(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】時間管理装置、時間管理方法および時間管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20230907BHJP
E04G 23/00 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
G06Q50/04
E04G23/00 ESW
(21)【出願番号】P 2020053449
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 治
(72)【発明者】
【氏名】松澤 好洋
(72)【発明者】
【氏名】松本 恵美
(72)【発明者】
【氏名】劉 ルイ嵐
【審査官】岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-217114(JP,A)
【文献】特開2005-234664(JP,A)
【文献】特開2010-198394(JP,A)
【文献】特開2019-114010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
E04G 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の補修・補強工事に用いる補修材料の時間を管理するための時間管理装置であって、
各々の補修材料が製造されてから各々の補修材料を使用することが可能な使用可能時間を管理する使用可能時間管理部と、
各々の補修材料のパッケージが開封されてから各々の補修材料を使用することが可能な開封後使用可能時間を管理する開封後使用可能時間管理部と、
使用することが可能な状態となった補修材料を用いて施工することが可能な可使時間を管理する可使時間管理部と、
携帯端末から送信される、使用可能な状態となった補修材料を用いた補修・補強工事の施工開始時刻および施工終了時刻を取得する施工時刻取得部と、
前記施工時刻取得部が取得した前記施工開始時刻および前記施工終了時刻と、前記使用可能時間、前記開封後使用可能時間および前記可使時間の少なくともいずれか1つと、に基づいて、前記使用可能な状態となった補修材料の使用の可否を判定する使用可否判定部と、
前記使用可否判定部による判定結果を前記携帯端末に報知する判定結果報知部と、
を備えた時間管理装置。
【請求項2】
補修材料は、複数種類の補修材料を混合して、攪拌することによって、パッケージが開封されてから使用することが可能な状態となる攪拌補修材料であって、
前記携帯端末から送信される、前記攪拌補修材料の攪拌開始時刻および攪拌終了時刻を取得する攪拌時刻取得部をさらに備え、
前記使用可否判定部は、前記攪拌時刻取得部が取得した前記攪拌開始時刻および前記攪拌終了時刻に基づいて、前記攪拌補修材料の使用の可否を判定する請求項1に記載の時間管理装置。
【請求項3】
前記パッケージには、各々のパッケージを識別可能な識別情報を含む識別情報ラベルが取り付けられており、
前記識別情報ラベルに含まれる前記各々のパッケージを識別可能な前記識別情報を前記携帯端末から取得する識別情報取得部と、
取得された前記識別情報と、前記使用可能時間、前記開封後使用可能時間および前記可使時間と、を紐付けて記憶する記憶部と、
をさらに備えた請求項1または2に記載の時間管理装置。
【請求項4】
前記識別情報ラベルは、二次元コードである請求項3に記載の時間管理装置。
【請求項5】
前記パッケージは、補修材料を収容した袋体、缶体、ボトル体または補修用のシート材料を巻回したロール体である請求項1~4のいずれか1項に記載の時間管理装置。
【請求項6】
補修・補強工事が行われる構造物は、コンクリート構造物であり、前記補修材料は、セメント系硬化材料を含む請求項1~5のいずれか1項に記載の時間管理装置。
【請求項7】
補修・補強工事が行われる構造物は、鋼構造物であり、前記補修材料は、塗料を含む請求項1~5のいずれか1項に記載の時間管理装置。
【請求項8】
構造物の補修・補強工事に用いる補修材料の時間を管理するための時間管理方法であって、
各々の補修材料が製造されてから各々の補修材料を使用することが可能な使用可能時間を管理する使用可能時間管理ステップと、
各々の補修材料のパッケージが開封されてから各々の補修材料を使用することが可能な開封後使用可能時間を管理する開封後使用可能時間管理ステップと、
使用することが可能な状態となった補修材料を用いて施工することが可能な可使時間を管理する可使時間管理ステップと、
携帯端末から送信される、使用可能な状態となった補修材料を用いた補修・補強工事の施工開始時刻および施工終了時刻を取得する施工時刻取得ステップと、
前記施工時刻取得ステップにおいて取得した前記施工開始時刻および前記施工終了時刻と、前記使用可能時間、前記開封後使用可能時間および前記可使時間の少なくともいずれか1つと、に基づいて、前記使用可能な状態となった補修材料の使用の可否を判定する使用可否判定ステップと、
前記使用可否判定ステップにおける判定結果を前記携帯端末に報知する判定結果報知ステップと、
を含む時間管理方法。
【請求項9】
構造物の補修・補強工事に用いる補修材料の時間を管理するための時間管理プログラムであって、
各々の補修材料が製造されてから各々の補修材料を使用することが可能な使用可能時間を管理する使用可能時間管理ステップと、
各々の補修材料のパッケージが開封されてから各々の補修材料を使用することが可能な開封後使用可能時間を管理する開封後使用可能時間管理ステップと、
