(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】呼吸気圧センサ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/08 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
A61B5/08
(21)【出願番号】P 2021142733
(22)【出願日】2021-09-01
(62)【分割の表示】P 2017108749の分割
【原出願日】2017-05-31
【審査請求日】2021-10-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】山岸 安奈
(72)【発明者】
【氏名】辻 真
(72)【発明者】
【氏名】東 和理
(72)【発明者】
【氏名】杉山 貴之
【審査官】下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/179651(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0318266(US,A1)
【文献】特開2011-139942(JP,A)
【文献】特開2005-245938(JP,A)
【文献】国際公開第2017/087366(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/01
A61B 5/06-5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の口内または鼻内の少なくとも一方からの呼吸気を取得する入力部と、
前記入力部で取得された呼吸気の呼吸圧を検出する圧力センサと、
前記圧力センサで検出された呼吸圧を信号処理して呼吸データを生成する信号処理部と、
前記呼吸データを外部機器へ出力する出力部と、
を備え、
前記出力部から出力される前記呼吸データは、呼吸圧データ、気流データまたはいびきデータの少なくともいずれか一つであり、かつ、識別情報を有し、
前記識別情報は、前記圧力センサで取得した前記呼吸データと前記圧力センサとは異なる構成の圧力センサで取得した呼吸データとを識別する情報であり、
前記出力部は、前記識別情報に基づく前記外部機器による接続可否に応じて前記外部機器と接続さ
れ、
前記識別情報は、前記外部機器で設定される、
呼吸気圧センサ。
【請求項2】
被検者の口内または鼻内の少なくとも一方からの呼吸気を取得する入力部と、
前記入力部で取得された呼吸気の呼吸圧を検出する圧力センサと、
前記圧力センサで検出された呼吸圧を信号処理して呼吸データを生成する信号処理部と、
前記呼吸データを外部機器へ出力する出力部と、
を備え、
前記出力部から出力される前記呼吸データは、呼吸圧データ、気流データまたはいびきデータの少なくともいずれか一つであり、かつ、識別情報を有し、
前記識別情報は、前記圧力センサで取得した前記呼吸データと前記圧力センサとは異なる構成の圧力センサで取得した呼吸データとを識別する情報であり、
前記出力部は、前記識別情報に基づく前記外部機器による接続可否に応じて前記外部機器と接続され、
前記識別情報は、予め、前記外部機器で設定される、
呼吸気圧センサ。
【請求項3】
被検者の口内または鼻内の少なくとも一方からの呼吸気を取得する入力部と、
前記入力部で取得された呼吸気の呼吸圧を検出する圧力センサと、
前記圧力センサで検出された呼吸圧を信号処理して呼吸データを生成する信号処理部と、
前記呼吸データを外部機器へ出力する出力部と、
を備え、
前記出力部から出力される前記呼吸データは、呼吸圧データ、気流データまたはいびきデータの少なくともいずれか一つであり、かつ、識別情報を有し、
前記出力部は、前記識別情報に基づく前記外部機器による接続可否に応じて前記外部機器と接続され、
前記識別情報を有する前記呼吸データにより、前記圧力センサと前記圧力センサとは異なる圧力センサとを識別可能であ
り、
前記識別情報は、前記外部機器で設定される、
呼吸気圧センサ。
【請求項4】
被検者の口内または鼻内の少なくとも一方からの呼吸気を取得する入力部と、
前記入力部で取得された呼吸気の呼吸圧を検出する圧力センサと、
前記圧力センサで検出された呼吸圧を信号処理して呼吸データを生成する信号処理部と、
前記呼吸データを外部機器へ出力する出力部と、
を備え、
前記出力部から出力される前記呼吸データは、呼吸圧データ、気流データまたはいびきデータの少なくともいずれか一つであり、かつ、識別情報を有し、
前記出力部は、前記識別情報に基づく前記外部機器による接続可否に応じて前記外部機器と接続され、
