(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】排ガス制御触媒で用いられる希土類リン酸塩とアルミナとの複合材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B01J 27/18 20060101AFI20230907BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20230907BHJP
B01J 32/00 20060101ALI20230907BHJP
B01J 35/10 20060101ALI20230907BHJP
B01J 37/02 20060101ALI20230907BHJP
B01J 37/04 20060101ALI20230907BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20230907BHJP
B01J 27/185 20060101ALN20230907BHJP
【FI】
B01J27/18 A ZAB
B01D53/94 222
B01J32/00
B01J35/10 301F
B01J37/02 101Z
B01J37/04 102
B01J37/08
B01J27/185 A
(21)【出願番号】P 2020544196
(86)(22)【出願日】2019-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2019054249
(87)【国際公開番号】W WO2019162349
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2022-02-18
(32)【優先日】2018-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501186162
【氏名又は名称】サゾル ジャーマニー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハーメニンク トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ショーネボーン,マルコス
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン,ヨハンナ
【審査官】佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-011043(JP,A)
【文献】特開2014-100684(JP,A)
【文献】特開2005-060355(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0088654(US,A1)
【文献】特開2013-252465(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107159278(CN,A)
【文献】特開平10-088107(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0265920(US,A1)
【文献】Hussein A KHALAF,SpringerPlus,2013年,Vol.2,619,DOI: 10.1186/2193-1801-2-619
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
B01D 53/94
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒系における担体として用いられる組成物であって、
i)遷移アルミナ系材料と、
ii)希土類リン酸塩と
を含み、
1000℃で3時間か焼後の前記希土類リン酸塩の微結晶の大きさは、50(nm)未満であ
り、
前記希土類リン酸塩は、LaPO
4
、YPO
4
、NdPO
4
、又はそれらの混合物を含み、
10~50重量パーセントの前記希土類リン酸塩を含む
組成物。
【請求項2】
前記遷移アルミナ系材料は、ベーマイト由来の遷移アルミナ、シリカアルミナ由来の遷移アルミナ、ドープアルミナ由来の遷移アルミナ、又はそれらの混合物由来の遷移アルミナを含む
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
50重量パーセント以上
の前記遷移アルミナ系材料を含む
請求項1又は請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
70重量パーセント以上の前記遷移アルミナ系材料を含む
請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
10~30重量パーセントの
前記希土類リン酸塩を含む
請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
