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特許7345049高芳香族性を有する炭化水素ポリマー改質剤及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】高芳香族性を有する炭化水素ポリマー改質剤及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C08F 232/00 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
C08F232/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022505357
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 US2020041595
(87)【国際公開番号】W WO2021021417
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-03-01
(31)【優先権主張番号】62/878,887
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509004675
【氏名又は名称】エクソンモービル ケミカル パテンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】トリパシー ランジャン
(72)【発明者】
【氏名】ラジャ ラジェシュ ピー
(72)【発明者】
【氏名】サーマン ディレック ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジョン オリヴィエ ジャン フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】バルデス アレクサンドラ ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ド ゴードマリ ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】コペイ ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ボネット ファビアン
【審査官】久保田 葵
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-193567(JP,A)
【文献】国際公開第2016/043851(WO,A1)
【文献】特表2000-502130(JP,A)
【文献】国際公開第97/020872(WO,A1)
【文献】特表2011-508815(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0371075(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2022/0259415(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108137869(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C19/00-19/44、C08F6/00-246/00、301/00
C08L1/00-101/14
C08K3/00-13/08
B60C1/00-19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成単位として環状成分を含む炭化水素ポリマー改質剤であって、前記炭化水素ポリマー改質剤は、Tg≧95-2.2*(%H Ar)及びTg≧-53+(0.265*Mn)で表されるガラス転移温度及び数平均分子量並びに6モル%超の芳香族プロトン含量(%H Ar)を有し、ここで、Tgは、℃で表されるガラス転移温度であり、%H Arは、前記炭化水素ポリマー改質剤の芳香族プロトンの含量であり、Mnは、前記炭化水素ポリマー改質剤の数平均分子量を表し、前記環状成分は、石油精製流からの蒸留分、及び/又はC4、C5若しくはC6環状オレフィン並びにその混合物の群から選択され、前記炭化水素ポリマー改質剤が、前記環状成分を約10wt.%~約90wt.%の量で含み、前記炭化水素ポリマー改質剤が、構成単位として芳香族成分を含み、前記芳香族成分が、オレフィン-芳香族化合物、置換ベンゼン又は芳香族蒸留分の1つから選択される、前記炭化水素ポリマー改質剤。
【請求項2】
前記環状成分が、シクロペンテン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキセン、1,3-シクロヘキサジエン、1,4-シクロヘキサジエン、メチルシクロペンタジエン、及び/又はジ(メチルシクロペンタジエン)である、請求項1に記載の炭化水素ポリマー改質剤。
【請求項3】
前記炭化水素ポリマー改質剤が、前記環状成分を25wt.%~約80wt.%の量で含む、請求項1に記載の炭化水素ポリマー改質剤。
【請求項4】
前記環状成分が、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン、及びメチルシクロペンタジエンの群から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の炭化水素ポリマー改質剤。
【請求項5】
前記炭化水素ポリマー改質剤が、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン、及び/又はメチルシクロペンタジエンを約10wt.%~約90wt.%の量でむ、請求項1~4のいずれか1項に記載の炭化水素ポリマー改質剤。
【請求項6】
前記芳香族成分が、下記式I
【化1】
(式中、R1及びR2は、互いに独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリールアルキル基又はその誘導体を表す)
のオレフィン-芳香族化合物を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の炭化水素ポリマー改質剤。
【請求項7】
前記芳香族成分が、下記式II
【化2】
(式中、R3及びR4は、互いに独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリールアルキル基を表す。
の置換ベンゼン誘導体化合物を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の炭化水素ポリマー改質剤。
【請求項8】
前記炭化水素ポリマー改質剤が、下記追加特徴:
-10℃と60℃の間のMMAP曇り点、
-150g/モルと800g/モルの間数平均分子量(Mn)、
-Tg≧100-2.2*(H Ar)で表されるガラス転移温度(Tg)、
-Tg≧-32+(0.265*Mn)で表されるガラス転移温度(Tg)、
-6モル%超及び25モル%未満の芳香族プロトン含量(%H Ar)
の少なくとも1つ有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の炭化水素ポリマー改質剤。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の炭化水素ポリマー改質剤の製造方法であって、環状成分を含む供給流を溶媒の存在下又は非存在下、約265℃と290℃の間の反応温度で約1時間~約3時間重合させるステップを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、参照することによりその開示内容全体をここに援用する2019年7月26日に出願された米国仮出願第62/878,887号に対する優先権及びその利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、炭化水素ポリマー樹脂、さらに詳細には種々の用途に役立つ新規炭化水素ポリマー改質剤に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
炭化水素樹脂は、タイヤ部品、ホース、ベルト、履き物構成要素、及び防振装置等の種々多様な用途に使用される。例えば、エラストマー組成物において、炭化水素樹脂は加工助剤として使用されてエラストマー組成物の特性を改善する。エラストマー組成物の商業的処方のための成分の選択は、所望特性のバランス、用途、及び特定用途のための最終使用によって決まる。
一般的に、ゴムコンパウンディングに用いられる未加工の成分及び材料は衝撃性能変数に影響を与えるので、該成分は、ゴムと適合性で、硬化を妨害せず、全ての化合物に容易に分散し、対費用効果が高くなければならず、かつ製品性能に悪影響を及ぼしてはならない。例えば、タイヤ用途では、転がり抵抗、ドライ及びウェットスキッド特性、発熱性のみならず、種々多様の条件で用いられるタイヤの耐久力を改善する能力は重要な性能特性である。
【0004】
樹脂系のガラス転移温度(「Tg」)は、ポリマーが硬質状態からより可撓性の状態になるときに定まる。Tgは、ポリマーの使用温度での、すなわちそれが硬質であろうと可撓性であろうとポリマーの性質を含めた樹脂についての重要な情報を提供する。Tg未満の温度では、分子鎖には、それらを動き回らせるのに十分なエネルギーが存在しない。ここで、ポリマー分子は、短い鎖長、鎖を分岐する分子群及びインターロッキングのため、及び/又は硬質な骨格構造のため、本質的に硬質な非晶構造に固定される。熱が加えられると、ポリマー分子はいくらかのエネルギーを得て動き始めることができる。ある時点で、熱エネルギーが非晶質の硬質構造を可撓性構造に変え、分子は相互に自由に動き回る。この転移点がガラス転移温度と呼ばれる。
【0005】
エラストマー組成物は、(熱が加えられると融解する結晶性ポリマーとは異なり)融解しない非晶質ポリマーであるが、エラストマー組成物は、樹脂の熱容量の変化をもたらす構造の変化(硬質から可撓性へ)を受ける。Tg以上で、ゴム状の可撓性ポリマーはより高い熱容量を有することになる。従って、多くの用途では、ポリマー組成物は高いガラス転移温度を必要とする。
高Tg樹脂は、樹脂の分子量を大きくすることによって作り出すことができる。さらに、分子量の増大が強度及び剛性を高めるので、高分子量樹脂は、結果として生じる製品の耐衝撃性及び耐化学性を確実に発効させもする。しかしながら、これらの樹脂は、ベースポリマーとの適合性が限定される。ポリマーの不適合性を軽減するため、樹脂に改質剤を添加することができるが、樹脂の分子量を小さくするように設計されることはない。しかしながら、樹脂のより小さい分子量は、特に、加工しやすさが重要な場合に、重要なことがある。従って、高芳香族性、高Tg及び低数平均分子量(「Mn」)を有する炭化水素ポリマー改質剤(「HPM」)が望ましい。
【0006】
炭化水素樹脂は、接着剤組成物にも有用である。スチレンブロックコポリマーは、オムツ組立を含めた種々な使用に適したホットメルト接着剤を作るために広く使用される。これらのスチレンブロックコポリマーは、未加硫エラストマーブロックコポリマーを含み、それぞれのモノマー成分が交互配列に配置され、一般構造A-B-Aを有する。この構造では、Aは、スチレンに由来する非エラストマーブロックであり、通常はスチレン「末端ブロック」と呼ばれ、Bは、例えば、イソプレン及び/又はブタジエンに由来するエラストマーポリマーブロックであり、通常は例えば、イソプレン又はブタジエン「中間ブロック」と示され。このタイプのブロックコポリマーは、例えば、各分枝の末端にポリスチレン末端ブロックを有するイソプレン又はブタジエンに由来する分岐重合中間ブロックを有すると記述されることもある。この末端ブロックは、必要な凝集強度を与え、接着剤の高温特性をも高める。しかしながら、スチレンブロックコポリマーベースのホットメルト接着剤に低芳香族性の粘着付与樹脂及び/又は可塑化油を組み込むと、接着剤の凝集強度及び高温抵抗性の低下をもたらす恐れがあることが知られている。
従って、ゴム組成物及び接着剤を含めた種々の用途に使用できる高芳香族性、高Tg及び低数平均分子量(「Mn」)を有する炭化水素ポリマー改質剤(「HPM」)に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
