(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】車両用の電気機械
(51)【国際特許分類】
H02K 9/19 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
H02K9/19 B
(21)【出願番号】P 2021513215
(86)(22)【出願日】2019-07-24
(86)【国際出願番号】 EP2019069903
(87)【国際公開番号】W WO2020052846
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】102018215608.5
(32)【優先日】2018-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
【住所又は居所原語表記】Pragstrasse 26-46, D-70376 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セヴァー ピーター
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-009561(JP,A)
【文献】特開2002-095217(JP,A)
【文献】実開昭63-029365(JP,U)
【文献】実開昭61-072063(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2011/0304226(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0342052(US,A1)
【文献】西独国特許出願公開第2312334(DE,A1)
【文献】仏国特許出願公開第2711283(FR,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0212494(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/19
H02K 5/173
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械(1)
であって、
ステータ(4)と、
前記ステータ(4)に対して、前記
電気機械(1)の軸方向(A)を規定する回転軸(D)周りに回転可能なロータ(5)と、
ハウジング内部(3)を少なくとも部分的に囲むハウジング(2)であって、
前記軸方向(A)に沿って前記ハウジング内部(3)を境界づける第1および第2のハウジング部材(8a、8b)を備え、該第1および第2のハウジング部材(8a、8b)上に前記ロータ(5)がベアリングデバイス(9)によって回転可能に装着される、ハウジング(2)と、
を有し、
前記軸方向(A)における、前記
第1および第2のハウジング部材(8a、8b)
と前記ロータ(5)との間には、
第1および第2の熱伝達体(11a、11b)が配置され、
前記ハウジング(2)の一部であり、かつ前記電気機械(1)を半径方向に境界づけ、かつプラスチック製の、前記ステータ(4)の射出成形封入体によって形成される第3のハウジング部材(8c)を更に備え、
前記
第1および第2の熱伝達体(11a、11b)は、前記
第1、第2および第3のハウジング部材(8a、8b
、8c)とともに、
冷却材(K)が流動可能な冷却材空間(15)であって、
冷却ダクト、冷却材ディストリビュータ空間、および冷却材コレクタ空間の少なくとも1つである冷却空間を境界づけられ
、
前記冷却材空間(15)内に突出する、前記第3のハウジング部材(8c)に一体に形成された巻線端部(26)の内周と前記第1および第2の熱伝達体(11a、11b)の外周との間に前記冷却材空間(15)の一部である環状の隙間(27)が設けられる、電気機械。
【請求項2】
請求項1に記載の
電気機械において、
前記
第1および第2の熱伝達体(11a、11b)は、前記
第1および第2のハウジング部材(8a、8b)と
は別体に形成されることを特徴とする
電気機械。
【請求項3】
請求項1または2に記載の
電気機械において、
前記
第1および第2の熱伝達体(11a、11b)および前記
第1および第2のハウジング部材(8a、8b)は、材料に関して不均一に構成され、かつ、
前記
第1および第2の熱伝達体(11a、11b)の材料は、前記第1および第2のハウジング部材(8a、8b)の
材料よりも高い熱伝導率を有し、かつ、
前記第1および第2のハウジング部材(8a、8b)
の材料は、前記
第1および第2の熱伝達体(11a、11b)の材料よりも高い上降伏強度およびクリープ限界の少なくとも1つを有することを特徴とする
電気機械。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の
電気機械において、
前記
第1および第2の熱伝達体(11a、11b)および前記ロータ(5)は、前記ロータ(5)から前記
第1および第2の熱伝達体(11a、11b)に熱を伝達するための熱伝達構造(18)を備えることを特徴とする
電気機械。
【請求項5】
請求項4に記載の
電気機械において、
前記熱伝達構造(18)および前記
第1および第2のハウジング部材(8a、8b)は、材料に関して不均一に構成されることを特徴とする
電気機械。
【請求項6】
請求項4または5に記載の
電気機械において、