1000℃で3時間か焼後の前記希土類リン酸塩の微結晶の大きさは、15(nm)未である
請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
1000℃で3時間か焼後の希土類リン酸塩の微結晶の大きさは、10(nm)未満である
請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
BET比表面積が、50(m
2/g)以上
である
請求項1~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
細孔容積が、0.2~1.2(ml/g)
である
請求項1~8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
触媒系の担体として用いられる組成物を調製する方法であって、
i)a)一般式Al(OH)
3及び/若しくはAlOOH*xH
2O、又はそれらの混合物のアルミナ水和物を有する遷移アルミナ前駆体を含む懸濁液を調製する工程と、
b)希土類塩を含む水溶液を調製する工程と、
c)前記懸濁液と前記希土類塩の溶液とを組み合わせてアルミナ希土類塩混合物を形成する工程と、
d)前記アルミナ希土類塩混合物を乾燥させて、前記アルミナ希土類塩混合物の乾燥物を形成する工程と、
e)前記アルミナ希土類塩混合物の乾燥物をか焼して、遷移アルミナ希土類酸化物材料を形成する工程と
を含む方法によって調製される遷移アルミナ希土類酸化物材料を提供する工程と
ii)前記遷移アルミナ希土類酸化物材料にリン酸イオンを含む水溶液を含浸させて、アルミナ希土類酸化物材料の含浸物を形成する工程と、
iii)前記遷移アルミナ希土類酸化物材料の含浸物をか焼する工程と
を含む方法。
【請求項11】
前記希土類塩は、希土類酢酸塩であ
る
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記遷移アルミナ希土類酸化物材料の含浸物は、600℃~1100℃の温度で0.5~5時間
か焼される
請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物は、請求項1~9のいずれか一項の特徴によって更に規定される
請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記希土類塩は、酢酸ランタン、酢酸イットリウム、酢酸ネオジム、又はそれらの混合物である
請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記希土類塩は、酢酸ランタンである
請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遷移アルミナ系材料と希土類リン酸塩とを含む排ガス制御システムの触媒系で用いる組成物、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の排ガス制御触媒において、三元触媒系(以下、「TWC」)は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、又はロジウム(Rh)等の貴金属と、アルミナ、セリア、ジルコニア、セリアジルコニア複合酸化物等のキャリアと、及びセラミック材料又は金属材料で精製された触媒担体とを含む。ロジウムは、これらのTWC系において、主に有害なNOxをN2に変換する非常に重要な活性成分として作用する。アルミナに担持されたロジウムは、リーン状態下では、Al2O3との不可逆反応によって非活性化する傾向があり、触媒として不活性なロジウムアルミン酸塩を形成することはよく知られている。したがって、担持されたロジウムの熱安定性を向上させる必要がある。熱安定性(又は耐熱性)とは、比較的高温で、例えば、分解、焼結、化学変化、又は相転移のうちの1つ以上に抵抗することにより、その化学的構造及び/又は物理的構造の不可逆的変化に抵抗する物質の性能を意味する。
【0003】
先行技術により、ロジウムの担体材料としてZrO2を用いる等の様々な解決策が提供されている。しかし、更に厳しい法規制と更に困難な熱応力要件のため、ロジウム系のウォッシュコート用の担体を改善する必要がある。「M.Machida et al.:“Tuning the Electron Density of Rh Supported on Metal Phosphates for Three-Way Catalysis”,J.Phys.Chem.C 2015,119,11653-11661」では、改善の提案がなされており、TWCにおいてロジウムの担体材料として用いるべき希土類リン酸塩の使用が述べられている。しかしながら、これらの希土類リン酸塩のバルク体を担体として用いる問題点は、ロジウムが担体上で十分に分散しないことである。
【0004】
