(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】手術支援ロボット
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20230907BHJP
B25J 13/08 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
A61B34/35
B25J13/08
(21)【出願番号】P 2022075286
(22)【出願日】2022-04-28
(62)【分割の表示】P 2020079002の分割
【原出願日】2020-04-28
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】514063179
【氏名又は名称】株式会社メディカロイド
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】岸田 悠治
(72)【発明者】
【氏名】吾郷 健二
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0049728(KR,A)
【文献】特開2020-009592(JP,A)
【文献】特表2018-534099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/30 - A61B 34/35
B25J 3/00 - B25J 3/04
B25J 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリンクと複数の関節を有するアームと、
前記複数のリンクのうちの少なくとも一つのリンクに取り付けられ、前記アームを操作する操作部とを備え、
前記操作部は、
操作者が把持する把持部と、
前記把持部に加えられた力に基づいて、前記アームの移動方向および移動速度を制御するための信号を出力するセンサと、
押下されることにより前記アームの移動を許可するイネーブルスイッチと、を含
み、
前記センサは、前記操作者が前記アームの移動を許可する状態となるように前記操作部を把持して前記イネーブルスイッチを押下した状態で、前記把持部に加えられた力に基づいて、前記アームの移動方向および移動速度を制御するための信号を出力する、手術支援ロボット。
【請求項2】
前記操作部は、前記複数のリンクのうち、最先端のリンクに取り付けられている、請求項1に記載の手術支援ロボット。
【請求項3】
前記アームは、医療器具が取り付けられる先端側リンクと基端側リンクとを含み、前記先端側リンクを前記基端側リンクに対して相対的に並進移動させる並進移動機構部をさらに備えており、
前記操作部が支持される前記リンクは、前記先端側リンクである、請求項1または2に記載の手術支援ロボット。
【請求項4】
前記操作部は、前記医療器具に隣り合うように、前記先端側リンクに取り付けられている、請求項3に記載の手術支援ロボット。
【請求項5】
前記イネーブルスイッチは、前記操作部の外周面に設けられており、前記操作者が前記操作部の外周面を把持して前記イネーブルスイッチを押下することにより前記アームの移動を許可する、請求項
1~4のいずれか1項に記載の手術支援ロボット。
【請求項6】
前記イネーブルスイッチは、前記操作部の外周面の両側に一対設けられており、前記操作者が前記操作部の外周面を把持して、前記操作部の外周面の両側に設けられている前記イネーブルスイッチのうちの少なくとも一方を押下することにより前記アームの移動を許可する、請求項
1~4のいずれか1項に記載の手術支援ロボット。
【請求項7】
前記操作部の断面は、互いに対向して略平行に延びる一対の辺を有する形状を有しており、前記一対のイネーブルスイッチは、前記操作部の互いに対向する一対の辺を含む面に各々設けられている、請求項
6に記載の手術支援ロボット。
【請求項8】
前記センサは、前記操作者が前記把持部を把持して前記把持部に対して加えられた力に基づいて、前記アームの移動方向および移動速度を操作するための信号を出力する力センサを含む、請求項1~
7のいずれか1項に記載の手術支援ロボット。
【請求項9】
前記センサからの入力信号に基づいて前記アームを操作する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記センサからの入力信号に上限値を設けることと、前記センサからの入力信号を平滑化することとのうちの少なくとも一方を行うことにより、前記アームの移動速度の変化を低減する制御を行う、請求項1~
8のいずれか1項に記載の手術支援ロボット。
【請求項10】
複数のリンクと複数の関節を有するアームと、
前記複数のリンクのうちの少なくとも一つのリンクに取り付けられ、前記アームを操作する操作部とを備え、
前記操作部は、
操作者が把持する把持部と、
前記把持部に加えられた力に基づいて、前記アームの移動方向および移動速度を制御するための信号を出力するセンサと、
前記把持部と前記センサとの間に設けられ、前記把持部から前記センサに加えられる力を緩和する緩衝部材
とを含む
、手術支援ロボット。
【請求項11】
前記把持部は、前記センサと前記緩衝部材とを内部に収容する前記操作部の外表面を構成する筐体を含む、請求項
10に記載の手術支援ロボット。
【請求項12】
前記センサは、前記アームに固定されており、
前記把持部は、前記緩衝部材を介して、前記アームに固定された前記センサに力を加える、請求項
10または
11に記載の手術支援ロボット。
【請求項13】
前記緩衝部材は、ゴム部材を含む、請求項
10~
