(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】電気めっき装置の液切り部におけるめっき液の結晶化を防止するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
C25D 17/00 20060101AFI20230907BHJP
C25D 7/06 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
C25D17/00 K
C25D7/06 A
(21)【出願番号】P 2022534672
(86)(22)【出願日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 CN2021099472
(87)【国際公開番号】W WO2022134491
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】202011548279.9
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522118469
【氏名又は名称】重慶金美新材料科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHONGQING JIMAT NEW MATERIAL TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.12,Jinfu 2nd Road,Qiaohe Industrial Park,Gunan Street,Qijiang District,Chongqing 401421,China
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】臧 世偉
(72)【発明者】
【氏名】劉 文卿
【審査官】瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-185547(JP,A)
【文献】特開昭62-132567(JP,A)
【文献】特開昭48-093550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 17/00
C25D 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
めっき槽と前記めっき槽の排出端に位置する液切り部を含み、非金属フィルムが前記めっき槽から排出された後に前記液切り部で液切りされる、電気めっき装置の液切り部におけるめっき液の結晶化を防止するための装置において、
前記めっき槽と前記液切り部との間に、排出された前記非金属フィルムをエアブローするためのエアブロー設備が設けられ、前記液切り部の後方に、前記液切り部
にスプレー液をスプレーするためのスプレー部が設けられ
、
前記液切り部は、液切りローラを用いる、
ことを特徴とする電気めっき装置の液切り部におけるめっき液の結晶化を防止するための装置。
【請求項2】
前記エアブロー設備が上部エアブローユニットと下部エアブローユニットを含み、前記上部エアブローユニットが前記非金属フィルムの上側に位置し、前記下部エアブローユニットが前記非金属フィルムの下側に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気めっき装置の液切り部におけるめっき液の結晶化を防止するための装置。
【請求項3】
前記上部エアブローユニットのエアノズルと前記下部エアブローユニットのエアノズルはいずれも前記非金属フィルム
が排出
されためっき槽に向けて配置され、
ことを特徴とする請求項2に記載の電気めっき装置の液切り部におけるめっき液の結晶化を防止するための装置。
【請求項4】
前記スプレー部が上部スプレーパイプと下部スプレーパイプとを含み、前記上部スプレーパイプが前記非金属フィルムの上側に位置し、前記下部スプレーパイプが前記非金属フィルムの下側に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気めっき装置の液切り部におけるめっき液の結晶化を防止するための装置。
【請求項5】
前記スプレー部の下側に受液槽が設けられ、前記受液槽の縁部が前記液切り部の外側に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気めっき装置の液切り部におけるめっき液の結晶化を防止するための装置。
【請求項6】
前記スプレー部の後方に、スプレー後の前記非金属フィルムをエアブローするための第二エアブロー設備が設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気めっき装置の液切り部におけるめっき液の結晶化を防止するための装置。