前記熱伝達構造(18)の材料の熱伝導率は、前記第1および第2のハウジング部材(8a、8b)
の材料よりも高いことを特徴とする
電気機械。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか1項に記載の
電気機械において、
前記
第1および第2の熱伝達体(11a、11b)および前記熱伝達構造(18)は、材料に関して均一に構成されることを特徴とする
電気機械。
【請求項8】
請求項
4~7のいずれか1項に記載の
電気機械において、
前記ロータ(5)は、前記ハウジング部材(8a、8b)に
前記ベアリングデバイス(9)を介して直接装着されることを特徴とする
電気機械。
【請求項9】
請求項4~8のいずれか1項に記載の
電気機械において、
前記ロータ(5)は、前記
第1および第2のハウジング部材(8a、8b)に、前記熱伝達構造(18)または前記
第1および第2の熱伝達体(11a、11b)を介しては、装着されないことを特徴とする
電気機械。
【請求項10】
請求項
4~9のいずれか1項に記載の
電気機械において、
前記第1および第2のハウジング部材(8a、8b)
の前記軸方向(A)に測定される壁厚は、前記
第1および第2の熱伝達体(11a、11b)の壁厚の少なくとも2倍
であることを特徴とする
電気機械。
【請求項11】
請求項
4~10のいずれか1項に記載の
電気機械において、
前記冷却材空間(15)
を境界づけるための
第1および第2の熱伝達体(11a、11b)が設けられ、
前記第1の熱伝達体(11a)は、前記軸方向(A)に沿って、前記第1のハウジング部材(8a)と前記ロータ(5)との間に配置され、
前記第2の熱伝達体(11b)は、前記軸方向(A)に沿って、前記ロータ(5)と前記第2のハウジング部材(8b)との間に配置されることを特徴とする
電気機械。
【請求項12】
請求項
4~11のいずれか1項に記載の
電気機械において、
前記ベアリングデバイス(9)は、前記ロータが、軸方向に沿って、
第1および第2のベアリング要素(10a、10b)の間に配置されるように、軸方向に互いに離れて配置される第1のベアリング要素(10a)と第2のベアリング要素(10b)とを備え、
前記
第1および第2のベアリング要素(10a、10b)の軸方向位置は、前記
第1および第2のベアリング要素によって吸収される半径方向の力の35%未満
が前記熱伝達体に渡されるように規定されることを特徴とする
電気機械。
【請求項13】
請求項
4~12のいずれか1項に記載の
電気機械において、
前記ベアリングデバイス(9)は、第1のベアリング要素(10a)と第2のベアリング要素(10b)とを備え、前記ロータ(5)は、前記第1のベアリング要素(10a)および前記第2のベアリング要素(10b)によって、それぞれ前記第1のハウジング部材(8a)および前記第2のハウジング部材(8b)に装着され、前記第2のベアリング要素(10b)は、前記第1のベアリング要素(10a)から軸方向に離れて配置され、
前記軸方向(A)に沿って、
前記第1の熱伝達体(11a)と前記第1のハウジング部材(8a)との間で測定される距離が、前記軸方向(A)に沿って、前記第1のベアリング要素(10a)と前記第1のハウジング部材(8a)との間で測定される距離よりも大きく
、
前記軸方向(A)に沿って、
前記第2の熱伝達体(11b)と前記第2のハウジング部材(8b)との間で測定される距離が、前記軸方向(A)に沿って、前記第2のベアリング要素(10b)と前記第2のハウジング部材(8b)との間で測定される距離よりも大き
いことを特徴とする
電気機械。
【請求項14】
請求項
4~13のいずれか1項に記載の
電気機械において、
前記ステータ(4)は、前記
第1および第2のハウジング部材(8a、8b)のうち少なくとも1つに取り付けられることを特徴とする
電気機械。
【請求項15】
請求項
4~14のいずれか1項に記載の
電気機械において、
前記ステータ(4)は、前記
第1および第2の熱伝達体(11a、11b)から離れて配置されるか、または前記
第1および第2の熱伝達体(11a、11b)上に単に緩んだ状態で載置されることを特徴とする
電気機械。
【請求項16】
請求項
4~15のいずれか1項に記載の
電気機械において、
前記
第1および第2の熱伝達体(11a、11b)は、前記
第1および第2のハウジング部材(8a、8b)に取り付けられ、
前記
第1および第2の熱伝達体(11a、11b)
並びに前記
第1および第2のハウジング部材(8a、8b)は、一体として構成されることを特徴とする
電気機械。
【請求項17】
請求項
4~16のいずれか1項に記載の
電気機械において、
前記熱伝達構造(18)は、少なくとも2つ
の、凸部(21)を備え、前記凸部(21)は、前記ロータ(5)から前記
第1および第2の熱伝達体(11a、11b)へ向かって軸方向に突出し、前記
第1および第2の熱伝達体(11a、11b)に設けられた相補的な凹部(20)に篏合することを特徴とする
電気機械。
【請求項18】
請求項
4~17のいずれか1項に記載の
電気機械において、
前記熱伝達構造(18)は、少なくとも2つ
の、凸部(21)を備え、前記凸部(21)は、前記
第1および第2の熱伝達体(11a、11b)から前記ロータ(5)へ軸方向に突出し、前記ロータ(5)上に設けられた相補的な凹部(20)に篏合することを特徴とする
電気機械。
【請求項19】
