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特許7344942基板処理装置、クリーニング方法、半導体装置の製造方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】基板処理装置、クリーニング方法、半導体装置の製造方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20230907BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20230907BHJP
   H01L 21/22 20060101ALI20230907BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
H01L21/31 B
H01L21/316 X
H01L21/22 501K
H01L21/22 511Q
C23C16/44 J
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2021155568
(22)【出願日】2021-09-24
(65)【公開番号】P2023046781
(43)【公開日】2023-04-05
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寿崎 健一
(72)【発明者】
【氏名】池田 優真
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-052092(JP,A)
【文献】特開2010-021385(JP,A)
【文献】特開2010-053393(JP,A)
【文献】特開2018-022773(JP,A)
【文献】国際公開第2019/044013(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/146362(WO,A1)
【文献】特開2020-047911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/316
H01L 21/22
C23C 16/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する反応容器と、
前記反応容器内にクリーニングガスを供給するよう構成されたクリーニングガス供給系と、
前記反応容器の開口を閉塞可能に構成され、金属材料により構成された蓋と、
前記蓋の前記反応容器の内側に面する側の面上に設けられ、少なくとも表面が第1の非金属材料により構成された保護部材と、
前記蓋と前記保護部材がそれぞれ互いに対向する面の間に形成される内部空間と、
前記蓋により前記開口が閉塞された状態において、前記内部空間に不活性ガスを供給するよう構成された不活性ガス供給系と、を備え、
前記蓋及び前記保護部材の少なくとも何れかは、前記蓋と前記保護部材との間を第1封止部材により封止する前記保護部材の外周に沿って、前記蓋及び前記保護部材の少なくとも何れかの全周に亘って設けられた第1封止部を備え、
前記内部空間は、前記蓋と前記保護部材がそれぞれ互いに対向する面と前記第1封止部とによって囲われた空間により構成される
基板処理装置。
【請求項2】
基板を処理する反応容器と、
前記反応容器内にクリーニングガスを供給するよう構成されたクリーニングガス供給系と、
前記反応容器の開口を閉塞可能に構成され、金属材料により構成された蓋と、
前記蓋の前記反応容器の内側に面する側の面上に設けられ、少なくとも表面が第1の非金属材料により構成された保護部材と、
前記蓋と前記保護部材がそれぞれ互いに対向する面の間に形成される内部空間と、
前記蓋により前記開口が閉塞された状態において、前記内部空間に不活性ガスを供給するよう構成された不活性ガス供給系と、を備え、
前記保護部材は、その外周端に、前記内部空間と前記反応容器内の空間との間で連通する1又は複数の貫通孔を有す
板処理装置。
【請求項3】
基板を処理する反応容器と、
前記反応容器内にクリーニングガスを供給するよう構成されたクリーニングガス供給系と、
前記反応容器の開口を閉塞可能に構成され、金属材料により構成された蓋と、
前記蓋の前記反応容器の内側に面する側の面上に設けられ、少なくとも表面が第1の非金属材料により構成された保護部材と、
前記蓋と前記保護部材がそれぞれ互いに対向する面の間に形成される内部空間と、
前記蓋により前記開口が閉塞された状態において、前記内部空間に不活性ガスを供給するよう構成された不活性ガス供給系と、
前記蓋の内部又は下面に設けられる冷媒流路と、
を有する基板処理装置。
【請求項4】
基板を処理する反応容器と、
前記反応容器内にクリーニングガスを供給するよう構成されたクリーニングガス供給系と、
前記反応容器の開口を閉塞可能に構成され、金属材料により構成された蓋と、
前記蓋の前記反応容器の内側に面する側の面上に設けられ、少なくとも表面が第1の非金属材料により構成された保護部材と、
前記蓋と前記保護部材がそれぞれ互いに対向する面の間に形成される内部空間と、
前記蓋により前記開口が閉塞された状態において、前記内部空間に不活性ガスを供給するよう構成された不活性ガス供給系と、を備え、
前記不活性ガス供給系は、前記蓋の前記内部空間に面する面に設けられた第1ガス供給口を介して、前記不活性ガスを前記内部空間に供給するよう構成され、
前記蓋は、前記反応容器の開口端との当接面に面する位置に設けられたガス導入口と、前記ガス導入口と前記第1ガス供給口が連通されるように接続するガス流路と、を備え、
前記反応容器は、前記蓋との前記当接面に面する位置に設けられた第2ガス供給口を備え、
前記第2ガス供給口と前記ガス導入口は、前記反応容器の前記開口が閉塞された状態において、前記第2ガス供給口と前記ガス導入口が連通されるように配置されてい
板処理装置。
【請求項5】
前記蓋及び前記保護部材の少なくとも何れかは、前記蓋と前記保護部材との間を第1封止部材により封止する第1封止部を備え、
前記内部空間は、前記蓋と前記保護部材がそれぞれ互いに対向する面と前記第1封止部とによって囲われた空間により構成されている
請求項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第1封止部は、前記保護部材の外周に沿って、前記蓋及び前記保護部材の少なくとも何れかの全周に亘って設けられる
請求項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記不活性ガス供給系は、
前記蓋の前記内部空間に面する面に設けられた第1ガス供給口を介して、前記不活性ガスを前記内部空間に供給するよう構成されている
請求項1~3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記蓋及び前記開口端の少なくとも何れかは、前記当接面に面している前記蓋の外周に沿って設けられた溝を備え、
前記第2ガス供給口は、前記蓋により前記開口が閉塞された状態において、前記溝を介して前記ガス導入口に接続される
請求項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記蓋及び前記開口端の少なくとも何れかは、前記蓋の外周に沿って設けられている、前記蓋により前記開口が閉塞された状態において第2封止部材により前記当接面の間を封止する第2封止部を備え、
前記溝は、前記第2封止部よりも前記反応容器の中心から見て内側に設けられる
請求項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記蓋と前記反応容器の前記開口端との間には、前記蓋により前記開口が閉塞された状態において前記溝と前記反応容器内の空間とを連通させる間隙が設けられる
請求項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記保護部材は、前記蓋により前記開口が閉塞された状態において、前記保護部材の外周端が前記開口端の内周よりも前記反応容器の中心から見て外側に位置するように設けられる
請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記反応容器の開口端は、マニホールドにより構成されている
請求項1~11のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記保護部材は、ネジとボルトの少なくともいずれかによって前記蓋に固定される
請求項1~12のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記ネジは、第2の非金属材料により形成されている
請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記クリーニングガス供給系から前記反応容器内に前記クリーニングガスを供給しながら、前記不活性ガス供給系から前記不活性ガスを前記内部空間内に供給するように、前記クリーニングガス供給系及び前記不活性ガス供給系を制御可能に構成された制御部、を更に備える
請求項1~14のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記反応容器内を排気する排気系を更に備え、
前記制御部は、前記クリーニングガスが供給されている前記反応容器内の圧力よりも、前記内部空間内の圧力が高くなるように、前記クリーニングガス供給系、前記不活性ガス供給系、及び前記排気系を制御可能に構成されている
請求項15に記載の基板処理装置。
【請求項17】
前記保護部材は、石英および炭化シリコンの少なくとも何れかにより構成されている
請求項1~16のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項18】
前記保護部材は、表面が前記第1の非金属材料でコーティングされた金属部材により構成されている
請求項1~16のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項19】
基板を処理する反応容器の開口を、金属材料により構成された蓋により閉塞する工程と、
前記蓋により前記開口が閉塞された状態において、前記蓋と、前記蓋の前記反応容器の内側に面する側の面上に設けられ、少なくとも表面が第1の非金属材料で構成された保護部材と、がそれぞれ互いに対向する面と、前記蓋と前記保護部材との間を第1封止部材により封止する前記保護部材の外周に沿って、前記蓋及び前記保護部材の少なくとも何れかの全周に亘って設けられた第1封止部と、によって囲われている内部空間に不活性ガスを供給する工程と、