発明の概要
本願には、種々の用途で使用するための炭化水素ポリマー改質剤を記述する。炭化水素ポリマー改質剤は環状成分を含み、下記2つの式:(1)Tg≧95-2.2*(%H Ar);及び(2)Tg≧-53+(0.265*Mn)で定義されるガラス転移温度及び芳香族性含量を有し、炭化水素ポリマー改質剤中の芳香族プロトンの含量は6モルパーセント(モル%)超である。式中、Tgは、改質剤の℃で表されるガラス転移温度であり、%H Arは、炭化水素ポリマー改質剤中の芳香族プロトンの含量を表し、Mnは、炭化水素ポリマー改質剤の数平均分子量を表す。
【0008】
一態様では、環状成分は、シクロペンテン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキセン、1,3-シクロヘキサジエン、1,4-シクロヘキサジエン、メチルシクロペンタジエン、及び/又はジ(メチルシクロペンタジエン)である。一態様では、炭化水素ポリマー改質剤は、環状成分を約10wt.%~約90wt.%の量で含む。一態様では、炭化水素ポリマー改質剤は、環状成分を約25wt.%~約80wt.%の量で含む。一態様では、環状成分は、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン、及びメチルシクロペンタジエンの群から選択される。一態様では、環状成分はシクロペンタジエンである。
一態様では、炭化水素ポリマー改質剤は、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン、及び/又はメチルシクロペンタジエンを約10wt.%~約90wt.%の量で含む。一態様では、炭化水素ポリマー改質剤は、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン、及び/又はメチルシクロペンタジエンを約25wt.%~約80wt.%の量で含む。一態様では、炭化水素ポリマー改質剤は、メチルシクロペンタジエンを約0.1wt.%~約15wt.%の量で含む。一態様では、炭化水素ポリマー改質剤は、メチルシクロペンタジエンを約0.1wt.%~約5wt.%の量で含む。
【0009】
一態様では、炭化水素ポリマー改質剤はさらに芳香族成分を含む。一態様では、芳香族成分は、オレフィン-芳香族化合物、置換ベンゼン又は芳香族蒸留分(aromatic distillation cut)の1つから選択される。一態様では、芳香族成分は芳香族蒸留分である。一態様では、炭化水素ポリマー改質剤は、芳香族成分を約10wt.%~約90wt.%の量で含む。一態様では、炭化水素ポリマー改質剤は、芳香族成分を約20wt.%~約75wt.%の量で含む。
本願で提供する炭化水素ポリマー改質剤を含む接着剤をさらに提供する。一態様では、接着剤は、炭化水素ポリマー改質剤を約0.1wt.%~約99.5wt.%の量で含む。炭化水素ポリマー改質剤を約0.1wt.%~約99.5wt.%の量で含むシーラントをさらに提供する。炭化水素ポリマー改質剤を約0.1wt.%~約99.5wt.%の量で含むフィルムをも提供する。本開示の範囲内の接着剤、シーラント及びフィルムには、空気入り及び非空気入りタイヤ並びにホイールに関連するか又はそれらに用いられるものは含まれない。
さらに、本願では、溶媒の存在下又は非存在下、約265℃と275℃の間の温度で約1時間~約3時間、環状化合物の供給流を重合させるステップを含む、本炭化水素ポリマー改質剤の製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本HPM、比較樹脂及び先行技術エラストマー組成物のTgと%H Arの関連性のグラフである。
図2】本HPM、比較先行技術炭化水素ポリマー添加剤及び先行技術比較エラストマー組成物のTgとMnの関連性のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
本願では、6モルパーセント(6モル%)超の芳香族プロトン(%H Ar)含量を有し、かつ下記式:(1)Tg≧95-2.2*(%H Ar)及び(2)Tg≧-53+(0.265*Mn)で表される炭化水素ポリマー改質剤を提供する。式中、炭化水素ポリマー改質剤のガラス転移温度(「Tg」)は摂氏度(℃)で表され、用語「%H Ar」は、炭化水素ポリマー改質剤中の芳香族プロトンの含量を意味し、「Mn」は、1モル当たりのグラム(「g/モル」)で表される、炭化水素ポリマー改質剤の数平均分子量を意味し、環状成分は、石油精製流からの蒸留分、及び/又はC4、C5若しくはC6環状オレフィン並びにその混合物の群から選択される。
対象の炭化水素ポリマー改質剤(「HPM」)は、本願に記載の1種以上の複雑なコポリマーを調製するために用いられる1種以上の環状成分を含む。複雑なコポリマーの組立、すなわち、コポリマーのミクロ構造は改質剤に含めるモノマーのタイプ及び量によって制御することができる。しかしながら、ポリマー鎖中のモノマーの配置はランダムであり、ポリマーのミクロ構造のさらなる複雑さにつながる。
一態様では、1種以上の環状成分を芳香族成分と混ぜ合わせて炭化水素ポリマー改質剤(本願では「改質剤」又は「粘着付与剤」とも呼ぶ)を形成する。芳香族成分としては、限定するものではないが、オレフィン-芳香族化合物、置換ベンゼン及び/又は芳香族蒸留分を挙げることができる。
【0012】
一態様では、本炭化水素ポリマー改質剤は、炭化水素ポリマー添加剤の総質量の約10wt.%~約90wt.%の量で環状成分を含む。一態様では、本炭化水素ポリマー改質剤は、炭化水素ポリマー改質剤の総質量の約25wt.%~約80wt.%の量で環状成分を含む。一態様では、本炭化水素ポリマー改質剤は、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン、及び/又はメチルシクロペンタジエンを約10wt.%~約90wt.%の量で含む。一態様では、本炭化水素ポリマー改質剤は、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン、及び/又はメチルシクロペンタジエンを約25wt.%~約80wt.%の量で含む。一態様では、本炭化水素ポリマー改質剤は、約0.1wt.%~約15wt.%及び約0.1wt.%~約5wt.%のメチルシクロペンタジエン(「MCPD」)由来含量を含む。
一態様では、芳香族成分は、オレフィン-芳香族化合物、置換ベンゼン、及び/又は芳香族蒸留分であり得る。一態様では、炭化水素ポリマー改質剤の総質量は、炭化水素ポリマー添加剤の総質量の約10wt.%~約90wt.%、及び約20wt.%~約75wt.%の量で芳香族成分を含む。
【0013】
ポリマー、化合物、成分、組成物、改質剤及び/又は方法を開示及び記述する前に、本教示は、別段の指示がない限り、具体的なポリマー、化合物、成分、組成物、反応物、反応条件等に限定されず、特別の定めのない限り、そのようなものとして変動し得ることを理解すべきである。さらに、本願で用いる用語法は、特定態様を記述するという目的のために過ぎず、限定的であることを意図するものではない。
【0014】
定義
本開示の目的では、特に明記しない限り、下記定義を適用する。
本願で使用する場合、単数形「a」、「an」、及び「the」には、特別の定めのない限り、複数の参照対象が含まれる。
分子量分布(「MWD」)は、表現Mw/Mnに相当する。表現Mw/Mnは、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比である。
重量平均分子量は下記式で与えられる。
【0015】
【数1】
【0016】
数平均分子量は下記式で与えられる。
【0017】
【数2】
【0018】
z平均分子量は下記式で与えられる。
【0019】
【数3】
【0020】
前述の式中のniは、分子量Miの分子の数分率(number fraction)である。Mw、Mz、及びMnの測定はゲル浸透クロマトグラフィーによって行ない、以下のように進行する。
ゲル浸透クロマトグラフィー。分子量(Mw、Mn、Mw/Mn等)の分布及びモーメントは、屈折率(RI)及び紫外線(UV)検出器が納められたTosoh EcoSEC HLC-8320GPCを用いて装備された室温(20℃)ゲル浸透クロマトグラフィーを使用することによって測定した。5μm 50Å;5μm 500Å;5μm 10E3Å;5μm Mixed-Dの4つのAgilent PLgelを順次使用した。Aldrich試薬グレードのテトラヒドロフラン(THF)を移動相として用いた。0.45μテフロン(登録商標)フィルターを通してポリマー混合物を濾過し、GPC機器に入る前にオンラインデガッサーで脱気した。公称流速は1.0mL/分であり、公称注入体積は200μLだった。EcoSECソフトウェアで分子量の解析を行なった。
クロマトグラムの各点の濃度(c)は、ベースライン減算IR5ブロードバンドシグナル強度(I)から次式c=βIを用いて計算した。式中、「β」は、ポリスチレン標準物質で決定された質量定数である。溶出体積にわたる濃度クロマトグラフィーと、所定濃度に注入ループ体積を掛けたものに等しい注入質量との積分面積比から質量回収率(mass recovery)を計算した。
【0021】
分子量。162、370、580、935、1860、2980、4900、6940、9960、18340、30230、47190&66000kg/モルの一連の単分散ポリスチレン(PS)標準物質を用いて行なわれるカラム較正によるポリスチレン較正関係を利用することによって分子量を決定した。下記式を用いて各溶出体積での分子量「M」を計算する。
【0022】
【数4】
【0023】
添字「PS」を有する変数はポリスチレンを指し、添字のないものは試験サンプルに相当する。この方法では、aPS=0.67、KPS=0.000175であり、「a」及び「K」は一連の実験式から計算される(T. Sun, P. Brant, R. R. Chance, and W. W. Graessley, 34(19) MACROMOLECULES 6812-6820 (2001))。詳細には、ポリエチレンについてはa/K=0.695/0.000579、プロピレンについてはa/K=0.705/0.0002288である。特に断りのない限り、全ての濃度はg/cm3で表し、分子量はg/モルで表し、固有粘度はdL/gで表している。
【0024】
用語「主化合物」は、組成物中の同タイプの化合物の中で主要な化合物を指す。例えば、主化合物は、組成物中の同タイプの化合物の中で質量で最大量を占める化合物である。従って、例えば、主ポリマーは、組成物中のポリマーの総質量に対して最大質量を占めるポリマーである。
用語「主単位」は、化合物(又はポリマー)を形成する単位の中で質量で最大割合を占める、化合物(又はポリマー)を形成する単位の中で主要な、同化合物(又はポリマー)内の単位を指す。例えば、炭化水素ポリマー改質剤は、主単位のシクロペンタジエンを含むことができ、この場合、シクロペンタジエン単位が、改質剤を構成する全ての単位の中で質量で最大量を占める。同様に、ここに記載するように、炭化水素ポリマー改質剤は、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン及びその混合物の群から選択される主単位を含むことができ、この場合、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン及びその混合物の群から選択される単位の合計が、全ての単位の中で質量で最大数を占める。
用語「主モノマー」は、全ポリマー中の質量で最大割合を占めるモノマーを指す。逆に、「マイナー」モノマーは、ポリマー中で最大モル分率を占めないモノマーを指す。
【0025】
「をベースとする組成物」という表現は、用いた種々の基本成分のその場反応の混合物及び/又は生成物を構成する組成物を指し、これらの成分の一部は、組成物製造の種々の段階中又はその後の硬化中、開始時に組成物が調製される場合は組成物を改変する際に、少なくとも部分的に、反応する能力があり、及び/又は互いに反応するよう企図されている。従って、後述する組成物は、非架橋状態と架橋状態で異なることがある。
本願で使用する場合、用語「エラストマー」及び「ゴム」を互換的に使用し、該用語は、ジエンモノマー(2つの共役又は非共役炭素-炭素二重結合を有するモノマー)に少なくとも部分的に(すなわち、ホモポリマー又はコポリマー)由来する(1種以上の)エラストマーを指す。
