(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】位置推定装置、位置推定システム、及び、位置推定方法
(51)【国際特許分類】
G01S 5/14 20060101AFI20230908BHJP
【FI】
G01S5/14
(21)【出願番号】P 2019143111
(22)【出願日】2019-08-02
【審査請求日】2022-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 純一
(72)【発明者】
【氏名】白方 亨宗
【審査官】安井 英己
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-198130(JP,A)
【文献】特開2017-067569(JP,A)
【文献】特表2014-509381(JP,A)
【文献】米国特許第09432808(US,B1)
【文献】特表2003-520519(JP,A)
【文献】特開2002-300652(JP,A)
【文献】特表2018-507588(JP,A)
【文献】特開2004-350088(JP,A)
【文献】特開2015-161540(JP,A)
【文献】特開2017-040507(JP,A)
【文献】特開2018-004458(JP,A)
【文献】特表2017-531169(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0019679(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00- 5/14,
G01S 19/00-19/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1領域における
無線電子機器の配置に関する第1情報と、
前記第1領域のうち、
第1移動端末が移動し得る第2領域
に関する第2情報と、
前記第1領域のうち、前記
第1移動端末
の移動不可能な領域を含み、第2移動端末が移動し得る第3領域
に関する第3情報と、に基づいて、
前記
第1移動端末の位置推定に用いる第1アンカーとして
、前記第2領域に配置された無線電子機器
を選定
し、
前記第2移動端末の位置推定に用いる第2アンカーとして、前記第3領域に配置された無線電子機器を選定する選定回路と、
前記
第1アンカーと前記
第1移動端末との間の
受信信号強度に関す
る情報と、前記第1情報のうち前記
第1アンカーに関する情報と、に基づいて、前記
第1移動端末の位置を推定
し、
前記第2アンカーと前記第2移動端末との間の受信信号強度に関する情報と、前記第1情報のうち前記第2アンカーに関する情報と、に基づいて、前記第2移動端末の位置を推定する推定回路と、
を備え
、
前記第2情報は、前記第1移動端末の種別に対応付けられ、前記第3情報は、前記第2移動端末の種別に対応付けられ、
前記選定回路は、移動端末の種別を特定し、当該特定した種別に対応付けられている前記第2情報及び前記第3情報を用いる、
位置推定装置。
【請求項2】
前記選定回路は、前記第2領域に配置された無線電子機器の数が、予め定められた前記
第1アンカーの数よりも多い場合、前記第2領域を複数の分割範囲に分割し、各分割範囲において、当該分割範囲に設置された無線電子機器の中から、前記
第1アンカーを選定する、
請求項
1に記載の位置推定装置。
【請求項3】
前記選定回路は、前記第2領域から選定したアンカーの数が、予め定められた前記
第1アンカーの数よりも少ない場合、前記第3領域に設置された無線電子機器の中から、前記
第1アンカーを選定する、
請求項1
又は2に位置推定装置。
【請求項4】
前記推定回路は、前記
第1移動端末
及び前記第2移動端末に対して定期的に確認要求の送信を実行し、
前記
受信信号強度の測定対象である、前記
第1移動端末
及び前記第2移動端末が送信した無線信号は、前記
第1移動端末
及び第2移動端末が前記確認要求の受信に応じて送信した確認応答である、
請求項1
から3の何れか1項に記載の位置推定装置。
【請求項5】
前記選定回路は、選定した前記
第1アンカー
及び前記第2アンカーに対して、前記
第1移動端末
及び前記第2移動端末から送信される無線信号の前記
受信信号強度の測定開始を指示する、
請求項1から
4の何れか1項に記載の位置推定装置。
【請求項6】
前記無線電子機器は、無線信号による操作が可能な照明器具である、
請求項1から
5の何れか1項に記載の位置推定装置。
【請求項7】
前記
受信信号強度は、前記
第1移動端末
及び前記第2移動端末から送信される無線信号の受信信号強度である、
請求項1から
6の何れか1項に記載の位置推定装置。
【請求項8】
少なくとも1つの無線電子機器と、
第1領域における
無線電子機器の配置に関する第1情報と、
前記第1領域のうち、
第1移動端末が移動し得る第2領域に関する第2情報と、
前記第1領域のうち、前記
第1移動端末
の移動不可能な領域を含み、第2移動端末が移動し得る第3領域に関する第3情報と、に基づいて、
前記
第1移動端末の位置推定に用いる第1アンカーとして
、前記第2領域に配置された無線電子機器
を選定し、
前記第2移動端末の位置推定に用いる第2アンカーとして、前記第3領域に配置された無線電子機器を選定し、
前記
第1アンカーと前記
第1移動端末との間の
受信信号強度に関す
る情報と、前記第1情報のうち前記
第1アンカーに関する情報と、に基づいて、前記
第1移動端末の位置を推定
し、
前記第2アンカーと前記第2移動端末との間の受信信号強度に関する情報と、前記第1情報のうち前記第2アンカーに関する情報と、に基づいて、前記第2移動端末の位置を推定し、
