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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】無線移動局装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 60/04 20090101AFI20230907BHJP
【FI】
H04W60/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020044291
(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公開番号】P2021145295
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小早川 雅一
【審査官】桑原 聡一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-268327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の無線プロトコルに基づいて基地局と通信する無線移動局装置であって、
時刻情報の配信が付随され、前記無線プロトコルに基づいた通信を完了後、第1時間の計時を開始し、
前記第1時間が経過するまでに基地局から時刻情報を取得した場合、当該時刻情報を登録し、
前記第1時間が経過するまでに基地局から時刻情報を取得していない場合、時刻情報の配信が付随され、前記無線プロトコルに基づいた通信を当該基地局と行う
ことを特徴とする無線移動局装置。
【請求項2】
前記第1時間が経過するまでに基地局から時刻情報を取得した場合、当該時刻情報を登録し、前記第1時間より長い第2時間の計時を開始し、
前記第2時間が経過するまでに基地局から時刻情報を取得した場合、当該時刻情報を登録し、
前記第2時間が経過するまでに基地局から時刻情報を取得していない場合、時刻情報の配信が付随され、前記無線プロトコルに基づいた通信を当該基地局と行う
請求項1に記載の無線移動局装置。
【請求項3】
時刻情報の配信が付随され、前記無線プロトコルに基づいた通信は、位置登録である請求項1又は2に記載の無線移動局装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は無線移動局装置に適用して有効な技術である。
【背景技術】
【0002】
無線移動局装置が現在時刻情報を取得する方法として、以下の2通りが知られている。
1)NTP(Network Time Protocol)サーバに接続して現在時刻情報を取得する。
2)移動体通信事業者の採用している通信方式の無線プロトコルに基づいた現在時刻の配信情報を取得する。
一般的に普及している携帯電話、スマートフォンに利用されている方式はNTPサーバからの時刻情報取得である。これは移動体通信事業者が提供しているパケット通信サービスが提供されている状態を前提としており、携帯電話、スマートフォンがそのパケット通信機能を利用してNTPサーバと通信し時刻情報を取得している。
【0003】
現在多くの携帯電話、スマートフォンはユーザが通常使用している状況では暗黙的にパケット通信が可能であり、かつ、インターネットに接続している状態になっており、そのパケット通信機能を利用してユーザが特に意識しなくてもバックグラウンドでNTPサーバを利用した時刻情報取得、および、時刻情報の補正が行われている。
【0004】
また、NTPサーバを利用しない方法としては、時刻情報が含まれた配信情報を基地局から受信することで、時刻情報を取得する方法がある。例えば、特開2018-206088号公報には、位置登録受付又は位置登録拒否のメッセージに時刻情報を付加することで、無線移動局装置が位置登録時に時刻を補正できる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-206088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
携帯電話、スマートフォンの場合、ユーザが通常使用している状況ではパケット通信が常時可能な状態となるので、NTPサーバとの通信を行う際に支障が出るケースは限られる。しかし、通信モジュールなど、必要な時のみパケット通信を開始し、不要な場合は通信機能を停止するため、明示的な制御が必要な無線移動局装置も存在する。この場合、運用形態によっては、無線移動局装置はNTPサーバと通信できない場合がある。
【0007】
また、通信モジュールを使用する運用形態として、インターネットなど開域ネットワークでなく、提供サービス専用の閉域ネットワーク上で利用される場合も多い。閉域ネットワークの場合専用のNTPサーバを用意する必要があることからコストとの兼ね合いでNTPサーバを設置しない場合もある。
【0008】