【請求項7】
前記スプレー部と前記第二エアブロー設備との間に、スプレー後の前記非金属フィルムを液切りするための補助液切り部が設けられる、
ことを特徴とする請求項6に記載の電気めっき装置の液切り部におけるめっき液の結晶化を防止するための装置。
【請求項8】
非金属フィルムの排出端にエアブロー設備を追加し、前記エアブロー設備でめっき液の付着した非金属フィルムをエアブローし、その表面のめっき液を除去し、
液切り部の後方にスプレー部を追加し、前記スプレー部で前記液切り部をスプレーし、めっき液の結晶化を防止する、
ことを特徴とする電気めっき装置の液切り部におけるめっき液の結晶化を防止するための方法。
【請求項9】
S1、非金属フィルムを排出するステップと、
S2、エアブロー設備で排出された後の非金属フィルムをエアブローし、フィルム表面のめっき液を除去するステップと、
S3、非金属フィルムを液切り部で液切りするステップと、
S4、スプレー部で液切り部をスプレーし、その表面での結晶化を防止するステップと、
S5、非金属フィルムがテンションローラを通過した後に他の工程の設備に入らせるステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の電気めっき装置の液切り部におけるめっき液の結晶化を防止するための方法。
【請求項10】
ステップS4の後、さらに
A1、非金属フィルムを補助液切り部で液切りするステップと、
A2、第二エアブロー設備でスプレー及び液切り後の非金属フィルムをエアブローし、フィルム表面のスプレー液を除去するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の電気めっき装置の液切り部におけるめっき液の結晶化を防止するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気銅めっきフィルムの製造技術分野に関し、具体的には、電気めっき装置の液切り部におけるめっき液の結晶化を防止するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銅フィルムの電気めっき過程において、非金属フィルムがめっき槽から出た際、表面には一定量のめっき液が付着している。後続工程に与える影響を防ぐため、めっき槽の排出端にはすべて非金属フィルムを液切りするための液切り部、一般的には押し合う導電性ローラと液切りローラが設けられている。非金属フィルムが該液切り部を通過する際、その表面のめっき液は導電性ローラと液切りローラに残り、時間が経つと、導電性ローラと液切りローラに残っためっき液は結晶化し、顆粒又はとげを形成する。後続の非金属フィルムが該液切り部を通過する際、これらの顆粒やとげは非金属フィルムを刺し通し、あるいは非金属フィルムの表面に凸凹を形成し、フィルム表面の品質に深刻な影響を及ぼす。
【0003】
従来の電気めっき装置はこのようなことが起こらないように、各ローラ軸構造にスクレーパを設け、スクレーパでローラ軸表面の銅を削り取るようにしているが、電気めっき装置にローラ軸の数が多いため、このような構造を追加すると電気めっき装置全体の製造コストが大幅に向上する。また、不均一なスクレーパはローラ軸表面にすり傷を与え、負の効果をもたらす。
【0004】
上記欠陥は解決すべきものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の不足を補うため、本発明は電気めっき装置の液切り部におけるめっき液の結晶化を防止するための装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の技術的解決手段は以下の通りである。
【0007】
めっき槽と前記めっき槽の排出端に位置する液切り部を含み、非金属フィルムが前記めっき槽から排出された後に前記液切り部で液切りされる、電気めっき装置の液切り部におけるめっき液の結晶化を防止するための装置であって、前記めっき槽と前記液切り部との間に、排出された前記非金属フィルムをエアブローするためのエアブロー設備が設けられ、前記液切り部の後方に、前記液切り部をスプレーするためのスプレー部が設けられる、ことを特徴とする。
【0008】
上記による本発明であって、前記エアブロー設備が上部エアブローユニットと下部エアブローユニットを含み、前記上部エアブローユニットが前記非金属フィルムの上側に位置し、前記下部エアブローユニットが前記非金属フィルムの下側に位置する、ことを特徴とする。
【0009】
さらに、前記上部エアブローユニットのエアノズルと前記下部エアブローユニットのエアノズルはいずれも前記非金属フィルムの排出位置に向く。
【0010】
