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▶ アシムケム ラボラトリーズ (ターンジン) カンパニー リミテッドの特許一覧

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  • 特許-キラルジアミン化合物の合成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】キラルジアミン化合物の合成方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 13/00 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
C12P13/00 ZNA
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022551243
(86)(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-11
(86)【国際出願番号】 CN2020082594
(87)【国際公開番号】W WO2021168987
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-09-02
(31)【優先権主張番号】202010118060.9
(32)【優先日】2020-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522152821
【氏名又は名称】アシムケム ラボラトリーズ (ターンジン) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ホーン,ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ,ゲージ
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,イー
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン,ナー
(72)【発明者】
【氏名】リ,シャン
(72)【発明者】
【氏名】ジァン,シャンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ヂャオ,トン
【審査官】馬場 亮人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/148494(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第110616236(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 13/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キラルジアミン化合物の合成方法であって、
トランスアミナーゼを利用して式Iで表される基質を前記キラルジアミン化合物に変換することを含み、
【化29】
式I
式中、n=1~10であり、
R基はアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロ原子含有アルキル基、ヘテロ原子含有シクロアルキル基、ヘテロ原子含有アリール基、アミド類化合物残基またはエーテル類化合物残基であり、ここでは、前記ヘテロ原子はO、SおよびNの少なくとも1つであり、
R1、R2は同一または異なり、R1およびR2はそれぞれ独立して水素、C1~C3アルキルまたはアミノ基保護基であり、
前記基質は、
【化30】
のうちから選択されるいずれか1つであり、
前記トランスアミナーゼは、ChromobacteriumviolaceumDSM30191(CVTA)、FonsecaeapedrosoiCBS 271.37、Klebsiellapneumoniaesubsp.pneumoniaeEcl8、Mycobacteriumgoodii、Paracoccusdenitrificans、Penicilliumbrasilianum、Enterobactersp.TL3、AspergillusterreusNIH2624、Exophialaspinifera、Deinococcusgeothermalis(strainDSM11300)、Geomycesdestructans20631-21(GdTA)inE.coli、PseudomonasputidaKT2440、Lysinibacillussphaericus、BacillusmegateriumDSM319、Trichodermaharzianum、AspergillusfumigatusR-ATAs(AspFum)、Geobacillusthermodenitrificanssubsp.thermodenitrificansDSM465、CladophialophorabantianaCBS173.52、Bacillusmegaterium、BurkholderiathailandensisMSMB121(BtS-TA)、Klebsiellapneumoniaesubsp.pneumoniaeMGH78578、GeobacillustoebiiとTalaromycescellulolyticusに由来する、キラルジアミン化合物の合成方法。
【請求項2】
前記トランスアミナーゼは、配列番号1、配列番号2、配列番号3または配列番号4に示すアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の合成方法。
【請求項3】
前記アミノ基保護基は、tert-ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、ホルミル基、トリフルオロアセチル基、ベンジル基、トリチル基および9-フルオレニルメトキシカルボニル基のうちから選択されるいずれか1つである、請求項1に記載の合成方法。
【請求項4】
前記合成方法は、
リン酸緩衝液をアミノドナーと混合して第1混合液を得ること、
前記第1混合液に前記式Iで表される基質を添加して、第2混合液を得ること、
前記第2混合液に前記トランスアミナーゼを添加して、反応混合液を得ること、
前記反応混合液から前記キラルジアミン化合物を分離して得ること、を含む、請求項1に記載の合成方法。
【請求項5】
前記第1混合液に前記基質を添加する前に、前記合成方法は、前記第1混合液のpH値を7.0~9.0に調整することをさらに含む、請求項4に記載の合成方法。
【請求項6】
前記第2混合液に前記トランスアミナーゼを添加し、前記トランスアミナーゼを添加した前記第2混合液のpHを7.0~9.0に調整して、前記反応混合液を得る、請求項5に記載の合成方法。
【請求項7】
前記反応混合液から前記キラルジアミン化合物を分離して得ることは、
前記反応混合液の酸性度を調整して前記トランスアミナーゼを変性させること、
変性した前記トランスアミナーゼを濾過して除去し、予備濾液を得ること、
前記予備濾液のpH値をアルカリ性に調整し、アルカリ性濾液を得ること、
前記アルカリ性濾液を抽出して、前記キラルジアミン化合物を得ること、を含む、請求項6に記載の合成方法。
【請求項8】
前記反応混合液のpH値を1~2に調整する、請求項7に記載の合成方法。