使用することが可能な状態となった補修材料を用いて施工することが可能な可使時間を管理する可使時間管理ステップと、
携帯端末から送信される、使用可能な状態となった補修材料を用いた補修・補強工事の施工開始時刻および施工終了時刻を取得する施工時刻取得ステップと、
前記施工時刻取得ステップにおいて取得した前記施工開始時刻および前記施工終了時刻と、前記使用可能時間、前記開封後使用可能時間および前記可使時間の少なくともいずれか1つと、に基づいて、前記使用可能な状態となった補修材料の使用の可否を判定する使用可否判定ステップと、
前記使用可否判定ステップにおける判定結果を前記携帯端末に報知する判定結果報知ステップと、
をコンピュータに実行させる時間管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時間管理装置、時間管理方法および時間管理プログラムに関し、特に、構造物の補修・補強工事に用いる補修材料の時間を管理するための時間管理装置、時間管理方法および時間管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、高度経済成長時代に構築されたインフラ構造物の多くが耐用年数である50年を迎えようとしているなか、点検、調査・診断、補修・補強の適切な維持管理サイクルの実施によって、構造物をリニューアルすることで、各種の構造物の長寿命化を図ることが可能となる。また特に、補修・補強工事を実施する際に用いる補修材料の履歴を記録して、把握しておくことは、補修・補強工事の品質や、補修・補強工事を行った後の各種の構造物の耐久性の証明等に役立つだけでなく、その後の構造物の維持管理を行うためのデータとして有効に用いることが可能なことから、詳細かつ適切な情報の集約と記録の保管が求められると共に、これらの情報を、必要な時にいつでも容易に活用できるようにする体制が求められている。
【0003】
このような各種の構造物をリニューアルするための補修・補強工事に用いる補修材料は、好ましくは、袋体、缶体、ボトル体、ロール体等として、梱包されてパッケージ化された状態で、補修・補強工事の工事現場に多種・多量に投入されるようになっており、搬入された補修材料は、構造物の補修・補強箇所の種別や部位に応じて、1種または2種以上の補修材料が適宜選択され、攪拌されたり組み合わされたりすることで、例えば、多数の補修・補強箇所毎に、各々、必要な所定の数量が使用されることになる。このため、これらの多数の補修・補強箇所毎に使用される補修材料を各々管理するための情報は、データが膨大に且つ複雑になることで、情報の集約のための負担が大きくなる。
【0004】
一方、建設材料などの運搬物の流通過程を管理するためのトレーサビリティシステム(例えば、特許文献1参照)や製品メーカが、製品の出荷後に製品に不具合や事故が発生した場合に備えて、製品の位置情報を管理するためのトレーサビリティサポートシステム(例えば、特許文献2)が開発されている。特許文献1のトレーサビリティシステムでは、建設材料等の運搬物に直接ICタグ等を付するのではなく、運搬物の受け渡しをする設備間で運搬物に関する管理情報の受け渡しを行うことで、運搬物の流通履歴を管理するようになっている。特許文献2のトレーサビリティサポートシステムでは、製品の納品後に、製品の所有者が携帯端末によって製品に貼付されたバーコードを読み込んで、携帯端末から所有者情報を、携帯端末の位置情報と共にトレーサビリティサポート装置に送信することで、製品毎に製品の保証期間、所有者情報、位置情報を管理するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5324357号公報
【文献】特開2018-63473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、構造物の補修・補強工事の現場においては、多種類の補修材料を大量に使用しているため、上記の従来のトレーサビリティシステムでは、各々の補修材料についての使用可能時間を適切に管理することが困難であった。また、各々の補修材料について、現場作業員が、使用可能期間を管理しながら、補修・補強工事を行うことは多大な労力を要し、工事の効率が低下する要因ともなっていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る時間管理装置は、
構造物の補修・補強工事に用いる補修材料の時間を管理するための時間管理装置であって、
各々の補修材料が製造されてから各々の補修材料を使用することが可能な使用可能時間を管理する使用可能時間管理部と、
各々の補修材料のパッケージが開封されてから各々の補修材料を使用することが可能な開封後使用可能時間を管理する開封後使用可能時間管理部と、
使用することが可能な状態となった補修材料を用いて施工することが可能な可使時間を管理する可使時間管理部と、
携帯端末から送信される、使用可能な状態となった補修材料を用いた補修・補強工事の施工開始時刻および施工終了時刻を取得する施工時刻取得部と、
前記施工時刻取得部が取得した前記施工開始時刻および前記施工終了時刻と、前記使用可能時間、前記開封後使用可能時間および前記可使時間の少なくともいずれか1つと、に基づいて、前記使用可能な状態となった補修材料の使用の可否を判定する使用可否判定部と、
前記使用可否判定部による判定結果を前記携帯端末に報知する判定結果報知部と、
を備えた。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る時間管理方法は、
構造物の補修・補強工事に用いる補修材料の時間を管理するための時間管理方法であって、