前記内部空間に前記不活性ガスが供給された状態において、前記反応容器内にクリーニングガスを供給する工程と、
を有するクリーニング方法。
【請求項20】
基板を処理する反応容器の開口を、金属材料により構成された蓋により閉塞する工程と、
前記蓋により前記開口が閉塞された状態において、前記蓋と、前記蓋の前記反応容器の内側に面する側の面上に設けられ、少なくとも表面が第1の非金属材料で構成され、外周端に、内部空間と前記反応容器内の空間との間で連通する1又は複数の貫通孔を有する保護部材と、がそれぞれ互いに対向する面の間に形成される前記内部空間に不活性ガスを供給する工程と、
前記内部空間に前記不活性ガスが供給された状態において、前記反応容器内にクリーニングガスを供給する工程と、
を有するクリーニング方法。
【請求項21】
基板を処理する反応容器の開口を、金属材料により構成され、その内部又は下面に設けられる冷媒流路を有する蓋により閉塞する工程と、
前記蓋により前記開口が閉塞された状態において、前記蓋と、前記蓋の前記反応容器の内側に面する側の面上に設けられ、少なくとも表面が第1の非金属材料で構成された保護部材と、がそれぞれ互いに対向する面の間に形成される内部空間に不活性ガスを供給する工程と、
前記内部空間に前記不活性ガスが供給された状態において、前記反応容器内にクリーニングガスを供給する工程と、
を有するクリーニング方法。
【請求項22】
基板を処理する反応容器の開口を、金属材料により構成された蓋により閉塞する工程と、
前記蓋により前記開口が閉塞された状態において、
前記反応容器の、前記蓋との当接面に面する位置に設けられた第2ガス供給口と、前記反応容器の開口端との前記当接面に面する位置に設けられたガス導入口と、前記蓋の、前記蓋と、前記蓋の前記反応容器の内側に面する側の面上に設けられ、少なくとも表面が第1の非金属材料で構成された保護部材と、がそれぞれ互いに対向する面の間に形成される内部空間に面する面に設けられた第1ガス供給口とが連通されるように接続されるガス流路を介して、前記内部空間に不活性ガスを供給する工程と、
前記内部空間に前記不活性ガスが供給された状態において、前記反応容器内にクリーニングガスを供給する工程と、
を有するクリーニング方法。
【請求項23】
基板が収容された反応容器内に成膜ガスを供給することにより、前記基板上に膜を形成する工程と、
前記膜が形成された前記基板を前記反応容器内から搬出する工程と、
前記反応容器内から前記基板が搬出された後、請求項19~22のいずれか一項に記載のクリーニング方法を行う工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項24】
基板を処理する反応容器の開口を、金属材料により構成された蓋により閉塞させる手順と、
前記蓋により前記開口が閉塞された状態において、前記蓋と、前記蓋の前記反応容器の内側に面する側の面上に設けられ、少なくとも表面が第1の非金属材料で構成された保護部材がそれぞれ互いに対向する面と、前記蓋と前記保護部材との間を第1封止部材により封止する前記保護部材の外周に沿って、前記蓋及び前記保護部材の少なくとも何れかの全周に亘って設けられた第1封止部と、によって囲われている内部空間に不活性ガスを供給させる手順と、
前記内部空間に前記不活性ガスが供給された状態において、前記反応容器内にクリーニングガスを供給させる手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項25】
基板を処理する反応容器の開口を、金属材料により構成された蓋により閉塞させる手順と、
前記蓋により前記開口が閉塞された状態において、前記蓋と、前記蓋の前記反応容器の内側に面する側の面上に設けられ、少なくとも表面が第1の非金属材料で構成され、外周端に、内部空間と前記反応容器内の空間との間で連通する1又は複数の貫通孔を有する保護部材と、がそれぞれ互いに対向する面の間に形成される前記内部空間に不活性ガスを供給させる手順と、
前記内部空間に前記不活性ガスが供給された状態において、前記反応容器内にクリーニングガスを供給させる手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項26】
基板を処理する反応容器の開口を、金属材料により構成され、その内部又は下面に設けられる冷媒流路を有する蓋により閉塞させる手順と、
前記蓋により前記開口が閉塞された状態において、前記蓋と、前記蓋の前記反応容器の内側に面する側の面上に設けられ、少なくとも表面が第1の非金属材料で構成された保護部材と、がそれぞれ互いに対向する面の間に形成される内部空間に不活性ガスを供給させる手順と、
前記内部空間に前記不活性ガスが供給された状態において、前記反応容器内にクリーニングガスを供給させる手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項27】
基板を処理する反応容器の開口を、金属材料により構成された蓋により閉塞させる手順と、
前記蓋により前記開口が閉塞された状態において、
前記反応容器の、前記蓋との当接面に面する位置に設けられた第2ガス供給口と、前記反応容器の開口端との前記当接面に面する位置に設けられたガス導入口と、前記蓋の、前記蓋と、前記蓋の前記反応容器の内側に面する側の面上に設けられ、少なくとも表面が第1の非金属材料で構成された保護部材と、がそれぞれ互いに対向する面の間に形成される内部空間に面する面に設けられた第1ガス供給口とが連通されるように接続されるガス流路を介して、前記内部空間に不活性ガスを供給させる手順と、
前記内部空間に前記不活性ガスが供給された状態において、前記反応容器内にクリーニングガスを供給させる手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、クリーニング方法、半導体装置の製造方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの製造工程において、異物の少ない成膜方法が求められている。異物の制御に関しては、一手法として、反応管を取り外すことなく、ガスクリーニングにより反応管内壁などに堆積した膜を除去する方法が行われることがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-78285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、クリーニングガスを用いたクリーニング工程において、金属材料を含む部品の表面とクリーニングガスが反応することにより、部品表面の腐食や変質が生じることがある。
【0005】
本開示の目的は、クリーニングガスが金属材料を含む蓋の表面に接触することを防止し、蓋表面の腐食や変質が発生するのを抑制することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、
基板を処理する反応容器と、
前記反応容器内にクリーニングガスを供給するよう構成されたクリーニングガス供給系と、
前記反応容器の開口を閉塞可能に構成され、金属材料により構成された蓋と、
前記蓋の前記反応容器の内側に面する側の面上に設けられ、少なくとも表面が第1の非金属材料により構成された保護部材と、
前記蓋と前記保護部材がそれぞれ互いに対向する面の間に形成される内部空間と、
前記蓋により前記開口が閉塞された状態において、前記内部空間に不活性ガスを供給するよう構成された不活性ガス供給系と、
を備える技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
クリーニングガスが金属材料を含む蓋の表面に接触することを防止し、蓋表面の腐食や変質が発生するのを抑制することが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一態様である基板処理装置において、反応容器内から基板支持具を搬出した状態で反応容器を蓋で閉塞した状態(クリーニング工程時)を示す縦断面図である。
図2】反応容器内に基板を装填した基板支持具を搬入した状態で反応容器をシールキャップで閉塞した状態(成膜工程時)を示す縦断面図である。
図3図1における蓋周辺を示す縦断面図である。
図4】反応容器の開口端と蓋との当接面周辺を示す縦断面図である。
図5】反応容器の開口を閉塞する蓋を示す縦断面図である。
図6】蓋の上面に設けられる保護部材を示す図である。
図7】本開示の一態様である基板処理装置のコントローラの概略構成図であり、コントローラの制御系をブロック図で示す図である。
図8】蓋の変形例を示す縦断面図である。
図9図9(A)は、保護部材の変形例を示す図であり、図9(B)は、図9(A)における保護部材の端部周辺を示す図であり、図9(C)は、図9(B)周辺を周方向から見た図であり、図9(D)は、図9(A)~図9(C)の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1図7を参照しながら説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0010】
(1)基板処理装置の構成
図1は、本開示の一態様である基板処理装置において、反応容器内から基板支持具を搬出した状態で反応容器を蓋で閉塞した状態(クリーニング工程時)を示す縦断面図である。図2は、反応容器内に基板を装填した基板支持具を搬入した状態で反応容器をシールキャップで閉塞した状態(成膜工程時)を示す縦断面図である。
【0011】
図1に示されているように、基板処理装置10は直方体の箱形状に構築された筐体11を備えており、筐体11の上には支持板としてのヒータベース12を介して処理炉202が設置されている。処理炉202は加熱機構(加熱手段)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状であり、支持板としてのヒータベース12に支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0012】
ヒータ207の内側には反応管としてのプロセスチューブ203が、ヒータ207と同心円状に配設されている。プロセスチューブ203は外部反応管としてのアウタチューブ204と、その内側に設けられた内部反応管としてのインナチューブ205とから構成されている。アウタチューブ204は、例えば石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料により構成され、内径がインナチューブ205の外径よりも大きく上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されており、インナチューブ205と同心円状に設けられている。
