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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】車両制御方法及び車両制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/09 20120101AFI20230907BHJP
   B60W 40/04 20060101ALI20230907BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20230907BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B60W30/09
B60W40/04
G08G1/16 C
B60T7/12 C
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022502325
(86)(22)【出願日】2020-02-24
(86)【国際出願番号】 IB2020000136
(87)【国際公開番号】W WO2021171049
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】武井 翔一
(72)【発明者】
【氏名】田中 慎也
(72)【発明者】
【氏名】木村 健
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/198426(WO,A1)
【文献】特開2009-116790(JP,A)
【文献】特開2005-056372(JP,A)
【文献】特開2010-070069(JP,A)
【文献】特表2018-522770(JP,A)
【文献】特開2019-079206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00 - 60/00
G08G 1/00 - 99/00
B60R 21/00 - 21/017
B60K 31/00 - 31/18
B60T 7/12 - 8/1769
B60T 8/32 - 8/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が走行する道路上の静止物体の位置を検出し、
前記自車両の速度を検出し、
前記自車両が走行する走行車線に隣接する対向車線を前記自車両の進行方向と逆方向に走行する対向車両の位置及び速度を検出し、
前記道路上の領域で、かつ、前記静止物体から前記道路の延在方向に沿った所定距離範囲の、前記静止物体を含んで形成される領域を設定し、
前記自車両の速度と前記対向車両の位置及び速度とに基づいて、前記自車両と前記対向車両がすれ違う位置を算出し、
前記対向車両の速度が大きいほど大きな値となる第1スコアを算出し、
前記対向車両の加速度が大きいほど大きな値となる第2スコアを算出し、
前記第1スコアと前記第2スコアとを統合して統合スコアを算出し、
前記すれ違う位置が前記領域内に存在する場合において、前記統合スコアが所定値以上の場合には前記自車両を減速させ、前記統合スコアが所定値未満の場合には前記自車両の速度を維持または前記自車両を加速させる
ことを特徴とする車両制御方法。
【請求項2】
前記第2スコアに、前記対向車両が前記静止物体に近づくほど大きな値となる第1重みを乗算する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両制御方法。
【請求項3】
前記対向車両が前記静止物体に近づく方向の距離変化に対する前記第1重みの増加率は、前記対向車両が前記静止物体に近づくほど上昇する
ことを特徴とする請求項2に記載の車両制御方法。
【請求項4】
前記第1スコアに、前記対向車両が前記静止物体に近づくほど小さな値となる第2重みを乗算する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の車両制御方法。
【請求項5】
前記対向車両が前記静止物体に近づく方向の距離変化に対する前記第2重みの減少率は、前記対向車両が前記静止物体に近づくほど上昇する
ことを特徴とする請求項4に記載の車両制御方法。
【請求項6】
前記第1重みと前記第2重みとの合計値は、一定値である
ことを特徴とする請求項4または5に記載の車両制御方法。
【請求項7】
前記静止物体と前記対向車両との距離が長いほど大きくなる車速閾値を設定し、
前記対向車両の速度と前記車速閾値との差に基づいて前記第1スコアを算出する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の車両制御方法。
【請求項8】
前記静止物体と前記対向車両との距離が長いほど大きくなる車速閾値を第1車速閾値として設定し、
前記対向車両の速度が前記第1車速閾値以上である場合には前記第1スコアを1として算出し、
前記対向車両の速度が前記第1車速閾値未満である場合には前記第1スコアを0として算出する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の車両制御方法。
【請求項9】
前記第1車速閾値より小さい第2車速閾値を設定し、
前記対向車両の速度が前記第1車速閾値以上である場合には前記第1スコアを1として算出し、
前記対向車両の速度が前記第1車速閾値未満、かつ前記第2車速閾値以上である場合には前記第1スコアを0として算出し、
前記対向車両の速度が前記第2車速閾値未満である場合には前記第1スコアを-1として算出する
ことを特徴とする請求項8に記載の車両制御方法。
【請求項10】
前記静止物体と前記対向車両との距離が長いほど大きくなる加速度閾値を設定し、
前記対向車両の加速度と前記加速度閾値との差に基づいて前記第2スコアを算出する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の車両制御方法。
【請求項11】
前記静止物体と前記対向車両との距離が長いほど大きくなる加速度閾値を第1加速度閾値として設定し、
前記対向車両の加速度が前記第1加速度閾値以上である場合には前記第2スコアを1として算出し、
前記対向車両の加速度が前記第1加速度閾値未満である場合には前記第2スコアを0として算出する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の車両制御方法。
【請求項12】
前記第1加速度閾値より小さい第2加速度閾値を設定し、
前記対向車両の加速度が前記第1加速度閾値以上である場合には前記第2スコアを1として算出し、
前記対向車両の加速度が前記第1加速度閾値未満、かつ前記第2加速度閾値以上である場合には前記第2スコアを0として算出し、
前記対向車両の加速度が前記第2加速度閾値未満である場合には前記第2スコアを-1として算出する
ことを特徴とする請求項11に記載の車両制御方法。
【請求項13】
前記静止物体と前記対向車両との距離が長いほど大きくなる車速閾値に上限値及び下限値を設定し、
前記対向車両の速度が前記上限値より大きい場合には前記第1スコアを1として算出し、
前記対向車両の速度が前記上限値以下、かつ前記下限値以上である場合には前記第1スコアを0として算出し、
前記対向車両の速度が前記下限値未満である場合には前記第1スコアを-1として算出する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の車両制御方法。
【請求項14】
前記静止物体と前記対向車両との距離が長いほど大きくなる加速度閾値に上限値及び下限値を設定し、
前記対向車両の加速度が前記上限値より大きい場合には前記第2スコアを1として算出し、
前記対向車両の加速度が前記上限値以下、かつ前記下限値以上である場合には前記第2スコアを0として算出し、
