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特許7345057使い捨ての多検体消耗品で流体サンプルを評価するデバイスおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】使い捨ての多検体消耗品で流体サンプルを評価するデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/52 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
G01N33/52 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022513125
(86)(22)【出願日】2020-08-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-28
(86)【国際出願番号】 US2020048105
(87)【国際公開番号】W WO2021041607
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】62/893,357
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508147326
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー・サンプローニ
【審査官】三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0164779(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0108516(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0041407(US,A1)
【文献】米国特許第09157903(US,B2)
【文献】国際公開第2013/096804(WO,A2)
【文献】特表2017-508971(JP,A)
【文献】特表2011-508872(JP,A)
【文献】国際公開第2004/074846(WO,A1)
【文献】特表2021-508052(JP,A)
【文献】特表2020-502478(JP,A)
【文献】特開2011-058956(JP,A)
【文献】特開2010-078608(JP,A)
【文献】特開2008-020287(JP,A)
【文献】特開2007-024898(JP,A)
【文献】特表2008-516261(JP,A)
【文献】特開2019-113425(JP,A)
【文献】特開2014-002143(JP,A)
【文献】国際公開第2020/118021(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体サンプルの分析で使用するための使い捨ての診断用消耗品(110、120、130)であって:
基板(16)と;
サンプル入力ポート(18)と
該診断用消耗品(110、120、130)によって受け取った流体サンプルの第1の分析のために構成された少なくとも1つのセンサ(30、31)を含む第1の感知領域(10)と;
流体サンプルの第2の分析のために構成された第2の感知領域(14)と;
流体サンプルの一部分を第2の感知領域(14)内へ流すように構成された流体輸送材料(12)と;
サンプル入力ポート(18)、第1の感知領域(10)および流体輸送材料(12)に流体連結された1つまたはそれ以上のサンプル分配チャネル(20)とを含み、流体輸送材料(12)はニトロセルロース血漿分離膜である、前記診断用消耗品。
【請求項2】
第2の感知領域(14)の少なくとも一部分は、該第2の感知領域(14)内の流体サンプルの一部分の光学分析を可能にするように光学的に透明である、請求項1に記載の使い捨ての診断用消耗品(110、120、130)
【請求項3】
第2の感知領域(14)は、比色分析のために構成される、請求項に記載の使い捨ての診断用消耗品(110、120、130)
【請求項4】
流体輸送材料(12)は、流体サンプル中の対象検体に選択的に結合するように構成された少なくとも1つの成分を含む、請求項1に記載の使い捨ての診断用消耗品(110、120、130)
【請求項5】
流体サンプルは全血サンプルを含み、流体サンプル中の対象検体に選択的に結合するように構成された少なくとも1つの成分は、少なくとも1つのタイプの赤血球結合または凝集物質を含む、請求項に記載の使い捨ての診断用消耗品(110、120、130)
【請求項6】
第1の感知領域(10)は、流体サンプル中の複数の検体の分析のためのセンサアレイ(30、31)を含む、請求項1に記載の使い捨ての診断用消耗品(110、120、130)
【請求項7】
センサアレイ(30)は、流体サンプル中のガス、電解液、および/または代謝産物の濃度を測定するように構成された電気化学センサ(31)を含む、請求項に記載の使い捨ての診断用消耗品(110、120、130)
【請求項8】
流体輸送材料(12)は、サンプル入力ポート(18)に対して第1の感知領域(10)の下流に流体連結される、請求項に記載の使い捨ての診断用消耗品(110、120、130)
【請求項9】
流体輸送材料(12)は、サンプル入力ポート(18)に対して第1の感知領域(10)の上流に流体連結される、請求項に記載の使い捨ての診断用消耗品(110、120、130)
【請求項10】
サンプル入力ポート(18)に流体連結され、流体サンプル中の少なくとも1つの検体の分析のために構成された第3の感知領域(24)をさらに含み、第3の感知領域(24)における分析は、第1の感知領域(10)における分析とは異なる、請求項に記載の使い捨ての診断用消耗品(130)
【請求項11】
使い捨ての診断用消耗品(110、120、130)で流体サンプルの複数の分析を実行する方法であって:
使い捨ての診断用消耗品(110、120、130)に流体サンプルを受け取ることと;
第1の感知領域(10)内の少なくとも1つのセンサ(30、31)を使用して、診断用消耗品(110、120、130)の第1の感知領域(10)内で流体サンプルを分析することと;
診断用消耗品(110、120、130)で流体輸送材料(12)を使用して、流体サンプルの一部分を診断用消耗品(110、120、130)の第2の感知領域(14)内へ流すことと;
診断用消耗品(110、120、130)の第2の感知領域(14)内で流体サンプルの一部分を光学的に分析することとを含み、
第2の感知領域(14)の少なくとも一部分は、該第2の感知領域(14)内の流体サンプルの一部分の光学分析を可能にするように光学的に透明であり、
流体サンプルは全血サンプルを含み、
流体サンプルの一部分を第2の感知領域(14)内へ流すことは、流体輸送材料(12)を使用して全血サンプル中の血漿および血球を分離して血漿サンプルを生成することを含み、
流体輸送材料(12)はニトロセルロース血漿分離膜である、前記方法。
【請求項12】
2の感知領域(14)内の流体サンプルの一部分を光学的に分析することは、好ましくは第2の感知領域(14)内の血漿サンプルによって反射される赤色光の量を測定し、測定された反射赤色光の量に基づいて、全血サンプル中の遊離ヘモグロビンのレベルを判定することによって、血漿サンプルの比色分析を実行することを含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
流体輸送材料(12)は、流体サンプル中の対象検体に選択的に結合するように構成された少なくとも1つの成分を含み、第2の感知領域(14)内で流体サンプルの一部分を
光学的に分析することは、対象結合検体が流体サンプル中に存在するかどうかを光学的に検出することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
第1の感知領域(10)内の少なくとも1つのセンサ(30、31)を使用して第1の感知領域(10)内で流体サンプルを分析することは、好ましくは第1の感知領域(10)内の電気化学センサのアレイ(31)を使用して流体サンプル中のガス、電解液、および/または代謝産物の濃度を測定することにより、第1の感知領域(10)内のセンサアレイ(30)を使用して流体サンプル中の複数の検体を分析することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
流体サンプルは全血サンプルを含み、方法は:
診断用消耗品(130)上の全血サンプルの一部分を溶血させて溶血血液サンプルを生成することと;
診断用消耗品(130)上の第3の感知領域(24)内で溶血血液サンプルを光学的に分析することとをさらに含み、第3の感知領域(24)の少なくとも一部分は、溶血血液サンプルの光学分析を可能にするように光学的に透明である、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年8月29日出願の米国仮特許出願第62/893,357号の優先権を主張する。上記で参照した特許出願の内容全体を、参照によって本明細書に組み入れる。
【0002】
本出願は、一般に流体デバイスに関し、詳細には、使い捨ての診断用消耗品での流体サンプル分析に関する。
【背景技術】
【0003】
流体デバイスは、様々な応用例のうちのいずれかについて、流体を制御および/または操作するために使用される。流体デバイスは、典型的に、流体の流れをデバイス内に束縛する1つまたはそれ以上のチャネルを含む。流体診断デバイスは、典型的に、感知能力を提供するための1つまたはそれ以上のセンサを組み込み、かつ/またはそのようなセンサに連結される。たとえば、流体デバイス内のチャネルを通って流体デバイスの感知領域へサンプル流体を圧送し、センサにさらすことができる。センサは、流体の1つまたはそれ以上の特性を測定するために、流体デバイスに組み込むことができ、かつ/または感知領域が露出される別個のデバイスの一部とすることができる。医療用診断デバイスの文脈では、体液の1つまたはそれ以上の特性の測定において流体デバイスが使用されてきた。例として、血液中の特定の検体の濃度を測定するために、流体デバイスに血液サンプルを加えて、血液サンプルを制御および/または操作することができる。
【0004】
近年、ポイントオブケア試験のための診断デバイスの分野で使用するための流体デバイスが注目を集めている。ポイントオブケア試験は、一般に、救急処置室などの患者治療の現場またはその近くにおける医療試験を指す。多くの場合、そのような試験で所望される成果は、患者治療における次の行動方針を決定するための急速かつ正確な検査結果である。複数のそのようなポイントオブケア試験は、患者からの血液サンプルの1つまたはそれ以上の分析を実行することを伴う。本開示のためとして、分析は、液体サンプル中の検体の量または機能活性を定量化するための手順として定義することができる。分析は、サンプルの導入、準備、計測、サンプル/試薬の混合、液体輸送、および検出など、流体デバイス上の様々な動作を伴うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
