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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】フローバッテリー
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/18 20060101AFI20230907BHJP
   H01M 8/02 20160101ALI20230907BHJP
   H01M 8/0206 20160101ALI20230907BHJP
   H01M 8/0213 20160101ALI20230907BHJP
   H01M 8/0221 20160101ALI20230907BHJP
   H01M 8/0228 20160101ALI20230907BHJP
   H01M 8/0258 20160101ALI20230907BHJP
   H01M 8/0276 20160101ALI20230907BHJP
   H01M 8/2483 20160101ALI20230907BHJP
   H01M 8/249 20160101ALI20230907BHJP
【FI】
H01M8/18
H01M8/02
H01M8/0206
H01M8/0213
H01M8/0221
H01M8/0228
H01M8/0258
H01M8/0276
H01M8/2483
H01M8/249
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2020541412
(86)(22)【出願日】2019-01-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 GB2019050219
(87)【国際公開番号】W WO2019145733
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2022-01-14
(31)【優先権主張番号】1801328.4
(32)【優先日】2018-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】507299817
【氏名又は名称】ユーシーエル ビジネス リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】519340400
【氏名又は名称】インペリアル・カレッジ・イノベーションズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】IMPERIAL COLLEGE INNOVATIONS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】ブレデット、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、レオン
(72)【発明者】
【氏名】メイソン、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】デディガマ、イシャンカ
(72)【発明者】
【氏名】クセルナク、アントニー
【審査官】山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-101881(JP,A)
【文献】国際公開第2017/069261(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/134780(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00- 8/0297
H01M 8/08- 8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
向する第1側面および第2側面を有する導電性材料の層を含む第1集電体を含み
1電極、電子が前記第1電極から前記第1集電体へ流れることができるように、前記第1集電体の前記第1側面に配置されており、
誘電材料の第1層が前記第1集電体の前記第2側面に配置されており、
第1孔および第2孔が、第1流体が、前記第1孔から前記第1電極へ、前記第1電極に沿ってまたは前記第1電極を通って流れ、続いて、前記第2孔を通って、前記第1集電体および誘電材料を通じて流れるように、前記第1集電体と前記第1集電体の前記第2側面に配置された誘電材料の前記第1層との両者を通して設けられており、
保護環状部材が、前記第1孔および/または前記第2孔を定める前記誘電材料の縁の周りに延びていることを特徴とする充電式フローバッテリーの部品
【請求項2】
前記第1集電体の前記第2側面に配置された前記誘電材料がプリント回路基板材料である請求項1に記載の充電式フローバッテリーの部品
【請求項3】
前記第1集電体の前記第2側面に配置された前記誘電材料が、繊維強化ポリマー層を含むプリント回路基板材料である請求項1または請求項2に記載の充電式フローバッテリーの部品
【請求項4】
前記第1集電体の前記第2側面に配置された前記誘電材料がFR-1、FR-2、FR-3、FR-4、FR-5、FR-6、CEM-1、CEM-2、CEM-3、CEM-4、CEM-5、ポリテトラフッ素エチレン、G-10、G-11、アルミナ、ポリイミド、ガラス繊維/PTFE織物積層品から選択される請求項1~3のいずれか1項に記載の充電式フローバッテリーの部品
【請求項5】
前記導電性材料がチタン、窒化チタン、モリブデン、真鍮、および炭素から選択され、前記炭素は、黒鉛炭素であり得るか、または黒鉛炭素を含む請求項1~4のいずれか1項に記載の充電式フローバッテリーの部品
【請求項6】
前記炭素が柔軟な、インターカレートグラファイトを含む請求項5に記載の充電式フローバッテリーの部品
【請求項7】
前記保護環状部材が、前記第1流体と、前記誘電材料およびそれに含まれるいずれの結合剤材料との接触を防ぐように、前記第1および/または前記第2を定める前記誘電材料の縁の周りに延びている請求項1~6のいずれか1項に記載の充電式フローバッテリーの部品
【請求項8】
前記保護環状部材がOリング、XリングおよびDリングから選択される請求項1~7のいずれか1項に記載の充電式フローバッテリーの部品
【請求項9】
前記第1流体が腐食性流体である請求項または請求項に記載の充電式フローバッテリーの部品
【請求項10】
更なる誘電材料層が、前記第1集電体の前記第2側面に配置された前記誘電材料の第1層に配置されており、前記更なる誘電材料層には、前記第1流体が流れるチャネルおよび/またはが形成されている請求項1~のいずれか1項に記載の充電式フローバッテリーの部品
【請求項11】
前記第1流体が液体である請求項1~10のいずれか1項に記載の充電式フローバッテリーの部品
【請求項12】
前記第1流体がガスである請求項1~10のいずれか1項に記載の充電式フローバッテリーの部品
【請求項13】
前記充電式フローバッテリーが、全バナジウムの対、水素-バナジウムの対、水素-リチウム臭素酸塩の対、水素-リチウム塩素酸塩の対、水素-ポリ酸の対、臭素-水素の対、鉄-スズの対、鉄-クロムの対、臭素-ポリスルフィドの対、亜鉛-臭素の対、鉛-酸(メタンスルホネート)対、亜鉛-セリウムの対、または鉛-酸の対を含むか、または前記充電式フローバッテリーがリチウムイオンフローバッテリー、イオン流体フローバッテリー、または溶融塩フローバッテリーである請求項1~12のいずれか1項に記載の充電式フローバッテリーの部品
【請求項14】
請求項1に記載の充電式フローバッテリーの部品を含み、
前記充電式フローバッテリーは、第2電極をさらに有し、
前記第1電極および前記第2電極は、それらの間にイオンが流れるように離れており、