前記第2情報は、前記第1移動端末の種別に対応付けられ、前記第3情報は、前記第2移動端末の種別に対応付けられ、
移動端末の種別を特定し、当該特定した種別に対応付けられている前記第2情報及び前記第3情報を用いる、
位置推定装置と、
を備える位置推定システム。
【請求項9】
位置推定装置が、
第1領域における
無線電子機器の配置に関する第1情報と、
前記第1領域のうち、
第1移動端末が移動し得る第2領域に関する第2情報と、
前記第1領域のうち、前記
第1移動端末
の移動不可能な領域を含み、第2移動端末が移動し得る第3領域に関する第3情報と、に基づいて、
前記
第1移動端末の位置推定に用いる第1アンカーとして
、前記第2領域に配置された無線電子機器
を選定し、
前記第2移動端末の位置推定に用いる第2アンカーとして、前記第3領域に配置された無線電子機器を選定し、
前記
第1アンカーと前記
第1移動端末との間の
受信信号強度に関す
る情報と、前記第1情報のうち
前記第1アンカーに関する情報と、に基づいて、前記
第1移動端末の位置を推定
し、
前記第2アンカーと前記第2移動端末との間の受信信号強度に関する情報と、前記第1情報のうち前記第2アンカーに関する情報と、に基づいて、前記第2移動端末の位置を推定し、
前記第2情報は、前記第1移動端末の種別に対応付けられ、前記第3情報は、前記第2移動端末の種別に対応付けられ、
移動端末の種別を特定し、当該特定した種別に対応付けられている前記第2情報及び前記第3情報を用いる、
位置推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、位置推定装置、位置推定システム、及び、位置推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衛星測位システム(例えばGPS(Global Positioning System))からの測位信号が届きにくい建物内等において端末の位置を推定するために、設置位置が既知である無線ノードを利用する技術が知られている。例えば、特許文献1には、端末の位置推定に用いる無線ノード(以下「アンカー」という)の数を、アンカーの信頼度に基づいて選定することにより、端末の位置を高精度に推定する技術が開示されている。具体的には、特許文献1には、複数のアンカーを用いて端末の位置を推定し、その推定した位置を用いて各アンカーの信頼度を算出し、信頼度の低いアンカーを除外した複数のアンカーを用いて再度端末の位置を推定する、という処理を繰り返すことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、上述した処理の繰り返しが発生するため、端末の位置推定に時間がかかる。
【0005】
本開示の非限定的な実施例は、無線を用いた端末の位置推定にかかる時間を短縮する技術の提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る位置推定装置は、少なくとも1つの無線電子機器が配置された第1領域における前記配置に関する第1情報と、前記第1領域のうち、移動端末が移動し得る第2領域に関する第2情報と、に基づいて、前記無線電子機器の少なくとも1つを前記移動端末の位置推定に用いるアンカーに選定する選定回路と、前記アンカーと前記移動端末との間の無線通信品質に関する第3情報と、前記第1情報のうち前記アンカーに関する情報と、に基づいて、前記移動端末の位置を推定する推定回路と、を備える。
【0007】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の非限定的な実施例によれば、無線を用いた移動端末の位置推定にかかる時間を短縮できる。
【0009】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施の形態に係る位置推定システムの構成例を示す図
【
図2】一実施の形態に係る位置推定装置の構成例を示す図
【
図3】一実施の形態に係る照明器具の構成例を示す図
【
図5】一実施の形態に係る移動可能領域情報の例を示す図
【
図6】一実施の形態に係る器具位置情報の例を示す図
【
図7】一実施の形態に係るアンカー情報の例を示す図
【
図8】一実施の形態に係るRSSI(Received Signal Strength Indicator)情報の例を示す図
【
図9】一実施の形態に係る照明器具の処理の例を示すフローチャート
【
図10】一実施の形態に係る位置推定装置の処理の例を示すフローチャート
【
図11】一実施の形態に係るアンカー選定処理の例を示すフローチャート
【
図12】一実施の形態に係る位置推定処理の例を示すフローチャート
【
図13】一実施の形態に係るアンカー選定の第1例を説明するための図
【
図14】一実施の形態に係るアンカー選定の第2例を説明するための図
【
図15】一実施の形態に係るアンカー選定の第3例を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は一例であり、本開示は以下の実施の形態により限定されるものではない。
【0012】
近年、無線通信に対応した照明器具の商業施設等への導入が増加している。無線通信に対応する照明器具のメリットの1つは、「簡単操作」である。例えば、手元の機器(例えばリモコン)から、無線通信を介して、指定の照明器具の点灯及び消灯、並びに、調光といった操作を手軽に行うことができる。
【0013】
