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特許7345055積層シート、衛生材料、医療材料および積層シートの製造方法
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  • 特許-積層シート、衛生材料、医療材料および積層シートの製造方法 図1
  • 特許-積層シート、衛生材料、医療材料および積層シートの製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】積層シート、衛生材料、医療材料および積層シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/40 20060101AFI20230907BHJP
   B32B 5/02 20060101ALI20230907BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20230907BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20230907BHJP
   A61F 13/51 20060101ALI20230907BHJP
   A61L 15/22 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B32B27/40
B32B5/02 A
B32B27/12
B32B27/32 E
A61F13/51
A61L15/22 100
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022512026
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2021012252
(87)【国際公開番号】W WO2021200477
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-07-05
(31)【優先権主張番号】P 2020063589
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】山崎 聡
(72)【発明者】
【氏名】市川 太郎
【審査官】深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-213284(JP,A)
【文献】国際公開第2008/108238(WO,A1)
【文献】特開平07-285187(JP,A)
【文献】特開平09-286085(JP,A)
【文献】特開2017-095681(JP,A)
【文献】特開2010-006882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
A61L 15/00-15/64
A61F 13/51
C08J 5/00- 5/02、 5/12- 5/22
C08G 18/00-18/87
C08G 71/00-71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードセグメント相を有する透湿性ポリウレタンフィルムと、
前記透湿性ポリウレタンフィルムの厚み方向の一方側に配置される第1スパンボンド不織布であって、熱可塑性ポリウレタンを含む伸縮性繊維、および、ポリオレフィンを含む非伸縮性繊維を含む第1スパンボンド不織布と、を備え、
前記ハードセグメント相の融点が、65℃以上140℃以下であり、
前記第1スパンボンド不織布は、前記透湿性ポリウレタンフィルムの前記厚み方向の一方面に直接接触することを特徴とする、積層シート。
【請求項2】
前記透湿性ポリウレタンフィルムは、ソフトセグメント相を有し、
前記ソフトセグメント相は、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの反応により形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の積層シート。
【請求項3】
前記ポリエーテルポリオールの数平均分子量が、1200g/mol以上2800g/mol以下であることを特徴とする、請求項2に記載の積層シート。
【請求項4】
前記透湿性ポリウレタンフィルムの厚み方向の他方側に配置される第2スパンボンド不織布であって、熱可塑性ポリウレタンを含む伸縮性繊維、および、ポリオレフィンを含む非伸縮性繊維を含む第2スパンボンド不織布、をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の積層シート。
【請求項5】
請求項1に記載の積層シートを含むことを特徴とする、衛生材料。
【請求項6】
請求項1に記載の積層シートを含むことを特徴とする、医療材料。
【請求項7】
熱可塑性ポリウレタンを含む伸縮性繊維と、ポリオレフィンを含む非伸縮性繊維とを混繊および熱融着させて、スパンボンド不織布を調製する工程と、
ハードセグメント相を有する透湿性ポリウレタンフィルムであって、前記ハードセグメント相の融点が65℃以上140℃以下である透湿性ポリウレタンフィルムを調製する工程と、
前記スパンボンド不織布を前記透湿性ポリウレタンフィルムに向かうように圧力をかけて、前記スパンボンド不織布と前記透湿性ポリウレタンフィルムとを積層する工程と、
前記積層する工程の前に、前記スパンボンド不織布を延伸加工する工程、および/または、
前記積層する工程の後に、積層された前記スパンボンド不織布および前記透湿性ポリウレタンフィルムを延伸加工する工程とを含み、
前記スパンボンド不織布と前記透湿性ポリウレタンフィルムとを積層する工程において、前記スパンボンド不織布を前記透湿性ポリウレタンフィルムの厚み方向の一方面に直接接触させることを特徴とする、積層シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層シート、衛生材料、医療材料および積層シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙おむつなどの衛生材料は、液体の水の透過を抑制できるとともに、優れた伸縮性および透湿性を確保することが望まれる。そのような衛生材料に、透湿ポリウレタンフィルムに伸縮性の不織布が積層された積層シートを利用することが検討されている。
【0003】
そのような積層シートとして、例えば、透湿ポリウレタンフィルムが、エチレンオキサイド90重量%およびプロピレンオキサイド10重量%を付加重合したオキシアルキレンポリオールと、鎖伸長剤としての1,4-ブタンジオールと、ジフェニルメタンジイソシアネートとの反応生成物であるポリウレタン樹脂から形成され、透湿ポリウレタンフィルムにポリプロピレンからなる不織布が積層される伸縮性透湿防水シートが提案されている(例えば、特許文献1の実施例1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-70936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の伸縮性透湿防水シートでは、伸縮性の向上を図るには限度がある。また、特許文献1に記載の伸縮性透湿防水シートでは、透湿ポリウレタンフィルムに対する不織布の密着性が不十分であり、不織布が透湿ポリウレタンフィルムから剥離するおそれがある。さらに、積層シートは、人体に接触したときの触感の観点から、タック性(粘着性)の低減が望まれている。
【0006】
そこで、本発明は、伸縮性の向上を図ることができながら、スパンボンド不織布の透湿ポリウレタンフィルムに対する密着性の向上を図ることができ、タック性の低減を図ることができる積層シート、衛生材料、医療材料および積層シートの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明[1]は、ハードセグメント相を有する透湿性ポリウレタンフィルムと、前記透湿性ポリウレタンフィルムの厚み方向の一方側に配置される第1スパンボンド不織布であって、熱可塑性ポリウレタンを含む伸縮性繊維、および、ポリオレフィンを含む非伸縮性繊維を含む第1スパンボンド不織布と、を備え、前記ハードセグメント相の融点が、65℃以上140℃以下である、積層シートを含む。
【0008】
本発明[2]は、前記透湿性ポリウレタンフィルムは、ソフトセグメント相を有し、前記ソフトセグメント相は、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの反応により形成されている、上記[1]に記載の積層シートを含む。
【0009】
本発明[3]は、前記ポリエーテルポリオールの数平均分子量が、1200g/mol以上2800g/mol以下である、上記[2]に記載の積層シートを含む。
【0010】
本発明[4]は、前記透湿性ポリウレタンフィルムの厚み方向の他方側に配置される第2スパンボンド不織布であって、熱可塑性ポリウレタンを含む伸縮性繊維、および、ポリオレフィンを含む非伸縮性繊維を含む第2スパンボンド不織布、をさらに備える、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の積層シートを含む。
【0011】
本発明[5]は、前記第1スパンボンド不織布は、前記透湿性ポリウレタンフィルムの前記厚み方向の一方面に直接接触する、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の積層シートを含む。
【0012】
本発明[6]は、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の積層シートを含む、衛生材料を含む。
【0013】
本発明[7]は、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の積層シートを含む、医療材料を含む。
【0014】
本発明[8]は、熱可塑性ポリウレタンを含む伸縮性繊維と、ポリオレフィンを含む非伸縮性繊維とを混繊および熱融着させて、スパンボンド不織布を調製する工程と、ハードセグメント相を有する透湿性ポリウレタンフィルムであって、前記ハードセグメント相の融点が65℃以上140℃以下である透湿性ポリウレタンフィルムを調製する工程と、前記スパンボンド不織布を前記透湿性ポリウレタンフィルムに向かうように圧力をかけて、前記スパンボンド不織布と前記透湿性ポリウレタンフィルムとを積層する工程と、前記積層する工程の前に、前記スパンボンド不織布を延伸加工する工程、および/または、前記積層する工程の後に、積層された前記スパンボンド不織布および前記透湿性ポリウレタンフィルムを延伸加工する工程とを含む、積層シートの製造方法を含む。
【0015】