第1流体を含むか、または保持する第1リザーバーが、前記第1リザーバーから前記第1電極へ、前記第1電極から前記第1リザーバーへ、前記第1流体を循環させるように、前記第1電極に流体接続されている、
充電式フローバッテリー。
【請求項15】
前記第1電極および前記第2電極は、イオン選択膜または分子篩膜から選択され得る膜によって隔てられており、
誘電材料が前記膜と前記第1集電体との間に配置され、
前記膜と前記第1集電体との間に配置された前記誘電材料が前記第1電極の囲んでいる請求項14に記載の充電式フローバッテリー。
【請求項16】
前記膜と前記第1集電体との間に配置された前記誘電材料が、FR-1、FR-2、FR-3、FR-4、FR-5、FR-6、CEM-1、CEM-2、CEM-3、CEM-4、CEM-5、ポリテトラフッ素エチレン、G-10、G-11、アルミナ、ポリイミドおよびガラス繊維/PTFE織物積層品から選択される請求項15に記載の充電式フローバッテリー。
【請求項17】
保護環状部材が、前記第1流体と前記誘電材料との接触を防ぐように、前記膜と前記第1集電体との間に配置された前記誘電材料の縁の周りに延びている請求項15に記載の充電式フローバッテリー。
【請求項18】
前記充電式フローバッテリーは、複数の電池を有するスタックを含み、
各電池は、前記第1電極および前記第2電極を有し、
前記スタック内の電池の前記第1集電体は、前記スタック内の電池の隣接する第2集電体に電気的に接続される請求項14に記載の充電式フローバッテリー。
【請求項19】
各電池は、複数の層を有し、
1つ以上のチャネルが、前記第1流体が第1電池を通して第2電池の前記第1電極へ流れ、任意選択的に前記第1電池に戻ることを可能にし、および/または第2流体が前記第2電池を通して前記第1電池の前記第2電極へ流れ、任意選択的に前記第2電池に戻ることを可能にするように、前記第1電極および前記第2電極ではなく各電池の前記層を通して存在する請求項18に記載の充電式フローバッテリー。
【請求項20】
前記チャネルは、前記第1流体が前記第1電池から前記第2電池の前記第1電極へ流れることを可能にし、前記第1電池の前記第1孔および前記第2孔に流体接続されている請求項19に記載の充電式フローバッテリー。
【請求項21】
前記スタック内の電池の前記第1集電体は、前記スタックから1つの電池を除去し、残りの前記スタック内の電池を再接続して除去された電池があっても電池が機能し続けるように、取り外し可能な電気的な接続を介して、前記スタック内の隣接する電池の前記第2集電体に電気的に接続されている請求項18に記載の充電式フローバッテリー。
【請求項22】
前記電池が一緒に結合している請求項18に記載の充電式フローバッテリー。
【請求項23】
前記充電式フローバッテリーが、第2流体を含むか、または保持する第2リザーバーと、対向する第1側面および第2側面を有する導電性材料の層を含む第2集電体と、を含み、
前記第2リザーバーは、前記第2リザーバーから前記第2電極へ、前記第2電極から前記第2リザーバーへ前記第2流体を循環させるように前記第2電極に流体接続されており、
電子が電極から前記第2集電体へ流れることができるように、前記第2電極が前記第2集電体の前記第1側面に配置されており、誘電材料層が前記第2集電体の前記第2側面に配置されている請求項14~22のいずれか1項に記載の充電式フローバッテリー。
【請求項24】
前記第2集電体の前記第2側面に配置された前記誘電材料がプリント回路基板(PCB)材料である請求項23に記載の充電式フローバッテリー。
【請求項25】
前記第2集電体の前記第2側面に配置された前記誘電材料が、FR-1、FR-2、FR-3、FR-4、FR-5、FR-6、CEM-1、CEM-2、CEM-3、CEM-4、CEM-5、ポリテトラフッ素エチレン、G-10、G-11、アルミナ、ポリイミド、ガラス繊維/PTFE織物積層品から選択される請求項23または請求項24に記載の充電式フローバッテリー。
【請求項26】
前記第2流体は、流体またはガスである、
請求項23~25のいずれか1項に記載の充電式フローバッテリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
大規模のエネルギー貯蔵は、再生可能エネルギー貯蔵技術から利用されるエネルギーを広げられるのに重要な役割を果たす。レドックスフローバッテリー(RFB)は、風および太陽などの再生可能エネルギー源によって利用されるエネルギーの大規模貯蔵の期待できる候補であり、独立型の電力システムとして、さらには自動車用途内でも利用され得る。RFBは、電力をエネルギーから分離できる特有の利点を有し、前者は通常は電池構造(電極領域、作動電圧等)の特性である一方で、後者は利用可能な電解質の体積(および濃度)に依存している。この特性は、RFBが、その固有の設計柔軟性により、多くの前記用途に役立つことができるようにする。
【背景技術】
【0002】
単RFB電池は、典型的には、2つの電極から構成され、これらの電極は、炭素ベースおよび/またはフェルト、クロス、紙の形態であり、バッテリーおよび集電体の化学に依存する膜によって分離されている。典型的なRFBスタックは、内部または外部マニホールドを有する両極配置で組み立てられている多くの単電池を有する。両極炭素電極は、多くの場合、1つの電池から次の電池へ電流が流れるように、それぞれの電池の間に配置されている。全集合体が圧縮され、外部のボルト締めされた終板で密封されている。
【0003】
かなりの研究がRFBの分野で実施されている。研究の多くは、異なる部品内のRFBアーキテクチャ、すなわち、電解質、RFB調整戦略、電極構造および膜の異なる化学に焦点を合わせている。しかしながら、RFBは依然として、製造にかかる労力、およびスタックの1つの電池が故障した場合の困難性などのいくつかの不利益を有する。いくつかのRFB配置で見られる大量輸送損失の減少など、レドックスフローバッテリーの性能的側面を改善できるのが望ましい。
【0004】
したがって、先行技術のRFBの代替物を提供するか、または改善するのが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
第1態様では、充電式フローバッテリーが提供される。フローバッテリーは、
第1電極と、第2電極と、対向する第1側面および第2側面を有する導電性材料の層を含む第1集電体と、を含み、
第1電極および第2電極はそれらの間にイオンが流れるように離れており、第1流体電解質を含むか、または保持する第1リザーバーが、第1リザーバーから第1電極へ、第1電極から第1リザーバーへ第1流体電解質を循環させるように第1電極に流体接続されており、
第1電極は、電子が電極から第1集電体へ流れることができるように第1集電体の第1側面に配置されており、誘電材料の第1層が第1集電体の第2側面に配置されている。
【0006】
第2態様では、充電式フローバッテリーの部品が提供される。部品は、
対向する第1側面および第2側面を有する導電性材料の層を含む集電体を含み、第1電極が、電子が電極から集電体へ流れることができるように集電体の第1側面に配置されており、誘電材料層は集電体の第2側面に配置されており、
第1開口部および第2開口部が、流体が誘電材料および集電体を通って第1開口部を介して電極へ、電極に沿ってまたは電極を通って流れ、続いて集電体および誘電材料から第2電極を通って流れるように集電体および誘電材料層を通して設けられている。
【0007】
第3態様では、充電式フローバッテリーの部品が提供される。部品は、
対向する第1側面および第2側面を有する導電性材料の層を含む集電体を含み、第1電極が、電子が電極から集電体へ流れることができるように集電体の第1側面に配置されており、誘電材料層は集電体の第2側面に配置されており、
導電性材料はチタン、モリブデン、真鍮および柔軟な、インターカレートグラファイトから選択され、
誘電材料はPCB材料を含む。
【0008】