【0013】
インナチューブ205は、例えば石英またはSiC等の耐熱性材料により構成され、上端および下端が開口した円筒形状に形成されている。インナチューブ205の筒中空部には処理室201が形成されており、基板としてのウエハ200を後述するボートによって水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態で収容可能に構成されている。
【0014】
アウタチューブ204の下方にはマニホールド209が、アウタチューブ204と同心円状に配設されている。マニホールド209は例えばステンレス等からなり、上端および下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209はインナチューブ205とアウタチューブ204とに係合しており、これらを支持するように設けられている。マニホールド209がヒータベース12に支持されることにより、プロセスチューブ203は垂直に据え付けられた状態となっている。プロセスチューブ203とマニホールド209により、ウエハ200を処理する反応容器が形成される。なお、マニホールド209とアウタチューブ204との間には、シール部材としてのOリングが設けられている。
【0015】
マニホールド209には処理室201内の雰囲気を排気するラインとしての排気管231が設けられている。排気管231は、インナチューブ205とアウタチューブ204との隙間によって形成される筒状空間206の下端部に配置されており、筒状空間206に連通している。排気管231のマニホールド209との接続側と反対側である下流側には、圧力検出器としての圧力センサ245、排気バルブ(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ243および真空排気装置としての真空ポンプ246が取り付けられており、処理室201内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。
【0016】
APCバルブ243は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201の真空排気および真空排気停止を行うことができ、さらに、真空ポンプ246を作動させた状態で、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室201の圧力を調整することができるように構成されているバルブである。主に、排気管231、APCバルブ243、及び圧力センサ245により、排気系が構成される。真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。
【0017】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞する炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。図2に示されているように、シールキャップ219はマニホールド209の下端に垂直方向下側から当接されるようになっている。シールキャップ219は例えばステンレス等の金属からなり、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端(開口端)と当接するシール部材としてのOリング220が設けられている。
【0018】
シールキャップ219はプロセスチューブ203の外部に垂直に設備された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されており、これにより、後述するボートを処理室201に対し搬入搬出することが可能となっている。
【0019】
シールキャップ219の処理室201と反対側には、ボートを回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255はシールキャップ219を貫通して、後述するボート217に接続されており、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。
【0020】
基板保持具としてのボート217は、複数枚のウエハ200を水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態で整列させて多段に保持するように構成されている。なお、ボート217の下方には、ボート217と同様な形状の断熱板ホルダ218がボート217を支持するように設けられ、この断熱板ホルダ218により、断熱部材としての断熱板218aが水平姿勢で多段に複数枚支持されている。断熱板218aは例えば石英やSiC等の耐熱性材料が使用されて、円板形状に形成されており、ヒータ207からの熱がマニホールド209側に伝わり難くなるよう構成されている。
【0021】
プロセスチューブ203内には温度検出器としての温度センサ263が設置されている。
【0022】
マニホールド209には処理室201内にガスを供給するガス供給管310,320,330が設けられている。
【0023】
ガス供給管310,320,330には上流側から順に流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)312,322、332および開閉弁であるバルブ314,324,334がそれぞれ設けられている。ガス供給管310,320,330のバルブ314,324,334の下流側には、不活性ガスを供給するガス供給管510,520,530がそれぞれ接続されている。ガス供給管510,520,530には、上流側から順に、流量制御器(流量制御部)であるMFC512,522,532および開閉弁であるバルブ514,524,534がそれぞれ設けられている。
【0024】
ガス供給管310からは、処理ガスであり成膜ガスとして、原料ガスが、MFC312、バルブ314を介して処理室201に供給される。主に、ガス供給管310、MFC312、及びバルブ314により、原料ガス供給系が構成される。原料ガス供給系を原料供給系と称することもできる。
【0025】
ガス供給管320からは、処理ガスであり成膜ガスとして、反応ガスが、MFC322、バルブ324を介して処理室201内に供給される。主に、ガス供給管320、MFC322、バルブ324により、反応ガス供給系(リアクタント供給系)が構成される。
【0026】
ガス供給管330からは、処理ガスとして、クリーニングガス(エッチングガス)が、MFC332、バルブ334を介して処理室201内に供給される。主に、ガス供給管330、MFC332、バルブ334により、クリーニングガス供給系が構成される。
【0027】
ガス供給管510,520,530からは、不活性ガスが、MFC512,522,532、バルブ514,524,534を介して処理室201へ供給される。
【0028】
不活性ガスとしては、例えば、窒素(N)ガスや、アルゴン(Ar)ガス、ヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、キセノン(Xe)ガス等の希ガスを用いることができる。不活性ガスとしては、これらのうち1以上を用いることができる。この点は、後述する他の不活性ガスにおいても同様である。
【0029】
主に、ガス供給管510,520,530、MFC512,522,532、及びバルブ514,524,534により、不活性ガス供給系が構成される。なお、図1および図2においては便宜上、ガス供給管310,320,330が上下方向に配置されて図示されているが、実際上は周方向に配置されている。
【0030】
次に、プロセスチューブ203内からボート217を搬出した状態で、マニホールド209の開口を蓋としてのシャッタ81で閉塞した状態におけるシャッタ81周辺の詳細構造について、図1図3図6を用いて説明する。
【0031】
図1に示されているように、筐体11内には処理室201内からボート217を搬出した状態でマニホールド209の下端開口を閉塞するシャッタ装置70が設置されている。
【0032】
図3に示されているように、シャッタ装置70はロータリーアクチュエータ71を備えており、ロータリーアクチュエータ71は筐体11の天井壁に垂直方向下向きに設置されている。ロータリーアクチュエータ71の回転軸72にはアーム73が水平面内において回転するように固定されており、アーム73の自由端部にはベース74が一体的に回動するように水平に支持されている。ベース74の周辺部にはクランプ機構を構成するシリンダ装置75が径方向外向きに設置されており、シリンダ装置75のピストンロッド76の先端には傾斜面部77が形成されている。
【0033】
傾斜面部77はマニホールド209に固定された固定側部材78の傾斜面部79に対向するようになっている。ベース74の上にはシャッタ81が水平に配置されて、スプリング80によってフローティング支持(独立懸架)されている。そして、シリンダ装置75のピストンロッド76が径方向外向きに伸長すると、傾斜面部77が固定側部材78の傾斜面部79を摺動することにより、ベース74が相対的に上昇する状態になるために、ベース74はスプリング80を介してシャッタ81をマニホールド209の下面に当接(押接)させてクランプする。すなわち、シャッタ81は、反応容器の開口端であるマニホールド209の開口端に当接して、反応容器の開口であるマニホールド209の開口を閉塞するよう構成されている。シャッタ81は、金属材料により構成されている。
【0034】
図3及び図4に示されているように、マニホールド209の下端の開口端は、下側フランジ部209aにより構成されている。シャッタ81の上面の、下側フランジ部209aとの当接面には、シャッタ81の外周に沿って、シャッタ81の全周に亘って、アリ溝82aが形成され、アリ溝82a内に第2封止部材としてのOリング82bが設けられている。また、シャッタ81の上面の、下側フランジ部209aとの当接面であって、Oリング82bの内周側には、シャッタ81の外周に沿って、シャッタ81の全周に亘って、アリ溝83aが形成され、アリ溝83a内に第3封止部材としてのOリング83bが設けられている。Oリング82bとアリ溝82aは、シャッタ81と下側フランジ部209aとの間を封止する第2封止部82として用いられる。また、Oリング83bとアリ溝83aは、シャッタ81と下側フランジ部209aとの間を封止する第3封止部83として用いられる。すなわち、シャッタ81により開口が閉塞された状態において第2封止部82、第3封止部83によりシャッタ81とマニホールド209の下端との間を気密に封止(シール)するよう構成されている。なお、以下の説明において、Oリングは、フッ素系樹脂等の耐熱性弾性体により構成されたものとして説明する。
