(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】モーション・キャプチャ・システム
(51)【国際特許分類】
G03B 17/02 20210101AFI20230907BHJP
G03B 17/18 20210101ALI20230907BHJP
H04N 23/66 20230101ALI20230907BHJP
H04N 23/90 20230101ALI20230907BHJP
G03B 15/00 20210101ALN20230907BHJP
【FI】
G03B17/02
G03B17/18
H04N23/66
H04N23/90
G03B15/00 U
(21)【出願番号】P 2021183920
(22)【出願日】2021-11-11
(62)【分割の表示】P 2018516640の分割
【原出願日】2016-04-22
【審査請求日】2021-11-17
(32)【優先日】2015-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517430646
【氏名又は名称】オックスフォード メトリックス ピーエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100125450
【氏名又は名称】河野 広明
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド レイノルズ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー キングマン
(72)【発明者】
【氏名】ベン フリーマン
(72)【発明者】
【氏名】シェイン ロウ
(72)【発明者】
【氏名】ポール テイト
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン マルトン
(72)【発明者】
【氏名】イモージェン ムーアハウス
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-212428(JP,A)
【文献】特表2015-510710(JP,A)
【文献】国際公開第2014/155730(WO,A1)
【文献】特開2013-232901(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0320687(US,A1)
【文献】特開2012-039468(JP,A)
【文献】特開2006-025941(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0021486(US,A1)
【文献】特開2011-188210(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0216208(US,A1)
【文献】特開2013-167862(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0267456(US,A1)
【文献】特開2000-307928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/02
G03B 17/18-17/20
H04N 23/66
H04N 23/90
G03B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々のカメラが標的シーンに向けられるように固定的に取り付けられている、複数個のカメラと、
前記複数個のカメラの各々からの画像データを使用して処理を実行するように構成される処理装置と、を備え、
前記カメラの各々は加速度計を備え、前記処理装置は前記加速度計からの出力に依存する処理を実行するように構成さ
れ、前記処理は、前記加速度計からの出力に基づいて前記カメラのうちの1つを選択することと、前記カメラのどれが選択されたかに応じて選択されたカメラ処理を実行することと、を含み、
前記選択されたカメラ処理は、前記選択されたカメラからのデータを、前記選択されたカメラとは別のディスプレイに表示することを含む、
モーション・キャプチャ・システム。
【請求項2】
前記選択されたカメラ処理は、複数個の前記カメラからのデータを表示することと、前記表示されたデータのうちのどれが前記選択されたカメラに対応するかを示す視覚情報を提供することとを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記選択されたカメラ処理は、前記選択されたカメラからのデータを表示し、他のカメラからのデータは表示しないことを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記表示されたデータは、前記選択されたカメラがキャプチャした画像データを含む、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記表示されたデータは、前記選択されたカメラの構成データを含む、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記選択されたカメラ処理は、ユーザが前記選択されたカメラを制御できるようにする選択されたカメラインタフェースをユーザに提供することを含む、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記選択されたカメラインタフェースは、複数個の前記カメラの制御を可能にし、前記カメラのうちのどれが前記選択されたカメラであるかを示す視覚表示を提供する、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記選択されたカメラインタフェースは、前記選択されたカメラを制御可能にし、他のカメラは制御可能にしない、