請求項17または18に記載の
電気機械において、
前記凸部(21)は、櫛状に構成されることを特徴とする
電気機械。
【請求項20】
請求項
4~19のいずれか1項に記載の
電気機械において、
前記熱伝達構造(18)の領域において、前記
第1および第2の熱伝達体(11a、11b)と前記ロータ(5)との間で、前記軸方向(A)に沿って測定される距離(X)が最大1mm
であることを特徴とする
電気機械。
【請求項21】
請求項
4~20のいずれか1項に記載の
電気機械において、
前記
第1および第2の熱伝達体(11a、11b)は、前記軸方向(A)に対して横方向に少なくともある部分で延びる深絞り構成要素
である冷却プレート(22a、22b)として構成され、少なくともある部分において、
前記軸方向(A)に対して横方向の前記
第1および第2の熱伝達体(11a、11b)の全体にわたって、前記軸方向(A)に沿って測定される前記
第1および第2の熱伝達体(11a、11b)の壁厚(W)が最大3mm
であることを特徴とする
電気機械。
【請求項22】
請求項21に記載の
電気機械において、
前記
第1および第2の熱伝達体(11a、11b)上の前記熱伝達構造(18)を形成する凹部(20)または凸部(21)の、凹部深さ(T1)および凸部高さ(H1)の少なくとも1つは、前記冷却プレートの前記壁厚(W)の少なくとも3倍
であることを特徴とする
電気機械。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか1項に記載の
電気機械において、
前記第1および第2のハウジング部材(8a、8b)は、前記
第1および第2の熱伝達体(11a、11b)が取り付けられる取り付け部(23a、23b)を有し、当該取り付け部(23a、23b)上に、前記ロータ(5)を回転可能に装着するための前記ベアリングデバイス(9)がさらに設けられることを特徴とする
電気機械。
【請求項24】
請求項23に記載の
電気機械において、
前記取り付け部(23a、23b)は、前記
第1および第2のハウジング部材(8a、8b)から前記ハウジング内部(3)内に前記軸方向(A)に沿って内向きに突出するスリーブ(24)として構成され、前記スリーブ(24)の内
部に、前記ベアリングデバイス(9)の
第1および第2のベアリング要素(10a、10b)が配置されることを特徴とする
電気機械。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか1項に記載の
電気機械において、
前記
第1および第2のハウジング部材(8a、8b)は、前
第1および第2の記熱伝達体(11a、11b)と異なる材料から製造されることを特徴とする
電気機械。
【請求項26】
請求項1~25のいずれか1項に記載の
電気機械において、
前記第1および第2のハウジング部材(8a、8b)の材料の熱伝導率は、前記
第1および第2の熱伝達体(11a、11b)の熱伝導率よりも低いことを特徴とする
電気機械。
【請求項27】
請求項1~26のいずれか1項に記載の
電気機械において、
前記
第1および第2の熱伝達体(11a、11b)の材料の熱伝導率は、少なくとも100W/(m・K)
であることを特徴とする
電気機械。
【請求項28】
請求項1~
27のいずれか1項に記載の
電気機械において、
前記第1の熱伝達体(11a)は、軸方向に圧力を加えただけの切り離し可能な接続によって、前記第1のハウジング部材(8a)に取り付けられ、
前記第2の熱伝達体(11b)は、軸方向に圧力を加えただけの切り離し可能な接続によって、前記第2のハウジング部材(8b)に取り付けられている
ことを特徴とする
電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械、特に車両用の電気機械、およびその機械を有する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような電気機械は、概して、電動モータまたは発電機であり得る。電気機械は、外部ロータまたは内部ロータとして構成され得る。
【0003】
上記一般的なタイプの機械は、例えば、特許文献1に記載されている。当該機械は、ハウジング内部を囲むハウジングを備える。ハウジングは、ハウジングの周方向に全周にわたって延びかつハウジング内部を半径方向に境界づける側面と、軸方向の一側に位置しかつハウジング内部を軸方向に境界づける後部側壁と、軸方向の他側に位置しかつハウジング内部を軸方向に境界づける前部側壁とを有する。機械のステータは、側面に永続的に接続される。機械のロータは、ステータ内に配置される。ロータのロータシャフトは、前部軸受によって前部側壁に回転可能に装着される。
【0004】
従来の電気機械のステータは、通常、機械の動作中に通電されるステータ巻線を備える。この場合、ロータ内に熱が発生する。ロータの過熱やそれに関連する損傷、さらには破壊を回避するためにその熱を取り除く必要がある。また、過度な高温によってロータの巻線や永久磁石の消磁を回避するために熱を取り除く必要がある。
【0005】