各々の補修材料が製造されてから各々の補修材料を使用することが可能な使用可能時間を管理する使用可能時間管理ステップと、
各々の補修材料のパッケージが開封されてから各々の補修材料を使用することが可能な開封後使用可能時間を管理する開封後使用可能時間管理ステップと、
使用することが可能な状態となった補修材料を用いて施工することが可能な可使時間を管理する可使時間管理ステップと、
携帯端末から送信される、使用可能な状態となった補修材料を用いた補修・補強工事の施工開始時刻および施工終了時刻を取得する施工時刻取得ステップと、
前記施工時刻取得ステップにおいて取得した前記施工開始時刻および前記施工終了時刻と、前記使用可能時間、前記開封後使用可能時間および前記可使時間の少なくともいずれか1つと、に基づいて、前記使用可能な状態となった補修材料の使用の可否を判定する使用可否判定ステップと、
前記使用可否判定ステップにおける判定結果を前記携帯端末に報知する判定結果報知ステップと、
を含む。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係るプログラムは、
構造物の補修・補強工事に用いる補修材料の時間を管理するための時間管理プログラムであって、
各々の補修材料が製造されてから各々の補修材料を使用することが可能な使用可能時間を管理する使用可能時間管理ステップと、
各々の補修材料のパッケージが開封されてから各々の補修材料を使用することが可能な開封後使用可能時間を管理する開封後使用可能時間管理ステップと、
使用することが可能な状態となった補修材料を用いて施工することが可能な可使時間を管理する可使時間管理ステップと、
携帯端末から送信される、使用可能な状態となった補修材料を用いた補修・補強工事の施工開始時刻および施工終了時刻を取得する施工時刻取得ステップと、
前記施工時刻取得ステップにおいて取得した前記施工開始時刻および前記施工終了時刻と、前記使用可能時間、前記開封後使用可能時間および前記可使時間の少なくともいずれか1つと、に基づいて、前記使用可能な状態となった補修材料の使用の可否を判定する使用可否判定ステップと、
前記使用可否判定ステップにおける判定結果を前記携帯端末に報知する判定結果報知ステップと、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の時間管理装置によれば、各々の補修・補強材料の使用状況に合わせて、各々の補修・補強材料の使用可能時間を適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る時間管理装置の動作の概略を説明するための図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る時間管理装置の構成を説明するためのブロック図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る時間管理装置が有する管理情報テーブルの一例を説明するための図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る時間管理装置が有する補修材料テーブルの一例を説明するための図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る時間管理装置の処理手順を説明するフローチャートである。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る時間管理装置の構成を説明するためのブロック図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る時間管理装置が有する攪拌補修材料テーブルの一例を説明するための図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る時間管理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【
図9】本発明の第3実施形態に係る時間管理装置の構成を説明するためのブロック図である。
【
図10】本発明の第3実施形態に係る時間管理装置の記憶部に記憶される記憶情報の一例を説明するための図である。
【
図11】本発明の第3実施形態に係る時間管理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して、例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている、構成、数値、処理の流れ、機能要素などは一例に過ぎず、その変形や変更は自由であって、本発明の技術範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る時間管理装置100の動作の概略を説明するための図である。時間管理装置100は、橋梁やタワー、ビル、トンネルなどの構造物の補修・補強工事を行う現場の作業員120が所持するタブレット端末やスマートフォンなどの携帯端末110から補修・補強工事に用いる補修材料130の時間を管理するための様々な情報を取得する。時間管理装置100は、補修材料130の時間として、補修材料130が使用可能な状態となってから、その使用が制限されるまでの間の時間を管理する。
【0014】
例えば、作業員120が、補修・補強工事を行うために、パッケージに収容されている補修材料130をパッケージから取り出して補修材料130を使用する。一方で、パッケージに封入されている状態では、補修材料130は外気に触れない状態で保管されていることになるが、一旦封を開けると、補修材料130が外気に触れることになり、補修材料130の劣化が始まる。