本発明[9]は、前記スパンボンド不織布と前記透湿性ポリウレタンフィルムとを積層する工程において、前記スパンボンド不織布を前記透湿性ポリウレタンフィルムの前記厚み方向の一方面に直接接触させる、上記[8]に記載の積層シートの製造方法を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明の積層シートでは、透湿性ポリウレタンフィルムにおけるハードセグメント相の融点が上記上限以下であり、第1スパンボンド不織布が熱可塑性ポリウレタンを含む伸縮性繊維を含むので、積層シートの伸縮性の向上を図ることができながら、第1スパンボンド不織布の透湿性ポリウレタンフィルムに対する密着性の向上を図ることができる。また、透湿性ポリウレタンフィルムにおけるハードセグメント相の融点が上記下限以上であり、第1スパンボンド不織布がポリオレフィンを含む非伸縮性繊維を含むので、積層シートのタック性の低減を図ることができる。
【0017】
本発明の積層シートの製造方法では、スパンボンド不織布と透湿性ポリウレタンフィルムとを積層する前に、スパンボンド不織布を延伸加工する工程、および/または、スパンボンド不織布と透湿性ポリウレタンフィルムとを積層した後、延伸加工する工程を備えるので、上記した特性を有する積層シートを円滑に製造することができる。
【0018】
本発明の衛生材料および医療材料は、上記の積層シートを含むので、優れた伸縮性と優れた密着性とを確保できながら、タック性の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の積層シートの一実施形態を示す概略構成図である。
図2図2は、本発明の積層シートの製造方法を実施可能な溶融押出ラミネート装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<積層シート>
図1および図2を参照して、本発明の積層シートの一実施形態としての積層シート1を説明する。
【0021】
図1に示すように、積層シート1は、透湿性ポリウレタンフィルム2と、第1スパンボンド不織布3と、第2スパンボンド不織布4とを備える。
【0022】
透湿性ポリウレタンフィルム2は、フィルム形状(平板形状)を有する。具体的には、透湿性ポリウレタンフィルム2は、所定の厚みを有し、前記厚み方向と直交する所定方向に延び、平坦な表面および平坦な裏面を有している。
【0023】
透湿性ポリウレタンフィルム2の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、5μm以上、より好ましくは、10μm以上、例えば、50μm以下、好ましくは、30μm以下、より好ましくは、25μm以下である。
【0024】
透湿性ポリウレタンフィルム2は、透湿性ポリウレタン樹脂を含み、好ましくは、透湿性ポリウレタン樹脂からなる。透湿性ポリウレタンフィルム2は、ハードセグメント相と、ソフトセグメント相とを有する。
【0025】
ハードセグメント相は、ポリイソシアネートと、鎖伸長剤としての低分子量ジオールとから構成される領域(ドメイン)であって、ポリイソシアネートと低分子量ジオールとの反応により形成されている。
【0026】
ポリイソシアネートは、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を含有する。
【0027】
ジフェニルメタンジイソシアネートとして、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0028】
ジフェニルメタンジイソシアネートは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0029】
ジフェニルメタンジイソシアネートのなかでは、好ましくは、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
【0030】
ポリイソシアネートにおけるジフェニルメタンジイソシアネートの含有割合は、例えば、80質量%以上、好ましくは、90質量%以上、例えば、100質量%以下である。
【0031】
ポリイソシアネートは、本発明の範囲を阻害しない範囲で、ジフェニルメタンジイソシアネートに加えて、その他のポリイソシアネートを含有することができる。
【0032】
その他のポリイソシアネートとして、例えば、脂肪族ポリイソシアネート(例えば、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)など)、脂環族ポリイソシアネート(例えば、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、1,3-および/または1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)(Trans-体、Cis-体、もしくはその混合物)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(4,4’-、2,4’-または2,2’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート、これらのTrans,Trans-体、Trans,Cis-体、Cis,Cis-体、もしくはその混合物))(H12MDI)など)、芳香脂肪族ポリイソシアネート(例えば、m-および/またはp-キシリレンジイソシアネート(XDI)など、ジフェニルメタンジイソシアネートを除く芳香族ポリイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)など)、それらポリイソシアネートから変性される変性体(例えば、多量体、イソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、トリオール付加体など)、ジフェニルメタンジイソシアネートから変性される変性体(例えば、多量体、カルボジイミド変性体、ポリフェニルメタンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)など)などが挙げられる。
【0033】
ポリイソシアネートにおけるその他のポリイソシアネートの含有割合は、例えば、0質量%以上、例えば、40質量%以下、好ましくは、20質量%以下、より好ましくは、10質量%以下である。ポリイソシアネートは、さらに好ましくは、ジフェニルメタンジイソシアネートからなる。
【0034】
低分子量ジオールは、例えば、直鎖状のアルキレン基を有し、そのアルキレン基に結合する2つの水酸基を有する化合物である。低分子量ジオールの数平均分子量は、60g/mol以上200g/mol以下である。低分子量ジオールとして、例えば、炭素数2~4の2価アルコールが挙げられ、具体的には、直鎖状のアルカンジオール(例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオールなど)、分岐状のアルカンジオール(例えば、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオールなど)などが挙げられる。
【0035】
低分子量ジオールは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0036】
低分子量ジオールは、好ましくは、炭素数2~4の直鎖状のアルカンジオールを含み、より好ましくは、1,4-ブタンジオールを含む。
【0037】
このようなハードセグメント相の融点は、65℃以上、好ましくは、75℃以上、より好ましくは、80℃以上、140℃以下、好ましくは、138℃以下、より好ましくは、135℃以下である。なお、ハードセグメント相の融点は、後述する実施例に記載の方法により測定できる(以下、同様)。
【0038】
また、透湿性ポリウレタンフィルム2におけるハードセグメント相の濃度は、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上、より好ましくは、12質量%以上、さらに好ましくは、18質量%以上、例えば、40質量%以下、好ましくは、30質量%以下である。
【0039】
なお、ハードセグメント相の濃度は、下記式(1)により算出できる。
【数1】

[式(1)中、CEは、低分子量ジオール(鎖伸長剤)を示し、NCOは、ポリイソシアネートを示し、Mnは、数平均分子量を示し、M.W.は、分子量を示す。]
ソフトセグメント相は、高分子量ポリオールから構成される領域(ドメイン)であって、上記したポリイソシアネートと高分子量ポリオールとの反応により形成されている。
【0040】
高分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量400g/mol以上、好ましくは、500g/mol以上、例えば、10000g/mol以下、好ましくは、5000g/mol以下の化合物である。高分子量ポリオールとして、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、シリコーンポリオール、フッ素ポリオール、および、ビニルモノマー変性ポリオールなどが挙げられる。
【0041】
高分子量ポリオールのなかでは、好ましくは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールが挙げられ、より好ましくは、ポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0042】
ポリエーテルポリオールとして、例えば、ポリオキシ(C2~3)アルキレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
【0043】
ポリオキシ(C2~3)アルキレンポリオールとして、例えば、低分子量ポリオールを開始剤とする、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのC2~3アルキレンオキサイドの付加重合物(2種以上のアルキレンオキサイドのランダムおよび/またはブロック共重合体を含む。)が挙げられる。
【0044】
低分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量60g/mol以上400g/mol未満、好ましくは、200g/mol以下の化合物である。低分子量ポリオールとして、例えば、上記した数平均分子量が60g/mol以上200g/mol以下の低分子量ジオール、数平均分子量が100g/molを超過し400g/mol未満の2価アルコール(例えば、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオールなどの炭素数5~8のアルカンジオールなど、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの炭素数4~8のエーテルジオールなど)、3価アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパンなど)、4価アルコール(例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなど)などが挙げられる。
