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特許7345090仮想貸保管庫を利用した保管管理システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】仮想貸保管庫を利用した保管管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20230101AFI20230908BHJP
【FI】
G06Q10/08
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022165981
(22)【出願日】2022-10-17
(65)【公開番号】P2023071165
(43)【公開日】2023-05-22
【審査請求日】2023-02-06
(31)【優先権主張番号】P 2021183583
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】723000855
【氏名又は名称】株式会社タイムガーデン
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 恒
【審査官】山崎 雄司
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-42513(JP,A)
【文献】特開2012-6722(JP,A)
【文献】特開2012-236655(JP,A)
【文献】特開2002-183559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者から委託された物品保管の管理をするシステムであって、通信網を介した利用者情報端末からの入力により、保管管理サービス機関の管理サーバ内の利用者のアカウント内に、管理サーバが仮想貸保管庫のアカウントを開設する手段と、前記利用者情報端末から管理サーバに前記仮想貸保管庫への寄託品の保管管理依頼が行われる手段と、前記管理サーバが前記仮想貸保管庫に前記寄託品に対応させた寄託品識別子の登録を行う手段と、前記管理サーバが通信網を介して、保管施設の実保管庫を登録する手段と、前記利用者情報端末又は前記管理サーバが前記寄託品を保管する実保管庫を選定する手段と、前記管理サーバによって作成された前記寄託品識別子が含まれたラベル情報を用いてラベルが作成される手段と、前記ラベルが取り付けられた前記寄託品が前記実保管庫に入庫されたことを、前記管理サーバが通信網を介して保管施設情報端末に確認する手段と、前記実保管庫の情報が前記寄託品識別子に紐付けされて前記管理サーバに格納される手段と、を備えることを特徴とする仮想貸保管庫を利用した保管管理システム。
【請求項2】
前記管理サーバが作成する前記ラベル情報において、差出人名に前記保管管理サービス機関の名前と寄託品識別子が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の仮想貸保管庫を利用した保管管理システム。
【請求項3】
前記管理サーバが作成する前記ラベル情報において、前記ラベルのフォーマットの中に利用者が自由に記述できるメモ領域が設置されていることを特徴とする請求項1に記載の仮想貸保管庫を利用した保管管理システム。
【請求項4】
前記管理サーバが前記寄託品の画像の一部を未公開画像としてデータベースに保管する手段と、前記未公開画像を前記寄託品と関係のない他の複数の画像と共に前記利用者に呈示して、前記利用者の寄託品の画像を選択させることで、前記利用者の認証を行う手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の仮想貸保管庫を利用した保管管理システム。
【請求項5】
前記実保管庫が選定された際に、前記管理サーバが、通信網を介して前記保管施設情報端末に、前記実保管庫の予約を前記保管管理サービス機関の名義で行う手段と、前記寄託品が出庫される際に、前記管理サーバが、通信網を介して前記保管施設情報端末に、前記寄託品の出庫依頼を前記保管管理サービス機関の名義で行う手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の仮想貸保管庫を利用した保管管理システム。
【請求項6】
前記管理サーバが、前記利用者情報端末から前記管理サーバに送られた前記寄託品の画像の画像解析を行い、前記寄託品の種類を判別することを特徴とする請求項1に記載の仮想貸保管庫を利用した保管管理システム。
【請求項7】
前記管理サーバが、通信網を介して前記利用者情報端末からの依頼を受けて、前記寄託品の前記仮想貸保管庫を前記利用者情報端末が指定する他の仮想貸保管庫に変更する手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の仮想貸保管庫を利用した保管管理システム。
【請求項8】
前記利用者情報端末によって、指定利用者と、前記指定利用者が閲覧又は利用できる指定仮想貸保管庫とが、通信網を介して前記管理サーバに設定される手段と、前記利用者情報端末によって、前記指定利用者の資格条件が入力される手段と、前記管理サーバが、前記資格条件に合致する前記指定利用者を認定する手段と、前記管理サーバが、認定された前記指定利用者による前記指定仮想貸保管庫の閲覧、又は前記指定仮想貸保管庫のアカウントへのログインを可能にする手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の仮想貸保管庫を利用した保管管理システム。
【請求項9】
前記利用者情報端末によって、返還、譲渡、共有、売却、貸与、オークション、ラベル貼り付け、クリーニング、寄附、廃棄、といった寄託品の処理の手段が、寄託品単位又は仮想貸保管庫単位で通信網を介して前記管理サーバに入力される手段と、前記管理サーバが、通信網を介して、前記保管施設情報端末及び処理関連業者情報端末に前記処理に関する指示を送信することで寄託品単位又は仮想貸保管庫単位で前記処理が行われる手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の仮想貸保管庫を利用した保管管理システム。
【請求項10】
前記利用者情報端末が、通信網を介して、特定の仮想貸保管庫を公開仮想貸保管庫に設定する手段と、前記管理サーバが、前記公開仮想貸保管庫に登録されている物品を、前記利用者が寄託品に与えた分類と処理区分に応じて、インターネット上に公開する手段と、を備えることを特徴とする請求項9に記載の仮想貸保管庫を利用した保管管理システム。
【請求項11】
一般利用者が、一般利用者情報端末から通信網を介して、前記利用者が指定した購買、譲渡といった処理目的でインターネット上に公開されている寄託品に対する引き合いを、前記管理サーバにログインして入力する手段と、管理サーバが、通信網を介して前記一般利用者情報端末と交信して、前記寄託品の購買、譲渡といった処理の取引を成立させる手段と、前記管理サーバが、前記仮想貸保管庫における前記寄託品の登録を削除し、前記一般利用者の仮想貸保管庫に前記寄託品識別子の登録を行う手段と、を備えていることを特徴とする請求項10に記載の仮想貸保管庫を利用した保管管理システム。
【請求項12】
寄託品から派生した物品、又は繰り返し実保管庫から入出庫する物品に、前記管理サーバが、オリジナルの寄託品識別子に拡張子を追加して構成した新たな寄託品識別子を付与して、寄託品として仮想貸保管庫に登録することを特徴とする請求項1又は10のいずれか1項に記載の仮想貸保管庫を利用した保管管理システム。
【請求項13】
前記管理サーバが、前記利用者と一般利用者に本人アクセス番号を付与し、前記本人アクセス番号にそれぞれの電子メールアドレス或いは電話番号を紐付けする手段と、発信者が前記管理サーバに通信網又は電話回線を介してアクセスして受信者の前記本人アクセス番号を入力することで、前記管理サーバが、本人アクセス番号に紐付けされた前記受信者の電子メールアドレス或いは電話番号を抽出し、前記受信者に前記発信者の電子メールを転送、又は、前記発信者と前記受信者間の電話接続を行う手段と、を有していることを特徴とする請求項10に記載の仮想貸保管庫を利用した保管管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザーから依頼された物品保管の管理を行うシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行の貸金庫や、倉庫業者の保管倉庫に、利用者から寄託品が預けられて利用されている。世帯当たりの居住空間が年々狭くなっている住宅事情を抱える昨今は、寄託品保管サービスの認知度が高まり、その利用者及び利用件数が増えてきている。
【0003】
寄託品保管サービスが普及するほど一人当たり、或いは法人当たりの保管点数が多くなり、それらの管理や処理が煩雑になり、不十分な管理のまま寄託品が廃棄されるケースもあった。寄託品の保管や管理については、それらの処理も含めて利便性の高い物品保管の管理システムが望まれている。
【0004】
一方、プライバシーの観点から、寄託品の配達や保管において、寄託品に貼られてあるラベルに氏名や住所等が記載されていることを望まない利用者がいる。また、配送中や倉庫保管中の寄託品が、ラベル情報が誘因となって盗難のターゲットとされるというセキュリティ上の懸念も指摘されている。
【0005】
特許文献1は、運用業者サーバから、倉庫端末に利用者の氏名・住所・電話番号を含む入庫指示情報が送信され、さらに同情報が配送業者に送信され、配送業者に利用者宅から保管依頼品を引き取らせて倉庫に届けるシステムを提供し、加えて、保管依頼品に分類コード付けができるようにして依頼品の仕分け保管を補助している。また、個々の保管依頼品の売買などの周辺サービスの申し込みができるとしている。
【0006】
特許文献2は、配送物に付されたバーコード記録体を読み取るコード記録体読取装置と印字装置を備えた配送経路内端末が、秘匿所在管理サーバに通信網を介して交信して得た配送先を印字することで、実名や住所を発送品に添付せずに匿名コードを付した匿名配送を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-028677号公報
【文献】特開2010-140217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、文献1のシステムは、寄託品が保管される倉庫は、運用業者が抱える倉庫であり、もし、サイズや保管物条件が適宜でなかった場合に、他社の倉庫を利用できれば解決するのに関わらず、そのような対処ができないので、サイズや寄託物の属性によっては、限定された中で、寄託をしなければならなかった。また、依頼品の分類による仕分け整理に関しては、分類コードで依頼品を分類して保管管理をアシストしているが、それは保管品の整理のための機能であり、実際に保管依頼品の処理する段階において分類していたことがそのまま生かせる訳ではなかった。例えば、スポーツ用品のカテゴリの物が多数あった場合に、その中で、他人に上げたい物や売りたい物、廃棄予定の物などがあることがある。そのような場合に、スポーツ用品というカテゴリを指定しての販売処理はできない。畢竟、1点ずつ処理手続きを進めてなければならなかった。寄託品の処理の目的ごとに委託する倉庫を専用化して寄託することも可能であるが、その場合、利用者の保管庫の管理が煩雑になるだけでなく、寄託品の処理目的が変更になると、経費と手間をかけて倉庫を変更しなければならなかった。
【0009】
加えるに、寄託品のラベルや送り状の送付元は匿名ではないので、個人情報漏洩の観点から匿名を希望する依頼者の要望に沿えず、さらに、運送業中及び保管中にラベルの名前を見られることで盗難に遭う可能性を否定できないので、セキュリティ的に懸念を抱えるシステムとなっていた。また、特定の人にだけ特定の寄託品を公開、或いは販売するというセキュリティを細かにコントロールができないシステムであった。
【0010】
文献2のシステムは、配送物に付されているのは、匿名コード記録体なので、読み取り機が必要であった。また、読み取り機の故障、秘匿所在管理サーバのトラブル、或いは、通信回線障害などが発生すると、読み取りができず、配送トラブルが発生するという問題を抱えていた。バーコード記録体に擦れ傷が入ったりした場合には、送付先不明、発送者不明となり、何処にも問い合わせができなくなるリスクもあった。加えるに、発送側の端末が、配達先を受領者匿名バーコードで指定した送り状(伝票)を印字し、さらに配達業者がバーコードを読み取って印刷するという、従来の方法に比べて、余分なコストと手間がかかるという問題を抱えていた。