前記識別情報を有する前記呼吸データにより、前記圧力センサと前記圧力センサとは異なる圧力センサとを識別可能であり、
前記識別情報は、予め、前記外部機器で設定される、
呼吸気圧センサ。
【請求項5】
前記圧力センサの前記出力部には、前記識別情報を記憶する記憶部を備える請求項1
から請求項
4のいずれか一項に記載の呼吸気圧センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、呼吸気圧センサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、睡眠障害の診断に関して、患者の鼻と流体接続された圧力センサと、患者の鼻内部および口近傍の温度を表すシグナルを発生するように動作する温度センサとを組み合わせた呼吸監視デバイスを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の呼吸監視デバイスは、患者が睡眠状態に入ると、その呼吸パターンを任意の所定の期間に渡って継続して監視する。その後、圧力センサおよび温度センサの出力が組み合わされて解析される。解析の結果として、呼吸監視デバイスは、患者の呼吸について、正常な呼吸パターンであること、または、呼吸障害を示していることを決定する。
【0005】
病院における術後の患者の呼吸管理等、検出結果のリアルタイム解析が求められる場面が増えている。しかし、特許文献1の呼吸監視デバイスでは、呼吸監視の後に異常な呼吸の出現頻度等の解析を行う構成であるため、検出結果のリアルタイム解析が出来ないものであった。
【0006】
本開示は、検出結果のリアルタイム解析を可能とするための口内または鼻内圧の呼吸気圧センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の呼吸気圧センサは、
被検者の口内または鼻内の少なくとも一方からの呼吸気を取得する入力部と、
前記入力部で取得された呼吸気の呼吸圧を検出する圧力センサと、
前記圧力センサで検出された呼吸圧を信号処理して呼吸データを生成する信号処理部と、
前記呼吸データを外部機器へ出力する出力部と、
を備える。
【0008】
上記構成によれば、被験者から取得した呼吸気について呼吸データを生成し、その呼吸データを外部機器へ出力することにより、呼吸気の検出結果をリアルタイム解析することが可能である。
【発明の効果】
【0009】
本開示の呼吸気圧センサによれば、検出結果のリアルタイム解析を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】呼吸気圧センサと、この呼吸気圧センサに接続される外部機器を示す概念説明図である。
【
図3】信号処理部の内部構造の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る呼吸気圧センサの実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
図1は、本開示の一実施形態に係る呼吸気圧センサ1と、この呼吸気圧センサ1に接続される外部機器2を示す概念説明図である。
図2は、呼吸気圧センサ1の概略を示す説明図である。
【0012】
図1および
図2に示すように、呼吸気圧センサ1は、外部機器2に呼吸データを出力するセンサである。呼吸気圧センサ1は、
図1に示すように、入力部3と本体部4と出力部5とを有している。
【0013】
入力部3は、被検者の口内または鼻内の少なくとも一方からの呼吸気を取得する部分である。入力部3は、一例として口または鼻の少なくとも一方に装着されるカニューラを接続可能なカニューラアダプタとすることができる。
【0014】
呼吸気は、被検者の呼気および吸気であり、無呼吸や低呼吸、上気道閉塞の有無を解析するために有用な生体情報である。入力部3が取得する呼吸気には、呼気量、吸気量とこれらの検出時間等の呼吸気に関する検出結果が含まれている。入力部3は、取得した呼吸気を本体部4へ導入する。
【0015】
本体部4は、入力部3から呼吸気を取得し、この呼吸気に基づいて呼吸データを生成する機器であり、圧力センサ6と信号処理部7を有している。
【0016】
圧力センサ6は、入力部3から被検者の口内または鼻内の少なくとも一方からの呼吸気を取得し、取得した呼吸気の呼吸圧の変化を検出するように構成されている。圧力センサ6は、検出した呼吸圧(電圧値)を信号処理部7へ出力するように構成されている。
【0017】
信号処理部7は、圧力センサ6で検出された呼吸圧を信号処理して呼吸データ(アナログデータ)を生成するように構成されている。信号処理は、一例として、呼吸圧に対応する信号波形の生成である。