第4態様では、レドックスフローバッテリーにおけるプリント回路基板材料の使用が提供される。充電式フローバッテリーの冷媒(ガスまたは液体のいずれか)マニホールドとしてのプリント回路基板(PCB)材料の使用も提供される。
【0009】
本発明者らは、先行技術のいくつかのフローバッテリーと関連する多くの問題を解決するか、または軽減するフローバッテリーを考案した。集電体のいずれかの側面に炭素両極電極を有する多くのフローバッテリーに対して、本明細書に記載のフローバッテリーは、炭素電極の代わりにプリント回路基板材料などの誘電材料を有する。プリント回路基板材料は、強固であるが柔軟な電池アーキテクチャをフローバッテリー電池にもたらし、該材料において開口部およびチャネルを形成して流体がそれらを通って流れるようにするように容易に取り扱うことができる。そのようなプリント回路基板材料は、伝統的なボルトでの圧縮の必要性をなくすレドックスフローバッテリーの製造にも使用でき、かなり薄い(電極から電極まで)ものであり得る一方で、伝統的なレドックスフローバッテリーと同様であるか、またはそれより向上した性能を示す。後述するように、本明細書に記載のレドックスフローバッテリーの実施態様は、特定の事項、例えば分路電流の回避および高い耐故障性において向上した性能を有し得る。また、スタックは、ボルトの除去および全スタックの無効(電池が一緒にボルト締めされているシステムに関する状況であり得る)の必要なしで各電池が容易に取り外し可能であるように設計し得る。プリント回路基板材料などの誘電材料の使用は、レドックスフローシステムに使用される腐食性流体のいくつかと共に使用するのに不適切と考えられ得ることから、いくつかの点で直感に反し得る。しかしながら、腐食性流体を使用する場合、本発明者らは、プリント回路基板材料の分解の傾向を避けるか、または限定するレドックスフローバッテリーを考案した。プリント回路基板材料などの誘電材料は、レドックスフローバッテリーの他の部品、例えば膜(イオン選択膜および分子篩膜から選択され得る)と集電体との間のスペーサとして使用され得る。さらに、それらが、ボルトを含む伝統的な設計を必要とせずに電池を形成できるようにするのに適した強度および他の特徴を有することが見出された。後述するように、レドックスフローバッテリーは、液体アナライトおよびガス状のアナライトの両方に使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1Aは、レドックスフローバッテリーの部品101を概略的に示す分解組立図である。図1Bは、電極の膜に面している側の上から見た図1Aの電極を通る流体の流れを示す図である。図1Cは、図1Aの流体Fの流れと平行な断面を通る際の図1Aの部品を概略的に示す断面図である。図1Cは、図2Aおよび図2Bの流体Fの流れと平行な断面を通る際の、使用中の図2Aおよび図2Bの一実施態様の断面図も示し得る。図1Dは、図1Aの流体Fの流れと平行な断面を通る際の図1Aの部品の変形例は概略断面図であるである。この図において、更なるチャネルが、スタック内の隣接した電池へ、または該電池から流体を輸送するように電極のいずれかの側に形成されている。
図2図2Aは、集電体104および誘電材料層105の更なる実施態様の分解組立図である。図2Bは、集電体104の上側からの、図2Aの一実施態様の開口部109および開口部110を通る流体Fの流れを示す図である。
図3】膜(イオン選択膜または分子篩膜であり得る)103によって分離されている第1電極(102)と第2電極(102’)とを有する充電式フローバッテリーを概略的に示す断面図である。
図4】実施例1のRFBおよび参照Scribner RFBの分極および出力曲線を示す図である。
図5】実施例1のPCB RFBの様々な効率(クーロン効率、CE;電圧効率、VE;エネルギー効率、EE)を示す図である。
図6】伝統的な参照RFB(より詳細は後述する実施例に記載)の様々な効率(クーロン効率、CE;電圧効率、VE;エネルギー効率、EE)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
態様の任意および好ましい特徴を以下に説明する。いずれの任意または好ましい特徴も、いずれの態様またはいずれの他の任意もしくは好ましい特徴と組み合わせられ得る。
【0012】
誘電材料
RFBまたはそれらの部品は、対向する第1側面および第2側面を有する導電性材料の層を含む集電体を含み得、第1電極が、電子が電極から集電体へ流れることができるように集電体の第1側面に配置されており、誘電材料層は集電体の第2側面に配置されている。
【0013】
誘電材料層は、好ましくはポリマーの層である。誘電材料は、好ましくは誘電率が2~6であり、一部の例では2~5である。誘電率は、500MHZまたは1GHzで測定され得る。FR-4は、例えば、500MHzで測定した際には誘電率が約4.35であり、1GHzで測定した際には4.34である。
【0014】
誘電材料層は、プリント回路基板材料であり得、プリント回路基板での使用に適した、任意選択的には使用を許された、非導電性基板であると考えられ得る。そのような材料が、強度、誘電特性および操作の容易などの点で、本明細書に記載のレドックスフローバッテリーでの使用に適した特性のバランスを有することが見出された。プリント回路基板材料は、一方の側(使用するときには、集電体に背を向ける側)に金属層を有する繊維強化ポリマー層またはポリマーの層(繊維強化を欠き得る)と定義され得る。好ましくは、誘電材料層は繊維強化ポリマー層を含む。誘電材料層は、FR-1、FR-2、FR-3、FR-4、FR-5、FR-6、CEM-1、CEM-2、CEM-3、CEM-4、CEM-5、ポリテトラフッ素エチレン、G-10、ガラス繊維/PTFE織物積層品から選択され得る。プリント回路基板の分野において、プリント回路基板標準化されたコード(例えばFR-1またはCEM-3)が非導電性基板の特定のタイプに使用される。FRは、特定の標準試験(例えばUL94)で測定される「耐火性」、すなわち特定の温度に対する耐火性を示し、続く数字コードは、材料の性質を示す。CEMは、複合体エポキシ材料を示し、続く数字コードは、材料の性質を示す。これらの材料のいくつかの定義を以下に記載する。
【0015】
FR-2(難燃性2)はフェノール紙またはフェノールコットン紙、フェノールホルムアルデヒド樹脂で含浸した紙と定義され得る。
【0016】
FR-4(難燃性4)はエポキシ樹脂で含浸したガラス繊維織布と定義され得る。それは典型的には130℃まで評価される。
【0017】
FR-3(難燃性3)はエポキシ樹脂で含浸したコットン紙と定義され得る。それは典型的には105℃まで評価される。
【0018】
FR-5(難燃性5)はガラス繊維織物およびエポキシと定義され得、典型的には170℃まで特定される。
【0019】
FR-6(難燃性6)はポリエステル樹脂で含浸した艶消しガラス繊維と定義され得る。
【0020】
CEM-1はエポキシ樹脂で含浸したコットン紙と定義され得る。
【0021】
CEM-2はエポキシ樹脂で含浸したコットン紙と定義され得る。
【0022】
CEM-3はエポキシ樹脂で含浸した不織ガラスと定義され得る。
【0023】
CEM-4はエポキシ樹脂で含浸したガラス織物と定義され得る。
【0024】
CEM-5はポリエステル樹脂で含浸したガラス織物と定義され得る。
【0025】
G-10はエポキシ樹脂で含浸したガラス織物と定義され得る。それは典型的には130℃まで評価される。それは高い絶縁抵抗、低い吸湿性、非常に高い結合強度を有する。
【0026】
G-11はエポキシ樹脂で含浸したガラス織物と定義され得る。それは典型的には170℃まで評価される。それは溶媒に対する高い抵抗性、高温での高い曲げ強度保持率を有する。
【0027】
