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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】撮像機用取付装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20230907BHJP
   G03B 11/04 20210101ALI20230907BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20230907BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20230907BHJP
【FI】
B60R11/02 Z
G03B11/04 C
G03B15/00 V
G03B17/56 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020125494
(22)【出願日】2020-07-22
(65)【公開番号】P2022021723
(43)【公開日】2022-02-03
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】森 大輔
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 孝弘
【審査官】佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102014224860(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
G03B 11/04
G03B 15/00
G03B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光部を有したカメラユニットを支持し、取付対象面に取り付けられるブラケットと、
前記受光部の前方において、前記受光部から離れる方向に向けて拡開された表面を有し、前記表面が前記取付対象面に対向するように前記ブラケットに取り付けられるフードと、を備え、
前記フードは、前記ブラケットに前記カメラユニットが支持された状態で、前記取付対象面に沿って前記ブラケットから取り外し可能であり、
前記フードは、
前記表面を備え、前記受光部の前方において前記受光部から離れる方向に向けて拡開される形状を有したフード本体と、
前記表面に沿って延びる形状を有するように前記フード本体に突設され、前記ブラケットとの係合を通じて前記フード本体を前記ブラケットに係止する係止部と、を備える
撮像機用取付装置。
【請求項2】
前記フードは、前記ブラケットに前記カメラユニットが支持された状態で、前記フードを前記ブラケットから取り外す方向とは逆の方向に沿って前記ブラケットに取り付け可能である
請求項1に記載の撮像機用取付装置。
【請求項3】
前記係止部は、前記フードを取り外す方向に沿って延びる形状を有するように前記フード本体に突設される
請求項1または2に記載の撮像機用取付装置。
【請求項4】
前記ブラケットは、前記フードに対する前記取付対象面とは反対側で前記カメラユニットの一部を支持する
請求項1から3のいずれか一項に記載の撮像機用取付装置。
【請求項5】
前記係止部は、第1係止部であり、
前記第1係止部は、前記フードを取り付ける方向に沿って延びる形状を有するように前記フード本体に突設され
前記第1係止部と交差する方向に沿って延び、前記フードを取り付ける方向において前記第1係止部よりも後方に位置し、前記ブラケットとの係合を通じて前記フード本体を前記ブラケットに係止する第2係止部を備える
請求項に記載の撮像機用取付装置。
【請求項6】
前記ブラケットは、前記係止部を前記表面に沿って案内することが可能に構成され、前記ブラケットを貫通する孔を有する
請求項1から5のいずれか一項に記載の撮像機用取付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両の窓ガラスに搭載される撮像機が備える撮像機用取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用の撮像機は、窓ガラスの一例であるウィンドシールドガラスが有する一対の面のうち、車室内側の面に取り付けられる。撮像機は、自車両の前方に位置する他車両および障害物の有無を検知するために用いられる。
【0003】
撮像機の第1例は、ウィンドシールドガラスに固定されるブラケット、ブラケットに保持される第1筐体、第1筐体に保持されるカメラユニット、および、第1筐体に取り付けられるフードを備えている。フードは、カメラユニットが備えるレンズの前方において、カメラユニットから離れる方向に向かって広がる略三角形状を有している(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
撮像機の第2例は、ウィンドシールドガラスに固定される固定ブラケット、カメラユニット、および、カメラユニットを固定ブラケットに取り付けるカメラブラケットを備えている。固定ブラケットには、カメラユニットが固定ブラケットに固定された場合に、カメラユニットが備えるレンズの前方において、カメラユニットから離れる方向に向かって広がる略三角形状を有するフード部分が一体成形されている。すなわち、撮像機の第2例では、撮像機の第1例が備えるフードに相当するフード部分が、固定ブラケットに一体化されている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-64425号公報
【文献】特開2018-12406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
撮像機の第1例では、第1筐体に取り付けられたフードの端にレンズが組み付けられているため、撮像機からフードを取り外す際に、カメラユニットをフードよりも先に第1筐体から取り外すことが必要である。また、撮像機の第2例では、フードが固定ブラケットに一体化されているから、撮像機をウィンドシールドに取り付けた状態では、撮像機からフードを取り外すことができない。
【0007】
本発明は、フードを容易に取り外すことを可能とした撮像機用取付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための撮像機用取付装置は、受光部を有したカメラユニットを支持し、取付対象面に取り付けられるブラケットと、前記受光部の前方において、前記受光部から離れる方向に向けて拡開された表面を有し、前記表面が前記取付対象面に対向するように前記ブラケットに取り付けられるフードと、を備え、前記フードは、前記ブラケットに前記カメラユニットが支持された状態で、前記取付対象面に沿って前記ブラケットから取り外し可能である。