以上のように、無線移動局装置及び運用ネットワークによっては、NTPサーバを利用した時刻情報取得が難しいケースが存在する。
【0009】
また、移動体通信事業者によっては、NTPサーバの利用以外に、採用している通信方式の無線プロトコル仕様に基づいた現在時刻の配信を行っている。具体例としては、LTE(Long Term Evolution)通信方式の場合、“EMM Information”という制御メッセージ内に同梱して時刻情報を配信する。しかし、“EMM Information”においては、通常は、時刻情報配信を単独には行わず、別の無線プロトコル制御(位置登録制御等)に付随して現在時刻の配信を行っており、通信モジュールの利用者が、能動的に現在時刻の配信を付随させている無線プロトコル制御を行わせることは通常できない。よって、能動的に現在時刻だけを取得する方法はないため、通信状況、利用状況によって現在時刻の配信を受けづらい、もしくは、受けられないケースでは、時刻情報を長時間補正できなくなる。
【0010】
本開示の課題は、無線移動局装置が能動的に現在時刻情報を取得可能な技術を提供することにある。
【0011】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0013】
本発明の無線移動局装置は、所定の無線プロトコルに基づいて基地局と通信するものであり、時刻情報の配信が付随され、無線プロトコルに基づいた通信を完了後、第1時間の計時を開始し、第1時間が経過するまでに基地局から時刻情報を取得した場合、当該時刻情報を登録し、第1時間が経過するまでに基地局から時刻情報を取得していない場合、時刻情報の配信が付随され、無線プロトコルに基づいた通信を行う。
【発明の効果】
【0014】
上記無線移動局装置によれば、NTPサーバのような外部サーバを使用せずに、能動的に現在時刻情報を取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施例に係る無線通信システムの構成例を示すシステム図である。
図2図2は、図1の無線移動局装置の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、現在時刻未取得時の動作例を示すシーケンス図である。
図4図4は、現在時刻取得後の動作例を示すシーケンス図である。
図5図5は、アプリケーション部のフローチャートの一部分を示す図である。
図6図6は、アプリケーション部のフローチャートの他の部分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施形態、および、実施例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【実施例
【0017】
図1は、実施例に係る無線通信システムの構成例を示すシステム図である。図2は、図1の無線移動局装置の構成例を示すブロック図である。
【0018】
図1に示す様に、無線通信システム1は、無線移動局装置(以下、移動局と言う)11と、無線基地局装置(以下、基地局と言う)12と、パケット交換局13と、公衆網(移動体通信網)14と、を含む。移動局11は基地局12と電波を媒体として音声、パケットデータ等の通信を行う。基地局12はパケット交換局13に接続され、パケット交換局13は公衆網(移動体通信網)14に接続される。なお、移動局11は、3GPP無線プロトコル仕様に準拠した移動局である。
【0019】
図2に示す様に、移動局11は、無線送受信部21、ベースバンド処理部22、アプリケーション部(AP部)23、無線プロトコル制御部24、表示部25、データ通信インタフェース部(データ通信IF)26、27、および、入力部28等を有する。
【0020】
基地局12から送信された電波は無線送受信部21で受信され、ベースバンド処理部22で信号に変換される。変換された信号データはアプリケーション部23及び無線プロトコル制御部24に送られ、その属性に応じてLCD(液晶表示装置)等の表示部25、外部機器とデータの送受信を行うデータ通信インタフェース部26に送られる。
【0021】
外部機器とのデータ通信インタフェース部27及び入力キー等の入力部28から入力されたデータはアプリケーション部23及び無線プロトコル制御部24により信号変換され、ベースバンド処理部22で変換され、無線送受信部21で電波として基地局12に送信される。
【0022】
基地局12からの各種の制御信号を移動局11が受信した場合は、アプリケーション部23及び無線プロトコル制御部24内で処理された後、表示部25、データ通信インタフェース部26、27、および、入力部28を経由せず、ベースバンド処理部22、無線送受信部21を介して、基地局12へ送信される場合もある。
【0023】
次に、図3図6を用いて、無線通信システム1の動作例を説明する。
【0024】