典型的な診断分析は、小さい体積の流体を精密な制御で操作することを伴うが、それは輸送中の流体損失、毛細管作用、重力の影響、閉じ込められた空気などのいくつかの要因のために困難になる可能性がある。加えて、混合および培養などのいくつかの分析プロセスは、小型の流体デバイスに固有の問題をもたらす可能性もある。診断用消耗品として使用される使い捨ての流体デバイスの場合、これらの問題は、必要とされる分析性能を送達するために必要とされる精度レベルを提供しながらも費用効果の高い解決策の必要によってさらに難しくなることが多い。診断デバイスの設計において、特に使い捨ての診断用消耗品の文脈では、測定の効率、信頼性、および再現性を改善することが重要な課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、本開示は、流体サンプルの複数の分析を実行するときに使用するための使い捨ての診断用消耗品を提供する。診断用消耗品は、診断用消耗品によって受け取った流体サンプル中の少なくとも1つの検体の分析のために構成された少なくとも1つのセンサを含む第1の感知領域を含む。診断用消耗品は、流体サンプルの第2の分析のために構成された第2の感知領域と、流体サンプルの一部分を第2の感知領域内へ流すように構成された流体輸送材料とをさらに含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、第2の感知領域は、流体輸送材料の一方の端部に隣接している。
【0008】
いくつかの実施形態では、流体輸送材料は、流体輸送材料を通って第2の感知領域へ進む毛細管流体の流れの経路を画成する。
【0009】
いくつかの実施形態では、第2の感知領域の少なくとも一部分は、第2の感知領域内の流体サンプルの一部分の光学分析を可能にするように光学的に透明である。
【0010】
いくつかの実施形態では、第2の感知領域は、比色分析のために構成される。
【0011】
いくつかの実施形態では、流体輸送材料は、流体サンプル中の対象検体に選択的に結合するように構成された少なくとも1つの成分を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、流体サンプルは、血液または尿などの体液サンプルを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、体液サンプルは全血サンプルであり、流体輸送材料は、全血サンプル中の血漿および血球を分離して第2の感知領域における分析のための血漿サンプルを作り出すための血漿分離膜として作用する。
【0014】
いくつかの実施形態では、流体サンプルは全血サンプルであり、流体サンプル中の対象検体に選択的に結合するように構成された少なくとも1つの成分は、少なくとも1つのタイプの赤血球結合または凝集物質を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、流体サンプルは全血サンプルであり、流体輸送材料は、全血サンプル中の遊離ヘモグロビンの存在を検出するためのクロマトグラフ検出パッドとして構成される。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1の感知領域は、流体サンプル中の複数の検体の分析のためのセンサアレイを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、センサアレイは、流体サンプル中のガス、電解液、および/または代謝産物の濃度を測定するように構成された電気化学センサを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、診断用消耗品は、流体サンプルを受け取るためのサンプル入力ポートをさらに含み、サンプル入力ポートは、第1の感知領域および流体輸送材料に流体連結される。
【0019】
いくつかの実施形態では、流体輸送材料は、サンプル入力ポートに対して第1の感知領域の下流に流体連結される。
【0020】
いくつかの実施形態では、流体輸送材料は、サンプル入力ポートに対して第1の感知領域の上流に流体連結される。
【0021】
いくつかの実施形態では、流体輸送材料は、サンプル入力ポートを実質的に取り囲む。
【0022】
いくつかの実施形態では、流体輸送材料は、サンプル入力ポートに隣接している第1の端部と、第2の感知領域に隣接している第2の端部とを有する。
【0023】
いくつかの実施形態では、診断用消耗品は、サンプル入力ポート、第1の感知領域、および流体輸送材料に流体連結された1つまたはそれ以上のサンプル分配チャネルを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、1つまたはそれ以上のサンプル分配チャネルは、流体サンプルの第1の部分を流体サンプルの分析のために第1の感知領域へ誘導し、流体サンプルの第2の部分を流体輸送材料に流体接触するように誘導する。
【0025】
いくつかの実施形態では、使い捨ての診断用消耗品は、サンプル入力ポートに流体連結され、第3の感知領域は、流体サンプル中の少なくとも1つの検体の分析のために構成された第3の感知領域をさらに含む。そのような実施形態では、第3の感知領域における分析は、第1の感知領域における分析とは異なる。
【0026】
いくつかの実施形態では、第3の感知領域は、サンプル入力ポートに流体連結されたチャネルを含む。チャネルには、流体サンプルの一部分をチャネルに流すことによって、流体サンプルと混合して準備済み流体サンプルを生成するための材料を配置することができる。そのような実施形態では、使い捨ての診断用消耗品は、チャネルに流体連結され、分析のために準備済み流体サンプルの少なくとも一部分を収容するように構成されたチャンバをさらに含むことができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、チャンバの少なくとも一部分は、準備済み流体サンプルの光学分析を可能にするように光学的に透明である。
【0028】
いくつかの実施形態では、流体サンプルは全血サンプルを含み、サンプル入力ポートに流体連結されたチャネルは、流体サンプルの一部分を溶血させて溶血血液サンプルを生成するための溶血試薬が配置された溶血チャネルとして構成される。
【0029】
第2の態様によれば、本開示は、使い捨ての診断用消耗品で流体サンプルの複数の分析を実行する方法を提供する。この方法は、使い捨ての診断用消耗品に流体サンプルを受け取ることと、第1の感知領域内の少なくとも1つのセンサを使用して診断用消耗品の第1の感知領域内で流体サンプルを分析することとを含む。この方法は、診断用消耗品で流体輸送材料を使用して、流体サンプルの一部分を診断用消耗品の第2の感知領域内へ流すことと、診断用消耗品の第2の感知領域内で流体サンプルの一部分を分析することとをさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の感知領域内の流体サンプルの一部分の分析は、光学分析である。そのような実施形態では、第2の感知領域の少なくとも一部分は、第2の感知領域内の流体サンプルの一部分の光学分析を可能にするように光学的に透明とすることができる。
【0030】
この方法のいくつかの実施形態では、流体サンプル全血サンプルを含む。そのような実施形態では、流体サンプルの一部分を第2の感知領域内へ流すことは、流体輸送材料を使用して全血サンプル中の血漿および血球を分離して、第2の感知領域内で光学的に分析することができる血漿サンプルを作り出すことを含むことができる。たとえば、血漿サンプルを光学的に分析することは、血漿サンプルの比色分析を実行することを含むことができる。いくつかのそのような実施形態では、血漿サンプルの比色分析を実行することは、第2の感知領域内の血漿サンプルによって反射される赤色光の量を測定することと、測定された反射赤色光の量に基づいて、全血サンプル中の遊離ヘモグロビンのレベルを判定することとを含むことができる。
【0031】
この方法のいくつかの実施形態では、流体輸送材料は、流体サンプル中の対象検体に選択的に結合するように構成された少なくとも1つの成分を含むことができる。いくつかのそのような実施形態では、第2の感知領域内で流体サンプルの一部分を光学的に分析することは、対象結合検体が流体サンプル中に存在するかどうかを光学的に検出することを含むことができる。
【0032】
この方法のいくつかの実施形態では、第1の感知領域内の少なくとも1つのセンサを使用して第1の感知領域内で流体サンプルを分析することは、第1の感知領域内のセンサアレイを使用して流体サンプル中の複数の検体を分析することを伴うことができる。
【0033】
この方法のいくつかの実施形態では、第1の感知領域内のセンサアレイを使用して流体サンプル中の複数の検体を分析することは、第1の感知領域内の電気化学センサのアレイを使用して、流体サンプル中のガス、電解液、および/または代謝産物の濃度を測定することを伴うことができる。
【0034】
この方法のいくつかの実施形態では、診断用消耗品は、流体サンプルを受け取るためのサンプル入力ポートを含み、この方法は、サンプル入力ポートからの流体サンプルの第1の部分を流体サンプルの分析のために第1の感知領域へ誘導することと、サンプル入力ポートからの流体サンプルの第2の部分を流体輸送材料に流体接触するように誘導することとをさらに含む。
【0035】
この方法のいくつかの実施形態では、流体サンプルは全血サンプルを含み、この方法は、診断用消耗品上の全血サンプルの一部分を溶血させて溶血血液サンプルを生成することと、診断用消耗品上の第3の感知領域内で溶血血液サンプルを光学的に分析することとをさらに含み、第3の感知領域の少なくとも一部分は、溶血血液サンプルの光学分析を可能にするように光学的に透明である。
【0036】
本開示の実施形態の他の態様および構成は、以下の説明を読めば当業者には明らかである。
【0037】
上記の概要、ならびに本出願の説明的な実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面とともに読むことでよりよく理解されよう。本出願について説明するために、本開示の説明的な実施形態が図面に示されている。しかし、本出願は、これらの厳密な構成および手段に限定されるものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1A】本開示の一実施形態によって構築された全血および血漿の分析で使用するための診断用消耗品の第1の例の平面図である。
図1B】本開示の一実施形態によって構築された医療用診断機器の一実施形態を示す図である。
図2】本開示の一実施形態によって構築された全血および血漿の分析で使用するための診断用消耗品の第2の例の平面図である。
図3】本開示の一実施形態によって構築された全血および血漿の分析で使用するための診断用消耗品の第3の例の平面図である。
図4】本開示の一実施形態によって構築された全血および血漿の分析で使用するための診断用消耗品の第4の例の平面図である。
図5】本開示の一実施形態によって構築された全血および血漿の分析で使用するための診断用消耗品用の基板の一例の頂部の等角図である。
図6図5の基板を組み込む診断用消耗品の頂部の平面図である。
図7図6の診断用消耗品の底部の平面図である。
図8】本開示の一実施形態によって構築された全血および血漿の分析で使用するための診断用消耗品の別の例の頂部の平面図である。
図9】本開示の一実施形態によって構築された全血および血漿の分析で使用するための診断用消耗品のさらに別の例の頂部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下の詳細な説明は、添付の図面を指す。異なる図面内の同じ参照番号は、同じまたは類似の要素を識別することができる。
