(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】制御方法、制御装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/00 20200101AFI20230908BHJP
【FI】
H05B47/00
(21)【出願番号】P 2021534549
(86)(22)【出願日】2020-04-30
(86)【国際出願番号】 JP2020018227
(87)【国際公開番号】W WO2021014709
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】P 2019137112
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 一弘
(72)【発明者】
【氏名】原田 昌明
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-200592(JP,A)
【文献】特開2015-207380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
刺激を出力する刺激装置を制御するためにコンピュータにより実行される制御方法であって、
起床設定時間を含む時間情報を取得し、
前記刺激装置から刺激を受ける睡眠者の睡眠状態を取得し、
前記睡眠状態の変化を判定し、
前記起床設定時間の所定時間前である制御開始時間にて、前記睡眠者の覚醒を促す刺激の増加を前記刺激装置に開始させ、
前記刺激に対する前記睡眠状態の変化に基づいて前記刺激の増加量を制御
し、
前記刺激に対する前記睡眠状態の変化に基づいて前記刺激の増加量を制御した結果、前記起床設定時間にて前記刺激の量が目標量に達しない場合、前記起床設定時間の後の所定のタイミングで前記刺激の量が前記目標量に達するように前記刺激の増加量を制御し、
前記所定のタイミングは、前記起床設定時間に発せられるアラームが所定時間後に再動される時間である、
制御方法。
【請求項2】
前記睡眠状態は、前記睡眠者の体動量を含み、
前記刺激に対する前記体動量の変化と規定の範囲との関係に応じて、前記刺激の増加量を規定値に基づいて決定する、
請求項1記載の制御方法。
【請求項3】
前記刺激に対する前記体動量の変化が規定の範囲より大きい場合、前記刺激の増加量を規定値より小さくする、
請求項2記載の制御方法。
【請求項4】
前記刺激に対する前記体動量の変化が規定の範囲より小さい場合、前記刺激の増加量を規定値より大きくする、
請求項2又は3記載の制御方法。
【請求項5】
前記睡眠状態は、前記睡眠者の睡眠ステージを含み、
前記刺激に対する前記睡眠ステージの遷移と規定の遷移との関係に応じて、前記刺激の増加量を規定値に基づいて決定する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項6】
さらに、前記刺激の変化パターンを取得し、
前記刺激の変化パターンに基づいて前記刺激の増加量を制御し、
前記刺激に対する前記睡眠状態の変化を用いて前記刺激の変化パターンを設定する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項7】
前記刺激に対する前記睡眠状態の変化を用いて前記制御開始時間を設定する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項8】
前記睡眠状態の推定に要する時間の間隔で前記刺激の増加量を制御する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項9】
前記刺激に対する前記睡眠状態の変化に基づいて前記刺激の増加量を制御した結果、前記起床設定時間にて前記刺激の量が目標量に達しない場合、前記睡眠者の覚醒後に前記刺激の量が前記目標量に達するように前記刺激の増加量を制御する、
請求項1~
8のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項10】
前記刺激に対する前記睡眠状態の変化に応じて前記刺激の種類または前記刺激の態様を選択し、
選択された前記種類または前記態様の刺激に対する前記睡眠状態の変化に基づいて、前記選択された前記種類または前記態様の刺激の増加量を制御する、
請求項1~
9のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項11】