上記による本発明であって、前記スプレー部が上部スプレーパイプと下部スプレーパイプとを含み、前記上部スプレーパイプが前記非金属フィルムの上側に位置し、前記下部スプレーパイプが前記非金属フィルムの下側に位置する、ことを特徴とする。
【0011】
上記による本発明であって、前記スプレー部の下側に受液槽が設けられ、前記受液槽の縁部が前記液切り部の外側に位置する、ことを特徴とする。
【0012】
上記による本発明であって、前記スプレー部の後方に、スプレー後の前記非金属フィルムをエアブローするための第二エアブロー設備が設けられる、ことを特徴とする。
【0013】
さらに、前記スプレー部と前記第二エアブロー設備との間に、スプレー後の前記非金属フィルムを液切りするための補助液切り部が設けられる。
【0014】
電気めっき装置の液切り部におけるめっき液の結晶化を防止するための方法であって、非金属フィルムの排出端にエアブロー設備を追加し、前記エアブロー設備でめっき液の付着した非金属フィルムをエアブローし、その表面のめっき液を除去し、液切り部の後方にスプレー部を追加し、前記スプレー部で前記液切り部をスプレーし、めっき液の結晶化を防止する、ことを特徴とする。
【0015】
上記による本発明であって、
S1、非金属フィルムを排出するステップと、
S2、エアブロー設備で排出された後の非金属フィルムをエアブローし、フィルム表面のめっき液を除去するステップと、
S3、非金属フィルムを液切り部で液切りするステップと、
S4、スプレー部で液切り部をスプレーし、その表面での結晶化を防止するステップと、
S5、非金属フィルムがテンションローラを通過した後に他の工程の設備に入らせるステップと、を含む、ことを特徴とする。
さらに、ステップS4の後には、
A1、非金属フィルムを補助液切り部で液切りするステップと、
A2、第二エアブロー設備でスプレー及び液切り後の非金属フィルムをエアブローし、フィルム表面のスプレー液を除去するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0016】
上記による本発明の有益な効果は次の通りである。
【0017】
本発明はめっき槽と液切り部との間にエアブロー設備を追加することで、非金属フィルムによってめっき槽から連れ出されためっき液を十分に減少させ、めっき液が液切り部に与える影響を減らし、さらに液切り部の後にスプレー部を追加し、スプレー部で液切り部におけるめっき液を希釈、洗浄し、液切り部におけるめっき液の結晶化を防ぎ、それによって液切り部に残留めっき液がほとんど、または完全にないようにし、めっき液の結晶化を防止し、したがって結晶がもたらす非金属フィルムの破れや凸凹を回避し、めっき製品の品質を高め、なお、本発明は目的を持って機構を追加し、電気めっき装置の製品体積をなるべく減らし、生産コストを削減する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下、図面及び実施形態とともに本発明をさらに説明する。
【
図2】本発明の一実施例の実施フローチャートである。
【
図3】本発明の別の実施例の実施フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示すように、電気めっき装置の液切り部におけるめっき液の結晶化を防止するための装置であって、めっき槽10とめっき槽10の排出端に位置する液切り部とを含み、非金属フィルム20がめっき槽10内のめっき液11から排出された後、液切り部で液切りされる。本発明において、めっき槽10と液切り部との間に、排出された非金属フィルム20をエアブローするためのエアブロー設備(すなわち第一エアブロー設備30)が設けられ、液切り部の後方に、液切り部をスプレーするためのスプレー部50が設けられる。
【0020】
第一エアブロー設備30は第一上部エアブローユニットと第一下部エアブローユニットとを含み、第一上部エアブローユニットは非金属フィルム20の上側に位置し、非金属フィルム20の上側におけるめっき液11をエアブローで除去することに用いられ、第一下部エアブローユニットは非金属フィルム20の下側に位置し、非金属フィルム20の下側におけるめっき液11をエアブローで除去することに用いられる。本発明は第一エアブロー設備30を適用することで、非金属フィルム20フィルムの表面のめっき槽10から連れ出された大部分のめっき液11を除去することができる。
【0021】
好ましくは、上部エアブローユニットのエアノズルと下部エアブローユニットのエアノズルはいずれも非金属フィルム20の排出位置に向き、それによって上部エアブローユニットは非金属フィルムの上面におけるめっき液をめっき槽10に吹き込み、下部エアブローユニットは非金属フィルムの下面におけるめっき液をめっき槽10に吹き込み、したがって非金属フィルム20の表面における大部分のめっき液が落とされ、めっき槽10に入り、外部構造を腐食することが減少する。
【0022】
