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特許7345075人流データ管理システムおよび人流データ管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】人流データ管理システムおよび人流データ管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0201 20230101AFI20230907BHJP
【FI】
G06Q30/0201
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023029961
(22)【出願日】2023-02-28
【審査請求日】2023-03-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516278481
【氏名又は名称】株式会社グリーン・シップ
(74)【代理人】
【識別番号】100135781
【弁理士】
【氏名又は名称】西原 広徳
(74)【代理人】
【識別番号】100217227
【弁理士】
【氏名又は名称】野呂 亮仁
(72)【発明者】
【氏名】田中 明子
(72)【発明者】
【氏名】濱田 知行
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 基弘
【審査官】橋沼 和樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/046135(WO,A1)
【文献】特開2020-123011(JP,A)
【文献】特開2022-169206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人によって保持される携帯端末の位置データ、固有識別データおよび計測日時データを含有する移動ログデータを取得する移動ログデータ取得手段と、
前記移動ログデータから前記固有識別データ毎に携帯端末を保持する人の居住地を設定した居住地設定済データを生成する居住地設定済データ生成手段と、
前記移動ログデータから前記固有識別データ毎に携帯端末を保持する人の訪問地を設定した訪問地設定済データを生成する訪問地設定済データ生成手段と、
前記居住地設定済データおよび前記訪問地設定済データに基づいて、前記居住地のデータおよび前記訪問地のデータを含む複数のプリセットデータを生成するプリセットデータ生成手段と、
人流データの生成条件として指定された注目地を受け付ける受付手段と、
前記複数のプリセットデータの中から、前記注目地に対応する前記居住地のデータまたは前記注目地に対応する前記訪問地のデータを含有するプリセットデータを抽出する抽出手段とを備えた
人流データ管理システム。
【請求項2】
前記複数のプリセットデータは、訪問地のデータおよび当該訪問地を訪問した人の居住地のデータを含有する複数の流入用データを有しており、
前記抽出手段は、前記注目地として訪問地が指定された場合には前記複数の流入用データの中から、前記注目地である訪問地のデータを含有する流入用データを抽出する
請求項1記載の人流データ管理システム。
【請求項3】
前記複数のプリセットデータは、居住地のデータおよび当該居住地に居住する人が訪問した訪問地のデータを含有する複数の流出用データを有しており、
前記抽出手段は、前記注目地として居住地が指定された場合には前記複数の流出用データの中から、前記注目地である居住地のデータを含有する流出用データを抽出する
請求項1記載の人流データ管理システム。
【請求項4】
地域毎に設定された地域類型のデータを記憶する地域類型データ記憶手段をさらに備え、
前記居住地設定済データ生成手段は、前記居住地の地域に対応する地域類型のデータを含む前記居住地設定済データを生成し、
前記プリセットデータ生成手段は、前記居住地設定済データおよび前記訪問地設定済データに基づいて、前記居住地のデータと、当該居住地に対応する地域類型のデータと、前記訪問地のデータとを含む複数のプリセットデータを生成する構成である
請求項1、2または3記載の人流データ管理システム。
【請求項5】
コンピュータが、
人によって保持される携帯端末の位置データ、固有識別データおよび計測日時データを含有する移動ログデータを取得し、
前記移動ログデータから前記固有識別データ毎に携帯端末を保持する人の居住地を設定した居住地設定済データを生成し、
前記移動ログデータから前記固有識別データ毎に携帯端末を保持する人の訪問地を設定した訪問地設定済データを生成し、
前記居住地設定済データおよび前記訪問地設定済データに基づいて、前記居住地のデータおよび前記訪問地のデータを含む複数のプリセットデータを生成し、
人流データの生成条件として指定された注目地を受け付け、
前記複数のプリセットデータの中から、前記注目地に対応する前記居住地のデータまたは前記注目地に対応する前記訪問地のデータを含有するプリセットデータを抽出する
人流データ管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば、人が移動する流れを表した人流データを管理するための、人流データ管理システムおよび人流データ管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人が移動する流れを表したデータ(人流データ)を解析する技術が提案されている。たとえば、複数の地点に設置されたセンサからのセンサデータを解析し、地点間の人流の大きさ、すなわち当該地点間を移動した人数の規模を可視化するデータ解析装置が提案されている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、人流データの生成処理は、大規模なデータ処理が必要で演算負荷が大きいという問題がある。このため、人流データの生成処理における演算負荷の低減および処理の高速化が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-047763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、上述の問題に鑑みて、人流データの生成時における演算負荷を低減し、処理の高速化を図ることが可能な、人流データ管理システムおよび人流データ管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、人によって保持される携帯端末の位置データ、固有識別データおよび計測日時データを含有する移動ログデータを取得する移動ログデータ取得手段と、前記移動ログデータから前記固有識別データ毎に携帯端末を保持する人の居住地を設定した居住地設定済データを生成する居住地設定済データ生成手段と、前記移動ログデータから前記固有識別データ毎に携帯端末を保持する人の訪問地を設定した訪問地設定済データを生成する訪問地設定済データ生成手段と、前記居住地設定済データおよび前記訪問地設定済データに基づいて、前記居住地のデータおよび前記訪問地のデータを含む複数のプリセットデータを生成するプリセットデータ生成手段と、人流データの生成条件として指定された注目地を受け付ける受付手段と、前記複数のプリセットデータの中から、前記注目地に対応する前記居住地のデータまたは前記注目地に対応する前記訪問地のデータを含有するプリセットデータを抽出する抽出手段とを備えた人流データ管理システムおよび人流データ管理方法であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明により、人流データの生成時における演算負荷を低減し、処理の高速化を図ることが可能な、人流データ管理システムおよび人流データ管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明のデータ管理システムの構成の一例を示す説明図。