従来技術において、電気機械のハウジング内に、冷却材が流動可能な冷却ダクトを設けることが知られている。冷却材は、機械内に発生した廃熱を吸収し、ハウジングの外部へ輸送し得る。ロータ内に存在する熱を特に効果的に取り除くことが可能となるように、従来の電気機械においては、ハウジング上に一体的に、かつ、ロータの近くに、例えばリブ状構造や高熱伝導体などの大きな熱相互作用領域を有する構造を設けて、ロータから特に大量の熱を吸収することができるようにすることが知られている。そのような構造は、通常、ハウジングの、ロータの近くに位置する部分となるので、従来の電気機械において、ロータの軸受は、通常、上記構造の領域内にある。しかし、このことは、ロータの回転運動中に発生する力を吸収できるように、上記構造は、それに対応して堅固にされる必要がある。したがって、上記構造は、大きな壁厚を必要とする。しかし、これは、ロータをさらに熱しにくくする。これを防止するために、熱伝導率の高い材料が使用されるが、この場合、大きなコストが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、電気機械について、上記欠点の大半、さらには完全に解消する、改善された実施形態を提供することを目的とする。特に、電気機械について、製造コストを低減しつつ、ロータの冷却を向上させることを特徴とする、改善された実施形態を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、本願の特許請求の範囲の独立請求項の発明によって達成される。好適な実施形態は、その従属請求項の発明である。
【0009】
したがって、本発明の基本的な概念は、電気機械のロータをハウジングの2つのエンドプレート、すなわち、機械のハウジング内部を軸方向に境界づける2つのハウジング部材に直接装着することである。言い換えると、本明細書に記載の本発明に係る機械において、ロータは、ベアリングデバイスを介して2つのエンドプレートに直接接続および装着される。これにより、ロータによって生成される力が2つのエンドプレートにベアリングデバイスを介して直接に導入されることが確保される。次いで、これにより、ステータからの廃熱を吸収するために、ハウジング内に設けられる冷却材経路(冷却ダクト、冷却材コレクタとして構成され得る)とハウジング内部のロータとの間に配置される熱伝達体が特に薄い壁を用いて構成することが可能になる。これにより、熱伝達体を介する熱伝達速度が高くなり、したがって、ロータを冷却するための熱伝達体を使用して、特に高い冷却容量を設け得る。本発明によると、ハウジング部材は、熱伝達体とは別個に構成される。言い換えると、2つのハウジング部材のそれぞれおよび熱伝達体は、2つの部材として構成される。これにより、ハウジング部材の材料として、熱伝達体の材料よりも熱伝導率の低い材料を選択可能になる。熱伝導率の高い材料は、熱伝導率の低い材料よりも費用が高いので、このようにすれば、電気機械の製造に関して、コストを大きく削減することが可能になる。
【0010】
さらに、厚さの薄い熱伝達体を用いることによって材料が削減されるので、コストに関して大きな利点がある。なぜなら、熱伝導率が非常に高い材料は、一般に、取得に係る費用が非常に高いからである。
【0011】
本発明に係る乗り物用等の電気機械は、ステータと、ステータに対して回転軸を中心として回転可能なロータとを備える。回転軸によって機械の軸方向が規定される。機械は、ハウジング内部を囲むハウジングを備える。この場合、ハウジングは、好ましくは軸方向においてハウジング内部を境界づける第1および第2のハウジング部材を備える。第1および第2のハウジング部材にロータがベアリングデバイスによって回転可能に装着される。2つのハウジング部材は、特に、最初に言及した軸方向「エンドプレート」であり得る。ベアリングデバイスは、特に軸受タイプである、2つのベアリング要素を有し得る。ここで、第1のベアリング要素は、第1のハウジング部材上に配置され、第2のベアリング要素は、第2のハウジング部材上に、好ましくは第1のエンドプレートに軸方向に対向する第2のエンドプレート上に配置される。本発明によると、軸方向において、少なくとも1つのハウジング部材、すなわち、第1または第2のハウジング部材と、ロータとの間に熱伝達体が配置される。この熱伝達体は、当該ハウジング部材とともに、冷却材空間を境界づける。当該冷却材空間は、好ましくは冷却ダクト、冷却材コレクタ空間、および冷却材ディストリビュータ空間の少なくとも1つであり、それぞれの空間を冷却材が流れる。
【0012】
1つの好適な実施形態によると、熱伝達体は、2つのハウジング部材とは別個に構成される。これにより、ハウジング部材の材料として、熱伝達体の材料とは異なる材料を選択することが可能になる。したがって、ハウジング部材のために特に強度の高い材料を使用し、熱伝達体のために熱伝導率の高い材料を使用し得る。
【0013】
1つの好適な実施形態によると、熱伝達体および2つのハウジング部材は、材料に関して均一でないように構成される。これにより、ハウジング部材に対して、熱伝達構造よりも低い熱伝導率を有する材料を使用することが可能になる。これにより、機械の製造に関してコスト上の利点が得られる。代替または追加として、第1および第2のハウジング部材の少なくとも一方の材料は、熱伝達体の材料よりも高い上降伏強度およびクリープ限界の少なくとも1つを有し得る。
【0014】
1つの好適な実施形態によると、熱伝達体の材料の熱伝導率は、第1および第2のハウジング部材の少なくとも一方の材料よりも高い。したがって、比較的費用対効果が良く、熱伝導率の低い材料を、熱をロータから冷却材空間に伝達する必要のないハウジング部材に使用し得る。
【0015】