【0035】
シャッタ81の上面には、保護部材としてのプレート600が設けられている。すなわち、プレート600は、シャッタ81により反応容器の開口(すなわちマニホールド209の開口)が閉塞された状態において、シャッタ81の反応容器の内側(すなわちプロセスチューブ203及びマニホールド209の内側)に面する側の面上に設けられている。
【0036】
図4及び図5に示すように、シャッタ81とプレート600がそれぞれ互いに対向する面の間には、内部空間Sが形成される。
【0037】
また、シャッタ81の上面の、マニホールド209の下端である開口端との当接面に面する位置であって、下側フランジ部209aとの当接面に面する位置には、ガス導入口702が設けられている。
【0038】
また、シャッタ81の上面の、Oリング82bとOリング83bとで囲まれる部位には、ガス導入口702に連通する環状溝84が形成されている。環状溝84は、シャッタ81の外周に沿って環状に形成されている。つまり、環状溝84は、シャッタ81の上面の、下側フランジ部209aとの当接面に面し、Oリング82bとOリング83bとで囲まれる部位に形成されている。また、環状溝84は、Oリング82bよりもマニホールド209の中心から見て内側に設けられ、Oリング83bよりもマニホールド209の中心から見て外側に設けられる。第2封止部82により、環状溝84内に供給された不活性ガスの漏れ(リーク)を抑制することができる。また、第3封止部83により、炉内のクリーニングガスが当接面を介してリークすることをより確実に抑制することができる。
【0039】
また、シャッタ81の、内部空間Sに面する面の略中央には、内部空間Sに連通する第1ガス供給口604が形成されている。また、シャッタ81内には、ガス導入口702と第1ガス供給口604とを接続するガス流路609が設けられている。つまり、ガス流路609の一端はガス導入口702に連通し、ガス流路609の他端は第1ガス供給口604に連通している。すなわち、環状溝84、ガス導入口702、ガス流路609、第1ガス供給口604が連通し、後述する第2ガス供給口703から供給されたガスが、環状溝84と、ガス導入口702と、ガス流路609と、第1ガス供給口604を介して、内部空間Sに供給されるように構成されている。
【0040】
また、下側フランジ部209aには、不活性ガスを供給するガス供給管540が貫通され、下側フランジ部209aの、シャッタ81との当接面に面する位置には第2ガス供給口703が設けられている。第2ガス供給口703とガス導入口702は、マニホールド209の開口が閉塞された状態において環状溝84を介して接続し、連通されるように配置されている。つまり、第2ガス供給口703は、シャッタ81と下側フランジ部209aが当接し、シャッタ81により開口が閉塞された状態において、ガス導入口702に接続される。これにより、可動するシャッタ81を介して不活性ガスを内部空間S内に供給することが可能となる。また、環状溝84に導入された不活性ガスによって、当接面がパージされ、クリーニングガスの漏れを抑制することができる。なお、本実施形態では、第2ガス供給口703とガス導入口702とが対向する位置に設けられる例について説明しているが、両者は環状溝84を介して、シャッタ81の周方向において互いにずれた位置に設けられてもよい。
【0041】
図6に示すように、プレート600は、円形状の平板であって、プレート600の外周端には、プレート600の中心側に向かって円弧状に切欠かれた切欠き601,602,603が形成されている。プレート600は、第1の非金属材料により構成されている。ここで、第1の非金属材料は、クリーニングガスと反応しない材料である。プレート600は、第1の非金属材料である例えば石英やSiCにより構成されている。これにより、プレート600の腐食等の発生を抑制することができる。なお、クリーニングガスとして例えばフッ素(F)含有ガスを用いる場合には、プレート600として、石英により構成されたものを用いるのが好ましい。F含有ガスは、SiCと反応して腐食等を発生させる可能性があるためである。一方で、プロセスチューブ203内である反応容器内と内部空間S内の圧力差を高める必要がある場合には、プレート600として、石英よりも機械的強度に優れたSiCにより構成されたものを用いるのが好ましい。すなわち、使用されるクリーニングガスや処理条件に応じて、プレート600の材質を決定するのが好ましい。また、所望の上述の圧力差に応じて、必要な機械的強度を有するように、プレート600の厚さを決定するのが好ましい。
【0042】
シャッタ81の上面の、プレート600が固定される位置には、凹部(ザグリ)81aが形成されている。そして、シャッタ81の凹部81aの対応する位置に、プレート600の切欠き601~603が配置される。そして、凹部81aに保持部材607を配置し、保持部材607の外周に弾性体であるOリング610,608を装着して、Oリング610とOリング608の間にプレート600を配置する。そして、保持部材607の内側に固定部材606を挿入するにより、プレート600は、シャッタ81に固定される。
【0043】
すなわち、プレート600を、保持部材607を介して固定部材606でねじ止め等によりシャッタ81に固定する。このようにして、固定部材606による固定を行う際に、所定の捻じ込み量となるように調整することが容易となる。すなわち、プレート600とシャッタ81とのギャップ幅を一定にすることが容易となる。つまり、内部空間Sと反応容器内(すなわちプロセスチューブ203内及びマニホールド209内)の空間との間を連通しつつ、プレート600をシャッタ81に固定するよう構成されている。
【0044】
固定部材606は、保持部材607の外周に設けられるOリング610がプレート600とシャッタ81の間に挟み込まれた状態でプレート600をシャッタ81に固定するよう構成されている。これにより、固定部材606による固定を行う際に、プレート600が破損することを抑制することができる。また、固定部材606が所定の捻じ込み量となるように調整することが容易となる。また、固定部材606によりプレート600を固定することにより、内部空間S内に不活性ガスを供給する際に、プレート600が浮き上がってしまうのを抑制しつつ、内部空間S内の圧力を高めることができる。
【0045】
固定部材606として、例えばねじやボルトを用いることができる。保持部材607として、例えばスペーサやカラーを用いることができる。固定部材606は、第2の非金属材料であって、例えばフッ素系樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性樹脂により構成されている。また、固定部材606として、表面に第2の非金属材料がコーティングされたものを用いても良い。また、保持部材607も、固定部材606と同様に第2の非金属材料で構成されることが望ましい。これにより、クリーニングガスによる固定部材606や保持部材607の腐食、変質等を抑制することができる。なお、Oリング610は、プレート600の下面側にシャッタ81に接触して配置されるため、Oリング608に比べて高温とならず劣化しにくい。そのため、Oリング608を用いずに、Oリング610のみを用いるようにしてもよい。
【0046】
シャッタ81の上面のOリング83bの内周側であって、プレート600と対向する面の、固定部材606による装着位置の更に内周側には、アリ溝605aが形成されている。アリ溝605a内には、第1封止部材としてのOリング605bが設けられている。そして、シャッタ81とプレート600との間が、Oリング605bにより封止されている。Oリング605bとアリ溝605aは、シャッタ81とプレート600との間を封止する第1封止部605として用いられる。Oリング605bは、プレート600の外周に沿って、シャッタ81の全周に亘って設けられる。内部空間Sは、シャッタ81とプレート600がそれぞれ互いに対向する面とOリング605bとによって囲われた空間により構成(画定)されている。そして、内部空間Sの圧力を高めて、内部空間Sへのクリーニングガスの侵入をより確実に防止するよう構成されている。なお、後述の通り、第1封止部605は、内部空間Sを完全に封止するものではなく、内部空間Sの内部圧力が高められることにより、内部空間S内の不活性ガスが反応容器内に流出するように構成されている。
【0047】
Oリング605bの線径(太さ)は、Oリング605bの外側に配置されるOリング82b,83bの線径と異なる。具体的には、Oリング605bの線径は、Oリング82b、Oリング83bの線径(太さ)よりも小さい。言い換えれば、反応容器内の内側(中心側ともいう)に設けられるOリングほど線径が小さい。プレート600と固定部材606は、非金属材料により構成されるため、押し付け圧力は比較的小さい。つまり、小さい圧力で潰しやすいようにOリング605bの線径は、比較的小さい方が好ましい。また、不活性ガスの流通を完全に遮断しないために、Oリング82b、Oリング83bと比較して封止力も弱い方が望ましく、Oリング82b、Oリング83bと比較してつぶし率(変形率)も小さい方が好ましい。具体的には、例えばOリング82bの真空密着時のつぶし率を20%とした場合に、Oリング83bのつぶし率を10%、Oリング605bのつぶし率を0%とする。このため、内部空間Sに供給された不活性ガスは、流通を完全には遮断されずに、内部空間S内と処理室201内の圧力差が大きくなった時、Oリング605bとプレート600及び/又はシャッタ81との間を介して、反応容器内に流通される。これにより、内部空間Sへのクリーニングガスの侵入をより確実に抑制することができる。
【0048】
シャッタ81内の、ガス流路609の下方には、シャッタ81とシャッタ81周辺を冷却する冷却ガス等の冷媒を供給する冷媒流路611が設けられている。冷媒流路611は、周方向に連続して設けられている。このようにして、シャッタ81およびシャッタ81の周辺を冷却することにより、シャッタ81及びシャッタ81周辺に装着されたOリングの破損を抑制することができる。冷媒として、例えば不活性ガスを用いることができる。ここで、冷媒は、不活性ガス等の気体でも、水等の液体でもよく、適宜用いることができる。