図2】管理サーバの補助記憶部に記憶されるデータの一例を示す説明図。
図3】注目地設定画面の画面構成の一例の説明図。
図4】注目地設定画面の画面構成の他の例の説明図。
図5】注目地設定画面の画面構成の他の例の説明図。
図6】第1種類の人流表示画面の画面構成の一例の説明図。
図7】第1種類の人流表示画面の画面構成の他の例の説明図。
図8】第1種類の人流表示画面の画面構成の他の例の説明図。
図9】第1種類の人流表示画面の画面構成の他の例の説明図。
図10】第2種類の人流表示画面の画面構成の他の例の説明図。
図11】総合人流表示画面の画面構成の一例の説明図。
図12】総合人流表示画面の画面構成の他の例の説明図。
図13】総合人流表示画面の画面構成の他の例の説明図。
図14】管理サーバにおけるデータ生成処理のフローチャート図。
図15】流入データセットの一例を示す説明図。
図16】流出データセットの一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の一実施形態を図面と共に説明する。
<システム構成>
【0010】
図1は、データ管理システム1のシステム構成の一例を示すブロック図である。データ管理システム1は、人が移動する流れを表した人流データを管理するためのシステム(人流データ管理システム)である。ただし、データ管理システム1は、人流データを可視化(表示)できるようにするための人流データ表示システムでもある。
【0011】
図1に示すように、データ管理システム1は、管理サーバ2、複数のユーザ端末3および移動ログデータサーバ4を有している。管理サーバ2と複数のユーザ端末3とは、インターネットのような通信回線(公衆ネットワーク)5を介して、相互に通信可能に接続される。また、管理サーバ2と移動ログデータサーバ4とは、有線または無線で、直接通信可能に接続される。なお、管理サーバ2と移動ログデータサーバ4とは、通信回線5を介して接続されてもよい。
【0012】
管理サーバ2および移動ログデータサーバ4は、汎用のサーバコンピュータで構成されており、ユーザ端末3は、本システムが提供する人流データ表示機能の利用者(ユーザ)が使用するコンピュータであり、タブレットPC、デスクトップPC、ノート(ラップトップ)PCまたはスマートフォンなどの汎用のコンピュータ(端末)で構成される。なお、管理サーバ2および移動ログデータサーバ4は、1台のサーバコンピュータで構成されてもよいし、複数のサーバコンピュータで構成されてもよい。
【0013】
管理サーバ2は、制御部21、入力部22、表示部23、通信部24、および補助記憶部25を備え、データを処理する演算装置としての機能や表示画面を生成するウェブサーバとしての機能を有する。入力部22、表示部23、通信部24、および補助記憶部25のそれぞれは、制御部21に接続されている。
【0014】
ユーザ端末3は、制御部31、入力部32、表示部33、通信部34、および補助記憶部35を備える。入力部32、表示部33、通信部34、および補助記憶部35のそれぞれは、制御部31に接続されている。
【0015】
制御部21は、演算部26および主記憶部27を有しており、管理サーバ2における各種演算および制御動作を実行する。制御部31は、演算部36および主記憶部37を有しており、ユーザ端末3における各種演算および制御動作を実行する。
【0016】
演算部(26、36)は、CPUまたはMPUなどを有している演算処理部である。主記憶部27、37は、RAM(DRAM)およびROMなどを有している。RAMは、演算部(26、36)のワーク領域およびバッファ領域として用いられる。ROMは、管理サーバ2またはユーザ端末3の起動プログラムや各種情報についてのデフォルト値等を記憶する。
【0017】
入力部(22、32)は、管理サーバ2の使用者(管理者)またはユーザ端末3の使用者(ユーザ)の操作入力を受け付ける入力部品、および、入力部品と演算部(26、36)との間に介在する入力検出回路を有している。入力部品は、たとえばキーボードまたは/およびコンピュータマウスであり、入力部品がキーボードである場合には、ハードウェアの操作ボタンないし操作キーが含まれる。また、入力部品としては、タッチパネルが用いられても良い。タッチパネルとしては、静電容量方式、電磁誘導方式、抵抗膜方式、赤外線方式など、任意の方式のものを用いることができる。入力検出回路は、各入力部品の操作に応じた操作信号ないし操作データを演算部(26、36)に出力する。
【0018】
表示部(23、33)は、ディスプレイ、および、ディスプレイと演算部(26、36)との間に介在する表示制御回路を有している。ディスプレイとしては、たとえばLCD(液晶ディスプレイ)または有機ELディスプレイなどを用いることができる。
【0019】
通信部(24、34)は、通信回線5に接続するための通信回路を有している。通信回路は、有線通信回路または無線通信回路であり、演算部(26、36)からの指示に従って、通信回線5を介して、外部コンピュータと通信する。また、管理サーバ2の通信部24は、通信回線5または専用回線を介して、移動ログデータサーバ4と通信する。
【0020】
補助記憶部(25、35)は、HDD、SSD、フラッシュメモリ、EEPROMなどの他の不揮発性メモリで構成され、演算部(26、36)が管理サーバ2またはユーザ端末の動作を制御するための制御プログラムおよび各種データなどを記憶する。
【0021】
管理サーバ2の補助記憶部25は、管理サーバ2の各種動作を実行するための管理プログラム28と、本システムの利用に必要となる管理データ29とを記憶している。本実施形態では、管理プログラム28は、少なくとも、移動ログデータサーバ4にアクセスしてデータのやり取りを行うためのプログラム(通信プログラムおよびデータ送受信プログラム)を有している。
【0022】