前記対向車両の加速度が前記下限値未満である場合には前記第2スコアを-1として算出する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の車両制御方法。
【請求項15】
前記道路の幅方向における前記静止物体の幅が大きいほど小さくなる係数を前記統合スコアに乗算して、最終的な統合スコアを算出する
ことを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の車両制御方法。
【請求項16】
前記道路の幅方向における前記静止物体の幅が所定値以上の場合、前記統合スコアに1未満の係数を乗算して、最終的な統合スコアを算出する
ことを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の車両制御方法。
【請求項17】
前記道路の幅方向における前記静止物体の幅が所定値未満の場合、前記統合スコアに1以上の係数を乗算して、最終的な統合スコアを算出する
ことを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の車両制御方法。
【請求項18】
自車両が走行する道路上の静止物体の位置を検出する第1センサと、
前記自車両の速度を検出する第2センサと、
前記自車両が走行する走行車線に隣接する対向車線を前記自車両の進行方向と逆方向に走行する対向車両の位置及び速度を検出する第3センサと、
前記第1センサ、前記第2センサ、及び前記第3センサによって検出されたデータに基づいて、前記自車両の走行を制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記道路上の領域で、かつ、前記静止物体から前記道路の延在方向に沿った所定の距離範囲の、前記静止物体を含んで形成される領域を設定し、
前記自車両の速度と前記対向車両の位置及び速度とに基づいて、前記自車両と前記対向車両がすれ違う位置を算出し、
前記対向車両の速度が大きいほど大きな値となる第1スコアを算出し、
前記対向車両の加速度が大きいほど大きな値となる第2スコアを算出し、
前記第1スコアと前記第2スコアとを統合して統合スコアを算出し、
前記すれ違う位置が前記領域内に存在する場合において、前記統合スコアが所定値以上の場合には前記自車両を減速させ、前記統合スコアが所定値未満の場合には前記自車両の速度を維持または前記自車両を加速させる
ことを特徴とする車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御方法及び車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、対向車両が対向レーンからはみ出してくる可能性がある場合に、その対向車両を回避するための運転支援装置が知られている(特許文献1)。特許文献1に記載された発明は、対向レーン側の駐車車両とセンターラインとの距離とに基づいて、対向車両の通過経路が自車線側に干渉するか否かを判定する。そして、対向車両の通過経路が自車線側に干渉すると判定された場合、特許文献1に記載された発明は自車両を停車させる、または減速させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-102690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された発明は、対向車両の運転者の意図を反映していないため、自車両と対向車両が干渉することなくすれ違うことができる場合でも、自車両を不要に減速させたり、あるいは停車させたりしてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みて成されたものであり、その目的は、対向車両の運転者の意図を反映した車両制御方法及び車両制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る車両制御方法は、道路上の領域で、かつ、静止物体から道路の延在方向に沿った所定距離範囲の、静止物体を含んで形成される領域を設定し、自車両の速度と対向車両の位置及び速度とに基づいて、自車両と対向車両がすれ違う位置を算出し、対向車両の速度が大きいほど大きな値となる第1スコアを算出し、対向車両の加速度が大きいほど大きな値となる第2スコアを算出し、第1スコアと第2スコアとを統合して統合スコアを算出し、すれ違う位置が領域内に存在する場合において、統合スコアが所定値以上の場合には自車両を減速させ、統合スコアが所定値未満の場合には自車両の速度を維持または自車両を加速させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、対向車両の運転者の意図を反映した車両制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施形態に係る車両制御装置1の概略構成図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るすれ違い禁止領域Rを説明する図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るすれ違う位置Pを説明する図である。
図4図4は、対向車両の速度と第1スコアとの関係を説明するグラフである。
図5図5は、対向車両の加速度と第2スコアとの関係を説明するグラフである。
図6図6は、狭路でのすれ違いの一例を説明する図である。
図7A図7Aは、本発明の実施形態に係る車両制御装置1の一動作例を説明するフローチャートである。
図7B図7Bは、本発明の実施形態に係る車両制御装置1の一動作例を説明するフローチャートである。
図8図8は、第2スコアに乗算する重みを説明する図である。
図9図9は、第1スコア及び第2スコアに乗算する重みを説明する図である。
図10図10は、本発明の変形例3に係る車速閾値を説明する図である。
図11図11は、本発明の変形例3に係る車速閾値を説明する図である。
図12図12は、本発明の変形例3に係る車速閾値を説明する図である。
図13図13は、対向車両の速度と第1スコアとの関係を説明するグラフである。
図14図14は、対向車両の速度と第1スコアとの関係を説明するグラフである。
図15図15は、本発明の変形例4に係る加速度閾値を説明する図である。
図16図16は、対向車両の加速度と第2スコアとの関係を説明するグラフである。
図17図17は、対向車両の加速度と第2スコアとの関係を説明するグラフである。
図18図18は、車速閾値に設定されるマージンを説明する図である。
図19図19は、駐車車両の車幅を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0010】
(本実施形態)
(装置の構成例)
(車両制御装置の構成例)
図1を参照して、本実施形態に係る車両制御装置1の構成例について説明する。図1に示すように、車両制御装置1は、GPS受信機10と、センサ11と、地図データベース12と、コントローラ20と、アクチュエータ30を備える。
【0011】
車両制御装置1は、自動運転機能を有する車両に搭載されてもよく、自動運転機能を有しない車両に搭載されてもよい。また、車両制御装置1は、自動運転と手動運転とを切り替えることが可能な車両に搭載されてもよい。なお、本実施形態における自動運転とは、例えば、ブレーキ、アクセル、ステアリングなどのアクチュエータの内、少なくとも何れかのアクチュエータが乗員の操作なしに制御されている状態を指す。そのため、その他のアクチュエータが乗員の操作により作動していたとしても構わない。また、自動運転とは、加減速制御、横位置制御などのいずれかの制御が実行されている状態であればよい。また、本実施形態における手動運転とは、例えば、ブレーキ、アクセル、ステアリングを乗員が操作している状態を指す。
【0012】