図3は、現在時刻未取得時の動作例を示すシーケンス図である。図4は、現在時刻取得後の動作例を示すシーケンス図である。図5は、アプリケーション部23のフローチャートの一部分を示す図である。図6は、アプリケーション部23のフローチャートの他の部分を示す図である。
【0025】
なお、本実施例では、”初期位置登録手順”および”位置登録手順”の無線プロトコルに基づいた通信に付随して現在時刻情報を配信する例を説明するが、現在時刻情報の配信が付随された、他の無線プロトコルに基づいた通信にも適用できる。
【0026】
「初期位置登録手順」とは、移動局11の電源投入後等、移動局11が移動体通信網からのサービス提供を受けるために自身の装置を移動体通信網に登録する制御手順であり、移動局11内の無線プロトコル制御部24が能動的に行う制御手順である。通信方式がLTE方式の場合、「初期位置登録手順」は、”Attach procedure”と呼ばれる制御である。
【0027】
「位置登録手順」とは、初期位置登録完了後、定期的もしくは規定された条件を移動局11が満たした場合に行う制御手順であり、移動局11の位置変更や運用状況、サービス提供状況の変化を移動体通信網に通知する制御手順である。「位置登録手順」は、移動局11内の無線プロトコル制御部24が能動的に行う制御手順である。通信方式がLTE方式の場合、「位置登録手順」は、”Tracking Area Updating Procedure”と呼ばれる制御である。
【0028】
(現在時刻未取得時の動作例)
図3図5を用いて、移動局11が現在時刻情報を受信していない場合(現在時刻未取得の場合)の動作例を説明する。
【0029】
移動局11は、電源投入(ステップS1)の後に、初期位置登録手順を実施する(ステップS2)。移動局11は、初期位置登録手順(ステップS2)の完了後、基地局12からの“EMM Information”により配信された現在時刻情報(ステップS4)を受信したかどうかをアプリケーション部23にて判定する。“EMM Information”は、現在時刻情報を含む制御メッセージであり、初期位置登録手順の完了後、基地局12が自発的に移動局11へ送信する制御メッセージである。
【0030】
現在時刻情報の受信の成否判定方法は、次のように行うことができる。初期位置登録手順(ステップS2)の完了の時点で、無線プロトコル制御部24はアプリケーション部23に対して初期位置登録手順が完了した旨を完了通知として通知(ステップS3)する。アプリケーション部23は、完了通知(ステップS3)を受信した後、所定の時間T1の間に、無線プロトコル制御部24から現在時刻情報が通知されたかどうかで成否を判定する。
【0031】
図3には図示されないが、無線プロトコル制御部24が所定の時間T1の間に(時間T1の経過前に)現在時刻情報を受信した場合は、無線プロトコル制御部24は現在時刻情報をアプリケーション部23に通知し、アプリケーション部23はユーザに現在時刻情報を提供できるようにする。この動作は、図5のステップF3、F4、F5の動作を参照することができる。
【0032】
無線プロトコル制御部24が所定の時間(第1時間)T1の間に現在時刻情報を受信していない場合(現在時刻未受信:ステップS5)、無線プロトコル制御部24はアプリケーション部23に受信していない状況を通知する。
【0033】
アプリケーション部23が現在時刻情報を受信していない状況となった場合(現在時刻未取得S6)、アプリケーション部23は、現在時刻取得制御を開始し(ステップS7)、無線プロトコル制御部24に対して位置登録手順を行うよう取得指示を行う(ステップS8)。取得指示を受けた無線プロトコル制御部24は移動体通信網に対して位置登録手順を実施する(ステップS9)。
【0034】
位置登録手順を実施すると、現在時刻情報が含まれた“EMM Information”が、基地局12から移動局11へ配信される(ステップS10)。移動局11の無線プロトコル制御部24は、受信した“EMM Information”から現在時刻情報を取得する(ステップS11)。
【0035】
無線プロトコル制御部24は、取得した現在時刻をアプリケーション部23に通知し(ステップS12)、アプリケーション部23は現在時刻を移動局11の内部に登録する(ステップS13)。これにより、移動局11はユーザに現在時刻情報を提供できる。
【0036】
図3には図示されないが、位置登録手順(ステップS9)にて現在時刻が取得できなかった場合、アプリケーション部23は、時間T1後に、再度、無線プロトコル制御部24に対して位置登録手順を行うよう指示を行う。この動作は、図5のステップF6、F7、F8の動作を参照することができる。
【0037】
なお、時間T1については、ユーザにより設定可能とするのが好ましい。これにより、現在時刻未取得を解消するための時間間隔を調整することができる。また、現在時刻未取得時に上記制御を行うかどうかをユーザが選択できる。
【0038】
図3に示す動作において、アプリケーション部23では、図5に示す動作が実行される。
【0039】
(ステップF1)
