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特許7344868切削工具および切削工具用の小型の孔なし割出し可能なインサート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】切削工具および切削工具用の小型の孔なし割出し可能なインサート
(51)【国際特許分類】
   B23C 5/22 20060101AFI20230907BHJP
   B23C 5/28 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B23C5/22
B23C5/28
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020517880
(86)(22)【出願日】2018-09-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 IL2018051036
(87)【国際公開番号】W WO2019077597
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-09-13
(31)【優先権主張番号】62/572,611
(32)【優先日】2017-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヘヒト ギル
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-140105(JP,U)
【文献】特開2003-127007(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02564963(EP,A1)
【文献】特表2013-502328(JP,A)
【文献】特開平06-126572(JP,A)
【文献】特表2009-534210(JP,A)
【文献】住友電工ハードメタル株式会社,イゲタロイ切削工具,日本,2008年,B108頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 5/20、 5/22
B23B 27/14、51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小型で貫通孔がない割出し可能な切削インサート(14、114、214)であって、
前記切削インサート(14)は、対向するインサート頂面及び底面(48、148、248、50)を備え、
前記インサート頂面は、正確に3つの作動部分(56)を順番に含む外周頂縁(54)を有し、
各作動部分(56)は、正確に3つの主切れ刃(58、158、258)の1つを有し、
前記切削インサート(14、114、214)は、全ての主切れ刃(58、158、258)のみと接線接触する内接円(IC)を有し、
前記内接円(IC)は、3.8mm未満の内接円直径(ICD)を有し、
前記切削インサート(14、114、214)は、前記切削インサート(14、114、214)の側面図において前記頂縁(54)を越えて突出する少なくとも1つの当接突出部(55)を有し、
前記当接突出部(55)は、主すくい面(170、270)から延在しチップを偏向させるように構成された偏向器(57)を有し、
前記切削インサート(14、114、214)は、PCD製又はPCB製ではなく超硬合金から作られており、
前記インサート頂面(48、148、248)は、正確に3つの頂部当接サブ面(76)を含む頂部当接面(68)を有し、
各々隣接する3つの頂部当接サブ面(76)は、段の不連続性を有する、切削インサート。
【請求項2】
前記内接円(IC)は、2.5~3.8mmの範囲の内接円直径(ICD)を有する、請求項1に記載の切削インサート(14、114、214)。
【請求項3】
前記切削インサート(14、114、214)は、
前記対向するインサート頂面及び底面(48、148、248、50)の間に延在するインサート外周面(52)と、
前記インサート頂面及び底面(48、148、248、50)を通る対称中心軸(CA)と、
前記対称中心軸(CA)に平行な測定で1~2.5mmの範囲にある最大インサート厚さ(MIT)と、
を備える、請求項1又は2に記載の切削インサート(14、114、214)。
【請求項4】
前記インサート頂面(48、148、248)の平面図において、前記主切れ刃(58、158、258)は、2~4mmの範囲の主切れ刃長さ(CEL)を有する、請求項1~3の何れか一項に記載の切削インサート(14、114、214)。
【請求項5】
前記切削インサート(14、114、214)は、
前記対向するインサート頂面及び底面(48、148、248、50)の間に延在するインサート外周面(52)と、
前記頂面及び底面(48、148、248、50)を通る対称中心軸(CA)と、を備え、
前記切削インサート(14)は、前記対称中心軸(CA)に関して120°の回転対称性を有する、請求項1~4の何れか一項に記載の切削インサート(14、114、214)。
【請求項6】
前記対向するインサート頂面及び底面(48、148、248、50)は、頂縁及び底縁(54、80)を備え、
前記インサート頂面(48)の平面図では、前記底縁(80)のいかなる部分も見えない、請求項1~5の何れか一項に記載の切削インサート(14、114、214)。