照明器具は、例えば建物の施工時に、天井などに固定的に設置されるので、照明器具の設置位置が既知である。そこで、無線通信に対応する照明器具を、建物内の人物が所持する端末(或いは移動物体に備えられた端末)の位置推定のためのアンカーとして利用することが考えられる。これにより、新たな無線ノードを、端末の位置推定のためのアンカーとして設置する手間及びコストを削減できる。
【0014】
照明器具は、例えば天井に多数配置される。よって、全ての照明器具をアンカーとして利用する場合、端末の位置推定のために各照明器具との間で送受信される情報の量が膨大になってしまい、端末の位置推定処理にかかる時間が長くなってしまう。この場合、移動する端末は、位置推定処理によって示された位置と実際に存在する位置とに差異が生じる可能性がある。本実施の形態は、無線通信に対応する照明器具を用いた端末の位置推定にかかる時間を短縮する。これにより、例えば、移動する端末の位置推定の精度を向上できる。
【0015】
(一実施の形態)
<位置推定システム>
図1は、位置推定システム1の構成例を示す図である。位置推定システム1は、端末の位置を推定するためのシステムである。位置推定システム1は、例えば、コンビニエンスストア又はホームセンターといった商業施設に設置される。
【0016】
位置推定システム1は、位置推定装置10、アクセスポイント20、複数の照明器具30、及び、複数の端末40を有する。なお、複数の照明器具30の各々を区別する場合、照明器具30-1、…、30-N(Nは2以上の整数)と表記する場合がある。また、複数の端末40の各々を区別する場合、端末40-1、…、40-M(Mは2以上の整数)と表記する場合がある。
【0017】
位置推定装置10は、有線LAN又は無線LANを介して、アクセスポイント20に接続する。照明器具30は、無線LANを介して、アクセスポイント20に接続する。端末40は、無線LANを介して、アクセスポイント20に接続する。よって、位置推定装置10は、アクセスポイント20を介して、照明器具30及び端末40と、データを送受信できる。
【0018】
アクセスポイント20、照明器具30、及び、端末40は、920MHz帯を用いる無線通信に対応する。ただし、無線通信に920MHz帯を用いることは一例であり、本実施の形態の無線通信は、これに限定されない。例えば、アクセスポイント20、照明器具30、及び、端末40は、2.4GHz帯、5GHz帯、及び/又は、60GHz帯(WiGig(Wireless Gigabit))を用いる無線通信に対応してもよい。
【0019】
各照明器具30は、例えば、建物内の天井の予め定められた位置に設置される。つまり、各照明器具30の設置位置は既知である。また、照明器具30は、無線通信に対応している。例えば、手元の機器(例えばリモコン)から、無線通信を介して、照明器具30の点灯及び消灯、並びに、調光等の操作を行うことができる。なお、本実施の形態における照明器具30は、電気器具の一例である。すなわち、本実施の形態は、予め定められた位置に設置され、無線信号を受信可能な電気器具であればどのようなものであってもよい。電気器具の例は、照明器具30の他に、空調装置(例えば、エアコン、扇風機)、火災警報器、煙探知器、監視カメラ、非常誘導灯などである。電気器具は、無線電子機器と読み替えられてもよい。
【0020】
端末40は、無線通信に対応し、建物内の人物(例えば商業施設内の店員及び客)に所持される。端末40の例は、スマートフォンである。ただし、端末40は、スマートフォンに限定されず、例えば、店員が業務に使用する専用端末であってもよい。また、端末40は、人物に所持されるものに限らず、例えば、商業施設内を移動可能な移動物体(例えばカート又はロボット)に備えられてもよい。端末40は、建物内において、アクセスポイント20に無線接続できる。
【0021】
位置推定装置10は、複数の照明器具30が設置された領域(以下「対象領域」という)における、端末40の位置を推定する。例えば、位置推定装置10は、対象領域における所定数の照明器具30によって測定された、端末40から送信される無線信号の受信信号強度と、当該照明器具30の設置位置とに基づいて、対象領域における端末40の位置を推定する。位置推定装置10の例は、PC又はサーバである。なお、位置推定装置10の詳細については後述する。
【0022】
<位置推定装置>
図2は、位置推定装置10の構成例を示す図である。位置推定装置10は、通信部11、記憶部12、及び、制御部13を有する。
【0023】
通信部11は、例えば、有線LAN又は無線LAN向けの通信インタフェースである。通信部11は、アクセスポイント20を介した、照明器具30及び端末40との間の信号の送受信を処理する。
【0024】
記憶部12は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、及び/又は、フラッシュメモリである。記憶部12は、第2情報の一例である移動可能領域情報121、第1情報の一例である器具位置情報122、及び、アンカー情報123を格納する。なお、移動可能領域情報121、器具位置情報122、及び、アンカー情報123の詳細については後述する(
図5、
図6、
図7参照)。
【0025】
制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はコントローラである。制御部13は、位置推定装置10が有する機能として、アンカー選定部132、器具制御部133、及び、位置推定部134を実現する。これらの機能は、制御部13がコンピュータプログラムを実行することにより実現されてもよい。
【0026】
端末制御部131は、通信部11及びアクセスポイント20を介した、端末40との間の通信を制御する。
【0027】