【0011】
本発明は、上述の問題点に鑑みて公開されるものであり、物理的な実際の倉庫に捉われることなく利用者がセキュリティの高い状態で寄託品を目的毎に整理して保管管理でき、目的毎の処理を容易に行うことができる利便性のよい物品保管の管理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の仮想貸保管庫を利用した保管管理システムは、利用者から委託された物品保管の管理をするシステムであって、通信網を介した利用者情報端末からの入力により、保管管理サービス機関の管理サーバ内の利用者のアカウント内に、管理サーバが仮想貸保管庫のアカウントを開設する手段と、前記利用者情報端末から管理サーバに前記仮想貸保管庫への寄託品の保管管理依頼が行われる手段と、前記管理サーバが前記仮想貸保管庫に前記寄託品に対応させた寄託品識別子の登録を行う手段と、前記管理サーバが通信網を介して、保管施設の実保管庫を登録する手段と、前記利用者情報端末又は前記管理サーバが前記寄託品を保管する実保管庫を選定する手段と、前記管理サーバによって作成された前記寄託品識別子が含まれたラベル情報を用いてラベルが作成される手段と、前記ラベルが取り付けられた前記寄託品が前記実保管庫に入庫されたことを、前記管理サーバが通信網を介して保管施設情報端末に確認する手段と、前記実保管庫の情報が前記寄託品識別子に紐付けされて前記管理サーバに格納される手段と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本開示の仮想貸保管庫を利用した保管管理システムによれば、次のような効果を奏する。第一に寄託品が実際に保管される実保管の有り様に捉われずに、利用者が望むカテゴリに設定した仮想貸保管庫で、自由に寄託品を仕分け保管できる効果を奏する。仕分けの再整理においても、仮想貸保管庫であるので、実保管庫における移動を伴わずに容易に行える。第二に、仮想貸保管庫単位で処理ができることである。寄託品は、目的別に仮想貸保管庫を設定して寄託品を登録しておくことで、目的別にまとめて管理と処理が行えるという利便性の高い効果を奏する。第三に、仮想貸保管庫の登録収納能力は、理論上無制限であることである。対して、実保管庫の世界での保管管理では、寄託品サイズや寄託数に物理的な制限があり、その制限の中で倉庫業が営まれていた。第四に、仮想貸保管庫は管理サーバの内のアカウントであるのでパスワードを伴ったアクセスとなるため、寄託品の出し入れの管理において、セキュリティの高いシステムとなっていることである。第五に、アカウント機能を有効活用すると仮想貸保管庫をさまざまな利用に拡張できることである。例えば、特定の限定された人に、アカウントの閲覧権限を与えたり、利用権限を与えたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の寄託品の保管管理システムの概略構成を示す図である。
図2】管理サーバのハードウエア構成例を示すブロック図である。
図3】本開示の保管管理システムの運用概要を示す説明図である。
図4】管理サーバに格納されている寄託品データの一例を示す図である。
図5】ラベルの例を示す図である。
図6】寄託品の外観画像の例を示す図である。
図7】仮想貸保管庫間で寄託品登録を移動させる時の操作画面の様子を模式的に示した図である。
図8】公開仮想貸保管庫の機能を説明するための模式図である。
図9】仮想貸保管庫を公開仮想貸保管庫に連結した時の機能を説明する図である。
図10】仮想貸保管庫の属性設定例の図である。
図11】売却時の寄託品の引き渡しを説明する図である。
図12】保管プロセスの一例を示すフローチャートである。
図13】保管プロセスの他の形態の一例を示すフローチャートである。
図14】寄託品の総体積計算で、保管料金の見直しを行うフローチャートである。
図15】実保管庫及び仮想貸保管庫を変更する場合のプロセスの一例を示すフローチャートである。
図16】寄託品の返還、及び満期を迎えた寄託品の処理プロセスの一例を示すフローチャートである。
図17】指定利用者の認証が行われるプロセスの一例を示すフローチャートである。
図18】指定利用者の認証が行われる他のプロセスを示すフローチャートである。
図19】指定利用者の認証が行われる他のプロセス例を示すフローチャートである。
図20】公開貸保管庫の設定を行うプロセスの一例を示すフローチャートである。
図21】仮想貸保管庫の連結設定を行うプロセスの一例を示すフローチャートである。
図22】寄託品の売買プロセスの一例を示すフローチャートである。
図23】寄託品の売買プロセスの他の一例を示すフローチャートである。
図24】利用者と一般利用者が管理サーバを介して電子メール交信するシステムのフローチャートである。
図25】利用者と一般利用者が管理サーバを介して電話で交信するシステムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本発明の関係機関名や寄託品名、或いは、各図の機能や部位の名称は、本発明を説明するため名称に過ぎない。よって、本発明の機能や部位は、呼称例や図示例のみに限定されるものではない。
【0016】
図1は、本開示の保管管理システムの基本構成を示す図である。通信網4(インタ―ネット)に保管管理サービス機関の管理サーバ1a、利用者情報端末2a,保管施設情報端末3a、金融機関サーバ6a、及び処理関連業者情報端末7aが接続されている。本開示での情報端末は、通信網に接続して入力と閲覧ができる機器であり、パーソナルコンピューター、サービスを提供するサーバ、或いは携帯電話などの移動体通信機などが含まれる。
【0017】
管理サーバ1aは、利用者情報端末2aとの交信を行うホームページを運営するWebサーバ機能と、プログラムを含めて全ての関連データを格納しているデータベースサーバ機能、及び利用者の依頼に基づいて寄託品の保管や処理を関連業者や金融機関等と行うアプリ―ケーションサーバ機能とを備えている。これらの機能毎にサーバが分かれて一つのサーバとして機能していてもよい。
【0018】
図2は、管理サーバのハードウエア構成例を示すブロック図である。管理サーバ1aは、通信網4のインターネットに通信制御部51で繋がって通信を行う。主制御部52でメインのデータ処理や演算が行なわれる。入出力制御部53では、外部機器である出力画面或いは付属メモリなどの制御を行い、また、保管管理サービス機関情報端末1bとも接続して交信をする。画像解析部54は、利用者や保管施設から送られる寄託品の画像やそのラベルの画像を解析する機能を持つ。決済処理部55では、通信制御部51を介して金融機関や決済サービス機関と交信して、送金や入金確認の処理を行う。また計時部56では、各処理部へ必要とされる計時情報の提供を行うと共に、寄託品の保管期限の管理を行う。
【0019】
データベースには、利用者の登録情報を格納する利用者データファイル57、登録された仮想貸保管庫の情報を格納する仮想貸保管庫データファイル58、利用者との契約内容及び寄託品の処理状況を格納する契約・処理状況データファイル59、実保管庫及びその保管施設を登録して管理する実保管庫データファイル60、寄託品の配送や処分などの各種の処理を行なう処理関連業者の情報を管理する処理関連業者ファイル61、アプリケーションソフトを格納しているプログラムデータファイル62などがあり、本開示では、これらを総称してデータベースと呼ぶ。これらの制御部やデータベースはバスラインで連結されているのが望ましいが、データベースは、通信回線で連結された外部メモリであってもよい。
【0020】
図3は、本開示の仮想貸保管庫を利用した寄託品の保管管理システムの運用の概要を示す説明図である。通信網を介した利用者情報端末からの入力により、保管管理サービス機関の管理サーバ内の利用者のアカウント内に、管理サーバが仮想貸保管庫のアカウントを開設する手段と、前記利用者情報端末から管理サーバに前記仮想貸保管庫への寄託品の保管管理依頼が行われる手段と、前記管理サーバが前記仮想貸保管庫に前記寄託品に対応させた寄託品識別子の登録を行う手段と、前記管理サーバが通信網を介して、保管施設の実保管庫を登録する手段と、前記利用者情報端末又は前記管理サーバが前記寄託品を保管する実保管庫を選定する手段と、前記管理サーバによって作成された前記寄託品識別子が含まれたラベル情報を用いてラベルが作成される手段と、前記ラベルが取り付けられた前記寄託品が前記実保管庫に入庫されたことを、前記管理サーバが通信網を介して保管施設情報端末に確認する手段と、前記実保管庫の情報が前記寄託品識別子に紐付けされて前記管理サーバに格納される手段と、を備える。
【0021】
仮想貸保管庫10のアカウントは、利用者2が、利用者情報端末2aから通信網4を介しての管理サーバ1aにアクセスして、利用者アカウント2bにログインし、仮想貸保管庫10のアカウントを設定することで作られる。仮想貸保管庫10は、複数設定することができ、それぞれにパスワードを設定することができる。利用者2の希望によって、利用者のアカウント内においては、パスワードを省略して仮想貸保管庫10を使用するように設定してもよい。
【0022】
本開示では、利用者2は、管理サーバ1aと交信して寄託品8の保管管理サービスを受ける個人、団体、或いは法人である。管理サーバ1aの利用者には、仮想貸保管庫10に寄託品8を寄託する前述の利用者2の他に、前記利用者が前述の利用者2の仮想貸保管庫の閲覧や使用を許可した指定利用者22、及び利用者がインターネットに公開した寄託品の閲覧や購入などをする一般利用者23が存在する。それぞれの情報端末から管理サーバにアクセスするので、図3には、指定利用者情報端末22a、及び一般利用者情報端末23aとして記載している。3者とも管理サーバの利用者である。利用者2、指定利用者22、及び一般利用者23を区別して表記している場面以外は、3者を含めて、利用者と呼ぶことがある。
【0023】
利用者情報端末2aは、パソコン、携帯電話、タブレット型端末などの通信機能を有している情報端末である。管理サーバ1aがアプリケーションソフトウェアを提供している場合は、そのソフトウエアがインストールされる。
【0024】
保管管理サービス機関1は、管理サーバ1aを活用して、利用者2の寄託品8の保管管理サービスをその処理まで含めて提供する法人組織である。管理サーバ1aは、保管管理サービス機関1が運営するサーバであり、通信網を介して、利用者情報端末2a、保管施設情報端末3a、金融機関サーバ6a、処理関連業者情報端末7aなどと交信を行い、寄託品の処理を含めた保管管理に関するサービスを提供するサーバである。
【0025】
管理サーバ1aは、上述のようにインターネット通信網4に連結して顧客や業者と交信を行い、仮想貸保管庫10を利用した寄託品の保管管理のサービスを行うが、そのような機能を備えたものであればパソコンなどの情報機器でもよく、共用サーバ、専用サーバ、或いはクラウド環境に作られた仮想サーバなどであってもよい。なお、管理サーバ1aは、保管管理サービス機関情報端末1bとデータ回線で連結されていて、管理サーバ1aの処理に、保管管理サービス機関情報端末1bが随時関わって、データを共有して保管管理サービスが行われている。以下の説明において、管理サーバ1aが行うという表現には、保管管理サービス機関情報端末1bが関わったアクションも含まれているものとする。
【0026】
保管施設情報端末3aを保有する保管施設3は、寄託品8を実際に保管する実保管庫9を運営する施設であり、複数あっててもよく、それぞれの経営が異なっていてもよく、又は、複数の保管施設を保有する倉庫業者であってもよく、個人倉庫であってもよく、例えば利用者2が所有する倉庫であってもよい。保管管理サービス機関1との資本関係はあってもよく無くともよい。保管施設3は、所有の実保管庫9を管理サーバ1aに登録し、通信網4を介して、その運用状態を管理サーバ1aに報告している。
【0027】
実保管庫9は、寄託品が保管される閉ざされた空間、或いはその空間中の一区画の空間のことをいい、具体的には、貸金庫、保管キャビネット、保管倉庫、或いは倉庫内の特定区画などであり、管理サーバ1aにおいて、それぞれに固有の実保管庫番号で登録されている。なお、本開示では、仮想貸保管庫10との混乱を避けるため、実際の保管庫を実保管庫9と表現している。
【0028】