12のいずれか1項に記載の手術支援ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、手術支援ロボットに関し、特に、アームを操作する操作部を備える手術支援ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アームを操作する操作部を備える手術支援ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、関節式プローブと、手術用器具と、コントローラ(以下、アームという)とを備えるロボットシステム(手術支援ロボット)が開示されている。手術用器具は、関節式プローブの先端に設けられている。また、アームは、関節式プローブおよび手術用器具を操作(移動)するように構成されている。また、ロボットシステムには、ジョイスティックが設けられている。操作者がジョイスティックを操作することによって、アームに対して、手術用器具を操作させるための信号が出力される。また、ジョイスティックの変位(倒れ方)に応じて手術用器具の変位、速度および加速度が操作される。なお、ジョイスティックは、アーム(関節式プローブ、手術用器具)から離間した位置に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のようなロボットシステム(手術支援ロボット)では、手術時には、アームから離間した位置に配置されているジョイスティックが操作されることにより、手術用器具が操作される。一方、手術前の準備の段階では、アームを移動させて、手術用器具を患者の近傍まで移動させる。この場合、上記特許文献1のようなロボットシステムでは、ジョイスティックが、アームから離間した位置に配置されているため、手術用器具を患者の近傍まで移動させるようにジョイスティックによりアームを移動させるのが困難な場合があるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、アームを操作部により容易に操作することが可能な手術支援ロボットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による手術支援ロボットは、複数のリンクと複数の関節を有するアームと、複数のリンクのうちの少なくとも一つのリンクに取り付けられ、アームを操作する操作部とを備え、操作部は、操作者が把持する把持部と、把持部に加えられた力に基づいて、アームの移動方向および移動速度を制御するための信号を出力するセンサと、押下されることによりアームの移動を許可するイネーブルスイッチと、を含み、センサは、操作者がアームの移動を許可する状態となるように操作部を把持してイネーブルスイッチを押下した状態で、把持部に加えられた力に基づいて、アームの移動方向および移動速度を制御するための信号を出力する。
【0008】
この発明の第1の局面による手術支援ロボットでは、上記のように、操作部がアームに取り付けられている。これにより、操作者は、アームの近傍において操作部を操作することができるので、アームを操作部により容易に操作することができる。
この発明の第2の局面による手術支援ロボットは、複数のリンクと複数の関節を有するアームと、複数のリンクのうちの少なくとも一つのリンクに取り付けられ、アームを操作する操作部とを備え、操作部は、操作者が把持する把持部と、把持部に加えられた力に基づいて、アームの移動方向および移動速度を制御するための信号を出力するセンサと、把持部とセンサとの間に設けられ、把持部からセンサに加えられる力を緩和する緩衝部材とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上記のように、アームを操作部により容易に操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態による外科手術システムの構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態による医療用マニピュレータの構成を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態による医療用マニピュレータのアームの構成を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態による医療用マニピュレータの操作部の構成を示す側面図である。
【
図5】本発明の一実施形態による医療用マニピュレータの操作部の構成を示す斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態による医療用マニピュレータの操作部の構成を示す断面図(1)である。
【
図7】本発明の一実施形態による医療用マニピュレータの操作部の構成を示す断面図(2)である。
【
図8】本発明の一実施形態による医療用マニピュレータの操作部を操作者が把持した状態を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態による医療用マニピュレータの制御部の構成を示すブロック図である。
【
図10】本発明の一実施形態による医療用マニピュレータの制御部の制御ブロックを示す図である。
【
図11】アームの移動量と力センサへの入力値(操作量)との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1~