【0015】
現場の作業員120は、複数存在するため、いつの時点で、補修材料130が開封されたかなどの情報を個々の作業員120が共有することは困難であり、場合によっては、劣化が進み、使用に適さない補修材料130を知らず知らずのうちに使用してしまうことになる。
【0016】
そのため、時間管理装置100は、補修材料130が製造されてから使用することが可能な期間である使用可能時間111を、携帯端末110から取得した製造年月日などの情報を用いて管理する。また、時間管理装置100は、補修材料130が収容されているパッケージが開封されてから補修材料130を使用することが可能な期間である開封後使用可能時間112を、携帯端末110から取得した開封時間などの情報を用いて管理する。さらに、時間管理装置100は、使用可能な状態となった補修材料130を用いて施工することが可能な期間である可使時間113を管理する。時間管理装置100は、これらの時間111,112,113について、管理を容易にするために、補修材料130を識別するための識別情報と関連付けて保存する。
【0017】
次に、時間管理装置100は、補修材料130を用いた補修・補強工事の施工開始時刻および施工終了時刻114を取得する。時間管理装置100は、取得した施工開始時刻および施工終了時刻114に基づいて、補修材料130の使用の可否を判定する。例えば、最初の施工で使用した補修材料130に余りが生じた場合、余った補修材料130を次回以降の施工に利用する場合に、最初の施工の施工開始時刻および施工終了時刻により、補修材料130の使用の可否を判定する。このようにして、時間管理装置100は、補修材料130の使用期限を管理する。
【0018】
時間管理装置100は、判定結果140を携帯端末110へ報知する。そして、現場の作業員120は、判定結果140により、補修材料130を使用して補修・補強工事を行うことができるか否かを容易に判断することができ、補修材料130の使用期限を容易に管理できる。
【0019】
図2は、本実施形態に係る時間管理装置100の構成を説明するためのブロック図である。時間管理装置100は、構造物の補修・補強工事に用いられる補修材料130の時間を管理するための装置である。時間管理装置100は、時間管理部201、施工時刻取得部202、使用可否判定部203および判定結果報知部204を有する。
【0020】
ここで、時間管理装置100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ネットワークインターフェース、およびストレージを有する。ここで、CPUは、演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することで
図2に示した時間管理装置100の各機能構成を実現する。CPUは、複数のプロセッサを有し、異なるプログラムやモジュール、タスク、スレッドなどを並行して実行してもよい。ROMは、初期データおよびプログラムなどの固定データおよびその他のプログラムを記憶する。また、ネットワークインターフェースは、ネットワークを介して他の装置などと通信する。なお、CPUは、1つに限定されず、複数のCPUであっても、あるいは画像処理用のGPU(Graphics Processing Unit)を含んでもよい。また、ネットワークインターフェースは、CPUとは独立した他のCPUを有して、RAMの領域に送受信データを書き込みあるいは読み出しするのが望ましい。また、RAMとストレージとの間でデータを転送するDMAC(Direct Memory Access Controller)を設けるのが望ましい。さらに、CPUは、RAMにデータが受信あるいは転送されたことを認識してデータを処理する。また、CPUは、処理結果をRAMに準備し、後の送信あるいは転送はネットワークインターフェースやDMACに任せる。
【0021】
RAMは、CPUが一時記憶のワークエリアとして使用するメモリである。RAMには、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する領域が確保されている。ストレージには、データベースや各種のパラメータ、モジュール、あるいは本実施形態の実現に必要なデータまたはプログラムが記憶されている。例えば、ストレージには、時間管理装置100の全体を制御するための制御プログラムが記憶されている。
【0022】
さらに、時間管理装置100は、入出力インターフェースをさらに備えてもよい。入出力インターフェースには、表示部、操作部、記憶媒体が接続される。入出力インターフェースには、さらに、音声出力部であるスピーカや、音声入力部であるマイク、あるいはGPS(Global Positioning System)位置判定部が接続されてもよい。なお、RAMやストレージには、損傷特定装置が有する汎用の機能や他の実現可能な機能に関するプログラムやデータが記憶されていてもよい。
【0023】
時間管理部201は、使用可能時間管理部211、開封後使用可能時間管理部212および可使時間管理部213を有する。使用可能時間管理部211は、各々の補修材料130が製造されてから各々の補修材料130を使用することが可能な使用可能時間を管理する。使用可能時間管理部211は、例えば、補修材料130が製造された製造年月日を、補修材料130の製造メーカのデータベースなどから取得する。また、使用可能時間管理部211は、補修材料130の成分や容量、メーカ名、品番、使用温度範囲などの情報も併せてデータベースから取得する。そして、使用可能時間管理部211は、取得した情報を所定のデータベースなどに保存して管理するとともに、補修材料130の製造日時に基づく使用可能時間を管理する。