アンカー選定部132は、対象領域における複数の照明器具30の中から、端末40の位置推定に用いる照明器具30をアンカーとして選定する。例えば、アンカー選定部132は、移動可能領域情報121及び器具位置情報122に基づいてアンカーを選定し、その選定結果をアンカー情報123として記憶部12に格納する。なお、アンカー選定の詳細については後述する(
図11参照)。
【0028】
器具制御部133は、通信部11及びアクセスポイント20を介した、照明器具30との間の通信を制御する。
【0029】
位置推定部134は、端末40から送信される無線信号の無線通信品質に関する第3情報(例えば、受信信号強度(RSSI(Received Signal Strength Indicator)))の測定をアンカーに指示する。位置推定部134は、アンカーにおいて測定された無線信号の無線通信品質に関する第3情報と、アンカーの位置とに基づいて、端末40の位置を推定する。なお、端末40の位置推定の詳細については後述する(
図12参照)。
【0030】
<照明器具>
図3は、照明器具30の構成例を示す図である。照明器具30は、無線通信部31、記憶部32、及び、制御部33を有する。
【0031】
無線通信部31は、例えば、無線LAN向けの通信インタフェースである。無線通信部31は、アクセスポイント20を介して、位置推定装置10と無線信号を送受信する。また、無線通信部31は、端末40から送信される無線信号を受信する。
【0032】
記憶部32は、例えば、フラッシュメモリである。記憶部32は、RSSI情報321を格納する。なお、RSSI情報321の詳細については後述する(
図8参照)。
【0033】
制御部33は、例えば、CPU又はコントローラである。制御部33は、照明器具30が有する機能として、通信制御部331、通信品質測定部332、及び、測定結果通知部333を実現する。これらの機能は、制御部33がコンピュータプログラムを実行することにより実現されてもよい。
【0034】
通信制御部331は、無線通信部31及びアクセスポイント20を介した、位置推定装置10との無線信号の送受信を制御する。また、通信制御部331は、無線通信部31を介した、端末40から送信される無線信号の受信を制御する。
【0035】
通信品質測定部332は、端末40から送信される無線信号の通信品質の1つとして受信信号強度(例えばRSSI)を測定する。通信品質測定部332は、測定した受信信号強度を、RSSI情報321として記憶部32に格納する。
【0036】
測定結果通知部333は、記憶部32内のRSSI情報321を、無線通信部31及びアクセスポイント20を介して、位置推定装置10へ送信する。
【0037】
<端末>
図4は、端末40の構成例を示す図である。端末40は、無線通信部41、及び、制御部42を有する。
【0038】
無線通信部41は、例えば、無線LAN向けの通信インタフェースである。無線通信部41は、アクセスポイント20を介して、位置推定装置10と無線信号を送受信する。
【0039】
制御部42は、例えば、CPU又はコントローラである。制御部42は、無線通信部41を介して位置推定装置10から確認要求(例えばKeep-Alive要求)を受信した場合、その確認要求に対応する確認応答を、無線通信部41を介して送信する。アンカーに選定された照明器具30は、この確認応答の無線信号を受信(例えば傍受)し、受信号強度を測定する。
【0040】
<移動可能領域情報>
図5は、移動可能領域情報121の例を示す図である。移動可能領域情報121は、対象領域において、端末40の種別毎に、端末40が移動可能な領域を示す情報である。
【0041】
例えば、移動可能領域情報121は、端末種別601、端末識別子602、及び、移動可能領域603を対応付ける。
・端末種別601は、端末40の種別を示す情報である。
・端末識別子602は、端末40を一意に識別するための情報である。
・移動可能領域603は、端末種別601の端末40が、対象領域内において移動可能な領域を示す情報である。
【0042】
図5の例は、以下を示す。
・端末識別子602「40-2」の端末40の端末種別601は「店員」(つまり店員が所持する端末)であり、その端末40の移動可能領域603は、左上隅の点(X0,Y0)及び右下隅の点(X1,Y2)によって形成される矩形領域である。
・端末識別子602「40-1」の端末40の端末種別601は「客」(つまり客が所持する端末)であり、その端末40の移動可能領域603は、左上隅の点(X0,Y0)及び右下隅の点(X1,Y1)によって形成される矩形領域である。
【0043】
なお、同じ移動可能領域に同じ端末種別601が複数存在する場合は、端末識別子602が複数個記載される。また、同じ端末種別601であっても、異なる移動可能領域603である場合は、異なる情報として、記載される。
【0044】
<器具位置情報>
図6は、器具位置情報122の例を示す図である。器具位置情報122は、対象領域において、照明器具30が実際に設置された位置を示す情報である。
【0045】
例えば、器具位置情報122は、器具識別子701及び設置位置702を対応付ける。
・器具識別子701は、照明器具30を一意に識別するための情報である。
・設置位置702は、器具識別子の照明器具30が実際に設置された位置(例えば座標)を示す情報である。
【0046】
図6の例は、以下を示す。
・器具識別子701「30-1」の照明器具30の設置位置702は(Xa1,Ya1)である。
・器具識別子701「30-2」の照明器具30の設置位置702は(Xa2,Ya2)である。
【0047】
<アンカー情報>
図7は、アンカー情報123の例を示す図である。アンカー情報123は、対象領域において、各端末40の位置推定のためにアンカーに選定された照明器具30を示す情報である。