【請求項9】
前記アルカリ性濾液のpH値は12~13である、請求項7に記載の合成方法。
【請求項10】
前記抽出は複数回である、請求項7に記載の合成方法。
【請求項11】
前記抽出は2~5回である、請求項7に記載の合成方法。
【請求項12】
ジクロロメタンを用いて初回目の抽出を行い、その後、ジクロロメタンまたは酢酸エチルを用いて残りの回数の抽出を行う、請求項7に記載の合成方法。
【請求項13】
前記抽出の後に抽出した有機相を乾燥するステップをさらに含む、請求項7に記載の合成方法。
【請求項14】
毎回の抽出で得られた有機相を合わせて抽出物を得て、
前記抽出物を乾燥して、乾燥した有機相生成物を得て、
前記乾燥した有機相生成物を、温度<45℃、圧力≦-0.08Mpaの条件で留分なしまでに濃縮して、前記キラルジアミン化合物を得る、請求項7に記載の合成方法。
【請求項15】
前記トランスアミナーゼと前記基質の質量比は0.4:1~1.0:1である、請求項1~14のいずれか一項に記載の合成方法。
【請求項16】
前記基質の濃度は60g/L~100g/Lである、請求項1~14のいずれか一項に記載の合成方法。
【請求項17】
前記アミノドナーは、イソプロピルアミン、イソプロピルアミンの塩酸塩、アラニン、フェネチルアミンまたはn‐ブチルアミンから選択される、請求項4に記載の合成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキラルジアミン化合物の合成分野に関し、具体的にはキラルジアミン化合物の合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キラルジアミン化合物は、多くの生物学的活性を有する天然産物および薬物分子、例えばオルニチン、リジン、ビタミンH、薬物レバミゾールなどに広く存在する。オキサリプラチン(Oxaliplatin)分子中にジアミン化合物が存在し、一定の抗腫瘍活性を有する。ジアミン構造を有する化合物も有機合成に広く応用され、それは合成ブロックとして、窒素複素環を有効に構築することができ、またリガンドとして金属と錯体を形成して高度な反応活性を有する触媒を生成することもでき、ジアミン化合物は、液晶材料、航空材料、マイクロ電子などの分野に広く応用される。キラルジアミン化合物は、また、キラル分割試薬としてアルデヒドの鏡像異性体を分割することもできる。このため、キラルジアミンの合成は、化学者の研究の焦点となってきた(非特許文献1)。
【0003】
現在、キラルジアミン化合物の合成方法には、不斉Strecker反応(非特許文献2)、不斉Michel付加(特許文献1)、アジリジン不斉開環(特許文献2)などの方法があるが、これらの方法は基質の適用範囲と実用性にはいずれも異なる程度の限界があり、これらの方法で構成されるのは、すべて1,2-ジアミン系化合物である。不斉Michel付加およびアジリジン不斉開環は、通常、高価な金属およびキラル触媒を必要とし、これは反応系の使用を大幅に制限する。また、反応には劇毒のアジド化合物やシアノ基化試薬が使用されており、化学経路の廃ガス、廃液、廃棄物の量は非常に多く、取り扱いが困難である。
【0004】
そのため、従来の方法をどのように改善して、基質への適用範囲を拡げるかというのは、解決すべき技術問題になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】中国特許出願公開第105367427号明細書
【文献】中国特許出願公開第105753752号明細書
【非特許文献】
【0006】
【文献】Angew.Chem.Int.Ed.1998,37,2580
【文献】Chem.Rev.,2011,111,6947
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主な目的は、従来技術における方法が基質に対する適用範囲に限界があるという問題を解決するためのキラルジアミン化合物の合成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、キラルジアミン化合物の合成方法を提供し、該合成方法は、トランスアミナーゼを利用して式Iで表される基質をキラルジアミン化合物に変換することを含み、
【化1】
式I
式中、n=1~10であり、R基は、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロ原子含有アルキル基、ヘテロ原子含有シクロアルキル基、ヘテロ原子含有アリール基、アミド類化合物残基またはエーテル類化合物残基であり、ここでは、ヘテロ原子は、O、SおよびNの少なくとも1つであり、R1、R2は、同一または異なり、R1およびR2は、それぞれ独立して水素、C1~C3アルキルまたはアミノ基保護基であり、トランスアミナーゼは、ChromobacteriumviolaceumDSM30191(CVTA)(NCBIReferenceSequence:WP_011135573.1)、FonsecaeapedrosoiCBS271.37(NCBIReferenceSequence:XP_013286281.1)、Klebsiellapneumoniaesubsp.pneumoniaeEcl8(GenBank:CCN29541.1)、Mycobacteriumgoodii(GenBank:AKS36000.1)、Paracoccusdenitrificans(NCBIReferenceSequence:WP_011746975.1)、Penicilliumbrasilianum(GenBank:CEJ55334.1)、Enterobactersp.TL3(NCBIReferenceSequence:WP_014885677.1)、AspergillusterreusNIH2624(NCBIReferenceSequence:XP_001209325.1)、Exophialaspinifera(NCBIReferenceSequence:XP_016233821.1)、Deinococcusgeothermalis(strainDSM 11300)(NCBIReferenceSequence:WP_011530545.1)、Geomycesdestructans20631-21(GdTA)inE.coli(GenBank:ELR05573.1)、PseudomonasputidaKT2440(NCBIReferenceSequence:WP_010954554.1)、Lysinibacillussphaericus(NCBIReferenceSequence:WP_024363741.1)、BacillusmegateriumDSM319(NCBIReferenceSequence:WP_013082219.1)、Trichodermaharzianum(GenBank:KKP07030.1)、AspergillusfumigatusR-ATAs(AspFum)(NCBIReferenceSequence:XP_748821.1)、Geobacillusthermodenitrificanssubsp.thermodenitrificansDSM465(NCBIReferenceSequence:WP_008879436.1)、CladophialophorabantianaCBS173.52(NCBIReferenceSequence:XP_016617948.1)、Bacillusmegaterium(NCBIReferenceSequence:WP_016763026.1)、BurkholderiathailandensisMSMB121(BtS-TA)(GenBank:AGK49399.1)、Klebsiellapneumoniaesubsp.pneumoniaeMGH78578(NCBIReferenceSequence:WP_002920226.1)、Geobacillustoebii(NCBIReferenceSequence:WP_062753894.1)およびTalaromycescellulolyticus(GenBank:GAM37533.1)に由来する。