【0009】
上記構成によれば、カメラユニットを支持するブラケットから取付対象面に沿ってフードを取り外すことが可能であるから、フードの取り外しにカメラユニットの取り外し、または、撮像機用取付装置全体の取り外しを伴わない。そのため、取付対象面に取り付けられた撮影機用取付装置からフードを容易に取り外すことが可能である。
【0010】
上記撮影機用取付装置において、前記フードは、前記ブラケットに前記カメラユニットが支持された状態で、前記フードを前記ブラケットから取り外す方向とは逆の方向に沿って前記ブラケットに取り付け可能であってもよい。
【0011】
上記構成によれば、カメラユニットを支持しているブラケットから取付対象面に沿ってフードを取り付けることが可能であるから、フードの取り付けにカメラユニットの取り外し、または、撮像機用取付装置全体の取り外しを伴わない。そのため、フードを容易に取り付けることが可能である。
【0012】
上記撮影機用取付装置において、前記フードは、前記受光部の前方において前記受光部から離れる方向に向けて拡開される形状を有したフード本体と、前記フードを取り外す方向に沿って延びる形状を有するように前記フード本体に突設され、前記ブラケットとの係合を通じて前記フード本体を前記ブラケットに係止する係止部と、を備えてもよい。
【0013】
上記構成によれば、係止部がフードを取り外す方向に沿って延びるから、取付対象面に沿ってフードをスライドさせることによって、フードをブラケットから取り外すことを可能としながらも、フード本体をブラケットに係止することが可能ともなる。
【0014】
上記撮影機用取付装置において、前記ブラケットは、前記フードに対する前記取付対象面とは反対側で前記カメラユニットの一部を支持してもよい。この構成によれば、フードは取付対象面に沿って取り外されるため、フードに対して取付対象面とは反対側にカメラユニットの一部が位置しても、ブラケットからフードを取り外すことが可能である。
【0015】
上記撮影機用取付装置において、前記フードは、前記受光部の前方において前記受光部から離れる方向に向けて拡開される形状を有したフード本体と、前記フードを取り付ける方向に沿って延びる形状を有するように前記フード本体に突設され、前記ブラケットとの係合を通じて前記フード本体を前記ブラケットに係止する第1係止部と、前記第1係止部と交差する方向に沿って延び、前記フードを取り付ける方向において前記第1係止部よりも後方に位置し、前記ブラケットとの係合を通じて前記フード本体を前記ブラケットに係止する第2係止部を備えてもよい。
【0016】
上記構成によれば、フードを取付対象面に沿って取り付けることによって、第1係止部と第2係止部との両方によってフードをブラケットに取り付けることが可能である。そのため、1つの係止部によってフードをブラケットに取り付ける場合に比べて、ブラケットに対してフードをより安定に取り付けることが可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、フードを容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態における車両用撮像機の構造を分解して示す斜視図。
図2図1が示す車両用撮像機が組み立てられた状態を示す斜視図。
図3図2が示す車両用撮像機をブラケット本体の裏面と対向する視点から見た平面図。
図4図3のIV‐IV線に沿う端面図。
図5図3のV‐V線に沿う端面図。
図6図3のVI‐VI線に沿う端面図。
図7】第2実施形態における車両用撮像機の構造を分解して示す斜視図。
図8図7が示す車両用撮像機が組み立てられた状態を示す斜視図。
図9図8が示す車両用撮像機をブラケット本体の裏面と対向する視点から見た平面図。
図10図9のX‐X線に沿う端面図。
図11図9のXI‐XI線に沿う端面図。
図12図9のXII‐XII線に沿う端面図。
図13図9のXIII‐XIII線に沿う端面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
図1から図6を参照して、撮像機用取付装置の第1実施形態を説明する。
図1が示す車両用撮像機10は、取付対象面に取り付けられ、取付対象面を介して入射する光を受光する。取付対象面は、可視光を透過する光透過性を有した透明部材の表面であり、例えば車両用の窓ガラスにおける車室内側の表面である。車両用撮像機10は、窓ガラスが備える一対の面のうち、車室内側の面に取り付けられる。窓ガラスは、例えばウィンドシールドガラスであるが、サンルーフガラス、および、リヤガラスなどであってもよい。車両用撮像機10は、カメラユニット11および取付装置12を備えている。
【0020】
カメラユニット11は、カメラ本体11Aと、受光部の一例であるレンズ11Bとを備えている。カメラ本体11Aは、例えば、撮像素子、記録素子、および、これらの素子を内蔵する筐体などを備えている。レンズ11Bは、カメラ本体11Aの外部に露出し、取付対象面を介して入射した光を受光する。
【0021】
取付装置12は、カメラユニット11を取付対象面に取り付けるための装置である。取付装置12は、ブラケット21、および、レンズフード22を備えている。ブラケット21は、レンズ11Bを有したカメラユニット11を支持する。ブラケット21は、カメラユニット11を支持した状態で、取付対象面に取り付けられる。レンズフード22は、レンズ11Bの前方において、レンズ11Bから離れる方向に向けて拡開された表面22Fを有する。レンズフード22は、表面22Fが取付対象面に対向するようにブラケット21に取り付けられる。レンズフード22は、ブラケット21にカメラユニット11が支持された状態で、取付対象に沿ってブラケット21から取り外し可能である。
【0022】
カメラユニット11を支持しているブラケット21から取付対象面に沿ってレンズフード22を取り外すことが可能であるから、レンズフード22の取り外しにカメラユニット11の取り外し、または、取付装置12全体の取り外しを伴わない。そのため、レンズフード22を容易に取り外すことが可能である。
【0023】
また、レンズフード22は、ブラケット21にカメラユニット11が取り付けられた状態で、レンズフード22を取り外す方向とは逆の方向に沿ってブラケット21に取り付け可能である。そのため、カメラユニット11を支持しているブラケット21に取付対象面に沿ってレンズフード22を取り付けることが可能であるから、レンズフード22の取り付けにカメラユニット11の取り外し、または、取付装置12全体の取り外しを伴わない。そのため、レンズフード22を容易に取り付けることが可能である。
【0024】
以下、車両用撮像機10が備える各部材について、図1を参照してより詳しく説明する。