【0024】
開封後使用可能時間管理部212は、各々の補修材料130のパッケージが開封されてから各々の補修材料130を使用することが可能な開封後使用可能時間112を管理する。通常、各々の補修材料130は、パッケージに収容されている。そして、パッケージに収容されている状態では、補修材料130は、適切な雰囲気下で保管されるため、劣化し難くなっている。しかしながら、補修材料130を使用するために、パッケージを開封すると、補修材料130は、空気に晒されるため、劣化が進む。そのため、各々の補修材料130には、密封されたままで保管することができる保管期間と、開封後に補修材料130を使用することができる使用期間とが定められている。そして、開封後使用可能時間管理部212は、保管期間と使用期間との兼ね合いから、補修材料130のパッケージが開封されてから使用することが可能な期間である開封後使用可能時間112を管理する。なお、パッケージの開封時刻については、作業員120が携帯端末110を用いて入力する。
【0025】
可使時間管理部213は、使用することが可能な状態となった補修材料130を用いて施工することが可能な期間である可使時間113を管理する。例えば、補修材料130を使って施工する際には、パッケージに収容されている補修材料130をパッケージからホッパーやミキサー、プラ舟、バケツなどに移し替えてから施工を開始する。
【0026】
このように、補修材料130は、パッケージを開封しただけでは、すぐには施工に使用することができない。そのため、可使時間管理部213は、補修材料130を施工に使うことができる状態(使用可能な状態)になってから、補修材料130が使用できなくなるまでの間の期間を可使時間113として管理する。すなわち、可使時間管理部213は、補修材料130が使用可能な状態になった日時に基づいて、補修材料130が使用できなくなるまでの期間を計算して、管理する。
【0027】
ここで、パッケージは、補修材料130を収容した袋体、缶体、ボトル体および補修用のシート材料を巻回したロール体の少なくともいずれかを含む。なお、補修材料130が収容されるパッケージは、ここに示した例には限定されず、補修材料130を収容可能なものであれば、いずれのものであってもよい。
【0028】
施工時刻取得部202は、携帯端末110から送信される、使用可能な状態となった補修材料130を用いた補修・補強工事の施工開始時刻および施工終了時刻114を取得する。例えば、補修材料130として塗料を用いて補修工事等を行う場合、パッケージとしての缶を開封し、塗料をバケツなどに移し替えると、塗料が空気に晒され固まりやすくなる。したがって、素早く施工を完了させなければ、塗料を用いた施工ができなくなる。
【0029】
そのため、施工時刻取得部202は、塗料の使用可否の判定材料として施工開始時刻および施工終了時刻114を取得する。なお、施工終了時刻を取得するのは、例えば、最初の施工から少し時間をおいて次回以降の施工を行う場合があり、この場合、最初の施工と次回以降の施工との間の時間が、所定の時間以内であれば、塗料を補修材料130として用いることが可能だからである。なお、施工開始時刻および施工終了時刻については、作業員120が携帯端末110を用いて入力することにより行われる。
【0030】
使用可否判定部203は、施工時刻取得部202が取得した施工開始時刻および施工終了時刻114と、使用可能時間111、開封後使用可能時間112および可使時間113の少なくともいずれか1つと、に基づいて、使用可能な状態となった補修材料130の使用の可否を判定する。
【0031】
ここで、例えば、補修材料130として塗料を用いる場合を考える。塗料に含まれる揮発性溶剤成分が蒸発して、塗料が使えなくなる時間として、次の3つのものがある。すなわち、1番目は、使用可能時間管理部211が管理する時間であり、塗料の製造後パッケージングされ、未開封の状態での使用期限である使用可能時間111である。次に、2番目は、塗料のパッケージを開封した後の使用期限である開封後使用可能時間112である。そして、3番目は、パッケージの開封後、塗料をバケツなどの移し替えた状態での使用期限である、可使時間113である。
【0032】
そして、使用可否判定部203は、塗料のおかれた状況に応じて、これらの3つの使用期限のいずれか1つと、現在の時刻とを比較することにより、補修材料130の使用可否を判定する。例えば、塗料がパッケージ(缶)に封入され、未開封のままであれば、使用可否判定部203は、使用可能時間111と現在時刻とを比較し、現在時刻が使用可能時間111内にあるか否かを判定することにより、補修材料130の使用可否を判定する。これにより、パッケージングされた状態であるにもかかわらず、既に使用期限が経過しているものを排除することができる。
【0033】
また、例えば、塗料のパッケージが開封された状態にある場合、使用可否判定部203は、開封後使用可能時間112と現在時刻とを比較し、現在時刻が開封後使用可能時間112内にあるか否かを判定することにより、補修材料130の使用可否を判定する。
【0034】
さらに、例えば、塗料がパッケージからバケツなどに移し替えられ、施工に使用される状態にある場合、使用可否判定部203は、可使時間113と現在時刻とを比較し、現在時刻が可使時間113内にあるか否かを判定することにより、補修材料130の使用可否を判定する。
【0035】
使用可否判定部203は、例えば、補修材料130として塗料を用いる場合、塗料に含まれる揮発性溶剤成分が蒸発して塗料が使えなくなるまでの標準時間(可使時間113)と施工開始時刻および施工終了時刻114とを比較して、塗料の使用の可否を判定する。