前記刺激は、光、音、触覚振動、風、及び熱、の少なくとも1つである、
請求項1~
10のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項12】
起床設定時間を含む時間情報を取得する時間取得部と、
刺激装置から刺激を受ける睡眠者の睡眠状態を取得する睡眠状態取得部と、
前記睡眠状態の変化を判定する判定部と、
前記起床設定時間の所定時間前である制御開始時間にて、前記睡眠者の覚醒を促す刺激の増加を前記刺激装置に開始させ、前記刺激に対する前記睡眠状態の変化に基づいて前記刺激の増加量を制御する刺激制御部と、
を備え
、
前記刺激制御部は、前記刺激に対する前記睡眠状態の変化に基づいて前記刺激の増加量を制御した結果、前記起床設定時間にて前記刺激の量が目標量に達しない場合、前記起床設定時間の後の所定のタイミングで前記刺激の量が前記目標量に達するように前記刺激の増加量を制御し、
前記所定のタイミングは、前記起床設定時間に発せられるアラームが所定時間後に再動される時間である、
制御装置。
【請求項13】
起床設定時間を含む時間情報を取得し、
刺激装置から刺激を受ける睡眠者の睡眠状態を取得し、
前記睡眠状態の変化を判定し、
前記起床設定時間の所定時間前である制御開始時間にて、前記睡眠者の覚醒を促す刺激の増加を前記刺激装置に開始させ、
前記刺激に対する前記睡眠状態の変化に基づいて前記刺激の増加量を制御
し、
前記刺激に対する前記睡眠状態の変化に基づいて前記刺激の増加量を制御した結果、前記起床設定時間にて前記刺激の量が目標量に達しない場合、前記起床設定時間の後の所定のタイミングで前記刺激の量が前記目標量に達するように前記刺激の増加量を制御する、
ことをコンピュータに実行させ
、
前記所定のタイミングは、前記起床設定時間に発せられるアラームが所定時間後に再動される時間である、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御方法、制御装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置を用いて睡眠者を覚醒させる技術について研究開発が行われている。昨今では、睡眠者の睡眠状態を考慮して照明を制御する技術がある。
【0003】
例えば、睡眠状態に合わせて、発光開始時間及び発光量を調整し、睡眠者に覚醒を促す方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1で開示される方法では、刺激により促される覚醒度に個人差が生じるおそれがあった。例えば、同じ睡眠状態の2人に対して同じ光量の照明を与えても、2人の覚醒度が異なることがある。これは、音又は光などの刺激に対する感度には個人差があるためである。そのため、刺激に対して敏感な人の覚醒度を高めすぎてしまい、当該人を起床設定時間よりも早く起床させてしまうことがある。これは満足度の低下につながりかねない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
本開示は、上記従来の課題を解決する制御方法、制御装置及びプログラムを提供する。
【0007】
本開示の一態様は、起床設定時間を含む時間情報を取得し、刺激装置から刺激を受ける睡眠者の睡眠状態を取得し、前記睡眠状態の変化を判定し、前記起床設定時間の所定時間前である制御開始時間にて、前記睡眠者の覚醒を促す刺激の増加を前記刺激装置に開始させ、前記刺激に対する前記睡眠状態の変化に基づいて前記刺激の変化量を制御する。
【0008】
本開示によれば、刺激により促される覚醒度における個人差を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施の形態1における刺激制御システムの構成の例を示すブロック図である。
【
図2】本開示の実施の形態1における刺激制御システムとその周辺を示す図である。
【
図3】本開示の実施の形態1における刺激制御システムが備えるセンサで取得されたデータの例を示す図である。
【
図4】本開示の実施の形態1における調整値のデータベースの例を示す図である。
【
図5】本開示の実施の形態1における調整値のデータベースの別の例を示す図である。
【
図6】本開示の実施の形態1における刺激の変化量の規定値の例を示す図である。
【
図7】本開示の実施の形態1における刺激制御システムの処理の例を示すフローチャートである。
【
図8】本開示の実施の形態1における刺激制御システムの処理の一部の詳細の例を示すフローチャートである。