したがって、これらの系を改善する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、触媒系における担体として用いられ、
i)遷移アルミナ系材料と
ii)希土類リン酸塩と
を含む組成物が提供されており、1000℃で3時間のか焼後の希土類リン酸塩の微結晶の大きさは、50(nm)未満、好ましくは15(nm)未満、最も好ましくは10(nm)未満であることを特徴とする。
【0006】
遷移アルミナは、ベーマイトとアルファアルミナの間の遷移状態にある全てのアルミナを意味する。
【0007】
本発明の更なる態様によれば、触媒系における担体として用いられる組成物を調製する方法が提供されており、当該方法は、
i)a)遷移アルミナ前駆体を含む懸濁液を調製する工程と、
b)希土類塩(希土類塩溶液)を含む水溶液を調製する工程と、
c)懸濁液と希土類塩の溶液とを組み合わせてアルミナ希土類塩混合物を形成する工程と、
d)アルミナ希土類塩混合物を乾燥させて、アルミナ希土類塩混合物の乾燥物を形成する工程と、
e)アルミナ希土類酸化物塩混合物の乾燥物をか焼して、遷移アルミナ希土類酸化物材料を形成する工程と
を含む方法によって調製される遷移アルミナ希土類酸化物材料を提供する工程と、
ii)遷移アルミナ希土類酸化物材料にリン酸イオンを含む水溶液を含浸させて、遷移アルミナ希土類酸化物材料の含浸物を形成する工程と、
iii)遷移アルミナ希土類酸化物材料の含浸物をか焼する工程と
を含む。
【0008】
組成物は、遷移アルミナ系材料と希土類リン酸塩とを含む。
【0009】
遷移アルミナ系材料は、遷移アルミナ、最も好ましくは、ベーマイト由来の遷移アルミナ、シリカアルミナ由来の遷移アルミナ、ドープアルミナ由来の遷移アルミナ、又はそれらの混合物由来の遷移アルミナを含む。ドープアルミナとは、それぞれ0.1重量パーセント(Wt.%)~20重量パーセント、好ましくは1重量パーセントから5重量パーセントの範囲で、アルカリ土類酸化物、ZrO2、希土類酸化物、又はTiO2をドープしたアルミナ、又はそれらの混合物を意味する。遷移アルミナ系材料は、好ましくは、ベーマイト由来の遷移アルミナである。
【0010】
遷移アルミナは、ベーマイトとアルファアルミナの間の遷移状態にあるすべてのアルミナを意味する。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、組成物は、50重量パーセント以上の遷移アルミナ系材料、好ましくは60%重量パーセント以上の遷移アルミナ系材料、最も好ましくは70重量パーセントの遷移アルミナ系材料を含む。
【0012】
遷移アルミナ系材料の比表面積は、50(m2/g)~300(m2/g)であり、細孔容積は0.1(ml/g)~1.5(ml/g)である。
【0013】
本明細書で提供される比表面積は、DIN-ISO 9277に準拠して窒素を用いたBETによって測定している。細孔容積及び細孔径分布は、77(K)で窒素吸着を用いてBarrett、Joyner、及びHalendaが提案した方法(BJH)で測定した。
【0014】
希土類リン酸塩は、好ましくはLaPO4、YPO4又はNdPO4であり、より好ましくはLaPO4である。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、組成物は、3~50重量パーセントの希土類リン酸塩、好ましくは10~30重量パーセントの希土類リン酸塩、より好ましくは5~30重量パーセントの希土類リン酸塩を含み、対応する希土類酸化物としてそれぞれ算出される。
【0016】
希土類リン酸塩の微結晶の大きさは、好ましくは、1000℃で3時間か焼後に15(nm)未満であり、最も好ましくは、1000℃で3時間か焼後に10(nm)未満である。
【0017】
微結晶の大きさは、ランタン(La)リン酸塩及びネオジム(Nd)リン酸塩の場合においては、大気下での1000℃、3時間熱処理後の組成物の粉末X線回折パターンにおける(21-2)反射(単斜晶系のモナザイト構造、ICSD Reference Code:98-007-9747に基づく指標)を用いたシェラー(Scherrer)法により決定され、イットリウム(Y)リン酸塩の場合においては、大気下での1000℃、3時間熱処理後の組成物の粉末X線回折パターンにおける(020)反射(正方晶ジルコン構造、ICSD Reference Code:98-002-4514に基づく指標)を用いたシェラー法により決定される。
【0018】
希土類リン酸塩は、遷移アルミナ系材料の基質に均質に分散していることが好ましい。
理論によって結びつけられていないが、本出願人は、小さな希土類リン酸塩の結晶の均一分散により、遷移アルミナの基質は拡散障壁として作用して、複合材料に有益な特性をもたらすことができると考えている。均一性は、走査電子顕微鏡(SEM)断面イメージングにより測定され、選択的には、EDX要素マッピングにより、遷移アルミナ系材料及び希土類リン酸塩の領域の大きさが同時に明らかとなる。
【0019】