用語「接着剤ポリマー成分」及び「接着剤ベースポリマー」を互換的に使用する。
「ジエンエラストマー」は、少なくとも部分的にジエンモノマー(共役又は非共役にかかわらず、2つの炭素-炭素二重結合を有するモノマー)に由来するエラストマー(ホモポリマー又はコポリマー)を指す。
ジエンエラストマーは、50%超のモル含量の単位を有する共役ジエンモノマーに由来する「高不飽和」であり得る。
ジエンエラストマーは2つのカテゴリー、すなわち「本質的に不飽和」又は「本質的に飽和」に分類することができる。「本質的に不飽和」は15%(モル%)を超える含量のジエン起源の単位(共役ジエン)を有する共役ジエンモノマーに少なくとも部分的に由来するジエンエラストマーを一般的に意味すると理解され;従って、ブチルゴム又はジエンとEPDM型のαオレフィンとのコポリマーのようなジエンエラストマーは前述の定義に該当せず、特に「本質的に飽和」のジエンエラストマー(常に15%未満の低いか又は非常に低い含量のジエン起源の単位)と記述することができる。「本質的に不飽和」のジエンエラストマーの分類においては、「高不飽和」ジエンエラストマーは、50%を超える含量のジエン起源の単位(共役ジエン)を有するジエンエラストマーを特に意味するものと理解される。
【0026】
本開示においては、化合物Aと化合物Bの量の比、又は化合物Aの含量と化合物Bの含量の間の比に言及するとき、これは常に化合物Bの量と比較した化合物Aの量の数学的意味の比である。
明示的に別段の指示がない限り、示した全ての百分率(%)は、質量百分率(「wt.%」)である。さらに、表現「aとbの間」で示した値のいずれの範囲も、aを超えてb未満までに及ぶ値の範囲(すなわち、限界a及びbは除外される)を意味し、一方、表現「a~b」で示した値のいずれの範囲も、aからbまでに及ぶ値の範囲(すなわち、厳格な限界a及びbを含む)を意味する。
【0027】
本願で使用する場合、用語「環状成分」は、C5及びC6環状オレフィン、ジオレフィン、ダイマー、コダイマー、及びトリマーの蒸留分及び/又は合成混合物を指す。より詳細には、環状成分には、限定するものではないが、シクロペンテン、シクロペンタジエン(「CPD」)、ジシクロペンタジエン(「DCPD」)、シクロヘキセン、1,3-シクロヘキサジエン、1,4-シクロヘキサジエン、メチルシクロペンタジエン(「MCPD」)、ジ(メチルシクロペンタジエン)(「MCPD」ダイマー)、及びCPD及び/又はMCPDとブタジエン等のC4環状化合物、ピペリレン等のC5環状化合物のコダイマーが含まれる。典型的な環状成分はシクロペンタジエンである。任意に、環状成分は置換されていてもよい。ジシクロペンタジエンは、エンド形又はエキソ形であり得る。
置換環状成分としては、C1-C40直鎖、分岐鎖、又は環状アルキル基で置換されたシクロペンタジエン及びジシクロペンタジエンが挙げられる。一態様では、置換環状成分は、1つ以上のメチル基を有し得る。一態様では、環状成分は、シクロペンタジエン、シクロペンタジエンダイマー、シクロペンタジエン-C4コダイマー、シクロペンタジエン-C5コダイマー、シクロペンタジエン-メチルシクロペンタジエンコダイマー、メチルシクロペンタジエン-C4コダイマー、メチルシクロペンタジエン-C5コダイマー、メチルシクロペンタジエンダイマー、シクロペンタジエン及びメチルシクロペンタジエントリマー及びコトリマー、並びに/又はその混合物の群から選択される。
一態様では、炭化水素ポリマー改質剤はさらに芳香族成分を含むことができる。一態様では、芳香族成分は、下記式Iで表される1種以上のオレフィン-芳香族化合物を含む。
【0028】
【化1】
【0029】
式中、R1及びR2は、互いに独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリールアルキル基、例えば、1H-インデン;1-メチル-1H-インデン;アルキルインデン;5-(2-メチルブタ-2-エニル)-1H-インデン;5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-シクロペンタナフタレン;4-インデン-5-ブタン-1-オール等又はその誘導体を表す。
一態様では、芳香族成分は下記式IIで表される1種以上の置換ベンゼン誘導体を含む。
【0030】
【化2】
【0031】
式中、R3及びR4は、互いに独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリールアルキル基を表す。α-メチルスチレン又は芳香環に1つ以上の置換基を有する置換α-メチルスチレンが適しており、特に該置換基は、それぞれ一置換基当たり1~8個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アリール、又は組み合わせ基から選択される。非限定例としては、α-メチルスチレン、α-メチル-4-ブチルスチレン、α-メチル-3,5-ジ-t-ベンジルスチレン、α-メチル-3,4,5-トリメチルスチレン、α-メチル-4-ベンジルスチレン、α-メチル-4-クロロヘキシルスチレン、及び/又はその混合物が挙げられる。
一態様では、炭化水素ポリマー改質剤(「HPM」)は、流れを蒸気分解してから分別蒸留によって135℃~220℃の範囲で沸騰する留分を分離することによって得られるもののような石油精製流からの芳香族蒸留分を含む。一態様では、芳香族蒸留分成分は、スチレン、スチレンのアルキル置換誘導体、インデン及び/又はインデンのアルキル置換誘導体を含む。一態様では、芳香族蒸留分成分は、約4wt.%~約7wt.%のスチレン;約20wt.%~約30wt.%のスチレンのアルキル置換誘導体、約10wt.%~約25wt.%のインデン、約5~約10wt.%のインデンのアルキル置換誘導体及び約35wt.%~約45wt.%の非反応性芳香族化合物を含む。
一態様では、オレフィン-芳香族化合物、置換ベンゼン及び/又は芳香族蒸留分は、HPMの総質量の約1wt.%~約40wt.%、又は約10wt.%~約30wt.%の間である。
【0032】
本炭化水素ポリマー改質剤(「HPM」)は、様々な方法論を利用して調製することができる。例えば、環状化合物供給流の熱重合をオレフィン-芳香族化合物、置換ベンゼン及び芳香族蒸留分と組み合わせて又はそれらの非存在下で使用することができる。下記実施例で述べるように、所望の分子量及び特定の粘着付与剤曇り点を得るために様々な樹脂を調製した。具体的に、下表4及び5は、供給流、重合条件及び本HPMの最終特性を示す。
ベースポリマーとの非適合性は、低分子量及び加工しやすさが望ましい場合の高Tgを有する樹脂に対する用途を制限する可能性がある。本炭化水素ポリマー改質剤は、以前には記述されていないTgとMnの新規の組み合わせでこの欠点を克服する。
具体的には、本HPMは、ガラス転移温度(「Tg」)及び6モル%超の芳香族プロトン含量(「%H Ar」)によってのみならず、ガラス転移温度(「Tg」)及び数平均分子量(「Mn」)によっても定義される。より具体的には、本HPMは以下のように定義される:Tg≧95-2.2*(%H Ar);及びTg≧-35+(0.265*Mn)、ここで、Tgは、改質剤の℃で表されるガラス転移温度であり、%H Arは、改質剤中の芳香族プロトンの含量を表し、Mnは、改質剤の数平均分子量を表す。
【0033】
一態様では、炭化水素樹脂は、下記追加特徴の少なくとも1つ、好ましくは全てを有する:
-10℃と60℃の間のMMAP曇り点、
-150g/モルと800g/モルの間、好ましくは250g/モルと600g/モルの間の数平均分子量(Mn)、
-Tg≧100-2.2*(H Ar)で表されるガラス転移温度(Tg)、
-Tg≧-32+(0.265*Mn)で表されるガラス転移温度(Tg)、
-6モル%超及び25モル%未満の芳香族プロトン含量(%H Ar)。
【0034】
ゴム組成物
本願では、少なくとも1種のエラストマー、補強フィラー、架橋系、及び1種以上の本炭化水素ポリマー改質剤を含むゴム組成物をさらに提供する。一態様では、本ゴム組成物(「組成物」又は「エラストマー組成物」とも称する)は、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン及びその混合物から成る群より選択される単位を有する本炭化水素ポリマー改質剤を含む。また、ゴム組成物に用いる場合、本HPMは、さらに、Tg≧95-2.2*(%H Ar)及びTg≧153+(0.265*Mn)(%H ArはHPMの芳香族プロトンの含量を表し、Mnは本HPMの数平均分子量を表す)であるようなパーセントで表される6モル%超の芳香族プロトン含量、及び℃で表されるガラス転移温度Tgを有する。ゴム組成物中の炭化水素ポリマー改質剤の含量は、15phr~150phr、25phr~120phr、40phr~115phr、50phr~110phr、及び65phr~110phrに及ぶ範囲内であり得る。本HPMが15phr未満では、本HPMの効果が不十分になり、ゴム組成物がグリップの問題を有する可能性がある。150phrを超えると、本組成物は、本HPMを組成物に容易に組み入れるという点で製造の困難さを呈する可能性がある。
【0035】
エラストマー
本発明のゴム組成物は、少なくとも1種のエラストマーをベースとするゴム組成物及び上記特定炭化水素ポリマー改質剤を含む。エラストマーについて以下にさらに述べる。
本願で使用する場合、用語「エラストマー」及び「ゴム」を互換的に使用する。それらは当業者に周知である。
「ジエンエラストマー」は、ジエンモノマー(共役かどうかに関わりなく、2つの炭素-炭素二重結合を有するモノマー)に少なくとも部分的に由来するエラストマー(ホモポリマー又はコポリマー)を指す。ジエンエラストマーは、50%超のモル含量の単位を有する共役ジエンモノマーに起因して「高不飽和」であり得る。
ジエンエラストマーは、2つのカテゴリー、すなわち「本質的に不飽和」又は「本質的に飽和」に分類することができる。「本質的に不飽和」のジエンエラストマーは、少なくとも部分的に、15%(モル%)を超える含量のジエン起源の単位(共役ジエン)を有する共役ジエンモノマーに由来するジエンエラストマーを一般的に意味するものと理解され;従って、ブチルゴム又はジエンとEPDM型のα-オレフィンとのコポリマーのようなジエンエラストマーは、前述の定義に該当せず、特に「本質的に飽和」のジエンエラストマー(常に15%未満の低いか又は非常に低い含量のジエン起源の単位)と記述し得る。「本質的に不飽和」のジエンエラストマーのカテゴリーにおいては、「高不飽和」ジエンエラストマーは、特に、50%を超える含量のジエン起源の単位(共役ジエン)を有するジエンエラストマーを意味するものと理解される。
【0036】
上記定義を前提として、ジエンエラストマーは、以下のものを指す:
(a)4~12個の炭素原子を有する共役ジエンモノマーの重合によって得られるあらゆるホモポリマー;
(b)互いに1種以上の共役ジエン又は8~20個の炭素原子を有する1種以上のビニル芳香族化合物との共重合によって得られるあらゆるコポリマー;
(c)エチレン及び3~6個の炭素原子を有するα-オレフィンと、6~12個の炭素原子を有する非共役ジエンモノマーとの共重合によって得られる三元コポリマー、例えば、エチレン及びプロピレンと、上記タイプの非共役ジエンモノマー、例えば、特に、1,4-ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン又はジシクロペンタジエン等から得られるエラストマー;
(d)イソブテンとイソプレンのコポリマー(ブチルゴム)及びこのタイプのコポリマーのハロゲン化型、特に塩素化又は臭素化型。
【0037】
いずれのタイプのジエンエラストマーにも当てはまるが、タイヤ用途には本質的に不飽和のジエンエラストマー、特に上記(a)又は(b)タイプが役立つ可能性がある。