【0009】
さらに、トランスアミナーゼは配列番号1、配列番号2、配列番号3または配列番号4に示すアミノ酸配列を有する。
【0010】
さらに、アミノ基保護基は、tert-ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、ホルミル基、トリフルオロアセチル基、ベンジル基、トリチル基および9-フルオレニルメトキシカルボニル基のうちから選択されるいずれか1つである。
【0011】
さらに、基質は、
【化2】
のうちから選択されるいずれか1つである。
【0012】
さらに、合成方法は、リン酸緩衝液とアミノドナーを混合し、第1混合液を得て、第1混合液に式Iで表される基質を添加し、第2混合液を得ること、第2混合液にトランスアミナーゼを添加して、反応混合液を得ること、反応混合液からキラルジアミン化合物を分離して得ること、を含む。
【0013】
さらに、第1混合液に基質を添加する前に、合成方法は、第1混合液のpH値を7.0~9.0に調整することをさらに含み、好ましくは、第2混合液にトランスアミナーゼを添加し、かつトランスアミナーゼを添加した第2混合液のpHを7.0~9.0に調整して、反応混合液を得る。
【0014】
さらに、反応混合液からキラルジアミン化合物を分離して得ることは、反応混合液の酸性度を調整してトランスアミナーゼを変性させることを含み、好ましくは、反応混合液のpH値を1~2に調整し、変性後のトランスアミナーゼを濾過除去して予備濾液を得ること、予備濾液のpH値をアルカリ性に調整して、アルカリ性濾液を得て、アルカリ性濾液を抽出して、キラルジアミン系化合物を得て、好ましくは、アルカリ性濾液のpH値は、12~13であり、好ましくは、抽出は、複数回であり、より好ましくは、2~5回であり、より好ましくは、ジクロロメタンを用いて初回目の抽出を行い、その後、ジクロロメタンまたは酢酸エチルを用いて残りの回数の抽出を行う。
【0015】
さらに、抽出後に抽出した有機相を乾燥するステップをさらに含み、好ましくは、毎回の抽出で得られた有機相を合わせて抽出物を得て、抽出物を乾燥して、乾燥した有機相生成物を得て、乾燥した有機相生成物を、温度<45℃、圧力≦-0.08Mpaの条件で留分なしまでに濃縮して、キラルジアミン系化合物を得る。
【0016】
さらに、トランスアミナーゼと基質の質量比は0.4:1~1.0:1である。
さらに、基質の濃度は60g/L~100g/Lである。
【0017】
さらに、アミノドナーは、イソプロピルアミン、イソプロピルアミンの塩酸塩、アラニン、フェネチルアミンまたはn-ブチルアミンから選択される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の技術案を応用し、トランスアミナーゼを用いて式1に示される基質に特異性を有し、このような基質のキラルジアミン化合物への変換を効果的に触媒することができ、かつ、該トランスアミナーゼの複数種の式1に示される基質に対する反応選択性と活性はいずれも高い。したがって、該生物酵素を利用してキラルジアミン化合物を触媒合成することは、より広範な基質(従来技術反応で得られたものは、いずれも1,2-ジアミン系化合物であるが、本出願では1,3-ジアミン、1,4-ジアミンなどの化合物を合成することもできる。)に適用するだけでなく、この合成方法は、経路が短く、製品収率が高く、生産コストを大幅に削減させ、有機溶媒と廃ガス、廃液、廃棄物の生成を減少させる。
【0019】
本出願の一部を構成する図面は、本発明のより深い理解を提供するために用いられ、本発明の概略的な実施例およびその説明は、本発明を解釈するために用いられ、本発明の不当な限定を構成するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例11における異なる酵素量の同じ量の基質の変換率に対する影響を示す図である。
図2】本発明の実施例12における同じ酵素量の異なる濃度の基質の変換率に対する影響を示す図である。
図3】本発明の実施例13における異なるアミノドナーの同じ反応における基質の変換率に対する影響を示す図である。
図4】本発明の実施例14における異なる供給源のトランスアミナーゼが同じ基質に対していずれも変換活性を有することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
なお、本出願における実施例および実施例における特徴は、矛盾することなく相互に組み合わせてもよい。以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
【0022】
背景技術で述べたように、従来技術では、キラルジアミン化合物の合成方法が基質に対する適用範囲に限界があるという問題がある。この状況を改善するために、本出願の発明者らは、効率的で環境に優しいという観点から、従来の合成経路を改善しようと試みた。研究過程において、本発明者らは、出願者によって自ら開発されたトランスアミナーゼが、PLPを補酵素とするトランスアミナーゼが有する、ケトン系化合物を触媒する汎用触媒活性に加えて、さまざまな異なる基質を触媒し、それらをキラルジアミン化合物に変換する活性もある。さらなる研究により、該トランスアミナーゼを使用してキラルジアミン化合物を触媒合成すると、基質の種類が広いだけでなく、一段階反応で目的の生成物を得ることができることがわかった。該トランスアミナーゼを用いた生物学的変換反応の選択性が非常に高いため、目的生成物のee値が大幅に向上した。また、生物酵素触媒反応を採用して、基質の使用量を向上させ、生産効率を大幅に向上させることができ、有機溶剤と廃ガス、廃液、廃棄物の発生を減少させる。
【0023】
上記の研究結果に基づいて、出願人は本出願の技術案を提出した。本出願の典型的な実施形態では、キラルジアミン化合物の合成方法を提供し、該合成方法は、トランスアミナーゼを利用して、式Iで表される基質を、キラルジアミン化合物に変換することを含み、
【化3】