図10を参照して、本実施形態による外科手術システム100の構成について説明する。外科手術システム100は、患者P側装置である医療用マニピュレータ1と、医療用マニピュレータ1を操作するための操作者側装置である遠隔操作装置2を備えている。医療用マニピュレータ1は医療用台車3を備えており、移動可能に構成されている。遠隔操作装置2は、医療用マニピュレータ1から離間した位置に配置されており、医療用マニピュレータ1は、遠隔操作装置2により遠隔操作されるように構成されている。術者は、医療用マニピュレータ1に所望の動作を行わせるための指令を遠隔操作装置2に入力する。遠隔操作装置2は、入力された指令を医療用マニピュレータ1に送信する。医療用マニピュレータ1は、受信した指令に基づいて動作する。また、医療用マニピュレータ1は、滅菌された滅菌野である手術室内に配置されている。なお、医療用マニピュレータ1は、特許請求の範囲の「手術支援ロボット」の一例である。
【0013】
遠隔操作装置2は、たとえば、手術室の中または手術室の外に配置されている。遠隔操作装置2は、操作用マニピュレータアーム21と、操作ペダル22と、タッチパネル23と、モニタ24と、支持アーム25と、支持バー26とを含む。操作用マニピュレータアーム21は、術者が指令を入力するための操作用のハンドルを構成する。モニタ24は、内視鏡などにより撮影された画像を表示するスコープ型表示装置である。支持アーム25は、モニタ24の高さを術者の顔の高さに合わせるようにモニタ24を支持する。タッチパネル23は、支持バー26に配置されている。モニタ24近傍に設けられた図示しないセンサにより術者の頭部を検知することにより医療用マニピュレータ1は遠隔操作装置2による操作が可能になる。術者は、モニタ24により患部を視認しながら、操作用マニピュレータアーム21および操作ペダル22を操作する。これにより、遠隔操作装置2に指令が入力される。遠隔操作装置2に入力された指令は、医療用マニピュレータ1に送信される。
【0014】
医療用台車3には、医療用マニピュレータ1の動作を制御する制御部31と、医療用マニピュレータ1の動作を制御するためのプログラムなどが記憶される記憶部32とが設けられている。そして、遠隔操作装置2に入力された指令に基づいて、医療用台車3の制御部31は、医療用マニピュレータ1の動作を制御する。
【0015】
また、医療用台車3には、入力装置33が設けられている。入力装置33は、主に施術前に手術の準備を行うために、ポジショナ40、アームベース50、および、複数のアーム60の移動や姿勢の変更の操作を受け付けるように構成されている。
【0016】
図1および
図2に示すように、医療用マニピュレータ1は、手術室内に配置されている。医療用マニピュレータ1は、医療用台車3と、ポジショナ40と、アームベース50と、複数のアーム60とを備えている。アームベース50は、ポジショナ40の先端に取り付けられている。アームベース50は、比較的長い棒形状(長尺形状)を有する。また、複数のアーム60は、各々のアーム60の根元部が、アームベース50に取り付けられている。複数のアーム60は、折り畳まれた姿勢(収納姿勢)をとることが可能に構成されている。アームベース50と、複数のアーム60とは、図示しない滅菌ドレープにより覆われて使用される。
【0017】
ポジショナ40は、たとえば、7軸多関節ロボットにより構成されている。また、ポジショナ40は、医療用台車3上に配置されている。ポジショナ40は、アームベース50の位置を3次元に移動させるように構成されている。
【0018】
また、ポジショナ40は、ベース部41と、ベース部41に連結された複数のリンク部42とを含む。複数のリンク部42同士は、関節部43により連結されている。
【0019】
図1に示すように、複数のアーム60の各々の先端には、医療器具4が取り付けられている。医療器具4は、たとえば、取り換え可能なインストゥルメント、内視鏡アセンブリ(図示せず)などを含む。
【0020】
図3に示すように、医療器具4としてのインストゥルメントには、アーム60のホルダ71に設けられたサーボモータM2によって駆動される被駆動ユニット4aが設けられている。また、インストゥルメントの先端には、エンドエフェクタ4bが設けられている。エンドエフェクタ4bは、関節を有する器具として、鉗子、ハサミ、グラスバー、ニードルホルダ、マイクロジセクター、ステーブルアプライヤー、タッカー、吸引洗浄ツール、スネアワイヤ、および、クリップアプライヤーなどを含む。また、エンドエフェクタ4bは、関節を有しない器具として、切断刃、焼灼プローブ、洗浄器、カテーテル、および、吸引オリフィスなどを含む。また、医療器具4は、被駆動ユニット4aとエンドエフェクタ4bとを接続するシャフト4cを含む。被駆動ユニット4aと、シャフト4cと、エンドエフェクタ4bとは、Z方向に沿って配置されている。
【0021】
次に、アーム60の構成について詳細に説明する。
【0022】
図3に示すように、アーム60は、7軸多関節ロボットアームからなるアーム部61(ベース部62、リンク部63、関節部64)と、アーム部61の先端に設けられる並進移動機構部70とを含む。アーム60は、アーム60の根元側(アームベース50)に対して先端側を3次元に移動させるように構成されている。なお、複数のアーム60は、互いに同様の構成を有する。
【0023】
本実施形態では、並進移動機構部70は、医療器具4が取り付けられるとともに、医療器具4をアーム部61に対して相対的に並進移動させるように構成されている。具体的には、並進移動機構部70には、医療器具4を保持するホルダ71が設けられている。ホルダ71には、サーボモータM2(
図9参照)が収容されている。サーボモータM2は、医療器具4の被駆動ユニット4aに設けられた回転体を回転させるように構成されている。被駆動ユニット4aの回転体が回転されることにより、エンドエフェクタ4bが動作される。
【0024】
アーム60は、アームベース50に対して着脱可能に構成されている。
【0025】
アーム部61は、7軸多関節ロボットアームから構成されている。アーム部61は、アーム部61をアームベース50に取り付けるためのベース部62と、ベース部62に連結された複数のリンク部63とを含む。複数のリンク部63同士は、関節部64により連結されている。