【請求項7】
前記内接円(IC)は、2.5mm~3.2mmの範囲の内接円直径(ICD)を有する、請求項1~6の何れか一項に記載の切削インサート(14、114、214)。
【請求項8】
前記切削インサート(14、114、214)は、片面で、ポジティブであり、
前記インサート底面(50)は、機械加工用に構成されておらず、切れ刃を備えない底縁(80)を備える、請求項1~の何れか一項に記載の切削インサート(14、114、214)。
【請求項9】
前記超硬合金は、炭化タングステンである、請求項1~の何れか一項に記載の切削インサート(14、114、214)。
【請求項10】
前記切削インサート(14、114、214)は、所定の大きさにプレス加工され、そのいかなる部分も表面も研削されていない、請求項1~の何れか一項に記載の切削インサート(14、114、214)。
【請求項11】
請求項1~10の何れか一項に記載の切削インサート(14、114、214)と、
前記切削インサート(14、114、214)を固定するように構成され、寸法決めされたインサートポケット(18)と、
を備える、切削工具(12)。
【請求項12】
前記切削工具(12)は、流体出口(98)で前記少なくとも1つのインサートポケット(18)に開口する流体チャネル(96)を備える、請求項11に記載の切削工具(12)。
【請求項13】
クランプねじ(74)によって、請求項11又は12に記載の切削工具(10)のインサートポケット(18)に外部で固定された小型の孔なし割出し可能な切削インサート(14、114、214)を割出し又は交換する方法であって、前記方法は、
a.位置決め工具(16、116、216、316)を提供するステップと、
b.通常は摩耗した作動主切れ刃(58、158、258)に関連する露出した若しくはアクセス可能な主逃げ面(172)、又は、側部当接面(253)をインサート保持面(28)と接触させ、それによって前記切削インサート(14、114、214)を維持するステップと、
c.前記クランプねじ(74)を緩めて、前記切削インサート(14、114、214)を前記インサートポケット(18)から解放するステップと、
d.前記切削インサート(14、114、214)を前記位置決め工具(16、116、216、316)で前記ポケット(18)から取り外し、前記切削インサート(14、114、214)を手で割出し又は交換して、未使用切れ刃の主逃げ面(72、172、272)が前記インサート保持面(28)に取り付けられ、それによって維持されるようにするステップと、
e.前記位置決め工具(16、116、216、316)で前記割出し又は交換された切削インサート(14、114、214)を前記ポケット(18)に挿入するステップと、
f.前記クランプねじ(74)を締めて、前記切削インサート(14、114、214)を前記インサートポケット(18)に固定するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の主題は、機械加工工具または切削工具に関する。具体的には、貫通クランプ孔がない小型で割出し可能な切削インサートを備えたマイクロ切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に言えば、再使用可能な鋼製本体に固定された交換可能/消耗可能なインサートは、費用対効果がより高いので、工具本体に鋭利な切れ刃がビルトインされたワンピース切削工具と比較して好ましい。工具サイズ/直径スケールの下端側では、ワンピース工具が支配的であった。具体的には、これは特定のインサートサイズの場合に当てはまり、この場合、インサートのクランプ孔を通るファスナを介してポケットに固定することができないため、交換可能なインサートを使用することが非現実的になる(あるいは不可能にさえなる)。この主な理由は、特定のサイズの場合、クランプねじ(特にその頭部)が、標準的なドライバまたはレンチには小さすぎるからである。したがって、より小径の切削工具市場の少なくとも一部に対して、長期にわたって、交換可能な切削インサートを有する切削工具に対するニーズがあった。
【発明の概要】
【0003】
本出願の主題の第一の態様によれば、小型で貫通孔がない割出し可能な切削インサートが提供される。この切削インサートは、正確に3つの主切れ刃を含み、全ての主切れ刃のみと接線接触する内接円を有する。
【0004】
本出願の主題の第二の態様によれば、小型で割出し可能な孔なし切削インサートを保持および/または維持するように構成された位置決め工具が提供され、この位置決め工具は、細長い形状を有する外向きのインサート保持面を備え、
インサート保持面の形状は、切削インサートの側面の形状に対応する。
【0005】
本出願の主題の第三の態様によれば、位置決め工具および小型の孔なし切削インサートを含む工具キットがさらに提供される。
【0006】
本出願の主題の第四の態様によれば、インサートポケットを有する切削工具と、クランプねじを介してポケット内に外部で固定された小型の孔なし割出し可能な切削インサートと、位置決め工具とを含む工具キットがさらに提供される。
【0007】
本出願の主題の第五の態様によれば、(通常、全ての切れ刃が摩耗したために)小型インサートを位置決め工具に交換する方法が提供され、この方法は、以下のステップ、すなわち、
a.インサート保持面を小型インサートの任意の部分に取り付けるステップと、