式中、n=1~10であり、R基は、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロ原子含有アルキル基、ヘテロ原子含有シクロアルキル基、ヘテロ原子含有アリール基、アミド類化合物残基またはエーテル類化合物残基であり、R1、R2は、同一または異なり、R1およびR2は、それぞれ独立して水素、C1~C3アルキルまたはアミノ基保護基であり、該トランスアミナーゼは、ChromobacteriumviolaceumDSM30191(CVTA)(NCBIReferenceSequence:WP_011135573.1)、FonsecaeapedrosoiCBS271.37(NCBIReferenceSequence:XP_013286281.1)、Klebsiellapneumoniaesubsp.pneumoniaeEcl8(GenBank:CCN29541.1)、Mycobacteriumgoodii(GenBank:AKS36000.1)、Paracoccusdenitrificans(NCBIReferenceSequence:WP_011746975.1)、Penicilliumbrasilianum(GenBank:CEJ55334.1)、Enterobactersp.TL3(NCBIReferenceSequence:WP_014885677.1)、AspergillusterreusNIH2624(NCBIReferenceSequence:XP_001209325.1)、Exophialaspinifera(NCBIReferenceSequence:XP_016233821.1)、Deinococcusgeothermalis(strainDSM11300)(NCBIReferenceSequence:WP_011530545.1)、Geomycesdestructans20631-21(GdTA)inE.coli(GenBank:ELR05573.1)、PseudomonasputidaKT2440(NCBIReferenceSequence:WP_010954554.1)、Lysinibacillussphaericus(NCBIReferenceSequence:WP_024363741.1)、BacillusmegateriumDSM319(NCBIReferenceSequence:WP_013082219.1)、Trichodermaharzianum(GenBank:KKP07030.1)、AspergillusfumigatusR-ATAs(AspFum)(NCBIReferenceSequence:XP_748821.1)、Geobacillusthermodenitrificanssubsp.thermodenitrificansDSM465(NCBIReferenceSequence:WP_008879436.1)、CladophialophorabantianaCBS173.52(NCBIReferenceSequence:XP_016617948.1)、Bacillusmegaterium(NCBIReferenceSequence:WP_016763026.1)、BurkholderiathailandensisMSMB121(BtS-TA)(GenBank:AGK49399.1)、Klebsiellapneumoniaesubsp.pneumoniaeMGH78578(NCBIReferenceSequence:WP_002920226.1)、Geobacillustoebii(NCBIReferenceSequence:WP_062753894.1)とTalaromycescellulolyticus(GenBank:GAM37533.1)に由来する。
【0024】
好ましくは、該トランスアミナーゼは、配列番号1、配列番号2、配列番号3または配列番号4に示されるアミノ酸配列を有し、それぞれは以下のとおりである:
MQKQRTCSQWRELDAAHHLHPFTDTASLNQAGARVMTRGEGVYLWDCEGNKIIDGMAGLWCVNVGYGRKDFAEAARRQMEELPFYNTFFKTTHPAVVELSSLLAEVTPAGFDRVFYTNSGSESVDTMIRMVRRYWDVQGKPEKKTLIGRWNGYHGSTIGGASLGGMKYMHEQGDLPIPGMAHIEQPWWYKHGKDMTPDEFGVVAARWLEEKILEIGADKVAAFVGEPIQGAGGVIVPPATYWPEIERICRKYDVLLVADEVICGFGRTGEWFGHQHFGFQPDLFTAAKGLSSGYLPIGAVFVGKRVAEGLIAGGDFNHGFTYSGHPVCAAVAHANVAALRDEGIVQRVKDDIGPYMQKRWRETFSRFEHVDDVRGVGMVLAFTLVKNKAKRELFPDFGEIGTLCRDIFFRNNLIMTACGDHIVSAPPLVMTRAEVDEMLAVAERCLEEFEQTLKARGLA(配列番号1)。
【0025】
MQKQRTCSQWRELDAAHHLHPFTDTASLNQAGARVMTRGEGVYLWDCEGNKIIDGMAGLWCVNVGYGRKDFAEAARRQMEELPFYNTFYKTTHPAVVELSSLLAEVTPAGFDRVFYTNSGSESVDTMIRMVRRYWDVQGKPEKKTLIGRWWGYHGSTIGGASLGGFKYMHEQGDLPIPGMAHIEQPWWYKHGKDMTPDEFGVVAARWLEEKILEIGADKVAAFVGEPIQGAGGVIVPPATYWPEIERICRKYDVLLVADEVICGFGRTGEWFGHQHFGFQPDLFTAAKGLSSGYLPIGAVFVGKRVAEGLIAGGDFNHGFTYSGHPVCAAVAHANVAALRDEGIVQRVKDDIGPYMQKRWRETFSRFEHVDDVRGVGMLLAFTLVKNKAKRELFPDFGEIGTLCRDIFFRNNLIMDSCGDHIVAAPPLVMTRAEVDEMLAVAERCLEEFEQTLKARGLA(配列番号2)。
【0026】
MQKQRTCSQWRELDAAHHLHPFTDTASLNQAGARVMTRGEGVYLWDCEGNKIIDGMAGLWCVNVGYGRKDFAEAARRQMEELPFYNTFYKTTHPAVVELSSLLAEVTPAGFDRVFYTNSGSESVDTMIRMVRRYWDVQGKPEKKTLIGRWWGYHGSTIGGASLGGFKYMHEQGDLPIPGMAHIEQPWWYKHGKDMTPDEFGVVAARWLEEKILEIGADKVAAFVGEPIQGAGGVIVPPATYWPEIERICRKYDVLLVADEVICGFGRTGEWFGHQHFGFQPDLFTAAKGLSSGYLPIGAVFVGKRVAEGLIAGGDFNHGFTYSGHPVCAAVAHANVAALRDEGIVQRVKDDIGPYMQKRWRETFSRFEHVDDVRGVGMLLAFTLVKNKAKRELFPDFGEIGTLCRDIFQRNNLIMDSCGDHIVSAPPLVMTRAEVDEMLAVAERCLEEFEQTLKARGLA(配列番号3)。
【0027】
MQKQRTCSQWRELDAAHHLHPFTDTASLNQAGARVMTRGEGVYLWDCEGNKIIDGMAGLWCVNVGYGRKDFAEAARRQMEELPFYNTFYKTTHPAVVELSSLLAEVTPAGFDRVFYTNSGSESVDTMIRMVRRYWDVQGKPEKKTLIGRWWGYHGSTIGGASLGGFKYMHEQGDLPIPGMAHIEQPWWYKHGKDMTPDEFGVVAARWLEEKILEIGADKVAAFVGEPIQGAGGVIVPPATYWPEIERICRKYDVLLVADEVICGFGRTGEWFGHQHFGFQPDLFTAAKGLSSGYLPIGAVFVGKRVAEGLIAGGDFNHGFTYSGHPVCAAVAHANVAALRDEGIVQRVKDDIGPYMQKRWRETFSRFEHVDDVRGVGMLLAFTLVKNKAKRELFPDFGEIGTLCRDIFHRNNLIMDSCGDHIVSAPPLVMTRAEVDEMLAVAERCLEEFEQTLKARGLA(配列番号4)。
