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  • 特許-収納棚を備えたエレベータ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】収納棚を備えたエレベータ
(51)【国際特許分類】
   B66B 11/02 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
B66B11/02 S
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022036841
(22)【出願日】2022-03-10
【審査請求日】2022-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】592040826
【氏名又は名称】住友不動産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】山田 武仁
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-014577(JP,A)
【文献】特開2012-140240(JP,A)
【文献】特開2015-151263(JP,A)
【文献】特開2017-206339(JP,A)
【文献】特開2008-150160(JP,A)
【文献】特開2006-225049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に移動可能な乗りかごと、
前記乗りかごの側方の外部に設けられ、物品を収納する収納棚と、
前記乗りかごを吊り下げ支持する支持部であって、前記乗りかごの側方で前記鉛直方向に延びた第1の支持部材と、前記乗りかごの側方で前記鉛直方向に対して斜めに延びた第2の支持部材を有する支持部を備え、
前記収納棚は、前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材と干渉しない位置に配置される、エレベータ。
【請求項2】
前記収納棚は階段状であることを特徴とする、請求項1記載のエレベータ。
【請求項3】
前記収納棚は、前記第2の支持部材を挟んで複数設けられていることを特徴とする、請求項1記載のエレベータ。
【請求項4】
前記乗りかごの底部を支持する床架台を備え、前記収納棚は前記床架台の上に配置される、請求項1記載のエレベータ。
【請求項5】
前記乗りかごの内面には開閉式のドアが設けられ、前記ドアが開かれたときに前記収納棚が視認可能となることを特徴とする、請求項1記載のエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば非常用物品を収納する収納棚を備えたエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータには、地震等が発生したときに最寄階に移動して停止させて出入口のドアを開扉するシステムが設けられている。また、外部の管制室とインターフォンで交信できるようになっている。しかし、大規模な地震によりシステムが障害を受ける、あるいは、エレベータの籠が変形して扉が開かないといった事態が生じた場合には、乗客が長期間にわたってエレベータの内部に閉じ込められてしまう。
【0003】
このような事態に備え、エレベータには、飲料水、食料、簡易トイレ、照明具といった非常用物品を収納した収納箱が備えられており、災害時に乗客が収納箱を解錠して当該非常用物品を利用することができる。収納箱については、エレベータの操作盤下方の空間に収納されるもの(特許文献1)、エレベータ籠のコーナーに設置するもの(特許文献2)が、従来例として開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-12954号公報
【文献】特開2009-120290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献に記載のエレベータでは、いずれも、非常用物品の収納箱がエレベータの乗りかごの内部に設けられており、その分だけ乗りかごの利用可能なスペースが減少する。また、特許文献2に記載のエレベータでは、防災用収納ボックスが乗客に視認可能に配置されているため、エレベータ内装の美観が損なわれてしまう。
【0006】
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、エレベータ乗りかごのスペースを減少させることなく、昇降路内のかご外法から壁までの有効スペースを増大させることなく、また美観を損ねることなく、非常用物品を収納可能なエレベータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、エレベータであって、鉛直方向に移動可能な乗りかごと、 前記乗りかごの側方の外部に設けられ、物品を収納する収納棚と、前記乗りかごを吊り下げ支持する支持部であって、前記乗りかごの側方で前記鉛直方向に延びた第1の支持部材と、前記乗りかごの側方で前記鉛直方向に対して斜めに延びた第2の支持部材を有する支持部を備え、前記収納棚は、前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材と干渉しない位置に配置されることを特徴とする。前記収納棚は階段状であり、前記第2の支持部材を挟んで複数設けられている。さらに、前記乗りかごの底部を支持する床架台を備え、前記収納棚は前記床架台の上に配置される。前記収納棚は、前記支持部材を挟んで複数設けられている。また、前記乗りかごの内面には開閉式のドアが設けられ、前記ドアが開かれたときに前記収納棚が視認可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、乗りかごの外部に収納棚を配置するように構成したので、エレベータ乗りかごの利用可能なスペースを減少させることなく、また美観を損ねることなく、非常用物品を収納可能なエレベータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る収納棚を備えたエレベータの外観斜視図である。