請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記処理装置は、前記カメラのうちの1つからの前記加速度計の前記出力における所定の閾値より大きい変動に応じて、該カメラを選択するように構成される、
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記処理装置は、前記カメラのうちの1つからの前記加速度計の出力が所定のシグネチャ出力と一致する場合に該カメラを選択するように構成される、
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記所定のシグネチャ出力は、ユーザが前記カメラを指でタップすることによる出力に対応する、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記所定のシグネチャ出力は、ユーザが前記カメラを所定の複数回タップすることによる出力に対応する、
請求項10又は請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記カメラの各々は、物理的に別個の装置であり、前記他のカメラから独立して取り付け可能である、
請求項1乃至
請求項12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記処理装置は、前記カメラの各々と無線で通信するように構成されたポータブル・コンピューティング・デバイスに設けられる、
請求項1乃至
請求項13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記処理装置は、前記加速度計からの出力に基づいて前記カメラのいずれかの向きの変化を検出するように構成される、
請求項1乃至
請求項14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
カメラの向きの変化の前記検出は、該カメラに対する重力方向の変化を検出することによって実行される、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記処理装置は、カメラにおいて第1の方向の加速度の変動が検出された場合には前記カメラに関連する第1の方向選択処理を実行し、かつ前記カメラにおいて第2の方向の加速度の変動が検出された場合には、前記カメラに関連する第2の方向選択処理を実行するように構成され、前記第1および第2の方向は互いに異なり、前記第1および第2の方向選択処理は互いに異なる、
請求項1乃至
請求項16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
複数個のカメラを使用してモーションキャプチャを実行する方法であって、前記カメラの各々は、加速度計を備え
、標的シーンに向けられるように固定的に取り付けられ、前記方法は、
前記加速度計からの出力に依存する処理を処理装置で実行することを含
み、前記処理は、前記加速度計からの出力に基づいて前記カメラのうちの1つを選択することと、前記カメラのどれが選択されたかに応じて選択されたカメラ処理を実行することと、を含み、
前記選択されたカメラ処理は、前記選択されたカメラからのデータを、前記選択されたカメラとは別のディスプレイに表示することを含む、
方法。
【請求項19】
前記選択されたカメラ処理は、複数個の前記カメラからのデータを表示することと、前記表示されたデータのうちのどれが前記選択されたカメラに対応するかを示す視覚情報を提供することとを含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記選択されたカメラ処理は、前記選択されたカメラからのデータを表示し、他のカメラからのデータは表示しないことを含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記表示されたデータは、前記選択されたカメラがキャプチャした画像データを含む、
請求項18乃至請求項20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記表示されたデータは、前記選択されたカメラの構成データを含む、
請求項18乃至請求項21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記選択されたカメラ処理は、ユーザが前記選択されたカメラを制御できるようにする選択されたカメラインタフェースをユーザに提供することを含む、
請求項18乃至請求項22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記選択されたカメラインタフェースは、複数個の前記カメラの制御を可能にし、前記カメラのうちのどれが前記選択されたカメラであるかを示す視覚表示を提供する、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記選択されたカメラインタフェースは、前記選択されたカメラを制御可能にし、他のカメラは制御可能にしない、