【0026】
並進移動機構部70は、ホルダ71をZ方向に沿って並進移動させることにより、ホルダ71に取り付けられた医療器具4をZ方向(シャフト4cが延びる方向)に沿って並進移動させるように構成されている。具体的には、並進移動機構部70は、アーム部61の先端に接続される基端側リンク部72と、先端側リンク部73と、基端側リンク部72と先端側リンク部73との間に設けられる連結リンク部74とを含む。また、ホルダ71は、先端側リンク部73に設けられている。
【0027】
そして、並進移動機構部70の連結リンク部74は、基端側リンク部72に対して、先端側リンク部73を、Z方向に沿って相対的に移動させる倍速機構として構成されている。また、基端側リンク部72に対して先端側リンク部73がZ方向に沿って相対的に移動されることにより、ホルダ71に設けられた医療器具4が、Z方向に沿って並進移動するように構成されている。また、アーム部61の先端は、基端側リンク部72を、Z方向に直交するY方向を軸として回動させるように基端側リンク部72に接続されている。
【0028】
ここで、本実施形態では、
図4~
図7に示すように、医療用マニピュレータ1は、アーム60に取り付けられ、アーム60を操作する操作部80を備えている。操作部80は、操作者Oが把持する把持部としての筐体82を含む。また、操作部80は、操作者Oが筐体82に加えられた力に基づいて、アーム60の移動方向および移動速度を制御するための信号を出力する力センサ83を含む。また、操作部80は、筐体82と力センサ83との間に設けられ、筐体82から力センサ83に加えられる力を緩和する緩衝部材84を含む。なお、筐体82は、特許請求の範囲の「把持部」の一例である。また、力センサ83は、特許請求の範囲の「センサ」の一例である。
【0029】
また、本実施形態では、把持部としての筐体82は、力センサ83と緩衝部材84とを内部に収容する操作部80の外表面を構成する。具体的には、筐体82は、略筒形状(断面が略長円の円筒形状)有している。そして、略筒形状の筐体82の内部に、力センサ83と緩衝部材84とが収容されている。また、筐体82は、略筒形状の筐体82の内面82aには、力センサ83および緩衝部材84側に向かって突出する凸部82bが設けられている。凸部82bは、略円筒形状を有する。そして、凸部82b、緩衝部材84および力センサ83が、略筒形状の筐体82が延びる方向(Z方向)にこの順で並んで配置されている。また、凸部82b、緩衝部材84および力センサ83の各々の中心軸線C(
図7参照)が、略一致するように、凸部82b、緩衝部材84および力センサ83が配置されている。
【0030】
また、
図7に示すように、緩衝部材84は、略円柱形状を有する。また、力センサ83も、略円柱形状を有する。そして、凸部82bのZ1方向側の面と、緩衝部材84のZ2方向側の面とが接着剤85により接着されている。また、緩衝部材84のZ1方向側の面と、力センサ83のZ2方向側の面とが接着剤85により接着されている。すなわち、筐体82は、緩衝部材84を介して、力センサ83に固定されている
【0031】
また、本実施形態では、
図3および
図4に示すように、力センサ83は、アーム60(並進移動機構部70の先端側リンク部73)に固定されている。そして、筐体82は、緩衝部材84を介して、アーム60に固定された力センサ83に力を加える。具体的には、力センサ83のZ1方向側の面が並進移動機構部70に対して、取り付けのための台座86(
図6および
図7参照)を介して、ねじ止めなどにより固定されている。すなわち、筐体82は、並進移動機構部70に対して固定された力センサ83に、緩衝部材84を介して固定されている。また、筐体82のZ1方向側の端部と、アーム60のZ2方向側の端部との間には、隙間CL(
図4参照)が存在する。
【0032】
また、本実施形態では、緩衝部材84は、ゴム部材を含む。これにより、緩衝部材84が弾性を有するので、力センサ83に対して筐体82(操作部80)は、傾斜可能に構成されている。すなわち、操作者Oが筐体82を把持して筐体82を傾斜させるように力を加える。これにより、緩衝部材84が変形して、力センサ83に対して筐体82が傾斜する。
【0033】
また、力センサ83は、たとえば、歪ゲージ式のセンサから構成されている。また、力センサ83は、3方向の力の大きさを検出する。すなわち、操作部80(筐体82)が傾斜されることにより、力センサ83は、2次元内(X-Y平面内)の方向の力の大きさを検出する。また、操作部80(筐体82)が、Z1方向に押下されるか、または、Z2方向に引っ張られることにより、Z方向の力の大きさを検出する。なお、力センサ83として、6方向の力の大きさを検出する力センサを用いてもよい。
【0034】
また、本実施形態では、
図4~
図7に示すように、操作部80は、アーム60の移動を許可するイネーブルスイッチ81を含む。そして、力センサ83は、操作者Oがアーム60の移動を許可する状態となるように操作部80を把持してイネーブルスイッチ81を押下した状態(
図8参照)で、筐体82に加えられた力に基づいて、アーム60の移動方向および移動速度を制御するための信号を出力するように構成されている。
【0035】
具体的には、イネーブルスイッチ81は、操作者Oの指により押下される押しボタンスイッチにより構成されている。イネーブルスイッチ81が押下されることにより、サーボモータM1~M3(
図9参照)に通電する制御(サーボモータM1~M3を駆動させる制御)を行うことが可能になる。すなわち、イネーブルスイッチ81が押下されている間のみ、アーム60を移動させる制御が可能になる。