図2】エレベータの乗りかごの内部を示す斜視図である。
図3】エレベータの乗りかごの外部構成を示す平面図である。
図4】エレベータの乗りかごの内部を示す斜視図であり、(a)は開閉扉が閉じている状態、(b)は開閉扉が開いた状態を示す。
図5】収納棚の別の例を示すエレベータ側面の平面図である。
図6】収納棚の別の例を示すエレベータ側面の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係るエレベータの構成について、図面を参照して説明する。なお、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係るエレベータ10は乗りかご11を備えている。乗りかご11は、床架台12の上に配置され、支持柱13及び斜め支持材14、15によって図示しない昇降路内で吊り下げられており、図示しない昇降駆動装置によって、床架台12、支持柱13及び斜め支持材14、15とともに鉛直上下方向に移動する。また、乗りかご11の外部には、階段状の収納棚16が取り付けられている。
【0012】
図2は、エレベータ10の内部を示したものであり、乗りかご11の出入口を構成するドアの反対側(エレベータの奥側)を示している。乗りかご11の内部には、内装用の複数のパネルジョイント17と、手すりを構成するガイドレール18のほか、乗客用の扉や操作パネルが配置されている。
【0013】
乗りかご11の外側には、図中、点線で示すように、支持柱13及び斜め支持材14、15が配置されている。なお、図2では一方の側にのみ、支持柱13及び斜め支持材14、15を図示しているが、これらは乗りかご11の反対側にも設けられている。
【0014】
乗りかご11の内側に設けられた複数のパネルジョイント17のうち、図中右下奥のパネルは開閉可能な開閉扉19とされており、開閉扉19の奥には図1で示した収納棚16が配置されている。収納棚16には、飲料水、食料、簡易トイレ、照明具といった非常用物品が収納されており、地震等の緊急時に開閉ボタンを操作して開閉扉19を開くことにより、エレベータ10の乗客が非常用物品を利用することができる。また、地震等の緊急時に自動的に開閉扉19を開くように構成しても良い。
【0015】
開閉扉19には図示しない扉開放検出センサが設けられており、開閉扉19が開かれたことを検出すると、エレベータ監視システムを通じて、開閉扉19が開放されたことをエレベータの監視センタに通知するように構成しても良い。これにより、監視センタの担当者において、開閉扉19が開閉されたことを認識することができ、エレベータ10に備えられたスピーカを通じて通話を行ったり、作業員を派遣したりすることが可能となる。
【0016】
図3は、エレベータの乗りかご11の外部構成を示した平面図であり、乗りかご11の底部に配置された床架台12は、乗りかご11よりも一回り大きいサイズとなっている。そして、支持柱13及び斜め支持材14、15は、床架台12の側面に固定される(図1参照)。図3において、下側にはエレベータ10の操作パネル20と乗客の出入口を構成するドア21が設けられている。
【0017】
収納棚16は、床架台12の上に配置されており、一方の斜め支持材15と干渉しないように、階段状の形状とされている(図1参照)。収納棚16の奥行き(図3の横方向の長さ)は、エレベータ10のシャフト必要寸法に応じて適宜定めることができる。また、収納棚16は床架台12の上に配置されているため、支持部材を別途設ける必要はない。このため、昇降路内の有効スペースWD(支持柱13と躯体22との間隔)を増大させることなく、収納棚16を設けることができる。
【0018】
図3の例では、収納棚16が床架台12からはみ出るように設けられているが、本発明はこれに限られることはなく、床架台12からはみ出ないように、収納棚16の奥行きを定めてもよい。この場合は、収納棚16と斜め支持材15とが干渉しないため、収納棚16を階段状に形成する必要がなくなる。
【0019】
図4は、本実施形態に係るエレベータ10の使用例を説明した図である。エレベータ10の通常時は(a)に示すとおり、開閉扉19が閉じた状態にあり、乗客から収納棚16は見えないようになっている。地震等の緊急時になり、乗客が開閉扉19を開くことで、乗りかご11の外側に設置されている収納棚16が現れ、収納棚16に収容された非常用物品を利用することができる。
【0020】
収納棚16の構造及び配置は、上記実施形態に限られることはない。例えば、図5に示すように、斜め支持材15を避けるように、斜め支持材15の両側に複数の収納棚30、31を配置することができる。また、図6に示すように、反対側の斜め支持材14の側にも、収納棚32,33を配置するようにしても良い。さらに、支持柱13の両側に収納棚34,35を設けるようにしても良い。
【0021】
上記実施形態では、乗りかご11の一方の側に収納棚を設置しているが、他方の側にも収納棚を設置することができる。さらに、上記実施形態では、支持柱13が設けられた側に収納棚を設置しているが、支持柱13が設けられていない乗りかご11の奥側(ドアが設けられていない側)にも、収納棚を設置しても良い。
【0022】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0023】
10 エレベータ
11 乗りかご
13 支持柱
14,15 斜め支持材
19 開閉扉
16、30~35 収納棚
【要約】
【課題】エレベータ乗りかごのスペースを減少させることなく、昇降路内のかご外法から壁までの有効スペースを増大させることなく、また美観を損ねることなく、非常用物品を収納する。
【解決手段】 非常時に使用する非常用物品を収納する収納棚16が、エレベータ10の乗りかご11の側方の外部に取り付けられている。収納棚16は、乗りかご11を吊り下げ支持する支持部材13~15に干渉しない位置に配置されている。乗りかごの内面には開閉式のドアが設けられ、当該ドアが開かれたときに収納棚が視認可能となる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6