カメラユニット11が備えるカメラ本体11Aは、略L字状の断面形状が、車両用撮像機10の左右方向に沿って連なった外形を有している。カメラユニット11は、第1右係止部11R1、第2右係止部11R2、第1左係止部11L1、および、第2左係止部11L2を備えている。一対の右係止部11R1,11R2は、カメラ本体11Aの右側面から左右方向に沿って突き出た柱状を有している。一対の左係止部11L1,11L2は、カメラ本体11Aの左側面から左右方向に沿って突き出た柱状を有している。一対の第1係止部11R1,11L1は、同一の中心軸上に沿って延びている。一対の第2係止部11R2,11L2は、一対の第1係止部11R1,11L1とは異なる位置において、同一の中心軸に沿って延びている。一対の第2係止部11R2,11L2は、一対の第1係止部11R1,11L1よりも前方に位置している。
【0025】
ブラケット21は、接着部材や締結部材などの取付部材によって、取付対象面に取り付けられる。ブラケット21は、合成樹脂によって形成された樹脂成形品である。ブラケット21は、右係止脚21LRと左係止脚21LLとを備えている。一対の係止脚21LR,21LLは、ブラケット21において左右方向において間隔を空けて並んでいる。各係止脚21LR,21LLは、前後方向に沿って延びる形状を有している。
【0026】
右係止脚21LRは、第1右係止溝LR1と、第2右係止溝LR2とを有している。左係止脚21LLは、第1左係止溝LL1と、第2左係止溝LL2とを有している。一対の第1係止溝LR1,LL1は、左右方向に沿って延びる同一の軸上に位置している。一対の第2係止溝LR2,LL2は、左右方向に沿って延びる同一の軸上に位置している。一対の第2係止溝LR2,LL2が、一対の第1係止溝LR1,LL1よりも前方に位置している。
【0027】
車両用撮像機10が組み立てられる際には、第1右係止部11R1が第1右係止溝LR1に嵌まり、かつ、第1左係止部11L1が第1左係止溝LL1に嵌まる。また、第2右係止部11R2が第2右係止溝LR2に嵌まり、かつ、第2左係止部11L2が第2左係止溝LL2に嵌まる。これにより、ブラケット21がカメラユニット11を支持する。
【0028】
ブラケット21は、右係止脚21LRを貫通する右係止孔21HRを有している。右係止孔21HRは、右係止脚21LRにおける前後方向の中間に位置している。右係止孔21HRは、右係止脚21LRが有する第1右係止溝LR1および第2右係止溝LR2よりも上方に位置している。
【0029】
ブラケット21は、さらに左係止片21PL、および、左案内帯21BLを備えている。左係止片21PLは、ブラケット21において左右方向に沿って延びる一対の辺のうち、後方の辺に位置している。左係止片21PLおよび左案内帯21BLは、左係止脚21LLが有する第1左係止溝LL1および第2係止溝LL2よりも上方に位置している。左案内帯21BLは、左係止片21PLの下方に位置している。左係止片21PLは、前後方向に沿って延びる矩形状を有し、ブラケット21が区画する開口内に飛び出ている。左案内帯21BLは、左係止片21PLと同様、ブラケット21において左右方向に沿って延びる一対の辺のうち、後方の辺に位置している。左案内帯21BLは、当該辺の左端から左右方向に沿って延びる。
なお、ブラケット21は、図示されない右脚係止孔、および、左脚係止孔を有している(図4を参照)。
【0030】
レンズフード22は、上述したブラケット21と同様、合成樹脂によって形成された樹脂成形品である。レンズフード22は、フード本体22Aを備えている。フード本体22Aは略台形状を有し、表面22Fを備えている。表面22Fは、車両用撮像機10が取付対象面に取り付けられた状態において取付対象面と対向するレンズフード22の表面である。フード本体22Aにおいて、表面22Fとは反対側の面が裏面22Rである。
【0031】
レンズフード22は、右壁部22WRおよび左壁部22WLを備えている。右壁部22WRは、フード本体22Aにおいて、右斜辺と上底の一部とに沿う略L字状を有している。左壁部22WLは、フード本体22Aにおいて、左斜辺と上底の一部とに沿う略L字状を有している。レンズフード22がブラケット21に支持された際には、一対の壁部22WR,22WL間にカメラユニット11のレンズ11Bが位置する。そのため、フード本体22Aは、レンズ11Bの前方においてレンズ11Bから離れる方向に向けて拡開される形状を有している。
【0032】
レンズフード22は、右係止突起22PR、左係止突起22PL、右係止脚22LR、および、左係止脚22LLを備えている。
右係止突起22PRは、レンズフード22を取り外す方向に沿って延びる形状を有するようにフード本体22Aに突設されている。右係止突起22PRは、ブラケット21との係合を通じてフード本体22Aをブラケット21に係止する。右係止突起22PRは、第1係止部の一例である。
【0033】
右係止突起22PRは、フード本体22Aにおける後方の右端に接続されている。右係止突起22PRは、左右方向に沿って延びる矩形状を有している。ブラケット21に取り付けられたレンズフード22がブラケット21から取り外される際には、レンズフード22が、取付対象面に沿い、かつ、左右方向に沿ってブラケット21から引き出される。この際、右係止突起22PRがレンズフード22を取り外す方向に沿って延びるから、取付対象面に沿ってレンズフード22をスライドさせることによって、レンズフード22をブラケット21から取り外すことが可能である。
【0034】
左係止突起22PLは、第2係止部の一例である。左係止突起22PLは、フード本体22Aにおける後方の左端に接続されている。左係止突起22PLは、前後方向に沿って延びる矩形状を有し、前後方向においてフード本体22Aから突き出ている。左係止突起22PLは、ブラケット21との係合を通じてフード本体22Aをブラケット21に係止する。
【0035】
左係止突起22PLは、右係止突起22PRの延在方向と交差する方向に沿って延びている。レンズフード22がブラケット21に取り付けられる際には、取り外される際と同様に、レンズフード22が、取付対象面に沿い、かつ、左右方向に沿ってブラケット21に挿入される。ただし、取り付け時にレンズフード22がスライドする方向と、取り外し時にレンズフード22がスライドする方向とは、互いに逆の向きを有する。すなわち、取り付け時にレンズフード22がスライドする方向は、ブラケット21における左係止脚21LLから右係止脚21LRに向かう方向である。これに対して、取り外し時にレンズフード22がスライドする方向は、ブラケット21における右係止脚21LRから左係止脚21LLに向かう方向である。
【0036】