誘電材料層は、少なくとも20μm厚さ、任意選択的に少なくとも30μm厚、任意選択的に30μm~2mm厚、好ましくは50μm~1mm厚、より好ましくは0.1mm~0.8mm厚、最も好ましくは約0.4mm厚であり得る。
導電性材料層を含む集電体
【0028】
導電性材料層は金属層または導電性非ポリマー材料層(炭素が挙げられるが、これに限定されない)および導電性ポリマーであり得る。金属層は元素金属または合金を含み得る。
【0029】
金属層は銅を含み得る。しかしながら、一部のアナライトでは、銅が容易に腐食させすぎることが見出された。一実施態様では、使用するときに電極と接触する導電性材料の表面は、不動態化され得、すなわち銅上により耐食性のコーティングを設け、さらに合理的な導電率をもたらす。任意選択的に、導電性材料の表面は、導電性粒子を含むインクまたは塗料で被覆され得、例えば粒子は、炭素(例えばグラファイト)粒子、導電性亜酸化チタン(例えばTi)、Ti0.9Nb0.1、ドープした酸化スズ(導電率を改善するためにアンチモン、フッ素、またはインジウムでドープしたもの)、または導電性ポリマー粒子から構成されるインクから選択される。適したポリマーの例としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンおよびポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)が挙げられる。任意選択的に、導電性ポリマーが、使用するとき電極と接触する導電性材料の表面上に電着されており、そのような導電性ポリマーはポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンおよびポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)から選択され得る。任意選択的に、有機基が導電性材料の表面に結合し、使用するときには、電極と接触する。有機基は、シリル-塩化物と疎水性主鎖との反応、シリルアルコキシドと疎水性主鎖との反応、またはペルフルオロ化したアルコキシシランと表面との反応によって形成され得る。
【0030】
銅は導電性が高い一方で、不動態化した際に、流体が非常に腐食性であり得ることから、RFBでの長期間の使用に適さないものであり得る。
【0031】
任意選択的に、導電性材料層は、チタン、モリブデン、真鍮および炭素から選択される。炭素は、柔軟なインターカレートグラファイトを含み、例えばGrafoilとして市販されている。これらの特定の材料が、適した導電率をもたらし、誘電層として十分に接着し得、高い耐腐食性を有し、それ故に、腐食性アナライトを有するRFBでの使用に特に適していることが見出された。
【0032】
一実施態様では、使用するときに電極に面する導電性材料の表面は、窒化チタン、炭素、銅、モリブデンまたは真鍮から選択されるコーティングを有し得る。これらのコーティングは、適したインクを用いるスクリーン印刷、物理蒸着または化学的な蒸着によって塗布され得る。
【0033】
導電性材料層は少なくとも20μm厚さ、任意選択的に少なくとも30μm厚さ、任意選択的に30μm~2mm厚、好ましくは50μm~1.5mm厚、より好ましくは0.4mm~1mm厚、より好ましくは0.5~1mm厚、最も好ましくは約0.75mm厚であり得る。
【0034】
一実施態様では、第1開口部および第2開口部が、流体が、誘電材料および集電体を通って第1開口部を介して第1電極へ、電極に沿ってまたは電極を通って流れ、続いて集電体および誘電材料から第1電極を通って流れるように、第1集電体および第1集電体の第2側面に配置された誘電材料層を通して設けられている。第1開口部および第2開口部は、第1電極に隣接する(例えば下にある)ように、第1集電体および誘電材料層に位置し得、流体が、第1開口部から、第1電極の外へまたは第1電極から、第2開口部から、第1電極に直接または通り過ぎるように流れるようにする。一実施態様では複数の第1開口部が設けられているか、かつ/または複数の第2開口部が設けられている。開口部はいずれの形状であってもよい。一実施態様では、開口部は円形であるか、または左右対称の形状、例えばあるか、または左右対称の形状、例えばn面形状(nは少なくとも3、例えば3~10)を有する。任意選択的に、開口部は細長く、集電体または誘電材料層の表面上から見た際に、例えば長方形である。使用するとき、第1集電体および誘電材料層は、それらの平面が垂直であるように配向され得、開口部は、第2開口部が第1開口部より低く、流体が、第1電極を通り過ぎて、または第1電極を通って下へ流れるように配置される。第2開口部は、流体が第1電極を通り過ぎて、または第1電極を通って垂直に流れるように、第1開口部の下に直接あり得る。別の実施態様では、第1開口部と第2開口部との間の傾きで流れるように、第2開口部は第1開口部より低くてもよいが、それの下に直接ではない。
【0035】
任意選択的に、保護部材、例えば保護環状部材が、第1開口部および/または第2開口部を定める誘電材料の縁の周りに延びて、第1流体電解質と誘電材料との接触を防ぐ。これは、腐食性流体と共に使用する際に、プリント回路基板材料を誘電層として含むRFBの寿命を引き延ばすのに特に効果的であることが見出された。PCB材料は、レドックスフローバッテリーに使用される流体の多くとの接触で分解し得る。保護環状部材は、酸性物質からの腐食に耐性がある材料を含み得る。好ましくは、保護環状材料は弾性材料、例えばゴム材料(合成ゴムまたは天然ゴムであり得る)である。保護環状部材が、誘電材料とそのいずれかの側の材料層との間で開口部が圧縮される際に誘電材料の開口部周囲に効果的なシール形成することが見出された。保護部材は、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、エピクロロヒドリンゴム(ECH、ECO)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、フッ素エラストマー(FKM)、ニトリルゴム(NBR、HNBRまたはHSN)、ペルフルオロエラストマー(FFKM)、ポリアクリレートゴム(ACM)、ポリクロロプレン(ネオプレン)(CR)、ポリイソプレン(IR)、ポリスルフィドゴム(PSR)、ポリテトラフッ素エチレン(PTFE)、sanifluor、シリコーンゴム(SiR)、熱可塑性エラストマー(TPE)スチレン、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)(例えばLDPE、HDPE、LLDPE、ULDPEから選択される)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性エーテルエステルエラストマー(TEEE)コポリエステル、熱可塑性ポリアミド(PEBA)、溶融加工ゴム(MPR)、および熱可塑性加硫物(TPV)から選択される材料を含み得る。
【0036】
保護部材は、誘電材料の第1開口部または第2開口部の縁をたどるように成形される。開口部は円形または丸みを帯びており、円形のOリングが使用され得る。一実施態様では、保護環状部材はOリング、XリングおよびDリングから選択される。XリングおよびDリングは、Oリングが円形の断面を有する一方で、XリングおよびDリングが「X」形状または「D」形状を示す断面を有すること以外はOリングと類似している。それらは、流体が誘電材料と接触せずに、流体が誘電層の開口部を通って、隣接している層に流れるようにする層間のシールの形成に使用できる。
【0037】