【0028】
以上に述べたように、本出願の上記トランスアミナーゼは、式1に示される基質に基質特異性を有し、このような基質のキラルジアミン化合物への変換を効果的に触媒することができ、かつ、該トランスアミナーゼの複数種の式1に示される基質に対する反応選択性と活性はいずれも高い。したがって、該生物酵素を利用してキラルジアミン化合物を触媒合成することは、より広範な基質(従来技術反応で得られたものは、いずれも1,2-ジアミン系化合物であるが、本出願では1,3-ジアミン、1,4-ジアミンなどの化合物を合成することもできる。)に適用するだけでなく、この合成方法は、経路が短く、製品収率が高く、生産コストを大幅に削減させ、有機溶媒と廃ガス、廃液、廃棄物の生成を減少させる。
【0029】
上記基質中の「ヘテロ原子含有アルキル基、ヘテロ原子含有シクロアルキル基、ヘテロ原子含有アリール基」のうちのヘテロ原子は、O、SおよびNのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0030】
上記の配列番号1、配列番号2、配列番号3と配列番号4に示されるアミノ酸配列を有するトランスアミナーゼは、いずれもω-トランスアミナーゼ(ω-transaminase)であるChromobacteriumviolaceumDSM30191(CVTA)に由来する。
【0031】
上記のアミノ基保護基は、tert-ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、ホルミル基、トリフルオロアセチル基、ベンジル基、トリチル基または9-フルオレニルメトキシカルボニル基を含むがこれらに限定されない。
【0032】
一つの好ましい実施例では、式Iで表される基質は、
【化4】
のうちから選択されるいずれかである。
【0033】
本出願のトランスアミナーゼは、上記の式Iに示される基質に対して触媒活性および立体選択性を有する。
【0034】
本出願のトランスアミナーゼを用いて式Iに示される基質へのアミノ基転移反応を触媒する具体的なステップは、従来のアミノ基転移反応と類似している。一つの好ましい実施例では、上記合成方法は、リン酸緩衝液とアミノドナーを混合し、第1混合液を得て、第1混合液に式Iで表される基質を添加し、第2混合液を得ること、第2混合液にトランスアミナーゼを添加して、反応混合液を得ること、反応混合液からキラルジアミン化合物を分離して得ること、を含む。
【0035】
該合成方法は、上記段階的な反応によって、反応体積を減少させ、トランスアミナーゼの基質に対する触媒活性と効率を高くし、したがって高い製品収率を得て、生産効率を向上させる。
【0036】
一つの好ましい実施例では、合成方法は、第1混合液に式Iで表される基質を添加する前に、第1混合液のpH値を7.0~9.0に調整することをさらに含み、好ましくは、第2混合液にトランスアミナーゼを添加し、かつトランスアミナーゼを添加した第2混合液のpHを7.0~9.0に調整して、反応混合液を得る。
【0037】
上記好ましい実施例では、式Iに示される基質を第1混合液に添加する前に、第1混合液のpH値を調整し、酵素を添加する前に酵素反応に最適なpHに調整することにより、酵素の添加中の不活性化が防止される。一方、第2混合液へのトランスアミナーゼの添加後もシステムのpH値を調整し、その作用は反応が最適pHで進行することを確保することである。上記2回のpH値調整の範囲は、一致することが好ましく、例えば、前に7.8に調整され、トランスアミナーゼの添加後も同様に7.8に調整される。
【0038】
上記の、反応後の混合液から目的生成物を分離して得るステップは、公知の分離、精製方法により行えばよい。一つの好ましい実施例では、反応混合液からキラルジアミン化合物を分離して得ることは、反応混合液の酸性度を調整してトランスアミナーゼを変性させることを含み、好ましくは、反応混合液のpH値を1~2に調整し、変性後のトランスアミナーゼを濾過除去して予備濾液を得ること、予備濾液のpH値をアルカリ性に調整して、アルカリ性濾液を得て、アルカリ性濾液を抽出して、キラルジアミン化合物を得て、好ましくは、アルカリ性濾液のpH値は、12~13であり、好ましくは、抽出は、複数回であり、より好ましくは、2~5回であり、より好ましくは、ジクロロメタンを用いて初回目の抽出を行い、その後、ジクロロメタンまたは酢酸エチルを用いて残りの回数の抽出を行う。
【0039】
酸性度を調整する手段を用いて反応後の酵素タンパク質を変性させることは、他の変性手段(例えば高温、塩基調整または塩析)と比較して、変性が徹底的であり、生成物の多くが酸性条件下で安定的であり、その後の操作が直接、酸性条件下でシステムの他の不純物を抽出することができるという利点を有する。ジクロロメタンを用いた初回目の抽出の目的は、システム中の酸性条件で抽出され得る不純物を除去することである。他の抽出溶媒(例えば酢酸エチル、メチルtert-ブチルエーテル、または酢酸イソプロピル)による抽出よりも抽出効率が高いという利点がある。
【0040】
純度と収率をさらに向上させるために、1つの好ましい実施例において、抽出後に抽出した有機相を乾燥するステップをさらに含み、好ましくは、毎回の抽出で得られた有機相を合わせて抽出物を得て、抽出物を乾燥して、乾燥した有機相生成物を得て、乾燥した有機相生成物を、温度<45℃、圧力≦-0.05Mpaの条件で留分なしまでに濃縮する(乾燥の目的は、製品中の水分含有量を減少させることであり、圧力の大きさは、濃縮速度に影響を与える。)。
【0041】
一つの好ましい実施例では、トランスアミナーゼと式Iで表される基質の質量比は0.4:1~1.0:1であり、該質量比で反応すると、基質に対する変換率は92%以上に達することができる。
【0042】
一つの好ましい実施例では、式Iで表される基質の濃度は、60g/L~100g/Lである。この濃度範囲で、生物酵素を用いて反応を行い、基質の変換率が95%以上に達するだけでなく、生産効率の向上に寄与し、有機溶剤と廃ガス、廃液、廃棄物の発生を減少させる。
【0043】
一つの好ましい実施例では、アミノドナーは、イソプロピルアミン、イソプロピルアミンの塩酸塩、アラニン、フェネチルアミンまたはn-ブチルアミンから選択される。
【0044】
以下、具体的な実施例に関連して本出願の有益な効果をさらに説明する。なお、以下の実施例における室温とは、10~25℃の常温範囲内の温度をいい、以下の実施例1~15で用いたトランスアミナーゼは、配列番号4に示されるトランスアミナーゼである。
(実施例1)
室温で250mLの四つ口フラスコに50mLの100mmol/Lリン酸塩緩衝液(5vol)、24mLの5mol/Lイソプロピルアミン塩酸塩溶液(2.4vol、3eq)を添加し、pH=7.5~8.0に調整する。続いて0.1gのピリドキサールリン酸(1wt%)、10gの
【化5】