【0040】
本明細書では、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語、またはこれらのあらゆる他の変形は、非排他的な包含を含むことが意図される。たとえば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、または装置は、それらの要素のみに必ずしも限定されるものではなく、明示的に挙げられていないまたはそれらのプロセス、方法、物品、もしくは装置に固有でない他の要素を含むこともできる。さらに、逆の内容が明示されていない限り、「または(or)」は、排他的論理和ではなく包含的論理和を指す。たとえば、条件AまたはBは、「Aは真である(または存在する)およびBは偽である(または存在しない)」、「Aは偽である(または存在しない)およびBは真である(または存在する)」、および「AおよびBはどちらも真である(または存在する)」のうちのいずれか1つによって満足される。
【0041】
加えて、「a」または「an」の使用は、本明細書の実施形態の要素および構成要素について説明するために用いられる。これは、発明の概念の一般的な意味を与えるために、便宜的にのみ行われる。この説明は、1つまたはそれ以上を含むと読まれるべきであり、単数形はまた、そうでないことを意味することが明らかでない限り、複数も含む。
【0042】
さらに、「複数(plurality)」という用語の使用は、逆の内容が明示されていない限り、「2つ以上」を含むことを意味する。
【0043】
本明細書では、「一実施形態(one embodiment)」または「一実施形態(an embodiment)」へのあらゆる参照は、その実施形態に関連して説明する特定の要素、構成、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の様々な場所における「一実施形態では(in one embodiment)」という語句の記載は、必ずしもすべてが同じ実施形態を参照するわけではない。
【0044】
本明細書では、回路は、アナログおよび/もしくはデジタルの構成要素、または1つもしくはそれ以上の好適にプログラムされたマイクロプロセッサ、ならびに付随するハードウェアおよびソフトウェア、または有線論理とすることができる。また、「構成要素(components)」は、1つまたはそれ以上の機能を実行することができる。「構成要素(component)」という用語は、プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、もしくはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのハードウェア、またはハードウェアおよびソフトウェアの組合せを含むことができる。ソフトウェアは、1つまたはそれ以上の構成要素によって実行されると、構成要素に指定の機能を実行させる1つまたはそれ以上のコンピュータ実行可能命令を含む。本明細書に記載するアルゴリズムは、1つまたはそれ以上の非一時的メモリに記憶されることを理解されたい。例示的な非一時的メモリは、ランダムアクセスメモリ、読取り専用メモリ、フラッシュメモリなどを含む。そのような非一時的メモリは、電気ベースまたは光学ベースのものとすることができる。
【0045】
本明細書では、「実質的に(substantially)」という用語は、続いて記載するパラメータ、事象、または状況が完全に発生すること、または続いて記載するパラメータ、事象、または状況が大きい範囲もしくは程度で発生することを意味する。たとえば、「実質的に(substantially)」という用語は、続いて説明するパラメータ、事象、もしくは状況が、その時間の少なくとも90%、もしくはその時間の少なくとも91%、もしくは少なくとも92%、もしくは少なくとも93%、もしくは少なくとも94%、もしくは少なくとも95%、もしくは少なくとも96%、もしくは少なくとも97%、もしくは少なくとも98%、もしくは少なくとも99%にわたって発生すること、または寸法もしくは測定が、参照される寸法もしくは測定の少なくとも90%、もしくは少なくとも91%、もしくは少なくとも92%、もしくは少なくとも93%、もしくは少なくとも94%、もしくは少なくとも95%、もしくは少なくとも96%、もしくは少なくとも97%、もしくは少なくとも98%、もしくは少なくとも99%であることを意味する。
【0046】
一態様によれば、使い捨ての診断用消耗品で流体サンプルの複数の分析を実行するデバイスおよび方法が提供される。より具体的には、使い捨ての診断用消耗品に導入された流体サンプルの第1の分析が、使い捨ての診断用消耗品の第1の感知領域内で実行され、使い捨ての診断用消耗品上の流体輸送材料が、第2の感知領域内の流体サンプルの一部分の第2の分析のために構成された第2の感知領域内へ流体サンプルの一部分を流す、デバイスおよび方法が本明細書に開示される。流体輸送材料は、多孔質/透明のポリマー、ゲル(たとえば、アクリルアミドまたはアガロース)、ガラス繊維、セルロース繊維/紙などのウィッキング材料を使用して実施することができる。いくつかの実施形態では、流体サンプルは、血液または尿などの体液とすることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、流体サンプルは全血サンプルとすることができ、流体輸送材料は、赤血球から血漿を分離して使い捨ての診断用消耗品の第2の感知領域における分析のための血漿サンプルを作り出すように構成することができる。そのような実施形態は、使い捨ての診断用消耗品上で全血サンプルおよび血漿サンプルの両方を分析することができるように、使い捨ての診断用消耗品上の全血サンプルの一部分から血漿サンプルを分離することを可能にすることが有利である。そのような分析を実行するために、診断用消耗品は、診断用消耗品リーダモジュールなどの診断機器に挿入することができる。血液サンプルは、ヒトまたはヒト以外(ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、魚など)などの動物から収集されたものとすることができる。実装に応じて、診断用消耗品が診断機器に挿入される前または後に、診断用消耗品に血液サンプルを導入することができる。診断機器は次いで、診断用消耗品を使用および/または制御して、診断用消耗品上の血液サンプルおよび血液サンプルから分離された血漿サンプルで、1つまたはそれ以上の分析を実行する。いくつかの実施形態では、診断用消耗品上の血漿サンプルの分析は、人間の目および/または診断機器の一部である光学リーダを使用して、視覚的に行うことができる。この診断用消耗品および診断機器の組合せが、血液分析システムであると考えることができる。
【0047】
使い捨ての診断用消耗品で全血および血漿を分離および分析する能力は、潜在的にワークフローを改善し、血液成分(すなわち、溶血、黄疸、脂肪血栓)の視覚/機械可読評価を有効にする。たとえば、全血サンプル中の血漿および血球を分離して、使い捨ての診断用消耗品内の血漿サンプルを作り出すことで、血漿を分離するために血液を別個に遠心分離する必要をなくすことによって、ワークフローを改善することができる。さらに、以下でさらに詳細に論じるように、診断用消耗品上に結合化学物質を含むことができ、診断用消耗品上での血漿分離プロセス中に全血サンプルにさらすことができるため、結合化学物質の追加のための別個の投与工程を潜在的になくすこともできる。
【0048】
後述する例示的な実施形態の多くは、血漿および全血の評価のために構成された使い捨ての診断用消耗品に関するが、本開示の実施形態は、血液分析に限定されるものではなく、追加または代替として、診断用消耗品または他のタイプの分析システムでの他のタイプの流体サンプル分析に関することもできる。たとえば、本開示による使い捨ての診断用消耗品は、ヒトもしくは動物の体内の病原体もしくはバイオマーカ、または水の供給、食料、もしくは動物の飼料中の汚染物質など、流体サンプル中の標的検体の存在または不在を確認するためのラテラルフローイムノアッセイとして使用するために構成された流体輸送材料を含むことができるが、診断用消耗品上の他の感知領域内の1つまたはそれ以上のセンサを使用して、流体サンプルに対する1つまたはそれ以上の追加の分析が実施される。
【0049】
図、特に図1Aを次に参照すると、本開示の一実施形態によって構築された全血および血漿の分析で使用するための診断用消耗品100の平面図が示されている。全体として、診断用消耗品100は、第1の感知領域10、第2の感知領域14、および流体輸送材料12を含み、この実施形態では、流体輸送材料12は血漿分離膜12として構成される。
【0050】
第1の感知領域10は、診断用消耗品100上へ導入された全血サンプル(図示せず)中の1つまたはそれ以上の検体の分析のために構成される。第1の感知領域10は、血液サンプル中の特定の検体の濃度を測定するための1つまたはそれ以上のセンサを含むことができる。たとえば、第1の感知領域10は、複数のセンサ31を含むセンサアレイ30を含むことができる。センサ31は、たとえば診断機器内の測定回路への電気接続を形成するように、電極要素(図示せず)に連結することができる。使用中、センサ31は、第1の感知領域10内の血液サンプルの1つまたはそれ以上の特性を測定するために使用することができる。センサ31は、ガス、電解液、および/または代謝産物の濃度を測定するために使用される電気化学センサとすることができる。センサ31は、たとえば、ナトリウム、カリウム、イオン化カルシウム、塩化物、尿素、TCO、pHレベル、および/もしくはCO分圧を測定するための電位差測定センサ;O分圧、グルコース、クレアチニン、および/もしくはラクテートを測定するための電流測定センサ;ならびに/またはヘマトクリットを測定するための導電率測定センサを含むことができる。多くの異なる電極/センサ数および幾何形状を有するセンサおよびセンサアレイが可能である。図1Aに示すセンサ31の数および幾何形状は、例示のためだけに提供されている。
【0051】
血漿分離膜12は、全血サンプル中の血漿および血球を分離して血漿サンプルを生成するように構成される。いくつかの実施形態では、全体を参照によって本明細書に組み入れる米国特許出願第15/317,748号より完全に記載されているように、血漿分離膜12は、血液サンプルが毛細管作用(毛細管流と呼ぶこともできる)によって移動する孔を有する材料から作ることができ、それにより血液サンプル中の損傷されていない血球および血漿が分離される。そのような実施形態では、血漿分離膜12は、全血サンプルが毛細管作用によって流れることができる任意の材料から作ることができる。一例として、血漿分離膜12は、ニトロセルロース膜とすることができる。血漿分離膜12の孔の大部分はすべて、実質的に同じサイズとすることができ、または損傷されていない血球の通過を実質的に阻止/濾過しながら血漿が流れることを可能にするように選択された値の範囲内とすることができる。他の実施形態では、毛細管作用の追加または代替として、血漿分離膜12の上流で血液サンプルに正の圧力を印加して、血漿分離膜12を通って血液サンプルを「押し込む」ことによって、および/または血漿分離膜12の下流に負の圧力(すなわち、真空圧力)を印加して、血漿分離膜12を通って血液サンプルを「引っ張る」ことによって、血漿分離膜を通って全血サンプルを流すことができる。第2の感知領域14は、血液サンプルが毛細管作用を介して血漿分離膜12を通って第2の感知領域14の方へ矢印17の方向に流れることから、血漿分離膜12の下流に位置すると考えることができる。