GPS受信機10は、人工衛星からの電波を受信することにより、地上における自車両の位置情報を検出する。GPS受信機10が検出する自車両の位置情報には、緯度情報、及び経度情報が含まれる。GPS受信機10は、検出した自車両の位置情報をコントローラ20に出力する。なお、自車両の位置情報を検出する方法は、GPS受信機10に限定されない。例えば、オドメトリと呼ばれる方法を用いて位置を推定してもよい。オドメトリとは、車両の回転角、回転角速度に応じて車両の移動量及びと移動方向を求めることにより、車両の位置を推定する方法である。
【0013】
センサ11は、自車両に搭載され、自車両の周囲の物体を検出する装置である。センサ11には、カメラ、ライダ、レーダ、ミリ波レーダ、レーザレンジファインダ、ソナーなどが含まれる。センサ11は、自車両の周囲の物体として、他車両、バイク、自転車、歩行者を含む移動物体、及び、障害物、落下物、駐車車両を含む静止物体を検出する。また、センサ11は、移動物体及び静止物体の自車両に対する位置、姿勢(ヨー角)、大きさ、速度、加速度、減速度、ヨーレートを検出する。さらに、センサ11は、車輪速センサ(第2センサ)、操舵角センサ、及びジャイロセンサなどを含んでもよい。車輪速センサは、自車両の車輪の回転速度を検出する。この回転速度により車速が得られる。センサ11は、検出した情報をコントローラ20に出力する。
【0014】
地図データベース12は、カーナビゲーション装置などに記憶されているデータベースであって、道路情報、施設情報など経路案内に必要となる地図情報が記憶されている。道路情報とは、例えば、道路の車線数、道路境界線、車線の接続関係などに関する情報である。地図データベース12は、コントローラ20の要求に応じて地図情報をコントローラ20に出力する。本実施形態では、車両制御装置1が地図データベース12を有するものとして説明するが、必ずしも車両制御装置1が地図データベース12を有する必要はない。地図情報は、センサ11により取得されてもよく、また車車間通信、路車間通信を用いて取得されてもよい。また、地図情報が外部に設置されたサーバに記憶されている場合、車両制御装置1は、通信により随時地図情報などをサーバから取得してもよい。また、車両制御装置1は、サーバから定期的に最新の地図情報を入手して、保有する地図情報を更新してもよい。
【0015】
コントローラ20は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータには、車両制御装置1として機能させるためのコンピュータプログラムがインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータは、車両制御装置1が備える複数の情報処理回路として機能する。なお、ここでは、ソフトウェアによって車両制御装置1が備える複数の情報処理回路を実現する例を示すが、もちろん、以下に示す各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路を個別のハードウェアにより構成してもよい。コントローラ20は、複数の情報処理回路の一例として、すれ違い禁止領域設定部21と、すれ違い位置算出部22と、第1スコア算出部23と、第2スコア算出部24と、統合スコア算出部25と、速度決定部26と、車両制御部27と、を備える。
【0016】
すれ違い禁止領域設定部21は、道路上の領域で、かつ、駐車車両から道路の延在方向に沿った所定の距離範囲の、駐車車両を含んで形成される領域をすれ違い禁止領域として設定する。すれ違い禁止領域とは、駐車車両を除く道路幅が自車両と対向車両とがすれ違うために充分な道路幅未満である場合に、自車両と対向車両とのすれ違いが困難となるような、駐車車両から道路の延在方向に沿った所定の距離範囲の領域であり、自車両と対向車両とのすれ違いを禁止する領域である。
【0017】
すれ違い位置算出部22は、自車両と対向車両とがすれ違う位置が、すれ違い禁止領域設定部21によって設定されたすれ違い禁止領域内に存在するか否かを判定する。具体的には、すれ違い位置算出部22は、自車両と対向車両との相対距離と、自車両の速度と、対向車両の速度とに基づいて、自車両と対向車両とがすれ違う位置を算出する。そして、すれ違い位置算出部22は、算出したすれ違う位置がすれ違い禁止領域内に存在するか否かを判定する。なお、自車両と対向車両との相対距離、自車両の速度、及び対向車両の速度は、センサ11によって検出される。
【0018】
第1スコア算出部23は、すれ違い位置算出部22によってすれ違う位置がすれ違い禁止領域内に存在すると判定された場合、対向車両の速度に基づいて第1スコアを算出する。なお、第1スコアは、すれ違い位置算出部22によってすれ違う位置がすれ違い禁止領域内に存在するか否か判定されたことと関係なく、算出されてもよい。
【0019】
第2スコア算出部24は、すれ違い位置算出部22によってすれ違う位置がすれ違い禁止領域内に存在すると判定された場合、対向車両の加速度に基づいて第2スコアを算出する。なお、第2スコアは、すれ違い位置算出部22によってすれ違う位置がすれ違い禁止領域内に存在するか否か判定されたことと関係なく、算出されてもよい。
【0020】
統合スコア算出部25は、第1スコア算出部23によって算出された第1スコアと第2スコア算出部24によって算出された第2スコアとを統合して、統合スコアを算出する。本実施形態において統合とは加算を意味する。
【0021】
速度決定部26は、すれ違い位置算出部22によってすれ違う位置がすれ違い禁止領域内に存在すると判定された場合、統合スコアを用いて対向車両の運転者の意図を推定する。そして、速度決定部26は、推定した意図に基づいて自車両の速度を決定する。なお、本実施形態では、対向車両は運転者による手動運転が行われる車両として説明するが、これに限定されない。対向車両は自動運転車両であってもよい。対向車両が自動運転車両である場合、速度決定部26が推定する意図は、対向車両に搭載された走行制御装置が予定している行動内容となる。なお、速度決定部26は、すれ違い位置算出部22によってすれ違う位置がすれ違い禁止領域内に存在するか否か判定されたことと関係なく、統合スコアを用いた対向車両の運転者の意図の推定を行ってもよい。
【0022】
車両制御部27は、速度決定部26によって決定された速度で自車両が走行するように、アクチュエータ30を制御する。アクチュエータ30には、ブレーキアクチュエータ、アクセルペダルアクチュエータ、ステアリングアクチュエータなどが含まれる。
【0023】
次に図2を参照して、すれ違い禁止領域設定部21によって設定されるすれ違い禁止領域について説明する。図2に示す道路は、片側一車線の対面通行を示す道路である。図2において自車両50は、左に向かって走行しており、対向車両51は、右に向かって走行している。つまり、自車両50の進行方向は、対向車両51の進行方向とは逆方向である。以下では、自車両50が走行する車線を走行車線と呼び、対向車両51が走行する車線を対向車線と呼ぶ。対向車線は、走行車線に隣接する。
【0024】
図2に示すシーンにおいて、駐車車両52及び対向車両51は、センサ11によって検出されているものとする。具体的には、駐車車両52の位置情報及び速度、対向車両51の位置情報及び速度が、センサ11によって検出されているものとする。駐車車両52の位置情報、及び対向車両51の位置情報については、一例としてレーザレンジファインダ(第1センサ、第3センサ)によって検出される。レーザレンジファインダは、電波を物体(ここでは駐車車両52及び対向車両51)に向けて走査し、その反射波を測定することにより、物体までの距離、方向を測定する。駐車車両52の位置、及び対向車両51の位置は、自車両50の位置に対する相対位置として検出されてもよく、自車両50の位置を原点とした座標上の位置として検出されてもよい。