b.ねじを緩めて、小型インサートをアンクランプまたは解放するステップと、
c.インサートをポケットから引き出し、インサートをインサート保持面から取り外し、それを廃棄するステップと、
d.インサート保持面を交換用切削インサートの未使用逃げ面に取り付けるステップと、
e.交換用インサートをポケットに挿入し、ねじを締めるステップと、を含むことができる。
【0008】
本出願の主題の第六の態様によれば、(通常、摩耗した切れ刃に起因して)小型インサートを位置決め工具で割り出す方法がさらに提供され、この方法は、以下のステップ、すなわち、
a.保持面を、通常は摩耗した作動主切れ刃に関連する露出した、またはアクセス可能な主逃げ面に取り付けるステップと、
b.ねじを緩めて、小型インサートをアンクランプまたは解放するステップと、
c.工具をインサートに取り付けるステップと、
d.インサートをポケットから取り外し、未使用主逃げ面がインサート保持面に取り付けられるように、インサートを割り出すステップと、
e.小型インサート14をポケット18に挿入し、ねじを締めるステップと、を含むことができる。
【0009】
以下の特徴のいずれも、単独または組み合わせのいずれかで、本出願の主題の上記態様のいずれかに適用可能であり得る。
【0010】
位置決め工具は、インサートを磁気的に維持するように構成された磁気または磁化インサート保持面を有してもよい。いくつかの実施形態では、位置決め工具は、自然磁石を含んでもよく、他の実施形態では、位置決め工具は、電磁石を含んでもよい。
【0011】
位置決め工具は、インサートを静電的に維持するように構成された静電インサート保持面を有してもよい。
【0012】
位置決め工具は、接触時にインサートが一時的に接着することができる粘着性インサート保持面を有してもよい。
【0013】
インサート保持面は、伸長方向に伸長され、位置決め工具は、伸長方向(ED)に延在して対向する拡大把持面をさらに含むことができ、オペレータが位置決め工具を保持するときに把持して、向きの指示を与えるように構成される。
【0014】
インサート保持面は、伸長方向に延在する2つの対向する主エッジと、主エッジ間に延在する2つのより短い副エッジとを有することができる。
【0015】
工具本体は、位置決めヘッドから離れて延在する軸方向に伸長され、インサート保持面は、位置決めヘッドから軸方向外側に突出する最も外側の表面である。
【0016】
小型インサートは、3つの角を有し、すなわち三角形であり、インサート保持面は、小型インサートの3つの主逃げ面のうちの1つと係合するように構成される。
【0017】
インサート保持面は、対向し、同一で、1.8~4.2mmの範囲にある主エッジを含むことができる。
【0018】
インサート保持面は、対向する主エッジを接続し、1.1~2.4mmの範囲にある副エッジを有する。
【0019】
位置決め工具は、モジュール式とすることができ、工具本体の後方工具端部は、駆動工具に選択的に取り付けることも、取り外すこともできるように構成することができる。
【0020】
位置決め工具は、位置決めヘッドに堅固に接続された弾性スリーブを有することができる。
【0021】
工具本体は、位置決めヘッドから離れて延在する軸方向に伸長され、インサート保持面は、伸長方向に伸長され、軸方向に沿った図において、インサート保持面は、工具本体のフットプリントよりも小さなフットプリントを有する。
【0022】
位置決めヘッドは、インサート保持面から後方に向かって延在し、発散する2つのヘッド面を含むことができる。
【0023】
位置決め工具は、工具本体に堅固に接続され、把持を可能にし、トルク伝達を加えるように構成された非強磁性、非磁性の保持部分をさらに含むことができる。
【0024】
切削インサートは、3つの主切れ刃と、3つの主切れ刃全てに接線接触する内接円を有する。
【0025】
内接円は、2.5mm~3.8mmの範囲の内接円直径を有することができる。
【0026】
内接円は、2.5mm~3.2mmの範囲の内接円直径を有することができる。
【0027】
インサート保持面の形状は、切削インサートの主逃げ面の形状に対応する。
【0028】
切削インサートは、
対向するインサート頂面および底面と、それらの間に延在するインサート外周面と、
頂面および底面を通る対称中心軸と、
対称中心軸に沿った測定で1mm~2.5mmの範囲にある最大インサート厚さと、
を含む。
【0029】
切削工具は、流体出口で少なくとも1つのインサートポケットに開口する流体チャネルを含むことができる。
【0030】
切削インサートは、2mm~4mmの範囲の主切れ刃長さを有する主切れ刃を有することができる。
【0031】
切削インサートは、主すくい面から延在し、チップを偏向するように構成された偏向器を含むことができる。
【0032】
切削インサートは、頂面および底面を通る対称中心軸を含み、切削インサートは、その周囲に120°の回転対称性を有する。
【0033】
切削インサートは片面であり、対向するインサート頂面と底面を備える。そして、インサート底面は、機械加工のために構成されておらず、切れ刃を含まない底縁を有する。
【0034】
切削インサートは、PCD製またはPCB製ではない。
【0035】
切削インサートは、所定の大きさにプレス加工することができ、そのいかなる部分も表面も研削されていない。
【0036】