また、実保管庫9には、利用者毎に割り当てられた実保管と、複数の利用者の寄託品が保管される混載型の実保管庫があってもよく、利用者が選択できるようになっていてもよい。また、混載保管施設3の意向や管理サーバ1aの登録の状態により、公開実保管庫と非公開実保管庫とがあってもよい。実保管庫9は、窓口引き渡しが可能な実保管庫と、窓口引き渡しができない実保管庫とがあってもよい。それらの属性が管理サーバの実保管庫データファイルに登録されている。
【0029】
処理関連業者7は、利用者2の依頼に応じた管理サーバ1aから直接的に、或いは間接的に発信される寄託品8の処理指示を、処理関連業者情報端末7aで受けて、保管施設3と通信網を介して連携して寄託品8の処理を行う業者であり、配送業者や廃棄業者などが含まれる。保管施設3が、処理関連業者7を兼ねてもよい。なお、本開示において、処理とは、保管されている寄託品に対して利用者の意向に沿って行う処置のことで、返還、譲渡、共有、売却、貸与、オークション、ラベル貼り付け、クリーニング、寄附、廃棄、といった行為である。
【0030】
利用者2が寄託品8に対して何らかの処理を希望する場合は、利用者2が利用者情報端末2aから、寄託品8の処理内容を、寄託品単位又は仮想貸保管庫単位で、通信網4を介して管理サーバ1aに入力する。その後、管理サーバ1aが、通信網を介して、前記保管施設情報端末3a及び処理関連業者情報端末7aに前記処理に関する指示を送信することで寄託品単位又は仮想貸保管庫単位で処理が行われる。図3には、処理関連業者7が返還処理のために配送を行っている様子を含めて示されている。
【0031】
金融機関サーバ6aは、金融機関6のサーバであり,通信網4に接続されていて、管理サーバ1aが行う各種のサービスの決済に関わる口座間の送金又は振替処理を行う機関のサーバである。よって、本開示の金融機関は、広義の金融機関であり、いわゆる銀行などの金融機関に加えて、ネット決済サービス機関やクレジットカード運営業者も含まれる。なお、以下の説明の中には、あえて銀行などの狭義の金融機関と決済サービス機関とを分けて述べている箇所もある。
【0032】
なお、寄託品8の寄託、保管、売買などの処理が行われる都度、通信網4を介して様々な利用者から決済サービス機関を含めた金融機関6への支払や入金が伴う。そのような常態化したサービスは、本開示の説明の主旨に影響を与えないので、以下の説明では、金融機関サーバ6aとの詳細の入出金や交信プロセスは割愛している。
【0033】
本開示では、寄託品8は、利用者2が保管管理サービス機関に保管管理を依頼した物品である。寄託品8に管理サーバ1aから寄託品識別子8aが与えられ、寄託品識別子8aが仮想貸保管庫10に登録されることが、仮想保管庫にて保管管理される所作となる。実際の寄託品は実保管庫9に保管される。なお、本開示の寄託品8は、包装された状態の物を示していることもあり、包装物品の中に梱包されている物品を示していることもある。いずれの場合であっても、寄託品8と記述しているものは、寄託品識別子8aが与えられている。
【0034】
寄託品8の中には、梱包品の中に複数の物品が格納されている寄託品があり、利用者2が包装品中に格納されている物品の個別処理を希望する場合がある。そのような場合は、管理サーバ1aが、利用者情報端末2aからの通信網4を介した依頼により、寄託品内に格納されている物品を寄託品としてそれぞれに寄託品識別子8aを与えて、仮想貸保管庫に新規に登録してもよい。
【0035】
以下に、(仮想貸保管庫の開設)、(仮想貸保管庫と実保管庫の選定)、(実保管庫の予約)、(ラベル)、(受領保管)、(保管庫の変更)、(満期)、(返還などの処理)、(指定利用者と指定仮想貸保管庫)、(公開仮想貸保管庫)、(売却や譲渡の処理)、(拡張子)、(レンタル)、(交信サポート)、(評価)の項目に分けて、図3とそれを補足する他の図も参照にしながら本開示の形態を説明する。
【0036】
(仮想貸保管庫の開設)利用者は、利用者情報端末2aから通信網4を介して、保管管理サービス機関1の管理サーバ1aにアクセスし、利用者登録を行い、利用者アカウント2b内で仮想貸保管庫10のアカウントを開設する。セキュリティを高めるために、パスワードを設定することが望ましい。利用者は、複数の仮想貸保管庫10を開設することができるので、名称や分類コードを付けて寄託品のカテゴリ毎や保管目的毎に仮想貸保管庫10を開設すると寄託品の仕分けになり、将来の一括処理が容易になる。
【0037】
(仮想貸保管庫と実保管庫の選定)寄託品の保管依頼は、利用者情報端末2aから管理サーバ1aの利用者アカウント2bにログインをして行われる。寄託品8には、管理サーバ1aにより、英数字やその他の文字で構成された寄託品識別子8aが付与される。寄託品識別子8aは、寄託品8に取り交わされた保管契約番号と同一であっても構わない。利用者2が、希望する仮想貸保管庫10と実保管庫9を管理サーバ1aが示した中から選定すると、仮想貸保管庫10に寄託品識別子8aと実保管庫9が紐付けされて管理サーバ1aにその情報が格納される。以上の手順にこだわることはなく、例えば、ログイン後に、利用者は預けたかった仮想貸保管庫にアクセスして、前記の仮想貸保管庫のアカウントの中で、寄託品の依頼を行ってもよい。
【0038】
仮想貸保管庫10は、利用者2が、管理サーバ1aの仮想貸保管庫作成プログラムによって管理サーバ1a内に設定した仮想の保管庫である。利用者2は、複数の仮想貸保管庫10を設定することができ、一つの仮想貸保管庫10に複数の寄託品8の寄託品識別子8aを登録することができる。寄託品識別子8aと実保管庫9は紐付されているので、仮想貸保管庫10内で寄託品識別子8aを指定してその処理を入力することにより、実保管庫9における寄託品8の処理が管理サーバによって実行される。実保管庫における入出庫は、仮想貸保管庫において、登録と抹消を行うことに相当する。
【0039】
図3の例では、仮想貸保管庫10を見ると、寄託品識別子「123」と「456」の寄託品が登録されている。利用者2にとって同じカテゴリの寄託品なので、同一仮想貸保管庫に登録されている。寄託品識別子「123」の寄託品は、実保管庫「aaa」に保管されている。この例では、利用者2は、混載型の実保管庫9を使用しているが、利用者専用の実保管庫であってもよい。寄託品識別子「456」の寄託品は、異なる実保管庫「bbb」に保管されている。実保管庫「aaa」と「bbb」は、同一保管施設内とは限らず、異なる保管施設であってもよい。
【0040】
複数の寄託品が異なる保管場所に保管されていたとしても、利用者2は、カテゴリが同じ寄託品だけを集めて、特定の仮想貸保管庫10に保管登録して管理でき、後日の返還や廃棄などの処理を一括して行うこともできるので、利用者に利便性が良い寄託品の保管管理環境を提供できる。
【0041】
また、ひとつの仮想貸保管庫10に登録できる寄託品8の数やサイズ、或いは重量に制限がないので、利用者は、物理的要因に縛られずに仮想貸保管庫10を利用できる。従来の実保管庫9で管理した保管では、契約した実保管庫に固定されるので、後日に追加したい物品があっても、満杯になって入らなくなることがあり、その都度、新規実保管庫に再契約しなければならなかったが、本開示の仮想貸保管庫システムでは、そのような障害は無い。従って、例えば特大の寄託品であっても、保管可能な実保管庫が何処かに存在する限り、任意の仮想貸保管庫に保管登録できる。
【0042】
さらには、24時間対応可能なインターネット回線での交信で、寄託品の保管サービスや処理サービスの手続きができる。加えて、利用者2は、いつでもどこでも管理サーバ1aにアクセスして、寄託品8の状況について知ることができる。利用者2は、仮想貸保管庫10内の寄託品識別子8aを選定することで、当該寄託品の保管契約、保管場所、寄託品の画像、経過時間、課金などを閲覧することができ、返還時においては、出庫~配達の状況なども確認できる。
【0043】
実保管庫9は、管理サーバ1aが登録されている実保管庫の中から候補となる実保管庫を抽出し、その中から利用者2によって選定されてもよい。大型寄託品の場合は、送料をかけずに直接預け入れや引き取りに行ける場所に、実保管庫があるほうがよいこともある。利用者は、保管コスト、倉庫品質、所在場所などをチェックして選択してもよい。一方、利用者が寄託品のサイズや希望事項を入力して、選択を管理サーバ1aに一任して、その内蔵プログラムで適切な実保管庫9が決定されるようにしてもよい。利用者の選定の手間を省くことができる。選定された実保管庫9の情報は寄託品識別子8aに紐付けされて管理サーバに暫定格納される。寄託品8の実保管庫9への入庫が確認されると、暫定格納から正式な格納となる。
【0044】
管理サーバ1aは、寄託品8の包装サイズ情報を鑑みて、収納可能空間がある実保管庫を抽出してもよい。管理サーバ1aの容積計算プログラムによって、保管施設3からアップデートしている個々の実保管庫の許容容量データと対象寄託品8の包装サイズ情報とが比較される。既に収納物がある実保管庫9の場合は、当該実保管庫に収納されている全収納品のサイズデータから計算された空き空間を、寄託品8のサイズと比較して判断される。管理サーバ1aによる容積計算で確認した上で実保管庫9の候補とすることで、誤選択の回避ができる。
【0045】
管理サーバ1aは、実保管庫9の最新の利用状況を常時更新していてもよいが、前述の候補選択時に、再度確認を行ってもよい。また、実保管庫には、利用者専用実保管庫と混載実保管庫があるので、利用者は目的とコストにあった実保管庫9を選択する。
【0046】
(実保管庫の予約)実保管庫9が選定されると、管理サーバ1aが通信網を介して保管施設情報端末3aに、実保管庫9の予約を保管管理サービス機関1の名義で行なう。出庫時も、同様に、保管施設情報端末3aへの出庫依頼が保管管理サービス機関1の名義で行なわれる。
【0047】
図4(a)と図4(b)は、本開示の保管管理サービス機関1の名義による保管が、高セキュリティ性を生み出すことを説明する表である。図4(a)は、「Box1」という仮想貸保管庫10に格納されている寄託品の情報項目の一例である。この利用者2は、仮想貸保管庫「Box1」を開設していて、4個の寄託品を預けている。これら4個の寄託品の保管に、保管施設Aの実保管庫「A1」と「A2」、保管施設Bの実保管庫「B1」の3個の実保管庫が使用されている様子の例である。このように、管理サーバ1aには、一つの寄託品に対して、利用者2、仮想貸保管庫10、寄託品識別子8a、実保管庫9、保管日などのデータが紐付けされて格納されている。なお、この例で満期日が同一日となっているのは、利用者が、仮想貸保管庫「Box1」単位で満期日の設定をしているからである。
【0048】
対して、図4(b)は、図4(a)中にある保管施設Aが所有する前述の利用者2の寄託品8のデータである。保管施設Aに関わる実保管庫9は「A1」と「A2」である。図4(a)では、利用者2の欄が寄託品の利用者の名前であったが、図4(b)では、保管管理サービス機関の名義で予約が行われているので、保管管理サービス機関が利用者名になっている。返還時も保管管理サービス機関の名義で、保管施設に返還指示を行なわれる。管理サーバ1aから保管施設情報端末3aに送付する情報の中に利用者2の情報は含まれないので、保管施設3における利用者2の秘匿性が保たれ、セキュリティ性の高い保管が可能となる。保管施設の従業員であっても、倉庫の寄託物からも、パソコンデータからも、真の利用者、つまり寄託者を知ることはできない。
【0049】
(ラベル)図3の貼付用宛名ラベルであるラベル13について説明する。実保管庫9が確保されると、利用者情報端末2aは、寄託品識別子8aを含む送り状とラベル13の電子情報であるラベル情報を、通信網4を介して管理サーバ1aから得ることができる。利用者2は、寄託品8にラベル13を取り付けて保管施設に送付する。送り状やラベル13は、ラベル情報13aから書き移してもよいが、ラベル情報の電子ファイルをプリンタ12で出力して作成することができる。ラベル13の作成は、利用者自身の印刷に限らず、保管サービス機関や小売店頭などで印刷されたものであってもよい。ラベルに寄託品識別子8aが記載され、保管施設3に配達された寄託品8は、保管施設情報端末3aが管理サーバ1aから情報を得ていた寄託品識別子8aと照合されて確認される。
【0050】
前記管理サーバ1aは、ラベル情報の差出人名を前記保管管理サービス機関名にしてもよいし、差出人名に、さらに寄託品識別子を付記してもよい。図5(a)は、ラベルの一例を模式的に示していて、差出人欄には、保管管理サービス機関の住所と社名に加えて、寄託品識別子「123456」が記載されている。
【0051】