【0045】
開始剤としての低分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0046】
開始剤としての低分子量ポリオールのなかでは、好ましくは、数平均分子量が100g/molを超過し400g/mol未満の2価アルコールが挙げられ、より好ましくは、炭素数4~8のエーテルジオールが挙げられ、さらに好ましくは、ジプロピレングリコールが挙げられる。
【0047】
また、ポリオキシ(C2~3)アルキレンポリオールとして、具体的には、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、および、それらの共重合ポリオールなどが挙げられる。ポリオキシ(C2~3)アルキレンポリオールは、例えば、公知のアルカリ触媒またはホスファゼニウム触媒の存在下において製造できる。
【0048】
ポリテトラメチレンエーテルグリコールとして、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合により得られる開環重合物(ポリテトラメチレンエーテルグリコール(結晶性))や、テトラヒドロフランの重合単位に上記した低分子量ポリオールあるいはアルキレンオキサイドを共重合した非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
【0049】
また、フルフラールなどの植物由原料をもとに製造されたテトラヒドロフランを出発原料とした植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコールも挙げられる。
【0050】
ポリトリメチレンエーテルグリコールとして、例えば、植物由来の1,3-プロパンジオールの縮重合により製造されるポリオールが挙げられる。
【0051】
高分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0052】
高分子量ポリオールは、好ましくは、ポリエーテルポリオールを含み、より好ましくは、ポリエーテルポリオールからなる。言い換えると、ソフトセグメント相は、好ましくは、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの反応により形成されている。
【0053】
ソフトセグメント相がポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの反応により形成されていると、積層シート1の伸縮性の向上を確実に図ることができながら、第1スパンボンド不織布3の透湿性ポリウレタンフィルム2に対する密着性の向上を確実に図ることができる。また、積層シート1の透湿性の向上を図ることができる。
【0054】
ポリエーテルポリオールは、好ましくは、ポリオキシ(C2~3)アルキレンポリオールおよび/またはポリテトラメチレンエーテルグリコールを含み、より好ましくは、ポリオキシ(C2~3)アルキレンポリオールおよび/またはポリテトラメチレンエーテルグリコールからなり、さらに好ましくは、ポリオキシ(C2~3)アルキレンポリオールおよびポリテトラメチレンエーテルグリコールからなる。
【0055】
ポリエーテルポリオールがポリオキシ(C2~3)アルキレンポリオールおよびポリテトラメチレンエーテルグリコールを含む場合、ポリオキシ(C2~3)アルキレンポリオールの含有割合は、ポリオキシ(C2~3)アルキレンポリオールおよびポリテトラメチレンエーテルグリコールの総和100質量%に対して、例えば、60質量%以上、好ましくは、70質量%以上、より好ましくは、78質量%以上、例えば、95質量%以下、好ましくは、90質量%以下である。
【0056】
また、ポリオキシ(C2~3)アルキレンポリオールは、好ましくは、オキシエチレン基を含む。ポリオキシ(C2~3)アルキレンポリオールにおけるオキシエチレン基の含有割合は、例えば、50質量%以上、好ましくは、80質量%以上、より好ましくは、85質量%以上、例えば、100質量%以下、好ましくは、95質量%以下である。ポリオキシ(C2~3)アルキレンポリオールは、さらに好ましくは、ポリオキシエチレンポリオール、および/または、ポリオキシ(エチレン・プロピレン)共重合ポリオールからなる。
【0057】
ポリエーテルポリオールの数平均分子量は、例えば、400g/mol以上、好ましくは、500g/mol以上、より好ましくは、1200g/mol以上、とりわけ好ましくは、1300g/mol以上、特に好ましくは、1500g/mol以上、例えば、4000g/mol以下、好ましくは、3000g/mol以下、より好ましくは、2800g/mol以下、とりわけ好ましくは、2500g/mol以下、特に好ましくは、2400g/mol以下である。
【0058】
ポリエーテルポリオールの数平均分子量が上記範囲であると、積層シート1の伸縮性の向上をより確実に図ることができながら、第1スパンボンド不織布3の透湿性ポリウレタンフィルム2に対する密着性の向上をより確実に図ることができる。また、ポリエーテルポリオールの数平均分子量が上記下限以上であると、積層シート1のタック性の低減を確実に図ることができる。
【0059】
高分子量ポリオールの平均官能基数は、例えば、2.0以上、例えば、4.0以下、好ましくは、3.0以下である。なお、ポリオールの平均官能基数は、仕込み成分から算出することができる。
【0060】
高分子量ポリオールの平均水酸基価は、例えば、35mgKOH/g以上、好ましくは、40mgKOH/g以上、より好ましくは、45mgKOH/g以上、例えば、115mgKOH/g以下、好ましくは、87mgKOH/g以下、より好ましくは、78mgKOH/g以下である。
【0061】
次に、透湿性ポリウレタンフィルム2の製造について説明する。
【0062】
透湿性ポリウレタンフィルム2を製造するには、まず、透湿性ポリウレタンを調製する。
【0063】
透湿性ポリウレタンは、例えば、プレポリマー法により調製できる。
【0064】
より詳しくは、上記したポリイソシアネートと上記した高分子量ポリオールとを、下記の割合で反応させて、分子末端にイソシアネート基を有するイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを合成する。
【0065】
このとき、高分子量ポリオールの水酸基に対する、ポリイソシアネートのイソシアネート基の割合(NCO/OH)は、例えば、1.9以上、好ましくは、2.3以上、より好ましくは、2.5以上、例えば、3.5以下、好ましくは、3.3以下である。
【0066】
次いで、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、上記した低分子量ジオールとを、ハードセグメント相の濃度が上記の範囲となる割合で反応させる。
【0067】
このとき、低分子量ジオールの水酸基に対する、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーのイソシアネート基の割合(NCO/OH)は、例えば、0.990以上、好ましくは、1.005以上、例えば、1.150以下、好ましくは、1.100以下である。
【0068】
これによって、透湿性ポリウレタンが調製される。
【0069】
なお、透湿性ポリウレタンは、ワンショット法により製造することもできる。ワンショット法では、例えば、ポリイソシアネートと、高分子量ポリオールと、低分子量ジオールとを、ハードセグメント相の濃度が上記の範囲となる割合で一度に反応させて、透湿性ポリウレタンを調製する。
【0070】
上記により得られる透湿性ポリウレタンは、熱可塑性ポリウレタンである。そのため、得られた透湿性ポリウレタンを粉砕し、ペレット化した後、例えば、押出成形などの公知の成形方法により、フィルム状あるいはシート状に成形する。ペレット化および押出成形工程において、透湿性ポリウレタン中のフィッシュアイを低減するために、例えば、特許第4332627号公報に記載のフィルトレーション操作を行うことが好ましい。
【0071】
以上によって、透湿性ポリウレタンフィルム2が製造される。
【0072】
なお、このような透湿性ポリウレタンフィルム2の調製において、必要に応じて、酸化防止剤(例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤など)、紫外線吸収剤(例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤など)、滑剤、離型剤、酸化チタンなどの顔料などの公知の添加剤を、適宜のタイミングおよび割合で添加することができる。この場合、透湿性ポリウレタンフィルム2は、透湿性ポリウレタンに加えて、公知の添加剤を含有する。
【0073】
第1スパンボンド不織布3は、透湿性ポリウレタンフィルム2の厚み方向に一方側に配置される。より具体的には、第1スパンボンド不織布3は、透湿性ポリウレタンフィルム2の表面(厚み方向の一方面)に配置され、透湿性ポリウレタンフィルム2の表面に直接接触する。
【0074】
第1スパンボンド不織布3は、接着剤レスで透湿性ポリウレタンフィルム2にラミネートされている。第1スパンボンド不織布3の少なくとも一部は、透湿性ポリウレタンフィルム2の表面に融着している。とりわけ、後述する熱可塑性ポリウレタンを含む伸縮性繊維の少なくとも一部が、透湿性ポリウレタンフィルム2の表面に融着している。
【0075】
第1スパンボンド不織布3は、熱可塑性ポリウレタンを含む伸縮性繊維、および、ポリオレフィンを含む非伸縮性繊維を含む。
【0076】
伸縮性繊維は、熱可塑性ポリウレタンを材料とするポリウレタン繊維である。熱可塑性ポリウレタンとして、例えば、特開2008-213284号公報に記載される熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(A1)などが挙げられる。
【0077】
熱可塑性ポリウレタンは、例えば、上記したポリイソシアネート(好ましくは、ジフェニルメタンジイソシアネート)と、上記した高分子量ポリオール(好ましくは、ポリエステルポリオール)と、上記した低分子量ポリオール(好ましくは、上記した低分子量ジオール)との反応により製造される。例えば、熱可塑性ポリウレタンは、透湿性ポリウレタンと同様に、プレポリマー法またはワンショット法などの公知の方法により製造できる。
【0078】
これによって、熱可塑性ポリウレタンが調製される。
【0079】