本出願の主題をより良く理解し、それが実際にどのように実行され得るかを示すために、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】2つの小型の切削インサートを有する切削工具の第一の実施形態の等角半分解図である。
図2図1の切削工具の側面図である。
図3図1の切削工具の底部軸方向図である。
図4図1の小型インサートの側面図である。
図5図1の小型インサート頂面の上面図である。
図6】2つの小型の切削インサートを有する切削工具の第二の実施形態の等角半分解図である。
図7図6の切削工具の側面図である。
図8図6の切削工具の底部軸方向図である。
図9図6の小型インサートの側面図である。
図10図6の小型インサート頂面の上面図である。
図11図2のXI-XI線に沿った流体チャネルの断面図である。
図12】小型インサートと、ドライバ上に取り付けられたモジュール式の第一の位置決め工具の実施形態とを含む工具キットの等角図である。
図13】ドライバと一体化された第二の位置決め工具の実施形態の等角図である。
図14図13の第二の位置決め工具の実施形態の軸方向正面図である。
図15図12の第一の位置決め工具の実施形態の独立側面図である。
図16】駆動手段のない第三の位置決め工具の実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
適切であると考えられる場合、参照番号は、対応または類似する要素を示すために図面の間で繰り返すことがある。
【0039】
以下の説明では、本出願の主題の様々な態様を説明する。説明を目的として、特定の構成および詳細は、本出願の主題の完全な理解を提供するために、十分に詳細に記載される。しかしながら、本出願の主題は、本明細書に提示される特定の構成および詳細がなくても実施できることは当業者には明らかであろう。
【0040】
図1および図7に注目する。機械加工または切削工具12は、切削工具12のポケット18内に固定された1つまたは複数の小型で孔なしの割出し可能な切削インサート14を含む。
【0041】
小型インサート14は、割出し可能で、孔なしで、ポジティブで、3つの角を有し、すなわち三角形である。切削工具12は、長手方向回転軸Aを有する。
【0042】
「小型(undersized)」という用語は、現在入手可能な交換可能な「ワンピース」(すなわち、ろう付けされていない、あるいは2つ以上の主要部分から作製されていない)切削インサートよりも小さい切削インサート14を説明する意味で使用される。別の言い方をすれば、これらの小型インサート14は、あまりにも小さいので、2つの指先の間で、包み込まれることもあり、あるいは見えなくなることさえある。
【0043】
本目的のために、インサートは、以下でさらに説明するように、1つまたは複数の所定のサイズおよび幾何学的基準を満たす場合、「小型」であると言われる。
【0044】
切削工具12は、任意選択で位置決め工具16を備えることができる(図12図15)。これらの小型インサート14の割出し、取付けまたは交換は、手作業で、また任意選択で、位置決め工具16で行うことができる。これらのタスクは、以下でさらに説明するように、位置決め工具16を2つの指と組み合わせて、使用して実施することもできる。
【0045】
位置決め工具16は、小型インサート14を保持しても、切れ刃が見えるように(インサート14を手で保持して、恐らく切れ刃が見えなくなるのとは対照的に)構成される。さらに、位置決め工具16は、インサート14を特定の向きに保持し、インサート14をポケット18内に正確に確実に固定し、位置決めするように、また摩耗した切れ刃を正確に識別するように構成される。例えば、切れ刃が摩耗した場合、オペレータは、インサート14の摩耗した切れ刃に関連した逃げ面を介してインサート14を位置決め工具16とともに維持し、インサート14をポケット18から取り出し、位置決め工具16に対するインサート14の向きを変え、インサート14を所望の向き(すなわち、使用されていない切れ刃が外側を向いている)でポケット18に戻す。
【0046】
したがって、本出願の主題の一実施形態によれば、位置決め工具16は、位置決め工具16と、切削工具12と、1つまたは複数の小型インサート14とを含む工具キット10の一部として提供される。別の実施形態によれば、工具キット10は、位置決め工具16と小型インサート14のみを含む。
【0047】
図12図15に注目する。位置決め工具16は、対向する前方工具端部20および後方工具端部22を有する。前方工具端部20において、位置決め工具16は、一体のワンピース構造を有する位置決めヘッド24を有する。後方工具端部22において、位置決め工具16は、位置決めヘッド24に堅固に恒久的に取り付けられた工具本体26を含む。
工具本体26は、プラスチック製、または適切な非磁化非強磁性材料製とすることができる。
【0048】
位置決めヘッド24は、細長い、好ましくは円筒形状を有する。位置決めヘッド24は、前方工具端部20に位置し、軸方向外側を向くインサート保持面28を有する。
【0049】
本発明の目的のために、「インサート保持面」は、インサート14の表面に引力を加えることによって、小型インサートを維持するものである。インサート保持面28は、インサート14を維持するために、磁力または静電力などの引力に依存する。あるいは、インサート保持面は、接触時にインサート14に一時的に接着する粘着性表面とすることもできる。