を添加し、均一になるまで撹拌し、続いてトランスアミナーゼ液10ml(0.5wt、0.5g/ml)を加えて、pH=7.5~8.0に調整する。温度を30℃に上げ、撹拌して一晩反応させる。完全に反応した後、システムの酸性度をpH=1に調整し、タンパク質を変性させる。濾過後の濾液を50mLのジクロロメタンで抽出する。水相でpH=12に調整してから、ジクロロメタン50mlで3回抽出する。有機相を合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、有機相をT<35℃、P≦-0.06Mpaの条件で留分なしまでに濃縮する。目的生成物
【化6】
を得る。
【0045】
HPLCで測定すると、純度>98%で、ee値>99%で、収率90%である。
(実施例2)
室温で250mLの四つ口フラスコに60mLの100mmol/Lリン酸塩緩衝液(6vol)、18mLの5mol/Lイソプロピルアミン塩酸塩溶液(1.8vol、3eq)を添加し、pH=8.0~8.5に調整する。続いて0.1gのピリドキサールリン酸(1wt%)、10gの
【化7】
を添加し、均一になるまで撹拌し、続いてトランスアミナーゼ液10ml(0.5wt、0.5g/ml)を加えて、pH=8.0~8.5に調整する。温度を20℃に調整し、撹拌して一晩反応させる。完全に反応した後、システムの酸性度をpH=2に調整し、タンパク質を変性させる。濾過後の濾液を50mLのジクロロメタンで抽出する。水相でpH=13に調整してから、酢酸エチル50mlで3回抽出する。有機相を合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、有機相をT<45℃、P≦-0.08Mpaの条件で留分なしまでに濃縮する。目的生成物
【化8】
を得る。
【0046】
HPLCで測定すると、純度>92%で、ee値>99%で、収率86%である。
(実施例3)
室温で250mLの四つ口フラスコに70mLの100mmol/Lリン酸塩緩衝液(7vol)、13mLの5mol/Lイソプロピルアミン塩酸塩溶液(1.3vol、3eq)を添加し、pH=7.0~7.5に調整する。続いて0.1gのピリドキサールリン酸(1wt%)、10gの
【化9】
を添加し、均一になるまで撹拌し、続いてトランスアミナーゼ液10ml(0.5wt、0.5g/ml)を加えて、温度を50℃に上げ、撹拌して一晩反応させる。完全に反応した後、システムの酸性度をpH=1に調整し、タンパク質を変性させる。濾過後の濾液を50mLのジクロロメタンで抽出する。水相でpH=13に調整してから、ジクロロメタン50mlで3回抽出する。有機相を合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、有機相をT<35℃、P≦-0.06Mpaの条件で留分なしまでに濃縮する。目的生成物
【化10】
を得る。
【0047】
HPLCで測定すると、純度>97%で、ee値>99%で、収率78%である。
(実施例4)
室温で250mLの四つ口フラスコに50mLの100mmol/Lリン酸塩緩衝液(5vol)、38mLの5mol/Lイソプロピルアミン塩酸塩溶液(3.8vol、3eq)を添加し、pH=8.5~9.0に調整する。続いて0.1gのピリドキサールリン酸(1wt%)、10gの
【化11】
を添加し、均一になるまで撹拌し、続いてトランスアミナーゼ液10ml(0.5wt、0.5g/ml)を加えて、pH=8.5~9.0に調整する。温度を10℃に調整し、撹拌して一晩反応させる。完全に反応した後、システムの酸性度をpH=2に調整し、タンパク質を変性させる。濾過後の濾液を50mLのジクロロメタンで抽出する。水相でpH=13に調整してから、ジクロロメタン50mlで3回抽出する。有機相を合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、有機相をT<35℃、P≦-0.06Mpaの条件で留分なしまでに濃縮する。目的生成物
【化12】
を得る。
【0048】
HPLCで測定すると、純度>95%で、ee値>99%で、収率:79%である。
(実施例5)
室温で250mLの四つ口フラスコに70mLの100mmol/Lリン酸塩緩衝液(7vol)、17mLの5mol/Lイソプロピルアミン塩酸塩溶液(1.7vol、3eq)を添加し、pH=7.5~8.0に調整する。続いて0.1gのピリドキサールリン酸(1wt%)、10gの
【化13】
を添加し、均一になるまで撹拌し、続いてトランスアミナーゼ液10ml(0.5wt、0.5g/ml)を加えて、pH=7.5~8.0に調整する。温度を29℃に上げ、撹拌して一晩反応させる。完全に反応した後、システムの酸性度をpH=1に調整し、タンパク質を変性させる。濾過後の濾液を50mLのジクロロメタンで抽出する。水相でpH=12に調整してから、酢酸エチル50mlで3回抽出する。有機相を合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、有機相をT<45℃、P≦-0.08Mpaの条件で留分なしまでに濃縮する。目的生成物
【化14】
を得る。
【0049】
HPLCで測定すると、純度は98%で、ee値は99%で、収率は87%である。
(実施例6)
室温で500mLの四つ口フラスコに140mLの100mmol/Lリン酸塩緩衝液(7vol)、50mLの5mol/Lイソプロピルアミン塩酸塩溶液(1.7vol、3eq)を添加し、pH=7.5~8.0に調整する。続いて0.2gのピリドキサールリン酸(1wt%)、20gの
【化15】
を添加し、均一になるまで撹拌し、続いてトランスアミナーゼ液20ml(0.5wt、0.5g/ml)を加えて、pH=7.5~8.0に調整する。温度を32℃に上げ、撹拌して一晩反応させる。完全に反応した後、システムの酸性度をpH=1に調整し、タンパク質を変性させる。濾過後の濾液を100mLのジクロロメタンで抽出する。水相でpH=12に調整してから、酢酸エチル100mlで3回抽出する。有機相を合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、有機相をT<45℃、P≦-0.08Mpaの条件で留分なしまでに濃縮する。目的生成物
【化16】
を得る。
【0050】
HPLCで測定すると、純度>97%で、ee値>99%で、収率:84%である。
(実施例7)
室温で500mLの四つ口フラスコに220mLの100mmol/Lリン酸塩緩衝液(11vol)、50mLの5mol/Lイソプロピルアミン塩酸塩溶液(2.5vol、3eq)を添加し、pH=7.5~8.0に調整する。さ続いて0.2gのピリドキサールリン酸(1wt%)、20gの
【化17】
を添加し、均一になるまで撹拌し、続いてトランスアミナーゼ液40ml(1.0wt、0.5g/ml)を加えて、pH=7.5~8.0に調整する。温度を32℃に上げ、撹拌して一晩反応させる。完全に反応した後、システムの酸性度をpH=1に調整し、タンパク質を変性させる。濾過後の濾液を100mLのジクロロメタンで抽出する。水相でpH=12に調整してから、酢酸エチル100mlで3回抽出する。有機相を合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、有機相をT<45℃、P≦-0.08Mpaの条件で留分なしまでに濃縮する。目的生成物
【化18】
を得る。
【0051】
HPLCで測定すると、純度>95%で、ee値>99%で、収率:85%である。
(実施例8)