なお、熱可塑性ポリウレタンの調製において、必要に応じて、上記した公知の添加剤を、適宜のタイミングおよび割合で添加することができる。この場合、伸縮性繊維は、熱可塑性ポリウレタンに加えて、公知の添加剤を含有する。
【0080】
このような熱可塑性ポリウレタンの硬度は、例えば、70A以上、好ましくは、73A以上、より好ましくは、75A以上、例えば、95A以下、好ましくは、90A以下、より好ましくは、88A以下、さらに好ましくは、85A以下である。熱可塑性ポリウレタンの硬度は、23℃、50%相対湿度下において、JIS K-7311に記載の方法(デュロメータ:タイプA)により測定できる(以下同様)。
【0081】
熱可塑性ポリウレタンの引張強度は、例えば、20MPa以上、好ましくは、30MPa以上、例えば、70MPa以下、好ましくは、60MPa以下である。熱可塑性ポリウレタンの引張強度は、JIS K-7311に記載の方法により測定できる(以下同様)。
【0082】
熱可塑性ポリウレタンの破断伸びは、例えば、300%以上、好ましくは、400%以上、例えば、700%以下、好ましくは、600%以下である。熱可塑性ポリウレタンの破断伸びは、JIS K-7311に記載の方法により測定できる(以下同様)。
【0083】
第1スパンボンド不織布3における伸縮性繊維の含有割合は、例えば、30質量%以上であり、伸縮性をより向上させる観点から好ましくは、35質量%以上である。同様に伸縮性繊維の含有割合は、タック性をより向上させる観点から、例えば、70質量%以下、好ましくは、60質量%以下である。
【0084】
非伸縮性繊維は、ポリオレフィンを材料とするポリオレフィン繊維である。ポリオレフィンとして、例えば、特開2008-213284号公報に記載されるポリオレフィン(B)などが挙げられる。
【0085】
ポリオレフィンとして、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンポリプロピレン共重合体などが挙げられる。
【0086】
ポリオレフィンは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0087】
ポリオレフィンは、好ましくは、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンを含み、より好ましくは、ポリエチレン(より具体的には、高密度ポリエチレン)およびポリプロピレンを含み、さらに好ましくは、ポリエチレン(より具体的には、高密度ポリエチレン)およびポリプロピレンからなる。
【0088】
ポリプロピレンの含有割合は、ポリエチレンおよびポリプロピレンの総和100質量%に対して、例えば、80質量%以上、好ましくは、90質量%以上、例えば、100質量%以下、好ましくは、99質量%以下である。
【0089】
ポリプロピレンのメルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgfで測定した場合、例えば、10g/10分以上、好ましくは、20g/10分以上、例えば、1000g/10分以下、好ましくは、100g/10分以下である。
【0090】
ポリプロピレンの密度は、例えば、0.900g/cm以上0.920g/cm以下である。
【0091】
ポリプロピレンの融点は、例えば、120℃以上、好ましくは、140℃以上、例えば、200℃以下、好ましくは、180℃以下である。
【0092】
ポリエチレンのメルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgfで測定した場合、例えば、1g/10分以上であり、紡糸性をより向上させる観点から、好ましくは、2g/10分以上である。同様にポリエチレンのMFRは、例えば、1000g/10分以下であり、伸張性をより向上させる観点から、好ましくは、100g/10分以下であり、より好ましくは、20g/10分以下である。
【0093】
ポリエチレンの密度は、例えば、0.940g/cm以上であり、紡糸性をより向上させる観点から、好ましくは、0.950g/cm以上である。ポリエチレンの密度は、例えば、0.980g/cm以下であり、成形性をより向上させる観点から、好ましくは、0.975g/cm以下である。
【0094】
ポリエチレンの融点は、例えば、100℃以上、好ましくは、120℃以上、例えば、180℃以下、好ましくは、160℃以下である。
【0095】
第1スパンボンド不織布3における非伸縮性繊維の含有割合は、例えば、30質量%以上、好ましくは、40質量%以上、例えば、70質量%以下、好ましくは、65質量%以下である。
【0096】
なお、第1スパンボンド不織布3は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記した伸縮性繊維(ポリウレタン繊維)および非伸縮性繊維(ポリオレフィン繊維)に加えて、その他の繊維を含有することができる。その他の繊維として、例えば、ポリスチレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などが挙げられる。
【0097】
第1スパンボンド不織布3におけるその他の繊維の含有割合は、例えば、0質量%以上、例えば、10質量%以下、好ましくは、5質量%以下である。第1スパンボンド不織布3は、より好ましくは、伸縮性繊維(ポリウレタン繊維)および非伸縮性繊維(ポリオレフィン繊維)からなる。
【0098】
第1スパンボンド不織布3における目付けは、例えば、10g/m以上、好ましくは、15g/m以上、より好ましくは、20g/m以上、例えば、100g/m以下、好ましくは、40g/m以下、より好ましくは、30g/m以下である。
【0099】
次に、第1スパンボンド不織布3の製造について説明する。第1スパンボンド不織布3は、例えば、特開2004-244791号公報に記載の伸縮性不織布の製造方法により製造できる。
【0100】
より具体的には、上記した熱可塑性ポリウレタンと、上記したポリオレフィンとのそれぞれを、公知の押出機により溶融した後、特開2004-244791号公報の図2に示される紡糸口金を有するスパンボンド成形機を用いて、スパンボンド法により溶融紡糸する。詳しくは、紡糸口金は、熱可塑性ポリウレタンを吐出する複数の第1ノズルと、ポリオレフィンを吐出する複数の第2ノズルとを含む。そして、熱可塑性ポリウレタンを含む伸縮性繊維が、複数の第1ノズルから吐出されると同時に、ポリオレフィンを含む非伸縮性繊維が、複数の第2ノズルから吐出される。これによって、熱可塑性ポリウレタンの伸縮性繊維とポリオレフィンの非伸縮性繊維とが混繊したウェブ(混合繊維)が、捕集面上に堆積する。その後、例えば、熱エンボスロールにより、ウェブを熱融着処理して、伸縮性繊維と非伸縮性繊維とを部分的に熱融着させる。これによって、第1スパンボンド不織布3が調製される。
【0101】
第2スパンボンド不織布4は、透湿性ポリウレタンフィルム2の厚み方向に他方側に配置される。より具体的には、第2スパンボンド不織布4は、透湿性ポリウレタンフィルム2の裏面(厚み方向の一方面)に配置され、透湿性ポリウレタンフィルム2の裏面に直接接触する。第2スパンボンド不織布4は、第1スパンボンド不織布3と同様の構成を有し、熱可塑性ポリウレタンを含む伸縮性繊維、および、ポリオレフィンを含む非伸縮性繊維を含む。そのため、第2スパンボンド不織布4の説明を省略する。
【0102】
<積層シートの製造方法>
次に、図2を参照して、積層シート1の製造方法の一実施形態について説明する。
【0103】
積層シート1の製造方法は、スパンボンド不織布を調製する工程と、透湿性ポリウレタンフィルムを調製する工程と、スパンボンド不織布と透湿性ポリウレタンフィルムとを積層する工程と、積層する工程の後に、積層されたスパンボンド不織布および透湿性ポリウレタンフィルムを延伸加工する工程とを含む。
【0104】
このような積層シート1の製造方法は、例えば、図2に示す溶融押出ラミネート装置10によって連続的に実施される。
【0105】
溶融押出ラミネート装置10は、押出成形機11と、第1ラミネートロール12と、第2ラミネートロール13と、第1送出ロール14と、第2送出ロール15と、複数の冷却ロール16と、延伸機17とを有する。
【0106】
押出成形機11は、公知の押出成形機であって、上記した透湿性ポリウレタンをシート状に押出成形して、透湿性ポリウレタンフィルム2を吐出する。吐出された直後の透湿性ポリウレタンフィルム2は固化していない場合がある。押出成形機11は、Tダイを有する。押出成形機11は、Tダイの温度を調整可能である。
【0107】
第1ラミネートロール12および第2ラミネートロール13は、押出成形機11に対して吐出方向の下流側に位置する。第1ラミネートロール12および第2ラミネートロール13は、互いに向かい合って配置される。第1ラミネートロール12および第2ラミネートロール13のそれぞれは、回転可能である。第1ラミネートロール12および第2ラミネートロール13のそれぞれは、温度調整可能である。
【0108】
押出成形機11から吐出される透湿性ポリウレタンフィルム2は、第1ラミネートロール12および第2ラミネートロール13の間に供給される。第1ラミネートロール12および第2ラミネートロール13は、それらの間に供給される透湿性ポリウレタンフィルム2に対して、第1スパンボンド不織布3および第2スパンボンド不織布4を、透湿性ポリウレタンフィルム2の両側からラミネートできる。第1ラミネートロール12は、第2ラミネートロール13に対して移動可能である。これによって、第1ラミネートロール12は、第1ラミネートロール12と第2ラミネートロール13との間に、第1スパンボンド不織布3と、透湿性ポリウレタンフィルム2と、第2スパンボンド不織布4とが挟まれた状態で、それらに作用するニップ圧力を調整できる。
【0109】
第1送出ロール14には、長尺状の第1スパンボンド不織布3が予め巻回されている。長尺状の第1スパンボンド不織布3は、上記した方法により予め調製される。第1送出ロール14に巻回される第1スパンボンド不織布3は、未だ延伸加工されていない。第1送出ロール14は、回転可能であり、未延伸の第1スパンボンド不織布3を送出可能である。第1送出ロール14は、押出成形機11の吐出方向の上流側から、第1ラミネートロール12および第2ラミネートロール13の間であって、透湿性ポリウレタンフィルム2の厚み方向一方面と接触するように、第1スパンボンド不織布3を供給する。
【0110】
第2送出ロール15は、押出成形機11に対して第1送出ロール14の反対側に位置する。第2送出ロール15には、長尺状の第2スパンボンド不織布4が予め巻回されている。長尺状の第2スパンボンド不織布4は、上記した方法により予め調製される。第2送出ロール15に巻回される第2スパンボンド不織布4は、未だ延伸加工されていない。第2送出ロール15は、回転可能であり、未延伸の第2スパンボンド不織布4を送出可能である。第2送出ロール15は、押出成形機11の吐出方向の上流側から、第1ラミネートロール12および第2ラミネートロール13の間であって、透湿性ポリウレタンフィルム2の厚み方向他方面と接触するように、第2スパンボンド不織布4を供給する。