ブラケット21にレンズフード22を取り付ける際には、レンズフード22が右係止脚21LRから左係止脚21LLに向かう方向にスライドするから、左係止突起22PLは、レンズフード22を取り付ける方向において右係止突起22PRよりも後方に位置する。レンズフード22を取付対象面に沿って取り付けることによって、右係止突起22PRと左係止突起22PLとの両方によってレンズフード22をブラケット21に取り付けることが可能である。そのため、1つの係止部によってレンズフード22をブラケット21に取り付ける場合に比べて、ブラケット21に対してレンズフード22をより安定に取り付けることが可能である。
【0037】
右係止脚22LRは、フード本体22Aの裏面22Rに接続されている。右係止脚22LRは、フード本体22Aにおける前方の辺から、上下方向に沿って突き出ている。右係止脚22LRは、左右方向と上下方向とによって規定される面に沿う断面において、略L字状を有し、当該L字状の断面が前後方向に沿って連なる形状を有している。
【0038】
左係止脚22LLは、フード本体22Aの裏面22Rに接続されている。左係止脚22LLは、フード本体22Aにおける前方の左端から、上下方向に沿って突き出ている。左係止脚22LLは、左右方向と上下方向とによって規定される面に沿う断面において、略L字状を有し、当該L字状の断面が前後方向に沿って連なる形状を有している。
【0039】
車両用撮像機10が組み立てられる際には、右係止脚22LRが上述した右脚係止孔(図4参照)に嵌め込まれ、左係止脚22LLが上述した左脚係止孔に嵌め込まれる。これにより、レンズフード22がブラケット21によって支持される。
【0040】
取付装置12は、加熱部23を備えている。加熱部23は、略台形状を有している。左右方向において、加熱部23が有する幅は、フード本体22Aが有する幅にほぼ等しい。前後方向において、加熱部23が有する幅は、フード本体22Aが有する幅にほぼ等しい。加熱部23が加熱する対象領域は、加熱部23の外形とほぼ同じ形状および大きさを有する。
【0041】
加熱部23は、例えば面状発熱体であってよい。加熱部23は、例えば、面状良導体、通電部、および、一対の絶縁フィルムを備えている。通電部は、1本の発熱線によって形成され、図示されない供給部に接続されている。通電部は、一対の絶縁フィルムによって挟まれている。面状良導体は、一方の絶縁フィルム上に貼り付けられている。供給部は、加熱部23に電気的に接続され、加熱部23に電流を供給する。加熱部23は、粘着剤および接着剤などによって、フード本体22Aの裏面22Rに貼り付けられる。
【0042】
図2は、車両用撮像機10が組み立てられた状態を示している。
図2が示す車両用撮像機10が組み立てられる際には、まず、ブラケット21が備える一対の係止脚21LR,21LLにカメラユニット11を取り付ける。次いで、左右方向に沿ってレンズフード22をスライドさせることによって、レンズフード22の右係止突起22PRをブラケット21の右係止孔21HRに挿入しつつ、左係止突起22PLをブラケット21の左案内帯21BLに沿ってスライドさせる。この際に、レンズフード22の右係止脚22LRをブラケット21の右脚係止孔(図4参照)に嵌め込み、かつ、レンズフード22の左係止脚22LLをブラケット21の左脚係止孔(図4参照)に嵌め込む。これにより、ブラケット21にレンズフード22を取り付けることが可能である。
【0043】
図2が示すように、本実施形態の車両用撮像機10では、前後方向において、レンズ11Bを支持するカメラ本体11Aとレンズフード22との間の間隔Gが、カメラ本体11Aからレンズ11Bが突出する突出量よりも大きい。そのため、カメラユニット11がブラケット21に取り付けられた状態において、カメラユニット11が、レンズフード22のスライドに干渉しない。すなわち、レンズフード22のスライドが、カメラユニット11によって妨げられない。そのため、レンズフード22は、カメラユニット11が取り付けられたブラケット21に対して取り付けられることが可能である。
【0044】
なお、ブラケット21に対してレンズフード22を初回に取り付ける際には、ブラケット21に対してカメラユニット11を取り付け、次いで、カメラユニット11を支持するブラケット21を取付対象面に取り付けた後に、ブラケット21に対してレンズフード22を取り付けてもよい。あるいは、ブラケット21に対してカメラユニット11とレンズフード22とを順に取り付けた後に、ブラケット21を取付対象面に取り付けてもよい。いずれの場合であっても、ブラケット21にカメラユニット11を取り付けた状態で、ブラケット21に対してレンズフード22を取り付けることが可能である。
【0045】
一方で、取付対象面に取り付けられたブラケット21からレンズフード22を取り外すことも可能である。上述したように、カメラユニット11はレンズフード22のスライドに干渉しないから、ブラケット21にカメラユニット11が取り付けられた状態において、レンズフード22をブラケット21から取り外すことが可能である。車両用撮像機10が取付対象面に取付られた状態において、レンズフード22の表面22Fが取付対象面に対向しているため、レンズフード22を左右方向に沿ってスライドさせることによって、取付対象面に沿ってレンズフード22を取り外すことが可能である。例えばメンテナンスなどのためにブラケット21から取り外されたレンズフード22は、取付対象面に取り付けられたブラケット21に対して再び取り付けられることが可能である。
【0046】
上述したように、ブラケット21において、カメラユニット11を支持するための係止溝LR1,LR2,LL1,LL2はいずれも、レンズフード22を支持するための右係止孔21HR、左係止片21PL、および、左案内帯21BLよりも下方に位置している。そのため、ブラケット21に対してカメラユニット11およびレンズフード22が取り付けられた状態において、ブラケット21は、レンズフード22に対する取付対象面とは反対側でカメラユニット11の一部を支持している。上述したようにレンズフード22は取付対象面に沿って取り外されるため、レンズフード22に対して取付対象面とは反対側にカメラユニット11の一部が位置しても、ブラケット21からレンズフード22を取り外すことが可能である。
【0047】
図3は、レンズフード22の裏面22Rと対向する視点から見た車両用撮像機10の平面構造を示している。なお、以下に参照する図3から図6では、図示の便宜上、図1および図2とは左右方向が逆転している。また、図3から図6では、図示の便宜上、カメラユニット11の図示が省略されている。図4は、図3が示すIV‐IV線に沿う端面構造を示している。図5は、図3が示すV‐V線に沿う端面構造を示している。図6は、図3が示すVI‐VI線に沿う端面構造を示している。
【0048】