【0048】
例えば、アンカー情報123は、端末識別子801、及び、アンカーに選定された各照明器具30の識別子(以下「アンカー識別子」という)802を対応付ける。
【0049】
図7の例は、以下を示す。
・端末識別子801「40-1」の端末40の位置推定のために選定された各照明器具30(つまりアンカー)のアンカー識別子802は、「30-x1」、「30-x2」、「30-x3」、「30-x4」、「30-x5」、「30-x6」である。
・端末識別子801「40-2」の端末40の位置推定のために選定された各照明器具30(つまりアンカー)のアンカー識別子802は、「30-y1」、「30-y2」、「30-y3」、「30-y4」、「30-y5」、「30-y6」である。
【0050】
<RSSI情報>
図8は、RSSI情報321の例を示す図である。RSSI情報321は、照明器具30が測定した、端末40から送信された無線信号の受信信号強度を示す情報である。
【0051】
例えば、RSSI情報321は、端末識別子901及び受信信号強度902を対応付ける。
【0052】
図8の例は、以下を示す。なお、
図8は、アンカー毎(照明器具30毎)に記憶される情報であり、位置推定装置10に送信する場合は、送信元のアンカー識別子を付加して送信してもよい。
・端末識別子901「40-1」の端末40から送信された無線信号をアンカーが受信した受信信号強度902は「A(dBm)」である。
・端末識別子901「40-2」の端末40から送信された無線信号をアンカーが受信した受信信号強度902は「B(dBm)」である。
【0053】
<照明器具の処理>
次に、
図9に示すフローチャートを参照して、照明器具30の処理の一例を説明する。
【0054】
通信制御部331は、無線通信部31を介し、無線信号を受信する(S101)。
【0055】
通信制御部331は、S101で受信した無線信号が、位置推定装置10から送信されたアンカー開始要求、位置推定対象の端末40から送信された無線信号、位置推定装置10から送信された測定結果要求、及び、位置推定装置10から送信された終了指示のうちの何れであるかを判定する(S102)。
【0056】
通信制御部331は、S101で受信した無線信号が、位置推定装置10から送信されたアンカー開始要求である場合(S102:アンカー開始要求)、位置推定の対象端末40から送信される無線信号の受信(例えば傍受)を開始する(S111)。なお、通信制御部331は、アンカー開始要求に含まれる情報(例えば、端末識別子)によって、傍受対象の位置推定の対象端末40が指示(特定)されてもよい。そして、通信制御部331は、位置推定装置10に対して、アンカー開始応答を送信し(S112)、S101の処理に戻る。
【0057】
通信制御部331は、S101で受信した無線信号が、対象端末40から送信された無線信号である場合(S102:対象端末から送信された無線信号)、その無線信号の受信信号強度を測定し、その測定結果をRSSI情報321として記憶部32に格納する(S121)。そして、通信制御部331は、S101の処理に戻る。
【0058】
通信制御部331は、S101で受信した無線信号が、位置推定装置10から送信された測定結果要求である場合(S102:測定結果要求)、記憶部32内のRSSI情報321を位置推定装置10へ送信する(S131)。そして、制御部33は、S101の処理へ戻る。
【0059】
通信制御部331は、S101で受信した無線信号が、位置推定装置10から送信された終了指示である場合(S102:終了指示)、本処理を終了する。
【0060】
このように、アンカー開始要求を受信した照明器具30は、位置推定の対象端末40のアンカーとして、対象端末40から送信された無線信号の受信信号強度を測定し、その測定結果を位置推定装置10へ送信する。
【0061】
<位置推定装置の処理>
次に、
図10に示すフローチャート参照して、位置推定装置10の処理の一例を説明する。
【0062】
例えば、端末40は、対象領域に入った場合、アクセスポイント20に対して接続要求を送信する。端末制御部131は、アクセスポイント20を介して、端末40から接続要求を受信する(S201)。
【0063】
アンカー選定部132は、アンカー選定処理を実行する(S202)。なお、アンカー選定処理の詳細については後述する(
図11参照)。
【0064】
器具制御部133は、S202でアンカーに選定した照明器具30に対して、アクセスポイント20を介して、アンカー開始要求を送信する(S203)。アンカー開始要求を受信した照明器具30の処理は、
図9にて説明した通りである。
【0065】
器具制御部133は、アンカー開始要求の送信先である照明器具30から、アクセスポイント20を介して、アンカー開始応答を受信する(S204)。
【0066】
器具制御部133は、アンカー開始要求の送信先である照明器具30の全てからアンカー開始応答を受信したか否かを判定する(S205)。
【0067】
アンカー開始要求の送信先である照明器具30のうち、少なくとも1つの照明器具30からアンカー開始応答を受信していない場合(S205:NO)、制御部13は、S204の処理に戻る。
【0068】
アンカー開始要求の送信先である照明器具30の全てからアンカー開始応答を受信した場合(S205:YES)、位置推定部134は、対象端末40の位置推定処理を実行する(S206)。なお、位置推定処理の詳細については後述する(
図12参照)。そして、制御部13は、対象端末40について、S206の処理を繰り返す。
【0069】