管理プログラム28および管理データ29は、必要に応じて補助記憶部25から読み出され主記憶部27(RAM)に記憶される(展開される)。管理サーバ2の動作は、演算部26が主記憶部27(RAM)に展開された管理プログラム28を実行することによって実現される。また、管理プログラム28は、ユーザ端末3のユーザプログラム38から表示対象期間と訪問者居住地または居住者訪問地を受信し、人流分析を行って、その人流分析結果をユーザプログラム38の地図表示分析プログラムが地図表示する形式に合わせたアウトプットデータをユーザ端末3へ送信する処理も実行する。また、管理プログラム28は、アクセスしてきたユーザ端末3を認証する認証機能を有している。この認証機能は、アクセス権を有するユーザ端末3またはユーザのアクセスであるかどうかを認証する機能と、データ送信要求がユーザ端末3またはユーザに対して契約している契約範囲内であるかどうかの認証機能により構成されている。また、管理プログラム28は、ユーザ端末3からデータを受信してアウトプットデータを送信したデータ提供記録を管理データ29に記録する。これにより、データ処理単位で課金する、あるいは月額固定料金で利用可能な範囲を定めてその範囲を超えるデータ処理要求を拒否するといった制御ができる。
【0023】
ユーザ端末3の補助記憶部35は、ユーザの操作入力に応じて本システムにおけるユーザ端末3の各種動作を実行するためのユーザプログラム38と、本システムの利用に必要となるユーザデータ39とを記憶している。本実施形態では、ユーザプログラム38は、少なくとも、管理サーバ2にアクセスして、管理サーバ2が提供する種々の操作画面を表示するためのプログラム(通信プログラムおよび表示プログラム)を有している。また、ユーザプログラム38は、管理サーバ2に対して表示対象期間と訪問者居住地または居住者訪問地を送信するデータ送信プログラムと、地図表示が可能な市販の適宜の地図表示分析プログラムを有していてもよい。
【0024】
ユーザプログラム38およびユーザデータ39は、必要に応じて補助記憶部35から読み出され主記憶部37(RAM)に記憶される(展開される)。ユーザ端末3の動作は、演算部36が主記憶部37(RAM)に展開されたユーザプログラム38を実行することによって実現される。
【0025】
移動ログデータサーバ4は、人が移動する流れ(人の移動履歴、すなわち人の移動ログ)を表した人流データの元になる移動ログデータを記憶するためのサーバである。移動ログデータは、人々が保持している携帯端末6の移動履歴(移動ログ)のデータであり、携帯端末6の位置データに基づいて生成されたデータである。データ管理システム1では、携帯端末6の移動ログを、その携帯端末6を保持している人の移動ログとして取り扱う。
【0026】
携帯端末6は、可搬型の情報処理装置であって、典型的にはスマートフォン、フィーチャーフォン、タブレットPCまたはウェアラブル端末等である。携帯端末6は、自機の位置データ(たとえば緯度および経度により表される、地点を示す2次元座標データ)を所定の周期(1分~20分毎)で定期的に計測する機能を有する。たとえば、携帯端末6は、GPS(Global Positioning System)等の衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を利用することにより自機の位置データを計測することができる。また、携帯端末6は、複数の無線基地局またはWi-Fi基地局からの距離に基づいて位置データを計測することもできる。位置データの計測方法は、上記の方法に限定されず、公知の方法を用いることができる。
【0027】
ここで、移動ログデータは、携帯端末6が位置データを計測する度(計測機会毎)に生成される。したがって、携帯端末6の記憶部には、計測日時が異なる複数の移動ログデータが記憶(蓄積)されている。移動ログデータは、少なくとも、携帯端末6を一意に識別可能な固有識別(端末ID)データ(端末IDデータ)、計測日時のデータ(計測日時データ)、および位置データ(座標データ)を有している。このため、移動ログデータは、端末IDデータおよび計測日時データ毎に区別可能なデータとなっている。
【0028】
携帯端末6は、それぞれ自機の移動ログデータを所定の周期(12時間~48時間毎)で移動ログデータサーバ4に送信する。ただし、携帯端末6から移動ログデータサーバ4に移動ログデータが送信される周期は、携帯端末6で位置データが計測される(移動ログデータが生成される)周期よりも長い。したがって、携帯端末6からは少なくとも2つ以上の移動ログデータが移動ログデータサーバ4に送信される。また、携帯端末6は、移動ログデータサーバ4に前回送信してから生成した全ての移動ログデータを移動ログデータサーバ4に送信する。
【0029】
移動ログデータサーバ4は、携帯端末6から送信された移動ログデータを時系列に従って記憶する。したがって、移動ログデータは、移動ログデータサーバ4に蓄積されていく。移動ログデータの送信処理は、典型的には携帯端末6がバックグラウンドで自動的に実行する。本実施形態のデータ管理システム1は、複数(多数)の携帯端末6を有している。複数の携帯端末6のそれぞれが、移動ログデータを移動ログデータサーバ4に送信する。したがって、移動ログデータサーバ4には、複数の携帯端末6のそれぞれから送信された大量の移動ログデータが蓄積されている。
【0030】
管理サーバ2は、所定の周期(5日~10日毎)で移動ログデータサーバ4にアクセスし、移動ログデータサーバ4に蓄積されている移動ログデータを取得する。ここで、管理サーバ2は、移動ログデータサーバ4に蓄積されている移動ログデータのうち、特定の期間(たとえば前回の取得日時以降から現在までの期間)に生成された移動ログデータのみを取得してもよいし、あるいは、移動ログデータサーバ4に蓄積されている全ての移動ログデータを取得してもよい。
【0031】
なお、図1に示す管理サーバ2の構成、ユーザ端末3の構成および移動ログデータサーバ4の構成は、単なる一例であり、これに限定される必要はない。たとえば、管理サーバ2および移動ログデータサーバ4は一体的に構成されていてもよい。
<データ構成>
【0032】
図2は管理サーバ2の補助記憶部25に記憶されるデータの一例を示す説明図である。管理サーバ2の補助記憶部25には、データ管理システム1で利用される各種データおよびデータの集合であるデータベース(DB)が記憶(登録)されている。図2に示すように、管理サーバ2の補助記憶部25には、移動ログデータDB50と、居住区域データDB51と、訪問区域データDB52と、地域類型データDB53と、居住地判定済データDB54と、訪問地判定済データDB55と、プリセットデータDB56などが登録される。
【0033】
移動ログデータDB50には、移動ログデータサーバ4から取得した移動ログデータが登録される。ただし、移動ログデータDB50に登録されている移動ログデータは、移動ログデータサーバ4から取得した後、修正処理(クレンジング処理)および適合処理されたデータである。たとえば、修正処理では、移動ログデータのうち、位置データとして衛星測位システムで計測された座標データ以外のデータを有しているものが削除され、衛星測位システムで計測された座標データを有している移動ログデータのみが残る。適合処理では、端末ID毎に移動ログデータを整理し、計測日時と位置データから、所定時間(判定時間、たとえば3~600分)特定の地点に留まっていたか(滞留していたか)、または特定の地点に留まらずに移動していたかを端末ID毎に判定し、移動ログデータ毎に滞留/移動フラグデータが付加される。具体的には、滞留していたと判定された場合には、滞留していたと判定された時間帯に計測日時が含まれる移動ログデータに滞留フラグデータが付加される。一方、移動していたと判定された場合には、移動していたと判定された時間帯に計測日時が含まれる移動ログデータに移動フラグデータが付加される。移動ログデータを移動ログデータサーバ4から取得する処理、クレンジング処理および適合処理は、管理プログラム28およびこれに従って動作する演算部26によって実行される。この実施例では、移動ログデータDB50には、各携帯端末6にユニークに付与されているIDであるUUID(端末ID)、緯度を示すXおよび経度を示すYのデータ(座標データ)、年月日時分秒を示すTimestamp(計測時刻データ)が記憶されている。
