、外側ガラス1と内側ガラス2と整流体(ブラインド)65を備えている。建具には、温かい外気が外側ガラス1の内側面に沿って下向きに流れ、中間層10の下端部で折り返し、内側ガラス2の外側面に沿って上向きに流れる。これにより本建具は、外側ガラス1側で室外側から室内側への貫流熱が減り、内側ガラス2側で室内側から室外側に逃げる冷熱を回収するので、非常に高い断熱性能が得られ、冷房負荷を抑えることができる。
【0107】
建具を通過した外気は、ダクト141aを通じて熱交換器140へと導かれ、空気取入口142より取り入れた内気と熱交換し、内気の冷熱を回収する。内気の冷熱を回収することで温度が下げられた外気は、空気吹出口143より室内に流入する。一方、外気と熱交換することで温度が上がった内気は、壁に設けた給排気口144より室外に流出する。なお、図中の符合145は、上記した外気と内気の流れを作り出すためにダクトに設けてあるファンである。
【0108】
以上に述べたように第1実施形態(請求項1,2)の換気システムは、建具と熱交換機140を備え、外気を、建具を通してから熱交換器140に通した後に室内に導入し、内気を、熱交換器140に通してから室外に排出するものであり、建具の中間層10を外気が外側ガラス1の内側面と内側ガラス2の外側面に沿うように流れることで、外側ガラス1側で室外側から室内側への貫流熱が減り、内側ガラス2側で室内側から室外側に逃げる冷熱を回収するため、非常に高い断熱性能が得られる上、熱交換器140で外気と内気を熱交換して内気の冷熱を回収することで、建具の働きを補完して冷房負荷をより一層削減することができる。
【0109】
図38は、本発明の換気システムの第2実施形態(請求項3,4に係る発明の実施形態)を示している。本換気システムは、外気を、熱交換器140に先に通してから建具に通した後に室内に導入するようにしている。それ以外は、第1実施形態と同様である。
【0110】
第2実施形態の換気システム(請求項3,4)は、建具と熱交換機140を備え、外気を、熱交換器140に通してから建具に通した後に室内に導入し、内気を、熱交換器140に通してから室外に排出するものであり、建具の中間層10を外気が外側ガラス1の内側面と内側ガラス2の外側面に沿うように流れることで、外側ガラス1側で室外側から室内側への貫流熱が減り、内側ガラス2側で室内側から室外側に逃げる冷熱を回収するため、非常に高い断熱性能が得られる上、熱交換器140で外気と内気を熱交換して内気の冷熱を回収することで、建具の働きを補完して冷房負荷をより一層削減することができる。
【0111】
図39は、本発明の換気システムの第3実施形態を示している。本換気システムは、オフィスビルや住宅等の建物の換気システムに適用したものであって、夏期における運転状態を示している。本換気システムは、これまでに説明した建具(図28(b)参照)と、天井裏に設置した熱交換器140とを組み合わせて構成される。本実施形態は、図37に示す第1実施形態とは空気の流れる向きが逆向きになっている。
【0112】
熱交換器140は、給排気口144より導入した外気と空気取入口142より導入した内気とを熱交換する。内気の冷熱を回収することで温度が下がった外気は、空気吹出口143より室内に流入する。一方、内気と熱交換することで温度が上がった内気は、建具へと送られる。
【0113】
その後、内気は、内側ガラス2の外側面に沿って下向きに流れ、中間層10の下端部で折り返し、外側ガラス1の外側面に沿って上向きに流れてから、室外に流出する。これにより本建具は、外側ガラス1側で室外側から室内側への貫流熱と日射熱を排出し、内側ガラス2側で室内側から室外側への貫流冷熱が減るため、非常に高い断熱性能が得られ、冷房負荷を抑えることができる。
【0114】