図10に示す処理は、新たな端末40から接続要求を受信する度に実行される。すなわち、位置推定装置10は、S201~S205の処理を実行して新たな端末40(対象端末40)の位置推定のためのアンカーを選定し、その選定したアンカーを用いてS206の処理を繰り返すことにより、対象端末40の位置を随時推定する。
【0070】
<アンカー選定処理>
次に、
図11に示すフローチャートを参照して、アンカー選定処理の一例を説明する。本処理は、
図10のS202の処理に相当する。
【0071】
アンカー選定部132は、移動可能領域情報121を参照し、接続要求を送信した端末40の端末識別子602に対応する端末種別601及び移動可能領域603を特定する(S301)。なお、端末40の端末識別子602は、接続要求に含まれてよい。
【0072】
アンカー選定部132は、S301で特定した移動可能領域に存在する照明器具30を、接続要求を送信した端末(つまり位置推定の対象端末)40の位置推定用のアンカー候補に選定する(S302)。
【0073】
アンカー選定部132は、アンカー候補の数が、アンカー選定数α以上であるか否かを判定する(S303)。アンカー選定数αは、予め定められた数であってよく、例えば、移動可能領域の大きさ、または、求められる位置推定精度によって決定してもよい。なお、アンカー候補の数とは、移動可能領域内の照明器具30の数である。
【0074】
アンカー候補の数がアンカー選定数α未満である場合(S303:NO)、アンカー選定部132は、アンカー候補を全てアンカーに選定する(S304)。そして、アンカー選定処理は完了する。
【0075】
アンカー候補の数がアンカー選定数α以上である場合(S303:YES)、アンカー選定部132は、次のS305の処理を行う。
【0076】
アンカー選定部132は、S301で特定した移動可能領域を、例えば、L(Lは2以上の整数)個の領域(以下「分割領域」という)に分割する(S305)。これによって、アンカーの位置を分散させることができる。なお、アンカー選定部132は、移動可能領域を、同じ面積の各分割領域に分割してもよい。
【0077】
アンカー選定部132は、各分割領域に存在する照明器具30の数Jiを特定する(S306)。なお、「Ji」は、分割領域i(iは2以上かつL以下の整数)に存在する照明器具30の数を表す。
【0078】
アンカー選定部132は、照明器具30の数Jiがα/L個未満である分割領域が存在するか否かを判定する(S307)。
【0079】
照明器具30の数がα/L個未満である分割領域が存在しない場合(S307:NO)、アンカー選定部132は、各分割領域において、α/L個の照明器具30をアンカーに選定する(S311)。そして、アンカー選定処理は完了する。
【0080】
照明器具30の数がα/L個未満である分割領域が存在する場合(S307:YES)、アンカー選定部132は、次のS308の処理を行う。
【0081】
アンカー選定部132は、照明器具30の数がα/L個未満である各分割領域(以下「不足分割領域」という)iについて、アンカーの不足数(α/L-Ji)を算出する(S308)。
【0082】
アンカー選定部132は、不足分割領域において、全ての照明器具30をアンカーに選定する(S309)。
【0083】
アンカー選定部132は、照明器具30の数がα/L個以上である何れかの分割領域において、α/L個に加え、(α/L-Ji)個の照明器具30を、アンカーに選定する(S310)。そして、アンカー選定処理は完了する。
【0084】
このように、S308~S310の処理を実行することにより、分割領域毎に照明器具30の数にバラツキがあった場合でも、移動可能領域において、アンカー選定数α個の照明器具30を、アンカーとして選定することができる。これにより、分割領域毎のアンカーの配置の偏りを少なくすることができる。
【0085】
なお、
図11では、アンカー選定部132は、S304において、対象端末40の移動可能領域に存在する照明器具30の数βがアンカー選定数α未満である場合、全ての照明器具30(つまりβ個の照明器具30)をアンカーに選定する。しかし、本実施の形態は、これに限定されない。例えば、アンカー選定部132は、対象端末40の移動可能領域内に存在するβ個の照明器具30に加えて、対象端末40の移動可能領域外に存在する(β-α)個の照明器具30をアンカーに選定してもよい。これにより、α個の照明器具30がアンカーに選定されるので、β個の照明器具30がアンカーに選定される場合よりも、対象端末40の位置推定精度が向上し得る。
【0086】
<位置推定処理>
次に、
図12に示すフローチャートを参照して、位置推定処理の一例を説明する。本処理は、
図10のS206の処理に相当する。
【0087】
位置推定部134は、アクセスポイント20を介して、対象端末40に対して、確認要求を送信する(S401)。確認要求の例は、対象端末40の生存を確認するためのKeep-Alive信号である。確認要求を受信した対象端末40は、確認応答の無線信号を送信する。アンカーに選定された照明器具30は、この確認応答の無線信号を受信(例えば傍受)する。
【0088】
位置推定部134は、アクセスポイント20を介して、対象端末40から送信された確認応答を受信する(S402)。
【0089】
位置推定部134は、対象端末40のアンカーに選定された照明器具30に対して、測定結果要求を送信する(S403)。
図9で説明したように、測定結果要求を受信した照明器具30は、RSSI情報321を位置推定装置10に送信する。
【0090】
位置推定部134は、対象端末40のアンカーに選定された照明器具30から、RSSI情報321を受信する(S404)。
【0091】