1つの好適な実施形態によると、それぞれの熱伝達体上に、ロータから熱伝達体へ廃熱を伝達するための熱伝達構造が存在する。
【0016】
熱伝達構造および2つのハウジング部材は、便宜上、材料に関して均一でないように構成される。これにより、熱伝達構造よりも熱伝導率の低い材料をハウジング部材に使用することが可能になる。これにより、機械の製造に関してコスト上の大きな利点が得られる。
【0017】
熱伝達構造の材料は、特に好ましくは、第1および第2のハウジング部材の少なくとも一方の材料よりも高い熱伝導率を有する。ロータから熱を効果的に伝導により取り除くために特に重要な熱伝達構造は、特に良好な熱輸送性を選択的に備え得る。
【0018】
1つの有利な開発によると、熱伝達体および熱伝達構造は、材料に関して均一に構成される。このようにすると、熱伝達構造および熱伝達体の両方によって、熱の効果的な輸送が確保される。
【0019】
ロータは、ハウジング部材に、便宜上、直接装着され得る。これにより、特に薄い壁を有する熱伝達構造を構成し得る。なぜなら、軸受力をロータから熱伝達構造中に導入させる必要がないからである。
【0020】
特に好ましくは、回転子は、ハウジング部材に、熱伝達構造を介しては、装着されず、かつ好ましくはまた、熱伝達体を介しては、装着されない。また、この変形例により、特に薄い壁を有する熱伝達構造を構成し得る。なぜなら、軸受力を回転子から熱伝達構造中に導入させる必要がないからである。
【0021】
特に好ましくは、ロータは、ハウジング部材に、熱伝達構造を介しては、装着されず、かつ、好ましくは熱伝達体を介しては、装着されない。また、この変形例により、特に薄い壁を有する熱伝達構造を構成し得る。なぜなら、軸受力をロータから熱伝達構造中に導入させる必要がないからである。
【0022】
第1および第2のハウジング部材の少なくとも一方の軸方向に測定される壁厚は、熱伝達体の壁厚の、便宜上、少なくとも2倍、好ましくは少なくとも5倍である。したがって、熱伝達体は、特に薄い壁を用いて構成され得る。
【0023】
1つの好適な実施形態によると、冷却材空間を境界づけるために、2つのハウジング部材からともに離れて形成される、少なくとも2つの熱伝達体が存在する。この実施形態において、第1の熱伝達体は、軸方向における、第1のハウジング部材とロータとの間に配置され、第2の熱伝達体は、軸方向における、ロータと第2のハウジング部材との間に配置される。
【0024】
1つの好適な実施形態によると、ベアリングデバイスは、軸方向に互いに離れて配置される第1のベアリング要素と第2のベアリング要素とを備え、よってロータは、軸方向における、2つのベアリング要素の間に配置される。この実施形態において、ベアリング要素の軸方向位置は、ベアリング要素によって吸収される半径方向の力の35%未満、好ましくは10%未満がそれぞれの熱伝達体に渡されるように規定される。これにより、熱伝達体が過負荷になることが回避される。
【0025】
1つの好適な実施形態によると、ベアリングデバイスは、第1のベアリング要素と第2のベアリング要素とを備える。ロータは、第1のベアリング要素および第2のベアリング要素によって、それぞれ第1のハウジング部材および第2のハウジング部材に装着される。2つのベアリングデバイスは、互いに軸方向に離れて配置される。この実施形態において、軸方向における、第1の熱伝達体と第1のハウジング部材との間の距離が、第1のベアリング要素と第1のハウジング部材との間の距離よりも大きく、好ましくは少なくとも2倍の大きさである。この実施形態において、代替または追加として、軸方向に沿って、第2の熱伝達体と第2のハウジング部材との間で測定される距離が、第2のベアリング要素と第2のハウジング部材との間で測定される距離よりも大きく、好ましくは2倍の大きさである。
【0026】
1つの好適な実施形態によると、ステータは、2つのハウジング部材のうち少なくとも一方に取り付けられる。ステータが熱伝達体に取り付けられる従来の電気機械と比較して、この実施形態においては、特に薄い壁を有する熱伝達体を構成し、熱伝達体を特にロータの近くに配置し得る。さらに、この実施形態は、材料をさらに削減し、したがってコスト上の利点を有する。
【0027】
さらに好適な実施形態によると、ステータは、熱伝達体から離れて配置されるか、または熱伝達体上に単に緩んだ状態で載置される。このようにすることで、特に、本明細書に提案するように、熱伝達体が薄い壁を用いて構成される場合、熱伝達体に損傷を与え得る過度に大きな力を熱伝達体が受けるような状況を回避し得る。これに対する代替の変形例において、熱伝達体は、ステータとハウジング部材との間において、プレストレス力によって挟圧される。このプレストレス力は、ステータとハウジング部材との間に配置される、特にエラストマー封止体タイプの封止要素に対して水密な表面圧力を確保するのに十分な圧力である。
【0028】
熱伝達体および少なくとも1つのハウジング部材は、好ましくは2つの部材で構成される。これにより、ハウジング部材に対して、熱伝達体とは異なる、特により低い熱伝導率を有する材料をより容易に選択することができる。また、この対策は、電気機械の製造に関してコスト上の大きな利点を有する。
【0029】
1つのさらなる好適な実施形態において、熱伝達体は、少なくとも1つのハウジング部材に取り付けられる。ここで、その取り付けは、取り外し可能であってもよいし、取り外し不可でもよい。後者の場合、特に、実質的な接合接続であり得る。