【0018】
本体部4は、さらに、制御部としてのCPU(Central Processing Unit)8とメモリ(不図示)を備えていてもよい。メモリは、コンピュータ可読命令(プログラム)を記憶するように構成されていてもよい。メモリは、例えば、各種プログラム等が格納されたROM(Read Only Memory)やCPU8により実行される各種プログラム等が格納される複数ワークエリアを有するRAM(Random Access Memory)等から構成されていてもよい。CPU8は、ROMに組み込まれた各種プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されていてもよい。CPU8は、信号処理部7から呼吸データを取得し、この呼吸データを外部機器2へ出力するためのデータ処理および外部機器2との間の通信制御等を行うことができる。
【0019】
図2に示すように、本体部4は、A/D変換部81と、CPU8を含む。A/D変換部81は、信号処理部7で生成された呼吸データを取得し、この呼吸データをデジタル変換するように構成されている。
【0020】
出力部5は、本体部4から呼吸データを取得し、この呼吸データを外部機器2に出力するように構成されている。本体部4と出力部5は、電気ケーブル等により接続されている。出力部5は、外部機器のシステム仕様に従ってデータを出力可能に構成されている。出力部5は、例えば、外部機器2である生体情報モニタやディスプレイに接続可能なコネクタ、外部機器2に接続可能なコネクタ端子とすることができる。
【0021】
外部機器2に出力される呼吸データは、外部機器2が呼吸データを認識可能か否かを識別する識別情報を有するように構成されている。
識別情報は、外部機器2に出力される呼吸データに含まれる保持形態であればよく、呼吸気圧センサ1の内部のどこに保持されていてもよい。一例として、メモリに保持されてもよく、信号処理部7に保持されてもよい。また、出力部5にメモリ(不図示)を搭載し、このメモリに識別情報を保持させてもよい。
【0022】
外部機器2が認識可能な識別情報は、例えば、本開示の呼吸気圧センサで取得した呼吸データと、本開示の呼吸気圧センサとは異なる構成の呼吸気圧センサで取得した呼吸データとを識別する識別情報であってもよい。また、識別情報は、本開示の呼吸気圧センサで取得した呼吸データと、他の経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)や心電計等の生体情報センサで取得された生体情報データとを識別する識別情報であってもよい。また、識別情報は、任意の患者情報と本開示の呼吸データ等とを組み合わせて作成される識別情報であってもよい。識別情報は、予め外部機器2もしくは本開示の呼吸気圧センサで設定されてもよく、本開示の呼吸気圧センサを使用する医療従事者により外部機器2等で任意に設定されてもよい。
【0023】
外部機器2は、被検者の検出結果である呼吸気に関する情報を表示する機器である。外部機器2は、呼吸気に関する情報を表示する機器であり、かつ、呼吸気の解析を行う制御部(不図示)を有する機器としてもよい。外部機器2が制御部を有する場合、この制御部をメモリとプロセッサを備える構成としてもよい。外部機器2の制御部が備えるメモリは、本体部4が備えるメモリと同様の構成とすることができる。外部機器2の制御部が備えるプロセッサは、CPU8と同様の構成とすることができる。外部機器2は、一例として、生体情報モニタ、ディスプレイとすることができる。
【0024】
次に、呼吸気圧センサの動作例を説明する。
【0025】
まず、入力部3にカニューラを接続しておき、被検者の口または鼻にカニューラを装着する。装着したカニューラから入力部3を介して、本体部4に、被検者の口または鼻から呼吸気を導入する。本体部4の圧力センサ6は、導入された呼吸気から呼吸圧を検出する。
【0026】
圧力センサ6は、検出した呼吸圧を信号処理部7に出力する。信号処理部7は、圧力センサ6から取得した呼吸圧に対応する呼吸データを生成し、この呼吸データをA/D変換部81に出力する。
【0027】
A/D変換部81は、信号処理部7から呼吸データを取得する。A/D変換部81は、アナログ信号の呼吸データをデジタル変換してデジタル信号の呼吸データを生成する。A/D変換部81は、生成した呼吸データを出力部5に出力する。
【0028】
出力部5は、外部機器2との接続時、もしくは、外部機器2に接続された後に、外部機器2に対して識別情報を出力する。外部機器2は、識別情報を取得することにより、出力部5から取得する呼吸データが認識可能なデータであると識別する。出力部5は、識別情報を外部機器2に出力した後に、A/D変換部81から取得した呼吸データを外部機器2に出力する。