【0052】
第2の感知領域14は、血漿分離膜12に流体連結されており、血漿分離膜を通過して血漿サンプルの分析のために構成される。第2の感知領域14は、血漿分離膜12の一部分を含むことができる。たとえば、血漿分離膜12は、クロマトグラフ検出パッド13(ラテラルフローストリップと呼ぶこともできる)として実施することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、クロマトグラフ検出パッド13は、サンプルに欠陥があり、不正確な試験結果をもたらす可能性があるときは医療専門家に通知するために、血液サンプル中の溶血の検出に使用することができる。そのような実施形態では、第2の感知領域14は、クロマトグラフ検出パッド13の下流部分を構成することができる。他の実施形態では、第2の感知領域14は、血漿分離膜12を通って流れた後の血漿サンプルを収集するためのチャンバまたは容器を含むことができる。そのような実施形態では、血漿分離膜12の毛細管現象により、普通なら血漿の大部分が血漿分離膜12内に保持され、第2の感知領域14内へ流れることが防止される可能性があるため、血漿分離膜12を通って第2の感知領域14内へ血漿を流すために、血漿分離膜12の上流の正の圧力および/または血漿分離膜12の下流の負の圧力が必要とされることがある。第2の感知領域14の少なくとも一部分15は、第2の感知領域14における血漿サンプルの光学分析を可能にするように光学的に透明とすることができる。たとえば、第2の感知領域14内の血漿は、目で分析することができ(比色分析)、または分光光度計もしくはカメラなどの光学リーダを使用する機械によって分析することができ、そのような光学リーダの視野は、第2の感知領域14内の血漿が光学リーダに見えるように、診断用消耗品100と重複している。たとえば、第2の感知領域14における血漿サンプルの比色分析に基づいて、溶血度を判定することができる。すなわち、血漿サンプルに溶血がなく、白色光で照らされたとき、血漿には実質的にいかなる色もなくなり、すなわちサンプルは透明になる。サンプル内で溶血が生じているとき、血漿が白色光で照らされると、血漿はピンク色になることがある。この血漿の色と、他のサンプル内で生じた溶血の程度を示す所定の色とを相関させることによって、サンプル中の溶血の程度を判定することができる。第2の感知領域14の背景の色、および/または血漿の照明の色に応じて、溶血の程度を示す色も変わることがある。血漿サンプル中の溶血の程度を示す情報は、血液サンプルが溶血を有するかどうかを判定するために使用することができる。
【0053】
あまりに深刻なとき、溶血によって血液分析結果が不正確になる可能性がある。たとえば、血液ガスおよび電解液試験では、溶血によりサンプルのカリウムレベルが増大することが知られている。加えて、心臓トロポニンT(cTnT)レベルは溶血のあるサンプル中で減少し、心臓トロポニンI(cTnI)レベルは溶血のあるサンプル中で増大を示すことが知られている。血液サンプル中の溶血度が第2の感知領域14における血漿サンプルの分析に基づいて判定される実施形態では、その結果を使用して、第1の感知領域10における血液サンプルの分析のうちの1つもしくはそれ以上が無効であるか否かを決定し、かつ/または第1の感知領域10内の血液サンプルの1つもしくはそれ以上の分析の結果を調整もしくは「較正」して、溶血度を相殺することができる。
【0054】
以下でさらに説明するように、血漿分離膜12は、血漿分離を容易にし、かつ/または血漿サンプル中の1つもしくはそれ以上の検体の検出のためのマーカとして作用するために、1つまたはそれ以上の結合化学物質によって処理することができる。たとえば、血漿分離膜12は、赤血球(RBC)結合もしくは凝集物質、ならびに/または血液サンプル中の特定の対象検体に反応および/もしくは結合する1つもしくはそれ以上の試薬もしくは他の結合化学物質によって処理することができる。たとえば、そのような試薬は、血液サンプル中の溶血の検出を可能にするために、血液サンプル中に存在する遊離ヘモグロビンに反応する試薬を含むことができる。血漿分離膜12内に存在する例示的な試薬は、第2の感知領域14内の遊離ヘモグロビンに起因する色の変化を強調することができる。このタイプの例示的な試薬は、ジイソプロピルベンゼンジハイドロパーオキサイドおよび3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンの反応に触媒作用を及ぼすヘモグロビンのペルオキシダーゼ状の作用を利用することができる。その結果生じる色は、オレンジ色から緑色、場合により青色までの範囲である。別法または代替として、例示的な試薬は、バルビツール、カンナビノイド、コカイン代謝物、エタノール、エクスタシー、メサドン、メタンフェタミン、およびアヘン剤などの乱用薬物などの他の対象検体と反応する試薬を含むことができる。例示的な試薬または結合化学物質は、血漿分離膜12および/または第2の感知領域14内に位置することができる。たとえば、例示的な試薬または結合化学物質19は、第2の感知領域14内の流れの方向(矢印17によって描く)に直交して配置されたストリップ21として配列することができる。
【0055】
診断用消耗品100は、基板16上で実施することができる。基板16を形成するために使用することができる例示的な材料には、プラスチック、セラミック、ガラス、結晶などの流体不透過性材料が含まれる。例示的な実施形態では、基板16は、プラスチック射出成形プロセスを介して得られたプラスチック基板とすることができる。
【0056】
図1Bを次に参照すると、診断用消耗品100とともに使用することができる医療用診断機器200の一実施形態が示されている。診断機器200は、電気接点204と、光学リーダ206と、診断用消耗品100の第2の感知領域14へ誘導された光源208と、制御ユニット212とを含む。光学リーダ206は、上述したように、分光光度計またはカメラとすることができる。電気接点204は、診断用消耗品100の第1の感知領域内でセンサアレイ30の電極32に電気的に接触することが可能な形状を備えることができる。
【0057】
診断機器200は携帯型であり、ハウジング202を有することができ、ハウジング202は、第2の感知領域14が光学リーダ206の視野に入り、第1の感知領域10内のセンサアレイ30の電極32に診断機器200の電気接点204が電気的に接触することができるように、診断用消耗品100を受け取るようなサイズおよび寸法のスロット(図示せず)を含む。ハウジング202は、たとえばクレジットカードリーダの形状などの様々な形状で提供することができる。
【0058】
光学リーダ206は、第2の感知領域14内の血漿およびあらゆる背景の画像を捕捉し、その画像を検出信号216で制御ユニット212へ送る。次いで制御ユニット212は、受け取った画像に基づいて、診断用消耗品100の第2の感知領域14によって反射された光の特性を分析する。上述したように、いくつかの実施形態では、第2の感知領域14によって反射された光の観察可能な色(たとえば、赤色、オレンジ色、緑色、および青色)などの特性は、血液サンプル中の遊離ヘモグロビンまたは何らかの他の対象検体の存在に起因することがある。したがって、プロセッサによって、反射光の特性を使用して、血液サンプル中に存在する遊離ヘモグロビンの量など、検体の何らかの特性を検出および/または定量化することができる。たとえば、第2の感知領域14によって反射された赤色光の量/強度を使用して、血液サンプル中に存在する遊離ヘモグロビンの量を定量化することができる。第2の感知領域14が、遊離ヘモグロビンと反応する試薬を含むとき、第2の感知領域14によって反射された赤色、オレンジ色、緑色、または青色光のうちの1つまたはそれ以上の量/強度を使用して、血液サンプル中に存在する遊離ヘモグロビンの量を定量化することができる。したがって、そのような実施形態では、制御ユニット212は、たとえば第2の感知領域14によって反射された光の観察可能な色の測定された量と既知の基準値とを比較することによって、血液サンプル中の遊離ヘモグロビンの量を判定することが可能である。
【0059】
一実施形態では、光源208は、広帯域光源とすることができ、光学リーダ206は、第2の感知領域14の2次元画像を捕捉する2次元画素アレイを用いることができる。制御ユニット212は、第2の感知領域14の画像内で特有の関心領域を選択し、関心領域のスペクトル成分および表面トポグラフィを分析し、関心領域の多孔度および深さの変動を判定し、たとえば検出領域、残留サンプル混濁度、および化学的干渉物の変動によって普通なら劣化する1次対象信号の選択性、ダイナミックレンジ、および信号対雑音比をアルゴリズム的に改善するように構成することができる。
【0060】
制御ユニット212はまた、診断用消耗品100の第1の感知領域内のセンサアレイ30から、電気接点204および電極32を介して検出信号214を取得する。たとえば、センサアレイ30からの検出信号214は、上記で論じたように、血液サンプルの血液ガス分析を可能にすることができる。
【0061】
制御ユニット212は、回路ならびに/または回路およびソフトウェアの組合せから構築することができる。また、制御ユニット212は診断機器200内に位置する必要はなく、外部の場所に位置することもできることを理解されたい。たとえば、診断機器200は、遠隔分析ユニット内の制御ユニットと通信するために、無線トランシーバを備えることができる。
【0062】
診断用消耗品100上の1つまたはそれ以上の場所へ、全血サンプルを導入することができる。たとえば、第1の感知領域10と流体連通する第1のサンプル適用箇所(図示せず)、および血漿分離膜12と流体連通する第2のサンプル適用箇所(図示せず)に、全血サンプルを導入することができる。しかし、多くの場合、診断用消耗品上の単一の場所へ全血サンプルを導入することができ、次いでその場所から必要に応じて診断用消耗品上で全血サンプルが分散されるように、診断用消耗品を構成することが好ましい。このようにして構成された診断用消耗品の一例が図2に示されており、図2は、上述した診断用消耗品100と同様に、基板16上に実施された第1の感知領域10、血漿分離膜12、および第2の感知領域14を有する診断用消耗品110を示す。診断用消耗品110と診断用消耗品100との間の類似性を考慮して、簡潔にするために、違いについてのみ本明細書に説明する。図2の実施形態では、診断用消耗品110は、診断用消耗品110上へ全血サンプルを受け取るためのサンプル入力ポート18と、診断用消耗品上で流体の流れを誘導するためのサンプル分配チャネル20とをさらに含む。サンプル分配チャネル20は、サンプル入力ポート18、第1の感知領域10、および血漿分離膜12に流体連結されており、したがってサンプル入力ポート18で受け取った全血サンプルを、第1の感知領域10および血漿分離膜12に流体接触した状態で分散させることができる。
【0063】