【0030】
1つの有利な開発によると、熱伝達構造は、ロータから熱伝達体へ向かって軸方向に突出し、熱伝達体に設けられた相補的な凹部に篏合する、複数の凸部を備える。上記の代替としての1つの有利な開発によると、熱伝達構造は、熱伝達体からロータへ軸方向に突出し、ロータ上に設けられた相補的な凹部に篏合する複数の凸部を備える。両代替において、熱をロータから熱伝達体へ伝達するための大きな相互作用領域が確保される。
【0031】
凸部は、特に好ましくは櫛状に構成される。この変形例において、相補的に構成される凹部もまた、櫛状形状を有するので、熱をロータから熱伝達体へ伝達するための、特に大きな相互作用領域が確保される。
【0032】
熱伝達構造を実装するための熱伝達体およびロータは、特に好ましくは、熱伝達構造の領域において、熱伝達体とロータとの間で、軸方向に沿って測定される距離が最大1mm、好ましくは最大0.5mmであるように、互いに対して配置される。この変形例において、熱伝達体およびロータとの間に形成される環状の隙間またはエアギャップは、小さなギャップ(隙間)幅を有するので、ロータから熱伝達体への熱の効果的な伝達が確保される。
【0033】
熱伝達構造を実装するために、熱伝達体およびロータは、特に好ましくは、熱伝達構造の領域において、熱伝達体とロータとの間で、軸方向に沿って測定される距離が最大1mm、好ましくは最大0.5mmであるように、互いに対して配置される。この変形例において、熱伝達体およびロータとの間に形成される環状の隙間またはエアギャップは、ロータから熱伝達体への熱の効果的な伝達が確保されるように、好ましくは小さなギャップ(隙間)幅を有する。
【0034】
別の好適な実施形態によると、熱伝達体は、軸方向に対して横方向に少なくともある部分に延びる冷却プレートとして構成され、軸方向に沿って測定される熱伝達体の壁厚が最大3mmである。熱伝達構造を構成する凸部または凹部は、軸方向に沿って、この冷却プレート内または上に構築または形成される。
【0035】
熱伝達体上の熱伝達構造を形成する凹部または凸部の、凹部深さおよび凸部高さの少なくとも1つは、冷却プレートの壁厚の特に好ましくは少なくとも3倍、好ましくは少なくとも5倍である。この変形例において、熱伝達構造は、大きな相互作用領域を有するので、特に単位時間当たり大量の熱をロータから熱伝達体へ伝達し得る。同時に、冷却プレートは、やはり特に薄い壁を用いて構成される。
【0036】
熱伝達構造を有する熱伝達体は、リブ状構造を有する深絞り要素、特にシート金属形状部材であり得る。ここで、リブ状構造は、深絞りまたは成形処理によって製造され得る。
【0037】
1つの有利な開発によると、少なくとも1つのハウジング部材は、熱伝達体が取り付けられる取り付け部を有する。ここで、取り付け部上に、ロータを回転可能に装着するためのベアリングデバイスがさらに設けられる。両方のハウジング部材、すなわち、第1および第2のハウジング部材の両方は、特に好ましくは、そのように構成される取り付け部を有する。この変形例において、ベアリングデバイスは、多くの従来の電気機械の場合のように熱伝達体を介しては、ハウジングに取り付けられない。したがって、熱伝達体は、特に薄い壁を用いて構成され得る。
【0038】
取り付け部は、特に好ましくは、ハウジング部材からハウジング内部内に軸方向に沿って内向きに突出するスリーブとして構成され得る。スリーブの内面上に、ベアリングデバイスのベアリング要素が配置される。そのようなスリーブ状の形態によって、ベアリングデバイスをハウジング部材に特に安定して取り付けることが確保される。
【0039】
さらなる好適な実施形態において、熱伝達体は、2つのハウジング部材のうち少なくとも1つとは異なる材料から製造される。2つのハウジング部材は、特に熱伝達体と異なる材料から製造される。この変形例によれば、ハウジング部材に対しては、熱伝導率の低い、より安価な材料を使用可能としながら、熱伝達構造の一部としての熱伝達体に対して、熱伝導率の高い、比較的高価な材料を使用することが可能になる。
【0040】
少なくとも1つのハウジング部材、好ましくは両方のハウジング部材の材料は、特に便宜上、熱伝達体の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する。したがって、ロータから冷却材空間に熱を伝達する必要のないハウジング部材においては、熱伝導率の低い、比較的安価に入手可能な材料が使用され得る。
【0041】
熱伝達体の材料の熱伝導率は、少なくとも100W/(m・K)、好ましくは少なくとも150W/(m・K)である。これにより、熱を、ロータから取り出して冷却ダクトを介して、冷却材空間に存在する冷却材に効果的に輸送することが確保される。
【0042】
冷却材空間の一部である環状の隙間は、便宜上、冷却材空間内に突出するステータコイルの巻線端部と熱伝達体との間に形成される。
【0043】
また、本発明は、上記の電気機械を有する車両、特に自動車に関する。したがって、上記のような電気機械の利点はまた、本発明に係る車両に適用され得る。
【0044】
本発明のさらなる重要な特徴および利点は、独立請求項、図面、図面を参照した図に関連した説明から明らかである。
【0045】
当然ながら、上記の特徴や下記される特徴は、それぞれの特定の組み合わせに限らず、本発明の範囲を逸脱せずに、他の組み合わせや単独でも使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】