【0049】
図1に示されているように、ガス供給管540の他端には、上流側から順に、MFC542、バルブ544が設けられている。ガス供給管540からは、パージガスとしての不活性ガスが、MFC542、バルブ544を介して、シャッタ81とプレート600との間の内部空間Sに供給される。主に、ガス供給管540、MFC542、バルブ544により内部空間Sに不活性ガスを供給する不活性ガス供給系700が構成されている。すなわち、シャッタ81により開口が閉塞された状態において、不活性ガス供給系700により、第1ガス供給口604を介して、内部空間Sに不活性ガスを供給するよう構成されている。
【0050】
内部空間Sには、圧力検出器としての圧力センサ612が設けられ、圧力センサ612により検出された圧力に基づいて、内部空間S内の圧力が、所定の圧力であって、内部空間S内に供給された不活性ガスがOリング605bとプレート600の間を介して反応容器内(すなわちプロセスチューブ203内及びマニホールド209内)に流出する圧力となるように、不活性ガス供給系700を制御するよう構成されている。言い換えれば、クリーニングガスが内部空間Sに入り込まないような圧力となるように、不活性ガス供給系700を制御する。なお、圧力センサ612は、内部空間Sではなく、ガス供給管540に設けることもできる。
【0051】
図7に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a,RAM(Random Access Memory)121b,記憶装置121c,I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b,記憶装置121c,I/Oポート121dは、内部バスを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0052】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、液体原料の温度を制御する制御プログラム、基板処理装置の動作を制御する制御プログラム、後述する半導体装置の製造方法の手順や条件などが記載されたプロセスレシピ、などの少なくともいずれかが、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する半導体装置の製造方法における各工程(各ステップ)を、コンピュータとして構成されたコントローラ121によって基板処理装置に実行させ、所定の結果を得ることができるように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピ、制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、プロセスレシピおよび制御プログラムの組み合わせを含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0053】
I/Oポート121dは、上述のMFC312,322,332,512,522,532,542、バルブ314,324,334,514,524,534,544、圧力センサ245,612、APCバルブ243、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ263、回転機構267、ボートエレベータ115、シャッタ装置70等の少なくともいずれかに接続されている。
【0054】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピ等を読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC312,322,332,512,522,532,542による各種ガスの流量調整動作、バルブ314,324,334,514,524,534,544の開閉動作、APCバルブ243の開閉動作およびAPCバルブ243による圧力センサ245に基づく圧力調整動作、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作、ボート217へのウエハ200の収容動作、シャッタ装置70におけるシャッタ81の開閉動作、圧力センサ612に基づく内部空間S内の圧力調整動作等を制御することが可能なように構成されている。
【0055】
コントローラ121は、外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それら両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0056】
(2)基板処理工程
次に、本実施形態に係る半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、上述の基板処理装置10を用い、ウエハ上に膜を形成して半導体装置(デバイス)を製造する方法の一例について説明する。以下の説明において、基板処理装置10を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0057】
なお、本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体(集合体)」を意味する場合(すなわち、表面に形成された所定の層や膜等を含めてウエハと称する場合)がある。また、本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層や膜等の表面、すなわち、積層体としてのウエハの最表面」を意味する場合がある。なお、本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0058】
(A)成膜工程
基板処理装置10を用いて、ウエハ200に成膜ガスを供給して、ウエハ200上に所定元素を含む膜を形成する場合を用いて説明する。本態様では、複数のウエハ200がボート217に支持された状態で収容された処理室201を所定温度で加熱する。そして、処理室201に、成膜ガスとしての所定元素を含む原料ガスを供給する原料ガス供給ステップと、成膜ガスとしての反応ガスを供給する反応ガス供給ステップと、を所定回数(n回)行う。
【0059】
(ウエハ搬入)
複数枚のウエハ200を処理室201内に搬入(ボートロード)する。具体的には、複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、図2に示されているように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入される。この状態で、シールキャップ219はOリング220を介してマニホールド209の下端開口を閉塞した状態となる。
【0060】
(圧力調整および温度調整)
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づき、APCバルブ243がフィードバック制御される(圧力調整)。真空ポンプ246は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電量がフィードバック制御される(温度調整)。ヒータ207による処理室201内の加熱は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は継続して行われる。
【0061】
さらに、ボート217およびウエハ200が、回転機構267により回転する。回転機構267によるボート217およびウエハ200の回転は少なくとも、ウエハ200に対する処理が完了するまでの間は継続して行われる。
【0062】
(成膜工程)
その後、原料ガス供給ステップ(第1ガス供給ステップ)、残留ガス除去ステップ、反応ガス供給ステップ(第2ガス供給ステップ)、残留ガス除去ステップをこの順で所定回数行う。
【0063】
(原料ガス供給ステップ)
バルブ314を開き、ガス供給管310へ原料ガスを流す。原料ガスは、MFC312により流量調整され、処理室201内へ供給される。このとき同時に、バルブ514を開き、ガス供給管510内に不活性ガスであるキャリアガスを流す。キャリアガスは、MFC512により流量調整され、原料ガスと一緒に処理室201内に供給され、排気管231から排気される。さらに、ガス供給管320,330への原料ガスの侵入を防止(逆流を防止)するため、バルブ524,534を開き、ガス供給管520,530内へキャリアガスを流す。キャリアガスは、ガス供給管520,530を介して処理室201へ供給され、排気管231から排気される。
【0064】
このとき、APCバルブ243を適正に調整して、処理室201の圧力を、例えば1~1000Pa、好ましくは1~100Pa、より好ましくは10~50Paの範囲内の圧力とする。なお、本明細書における「1~1000Pa」のような数値範囲の表記は、下限値および上限値がその範囲に含まれることを意味する。よって、例えば、「1~1000Pa」とは「1Pa以上1000Pa以下」を意味する。他の数値範囲についても同様である。
【0065】
MFC312で制御する原料ガスの供給流量は、例えば、10~2000sccm、好ましくは50~1000sccm、より好ましくは100~500sccmの範囲内の流量とする。
【0066】
MFC512で制御するキャリアガスの供給流量は、例えば、1~30slmの範囲内の流量とする。原料ガスをウエハ200に対して供給する時間は、例えば、1~60秒、好ましくは1~20秒、より好ましくは2~15秒の範囲内とする。
【0067】
ヒータ207は、ウエハ200の温度が、例えば、200~600℃、好ましくは350℃~550℃、より好ましくは400~550℃の範囲内となるように加熱する。
【0068】
原料ガスとしては、例えば、所定元素として金属元素であるアルミニウム(Al)を含む、金属含有ガスであるAl含有原料ガス(Al含有原料、Al含有ガス)が用いられる。Al含有原料ガスとしては、例えば、塩化アルミニウム(AlCl)ガス等のハロゲン系Al含有ガスや、トリメチルアルミニウム((CHAl、TMA)ガス等の有機系Al含有ガスを用いることができる。
【0069】
前述の条件下で処理室201へ原料ガスを供給することにより、ウエハ200の最表面上に、第1層が形成される。例えば、原料ガスとしてAl含有ガスを用いた場合、第1層としてAl含有層が形成される。Al含有層は、Al含有ガスやAl含有ガスの一部が分解した吸着層(物理吸着層や化学吸着層)であってもよく、Al堆積層(Al層)であってもよい。