位置推定部134は、対象端末40のアンカーに選定された各照明器具30の設置位置と、S404にて各照明器具30から受信したRSSI情報321とに基づいて、端末40の位置を推定する(S405)。例えば、位置推定部134は、アンカーに選定された少なくとも3つの照明器具30の設置位置の各々から対象端末40までの距離を、受信信号強度を用いて算出し、三点測位によって対象端末40の位置を推定する。そして、位置推定処理は完了する。
【0092】
このように、位置推定装置10は、アンカーに選定した複数の照明器具30の設置位置と、当該複数の照明器具30によって測定された、対象端末40からの無線信号の受信信号強度とに基づいて、対象端末40の位置を推定する。
【0093】
<アンカー選定の例>
図13、
図14及び
図15を参照して、アンカー選定の例を説明する。
図13、
図14及び
図15は、例えば、コンビニエンスストア又はホームセンターの商業施設内の天井に、複数の照明器具30-1、…、30-17が設置された例を示す。
図13、
図14及び
図15では、X軸とY軸で構成される2次元座標によって位置を表現している。ただし、本実施の形態に係る位置の表現は、この2次元座標に限定されない。
【0094】
図13、
図14及び
図15において、点(X0,Y0)、点(X1,Y0)、点(X1,Y1)、及び、点(X0,Y1)を頂点とする破線の矩形領域は、商業施設内の客が移動可能な領域、つまり、端末種別「客」の端末40(以下「客端末」という)の移動可能領域を示す。
【0095】
図13、
図14及び
図15において、点(X0,Y0)、点(X1,Y0)、点(X1,Y2)、及び、点(X0,Y2)を頂点とする実線の矩形領域は、商業施設内の店員が移動可能な領域、つまり、端末種別「店員」の端末40(以下「店員端末」という)の移動可能領域を示す。
【0096】
客端末の移動可能領域は、例えば、商品の売場である。店員端末の移動可能領域は、例えば、商品の売場、及び、商品を保管するバックヤードである。
【0097】
アンカー選定部132は、
図11のS301において、端末種別が「店員」及び「客」の何れであるかを特定し、「店員」の場合、実線の矩形領域を店員端末の移動可能領域とし、「客」の場合、破線の矩形領域を客端末の移動可能領域とする。
【0098】
すなわち、客端末の場合、破線の矩形領域外に存在する照明器具30-15,30-16,30-17は、アンカー候補から除外される。これにより、端末40が移動不可能な領域に存在する照明器具30がアンカーに選定されることを防止できる。
【0099】
次に、
図14、
図15を参照して、アンカー選定数αが6の場合に、客端末の移動可能領域を3つの分割領域(L=3)に分割する処理の例を説明する。
【0100】
図14に示すように、アンカー選定部132は、
図11のS305において、客端末の移動可能領域を、3つの同じ面積の分割領域1101,1102,1103に分割する。そうすると、分割領域1101には6個の照明器具30が存在し、分割領域1102には6個の照明器具30が存在し、分割領域1103には2個の照明器具30が存在する。
【0101】
この場合、α/L=6/3=2であるので、アンカー選定部132は、各分割領域1101,1102,1103において、それぞれ、2個の照明器具30をアンカーに選定する。
【0102】
例えば、
図15に示すように、アンカー選定部132は、分割領域1101において照明器具30-2,30-4をアンカーに選定し、分割領域1102において照明器具30-8,30-12をアンカーに選定し、分割領域1103において照明器具30-13,30-14をアンカーに選定する(黒丸の照明器具30を参照)。なお、アンカー選定部132は、各分割領域において、アンカーをランダムに選定してもよい。
【0103】
本実施の形態は、
図7に示すように、端末40毎にアンカーを選定する。このように、端末40毎及び分割領域毎にアンカーを選定することにより、アンカーに選定される照明器具30が偏在してしまうことを抑止できる。
【0104】
なお、上述では、端末種別が「店員」及び「客」の2つの場合を説明したが、本実施の形態は、これに限定されない。例えば、店員毎の移動可能領域が異なる場合、つまり各店員が所持する端末40の移動可能領域が異なる場合、移動可能領域情報121は、各店員が所持する端末40の端末識別子毎に、移動可能領域を対応付けてもよい。
【0105】
以上説明したように、本実施の形態によれば、端末40毎の移動可能領域に基づいてアンカー候補の照明器具30を選定し、そのアンカー候補の中から、アンカー選定数α個の照明器具30をアンカーに選定できる。これにより、
図9から
図12の処理フローにおいて、移動可能領域外の端末40に関する処理が削減されるので、移動可能領域内の端末40の位置推定の精度を確保し、かつ、移動可能領域内の端末40の位置推定にかかる時間を短縮できる。
【0106】
例えば、客が移動する商品の売場の領域に対して、客が移動しないバックヤードの領域が広いホームセンターのような建物内において、客が所持する端末40の位置を推定する場合、本実施の形態によれば、次のような効果を有する。すなわち、客が移動しないバックヤードの領域における照明器具30は、客端末40の位置推定用のアンカーに選定されないので、客の端末40の位置推定にかかる時間を短縮できる。また、店員が移動するバックヤードの領域における照明器具30は、店員端末40の位置推定用のアンカーに選定され得るので、店員端末40の位置推定の精度を確保できる。また、位置推定にかかる時間を短縮できるため、移動する端末であっても、位置推定処理によって示された位置と実際に存在する位置との差異を少なくすることができる。
【0107】
<本開示のまとめ>