【0050】
インサート保持面28は、位置決めヘッド24から軸方向外側に突出する。換言すれば、インサート保持面28は、その軸方向における位置決めヘッド24の最も外側の部分である。これは、干渉を伴わずにインサート14をより良好に保持し、その向きをより良好に画定して、見るのに有利である。インサート保持面28は、小型インサート14と係合して保持するように構成される。したがって、インサート保持面28は、小型インサート14の側面または外周側面の形状に合致または対応するように構成された非対称形状を有する(一般に、ほとんどのインサートは、細長い側面または外周側面を有する)。具体的には、少なくともインサートの逃げ面の平面図(これは、対称形状がかなり一般的であるインサートのすくい面の図とは対照的である)において、インサートは細長い形状を有する。
【0051】
好ましい実施形態では、以下でさらに説明するように、引力は磁力である。したがって、位置決め工具16は、磁気インサート保持面28を設けた位置決めヘッド24を有する磁気位置決め工具16である。このような実施形態では、ヘッド24およびインサート保持面28は、自然磁性材料から形成される磁場、または強磁性材料から形成される磁場のいずれかを発生する。加えて、いくつかの実施形態では、磁気位置決め工具16は、電磁石を備えてもよい。
【0052】
図14に注目する。平面図において、磁気インサート保持面28は、閉じた細長い形状を有する周縁を有し、これが、伸長方向EDを画定する。換言すれば、第一の方向(伸長方向ED)で、磁気インサート保持面28の形状は、伸長方向EDに垂直な第二の方向における最大寸法よりも大きい最大寸法を有する。磁気インサート保持面28の形状は、小型インサート14の側面に対応または合致する。具体的には、小型インサート14は、取り付けられた位置において(磁気インサート保持面28が小型インサートの側面に接触しているとき)、引力によって伸長方向ED(図14に見られるように)と整合し、対応する。「対応する」という語は、磁気インサート保持面28の形状と、小型インサート14の側面の形状との間の幾何学的形状の類似性(例えば、1つの形状が矩形である場合、その対応する形状は丸くないこと)を示す意味で使用される。このことは、磁気インサート保持面28を、小型インサート14の任意の側面もしくは側部外周面、または逃げ面82に十分に接近させるときに、(主に磁気インサート保持面28の境界内の)磁気引張力が、磁気インサート保持面28の向きに合致または対応するように、インサート14の向きを変えることができるので、有利である。
【0053】
さらに、磁気位置決め工具16は、対向する把持面32を含む保持部分30を含み、把持面32は、オペレータ用グリップを提供し、磁気位置決め工具16にトルクを容易に加えることが可能にする。保持部分30は、磁気インサート保持面28から後方に離れて位置する。対向する把持面32は、伸長方向EDに延在する。把持面32は、伸長方向EDに対して平行とすることができる。この特徴は、オペレータが、磁気インサート保持面28の向き、続いて、小型インサート14の向きを簡単に確立すること、あるいは容易に推定することができるので、有利である。
【0054】
磁気インサート保持面28は、位置決めヘッド24の軸方向断面と比較したとき、同じ面積、またはより小さい面積を有する。換言すれば、磁気インサート保持面28は、磁気位置決め工具16の軸方向図において、または磁気インサート保持面28の平面図において、磁気位置決め工具16の最小のフットプリントを有する。
【0055】
図14に再び注目する。例えば、磁気インサート保持面28は、伸長方向EDに延在する一対の対向する主エッジ36と、一対の対向する副エッジ38(直線でなくてもよい)とを有するほぼ矩形の形状を有することができる。位置決めヘッド24はヘッド面34を含むことができ、それぞれのヘッド面34はそれぞれの主エッジ36から延在する。ヘッド面34は、磁気インサート保持面28から離れて発散する。ヘッド面34は、平坦であってもよく、オペレータが、電流磁気的に保持されたミニインサート14の正しい向きおよび割出し位置を確立することを支援するように構成される(特に、オペレータがインサート14を割り出しているとき)。
【0056】
本出願の主題によれば、磁気位置決め工具16は、3つの磁気位置決め工具の実施形態を有することができる。
【0057】
図12および図15に注目する。第一の磁気位置決め工具の実施形態によれば、磁気位置決め工具116は、モジュール式であり、ほとんどのドライバ42または工具に堅固に取り付け/再取り付けすることができる。具体的には、後方工具端部22は、ドライバ後端部44(非駆動端部)の上/中に取り付けられように、あるいはクランプされるように構成される。例えば、後方工具端部22は、非磁性非強磁性結合部分またはスリーブ40を含むことができ、この部分またはスリーブ40は、磁気工具116を、例えば、ドライバ42のような別の工具に結合するように、あるいは取り付けるように構成される。
【0058】
図13および図14に注目する。第二の磁気位置決め工具の実施形態によれば、磁気位置決め工具216は、ドライバ42、具体的にはドライバ後端部44(すなわち、その非駆動端部)の一体パーツである位置決めヘッド24を有する。磁気工具216は、例えば、接着され、専用の凹部内に押し込まれることも、あるいはドライバ後端部44の中または上にねじ込まれることもできる。