請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記処理は、前記カメラのうちの1つからの前記加速度計の前記出力における所定の閾値より大きい変動に応じて、該カメラを選択することを含む、
請求項18乃至請求項25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記処理は、前記カメラのうちの1つからの前記加速度計の出力が所定のシグネチャ出力と一致する場合に該カメラを選択することを含む、
請求項18乃至請求項26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記所定のシグネチャ出力は、ユーザが前記カメラを指でタップすることによる出力に対応する、
請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記所定のシグネチャ出力は、ユーザが前記カメラを所定の複数回タップすることによる出力に対応する、
請求項27又は請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記処理は、前記加速度計からの出力に基づいて前記カメラのいずれかの向きの変化を検出することを含む、
請求項18乃至請求項29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
カメラの向きの変化の前記検出は、該カメラに対する重力方向の変化を検出することによって実行される、
請求項30に記載の方法。
【請求項32】
カメラの向きの前記検出された変化を使用して、前記カメラの前記取り付けのずれを検出することとをさらに含む、
請求項30又は請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記処理は、カメラにおいて第1の方向の加速度の変動が検出された場合に前記カメラに関連する第1の方向選択処理を実行することと、前記カメラにおいて第2の方向の加速度の変動が検出された場合に前記カメラに関連する第2の方向選択処理を実行することとを含み、前記第1および第2の方向は互いに異なり、前記第1および第2の方向選択処理は互いに異なる、
請求項18乃至請求項32のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーション・キャプチャ・システムおよびモーションキャプチャを実行する方法に関し、複数個のカメラはそれぞれ加速度計および/または温度センサを備える。
【背景技術】
【0002】
モーション・キャプチャ・システムは、通常、ターゲット、例えばアクタの動きがキャプチャされるターゲット領域を監視するように構成される複数個のカメラを含む。キャプチャされた動きは、例えば、アクタの動きに基づいて、映画またはコンピュータゲームにおいてデジタルキャラクタをアニメーション化するために使用されてもよい。一般的には、このようなシステムでは、カメラの各々は別個の位置に取り付けられ、かつターゲット領域の方に向けられなければならない。また、カメラは、較正され、かつデスクトップやラップトップコンピュータ、またはタブレットなどの処理装置に接続される必要がある。このようなモーション・キャプチャ・システムをセットアップするには、例えば処理装置と各カメラおよび/または関与する複数の人との間をオペレータが複数回往復しなければならず、時間がかかる可能性がある。例えば、1人が処理装置を直接操作する一方で、1人以上の別の人が処理装置の人とやりとりしながら部屋中を移動して各カメラを個別に調整し確認することがある。処理装置の人は、あるカメラから次のカメラに移動操作者が移動するときに、カメラの各々がキャプチャする画像についてのフィードバックを移動操作者に提供できる。
【0003】
モーション・キャプチャ・システムは、環境条件や外乱に敏感な場合がある。例えば、(例えば、軽くたたくこと、熱膨張/収縮、曲がりなどによる)カメラの取り付け状態のずれにより、カメラの位置または向きが経時的に変化することがある。これは、モーション・キャプチャ・プロセスに悪影響を及ぼす、および/または頻繁で時間がかかる再較正が必要となる可能性がある。
【0004】
既存のシステムのさらなる課題は、例えばレンズからカメラの撮像装置までの光路に差を生じさせることによるカメラ自体の温度変化が、カメラの性能を変える可能性があることである。これらの影響は、場合によっては、温度が定常状態に達した後にカメラを較正することによって緩和できる。しかし、このような較正をいつ行うかを判断するのは困難である。ユーザは、カメラの較正やシステムの使用を開始する前に、システムを起動してから一定期間待機するように指示されることがある。しかし、これは不便な遅延をもたらす可能性がある。さらに、このような手法は、再現性よく定常状態温度に到達しない場合、または、例えば個々のカメラの活動または周囲環境の温度の変化のためにシステムの使用中に温度が変化する場合は有効ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記の課題の1つ以上を少なくとも部分的に解決するモーション・キャプチャ・システムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、モーション・キャプチャ・システムは、複数個のカメラと、複数個のカメラの各々からの画像データを使用して処理を実行する処理装置とを備え、カメラの各々は加速度計を備え、処理装置は加速度計からの出力に依存する処理を実行するように構成される。