以下のものは共役ジエンとして特に適している:1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジ(C1-C5アルキル)-1,3-ブタジエン、例えば、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジエチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-3-エチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-3-イソプロピル-1,3-ブタジエン、アリール-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン又は2,4-ヘキサジエン等。例えば、以下のものは、ビニル芳香族化合物として適している:スチレン、オルト-、メタ-又はパラ-メチルスチレン、「ビニルトルエン」市販混合物、パラ-(tert-ブチル)スチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼン又はビニルナフタレン。
【0038】
コポリマーは、99質量%と20質量%の間のジエン単位及び1質量%と80質量%の間のビニル芳香族単位を含有し得る。エラストマーは、使用する重合条件、特に改質剤及び/又はランダム化剤の存否並びに利用する改質剤及び/又はランダム化剤の量によって決まるいずれのミクロ構造をも有する可能性がある。エラストマーは、例えば、ブロック、ランダム、シーケンシャル(sequential)又はミクロシーケンシャル(microsequential)エラストマーであってよく、分散系又は溶液中で調製可能であり;カップリング剤及び/又は星状分岐剤又は官能化剤でカップリング及び/又は星状分岐又は官能化してよい。ここで、「官能基」は、優先的に、組成物の補強フィラーと相互作用する化学基を意味するものと理解される。
要約するため、組成物のジエンエラストマーは、ポリブタジエン(「BR」と略記)、合成ポリイソプレン(IR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー及びこれらのエラストマーの混合物から成る高不飽和ジエンエラストマーの群から優先的に選択される。該コポリマーは、ブタジエン/スチレン(SBR)コポリマーから成る群よりさらに優先的に選択される。
【0039】
従って、本発明は、好ましくは、前記ジエンエラストマーが、本質的に不飽和のジエンエラストマーから成る群、特にポリブタジエン、合成ポリイソプレン、天然ゴム、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー及びこれらのエラストマーの混合物から成る群より選択される組成物に関する。
本発明の特に好ましいモードによれば、エラストマーは、-40℃未満、好ましくは-40℃と-110℃の間、さらに好ましくは-60℃と-110℃の間、さらに好ましくは-80℃と-110℃の間、さらに好ましくは-90℃と-110℃の間のガラス転移温度Tgを有するエラストマー、優先的にはジエンエラストマーを主に含む。
好ましくは、この主ジエンエラストマーは、ポリブタジエン、ブタジエンコポリマー及びこれらのエラストマーの混合物から成る群、さらに優先的にはポリブタジエン、ブタジエンとスチレンのコポリマー、及びこれらのエラストマーの混合物から成る群より選択される。
この実施形態によれば、超低Tgを有する主な優先的にはジエンエラストマーは、優先的には60phr以上、さらに優先的には70phr以上、さらに優先的には80phr以上の含量で組成物中に存在する。さらに好ましくは、組成物は、上記定義どおりの超低Tgを有するエラストマーを100phr含む。
【0040】
補強フィラー
本組成物は、補強フィラーを含むことができる。ゴム組成物を補強するその能力で知られるいずれのタイプの補強フィラーをも、例えばカーボンブラック等の有機フィラー、シリカ若しくはアルミナ等の補強無機フィラー、又はこれら2つのタイプのフィラーのブレンドをも利用してよい。
ここに記載するように、補強フィラーは、シリカ、カーボンブラック及びその混合物から成る群より選択可能である。
補強フィラーの含量は、5phr~200phr、及び40~160phrに及ぶ範囲内であってよい。一態様では、補強フィラーはシリカであり、一態様では、40phr~150phrに及ぶ範囲内の含量である。本願で提供する組成物は、少量のカーボンブラックを含むことができ、一態様では、この含量は0.1phr~10phrに及ぶ範囲内である。
全てのカーボンブラックがカーボンブラックとして適している。カーボンブラックの中で、さらに特に、例えば、N115、N134、N234、N326、N330、N339、N347又はN375ブラック等のような100、200又は300シリーズ(ASTMグレード)の補強カーボンブラック、目標とする用途によっては、高級シリーズ(例えばN660、N683又はN772)に言及することになる。カーボンブラックは、例えば、マスターバッチの形態でイソプレンエラストマーに既に組み込まれていることもある(例えば、出願WO 97/36724又はWO 99/16600参照)。
【0041】
本ゴム組成物は、1つのタイプのシリカ又は数種のシリカのブレンドを含むことができる。使用するシリカは、あらゆる補強シリカ、特に両方とも450m2/g未満、例えば30m2/g~400m2/gのBET表面積及びCTAB比表面積を示すあらゆる沈降シリカ又はヒュームドシリカであり得る。高分散性沈降シリカ(「HDS」)として、例えば、DegussaからのUltrasil 7000及びUltrasil 7005シリカ、RhodiaからのZeosil 1165MP、1135MP及び1115MPシリカ、PPGからのHi-Sil EZ150Gシリカ、HuberからのZeopol 8715、8745及び8755シリカ、例えば、出願EP-A-0735088に記載されるアルミニウムで「ドープされた」シリカのような処理沈降シリカ、又は出願WO 03/16837に記載される高比表面積を有するシリカに言及することになる。シリカは、45m2/gと400m2/gの間、及び60m2/gと300m2/gの間のBET比表面積を有し得る。
本ゴム組成物は、任意に(カップリング剤に加えて)カップリング活性化剤、無機フィラー被覆剤並びにゴムマトリックス中のフィラーの分散の改善及び組成物の粘度の低減によって原料のままの状態で加工されるそれらの能力を改善できる他のあらゆる加工助剤をも含むこともでき、これらの薬剤は、例えば、加水分解性シラン、例えばアルキルアルコキシシラン、ポリオール、脂肪酸、ポリエーテル、一級、二級若しくは三級アミン、又は加水分解したか又は加水分解性のポリオルガノシロキサンである。
【0042】
特に、例えば、出願WO 03/002648(又はUS 2005/016651)及びWO 03/002649(又はUS 2005/016650)に記載されているような、それらの特異的構造に応じて「対称性」又は「非対称性」と呼ばれるシランポリスルフィドを利用することができる。
また、下記定義に限定されるものではないが、下記一般式IIIに相当する、「対称性」と呼ばれるシランポリスルフィドが特に適している。
(III) Z-A-Sx-A-Z
式中、
-xは、2~8(例えば2~5)の整数であり;
-Aは、二価炭化水素基(例えばC1-C18アルキレン基又はC6-C12アリーレン基、さらに特にC1-C10アルキレン、特にC1-C4アルキレン、特にプロピレン)であり;
-Zは、下記式:
【0043】
【化3】
【0044】
の1つに相当する。
式中:
-R1基は、置換され又は置換されず、同一又は互いに異なり、C1-C18アルキル、C5-C18シクロアルキル又はC6-C18アリール基(例えばC1-C6アルキル、シクロヘキシル又はフェニル基、特にC1-C4アルキル基、さらに特にメチル及び/又はエチル)を表し、
-R2基は、置換され又は置換されず、同一又は互いに異なり、C1-C18アルコキシ又はC5-C18シクロアルコキシ基(例えばC1-C8アルコキシ及びC5-C8シクロアルコキシから選択される基、例えばC1-C4アルコキシから選択される基、特にメトキシ及びエトキシ)を表す。
【0045】
上記式(III)に相当するアルコキシシランポリスルフィドの混合物、特に通常の市販混合物の場合、「x」指数の平均値は、例えば2と5の間、約4の分数である。しかしながら、有利には、アルコキシシランジスルフィド(x=2)を用いて混合を行なうことができる。例としては、ビス((C1-C4)アルコキシ(C1-C4)アルキルシリル(C1-C4)アルキル)ポリスルフィド(特にジスルフィド、トリスルフィド又はテトラスルフィド)のシランポリスルフィド、例えば、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)又はビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドが挙げられる。これらの化合物の中で、特に式[(C2H5O)3Si(CH2)3S2]2のビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPTと略記)、又は式[(C2H5O)3Si(CH2)3S]2のビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(TESPDと略記)を利用することができる。他の例としては、ビス(モノ(C1-C4)アルコキシルジ(C1-C4)アルキルシリルプロピル)ポリスルフィド(特にジスルフィド、トリスルフィド又はテトラスルフィド)、さらに特にビス(モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、例えば特許出願WO 02/083782(又はUS 2004/132880)に記載のものが挙げられる。アルコキシシランポリスルフィド以外のカップリング剤として、公開特許出願WO 02/30939(又はUS 6 774 255)及びWO 02/31041(又はUS 2004/051210)に記載されているような二官能性POS(ポリオルガノシロキサン)又はヒドロキシシランポリスルフィド(上記式中、R2=OH)、又は例えば公開特許出願WO 2006/125532、WO 2006/125533及びWO 2006/125534に記載されているような、アゾジカルボニル官能基を有するシラン若しくはPOSにも言及することになる。
【0046】
本組成物中のカップリング剤の含量は、1phr~15phr、及び3phr~14phrであり得る。
さらに、フィラーは、別の性質、特に有機の補強フィラー製であってもよく、但しこの補強フィラーはシリカの層で被覆されるか又はフィラーとエラストマーの間の結合を形成するためにカップリング剤の使用を要するその表面に官能部位、特にヒドロキシル部位を含むことが条件である。
補強フィラーが与えられる物理的状態は、粉末、ミクロパール、顆粒、ビーズの形態であれ、及び/又は他のあらゆる適切な高密度化形態であれ、重要でない。
【0047】
架橋系
本願で提供するゴム組成物においては、ゴム組成物用のいずれのタイプの架橋系をも使用することができる。
架橋系は、加硫系であってよく、すなわち硫黄(又は硫黄供与剤)及び一次加硫促進剤をベースとする。種々の既知の二次加硫促進剤又は加硫活性化剤、例えば酸化亜鉛、ステアリン酸若しくは同等化合物、又はグアニジン誘導体(特にジフェニルグアニジン)等をこの基本加硫系に添加してよく、後述するように、第1の非生産段階中及び/又は生産段階中に組み込まれる。
0.5phrと10phrの間、0.5phrと5phrの間、特に0.5phrと3phrの間の含量で硫黄を使用することができる。
組成物の加硫系は、1種以上の追加促進剤、例えばチウラム、ジチオカルバミン酸亜鉛誘導体、スルフェンアミド、グアニジン又はチオホスファートのファミリーの化合物を含むこともできる。特に、硫黄の存在下でジエンエラストマーの加硫の促進剤として作用する能力があるいずれの化合物をも、特にチアゾールタイプの促進剤及びまたそれらの誘導体、チウラムタイプの促進剤、並びにジチオカルバミン酸亜鉛を利用してよい。これらの促進剤は、2-メルカプトベンゾチアゾールジスルフィド(「MBTS」と略記)、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(「CBS」と略記)、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(「DCBS」と略記)、N-(tert-ブチル)-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(「TBBS」と略記)、N-(tert-ブチル)-2-ベンゾチアゾールスルフェンイミド(「TBSI」と略記)、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(「ZBEC」と略記)及びこれらの化合物の混合物から成る群より選択される。スルフェンアミドタイプの一次促進剤が利用される。