【0059】
図16に注目する。第三の磁気位置決め工具の実施形態によれば、磁気位置決め工具316は、独立した工具であり、この工具は、上記で開示したように、オペレータがインサート14を位置決めし、保持し、割り出すのを支援するためにのみ構成されている。この実施形態によれば、磁気工具316は、Torx(登録商標)インターフェース/キーなどの駆動手段を含まない。磁気位置決め工具316は、後部工具端部322に保持部分330を含む。
【0060】
小型インサート14は、典型的には、バインダ内で炭化物粉末を押圧して焼結することにより、超硬合金のような極めて硬質で耐摩耗性のある材料から作られる。また、超硬合金は、例えば、炭化タングステンであってもよい。切削インサート14は、コーティングされていても、コーティングされていなくてもよい。小型インサート14は、好ましくは、PCD(多結晶ダイヤモンド)製またはPCB(多結晶ホウ素)製ではない。小型インサート14は、消磁されていないことが好ましい。しかしながら、試験中、磁気位置決め工具16は、十分に機能し、消磁されたインサートでさえも適切に保持された。
【0061】
インサート14は、好ましくは、所定の大きさにプレスされる。換言すれば、インサート14のいかなる部分も表面も研削されない。これは、生産効率の点でも費用効果の点でも実質的な利点である。さらに、本質的にコストのかかる研削加工の他に、より大きなインサートと比較して、これらの小型の「ナノ」インサートを研削する場合、さらなるコストが発生する。インサートサイズに問題があるために、たとえ、開発されたとしても、研削する必要のあるこれらのインサートを保持することができる機械は、かなり高価であり、信頼性の問題を起こしやすいことが見出された。
【0062】
小型インサート14は、対向するインサート頂面48および底面50と、それらの間に延在するインサート外周面52とを有する。インサート14は、インサート頂面および底面48、50を通る対称中心軸CAに関して120°の回転対称性を有する。したがって、インサート14は、その対称中心軸CAの周りで三方向に割出し可能である。インサート14は、仮想的な中間面MPを有し、中間面MPは、中心軸CAに対して垂直で、インサート頂面48と底面50との中間に位置し、インサート外周面52と交差する。インサートの最大厚さMITは、インサートの頂面48と底面50の外側端部の間で、中心軸CAに平行な方向に測定される。最大インサート厚さMITは、好ましくは、1.0~2.5mmの範囲である。
【0063】
インサート頂面48は、外周頂縁54を有する。頂縁54は、ワークピース上で作動するように構成された正確に3つの作動部分56を含む。以下でさらに開示されるように、各作動部分56は、例えば、主切れ刃58、コーナー切れ刃60、および/または傾斜切れ刃62を含むことができる。各作動部分56は、また、材料を除去するためではなく、むしろワークピースの表面品質を円滑化または改善するために構成されたワイパー縁部64を含むこともできる。インサート頂面48は、インサート14の側面図(図4および図9)において、頂縁54を越えて突出する少なくとも1つの当接突出部55を含むことができる。突出部は、中間面MPに関して、インサート頂面48の任意の他の部分よりもさらに外側に延在する。各当接突出部55は、偏向面、または偏向器57を含む。
【0064】
各主切れ刃58は、2~4mmの範囲の主切れ刃長さCELを有することができる。
【0065】
インサート頂面48は、インサート14をポケット18内に固定するためのねじ74と当接係合するように構成された頂部当接面68を含む。各頂部当接面68は、ねじ74と係合するように構成された正確に3つの頂部当接サブ面76を含む。頂部当接面68は、その上面図(図5および図10)において三角形の形状を有することができる。頂部当接面68は、インサート14の向きに対するねじ74の向きに応じて、また次に、切削工具12に対するインサート14の向きに応じて(例えば、図10に見られるように)、インサート頂面48に対して中心軸CAの周りで回転させることができる。
【0066】
インサート頂面48は、主すくい面70を含む。各主すくい面70は、頂縁54と当接突出部55との間に配置することができる。各主すくい面70は、それぞれの主切れ刃58から延在し、当接突出部55上のそれぞれの偏向器57と合流することができる。換言すれば、各偏向器57は、それぞれのすくい面70よりも中心軸CAから遠くに位置し、頂部当接面68よりも中間面MPに近くに位置する。
【0067】
図5および図10に注目する。本実施形態によれば、インサート頂面48の上面図または平面図において、インサート14は、例えば、正三角形でない形状を有することも、あるいは正三角形の形状を有することもできる。内接円ICは、頂縁54の3つの同一の主切れ刃58の間に画定される(または接する)。内接円ICは、2.5~3.8mmの範囲、好ましくは2.5~3.2mmの範囲の内接円直径ICDを有する。
【0068】