本開示の組成物のBET比表面積は、50(m2/g)以上であり、好ましくは70(m2/g)~150(m2/g)であり、本開示の組成物の細孔容積は、0.2(ml/g)~1.2(ml/g)であり、好ましくは0.3(ml/g)~1.0(ml/g)である。これらの測定は、上述のように行った。
【0020】
本発明の別の態様によれば、触媒系における担体として用いる組成物を調製する方法が提供され、当該方法は、
i)a)遷移アルミナ前駆体を含む懸濁液を調製する工程と、
b)希土類塩を含む水溶液を調製する工程と、
c)懸濁液と希土類塩の溶液とを組み合わせてアルミナ希土類塩混合物を形成する工程と、
d)アルミナ希土類塩混合物を乾燥させて、アルミナ希土類塩混合物の乾燥物を形成する工程と、
e)アルミナ希土類酸化物塩混合物の乾燥物をか焼して、遷移アルミナ希土類酸化物材料を形成する工程と
を含む方法によって調製されるアルミナ希土類酸化物材料を提供する工程と、
ii)アルミナ希土類酸化物材料にリン酸イオンを含む水溶液を含浸させて、アルミナ希土類酸化物材料の含浸物を形成する工程と、
iii)アルミナ希土類酸化物材料の含浸物をか焼する工程と
を含む。
【0021】
リン酸イオンは、リン酸、オルトリン酸塩、リン酸水素、リン酸二水素、二リン酸塩、三リン酸塩、メタリン酸塩、五リン酸塩、ポリリン酸塩、又はそれらの混合物を含んでもよい。換言すれば、リン酸イオンは、リン酸、オルトリン酸塩、リン酸水素、リン酸二水素、二リン酸塩、三リン酸塩、メタリン酸塩、五リン酸塩、ポリリン酸塩、又はそれらの混合物から生ずるものであってもよい。
【0022】
遷移アルミナ前駆体は、好ましくは、一般式Al(OH)3及び/若しくはAlOOH*xH2O、又はそれらの混合物のアルミナ水和物を含む。アルミナ前駆体は、好ましくはベーマイトである。アルミナ前駆体は、更にシリカ、二酸化チタン、アルカリ土類金属の水溶性塩、ジルコニウム、又はそれらの混合物を含んでいてもよい。アルミナ前駆体は、好ましくは、一般式Al(OH)3及びAlOOH*xH2O又はそれらの混合物の50重量パーセント以上のアルミナ水和物を含む。
【0023】
遷移アルミナ前駆体を含む懸濁液は、好ましくは、アルミニウム(Al)アルコキシドの加水分解によって調製されたベーマイト懸濁液である。
【0024】
遷移アルミナ前駆体を含む懸濁液は、好ましくは、2:98~20:80の比率でアルミナ前駆体と少なくとも水とを含む。懸濁液には、更に、例えば、カルボン酸又はアンモニア、できれば酢酸のようなモノカルボン酸等のpH調整用添加剤を含めることができる。
【0025】
希土類塩は、水溶性塩、好ましくは希土類酢酸塩、より好ましくは酢酸ランタン(La acetate)、酢酸イットリウム(Y acetate)、酢酸ネオジム(Nd acetate)、又はそれらの混合物であり、より好ましくは酢酸ランタンである。
【0026】
希土類塩溶液は、好ましくは、溶液中において、2~20重量パーセントの希土類酸化物の含有率に相当する希土類塩と水分を含む。懸濁液は、カルボン酸又はアンモニア等のpH調整用添加剤も含まれる。
【0027】
アルミナ希土類塩混合物は、好ましくは、50重量パーセント以上の遷移アルミナ前駆体、好ましくは60重量パーセントの遷移アルミナ前駆体、最も好ましくは70重量パーセントの遷移アルミナ前駆体を含む。
【0028】
アルミナ希土類塩混合物は、好ましくは、希土類塩の3~50重量パーセントの間、好ましくは希土類塩の10~30重量パーセントの間、より好ましくは、対応する希土類酸化物として計算された5~30重量パーセントの希土類塩を含む。
【0029】
アルミナ希土類塩混合物は、好ましくは噴霧乾燥される。
【0030】
次いで、アルミナ希土類塩混合物の乾燥物は、遷移アルミナ希土類酸化物材料を形成すべく、好ましくは450~1200℃の温度で0.5~5時間か焼される。
【0031】
遷移アルミナ希土類酸化物材料の含浸は、当該技術分野で既知の任意の含浸法で行うことができる。好ましくは、既知の溶液滴下含浸法(incipient wetness impregnation method)は、好ましくは、80~100%の細孔容積のアルミナ希土類酸化物材料を、リン酸イオン、好ましくはリン酸を含む水溶液で充填することによって用いられる。好ましくは、溶液は、希土類元素に対するリン酸のモル比率が10~100モル%となる量まで含浸するのに用いられる。例えば、希土類元素がLaであり、比率が100mol%である場合、等量のLa及びPO4
3-が存在し、遷移アルミナ上にLaPO4のみが存在する。比率が10モル%である場合、遷移アルミナ上に酸化物として10モル%のLaPO4及び90モル%のLaのみが存在する。
【0032】
次いで、遷移アルミナ希土類酸化物材料の含浸物は、好ましくは600~1100℃の温度で、好ましくは900~1100℃で、最も好ましくは1000℃でか焼される。か焼は、0.5~5時間、好ましくは3時間行うことができる。
【0033】