室温で500mLの四つ口フラスコに180mLの100mmol/Lリン酸塩緩衝液(12vol)、36mLの5mol/Lイソプロピルアミン塩酸塩溶液(2.4vol、3eq)を添加し、pH=7.5~8.0に調整する。さらに0.15gのピリドキサールリン酸(1wt%)、15gの
【化19】
を添加し、均一になるまで撹拌し、続いてトランスアミナーゼ液30ml(1.0wt、0.5g/ml)を加えて、pH=7.5~8.0に調整する。温度を35℃に上げ、撹拌して一晩反応させる。完全に反応した後、システムの酸性度をpH=1に調整し、タンパク質を変性させる。濾過後の濾液を100mLのジクロロメタンで抽出する。水相でpH=12に調整してから、酢酸エチル100mlで3回抽出する。有機相を合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、有機相をT<45℃、P≦-0.08Mpaの条件で留分なしまでに濃縮する。目的生成物
【化20】
を得る。
【0052】
HPLCで測定すると、純度>96%で、ee値>99%で、収率:91%である。
(実施例9)
室温で500mLの四つ口フラスコに180mLの100mmol/Lリン酸塩緩衝液(12vol)、26mLの5mol/Lイソプロピルアミン塩酸塩溶液(1.7vol、3eq)を添加し、pH=7.5~8.0に調整する。さらに0.15gのピリドキサールリン酸(1wt%)、15gの
【化21】
を添加し、均一になるまで撹拌し、続いてトランスアミナーゼ液30ml(1.0wt、0.5g/ml)を加えて、pH=7.5~8.0に調整する。温度を40℃に上げ、撹拌して一晩反応させる。完全に反応した後、システムの酸性度をpH=1に調整し、タンパク質を変性させる。濾過後の濾液を100mLのジクロロメタンで抽出する。水相でpH=12に調整してから、酢酸エチル100mlで3回抽出する。有機相を合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、有機相をT<45℃、P≦-0.08Mpaの条件で留分なしまでに濃縮する。目的生成物
【化22】
を得る。
【0053】
HPLCで測定すると、純度>97%で、ee値>99%で、収率:90%である。
(実施例10)
室温で500mLの四つ口フラスコに110mLの100mmol/Lリン酸塩緩衝液(11vol)、23mLの5mol/Lイソプロピルアミン塩酸塩溶液(2.3vol、3eq)を添加し、pH=7.5~8.0に調整する。続いて0.1gのピリドキサールリン酸(1wt%)、10gの
【化23】
を添加し、均一になるまで撹拌し、続いてトランスアミナーゼ液10ml(0.5wt、0.5g/ml)を加えて、pH=7.5~8.0に調整する。温度を40℃に上げ、撹拌して一晩反応させる。完全に反応した後、システムの酸性度をpH=2に調整し、タンパク質を変性させる。濾過後の濾液を50mLのジクロロメタンで抽出する。水相でpH=12に調整してから、酢酸エチル50mlで3回抽出する。有機相を合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、有機相をT<45℃、P≦-0.08Mpaの条件で留分なしまでに濃縮する。目的生成物
【化24】
を得る。
【0054】
HPLCで測定すると、純度>95%で、ee値>99%で、収率:83%である。
(実施例11)
実施例2を例として、反応する酵素量を最適化する具体的操作は以下のとおりである:室温で10mLバイアル瓶に1.2mLの100mmol/Lリン酸塩緩衝液(6vol)、0.36mlの5mol/Lイソプロピルアミン塩酸塩溶液(1.8vol、3eq)を添加し、pH=8.0~8.5に調整する。さらに0.002gのピリドキサールリン酸(1wt%)、0.2gの
【化25】
を添加し、均一になるまで混合し、それぞれトランスアミナーゼ液0.04ml、0.08ml、0.12ml、0.16ml、0.2ml、0.24ml、0.28ml、0.32ml、0.36ml、0.4ml、0.44ml、0.48ml、0.52ml、0.56ml、0.6ml(酵素液の濃度は、0.5g/mlであり、対応する質量比は、それぞれ0.1wt、0.2wt、0.3wt、0.4wt、0.5wt、0.6wt、0.7wt、0.8wt、0.9wt、1.0wt、l.lwt、1.2wt、1.3wt、1.4wt、1.5wtである。)を添加し、pH=8.0~8.5に調整する。シェーカーの回転速度を170rpmにして、温度を29℃に上げて一晩反応させる。変換率の結果は、図1に示すように、0.5~1.0wt基質の変換率が99%を超え、酵素量が引き続き増大しても明らかな効果がないことを証明する。
(実施例12)
実施例2を例として、反応する基質の濃度を最適化する具体的操作は以下のとおりである:室温で10~50mLのバイアル瓶(反応体積に応じて適切な振盪瓶を選択する。)にそれぞれ0.58mL、0.66ml、0.78ml、0.9ml、1.06ml、1.24ml、1.44ml、1.74ml、2.1ml、2.56ml、3.24ml、4.24ml、5.84ml、9.24mlの100mmol/Lリン酸塩緩衝液(それぞれ2.9vol、3.3vol、3.9vol、4.5vol、5.3vol、6.2vol、7.2vol、8.7vol、10.5vol、12.8vol、16.2vol、21.2vol、29.2vol、46.2volである。)、0.36mlの5mol/Lのイソプロピルアミン塩酸塩溶液(1.8vol,3eq)を添加し、pH=8.0~8.5に調整する。さらに0.002gのピリドキサールリン酸(1wt%)、0.2gの
【化26】
(1vol,0.2ml)を添加し、均一になるまで混合し、トランスアミナーゼ酵素液0.2ml(1vol、0.5wt、酵素液濃度0.5g/ml)を添加してpH=8.0~8.5を調整する。シェーカーの回転速度を170rpmにして、温度を29℃に上げて一晩反応させる。図2に示すように、60~100g/Lの濃度で、基質の変換率は99%より大きいことを証明する。基質濃度を引き続き低下させると、反応容積が増加し、廃ガス、廃液、廃棄物量が増加し、かつ変換率はさらに明らかに向上させる効果がない。
(実施例13)
実施例2を例として、反応するアミノドナーに対する最適化の具体的操作は以下のとおりである:室温で10mLバイアル瓶(反応体積に応じて適当な振盪瓶を選択する。)に1.2mlの100mmol/Lリン酸塩緩衝液(6vol)を添加し、それぞれ3eqのアミノドナーのシステム(アミノドナーは、それぞれイソプロピルアミン、イソプロピルアミン塩酸塩、アラニン、アニリン、n-ブチルアミン)を使用し、PH=8.0~8.5に調整する。続いて0.002gのピリドキサールリン酸(1wt%)、0.2gの
【化27】
を添加し、均一になるまで混合し、トランスアミナーゼ酵素液0.2ml(0.5wt、酵素液濃度0.5g/ml)を添加してpH=8.0~8.5を調整する。シェーカーの回転速度を170rpmにして、温度を29℃に上げて一晩反応させる。変換率の結果を図3に示し、イソプロピルアミン、イソプロピルアミン塩酸塩、アラニン、n-ブチルアミンをアミノドナーとし、基質の変換率が99%より大きいことを証明する。アミノドナーとしてのアニリンの変換率は、この反応条件下で89%である。
(実施例14)