【0036】
そして、施工終了後にも補修材料130が余っていて、次回の施工に余りの補修材料130が利用できる場合には、余った補修材料130を元のパッケージに戻し、一旦保管し、次の施工の際にパッケージを再開封して、使用可能状態とすることがある。この場合、使用可否判定部203は、前回の施工開始時刻および施工終了時刻から得られる時間情報を、使用可能時間111、開封後使用可能時間112および可使時間113に加味して、現在時刻と比較することにより、補修材料130の使用可否を判定する。
【0037】
判定結果報知部204は、使用可否判定部203による判定結果140を携帯端末110に報知する。判定結果報知部204は、例えば、補修材料130が使用できる場合、携帯端末110へ、「使用可」などのメッセージを送るとともに、音声信号や映像信号などを送ってもよい。これとは反対に、判定結果報知部204は、補修材料130を使用することができない場合、携帯端末110へ、「使用不可」などのメッセージを送るとともに、使用NGを強調するためのブザー音信号や、バイブレーション信号、ランプ点滅信号などを送り、作業員120に対して注意を促すようにしてもよい。なお、補修材料130の最終的な使用可否の判断は、作業員120の目視により行われる。
【0038】
図3は、本実施形態に係る時間管理装置100が有する管理情報テーブル300の一例を説明するための図である。管理情報テーブル300は、補修材料ID(Identifier)301に関連付けて、管理情報302および分類番号303を記憶する。
【0039】
補修材料ID301は、各々の補修材料130を識別するための識別子である。管理情報302は、補修材料130の製造日時、使用可能時間111、開封日時、開封後使用可能時間112、使用可能日時および可使時間113を含む情報である。ここで、製造日時は、補修材料130が製造された日時である。使用可能時間111は、補修材料130の製造日時に基づいて決まる、補修材料130を使用可能な期間である。開封日時は、補修材料130のパッケージを開封した日時である。開封後使用可能時間は112、パッケージの開封に基づいて決まる、補修材料130の使用可能時間である。使用可能日時は、補修材料130が、実際に使用可能な状態となった日時である。可使時間113は、使用可能状態となった補修材料130を使用することができる期間である。分類番号303は、補修材料130の用途や種類などを決めた、
図4に示す補修材料テーブル400を参照するための番号である。
【0040】
そして、時間管理装置100の使用可否判定部203は、管理情報テーブル300を参照して、補修材料130の使用の可否を判定する。具体的には、管理情報テーブル300に記憶された管理情報302と、取得した施工開始時刻および施工終了時刻114とを比較することにより、補修材料130の使用可否を判定する。
【0041】
図4は、本実施形態に係る時間管理装置100が有する補修材料テーブル400の一例を説明するための図である。補修材料テーブル400は、用途401に関連付けて、補修材料の種類402および分類番号303を記憶する。なお、用途401や補修材料の種類402は、ここに示した例には限定されない。
【0042】
例えば、補修・補強工事の対象となっている構造物が、コンクリート構造物である場合、補修材料130として、セメント系硬化材料が選択される。また、例えば、補修・補強工事の対象となっている構造物が、鋼構造物である場合、補修材料130として、塗料が選択される。なお、補修材料130は、補修・補強工事の対象となっている建造物の種類や、補修工事の内容、補強工事の内容などに応じた補修材料130が適宜選択される。
【0043】
図5は、本実施形態に係る時間管理装置100の処理手順を説明するフローチャートである。
図5に示したフローチャートは、時間管理装置100の不図示のCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を用いて実行し、
図2に示した時間管理装置100の各機能構成を実現する。
【0044】
ステップS501において、使用可能時間管理部211は、補修材料130の製造日時を取得する。ステップS503において、使用可能時間管理部211は、取得した製造日時に基づいて、補修材料130の使用可能時間111を管理する。ステップS505において、開封後使用可能時間管理部212は、補修材料130が収容されているパッケージの開封日時を取得する。ステップS507において、開封後使用可能時間管理部212は、取得したパッケージの開封時刻に基づいて、補修材料130の開封後使用可能時間112を管理する。ステップS509において、可使時間管理部213は、補修材料130が使用可能な状態となった日時を取得する。ステップS511において、可使時間管理部213は、補修材料130が使用可能状態となった日時を用いて施工することが可能な可使時間113を管理する。
【0045】
ステップS513において、施工時刻取得部202は、使用可能状態にある補修材料130を用いた補修等の施工開始時刻を取得する。ステップS515において、使用可否判定部203は、施工開始時刻が、可使時間内にあるか否かを判断する。可使時間内にある場合(ステップS515のYES)、時間管理装置100は、ステップS517へ進む。可使時間内にない場合(ステップS515のNO)、時間管理装置100は、ステップS523へ進む。
【0046】