図1は、本発明に係る電気機械の一例の、ロータの回転軸に沿った長軸断面を示す図である。
【
図2】
図2は、熱伝達体の領域における
図1の詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明の好適な例示の実施形態を図面に例示し、以下においてより詳細に説明する。
【0048】
図面において、いずれの場合も模式的な形態で例示される。
【0049】
図1は、本発明に係る電気機械1の一例を例示する。機械1は、ハウジング内部3を囲むハウジング2を備える。ハウジング内部3内に、ステータ4およびロータ5が配置される。ステータ4は、ステータ本体12と、ステータ本体12に埋め込まれた複数のステータコイル13(
図1に詳細を示さず)と有し得る。複数のステータコイル13に通電することによって、ロータ5を駆動し得る。ステータ4は、ハウジング2の周壁14上に永続的に設けられる。
【0050】
ロータ5は、ロータシャフト6と、一緒に回転するようにロータシャフト6上に配置される複数の永久磁石7(
図1に詳細を示さず)とを備える。ロータ5は、回転軸Dを中心にして、ステータ4に対して回転し得る。回転軸Dは、ロータシャフト6の中心長軸Mによって規定される。電気機械1の軸方向Aは、回転軸Dによって規定される。半径方向Rは、回転軸Dから垂直に離れる方向に延びる。周方向Uは、回転軸Dの周りに延びる。ロータ5の永久磁石7は、ロータシャフト6の周方向Uに沿って磁気分極が交互に換わる状態で配置され得る。言い換えると、磁北極Nと磁南極Sが周方向Uに沿って交互に換わる。
【0051】
図1から明らかなように、ハウジング2は、第1および第2のハウジング部材8a、8bを備える。また、これらの2つのハウジング部材8a、8bは、「エンドプレート」として称されるものとして当業者に知られている。ハウジング部材8a、8bは、ハウジング内部3を軸方向Aに沿って境界づける。さらに、機械を半径方向に境界づける第3のハウジング部材8cは、プラスチック製の、ステータ4の射出成形封入体によって形成される。また、第1および第2のハウジング部材8a、8bは、第3のハウジング部材8cに対して別個に構成され得る。ロータシャフト6を有するロータ5は、ベアリングデバイス9によってハウジング2に回転可能に装着される。こうするために、ベアリングデバイス9は、第1のベアリング要素10aを備える。第1のベアリング要素10aによって、ロータシャフト6は、第1のハウジング部材8aに回転可能に装着される。これに対応して、ベアリングデバイス9は、第2のベアリング要素10bを備える。第2のベアリング要素10bは、第1のベアリング要素10aから軸方向に離れて配置されるので、ロータ5は、軸方向に沿って、2つのベアリング要素10a、10bの間に配置される。第2のベアリング要素10bによって、ロータシャフト6は、第2のハウジング部材8bに回転可能に装着される。
【0052】
2つのベアリング要素10a、10bは、当業者には、用語「軸受」によっても知られるが、この目的のために、第1または第2のハウジング部材8a、8bに取り外し出来ないように接続される。また、ステータ本体12とステータコイル13とを有するステータ4は、ハウジング部材8a、8b、8cに取り付けられる。
【0053】
さらに、ハウジング内部3内には、永久磁石7を含むロータ5によって動作中に発生する廃熱を伝導して取り除くための第1および第2の熱伝達体11a、11bが設けられる。2つの熱伝達体11a、11bは、2つのハウジング部材8a、8bに対して別個に形成され、2つのハウジング部材8a、8bとともに、冷却ダクトとして形成され、冷却材Kが流動可能な冷却材空間15を境界づける。したがって、第1および第2の熱伝達体11a、11b、ならびに熱伝達体11a、11bに対してそれぞれ割り当てられたハウジング部材8a、8bは、それぞれ2つの部材から構成される。第1の熱伝達体11aは、例えば実質的な接合接続によって、第1のハウジング部材8aに取り付けられ得る。これに対応して、また、第2の熱伝達体11bは、好ましくは、実質的な接合接続によって、第2のハウジング部材8bに取り付けられ得る。実質的な接合接続の代わりに、適切な切り離し可能な接続も考えられ得る。熱伝達構造18の2つの熱伝達体11a、11bは、好ましくは軸方向の圧力によって、ここで、排他的にロックされる。ロータ5は、便宜上、ハウジング部材8a、8bに直接に装着される。特に、ロータ5は、
図1から明らかなように、熱伝達構造18や熱伝達体11a、11bを介しては、ハウジング部材8a、8bに装着されない。
【0054】
第1の熱伝達体11aは、軸方向Aに沿って、第1のハウジング部材8aとロータ5との間に配置される。第2の熱伝達体11bは、軸方向Aに沿って、ロータ5と第2のハウジング部材8bとの間に配置される。冷却材Kは、2つの熱伝達体11a、11bを介して、機械1の動作中にロータ5が発生させる熱を吸収し得るので、機械1の過熱やそれに関連する損傷、さらには破壊が回避され得る。第1のハウジング部材8a内のハウジング2の外周上において、冷却材Kを冷却材空間15に供給するための冷却材入口16が設けられ、第2のハウジング部材8b内に、冷却材Kを冷却材空間15から放出するための冷却材出口17が設けられる。熱は、冷却材空間15を流れる冷却材Kに渡され、当該空間から機械1の外部へ2つの熱伝達体11a、11bを介して放出される。各熱伝達体11a、11bは、冷却材空間15を部分的に境界づける。