サンプル入力ポート18は、シリンジまたは毛細管などの血液サンプル送達デバイスをサンプル入力ポート18に連結して血液サンプルを診断用消耗品110内へ送達することを可能にするように構成することができる。たとえば、サンプル入力ポート18は、サンプル入力ポート18とサンプル送達デバイスとの間の封止係合を容易にするガスケット構成要素(図示せず)を含むことができる。ガスケット構成要素は、サンプル入力ポート18内に設置されたゴムまたはシリコーン構成要素とすることができ、サンプル送達デバイスを封止係合するようなサイズおよび形状である。
【0064】
サンプル分配チャネル20は、様々な形で基板16上に形成することができる。たとえば、サンプル分配チャネル20を基板16に成形することができ、かつ/または他の付加的(たとえば、3D印刷)もしくは除去的(たとえば、エッチングまたは機械加工)な製造技法を介して形成することができる。
【0065】
図2に示す例示的な実施形態では、診断用消耗品110は、サンプル分配チャネル20が、サンプル入力ポート18で受け取った全血サンプルの第1の部分を全血サンプルの分析のために第1の感知領域10へそらし、全血サンプルの第2の部分を血漿分離膜12に流体接触するようにそらして、第2の感知領域14における分析のための血漿サンプルを作り出すように構成される。場合により、全血サンプルのうち血漿分離膜12に流体接触する部分が最初に第1の感知領域10を通過するように、血漿分離膜12および第2の感知領域14が第1の感知領域10の下流に流体連結された状態で診断用消耗品を構成することが好ましい。たとえば、そのような配置により、全血および血漿を同時に試験するために必要とされるサンプル体積を潜在的に低減させることができる。新生児の患者からの全血サンプルの場合など、安全に取得することができる血液サンプルが制限されているときは、サンプル体積が小さいことが特に望ましい。このようにして構成された診断用消耗品の一例が図3に示されており、図3は、上述した図2に示す診断用消耗品110と同様に、基板16上で実施されるサンプル入力ポート18、サンプル分配チャネル20、第1の感知領域10、血漿分離膜12、および第2の感知領域14を有する診断用消耗品120を示す。診断用消耗品120と診断用消耗品110との間の類似性を考慮して、簡潔にするために、違いについてのみ本明細書に説明する。図3の実施形態では、血漿分離膜12は、サンプル入力ポート18に対して第1の感知領域10の下流に流体連結される。特に、図3の例示的な実施形態では、サンプル分配チャネル20は、サンプル入力ポート18と第1の感知領域10との間に流体連結された第1のチャネルと、第1の感知領域10と血漿分離膜12との間に流体連結された第2のチャネルとを含む。
【0066】
図1図3に示す例示的な実施形態では、全血サンプルの分析が第1の感知領域10で行われる。いくつかの実施形態では、本開示によって構築される診断用消耗品は、全血サンプルの分析のために1つまたはそれ以上の追加の感知領域を含むことができる。たとえば、第1の感知領域10内で全血サンプルに対して実行される分析、および第2の感知領域14内で血漿サンプルに対して実行される分析に加えて、いくつかの実施形態では、診断用消耗品上の1つまたはそれ以上の追加の感知領域において、1つまたはそれ以上の追加の分析を実行することができる。追加の感知領域で実行される追加の分析は、第1および第2の感知領域で実行される分析とは異なることができる。たとえば、第1の感知領域10内で全血サンプルに対して、電位差測定センサを使用する分析を実行することができ、第3の感知領域内で全血サンプルに対して、異なる分析、たとえば光学分析を実行することができる。このようにして構成された診断用消耗品の一例が図4に示されており、図4は、上述した図2に示す診断用消耗品110と同様に、基板16上で実施されるサンプル入力ポート18、サンプル分配チャネル20、第1の感知領域10、血漿分離膜12、および第2の感知領域14を有する診断用消耗品130を示す。診断用消耗品130と診断用消耗品110との間の類似性を考慮して、簡潔にするために、違いについてのみ本明細書に説明する。図4の実施形態では、診断用消耗品130は、サンプル分配チャネル20を介してサンプル入力ポート18に流体連結された第3の感知領域24をさらに含む。図示の実施形態では、第3の感知領域24は、第1の感知領域10が構成された分析とは異なる全血サンプルの分析のために構成される。特に、診断用消耗品130では、第1の感知領域10は、上述したようにセンサアレイ30を含み、第3の感知領域24は、全血サンプルの光学分析のために構成される。特に、第3の感知領域24の少なくとも一部分25は、第3の感知領域における光学分析を可能にするように光学的に透明である。たとえば、第3の感知領域24は、全血サンプルの一部分を溶血させて溶血血液サンプルを生成するための溶血試薬が配置された溶血チャネル(図示せず)と、光学分析のために溶血血液サンプルの少なくとも一部分を収容するように構成されたチャンバ(図示せず)とを含むことができる。たとえば、そのような光学分析は、チャンバのうち光学的に透明である少なくとも一部分を通して、チャンバ内の溶血血液の光学分析を実行することを含むことができる。たとえば、チャンバは、光学的に透明な頂面および底面を有することができ、光学分析を実行することは、チャンバの光学的に透明な頂面および底面を介してチャンバ内の溶血血液を通過した光の分光分析を実行することを伴うことができる。そのような光学分析は、たとえば、血液サンプル中の総ヘモグロビン(tHb)、酸化ヘモグロビン(O2HB)、カルボキシヘモグロビン(COHb)、メトヘモグロビン(MetHb)、デオキシヘモグロビン(HHb)、酸素飽和度(SO2)、および/または総ビリルビン(tBili)の濃度を測定するためのCO酸素濃度分析とすることができる。
【0067】
図4の診断用消耗品130と同様の第1、第2、および第3の感知領域を組み込む診断用消耗品のさらに詳細な例について、図5図9を参照して次に説明する。これらの例示的な実装は、説明のためだけに提供されており、診断用消耗品上での全血および血漿の分析を可能にする複数の感知領域の他の実装および構成も可能であり、本開示の範囲名で企図されることを理解されたい。
【0068】
図5は、本開示の実施形態による複数の感知領域を含む診断用消耗品のための基板500の等角図である。図6および図7は、それぞれ基板500を組み込む診断用消耗品605の上面図および底面図である。本明細書では、「頂部」および「底部」という用語は、参照を容易にするためにのみ使用されており、基板500の特定の向きを必要としたり示唆したりするものではない。基板500は、その頂面が垂直に上方を向き、その底面が垂直に下方を向いた状態で動作するように設計することができるが、これがすべての実装に当てはまるとは限らない。
【0069】
図5に示す基板500をまず参照すると、基板500は、ほぼクレジットカードのサイズおよび形状の直角プリズムとして示されているが、これは単なる一例である。基板500は、追加または代替として、たとえば三角形または円形などの他の形状とすることもできる。基板500は、たとえばプラスチック、セラミック、ガラス、および/または金属から作ることができる。基板500は、単一の単体または部材とすることができる。基板500の寸法は、いかなる特有の範囲または値にも限定されるものではない。いくつかの実装では、基板500の長さおよび/または幅は、数センチメートル程度である。基板500の他の長さおよび/または幅も可能である。基板500の厚さは、基板の頂面502と底面504との間の距離として測定することができる。いくつかの実装では、基板500の厚さは数ミリメートル程度である。基板500の他の厚さも可能である。基板500の頂面502および底面504は、実質的に平坦なものとして示されているが、これがすべての実施形態に当てはまるとは限らない。たとえば、基板の頂面および/または底面は、追加または代替として、三角形、円錐形、および/または半球形の形状とすることもできる。それに応じて、基板の厚さは、その長さおよび/または幅に沿って変動することがある。基板500は、透明なものとして示されているが、基板は、追加または代替として、全体的または部分的に、半透明または不透明とすることもできる。本明細書では、「頂部」および「底部」という用語は、参照を容易にするためにのみ使用されており、基板500の特定の向きを必要としたり示唆したりするものではない。基板500は、頂面502が垂直に上方を向き、底面504が垂直に下方を向いた状態で動作するように設計することができるが、これがすべての実装に当てはまるとは限らない。
【0070】
基板500は、サンプル流体入力ポート506、サンプル流体リザーバ508、流体リザーバ510、バルブ孔512、2つの気泡トラップ514、516、第1の感知領域518、第2の感知領域584、第3の感知領域570、廃液リザーバ520、543、複数のポンプ連結ポート522、523、複数のバイア112、114、524、526、528、530、532、534、536、545、575、578、および複数のチャネル538、540、541、542、544、546、548、550、552、554、556、558、560、562、581を含む。図5では、各図で直接見える構成要素を示すために実線が使用され、基板500の少なくとも一部分によって視野から隠れた構成要素を示すために破線が使用されている。
【0071】
チャネル538、540、541、542、544、546、548、550、552、554、556、558、560、562、581は、基板500内で1つまたはそれ以上の流体を運ぶために提供される。チャネル540、541、542、548、552、558は、基板500の頂面502内のトレンチまたは溝である。チャネル540、541、542、548、552、558は、基板500の頂面502に開いたものとして図5に示されている。同様に、チャネル538、544、546、550、554、556、560、562、581は、基板500の底面504内のトレンチまたは溝であり、基板の底面に開いている。
【0072】
バイア524、526、528、530、532、534、536、545、575、578は、基板500を通って延びる貫通孔または穿孔である。バイアは、基板500の2つまたはそれ以上の構成要素を流体連結するために使用することができる。たとえば、バイア575は、第3の感知領域570内でチャネル542および溶血チャネル572を流体連結する。バイアは、追加または代替として、基板500の構成要素を基板の頂面502および/または底面504に流体連結するために使用することができる。たとえば、バイア524は、サンプル流体リザーバ508を基板500の底面504に流体連結する。
【0073】
サンプル流体入力ポート506は、血液サンプルを基板500へ送達するために提供される。例示的な実施形態では、サンプル入力ポート506は、基板500の頂面502内の円錐形または円筒形の開口部である。サンプル入力ポート506は、チャネル538およびチャネル581に連結される。サンプル入力ポート506は、血液サンプルを送達するシリンジまたは毛細管(図示せず)などの血液サンプル送達デバイスの端部に係合するようなサイズおよび形状とすることができる。たとえば、シリンジの場合、サンプル入力ポート506とシリンジとの間のこの係合は、血液サンプルがシリンジから推進または圧送されるとき、血液サンプルがチャネル538および581に押し込まれてサンプル入力ポートから漏れないような封止を形成することができる。いくつかの実施形態では、サンプル送達デバイスとの封止係合を容易にするために、サンプル入力ポート506内にガスケット構成要素が設置される。