【0034】
居住区域データDB51には、携帯端末6を保持する人の居住地を判定するための、地理上の区域としての居住区域のデータ(居住区域データ)が登録される。居住区域データは、居住区域を一意に識別可能な固有識別データ(居住区域IDデータ)と、居住区域を構成する位置データ(2次元座標データを集合したデータ(区画データ))とを有している。居住区域の設定方法は特定の方法に限定されず、任意の方法で設定することができる。たとえば、居住区域は、都道府県、市区町村、または町域(町または字、並びに丁目など)単位で設定することができる。本実施形態では、居住区域は、町域単位で設定されており、居住区域データDB51には、町域毎の居住区域データが登録されている。なお、居住区域データは、郵便番号に従って設定されていてもよい。この実施例では、居住区域データDB51として、国勢調査町丁・字等別境界データを用いており、町丁の境界を判別するためのXYデータ(座標データ)と、その町丁に付与されているキーコードが記憶されている。このキーコードは、町丁の名称を呼び足すためのキーコードである。
【0035】
訪問区域データDB52には、携帯端末6を保持する人の訪問地を判定するための、地理上の区域としての訪問区域毎のデータ(訪問区域データ)が登録される。訪問区域データは、訪問区域を一意に識別可能な固有識別データ(訪問区域IDデータ)と、訪問区域を構成する位置データ(2次元座標データ)を集合したデータ(区画データ)とを有している。訪問区域の設定方法は特定の方法に限定されず、任意の方法で設定することができる。たとえば、訪問区域は、地図上に予め設定される所定の大きさの矩形状のメッシュ(地図メッシュ)単位で設定することができる。この場合、地図メッシュの大きさは特に限定されない。本実施形態では、訪問区域は大きさが異なる2種類の地図メッシュ単位で設定されている。具体的には、本実施形態の訪問区域は、50m四方の第1種類の地図メッシュ単位と、125m四方の第2種類の地図メッシュ単位の2種類の地図メッシュ単位とで設定されている。
【0036】
地域類型データDB53には、地域毎の住民の特性をグループ化(セグメンテーション)した地域類型のデータ(地域類型データ)が登録される。地域類型の設定方法は特定の方法に限定されず、任意の方法で設定することができる。たとえば、地域類型は、国や地方公共団体等の公的機関が公開している統計データを用いて設定することができる。この実施例では、地域類型データDB53として、国勢調査町丁・字等別境界データで用いられるキーコードと、そのキーコードに対応付けられたクラスタコードが用いられている。クラスタコードは、地域類型データを呼び出すためのコードである。このクラスタコードにより呼び出せる地域類型は、具体的には、都市基盤の整備レベル(都市部か、郊外か)、住民の年齢構成、世帯構成、職種等に応じて複数種類の地域類型を設定することができる。地域類型は、居住区域と同じ単位で設定しても良いし、居住区域とは異なる単位(たとえば居住区域は町域単位、地域類型は市区町村単位など)で設定しても良い。本実施形態では、30種類程度の地域類型が設定されており、地域類型データDB53には、それぞれの地域類型に割り当てられた地域類型データが登録されている。
【0037】
居住地判定済データDB54には、移動ログデータに基づいて端末ID毎に居住地(携帯端末6を保持する人の居住地)を判定したデータ(居住地判定済データ)が登録される。居住地判定済データの生成処理および居住地判定済データDB54への登録処理は管理プログラム28およびこれに従って動作する演算部26によって実行される。たとえば、居住地は、端末IDに紐づけられた時間毎の移動ログデータに付加された滞留フラグデータに基づいて判定される。具体的には、或る端末IDに紐づけられた移動ログデータの滞留フラグデータから、居住地判定用の時間帯(たとえば0時~5時の間)に所定時間(たとえば1時間)以上滞留した居住区域を当該端末IDに割り当てる居住地として判定する。居住地判定済データは、端末IDデータ、当該端末IDを保持する人の居住地として判定された居住区域データ、居住地として判定された居住区域データに割り当てられた地域類型データを有している。ただし、1つの端末IDデータに設定される居住地の数の上限は1つ(1か所)である。たとえば、居住地判定用の時間帯において滞留した居住区域が2か所以上存在する場合には、最も長い時間滞留した居住区域を居住地として判定する。この実施例では、居住地判定済データDB54に、各携帯端末6に付与されているユニークなIDを示すUUID、居住地の町丁を呼び出すためのKeycode(居住地)、緯度を示すX、経度を示すY、年月日を示すTimestamp、地域類型を呼び出すためのクラスタコード、日本国内を125m四方にメッシュ化したメッシュ上の位置を示す125mcode、日本国内を50m四方にメッシュ化したメッシュ上の位置を示す50mcodeが記録されている。また、居住地判定済データDB54には、拡大推計用町丁字DB(図示省略)を用いて、居住地の町丁を呼び出すためのKeycode(居住地)毎に、年代別推計携帯保有人口と、居住地判定済UUID数を記憶することが好ましい。これにより、年代別推計携帯保有人口やその居住地の重任が保有する携帯端末数を分析結果として出力できるようになる。
【0038】
訪問地判定済データDB55には、移動ログデータに基づいて端末ID毎に訪問地(携帯端末6を保持する人の訪問地)を判定したデータ(訪問地判定済データ)が登録される。訪問地判定済データの生成処理および訪問地判定済データDB55への登録処理は管理プログラム28およびこれに従って動作する演算部26によって実行される。たとえば、訪問地は、端末IDに紐づけられた移動ログデータに付加された滞留フラグデータに基づいて判定される。具体的には、或る端末IDに紐づけられた移動ログデータの滞留フラグデータから、居住地以外の訪問区域(地図メッシュ)に滞留していた場合、その訪問区域を訪問地として判定する。訪問地判定済データは、端末IDデータ、当該端末IDを保持する人の訪問地として判定された訪問区域データを有している。ただし、1つの端末IDデータに設定される訪問地の数の上限は無く、訪問地が無い場合、訪問地が1か所である場合、訪問地が複数である場合がある。
【0039】