【0036】
また、本実施形態では、イネーブルスイッチ81は、操作部80の外周面80aに設けられており、操作者Oが操作部80の外周面80aを把持してイネーブルスイッチ81を押下することによりアーム60の移動を許可する。また、イネーブルスイッチ81は、操作部80の外周面80aの両側に一対設けられている。
【0037】
具体的には、操作部80の断面は、互いに対向して略平行に延びる一対の辺S(
図5および
図6参照)を有する形状を有している。そして、一対のイネーブルスイッチ81は、操作部80の互いに対向する一対の辺Sを含む面80bに各々設けられている。具体的には、操作部80の断面は、略長円形状を有している。そして、互いに対向して略平行に延びる略長円形状の操作部80の面80bにイネーブルスイッチ81が設けられている。そして、操作者Oが操作部80の外周面80aを把持して、操作部80の外周面80aの両側に設けられているイネーブルスイッチ81のうちの少なくとも一方を押下することによりアーム60の移動が許可される状態となる。
【0038】
これにより、操作部80の外周面80aの両側に設けられているイネーブルスイッチ81の両方を押下する必要がない分、操作者Oの負担を低減することができるとともに操作者Oの利便性が向上される。
【0039】
また、本実施形態では、
図3に示すように、操作部80は、並進移動機構部70に設けられている。また、操作部80は、並進移動機構部70に取り付けられた医療器具4に隣り合うように並進移動機構部70に取り付けられている。具体的には、操作部80は、並進移動機構部70の先端側リンク部73に取り付けられている。また、操作部80は、医療器具4の被駆動ユニット4aに隣り合うように配置されている。
【0040】
また、
図9に示すように、アーム60には、アーム部61の複数の関節部64に対応するように、複数のサーボモータM1と、エンコーダE1と、減速機(図示せず)とが設けられている。エンコーダE1は、サーボモータM1の回転角を検出するように構成されている。減速機は、サーボモータM1の回転を減速させてトルクを増大させるように構成されている。
【0041】
また、
図9に示すように、並進移動機構部70には、医療器具4の被駆動ユニット4aに設けられた回転体を回転させるためのサーボモータM2と、医療器具4を並進移動させるためのサーボモータM3と、エンコーダE2およびエンコーダE3と、減速機(図示せず)とが設けられている。エンコーダE2およびエンコーダE3は、それぞれ、サーボモータM2およびサーボモータM3の回転角を検出するように構成されている。減速機は、サーボモータM2およびサーボモータM3の回転を減速させてトルクを増大させるように構成されている。
【0042】
また、ポジショナ40には、ポジショナ40の複数の関節部43に対応するように、複数のサーボモータM4と、エンコーダE4と、減速機(図示せず)とが設けられている。エンコーダE4は、サーボモータM4の回転角を検出するように構成されている。減速機は、サーボモータM4の回転を減速させてトルクを増大させるように構成されている。
【0043】
また、医療用台車3には、医療用台車3の複数の前輪(図示せず)の各々を駆動するサーボモータM5と、エンコーダE5と、減速機(図示せず)とが設けられている。エンコーダE5は、サーボモータM5の回転角を検出するように構成されている。減速機は、サーボモータM5の回転を減速させてトルクを増大させるように構成されている。
【0044】
医療用台車3の制御部31は、指令に基づいて複数のアーム60の移動を制御するアーム制御部31aと、指令に基づいてポジショナ40の移動および医療用台車3の前輪(図示せず)の駆動を制御するポジショナ制御部31bとを含む。アーム制御部31aには、アーム60を駆動するためのサーボモータM1を制御するためのサーボ制御部C1が電気的に接続されている。また、サーボ制御部C1には、サーボモータM1の回転角を検出するためのエンコーダE1が電気的に接続されている。
【0045】
また、アーム制御部31aには、医療器具4を駆動するためのサーボモータM2を制御するためのサーボ制御部C2が電気的に接続されている。また、サーボ制御部C2には、サーボモータM2の回転角を検出するためのエンコーダE2が電気的に接続されている。また、アーム制御部31aには、並進移動機構部70を並進移動するためのサーボモータM3を制御するためのサーボ制御部C3が電気的に接続されている。また、サーボ制御部C3には、サーボモータM3の回転角を検出するためのエンコーダE3が電気的に接続されている。
【0046】
そして、遠隔操作装置2に入力された動作指令が、アーム制御部31aに入力される。アーム制御部31aは、入力された動作指令と、エンコーダE1(E2、E3)により検出された回転角とに基づいて位置指令を生成するとともに、位置指令をサーボ制御部C1(C2、C2)に出力する。サーボ制御部C1(C2、C3)は、アーム制御部31aから入力された位置指令と、エンコーダE1(E2、E3)により検出された回転角とに基づいて、トルク指令を生成するとともに、トルク指令をサーボモータM1(M2、M3)に出力する。これにより、遠隔操作装置2に入力された動作指令に沿うように、アーム60が移動される。
【0047】
また、本実施形態では、制御部31(アーム制御部31a)は、操作部80の力センサ83からの入力信号に基づいてアーム60を操作するように構成されている。具体的には、アーム制御部31aは、力センサ83から入力された入力信号(動作指令)と、エンコーダE1により検出された回転角とに基づいて位置指令を生成するとともに、位置指令をサーボ制御部C1に出力する。サーボ制御部C1は、アーム制御部31aから入力された位置指令と、エンコーダE1により検出された回転角とに基づいて、トルク指令を生成するとともに、トルク指令をサーボモータM1に出力する。これにより、力センサ83に入力された動作指令に沿うように、アーム60が移動される。