【0048】
ゴム組成物は、特にトレッドの製造を意図したエラストマー組成物に慣用される通常の添加剤、例えば、顔料、保護剤、例えばオゾン防止ワックス、化学的オゾン防止剤又は酸化防止剤等、上述したもの以外の可塑剤、抗疲労剤、補強樹脂、又はメチレン受容体(例えばノボラック型フェノール樹脂)又は供与体(例えばHMT又はH3M)等の全て又は一部を任意に含むことができる。
ゴム組成物は、可塑化系を含むこともできる。この可塑化系は、上記特定炭化水素系樹脂に加えて、20℃超のTgを有する炭化水素系樹脂、及び/又は可塑化油で構成されることがある。
当然に、組成物は、単独で又はタイヤの製造に使用できるいずれの他のゴム組成物とのブレンド(すなわち、混合物)でも使用することができる。
本願に記載のゴム組成物は、「未硬化」又は非架橋状態(すなわち、硬化前)であっても、「硬化」又は架橋、又は加硫状態(すなわち、架橋又は加硫後)であってもよい。
【0049】
ゴム組成物の調製
ゴム組成物は、適切なミキサー内で、下記2つの連続調製段階:110℃と200℃の間、例えば130℃と180℃の間の最大温度までの高温における第1の熱機械加工又は混練段階(「非生産的」段階と呼ばれることもある)、次に続くより低い温度、典型的に110℃未満、例えば60℃と100℃の間の温度での、最終段階中に架橋又は加硫系が組み込まれる第2の機械加工段階(「生産的」段階と呼ばれることもある)を利用して製造される。該段階は、例えば、出願EP-A-0 501 227、EP-A-0 735 088、EP-A-0 810 258、WO 00/05300又はWO 00/05301に記載されている。
第1の(非生産的)段階はいくつかの熱機械的段階で行なわれる。第1のステップ中に、エラストマー、補強フィラー及び炭化水素ポリマー改質剤(並びに任意的にカップリング剤及び/又は架橋系以外の他の成分)が適切なミキサー、例えば通例の内部ミキサーに、20℃と100℃の間及び25℃と100℃の間の温度で導入される。数分、0.5~2分後、かつ温度が90℃又は100℃まで上昇した後、20秒~数分にわたる混合中に、架橋系を除く他の成分(すなわち、全てではないが開始時に含められなかった残りの成分)が、一度に全て又は少しずつ添加される。この非生産的段階における混練の総持続時間は、180℃以下及び170℃以下の温度で2分と10分の間である。
【0050】
このようにして得られた混合物の冷却後、次に低温(典型的に100℃未満)で、一般的にオープンミキサー等の外部ミキサー内で、架橋系が組み込まれ;合わされた混合物が次に例えば5分と15分の間の数分間混合される(生産的段階)。
このようにして得られた最終組成物は、引き続き、例えばシート又はスラブの形態で、特に実験室特徴づけのためにカレンダー加工されるか、又は例えばタイヤ用半完成品の製造に用いられるゴム異形要素(rubber profiled element)を形成するために押し出される。これらの製品は、次にタイヤの製造に利用可能であり、硬化前に層の相互に良好なタックを有するという利点がある。
架橋(又は硬化)は、特に硬化温度、採用する架橋系、検討中の組成物の架橋速度論又はタイヤサイズの関数として、一般的に130℃と200℃の間の温度で、圧力下、変化し得るのに十分な時間、例えば5分と90分の間の時間にわたって行なうことができる。
【0051】
接着剤組成物
本願に記載の1種以上のHPMは、接着剤組成物中の粘着付与樹脂(本願ではタッキファイヤー及び/又は粘着付与剤と呼ばれることもある)として使用可能である。接着剤組成物は、ホットメル感圧接着剤、ホットメルト包装用接着剤、ホットメルト不織布接着剤の群より選択されるホットメルト接着剤組成物であり得る。下表9は、本願に記載の例示接着剤組成物の主成分の範囲を要約する。
下記例4の表9に示すように、処方される本ホットメルト接着剤組成物は、粘着付与剤と組み合わせて1種以上の接着剤ベースポリマーを含むことができる。ベースポリマー及び粘着付与剤の量は、特定タイプの接着剤処方に応じて異なり得る。接着剤組成物は、接着剤組成物の総質量に基づいて、少なくとも約15パーセント、約90パーセント以下の1種以上の接着剤ベースポリマーを含むことができる。
【0052】
適切な接着剤ベースポリマー(エラストマー又は接着剤ポリマー成分とも呼ばれる)の例としては、限定するものではないが、天然ゴム(NR);スチレンブタジエンゴム(SBR);ブタジエンゴム(BR);ニトリルゴム(NR);ブチルゴム;イソブチレンポリマー;イソブチレンコポリマー;スチレンブロックコポリマー(SBC)、例えばスチレン-イソプレン-スチレン(SIS)コポリマー、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)コポリマー、スチレン-イソプレン-ブタジエン-スチレン(SIBS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)コポリマー、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン(SEPS)コポリマー、スチレン-ブタジエン-ブチレン-スチレン(SBBS)コポリマー、スチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレン(SEEPS)、スチレン-エチレン-プロピレン(SEP)コポリマー、及びその組み合わせ;ポリエチレンポリマー;ポリプロピレンポリマー;ポリエチレンコポリマー;ポリプロピレンコポリマー;メタロセンコポリマー、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、及び/又はポリオレフィン等;非晶質ポリαオレフィン(APAO);オレフィンポリマー及びオレフィンブロックコポリマー(OBC);エチルビニルアセタート(EVA);アクリルポリマー;アクリルコポリマー;アクリルブロックコポリマー(ABC);ポリアミド;ポリウレタン;エポキシ樹脂;ポリエステル;官能性ポリマー(例えばマレイン酸、シラン、フェノール等の官能性の);及び上記ポリマーの1種以上の組み合わせを挙げることができる。
【0053】
市販のベースポリマーの例としては、限定するものではないが、商品名Kratonで販売されているもの(Kraton, Houston, TXから入手可能)、Vector(TSRC-Dexco, Houston, TXから入手可能)、ENGAGE、DOWLEX、AFFINITY、AFFINITY GA、INFUSE、及びVERSIFY(Dow Chemical Company, Midland, Mich.から入手可能);EXCEED、ENABLE、EXCEED XP、ESCORENE、ACHIEVE、EXACT、VISTAMAXX(Exxon Chemical Company, Irving, Tex.から入手可能);EASTOFLEX、AERAFIN(Eastman Chemical, Kingsport, TNから入手可能)、VESTOPLAST(Evonik, Essen, Germanyから入手可能);REXTAC(Rextac, Odessa, Tex.から入手可能);L-MODU(Idemitsu, Japanから入手可能);Tafmer(Mitsui, Japanから入手可能)を挙げることができる。
【0054】
本HPMは、全完成品組成物の質量で少なくとも約1パーセント、及び/又は約99パーセント以下で使用可能である。完成品は、いずれの接着剤、接着剤材料、いずれのシーラント、いずれのシーラント材料、いずれのフィルム、いずれのフィルム材料、いずれの成形材料、いずれの熱成形材料、いずれのカーペット、いずれのカーペット材料、いずれの押出材料、いずれのマスターバッチ、いずれのマスターバッチ材料、いずれのカラーコンセントレート、いずれのカラーコンセントレート材料、いずれの靴底材料、いずれの硬質包装材料、いずれの可撓性包装材料、いずれの電子部品、いずれの自動車部品、限定するものではないが、いずれの自動車用材料であってもよい。本開示の範囲内の完成品には、空気入り及び非空気入りタイヤ並びにホイールに関連するか又はそれらに使用されるものは含まれない。
【0055】
存在する場合、1種以上のHPMは、脂環式供給原料(例えば、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン等)、直鎖脂肪族供給原料(例えば、ピペリレン、イソプレン、イソアミレン等)、芳香族供給原料(例えば、スチレン、インデン、ビニルトルエン等)由来の炭化水素樹脂、脂環式供給原料、直鎖脂肪族供給原料及び芳香族供給原料の組み合わせ由来の炭化水素樹脂、芳香族変性脂環式樹脂、C5炭化水素樹脂、C5/C9炭化水素樹脂、芳香族変性C5炭化水素樹脂、C9炭化水素樹脂、スチレン樹脂、スチレン/α-メチルスチレンコポリマー樹脂、スチレン/ビニルトルエンコポリマー樹脂、スチレン/パラ-メチルスチレンコポリマー樹脂、スチレン/インデンコポリマー樹脂、スチレン/メチルインデンコポリマー樹脂、スチレン/C5コポリマー樹脂、スチレン/C9コポリマー樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペン/スチレン樹脂、ロジン、ロジンのエステル、変性ロジンのエステル、変性ロジン、液体樹脂、完全又は部分水素化ロジン、完全又は部分水素化ロジンエステル、完全又は部分水素化変性ロジン/ロジンエステル、完全又は部分水素化ロジンアルコール、完全又は部分水素化C5樹脂、完全又は部分水素化C5/C9樹脂、完全又は部分水素化脂環式樹脂、完全又は部分水素化脂環式/C9樹脂、完全又は部分水素化C5/脂環式/C9樹脂、完全又は部分水素化芳香族変性C5樹脂、完全又は部分水素化C9樹脂、完全又は部分水素化スチレン樹脂、完全又は部分水素化スチレン/α-メチルスチレンコポリマー樹脂、完全又は部分水素化スチレン/ビニルトルエンコポリマー樹脂、完全又は部分水素化スチレン/パラ-メチルスチレンコポリマー樹脂、完全又は部分水素化スチレン/インデンコポリマー樹脂、完全又は部分水素化スチレン/メチルインデンコポリマー樹脂、完全又は部分水素化スチレン/C5コポリマー樹脂、完全又は部分水素化スチレン/C9コポリマー樹脂、完全又は部分水素化C5/脂環式樹脂、完全又は部分水素化C5/脂環式/スチレン/C9樹脂、完全又は部分水素化脂環式樹脂、完全又は部分水素化芳香族変性脂環式樹脂、及びその組み合わせの群から選択可能である。
【0056】
接着剤ベースポリマー(複数可)及び本粘着付与剤に加えて、処方接着剤組成物は、1種以上の追加改質剤を含むことができ、これには例えば、油、ワックス、酸化防止剤、可塑剤、フィラー、末端ブロック改質剤、末端ブロック改質剤/ポリマー補強剤、架橋剤、核形成剤、清澄剤、マスターバッチ、カラーコンセントレート、臭気マスキング剤、レオロジー改質剤、増粘剤、及びその組み合わせが含まれる。追加改質剤のタイプ及び量は、処方される接着剤組成物の特定のタイプに基づいて異なり得る。例えば、接着剤組成物は、ホットメルト包装用接着剤を含み、組成物は、全接着剤組成物の質量に基づいて少なくとも約1パーセント、及び/又は約70パーセント以下の量でワックスを含むことができる。適切なワックスの例としては、限定するものではないが、微結晶性ワックス;メタロセン触媒ワックス、例えばポリエチレン(mPE)及びポリプロピレン(mPP)ワックス等;パラフィンワックス;フィッシャー・トロプシュワックス;植物性ワックス;石油に由来する高分岐、官能性(例えば、マレイン化)、低分子量ワックス;固形油;及びその組み合わせが挙げられる。
【0057】
接着剤組成物は、ホットメルト感圧接着剤又はホットメルト不織布接着剤であり得る。接着剤は、全接着剤組成物の質量に基づいて、少なくとも約1パーセント、及び/又は約50パーセント以下の量で1種以上の油を含むことができる。適切な油の例としては、限定するものではないが、ナフテン油、パラフィン油、水素処理油、鉱物油、ホワイトオイル、芳香油、トリグリセリド油、及びその組み合わせが挙げられる。さらに、接着剤組成物は、1種以上のエクステンダー油、例えば、液体パラフィン、ヒマシ油、菜種油、鉱物油、及びその組み合わせ等を含むことができる。