上述の内接円直径ICDの範囲は、適切で機能的クランプ孔(すなわち、使用可能なねじ頭部サイズを有する適切/使用可能なねじを収容することができる)のための余地を残さないが、それでも、適切なインサート構造を維持する。換言すれば、小さすぎるインサートは、弱くなりすぎて使用不能になる可能性があり、および/またはクランプ孔は、小さすぎて切削インサートをポケット内に固定するのに適していないねじのみを収容することになる。したがって、これらのインサート14は、クランプ孔、および他のいずれの開口部をも有さず、したがって、「孔なし」であると見なされる。クランプ孔を有さないことは、少なくとも、インサートがより堅牢であるために有利であり、製造プロセスは、孔を有するインサートと比較して安価である(粉末をプレスすることにより、貫通クランプ孔を作成するための余分なパンチが不要である)。
【0069】
インサート底面50は、底部当接面78を含む。底部当接面78は、好ましくは平坦である。インサート底面50は、単一の平面内に位置することができる底縁80を有する。底縁80は、いかなる種類の機械加工または切削に対しても構成されない。したがって、インサート14は片面または一面である。インサート底面50は、底部当接面78の中央に位置する凹部を含むことができ、これにより、底部当接面78とポケット18内のそれぞれの当接面との間の係合規定(当分野で知られるような三点係合)を改善することができる。
【0070】
インサート外周面52は、頂縁54から延在し、底縁80に向かって(中心軸CAに近づくにつれて)収束する。さらに、インサート頂面48の上面図(図5および図10)では、底縁80のいかなる部分も見えない。したがって、インサート14は、当分野ではポジティブインサート14として、またはポジティブ切削形状を有するインサートとして知られているように、画定される。これらの小型インサートは、特にこれらのインサートが所定の大きさにプレス加工された幾何学的形状および切れ刃を有するので、製造およびプレスがより簡単なポジティブな切削幾何学的形状を有する。
【0071】
したがって、小型インサート14は、凹部、窪み、および他の構成を備えた頂面および/または底面を有し得るが、クランプ要素が通過し、かつインサートをポケットに固定することのできる貫通孔を欠いている限り、依然として「孔なし」と考えられることに留意されたい。
【0072】
図1図5に注目する。第一のインサートの実施形態によれば、小型インサート14は、当分野で知られているような高送り切削インサート114である。各作動部分156は、(図5に見られるように、インサート頂面148の平面図において)コーナー切れ刃160に接続されている主切れ刃158に横方向に接続された傾斜切れ刃162を含む。作動部分156は、傾斜切れ刃162と主切れ刃158とを接続する副コーナー切れ刃166を含むことができる。各傾斜切れ刃162は、傾斜すくい面184と傾斜逃げ面186との間の交点に形成される。各主切れ刃158は、主すくい面170と主逃げ面172との交点に形成される。主逃げ面172は、好ましくは平坦であり、また、以下に説明するように、磁気位置決め工具16のインサート保持面28およびポケットのそれぞれの壁と当接するように構成される。各コーナー切れ刃160は、コーナーすくい面188とコーナー逃げ面190との交点に形成される。すくい面のそれぞれは、インサート頂面148上に形成される。逃げ面のそれぞれは、インサート外周面152に形成される。
【0073】
第一のインサートの実施形態によれば、主切れ刃長さCELは2.5mmに等しく、内接円直径ICDは3.0mmに等しい。
【0074】
図6図10に注目する。第二のインサートの実施形態によれば、小型インサート14は、当分野で知られているように、ショルダリングインサート214である。ショルダリングインサートは、1~2°の公差内でワークピース内の直角肩部をフライス加工するように構成されている。各作動部分256は、主切れ刃258と、ワイパー刃264と、それらの間に延在するコーナー切れ刃260とを含む。各作動部分256は、また、ワイパー刃264と隣接する作動部分256の主切れ刃258との間に延在する傾斜切れ刃262を含むことができる。換言すれば、第一の作動部分256の傾斜切れ刃262は、隣接する第二の作動部分256の主切れ刃258の一部であり、同じ向きを有し、連続している。したがって、用途によって、より深い肩部が必要とされる場合、「延長された主切れ刃」258は、単に、より深い切削深さを画定することによって達成することができる。このような場合、オペレータは、第一の作動部分256の傾斜切れ刃262と第二の作動部分256の主切れ刃258との合計長さ全体を使用することを決定して、前記延長された主切れ刃258を達成することができる。各主切れ刃258は、主すくい面270と主逃げ面272との交点に形成される。各傾斜切れ刃262は、傾斜すくい面284と傾斜逃げ面286との間の交点に形成される。各コーナー切れ刃260は、コーナーすくい面288とコーナー逃げ面290との交点に形成される。すくい面のそれぞれは、インサート頂面248上に形成される。逃げ面のそれぞれは、インサート外周面252に形成される。外周面252は、ワイパー逃げ面265をさらに含み、そのそれぞれは、それぞれのワイパー刃264から延在する。外周面252は、各主逃げ面272の間を底縁80に向かって延在する側部当接面253をさらに含む。
【0075】
第二のインサートの実施形態によれば、主切れ刃長さCELは2.8mmに等しく、内接円直径ICDは2.8mmに等しい。
【0076】
図1および図6に注目する。切削工具12は、切削本体91と、そこから延在し、少なくとも2つのポケット18を含む切削部分92とを有する。1つまたは複数のポケット18は、半径方向に向けられたポケットまたは半径方向ポケット18として当分野で知られているものである。したがって、インサート14は、半径方向インサートとも呼ばれる。