【0048】
ここで、本実施形態では、制御部31(アーム制御部31a)は、力センサ83からの入力信号に上限値を設けることと、力センサ83からの入力信号を平滑化することとのうちの少なくとも一方を行うことにより、アーム60の移動速度の変化を低減する制御を行う。具体的には、制御部31は、力センサ83からの入力信号に上限値を設けて、上限値を超える入力信号が入力された際には、上限値を入力信号として、アーム60の移動を制御する。また、制御部31は、力センサ83からの入力信号を、たとえば、LPF(Low-pass filter)により平滑化する。なお、本実施形態では、制御部31は、力センサ83からの入力信号に上限値を設けることと、力センサ83からの入力信号を平滑化することとの両方を行っている。
【0049】
また、制御部31(アーム制御部31a)は、下記の数式1に示す制御用の運動方程式に基づいて、アーム60の移動を制御する。
【数1】
また、制御部31(アーム制御部31a)は、
図10に示す制御ブロックに基づいて、アーム60の移動を制御する。すなわち、制御部31(アーム制御部31a)は、力センサ83からの入力信号F(s)に対して、速度(xの1階微分)と粘性係数cとの積を減算する。そして、減算された値に慣性係数1/mを乗算する。そして、乗算された値(=1/m(F(s)-c×速度)=加速度=xの2階微分)が、上限値を超える場合、加速度は、上限値に設定される。そして、加速度が積分されて速度(xの1階微分)が算出され、速度が積分されて位置X(s)が算出される。
【0050】
また、
図9に示すように、ポジショナ制御部31bには、ポジショナ40を移動するサーボモータM4を制御するためのサーボ制御部C4が電気的に接続されている。また、サーボ制御部C4には、サーボモータM4の回転角を検出するためのエンコーダE4が電気的に接続されている。また、ポジショナ制御部31bには、医療用台車3の前輪(図示せず)を駆動するサーボモータM5を制御するためのサーボ制御部C5が電気的に接続されている。また、サーボ制御部C5には、サーボモータM5の回転角を検出するためのエンコーダE5が電気的に接続されている。
【0051】
また、入力装置33から準備位置の設定などに関する動作指令が、ポジショナ制御部31bに入力される。ポジショナ制御部31bは、入力装置33から入力された動作指令と、エンコーダE4により検出された回転角とに基づいて位置指令を生成するとともに、位置指令をサーボ制御部C4に出力する。サーボ制御部C4は、ポジショナ制御部31bから入力された位置指令と、エンコーダE4により検出された回転角とに基づいて、トルク指令を生成するとともに、トルク指令をサーボモータM4に出力する。これにより、入力装置33に入力された動作指令に沿うように、ポジショナ40が移動される。同様に、入力装置33からの動作指令に基づいて、ポジショナ制御部31bは、医療用台車3を移動させる。
【0052】
次に、医療用マニピュレータ1を用いた施術の手順について説明する。医療用マニピュレータ1を用いた施術においては、最初に、医療用台車3が操作者O(医療従事者である助手、看護師など)によって、手術室内の所定の位置に移動される。次に、操作者Oは、入力装置33に含まれるタッチパネルを操作することにより、アームベース50と、手術台5または患者Pとが所望の位置関係になるように、ポジショナ40を動作させることによりアームベース50を移動させる。また、患者Pの体表に配置されたカニューレスリーブ(手術器具等を体腔に挿入するための作業用チャンネル)と医療器具4とが、所定の位置関係になるようにアーム60が移動される。また、操作者Oによって操作部80が操作される(力が加えられる)ことにより、複数のアーム60が所望の位置に移動される。そして、ポジショナ40を静止させた状態で、遠隔操作装置2からの指令に基づいて、複数のアーム60および医療器具4が動作される。これにより、医療用マニピュレータ1による施術が行われる。
【0053】
次に、
図11を参照して、アーム60の移動量と操作部80の入力値(操作量)との関係について説明する。上記のように本実施形態では、筐体82と力センサ83との間には、筐体82から力センサ83に加えられる力を緩和するための緩衝部材84が設けられている。これにより、アーム60が比較的高速に移動した場合でも、操作者Oの操作部80に対する操作量が急激に変化しにくいので、アーム60の移動量(
図11の破線)に、操作部80の入力値(操作量、
図11の実線)が追随することが可能になる。
【0054】
[本実施形態の効果]
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0055】
本実施形態では、上記のように、操作部80がアーム60に取り付けられている。これにより、操作者Oは、アーム60の近傍において操作部80を操作することができるので、アーム60を操作部80により容易に操作することができる。
【0056】