ワックス及び/又は油に加えて、接着剤組成物は、1種以上の酸化防止剤(例えばフェノール型及び/又はホスファイト型)、可塑剤(例えば、ジブチルホスファート、ジオクチルフタラート、非フタラート可塑剤、ベンゾアート可塑剤、及び/又は塩素化パラフィン等)、フィラー(例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタン、及び/又は酸化亜鉛)、末端ブロック改質剤/ポリマー補強剤、架橋剤、及びその組み合わせ、並びに最終処方物を特定用途に適するようにするであろうあらゆる他の添加剤を含むことができる。
【0058】
一態様では、上記1種以上のHPMは、少なくとも1種のポリマー材料を含むポリマー系に添加され、それによって、結果として生じるポリマー系の安定性、レオロジー、加工性、バリア特性、くっつく特性、接着特性、清澄さ、濁り、柔らかさ、収縮、発泡特性、機械特性、及び/又は熱特性を改善することができる。
以下にさらに完全に述べるように、1種以上の本HPMを含む接着剤組成物は、いずれの適切な方法(あらゆるバッチ混合及び/又は連続混合技術;鉛直混合及び/又は水平混合技術)によっても調製することができる。例えば、接着剤組成物の成分を、シグマブレードミキサー、プラスチコーダー(plasticorder)、ブラベンダーミキサー、二軸押出機で、又は缶内ブレンド(in-can blend)(パイント缶(pint-cans))を介して混ぜ合わせることができる。結果として生じる接着剤混合物を、次に、例えば、押出、圧縮成形、カレンダリング(calendaring)若しくはロールコーティング技術(例えば、グラビア、リバース圧延等)を含めた適切な技術によって所望形態に形づくることができる。接着剤を適切な基板にカーテンコーティング若しくはスロットダイコーティングによって塗布するか又は(例えば通常の不織布適用機器を用いて適切な速度で配置するために)適切なノズルを通して噴霧することもできる。
【0059】
本願に記載の接着剤組成物は、ブレンド組成物を融解させ、適量(例えば、0.02~100ミル(0.0005~2.54mm))の接着剤ブレンドを所望基板(例えば、織布、紙、波形ガラス、プラスチック、フィルム、不織布、及び/又は金属)に塗布し、それによって接着品を形成することによって適用し得る。接着剤組成物で構成される接着品の例としては、限定するものではないが、テープ、例えば包装用テープ、ダクトテープ、マスキングテープ、不可視テープ、電気絶縁テープ、ガッファーテープ、ホッケーテープ、及び他の特殊テープ;ラベル、例えば紙ラベル、飲料ラベル、スマートラベル、家電ラベル、医薬品ラベル、グラフィックアート用ラベル等;ケースシーリング、カートンシーリング、ブックバインダー、可撓性包装用接着剤、可撓性包装用層間接着剤を含めた包装用途;段ボール箱接着剤、折り畳み式カートン接着剤、スティックのり等;及び不織布用途、例えばオムツ構築接着剤、オムツ用弾性アタッチメント接着剤、ストレッチフィルム、女性用衛生物品接着剤(ナプキン接着剤)、成人失禁用製品接着剤、使い捨てベッド、マットレス用接着剤又はペットパッド用接着剤、小型不織布ラミネート等;自動車用接着剤;建設用接着剤;エンジニアリング接着剤等が挙げられる。接着剤は、溶媒ベース、水ベース、ホットメルト、反応性、一液型接着剤、二液型接着剤、湿気硬化性、UV/EB硬化性、架橋性、熱可塑性及び/又は熱硬化性接着剤であり得る。
【0060】
接着剤組成物に加えて、非水素化、部分水素化及び/又は完全水素化HPMを含め、本HPM及び/又はHPMの組み合わせは、他の用途に役立つことがある。例えば、本炭化水素ポリマー改質剤は、タイヤの1つ以上の部品(例えば、タイヤトレッド及び/又はサイドウォール、カーカス等)、ベルトの1種以上の部品、ホースの1種以上の部品に利用されるゴム組成物に使用することができる。1種以上の炭化水素ポリマー改質剤をプラスチック改質(例えば、フィルム;硬質包装用品、例えば水差し、ビン、コンテナー及び/又はフラット品)に用いて、機械特性(例えば、剛性、靱性、引張強度、モジュラス等)、バリア特性(例えば、酸素透過率、水蒸気/湿気透過率等)、清澄さ、接着力、及び/又は収縮を改善することができる。本願に記載の1種以上の炭化水素ポリマー改質剤は、ゴム組成物、及び/又はプラスチック改質に典型的に利用される種々のタイプの油の代替品として使用されて、ゴム/プラスチック組成物の加工性を改善し、及び/又は様々なポリマー系の混和性を改善し、及び/又は様々なポリマー系に非混和性を与え、及び/又は最終的な性能及び/又は機械特性(例えば、弾性率、転がり抵抗、ウェットグリップ、引張強度、摩耗等)を改善することができる。さらに、本願に開示する炭化水素ポリマー改質剤の他の用途及び使用は、本開示の範囲に入ると企図される。
【0061】
ホットメルト包装用途
本願に開示する接着剤組成物は、種々の包装用品に使用可能である。包装用品は、例えば、カートン、コンテナー、木箱、ケース、段ボール箱、又はトレーとして役立ち得る。より詳細には、包装用品は、シリアル製品、クラッカー製品、ビール包装、冷凍食品、紙袋、飲料カップ、ミルクカートン、ジュースカートン、飲料カップとして、又は出荷製品用コンテナーとして役立ち得る。包装用品は、1種以上の包装要素の少なくとも一部に接着剤組成物を塗布することによって形成される。包装要素は、紙、板紙、ボール紙、じょうぶな厚紙、段ボール、合板、クラフト紙、厚紙、繊維板、可塑性樹脂、金属、金属合金、箔、フィルム、プラスチックフィルム、積層品、シート、又はその任意の組み合わせから形成され得る。一態様では、接着剤組成物を用いて、同一又は異なるタイプの材料で形成されている2種以上の包装要素を一緒に結び付け又は結合することができる。従って、包装要素は、個々に紙、板紙、ボール紙、じょうぶな厚紙、段ボール、合板、クラフト紙、厚紙、繊維板、可塑性樹脂、金属、金属合金、箔、フィルム、プラスチックフィルム、積層品、シート、又はその任意の組み合わせから形成されていてよい。
【0062】
1種以上の包装要素は、個々に紙、箔、金属、金属合金、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタラート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、そのホモポリマー、並びにその組み合わせ及びコポリマーを用いて被覆されていてもよい。本願に開示する接着剤処方は、種々の木工用途に使用可能であり、木工用途としては、限定するものではないが、家具、玩具、音響機器、窓枠及び敷居、ドア、床材、フェンス材、道具、はしご、スポーツ用品、犬小屋、見晴らし台/デッキ、ピクニックテーブル、遊び場構造体、プランター、建設現場の足場、台所用品、棺、教会の座席/祭壇、及び杖が挙げられる。高ポリマー負荷を有する本願に記載の接着剤処方物は、経時的に安定した接着力、広い適用温度範囲を示すこと、及び長いオープンタイムのような物性の望ましい組み合わせを提供し、その結果として、本願で開示する種々の木工用途に使用することができる。本開示の接着剤処方物は、木工製品での使用に良く適しながら、同様に他の用途での有用性を見出すこともできる。一態様では、木工用途を整えるための木工プロセスは、接着剤組成物を構造要素の少なくとも一部に塗布することによって木工品を形成することを伴う。構造要素はとしては、限定するものではないが、木材若しくは合板、又はプラスチック又はベニヤ板が含まれる種々の材料を挙げることができる。例えば、構造要素は、製材、木材、繊維板、石膏ボード、石膏、人造壁板、合板、PVC、メラミン、ポリエステル、含浸紙及びシートロックを含むこともある。木工プロセスを利用して、例えば、屋内家具、屋外家具トリム、モールディング、ドア、サッシ、窓、木工製品(millwork)及び高級家具(cabinetry)を形成することができる。後述するように、例3は、本HPMを用いた包装用接着剤組成物及び評価結果を示す。
【0063】
本HPM及びHPMを含有する組成物の特徴を下記非限定例で実証する。実施例で用いた試験方法及び実験手順について真下に記載する。
DSC測定。下記DSC手順を用いてHPMのガラス転移温度(Tg)を決定した。約6mgの材料を1μlのアルミニウムサンプルパンに入れた。サンプルを示差走査熱量計(Perkin Elmer又はTA Instrument Thermal Analysis System)内に置き、23℃から200℃まで10℃/分で加熱し、200℃で3分間保持した。その後、サンプルを-50℃まで10℃/分で冷却した。サンプルを-50℃で3分間保持してから、第2の加熱サイクルのために-50℃から200℃まで10℃/分で加熱した。TA Universal Analysisで第2の加熱サイクルについて変曲点法を用いてTgを決定した。TA Universal Analysis機器に関する「ガラス転移」メニュー項目を用いて、DSCにおけるTgの開始、終了、変曲点、及びシグナル変化を計算する。このプログラムは、第1及び第2の接線の交点である開始、第1及び第3の接線間の最も急勾配の傾斜を有する曲線部分である変曲点、並びに第2及び第3の接線の交点である終了の決定を可能にする。HPMのTgは、曲線の変曲点温度である。
【0064】
%H Ar。500MHzのNMR装置、TCE-d2(1,2-ジクロロエタン)又はCDCl3(クロロホルム)溶媒中、25℃及び120スキャン。0.7mlのd-溶媒に20±1mgのサンプルを溶かすことによってHPMのNMRデータを測定した。5mmのNMR管中でTCE-d2/CDCl3に25℃でサンプルが溶解するまでサンプルを溶かした。標準物質は使用しなかった。TCE-d2/CDCl3は、5.98又は7.24ppmのピークとして現れ、サンプル用の基準ピークとして用いた。芳香族プロトンの1H NMRシグナルは8.5ppmと6.2ppmの間に位置する。エチレンプロトンは6.2ppmと4.5ppmの間にシグナルを生じさせる。最後に、脂肪族プロトンに相当するシグナルは4.5ppmと0ppmの間に位置する。各カテゴリーのプロトンの面積をこれらの面積の合計に関連付けて、それによって各カテゴリーのプロトンに対する面積の%を単位として分布を与える。
【0065】
MMAP曇り点。MMAP曇り点は、1種以上の改質剤、粘着付与剤又は溶媒に溶解した薬剤がもはや完全には溶けない(粘着付与剤/溶媒混合物の濁り出現によって判断して)温度である。ここに提示するように、標準試験手順で用いるヘプタンの代わりメチルシクロヘキサンを使用する修正ASTM D-611-82方法を利用してMMAP曇り点を決定した。この手順は粘着付与剤/アニリン/メチルシクロヘキサンを約1/2/1(5g/10mL/5mL)の比で用いた。三成分の加熱清澄ブレンドを完全な混濁が生じるまで冷却することによってMMAP曇り点を決定した。
軟化点。「軟化点」は、ASTM E-28により測定して、環球法に従って決定される、材料が流れるようになる℃で測定される温度である。経験則で、Tgと軟化点の間の関係は、近似的に、Tg=軟化点-50℃である。
【0066】
動的特性(硬化後)
動的特性G*及びtan(δ)maxは粘度分析計(Metravib V A4000)で規格ASTM D 5992-96に従って測定する。規格ASTM D 1349-99に従う温度条件(23℃)下、又は異なる温度で、10Hzの振動数にて、単純交互正弦せん断応力を施した加硫組成物(4mmの厚さ及び10mmの直径を有する円筒試験片)の応答。変形掃引を0.1%から50%まで(前向きサイクル)行なってから、50%から0.1%まで(戻りサイクル)を行なう。戻りサイクルについては、次に10%変形での剛性値を記録する。
10%変形及び23℃での剛性値が高いほど、組成物は良好な走破性(road handling)をもたらすことになる。性能ベース100に関して結果を表現する。すなわち、試験する種々の溶液の23℃でのG*10%(すなわち剛性、ひいては走破性)を引き続き比較するため、値100をコントロールに任意に割り当てる。ベース100における値は、演算(サンプルの23℃でのG*10%の値/コントロールの23℃でのG*10%の値)*100に従って計算される。従って、より高い値は走破性能の改善を意味し、一方でより低い値は走破性能の低下を意味する。