一実施態様では、誘電材料層は集電体の第2側面に配置されている。誘電材料層は集電体に接着し得る。誘電材料層は、接着剤層によって集電体に接着し得る。接着剤層は、誘電材料層の材料と集電体の材料との間に結合を形成するのに適した接着剤を含む。接着剤は、エポキシ樹脂またはポリイミドポリマーなどの硬化性、例えば熱硬化性、ポリマーを含み得る。一実施態様では、接着剤層は、硬化したプリプレグ層を含む。プリプレグ層は、熱硬化性樹脂などの硬化性樹脂で予め含浸した繊維層であり、硬化すると、集電体および誘電材料に接着できる固体ポリマーを形成する。プリプレグ層は、例えば、エポキシポリマー、ポリイミドポリマーまたは他の適したポリマーなどの硬化性、例えば熱硬化性ポリマーで含浸した織り繊維層または不織繊維層を含む。プリプレグの繊維層の繊維はガラス繊維または別の繊維強化物を含み得る。
【0038】
スペーサ
一実施態様では、スペーサは、膜と集電体との間に、電極と同じ平面に位置する。スペーサは、電極に隣接して、一実施態様では、電極周辺に位置し得る。一実施態様では、スペーサは、膜(イオン選択膜および分子篩膜から選択され得る)と集電体との間に配置される誘電材料を含み、スペーサが誘電材料層を含む場合、スペーサは第2誘電材料層と称され得る。例えば誘電材料を含み得るスペーサは、膜(イオン選択膜および分子篩膜から選択され得る)と集電体との間に、電極周辺に配置され得る。一実施態様では、スペーサは、電極を収容する開口部を有する層、例えば誘電材料層を含む。スペーサの誘電材料は、集電体の第2側面の誘電材料層に使用されるいずれのプリント回路基板材料と同じであっても、異なっていてもよいプリント回路基板材料であり得る。スペーサの誘電材料は、集電体の第2側面の誘電材料層について上記で定義されたものであり得る。スペーサの誘電材料は、FR-1、FR-2、FR-3、FR-4、FR-5、FR-6、CEM-1、CEM-2、CEM-3、CEM-4、CEM-5、ポリテトラフッ素エチレン、G-10、ガラス繊維/PTFE織物積層品から選択され得る。
【0039】
一実施態様では、スペーサが、電極を収容する開口部を有する誘電材料層を含む場合、保護環状部材が電極に最も近い誘電材料の縁の周りに(開口部を定める)延び得、第1流体電解質とスペーサの誘電材料との接触を防ぎ、スペーサのための保護環状部材は、第1開口部および第2開口部について上記で定義した通りのものであり得、第1開口部および第2開口部のための保護環状部材と同じまたは異なる材料から形成され得る。スペーサの開口部のための保護環状部材は、弾性材料、例えばゴム材料(合成ボムまたは天然ゴムであり得る)を含み得るか、かつ/またはOリング、XリングまたはDリングの形状であり得る
【0040】
スペーサは、一方の側にて、集電体に接着し得るか、かつ/または、任意選択的に他の側にて、存在する場合、膜(イオン選択膜および分子篩膜から選択され得る)に接着し得る。スペーサは集電体および/または膜(イオン選択膜および分子篩膜から選択され得る)に接着剤層によって接着し得る。接着剤層は、スペーサの材料(誘電材料であり得る)および/または集電体の材料または膜(イオン選択膜および分子篩膜から選択され得る)の材料との間に結合を形成するのに適した接着剤を含む。接着剤は、エポキシ樹脂またはポリイミドポリマーなどの硬化性、例えば熱硬化性のポリマーを含み得る。一実施態様では、接着剤層は硬化したプリプレグ層を含む。プリプレグ層は、硬化すると集電体および誘電材料に接着できる固体ポリマーを形成する熱硬化性樹脂などの硬化性樹脂で予め含浸した繊維層である。プリプレグ層は、例えば、エポキシポリマー、ポリイミドポリマーまたは他の適したポリマーなどの硬化性、例えば熱硬化性のポリマーで含浸した織り繊維層または不織繊維層を含み得る。プリプレグの繊維層の繊維はガラス繊維または別の繊維強化物を含み得る。
【0041】
第1電極および第2電極
第1電極および/または第2電極は、それぞれ、流体が孔を通って流れる、孔を有する多孔質電極であり得る。そのような電極は3D電極または「フロースルー」電極と称され得る。そのような電極は液体形態の流体に特に適している。第1電極および/または第2電極は、フェルト、布、またはフォームの形状であり得る。好ましくは、電極は炭素を含み、グラファイトフェルト電極、グラフェン、カーボンフェルト電極およびカーボンフォーム電極から選択され得る。
【0042】
第1電極および/または第2電極は、第1流体が流れ過ぎ得る平坦電極であり得る。そのような電極は「フローバイ」電極と称され得る。そのような電極は、ガス形態であるか、またはレドックスフローバッテリーの使用中にガス状の反応物の形成を伴う流体に特に適している。電極は、例えば、紙、例えばカーボン紙の形態であり得る。
【0043】
第1電極および第2電極は、イオンがそれらの間を流れるように離れている。それらは、膜(イオン選択膜および分子篩膜から選択され得る)によって隔たれ得る。イオン選択膜または分子篩膜は、ポリマー電解質膜、イオン伝導性膜またはプロトン交換膜(PEM)とも称され得る。膜は、フッ素化した、例えばペルフルオロ化した炭化水素、または酸性側基を有する非フッ素化ポリマーから選択される材料を含み得る。フッ素化した、例えばペルフルオロ化した炭化水素は、フッ素化したまたはペルフルオロ化ポリマーであり得、該ポリマーは1つ以上のペンダント官能基を有し得る(カルボキシレート基またはスルホネート基を含むがこれらに限定されない酸性官能基であり得る)。一実施態様では、膜はスルホン化テトラフッ素エチレンポリマーまたはコポリマーであり得、テトラフッ素エチレンのコポリマーおよびフッ素化(任意選択的にペルフルオロ化)スルホン酸含有モノマー、例えばCF=CF-O-R-SOH(Rは、リンカー基、任意選択的に、-OCF-C(CF)F-O-CF-CF-などの、エーテル結合を含み得るペルフルオロ化リンカー基)が挙げられるが、これらに限定されない。スルホネート基を有するペルフルオロ化ポリマーは、例えばSigma Aldrichから入手できる商標名Nafionで市販されている。
【0044】
膜は、非フッ素化ポリマー、例えば、好ましくは酸性側基、例えばスルホン酸側基を有する、ポリフェニレン、ポリスチレン、ビフェニルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホンから選択されるポリマーを含み得る。
【0045】
分子篩膜は、膜を通して選択的に伝達すべきイオンに基づいて選択され得る。したがって、膜を介した特定のイオンの選択的な伝達に適した孔径を有する分子篩が選択され得る。分子篩としては、シリカ-アルミナ材料、例えばゼオライト(天然または合成のものであり得る)、シリカゲル、ホウケイ酸ガラス、アルキル化され得る架橋した多糖(デキストランゲルなど)、アガロースゲル、セルロースゲル、寒天ゲル、架橋ポリアクリルアミドおよびアクリレート基によって架橋したポリエチレン酸化物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
第1電極および第2電極は、典型的には、外部回路を介して(すなわち、膜を介してではなく、または、膜なしRFBにおいては電極間の層流を介して)、一方から他方へ電子が流れるように電気的に接続される。第1電極および第2電極は、それらが隣接している集電体を介して電気的に接続され得、集電体のそれぞれは、誘電材料層を越えて横方向に延びる電気的な接続を有する。
【0047】
別の実施態様では、レドックスフローバッテリーは膜なしレドックス-フローバッテリーである。膜なしレドックス-フローバッテリーでは、層流が第1電極と第2電極との間に採用され得、例えば、平坦電極であり得る第1電極と第2電極との間に、同じ方向に第1流体および第2流体が流れる。膜なしレドックスフローバッテリーは、例えば、HBrレドックスフローバッテリー(例えば第1流体がBrを含み、第2流体がHBrを含み、これらの両方が、RFBの放電中に第1電極と第2電極との間に流れる)に使用できる。
【0048】
第2電極の配置