【0029】
以上説明したように、本開示の呼吸気圧センサ1によれば、被験者から取得した呼吸気についてリアルタイムで呼吸データを生成し、その呼吸データを外部機器2へ出力することにより、呼吸気の検出結果をリアルタイム解析することが可能である。
【0030】
従来の呼吸モニタリングは、EtCO2(呼気炭酸ガス濃度、End Tidal CO2)カプノメータや胸郭インピーダンス方式で行われていた。このうち、EtCO2カプノメータは、呼吸気に含まれる二酸化炭素の検出に用いる機器であり、気道が確保されていないときの計測が不正確となってしまうという不都合があった。また、EtCO2カプノメータは、呼吸気の計測結果を呼気炭酸ガス濃度曲線(カプノグラフ)で取得するため、低呼吸と過換気の判別が困難であり、呼吸深度の計測もできないものであって、非挿管時の呼吸モニタリングとして不十分であった。さらに、EtCO2カプノメータは、気管チューブと鼻や口に装着するサンプリングチューブとを用いることが多く、この気管チューブの装着時に被検者に違和感を与えることがあり、改善の余地があった。
【0031】
従来の呼吸モニタリングのうち、胸郭インピーダンス方式は、呼吸検出のときに活動電位の無い部分に交流電流を流して被検者の体内の抵抗変化を電圧の変化として検出する方式であるため、被検者の体動によるノイズに弱いものであった。また、胸郭インピーダンス方式は、正常時と異常時の呼吸運動の違いの判別できないものであり、呼吸モニタリングの機器として不十分であった。
【0032】
本開示の呼吸気圧センサ1によれば、呼吸気の呼吸圧を検出する圧力センサと、呼吸圧を信号処理して呼吸データを生成する信号処理部と、を備えるので、この呼吸データから従来は解析できなかった呼吸気の検出結果のリアルタイム解析が可能である。
【0033】
さらに、術直後呼吸合併症として、上気道閉塞に関係する合併症が大部分を占めている。この上気道閉塞の有無を確認することは合併症の防止のために重要である。しかし、従来の呼吸モニタリング方法(EtCO2カプノメータ、胸郭インピーダンス方式)では、上気道閉塞の有無を確認することができなかった。
【0034】
この上気道閉塞の有無について、従来は、睡眠時無呼吸検査装置によるスクリーニング検査が行われていた。この睡眠時無呼吸検査装置によるスクリーニング検査は、鼻内圧の数値を収集して解析することにより、被験者の上気道閉塞の有無を確認していた。
【0035】
しかし、従来の睡眠時無呼吸検査装置によるスクリーニング検査は、収集した鼻内圧の数値をリアルタイムに解析するものではなく、リアルタイムに上気道閉塞の有無をモニタリングする検査装置は存在しなかった。
【0036】
本開示の呼吸気圧センサ1によれば、呼吸気の呼吸圧を検出する圧力センサと、呼吸圧を信号処理して呼吸データを生成する信号処理部と、を備えるので、この呼吸データをリアルタイム解析することにより、上気道閉塞の有無もリアルタイム解析することが可能である。
【0037】
また、本開示の呼吸気圧センサ1を、従来のEtCO2カプノメータ、胸郭インピーダンス方式に加えて用いる構成とすることもできる。このように、本開示の呼吸気圧センサ1と従来のEtCO2カプノメータ、胸郭インピーダンス方式とを併用する構成とすれば、非挿管時の呼吸モニタリング、術後の呼吸管理、内視鏡下消化管手術時の呼吸モニタリング、ネイザルハイフロー時の呼吸モニタリングが可能となる。したがって、呼吸気圧(鼻内圧)の呼吸モニタリングを備える構成として、被験者の状況に応じた最適な呼吸モニタリングを提供することができる。
【0038】
また、本開示の呼吸気圧センサ1によれば、呼吸データをデジタル信号に変換して外部機器2に出力できるので、出力される呼吸データは、アナログ信号のままで出力される場合に比べて、ノイズの影響を受けにくくなる。すなわち、本開示の呼吸気圧センサ1はノイズ耐性を持っており、アナログ信号の呼吸データの出力に比べて、ノイズが少ない呼吸データを出力することができる。
【0039】
また、本開示の呼吸気圧センサ1によれば、出力部5から出力される呼吸データは識別情報を有するので、出力部5から出力される呼吸データを外部機器2に表示可能か否かを個別に確認する等の手間が不要となる。また、識別情報を有しない汎用コネクタを出力部として用いたとしても、識別情報を欠くために外部機器2と出力部5とは接続不成立となるので、粗悪な模倣品等の接続を防ぐことができる。
【0040】
なお、信号処理部7は、呼吸データとして、呼吸圧データと、気流データまたはいびきデータの少なくともいずれか一つを生成するように構成されていてもよい。