【0055】
2つの熱伝達体11a、11bの両方は、少なくともある部分において軸方向Aに対して横方向に(すなわち、半径方向Rに沿って)延びる冷却プレート22a、22bとして構成され得る。熱伝達構造18の領域における、軸方向Aに沿って測定される2つの熱伝達体11a、11bの壁厚Wは、最大3mmである。冷却プレート22a、22bは、深絞り状シート金属部材によって実装され得る。
図1から明らかなように、2つの熱伝達体11aおよび11bは、ステータ本体12を有するステータ4から離れて配置され、接触部19を介してステータ4に対して緩んだ状態で載置されるだけである。例えば、第1および第2のハウジング部材8a、8bの軸方向Aに測定された壁厚は、第1および第2の熱伝達体11a、11bの壁厚の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも5倍である。
【0056】
熱伝達構造18および2つのハウジング部材8a、8bは、材料に関して均一でないように構成される。同様に、2つの熱伝達体11a、11bは、2つのハウジング部材8a、8bと比較して、材料に関して均一でないように構成される。比較として、2つの熱伝達体11a、11bおよび熱伝達構造18は、材料に関して均一であるように構成される。熱伝達構造18の材料は、便宜上、第1および第2のハウジング部材8a、8bの材料よりも高い熱伝導率を有する。さらに、熱伝達体の材料は、2つのハウジング部材8a、8bの材料よりも高い熱伝導率を有する。2つのハウジング部材8a、8bの材料は、熱伝達体11a、11bの熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する。このように、機械1の製造におけるコストを削減し得る。なぜなら、高い熱伝導率を有する適切な材料は、通常、低い熱伝導率を有する材料よりも高価であるからである。ロータ5から熱伝達体11a、11bを介したそれぞれのハウジング部材8a、8bへの高い熱伝達性能を確保するために、熱伝達体11a、11bの材料の熱伝導率は、少なくとも100W/(m・K)、好ましくは少なくとも150W/(m・K)である。
【0057】
ベアリング要素10a、10bの軸方向Aに沿った軸方向位置は、ベアリング要素10a、10bによって吸収される半径方向の力の35%未満、好ましくは10%未満が熱伝達体11a、11bに渡されるように便宜上規定される。これにより、熱伝達体11a、11bそれぞれに負荷がかかりすぎることが回避される。
【0058】
また、第1および第2のハウジング部材8a、8bの材料は、熱伝達体11a、11bの材料と比較して、より高い上降伏強度およびより高いクリープ限界を有し得る。
【0059】
以下では、
図2を参照する。
図2は、第1の熱伝達体11aの領域における
図1の詳細を例示する。
図2に例示するように、第1の熱伝達体11aおよびロータ5上に、廃熱をロータ5から熱伝達体11aに伝達するための熱伝達構造18が形成される。
図2によると、熱伝達構造18は、複数の凸部21を有する。凸部21は、ロータ5から第1の熱伝達体11aに向かって軸方向Aに沿って突出し、熱伝達体11a上に設けられた相補的な凹部20に篏合する。代替の変形例(
図1および2に詳細を示さず)において、熱伝達体からロータ5に向かって軸方向に突出し、ロータ5に設けられた、凸部21に対して相補的な凹部20に篏合する複数の凸部21を第1の熱伝達体11aが備えることが考えられる。凸部21は、好ましくは櫛状に構成され得る。熱伝達構造18の領域において測定される、熱伝達体11aとロータ5aとの間の軸方向の距離Xは、最大1mm、好ましくは最大0.5mmである。第1の熱伝達体11a上で熱伝達構造18を形成する凹部20の凹部深さT1および第1の熱伝達体11a上で熱伝達構造18を形成する凸部21の凸部高さH1は、冷却プレートの上記壁厚Wの少なくとも3倍、好ましくは少なくとも5倍である。
【0060】
また、
図2は、第1のハウジング部材8aが、第1の熱伝達体11aが取り付けられる(第1の)取り付け部23aを有することを示す。さらに、(第1の)取り付け部23a上に、ロータ5を回転可能に装着するためのベアリングデバイス9が設けられる。(第1の)取り付け部23aは、便宜上、スリーブ24として構成される。スリーブ24は、第1のハウジング部材8aからハウジング内部3内に軸方向内向き突出する。スリーブ24の内面25上に、ベアリングデバイス9の第1のベアリング要素10aが配置される。また、第2のハウジング部材8bは、第2の熱伝達体11bおよびロータ5が取り付けられる(第2の)取り付け部(23b)を有する。同様に、ベアリングデバイス9の第2のベアリング要素10bは、第2の取り付け部23b上に設けられ得る。
【0061】
また、第1の熱伝達体11aおよび第1の熱伝達体11aに割り当てられた第1のハウジング部材8aに関して
図2を参照して記載したことは、第2の熱伝達体11bおよび第2の熱伝達体11bに割り当てられた第2のハウジング部材8bにも必要な変更を加えて適用される。
【0062】
冷却材空間15内に突出するステータコイル13の巻線端部26と、熱伝達体11a、11bそれぞれとの間に環状の隙間27が形成され得る。当該環状の隙間27は、冷却材空間15の一部である。