差出人名が匿名であるので、個人情報の漏洩を嫌う人は安心して送付できる。さらに、図5(a)のように、保管管理サービス機関1の名義で、寄託品識別子8aの文字列が含まれていると、配達中の伝票紛失や配達先不明の状態があった場合に、配達業者から保管管理サービス機関1に確認して配達物を特定することができる。また、バーコードに傷が入るなどした場合のリスクも同様に回避できる。
【0052】
このような保管管理サービス機関1の名義と寄託品識別子8aによる匿名差出人システムには、セキュリティ性においてもメリットがある。寄託物を実際に扱う配送業者や倉庫業者のオペレーターなどがラベル上の差出人名を見て発生する出来心などの誘惑などを排除できるので、セキュリティ性の高い寄託品の配達と保管ができる。保管庫を狙った盗難に対しても、ラベルを見ても真の差出人が不明であるので、特定の保管物を狙った盗みができなくなる。
【0053】
一方、高セキュリティが必要でない利用者のために、差出人の名義を、一律とせず、本人名と保管管理サービス機関名の自由選択の中から選択できように、管理サーバ1aにおいて設定することも可能である。
【0054】
ラベルには、寄託品識別子を記述したバーコード14aや、さらに多くの情報を含んだ二次元バーコード14bが記載されていてもよい。本開示では、両者をまとめて、バーコード14と表現していることもある。
【0055】
図5(a)を例に、ラベルのバーコードについて説明する。ラベル13には、二次元バーコード14bが、保管管理サービス機関のインターネットアドレス(URL)と寄託品識別子とが、機械可読テキストで記載されている。URLのバーコードと寄託品識別子のバーコードは別々のバーコードで書かれてあってもよい。このようなバーコード14を使用することで、利用者の転記ミスが無くなり、さらに、保管施設での受領確認が容易で正確になり、データ入力作業の精度と作業性を向上させる。また、配達の際や託品の棚卸しの際にも認証媒体や宛先ナビゲーションとして利用できる。
【0056】
保管施設3は、二次元バーコード14bを保管施設情報端末3aのバーコード読取り装置でスキャンすることで、通信網を介して、管理サーバ1aにダイレクトにアクセスして、寄託品の受領情報データを送ることができる。管理サーバ1aと保管施設情報端末3aの一連の受領確認がスムースに素早く行える。
【0057】
なお、前記保管管理サービス機関1のインターネットアドレス(URL)と寄託品識別子とを含んだ二次元バーコード14bは、寄託品8の配達の指定をうけている配達業者が、寄託品の届け先を得るために使ってもよい。つまり、管理サーバに登録されている配達業者が、配送業者の携帯端末で二次元バーコード14bをスキャンして、配送業者のIDとパスワードを入力すると、管理サーバから寄託品の配送先、配送日時、或いは地図を直接得ることができる。従って、利用者にとって、個人情報をラベルに表記せずに安心して配送してもらえるというメリットがある。配送業者にとっても、常に正しい配送先を知ることができる。
【0058】
図5(a)のラベル13にあるメモ欄40について説明する。管理サーバ1aが作るラベル情報のラベルフォーマットの中に、利用者が自由に記述できるメモ領域が含まれている。メモ欄40は、メモ領域を明示する枠であり、利用者が覚え書きとして記入する欄である。メモ領域の明示には、枠線に限らず、メモ領域を示せれば何でもよく、例えばその領域だけ背景色を変えてもよい。記入する所定の位置を予め示しておくことで、ラベル表記の混雑を予防し、また、利用者の書き込み忘れを防止する。
【0059】
覚え書きとして記入する内容は、利用者の自由である。利用者の署名欄として使用してもよいし、利用者が内容物の覚え書きとして利用してもよい。寄託品は、開封せずに保管されるので、中身情報の秘匿性が高いラベルの場合は、寄託品の中身がラベルからは不明である。利用者は、中身の確認ができない潜在トラブルを抱えていたが、ラベル13のメモ欄40に利用者だけが分かるマークを付けておくことで、利用者は、保管期間中に、管理サーバにアクセスしてラベル13の画像を見ることで、内容物分を思い出すことができる。
【0060】
上記のラベルのサイズや文字配列は、利用者が提供する寄託品の包装体の情報に合わせて、管理サーバ1aが有する最適化プロググラムによってデザインされて、利用者に電子ファイルで提供されてもよい。また、図5(a)では、バーコード14、メモ欄40が、送付先と差出人が書かれた同一のラベル13に記載されているが、全てを記載したラベルでなくともよいし、分割してもよい。例えば、配送会社によっては専用の送り状があるので、そのような場合は、その専用ラベルの周辺に、寄託品識別子8aのバーコード14を貼り付けてもよい。
【0061】
ラベル形態のオプションである先行発行型のラベルについて説明する。ラベル13は、利用者2からの寄託依頼がなされてから作成される以外に、寄託依頼が行われる前に、管理サーバ1aによって寄託品識別子8aが記載されて発行された先行発行型のラベルであってもよい。まず、利用者2が、通信網4を介して管理サーバ1aから得た寄託品識別子8aが含まれたラベル情報を利用者情報端末2aが出力してラベルを入手、又は保管管理サービス機関が発行する寄託品識別子8aが記載されたラベルを第3者から入手する。その後、保管依頼したい寄託品が出てきた場合に、前述のラベルの二次元バーコード14bを携帯型の利用者情報端末2aで読み込んで、通信網を介して管理サーバにアクセスして、寄託依頼を行う。前述の利用者情報端末2aから管理サーバ1aに必要事項を入力して寄託契約が成立したら、利用者は、前述のラベルを寄託品に貼り付けて、ラベル13に記載されている保管施設3に送付する。保管施設情報端末3aから受領情報が管理サーバ1aに送信され、管理サーバ1aは、利用者2に与えた寄託品識別子8aで契約されていた寄託品の入庫を確認する。
【0062】
利用者情報端末2aから、図5(b)のラベルと共に、対象寄託品の画像が、管理サーバに送られることで、管理サーバ1aが、管理サーバの画像解析部で、寄託品の種類を判別して、寄託品の自動仕分けを行ってもよい。この場合、管理サーバ1aが提示する種類分け候補に対して、利用者情報端末2aからの確認を受けてもよい。利用者が時間をかけて種類区分で悩むことがなく、入力する手間が省ける。
【0063】
先行発行型ラベルは、利用者がラベルの印刷ができない場合や、手軽に保管したい場合などにおいて利用される。手持ちのラベルを貼って、それを読み込んだ携帯端末上で必要事項を入力して、そのまますぐに発送できる手軽さが最大のメリットとなる。なお、管理サービス機関が、保管先が異なるラベルを複数用意して、利用者への保管先の選択肢を広げてもよい。
【0064】
図6(a)は、先行発行型の定型封筒専用のラベルの例を、模式的に示した図である。ラベルを貼った封筒を携帯している利用者2は、寄託したい物が発生した場合、その場で封筒の中に入れて、ラベルを貼って、携帯電話等の利用者情報端末2aでラベル13上の二次元バーコード14bを読み込んで管理サーバにアクセスして必要事項を入力した後に郵便ポストに投函することで、保管を行なうことができる。
【0065】
図5(b)は、ラベルの他の形態を示したもので、利用者2が利用者の運営する保管施設を利用して保管を行う時に使用してもよい。その場合、利用者2は、管理サーバ1aの仮想貸保管庫10を利用して寄託品の分類と目的別の処理を行うために利用し、寄託品の送付は行わない。
【0066】
図5(b)のラベルは、先行発行型であってもよい。ラベルには、管理サーバのURLと寄託品識別子が含まれた二次元バーコード14bが記載されている。利用者2は、保管管理したい物品にラベルを貼り、その場で、ラベル13の二次元バーコード14bを携帯電話などの利用者情報端末2aを用いて読み込み、管理サーバ1aにアクセスして、仮想貸保管庫を指定して所定の情報を入力することで、仮想貸保管庫への登録を完了させる。利用者が、自身の管理する倉庫内の物品に次から次へとラベルを貼って登録することで、倉庫の物品をWEB上で管理できるようになる。
【0067】
次に、図6(b)にて、認証用マーク41について説明する。図6(b)は、図6(a)の封筒の裏面の例である。裏面の模様は、本人認証用に利用者2が描いた認証用マーク41である。管理サーバ1aは、寄託品8の画像を、利用者2に常時公開する画像と常時公開しない画像とに分けて、画像をデータベースに保管していて、利用者2は通信網を介して封筒表面の画像を常に見ることができ、寄託品8の存在とメモ欄による中身の確認が常時できるが、裏面の認証用マーク41の画像は利用者に公開しないようにしてもよい。裏面の画像は、利用者2が出庫時や、利用者2がIDやパスワードを失った時の非常時の本人確認に用いられてもよい。具体的には、例えば、管理サーバ1aが、認証用マーク41を、他の複数の関係のない画像と共に利用者2に通信網を介して呈示して、正解画像を選択させることで、利用者2の認証が行なわれる。
【0068】
認証用マーク41の位置は、裏面とは限らず、表面の一部であってよいし、最初から定位置を決めておいてもよい。また、認証用マーク41の模様は、本人が自分のものだと分かればどのような模様でもよいし、単語や文章でもよい。なお、図6(b)では封筒の例で説明しているが、包装姿はどのような形態でよい。
【0069】
(受領保管)保管施設3における寄託品の受領及び保管について、図3をベースに説明する。保管施設3は、利用者2から送られた寄託品8を受領すると、寄託品8上のラベル13のバーコード14で記された寄託品識別子8aをバーコードリーダー20で読み取り、保管施設情報端末3aから管理サーバ1aに、通信網4を介して含めた受領情報を送信する。受領情報を受けた管理サーバ1aが、受信した寄託品識別子8aを、管理サーバ1aの利用者データファイル、仮想貸保保管庫データファイル、契約・処理状況データファイル、保管施設データファイルの各格納データと照合して、寄託品8の受領の確認が行なわれる。なお、バーコード14を用いない場合は、保管施設情報端末3aが、手入力して寄託品識別子8aの情報を、通信網を介して管理サーバ1aに送信してもよい。
【0070】
また、管理サーバ1aのURLが入った二次元バーコード14bを利用して、管理サーバ1aに受領情報を送付してもよい。スマートフォンやタブレットのような携帯情報端末を用いて、寄託品8の二次元バーコード14bをスキャンすることで、通信網4を介して管理サーバ1aに繋げて、ダイレクトに受領情報データや撮影画像を送ることができ、一連の受領確認がスムースに素早く行える。
【0071】
さらに、受領情報に、カメラやビデオなどの撮像機器35で撮影した寄託品8とラベル13の画像データを含めてもよい。管理サーバ1aが、実保管庫9と画像データを寄託品識別子8aに紐付けして格納する。この後は、画像を含む寄託品8の状況を利用者2がいつでも閲覧できる状態にすることができる。
【0072】
以上の、管理サーバ1aによる前述の受領情報の照合が終了すると、保管施設3において、予約されていた実保管庫9に寄託品8が保管される。同時に、管理サーバ1aにおいては、保管時間の計時が開始される。
【0073】
(保管庫の変更)管理サーバ1aが、通信網4を介して利用者情報端末2aからの依頼を受けて、寄託品8の仮想貸保管庫10を他の仮想貸保管庫に、又は、寄託品8の実保管庫9を他の実保管庫に、変更することができる。
【0074】
先に、仮想貸保管庫の変更について述べる。仮想貸保管庫10の変更は、寄託品識別子8aの紐付け先の変更を管理サーバ1a内で行うだけの処理となる。具体的には、利用者情報端末2aからの仮想貸保管庫の変更の入力に沿って、管理サーバは、仮想貸保管庫に紐付けされている寄託品識別子8aの登録抹消と、他の仮想貸保管庫への前記寄託品識別子の登録とが行なわれる。寄託品8を実際に移動させる訳ではないので、仮想貸保管庫10の移動は瞬時に行われる。
【0075】
図7は、仮想貸保管庫を変更する時の利用者情報端末2aの操作画面例を模式的に表している。左側の[Box3]の寄託品リストは、右側の「仮想貸保管庫の設定属性」の表の「Box3」の仮想貸保管庫の欄をクリックしてポップアップさせた画面である。この例では、ポップアップされた画面の寄託品識別子「1111」の寄託品を仮想貸保管庫「Box3」から仮想貸保管庫「Box1」に変更しようとしているところである。利用者2は、利用者情報端末2a上で、目的である「1111」の寄託品識別子にカーソルを当てて、「Box1」までドラックすると、出庫される「Box3」のパスワードが求められるので、該当パスワードを入力することで、仮想貸保管庫間の移動が完了する。予め「Box3」のパスワード入力を不要に設定してあれば、ドラックした時点で仮想貸保管庫が変更される。
【0076】