【0074】
サンプル流体リザーバ508は、チャネル540に連結された比較的広く長いチャネルまたはチャンバとすることができる。サンプル流体リザーバ508は、方形の断面を有することが示されているが、他の断面形状も可能である。サンプル流体リザーバ508は、基板500内へ送達された後の血液サンプルの一部を収納するために提供することができる。バイア524は、空気が血液サンプルの追加によって変位させられたときにサンプル流体リザーバ508から逃げることを可能にするための空気孔として作用することができる。
【0075】
流体リザーバ510は、チャネル550に連結された比較的広く長いチャネルまたはチャンバとすることができる。流体リザーバ510は、半円形の断面を有するU字形のチャネルとして示されているが、他の幾何形状も可能である。流体リザーバ510は、較正液もしくは洗浄液、および/または較正液もしくは洗浄液を封止する流体パックを収納するために提供することができる。流体リザーバ510内に収納された流体が較正液である実施形態では、第1の感知領域518内で基板500上に含まれかつ/または基板500に連結された1つまたはそれ以上のセンサを較正するために、較正液を使用することができる。較正液は、既知の濃度の1つまたはそれ以上の検体を有する流体を含むことができる。これらの検体は、基板500の第1の感知領域518内のセンサを使用して測定することができる血液サンプル中の検体に対応することができる。流体リザーバ510が洗浄液を収納する実施形態では、基板500の1つまたはそれ以上の領域を洗浄するために、洗浄液を使用することができる。たとえば、結合されていない成分を抗原抗体相互作用領域から洗い流すために、洗浄液を使用することができる。
【0076】
バルブ孔512は、基板500の厚さを通って延びるバイアまたは穿孔とすることができる。チャネル550およびチャネル552は、バルブ孔512によって流体連結することができる。バルブ孔512は、バルブ(図示せず)を収容しかつ/またはバルブ(図示せず)に連結するようなサイズおよび形状とすることができる。このバルブは、チャネル550からチャネル552への流体の流れを制御することができる。バルブが閉じているとき、チャネル550とチャネル552との間の流体の流れを阻止することができる。バルブが開いているとき、チャネル550とチャネル552との間の流体の流れを可能にすることができる。いくつかの実装では、バルブ内の封止が破断されるまで、バルブを閉じることができ、封止が破断されることで、流体がチャネル552内へ流れることが可能になる。
【0077】
2つの気泡トラップ514、516は、基板500内の気泡の動きを抑制するために提供される。気泡トラップ内の1つまたはそれ以上の障壁によって、気泡トラップ514、516のいずれかに入る各気泡がさらに下流へ動くことを防止することができる。気泡トラップ514は、チャネル544、546を流体連結し、気泡トラップ516は、チャネル554、556を流体連結する。いくつかの実施形態では、気泡トラップ514、516の一方または両方を省略することができる。
【0078】
第1の感知領域518は、チャネル548およびチャネル558に連結されたチャネルを含む。第1の感知領域518は、基板500の厚さを通って延びており、したがって基板の頂面502および底面504に開いたものとして図5に示されている。第1の感知領域518は、感知領域内の流体の特性を測定する1つもしくはそれ以上のセンサを含むことができ、かつ/またはそのようなセンサに連結することができる。たとえば、それらのセンサは、チャネル548からチャネル558へ流れる流体中の1つまたはそれ以上の検体の濃度を測定することができる。
【0079】
廃液リザーバ520は、チャネル558に流体連結されており、第1の感知領域518を通って流れた流体を収納する。廃液リザーバ520は、方形の断面を有する蛇行したチャネルとして示されているが、廃液リザーバ520の他の幾何形状も可能である。
【0080】
第2の感知領域584は、チャネル581を通ってサンプル入力ポート506に連結される。第2の感知領域584は、基板500の厚さを通って延びており、したがって基板の頂面502および底面504に開いたものとして図5に示されている。いくつかの実施形態では、第2の感知領域584は、基板500の厚さ全体にわたって延びるとは限らず、したがって第2の感知領域584の頂部または底部は基板自体によって閉じられる。第2の感知領域584は、血球から血漿を分離して第2の感知領域584における分析のための血漿サンプルを生成する血漿分離膜を含むことができ、かつ/またはそのような血漿分離膜に連結することができる。
【0081】
ポンプ連結ポート522、523は、1つまたはそれ以上の外部圧送システムへの連結を提供する。たとえば、これらの圧送システムは、携帯型の診断用消耗品リーダなどの診断機器内に設けることができる。チャネル560は、ポンプ連結ポート522に流体連結され、チャネル562は、ポンプ連結ポート523に流体連結される。圧送システムは、ポンプ連結ポート522、523に流体連結するチャネルまたは管を含むことができる。いくつかの実施形態では、圧送システムは、基板500の1つまたはそれ以上のチャネル内の流体をポンプ連結ポート522、523の方へ引っ張る真空圧送システムを含むことができる。
【0082】
第3の感知領域570は、基板500を組み込む診断用消耗品に、別の感知機能を提供する。例示的な実施形態では、第3の感知領域は、溶血チャネル572と、溶血チャネルに流体連結されたチャンバ574とを含む。チャンバ574の少なくとも一部分576が、チャンバ内の流体の光学分析を可能にするように光学的に透明である。チャネル542は、バイア575を通ってチャネル540を溶血チャネル572に流体連結する。チャネル541は、バイア545を通ってチャンバ574および廃液リザーバ543を流体連結する。チャネル562は、バイア578を通って廃液リザーバ543をポンプ連結ポート523に流体連結する。動作中、以下でさらに詳細に論じるように、チャネル542、溶血チャネル572を通ってチャンバ574内へ血液サンプルの少なくとも一部分を誘導し、第3の感知領域570内で光学的に分析することができる。
【0083】
図6および図7は、図5に示す基板500を組み込む例示的な診断用消耗品600の平面図を示す。診断用消耗品600は、血液分析および/または試験のための組立て式の診断カードまたは試験カードであると考えることができる。診断用消耗品600は、携帯型の診断用消耗品リーダ(図示せず)などの診断機器によって受け取られるような構成、たとえばサイズおよび形状とすることができる。図6は、診断用消耗品600の頂面602の図であり、図7は、診断用消耗品の底面604の図である。基板500に加えて、デバイス600は、第3の感知領域570を覆うカバー層590、頂部カバー層606、底部カバー層608、第1の感知領域518内のセンサアレイ610、血漿分離膜582(クロスハッチングを使用して示す)、較正液パック612(平行ハッチングを使用して示す)、バルブ614(クロスハッチングを使用して示す)を含む。図6および図7では、明瞭にするために、基板500の多くの構成要素がラベル付けされていない。
【0084】
前述のように、水およびイソプロピルアルコール中に溶解された界面活性剤/洗剤などの溶血試薬を溶血チャネル572上に堆積および乾燥させることができ、その後、カバー層590が基板500に取り付けられる。いくつかの実施形態では、溶血チャネル572は、チャネルの表面積を増大させる微小突起などの構造を含むことができる。この例では、カバー層590は、溶血チャネルの下流のチャンバ574内での光学感知を容易にするように透明である。たとえば、カバー層590は、アクリルまたはアクリルガラスとしても知られているガラスまたはポリメチルメタクリレート(PMMA)など、比較的高い光透過性を有する材料から作ることができる。他の実施形態では、溶血段のためのカバー層は、透明、半透明、不透明、またはこれらの組合せとすることができる。
【0085】
それぞれ頂部カバー層606および底部カバー層608を使用して、基板500の頂面502および底面504の少なくとも一部分が封止される。頂部および底部カバー層606、608は、液密(場合により、気密)封止を提供するために、液体(場合により、気体)に対して不透過性のものとすることができる。いくつかの実装では、頂部および底部カバー層606、608は、接着剤を使用して基板500に結合されたプラスチック、金属、および/またはセラミック膜を含むことができる。たとえば、いくつかの実装では、頂部カバー層606および/または底部カバー層608は、接着剤ラベルまたはステッカとして実施することができる。接着剤の非限定的な例には、アクリル接着剤およびシリコーン接着剤が含まれる。頂部および底部カバー層606、608は、基板500の1つまたはそれ以上の構成要素の周りに封止を形成することができる。たとえば、頂部カバー層606は、サンプル流体リザーバ508、気泡トラップ514、516、第1の感知領域518、血漿分離膜582、第2の感知領域584、廃液リザーバ520、およびチャネル540、541、542、548、552、558を少なくとも部分的に封止することができる。底部カバー層608は、サンプル入力ポート506、流体リザーバ510、気泡トラップ514、516、血漿分離膜582、第2の感知領域584、およびチャネル538、544、546、550、554、556、560、562を少なくとも部分的に封止することができる。頂部カバー層606は、実質的に透明なものとして示されており、底部カバー層608は、実質的に不透明なものとして示されているが、これは単なる一例である。概して、頂部カバー層606および底部カバー層608のうちの一方または両方を、透明、半透明、不透明、またはこれらの組合せとすることができる。図6では、頂部カバー層606の下に位置する構成要素を示すために破線が使用されている。
【0086】
この例では、センサアレイ610は、電極モジュールとも呼ぶことができ、基板500の底面504に結合される。センサアレイ610は、第1の感知領域518の少なくとも一部分に重複してその部分を封止する。底部カバー層608は、センサアレイ610に重複しない。この例では、センサアレイ610は、任意選択の接着剤によってエポキシ箔要素616に積層された金属箔を含む。金属箔は、電極要素618のアレイとして形成される。各電極要素618が、たとえば診断機器内の測定回路への電気接続を形成するための連結端を有することができる。複数のセンサ620が、電極要素618に連結される。センサ620の各々は、基板500の第1の感知領域518の上に位置する。使用中、前述のようにセンサ620を使用して、第1の感知領域518内の較正液および/または血液サンプルの1つまたはそれ以上の特性を測定することができる。
【0087】
較正液パック612は、基板500の較正液パック領域568と底部カバー層608との間に挟まれる。較正液パック612は、較正液の経時的な安定性を改善するために、較正液を封止および収納するように提供することができる。たとえば、較正液パック612は、二酸化炭素などのガスが較正液内および/または較正液外へ染み込むことを抑制することができる。
【0088】