フローバッテリーは、第2流体電解質を含むか、または保持する第2リザーバーを含み得、第2リザーバーは、第2リザーバーから第2電極へ、第2電極から第2リザーバーへ第2流体電解質を循環させるように第2電極に流体接続される。フローバッテリーは、対向する第1側面および第2側面を有する導電性材料の層を含む第2集電体をさらに含み得、電子が電極から第2集電体へ流れることができるように、第2電極が第2集電体の第1側面に配置されており、誘電材料層が第2集電体の第2側面に配置されている。
【0049】
第2集電体の第2側面に配置された誘電材料層は第1集電体の第2側面上の誘電材料層と同じであっても異なっていてもよい。第2集電体の第2側面に配置された誘電材料はプリント回路基板(PCB)材料であり得る。第2集電体の第2側面に配置された誘電材料はFR-1、FR-2、FR-3、FR-4、FR-5、FR-6、CEM-1、CEM-2、CEM-3、CEM-4、CEM-5、ポリテトラフッ素エチレン、G-10、G-11、アルミナ、ポリイミド、ガラス繊維/PTFE織物積層品から選択され得る。
【0050】
第2集電体は、第1集電体と同じであっても異なっていてもよく、第1集電体について上記で定義した通りのものであり得る。
【0051】
一実施態様では、第1開口部および第2開口部が、流体が誘電材料および集電体を通って第1開口部を介して第2電極へ、電極に沿ってまたは電極を通って流れ、その後、集電体および誘電材料から第2電極を通って流れるように、第2集電体および第2集電体の第2側面に配置された誘電材料層を通して設けられている。第1開口部および第2開口部は、流体が第1開口部から第2電極に直接または通り過ぎるように流れ、かつ第2開口部から、第2電極から外へ、または第2電極から流れるように、それらが第2電極に隣接する(例えば下にある)ように第2集電体および誘電材料層に位置し得る。一実施態様では、第2集電体および隣接した誘電材料層に、複数の第1開口部が設けられているか、かつ/または複数の第2開口部が設けられている。開口部はいずれの形状であってもよい。一実施態様では、開口部は円形であるか、または左右対称の形状、例えばn面形状(nは少なくとも3、例えば3~10)を有する。任意選択的に、開口部は、上記集電体または誘電材料層の表面から見た場合に伸張しており、例えば長方形である。使用するとき、第2集電体および誘電材料層は、それらの平面が垂直であるように配向され得、流体が、第1電極を通り過ぎて、または第1電極を通って下へ流れるように、第2開口部が第1開口部より低くなるように開口部が配置される。第2開口部は、流体が第1電極を通り過ぎて、または第1電極を通って垂直に流れるように、第1開口部の下に直接あり得る。別の実施態様では、第1開口部と第2開口部との間の傾きで流れるように、第2開口部は第1開口部より低くてもよいが、それの下に直接ではない。
【0052】
任意選択的に、保護部材、例えば保護環状部材が、第2流体電解質と誘電材料との接触を防ぐように、第2集電体の第2側面に配置された誘電材料層における第1開口部および/または第2開口部を定める誘電材料の縁の周りに延びている。第2集電体の第2側面上の誘電材料の開口部のための保護環状部材は、第1集電体の第2側面上の誘電材料の開口部のための保護環状部材について上記で定義した通りのものであり得、例えば合成または天然ゴム、および/またはOリング、XリングまたはDリングの形状であり得る。
【0053】
受け板
任意選択的に、受け板は、第1電極および/または第2電極を伴う集電体の反対側の誘電材料の第1層に位置し得る。受け板は、金属、セラミックおよび/またはプラスチックなどの、誘電材料に構造安定性をもたらすことができるいずれの適した材料であり得る。
【0054】
レドックスフローバッテリーの化学。
本明細書に記載のフローバッテリーは、いずれの対でも使用され得る。対は、本明細書に記載の第1流体および第2流体の含量を決定し、対の2分の1が第1流体に存在し、対の残りの半分が第2流体に存在する。第1流体および/または第2流体は液体であり得る。第1流体および/または第2流体はガスであり得る。一実施態様では第1流体は腐食性流体、例えば酸性水溶液などの酸性流体、または腐食性であるHBrなどの、種を含むガス状の流体である。
【0055】
一実施態様では、レドックスフローバッテリーは、全バナジウムの対、水素-バナジウムの対、水素-リチウム臭素酸塩の対、水素-リチウム塩素酸塩の対、臭素-水素の対、鉄-スズの対、鉄-クロムの対、臭素-ポリスルフィドの対、亜鉛-臭素の対、鉛-酸(メタンスルホネート)の対、亜鉛-セリウムの対、水素-ポリ酸の対、または鉛-酸の対を含むか、またはレドックスフローバッテリーはリチウムイオンフローバッテリー、イオン流体フローバッテリー、および溶融塩フローバッテリーである。
【0056】
全バナジウムの対は、硫酸バナジウムベースの対またはバナジウム臭化物ベースの対(すなわち、スルフェートまたは臭化物が対イオンを第1流体および第2流体のバナジウムイオンに提供する)であり得る。全バナジウムの対において、対の2分の1がV(II)およびV(III)を含み、対の残りの半分がV(IV)およびV(V)を含む。
【0057】
一実施態様では、第1流体は液状であり、第2流体はガス状である。例えば、バナジウム-水素の対が使用され得、例えば第1流体がバナジウムイオン含有液であり、第2流体がガス、すなわち水素および酸素を含む。水素-バナジウムの対の反応は下記のように例示し得る:
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
【0058】
一実施態様では、第1流体電解質を含むか、または保持する第1リザーバーが、第1リザーバーから第1電極へ、第1電極から第1リザーバーへ第1流体電解質を循環させるように第1電極に流体接続されている。更なる実施態様では、第2流体電解質を含むか、または保持する第2リザーバーは、第2リザーバーから第2電極へ、第2電極から第2リザーバーへ第2流体電解質を循環させるように第2電極に流体接続されている。ここで述べている第1リザーバーおよび/または第2リザーバーは、第1流体および/または第2流体を貯蔵するのに適したいずれのレセプタクルであり得る。第1リザーバーおよび/または第2リザーバーは、例えば第1流体および/または第2流体が液体である場合に液体を保持するタンクを含み得る。第1リザーバーおよび/または第2リザーバーは、例えば第1流体および/または第2流体がガスである場合にガスを保持するガス吸収装置を含み得る。第1リザーバーおよび/または第2リザーバーは、第1電極および/または第2電極に、第1流体および/または第2流体を輸送するパイプなどの電線管によって、流体接続され得る。電線管、例えばパイプは、第1集電体または第2集電体の第2側面上の誘電材料層における第1開口部および第2開口部と接続する、例えばこれら開口部に挿入する。ポンプが、第1リザーバーおよび/または第2リザーバーから第1電極および/または第2電極へ第1流体および/または第2流体の流れを誘導するように設けられ得る。第1流体および/または第2流体がガスである場合、拡張機および/または圧縮機が、第1リザーバーおよび/または第2リザーバーへの、またはこれらからの循環流に、例えばガスを圧縮するガス吸収装置のいずれかの側に設けられ得る。
【0059】
一実施態様では、フローバッテリーは、第1電極および/または第2電極のいずれかに流体接続されている再生器を含み、再生器は、電極にて酸化するか、または還元する種を再生するように作用する。例えば、フローバッテリーは、第1電極へ流れる第1流体電解質が、電解質中の種が酸化するように反応し、その後、流体が、酸化した種を還元して、それらを、再び酸化できる第1流体電極へ戻すように循環させる再生器へ流れるように、再生器を含み得る。一実施態様では、再生器は、第1流体電解質または第2流体電解質を水素に曝して電解質中の種を還元することを伴い得る。一実施態様では、再生器は、第1流体電解質または第2流体電解質を酸素または酸化剤に曝して電解質中の種を酸化させることを伴い得る。第1電極または第2電極から第1流体リザーバーまたは第2流体リザーバー(必要に応じて)への回路において、再生器は、第1電極または第2電極と、第1流体リザーバーまたは第2流体リザーバーとの間に、または第1流体リザーバーまたは第2流体リザーバーに位置し得る。