【0025】
駐車車両52の速度、及び対向車両51の速度については、一例としてカメラによって検出される。カメラによって撮像された現在の画像と、1フレーム前の画像との差分を抽出することにより、駐車車両52の速度、及び対向車両51の速度が得られる。なお、カメラのフレームレートは、特に限定されないが、30fps(frames per second)または60fpsに設定されていればよい。本実施形態では駐車車両52の速度はゼロとして検出されているため、駐車車両52は静止物体であると判定される。換言すれば、自車両50の周囲で検出された物体の速度がゼロ、またはほぼゼロとみなせるほど小さい速度であれば、その物体は静止物体であると判定される。本実施形態では、静止物体を駐車車両52として説明するが、静止物体は駐車車両52に限定されない。例えば、静止物体には、落下物、パイロン(ロードコーンとも呼ばれる)などが含まれる。なお、駐車車両52は、対向車線上に駐車している。
【0026】
図2に示すように、すれ違い禁止領域設定部21は、道路上の領域で、かつ、道路の延在方向に沿って駐車車両52を含んで形成される所定の領域をすれ違い禁止領域Rとして設定する。すれ違い禁止領域Rの形状は、特に限定されないが、例えば四角形状である。すれ違い禁止領域Rを設定する理由は、対向車両51が駐車車両52を回避して自車両50とすれ違う際に、自車両50と対向車両51との接近により乗員が違和感を感じることを回避するためである。したがって、すれ違い禁止領域Rには、駐車車両52が存在する。
【0027】
すれ違い禁止領域設定部21によってすれ違い禁止領域Rが設定された後、すれ違い位置算出部22は、自車両50と対向車両51とがすれ違う位置がすれ違い禁止領域R内に存在するか否かを判定する。具体的には、図3に示すように、すれ違い位置算出部22は、自車両50と対向車両51との相対距離L1(自車両50の位置を原点とした場合は、原点からの距離)と、自車両50の速度V1と、対向車両51の速度V2とを用いて、自車両50と対向車両51とがすれ違う位置Pを算出する。すれ違う位置Pを算出するための数式は、下記の式(1)で表される。
P=L1÷(1+V2÷V1)・・・(1)
【0028】
すれ違い位置算出部22は、算出したすれ違う位置Pがすれ違い禁止領域R内に存在するか否かを判定する。図3では、すれ違う位置Pがすれ違い禁止領域R内に存在する例が示される。
【0029】
図3に示すように、すれ違い位置算出部22によってすれ違う位置Pがすれ違い禁止領域R内に存在すると判定された場合、第1スコア算出部23は、対向車両51の速度に基づいて第1スコアを算出する。具体的には、第1スコア算出部23は、対向車両51の速度が大きいほど大きな値となる第1スコアを算出する。第1スコアの一例について図4を参照して説明する。
【0030】
図4の横軸は対向車両51の速度であり、縦軸は第1スコアである。第1スコアは対向車両51の速度に比例する。第1スコアの値は特に限定されず、任意の値でよい。第1スコアをs、対向車両51の速度をvとした場合、sは下記の式(2)で表される。
=f(v)・・・(2)
は正規化のための関数である。
【0031】
また、図3に示すように、すれ違い位置算出部22によってすれ違う位置Pがすれ違い禁止領域R内に存在すると判定された場合、第2スコア算出部24は、対向車両51の加速度に基づいて第2スコアを算出する。具体的には、第2スコア算出部24は、対向車両51の加速度が大きいほど大きな値となる第2スコアを算出する。第2スコアの一例について図5を参照して説明する。
【0032】
図5の横軸は対向車両51の加速度であり、縦軸は第2スコアである。第2スコアは対向車両51の加速度に比例する。第2スコアの値も第1スコアと同様に特に限定されず、任意の値でよい。第2スコアをs、対向車両51の加速度をaとした場合、sは下記の式(3)で表される。
=f(a)・・・(3)
はfと同様に正規化のための関数である。
【0033】
統合スコア算出部25は、第1スコア算出部23によって算出された第1スコアsと、第2スコア算出部24によって算出された第2スコアsとを統合して、統合スコアを算出する。統合スコアをsとした場合、sは下記の式(4)で表される。
s=s+s・・・(4)
【0034】
速度決定部26は、統合スコア算出部25によって算出された統合スコアを用いて対向車両51の運転者の意図を推定して、自車両50の速度を決定する。図2に示すシーンにおいて、対向車両51の運転者の意図として、2つが想定される。対向車両51が自車両50より先に駐車車両52の側方を通過するか、自車両50が通過した後に対向車両51が駐車車両52の側方を通過するか、の2つである。換言すれば、対向車両51の運転者の意図は、自車両50の通過を待つか、待たないか、の2つである。
【0035】
対向車両51の運転者の意図を推定する理由は、対向車両51の運転者の意図を推定して自車両50の速度を決定できれば、急ブレーキ、または不要な加減速が抑制されるからである。例えば、対向車両51の運転者の意図が自車両50の通過を待つことである場合、自車両50は速度を維持して、もしくは加速させて通過すればよい。一方、対向車両51の運転者の意図が自車両50を待たずに駐車車両52の側方を通過することである場合、自車両50は、駐車車両52を回避するために走行車線にはみ出す対向車両51との接近を回避できる位置(すれ違い禁止領域Rの外側の位置)でスムーズに停止できるように減速すればよい。
【0036】
対向車両51の運転者の意図を推定しない場合、自車両50が急ブレーキを行ったり、不要な加減速を行ったりすることが考えられる。例えば、駐車車両52による遮蔽領域が大きい場合、もしくは駐車車両52の周囲に横断歩道がある場合など、対向車両51が安全のため一時的に減速または停止した後に加速して駐車車両52の側方を通過する場合がある。このような場合、対向車両51の減速により一旦はすれ違い位置Pが対向車両51側に移動するため、自車両50は加速を開始する。しかし、その後、対向車両51が加速することによりすれ違い位置Pが自車両50側に移動するため、自車両50は減速することになる。つまり、対向車両51が自車両50より先に駐車車両52の側方を通過する場合として、対向車両51が一旦減速し、その後加速して駐車車両52の側方を通過するといった場合も含まれる。しかしながら、このような対向車両51の運転者の意図を推定しない場合、自車両50の加減速制御が切り替わってしまい、急ブレーキ、または不要な加減速が発生するおそれがある。本実施形態では、対向車両51の運転者の意図を推定して自車両50の速度を決定するため、急ブレーキ、または不要な加減速が抑制される。
【0037】
次に、統合スコアを用いた対向車両51の運転者の意図の推定方法について説明する。統合スコアが所定値以上である場合、速度決定部26は、対向車両51の運転者の意図が自車両50を待たずに駐車車両52の側方を通過することであると推定する。この場合、速度決定部26は、対向車両51との接近を回避できる位置(すれ違い禁止領域Rの外側の位置)で自車両50がスムーズに停止できるように自車両50の減速度を決定する。
【0038】
一方、統合スコアが所定値未満である場合、速度決定部26は、対向車両51の運転者の意図が自車両50の通過を待つことであると推定する。この場合、自車両50を対向車両51より先に通過させるため、速度決定部26は、自車両50の速度を維持する、もしくは自車両50を加速させることを決定する。所定値については、実験、シミュレーションなどを通じて求めることができる。また、所定値は、対向車両51の運転者ごとに変更されてもよい。運転には個性、好みが表れるため、所定値を運転者ごとに変更することにより、運転者の意図が精度よく推定されうる。
【0039】