図3が示すように、車両用撮像機10では、レンズフード22が備える右係止突起22PR、左係止突起22PL、右係止脚22LR、および、左係止脚22LLのそれぞれが、ブラケット21によって支持されている。これにより、レンズフード22がブラケット21によって支持されている。以下では、図4から図6を参照して、右係止突起22PR、左係止突起22PL、右係止脚22LR、および、左係止脚22LLのそれぞれがブラケット21によって支持されている構造をより詳しく説明する。
【0049】
図4は、レンズフード22の右係止脚22LRと左係止脚22LLとがブラケット21によって支持された構造を示している。
図4が示すように、ブラケット21は、左右方向においてブラケット21を貫通する右脚係止孔HLR、および、左脚係止孔HLLを有している。レンズフード22がブラケット21に取り付けられた状態において、右脚係止孔HLRには右係止脚22LRが嵌め込まれ、かつ、左脚係止孔HLLには左係止脚22LLが嵌め込まれている。
【0050】
左係止脚22LLは、左脚係止孔HLLに対する左右方向でのスライドが可能な状態で左脚係止孔HLLに嵌め込まれている。そのため、左係止脚22LLは、レンズフード22を左右方向にスライドさせるのみによって、左脚係止孔HLLから取り外される。
【0051】
一方で、右係止脚22LRが右脚係止孔HLRに嵌め込まれた後において、右係止脚22LRは、左右方向でのスライドをブラケット21によって制限されている。ただし、ブラケット21によるスライドの制限は、右係止脚22LRのうちで右脚係止孔HLRを突き抜けた部分を下方から上方に向けて押し上げることによって、解除することが可能である。右係止脚22LRのうちで右脚係止孔HLRを突き抜けた部分を押し上げ、当該押し上げた状態を維持しながらレンズフード22を左右方向にスライドさせることによって、右係止脚22LRを右脚係止孔HLRから取り外すことが可能である。
【0052】
図5は、レンズフード22の右係止突起22PRがブラケット21によって支持された構造を示している。
図5が示すように、レンズフード22がブラケット21に取り付けられた状態において、右係止突起22PRは、右係止孔21HRに嵌め込まれている。これにより、右係止突起22PRは、左右方向でのスライドをブラケット21によって制限されている。ただし、ブラケット21によるスライドの制限は、右係止突起22PRのうちで右係止孔21HRを突き抜けた部分を下方から上方に向けて押し上げることによって、解除することが可能である。右係止突起22PRのうちで右係止孔21HRを突き抜けた部分を押し上げた状態を維持しながらレンズフード22を左右方向にスライドさせることによって、右係止突起22PRを右係止孔21HRから取り外すことが可能である。
【0053】
なお、レンズフード22をブラケット21から取り外すためには、右係止脚22LRに対するスライドの制限と、右係止突起22PRに対するスライドの制限とを同時に解除する必要がある。
【0054】
図6は、レンズフード22の左係止突起22PLがブラケット21によって支持された構造を示している。
図6が示すように、レンズフード22がブラケット21に取り付けられた状態では、左係止突起22PLは、上下方向において、左係止片21PLと左案内帯21BLとに挟まれている。左係止突起22PLは、左右方向のスライドが可能な状態で左係止片21PLと左案内帯21BLとに挟まれているため、レンズフード22を左右方向にスライドするのみによって、左係止突起22PLは、左係止片21PLよりも左側に移動することが可能である。
【0055】
以上説明したように、撮像機用取付装置の第1実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)カメラユニット11を支持するブラケット21から取付対象面に沿ってレンズフード22を取り外すことが可能であるから、レンズフード22の取り外しにカメラユニット11の取り外し、または、取付装置12全体の取り外しを伴わない。そのため、レンズフード22を容易に取り外すことが可能である。
【0056】
(2)カメラユニット11を支持するブラケット21に取付対象面に沿ってレンズフード22を取り付けることが可能であるから、レンズフード22の取り付けにカメラユニット11の取り外し、または、取付装置12全体の取り外しを伴わない。そのため、レンズフード22を容易に取り付けることが可能である。
【0057】
(3)右係止突起22PRがレンズフード22を取り外す方向に沿って延びるから、取付対象面に沿ってレンズフード22をスライドさせることによって、レンズフード22をブラケット21から取り外すことが可能である。
【0058】
(4)右係止突起22PRと左係止突起22PLとの両方によってレンズフード22をブラケット21に取り付けることが可能である。そのため、1つの係止部によってレンズフード22をブラケット21に取り付ける場合に比べて、ブラケット21に対してレンズフード22をより安定に取り付けることが可能である。
【0059】
(5)レンズフード22は取付対象面に沿って取り外されるため、レンズフード22に対して取付対象面とは反対側にカメラユニット11の一部が位置しても、ブラケット21からレンズフード22を取り外すことが可能である。
【0060】
[第2実施形態]
図7から図13を参照して、撮像機用取付装置の第2実施形態を説明する。第2実施形態は、上述した第1実施形態と比べて、ブラケットに対してレンズフードをスライドさせる方向が異なっている。そのため以下では、第1実施形態との相違点を特に詳しく説明する。
【0061】
図7が示す車両用撮像機30は、第1実施形態の車両用撮像機10と同様、取付対象面に取り付けられ、取付対象面を介して入射する光を受光する。取付対象面は、可視光を透過する光透過性を有した透明部材であり、例えば車両用の窓ガラスである。車両用撮像機10は、窓ガラスが備える一対の面のうち、車室内側の面に取り付けられる。窓ガラスは、例えばウィンドシールドガラスであるが、サンルーフガラス、および、リヤガラスなどであってもよい。車両用撮像機30は、カメラユニット31および取付装置32を備えている。
【0062】
カメラユニット31は、カメラ本体31Aと、受光部の一例であるレンズ31Bとを備えている。カメラ本体31Aは、例えば、撮像素子、記録素子、および、これらの素子を内蔵する筐体などを備えている。レンズ31Bは、カメラ本体31Aの外部に露出し、取付対象面を介して入射した光を受光する。
【0063】
取付装置32は、カメラユニット31を取付対象面に取り付けるための装置である。取付装置32は、ブラケット41、および、レンズフード42を備えている。ブラケット41は、レンズ31Bを有したカメラユニット31を支持する。ブラケット41は、カメラユニット31を支持した状態で、取付対象面に取り付けられる。レンズフード42は、レンズ31Bの前方において、レンズ31Bから離れる方向に向けて拡開された表面42Fを有する。レンズフード42は、表面42Fが取付対象面に対向するようにブラケット41に取り付けられる。レンズフード42は、ブラケット41にカメラユニット31が支持された状態で、取付対象面に沿ってブラケット41から取り外し可能である。