プリセットデータDB56には、演算負荷を低減し人流データを可視化して分析しやすくするために、居住地判定済データおよび訪問地判定済データから事前に生成(事前集計)されるデータ(プリセットデータ)が登録される。プリセットデータとしては、主に、或る訪問地(訪問区域)を訪問した人の居住地(居住区域)を可視化するためのデータ(流入用データ)と、或る居住地(居住区域)に居住する人が訪問した訪問地(訪問区域)を可視化するためのデータ(流入用データ)とがある。なお、流入用データは、或る訪問地にどこから人が来たのかを可視化するためのデータということもでき、流入用データは、或る居住地に住む人がどこへ行くのかを可視化するためのデータということもできる。
<システム動作例>
【0040】
以下、図3ないし図13を参照してデータ管理システム1の動作例を説明する。ユーザの操作入力に応じてユーザ端末3が管理サーバ2にアクセスすると、ユーザ端末3の表示部33(ディスプレイ)には、種々の操作画面が表示される。以下、図3ないし図13を参照して説明する各操作画面は、ユーザ端末3のディスプレイに表示されるものとする。
【0041】
図3~5は、注目地設定画面の画面構成の一例の説明図である。図3に示す注目地設定画面100は、ユーザ端末3が管理サーバ2にアクセスした場合に、最初に表示される操作画面の一例である。注目地設定画面100は、人流データの中心地となる注目地(表示対象地)を設定するための注目地設定部110と、地図画像を表示する地図表示部120とを有している。
【0042】
注目地設定部110は、注目地を設定するためのプルダウンメニューを有している。本実施形態では、都道府県、市区町村、または町域(町または字、並びに丁目など)の3つの単位で注目地を設定することができる。すなわち、本実施形態の注目地設定部110は、都道府県を設定するためのプルダウンメニューと、市区町村を設定するためのプルダウンメニューと、町域を設定するためのプルダウンメニューとを有している。注目地は、注目地設定部110に設けられたプルダウンメニューによって設定(選択)できる。
【0043】
ただし、上位の単位の区域を設定しなければ、下位の単位の区域を設定することができない。すなわち、上位の単位の区域を設定するまでの間、下位の単位の区域を設定することが禁止されている。たとえば、都道府県を設定しなければ、市区町村および町域を設定することができず、市区町村を設定しなければ、町域を設定することができない。言い換えれば、都道府県を設定すれば市区町村を設定することが可能になり、市区町村を設定すれば町域を設定することが可能になる。
【0044】
地図表示部120には、所定地域の地図の画像(地図画像)が表示されている。たとえば、地図表示部120には、注目地および注目地の周辺を含む地図画像が表示されている。ただし、地図表示部120では、注目地121と非注目地122とが区別可能な態様で表示されている。たとえば、注目地121に適当な色彩が付され、注目地121が非注目地122よりも強調された態様で表示(強調表示)されている。このため、ユーザが注目地121を視覚的に認識しやすいという利点がある。
【0045】
また、図4および図5に示すように、より小さい単位の区域が注目地121として設定され、注目地121の面積が小さくなるにつれて、地図表示部120に表示された地図の縮尺が大きくなる。したがって、注目地121の面積が小さくなるにつれて、注目地121周辺の詳細な地図を視認することができる。したがって、注目地121が正しく設定されているかどうかを確認しやすくなる。
【0046】
さらに、図5に示すように、注目地121に予め登録された施設(登録施設)が存在している場合には、登録施設であることを示すマーク画像121aが表示される。なお、登録施設とは、スーパーマーケット、ショッピングセンター、アーケードまたは地下街等の商業施設や、駐車場、駐輪場、駅、バスターミナル、フェリー港、空港、役所、図書館、展示場または会議場等の公共施設や、遊園地(テーマパーク)、映画館、美術館、水族館等の娯楽施設等である。たとえば、マーク画像121aを選択することによって、登録施設を分析対象の施設として設定することもできる。この場合、登録施設が存在する区域が注目地121となる。
【0047】
なお、プルダウンメニューを使用した注目地の設定方法の他に、地図表示部120に表示された任意の地点を選択(クリック)することによって、選択された地点を含む地域を注目地として設定することもできる。
【0048】
また、地図メッシュ単位で注目地を設定することもできる。この場合、プルダウンメニューを使用して地図メッシュを選択するか、あるいは、地図表示部120に表示された任意の地点を選択(クリック)することによって、選択された地点を含む地図メッシュを注目地として設定することもできる。
【0049】
以上のように注目地を設定することによって、注目地を中心とした人流データを示す画面(人流表示画面)を表示することができる。たとえば、居住地としての注目地に居住している人の訪問地、訪問地としての注目地を訪問した人の居住地、または訪問地としての注目地(第1訪問地)を訪問した人の他の訪問地(第2訪問地)を示す人流データを示す人流表示画面を表示することができる。
【0050】
以下、図6図13を参照して人流表示画面の例を説明する。図6図9は、或る居住地が注目地として設定された場合に、居住地としての注目地に居住している人の訪問地を示す人流データを表示する第1種類の人流表示画面200の画面構成の一例の説明図である。
【0051】
図6図9に示すように、第1種類の人流表示画面200は、注目地として設定された居住地(対象居住地)を地図表示する対象居住地表示部210と、対象居住地の住人の訪問地を地図表示する訪問地表示部220と、表示対象時間帯に設定されている時間帯を表示する時間帯表示部230とを有している。
【0052】
対象居住地表示部210には、対象居住地211および対象居住地211の周辺を含む地図画像が表示されている。ただし、対象居住地表示部210では、対象居住地211と非対象居住地212とが区別可能な態様で表示されている。たとえば、対象居住地211が適当な色(元の地図画像では使用されていない色)で塗りつぶされており、対象居住地211が非対象居住地212よりも強調された態様で表示(強調表示)されている。このため、ユーザが対象居住地211を視覚的に認識しやすいという利点がある。
【0053】
また、対象居住地表示部210には、対象居住地211の住所を表示する住所表示部213が設けられている。住所表示部213には、対象居住地211の住所が文字表示されている。ただし、住所表示部213に表示される住所は、対象居住地211の単位に応じたものとなっている。本実施形態では、対象居住地211が町域単位で設定されており、都道府県、市区町村、および町域名まで表示されており、町域名以降の番地等は表示されていない。
【0054】