【0070】
(残留ガス除去ステップ)
次に、バルブ314を閉じ、原料ガスの供給を停止する。このとき、APCバルブ243は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201を真空排気し、処理室201に残留する未反応又は層形成に寄与した後の原料ガスを処理室201から排除する。バルブ514,524,534は開いた状態でキャリアガスの処理室201への供給を維持する。
【0071】
(反応ガス供給ステップ)
処理室201の残留ガスを除去した後、バルブ324を開き、ガス供給管320内に反応ガスを流す。反応ガスは、MFC322により流量調整され、ガス供給管320から処理室201内のウエハ200に対して供給され、排気管231から排気される。すなわちウエハ200は反応ガスに暴露される。
【0072】
このとき、バルブ524を開き、ガス供給管520内にキャリアガスを流す。キャリアガスは、MFC522により流量調整され、反応ガスと共に処理室201内に供給されて、排気管231から排気される。このとき、ガス供給管310,330内への反応ガスの侵入を防止(逆流を防止)するために、バルブ514,534を開き、ガス供給管510,530内へキャリアガスを流す。キャリアガスは、ガス供給管510,310、ガス供給管530,330を介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
【0073】
このとき、APCバルブ243を適正に調整して、処理室201の圧力を、例えば1~1000Paの範囲内の圧力とする。MFC322で制御する反応ガスの供給流量は、例えば、5~40slm、好ましくは5~30slm、より好ましくは10~20slmの範囲内の流量とする。反応ガスをウエハ200に対して供給する時間は、例えば、1~60秒の範囲内とする。その他の処理条件は、前述の原料ガス供給ステップと同様の処理条件とする。
【0074】
反応ガスとしては、原料ガスと反応するガスであって、例えば、酸化ガスが用いられる。酸化ガスとしては、酸素(O)ガス、オゾン(O)ガス、プラズマ励起されたO(O )ガス、Oガス+水素(H)ガス、水蒸気(HOガス)、過酸化水素(H)ガス、亜酸化窒素(NO)ガス、一酸化窒素(NO)ガス、二酸化窒素(NO)ガス、一酸化炭素(CO)ガス、二酸化炭素(CO)ガス等の酸素(O)含有ガス等を用いることができる。酸化ガスとしては、これらのうち1以上を用いることができる。
【0075】
このとき処理室201に流しているガスは、反応ガスと不活性ガスのみである。反応ガスは、原料ガス供給ステップでウエハ200上に形成された第1層の少なくとも一部と反応する。すなわち、原料ガス供給ステップで形成された第1層としてのAl含有層は酸化され、第2層であり金属酸化層としてAlとOとを含むアルミニウム酸化層(AlO層)が形成される。すなわちAl含有層はAlO層へと改質される。
【0076】
(残留ガス除去ステップ)
次に、バルブ324を閉じて、反応ガスの供給を停止する。そして、原料ガス供給ステップ後の残留ガス除去ステップと同様の処理手順により、処理室201内に残留する未反応もしくは第2層の形成に寄与した後の反応ガスや反応副生成物を処理室201内から排除する。
【0077】
以上説明した原料ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップ、反応ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップを順に行うサイクルを予め決められた回数(1回以上)行う。このように、バッチ処理され(複数の工程が複数回行われ)ることで、ウエハ200上に膜が形成される。これにより、ウエハ200上に、例えばAlおよびOを含む膜としてアルミニウム酸化膜(AlO膜)が形成される。
【0078】
また、以上の成膜工程において、原料ガスや反応ガスが接触する処理室201内等(例えば、プロセスチューブ203の内壁やマニホールド209の内壁、等を含むことがある)に膜が付着(堆積)する。このようにして処理室201内に付着した膜は、その後の成膜工程においてパーティクル(異物)発生の要因となり、ウエハ200上に形成される膜やデバイスの品質低下を招くことがある。そのため、本実施形態における半導体装置の製造方法では、後述するクリーニング工程において、処理室201内に付着した膜を除去する。なお、処理室内等に付着した膜は、ウエハ200上に形成された膜と同じ成分の膜の他、成膜工程において生成される副生成物などを含むこともある。
【0079】
なお、バッチ処理とは、原料ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップ、反応ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップを順に行うサイクルを予め決められた回数行い、ウエハ200上に膜を形成させる処理である。そして、1バッチで、ウエハ200上に膜が形成される。
【0080】
(アフターパージおよび大気圧復帰)
ガス供給管510,520,530のそれぞれから不活性ガスを処理室201内へ供給し、排気管231から排気する。不活性ガスはパージガスとして作用し、これにより処理室201内が不活性ガスでパージされ、処理室201内に残留するガスや副生成物が処理室201内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0081】
(ウエハ搬出)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、マニホールド209の下端が開口される。そして、処理済ウエハ200がボート217に支持された状態でプロセスチューブ203の下端からプロセスチューブ203の外部に搬出(ボートアンロード)される。その後、処理済のウエハ200は、ボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。
【0082】
(B)クリーニング工程
次に、成膜工程において処理室201内等に付着した膜をエッチングする工程(クリーニング工程)について説明する。
【0083】
(シャッタによる閉塞)
図1に示すように、処理室201内からボート217を搬出した状態でマニホールド209の下端開口である開口を、シャッタ81により閉塞する。この状態で、シャッタ81はOリング82b,83bを介してマニホールド209の開口を閉塞した状態となる。
【0084】
(圧力調整および温度調整)
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づき、APCバルブ243がフィードバック制御される(圧力調整)。真空ポンプ246は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電量がフィードバック制御される(温度調整)。ヒータ207による処理室201内の加熱は、少なくともエッチング処理が完了するまでの間は継続して行われる。
【0085】
(エッチング(クリーニング)工程)
処理室201内等に付着した膜をエッチングして処理室201内をクリーニングするステップを実行する。
【0086】
(エッチングステップ)
バルブ334を開き、ガス供給管330内にクリーニングガス(エッチングガス)を流す。クリーニングガスは、MFC332により流量調整され、ガス供給管330から処理室201内に供給され、排気管231から排気される。このとき同時にバルブ534を開き、ガス供給管530内に不活性ガスを流す。ガス供給管530内を流れた不活性ガスは、MFC532により流量調整され、クリーニングガスと一緒に処理室201内に供給され、排気管231から排気される。なお、このとき、ガス供給管310,320内へのクリーニングガスの侵入を防止するために、バルブ514,524を開き、ガス供給管510,520内に不活性ガスを流す。不活性ガスは、ガス供給管310,320を介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
【0087】
クリーニングガスとして、例えば、四塩化ケイ素(SiCl)、塩化水素(HCl)、塩素(Cl)、フッ素(F)、フッ化水素(HF)、四フッ化ケイ素(SiF)、三フッ化窒素(NF)、三フッ化塩素(ClF)、三臭化ホウ素(BBr)、四臭化ケイ素(SiBr)および臭素(Br)等のハロゲン含有ガスを用いることができる。クリーニングガスとしては、これらのうち1以上を用いることができる。本開示では、金属材料と反応するクリーニングガスを用いる場合において、シャッタ81の表面の腐食や変質が発生するのを抑制することができる。
【0088】
クリーニングガスの供給により、処理室201内等に付着した膜の少なくとも一部とクリーニングガスとが反応して、処理室201から除去される。例えばクリーニングガスとしてSiClガスを用いた場合、SiClガスの供給により、処理室201内に付着したAlO膜の少なくとも一部とSiClガスとが反応して、処理室201から除去される。
【0089】
このとき、コントローラ121によりヒータ207を制御して、処理室201内を例えば、200~800℃であって、好ましくは400~650℃の範囲内の所定温度に加熱して、クリーニングガスを活性化させる。このとき、APCバルブ243を閉じるか、処理に影響を及ぼさない程度に実質的に閉じ、クリーニングガスを処理室201内に封じ込める。クリーニングガスを封じ込めることにより、上述の反応遅延によるエッチングへの影響を少なくすることができる。そして、処理室201内の圧力を第1の圧力であって、例えば、1~40000Paであって、好ましくは10000~30000Pa、より好ましくは20000~30000Paの範囲内の所定圧力に維持する。MFC332で制御するクリーニングガスの供給流量は、例えば1~10slmであって、好ましくは3~8slmの範囲内の流量とする。クリーニングガスを処理室201に供給する時間は、例えば60~600秒間の範囲内の時間とする。
【0090】
このとき、バルブ544を開き、ガス供給管540内に不活性ガスを流す。不活性ガスは、MFC542により流量調整され、ガス供給管540から内部空間S内に供給される。内部空間S内に供給された不活性ガスは、処理室201内の圧力と内部空間S内の圧力差によって、第1封止部605を介して反応容器内に流出する。反応容器内に流出した不活性ガスは、排気管231から排気される。