【0064】
カメラユニット31を支持するブラケット41から取付対象面に沿ってレンズフード42を取り外すことが可能であるから、レンズフード42の取り外しにカメラユニット31の取り外し、または、取付装置32全体の取り外しを伴わない。そのため、レンズフード42を容易に取り外すことが可能である。
【0065】
また、レンズフード42は、ブラケット41にカメラユニット31が取り付けられた状態で、レンズフード42を取り外す方向とは逆の方向に沿ってブラケット41に取り付け可能である。そのため、カメラユニット31を支持するブラケット41に取付対象面に沿ってレンズフード42を取り付けることが可能であるから、レンズフード42の取り付けにカメラユニット31の取り外し、または、取付装置32全体の取り外しを伴わない。そのため、レンズフード42を容易に取り付けることが可能である。
【0066】
以下、車両用撮像機30が備える各部材について、図7を参照してより詳しく説明する。
カメラユニット31が備えるカメラ本体31Aは、略L字状の断面形状が、車両用撮像機30の左右方向に沿って連なった外形を有している。カメラユニット31は、第1右係止部31R1、第2右係止部31R2、図示されない第1左係止部、および、図示されない第2左係止部を備えている。一対の右係止部31R1,31R2は、カメラ本体31Aの右側面から左右方向に沿って突き出た柱状を有している。一対の左係止部は、カメラ本体31Aの左側面から左右方向に沿って突き出た柱状を有している。一対の第1係止部は、同一の中心軸上に沿って延びている。一対の第2係止部は、一対の第1係止部とは異なる位置において、同一の中心軸に沿って延びている。一対の第2係止部は、一対の第1係止部よりも前方に位置している。
【0067】
ブラケット41は、接着部材や締結部材などの取付部材によって、取付対象面に取り付けられる。ブラケット41は、合成樹脂によって形成された樹脂成形品である。ブラケット41は、略矩形板状を有したブラケット本体41Aを備えている。ブラケット本体41Aは、表面41Fと、表面41Fとは反対側の裏面41Rとを備えている。ブラケット本体41Aの表面41Fは、車両用撮像機30が取付対象面に取り付けられた場合に、取付対象面に沿って配置される。ブラケット本体41Aは、左右方向に沿って延びる前方の縁に、略V字状の切り欠き41Cを有している。
【0068】
ブラケット41は、右係止脚41LRと左係止脚41LLとを備えている。各係止脚41LR,41LLは、ブラケット本体41Aの裏面41Rに接続されている。各係止脚41LR.41LLは前後方向に沿って延びる形状を有し、各係止脚41LR,41LLの一部が、切り欠き41Cから露出している。
【0069】
右係止脚41LRは、図示されない第1右係止溝と、第2右係止溝とを有している。左係止脚21LLは、第1左係止溝LL1と、第2左係止溝LL2とを有している。一対の第1係止溝は、左右方向に沿って延びる同一の軸上に位置している。一対の第2係止溝は、左右方向に沿って延びる同一の軸上に位置している。一対の第2係止溝が、一対の第1係止溝よりも前方に位置している。
【0070】
車両用撮像機30が組み立てられる際には、第1右係止部31R1が第1右係止溝に嵌まり、かつ、第1左係止部が第1左係止溝LL1に嵌まる。また、第2右係止部31R2が第2右係止溝に嵌まり、かつ、第2左係止部が第2左係止溝LL2に嵌まる。これにより、ブラケット41がカメラユニット31を支持する。
【0071】
ブラケット本体41Aは、第1右本体溝AR1、および、第1左本体溝AL1を備えている。第1右本体溝AR1は、切り欠き41Cの中央よりも右側に位置している。第1右本体溝AR1は、表面41Fにおいて窪み、かつ、切り欠き41Cに開口している。第1右本体溝AR1を区画する側面には、前後方向に沿ってブラケット41を貫通する孔が形成されている。第1左本体溝AL1は、切り欠き41Cの中央よりも左側に位置している。第1左本体溝AL1は、表面41Fにおいて窪み、かつ、切り欠き41Cに開口している。第1左本体溝AL1を区画する側面には、前後方向に沿ってブラケット41を貫通する孔が形成されている。
【0072】
ブラケット本体41Aは、第2右本体溝AR2、および、第2左本体溝AL2を備えている。第2本体溝AR2および第2左本体溝AL2は、ブラケット本体41Aの側面に位置している。側面は、表面41Fと裏面41Rとを繋ぐ面である。第2右本体溝AR2は、切り欠き41Cの右端において、下方に向けて開口している。第2左本体溝AL2を区画する側面には、前後方向においてブラケット41を貫通する孔が形成されている。第2左本体溝AL2は、切り欠き41Cの左端において、側方に向けて開口している。
【0073】
第1右本体溝AR1、第2右本体溝AR2、第1左本体溝AL1、および、第2左本体溝AL2は、ブラケット41にレンズフード42を固定するための溝である。第1右本体溝AR1、第2右本体溝AR2、第1左本体溝AL1、および、第2左本体溝AL2は、右係止脚41LR、および、左係止脚41LLよりも上方に位置している。
【0074】
レンズフード42は、上述したブラケット41と同様、合成樹脂によって形成された樹脂成形品である。レンズフード42は、フード本体42Aを備えている。フード本体42Aは、略台形状を有し、表面42Fを備えている。表面42Fは、車両用撮像機30が取付対象面に取り付けられた応対において取付対象面と対向するレンズフード42の表面である。
【0075】
レンズフード42は、右壁部42WRおよび左壁部42WLを備えている。右壁部42WRは、フード本体42Aにおいて、右斜辺と上底の一部とに沿う略L字状を有している。左壁部42WLは、フード本体42Aにおいて、左斜辺と上底の一部とに沿う略L字状を有している。レンズフード42がブラケット41に支持された際には、一対の壁部42WR,42WL間にカメラユニット31のレンズ31Bが位置する。そのため、フード本体42Aは、レンズ31Bの前方においてレンズ31Bから離れる方向に向けて拡開される形状を有している。
【0076】
レンズフード42は、第1右係止突起42R1、第2右係止突起42R2、第1左係止突起42L1、および、第2左係止突起42L2を備えている。各係止突起42R1,42R2,42L1,42L2は、係止部の一例である。すなわち、各係止突起42R1,42R2,42L1,42L2は、ブラケット41との係合を通じてフード本体42Aをブラケット41に係止する。第1右係止突起42R1は、フード本体42Aの右斜辺における途中に接続されている。第1右係止突起42R1は、前後方向に沿って延びる矩形状を有している。第1左係止突起42L1は、フード本体42Aの左斜辺における途中に接続されている。第1左係止突起42L1は、前後方向に沿って延びる矩形状を有している。第2右係止突起42R2は、フード本体42Aの右端に接続されている。第2右係止突起42R2は、前後方向に沿って延びる略矩形状を有している。第2左係止突起42L2は、フード本体42Aの左端に接続されている。第2左係止突起42L2は、前後方向に沿って延びる略矩形状を有している。