速度決定部26によって自車両50の速度が決定された後、車両制御部27は、決定された速度で自車両50が走行するように、各種のアクチュエータ30(ブレーキアクチュエータ、アクセルペダルアクチュエータ、ステアリングアクチュエータなど)を制御する。具体的には、統合スコアが所定値以上である場合、車両制御部27は、速度決定部26によって決定された減速度で自車両50を減速させ、自車両50をすれ違い禁止領域Rの外側の位置にスムーズに停止させる。また、統合スコアが所定値未満である場合、車両制御部27は、自車両50の速度を維持する、または速度決定部26によって決定された加速度で自車両50を加速させる。このとき、車両制御部27は、すれ違い位置Pがすれ違い禁止領域Rの外側に移動するように徐々に自車両50を加速させる。このように、本実施形態に係る車両制御装置1は、統合スコアを用いて対向車両51の運転者の意図を推定し、推定した意図を反映して自車両50の速度を決定する。これにより、急ブレーキ、または不要な加減速が抑制される。
【0040】
なお、上述した速度決定方法において、自車両50と対向車両51とが同時に駐車車両52の側方を通過できない状況、あるいは同時の通過は不可能ではないが、自車両50と対向車両51との接近により乗員が違和感を感じるの可能性があるため同時の通過は避けるべき状況であることを想定している。ところで、道路幅、駐車車両52の車幅、自車両50の車幅、対向車両51の車幅によっては、乗員が違和感を感じることなく駐車車両52の側方を同時に通過できる場合も有り得る。自車両50及び対向車両51が駐車車両52の側方を乗員が違和感を感じることなく同時に通過するための必要な条件は、対向車両51と駐車車両52との充分な距離、及び自車両50と対向車両51との充分な距離を確保するための十分なスペースである。この点について図6を参照して説明する。センサ11は、図6に示すように、対向車両51が駐車車両52を回避して走行するための幅W1を検出する。幅W1は、対向車両51の車幅と、対向車両51と駐車車両52との接近を回避するためのスペースとの足し算によって求めることができる。次に、センサ11は、道路幅から駐車車両52の車幅(道路に重なっている部分の車幅)と幅W1を引き算した残りの車線幅W2を検出する。すれ違い位置算出部22は、残りの車線幅W2が、自車両50と対向車両51がすれ違った際の乗員の違和感を防止するために十分か否かを判定する。残りの車線幅W2が、自車両50と対向車両51がすれ違った際の乗員の違和感を防止するために十分であれば、自車両50と対向車両51は速度を下げて、狭路でのすれ違いを行えばよい。
【0041】
次に、図7A~7Bのフローチャートを参照して、車両制御装置1の一動作例を説明する。この処理は、所定の周期で繰り返し実施される。
【0042】
ステップS101において、コントローラ20は、地図データベース12から地図情報を取得する。処理はステップS103に進み、GPS受信機10は、自車両50の位置情報を検出する。
【0043】
センサ11によって駐車車両52及び対向車両51が検出された場合(ステップS105でYes)、処理はステップS107に進む。一方、駐車車両52及び対向車両51が検出されない場合(ステップS105でNo)、一連の処理は終了する。
【0044】
ステップS107において、すれ違い禁止領域設定部21は、道路上の領域で、かつ、道路の延在方向に沿って駐車車両52を含んで形成される所定の領域をすれ違い禁止領域Rとして設定する(図2参照)。処理はステップS109に進み、すれ違い位置算出部22は、自車両50と対向車両51とがすれ違う位置Pが、ステップS107で設定されたすれ違い禁止領域R内に存在するか否かを判定する。
【0045】
自車両50と対向車両51とがすれ違う位置Pがすれ違い禁止領域R内に存在する場合(ステップS111でYes)、処理はステップS113に進む。一方、自車両50と対向車両51とがすれ違う位置Pがすれ違い禁止領域R内に存在しない場合(ステップS111でNo)、処理はステップS119に進む。
【0046】
ステップS113において、センサ11は、対向車両51が駐車車両52を回避して走行するための幅W1を検出する(図6参照)。次に、センサ11は、道路幅から駐車車両52の車幅と幅W1を引き算した残りの車線幅W2を検出する(図6参照)。処理は、ステップS115に進み、すれ違い位置算出部22は、ステップS113で検出された車線幅W2が、自車両50と対向車両51がすれ違った際の接近を回避するために十分か否かを判定する。ステップS115でYesの場合、処理はステップS117に進み、狭路でのすれ違いが実施される。自車両50と対向車両51とがすれ違った場合(ステップS119でYes)、一連の処理は終了する。一方、ステップS115でNoの場合、処理はステップS121に進む。
【0047】
ステップS121において、第1スコア算出部23は、対向車両51の速度が大きいほど大きな値となる第1スコアを算出する(図4参照)。処理はステップS123に進み、第2スコア算出部24は、対向車両51の加速度が大きいほど大きな値となる第2スコアを算出する(図5参照)。処理はステップS125に進み、統合スコア算出部25は、ステップS121で算出された第1スコアと、ステップS123で算出された第2スコアとを統合して、統合スコアを算出する。
【0048】
統合スコアが所定値以上である場合(ステップS127でYES)、処理はステップS129に進み、速度決定部26は、対向車両51の運転者の意図が自車両50を待たずに駐車車両52の側方を通過することであると推定する。速度決定部26は、対向車両51との接近を回避できる位置(すれ違い禁止領域Rの外側の位置)で自車両50がスムーズに停止できるように自車両50の減速度を決定する。車両制御部27は、速度決定部26によって決定された減速度で自車両50を減速させ、自車両50をすれ違い禁止領域Rの外側の位置にスムーズに停止させる。
【0049】
統合スコアが所定値未満である場合(ステップS127でNO)、処理はステップS131に進み、速度決定部26は、対向車両51の運転者の意図が自車両50の通過を待つことであると推定する。速度決定部26は、自車両50の速度を維持する、もしくは自車両50を加速させることを決定する。車両制御部27は、自車両50の速度を維持する、または速度決定部26によって決定された加速度で自車両50を加速させる。ステップS133の処理はステップS119の処理と同じため、説明を省略する。
【0050】
なお、上述の例では、自車両50と対向車両51とがすれ違う位置Pがすれ違い禁止領域R内に存在する場合(ステップS111でYES)に、すれ違い位置算出部22は残りの車線幅W2が十分か否かを判定する。そして残りの車線幅W2が十分でない場合(ステップS115でNO)に、第1スコア、第2スコア、及び統合スコアが算出される(ステップS121、ステップS123、ステップS125)が、これに限定されない。例えば、第1スコア、第2スコア、及び統合スコアはステップS111及びステップS115の判定に関係なく、常に算出されてもよい。また、ステップS111及びステップS115の判定結果に基づいて処理がステップS127に進み、統合スコアが所定値以上であるか否か判定されてもよい。また、ステップS113~117の処理を省略し、すれ違う位置Pがすれ違い禁止領域R内に存在する場合(ステップS111でYES)に、コントローラ20は常に処理をステップS127に進ませ、統合スコアが所定値以上であるか否かを判定してもよい。
【0051】
(作用効果)
以上説明したように、本実施形態に係る車両制御装置1によれば、以下の作用効果が得られる。
【0052】
車両制御装置1は、自車両50が走行する道路上の静止物体(例えば駐車車両52)の位置を検出する。車両制御装置1は、自車両50の速度を検出する。車両制御装置1は、自車両50が走行する走行車線に隣接する対向車線を自車両50の進行方向と逆方向に走行する対向車両51の位置及び速度を検出する。車両制御装置1は、道路上の領域で、かつ、道路の延在方向に沿って駐車車両52を含んで形成される領域(すれ違い禁止領域R)を設定する。