【0091】
すなわち、シャッタ81によりマニホールド209の開口が閉塞された状態において、シャッタ81と、プレート600と、がそれぞれ互いに対向する面の間に形成される内部空間Sに不活性ガスを供給する。言い換えれば、内部空間Sに不活性ガスが供給された状態において、処理室201内にクリーニングガスを供給する。
【0092】
つまり、コントローラ121によりクリーニングガス供給系及び不活性ガス供給系700を制御して、クリーニングガス供給系から処理室201内にクリーニングガスを供給しながら、不活性ガス供給系700から不活性ガスを内部空間S内に供給する。
【0093】
このとき、コントローラ121により不活性ガス供給系700を制御して、圧力センサ612により検出された圧力に基づいて、内部空間S内の圧力が、内部空間S内に供給された不活性ガスがOリング605bを介して処理室201内に流出する圧力となるように制御する。すなわち、コントローラ121によりクリーニングガス供給系、不活性ガス供給系700、及び排気系を制御して、クリーニングガスが供給されている処理室201内の圧力よりも、内部空間S内の圧力が高くなるように制御する。具体的には、コントローラ121により、内部空間S内の圧力が、クリーニングガスが供給されている処理室201内の圧力よりも例えば100Torr以上高くなるように、クリーニングガス供給系、不活性ガス供給系700、及び排気系を制御する。
【0094】
ここで、内部空間S内の圧力は、高いほどクリーニングガスが内部空間Sに入り込むのを抑制できて好ましいが、内部空間S内の圧力を処理室201内の圧力と比較して高くし過ぎると、プレート600が破損してしまう場合がある。具体的には、内部空間S内の圧力と処理室201内の圧力との差である内外差圧が100Torr未満の場合、内部空間S内へのクリーニングガスの侵入を防止できない場合がある。一方、内外差圧が大き過ぎる場合、プレート600の機械的強度によっては、プレート600が破損してしまう可能性がある。したがって、内部空間Sの圧力は、内外差圧によってプレート600が破損してしまう圧力未満となるように、クリーニングガス供給系、不活性ガス供給系700、及び排気系を制御する。例えば、プレート600が厚さ50mm以下の石英プレートによって構成されている場合、プレート600の破損を避けるため、内外差圧は、例えば200Torr以下とすることが好ましい。このとき、Oリング605bの線径が、Oリング82b,83bの線径よりも小さく、Oリング605bのつぶし率が、Oリング82b,83bのつぶし率よりも小さいため、内部空間Sに供給された不活性ガスは、流通を遮断されずに、反応容器内に流通される。このようにして、内部空間Sから不活性ガスを流出されるようにすることにより、内部空間S内にクリーニングガスが侵入することを抑制することができる。なお、内部空間S内の圧力は、プレート600の材質や厚さによって選択することが好ましい。
【0095】
(残留ガス除去ステップ)
所定時間、クリーニングガスを処理室201に供給した後、バルブ334を閉じて、クリーニングガスの供給を停止する。APCバルブ243を閉じるか、処理に影響を及ぼさない程度に実質的に閉じていた場合は、APCバルブ243を開ける。そして、上述した成膜工程時の残留ガス除去ステップと同様の処理手順により、処理室201内に残留する未反応もしくは膜の除去に寄与した後のクリーニングガスを処理室201内から排除する。このとき、不活性ガス供給系700からの不活性ガスの供給を継続して行う。
【0096】
(所定回数実施)
上記したステップを順に行うサイクルを1回以上(所定回数(m回))行うことにより、処理室201内に付着した膜を除去する。上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。
【0097】
本開示によれば、クリーニングガスがシャッタの表面に接触することを防止し、シャッタ表面の腐食や変質が発生するのを抑制することができる。また、可動するシャッタ81に対して不活性ガスを供給することが可能となり、金属製のシャッタの腐食を抑制することができる。
【0098】
(3)変形例
次に、シャッタ81の変形例について、図8を用いて説明する。本変形例では、上述した態様と異なる部分について特に説明する。
【0099】
シャッタ91と下側フランジ部209aとの間には、シャッタ91と下側フランジ部209aが当接した状態であって、シャッタ91により開口が閉塞された状態において、環状溝84と反応容器内の空間とを連通させる間隙705が設けられる。つまり本変形例では、シャッタ91の環状溝84の外周側にはOリング82bが設けられているが、環状溝84の内周側にはOリングが設けられていない。すなわち、環状溝84の内周側を封止しないで間隙705を介して、不活性ガスが反応容器内(すなわちプロセスチューブ203内及びマニホールド209内)へ供給されるように構成されている。これにより、ガス供給管540から供給された不活性ガスは、第2ガス供給口703、環状溝84、ガス導入口702、ガス流路609を介して第1ガス供給口604から内部空間Sへ供給され、かつ、第2ガス供給口703、環状溝84、間隙705を介して処理室201内に供給される。これにより、下側フランジ部209aとの当接面から反応容器内への不活性ガスの流れを形成して、クリーニングガスの当接面への侵入を抑制することができ、金属製のシャッタ91がクリーニングガスに接触するのを抑制できる。
【0100】
また、プレート600は、シャッタ91により開口が閉塞された状態において、プレート600の外周端がマニホールド209の内周であって開口端の内周よりもマニホールド209の中心から見て外側に位置するように設けられる。これにより、下側フランジ部209aとの当接面から反応容器内への不活性ガスの流れによって、反応容器内からプレート600の外周端へのクリーニングガスの回り込みを低減し、プレート600の外周端よりも外側で露出したシャッタ91表面がクリーニングガスに接触するのを抑制できる。
【0101】
次に、プレート600の変形例について、図9(A)~図9(D)を用いて説明する。
【0102】
本変形例におけるプレート800は、円形状の上面部800aと、上面部800aの周囲に連続して設けられた側面部800bを有する。上面部800a、側面部800b及びシャッタ81によって、内部空間Sが形成(画定)されている。側面部800bには、内部空間Sと反応容器内(すなわちプロセスチューブ203内及びマニホールド209内)の空間との間で連通する貫通孔800cが形成されている。すなわち、貫通孔800cは、内部空間Sに供給された不活性ガスを処理室201内に流すよう構成されている。図9(C)に示すように、貫通孔800cは円形状に形成され、内部空間Sと処理室201内とを連通するよう構成されている。このように、貫通孔800cを介して内部空間S内の不活性ガスを処理炉内に流通可能とする。
【0103】
また、プレート800の外周端であって、プレート800の側面部800bは、保持部材802を介して固定部材804により固定される。これにより、プレート800は、内部空間Sを形成した状態で、シャッタ81に固定される。
【0104】
また、内部空間Sと炉内を連通させる貫通孔800cは、図9(C)に示すような円形状に限らず、図9(D)において貫通孔900cとして示すように、下部が切欠かれた角形状であってもよい。また、貫通孔は、1つに限らず、側面部800bに複数設けても良い。これにより、上述したOリング605bを介した不活性ガスの流通に加えて、もしくは、Oリング605bを介して不活性ガスを流通させることなく、内部空間S内の圧力調整を行うことができる。
【0105】
上述した態様では、シャッタ81とプレート600との間を封止する第1封止部605をシャッタ81の上面に設ける場合を用いて説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、プレート600の、シャッタ81との対向面に第1封止部605を設けても良い。すなわち、プレート600のシャッタ81と対向する側の面にアリ溝605aを形成し、アリ溝605a内にOリング605bを設けても良い。つまり、Oリング605bは、プレート600の外周に沿って、プレート600の全周に亘って設けても良い。
【0106】
また、Oリング605bが設置される溝は、アリ溝605aに限らず、角溝やL型溝等の他の形状の溝であってもよい。
【0107】
また、上述した態様では、シャッタ81の、下側フランジ部209aとの当接面に第2封止部82と第3封止部83を設ける場合を用いて説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、マニホールド209の下側フランジ部209aの、シャッタ81との当接面に第2封止部82と第3封止部83を設けても良い。
【0108】
また、上述した態様では、シャッタ81の、下側フランジ部209aとの当接面に環状溝84を設ける場合を用いて説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、マニホールド209の下側フランジ部209aの、シャッタ81との当接面に環状溝84を設けても良い。
【0109】
また、上述した態様では、シャッタ81の、内部空間Sに面する面の略中央に、内部空間Sに連通する第1ガス供給口604を設ける場合を用いて説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。第1ガス供給口604は、シャッタ81の略中央に限られず、シャッタ81とプレート600とOリング605bとの間の内部空間Sに連通する位置のいずれかに設ければ良い。また、第1ガス供給口604は、1つに限らず、複数設けても良い。
【0110】
また、上述した態様では、シャッタ81の内部に、シャッタ81及びシャッタ81の周辺を冷却する冷媒流路611を備える場合を用いて説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、シャッタ81の下面に冷媒が流れる配管を設け、シャッタ81の下面からシャッタ81及びシャッタ81の周辺を冷却するようにしても良い。
【0111】