アプリケーション部23は、初期位置登録手順通知(ステップS3)を受信したか否かを判断する。受信した場合(Yes)、ステップF2へ移行する。未受信の場合(No)、再度、ステップF1を繰り返す。
【0040】
(ステップF2)
アプリケーション部23は、アプリケーション部23に内蔵される第1タイマ回路で時間T1の計時を開始する。
【0041】
(ステップF3)
アプリケーション部23は、時間T1の間に、現在時刻を受信したか否かを判定する。受信した場合(Yes)、ステップF4へ移行する。未受信の場合(No)、ステップF6へ移行する。
【0042】
(ステップF4)
アプリケーション部23は、第1タイマ回路での時間T1の計時を停止させ、ステップF5へ移行する。
【0043】
(ステップF5)
アプリケーション部23は受信した現在時刻を移動局11の内部に登録する。その後は、図6のステップF10へ移行することになる。
【0044】
(ステップF6)
アプリケーション部23は、第1タイマ回路で時間T1の計時が完了(満了)したか否かを判定する。満了した場合(Yes)、ステップF7へ移行する。満了していない場合(No)、ステップF3へ移行する。
【0045】
(ステップF7)
アプリケーション部23は、無線プロトコル制御部24に対して位置登録手順を行うよう取得指示を送信する。その後、ステップF8へ移行する。
【0046】
(ステップF8)
第1タイマ回路で時間T1の計時を開始し、ステップF3へ移行する。
【0047】
(現在時刻取得後の動作例)
図4図6を用いて、移動局11が現在時刻情報を受信した後(現在時刻取得後)の動作例を説明する。図4図6の動作は、取得済みの現在時刻を定期的に補正する場合の動作例に対応するものである。
【0048】
移動局11は、電源投入の後、初期位置登録手順を実施する(ステップS20)。移動局11は、初期位置登録手順(ステップS20)が完了後、基地局12から“EMM Information”を受信し(ステップS21)、現在時刻情報を取得する(ステップS22)。無線プロトコル制御部24は取得した現在時刻をアプリケーション部23に通知し(ステップS23)、アプリケーション部23は現在時刻を移動局11の内部に登録する(ステップS24)。これにより、アプリケーション部23は現在時刻を更新し、移動局11は更新された現在時刻情報をユーザに提供することができる。
【0049】
アプリケーション部23は、現在時刻を更新した時間から所定の時間(第2時間)T2の経過後に、現在時刻取得制御を開始し(ステップS25)、無線プロトコル制御部24に対して位置登録手順を行うよう取得指示を行う(ステップS26)。取得指示を受けた無線プロトコル制御部24は、基地局に対して、位置登録手順の無線プロトコルに基づいた通信を実施する(ステップS27)。ステップS25~S27におけるアプリケーション部23の動作は、図6のステップF10、F11、F15、F16、F17の動作を参照することができる。
【0050】
位置登録手順の無線プロトコルに基づいた通信が完了後、現在時刻情報が含まれた“EMM Information”が、基地局12から移動局11へ配信される(ステップS28)。移動局11の無線プロトコル制御部24は、受信した“EMM Information”から現在時刻情報を取得する(ステップS29)。無線プロトコル制御部24は、取得した現在時刻をアプリケーション部23に通知し(ステップS30)、アプリケーション部23は現在時刻を移動局11の内部に登録する(ステップS31)。
【0051】
以上により、移動局11は、ステップS24に基づいた登録済みの現在時刻を、ステップS28に基づいて配信された現在時刻へ更新する。したがって、移動局11内で管理している現在時刻が誤差などにより実際の時刻とずれがあった場合でも移動体通信網からステップS28に基づいて配信された現在時刻に補正することができる。
【0052】
図4には図示されないが、ステップS27の位置登録手順の実施において、現在時刻が正常に取得できなかった場合、アプリケーション部23は時間T2の経過後に、再度、無線プロトコル制御部24に対して位置登録手順を行うよう取得指示を行う。
【0053】
また、図4には図示されないが、ステップS27の位置登録手順の実施において、時間T2の間に(時間T2の経過前に)、現在時刻が取得できる場合もある。この場合のアプリケーション部23の動作は、図6のステップF11、F12、F13、F14の動作を参照することができる。
【0054】
なお、時間T2についてはユーザにより設定可能とするのが好ましい。これにより、ユーザが所望する時刻補正周期を設定することができるようになる。また、現在時刻取得後に上記制御を行うかどうかをユーザが選択できる。
【0055】
図4に示す動作において、アプリケーション部23では、図6に示す動作が実行される。
【0056】
(ステップF10)
アプリケーション部23は、ステップS24の後、アプリケーション部23に内蔵される第2タイマ回路で時間T2の計時を開始する。