10%変形及び40℃での剛性の値が高いほど、組成物は良好な走破性をもたらすことになる。性能ベース100に関して結果を表現する。すなわち、試験する種々の溶液の40℃でのG*10%(すなわち剛性、ひいては走破性)を引き続き比較するため、値100をコントロールに任意に割り当てる。ベース100における値は、演算(サンプルの40℃でのG*10%の値/コントロールの40℃でのG*10%の値)*100に従って計算される。従って、より高い値は走破性能の改善を意味し、一方でより低い値は走破性能の低下を意味する。
【0067】
粘度。感圧接着剤ブレンドの粘度は、ブルックフィールド粘度計を指摘どおりに約150℃又は約177℃で用いて測定した。パラレルプレートジオメトリーで0.1%歪みにて、アントンパール(Anton Parr)レオメーターを用いて接着剤ブレンドの粘弾性特性(レオロジー)を分析した。角速度は10ラジアン/秒であり、加熱速度は2℃/分だった。
引きはがし粘着力(Peel Adhesion)/ループタック(Loop Tack)/保持力。選択した感圧接着剤ブレンドを2ミル(0.05mm)のPETフィルム上にCheminstruments HLCL-1000コーターを177℃で用いて塗布し、シリコンライナー上に積層した。PSTC-101 F(ASTM D3330F)法に従ってCheminstruments AR-1000粘着・はく離テスターを用いて引きはがし粘着力(90度引きはがし)を調べた。タック(ループタック)はPSTC-16方法B(ASTM D6195B)に従ってCheminstruments LT-1000ループタックテスターを用いて試験した。保持力/静的せん断は、修正PSTC-107A(ASTM D 3654A)方法に従ってCheminstruments RT-30せん断テスターを用いて試験した。
【0068】
繊維引裂け(Fiber tear)。繊維引裂けは基板への接着剤の結合力を評し、室温(「RT」)、2℃、及び-18℃で測定する。本願で使用する場合、用語「室温」を用いて約20℃~約25℃の温度範囲を指す。繊維引裂けは、基板が引きちぎられた後に結合に付着している紙基板繊維の量に関する目測である。100%の繊維引裂けは、接着剤が基板より強く、接着剤の100%が基板繊維に覆われていることを意味する。繊維引裂けは、基板を接着剤と一緒に結合することによって決定する。溶融接着剤(150℃~180℃)の液滴を1つの基板上に置く。接着剤の上面に第2の基板を置き、均一な塗布のため第2の基板の上面に500gの重しを置く。接着剤を参照温度で少なくとも1時間冷却する。次に基板を引きちぎって繊維引裂けについて接着剤を調べる。
セットタイム。セットタイムは、2つの基板を結合した後、該結合の凝集強度が接合部応力より強くなる最小時間間隔である。それは、接着剤組成物を冷まして、良好な結合を得るのに必要な時間を意味する。溶融接着剤(150℃~180℃)をスポイトで基板の1つに滴下した後に2つの基板を一緒に接着剤で結合することによってセットタイムを決定する。第2の基板を接着剤の上面に置き、均一な塗布のため第2の基板の上面に500gの重しを置く。所定の時間間隔後、第2の基板を取り外して繊維引裂けについてチェックする。繊維引裂けが見られない場合、より長い時間間隔を試す。繊維引裂けが見つかるまでこれを続ける。この時間の長さを秒でセットタイムとして報告する。
【0069】
引きはがし粘着破壊温度(Peel Adhesion Failure Temperature)(「PAFT」)。PAFTは、組成物の接着剤の結合が破壊する温度を指す。ASTM D-4498に基づく標準PAFT試験に従ってホットメルト接着剤組成物のPAFTを試験する。PAFTは、倉庫のような周囲温度を超える環境内で箱を貯蔵するために重要な因子である。PAFTは摂氏度(「℃」)で測定する。同様にASTM D-4498に基づくせん断粘着破壊試験(SAFT)を各接着剤に施した。
下記例は、本発明の特定態様の種々の局面を強調する意図である。しかしながら、これらの例は、説明目的で含めたに過ぎず、特に別段の指示がない限り、本発明の範囲を限定する意図でないことを理解すべきである。
【実施例
【0070】
例1
先行技術の炭化水素ポリマー添加剤の分析
少なくとも1種のエラストマー及び先行技術の炭化水素ポリマー添加剤を有する先行技術樹脂がTg及び%H Arについて評価された。第1セットの先行技術の添加剤サンプル(PA1、PA2、PA3、PA4及びPA5)はそれぞれ下記:(a)炭化水素ポリマー添加剤の総質量の約40wt.%~約80wt.%のジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン、及びメチルシクロペンタジエン由来含量;(b)約100g/モル~約800g/モルの重量平均分子量;及び(c)ASTM D6090に従って測定された約110℃~約150℃の軟化点を有した。これらのジシクロペンタジエン樹脂は、さらに芳香族化合物、例えばスチレン、キシレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン及びインデン並びに非芳香族化合物、例えば直鎖C4~C6画分又はその異性体を包含した。ジシクロペンタジエンベースの添加剤とエラストマーの組み合わせは、高ウェットトラクション及び低転がり抵抗用途のようなタイヤの性能特性を改善することが示された。
これらのエラストマー組成物に用いられた炭化水素ポリマー添加剤は、下表1に示す特性を有した。
【0071】
【表1】
【0072】
表1に提示した特性はUS 2015/0065655から得、ガラス転移温度は文献から得た。
第2セットの先行技術サンプル(PA6、PA7、PA8、PA9及びPA10)においては、主成分としてビニル芳香族成分を含み、シクロジエン成分、及び任意的に非環式ジエン成分を含む供給原料から生成された熱重合樹脂が検討された。ビニル芳香族化合物流は、スチレン、スチレンのアルキル置換誘導体、インデン及びインデンのアルキル置換誘導体を含むと教示された。シクロジエン成分は、シクロペンタジエンとシクロペンタジエンのアルキル置換誘導体のモノマー、ダイマー及びコダイマーを含んだ。非環式ジエン成分は、C4-C6オレフィン及びジオレフィンを含む。樹脂は上記供給原料を275℃で好ましくは2~3時間熱重合することによって生成された。結果として生じた樹脂は、適度な軟化点を有したが、非常に広い分子量分布を有した。樹脂のガラス転移温度(Tg)及びこれらの先行技術(「PA」)添加剤の%芳香族性(%H Ar)は、表2に示す特性を有した。
【0073】
【表2】
【0074】
第3セットの先行技術サンプル(PA11、PA12、PA13及びPA14)においては、ピペリレン(piperlene)成分、芳香族成分及び環状ペンタジエン成分を有する炭化水素ポリマー改質剤が研究された。環状ペンタジエン成分は、少なくとも8%H Arを含有する400超の数平均分子量(Mn)及び15000g/モル未満のz平均分子量(Mz)を有するジシクロペンタジエン画分及びジメチルシクロペンタジエン画分を含んだ。報告された樹脂特性を表3に提示する。
【0075】
【表3】
【0076】
先行技術の添加剤の製造プロセスに関しては、炭化水素ポリマー添加剤は、本質的に、総モノマー含量に基づいて約5質量%~25質量%のスチレン又は脂肪族若しくは芳香族置換スチレンと、少なくとも約50質量%のジシクロペンタジエンを含む約95質量%~75質量%の環状ジオレフィン成分とから成る混合物を熱重合することによって調製された。例えば、米国特許第6,825,291号を参照されたい。この逐次モノマー添加手順を利用して炭化水素樹脂の分子量が制御された。このプロセスは厄介であるのみならず、炭化水素樹脂の広い多分散性をもたらす可能性もある。下表4は、得られた比較結果を、MMAP曇り点を含めて要約する。
【0077】
【表4】
【0078】
これらのゴム組成物(水素化炭化水素系樹脂を含む及び/又は含まない)は、主にシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン及びその混合物の単位を含んだ。さらに、教示されたように、これらの炭化水素樹脂は、2000g/モル未満のZ平均分子量(Mz)及びTg≧80-2*(%HA)(%HAは、樹脂の芳香族プロトンの含量を表す)のような℃で表されるTgを有した。これらの組成物を開発する際には、課題及び解決策の中心は、エラストマー組成物の接着力並びに転がり抵抗を改善することにあった。さらに、低温での剛性(動的特性G*)は、低歪み掃引で測定された。
【0079】
例2
本HPMの分析
特定の粘着付与剤曇り点を達成することで知られている熱重合単位の供給流を変えることによってHPMサンプル番号5~9を調製した。熱重合単位での加工後、粘着付与剤を200℃で窒素ストリッピングした。この炭化水素ポリマー改質剤の特性を下表5A、5B、6A及び6Bに提示する。本願に記載の改質剤は、既知の方法で生成可能である。例えば、Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, 4th ed., Vol. 13, pp. 717-744を参照されたい。1つの方法は石油留分を熱重合することである。重合は、バッチ式、セミバッチ式又は連続式であり得る。熱重合は、160℃と320℃の間、例えば約260℃~280℃の温度で、0.5~9時間、多くの場合1.0~4時間行われることが多い。熱重合は、通常不活性溶媒の存在下又は非存在下で行なわれる。
【0080】
不活性溶媒は、60℃~260℃の沸点範囲を有してよく、イソプロパノール、トルエン、ヘプタン、Exxsol(商標)又はVarsol(商標)又はベースホワイトスピリット(base White spirit)2wt.%~50wt.%から選択可能である。溶媒は、個々に又はこれらの組み合わせで使用可能である。
生成HPMは、任意に、不活性な脱芳香族又は非脱芳香族炭化水素溶媒、例えばExxsol(商標)又はVarsol(商標)又はベースホワイトスピリットに、10%~60%まで変動する割合、例えば30質量%ポリマーの範囲で溶解させてよい。次に固定床連続反応器で供給流を用いて、上昇流若しくは下降流液相で、又はトリクルベッド操作で水素化を行なう。
水素化処理条件は、一般的に約100℃~約350℃、約150℃~約300℃、及び約160℃~約270℃の温度範囲の反応を含む。反応器内の水素圧は、2000psi(1.4×107Pa)を超えてはならず、例えば、1500psi(1.0×107Pa)以下、及び/又は1000psi(6.9×106Pa)以下である。水素化圧力は、水素純度の関数であり、所望水素圧を与えるために水素が不純物を含有する場合は、全体的な反応圧力はより高いはずである。典型的に、使用する最適圧力は、約750psi(5.2×106Pa)と1500psi(1.0×107Pa)の間、及び/又は約800psi(5.5×106Pa)と約1000psi(6.9×106Pa)の間である。標準条件(25℃、1atm圧力)下での反応器への水素と供給体積の比は、約20~約200の範囲であってよい。本願に記載のHPMのさらなる典型的調製方法は、一般的に米国特許第6,433,104号に見られる。
【0081】
下記例に示すように、所望の分子量及び特定の粘着付与剤曇り点を達成するために様々な改質剤を調製した。下表5A及び5Bは、例示炭化水素ポリマー改質剤についての供給流、重合条件及び得られた特性を含む。
下表5A及び5Bは、比較炭化水素ポリマー改質剤についての供給流、重合条件及び得られた特性を含む。
【0082】
【表5】
【0083】
【表6】
【0084】
表6A及び6Bに提示するように、スチレン及びビニルトルエンから成るビニル芳香族供給流を変えることで比較例9A、9B、9C&8Aを調製した。比較HPMは、本HPM9より顕著に高いMnを有し、Tgはずっと低かった。ビニル芳香族化合物のホモオリゴマー化の相対反応速度は、本発明の反応条件下での環状化合物とビニル芳香族化合物の共重合より速い。形成されるホモオリゴマーは、至適HPMに望まれるより高いMnを示す。理論量の実質的に全てのビニル芳香族モノマーを環状化合物供給量と反応させて、望ましくない高分子量ポリマーを形成するホモ重合を最小限にすることが望ましい。