【0053】
車両制御装置1は、自車両50の速度と対向車両51の位置及び速度とに基づいて、自車両50と対向車両51がすれ違う位置を算出する。車両制御装置1は、対向車両51の速度が大きいほど大きな値となる第1スコアsを算出する。車両制御装置1は、対向車両51の加速度が大きいほど大きな値となる第2スコアsを算出する。車両制御装置1は、第1スコアsと第2スコアsとを統合して統合スコアsを算出する。車両制御装置1は、すれ違う位置が領域内に存在する場合において、統合スコアsが所定値以上の場合には自車両50を減速させ、統合スコアsが所定値未満の場合には自車両50の速度を維持または自車両50を加速させる。
【0054】
このように車両制御装置1は、統合スコアsを用いて対向車両51の運転者の意図を推定し、推定した意図を反映して自車両50の速度を決定する。これにより、急ブレーキ、または不要な加減速が抑制される。
【0055】
なお、第1スコア算出部23及び第2スコア算出部24は、すれ違い位置算出部22によってすれ違う位置Pがすれ違い禁止領域内に存在するか否か判定されたことと関係なく、第1スコア及び第2スコアを算出してもよいが、すれ違う位置Pがすれ違い禁止領域R内に存在すると判定された場合のみ、第1スコア及び第2スコアを算出することが好ましい。これにより、第1スコア及び第2スコアを常時算出する場合と比較して算出に係る負荷が低減する。
【0056】
(変形例1)
次に、本実施形態の変形例1について説明する。
【0057】
変形例1では、第2スコア算出部24は、第2スコアに、対向車両51が駐車車両52に近づくほど大きな値となる第1重みωを乗算する。第1重みωについて図8を参照して説明する。
【0058】
図8に示すグラフの横軸の位置は、駐車車両52に対する対向車両51の位置を示す。なお、図8に示すグラフの横軸は、右方向に向かうほど駐車車両52に近い位置を表している。対向車両51が駐車車両52に近づくほど、グラフの横軸上における位置が右方向に進む。グラフの横軸は第1重みωを示す。図8に示すように、第1重みωは、対向車両51が駐車車両52に近づくほど大きな値となる。第2スコアsに第1重みωを掛けた場合の統合スコアsは、下記の式(5)で表される。
s=s+sω・・・(5)
【0059】
ここで、第2スコアに第1重みωを乗算する目的を説明する。対向車両51の運転者の意図を推定する場合において、対向車両51の位置によっては対向車両51の速度よりも加速度のほうが推定精度に及ぼす影響が大きい。また、対向車両51の加速度を用いる場合、駐車車両52から遠い位置と比較して近い位置における対向車両51の加速度を用いたほうが推定精度に及ぼす影響が大きい。駐車車両52に近い位置において、対向車両51の加速度が上昇した場合、対向車両51の運転者の意図として自車両50を待たずに駐車車両52の側方を通過する可能性が高いからである。そこで、第2スコア算出部24は、第2スコアに、対向車両51が駐車車両52に近づくほど大きな値となる第1重みωを乗算する。これにより、駐車車両52に近い位置において、第2スコアの統合スコアへの寄与度が上昇する。このような統合スコアを用いることにより対向車両51の運転者の意図を精度よく推定することが可能となる。
【0060】
また、第1重みωは、対向車両51が駐車車両52から遠い位置に存在する場合、小さな値となる。よって、第2スコアに第1重みωを乗算することにより、対向車両51が駐車車両52から遠い位置に存在する場合、第2スコアの統合スコアへの寄与度が減少する。このように、第2スコアに第1重みωを乗算することにより、第2スコアの統合スコアへの寄与度をコントロールすることが可能となる。
【0061】
図8に示すように、対向車両51が駐車車両52に近づく方向への距離変化に対する第1重みωの増加率は、対向車両51が駐車車両52に近づくほど上昇する。上述したように、駐車車両52から遠い位置と比較して近い位置における対向車両51の加速度は推定精度に及ぼす影響が大きい。そこで、変形例1において、第1重みωの増加率が、対向車両51が駐車車両52に近づくほど上昇するように設定した。これにより、駐車車両52に近い位置において、第2スコアの統合スコアへの寄与度が上昇する。このような統合スコアを用いることにより対向車両51の運転者の意図を精度よく推定することが可能となる。
【0062】
なお、コントローラ20は第1重みω1を次の方法によって設定してもよい。コントローラ20は、駐車車両52に対する対向車両51の位置(すなわち駐車車両52と対向車両51との距離)に応じた第1重みω1を予めマップ等に記憶しておき、センサ11によって検出された駐車車両52に対する対向車両51の位置とマップとを参照することによって、第1重みω1を設定してもよい。
【0063】
(変形例2)
次に、本実施形態の変形例2について説明する。
【0064】
上述の変形例1では、第2スコア算出部24は、第2スコアに第1重みωを乗算すると説明した。変形例2では、これに加えてさらに第1スコア算出部23は、第1スコアに対向車両51が駐車車両52に近づくほど小さな値となる第2重みωを乗算する。第2重みωについて図9を参照して説明する。
【0065】
図9に示すグラフの横軸の位置は、図8と同様に対向車両51の位置を示す。なお、図9に示すグラフの横軸は図8と同様に、右方向に向かうほど駐車車両52に近い位置を表している。対向車両51が駐車車両52に近づくほど、グラフの横軸上における位置が右方向に進む。グラフの横軸は第1重みω及び第2重みωを示す。図9に示すように、第2重みωは、対向車両51が駐車車両52に近づくほど小さな値となる。第1スコアsに第2重みωを掛けた場合の統合スコアsは、下記の式(6)で表される。
s=sω+sω・・・(6)
【0066】
変形例2において、駐車車両52に近い位置では第2スコアの統合スコアへの寄与度が上昇し、駐車車両52から遠い位置では第1スコアの統合スコアへの寄与度が上昇する。このように変形例2に係る車両制御装置1によれば、第1重みω及び第2重みωを用いることにより、第1スコア及び第2スコアの統合スコアへの寄与度をコントロールすることが可能となる。
【0067】
また、図9に示すように、対向車両51が駐車車両52に近づく方向への距離変化に対する第2重みωの減少率は、対向車両51が駐車車両52に近づくほど上昇する。これにより、駐車車両52に近い位置において、第1スコアの統合スコアへの寄与度が相対的に減少し、第2スコアの統合スコアへの寄与度が相対的に上昇する。このような統合スコアを用いることにより対向車両51の運転者の意図を精度よく推定することが可能となる。
【0068】
なお、第2重みω2は第1重みω1と同様の方法で設定されてもよい。コントローラ20は、駐車車両52に対する対向車両51の位置(すなわち駐車車両52と対向車両51との距離)に応じた第2重みω2を予めマップ等に記憶しておき、センサ11によって検出された駐車車両52に対する対向車両51の位置とマップとを参照することによって、第2重みω2を設定してもよい。
【0069】
また、第1重みωと第2重みωとの合計値は、一定値であってもよい。第1重みωと第2重みωとの合計値が一定値であれば、どちらか一方を設定すればもう一方は自動的に設定される。これにより、第1重みω1と第2重みω2とをそれぞれ個別に設定する場合に比べて、重みを設定する際の算出コストは低減する。
【0070】
(変形例3)
次に、本実施形態の変形例3について説明する。
【0071】
変形例3では、駐車車両52と対向車両51との距離が長いほど大きくなる車速閾値を設定し、対向車両51の速度と車速閾値との差に基づいて第1スコアを算出する。
【0072】