ステップS519において、施工時刻取得部202は、施工開始時刻および施工終了時刻を取得する。ステップS519において、使用可否判定部203は、取得した施工開始時刻および施工終了時刻を加味して、補修材料130の使用可否を判定する。施工開始時刻および施工終了時刻を加味した使用可能時間111、開封後使用可能時間112および可使時間113が現在の時刻を超えていない場合(ステップS519のYES)、時間管理装置100は、ステップS521へ進む。超えている場合(ステップS519のNO)、時間管理装置100は、ステップS523へ進む。ステップS521において、判定結果報知部204は、携帯端末110に対して、使用可のメッセージを報知する。ステップS523において、判定結果報知部204は、携帯端末110に対して、使用不可のメッセージを報知する。なお、使用NGのメッセージを受信した作業員120は、例えば、補修材料130を廃棄するなどの処理を行う。
【0047】
本実施系形態によれば、補修・補強工事に用いる補修材料の使用可能時間を、各々の補修材料の使用状況に応じて適切に管理できる。また、補修・補強工事に使用された補修材料の使用状況や、時間データを補修材料の識別情報と紐付けて記録しているため、次回の補修・補強工事時や、補修・補強工事後に補修材料の使用可能時間に関するデータが必要となった際に、当該データを活用できる。さらに、補修材料を一回の施工のみならず二回、三回と使用する場合でも、施工開始時刻および施工終了時刻を加味して補修材料の使用可否を判定するので、使用期限の経過した補修材料の使用を未然に防止できる。
【0048】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係る時間管理装置について、
図6~8を用いて説明する。
図6は、本実施形態に係る時間管理装置の構成を説明するためのブロック図である。本実施形態に係る時間管理装置は、上記第1実施形態と比べると、攪拌時刻取得部を有する点で異なる。その他の構成および動作は第1実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0049】
時間管理装置600は、攪拌時刻取得部601を有する。本実施形態においては、補修材料は、複数種類の補修材料130を混合して、攪拌することによって、パッケージが開封されてから使用可能な状態となる攪拌補修材料610である。つまり、補修材料130を単独で使用する場合には、補修材料130が収容されているパッケージを開封した時点で、その補修材料130は使用可能な状態となる。しかしながら、複数種類の補修材料130を混合して攪拌する必要のある攪拌補修材料610の場合には、補修材料130を混合して、攪拌している間も、単独の補修材料130としては、可使時間113が減少している。そのため、攪拌補修材料610の場合であっても、確実に時間を管理するため、攪拌の開始時刻および終了時刻を取得する。
【0050】
ここで、攪拌補修材料610は、例えば、セメントである。セメントは、石灰石、粘土、けい石および酸化鉄原料などを混合して、水を加えて攪拌させて得られるものである。このような、攪拌補修材料610は、複数種類の補修材料を混合して、攪拌することによって、初めて使用可能な状態となるものである。なお、攪拌補修材料610が使用可能な状態となるとは、単独の補修材料130におけるパッケージの開封に相当する。
【0051】
そして、使用可否判定部203は、攪拌時刻取得部601が取得した攪拌開始時刻611および攪拌終了時刻612に基づいて、攪拌補修材料610の使用の可否を判定する。つまり、使用可否判定部203は、上述したように、攪拌中の時間も加味して、攪拌補修材料610の使用可否を判定する。
【0052】
まず、使用可否判定部203は、混合される補修材料130の全てについて、使用可能時間111、開封後使用可能時間112および可使時間113が、現在の時刻を超えているか否かを判定する。この時点で、混合される補修材料130の使用可能時間111、開封後使用可能時間112および可使時間113のいずれかが現在の時刻を超えている場合には、現在の時刻を超えている補修材料130について、使用不可である旨を報知する。また、使用可否判定部203は、使用可否の判定を行う際に、攪拌補修材料610を用いた施工に要する予測時間を加味して使用可否の判定を行ってもよい。
【0053】
次に、混合される補修材料130の全てが、上記条件を満たしている場合、攪拌時刻取得部601は、携帯端末110から、攪拌補修材の攪拌開始時刻611および攪拌終了時刻612を取得する。すなわち、複数種類の補修材料130が攪拌されている間も、各々の補修材料130の可使時間113は減っていくからであり、この時間も加味して攪拌補修材料610の使用可否を判断する必要があるからである。
【0054】
そして、使用可否判定部203は、例えば、取得した攪拌開始時刻611および攪拌終了時刻612を加味した可使時間のうち、最も短い可使時間と現在時刻とを比較して、攪拌補修材料610の使用可否を判定する。また、例えば、複数種類の補修材料130を混合して攪拌することにより、単独の補修材料130とは異なる新たな可使時間を攪拌補修材料610が獲得する場合には、使用可否判定部203は、新たな可使時間に基づいて、攪拌補修材料610の使用可否を判定する。
【0055】
図7は、本実施形態に係る時間管理装置600が有する攪拌補修材料テーブル700の一例を説明するための図である。攪拌補修材料テーブル700は、攪拌補修材料ID701に関連付けて、混合内容702、攪拌開始時刻703および攪拌終了時刻704を記憶する。混合内容702は、混合した補修材料130の組み合わせを示し、例えば、攪拌補修材料ID701がC0001の場合、R0001とR0002とを混合した、攪拌補修材料610となっていることが分かる。攪拌補修材料テーブル700は、上述した項目の他に、混合した補修材料130の混合比率や攪拌条件(温度、湿度、攪拌スピードなど)を記憶してもよい。