同様に、芳香族蒸留分及び置換ベンゼン誘導体を併用して比較HPM8Aを生成する。比較HPM8Aは、HPM8よりずっと低いTg及び高いMnを有する。
HPMは、芳香族成分(オレフィン-芳香族化合物、置換ベンゼン及び芳香族蒸留分)の有無にかかわらず、水素化シクロペンタジエン又は水素化シクロペンタジエン誘導体であり得る。
【0085】
【表7】
【0086】
【表8】
【0087】
図1は、本HPM、比較樹脂及び市販の先行技術エラストマー組成物のTgと%H Arの関連性を示すグラフである。図2は、本HPM、比較先行技術炭化水素ポリマー添加剤及び先行技術の比較エラストマー組成物のTgとMnの関連性を示すグラフである。
【0088】
例3:例示ゴム組成物
加硫系を除く全ての成分を内部ミキサーに導入してゴム組成物を製造する。加硫剤(硫黄及び促進剤)を外部ミキサーに低温(ミキサーの成分ロールは30℃である)で導入する。
表7、9及び11に示す例の目的は、コントロール組成物(T1~T6)の様々なゴム特性と本炭化水素樹脂HPM5~HPM9を有する組成物(C1~C7)の特性を比較することである。硬化前後に測定した特性を表8、10及び12に示す。
【0089】
【表9】
(1)WO2017/168099の例に開示されたTg=-88℃のSBR
(2)カーボンブラック、ASTM N234グレード
(3)シリカ、Zeosil 1165 MP、Solvayから、HDS型
(4)N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン(Santoflex 6-PPD)、Flexsysから、及び2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン(TMQ)
(5)カップリング剤:Si69、Evonik-Degussaから
(6)ジフェニルグアニジン、Perkacit DPG、Flexsysから
(7)ステアリン、Pristerene 4931、Uniqemaから
(8)酸化亜鉛、工業グレード-Umicore
(9)N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(Santocure CBS、Flexsysから)
【0090】
【表10】
【0091】
【表11】
(10)BR:ポリブタジエン《CB24》、Lanxessから;96%の1,4-cis;Tg=-107℃
【0092】
【表12】
【0093】
【表13】
(11)コポリマーの総質量に対して26.5質量%のスチレン単位及びブタジエン部分に対して24モル%の1,2-ブタジエン単位を有し、かつ-48℃のガラス転移温度Tgを有する非官能化SBR。
【0094】
【表14】
【0095】
コントロール組成物に関しては、本願に記載の炭化水素ポリマー改質剤に従わない組成物T1、T3及びT5は、それぞれ他の組成物の性能を比較するためのベース100として役立つことに注意する。本発明の組成物C1~C7のみが走破性能の10%超の改善を可能にすることに注意する。
【0096】
例4
本HPMを含む数タイプのホットメルト接着剤組成物を処方し、評価した。
ホットメルト感圧接着剤
感圧接着剤は、テープ、ラベル及び/又は不織布(オムツ、女性用衛生又は成人失禁)用途に使用可能である。ブラベンダーミキサーを利用して約130℃と約180℃の間の温度でローラーブレードとシグマブレードを用いて感圧接着剤ブレンドを調製した。酸化防止剤を接着剤ベースポリマーに添加し、結果として生じた混合物を最初にブラベンダーミキサーでパルプ状にした。数分後、粘着付与剤及び/又は他のHPM及び油を添加し、合わせた混合物を、ミキサートルクがプラトーに達するまで約20~約45分間ブレンドした。下表13及び14は、本願に記載の様々なHPMを用いた感圧接着剤の具体的処方及び評価を要約する。
【0097】
【表15】
【0098】
上記データから分かるように、HPMを含有する感圧接着剤ブレンドは、本願に記載の種々の用途での使用に優れたバランスのレオロジー、引きはがし粘着力及びせん断性能を示す。
ホットメルト包装用接着剤(本願では「接着剤」とも呼ぶ)は、パイントサイズの缶内でパドル型撹拌ミキサーを用いて調製した。接着剤ベースポリマーと酸化防止剤をパイントサイズの缶内で混ぜ合わせた。結果として生じた混合物を可変速度モーターで制御されたパドル型撹拌機で撹拌し、窒素ブランケット下で加熱マンドレル/要素を用いて約150℃~約180℃まで加熱した。ポリマーの融解後、ワックスと粘着付与剤を缶に導入し、結果として生じた混合物を均質混合物が得られるまでさらに30分間撹拌した。下表14A及び14Bは、本HPMを用いた各包装用接着剤の具体的組成物及び性能分析を要約する。
【0099】
【表16】
【0100】
【表17】
【0101】
本明細書及び特許請求の範囲においては、用語「含む(including及びcomprising)は、無制限の用語であり、「含むが、…に限定されない」という意味に解釈すべきである。これらの用語は、より限定的な用語「から本質的に成る」及び「から成る」を包含する。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いる場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて複数の参照を包含することに留意しなければならない。同様に、用語「a」(又は「an」)、「1つ以上」及び「少なくともつ」は、本願では互換的に使用することができる。用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「特徴とする」及び「有する」を互換的に使用できることにも留意すべきである。
次に、本発明の好ましい態様を示す。
1. 環状成分を含む炭化水素ポリマー改質剤であって、前記炭化水素ポリマー改質剤は、Tg≧95-2.2*(%H Ar)及びTg≧-53+(0.265*Mn)で表されるガラス転移温度及び数平均分子量並びに6モル%超の芳香族プロトン含量(%H Ar)を有し、ここで、Tgは、℃で表されるガラス転移温度であり、%H Arは、前記炭化水素ポリマー改質剤の芳香族プロトンの含量であり、Mnは、前記炭化水素ポリマー改質剤の数平均分子量を表し、前記環状成分は、石油精製流からの蒸留分、及び/又はC 4 、C 5 若しくはC 6 環状オレフィン並びにその混合物の群から選択される、前記炭化水素ポリマー改質剤。
2. 前記環状成分が、シクロペンテン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキセン、1,3-シクロヘキサジエン、1,4-シクロヘキサジエン、メチルシクロペンタジエン、及び/又はジ(メチルシクロペンタジエン)である、上記1に記載の炭化水素ポリマー改質剤。
3. 前記炭化水素ポリマー改質剤が、前記環状成分を約10wt.%~約90wt.%の量で含む、上記1に記載の炭化水素ポリマー改質剤。
4. 前記炭化水素ポリマー改質剤が、前記環状成分を約25wt.%~約80wt.%の量で含む、上記1に記載の炭化水素ポリマー改質剤。
5. 前記環状成分が、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン、及びメチルシクロペンタジエンの群から選択される、上記1~4のいずれか1項に記載の炭化水素ポリマー改質剤。
6. 前記環状成分がシクロペンタジエンである、上記1~5のいずれか1項に記載の炭化水素ポリマー改質剤。
7. さらに芳香族成分を含む、上記1に記載の炭化水素ポリマー改質剤。
8. 前記芳香族成分が、オレフィン-芳香族化合物、置換ベンゼン又は芳香族蒸留分の1つから選択される、上記7に記載の炭化水素ポリマー改質剤。
9. 前記芳香族成分がオレフィン芳香族化合物である、上記8に記載の炭化水素ポリマー改質剤。
10. 前記炭化水素ポリマー改質剤が、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン、及び/又はメチルシクロペンタジエンを約10wt.%~約90wt.%の量で含む、上記1~9のいずれか1項に記載の炭化水素ポリマー改質剤。
11. 前記炭化水素ポリマー改質剤が、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン、及び/又はメチルシクロペンタジエンを約25wt.%~約80wt.%の量で含む、上記1~10のいずれか1項に記載の炭化水素ポリマー改質剤。
12. 前記炭化水素ポリマー改質剤が、メチルシクロペンタジエンを約0.1wt.%~約15wt.%の量で含む、上記1~11のいずれか1項に記載の炭化水素ポリマー改質剤。
13. 前記炭化水素ポリマー改質剤が、メチルシクロペンタジエンを約0.1wt.%~約5wt.%の量で含む、上記1~12のいずれか1項に記載の炭化水素ポリマー改質剤。
14. 前記芳香族成分が、下記式I
[化1]

(式中、R 1 及びR 2 は、互いに独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリールアルキル基、例えば、1H-インデン;1-メチル-1H-インデン;アルキルインデン;5-(2-メチルブタ-2-エニル)-1H-インデン;5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-シクロペンタナフタレン;4-インデン-5-ブタン-1-オール等、又はその誘導体を表す)
のオレフィン-芳香族化合物を含む、上記1~13のいずれか1項に記載の炭化水素ポリマー改質剤。
15. 前記芳香族成分が、下記式II
[化2]

(式中、R 3 及びR 4 は、互いに独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリールアルキル基を表し、α-メチルスチレン又は芳香環に1つ以上の置換基を有する置換α-メチルスチレンが適しており、特に前記置換基は、それぞれ一置換基当たり1~8個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アリール、又は組み合わせ基から選択される。非限定例としては、α-メチルスチレン、α-メチル-4-ブチルスチレン、α-メチル-3,5-ジ-t-ベンジルスチレン、α-メチル-3,4,5-トリメチルスチレン、α-メチル-4-ベンジルスチレン、α-メチル-4-クロロヘキシルスチレン、及び/又はその混合物が挙げられる)
の置換ベンゼン誘導体化合物を含む、上記1~14のいずれか1項に記載の炭化水素ポリマー改質剤。
16. 前記芳香族成分が、スチレン、スチレンのアルキル置換誘導体、インデン、インデンのアルキル置換誘導体、及び/又はその混合物を含む芳香族蒸留分を含む、上記1~15のいずれか1項に記載の炭化水素ポリマー改質剤。
17. 前記炭化水素ポリマー改質剤が、前記芳香族成分を約10wt.%~約90wt.%の量で含む、上記1~16のいずれか1項に記載の炭化水素ポリマー改質剤。
18. 前記炭化水素ポリマー改質剤が、前記芳香族成分を約20wt.%~約75wt.%の量で含む、上記1~17のいずれか1項に記載の炭化水素ポリマー改質剤。
19. 前記炭化水素ポリマー改質剤が、約10℃~約60℃のMMAP曇り点を有する、上記1~18のいずれか1項に記載の炭化水素ポリマー改質剤。
20. 前記炭化水素ポリマー改質剤が、下記追加特徴:
-10℃と60℃の間のMMAP曇り点、
-150g/モルと800g/モルの間、好ましくは250g/モルと600g/モルの間の数平均分子量(Mn)、
-Tg≧100-2.2*(H Ar)で表されるガラス転移温度(Tg)、
-Tg≧-32+(0.265*Mn)で表されるガラス転移温度(Tg)、
-6モル%超及び25モル%未満の芳香族プロトン含量(%H Ar)
の少なくとも1つ、好ましくは全てを有する、上記1~19のいずれか1項に記載の炭化水素ポリマー改質剤。
21. 上記1~20のいずれか1項に記載の炭化水素ポリマー改質剤を含むホットメルト接着剤組成物であって、前記接着剤組成物が、前記炭化水素ポリマー改質剤を約0.1wt.%~約99.5wt.%の量で含む、前記ホットメルト接着剤組成物。
22. 上記1~21のいずれか1項に記載の炭化水素ポリマー改質剤の製造方法であって、環状成分を含む供給流を溶媒の存在下又は非存在下、約265℃と290℃の間の反応温度で約1時間~約3時間重合させるステップを含む、前記方法。
図1
図2