【0007】
したがって、個々のカメラが各カメラに設けられた加速度計からの出力に反応できるシステムが提供される。この機能は、モーション・キャプチャ・システムのセットアップおよびメンテナンス方法の柔軟性を高め、ユーザと個々のカメラとを近接させることを含む特定の手順を容易にする。例えば、カメラをタップまたはダブルタップするなどして加速度計出力に変動をもたらすことでユーザが個々のカメラを選択できるように加速度計出力が使用されるよう、システムを構成できる。加速度計は、代替的にまたは追加的に、カメラの向きの望ましくないずれを検出するために使用されてもよく、それにより調査動作および/または再較正手順を促す。
【0008】
本発明の一態様によれば、モーション・キャプチャ・システムは、複数個のカメラと、複数個のカメラの各々からの画像データを使用して処理を実行する処理装置とを備え、各カメラは温度センサを備え、処理装置は温度センサからの出力に依存する処理を実行するように構成される。
【0009】
したがって、個々のカメラが各カメラの温度変化に反応できるシステムが提供される。この機能は、カメラに電源が投入されてからいつ定常状態温度に達したか検出するのを容易にし、定常状態でより確実に、さらにことによると他の手法を使用するよりも早く較正手順を開始できる。この機能により、電源投入直後以外、例えば環境温度の変化のために発生し得る温度変化に反応することも可能となる。
【0010】
本発明の別の態様によれば、複数個のカメラを使用してモーションキャプチャを実行する方法が提供され、ここで各カメラは加速度計を備え、方法は、加速度計からの出力に依存する処理を処理装置で実行することを含む。
【0011】
本発明の別の態様によれば、複数個のカメラを使用してモーションキャプチャを実行する方法が提供され、ここで各カメラは温度センサを備え、方法は、温度センサからの出力に依存する処理を処理装置で実行することを含む。
【0012】
本発明の実施形態は、対応する参照符号が対応する部分を示す添付の図面を参照して、単なる例として記載される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】ターゲット領域に向けられたモーション・キャプチャ・システムの複数個のカメラの上面図である。
【
図3】
図2の複数個のカメラのうちの単一のカメラの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
一例が
図1~
図3に示されている一実施形態では、複数個のカメラ4を備えるモーション・キャプチャ・システム2が提供される。処理装置6は、複数個のカメラ4の各々から受信した画像データを使用して処理を実行するように構成される。処理は、例えばモーションキャプチャの実行に関連する処理を含んでいてもよい。これに関連して、モーションキャプチャは、例えば映画またはコンピュータゲームにおいてデジタルキャラクタをアニメーション化する目的でアクタの動きを記録するために、動きのパターンをデジタルに記録する少なくともいずれかのプロセスまたは技法を包含するものと理解される。任意選択的に、複数個のカメラ4のうちの1つ以上は、モーションキャプチャ手順に関与する処理を実行するように構成されてもよい。例えば、カメラは、カメラがキャプチャした画像データを前処理してからデータを処理装置に送ってもよい。処理装置6は、様々な形態を取ってもよい。例えば、処理装置6は、コンピュータ(例えば、デスクトップまたはラップトップPC)、タブレットコンピュータ、スマートフォン、または互いに通信するこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。処理装置6は、ディスプレイ8を含んでいてもよい。処理装置6は、処理ハードウェア10(例えば、CPU、メモリなど)、およびユーザが処理装置6と相互作用できるようにするインタフェース12をさらに含んでいてもよい。インタフェースは、タッチスクリーン、キーボード、マウス、または他の入力装置を含んでいてもよい。
【0015】
一実施形態では、カメラ4の各々は、加速度計22を備えている。そのようなカメラの例を
図3に示す。このタイプの実施形態では、処理装置6は、加速度計22からの出力に依存する処理を実行するように構成される。
【0016】
一実施形態では、処理装置6は、カメラ4のうちの1つの加速度計22からの出力に基づいて、当該カメラ4を選択するように構成される。処理装置6は、どのカメラ4が選択されたかに応じる、選択されたカメラ処理を実行するようにさらに構成される。選択されたカメラ処理は、選択されたカメラに関連する様々な異なる機能を含んでいてもよい。一実施形態では、選択されたカメラ処理は、選択されたカメラ4からのデータを、例えばディスプレイ8に表示することを含む。したがって、この機能により、加速度計からの出力を特定の方法で変化させる(例えば、タップまたは他の方法でカメラ4を操作する)だけで、ユーザは特定のカメラに関連するデータを見ることができる。
【0017】
一実施形態では、選択されたカメラ処理は、複数個のカメラからのデータを表示することと、表示されたデータのうちのどれが選択されたカメラに対応するかを示す視覚情報を提供することとを含む。例えば、処理装置6は、複数個のカメラ4がキャプチャした画像データを、ディスプレイ8の対応する複数個の別々のウィンドウに表示するように構成されてもよい。選択されたカメラは、例えば、選択されたカメラに対応するウィンドウを強調表示することによって、または該当ウィンドウを他のウィンドウに対して前面に持ってくることによって示されてもよい。