本開示に係る位置推定装置10は、少なくとも1つの無線電子機器(例えば照明器具30)が配置された第1領域における前記配置に関する第1情報(例えば器具位置情報122)と、第1領域のうち、移動端末(例えば端末40)が移動し得る第2領域に関する第2情報(例えば移動可能領域情報121)と、に基づいて、無線電子機器の少なくとも1つを移動端末の位置推定に用いるアンカーに選定する選定回路(例えばアンカー選定部132)と、アンカーと移動端末との間の無線通信品質に関する第3情報(例えばRSSI情報321)と、第1情報のうちアンカーに関する情報と、に基づいて、移動端末の位置を推定する推定回路(例えば位置推定部134)と、を備える。
【0108】
この構成によれば、移動端末の移動可能領域内に設置された無線電子機器の中からアンカーが選定されるので、移動可能領域外に設置された無線電子機器に関する位置推定に用いる処理フローを省略できるため、全ての無線電子機器をアンカーに選定する場合と比較して、位置推定にかかる時間をさらに短縮できる。
【0109】
第2情報は、移動端末の種別に対応付けられてよい。そして、選定回路は、移動端末の種別を特定し、当該特定した移動端末の種別に対応付けられている第2情報を用いてよい。
【0110】
この構成によれば、移動端末の種別に対応する移動可能領域内に設置された無線電子機器の中から所定数のアンカーが選定されるので、全ての無線電子機器をアンカーに選定する場合と比較して、アンカー数に比例して増加する位置推定処理に関する情報が減るので、位置推定にかかる時間をさらに短縮でき、かつ、位置推定の精度を確保し得る。
【0111】
選定回路は、第2領域に配置された無線電子機器の数が、予め定められたアンカーの数(例えばアンカー選定数α)よりも多い場合、第2領域を複数の分割範囲に分割し、各分割範囲において、当該分割範囲に設置された無線電子機器の中から、アンカーを選定してよい。
【0112】
この構成によれば、分割領域毎にアンカーが選定されるので、アンカーが偏在してしまうことを防止できる。
【0113】
推定回路は、移動端末に対して定期的に確認要求の送信を実行してよい。そして、無線通信品質の測定対象である、移動端末がアンカーに送信した無線信号は、移動端末が確認要求の受信に応じて送信した確認応答であってよい。
【0114】
この構成によれば、無線電子機器が、移動端末から定期的に送信される無線信号の無線通信品質を測定できるので、位置推定装置10は、移動端末の位置を定期的に推定できる。よって、位置推定装置10は、移動端末の移動をトレースできる。
【0115】
選定回路は、選定したアンカーに対して、移動端末からアンカーに送信される無線信号の無線通信品質の測定開始を指示してよい。
【0116】
この構成によれば、無線電子機器は、指定された移動端末から送信される無線信号の無線通信品質を測定すればよいので、全ての移動端末の無線通信品質を測定する場合と比較して、無線電子機器の処理負荷が軽減する。また、位置推定装置10が、各照明器具30から無線通信品質の測定結果を受信する際に発生する通信トラフィックを軽減できる。
【0117】
無線電子機器は、無線信号による操作が可能な照明器具であってよい。また、無線通信品質は、移動端末から送信される無線信号の受信信号強度(例えばRSSI)であってよい。
【0118】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0119】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。
【0120】
以上の説明において、各構成要素に用いる「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0121】
上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0122】
集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。
【0123】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0124】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0125】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0126】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。
【0127】
また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサー等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサーが含まれる。
【0128】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本開示は、例えば、移動端末の位置推定に有用である。
【符号の説明】
【0130】
1 位置推定システム
10 位置推定装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
20 アクセスポイント
30 照明器具
31 無線通信部
32 記憶部
33 制御部
40 端末
41 無線通信部
42 制御部
121 移動可能領域情報
122 器具位置情報
123 アンカー情報
131 端末制御部
132 アンカー選定部
133 器具制御部
134 位置推定部
321 RSSI情報
331 通信制御部
332 通信品質測定部
333 測定結果通知部