また、本実施形態では、上記のように、操作部80は、操作者Oが把持する筐体82と、筐体82に加えられた力に基づいて、アーム60の移動方向および移動速度を操作するための信号を出力する力センサ83と、筐体82と力センサ83との間に設けられ、筐体82から力センサ83に加えられる力を緩和する緩衝部材84とを含む。これにより、操作者Oが筐体82を把持した状態でアーム60が比較的高速に移動した場合でも、アーム60の移動に起因して筐体82から力センサ83に加えられる力を緩衝部材84により緩和することができる。これにより、筐体82に加えた力が急激に変化するのが抑制される。その結果、アーム60が比較的高速に移動する場合でも、力センサ83に対する操作量が変化することに起因するアーム60の振動を抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態では、上記のように、筐体82は、力センサ83と緩衝部材84とを内部に収容する操作部80の外表面を構成する。これにより、操作部80の外表面を構成する筐体82が、操作者Oが把持す把持部を兼ねるので、筐体82と把持部とを別個に設ける場合と異なり、部品点数が増加するのを抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態では、上記のように、力センサ83は、アーム60に固定されており、筐体82は、緩衝部材84を介して、アーム60に固定された力センサ83に力を加える。これにより、筐体82が緩衝部材84を介して力センサ83に力を加えるので、緩衝部材84によってアーム60に対して筐体82がある程度傾く。すなわち、操作者Oがアーム60を移動したい方向に筐体82をある程度傾斜させることができるので、操作者Oの操作に対するアーム60の移動方向を容易に認識させることができる。
【0059】
また、本実施形態では、上記のように、操作部80は、押下されることによりアーム60の移動を許可するイネーブルスイッチ81をさらに含む。力センサ83は、操作者Oがアーム60の移動を許可する状態となるように操作部80を把持してイネーブルスイッチ81を押下した状態で、筐体82に加えられた力に基づいて、アーム60の移動方向および移動速度を制御するための信号を出力するように構成されている。これにより、操作者Oが操作部80を把持してイネーブルスイッチ81を押下する操作と、筐体82に対して力を加える操作とを同じ手で行うことができるので、操作者Oの操作部80に対する操作性を向上させることができる。
【0060】
また、本実施形態では、上記のように、イネーブルスイッチ81は、操作部80の外周面80aに設けられており、操作者Oが操作部80の外周面80aを把持してイネーブルスイッチ81を押下することによりアーム60の移動を許可する。これにより、操作者Oが操作部80の外周面80aを指で覆うように把持するだけで、容易に、イネーブルスイッチ81を押下してアーム60の移動を許可する状態にすることができる。
【0061】
また、本実施形態では、上記のように、イネーブルスイッチ81は、操作部80の外周面80aの両側に一対設けられており、操作者Oが操作部80の外周面80aを把持して、操作部80の外周面80aの両側に設けられているイネーブルスイッチ81のうちの少なくとも一方を押下することによりアーム60の移動を許可する。これにより、イネーブルスイッチ81が操作部80の外周面80aの両側に設けられているので、操作者Oが操作部80の外周面80aを指で覆って把持するように、操作者Oに促すことができる。また、イネーブルスイッチ81のどちらか一方のみを押下することによりアーム60の移動を許可するように構成すれば、操作者Oは、押下しやすい方のイネーブルスイッチ81を押下してアーム60の移動操作を行うことができるので、操作の利便性を向上させることができる。
【0062】
また、本実施形態では、上記のように、操作部80の断面は、互いに対向して略平行に延びる一対の辺Sを有する形状を有しており、一対のイネーブルスイッチ81は、操作部80の互いに対向する一対の辺Sを含む面80bに各々設けられている。これにより、一対のイネーブルスイッチ81が操作部80の互いに対向する面80bに各々設けられているので、操作者Oが互いに対向する面80bを挟込むように操作部80を把持することによって、容易に、イネーブルスイッチ81を押下することができる。
【0063】
また、本実施形態では、上記のように、アーム60は、7軸多関節ロボットアームからなるアーム部61と、アーム部61の先端に設けられるとともに医療器具4が取り付けられ、医療器具4をアーム60に対して相対的に並進移動させる並進移動機構部70とを設ける。そして、操作部80は、並進移動機構部70に取り付けられている。これにより、操作部80が医療器具4の近傍(医療器具4が取り付けられる並進移動機構部70)に配置されるので、医療器具4を所望の位置に移動させるようにアーム60を移動させる操作を、操作部80により容易に行うことができる。
【0064】
また、本実施形態では、上記のように、操作部80は、医療器具4に隣り合うように、並進移動機構部70に取り付けられている。これにより、操作部80が医療器具4の近傍に確実に配置されるので、医療器具4を所望の位置に移動させるようにアーム60を移動させる操作を、操作部80により、より容易に行うことができる。
【0065】
また、本実施形態では、上記のように、力センサ83は、操作者Oが筐体82を把持して筐体82に対して加えられた力に基づいて、アーム60の移動方向および移動速度を制御するための信号を出力する。これにより、操作者Oにより力センサ83に加えられた力の大きさと力の方向とに基づいて、容易に、アーム60の移動方向および移動速度を操作することができる。
【0066】