液切り部は第一導電性ローラ41と第一液切りローラ42とを含み、第一導電性ローラ41は第一液切りローラ42の下側に位置し、第一液切りローラ42と第一導電性ローラ41が押し合って、非金属フィルム20を液切りする。スプレー部50は上部スプレーパイプと下部スプレーパイプとを含み、上部スプレーパイプは非金属フィルム20の上側に位置し、上部スプレーパイプのノズルは第一液切りローラ42に向き、下部スプレーパイプは非金属フィルム20の下側に位置し、下部スプレーパイプのノズルは第一導電性ローラ41に向く。
【0023】
本実施例における上部スプレーパイプと下部スプレーパイプはPVC(ポリ塩化ビニル)材料で製造され、他の実施例では、PVC以外の耐酸性、耐アルカリ性、及び耐腐食性のある材料で製造してもよい。
【0024】
好ましくは、本実施例のスプレー装置は純水を用いて第一導電性ローラ41と第一液切りローラ42をスプレーし、第一導電性ローラ41と第一液切りローラ42表面の残留めっき液を希釈し、第一導電性ローラ41と第一液切りローラ42の表面の結晶を防止する。他の実施例では、めっき液の成分に影響を与えない他の専用洗浄液を使用してもよい。
【0025】
本発明において、スプレー部50の下側に受液槽90が設けられ、受液槽90の縁部は液切り部の外側に位置し、スプレーされた後の液体は受液槽90によって回収、排出され、スプレー液が設備の他の部品にもたらす損傷や破壊が回避される。
【0026】
スプレーされた後の非金属フィルム20が他のめっき槽に入る際、スプレー液がめっき槽10内のめっき液11を希釈しないように、本発明はスプレー部50の後方に、スプレーされた後の非金属フィルム20をエアブローするための第二エアブロー設備70が設けられ、さらに、スプレー部50と第二エアブロー設備70との間に、スプレーされた後の非金属フィルム20を液切りするための補助液切り部が設けられる。第一エアブロー設備30に類似した構造で、第二エアブロー設備70は第二上部エアブローユニットと第二下部エアブローユニットとを含み、第二上部エアブローユニットは非金属フィルム20の上側に位置し、非金属フィルムの上面における液体をエアブローすることに用いられ、第二下部エアブローユニットは非金属フィルム20の下側に位置し、非金属フィルムの下面における液体をエアブローする。
【0027】
具体的に、補助液切り部は第二導電性ローラ61と第二液切りローラ62とを含み、第二導電性ローラ61は第二液切りローラ62の上側に位置し、第二液切りローラ62と第二導電性ローラ61が押し合って、通過する非金属フィルム20を液切りする。
【0028】
好ましくは、液切り部のフィルム出口端と補助液切り部のフィルム入口端は同じ水平面に位置し、それによって液切り部と補助液切り部との間の非金属フィルム20は水平方向に前進し、すなわち、第一液切りローラ42と第一導電性ローラ41の液切り位置は、第二液切りローラ62と第二導電性ローラ61の液切り位置と同じ水平面にあり、それによって、スプレー部で第一導電性ローラ41と第一液切りローラ42に対する良好なスプレー効果を達成することができる。
【0029】
第二エアブロー設備70の後方にテンションローラ80が設けられ、テンションローラ80で非金属フィルム20を引っ張り、非金属フィルム20でのしわを回避する。好ましくは、テンションローラ80の高さは補助液切り部のフィルム出口端(すなわち第二液切りローラ62と第二導電性ローラ61との間の液切り位置)より高く、それによって補助液切り部とテンションローラ80との間の非金属フィルム20は上昇状態になり、それに対応して、第二エアブロー設備70のエアノズルは補助液切り部に向き、かつ下側に傾く。
【0030】
上記実施例において、受液槽90は各ローラ軸及び設備構造の下側に位置し、具体的には、受液槽90は液切り部、スプレー部50、補助液切り部、第二エアブロー設備70、及びテンションローラ80の下側に位置し、それによって各段階で落下する液体はすべて回収できる。
【0031】
上記第一エアブロー設備30と第二エアブロー設備70はいずれもステンレス鋼製であり、他の実施例において、ステンレス鋼以外の耐酸性、耐アルカリ性、及び耐腐食性のある材料で製造してもよい。
【0032】
本発明の実施過程において、まず、めっき槽10と液切り部との間に第一エアブロー設備30が設けられ、第一エアブロー設備30によって非金属フィルム20の両面の、めっき槽10から連れ出されためっき液11が除去され、第一導電性ローラ41と第一液切りローラ42に送られるめっき液が減る。次に、液切り部の後方にスプレー部50が設けられ、スプレー部50からの液体(好ましくは霧状の純水である)は第一導電性ローラ41と第一液切りローラ42の表面に到着し、ローラ軸におけるめっき液を希釈、洗浄する。さらに、液切り部の後方に補助液切り部が設けられ、それによってスプレーされた後の非金属フィルム20が液切りされ、また、補助液切り部の後方に第二エアブロー設備70が設けられ、それによってスプレーがもたらした非金属フィルム20の表面の液体が除去され、スプレーの液体が次のめっき槽10又は他の設備に運ばれることが防止される。最後に、上記スプレー液と第二エアブロー設備70によって落とされた液体は下方にある受液槽90に回収され、排出される。