【0018】
代替的にまたは追加的に、選択されたカメラ処理は、選択されたカメラからのデータを表示し、他のカメラからのデータは表示しないことを含んでいてもよい。このように、カメラの加速度計22からの出力の特性変化をもたらすカメラ操作を使用して、異なるカメラからのデータをディスプレイ8に切り替え表示させることができる。
【0019】
上記の機能は、処理装置6がラップトップまたはタブレットのようなポータブル部を含む場合に特に便利なことがある。この場合、ユーザは、ポータブル部をシステム内のあるカメラ4から他のカメラ4に運ぶことができ、加速度計からの出力を(例えばカメラ4をタップして)変化させるだけで、現在自分の隣にあるカメラに関連するデータを便利に選択して見ることができる。この機能により、ユーザは、ポータブル部自体と手動でやりとりしてカメラを選択する必要がなくなる。この手法は、特に多くの異なるカメラ4が設けられている場合に、かなりの時間と労力を節約できる。
【0020】
一実施形態では、選択されたカメラ処理で表示されるデータは、選択されたカメラ4がキャプチャした画像データを含む。代替的にまたは追加的に、表示されるデータは、選択されたカメラの構成データを含む。構成データは、カメラ4の任意の動作パラメータまたは他のパラメータを含んでいてもよい。一実施形態では、選択されたカメラ処理は、ユーザが選択されたカメラ4を制御できるようにする選択されたカメラインタフェースを、例えばディスプレイ8の一部として提供することを含み、これは例えばディスプレイ12のタッチスクリーンのアクティブ部分である。したがって、ユーザは、カメラ4をタップしたり操作したりして加速度計22からの出力を変化させることで、選択されたカメラ4を、処理装置6(例えば、ラップトップまたはタブレット)を介して制御できるインタフェースを便利に呼び出せる。
【0021】
選択されたカメラインタフェースは、複数個のカメラ4の制御を可能にし、カメラ4のうちのどれが選択されたカメラ4であるかを示す視覚表示を提供してもよい。この手法により、ユーザは、選択されたカメラ4を制御しながら、他のカメラからの構成データまたは他の関連データを見ることができる。これは、他のカメラからのデータが比較または参照するのに関連性がある場合に有用であり得る。
【0022】
一実施形態では、選択されたカメラインタフェースは、選択されたカメラ4を制御可能に構成され、他のカメラ4を制御可能に構成されない。選択されたカメラ4に関連する様々な他の機能が、選択されたカメラインタフェースによって提供されてもよい。
【0023】
一実施形態では、処理装置6は、カメラ4のうちの1つからの加速度計22の出力における所定の閾値より大きい変動(例えば、加速度の大きさに比例する変動の振幅、または変動の持続時間)に応じて、当該カメラ4を選択するように構成される。変動は、例えば、システムのユーザがカメラ4を軽くタップすることで起きてもよい。
【0024】
代替的にまたは追加的に、処理装置6は、カメラ4のうちの1つからの加速度計22の出力が所定のシグネチャ出力と一致する場合に、当該カメラ4を選択するように構成されてもよい。所定のシグネチャ出力は、ユーザがカメラを指でタップすることによる出力、またはカメラ4の取り付けを妨げない、ユーザによるカメラの他の任意の操作に対応してもよい。したがって、一般的には、処理装置6は、(単一またはダブルタッピングなど複数回の)タッピングまたは他の同様の軽い相互作用のようなユーザとカメラ4との比較的軽い相互作用を検出するように構成される。所定のシグネチャ出力は、一種類以上の想定相互作用に対するカメラ加速度計22の反応を記録することによって決定されてもよい。例えば、様々な単一の指タップに対する反応を記録でき、平均的な反応を所定のシグネチャ出力として使用できる。使用中のカメラ4をユーザがタップすると、加速度計22の反応を記録された平均反応と比較することができ、2つの反応が十分に同様である場合、加速度計からの出力と所定のシグネチャ出力とが一致していると推測できる。例えば、出力における変動の持続時間、出力の変動の振幅、または変動の振幅の経時変化を含む加速度計出力の様々な態様を、比較に使用できる。変動の振幅の経時変化を使用することは、例えば、ユーザによる相互作用がより複雑な形態、例えばダブルタップをとる場合に特に適切であり得る。この場合、例えば、加速度計出力22の変動における極大値のペアおよび/または最大値の時間分離を検出して、ユーザの相互作用がダブルタップの所定のシグネチャ出力と一致するかどうかを判定することが適切であり得る。
【0025】
一実施形態では、処理装置6は、加速度計22からの出力における変動の方向によって異なる反応をするように構成される。例えば、処理装置6は、カメラ4が一方の側面で(したがって第1の方向、例えば第1の側面に実質的に垂直な内向きの方向に)タップされる場合には第1の方向選択処理を実行し、カメラ4が第2の側面で(したがって第1の方向とは異なる第2の方向、例えば第2の側面に実質的に垂直な内向きの方向に)タップされる場合には第1の方向選択処理とは異なる第2の方向選択処理を実行するように構成される。例えば、第1の方向選択処理は、カメラがキャプチャした画像データの表示を含んでいてもよく、第2の方向選択処理は、カメラの構成データの表示を含んでいてもよい。
【0026】