【0111】
複数の冷却ロール16は、第1ラミネートロール12および第2ラミネートロール13の間を通過して、第1スパンボンド不織布3と、透湿性ポリウレタンフィルム2と、第2スパンボンド不織布4とが積層された積層体20を冷却する。複数の冷却ロール16のそれぞれは、温度調整可能である。
【0112】
延伸機17は、例えば、特開2004-244791号公報に記載のギア延伸装置である。延伸機17は、複数の冷却ロール16によって冷却された積層体20をギア延伸して、積層シート1を調製する。延伸機17は、第1ギアロール18と、第2ギアロール19とを備える。
【0113】
第1ギアロール18および第2ギアロール19のそれぞれの周面は、周方向に延びる複数のギア歯を有する。第1ギアロール18および第2ギアロール19は、互いに噛み合うように向かい合って配置される。第1ギアロール18および第2ギアロール19のそれぞれは、回転可能である。複数の冷却ロール16によって冷却された積層体20は、第1ギアロール18および第2ギアロール19の間に供給されて、第1ギアロール18および第2ギアロール19に挟まれてギア延伸される。
【0114】
このような溶融押出ラミネート装置10において、積層シート1を製造するには、まず、上記のように調製した透湿性ポリウレタン(のペレット)を押出成形機11にセットする。
【0115】
透湿性ポリウレタンのペレットの水分量は、除湿乾燥機を用いて、例えば、500ppm以下、好ましくは、300ppm以下、より好ましくは、200ppm以下まで低減することが、透湿性ポリウレタンフィルムの機械物性および透湿度の向上の観点から好適である。除湿乾燥機から大気に触れない状態で、押出成形機に連結し、ペレットを搬送する形態が好ましい。
【0116】
そして、押出成形機11のTダイの温度を、例えば、180℃以上250℃以下に調整した後、Tダイから、溶融状態の透湿性ポリウレタンをフィルム状に押出成形する。これにより、溶融状態の透湿性ポリウレタンからなる透湿性ポリウレタンフィルム2が調製される。
【0117】
そして、溶融状態の透湿性ポリウレタンフィルム2は、第1ラミネートロール12および第2ラミネートロール13の間に供給される。このとき、第1送出ロール14から送出される第1スパンボンド不織布3は、溶融状態の透湿性ポリウレタンフィルム2と第1ラミネートロール12との間に供給され、第2送出ロール15から送出される第2スパンボンド不織布4は、溶融状態の透湿性ポリウレタンフィルム2と第2ラミネートロール13との間に供給される。
【0118】
これによって、第1スパンボンド不織布3は、溶融状態の透湿性ポリウレタンフィルム2の表面(厚み方向一方面)に直接接触する。第2スパンボンド不織布4は、溶融状態の透湿性ポリウレタンフィルム2の裏面(厚み方向他方面)に直接接触する。
【0119】
そして、第1スパンボンド不織布3と、溶融状態の透湿性ポリウレタンフィルム2と、第2スパンボンド不織布4とが、第1ラミネートロール12および第2ラミネートロール13に挟まれる。そのため、第1スパンボンド不織布3および第2スパンボンド不織布4のそれぞれが、幅方向全体にわたって溶融状態の透湿性ポリウレタンフィルム2に向かうように、第1ラミネートロール12および第2ラミネートロール13からのニップ圧が作用する。
【0120】
ニップ圧(ゲージ圧)は、例えば、0.1MPaG以上、好ましくは、0.3MPaG以上、例えば、2.0MPaG以下、好ましくは、1.0MPaG以下、より好ましくは、0.6MPaG以下である。
【0121】
また、第1ラミネートロール12および第2ラミネートロール13のそれぞれの温度は、例えば、10℃以上、好ましくは、15℃以上、より好ましくは、20℃以上、例えば、50℃以下、好ましくは、40℃以下である。
【0122】
すると、第1スパンボンド不織布3および第2スパンボンド不織布4が、溶融状態の透湿性ポリウレタンフィルム2の両面にラミネートされる。
【0123】
これによって、第1スパンボンド不織布3と、透湿性ポリウレタンフィルム2と、第2スパンボンド不織布4とが順に積層されて、積層体20が調製される。
【0124】
積層体20において、透湿性ポリウレタンフィルム2の表面に位置する溶融した透湿性ポリウレタンが、第1スパンボンド不織布3の少なくとも一部(とりわけ伸縮性繊維)に融着する。また、積層体20において、透湿性ポリウレタンフィルム2の裏面に位置する溶融した透湿性ポリウレタンが、第2スパンボンド不織布4の少なくとも一部(とりわけ伸縮性繊維)に融着する。
【0125】
その後、積層体20は、第2ラミネートロール13上を通過した後、複数の冷却ロール16上を引き回される。
【0126】
これによって、溶融状態の透湿性ポリウレタンフィルム2が固化して、第1スパンボンド不織布3および第2スパンボンド不織布4が、接着剤を使用せずに、透湿性ポリウレタンフィルム2に接着される。
【0127】
冷却ロール16の温度は、例えば、第2ラミネートロール13の温度以下である。冷却ロール16の温度は、例えば、0℃以上、好ましくは、10℃以上、例えば、40℃以下、好ましくは、30℃以下である。
【0128】
その後、冷却された積層体20は、第1ギアロール18と第2ギアロール19との間に供給され、第1ギアロール18および第2ギアロール19に挟まれてギア延伸加工される。
【0129】
ギア延伸加工における延伸倍率は、例えば、1.5倍以上、好ましくは、2.0倍以上、例えば、5倍以下、好ましくは、4.0倍以下である。延伸倍率が上記下限値以上であると、伸縮性がより向上する傾向にある。延伸倍率が上記上限値以下であると、透湿性ポリウレタンフィルム2、第1スパンボンド不織布および第2スパンボンド不織布に付与されるダメージが減少し、繊維切れによる毛羽、強度低下および剥離強度低下をより防ぐことができる傾向がある。
【0130】
ギア延伸加工における延伸方向は、流れ(MD)方向であってもよく、横(CD)方向であってもよい。成形加工時の走行安定性の観点から、延伸方向は、横(CD)方向が好ましい。横(CD)方向にギア加工する場合は、例えば、公知の連続式やバッチ式で行えばよい。流れ(MD)方向に延伸する場合は、公知のギア加工、ロール延伸などの方法を用いることができる。また、目的に応じて横(CD)方向と流れ(MD)方向両方を組み合わせることもできる。
【0131】
以上によって、積層シート1が製造される。
【0132】
このような積層シート1の用途として、例えば、生活関連、医療・衛生、産業、土木・建築、農業・園芸、衣料などが挙げられ、より具体的には、衛生材料(例えば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、尿取りパット、ガーゼ、マスク、ウェットティッシュ、実験着、防塵マスクなど)、医療材料(例えば、手術着、覆布セットなど)、お産用パット、キャップなどが挙げられ、好ましくは、衛生材料および医療材料が挙げられる。言い換えると、衛生材料は、上記した積層シート1を含む。医療材料は、上記した積層シート1を含む。このような衛生材料および医療材料では、上記した積層シート1を含むので、優れた伸縮性と優れた密着性とを確保できながら、タック性の低減を図ることができる。
【0133】
さらには、積層シート1は、カーペット、カーペット基布、収納袋、風呂敷、スーツカバー、ティーバッグ、水切りシート、ワイパー、靴、スリッパ、バッグなどの生活資材に用いることができる。また、積層シート1は、フロアマットなどの自動車内装材、自動車用各種フィルター、研磨材、製紙用フェルト、電線押さえ巻テープ、電池セパレーター、エアフィルター、液体フィルターなどの産業資材に用いることができる。また、積層シート1は、衣料用芯地、ブラジャーカップ用芯、肩パット、イベントジャンパー、人工皮革(人工皮革基布、塩ビレザー基布他)にも適用できる。
【0134】
<作用効果>
積層シート1では、透湿性ポリウレタンフィルム2におけるハードセグメント相の融点が上記上限以下であり、第1スパンボンド不織布3が、熱可塑性ポリウレタンを含む伸縮性繊維を含むので、積層シート1の伸縮性の向上を図ることができながら、第1スパンボンド不織布3の透湿性ポリウレタンフィルム2に対する密着性の向上を図ることができる。また、透湿性ポリウレタンフィルム2におけるハードセグメント相の融点が上記下限以上であり、第1スパンボンド不織布3がポリオレフィンを含む非伸縮性繊維を含むので、積層シート1のタック性の低減を図ることができる。
【0135】
また、透湿性ポリウレタンフィルム2におけるソフトセグメント相は、好ましくは、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの反応により形成されている。そのため、積層シート1の伸縮性の向上を確実に図ることができながら、第1スパンボンド不織布3の透湿性ポリウレタンフィルム2に対する密着性の向上を確実に図ることができる。また、積層シート1の透湿性の向上を図ることができる。
【0136】
また、ソフトセグメント相を形成するポリエーテルポリオールの数平均分子量は、好ましくは、上記範囲以上である。そのため、積層シート1の伸縮性の向上をより確実に図ることができながら、第1スパンボンド不織布3の透湿性ポリウレタンフィルム2に対する密着性の向上をより確実に図ることができる。また、積層シート1のタック性の低減を確実に図ることができる。
【0137】
また、図2に示すように、積層シート1の製造方法では、第1スパンボンド不織布3と、透湿性ポリウレタンフィルム2と、第2スパンボンド不織布4とを積層した後、延伸機17によって延伸加工される。そのため、上記した特性を有する積層シート1を円滑に製造することができる。
【0138】
<変形例>
上記した積層シート1は、透湿性ポリウレタンフィルム2と、第1スパンボンド不織布3と、第2スパンボンド不織布4とを備えるが、本発明は、これに限定されない。
【0139】
積層シート1は、第2スパンボンド不織布4を備えず、透湿性ポリウレタンフィルム2および第1スパンボンド不織布3からなってもよい。
【0140】
また、積層シート1は、透湿性ポリウレタンフィルム2および第1スパンボンド不織布3に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の層を備えることもできる。その他の層として、例えば、上記したスパンボンド不織布以外のスパンボンド不織布、メルトブロー不織布、湿式不織布、乾式不織布、ニードルパンチ、ステッチボンド、フィルム、天然繊維集合体(例えば、シルク、ガーゼ、コットンおよびレーヨンなど)などが挙げられる。