図3に信号処理部7の内部構造の一例を示す。
図3に示すように、信号処理部7は、圧力信号処理部71と、気流信号処理部72と、いびき信号処理部73と、を含んでいる。
【0041】
圧力信号処理部71は、圧力センサ6で検出された呼吸圧を信号処理して、呼吸圧信号を生成する。この呼吸圧信号は、A/D変換部81に出力されるとともに、気流信号処理部72およびいびき信号処理部73にも出力される。
【0042】
気流信号処理部72は、呼吸圧信号から、高周波成分を除去するフィルタを用いて気流成分を抽出して気流信号を生成する。この気流信号は、A/D変換部81に出力される。
【0043】
いびき信号処理部73は、呼吸圧信号から、低周波成分を除去するフィルタを用いていびき成分を抽出して、いびき信号を生成する。このいびき信号は、A/D変換部81に出力される。なお、いびき信号は、いびき有り、いびき無し、の2値の信号であってもよい。
【0044】
信号処理部7は、気流信号処理部72、いびき信号処理部73のいずれか一方を含んで構成してもよい。また、
図3において、いびき信号処理部73は、圧力信号処理部71から呼吸圧を取得する構成としているが、この構成に限らない。いびき信号処理部73は、気流信号処理部72から気流信号を取得して、この気流信号に基づいていびき信号を生成する構成としてもよい。
【0045】
上記構成によれば、信号処理部7は、呼吸データとして、呼吸圧信号と、気流信号またはいびき信号の少なくともいずれか一つを生成するので、気道閉塞、無呼吸、低呼吸等の呼吸障害のリアルタイム解析に有用な呼吸データを生成することができる。
【0046】
本開示は、上述した実施形態や変形例に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、形態、数、配置場所等は、本開示を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0047】
例えば、出力部5は、無線通信によって呼吸データを外部機器2へ出力するように構成されていてもよい。出力部5は、例えば、無線LANカードで構成されてもよい。
【0048】
出力部5は、外部機器2へ識別情報と呼吸データを同時に出力するように構成されていても良い。出力部5は、A/D変換部81から取得した呼吸データを、例えば、出力部5のメモリに保持された識別情報とともに、外部機器2に出力する。外部機器2は、識別情報を取得することにより、出力部5から取得した呼吸データが認識可能なデータであると識別して、呼吸データを取得する。
【0049】
また、識別情報と呼吸データは、外部機器2が取得可能に呼吸気圧センサ1に保持されていればよく、呼吸気圧センサ1内の複数のメモリ(不図示)に別々に保持されていてもよい。例えば、識別情報を出力部5内のメモリ(不図示)に保持し、呼吸データを出力部5内のメモリとは別のメモリ(不図示)に保持してもよい。この場合、外部機器2は、出力部5のメモリに保持された識別情報を取得し、外部機器2で認識可能なデータである識別した後に、CPU8のメモリに保持された呼吸データを取得するように構成することができる。
【0050】
また、A/D変換部81は、一例として、サンプルホールド回路と複数のコンパレータを有する電子回路で構成してもよい。信号処理部7は、一例として、基板上に形成されたアナログ電子回路で構成してもよい。
【0051】
また、CPU8は、信号処理部7で生成する呼吸データに関して、リアルタイム解析を行って、このリアルタイム解析の結果として解析結果データを生成する解析部として機能するように構成されていてもよい。解析部が解析を行うためのプログラムは、一例として、本体部4内に適宜設けられるメモリに保存されていればよい。解析結果データは、外部機器2等に出力されて、外部機器2等にリアルタイムに表示可能に生成されてもよい。
【0052】
解析部としてのCPU8は、無呼吸、低呼吸、気道閉塞、非挿管時の呼吸モニタリング、術後の呼吸管理、内視鏡下消化管手術自の呼吸モニタリング、ネイザルハイフロー時の呼吸モニタリング、上気道閉塞等の呼吸気に関する各種の解析を行う構成とすることができる。
【0053】
上記構成によれば、呼吸データのリアルタイム解析を行ってリアルタイム表示可能な解析結果データを生成する解析部を備えるので、呼吸気に関する検出結果のリアルタイム解析が可能となり、解析結果データのリアルタイム表示が可能となる。
【符号の説明】
【0054】
1 呼吸気圧センサ、 2 外部機器、 3 入力部、 4 本体部、 5 出力部、 6 圧力センサ、 7 信号処理部、 8 CPU、 71 圧力信号処理部、 72 気流信号処理部、 73 いびき信号処理部、 81 A/D変換部