組成物を1200℃で3時間か焼することにより、本開示の組成物(請求項1による組成物及び請求項10の方法により得られる組成物)の耐熱性を決定できる。組成物を1200℃で3時間か焼した後、組成物は、好ましくは、以下の特徴のうち1以上により特徴づけられる。
― 組成物のBET比表面積は、40(m2/g)以上、好ましくは45(m2/g)~90(m2/g)である
― 組成物の細孔容積は、0.3(ml/g)~1.0(ml/g)、好ましくは0.4(ml/g)~0.9(ml/g)である
BET比表面積及び細孔容積の測定は、上述のように行った。
【0034】
次に、本発明を、非限定的な実施例及び図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、比較例1と比較した実施例1で得られた組成物の粉末XRDであり、LaPO
4の結晶化度の違いを示している。
【
図2】
図2は、実施例1(本開示の材料)のSEMであり、均一な白い斑点を示している。
【
図3】
図3は、比較例1のSEMであり、灰色の基質における白い斑点を示しており、REに富む領域(白い領域)及びAlに富む領域(灰色の領域)があることを示している。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[実施例]
微結晶の大きさは、上述のようにシェラー法によって決定される。
【0037】
表面積はBETで測定し、N2吸着による細孔容積は上記の通りである。
〈実験〉
【0038】
[実施例1]
20重量パーセントの酸化ランタンを含む遷移アルミナで生成され、比表面積(BET)が130(m2/g)であり、細孔容積が0.97(ml/g)である遷移アルミナ希土類酸化物材料は、リン酸水溶液(14.4重量パーセントのH3PO4)で含浸された。生成物は、120℃で乾燥され、最後に1000℃で3時間か焼された。
【0039】
[実施例2]
20重量パーセントの酸化イットリウム酸化物を含む遷移アルミナで生成され、比表面積(BET)が134(m2/g)であり、細孔容積が0.98(ml/g)である酸化遷移アルミナ希土類酸化物材は、リン酸水溶液(13.2重量パーセントのH3PO4)で含浸された。生成物は、120℃で乾燥され、最後に1000℃で3時間か焼された。
【0040】
[実施例3]
20重量パーセントの酸化ネオジムを含む遷移アルミナで生成され、比表面積(BET)が130(m2/g)であり、細孔容積が0.97(ml/g)である遷移アルミナ希土類酸化物材料は、リン酸水溶液(14.4重量パーセントのH3PO4)で含浸された。生成物は、120℃で乾燥され、最後に1000℃で3時間か焼された。
【0041】
[実施例4]
15重量パーセントの酸化ランタンを含む遷移アルミナで生成され、比表面積(BET)が145(m2/g)であり、細孔容積が0.94(ml/g)である遷移アルミナ希土類酸化物材料は、リン酸水溶液(9.7重量パーセントのH3PO4)で含浸された。生成物は、120℃で乾燥され、最後に1000℃で3時間か焼された。
【0042】
[比較例1]
LaPO4が、欧州特許第2754489A1の実施例3に従って調製された。リン酸溶液は、ランタン(La)とリン(P)とのモル比が1:1となる量で硝酸ランタン溶液に添加された。アンモニア溶液の添加により、pH値は8に調整された。沈殿物は、ろ過分離され、最後に900℃で5時間か焼された。
【0043】
得られたLaPO4は、アルミナと組み合わされた。LaPO4粉末、及び、比表面積(BET)が151(m2/g)であり、細孔容積が1.02(ml/g)である、4重量パーセントのランタンでドープされたアルミナは、スラリー形成され、湿式粉砕された。次いで、懸濁液が噴霧乾燥され、1000℃で3時間か焼されて、比較複合材料が得られた。
【0044】
[比較例2]
CePO4は、GB1431868の実施例6に従って、(NH4)2Ce(NO3)6を酸化アルミニウム上に蒸着させ、市販のPURALOX TH100/150を用い、400℃に一晩加熱することによって調製した。次いで、リン酸は、冷却した混合物に添加された。1000℃で3時間か焼後、比較生成物は検査され、CePO4は見出されず、AlPO4のみが見出された。比較生成物の比表面積(BET)は、45(m2/g)であった。
【0045】
結果は、以下の表1に含まれる。
【0046】
【表1】
* 処理前
** 1200℃で3時間追加か焼後(耐熱性のため)
【0047】
図1は、実施例1と比較例1で得られた物質のX線回折(XRD)パターンを示す。LaPO
4の結晶化度の差異は、回折線の幅によって明確に表した。シェラー法により抽出された値は、表1に列記する。
【0048】
また、
図2及び
図3のSEM断面図は、実施例1(
図2)及び比較例1(
図3)で得られた物質を示す。注目すべきは、均一性がより低いことを示すLaPO
4が豊富な領域に対応する明確な白色スポットの出現による、2つの試料の均一性の差異である。