実施例1の基質を例にとると、Chromobacterium violaceumDSM30191(CVTA)(NCBIReferenceSequence:WP_011135573.1)に由来するトランスアミナーゼ番号TA1、FonsecaeapedrosoiCBS271.37(NCBIReferenceSequence:XP_013286281.1)に由来するトランスアミナーゼ番号TA2、Klebsiellapneumoniaesubsp.pneumoniaeEcl8(GenBank:CCN29541.1)に由来するトランスアミナーゼ番号TA3、Mycobacteriumgoodii(GenBank:AKS36000.1)に由来するトランスアミナーゼ番号TA4、Paracoccusdenitrificans(NCBIReferenceSequence:WP_011746975.1)に由来するトランスアミナーゼ番号TA5、Penicilliumbrasilianum(GenBank:CEJ55334.1)に由来するトランスアミナーゼ番号TA6、Enterobactersp.TL3(NCBIReferenceSequence:WP_014885677.1)に由来するトランスアミナーゼ番号TA7、AspergillusterreusNIH2624(NCBIReferenceSequence:XP_001209325.1)に由来するトランスアミナーゼ番号TA8、Exophialaspinifera(NCBIReferenceSequence:XP_016233821.1)に由来するトランスアミナーゼ番号TA9、Deinococcusgeothermalis(strainDSM11300)(NCBIReferenceSequence:WP_011530545.1)に由来するトランスアミナーゼ番号TA10、Geomycesdestructans20631-21(GdTA)inE.coli(GenBank:ELR05573.1)に由来するトランスアミナーゼ番号TA11、PseudomonasputidaKT2440(NCBIReferenceSequence:WP_010954554.1)に由来するトランスアミナーゼ番号TA12、Lysinibacillussphaericus(NCBIReferenceSequence:WP_024363741.1)に由来するトランスアミナーゼ番号TA13、BacillusmegateriumDSM319(NCBIReferenceSequence:WP_013082219.1)に由来するトランスアミナーゼ番号TA14、Trichodermaharzianum(GenBank:KKP07030.1)に由来するトランスアミナーゼ番号TA15、AspergillusfumigatusR-ATAs(AspFum)(NCBIReferenceSequence:XP_748821.1)に由来するトランスアミナーゼ番号TA16、Geobacillusthermodenitrificanssubsp.thermodenitrificansDSM465(NCBIReferenceSequence:WP_008879436.1)に由来するトランスアミナーゼ番号TA17、CladophialophorabantianaCBS173.52(NCBIReferenceSequence:XP_016617948.1)に由来するトランスアミナーゼ番号TA18、Bacillusmegaterium(NCBIReferenceSequence:WP_016763026.1)に由来するトランスアミナーゼ番号TA19、BurkholderiathailandensisMSMB121(BtS-TA)(GenBank:AGK49399.1)に由来するトランスアミナーゼ番号TA20、Klebsiellapneumoniaesubsp.pneumoniaeMGH78578(NCBIReferenceSequence:WP_002920226.1)に由来するトランスアミナーゼ番号TA21、Geobacillustoebii(NCBIReferenceSequence:WP_062753894.1)に由来するトランスアミナーゼ番号TA22、Talaromycescellulolyticus(GenBank:GAM37533.1)に由来するトランスアミナーゼ番号TA23、chromobacteriumviolaceumDSM30191(CVTA)(NCBIreferenceSequence:WP_011135573.1)に由来するトランスアミナーゼが進化して得られた突然変異体TA1-V1(対応配列配列番号1)、TA1-V2(対応配列配列番号2)。TA1-V3(対応配列配列番号3)、TA1-V4(対応配列配列番号4)に対して、10mgレベルのスクリーニング反応を行い、操作は以下のとおりである:
100mmol/Lのリン酸塩緩衝液、5mol/Lイソプロピルアミン塩酸塩溶液を体積比5:2になるように50ml溶液を配合し、さらに0.005gのピリドキサールリン酸を加え、撹拌して均一に混合する。上記の溶液0.3mlを取って、それぞれ96ウェルプレートに追加し、10mgの
【化28】
を添加し、続いて上記の酵素液0.2ml(10wt、酵素液濃度0.5g/ml)をそれぞれ添加し、シェーカーの回転速度を170rpmにし、30℃の条件で一晩反応させる。
【0055】
スクリーニング結果は、図4に示すとおりである:すべての由来の酵素が該基質に対していずれも触媒活性があることを証明し、ChromobacteriumviolaceumDSM30191(CVTA)由来のトランスアミナーゼは一番優れており、また、ChromobacteriumviolaceumDSM30191(CVTA)由来のトランスアミナーゼで突然変異して得られた、よりよい変換率を有する4つの変異体ば、変換率がいずれも99%を超える。
【0056】
以上の説明から明らかなように、本発明の上述した実施例は、以下のような技術的効果を奏する。
【0057】
1)トランスアミナーゼを用いてこの生物変換反応を行うと、一段階の反応で直接所望の目的化合物を得ることができ、基質の種類が広く適用され、特許に記載のものだけでなく、1,3-ジアミン、1,4-ジアミンなどの化合物でも、1,3-ジアミン、1,4-ジアミンなどの化合物も合成できる。
【0058】
2)トランスアミナーゼを用いてこの生物変換反応を行う選択性が非常に高く、製品のキラル純度が大幅に向上し、製品のee値が大幅に向上する。
【0059】
3)自己抽出した上記トランスアミナーゼを使用し、基質濃度は100g/Lに達することができ、生産効率を大幅に向上させる。
【0060】
4)重金属触媒、アジド化合物およびシアノ基化試薬の使用を必要とせず、トランスアミナーゼを用いて生物学的触媒を行う。グリーン化学を実現する。
【0061】
5)該トランスアミナーゼは、触媒効率が高く、反応体積が少なく、合成経路が短く、製品収率が高く、廃ガス、廃液、廃棄物を大幅に低下させ、生産コストを削減する。
【0062】
以上説明したのは、本発明の任意の実施例に過ぎず、本発明を限定するためのものではなく、当業者にとって種々の変更および変更が可能である。本発明の精神および原理の範囲内で行われたいかなる修正、均等物の置換、改良なども本発明の範囲内に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
【配列表】
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