車速閾値について図10を参照して説明する。コントローラ20は、図10に示すように、対向車両51の任意の位置(現在位置でもよい)から対向車両51が一定の減速度で減速して駐車車両52の手前で停止するための速度プロファイルを生成する。速度プロファイルに係る速度は、駐車車両52と対向車両51との距離が長いほど大きくなる。
【0073】
コントローラ20は、生成した速度プロファイルを用いて車速閾値を設定する。具体的には、コントローラ20は、図11に示すように、駐車車両52から所定距離(距離L2)離れた対向車両51の位置に対応する速度プロファイルに係る速度を車速閾値として設定する。図11に示す例では、車速閾値はV3となる。その他の例として、コントローラ20は、図12に示すように、駐車車両52から所定距離(距離L3)離れた対向車両51の位置に対応する速度プロファイルに係る速度を車速閾値として設定する。図12に示す例では、車速閾値はV4となる。ここで、L2>L3であり、V3>V4である。このように、車速閾値は、駐車車両52と対向車両51との距離が長いほど大きくなる。
【0074】
コントローラ20は、車速閾値と、対向車両51の速度との差を算出する。図11に示す例では、コントローラ20は、すれ違う位置Pがすれ違い禁止領域R内に存在する場合において、駐車車両52から距離L2だけ離れた対向車両51の位置に対応する車速閾値V3と、駐車車両52から距離L2だけ離れた対向車両51の位置に対応する対向車両51の速度との差を算出する。
【0075】
第1スコア算出部23は、駐車車両52から距離L2だけ離れた対向車両51の位置に対応する対向車両51の速度vが、駐車車両52から距離L2だけ離れた対向車両51の位置に対応する車速閾値V3より大きいほど、第1スコアが大きくなるように第1スコアを算出する。汎用な車速閾値をvとした場合、第1スコアsは下記の式(7)で表される。
=f(v-v)・・・(7)
【0076】
対向車両51の速度が車速閾値より大きいということは、対向車両51の運転者は自車両50を待たずに駐車車両52の側方を通過する可能性が高い。よって、式(7)に示す第1スコアを算出し、この第1スコアを用いることにより、対向車両51の運転者の意図を精度よく推定することが可能となる。このように、変形例3に係る車両制御装置1は、対向車両51の速度と車速閾値との差に基づく第1スコアを用いて対向車両51の運転者の意図を推定し、推定した意図を反映して自車両50の速度を決定する。これにより、急ブレーキ、または不要な加減速が抑制される。
【0077】
対向車両51の速度と車速閾値との比較による第1スコアの算出方法の他の例を図13を参照して説明する。図13に示すように、コントローラ20は、駐車車両52と対向車両51との距離が長いほど大きくなる車速閾値を第1車速閾値Vth1として設定する。コントローラ20は、駐車車両52から所定距離だけ離れた対向車両51の位置に対応する第1車速閾値Vth1と、駐車車両52から所定距離だけ離れた対向車両51の位置に対応する対向車両51の速度と、を比較する。
【0078】
図13に示すように、対向車両51の速度が第1車速閾値Vth1以上である場合、第1スコア算出部23は、第1スコアを1として算出する。一方、対向車両51の速度が第1車速閾値Vth1未満である場合、第1スコア算出部23は、第1スコアを0として算出する。すなわち、図13に示す例では、第1スコアは二値化される。上述のとおり、対向車両51の速度が第1車速閾値Vth1以上である場合、対向車両51の運転者は自車両50を待たずに駐車車両52の側方を通過する可能性が高い。よって、このように第1スコアを算出し、この第1スコアを用いることにより、対向車両51の運転者の意図を精度よく推定することが可能となる。
【0079】
なお、第1スコアは三値化されてもよい。図14に示すように、コントローラ20は、第1車速閾値Vth1より小さい第2車速閾値Vth2を設定し、これらの閾値と対向車両51の速度とを比較してもよい。図14に示すように、対向車両51の速度が第1車速閾値Vth1以上である場合、第1スコア算出部23は、第1スコアを1として算出する。対向車両51の速度が第1車速閾値Vth1未満かつ、第2車速閾値Vth2以上である場合、第1スコア算出部23は、第1スコアを0として算出する。対向車両51の速度が第2車速閾値Vth2未満である場合、第1スコア算出部23は、第1スコアを-1として算出する。対向車両51の速度が第2車速閾値Vth2未満である場合、対向車両51の運転者は自車両50の通過を待つ可能性が高い。よって、このように第1スコアを算出し、この第1スコアを用いることにより、対向車両51の運転者の意図を精度よく推定することが可能となる。
【0080】
(変形例4)
次に、本実施形態の変形例4について説明する。
【0081】
変形例4では、駐車車両52と対向車両51との距離が長いほど大きくなる加速度閾値を設定し、対向車両51の加速度と車速閾値との差に基づいて第2スコアを算出する。
【0082】
加速度閾値について図15を参照して説明する。コントローラ20は、図15に示すように、対向車両51の任意の位置(現在位置でもよい)において、駐車車両52の手前で停止するための加速度プロファイル(減速加速度であり、負の加速度プロファイル)を生成する。加速度プロファイルに係る加速度は、駐車車両52と対向車両51との距離が長いほど大きくなる。このような加速度プロファイルに係る加速度は、実験、シミュレーションなどを通じて求めることができる。ここで、図15に示すグラフの縦軸は上方向が正の方向に大きくなる方向を示す。図15に示す加速度プロファイルにおける加速度は、負の加速度(減速加速度)であるため、下方向に向かうほど小さな加速度(大きな減速加速度)を表している。以下の説明においては、対向車両51の進行方向に対する加速度を正方向の加速度、車両の進行方向とは逆方向の加速度(すなわち減速加速度)を負の加速度とし、「加速度が大きい」とは加速度が正方向に大きいことを意味する。
【0083】
コントローラ20は、生成した加速度プロファイルを用いて加速度閾値を設定する。加速度閾値の設定方法は、上述した車速閾値の設定方法と同様である。コントローラ20は、駐車車両52から所定距離だけ離れた対向車両51の位置に対応する加速度閾値と、駐車車両52から所定距離だけ離れた対向車両51の位置に対応する対向車両51の加速度との差を算出する。
【0084】
第2スコア算出部24は、駐車車両52から所定距離だけ離れた対向車両51の位置に対応する対向車両51の加速度aが、駐車車両52から所定距離だけ離れた対向車両51の位置に対応する加速度閾値より大きいほど、第2スコアが大きくなるように第2スコアを算出する。汎用な加速度閾値をaとした場合、第2スコアsは下記の式(8)で表される。
=f(a-a)・・・(8)
【0085】
対向車両51の加速度が加速度閾値より大きいということは、対向車両51の運転者は自車両50を待たずに駐車車両52の側方を通過する可能性が高い。よって、式(8)に示す第2スコアを算出し、この第2スコアを用いることにより、対向車両51の運転者の意図を精度よく推定することが可能となる。このように、変形例4に係る車両制御装置1は、対向車両51の加速度と加速度閾値との差に基づく第2スコアを用いて対向車両51の運転者の意図を推定し、推定した意図を反映して自車両50の速度を決定する。これにより、急ブレーキ、または不要な加減速が抑制される。
【0086】
対向車両51の加速度と加速度閾値との比較による第2スコアの算出方法の他の例を図16を参照して説明する。図16に示すように、コントローラ20は、駐車車両52と対向車両51との距離が長いほど大きくなる加速度閾値を第1加速度閾値ACCth1として設定する。コントローラ20は、駐車車両52から所定距離だけ離れた対向車両51の位置に対応する第1加速度閾値ACCth1と、駐車車両52から所定距離だけ離れた対向車両51の位置に対応する対向車両51の加速度と、を比較する。