例示的な実施形態では、基板500の頂面502は、サンプル入力ポート506の場所に対応する孔622を除いて、頂部カバー層606によって実質的に封止される。孔622により、シリンジまたは毛細管などの血液サンプル送達デバイスをサンプル入力ポート506に連結して、血液サンプルを診断用消耗品600内へ送達することが可能になる。加えて、頂部カバー層606はまた、第3の感知領域570の光感知部分576の場所に対応する第2の孔633を含む。
【0089】
基板500の底面504は、底部カバー層608によって実質的に覆われる。しかし、センサアレイ610およびバイア524は、底部カバー層によって封止されない。底部カバー層608は、切れ目または引っ掻き傷624、626を含む。引っ掻き傷624、626は、引っ掻き傷に近接する区域において、底部カバー層608をより可鍛性かつ加工可能にするために提供することができる。引っ掻き傷624の位置は、バルブ614の位置に対応する。引っ掻き傷624は、底部カバー層608のうちバルブ614に隣接している部分をより可撓性にすることができ、したがってバルブをより容易に操作することを可能にすることができる。引っ掻き傷626の位置は、流体リザーバ510の位置に対応する。引っ掻き傷626は、底部カバー層608のうち流体リザーバ510に隣接している部分をより可撓性にすることができ、したがって較正液パック612をより容易に操作することを可能にすることができる。底部カバー層608はまた、基板500上のポンプ連結ポート522、523の場所に対応するポンプ孔628、630を含む。ポンプ連結ポート522、523は、ポンプ孔628、630を通ってカードリーダモジュール内のポンプに連結することができる。ポンプ孔628、630は、ポンプとポンプ連結ポート522、523との間に封止を形成するようなサイズおよび形状とすることができる。底部カバー層608は、第3の感知領域570のカバー層590に重複するが、光感知部分576に対応する孔632を含み、孔632は概して、頂部カバー層606内の孔633と位置合わせされる。第3の感知領域の光感知部分576の区域における孔632、633ならびに基板500およびカバー層590の透明性により、光感知が容易になる。
【0090】
例示的な実施形態では、頂部カバー層606は実質的に光学的に透明であり、したがって頂部カバー層606を通じて、第2の感知領域584における血漿サンプルの比色分析などの特定の光学分析を実施することができる。しかし、いくつかの実施形態では、第3の感知領域570のためのカバー層590に類似した別個の光学的に透明のカバー層を基板500に連結して、第2の感知領域584を覆うことができ、頂部および底部カバー層606、608は、第2の感知領域584における血漿サンプルの光感知を容易にするために、第2の感知領域584と実質的に位置合わせされた孔を含むことができる。
【0091】
この例では、底部カバー層608に1Dバーコード634が印刷されている。バーコード634は、診断用消耗品600が診断機器に挿入されたとき、この機器によって読み取ることができる。バーコード634は、診断用消耗品600を認証することができ、かつ/または診断用消耗品に関する情報を提供することができる。たとえば、バーコード634は、診断用消耗品600が製造された日付を示すことができる。バーコード634は、底部カバー層608または診断用消耗品の別の場所に存在することができる機械可読コードの一例である。機械可読コードの他の例には、2Dバーコードが含まれる。追加または代替として、無線周波識別(RFID)チップまたはタグを使用することもできる。
【0092】
いくつかの実施形態では、診断用消耗品600は、次のように動作することができる。第1に、診断用消耗品600は、携帯型またはベンチトップ型の診断カードリーダなどの診断機器の対応するスロットに挿入することができる。診断機器は、バーコード634を走査して診断用消耗品600を認証することができる。第2に、較正液パック612内に収納されている較正液を感知領域518内へ推進または圧送することができる。この工程は、診断機器が、第1のアクチュエータ要素を使用して、引っ掻き傷624に近接する区域で底部カバー層608を押圧することによってバルブ614を操作することを含むことができる。バルブ614の操作により、バルブ内のプラグを破断させることができ、それによりバルブを開く。次いで、較正液パック612から較正液の少なくとも一部分を押し出しまたは圧送し、チャネル550、バルブ512、チャネル552、バイア530、チャネル554、気泡トラップ516、チャネル556、バイア532、チャネル548を通って第1の感知領域518に入れることができる。較正液を較正液パック612から押し出すことは、診断機器内のプランジャなどの第2のアクチュエータ要素を使用して、引っ掻き傷626に近接する区域内で底部カバー層608を圧迫することによって実行することができる。較正液が第1の感知領域518にあるとき、センサ620のうちの1つまたはそれ以上に接触することができる。診断機器は、電極618に接触するための回路を含むことができ、電極618は、センサ620からの較正液の測定値を返す。これらの測定値を使用して、診断用消耗品600向けに診断機器を較正することができ、それによって異なる診断用消耗品間の変動を補償することができる。第1および第2のアクチュエータ要素は、診断機器内のモータ駆動式システムによって制御することができる。診断機器はまた、第1の感知領域518内の流体の温度を調整するためにセンサアレイ610に接触する加熱器、および/または第2の感知領域584もしくは第3の感知領域570に接触しもしくはその近位に位置する加熱器など、温度制御の形態を含むことができる。この温度制御は、第1の感知領域518内のセンサ620、または第2の感知領域584もしくは第3の感知領域570内のサンプルの1つもしくはそれ以上の特性を測定するように構成された診断機器内の光学センサによって得られる測定値の一貫性を提供するのに役立つことができる。いくつかの実装では、ほぼ体温、たとえば、摂氏約37度の流体温度を実現するように、温度制御を適用することができる。
【0093】
較正後、診断機器は、サンプル流体入力ポート506に血液サンプルを注入するように、使用者に指示することができる。血液サンプルの第1の部分は、チャネル538、バイア526、チャネル540を通ってサンプル流体収納リザーバ508内へ流れることができる。血液サンプルの第2の部分は、チャネル581を通って血漿分離膜582に接触するように流れることができ、血漿分離膜582は、血漿を血球から分離する。次いで、分離された血漿サンプルは、第2の感知領域584内へ流れる。次いで、第2の感知領域584内の血漿サンプルを目で見て分析することができ、または前述の光学リーダを使用する機械によって分析することができる。
【0094】
ポンプ孔628を通って、診断機器内の真空ポンプをポンプ連結ポート522に連結することができる。この真空ポンプをオンにすると、真空ポンプは、第1の感知領域518から較正液を吸い込んで廃液リザーバ520に入れることができる。さらに、真空ポンプは、サンプル流体リザーバ508および/またはチャネル540(流体リザーバ508が抜かれていない場合)から血液サンプルを吸い込み、バイア528、チャネル544、気泡トラップ514、チャネル546、バイア534、チャネル548を通って第1の感知領域518に入れることができる。次いで、診断機器およびセンサ620は、血液サンプルに対する測定を実行し、前述のように血液サンプル中の特定の検体の濃度を判定することができる。
【0095】
第3の感知領域570の光感知部分576内の血液サンプルに対して、光学分析を実行することができる。たとえば、ポンプ孔630を通ってポンプ連結ポート523に連結された診断機器内の真空ポンプを使用して、ポンプ連結ポート523に真空圧を印加し、サンプル流体リザーバ508および/またはチャネル540から血液サンプルの一部分を吸い込んで、チャネル542、バイア575、溶血チャネル572を通ってチャンバ574に入れることができる。血液サンプルは、溶血チャネル572を通って流れるにつれて、溶解し、再び浮遊し、溶血チャネル572上に乾燥した溶血試薬と反応して、溶血血液を生成し、次いでこの溶血血液がチャンバ574内へ分注される。次いで、診断機器内の光源および光学リーダが、チャンバ574の光感知部分576内の溶血血液サンプルに対してCO酸素濃度測定などの光学測定を実行することができる。これにより、診断用消耗品600を使用して実行される試験を完成することができる。この例示的な実施形態では、診断用消耗品600は、1度の使用後に廃棄される使い捨ての診断デバイスである。しかし、再利用可能なデバイスも企図される。
【0096】
図8は、本開示の一実施形態によって構築された診断用消耗品605の別の例の上面図である。診断用消耗品605は、基板505を組み込む。診断用消耗品605および基板505は、上述した診断用消耗品600および基板500に類似しており、したがって簡潔にするために、違いについてのみ本明細書に説明する。図8の実施形態では、血漿分離膜582および第2の感知領域584は、サンプル入力ポート506を実質的に取り囲む。1つまたはそれ以上のチャネルまたは開口部(図示せず)が、サンプル入力ポートと血漿分離膜582上の1つまたはそれ以上の場所との間の流体連通を提供することができる。
【0097】
図9は、本開示の一実施形態によって構築された診断用消耗品615の別の例の上面図である。診断用消耗品615は、基板515を組み込む。診断用消耗品615および基板515は、上述した診断用消耗品600および基板500に類似しており、したがって簡潔にするために、違いについてのみ本明細書に説明する。図9の実施形態では、血漿分離膜582および第2の感知領域584は、第1の感知領域518のセンサアレイ610の後に廃液リザーバ520内に配置される。このようにして、診断用消耗品615の第1の感知領域518、血漿分離膜582、および第2の感知領域584の構成は、図3に示す診断用消耗品120の第1の感知領域10、血漿分離膜12、および第2の感知領域14の配置に類似している。
【0098】
上記で論じた例示的な実施形態の多くは主に、血液分析システムのための診断用消耗品上で全血および血漿を評価することに関するが、本明細書に記載する実施形態は、追加または代替として、診断用消耗品または他のタイプの分析システムでの他のタイプの流体サンプル分析に関することもできる。特に、診断用消耗品上に導入された流体サンプルの一部分を2次感知領域内へ流すこと可能にする流体輸送材料は、診断用消耗品上の複数の感知領域における複数の分析を介した流体サンプル分析が有利となりうる様々な応用例のいずれかで使用することができる。たとえば、本開示による使い捨ての診断用消耗品は、ヒトもしくは動物の体内の病原体もしくはバイオマーカ、または水の供給、食料、もしくは動物の飼料中の汚染物質など、流体サンプル中の標的検体の存在または不在を確認するためのラテラルフローイムノアッセイとして使用するために構成された流体輸送材料を含むことができる。本開示によれば、そのような診断用消耗品はまた、ヒトもしくは動物の体液中のガス、電解液、および/もしくは代謝産物、または水の供給、食料、もしくは動物の飼料中の他の汚染物質の濃度を測定するための電気化学センサなど、流体サンプルの追加の分析を提供するように構成された1つまたはそれ以上のセンサを含む少なくとも1つの感知領域を含む。
【0099】
説明的な実施形態
以下、本開示の追加の説明的な実施形態の非限定的なリストを提供する。
例示的な実施形態1.