【0141】
上記した積層シート1の製造方法では、積層する工程の後に、積層されたスパンボンド不織布および透湿性ポリウレタンフィルムを延伸加工するが、積層する工程の前に、スパンボンド不織布を延伸加工してもよい。
【0142】
すなわち、積層シート1は、第1スパンボンド不織布3と第2スパンボンド不織布4が延伸加工されていればよく、積層化後に延伸加工してもよく、積層前に延伸加工してもよく、積層化前および積層化後に延伸加工してもよい。積層化前に延伸加工をすると、剥離強度がより向上する傾向にあるため好ましい。なお、積層化前の延伸加工は、横(CD)方向の場合、ギア延伸加工が好ましい。流れ(MD)方向の場合は、ロール延伸、ギア延伸など公知の方法を使用することができる。
【0143】
積層化前の延伸加工における延伸倍率は、例えば、1.5倍以上、好ましくは、2.0倍以上、例えば、5倍以下、好ましくは、4.0倍以下である。延伸倍率が上記下限値以上であると、伸縮性がより向上する傾向にある。延伸倍率が上記上限値以下であると、透湿性ポリウレタンフィルム2、第1スパンボンド不織布および第2スパンボンド不織布に付与されるダメージが減少し、繊維切れによる毛羽、強度低下および剥離強度低下をより防ぐことができる傾向がある。
積層化前の延伸加工における延伸方向は、流れ(MD)方向であってもよく、横(CD)方向であってもよい。積層時のスパンボンド不織布の走行安定性のため、積層化前の延伸加工は横(CD)方向であることがより好ましい。
【実施例
【0144】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、それらに限定されない。以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。
【0145】
<高分子量ポリオールの準備>
<<準備例1:ポリオールA>>
特開平11-106500号公報に記載の実施例2と同様の方法により、ジプロピレングリコールと、触媒としてのホスファゼニウム化合物(テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスホニウムクロライド)とのアルコラートを調製した。
【0146】
次いで、アルコラートの存在下においてエチレンオキシドを付加重合した後、脱触媒して、ポリオールA(ポリオキシエチレンポリオール)を準備した。ポリオールAの数平均分子量(Mn)は、1950であった。ポリオールAの平均水酸基価は、57.5mgKOH/gであった。
【0147】
<<準備例2:ポリオールB>>
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG、三菱ケミカル社製)を、ポリオールBとして準備した。ポリオールBの数平均分子量(Mn)は、995であった。ポリオールBの平均水酸基価は、112.8mgKOH/gであった。
【0148】
<<準備例3:ポリオールC>>
常法により、ジプロピレングリコールと、触媒としての水酸化カリウムとのアルコラートを調製した。
【0149】
次いで、アルコラートの存在下において、プロピレンオキシドを付加重合した後、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとを共重合し、次いで脱触媒して、ポリオールC(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール)を準備した。ポリオールCにおいて、オキシエチレン基含有量は80質量%であり、オキシプロピレン基含有量は20質量%であった。ポリオールCの数平均分子量(Mn)は、2270であった。ポリオールCの平均水酸基価は、49.5mgKOH/gであった。
【0150】
<<準備例4:ポリオールD>>
常法により、ジプロピレングリコールと、触媒としての水酸化カリウムとのアルコラートを調製した。
【0151】
次いで、アルコラートの存在下において、プロピレンオキシドを付加重合した後、エチレンオキシドを付加重合し、次いで脱触媒して、ポリオールD(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール)を準備した。ポリオールDにおいて、オキシエチレン基含有量は90質量%であり、オキシプロピレン基含有量は10質量%であった。ポリオールDの数平均分子量(Mn)は、2945であった。ポリオールDの平均水酸基価は、38.1mgKOH/gであった。
【0152】
<<準備例5:ポリオールE>>
常法により、ジプロピレングリコールと、触媒としての水酸化カリウムとのアルコラートを調製した。
【0153】
次いで、アルコラートの存在下において、プロピレンオキシドを付加重合した後、エチレンオキシドを付加重合し、次いで脱触媒して、ポリオールE(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール)を準備した。ポリオールEにおいて、オキシエチレン基含有量は90質量%であり、オキシプロピレン基含有量は10質量%であった。ポリオールDの数平均分子量(Mn)は、997であった。ポリオールEの平均水酸基価は、112.5mgKOH/gであった。
【0154】
<<準備例6:ポリオールF>>
ポリカーボネートジオール(ETERNACOLL UH-200、宇部興産社製)を、ポリオールFとして準備した。ポリオールFの数平均分子量(Mn)は、1993であった。ポリオールFの平均水酸基価は、56.3mgKOH/gであった。
【0155】
<<準備例7:ポリオールG>>
ポリカプロラクトンジオール(プラクセル220N、ダイセル社製)を、ポリオールGとして準備した。ポリオールGの数平均分子量(Mn)は、2008であった。ポリオールGの平均水酸基価は、55.9mgKOH/gであった。
【0156】
<透湿性ポリウレタンの調製>
<<調製例1:透湿性ポリウレタンA>>
窒素雰囲気下、撹拌機が装着された反応器に、表1の処方となるように、ポリオールと、酸化防止剤(商品名:アデカスタブAO-80、ADEKA社製)と、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、商品名:JF-83、城北化学社製)とを加えて、80℃で1時間溶解した。
【0157】
次いで、その反応器に、表1の処方となるように、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(商品名:コスモネートMDI-PH、三井化学SKCポリウレタン社製)を加えて、80℃で4時間反応させて、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(以下、プレポリマーとする)を調製した。
【0158】
その後、80℃に調整したプレポリマーに、予め80℃で溶解した1,4-ブタンジオール(以下、1,4-BDとする。三菱ケミカル社製)およびエチレンビスステアリン酸アミドを添加し、気泡が混入しないように十分に撹拌混合して、反応混合液を得た。
【0159】
次いで、予め160℃に調整したフッ素処理された容器に、反応混合液を素早く注入して、160℃にて2.5時間反応させた後、105℃に調整した別のオーブンに該容器を移し替え、105℃にて22時間反応させて、透湿性ポリウレタンAを調製した。
【0160】
その後、透湿性ポリウレタンAを、室温(25℃)まで徐冷して粉砕した。次いで、室温(25℃)で二週間養生後、除湿乾燥器にて80℃の条件で、粉砕した透湿性ポリウレタンAを、乾燥した後、単軸押出機を用いてペレット状に成形した。押出機の設定温度は、ホッパーからダイの先端にかけて、ストランドに異物が観察されないように、180℃~215℃に設定した。
【0161】
得られたペレットを、再度、除湿乾燥器にて80℃の条件で乾燥し、単軸押出機を用いて、Tダイから、厚み20μmの透湿性ポリウレタンフィルムAを得た。透湿性ポリウレタンフィルムAに異物が観察されないように、シリンダー温度は、180℃~215℃に設定し、連結管およびTダイの温度は、195℃~218℃に設定した。
【0162】
離型紙上に透湿性ポリウレタンフィルムAを採取後、23℃、55%相対湿度の恒湿恒温室内で1週間、透湿性ポリウレタンフィルムAを養生した。その後、ハードセグメント相の融点を測定した結果、104℃であった。各透湿性ポリウレタンの各原料の処方(仕込み量)、各透湿性ポリウレタンフィルムのハードセグメント濃度、および、各透湿性ポリウレタンフィルムのハードセグメント相の融点を表1および表2に示す。
【0163】
<<調製例2:透湿性ポリウレタンB>>
下記の点を変更したこと以外は、調製例1と同様にして、透湿性ポリウレタンBおよび透湿性ポリウレタンフィルムBを調製した。
・各原料の処方を表1に示すように変更した点、
・除湿乾燥器における乾燥温度を70℃に変更した点、
・押出機の設定温度を170℃~210℃に変更した点、
・シリンダー温度を175℃~210℃に変更した点、および、
・連結管およびTダイの温度を185℃~210℃に変更した点。
【0164】
<<調製例3:透湿性ポリウレタンC>>
下記の点を変更したこと以外は、調製例1と同様にして、透湿性ポリウレタンCおよび透湿性ポリウレタンフィルムCを調製した。
・各原料の処方を表1に示すように変更した点、および、
・プレポリマーの調製における反応時間を3.5時間に変更した点。
【0165】
<<調製例4:透湿性ポリウレタンD>>
下記の点を変更したこと以外は、調製例1と同様にして、透湿性ポリウレタンDおよび透湿性ポリウレタンフィルムDを調製した。
・各原料の処方を表1に示すように変更した点、
・除湿乾燥器における乾燥温度を70℃に変更した点、
・押出機の設定温度を170℃~210℃に変更した点、
・シリンダー温度を175℃~210℃に変更した点、および、
・連結管およびTダイの温度を185℃~210℃に変更した点。
【0166】
<<調製例5~8:透湿性ポリウレタンE~H>>
各原料の処方を表1に示すように変更したこと以外は、調製例1と同様にして、透湿性ポリウレタンE~Hおよび透湿性ポリウレタンフィルムE~Hを調製した。
【0167】
<<調製例9:透湿性ポリウレタンI>>
下記の点を変更したこと以外は、調製例1と同様にして、透湿性ポリウレタンIおよび透湿性ポリウレタンフィルムIを調製した。
・各原料の処方を表2に示すように変更した点
・押出機の設定温度を195℃~223℃に変更した点、
・シリンダー温度を190℃~225℃に変更した点、および、
・連結管およびTダイの温度を195℃~223℃に変更した点。
【0168】
<<調製例10:透湿性ポリウレタンJ>>
各原料の処方を表2に示すように変更したこと以外は、調製例1と同様にして透湿性ポリウレタンJを調製した後、透湿性ポリウレタンJを粉砕した。次いで、粉砕した透湿性ポリウレタンJを、室温(25℃)で二週間養生後、除湿乾燥器にて80℃の条件で乾燥させた後、単軸押出機を用いて、押出機の設定温度を195℃~230℃にて調整しながら、ペレット状への成形を試みた。