以上に述べたように第3実施形態の換気システムは、建具と熱交換機140を備え、内気を、熱交換器140に通してから建具に通した後に室外に排出し、外気を、熱交換器140に通してから室内に導入するものであり、建具の中間層10を内気が内側ガラス2の外側面と外側ガラス1の内側面に沿うように流れることで、外側ガラス1側で室外側から室内側への貫流熱と日射熱を排出し、内側ガラス2側で室内側から室外側への貫流冷熱が減るため、非常に高い断熱性能が得られる上、熱交換器140で外気と内気を熱交換して内気の冷熱を回収することで、建具の働きを補完して冷房負荷をより一層削減することができる。
【0115】
図40は、本発明の換気システムの第4実施形態を示している。本換気システムは、内気を、建具に先に通してから熱交換器140に通した後に室外に排出するようにしている。それ以外は、第3実施形態と同様である。
【0116】
第4実施形態の換気システムは、建具と熱交換機140を備え、内気を、建具に通してから熱交換器140に通した後に室外に排出し、外気を、熱交換器140に通してから室内に導入するものであり、建具の中間層10を内気が内側ガラス2の外側面と外側ガラス1の内側面に沿うように流れることで、外側ガラス1側で室外側から室内側への貫流熱と日射熱を排出し、内側ガラス2側で室内側から室外側への貫流冷熱が減るため、非常に高い断熱性能が得られる上、熱交換器140で外気と内気を熱交換して内気の冷熱を回収することで、建具の働きを補完して冷房負荷をより一層削減することができる。
【0117】
図41は、本発明の換気システムの第5実施形態を示している。本換気システムは、オフィスビルや住宅等の建物の換気システムに適用したものであって、冬期における運転状態を示している。本換気システムは、これまでに説明した建具(図29(a)参照)と、天井裏に設置した熱交換器140とを組み合わせて構成される。本実施形態は、図37に示す第1実施形態と外気及び内気の流れる経路が同じになっている。
【0118】
建具には、冷たい外気が外側ガラス1の内側面に沿って下向きに流れ、中間層10の下端部で折り返し、内側ガラス2の外側面に沿って上向きに流れる。これにより本建具は、外側ガラス1側で室外側から室内側に貫流する冷熱が減ると共に日射熱の取得が増加し、内側ガラス2側で室内側から室外側に逃げる熱を回収するので、非常に高い断熱性能が得られ、暖房負荷を抑えることができる。
【0119】
建具を通過した外気は、ダクト141aを通じて熱交換器140へと導かれ、空気取入口142より取り入れた内気と熱交換し、内気の熱を回収する。内気の熱を回収することで温度が上がった外気は、空気吹出口143より室内に流入する。一方、外気と熱交換することで温度が下がった内気は、壁に設けた給排気口144より室外に流出する。
【0120】
以上に述べたように第5実施形態の換気システムは、建具と熱交換機140を備え、外気を、建具を通してから熱交換器140に通した後に室内に導入し、内気を、熱交換器140に通してから室外に排出するものであり、建具の中間層10を外気が外側ガラス1の内側面と内側ガラス2の外側面に沿うように流れることで、外側ガラス1側で室外側から室内側に貫流する冷熱が減ると共に日射熱の取得が増加し、内側ガラス2側で室内側から室外側に逃げる熱を回収するので、非常に高い断熱性能が得られる上、熱交換器140で外気と内気を熱交換して内気の熱を回収することで、建具の働きを補完して暖房負荷をより一層削減することができる。
【0121】
図42は、本発明の換気システムの第6実施形態(請求項5,6に係る発明の実施形態)を示している。本換気システムは、外気を、熱交換器140に先に通してから建具に通した後に室内に導入するようにしている。それ以外は、第5実施形態と同様である。
【0122】
第6実施形態の換気システム(請求項5,6)は、建具と熱交換機140を備え、外気を、熱交換器140に通してから建具に通した後に室内に導入し、内気を、熱交換器140に通してから室外に排出するものであり、建具の中間層10を外気が外側ガラス1の内側面と内側ガラス2の外側面に沿うように流れることで、外側ガラス1側で室外側から室内側に貫流する冷熱が減ると共に日射熱の取得が増加し、内側ガラス2側で室内側から室外側に逃げる熱を回収するので、非常に高い断熱性能が得られる上、熱交換器140で外気と内気を熱交換して内気の熱を回収することで、建具の働きを補完して暖房負荷をより一層削減することができる。