訪問地表示部220には、地図メッシュを含む地図画像が表示されている。ここでは、第2種類の地図メッシュ(大きい方の地図メッシュ)を含む地図画像が表示されている。ただし、対象居住地の住人の訪問地に相当する地図メッシュには適当な色彩(元の地図画像では使用されていない色)が付されている。また、対象居住地の住人の訪問地に相当する地図メッシュのうち、訪問した人数が多い訪問地に相当する地図メッシュと、訪問した人数が少ない訪問地に相当する地図メッシュとでは異なる色彩が付されている。このため、ユーザは、対象居住地の住人の訪問地だけでなく、それぞれの訪問地を訪れた人数も視覚的に認識することができる。たとえば、対象居住地の住人の訪問地が含まれる範囲を対象居住地の住人の行動範囲として認識することもできるし、対象居住地の住人が多く訪問する訪問地を認識することができる。このように、第1種類の人流表示画面200に表示された人流データは、対象居住地の住人の行動パターンの分析に活用することができる。
【0055】
時間帯表示部230には、対象居住地の住人のうち、対象居住地以外の地域に外出(流出)した人数(流出人口)を所定の時間帯毎に示す棒グラフ231が表示されている。本実施形態では、6時から24時までの全ての時間帯における1時間毎の流出人口を示す棒グラフ231が表示されている。このため、対象居住地の住人の流出時間帯、すなわち、対象居住地の住人がどのような時間にどのような場所に流出しているかを視覚的に認識することができる。対象居住地の住人が流出した時間は、対象居住地の住人が訪問地に滞留した時間が含まれる時間帯に割り当てられている。
【0056】
また、図6に示す例では、6時から24時までの全ての時間帯の人流データが表示されている。すなわち、全ての時間帯が人流データを表示する対象となっている時間帯(表示対象時間帯)に設定されている。ただし、表示対象時間帯は、任意の時間帯に設定(限定)することができる。
【0057】
たとえば、図7図9に示すように、表示対象時間帯を限定することができる。図7に示す例では、表示対象時間帯が朝の時間帯である7時台(7時0分~7時59分)に設定されており、図8に示す例では、表示対象時間帯が昼の時間帯である12時台~16時台(12時0分~16時59分)に設定されており、図9に示す例では、表示対象時間帯が夜の時間帯19時台~20時台(19時0分~20時59分)に設定されている。表示対象時間帯の設定方法は、特に限定されないが、たとえば、時間帯表示部230に表示されている棒グラフ231のうち、表示対象時間帯とするグラフの表示領域を選択(クリック)することによって表示対象時間帯を設定することができる。このように、時間帯を指定して人流データを表示することができる。したがって、ユーザは、時間帯毎の対象居住地の住人の行動パターンを視覚的に認識することができる。
【0058】
また、図7図9に示すように、表示対象時間帯が限定されている場合、棒グラフ231は、表示対象時間帯に対応する表示対象グラフ232と、非表示対象時間帯に対応する非表示対象グラフ233とが区別可能な態様で表示されている。したがって、ユーザは、表示対象時間帯または非表示対象時間帯を視覚的に認識することができる。
【0059】
図10は、或る訪問地が注目地(第1訪問地)として設定された場合に、第1訪問地を訪問した人の他の訪問地(第2訪問地)を示す人流データを表示する第2種類の人流表示画面(訪問地表示画面)300の画面構成の一例の説明図である。図10に示すように、訪問地表示画面300は、第2訪問地を地図表示する訪問地表示画面310と、対象人口を表示する対象人口表示部320と、第2訪問地の地域類型を示す地域類型表示部330とを有している。
【0060】
図10に示す例では、訪問地表示画面300は、羽田空港(東京国際空港)を第1訪問地(注目地)として設定した場合を示している。すなわち、図10に示す訪問地表示画面300は、は、羽田空港を訪問した人の他の訪問地(第2訪問地)を示す人流データを表示するものである。したがって、ユーザは、羽田空港に滞留した人が羽田空港以外にどのような場所を訪問しているかを視覚的に認識することができる。
【0061】
また、訪問地表示画面310では、第2訪問地に該当する地図上の場所にマーク画像が表示されている。また、地域類型のそれぞれに色が割り当てられており、マーク画像には、訪問地の地域類型に応じた色が付されている。
【0062】
地域類型表示部330には、予め登録されている地域類型がリスト表示されている。また、地域類型のそれぞれには割り当てられた色のマーク画像が表示されている。したがって、ユーザは、訪問地表示画面310に表示されたマーク画像の色と、地域類型表示部330に表示されたマーク画像の色とを照らし合わせて、第2訪問地の地域類型を視覚的に認識することができる。
【0063】
図11図13は、或る注目地を設定した場合に、その注目地を訪問地とした場合に注目地を訪問した人の居住地と、その注目地を居住地とした場合に注目地に居住している人の訪問地とを総合的に示す人流データを表示する総合人流表示画面(第3種類の人流表示画面)400の画面構成の一例の説明図である。すなわち、総合人流表示画面400は、2つ以上の観点での人流データを表示する画面ということができる。
【0064】
図11および図12に示すように、総合人流表示画面400は、訪問地としての注目地を訪問した人の居住地(訪問者居住地)と、を地図表示する居住地表示部410と、訪問地としての注目地への訪問者の数(流入人口)をグラフ表示する流入人口グラフ表示部420と、居住地としての注目地に居住している人の訪問地(居住者訪問地)を地図表示する訪問地表示部430と、居住地としての注目地に住む住人の訪問地別の人数(流出人口)をグラフ表示する流出人口グラフ表示部440と、表示対象時間帯を表示する時間帯表示部450と、訪問者居住地の地域類型を示す地域類型表示部460とを有している。
【0065】
居住地表示部410には、注目地および訪問者居住地の一部を含む地図画像が表示されている。居住地表示部410では、注目地に該当する地図上の場所にマーク画像411が表示されている。また、訪問者居住地と訪問者居住地以外の区域(訪問者非居住地)とが区別可能な態様で表示されている。具体的には、訪問者居住地は、居住区域毎に、その区域の地域類型に割り当てられた色(元の地図画像の色、すなわち訪問者非居住地の色とは異なる色)が付されている。
【0066】
また、居住地表示部410には、注目地の住所を表示する住所表示部412が設けられている。住所表示部412には、注目地の住所が文字表示されている。ただし、住所表示部412に表示される住所は、注目地の設定単位(都道府県、市区町村、または町域)に対応する表記となっている。
【0067】
流入人口グラフ表示部420では、訪問者居住地毎の訪問者の人数(流入人口)が所定の居住区域単位でグラフ表示されている。本実施形態においては、流入人口グラフ表示部420では、訪問者居住地毎の訪問者の人数が都道府県単位でグラフ表示されている。なお、訪問者居住地毎の訪問者の人数は、市区町村単位や町域単位でグラフ表示されていてもよい。
【0068】
訪問地表示部430には、注目地および居住者訪問地の一部を含む地図画像が表示されている。訪問地表示部430では、注目地に該当する地図上の場所にマーク画像431が表示されている。また、居住者訪問地と居住者訪問地以外の訪問区域(居住者非訪問地)とが区別可能な態様で表示されている。具体的には、居住者訪問地は、訪問区域(地図メッシュ)毎に、その区域の地域類型に割り当てられた色(元の地図画像の色、すなわち居住者非訪問地の色とは異なる色)が付されている。