【0169】
しかし、ストランドが溶融せずに発泡した。プレポリマー中のイソシアネート基濃度に対する1,4-BDの水酸基濃度の比率([NCO]/[OH])が1.32であるために、透湿性ポリウレタンを合成中、イソシアネート基が化学架橋に起因する副反応を誘発したと推定される。そのため、透湿性ポリウレタンフィルムJは、成形できなかった。
【0170】
<<調製例11:透湿性ポリウレタンK>>
鎖伸長剤をネオペンチルグリコールに変更し、かつ、各原料の処方を表2に示すように変更したこと以外は、調製例1と同様にして透湿性ポリウレタンKを調製した。その後、透湿性ポリウレタンKを、室温(25℃)で二週間養生し、赤外分光測定法により、透湿性ポリウレタンのイソシアネート基が消失していることを確認した。
【0171】
しかし、透湿性ポリウレタンKの粘着性が非常に高く、除湿乾燥、次いで、単軸押出機によるストランド化が困難であった。鎖伸長剤がネオペンチルグリコールであり、かつ[NCO]/[OH]比率が0.66程度であったため、ハードセグメント相が凝集せず、樹脂が固体化しなかったと推定される。そのため、透湿性ポリウレタンフィルムKは、成形できなかった。
【0172】
<<調製例12:透湿性ポリウレタンL>>
下記の点を変更したこと以外は、調製例1と同様にして、透湿性ポリウレタンLおよび透湿性ポリウレタンフィルムLを調製した。
・各原料の処方を表2に示すように変更した点、
・除湿乾燥器における乾燥温度を70℃に変更した点、
・押出機の設定温度を170℃~210℃に変更した点、
・シリンダー温度を175℃~210℃に変更した点、および、
・連結管およびTダイの温度を185℃~210℃に変更した点。
【0173】
<<調製例13:透湿性ポリウレタンM>>
下記の点を変更したこと以外は、調製例1と同様にして、透湿性ポリウレタンMおよび透湿性ポリウレタンフィルムMを調製した。
・各原料の処方を表2に示すように変更した点、
・プレポリマーの調製における反応時間を3時間に変更した点。
・押出機の設定温度を195℃~225℃に変更した点、
・シリンダー温度を195℃~228℃に変更した点、および、
・連結管およびTダイの温度を195℃~227℃に変更した点。
【0174】
<示差走査熱計(DSC)による透湿性ポリウレタンのハードセグメント相の融点(単位:℃)>
示差走査熱量計(商品名:EXSTAR6000 PCステーション、および、DSC220C、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を使用して、各調製例の透湿性ポリウレタンのハードセグメント相の融点を測定した。
【0175】
具体的には、各調製例の透湿性ポリウレタンフィルム約8mgを、アルミニウム製パンにできるだけ密着可能な形状となるように薄く切断して採取した。このアルミニウム製パンにカバーを被せてクリンプした透湿性ポリウレタンフィルムを測定用試料(サンプル)とした。同様にアルミナを採取したものをリファレンス試料とした。サンプルおよびリファレンスをセル内の所定位置にセットした後、流量40NmL/minの窒素気流下、試料を10℃/minの速度で-100℃まで冷却し、-100℃で5分間保持後、次いで、10℃/minの速度で270℃まで昇温した。この昇温の間に現れる吸熱ピークの温度を透湿性ポリウレタンのハードセグメント相の融点とした。その結果を表1および2に示す。
【0176】
<熱可塑性ポリウレタンの調製>
<<調製例14:熱可塑性ポリウレタン>>
窒素雰囲気下、撹拌機が装着された反応器に、ポリエステルポリオール(水酸基価112.1mgKOH/g、商品名:タケラックU-2410、三井化学社製)245質量部と、ポリエステルポリオール(水酸基価56.2mgKOH/g、商品名:タケラックU-2420、三井化学社製)490質量部と、酸化防止剤(商品名:アデカスタブAO-80、ADEKA社製)1.97質量部と、ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド(商品名:スタビライザー7000、RASCHIG GmbH社製)0.8質量部と、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、商品名:JF-83、城北化学社製)1.1質量部とを加えて、80℃で1時間溶解した。
【0177】
次いで、その反応器に、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(商品名:コスモネートMDI-PH、三井化学SKCポリウレタン社製)202質量部を加えて、80℃で3時間反応させ、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(以下、プレポリマーとする)を調製した。
【0178】
その後、80℃に調整したプレポリマーに、予め80℃で溶解した1,4-ブタンジオール(三菱ケミカル社製)50.1質量部、エチレンビスステアリン酸アミド0.99質量部およびエチレンビスモンタン酸アミド0.5質量部を添加し、気泡が混入しないように十分に撹拌混合して、反応混合液を得た。
【0179】
次いで、予め170℃に調整したフッ素処理された容器に、反応混合液を素早く注入し、170℃にて2時間反応させた後、110℃に調整した別のオーブンに該容器を移し替え、110℃にて20時間反応させて、熱可塑性ポリウレタンを調製した。その後、熱可塑性ポリウレタンを、室温(25℃)まで徐冷して粉砕した。
【0180】
次いで、室温(25℃)で二週間養生後、除湿乾燥器にて80℃の条件で、粉砕した熱可塑性ポリウレタンを、乾燥した後、単軸押出機を用いてペレット状に成形した。押出機の設定温度は、ホッパーからダイの先端にかけて、ストランドに異物が観察されないように、180℃~215℃に設定した。
【0181】
得られたペレットを、再度、除湿乾燥器にて80℃の条件で乾燥し、射出成形した。得られた熱可塑性ポリウレタン(以下、TPUとする。)の硬度は81A、引張強度は54MPaおよび破断伸びは580%であった。
【0182】
<スパンボンド不織布の調製>
<<調製例15:PO/TPUスパンボンド不織布>>
プロピレンホモポリマー(以下、PPとする。)94質量部と、高密度ポリエチレン(以下、HDPEとする。)6質量部とを混合して、熱可塑性ポリオレフィン(以下、POとする。)を調製した。
【0183】
PPにおいて、MFR(ASTM D1238に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgfで測定)は60g/10分、密度は0.91g/cm、融点は160℃であった。HDPEにおいて、MFR(ASTM D1238に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgfで測定)は5g/10分、密度は0.97g/cm、融点は134℃であった。
【0184】
調製例14で調製されたTPUと、POとをそれぞれ独立に押出機を用いて溶融した後、特開2004-244791号公報の図2に示される紡糸口金を有するスパンボンド成形機を用いて、樹脂温度とダイ温度とがともに210℃、冷却風温度が20℃、単孔吐出量が0.7g/分/孔、延伸エアー風速が3500m/minの条件でスパンボンド法により溶融紡糸し、TPUを含む伸縮性繊維とPOを含む非伸縮性繊維とが混繊したウェブを捕集面上に堆積させた。
【0185】
紡糸口金は、特開2004-244791号公報の図2に示されるノズル配置パターンを有しており、TPUの伸縮性繊維が40質量%、POの非伸縮性繊維が60質量%となる量で吐出した。
【0186】
次いで、ウェブフォーマー速度を20m/minとし、得られたウェブを110℃で熱エンボス加工(刻印形状:ひし形、面積率18%)して、目付けが28g/mのPO/TPUスパンボンド不織布を調製した。
【0187】
<<調製例16:POスパンボンド不織布>>
PPのみを押出機を用いて溶融した後、ノズル径0.6mmφの口金を有するスパンボンド成形機を用いて、調製例15と同様の条件でスパンボンド法により溶融紡糸し、PPからなる非伸縮性繊維(PP繊維)からなるウェブを捕集面上に堆積させた。
【0188】
次いで、ウェブフォーマー速度を20m/minとし、得られたウェブを140℃でエンボス加工(刻印形状:ひし形、面積率18%)して、目付けが28g/mのPOスパンボンド不織布を調製した。
【0189】
<<調製例17:TPUスパンボンド不織布>>
TPUのみを押出機を用いて溶融した後、ノズル径0.75mmφの口金を有するスパンボンド成形機を用いて、調製例15と同様の条件でスパンボンド法により溶融紡糸し、TPUからなる伸縮性繊維(TPU繊維)からなるウェブを捕集面上に堆積させた。
【0190】
なお、捕集面には、予めポリエステル不織布(三井化学リーメイR-250、目付け18g/m)を設置しておき、TPU繊維を、ポリエステル不織布上に積層することで捕集面へのべとつきを抑制した。
【0191】
TPU繊維からなるウェブをポリエステル不織布上に積層させた後、さらに、TPU繊維からなるウェブ上に、上記と同様のポリエステル不織布を積層した。これにより、TPU繊維からなるウェブが、2つのポリエステル不織布により挟まれた。
【0192】
<<調製例18>>
調製例15で得られたPO/TPUスパンボンド不織布を、引張速度300mm/min、CD方向への延伸倍率3.0倍の条件でバッチ延伸機により延伸した後、直ちに同じ速度で原長まで回復させて、延伸加工されたTPUスパンボンド不織布を調製した。
【0193】
次いで、ウェブフォーマー速度を20m/minとし、得られたウェブを110℃でエンボス加工(刻印形状:ひし形、面積率18%)した後、2つのポリエステル不織布を除去して、目付けが28g/mのTPUスパンボンド不織布を調製した。
【0194】
<積層シートの調製>
<<実施例1>>
調製例1の透湿性ポリウレタンAと、調製例15のPO/TPUスパンボンド不織布とを、図2に示す溶融押出ラミネート装置にセットした。
【0195】
次いで、押出機の先端のTダイの温度を215℃に設定して、押出機から、溶融状態の透湿性ポリウレタンをフィルム状に成形した。そして、溶融状態の透湿性ポリウレタンを、第1ラミネートロールおよび第2ラミネートロールの間に供給した。第1ラミネートロールおよび第2ラミネートロールの温度は、30℃に設定され、ニップ圧力は、0.5MPaGに設定された。
【0196】
次いで、溶融状態の透湿性ポリウレタンフィルムの両面に、スパンボンド不織布が透湿性ポリウレタンフィルムに向かうように圧力をかけて、2つのスパンボンド不織布を透湿性ポリウレタンフィルムにラミネートした。なお、押出機の各シリンダー温度は、調製例1と同様に設定した。このとき、透湿性ポリウレタンフィルムを調製する押出機の回転数を調整して、透湿性ポリウレタンフィルムの厚みを20μmに制御した。