以上のように、窓口で複雑な手続きをするようなことなく、寄託品8の仮想貸保管庫変更ができるので、利用者の利便性に応えることができる。例えば、利用者2が、利用目的別、或いは譲渡先別に仮想貸保管庫を複数持っていて、特定の寄託品を何らかの事情で他の仮想貸保管庫に移すことになった場合などに活用される。
【0077】
次に、実保管庫9間の変更について説明する。利用者情報端末2aによって、対象寄託品を選定した実保管庫変更依頼が行われると、管理サーバ1aが利用可能な実保管庫を利用者に呈示するので、その中から利用者2が移行先の実保管庫9を選択して入れ替えが行われる。移行先が決まると、当該寄託品の現在の実保管庫から、指定された他の実保管庫への移送の指示が、管理サーバ1aから対象の移動元の保管施設と移動先の保管施設に送信される。上記指示は保管管理サービス機関1の名義で行われる。具体例では、利用者が引っ越し先に近い保管施設に変更したいと考えたケースや、利用者自身が管理する倉庫の収納容量に空きが出た時に、外部の倉庫にあった寄託品を自身の管理する倉庫に移動するケースなどがある。従来のように一度解約して引き取って、引っ越し先に近い保管施設に行って契約するというようなことがなく、利用者2から見れば、利用者情報端末2a上で実保管庫の移動が完了する。
【0078】
(満期)管理サーバ1aは、寄託品8の保管期限の管理を行うことができる。保管契約時に、利用者情報端末2aから、寄託品8の保管期限が、通信網4を介して管理サーバ1aに、寄託品識別子8aまたは仮想貸保管庫10のいずれかの単位で入力されている。管理サーバ1aが、寄託品の入庫後の計時を行い、随時格納されている保管期限との照合を行う。保管期限を超えた時点で、管理サーバ1aによって、契約に準じた寄託品の処理が実行される。
【0079】
図4(a)のように、管理サーバの契約・処理状況データファイルには、寄託品毎に、満期日のデータが格納されている。満期を迎える直前に、管理サーバ1aが利用者情報端末2aにアラートを出して、延長や出庫などの適切処理をするよう、利用者2を促してもよい。利用者2による手続きが行われずに日数が経過し、満期日になると、管理サーバ1aによって、利用者情報端末2aに契約終了の通知を行なわれ、さらに満期時に関する契約内容に従って、保管施設情報端末3aと処理関連業者情報端末7aに処理依頼が行われて、寄託品が処理される。
【0080】
満期日は、寄託品単位で登録できるが、仮想貸保管庫単位でも登録できる。後者の場合は、仮想貸保管庫に保管されている寄託品をまとめて満期処理できるので、保管場所が散在していても一括操作で仮想貸保管庫内の寄託品を処理できるので、利用者2にとって、利便性の良いシステムとなる。
【0081】
(返還などの処理)利用者2が寄託品8の返還を希望した場合は、利用者2が利用者情報端末2aから管理サーバ1a内の利用者のアカウントにログインして、目的の寄託品識別子8aを選択、或いは目的の仮想貸保管庫10を選択して返還依頼を行う。仮想貸保管庫単位で返還が可能なので、例えば、仮想貸保管庫内の寄託品の数量が多い場合や、複数の保管施設が利用されている場合などのように同一カテゴリでありながら散在保管されている多くの寄託品を同時に返還する場合は、仮想貸保管庫単位の処理が便利である。
【0082】
返還手段は、利用者情報端末2aによって、郵送、直接窓口での手渡しなどと指定されてもよい。窓口での引取りは、利用者2が保管施設3に行き、保管施設情報端末3aに利用者2によるログインがなされて行われてもよい。
【0083】
なお、上述では、返還という寄託品の処理の説明をしているが、本開示での寄託品の処理は、返還に限らず、保管されていた寄託品の扱いのことであり、処理というアクションには、返還の他に、譲渡、共有、売却、貸与、オークション、ラベル貼り付け、物品説明書作成、クリーニング、寄附、廃棄、といった処理手段が含まれる。処理については、寄託品単位又は仮想貸保管庫単位で通信網を介して管理サーバに入力される。管理サーバ1aが、通信網4を介して、保管施設情報端末3a及び処理関連業者情報端末7aに処理に関する指示を送信することで寄託品単位又は仮想貸保管庫単位で処理を行なわれる。
【0084】
(指定利用者と指定仮想貸保管庫)本開示では、利用者の仮想貸保管庫を他の利用者が利用することもできるように、利用者情報端末2aによって、通信網を介して、利用者2と同様に他者が利用又は閲覧ができる指定仮想貸保管庫と、前述の指定仮想貸保管庫の利用又は閲覧を許可する指定利用者22が設定される手段を備えている。指定利用者22については、利用者情報端末2aによって、前記指定利用者22の資格条件が入力され、管理サーバが、前述の資格条件に合致した利用者を指定利用者22と認定して、認定された前記指定利用者22による前記指定仮想貸保管庫のアカウントへのログインを可能にする。
【0085】
図3の指定利用者22は、利用者2が指定した仮想貸保管庫10に対して、利用者2と同じように閲覧又は利用ができる個人又は法人のことで、仮想貸保管庫10を開設した利用者2によって指定される。指定利用者22には、少なくとも、利用者と同様に指定仮想貸保管庫を利用できる指定利用者と、閲覧に限定して利用できる閲覧のみの指定利用者とがある。例えば、利用者2がある特定の仮想貸保管庫内の寄託品を指定利用者22と共同で使いたいとか、特定の仮想貸保管庫を指定利用者22に閲覧させたいといったことなどがある場合に、利用者2が指定利用者22に、前述の指定した仮想貸保管庫10を開放する。
【0086】
また、利用者2が死亡、若しくは利用者2が管理サーバに対応できなくなった場合に備えて、利用者2が指定利用者22を指定してもよい。指定利用者22の資格条件に、利用者2の死後という条件がつけられ、認証は、利用者2の死後に行われてもよい。管理サーバから通信網を介して利用者2に対して行われる定期チェックや遺族からの連絡などで利用者2の死亡が判明した場合に、利用者2が指定していた認証方法に従って、管理サーバ1aが指定利用者22と交信を行い、利用者2が指名していた指定利用者22の認証を行う。認証過程で、指定利用者22は、身分証明書や続柄証明などが求められることもある。
【0087】
利用者2が死亡、若しくは本人が管理サーバに対応できなくなった場合に備えて、利用者2は、複数の指定利用者22に優先順位を付けて、管理サーバ1aに登録してもよい。そうすることで、優先上位の指定利用者が受け取れない何らかのトラブルがあった場合は、下位の指定利用者で対応できるようになる。
【0088】
利用者2が入力する指定利用者22の資格条件とその認証のやり方には、次のようにいくつかの形態をとることができる。
【0089】
第一の資格条件と認証の形態は、利用者情報端末2aから指定仮想貸保管庫、指定利用者、及びその資格条件が入力され、管理サーバ1aのデータベースに格納されるものである。管理サーバ1aが、利用者2が入力した認証方法に従って通信網4を介して、指定利用者22を認証し、認証後に、指定利用者22のアカウントから指定仮想貸保管庫のアカウントへのログインを可能にし、指定利用者22を上述の指定仮想貸保管庫の利用者以外の利用者とするものである。
【0090】
認証方法は、管理サーバ1aから呈示される認証方法から利用者2が選定したり、利用者2が独自の認証方法を追加したり、或いは、管理サーバ1aに一任したりなどして設定されるが、いずれにしても利用者2の意志が入ったものとなる。利用者2の意志に沿わせることで、指定利用者22の認証の仕方の適切性を高めることができる。
【0091】
前述の認証が完了すると、管理サーバ1aによって、指定利用者22のアカウントから、利用者2が特定した仮想貸保管庫10にアクセスできるようになる。指定利用者22は、管理サーバ1aから渡されたパスワードを入力することで、利用者2の前述の特定の仮想貸保管庫10にアクセスできるようになり、元の利用者2同様に仮想貸保管庫10を利用できるようになる。
【0092】
第二の資格条件と認証の形態は、利用者情報端末2aから指定仮想貸保管庫、及び指定利用者22の資格条件が入力され、管理サーバのデータベースに格納され、管理サーバ1aにアカントを持つ他の利用者が、前記指定利用者条件を満たすことを管理サーバ1aが判断した場合に、管理サーバ1aが、指定利用者22とし、前記指定利用者のアカウントから前記指定仮想貸保管庫のアカウントへのログインを可能とする形態である。
【0093】
第三の資格条件と認証の形態は、利用者情報端末2aからの設定において、指定仮想貸保管庫の指定利用者の資格条件が、指定仮想貸保管庫のURLとパスワードの所持者とされる形態である。対象となる指定仮想貸保管庫のパスワードは利用者、又は、管理サーバが設定し、管理サーバのデータベースに格納される。前述の指定仮想貸保管庫のURLとパスワードの入力で、指定仮想貸保管庫のアカウントへのログインが可能となっている。従って、利用者2から指定仮想貸保管庫のURLとパスワードを受け取った者が指定利用者22となれる。
【0094】
なお、指定仮想貸保管庫には、指定利用者22が利用者2と同様に利用できる指定仮想貸保管庫と、閲覧だけが可能な閲覧用の指定貸仮想貸保管庫があるが、指定仮想貸保管庫の使用できるレベルや閲覧レベルをさらに細かく設定してもよい。
【0095】
利用者2が、利用者2の生存中に、利用者2と一緒に特定の仮想貸保管庫を使える指定利用者22を設定した場合、利用者2と指定利用者22が仮想貸保管庫を共同利用することになる。複数名で、グループ利用し合う仮想貸保管庫10を設定することで、寄託品を融通し合うようにすることができる。
【0096】
(公開仮想貸保管庫)利用者2は、寄託品の売却、貸与、或いは譲渡や寄附といった処理を一般の人を相手に行いたい場合に、管理サーバ1aのホームページに仮想貸保管庫10にある寄託品8を一般利用者23に公開することができる。利用者2が、通信網4を介して、利用者2のアカウントの特定の仮想貸保管庫10を公開仮想貸保管庫に設定すると、前記管理サーバ1aが、前記の公開仮想貸保管庫に登録されている物品を、利用者2が寄託品8に与えた分類と処理区分に応じて、インターネット上に公開する。
【0097】
公開仮想貸保管庫は、URLを有するアカウントにすることができるので。管理サーバのホームページに連結するだけでなく、他のWEBページにリンクさせることもできる。その場合、リンクは管理サーバを介したリンクであり、一般利用者との取引は、管理サーバが仲介することになる。
【0098】
本開示の一般利用者23は、インターネット通信網4を介して管理サーバのホームページにアクセスして、公開されている寄託品8の閲覧や購入などを行う個人或いは法人や団体である。なお、一般利用者23は、寄託品の購入などの取引をする時には、利用者アカウントが必要となるので、管理サーバ1aに登録をして利用者アカウントを作る。管理サーバが運営するホームページ26には、例えば、利用者全員の公開仮想貸保管庫の寄託品をジャンル毎にまとめて、一般利用者が閲覧し易いように公開したり、さまざまな公開仮想貸保管庫毎にその特徴を添えて公開したりしてもよい。或いは、販売、譲渡、寄附、レンタル、閲覧のみなどと処理項目別に仕分けして公開してもよい。閲覧だけという公開は、個人が趣味で集めた収集品の展示などに利用してもよいし、もし、興味のある人がいたら、相手次第では、譲渡も考えるといった売却の決心がつかない不使用品の公開であってもよい。そのような使用法であれば、需要と供給のタイミングを逸するような機会損失が改善され、潜在廃棄物となる不使用品の再利用の循環が促進されるプラットホームが提供されることになる。
【0099】
図8は、公開仮想貸保管庫42の仕組みを説明している図である。利用者Aと利用者Bのアカウントがあり、利用者Aには、非公開の仮想貸保管庫10と公開設定された公開仮想貸保管庫42のアカウントがあり、利用者Bには、公開仮想貸保管庫42のアカウントがある。それぞれの仮想貸保管庫には、点線で関係が示されているように、実保管庫9に保管されている寄託品8の寄託品識別子8aが登録されていている。管理サーバのホームページには、公開仮想貸保管庫42に登録されている寄託品だけが公開され、非公開の仮想貸保管庫10の寄託品は公開されないことが示されている。
【0100】
公開仮想貸保管庫42に寄託品識別子8aを新規登録した瞬間、管理サーバ1aによって、ホームページ26に自動的に公開される。公開仮想貸保管庫42の公開設定が閉じられると、公開仮想貸保管庫42に登録されている寄託品は全て、ホームページ26の画面の表示から消える。
【0101】