【0087】
図16に示すように、対向車両51の加速度が第1加速度閾値ACCth1以上である場合、第2スコア算出部24は、第2スコアを1として算出する。一方、対向車両51の加速度が第1加速度閾値ACCth1未満である場合、第2スコア算出部24は、第2スコアを0として算出する。すなわち、図16に示す例では、第2スコアは二値化される。上述のとおり、対向車両51の加速度が第1加速度閾値ACCth1以上である場合、対向車両51の運転者は自車両50を待たずに駐車車両52の側方を通過する可能性が高い。よって、このように第2スコアを算出し、この第2スコアを用いることにより、対向車両51の運転者の意図を精度よく推定することが可能となる。
【0088】
なお、第2スコアは三値化されてもよい。図17に示すように、コントローラ20は、第1加速度閾値ACCth1より小さい第2加速度閾値ACCth2を設定し、これらの閾値と対向車両51の加速度とを比較してもよい。図17に示すように、対向車両51の加速度が第1加速度閾値ACCth1以上である場合、第2スコア算出部24は、第2スコアを1として算出する。対向車両51の加速度が第1加速度閾値ACCth1未満かつ、第2加速度閾値ACCth2以上である場合、第2スコア算出部24は、第2スコアを0として算出する。対向車両51の加速度が第2加速度閾値ACCth2未満である場合、第2スコア算出部24は、第2スコアを-1として算出する。対向車両51の加速度が第2加速度閾値ACCth2未満である場合、対向車両51の運転者は自車両50の通過を待つ可能性が高い。よって、このように第2スコアを算出し、この第2スコアを用いることにより、対向車両51の運転者の意図を精度よく推定することが可能となる。
【0089】
(変形例5)
次に、本実施形態の変形例5について説明する。
【0090】
変形例5では、変形例3で説明した車速閾値にマージンを設定する。図18を参照して、車速閾値に設定されるマージンを説明する。
【0091】
図18に示すように、コントローラ20は、車速閾値に対するマージンとして上限値と下限値を設定する。上限値は、一例として、車速閾値に対し+10%のマージンを持たせた値として設定される。同様に、下限値は、車速閾値に対し-10%のマージンを持たせた値として設定される。+10%、-10%の値については適宜変更可能である。
【0092】
第1スコア算出部23は、対向車両51の速度が車速閾値の上限値よりも大きい場合には第1スコアを1として算出する。また、第1スコア算出部23は、対向車両51の速度が車速閾値の上限値以下、かつ下限値以上である場合には第1スコアを0として算出する。また、第1スコア算出部23は、対向車両51の速度が車速閾値の下限値未満である場合には第1スコアを-1として算出する。このように車速閾値に上限値と下限値を設定して対向車両51の速度を比較することにより、より慎重に対向車両51の運転者の意図を推定することが可能となる。
【0093】
なお、変形例4で説明した加速度閾値にマージンを設定してもよい。設定方法は、車速閾値における設定方法と同様である。第2スコア算出部24は、対向車両51の加速度が加速度閾値の上限値よりも大きい場合には第2スコアを1として算出する。また、第2スコア算出部24は、対向車両51の加速度が加速度閾値の上限値以下、かつ下限値以上である場合には第2スコアを0として算出する。また、第2スコア算出部24は、対向車両51の加速度が加速度閾値の下限値未満である場合には第2スコアを-1として算出する。このように加速度閾値に上限値と下限値を設定して対向車両51の加速度を比較することにより、より慎重に対向車両51の運転者の意図を推定することが可能となる。
【0094】
(変形例6)
次に、本実施形態の変形例6について説明する。
【0095】
変形例6では、駐車車両52の幅(車幅)に応じた係数を統合スコアに乗算する。駐車車両52の車幅に応じた係数について図19を参照して説明する。
【0096】
図19に示すように、統合スコア算出部25は、駐車車両52の車幅W3に応じた係数を統合スコアに乗算して、最終的な統合スコアを算出する。駐車車両52の車幅W3はセンサ11によって取得される。係数の設定について、一例として、駐車車両52の車幅W3が大きいほど小さくなるように設定される。係数をkとした場合、最終的な統合スコアsは、下記の式(9)で表される。
s=k(sω+sω)・・・(9)
【0097】
駐車車両52の車幅W3が大きいほど、対向車両51の運転者は駐車車両52を回避するために走行車線に大きくはみ出す必要がある。さらに、駐車車両52の車幅W3が大きいほど、対向車両51の運転者は前方が見えにくく、駐車している車両の台数も把握しにくい。したがって、駐車車両52の車幅W3が大きいほど、対向車両51の運転者は自車両50の通過を待つ可能性が高い。よって、駐車車両52の車幅に応じた係数を乗算した統合スコアを用いることにより、対向車両51の運転者の意図を精度よく推定することが可能となる。
【0098】
なお、係数kは、駐車車両52の車幅W3が所定値以上の場合、1未満に設定されてもよい。駐車車両52の車幅W3が反映された統合スコアを用いることにより、対向車両51の運転者の意図を精度よく推定することが可能となる。
【0099】
また、係数kは、駐車車両52の車幅W3が所定値未満の場合、1以上に設定されてもよい。上述したように、駐車車両52の車幅W3が大きいほど、対向車両51の運転者は駐車車両52を回避するために走行車線に大きくはみ出す必要がある。さらに、駐車車両52の車幅W3が大きいほど、対向車両51の運転者は前方が見えにくく、駐車している車両の台数も把握しにくい。これは、逆に言えば、駐車車両52の車幅W3が小さいほど、走行車線にはみ出す部分は少なくなり、対向車両51の運転者は前方が見えやすく、駐車している車両の台数も把握しやすい。つまり、駐車車両52の車幅W3が小さいほど、対向車両51の運転者は自車両50を待たずに駐車車両52の側方を通過する可能性が高い。そこで、車両制御装置1は、駐車車両52の車幅W3が所定値未満の場合、1以上の係数kを統合スコアに乗算してもよい。駐車車両52の車幅W3が反映された統合スコアを用いることにより、対向車両51の運転者の意図を精度よく推定することが可能となる。
【0100】
なお、静止物体が駐車車両52ではなく、落下物、パイロンなどである場合おいて、静止物体の幅とは、道路の幅方向における前記静止物体の幅を意味する。
【0101】
上述の実施形態に記載される各機能は、1または複数の処理回路により実装され得る。処理回路は、電気回路を含む処理装置等のプログラムされた処理装置を含む。処理回路は、また、記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)、回路部品等の装置を含む。
【0102】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0103】
例えば、上述した例では直線道路に例を説明したが、本発明はカーブにおいても適用できる。
【符号の説明】
【0104】
1 車両制御装置
10 GPS受信機
11 センサ
12 地図データベース
20 コントローラ
21 すれ違い禁止領域設定部
22 すれ違い位置算出部
23 第1スコア算出部
24 第2スコア算出部
25 統合スコア算出部
26 速度決定部
27 車両制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
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図16
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図19