【0123】
図43は、本発明の換気システムの第7実施形態を示している。本換気システムは、オフィスビルや住宅等の建物の換気システムに適用したものであって、冬期における運転状態を示している。本換気システムは、これまでに説明した建具(図29(b)参照)と、天井裏に設置した熱交換器140とを組み合わせて構成される。本実施形態は、図39に示す第3実施形態と外気及び内気の流れる経路が同じになっている。
【0124】
熱交換器140は、給排気口144より導入した外気と空気取入口143より導入した内気とを熱交換する。内気の熱を回収することで温度が上がった外気は、空気吹出口142より室内に流入する。一方、内気と熱交換することで温度が下がった内気は、建具へと送られる。
【0125】
その後、内気は、内側ガラス2の外側面に沿って下向きに流れ、中間層10の下端部で折り返し、外側ガラス1の外側面に沿って上向きに流れてから、室外に流出する。これにより本建具は、外側ガラス1側で室外側から室内側への貫流冷熱を回収して室外に排出し、内側ガラス2側で室内側から室外側への貫流熱が減るため、非常に高い断熱性能が得られ、暖房負荷を抑えることができる。
【0126】
以上に述べたように第7実施形態の換気システムは、建具と熱交換機140を備え、内気を、熱交換器140に通してから建具に通した後に室外に排出し、外気を、熱交換器140に通してから室内に導入するものであり、建具の中間層10を内気が内側ガラス2の外側面と外側ガラス1の内側面に沿うように流れることで、外側ガラス1側で室外側から室内側への貫流冷熱を回収して室外に排出し、内側ガラス2側で室内側から室外側への貫流熱が減るため、非常に高い断熱性能が得られる上、熱交換器140で外気と内気を熱交換して内気の熱を回収することで、建具の働きを補完して暖房負荷をより一層削減することができる。
【0127】
図44は、本発明の換気システムの第8実施形態を示している。本換気システムは、内気を、建具に先に通してから熱交換器140に通した後に室外に排出するようにしている。それ以外は、第7実施形態と同様である。
【0128】
第8実施形態の換気システムは、建具と熱交換機140を備え、内気を、建具に通してから熱交換器140に通した後に室外に排出し、外気を、熱交換器140に通してから室内に導入するものであり、建具の中間層10を内気が内側ガラス2の外側面と外側ガラス1の内側面に沿うように流れることで、外側ガラス1側で室外側から室内側への貫流冷熱を回収して室外に排出し、内側ガラス2側で室内側から室外側への貫流熱が減るため、非常に高い断熱性能が得られる上、熱交換器140で外気と内気を熱交換して内気の熱を回収することで、建具の働きを補完して暖房負荷をより一層削減することができる。
【0129】
本発明の効果を確認するため、本発明の建具及び換気システムを採用した場合に冷暖房負荷をどの程度削減できるか計算した結果を以下に示す。計算には、市販の熱換気回路網計算ソフトであるTRNSYS17を使用した。
図45(a)は、計算に用いた部屋のモデルを示している。同図に示すように、部屋は南面全体に建具が設けられ、建具の大きさは幅1690mm×高さ1370mm、部屋の大きさは幅1690mm×高さ1370mm×奥行3000mmとし、周壁は断熱境界とした。
図45(b)は、計算に用いた建具のモデルを示している。建具は、外窓と内窓の二重窓とし、外窓はアルミサッシ+単板ガラス(外側ガラス1)、内窓は樹脂サッシ+複層ガラス(内側ガラス2)、中間層10には整流体65としてハニカムブラインドを設置するものとした。建具を流れる空気の流量は、12m/hとした。
【0130】
図46-1,図46-2は、計算に用いた建具及び換気システムの換気経路のパターンを示している。