また、公開仮想貸保管庫42に通常の仮想貸保管庫10を連結させることも可能である。利用者2が任意の仮想貸保管庫10を公開仮想貸保管庫42に連結する設定の入力を行うと、連結設定されている間は、管理サーバが、前述の仮想貸保管庫10に登録されている寄託品を分類と処理区分に応じて、公開仮想貸保管庫42の物品とみなしてインターネット上に公開する。
【0102】
図9は、仮想貸保管庫の連結機能について説明している。利用者情報端末2aから通信網を介して管理サーバ1aにアクセスして、非公開の仮想貸保管庫10を公開仮想貸保管庫42へ連結45の設定をすると、紐付け破線50で示したラインができ、連結をしている間、仮想貸保管庫10の寄託品の全てがホームページ26に公開される。連結のON/OFFによって、仮想貸保管庫の公開/非公開が簡単にできるので、連結は利用者にとって便利な機能となっている。
【0103】
図10は、利用者2が設定して利用している仮想貸保管庫10の設定例の模式リストである。各仮想貸保管庫に名称が付けられ、公開又は非公開の区分、及び公開貸保管庫への連結状態が登録され、さらに売却、貸与、譲渡、寄附、或いは、閲覧だけといった処理やその他の属性が設定されている様子を示している。この例の利用者は、5個の仮想貸保管庫を設定していて、それぞれに名称を付与して、利用者2の意とするカテゴリで寄託品を寄託している。これらの設定は、それぞれの仮想貸保管庫のアカウントで行なわれているが、図10のような仮想貸保管庫のリスト上で、設定が行なわれてもよい。
【0104】
例えば、図10の一般公開の設定がされている「Box3」の仮想貸保管庫を見ると、処理区分が「売却」の公開仮想貸保管庫として利用されている。「Box3」に登録の寄託品は全て管理サーバのホームページに販売可能品として、価格と共に公開されている。価格や販売条件は、利用者2が管理サーバ1aに入力するデータを元に、管理サーバ1aが諸コストを加えて表示してもよい。寄託品を個別に売却することも、公開仮想貸保管庫の全てを一括で売却することも可能である。「Box3」の「最終処理(死後)」の欄に「譲渡」と登録されてあり、譲渡先が、「指定利用者」欄に優先順と共に登録されている。加えて、登録されている全ての譲渡先が拒絶や死亡していた場合などに備えて、第二の処理手段も登録されている。
【0105】
一方、「Box2」と「Box4」は、「Box3」に「連結中」の状態であるので、この2つの仮想貸保管庫に登録の寄託品は、それぞれ、展示、及び譲渡対象品として、ホームページに一般公開されている。また、「Box5」は、「D氏」と共同利用している仮想貸保管庫であることがわかる。
【0106】
なお、寄託品単位で、売却、貸与、譲渡、寄附、或いは、閲覧だけといった処理の設定を行うこともできるが、その設定が仮想貸保管庫単位の設定と異なった場合にどちらかを優先するかを、あらかじめ設定しておいてもよい。また、利用者2のアカウント内では、全ての仮想貸保管をまたがって寄託品の検索を行うことも可能である。管理サーバのホームページに公開されている寄託品に関しては、全品が検索の検索対象となってもよい。
【0107】
(売却や譲渡の処理)利用者2が公開している寄託品8の売却、譲渡といった処理は、図3の一般利用者23が、一般利用者情報端末23aから通信網4を介して、管理サーバ1aのホームページにアクセスし、利用者2が指定した処理目的で公開されている寄託品に対する引き合いを、管理サーバ1aにログインして入力する。管理サーバ1aは、通信網4を介して、一般利用者情報端末23aと交信して、寄託品8の売却、譲渡といった処理の取引を成立させ、取引が成立した段階で、寄託品8の処理指示を保管施設情報端末3a及び関連する処理関連業者情報端末7aに通知し、処理の完了を確認し、仮想貸保管庫における寄託品8の登録を削除すると共に、処理が完了したことを一般利用者情報端末23aと利用者情報端末2aに通知する。
【0108】
図11は、寄託品の販売や譲渡において、購入者である一般利用者23に寄託品8を引き渡す方法を模式的に表した図である。実保管庫9に保管されている寄託品8が、公開仮想貸保管庫42に登録され、管理サーバのホームページのホームページ26で公開されている関係が紐付け破線50で示されている。一般利用者23が、寄託品8に対する引き合いをする場合は、一般利用者アカウント23bから行う。管理サーバ1aが、通信網4を介して一般利用者情報端末23aと交信して寄託品8の処理条件が整った段階で、寄託品8の処理指示を前記保管施設情報端末3a及び前記処理関連業者情報端末7aに通知して、実保管庫9から前記の寄託品を出庫30の処理をさせ、寄託品8を一般利用者23に届ける。管理サーバ1aは前記寄託品の処理が完了したのを確認し、寄託品識別子8aの登録を削除し、一般利用者情報端末23aと利用者情報端末2aに通知する。
【0109】
寄託品8を届ける手段は、郵送配達や直接倉庫渡しなどで行われてもよい。ホームページに公開されている実倉庫の所在地を見て、一般利用者が、直接引取り行く倉庫渡しを選択することもできる。
【0110】
一方、寄託品の引き渡しは、上記のように出庫をして行う以外に、仮想貸保管庫の特徴を活かした仮想貸保管庫間の移動で、引き渡しを完了させることも可能である。一般利用者23が、通信網4を介して、利用者2が指定した処理目的で公開されている寄託品8に対する引き合いを、管理サーバ1aにログインして入力すると、管理サーバ1aが、通信網4を介して、一般利用者情報端末23aと交信して、前記寄託品8の購買、譲渡といった処理の取引を成立させ、支払いを含めた取引が成立した段階で、管理サーバ1aが、利用者2の公開仮想貸保管庫42における寄託品識別子8aの登録を削除し、一般利用者23の仮想貸保管庫10に、寄託品識別子8aの登録を行うという図11に示した仮想貸保管庫間の移動32で引き渡しを完了させることができる。
【0111】
仮想貸保管庫間の移動32で、引き渡しが行われた場合の寄託品は、そのまま元の実保管庫に保管されている。寄託品8のラベル13には、寄託品識別子8aと差出人名が保管管理サービス機関の名義が記載されているだけなので、ラベルの貼り替えも、寄託品識別子8aの変更の必要が無い。このような本開示のラベル仕様が、実保管庫9の寄託品8がそのままの状態で寄託品の所有者が変われることを可能としている。仮想貸保管庫間の移動32後の一般利用者は、自身の仮想貸保管庫10を用いて、都合がいい時に、出庫または、販売などを行うことができる。
【0112】
(拡張子)寄託品識別子8aに、元来の寄託品識別子の派生識別子として、接尾拡張子を付加できる。出庫後に再入庫した寄託品の寄託品識別子に、オリジナルの寄託品識別子との関係を残しておきたい場合や、寄託品内に格納されている複数の個品に新たに寄託品識別子を与える時に、オリジナルの寄託品識別子との関係を残しておきたい場合に、拡張子を使用してもよい。個品が格納されていた元の寄託品識別子を親として認識し易くなる。
【0113】
例えば、共同利用している仮想貸保管庫に保管されている寄託品が、共同使用によって、出庫と保管が繰り返されるケースでは、以前と同じ物であることが明白になるというメリットと共に、拡張子を連番にすることで、使用回数を管理できるというメリットが生まれ、さらに、誰が何番目に使用したかということも管理サーバに記録することができる。
【0114】
(レンタル)一般利用者情報端末23aが、通信網4を介して、レンタル目的で公開されている寄託品に対する借用の引き合いを、希望借用期間と共に、前記管理サーバにログインして入力すると、管理サーバ1aが、一般利用者情報端末23aとの寄託品8の借用取引が成立した段階で、管理サーバ1aが、ホームページ26の寄託品の表示欄に貸出期間と共に貸出中の表示をし、前記寄託品8の出庫及び配送指示を保管施設情報端末3a及び処理関連業者情報端末7aに通知して、前記寄託品の配達を完了させる。
【0115】
レンタル処理では、貸出期間中は、対象寄託品をホームページから削除せずに、貸出中の表記に変更している。実際には実保管庫から出庫されているので、通常は仮想貸保管庫に登録から外れ、ホームページに掲示できないのだが、仮想貸保管庫という特質があるので、保管してない物に、貸出中というレッテルを貼って、一般利用者や指定利用者に通知することができ、利用の円滑化を実現している。このような所作が無い場合は、再利用対象の寄託品が、仮想貸保管庫から突然消え、突然出現するというような事態になり、他の一般利用者は、借用される期間も分からなくなるため、使い難いものになる。他のレンタル希望者が使用計画を立てられるように支援することができるので、混乱のない利用がなされる。貸し出されていた寄託品8の返却については、借用者からの返却連絡を受けて、管理サーバ1aが通信網を介して保管施設情報端末3aに返却を確認する。確認がとれ次第、公開ページの寄託品の貸出中の表示の削除を行なわれる。
【0116】
上述にレンタル処理を例に説明したが、寄託品を借用利用する共同利用にも適用して運用できる。利用者の人数が限定されている共同利用の場合は、使用後に返却する実保管庫は、出庫した実保管庫でなくともよいという設定も可能である。例えば、距離的に遠い倉庫の物を出庫して利用した場合、近隣の倉庫に保管して返却とすることができる。借用者が自身の倉庫を管理サーバに実保管庫として登録しているのであれば、それを利用することもできる。寄託品は使用頻度の多い人の近隣の倉庫に保管されることが多くなり、トータル的に無駄な送料を削減できる。
【0117】
(交信サポート)管理サーバ1aが、利用者と前記一般利用者にアクセス番号を付与し、前記アクセス番号にそれぞれの電子メールアドレス或いは電話番号が紐付けされる手段と、発信者が前記管理サーバ1aに通信網又は電話回線を介してアクセスして受信者のアクセス番号を入力することで、管理サーバ1aが発信者から受信者側に電子メールを送信、又は、発信者間と受信者間の電話接続を行う手段と、管理サーバ1aが、前記発信者と前記受信者の電子メールのアドレスが相手側に非表示とし、前記発信者と前記受信者の電話番号が相手側に非表示とする手段とを備えていてもよい。
【0118】
管理サーバ1aのホームページで、一般公開されている寄託品8には、利用者2による物品説明が付いているが、それだけでは不足な場合があるので、利用者2と一般利用者23間で通信網を介して交信が行える場を管理サーバが提供する。交信は、テキストに限らず、音声や画像で行えるようにしてもよい。なお、交信内容に、価格交渉や取引契約を行うことを許容するのであれば、それらを含めてもよい。
【0119】
前述の交信手段によれば、個人情報のセキュリティを確保しながら、売買や譲渡の対象品である寄託品に関する質問や交渉をダイレクトに行える環境が提供される。
【0120】
(評価)管理サーバ1aが、利用者2、保管施設3、処理関連業者7、及び一般利用者23の運用毎に、それぞれに関わった他者の評価を集計し、評価のランク付けを行ってもよい。利用者2や一般利用者23の実名は秘匿されているので、アクセス番号や公開仮想貸保管庫名で評価される。評価は、管理サーバ1aが記録している実保管庫の運用記録に加えて、実保管庫を利用する利用者2や処理関連業者7からのヒアリングなどのデータを、管理サーバの評価ソフトで解析して行なわれる。評価収集データは、評価点やランク付けだけでなく、レビューコメントを管理サーバ1aのホームページの評価欄に反映させてもよい。 。
【0121】
このような相互アセスメントは、利用者選択や業者選択をサポートし、改善を促す効果がある。例えば、利用者2が実保管庫9を選択するときにランク付けとレビューコメントが参考になる。また、利用者2にとって重宝なデータとなる一方で、保管施設側の改善を促す効果がある。
【0122】
評価結果が管理サーバに入力されている許容範囲を下回った個人や法人には、管理サーバが登録を抹消したり、アクセスを拒否したりして、運営の健全化を図ってもよい。
【実施例
【0123】
以下、各プロセスの実施例をフローチャートで説明する。
【0124】
(仮想貸保管庫の開設から保管に関するプロセス)図12は、仮想貸保管庫の開設から寄託品を保管するまでのプロセスの一例を示すフローチャートである。利用者が利用者情報端末2aから通信網を介して管理サーバ1aに入力し、ユーザー登録15を行うことで、利用者のアカウントが作られる。仮想貸保管庫は、利用者がユーザーアカウントにログイン16して、仮想貸保管庫の開設17を申し込んで入力することによって、設置される。利用者は、複数の仮想貸保管庫を開設することができ、一つの仮想貸保管庫に複数の寄託品に対応した寄託品識別子を登録することができる。
【0125】
寄託品を保管する際は、利用者情報端末2aから通信網を介して仮想貸保管庫にログイン16した利用者が、寄託品の保管依頼19を行う。