【0060】
フローバッテリーは、第1流体および第2流体の両方が、電池の使用中に酸化されるか、かつ/または還元され、流体中に残存するイオンを含むようなものであり得る。そのようなフローバッテリーは、「古典的なフローバッテリー化学」であると考えられ得る。代替的に、フローバッテリーは、電池の使用中に、例えば充電または放電中に、第1流体および/または第2流体の種の1つが電極上へ沈殿する「ハイブリッド」フローバッテリー化学を有し得る。
【0061】
一実施態様では、レドックスフローバッテリーは、複数の電池を含み、それぞれの電池は、先行請求項のいずれか1つに定義されている第1電極および第2電極を、例えば本明細書に記載のすべての他の関連した部品と共に、例えば第1集電体および/または第2集電体、膜、および第1リザーバーおよび/または第2リザーバーと共に含む。任意選択的に、スタック内の電池の第1集電体はスタック内の隣接する電池の第2集電体電気的に接続されている。任意選択的に、1つ以上のチャネルが、第1流体が、1つの電池(第1電池と称される)を通して他の電池(第2電池と称される)の第1電極へ流れ、任意選択的に第1電池に戻るように、および/または第2流体が1つの電池(第2電池と称される)を通して他の電池(第1電池と称される)の第2電極へ流れ、任意選択的に第2電池に戻るように、電極を通してではなく各電池の層を通して存在する。任意選択的に、第1開口部および第2開口部が、流体が、誘電材料および集電体を通って第1開口部を介して第1電極へ、電極に沿ってまたは電極を通って流れ、続いて集電体および誘電材料から第1電極を通って流れるように、第1集電体および第1集電体の第2側面に配置された誘電材料層を通して設けられているか、かつ/または第1開口部および第2開口部が、流体が、誘電材料および集電体を通って第1開口部を介して第1電極へ、電極に沿ってまたは電極を通って流れるように、その後、集電体および誘電材料から第2電極を通して流れるように、第2集電体および第2集電体の第2側面に配置された誘電材料層を通して設けられており、1つの電池(第1電池)から他の電池(第2電池)の第1電極へ第1流体を輸送するチャネルが第1電池の第1開口部および第2開口部に流体接続されている。
【0062】
レドックスフローバッテリーおよびそれらの部品の実施態様を、非限定的な図面を参照して以下に説明する。
【0063】
図1Aは、レドックスフローバッテリーの部品101の分解組立図を概略的に示す。本図中、第1電極102、膜(イオン選択膜および分子篩膜から選択され得る)103、対向する第1側面(104A)および第2側面(104B)を有する、導電性材料層を含む第1集電体104が示されており、第1電極102が第1集電体104の第1側面104に配置されており、誘電材料の第1層105は第1集電体の第2側面104Bに配置されている。誘電材料の形態のスペーサ106が、膜(イオン選択膜および分子篩膜から選択され得る)103と集電体104との間に配置されている。スペーサ106の誘電材料が電極の周りを囲み、図中では、開口部106がスペーサ106に存在し、電極102を収容するのが見られる。「O」リングの形状の保護環状部材107が存在し、使用するとき、電極に最も近い誘電材料の縁(すなわち電極を受け入れる開口部を定める縁)の周りに延び、使用するとき、第1流体電解質と誘電材料との接触を防ぐ。
【0064】
第1開口部(109)および第2(110)開口部が、流体が誘電材料および集電体を通って第1開口部を介して電極へ、電極に沿ってまたは電極を通って流れ、続いて集電体および誘電材料から第2電極を通って流れるように、集電体104および誘電材料層105を通して設けられている。「O」リングの形状の保護環状部材107が存在し、使用するときそれぞれが、誘電材料における開口部109または開口部110を定める誘電材料の縁の周りに延び、第1流体電解質と誘電材料との接触を防ぐ。流体の流れ(図中、Fで示される)が、点線の矢印によって概略的に示されている。
【0065】
本実施態様では、電極102は、炭素繊維から形成される3D多孔質電極である。第1流体が電極を流れて、アナライトまたは陰極液を異なる酸化状態の間で変換する。他の実施態様では、電極は、フロー-パスト(flow-past)電極、例えば平坦電極であり得る。集電体104の第2側面上のスペーサ106および誘電材料105は両方ともPCB材料、例えばFR4である。集電体104は、電極102に面するチタン層の側面上にスズ層を有し得るチタンの層、例えばチタン箔である。スペーサ106、集電体104および誘電材料層105は、使用するとき、例えばプリプレグ(例えばArlon A47N)またはエポキシ樹脂を用いて一緒に接着され得る。
【0066】
図1Bは、電極の膜に面している側の上から見た第1電極102を通る流体の流れを示す。図中に見られるように、スペーサ106は電極102の周りを囲み、Oリング107が、スペーサにおける開口部106の縁の周囲に配置されている。集電体104が、スペーサ106および電極102の下に配置されている。流体が集電体104における第1開口部109から出、電極102を通して第2開口部110へ流れ、電極102から集電体および誘電層105を通して下へ流出するのが見られる。
【0067】
図1Cは、図1Aの部品の概略断面図である。
【0068】
図2Aは、集電体104および誘電材料層105の更なる実施態様の分解組立図である。他の部品(スペーサ106、電極102、Oリング107および膜103)は明確にするために示されていないが、図1に示すものと同じ配置で存在する。図2Aの一実施態様では、集電体104および誘電材料層105の第1ホール(109)および第2(110)ホールが、円形である代わりに、上部の電極(図2Aに示されていない)のより大きい割合にわたって伸びるように伸張している(層の上から見た場合には長方形である)。集電体104および誘電材料層105における開口部109を通り、電極(図示せず)を通り、続いて開口部110を通って戻る流体の流れが、点線の矢印および記号Fで図2Aに示されている。
【0069】
図2Bは、集電体104の上側からの、図2Aの一実施態様の開口部109および開口部110を通る流体Fの流れを示す。スペーサ106が本図中に示されており、長方形の電極102を収容する長方形の開口部106を有する。長方形の保護環状部材107が存在し、使用するとき、電極に最も近い誘電材料の縁の周りに延びて、使用するとき、第1流体電解質と誘電材料との接触を防ぐ。
【0070】
図1Cは、使用するとき、図2Aおよび図2Bの流体Fの流れに平行な断面を通る場合の図2Aおよび図2Bの一実施態様の断面図である。
【0071】
図1Dは、図1Aの流体Fの流れに平行な断面を通る場合の図1Aの部品の変形例の概略断面図である。本図中、更なるチャネルが、スタック内の隣接した電池へ、または該電池から流体を輸送するように電極のいずれかの側に形成されている。開口部によって、誘電層105、集電体105、スペーサ106、膜103に、電池の残りの半分(図示していないが、示した電池の半分の鏡像であり得る)を通してチャネルが形成されており、その結果、第1流体を第1リザーバーから隣接する電池(図示せず)の第1電極へ送達でき、続いて第1リザーバーに戻すことができる。
【0072】