【0069】
流出人口グラフ表示部440では、居住者訪問地毎の訪問者の人数が所定の区域単位でグラフ表示されている。本実施形態においては、流出人口グラフ表示部440では、居住者訪問地毎の訪問者の人数が都道府県単位でグラフ表示されている。居住者訪問地毎の訪問者の人数は、居住者訪問地としての地図メッシュが属する都道府県ごとにカウントされている。
【0070】
時間帯表示部450には、表示対象時間帯に設定されている時間帯が表示されている。時間帯表示部450には、所定の時間帯毎に注目地に滞留していた人の数(滞留人口)(携帯端末6の数を流出人口とみなす)を示す棒グラフが表示されている。
【0071】
地域類型表示部460は、訪問者居住地の地域類型を示すグラフが表示されている。本実施形態では、訪問者居住地の地域類型の累積数を示す第1グラフ表示部461と、地域類型の全国平均値に対する訪問者居住地の地域類型の割合を示す第2グラフ表示部462とを有している。
【0072】
また、総合人流表示画面400では、居住地表示部410と流入人口グラフ表示部420とが上下に並んで隣り合うように表示されており、訪問地表示部430と流出人口グラフ表示部440とが上下に並んで隣り合うように表示されている。すなわち、居住地表示部410および流入人口グラフ表示部420と、訪問地表示部430および流出人口グラフ表示部440とは、所定の方向に並んで隣り合うように表示されている。したがって、訪問者居住地および居住者訪問地をユーザが確認する際に、地図表示とグラフ表示とを関連付けて見比べることができ、便利である。
【0073】
さらに、総合人流表示画面400では、居住地表示部410および流入人口グラフ表示部420と、訪問地表示部430および流出人口グラフ表示部440とは、左右に並んで隣り合うように表示されている。すなわち、居住地表示部410、流入人口グラフ表示部420、訪問地表示部430および流出人口グラフ表示部440がマトリクス表示されている。したがって、訪問者居住地および居住者訪問地を地図表示とグラフ表示とで総合的に確認することができ、便利である。
【0074】
なお、図13に示すように、時間帯表示部450を省略して、地域類型表示部460を画面の上下に亘って大きく表示することもできる。このようにすれば、滞留区域に滞留していた人の地域類型をより詳細に確認することができる。
【0075】
以上の構成および動作により、本発明によれば、注目地に居住している人の訪問地、注目地を訪問した人の居住地、または注目地を訪問した人の他の訪問地を示す人流データを表示することができる。このため、ユーザの多様なニーズに対応することができ、人流データの表示に関し、利便性を向上させることができる。
<プリセットデータ生成処理例>
【0076】
データ管理システム1における上記のような動作は、プリセットデータDB56にプリセットデータが登録されていることによって演算負荷を低減し処理が高速化されている。図14は管理サーバ2におけるプリセットデータの生成処理(プリセットデータ生成処理)のフローチャート図である。以下、図14を参照してプリセットデータ生成処理について説明する。ただし、プリセットデータ生成処理は、適宜の周期(たとえば5日~10日毎)で定期的に実行されている。
【0077】
まず、プリセットデータ生成処理が開始されると、移動ログデータサーバ4から移動ログデータを取得し(ステップS1)、移動ログデータに対しクレンジング処理を施す(ステップS2)。たとえば、ステップS2のクレンジング処理では、位置データとして衛星測位システムで計測された座標データ以外のデータを有しているものを削除する。
【0078】
次に、移動ログデータに対し適合処理を施す(ステップS3)。たとえば、ステップS3の適合処理では、端末ID毎に移動ログデータを整理し、移動ログに基づいて時間帯ごとに或る地点に滞留していたか、または移動していたかを端末ID毎に判定し、滞留/移動フラグデータを付加する。
【0079】
続いて、居住区域データDB51に登録されている居住区域データを読み出し(ステップS4)、地域類型データDB53に登録されている地域類型データを読み出し(ステップS5)、移動ログデータに基づいて端末ID毎に居住地を判定し(ステップS6)、端末ID毎に居住地を判定した居住地判定済データを生成する(ステップS7)。ステップS6では、或る端末IDに紐づけられた移動ログデータの滞留フラグデータから、居住地判定用の時間帯に所定時間以上滞留した居住区域を当該端末IDに割り当てる居住地として判定する。
【0080】
続いて、訪問区域データDB52に登録されている訪問区域データを読み出す(ステップS8)。複数種類の訪問区域データが登録されている場合には、ステップS8では、全ての種類の訪問区域データを読み出す。次に、移動ログデータに基づいて端末ID毎に訪問地を判定し(ステップS9)、端末ID毎に訪問地を判定した訪問地判定済データを生成する(ステップS10)。ステップS9では、或る端末IDに紐づけられた移動ログデータの滞留フラグデータから、居住地以外の訪問区域(地図メッシュ)に滞留していた場合、その訪問区域を訪問地として判定する。そして、居住地判定済データおよび訪問地判定済データからプリセットデータを生成して(ステップS11)プリセットデータ生成処理を終了する。
【0081】
以下、ステップS11で生成されるプリセットデータの具体例について説明する。プリセットデータは、少なくとも居住地のデータおよび訪問地のデータを有している。本実施形態では、プリセットデータは、流入データと流出データを有している。図15は流入データ60の一例を示す説明図であり、図16は流出データ70の一例を示す説明図である。
【0082】
図15に示すように、流入データ60は、或る訪問地(第1訪問地)を訪問した人の居住地(居住区域)およびその他の訪問地(第2訪問地)を可視化するためのデータであり、対象訪問地(第1訪問地)データ61、端末IDデータ62、居住地データ63、地域類型データ64、および対象外訪問地(第2訪問地)データ65を有している。
【0083】
図16に示すように、流出データ70は、或る居住地(対象居住地)に居住する人が訪問した訪問地(訪問区域)を可視化するためのデータであり、対象居住地のデータである対象居住地データ71、端末IDデータ72、訪問地データ73、および地域類型データ74を有している。なお、端末IDデータ72に紐づけられた訪問地が複数存在する場合には、流出データ70は、それぞれの訪問地に対応する複数の訪問地データ73を有している。
【0084】
本発明のデータ管理システム1では、多数の流入データ60を有する流入データセットと、多数の流出データ70を有する流出データセットとがプリセットデータとしてプリセットデータDB56に登録(更新)されている。
【0085】
したがって、注目地として訪問地が指定された場合には流入データセットから指定された訪問地が対象訪問地と一致する流入データ60を抽出することによって、指定された訪問地を中心とした人流データを作成することができる。
【0086】