図46-1(a)~(f)は、夏期における運転状態を示している。図46-1(a)に示す実施例1は、建具のみで構成したものであって、図28(a)と同様に、建具を空気(外気)が室外から室内に流れるものである。図46-1(b)に示す実施例2は、建具のみで構成したものであって、図28(b)と同様に、建具を空気(内気)が室内から室外に流れるものである。図46-1(c)に示す実施例3は、建具と熱交換器を組み合わせたものであって、図37に示す第1実施形態の換気システムと同様に、外気を建具に通してから熱交換器に通し、その後に室内に導入するものである。図46-1(d)に示す実施例4は、図38に示す第2実施形態の換気システムと同様に、外気を熱交換器に通してから建具に通し、その後に室内に導入するものである。図46-1(e)に示す実施例5は、図39に示す第3実施形態の換気システムと同様に、内気を熱交換器に通してから建具に通し、その後に室外に排出するものである。図46-1(f)に示す実施例6は、図40に示す第4実施形態の換気システムと同様に、内気を建具に通してから熱交換器に通し、その後に室外に排出するものである。
図46-2(g)~(l)は、冬期における運転状態を示している。図46-2(g)に示す実施例7は、建具のみで構成したものであって、図29(a)と同様に、建具を空気(外気)が室外から室内に流れるものである。図46-2(h)に示す実施例8は、建具のみで構成したものであって、図29(b)と同様に、建具を空気(内気)が室内から室外に流れるものである。図46-2(i)に示す実施例9は、建具と熱交換器を組み合わせたものであって、図41に示す第5実施形態の換気システムと同様に、外気を建具に通してから熱交換器に通し、その後に室内に導入するものである。図46-2(j)に示す実施例10は、図42に示す第6実施形態の換気システムと同様に、外気を熱交換器に通してから建具に通し、その後に室内に導入するものである。図46-2(k)に示す実施例11は、図43に示す第7実施形態の換気システムと同様に、内気を熱交換器に通してから建具に通し、その後に室外に排出するものである。図46-2(l)に示す実施例12は、図44に示す第8実施形態の換気システムと同様に、内気を建具に通してから熱交換器に通し、その後に室外に排出するものである。
図47に示す比較例1は、外気も内気も通さない単なる二重窓である。
【0131】
計算条件としては、寒冷地代表地点として札幌、温暖地代表地点として宮崎を選定し、上記の実施例と比較例について、代表的な下記の一日の暖房・冷房負荷をそれぞれ計算した。
・寒冷地(札幌) 2月19日 日平均気温-9.9℃
・温暖地(宮崎) 7月22日 日平均気温30.9℃
【0132】
図48は、実施例と比較例について計算した冷暖房負荷の値に基づき、単なる二重窓を設置した場合(比較例1)の冷暖房負荷を100%として、実施例の暖房・冷房負荷の割合をグラフ化したものである。図49は、単なる二重窓を設置した場合(比較例1)に対する各実施例の暖房・冷房負荷の削減率をグラフ化したものである。
図48,49より明らかなように、実施例1~6によれば、単なる二重窓を設置した場合(比較例1)と比較して、何れも冷房負荷を抑えられることが分かる。建具のみで構成した実施例1,2と、建具と熱交換器を組み合わせた実施例3~6との比較では、建具と熱交換器を組み合わせた実施例3~6の方が、冷房負荷を抑える効果が高い。外気を建具に通してから熱交換器に通す実施例3と、外気を熱交換器に通してから建具に通す実施例4との比較では、建具に先に通す実施例3の方が冷房負荷を抑える効果が高い。また、内気を熱交換器に通してから建具に通す実施例5と、内気を建具に通してから熱交換器に通す実施例6との比較では、熱交換器に先に通す実施例5の方が冷房負荷を抑える効果が高い。
また、図48,49より明らかなように、実施例7~12によれば、単なる二重窓を設置した場合(比較例1)と比較して、何れも暖房負荷を抑えられることが分かる。建具のみで構成した実施例7,8と、建具と熱交換器を組み合わせた実施例9~12との比較では、建具と熱交換器を組み合わせた実施例9~12の方が、暖房負荷を抑える効果が高い。外気を建具に通してから熱交換器に通す実施例9と、外気を熱交換器に通してから建具に通す実施例10との比較では、建具に先に通す実施例9の方が暖房負荷を抑える効果が高い。また、内気を熱交換器に通してから建具に通す実施例11と、内気を建具に通してから熱交換器に通す実施例12との比較では、熱交換器に先に通す実施例11の方が暖房負荷を抑える効果が高い。