【0057】
(ステップF11)
アプリケーション部23は、時間T2の間に(時間T2の経過前に)、現在時刻を受信したか否かを判断する。現在時刻を受信した場合(Yes)、ステップF12へ移行する。現在時刻を現在時刻を未受信の場合(No)、ステップF15へ移行する。
【0058】
(ステップF12)
アプリケーション部23は、第2タイマ回路で時間T2の計時を停止させる。その後、ステップF13へ移行する。
【0059】
(ステップF13)
アプリケーション部23は受信した現在時刻を移動局11内に登録する。その後、ステップF14へ移行する。
【0060】
(ステップF14)
アプリケーション部23は、第2タイマ回路で時間T2の計時を開始する。その後、ステップF11へ移行する。
【0061】
(ステップF15)
アプリケーション部23は、第2タイマ回路で時間T2の計時が完了(満了)したか否かを判断する。満了した場合(Yes)、ステップF16へ移行する。満了していない場合(No)、ステップF11へ移行する。
【0062】
(ステップF16)
アプリケーション部23は、無線プロトコル制御部24に対して位置登録手順を行うよう取得指示を送信する。その後、ステップF17へ移行する。
【0063】
(ステップF17)
アプリケーション部23は、第2タイマ回路で時間T2の計時を開始する。その後、ステップF11へ移行する。
【0064】
以上により、時刻情報の補正を定期的に実施することができる。
【0065】
以上の様に、移動局11が、時刻情報を正常に取得したか否かを判定し、正常に取得できていないと判定した場合、再度、位置登録要求を基地局12へ送信する。移動局11は、位置登録手順が完了した後に、基地局12から“EMM Information”の様な現在時刻情報を含む制御メッセージが送信されることを利用して、時刻情報を取得することができる。なお、“EMM Information”は、基地局12が位置登録の完了後、自発的に移動局11へ送信している制御メッセージである。移動局11は、位置登録手順を再度実行することで、“EMM Information”も再度受信できるため、時刻情報を再取得できる。
【0066】
時間T1と時間T2について、説明する。時間T1は、図3に示す様に、現在時刻情報の取得していない場合に位置登録手順の実施(ステップS9)を要求する取得指示(ステップS8)を送信する時間を決めるために利用される。時間T2は、図4に示す様に、現在時刻情報を取得した場合に位置登録手順の実施(ステップS27)を要求する取得指示(ステップS26)送信する時間を決めるために利用される。時間T1を時間T2より短くする(T1<T2)ことにより、現在時刻情報を取得できていない場合は、短時間で現在時刻情報の取得を実施するので、現在時刻情報を取得できない時間を短くすることが可能になる。
【0067】
実施例によれば、以下の効果を得ることができる。
【0068】
1)無線通信システム1によれば、移動局11は基地局12から能動的に現在時刻情報を取得することができる。つまり、移動局11は、無線プロトコル制御を利用して、移動体通信事業者が“EMM Information”の様な現在時刻情報を含む制御メッセージによって配信する現在時刻情報を、能動的に取得するができる。
【0069】
2)上記1)により、無線移動局装置の利用者に現在時刻情報を提供できない機会を短縮できる。
【0070】
3)移動局11は、位置登録手順を再度実行することで、“EMM Information”も再度受信できるため、時刻情報を再取得できる。これにより、時刻情報の誤差を補正することができる。
【0071】
4)時間T1を変更することにより、現在時刻未取得を解消するための時間間隔を調整することができる。
【0072】
5)時刻情報を取得していない場合に時間T1のタイマを設定し、時刻情報を取得した場合に時間T2のタイマを設定することにより、移動局に時刻情報が登録されていない場合における時刻の更新周期と、移動局に時刻情報が登録されている場合における時刻の更新周期とを、個別で設定することができる。移動局に時刻情報が登録されている場合は、時刻情報を即座に取得する必要はないため、時刻情報を取得するための、無線プロトコルに基づく通信の頻度を減らすことで、ネットワークの負荷を抑えられる。
【0073】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0074】
1:無線通信システム
11:無線移動局装置(移動局)
12:基地局
13:パケット交換局
14:公衆網(移動体通信網)
21:無線送受信部
22:ベースバンド処理部
23:アプリケーション部(AP部)
24:無線プロトコル制御部
25:表示部
26、27:データ通信インタフェース部(データ通信IF)
28:入力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6