また、本実施形態では、上記のように、緩衝部材84は、ゴム部材を含む。これにより、筐体82と力センサ83との間に比較的簡易な構成のゴム部材を設けるだけで、容易に、アーム60が比較的高速に移動する場合でも、力センサ83に対する操作量が変化することに起因するアーム60の振動を抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態では、上記のように、力センサ83からの入力信号に基づいてアーム60を操作する制御部30を設ける。そして、制御部30は、力センサ83からの入力信号に上限値を設けることと、力センサ83からの入力信号を平滑化することとのうちの少なくとも一方を行うことにより、アーム60の移動速度の変化を低減する制御を行う。これにより、アーム60がさらに高速に移動して、力センサ83に対する操作者Oの操作量が変化した場合でも、力センサ83からの入力信号に上限値を設けることと、力センサ83からの入力信号を平滑化することとのうちの少なくとも一方が制御部30に行われることにより、力センサ83に対する操作量が変化することに起因するアーム60の振動をより効果的に抑制することができる。
【0068】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0069】
たとえば、上記実施形態では、操作部80に力センサ83が設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、筐体82に対して加えられた力に基づいてアーム60の移動方向および移動速度を操作するための信号を出力する力センサ83以外のセンサ(加速度センサやジョイスティックなど)を用いてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、操作部80の外表面を構成する筐体82が、操作者Oが把持する把持部を兼ねている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、筐体82とは別個に操作者Oが把持する把持部を設けてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、操作部80にイネーブルスイッチ81が設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、イネーブルスイッチ81が操作部80以外の部分に設けられていてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、操作部80の外周面80aの両側に一対設けられているイネーブルスイッチ81のうちの片方が押下されることにより、アーム60の移動が許可される状態となる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、操作部80の外周面80aの両側に一対設けられているイネーブルスイッチ81のうちの両方が押下されることにより、アーム60の移動が許可される状態となるように構成してもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、イネーブルスイッチ81が操作部80の外周面80aの両側に一対設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、イネーブルスイッチ81が操作部80の外周面80aの片側に1つ設けられていてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、操作部80の断面が略長円形状を有している例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、操作部80が略角柱形状を有していてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、緩衝部材84がゴム部材により構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、緩衝部材がゴム部材以外の部材(ばね部材など)により構成されていてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、操作部80が並進移動機構部70に取り付けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、操作部80が、アーム部61に直接取り付けられていてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、制御部30は、力センサ83からの入力信号に上限値を設けることと、力センサ83からの入力信号を平滑化することとの両方を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部30が、力センサ83からの入力信号に上限値を設けることと、力センサ83からの入力信号を平滑化することとのうちのいずれか一方のみを行ってもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、アーム60が4つ設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。アーム60の数は、3つでもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、アーム部61およびポジショナ40が7軸多関節ロボットから構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、アーム60およびポジショナ40が7軸多関節ロボット以外の軸構成(例えば、6軸や8軸)の多関節ロボットなどから構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 医療用マニピュレータ(手術支援ロボット)
4 医療器具
31 制御部
60 アーム
61 アーム部
70 並進移動機構部
80 操作部
80a 外周面
80b 面
81 イネーブルスイッチ
82 筐体(把持部)
83 力センサ(センサ)
84 緩衝部材
O 操作者
S 辺