【0126】
保管依頼19を受けた管理サーバ1aは、寄託品に寄託品識別子8aを付与する。寄託品を実際に保管する実保管庫は、管理サーバ1aが単数又は複数の保管施設から通信回線を介して得ていた実保管庫情報28の中から定められる。実保管庫9を定める手順は、複数の実保管庫情報28から、利用者情報端末2aから入力された利用者の希望する条件、或いは寄託品の属性に合った実保管庫を、管理サーバが抽出して、その中から利用者が利用者情報端末2aを用いて選択する形態あってもよく、利用者が管理サーバに一任する形態であってもよい。
【0127】
実保管庫9が決定された後は、利用者と保管管理サービス機関の間で、通信網を介して寄託契約39が取り交わされ、料金の支払い手続き(図示せず)などが行われる。選定した実保管庫9が何らかの事情で予約できなくなった場合は、管理サーバ1aは、再び候補の実保管庫を抽出し、利用者情報端末2aに呈示して実保管庫9が再選定される。
【0128】
寄託契約39の締結後は、利用者情報端末2aが、通信網を介して、管理サーバ1aから寄託品識別子8aを含むラベル情報13aを得て、ラベル13を印刷出力する。ラベル13は、寄託品8に貼り付けられ、保管施設に送付される。ラベル13には、寄託品識別子のバーコードなどの機械可読テキストが含まれている。
【0129】
利用者2から寄託品8が届けられると、保管施設では、寄託品8に貼られたラベル13のバーコードをスキャナーで読み取って、寄託品の受領を確認後、通信網を介して保管施設情報端末3aから管理サーバ1aに、ラベル含めた寄託品画像25を添付して受領報告をする。管理サーバは、上記の寄託品識別子8aと寄託契約39のデータベースとを照合24してから、保管施設情報端末3aに保管指示を送信する。それを受けて、保管施設では、寄託品向けに予約されていた実保管庫に、寄託品8が保管11される。また、管理サーバ1aは、保管時間の計時34を開始する。
【0130】
図13は、他の保管プロセスのフローチャートである。利用者からの寄託が行われる前に、ラベルが用意されているという先行発行型ラベルが用いられるプロセスである。図5(a)のラベル13は、前述のプロセスのラベルであるが、先行発行型のラベルにもなり、二次元バーコードに管理サーバのアドレスであるURLと寄託品識別子8aが記載されている。利用者2は、利用者情報端末2aを介して、管理サーバ1aからラベル情報13aを得て、ラベル13を印刷する。ラベル13には、寄託品識別子8aと送り先の保管施設が記載されている。利用者2は、管理サーバ1aが提供するラベル情報を元に保管管理サービス機関や他の法人が印刷するラベルを、購入して入手してもよい。
【0131】
寄託品8の保管は、前述のラベルを使用して行われる。先ず、利用者は、携帯電話などの利用者情報端末2aで、前記の先行発行型のラベル上の二次元バーコードを読み込んで通信網を介して管理サーバ1aにアクセスする。二次元バーコードは管理サーバのURLと寄託品識別子8aが記載されている。利用者情報端末2aには、予め管理サーバが提供したアプリケーションソフトウェアがインストールされているので、管理サーバは、利用者情報端末2aから、二次元バーコードに含まれていた寄託品識別子8aと、利用者情報端末2aに保存されている利用者アカウントのIDを受領し、利用者は利用者情報端末2aからパスワードを入力するだけで利用者アカウントへのログインできる。その後、表示された利用者アカウントの画面で、保管依頼19の入力を行う。
【0132】
次に、利用者情報端末2aによって、仮想貸保管庫の選択18が行われる。仮想貸保管庫が設定されていない場合は、新たな仮想貸保管庫の開設17が行われる。次に、利用者情報端末2aは、実保管庫を選択し、管理サーバ1aと寄託契約39を結ぶ。その後、利用者2は、前述のラベル13を貼った寄託品8を保管施設3に送付する。寄託品8を受領した保管施設情報端末3aは、ラベル含めた寄託品画像25を管理サーバ1aに送信し、管理サーバ1aが預託契約内容との照合24を確認してからの保管指示を待って、前述の実保管庫に保管する。以上のように、利用者は、ラベル13と利用者情報端末2aを携行していれば、いつでも何処でも仮想貸保管庫への寄託品の登録保管が容易にできる。ラベルを印刷する必要なくその場で発送できるので、利用者にとって、手軽で便利なプロセスなっている。
【0133】
また、保管プロセスの特殊ケースに、利用者が管理する保管施設を使用して保管が行われる場合がある。プロセスは、図12、或いは図13の仮想貸保管庫へのログイン16を行って、保管依頼19を行うまでは、同一である。利用者は、自身が管理する保管施設を使用して保管を行うので、前もって管理サーバに登録しておいた利用者の運営する実保管庫を選択し、管理サーバと寄託契約を結ぶ。その後、利用者2は、保管施設3として、ラベル含めた寄託品画像25を管理サーバ1aに送信し、管理サーバからの保管指示を待って、寄託品を利用者の実保管庫に保管する。ラベル13と利用者情報端末2aを携行して、自身の管理する保管庫で保管作業をしながら仮想貸保管庫に容易に登録できるので、利用者にとって、保管物品を寄託品として整理できる手軽で便利なシステムとなっている。
【0134】
図14は、保管施設毎に、利用者の寄託品の総体積を管理サーバが計算して、保管料金の見直しを保管施設と共に行うプロセスを説明するフローチャートである。上述の図12及び図13の実保管庫を選択した後、契約に至るプロセスで行われるフローである。管理サーバ1aは、契約データベースに格納されているデータを用いて、実保管庫9における利用者の全寄託品の総体積を計算する。管理サーバ1aは、総体積を保管施設の体積ごとに設定された料金表に照合して、保管料が安くできると判断した場合に、保管施設情報端末3aに通知して、寄託品の保管料の再設定を行なうようにしてもよい。
【0135】
(実保管庫の変更に関するプロセス)図15の中段は、保管されている寄託品を実保管庫間で移動させる時のフローチャートである。利用者情報端末2aが管理サーバ1aにアクセスし、対象寄託品の寄託品識別子8aを指定して、実保管庫変更依頼を行なう。管理サーバ1aがデータベースと照合24した後、利用者情報端末2aに実保管庫情報28を呈示して、利用者に希望の実保管庫9を選択してもらい、その実保管庫9がある保管施設情報端末3aに実保管庫の予約27する。その後、管理サーバ1a、移動元と移動先の保管施設、及びその処理関連業者に保管庫の変更指示を送信する。具体的には、移動元には出庫及び配達、移動先には実保管庫の予約と受取りの準備連絡である。以上のプロセスを経て、保管施設内、または、当該保管施設間で、当該寄託品が新しい実保管庫に移される。最後に、管理サーバ1aが、実保管庫変更の完了連絡を利用者情報端末2aに送信して、変更が完了する。
【0136】
(仮想貸保管庫の変更に関するプロセス)図15の下段は、保管されている寄託品の仮想貸保管庫を別の仮想貸保管庫に変更する時のフローチャートである。利用者情報端末2aが、通信網を介して、仮想貸保管庫のアカウントにアクセスして、対象寄託品の寄託品識別子を選定して仮想貸保管庫変更依頼を行い、移動先の仮想貸保管庫を入力する。管理サーバ1aは、利用者の要求を保管されているデータと照合24した後に、利用者2の希望する仮想貸保管庫間の移動32の変更処理を行う。寄託品8の実際の移動はないので、瞬時に処理が完了する。
【0137】
なお、処理を簡単に進めるために、予め、同一アカウント内では、出庫側の仮想貸保管庫のパスワード入力をスキップさせる設定しておいてもよい。
【0138】
(返還に関するプロセス)図16の上段は、返還プロセスのフローチャートである。利用者2が寄託品8の返還を希望する場合は、利用者が利用者情報端末2aから管理サーバ1aにアクセスして、返還対象となる仮想貸保管庫、又は寄託品識別子を指定して返還依頼29を行う。管理サーバ1aは、依頼内容をデータベース36と照合24して返還依頼29の内容に問題なければ、利用者情報端末2aから送付先の情報を得、さらに利用者からの料金納付の確認を行って保管施設情報端末3a、及び、処理関連業者情報端末7aに発送指示を行う。処理関連業者情報端末7aからの配達の連絡が管理サーバ1aに送信され、さらに管理サーバ1aから利用者情報端末2aに発送情報が送信されて返還が完了する。なお、保管施設が、配達業務を兼ねてもよい。
【0139】
発送については、利用者は、郵送を希望してもよいし、直接窓口での手渡しを希望してもよい。窓口での引取りは、利用者が保管施設の窓口にて保管施設情報端末3aから管理サーバ1aにログインして行われてもよい。また、管理サーバ1aから保管施設情報端末3aへの通信網を介した返還指示は、保管管理サービス機関の名義で行われてよく、その場合、利用者にとってセキュリティ性が高い保管管理システムとなる。
【0140】
(満期に関するプロセス)図16の下段は、満期になった場合のフローチャートである。データベース36に、寄託品の保管期間が、寄託品単位、或いは仮想貸保管庫単位で、管理サーバ1a内に格納されている。管理サーバ1aは保管開始時から経過時間を計時34していて、利用者は、経過時間を利用者情報端末2aで随時知ることができる。
【0141】
管理サーバ1aは格納している満期管理プログラムによって、所定間隔でデータベース36にある保管期限のデータと計時データとを照合24し、保管期限近くの所定の時間内になったら、利用者情報端末2aに連絡する。利用者情報端末2aは通知を受けて、保管期間の延長手続きを行うか、返還手続きの入力を行う。さらに時間が経過して保管期限の時刻になったら、管理サーバ1aは利用者情報端末2aに契約終了の通知も行い、保管終了処理を行う。保管終了処理の実務は、契約内容に従って、管理サーバ1aによって、つまりは、保管管理サービス機関によって実行される。
【0142】
(指定仮想貸保管庫と指定利用者に関するプロセス)本開示では、利用者の仮想貸保管庫を他者に利用させる手段を提供している。利用者と同様に利用又は閲覧ができる指定仮想貸保管庫と、前記指定仮想貸保管庫を利用又は閲覧ができる指定利用者が設定されるプロセスについて、以下に説明する。
【0143】
図17は、指定仮想貸保管庫とその指定利用者の認証の第一の形態を示したフローチャート図である。先ずは、利用者情報端末2aが仮想貸保管庫の選択18をして、指定仮想貸保管庫37の設定を行う。利用者と同様の使用ができる仮想貸保管庫なのか、閲覧だけ許可する仮想貸保管庫なのかを選択し、指定仮想貸保管庫の属性設定を行う。次に、前記の指定仮想貸保管庫における指定利用者、及び資格認証条件が利用者情報端末2aによって入力され、それらが管理サーバ1aのデータベースに格納される。
【0144】
指定利用者となる者は、指定利用者情報端末22aから、管理サーバ1aにユーザー登録15をして、指定仮想貸保管庫使用依頼をする。管理サーバ1aが、利用者2が入力した認証方法に従って通信網4を介して、指定利用者22を認証し、認証後に、指定利用者22のアカウントから指定仮想貸保管庫のアカウントへのログインを可能にし、指定利用者22を上述の指定仮想貸保管庫の利用者2以外の利用者とする。
【0145】
上述の指定利用者の資格認証の第一の形態は、利用者が亡くなった場合でも対応できる。利用者2は、生存中に、死後に譲渡したい物が登録されている仮想貸保管庫を指定仮想貸保管庫37にし、指定利用者指名及び資格認証条件71を、通信網を介して利用者情報端末2aから管理サーバ1aに入力しておく。資格認証条件に、発動は利用者2の死後とすることも含めておく。なお、認証方法は、管理サーバが用意した複数のパターンの中から利用者2が選択する形でもよい。
【0146】
利用者2が死亡したら、指定利用者は、指定仮想貸保管庫の使用依頼をする。図17の後段にあるように、指定利用者は、通信網4を介して、指定利用者情報端末22aから管理サーバ1aにアクセスして、ユーザー登録15を行い、指定利用者22の本人認証を受ける。管理サーバ1aが、指定利用者22のユーザー登録15の内容、及び利用者が生前に入力していた資格条件に従って、指定利用者に回答を求め、得た内容と格納データとを照合して指定利用者22の認証38を行う。管理サーバ1aは、場合によっては、保管管理サービス機関情報端末1bと共に、指定利用者の本人確認を行う。認証38終了後、管理サーバ1aは、指定利用者22のアカウントから指定仮想貸保管庫へのアクセス設定を行い、同時に、そのパスワードを指定利用者22に連絡する。以後、指定利用者22は、前述の指定貸仮想保管庫を利用することができる。指定利用者の認証形態には、他の形態もあるので、以下に説明する。
【0147】