全血および血漿の分析で使用するための使い捨ての診断用消耗品であって:
診断用消耗品によって受け取った全血サンプル中の少なくとも1つの検体の分析のために構成された第1の感知領域と;
全血サンプル中の血漿および血球を分離して血漿サンプルを作り出すように構成された血漿分離膜と;
血漿分離膜に流体連結され、血漿サンプルの分析のために構成された第2の感知領域とを含む診断用消耗品。
例示的な実施形態2.
第2の感知領域は、血漿分離膜の一方の端部に隣接している、例示的な実施形態1に記載の使い捨ての診断用消耗品。
例示的な実施形態3.
血漿分離膜は、血漿分離膜を通って第2の感知領域へ進む毛細管流体の流れの経路を画成する、例示的な実施形態2に記載の使い捨ての診断用消耗品。
例示的な実施形態4.
第2の感知領域の少なくとも一部分は、血漿サンプルの光学分析を可能にするように光学的に透明である、例示的な実施形態1~3のいずれかに記載の使い捨ての診断用消耗品。
例示的な実施形態5.
第2の感知領域は、血漿サンプル比色分析のために構成される、例示的な実施形態4に記載の使い捨ての診断用消耗品。
例示的な実施形態6.
血漿分離膜は、全血サンプル中の遊離ヘモグロビンの存在を検出するためのクロマトグラフ検出パッドを含む、例示的な実施形態1~5のいずれかに記載の使い捨ての診断用消耗品。
例示的な実施形態7.
血漿分離膜は、全血サンプル中の対象検体に選択的に結合するように構成された少なくとも1つの成分を含む、例示的な実施形態1~6のいずれかに記載の使い捨ての診断用消耗品。
例示的な実施形態8.
全血サンプル中の対象検体に選択的に結合するように構成された少なくとも1つの成分は、少なくとも1つのタイプの赤血球結合または凝集物質を含む、例示的な実施形態7に記載の使い捨ての診断用消耗品。
例示的な実施形態9.
第1の感知領域は、全血サンプル中の複数の検体の分析のためのセンサアレイを含む、例示的な実施形態1~8のいずれかに記載の使い捨ての診断用消耗品。
例示的な実施形態10.
診断用消耗品は、全血サンプルを受け取るためのサンプル入力ポートをさらに含み、サンプル入力ポートは、第1の感知領域および血漿分離膜に流体連結される、例示的な実施形態1~9のいずれかに記載の使い捨ての診断用消耗品。
例示的な実施形態11.
血漿分離膜は、サンプル入力ポートに対して第1の感知領域の下流に流体連結される、例示的な実施形態10に記載の使い捨ての診断用消耗品。
例示的な実施形態12.
血漿分離膜は、サンプル入力ポートに対して第1の感知領域の上流に流体連結される、例示的な実施形態10に記載の使い捨ての診断用消耗品。
例示的な実施形態13.
血漿分離膜は、サンプル入力ポートを実質的に取り囲む、例示的な実施形態10に記載の使い捨ての診断用消耗品。
例示的な実施形態14.
血漿分離膜は、第1の端部および第2の端部を有し、第1の端部は、サンプル入力ポートに隣接しており、第2の端部は、第2の感知領域に隣接している、例示的な実施形態10に記載の使い捨ての診断用消耗品。
例示的な実施形態15.
診断用消耗品は、サンプル入力ポート、第1の感知領域、および血漿分離膜に流体連結された1つまたはそれ以上のサンプル分配チャネルをさらに含む、例示的な実施形態10~14のいずれかに記載の使い捨ての診断用消耗品。
例示的な実施形態16.
1つまたはそれ以上のサンプル分配チャネルは、全血サンプルの第1の部分を全血サンプルの分析のために第1の感知領域へ誘導し、全血サンプルの第2の部分を血漿分離膜に流体接触するように誘導して、血漿サンプルを作り出す、例示的な実施形態15に記載の使い捨ての診断用消耗品。
例示的な実施形態17.
サンプル入力ポートに流体連結され、全血サンプル中の少なくとも1つの検体の分析のために構成された第3の感知領域をさらに含み、第3の感知領域における分析は、第1の感知領域における分析とは異なる、例示的な実施形態10~16のいずれかに記載の使い捨ての診断用消耗品。
例示的な実施形態18.
第3の感知領域は、
サンプル入力ポートに流体連結された溶血チャネルであって、全血サンプルの一部分を溶血させて溶血血液サンプルを生成するための溶血試薬が配置された溶血チャネルと;
溶血チャネルに流体連結され、分析のために溶血血液サンプルの少なくとも一部分を収容するように構成されたチャンバとを含む、例示的な実施形態17に記載の使い捨ての診断用消耗品。
例示的な実施形態19.
チャンバの少なくとも一部分は、溶血血液サンプルの光学分析を可能にするように光学的に透明である、例示的な実施形態18に記載の使い捨ての診断用消耗品。
例示的な実施形態20.
使い捨ての診断用消耗品での全血および血漿の分析のための方法であって:
使い捨ての診断用消耗品に全血サンプルを受け取ることと;
診断用消耗品の第1の感知領域内で全血サンプル中の少なくとも1つの検体を分析することと;
血漿分離膜を使用して診断用消耗品で全血サンプル中の血漿および血球を分離し、血漿サンプルを作り出すことと;
診断用消耗品の第2の感知領域内で血漿サンプルを光学的に分析することとを含み、第2の感知領域の少なくとも一部分は、血漿サンプルの光学分析を可能にするように光学的に透明である、方法。
例示的な実施形態21.
第2の感知領域内で血漿サンプルを光学的に分析することは、血漿サンプルの比色分析を実行することを含む、例示的な実施形態20に記載の方法。
例示的な実施形態22.
血漿サンプルの比色分析を実行することは:
第2の感知領域内の血漿サンプルによって反射される赤色光の量を測定することと;
測定された反射赤色光の量に基づいて、全血サンプル中の遊離ヘモグロビンのレベルを判定することとを含む、例示的な実施形態21に記載の方法。
例示的な実施形態23.
血漿分離膜は、全血サンプル中の対象検体に選択的に結合するように構成された少なくとも1つの成分を含み、第2の感知領域内で血漿サンプルを光学的に分析することは、対象結合検体が血漿サンプル中に存在するかどうかを光学的に検出することを含む、例示的な実施形態20に記載の方法。
例示的な実施形態24.
第1の感知領域で全血サンプル中の少なくとも1つの検体を分析することは、第1の感知領域内のセンサアレイを使用して全血サンプル中の複数の検体を分析することを含む、例示的な実施形態20~23のいずれかに記載の方法。
例示的な実施形態25.
診断用消耗品は、全血サンプルを受け取るためのサンプル入力ポートを含み、この方法は:
サンプル入力ポートからの全血サンプルの第1の部分を全血サンプルの分析のために第1の感知領域へ誘導することと;
サンプル入力ポートからの全血サンプルの第2の部分を血漿分離膜に流体接触するように誘導して、血漿サンプルを作り出すこととをさらに含む、例示的な実施形態20~24のいずれかに記載の方法。
例示的な実施形態26.
診断用消耗品上の全血サンプルの一部分を溶血させて溶血血液サンプルを生成することと;
診断用消耗品上の第3の感知領域内で溶血血液サンプルを光学的に分析することとをさらに含み、第3の感知領域の少なくとも一部分は、溶血血液サンプルの光学分析を可能にするように光学的に透明である、
例示的な実施形態20~25のいずれかに記載の方法。
【0100】
本明細書に開示する発明の概念は、その応用例において、本説明または図面に示す構成要素の構造および配置の詳細に限定されるものではない。本明細書に開示する発明の概念は、他の実施形態も可能であり、または様々な方法で実行もしくは実施することが可能である。また、本明細書に用いた用語および術語は、説明のためのものであり、本明細書に開示および特許請求する発明の概念を何ら限定すると見なされるべきではないことを理解されたい。
【0101】
多数の具体的な詳細について、発明の概念のより徹底的な理解を提供するために記載した。しかし、本開示の範囲内の発明の概念は、これらの具体的な詳細なしに実行することができることが、当業者には明らかである。他の例では、よく知られている構成については、本開示を不必要に複雑にすることを避けるために、詳細には説明していない。
図1A
図1B
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9