【0133】
以上に述べたように本換気システムは、建具の中間層10を外側ガラス1の内側面と内側ガラス2の外側面に沿うように外気又は内気が流れることで、建具単体でも冷暖房負荷を抑える効果がある上、建具と熱交換器140を組み合わせることで、熱交換器140が内気の冷熱又は熱を回収して建具の働きを補完するので、冷暖房負荷をより一層抑えることができる。
【0134】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。窓の形態は任意であり、開き窓や引き違い窓に限らず、回転窓、すべり出し窓、嵌め殺し窓など、あらゆる窓種に適用することができる。建具の構造は適宜変更することができ、外窓と内窓とを備える二重窓であってもよいし、外側ガラスと内側ガラスを1つのフレーム(枠、框等)に支持した単体サッシであってもよい。
請求項中の「中間層の端部付近で折り返し」には、中間層の底壁より内周側で折り返すもの(図5参照)、内周側フレーム内で折り返すもの(図4参照)、内周側フレームと外周側フレームとの間で折り返すもの(図3参照)、外周側フレーム内で折り返すもの(図
参照)のいずれも含まれる。第5~第15実施形態においても、図3に示す第2実施形態のように、室外側通気部と室内側通気部を、外周側フレーム(上枠)の中空部内を通すことなく、外周側フレーム(上枠)と内周側フレーム(上框)の隙間を通るように形成し、且つ外周側フレーム(下枠)と内周側フレーム(下框)の隙間で空気の流れが折り返すようにすることもできる。また、第5~第15実施形態においても、図4に示す第3実施形態のように、室外側通気部と室内側通気部を内周側フレーム(上框)から空気が出入りするように設け、且つ内周側フレーム(下框)内で空気の流れが折り返すようにすることもできる。
室外空間から中間層に連通する通気部、中間層から室内空間に連通する通気部はどこに形成してあってもよく、例えば縦枠や下枠に設けてあったり、上框と上枠との隙間を通気部とし、その隙間から空気が流入・流出するもの等であってもよい。
外側仕切体は、室外空間と中間層とに仕切るものであればよく、外側ガラスの他、シャッター、雨戸、ロールスクリーン等であってもよい。内側仕切体は、中間層と室内空間とに仕切るものであればよく、内側ガラスの他、カーテン、ロールスクリーン、障子等であってもよい。
本発明の建具は、空気が流れる向きが室外から室内だけのもの、室内から室外だけのもの、室外から室内と室内から室外の両方向に空気が流れるものの何れであってもよい。フレームは、枠や框の他、方立や無目であってもよい。本発明の建具は、面格子やシャッター等を備えるものであってもよい。
本発明の換気システムは、一年を通じて建具に外気を通すもの、一年を通じて建具に内気を通すもの、冬期と夏期で外気と内気の流れる経路を切り替えるもの(例えば、冬期には建具に外気を通し、夏期には建具に内気を通すもの)の何れであってもよい。
【符号の説明】
【0135】
1 外側ガラス(外側仕切体)
2 内側ガラス(内側仕切体)
3 枠(フレーム、外周側フレーム)
4 上枠(フレーム、外周側フレーム)
5 下枠(フレーム、外周側フレーム)
6 縦枠(フレーム、外周側フレーム)
7 上框(フレーム、内周側フレーム)
8 下框(フレーム、内周側フレーム)
9 縦框(フレーム、内周側フレーム)
10 中間層
11 室外側通気部
12 室内側通気部
100 カーテン(内側仕切体)
102 ロールスクリーン(内側仕切体)
111 障子(内側仕切体)
112 雨戸(外側仕切体)
114 ロールスクリーン(外側仕切体)
140 熱交換器
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図46-1】
図46-2】
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