【0056】
図8は、本実施形態に係る時間管理装置600の処理手順を説明するためのフローチャートである。ステップS801において、攪拌時刻取得部601は、攪拌開始時刻および攪拌終了時刻を取得する。ステップS803において、使用可否判定部203は、攪拌時刻取得部601が取得した攪拌開始時刻および攪拌終了時刻に基づいて、攪拌補修材料610の攪拌時間に過不足があるか否かについて判定する。攪拌時間に過不足があると判定した場合(ステップS803のNO)、時間管理装置600は、ステップS801へ戻る。攪拌時間に過不足がないと判定した場合(ステップS803のYES)、時間管理装置600は次のステップへ進む。ここで、攪拌時間の過不足について説明する。例えば、攪拌補修材料610を攪拌し過ぎると、すなわち、所定の攪拌時間を超過すると、攪拌補修材料610が発熱したり、硬化し始めたりするため、攪拌補修材料610の本来の性能を発揮できなくなる。一方で、所定の攪拌時間に満たない場合、つまり、攪拌時間が不足している場合も同様に攪拌補修材料610の本来の性能を発揮できなくなる。そのため、時間管理装置600は、取得した攪拌開始時刻および攪拌終了時刻に基づいて、攪拌時間の過不足についての判定を行う。
【0057】
本実施形態によれば、複数種類の補修材料を混合して、攪拌して得られる攪拌補修材料であっても、攪拌補修材料の使用状況や混合状況に応じて、攪拌補修材料の可使時間等を適切に管理できる。そのため、使用期限の経過した攪拌補修材料の使用を未然に防止できる。
【0058】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態に係る時間管理装置について、
図9~11を用いて説明する。
図9は、本実施形態に係る時間管理装置の構成を説明するためのブロック図である。本実施形態に係る時間管理装置は、上記第1実施形態および第2実施形態と比べると、識別情報取得部および記憶部を有する点で異なる。その他の構成および動作は第1実施形態および第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0059】
時間管理装置900は、識別情報取得部901および記憶部902を有する。各々の補修材料130が収容されるパッケージには、各々のパッケージを識別可能な識別情報920を含む二次元コード910が、識別情報ラベルとして取り付けられている。識別情報取得部901は、二次元コード910に含まれる識別情報920を携帯端末110から取得する。具体的には、携帯端末110の二次元コードリーダを用いて、パッケージに付されている二次元コード910を読み取り、読み取った二次元コード910に含まれる識別情報920を携帯端末110から識別情報取得部901へと送る。なお、二次元コードを用いる代わりに、RFID(Radio-Frequency Identification)タグや、非接触型IC(Integrated Circuit)チップなどを用いてもよい。
【0060】
そして、時間管理装置900は、取得した識別情報920と、使用可能時間111、開封後使用可能時間112および可使時間113と、を紐付けて記憶部902に記憶する。なお、識別情報920に紐付ける情報は、ここに示した時間に関する情報には限定されず、例えば、補修材料130の製造年月日などを紐付けてもよい。
【0061】
図10は、本実施形態に係る時間管理装置900の記憶部902に記憶される記憶情報の一例を説明するための図である。記憶情報1000は、識別情報920と、時間情報1001とを紐付けて記憶する。さらに、記憶情報1000は、識別情報920と、補修材料ID301とを紐付けて記憶する。このように、識別情報920と、補修材料ID301や時間情報1001などとを紐付けておくことにより、各々の補修材料130の製造段階から最終使用段階(あるいは廃棄段階)まで各々の補修材料130を追跡することが可能となる。
【0062】
図11は、本実施形態に係る時間管理装置900の処理手順を説明するためのフローチャートである。ステップS1101において、識別情報取得部901は、補修材料130が収容されるパッケージを識別するための識別情報920を携帯端末110から取得する。ステップS1103において、時間管理装置900は、取得した識別情報920と、使用可能時間111、開封後使用可能時間112および可使時間113とを紐付けて、記憶部902に記憶させる。
【0063】
なお、本実施形態の記憶情報のようなデータベースの構築には、商用のデータベース、例えば、マイクロソフト社が提供するSQLサーバや、オラクル社の提供するオラクルデータベースなどが用いられるが、データベース構築のためのデータベースサーバやソフトウェアなどは、これらには限定されない。
【0064】
本実施形態によれば、各々の補修材料の製造段階から最終使用段階まで各々の補修材料を追跡することができるので、補修材料として不適切な材料の使用を未然に防止でき、構造物の補修・補強工事において、施工後の構造物の品質を適切に確保できる。
【0065】
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0066】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、本発明の範疇に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の範疇に含まれる。