【0077】
各ポケット18は、ポケット基部表面93と、そこから延在する2つのポケット壁94とを有することができる。ポケット壁94は、ポケット基部表面93に対して垂直にすることもできる。第一のインサートの実施形態によれば、2つのポケット壁194は、(図1に見られるように)回転軸Aにほぼ平行な方向に内側に収束する。第二のインサート214の実施形態によれば、2つのポケット壁294は、(図6に見られるように)回転軸Aに直角な方向に内側に収束する。
【0078】
各ポケット18は、これらの小型の孔なしインサート14を固定するくさび型配置を含む。インサート14は、インサート14自体のシンプルで迅速で費用対効果の高い交換または割出し(アダプタまたはシムなしで)を保証するために、切削工具12または任意の種類のアダプタ/カートリッジの任意の他の部分に、いかなる方法でも接着されることも、あるいはろう付けされることもない。各ポケット18は、インサート14を通すことなく、切削工具12内のねじ孔95にねじ込まれるねじ74を含む。ねじ孔95は、ポケット基部表面93には配置されていない。ねじ74は、インサート14に直接接触し、ポケット基部表面93に対してインサート14を押し付けるように構成される(すなわち、インサート14は、それらの間にくさび留めされる)。ねじ74は、また、インサート14を、ポケット18内にインサート14を配置するポケット壁94に向かって、それに対して引っ張る。第一のインサートの実施形態によれば、少なくとも1つの主逃げ面172は、それぞれのポケット壁194に当接する。第二のインサートの実施形態によれば、少なくとも1つの側部当接面253は、それぞれのポケット壁294に当接する。ねじ74を締めると、ねじ74は頂部当接面68に係合し、具体的には、ねじ74は、頂部当接サブ面76のうちの1つに当接する。
【0079】
各ポケット18は、切削本体91に沿って延在し、流体出口98でポケット18に開口する内部流体チャネル96をさらに含むことができる。流体出口は、ねじ孔95に隣接して配置することができる。流体チャネル96および流体出口98は、ねじ孔95から分離されている。流体チャネル96は、2つのポケット壁94の間に配置することができる。
【0080】
トルクドライバは周知であり、ときどき、本分野の工具(すなわち、小さなねじを含むミニ切削工具)とともに使用するために供給/推奨される。というのも、前記小径のファスナは、かなり容易に損傷することも、あるいは破損することもあるからである。これらのトルクドライバは、それぞれのねじサイズにトルクを加えるとき、オペレータが推奨トルク限界を超えることを防止するように較正されたトルク制限機構を含む。
【0081】
標準/正規ドライバ42、すなわちトルクドライバは、対向するドライバ前端部43および後端部44と、それらの間に延在するドライバ本体46とを含む。ドライバ42は、ドライバ回転軸DRAを有する。ドライバ前端部43は、TORX(登録商標)のようなキーまたはトルク伝達形状を含む。ドライバ本体46は、把持を提供するように構成されたドライバ保持部分30を含む。ドライバ保持部分30は、その2つの対向する側面の一方または両方のいずれかで、ドライバ回転軸DRAから離れる方向に半径方向外側に延在することができる。
【0082】
(通常、全ての切れ刃が摩耗したために)小型インサート14、114、214を磁気位置決め工具16、116、216、316に交換する方法は、以下のステップ、すなわち、
a.インサート保持面28を小型インサート14、114、214の任意の部分に取り付けるステップと、
b.ねじ74を緩めて、小型インサート14、114、214をアンクランプまたは解放するステップと、
c.インサート14、114、214をポケット18から引き出し、インサート14、114、214をインサート保持面28から取り外し、それを廃棄するステップと、
d.インサート保持面28を、交換用切削インサート14、114、214の未使用主逃げ面172または側部当接面253に取り付けるステップと、
e.交換用インサート14、114、214をポケット18に挿入し、ねじ74を締めるステップと、
を含むことができる。
【0083】
磁気位置決め工具16、116、216、316を用いて、(通常、摩耗した切れ刃に起因して)小型インサート14、114、214を割り出す方法は、以下のステップ、すなわち、
a.磁気保持面28を、通常は摩耗した作動主切れ刃58、158、258に関連する露出した、もしくはアクセス可能な主逃げ面172、または側部当接面253に取り付けるステップと、
b.ねじ74を緩めて、小型インサート14、114、214をアンクランプまたは解放するステップと、
c.磁気工具16、116、216、316をインサート14、114、214に取り付けるステップと、
d.インサート14、114、214をポケット18から取り外し、未使用主逃げ面172、272がインサート保持面28に取り付けられるように、インサートを割り出すステップと、
e.小型インサート14をポケット18に挿入し、ねじ74を締めるステップと、
を含むことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12-13】
図14
図15
図16