また、注目地として居住地が指定された場合には流出データセットから指定された居住地が対象居住地と一致する流出データ70を抽出することによって、指定された居住地を中心とした人流データを作成することができる。
【0087】
以上の構成および動作により、本発明によれば、膨大なデータ量である移動ログデータを直接処理する必要が無くなり、流入データセットまたは流出データセットから必要なデータのみを抽出して人流データを作成することができる。したがって、人流データ作成時の演算負荷の低減を図ることができ、レスポンス向上を図ることができる。
【0088】
また、本発明によれば、プリセットデータとして訪問地のデータおよび当該訪問地を訪問した人の居住地のデータを含有する複数の流入用データが登録されているので、注目地として訪問地が指定された場合には複数の流入用データの中から、注目地である訪問地のデータを含有する流入用データを抽出するだけで人流データの生成に必要なデータを用意することができ、人流データ作成時の演算負荷の低減を図ることができ、レスポンス向上を図ることができる。
【0089】
さらに、本発明によれば、プリセットデータとして居住地のデータおよび当該居住地に居住する人が訪問した訪問地のデータを含有する複数の流出用データが登録されているので、注目地として居住地が指定された場合には複数の流出用データの中から、注目地である居住地のデータを含有する流出用データを抽出するだけで人流データの生成に必要なデータを用意することができ、人流データ作成時の演算負荷の低減を図ることができ、レスポンス向上を図ることができる。
【0090】
さらにまた、本発明によれば、利用者は、地図表示が可能な市販の適宜の地図表示分析プログラムを用いて、人流分析を用意に行うことができる。すなわち、地図表示が可能な地図表示分析プログラムでは、地図に何をどのように表示させるかといった制御や分析が難しく、地点別に濃度を変化させて表示させるために知識と手間が必要であり時間もかかるという問題点があった。これに対して、表示対象期間と訪問者居住地または居住者訪問地を受信した管理サーバ2が、人流分析を行った結果のデータをユーザ端末3の地図表示分析プログラムに表示させるデータ形式に加工して出力する。これにより、利用者は、表示対象期間と訪問者居住地または居住者訪問地を送信するだけで、保有している地図表示分析プログラムに分析結果を表示させることができる。これにより、複雑な操作も知識も必要なく、またユーザによるデータ加工の時間もかける必要がなく、分析結果を簡単に地図表示することができる。
【0091】
また、本発明によれば、ユーザは、全ての人流データを購入するといったことをせずとも、地図表示分析プログラムを保有していれば、あとは表示対象期間と訪問者居住地または居住者訪問地を送信して、必要なデータだけを得るといったことができる。したがって、日本全国の膨大な人流データを利用するための高額契約をせずとも、必要な範囲でデータ要求してデータ表示することができ、安価に利用することができるようになる。
【0092】
また、本発明によれば、管理サーバ2は、データ要求とアウトプットデータの送信を記録するため、データ要求単位で課金する、定額課金で利用範囲を制限するなど、様々な課金方法で課金することができる。
【0093】
この発明における人流データ表示システムはデータ管理システム1に対応し、以下同様に、移動ログデータ取得手段は管理プログラム28およびこれに従って動作する演算部26に対応し、居住地設定済データ生成手段は管理プログラム28およびこれに従って動作する演算部26に対応し、訪問地設定済データ生成手段は管理プログラム28およびこれに従って動作する演算部26に対応し、注目地設定手段は注目地設定部110に対応し、人流データ生成手段は管理プログラム28およびこれに従って動作する演算部26に対応し、表示手段は、管理プログラム28およびこれに従って動作する演算部26に対応し、地域類型データ記憶手段は地域類型データDB53に対応するが、この発明は本実施形態に限られず他の様々な実施形態とすることができる。また、上述の実施形態で挙げた画面および具体的な構成等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。
【0094】
たとえば、人流表示画面(たとえば第1種類の人流表示画面200、第2種類の人流表示画面300、および総合人流表示画面400)において地図画像上の任意の地点を選択(クリック)することによって、選択された地点を含む地域を注目地として設定することもできる。この場合、地図画像を公知の方法(マウスホイールの操作やスワイプ等)で拡大縮小することもできる。
【0095】
また、移動ログデータ毎に滞留/移動の判定を行い移動ログデータ毎に滞留/移動フラグデータを生成する場合に、複数種類の判定時間で滞留/移動の判定をしておき、判定時間毎に滞留/移動フラグデータを生成してもよい。たとえば、判定時間を短時間(30分未満、たとえば5分、10分など)として滞留/移動フラグデータを生成しておけば、訪問地が多数設定される(訪問区域データが多数生成される)ことになる。この場合、短時間の滞在の可視化や移動経路の可視化を実現することができる。一方、判定時間を長時間(60分以上、たとえば180分、600分など)として滞留/移動フラグデータを生成しておけば、長時間滞留した訪問地のみ設定される(長時間滞留した訪問区域データのみ生成される)ことになる。この場合、長時間の滞在の可視化を実現することができる。このようにすれば、多角的な分析結果を地図表示することができ、便利である。また、注目地設定画面または人流表示画面に、判定時間を切り替える手段を設けても良い。このようにすれば、判定時間をユーザが任意に切り替えることができ、ユーザが所望する分析結果を地図表示することができ、便利である。
【産業上の利用可能性】
【0096】
この発明は、人が移動する流れを表した人流データを表示するような産業に利用することができる。
【符号の説明】
【0097】
1…データ管理システム
2…管理サーバ
21…制御部
22…入力部
23…表示部
24…通信部
25…補助記憶部
3…ユーザ端末
31…制御部
32…入力部
33…表示部
4…移動ログデータサーバ
5…通信回線
50…移動ログデータDB
51…居住区域データDB
52…訪問区域データDB
53…地域類型データDB
54…居住地判定済データDB
55…訪問地判定済データDB
56…プリセットデータDB
6…携帯端末

【要約】
【課題】人流データの表示方法に関し、利便性を向上させることができる。
【解決手段】管理サーバ2は、人によって保持される携帯端末6の位置データ、固有識別データおよび計測日時データを含有する移動ログデータを取得し、移動ログデータから固有識別データ毎に携帯端末6を保持する人の居住地を設定し、移動ログデータから固有識別データ毎に携帯端末6を保持する人の訪問地を設定し、注目地を設定し、注目地に居住している人の訪問地、注目地を訪問した人の居住地、または注目地を訪問した人の他の訪問地を示す人流データを表示装置に表示する。
【選択図】図11

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16