図2は、モーション・キャプチャ・システム2の4つのカメラ4をターゲット領域16に向くように構成する方法を示している。カメラ4を4つ設置するのは例示的なものである。必要に応じて、4つ未満または4つ以上のカメラ4を設置してもよい。一般的に、カメラ4の各々は物理的に別個の装置である。カメラ4の各々は、一般的に、他のカメラ4から独立して取り付け可能である。図示された例では、カメラ4は、別個の取り付け支持部14に取り付けられている。
【0027】
カメラ4は、様々な方法で処理装置6と相互作用するように構成できる。例えば、カメラ4の各々と処理装置6との間に配線を設けてもよい。代替的にまたは追加的に、カメラ4と処理装置6との間で無線データ転送が可能である。
【0028】
上記の実施形態では、カメラ4内の加速度計22は、ユーザが近接しているカメラを選択する、および/またはそのカメラに関連する機能を選択するのに便利な方法を提供するために使用される。しかし、加速度計22は、上記の機能に加えて、または上記の機能の代替として、他の目的のために使用されてもよい。
【0029】
例えば、一実施形態では、処理装置6は、加速度計22からの出力に基づいて1つ以上のカメラ4の向きの変化を検出するように構成される。これは、カメラ4に対する重力方向の変化を検出することによって実現してもよい。これは、
図3の側面図に概略的に示されている。矢印26は、加速度計22に対する重力方向を示している。重力は加速度として作用するので加速度計22によって検出される。加速度計22は、カメラ4の基準軸28に対する重力26の方向を検出できる。
図3に示す例では、これによって加速度計22は、カメラ4の垂直に対する傾斜角24を決定できる。一般的には、モーション・キャプチャ・システム2をセットアップする際、カメラ4のうちの1つ以上が固定して取り付けられて較正されてから、モーション・キャプチャ・システムが使用されてターゲット領域16の動きがキャプチャされる。較正プロセスが終了した後のカメラ4の位置または向きのずれは、画像キャプチャプロセスの品質低下につながる。このようなずれは、例えば、カメラ4または取り付け14を軽くたたくことや、温度変化やそれに付随するカメラ4または取り付け14の熱膨張/収縮、または取り付け14のたわみまたは曲がりなどによって発生し得る。本発明者らは、そのような広範囲のずれが重力方向に対するカメラ4の向きの変化を含み、これが加速度計22によって検出され得ることを認識してきた。このように、加速度計22は、いつカメラ取り付けにずれが発生したかを処理装置6が検出するための便利で正確な方法を提供する。長期間の温度変化などにより取り付けが徐々に傾いたり変化したりするような、時間経過とともにゆっくりと生じる変化であっても、加速度計22は、カメラ4の向きの絶対的な測定値と同じカメラ4の向きの以前の絶対的な記録とを比較することによって、向きの変化を検出できる。例えば、システムを一晩放置した場合、午前中の加速度計22からの出力と前日から記録された出力とを比較できる。有意な変動(例えば、所定の閾値より大きい変動)は、カメラの位置が著しく変化したこと、したがって取り付けの確認および/または再較正が必要であることを示す。
【0030】
上記の実施形態では、カメラ4の各々には加速度計22が設けられている。これらおよび他の実施形態では、カメラ4の各々は、代替的または追加的に、カメラの状態に関する有用な情報を提供する1つ以上の他のセンサを備えていてもよい。
【0031】
一実施形態では、カメラ4の各々は、温度センサ18を備えている。温度センサ18は、加速度計22の代わりに、または加速度計22に加えて設けられてもよい。処理装置6は、このような実施形態では、温度センサ18からの出力に依存する処理を実行するように構成される。一実施形態では、処理装置6は、1つ以上のカメラ4の温度の視覚表示を提供するように構成される。視覚表示は、例えば処理装置6のディスプレイ12上に提供されてもよい。代替的にまたは追加的に、温度の視覚表示は個々のカメラ4に提供されてもよい。一実施形態では、各カメラ4の温度センサ18は、カメラ4内のPCBなどのコンピュータ処理ハードウェア20に搭載される。したがって、このような実施形態での温度センサ18は、コンピュータ処理ハードウェア20の温度を測定するように構成される。一般的には、カメラ4に電源が投入されると、カメラ4内のコンピュータ処理ハードウェア20に電力が供給され、それによりハードウェア20が発熱する。この発熱は、コンピュータ処理ハードウェア20の動作特性の変化および/またはカメラの他の部品の特性の変化をもたらす可能性がある。例えば、熱は、コンピュータ処理ハードウェア20からカメラの光学部品または機械部品へ伝導されることがあり、例えば、カメラ4のレンズと、レンズのピクセルで受けた光をキャプチャされた画像を表す電気信号に変換するように構成される画像キャプチャ装置との間がある。コンピュータ処理ハードウェア20の温度を測定することによって、例えば、ハードウェア20の温度がいつ定常状態に達したかを検出できる。この時点で、熱が原因で起きるカメラ4の特性のさらなる変化は、非常に小さいだろう。したがって、その後の温度変化によって較正状態から著しくずれる可能性は低いので、ユーザはこの時点で安心して較正手順を開始できる。あらゆる温度安定化期間よりも安全であるように長めに選択された所定のタイプをユーザが待つだけの代替的な手法と比較して、本実施形態の手法により、ユーザは、より早期におよび/または定常状態の温度領域におけるより確実な時点で較正手順を開始できる。