【0077】
ブラケット41に取り付けられたレンズフード42がブラケット21から取り外される際には、レンズフード42が、取付対象面に沿い、かつ、前後方向に沿って引き出される。このように、各係止突起42R1,42R2,42L1,42L2がレンズフード42を取り外す方向に沿って延びるから、取付対象面に沿ってレンズフード42をスライドさせることによって、レンズフード42をブラケット41から取り外すことが可能である。
【0078】
取付装置42は、加熱部43を備えている。加熱部43は、略台形状を有している。左右方向において、加熱部43が有する幅は、フード本体42Aが有する幅にほぼ等しい。前後方向において、加熱部43が有する幅は、フード本体42Aが有する幅にほぼ等しい。加熱部43が加熱する対象領域は、加熱部43の外形とほぼ同じ形状および大きさを有する。
【0079】
加熱部43は、例えば面状発熱体であってよい。加熱部43は、例えば、面状良導体、通電部、および、一対の絶縁フィルムを備えている。通電部は、1本の発熱線によって形成され、図示されない供給部に接続されている。通電部は、一対の絶縁フィルムによって挟まれている。面状良導体は、一方の絶縁フィルム上に貼り付けられている。供給部は、加熱部43に電気的に接続され、加熱部43に電流を供給する。加熱部43は、粘着剤および接着剤などによって、フード本体42Aの表面42Fとは反対側の裏面に貼り付けられる。
【0080】
図8は、車両用撮像機30が組み立てられた状態を示している。
図8が示す車両用撮像機30が組み立てられる際には、まず、ブラケット41が備える一対の係止脚41LR,41LLにカメラユニット31を取り付ける。次いで、前後方向に沿ってレンズフード42をスライドさせることによって、一対の第1係止突起42R1,42L1を各第1係止突起42R1,42L1に対応する第1本体溝AR1,AL1に挿入する。同時に、一対の第2係止突起42R2,42L2を各係止突起42R2,42L2に対応する第2本体溝AR2,AL2に挿入する。これにより、ブラケット41にレンズフード42を取り付けることが可能である。
【0081】
本実施形態の車両用撮像機30では、前後方向に沿ってレンズフード42をブラケット41から取り外す。すなわち、前後方向に沿って、レンズ31Bよりも前方に向けてレンズフード42をスライドさせることによってブラケット41からレンズフード42を取り外す。そのため、カメラユニット31がブラケット41に取り付けられた状態において、カメラユニット31が、レンズフード42のスライドに干渉しない。すなわち、レンズフード42のスライドが、カメラユニット31によって妨げられない。そのため、レンズフード42は、カメラユニット31が取り付けられたブラケット41に対して取り付けられることが可能である。
【0082】
なお、ブラケット41に対してレンズフード42を初回に取り付ける際には、第1実施形態の車両用撮像機10と同様、ブラケット41に対してカメラユニット31を取り付け、次いで、カメラユニット31を支持するブラケット41を取付対象面に取り付けた後に、ブラケット41に対してレンズフード42を取り付けてもよい。あるいは、ブラケット41に対してカメラユニット31とレンズフード42とを順に取り付けた後に、ブラケット41を取付対象面に取り付けてもよい。いずれの場合であっても、ブラケット41にカメラユニット31を取り付けた状態で、ブラケット41に対してレンズフード42を取り付けることが可能である。
【0083】
一方で、取付対象面に取り付けられたブラケット41からレンズフード42を取り外すことも可能である。上述したように、カメラユニット31はレンズフード42のスライドに干渉しないから、ブラケット41にカメラユニット31が取り付けられた状態において、レンズフード42をブラケット41から取り外すことが可能である。車両用撮像機30が取付対象面に取付られた状態において、レンズフード42の表面42Fが取付対象面に対向しているため、レンズフード42を前後方向に沿ってスライドさせることによって、取付対象面に沿ってレンズフード42を取り外すことが可能である。例えばメンテナンスなどのためにブラケット41から取り外されたレンズフード42は、取付対象面に取り付けられたブラケット41に対して再び取り付けられることが可能である。
【0084】
上述したように、ブラケット41において、カメラユニット31を支持するための係止溝を有した一対の係止脚41LR,41LLはいずれも、レンズフード42を支持するための各本体溝AR1,AR2,AL1,AL2よりも下方に位置している。そのため、ブラケット41に対してカメラユニット31およびレンズフード42が取り付けられた状態において、ブラケット41は、レンズフード42に対する取付対象面とは反対側にカメラユニット31の一部を支持している。上述したようにレンズフード42は取付対象面に沿って取り外されるため、レンズフード42に対して取付対象面とは反対側にカメラユニット31の一部が位置しても、ブラケット41からレンズフード42を取り外すことが可能である。
【0085】
図9は、ブラケット41の裏面41Rと対向する視点から見た車両用撮像機30の平面構造を示している。なお、以下参照する図9から図13では、図示の便宜上、図7および図8とは前後方向が逆転している。また、図9から図13では、図示の便宜上、カメラユニット31の図示が省略されている。図10は、図9が示すX‐X線に沿う端面構造を示している。図11は、図9が示すXI‐XI線に沿う端面構造を示している。図12は、図9が示すXII‐XII線に沿う端面構造を示している。図13は、図9が示すXIII‐XIII線に沿う端面構造を示している。
【0086】
図9が示すように、車両用撮像機30では、レンズフード42が備える係止突起42R1,42R2,42L1,42L2がブラケット41によって支持されている。これにより、レンズフード42がブラケット41によって支持されている。以下では、図10から図13を参照して、各係止突起42R1,42R2,42L1,42L2がブラケット41によって支持されている構造をより詳しく説明する。
【0087】
図10は、レンズフード42の第1左係止突起42L1がブラケット41によって支持された構造を示している。