【0197】
その後、図1に示すように、2つのスパンボンド不織布がラミネートされた透湿性ポリウレタンフィルムを、冷却ロール(設定温度25℃)上に通過させて、透湿性ポリウレタンフィルムを冷却して固化させながら、接着剤を使用せずに、2つのスパンボンド不織布を透湿性ポリウレタンフィルムに接着した。
【0198】
以上によって、第1のスパンボンド不織布と、透湿性ポリウレタンフィルムと、第2のスパンボンド不織布とが順に積層される積層体を調製した。
【0199】
その後、積層体を23℃、55%相対湿度の恒温恒湿室で1週間静置した。次いで、積層体から、流れ方向(MD)200mm×横方向(CD)200mmのサイズを有するシートを5枚切り取った。
【0200】
次いで、そのシートを、引張速度300mm/min、CD方向への延伸倍率3.0倍の条件でバッチ延伸機により延伸した後、直ちに同じ速度で原長まで回復させて、積層シートを調製した。
【0201】
<<実施例2>>
下記の点を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、積層シートを調製した。
・調製例1の透湿性ポリウレタンAを調製例2の透湿性ポリウレタンBに変更した点、
・押出機の先端のTダイの温度を210℃に変更した点、および、
・押出機の各シリンダー温度を調製例2と同様に変更した点。
【0202】
<<実施例3>>
下記の点を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、積層シートを調製した。
・調製例1の透湿性ポリウレタンAを調製例3の透湿性ポリウレタンCに変更した点、
・押出機の先端のTダイの温度を218℃に変更した点、および、
・押出機の各シリンダー温度を調製例3と同様に変更した点。
【0203】
<<実施例4>>
下記の点を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、積層シートを調製した。
・調製例1の透湿性ポリウレタンAを調製例4の透湿性ポリウレタンDに変更した点、
・押出機の先端のTダイの温度を210℃に変更した点、および、
・押出機の各シリンダー温度を調製例4と同様に変更した点。
【0204】
<<実施例5>>
下記の点を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、積層シートを調製した。
・調製例1の透湿性ポリウレタンAを調製例5の透湿性ポリウレタンEに変更した点、
・押出機の先端のTダイの温度を218℃に変更した点、および、
・押出機の各シリンダー温度を調製例5と同様に変更した点。
【0205】
<<実施例6>>
下記の点を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、積層シートを調製した。
・調製例1の透湿性ポリウレタンAを調製例6の透湿性ポリウレタンFに変更した点、
・押出機の先端のTダイの温度を218℃に変更した点、および、
・押出機の各シリンダー温度を調製例6と同様に変更した点。
【0206】
<<実施例7>>
下記の点を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、積層シートを調製した。
・調製例1の透湿性ポリウレタンAを調製例7の透湿性ポリウレタンGに変更した点、
・押出機の先端のTダイの温度を218℃に変更した点、および、
・押出機の各シリンダー温度を調製例7と同様に変更した点。
【0207】
<<実施例8>>
下記の点を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、積層シートを調製した。
・調製例1の透湿性ポリウレタンAを調製例8の透湿性ポリウレタンHに変更した点、
・押出機の先端のTダイの温度を218℃に変更した点、および、
・押出機の各シリンダー温度を調製例8と同様に変更した点。
【0208】
<<実施例9>>
下記の点を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、積層シートを調製した。
・調製例15のPO/TPUスパンボンド不織布を調製例18の延伸加工されたTPUスパンボンド不織布に変更した点
・積層化後のバッチ延伸機による延伸を実施しなかった点
【0209】
<<比較例1>>
下記の点を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、積層シートを調製した。
・調製例1の透湿性ポリウレタンAを調製例9の透湿性ポリウレタンIに変更した点、
・調製例15のPO/TPUスパンボンド不織布を調製例16のPOスパンボンド不織布に変更した点、
・押出機の先端のTダイの温度を223℃に変更した点、および、
・押出機の各シリンダー温度を調製例9と同様に変更した点。
【0210】
<<比較例2>>
調製例10の透湿性ポリウレタンJと、調製例16のPOスパンボンド不織布とを、図2に示す溶融押出ラミネート装置にセットしたが、調製例10に記載するように、透湿性ポリウレタンJが溶融せず、積層シートを調製できなかった。
【0211】
<<比較例3>>
調製例11の透湿性ポリウレタンKと、調製例16のPOスパンボンド不織布とを、図2に示す溶融押出ラミネート装置にセットしたが、調製例11に記載するように、透湿性ポリウレタンKが固化せず、積層シートを調製できなかった。
【0212】
<<比較例4>>
下記の点を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、積層シートを調製した。
・調製例1の透湿性ポリウレタンAを調製例12の透湿性ポリウレタンLに変更した点、・押出機の先端のTダイの温度を210℃に変更した点、および、
・押出機の各シリンダー温度を調製例12と同様に変更した点。
【0213】
<<比較例5>>
下記の点を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、積層シートを調製した。
・調製例1の透湿性ポリウレタンAを調製例13の透湿性ポリウレタンMに変更した点、・押出機の先端のTダイの温度を227℃に変更した点、および、
・押出機の各シリンダー温度を調製例13と同様に変更した点。
【0214】
<<比較例6>>
下記の点を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、積層シートを調製した。
・調製例15のPO/TPUスパンボンド不織布を調製例16のPOスパンボンド不織布に変更した点、および、
・押出機の先端のTダイの温度を218℃に変更した点。
【0215】
<<比較例7>>
下記の点を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、積層シートを調製した。
・調製例15のPO/TPUスパンボンド不織布を調製例17のTPUスパンボンド不織布に変更した点、および、
・押出機の先端のTダイの温度を218℃に変更した点。
【0216】
<<比較例8>>
下記の点を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、積層シートを調製した。
・調製例1の透湿性ポリウレタンAを調製例9の透湿性ポリウレタンIに変更した点、
・押出機の先端のTダイの温度を223℃に変更した点、および、
・押出機の各シリンダー温度を調製例9と同様に変更した点。
【0217】
<積層シートの評価>
<<スパンボンド不織布の剥離強度(密着性、単位:N)>>
各実施例および各比較例の積層シートから、幅50mm×長さ200mmのサイズを有する試験片を採取した。次いで、2つのスパンボンド不織布のうち、一方のスパンボンド不織布の一部を透湿性ポリウレタンフィルムから剥がし、透湿性ポリウレタンフィルムを露出させた。次いで、剥がしたスパンボンド不織布の端部と、露出した透湿性ポリウレタンフィルムの端部とをそれぞれチャックでつかみ(つかみ間隔50mm)、引張速度200mm/minで、スパンボンド不織布の剥離強度を測定した。最大荷重を5点読み、その平均値を測定値とした。その結果を表1および2に示す。
【0218】
<<積層シートの伸縮性(単位:%)>>
各実施例および各比較例の積層シートから、幅50mm×長さ200mmのサイズを有する試験片を採取した。次いで、試験片の長さ方向両端部をそれぞれチャックでつかみ(つかみ間隔100mm)、引張速度300mm/minで、延伸倍率100%で延伸した後、直ちに同じ速度で原長まで回復させて、回復時のひずみを、残留歪み(%)として測定した。残留歪みはMD方向5点の平均値とした。その結果を表1および2に示す。
【0219】
<<積層シートの動摩擦係数(タック性、単位:なし)>>
各実施例および各比較例の積層シートから、幅150mm×長さ400mmのサイズを有する試験片を採取した。そして、JIS K7125に準拠し、試験片を試験面にセットし、100mm角の滑り片(不織布)を、試験片のスパンボンド不織布と滑り片とが接触するように、試験片上にセットした。次いで、滑り片を、引張速度200mm/分、移動距離200mmにて滑らせて荷重を記録した。チャートより動摩擦係数を読み取り、3回の測定の平均値とした。その結果を表1および2に示す。
【0220】
<<積層シートの透湿度(単位:g/m・24h)>>
各実施例および各比較例の積層シートの透湿度を、JIS L 1099 A-1に規定される方法に基づき、温度40℃、相対湿度90%、塩化カルシウムを用いた条件で測定した。サンプルは無作為に10点採取し、その平均値を算出した。測定時間は2時間の値を24時間に換算した。その結果を表1および2に示す。
【0221】
【表1】
【0222】
【表2】
【0223】
なお、上記発明は、本発明の例示の実施形態として提供したが、これは単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。当該技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、後記請求の範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0224】
本発明の積層シート、衛生材料、医療材料および積層シートの製造方法は、生活関連、医療・衛生、産業、土木・建築、農業・園芸、衣料において、好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0225】
1 積層シート
2 透湿性ポリウレタンフィルム
3 第1スパンボンド不織布
4 第2スパンボンド不織布
図1
図2