図18は、指定利用者の認証の第二の形態例のフローチャートである。第二の形態と異なるのは、指定利用者の資格認証条件71に、管理サーバ1aが管理サーバ1aにアカントを持つ他の利用者が、前記指定利用者条件を満たすことを管理サーバ1aが判断した場合に、管理サーバ1aが、自動的にその利用者を指定利用者22とすることである。認証条件を満たしたアカウントの所有者が指定利用者になり、パスワードが連絡され、指定仮想貸保管庫のアカウントへのアクセスが可能となる。
【0148】
図19は、指定利用者の認証の第三の形態例のフローチャートである。第三の形態では、指定利用者22の資格認証条件71において、URLとパスワードで承認という条件が利用者情報端末2aから指定される。パスワードは、利用者2、又は管理サーバ1aにより定められ、管理サーバのデータベースに格納され、利用者は、利用者情報端末2aを介して、対象仮想貸保管庫のURL、ID、パスワードを管理サーバから得ることができる。指定利用者22は、利用者2から指定仮想貸保管庫のURLとパスワードを教えてもらうことで、前記特定の仮想貸保管庫を使用できるようになる。なお、利用者2の死後にのみ機能するようにするには、利用者2が管理サーバ1aに入力登録する指定利用者の資格認証条件71に、利用者の死後であることや、指定利用者が、利用者の死亡を証明するものを呈示することなどが入力されてもよい。
【0149】
(公開仮想貸保管庫に関するプロセス)図20は、公開仮想貸保管庫の設定に関わるフローチャートの一例である。公開仮想貸保管庫は、管理サーバ1aのホームページ上に、登録されてある寄託品の情報が公開される仮想貸保管庫であり、別の視点では、管理サーバ1aのホームページのホームページに連結されている仮想貸保管庫である。よって、公開仮想貸保管庫に登録されている全ての物品は、通信網を介して一般に公開される。利用者は、管理サーバ1aにおいて、任意の仮想貸保管庫に公開設定を行って、公開仮想貸保管庫とすることができる。
【0150】
利用者は、利用者情報端末2aを介して、公開設定する仮想貸保管庫にログイン後、「一般公開型に設定」ボタンをクリックする。その後、利用者情報端末2aは、管理サーバが呈示する非公開、指定公開、一般公開の選択の中から「一般公開」を選択して設定する。一般公開型を指定した場合は、インターネット通信網に繋がっている全ての人に公開される。本開示の公開仮想貸保管庫とは、一般公開型の仮想貸保管庫をいう。
【0151】
図21は、非公開の仮想貸保管庫を公開仮想貸保管庫に連結させる設定を行う時のフローチャートの一例である。利用者は、利用者情報端末2aを介して、公開仮想貸保管庫に連結させて公開したい仮想貸保管庫10にログイン16して、連結設定のボタンをクリックし、連結先の公開仮想貸保管庫42を指定する。管理サーバ1aは、利用者情報端末2aからの入力を受けて、前述の仮想貸保管庫10を公開仮想貸保管庫42に連結する。すると、連結された仮想貸保管庫10の寄託品は、あたかも公開仮想貸保管庫42にある物品のように、管理サーバ1aのホームページで一般公開されるようになる。
【0152】
連結の解除は、利用者が利用者情報端末2aを介して連結設定していた仮想貸保管庫にログイン後、連結解除45aのボタンをクリックすることで、連結が解除され、仮想貸保管庫に登録されている寄託品は、今まで一般公開されていた管理サーバ1aのホームページから姿を消す。
【0153】
(売買やレンタルに関するプロセス)図22は、管理サーバのホームページで、販売対象として一般公開されている公開仮想貸保管庫の寄託品の売買プロセスの一フローチャートの一例である。一般利用者は、一般利用者情報端末23aを介して、インターネット通信網を介して、管理サーバ1aのホームページにて、購入したい寄託品をクリックして購入引き合い46をする。その後、一般利用者は、管理サーバと交信して取引価格を決定し、引き渡し手段47を入力して売買契約70を結ぶ。送料は、包装体のタテヨコ高さの総和寸法毎に一律に定められていてもよい。
【0154】
売買契約70における引き渡し手段47の選定について説明する。図22の例では、引き渡し手段の選択画面で、倉庫渡し33、配達31、仮想貸保管庫間の移動32の3種類が一般利用者の情報端末に表示され、いずれかが選択される。倉庫渡し33は物品が保管施設の窓口で引き渡され、配達31は郵便や宅配で送付され、仮想貸保管庫間の移動32は、先に図11に示した仮想貸保管庫間の移動32で説明した方法で引き渡される。なお、仮想貸保管庫間の移動32を選択した時点で、一般利用者に寄託品を受け取る仮想貸保管庫が無い場合は、一般利用者は、受取用の仮想貸保管を作成しなければならない。
【0155】
売買契約が成立した後、一般利用者情報端末23aが金融機関サーバ6aと交信して料金の振込依頼をして管理サーバ1aの指定する決済機関サーバ5aに振込を行う。管理サーバ1aは、前述の決済機関サーバ5aへの入金72を確認し、保管施設情報端末3aや処理関連業者に通信網を介して、引き渡し手段を伝えて、寄託品の引き渡しを行わせる。なお、支払方法は図22に限らず、着払いにするなど、他の方法であってもよい。
【0156】
売主である利用者2の口座に代金が振り込まれるのは送金指示74による。そのタイミングは、一般利用者情報端末23aが選択した引き渡し手段47毎に異なってもよい。仮想貸保管庫間移動の場合は管理サーバ1a内での移動処理が終了した時点でもよく、その他は、管理サーバ1aが一般利用者情報端末23a、或いは、保管施設情報端末3aからの出庫の連絡を確認して行われてもよい。管理サーバ1aは、買主より送金された代金を預かっている決済機関サーバ5aに、売主である利用者2の金融機関アカントに当該金額の送金指示を行ってもよい。その後、管理サーバ1aによって、利用者情報端末2aに通信網を介して売却完了報告を行われる。
【0157】
上述では、個々の寄託品の売買を例に述べたが、売買は仮想貸保管庫単位でも可能であり、上記と同様のプロセスで行える。
【0158】
図23は、売買処理プロセスの他の形態例であり、図22の引き渡し手段47を配達31である系統のプロセスに特化して表した図である。この形態では、図22で管理サーバ1aが行っていた図22の点線枠Aのプロセスが、図23の点線枠Aのプロセスである。図23のように、点線枠Aのプロセスを処理関連業者に委託して売買処理が行われてもよい。
【0159】
通信網を介して利用者情報端末2aから売却依頼を受けた管理サーバ1aは、処理関連業者情報端末7aに寄託品情報を示して売却依頼を行う。寄託品情報の中には、売買代金の振込先である売主の口座情報も含まれている。処理関連業者は、図22に述べた点線枠Aのプロセスと同様のプロセスで、購入者との取引を完了する。但し、寄託品の出庫30においては、管理サーバ1aが受け持つ。つまり、通信網を介して、処理関連業者情報端末7aから出庫配送指示を受けて、管理サーバ1aが、保管施設情報端末3aに出庫配送指示を送信し、出庫を確認して、処理関連業者情報端末7aに転送している。最後に、管理サーバ1aは、処理関連業者情報端末7aからの完了の連絡受けて、利用者情報端末に完了報告をし、寄託品登録の削除を行う。
【0160】
寄託品の処理は、売却に限らない。例えば、寄託品をレンタルさせることも可能である。利用者によって寄託品がレンタル対象として管理サーバによってホームページに掲載され、一般利用者がホームページを見て通信網を介してレンタルするのである。
【0161】
レンタルのプロセス(図示せず)は、ほぼ図22と同一プロセスでよい。異なる点は、図22において、少なくとも、寄託品情報8bに レンタル期間が組み込まれること、ホームページ26に、貸し出し中であれば「貸出中」及び「貸出期間」の表示がなされること、購入引き合い46において「レンタル期間」の入力を行うこと、売買契約70がレンタル契約になること、出庫30後の寄託品登録削除75と書かれてあるプロセスが無くなり、ホームページの当該寄託品欄に「貸出中」と「貸出期間」の表示がなされることである。
【0162】
レンタル品の返却時は、借用者が、情報端末を介して、ホームページの「貸出中」と表示されている当該品のアイコンをクリック後に「返却」ボタンをクリックして、必要事項を入力して、管理サーバ1aのラベル情報のラベルを貼って保管施設に送付して、レンタル品の返却を完了させてもよい。
【0163】
図24は、利用者と一般利用者が寄託品などの関する問い合わせや交渉などのやり取りを、個人情報の開示無しに電子メールで直接に行なうプロセス例を示している。最初に、利用者情報端末2aおよび一般利用者情報端末23aから、管理サーバ1aにそれぞれの電子メールアドレスの登録が行われる。管理サーバ1aは、利用者情報端末2aおよび一般利用者情報端末23aのそれぞれに、本人アクセス番号80を付与する。本人アクセス番号80は、データベース36に格納登録され、同時に、ホームページ26の寄託品情報欄に、利用者である寄託者の本人アクセス番号が掲示される。
【0164】
一般利用者が、管理サーバ1aのホームページ26を閲覧して、ある寄託品について寄託品の所有者に連絡を取る場合に、ホームページにある問い合わせメールアドレスに、電子メール送信をするが、その時、電子メールの管理サーバ1aによって指示された所定の場所には、発信者と受信者の本人アクセス番号が記入される。例えば、タイトル欄に送信先である受信者のアクセス番号が記載されていてもよい。管理サーバ1aは、受け付けた電子メールのアクセス番号を読取り、データベースから受信者のメールアドレスを抽出して、前述の電子メールのコピーに発信者のアクセス番号を添付した電子メールにして、利用者情報端末2aに送信する。以後は、双方が相手の本人アクセス番号を得ている状態となるので、双方とも、相手のメールアドレスを知ることなく、管理サーバ1aを介したダイレクト交信を行えるようになる。
【0165】
なお、利用者情報端末2aから入力された利用者のニックネームを管理サーバが承認し、アクセス番号に紐付けることで、利用者のニックネームをアクセス番号代わりに使用することも可能である。
【0166】
図25は、利用者2と一般利用者23が寄託品などの関する問い合わせや交渉などのやり取りを、個人情報の露出無しに電話で直接に行なうプロセス例を示している。最初に行われる電話番号の登録と本人アクセス番号80の所得は、図24の電子メールアドレスの登録と同一プロセスである。利用者2と一般利用者23の電話番号は、それぞれの本人アクセス番号80に紐付けして、データベース36に格納される。同時に、ホームページ26の寄託品情報欄に、利用者である寄託者の本人アクセス番号が掲示される。
【0167】
一般利用者23が管理サーバ1aのホームページ26を閲覧して、ある寄託品について寄託品の所有者に連絡を取る場合に、ホームページにある問い合わせ電話番号に電話をかけると、管理サーバ1aに繋がり、管理サーバ1aから相手方である受信者の本人アクセス番号の入力が求められるので、ホームページより得ている寄託品の所有者の本人アクセス番号80をダイヤルボタン入力する。管理サーバ1aは、本人アクセス番号に紐付けされた電話番号をデータベースから抽出して、受信者側に電話をかける。電話が繋がった時点で、利用者2と一般利用者23の回線を繋くので、互いの電話番号が不明の状態で、通話がダイレクトにできるようになる。よって、当事者間の直接取引を行えるプラットホームが提供される。
【符号の説明】
【0168】
1 保管管理サービス機関
1a 管理サーバ
1b 保管管理サービス機関情報端末
2 利用者
2a 利用者情報端末
2b 利用者アカウント
3 保管施設
3a 保管施設情報端末
4 通信網
6 金融機関
6a 金融機関サーバ
7 処理関連業者
7a 処理関連業者情報端末
8 寄託品
8a 寄託品識別子
9 実保管庫
10 仮想貸保管庫
11 保管
12 プリンタ
13 ラベル
14 バーコード
15 ユーザー登録
16 ログイン
17 仮想貸保管庫の開設
18 仮想貸保管庫の選択
19 保管依頼
20 バーコードリーダー
22 指定利用者
23 一般利用者
24 照合
25 寄託品画像
26 ホームページ
27 実保管庫の予約
28 実保管庫情報
29 返還依頼
30 出庫
31 配達
32 仮想貸保管庫間の移動
33 倉庫渡し
34 計時
35 撮像機器
36 データベース
37 指定仮想貸保管庫
38 認証
39 寄託契約
40 メモ欄
41 認証用マーク
42 公開仮想貸保管庫
45 連結
46 引き合い
47 引き渡し手段
50 紐付け破線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25