【0033】
図2、
図3に示すように、電気めっき装置の液切り部におけるめっき液の結晶化を防止するための方法であって、非金属フィルムの排出端にエアブロー設備を追加し、エアブロー設備でめっき液の付着した非金属フィルムをエアブローし、その表面のめっき液を除去し、液切り部の後方にスプレー部を追加し、スプレー部で液切り部をスプレーし、めっき液の結晶化を防止する。
【0034】
図2に示すように、一実施例において、該電気めっき装置の液切り部におけるめっき液の結晶化を防止するための方法は、具体的には、
S1、非金属フィルムを排出するステップと、
S2、第一エアブロー設備で排出された後の非金属フィルムをエアブローし、フィルム表面のめっき液を除去するステップと、
S3、非金属フィルムを液切り部(第一導電性ローラと第一液切りローラ)で液切りするステップと、
S4、スプレー部で液切り部(第一導電性ローラと第一液切りローラ)をスプレーし、その表面での結晶化を防止し、かつスプレーされた後のスプレー液を受液槽に回収するステップと、
S5、非金属フィルムがテンションローラを通過した後に他の工程の設備に入らせるステップと、を含む。
【0035】
図3に示すように、別の実施例において、該電気めっき装置の液切り部におけるめっき液の結晶化を防止するための方法は、具体的には、
S1、非金属フィルムを排出するステップと、
S2、第一エアブロー設備で排出された後の非金属フィルムをエアブローし、フィルム表面のめっき液を除去するステップと、
S3、非金属フィルムを液切り部(第一導電性ローラと第一液切りローラ)で液切りするステップと、
S4、スプレー部で液切り部(第一導電性ローラと第一液切りローラ)をスプレーし、その表面での結晶化を防止し、かつスプレーされた後のスプレー液を受液槽に回収するステップと、
S5、非金属フィルムを補助液切り部(第二導電性ローラと第二液切りローラ)で液切りするステップと、
S6、第二エアブロー設備で補助液切り部(第二導電性ローラと第二液切りローラ)を通過した後の非金属フィルムをエアブローし、表面のスプレー液を除去し、スプレー液が後続のプロセスに与える影響を回避するステップと、
S7、非金属フィルムがテンションローラを通過した後に他の工程の設備に入らせるステップと、を含む。
【0036】
本発明はめっき槽と第一導電性ローラ、第一液切りローラとの間に第一エアブロー設備を追加し、かつ第一導電性ローラと第一液切りローラの後にスプレー部を追加することで、非金属フィルムによってめっき槽から連れ出されるめっき液を減らし、さらにスプレー操作で第一導電性ローラと第一液切りローラにおけるめっき液を希釈、洗浄し、第一導電性ローラと第一液切りローラに残留めっき液がほとんど、または完全にないようにし、めっき液の結晶化を解消し、それによってフィルム表面の凸凹を減らし、銅フィルム製品の品質を高める。
【0037】
当業者であれば、上記説明に基づく改善または変更が可能であることは、当然理解されるものであり、すべての改善と変更は本発明に添付の特許請求の保護範囲に属する。
【0038】
以上は図面とともに本発明を例示的に説明したが、本発明の実現は上記方式に限定されるものではないことは明らかであり、本発明の方法、構想、及び技術的解決手段を用いて行った様々な改良、または本発明の構想と技術的解決手段に改良を加えず直接他の場合に応用したものは、すべて本発明の保護範囲内である。
【0039】
本発明はめっき槽と液切り部との間にエアブロー設備を追加することで、非金属フィルムによってめっき槽から連れ出されためっき液を十分に減少させ、めっき液が液切り部に与える影響を減らし、さらに液切り部の後にスプレー部を追加し、スプレー部で液切り部におけるめっき液を希釈、洗浄し、液切り部におけるめっき液の結晶化を防ぎ、それによって液切り部に残留めっき液がほとんど、または完全にないようにし、めっき液の結晶化を防止し、したがって結晶がもたらす非金属フィルムの破れや凸凹を回避し、めっき製品の品質を十分に高める。よって、本発明の電気めっき装置の液切り部におけるめっき液の結晶化を防止するための装置及び方法は実用性を有する。
【符号の説明】
【0040】
10 めっき槽
11 めっき液
20 非金属フィルム
30 第一エアブロー設備
41 第一導電性ローラ
42 第一液切りローラ
50 スプレー部
61 第二導電性ローラ
62 第二液切りローラ
70 第二エアブロー設備
80 テンションローラ
90 受液槽