図3は、膜(イオン選択膜および分子篩膜から選択され得る)103によって隔てられている第1電極(102)および第2電極(102’)を有する充電式フローバッテリーの概略断面図である。本実施態様では、第1電極としての膜103の同じ側にある部品は図1または図2Aに示した通りである。本実施態様では、第2電極は第1電極と同じ材料、すなわち炭素繊維を含む3D電極である。第2電極としての膜の同じ側にある部品は、電極として膜の同じ側にあるものと同じであり、各番号に続くアポストロフィー(‘)以外は図1中で同様に番号付けされる。本図中、第1流体電解質を保持する第1リザーバー108、および第2流体電解質第2リザーバー108’が示されている。第1リザーバー108は、流体が、第1リザーバー108から、第1集電体104および誘電材料層105における第1開口部109へ(第1開口部109を通して)流れ、続いてリザーバー108へ開口部110を介して戻るように、開口部109および開口部110に流体接続されている。同様に、第2リザーバー108’は、流体が、第2リザーバー108’から、第1集電体104’および誘電材料層105’における第1開口部109’へ(第1開口部109’を通して)流れ、続いてリザーバー108’へ開口部110’を介して戻るように、開口部109’および開口部110’に流体接続されている。使用するとき、第1流体はアナライトおよび陰極液の1つである一方で、第2流体はアナライトおよび陰極液の残りである。
【0073】
一実施態様では、レドックスフローバッテリーは、図3に示す層を有する複数の電池を含み得、1つの電池の第1電極が隣接する電池の第2電極に電気的に接続するように、電池が直列に配列されている。各電池の部品(すなわち膜、および、膜の両側の、スペーサ層(電極を収容する)、集電体および誘電材料層)は一緒に接着されている。しかしながら、電池自体は、レドックスフローバッテリーの電池の従来のスタックにおけるものとは異なり、全スタック(典型的には、すべての電池が終板およびボルトと共に圧縮されている場合の従来のレドックスフローバッテリーにおけるケースである)を分解する必要なく分離可能であり得る。代替的に、電池は、接着剤またはボルトなどの機械的手段のいずれかによって一緒に結合し得る。電池は、それを通して延び、1つの電池から別の電池へ流体が流れるようにする開口部を有し得、電池を通るマニホールドと称され得る。電池は、電気的に接続され得るが、電気的な接続は、電気的な接続が特定の電池から切断されると、この電池が容易にスタックから除去され、検査され、いずれの欠陥が発現している場合には修理され、かつ/または置換されるように、取り外し可能であり得る。除去された電池のいずれかの側の電池の電気的な接続は、バッテリーが全体として機能し続ける一方で電池の1つが除去されるように互いに接続され得る。一実施態様では、1つ以上のチャネルが、第1流体が、1つの電池(第1電池と称される)を通して他の電池(第2電池と称される)の第1電極へ流れ、任意選択的に第1電池に戻るように、および/または第2流体が、1つの電池(第2電池と称される)を通して他の電池(第1電池と称される)の第2電極へ流れ、任意選択的に第2電池に戻るように、電極を通してではなく各電池の層を通して存在する(例えば図1Dに示すように)。任意選択的に、各電池において、第1開口部および第2開口部が、流体が、誘電材料および集電体を通って第1開口部を介して第1電極へ、電極に沿ってまたは電極を通って流れ、続いて集電体および誘電材料から第1電極を通って流れるように、第1集電体および第1集電体の第2側面に配置された誘電材料層を通して設けられており、1つ以上の1つの電池(第1電池)から他の電池(第2電池)の第1電極へ第1流体を輸送するチャネル(および任意選択的に第1電池に戻るように)は第1電池の第1開口部および第2開口部に流体接続されている。
【実施例
【0074】
実施例1
図1Aおよび図3に示されているように膜の両側に部品が配置されている、単電池を含むレドックスフローバッテリーを作製した。膜はNafion117膜であった。誘電層105はプリント回路基板材料、すなわちFR-4であり、エポキシプリプレグ(Arlon A47N)を用いて集電体104として機能する0.75mm厚チタン箔に結合した。膜の両側のスペーサ層106もFR4であり、そのそれぞれが、商標名Viton(Simply Bearingsから入手可能)の材料を含むゴムのOリングに合う円形の開口部106を有していた。Oリング内の電極は3D炭素電極であり、具体的には36%圧縮SGLカーボンフェルト電極であった。チタン箔104および接続した誘電層105のそれぞれは、図1Bに示される開口部109および開口部110として機能する円形のスルーホールを有していた。Oリングは、誘電層における開口部の縁周囲に位置して、陽極液/陰極液と誘電層との接触を防いだ。スペーサ層106の両方が膜103およびチタン箔104にエポキシプリプレグ(Arlon A47N)によって結合していた。層の面積は49cmであった。チタン箔の表面積は49cmであった。活性電極面積は、本実施態様では6.5cmであった。
【0075】
全バナジウムの対をレドックスフローバッテリーに使用した。具体的には、1.6MのVx+種(x=2,3,4,5)を3M HSO中で使用した。第1流体V2+(V(II))にはV3+が存在していた。第2流体には、VO2+(V(IV))およびVO (V(V))が存在していた。
【0076】
実施例2
実施例1のRFBと参照RFBとの間の比較
本実施例では、実施例1のレドックスフローバッテリーの性能を、伝統的な終板圧縮燃料電池、(商標名Scribner857レドックスフロー電池試験システムの一部としてScribnerから入手可能)のものと比較した。Scribnerレドックスフロー電池は、流れ場を機械加工し得るグラファイト板(POCOグラファイトから得られる)からなる。カーボンフェルト電極がこの板の上に載り、PTFEスペーサによって設置される。このスペーサの厚さは、フェルト電極の圧縮の量も定める。電流がグラファイト板を通過し、金被覆銅集電体に通る。全アセンブリが、2つの陽極酸化されたアルミニウム端板および8個のボルトで共に保持される。両方とも上記の同じ全バナジウムの対を使用した。Scribner RFBは、50%圧縮Alfa Aesarカーボンフェルト電極およびNafion117膜を使用した。Scribnerの層の面積は25cmであった。Scribner RFBでは、電極を通る電解質の流れは、蛇行した流れ場の配置、すなわち、電極に隣接した集電体における蛇行チャネルを介していた。
【0077】
図4は、実施例1のRFBおよび参照Scribner RFBの分極および出力曲線を示す。これらのデータは、Ivium NStatポテンシオスタットから得られた生データである。通過した電流が、2つのシステム間の容易な比較のために電流密度へ正規化されている。
【0078】
図4に示される分極および出力曲線から分かるように、実施例1のPCB RFBは、伝統的なRFBシステムより良好に機能した。実施例1のPCB RFBの単位面積あたりの抵抗は、分極曲線におけるより低い抵抗損を占める伝統的なScribner RFBより低い。加えて、実施例1のPCB RFBの流れは、図1Cに概略的に示すように、フェルトに直接強要され、一方で、上述したように、伝統的なScribner RFBは、蛇行した流れ場の配置で動作した。実施例1のPCB RFBにおける電解質の流れは、分極曲線上に目に見える物質輸送損失が確実にないようにしたと考えられる。他方で、伝統的なRFBシステムは、電流密度>300mA・cm-2での大量の輸送損失で動作するように見える。
【0079】
実施例1のPCB RFBの様々な効率(クーロン効率(CE)、電圧効率(VE)、エネルギー効率(EE))が図5に示され、参照RFBについてのものは図6に示されている。2つのグラフを比較すると、実施例1のCEがより低いが、実施例1のPCB RFBのEEおよびVEが、伝統的な参照RFBのものより高いことが示されている。
図1a
図1b
図1c
図1d
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6