また、上述した態様では、プレート600として、第1の非金属材料である石英やSiCにより構成されたものを用いる場合を例にして説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、プレート600として、少なくとも表面が第1の非金属材料でコーティングされた金属部材により構成されたものを用いればよい。少なくとも表面を第1の非金属材料でコーティングされたものを用いることにより、プレート600の機械的強度を高めつつ、クリーニングガスによる腐食を抑制することができる。プレートとして、例えば第1の非金属材料であるケイ素(Si)溶射、酸化イットリウム(Y)、窒化アルミニウム(AlN)でコーティングされた金属部材を用いることができる。
【0112】
また、上述の態様では、ウエハ200上にAlO膜を形成させて、炉内に堆積されたAlO膜をクリーニングガスを用いてエッチング(除去)する例について説明したが、本開示では、膜種は特に限定されない。また、原料ガス、反応ガス等の成膜工程において用いられるガス種も特に限定されない。
【0113】
また、上述の態様では、クリーニングガスを用いたクリーニング工程において、シャッタ81やその周辺構造を適用する例について説明した。しかし、本開示は、クリーニングガスを用いたクリーニング工程に限定されず、金属材料と反応性を有するガスを用いる工程において、当該構造を適用することもできる。その場合であっても、反応性ガスが金属材料を含む蓋の表面に接触することを防止し、蓋表面の腐食や変質が発生するのを抑制する効果を得ることができる。
【0114】
これらの各種薄膜の形成に用いられるプロセスレシピ(処理手順や処理条件等が記載されたプログラム)は、基板処理、クリーニング処理等の内容(形成する薄膜の膜種、組成比、膜質、膜厚、処理手順、処理条件等)に応じて、それぞれ個別に用意する(複数用意する)ことが好ましい。そして、基板処理、クリーニング処理等を開始する際、基板処理、クリーニング処理等の内容に応じて、複数のプロセスレシピ、クリーニングレシピ等の中から、適正なプロセスレシピ、クリーニングレシピ等を適宜選択することが好ましい。具体的には、基板処理、クリーニング処理等の内容に応じて個別に用意された複数のプロセスレシピ、クリーニングレシピ等を、電気通信回線や当該プロセスレシピ、クリーニングレシピ等を記録した記録媒体(外部記憶装置123)を介して、基板処理装置が備える記憶装置121c内に予め格納(インストール)しておくことが好ましい。そして、基板処理を開始する際、基板処理装置が備えるCPU121aが、記憶装置121c内に格納された複数のプロセスレシピ、クリーニングレシピ等の中から、基板処理の内容に応じて、適正なプロセスレシピ、クリーニングレシピ等を適宜選択することが好ましい。このように構成することで、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の薄膜を汎用的に、かつ、再現性よく形成できるようになる。また、オペレータの操作負担(処理手順や処理条件等の入力負担等)を低減でき、操作ミスを回避しつつ、基板処理を迅速に開始できるようになる。
【0115】
また、本開示は、例えば、既存の基板処理装置のプロセスレシピ、クリーニングレシピ等を変更することでも実現できる。プロセスレシピ、クリーニングレシピ等を変更する場合は、本開示に係るプロセスレシピ、クリーニングレシピ等を電気通信回線や当該プロセスレシピ、クリーニングレシピ等を記録した記録媒体を介して既存の基板処理装置にインストールしたり、また、既存の基板処理装置の入出力装置を操作し、そのプロセスレシピ、クリーニングレシピ等自体を本開示に係るプロセスレシピ、クリーニングレシピ等に変更したりすることも可能である。
【0116】
以上、本開示の一態様及び変形例を具体的に説明した。しかしながら、本開示は上述の態様及び変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0117】
<本開示の好ましい態様>
以下に、本開示の好ましい態様について付記する。
【0118】
(付記1)
本開示の一態様によれば、
基板を処理する反応容器と、
前記反応容器内にクリーニングガスを供給するよう構成されたクリーニングガス供給系と、
前記反応容器の開口を閉塞可能に構成され、金属材料により構成された蓋と、
前記蓋の前記反応容器の内側に面する側の面上に設けられ、少なくとも表面が第1の非金属材料により構成された保護部材と、
前記蓋と前記保護部材がそれぞれ互いに対向する面の間に形成される内部空間と、
前記蓋により前記開口が閉塞された状態において、前記内部空間に不活性ガスを供給するよう構成された不活性ガス供給系と、
を備える基板処理装置が提供される。
【0119】
(付記2)
付記1に記載の装置であって、
前記蓋及び前記保護部材の少なくとも何れかは、前記蓋と前記保護部材との間を第1封止部材により封止する第1封止部を備え、
前記内部空間は、前記蓋と前記保護部材がそれぞれ互いに対向する面と前記第1封止部とによって囲われた空間により構成されている。
【0120】
(付記3)
付記2に記載の装置であって、
前記第1封止部は、前記保護部材の外周に沿って、前記蓋及び前記保護部材の少なくとも何れかの全周に亘って設けられる。
【0121】
(付記4)
付記1~3の何れかに記載の装置であって、
前記保護部材は、その外周端に、前記内部空間と前記反応容器内の空間との間で連通する1又は複数の貫通孔を有する。
【0122】
(付記5)
付記1~4の何れかに記載の装置であって、
前記不活性ガス供給系は、
前記蓋の前記内部空間に面する面に設けられた第1ガス供給口を介して、前記不活性ガスを前記内部空間に供給するよう構成されている。
【0123】
(付記6)
付記5に記載の装置であって、
前記蓋は、前記反応容器の開口端との当接面に面する位置に設けられたガス導入口と、前記ガス導入口と前記第1ガス供給口が連通されるように接続するガス流路と、を備え、
前記反応容器は、前記蓋との前記当接面に面する位置に設けられた第2ガス供給口を備え、
前記第2ガス供給口と前記ガス導入口は、前記反応容器の前記開口が閉塞された状態において、前記第2ガス供給口と前記ガス導入口が連通されるように配置されている。
【0124】
(付記7)
付記6に記載の装置であって、
前記蓋及び前記開口端の少なくとも何れかは、前記当接面に面している前記蓋の外周に沿って設けられた溝を備え、
前記第2ガス供給口は、前記蓋により前記開口が閉塞された状態において、前記溝を介して前記ガス導入口に接続される。
【0125】
(付記8)
付記7に記載の装置であって、
前記蓋及び前記開口端の少なくとも何れかは、前記蓋の外周に沿って設けられている、前記蓋により前記開口が閉塞された状態において第2封止部材により前記当接面の間を封止する第2封止部を備え、
前記溝は、前記第2封止部よりも前記反応容器の中心から見て内側に設けられる。
【0126】
(付記9)
付記8に記載の装置であって、
前記蓋部と前記反応容器の前記開口端との間には、前記蓋により前記開口が閉塞された状態において前記溝と前記反応容器内の空間とを連通させる間隙が設けられる。
【0127】
(付記10)
付記9に記載の装置であって、
前記保護部材は、前記蓋により前記開口が閉塞された状態において、前記保護部材の外周端が前記開口端の内周よりも前記反応容器の中心から見て外側に位置するように設けられる。
【0128】
(付記11)
付記1~10の何れかに記載の装置であって、
前記反応容器の前記開口端は、マニホールドにより構成されている。
【0129】
(付記12)
付記1~11の何れかに記載の装置であって、
前記保護部材は、ネジ(ボルト)によって前記蓋に固定される。
【0130】
(付記13)
付記12に記載の装置であって、
前記ネジは、第2の非金属材料により形成されている。
【0131】
(付記14)
付記1~13の何れかに記載の装置であって、
前記クリーニングガス供給系から前記反応容器内に前記クリーニングガスを供給しながら、前記不活性ガス供給系から前記不活性ガスを前記内部空間内に供給するように、前記クリーニングガス供給系及び前記不活性ガス供給系を制御可能に構成された制御部、を更に備える。
【0132】
(付記15)
付記14に記載の装置であって、
前記反応容器内を排気する排気系を更に備え、
前記制御部は、前記クリーニングガスが供給されている前記反応容器内の圧力よりも、前記内部空間内の圧力が高くなるように、前記クリーニングガス供給系、前記不活性ガス供給系、及び前記排気系を制御可能に構成されている。
【0133】
(付記16)
付記1~15の何れかに記載の装置であって、
前記蓋の内部又は下面に設けられる冷媒流路を更に備える。
【0134】
(付記17)
付記1~16の何れかに記載の装置であって、
前記保護部材は、石英および炭化シリコンの少なくとも何れかにより構成されている。
【0135】
(付記18)
付記1~16の何れかに記載の装置であって、
前記保護部材は、表面が前記第1の非金属材料でコーティングされた金属部材により構成されている。
【0136】
(付記19)
本開示の他の態様によれば、
基板を処理する反応容器の開口を、金属材料により構成された蓋により閉塞する工程と、
前記蓋により前記開口が閉塞された状態において、前記蓋と、前記蓋の前記反応容器の内側に面する側の面上に設けられ、少なくとも表面が第1の非金属材料で構成された保護部材と、がそれぞれ互いに対向する面の間に形成される内部空間に不活性ガスを供給する工程と、
前記内部空間に前記不活性ガスが供給された状態において、前記反応容器内にクリーニングガスを供給する工程と、
を有するクリーニング方法が提供される。
【0137】
(付記20)
本開示のさらに他の態様によれば、
基板が収容された反応容器内に成膜ガスを供給することにより、前記基板上に膜を形成する工程と、
前記膜が形成された前記基板を前記反応容器内から搬出する工程と、
前記反応容器内から前記基板が搬出された後、付記19に記載のクリーニング方法を行う工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0138】
(付記21)
本開示のさらに他の態様によれば、
付記19又は付記20における各手順(各工程)をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム(を記録したコンピュータにより読み取り可能な記録媒体)が提供される。
【符号の説明】
【0139】
10 基板処理装置
81、91 シャッタ(蓋)
121 コントローラ(制御部)
200 ウエハ(基板)
201 処理室
203 プロセスチューブ
209 マニホールド
600、800 プレート(保護部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9