図10が示すように、レンズフード42がブラケット41に取り付けられた状態において、第1左係止突起42L1は、第1左本体溝AL1が有する孔に嵌め込まれている。第1左係止突起42L1が第1左本体溝AL1の孔に嵌め込まれた後において、第1左係止突起42L1は、前後方向でのスライドをブラケット41によって制限されている。ただし、ブラケット41によるスライドの制限は、第1左係止突起42L1のうちで第1左本体溝AL1を突き抜けた部分を下方から上方に向けて押し上げることによって、解除することが可能である。第1左係止突起42L1のうちで第1左本体溝AL1を突き抜けた部分を押し上げ、当該押し上げた状態を維持しながらレンズフード42を前後方向にスライドさせることによって、第1左係止突起42L1を第1左本体溝AL1から取り外すことが可能である。
【0088】
図11は、レンズフード42の第1右係止突起42R1がブラケット41によって支持された構造を示している。
図11が示すように、レンズフード42がブラケット41に取り付けられた状態において、第1右係止突起42R1は、第1右本体溝AR1が有する孔に嵌め込まれている。第1右係止突起42R1が第1右本体溝AR1の孔に嵌め込まれた後において、第1右係止突起42R1は、前後方向でのスライドをブラケット41によって制限されている。ただし、ブラケット41によるスライドの制限は、第1右係止突起42R1のうちで第1右本体溝AR1を突き抜けた部分を下方から上方に向けて押し上げることによって、解除することが可能である。第1右係止突起42R1のうちで第1右本体溝AR1を突き抜けた部分を押し上げ、当該押し上げた状態を維持しながらレンズフード42を前後方向にスライドさせることによって、第1右係止突起42R1を第1右本体溝AR1から取り外すことができる。
【0089】
なお、レンズフード42をブラケット41から取り外すためには、第1右係止突起42R1に対するスライドの制限と、第1左係止突起42L1に対するスライドの制限との両方を同時に解除する必要がある。
【0090】
図12は、レンズフード42の第2右係止突起42R2がブラケット41によって支持された構造を示している。
図12が示すように、第2右係止突起42R2は、第2右本体溝AR2の孔に対する前後方向でのスライドが可能な状態でブラケット本体41Aに嵌め込まれている。そのため、第2右係止突起42R2は、レンズフード42を前後方向にスライドさせるのみによって、第2右本体溝AR2から取り外される。
【0091】
図13は、レンズフード42の第2左係止突起42L2がブラケット41によって支持された構造を示している。
図13が示すように、レンズフード42がブラケット41に取り付けられた状態では、第2左係止突起42L2は、第2左本体溝AL2に対する前後方向でのスライドが可能な状態で第2左本体溝AL2に嵌め込まれている。そのため、第2左係止突起42L2は、レンズフード42を前後方向にスライドさせるのみによって、第2左本体溝AL2から取り外される。
【0092】
以上説明したように、撮像機用取付装置の第2実施形態によれば、上述した(1)から(3)、および、(5)に準じた効果を得ることができる。
【0093】
[変更例]
なお、上述した各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
[加熱部]
・加熱部23,43は、レンズフード22,42の表面22F,42Fに位置してもよい。この場合には、取付装置12,32は、加熱部23,43の表面を覆い、かつ、加熱部23,43よりも可視光の反射率が低い反射抑制シートを備えることが好ましい。これにより、加熱部23,43と取付対象面との間にレンズフード22,42が位置しない分だけ、取付対象面が加熱されやすくなる。
【0094】
[ブラケット]
・ブラケット21,41は、レンズフード22,42に対する取付対象面とは反対側にカメラユニット11,31の一部を支持しなくともよい。すなわち、ブラケット21,41は、レンズフード22,42よりも後方のみにカメラユニット11,31を支持してもよい。この場合であっても、第1実施形態の車両用撮像機10であれば上述した(1)から(4)に準じた効果を得ることができ、また、第2実施形態の車両用撮像機30であれば上述した(1)から(3)に準じた効果を得ることはできる。
【0095】
[レンズフード]
・第1実施形態の車両用撮像機10が備えるレンズフード22は、左右方向に沿って延びる係止部を備える一方で、左右方向と交差する方向に延びる係止部を備えなくてもよい。この場合であっても、上述した(1)から(3)、および、(5)に準じた効果を得ることはできる。
【0096】
・レンズフード22,42は、ブラケット21,41からレンズフード22,42を取り外す方向と交差する方向に沿った取り付けが可能に構成されてもよい。この場合であっても、ブラケット21,41から取り付け方向に沿ってレンズフード22,42を取り外すことが可能であれば、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0097】
・レンズフード22,42は、レンズフード22,42内に位置する回転軸を中心とした回転によってブラケット21,41から取り外し可能に構成されてもよい。この場合には、レンズフード22,42は、少なくともブラケット21,41からレンズフード22,42を取り外す直後において取付対象面に沿った移動が可能に構成されていればよい。あるいは、レンズフード22,42は、レンズフード22,42外に位置する回転軸を中心とした回転によってブラケット21,41から取り外し可能に構成されてもよい。この場合には、レンズフード22,42は、少なくともブラケット21,41からレンズフード22,42を取り外す直後において取付対象面に沿った移動が可能に構成されていればよい。
【0098】
なお、レンズフード22,42がレンズフード22,42内に位置する回転軸を中心とした回転によってブラケット21,41から取り外し可能に構成される場合には、レンズフード22,42は、取り外し時の回転軸と同一の回転軸を中心とする回転によってブラケット21,41に対する取り付けが可能に構成されてもよい。また、レンズフード22,42がレンズフード22,42外に位置する回転軸を中心とした回転によってブラケット21,41から取り外し可能に構成される場合には、レンズフード22,42は、取り外し時の回転軸と同一の回転軸を中心とする回転によってブラケット21,41に対する取り付けが可能に構成されてもよい。
【符号の説明】
【0099】
10,30…車両用撮像機
11,31…カメラユニット
11B,31B…レンズ
12,32…取付装置
21,41…ブラケット
22,42…レンズフード
22A,42A…フード本体
22F,42F…表面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13