【
図9】本開示の実施の形態1における刺激量の変化の例を示すグラフである。
【
図10】本開示の変形例1における刺激量の変化の例を示すグラフである。
【
図11】本開示の変形例2における刺激量の変化の例を示すグラフである。
【
図12】本開示の変形例2における刺激量の変化の別の例を示すグラフである。
【
図13】本開示の変形例2における刺激量の変化のまた別の例を示すグラフである。
【
図14】本開示の変形例3における刺激制御システムの構成の例を示すブロック図である。
【
図15】本開示の実施の形態2における刺激制御システムの処理の一部の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
従来の技術として、睡眠状態に合わせて、発光開始時間及び発光量を調整し、睡眠者に覚醒を促す方法がある。
【0011】
しかし、従来の技術では、刺激により促される覚醒度に個人差が生じるおそれがある。例えば、刺激に対して敏感な人の覚醒度を高めすぎてしまい、当該人を起床設定時間よりも早く起床させてしまうことがある。これは、睡眠に対する満足度の低下につながりかねない。
【0012】
反対に、刺激に対して鈍感な人の覚醒度が十分に高まらず、当該人を起床設定時間に起床させられないことがある。ここで、満足度向上のためには、目覚めの心地良さが大きく影響するとされる。深い睡眠状態である徐波睡眠期に音又は光などで覚醒を急激に促された場合、再度強い眠気が生じることがある。これは睡眠慣性と言われ、満足度低下の大きな要因として知られている。そのため、覚醒度が十分に高まっていない状態すなわち深い睡眠状態のときに、強い刺激で覚醒を促すことは、満足度の低下につながりかねない。
【0013】
これに対し、本開示の一態様は、起床設定時間を含む時間情報を取得し、刺激装置から刺激を受ける睡眠者の睡眠状態を取得し、前記睡眠状態の変化を判定し、前記起床設定時間の所定時間前である制御開始時間にて、前記睡眠者の覚醒を促す刺激の増加を前記刺激装置に開始させ、前記刺激に対する前記睡眠状態の変化に基づいて前記刺激の変化量を制御する。
【0014】
本構成によれば、刺激に対する睡眠状態の変化に応じた刺激の変化量の制御をすることで、刺激に対する感度に個人差があったとしても、覚醒度の過不足が抑制される。よって、刺激により促される覚醒度における個人差を抑制することができる。ひいては、快適な目覚めを提供することができ、睡眠に対する満足度を向上させることが可能となる。また、刺激の変化量が制御されることにより、刺激量が直接的に制御される場合に比べて、刺激の変化により睡眠者が受ける影響を緩和することができる。例えば、トータルの変化量が小さい場合であっても、変化が急峻である場合、刺激の効果が強くなることがある。これは、刺激量が睡眠状態の変化に応じて直接的に制御されると刺激量が急峻に変化するためである。これに対し、刺激の変化量が制御される場合、刺激量が制御に対して即応的に変化しないため、刺激の効果を強めてしまうことを避けることができる。
【0015】
上記態様において、前記睡眠状態は、前記睡眠者の体動量を含み、前記刺激に対する前記体動量の変化と規定の範囲との関係に応じて、前記刺激の変化量を規定値に基づいて決定してもよい。
【0016】
本構成によれば、体動量の変化が想定される変化より大きいか否かに応じて、与える刺激の変化量を変更することができる。そのため、過剰に刺激を与えること又は刺激量が不足することを抑制できる。
【0017】
上記態様において、前記刺激に対する前記体動量の変化が規定の範囲より大きい場合、前記刺激の変化量を規定値より小さくしてもよい。
【0018】
本構成によれば、刺激に対して想定よりも睡眠者の感度が高い場合に、刺激の変化を緩やかにすることができる。その結果、例えば起床設定時間よりも早い覚醒を抑制できる。
【0019】
上記態様において、前記刺激に対する前記体動量の変化が規定の範囲より小さい場合、前記刺激の変化量を規定値より大きくしてもよい。
【0020】
本構成によれば、刺激に対して想定よりも睡眠者の感度が低い場合に、刺激の変化を急にすることができる。その結果、例えば起床設定時間になっても起床できないことを抑制できる。
【0021】
上記態様において、前記睡眠状態は、前記睡眠者の睡眠ステージを含み、前記刺激に対する前記睡眠ステージの遷移と規定の遷移との関係に応じて、前記刺激の変化量を規定値に基づいて決定してもよい。
【0022】
本構成によれば、変化後の睡眠ステージが想定される睡眠の深さの睡眠ステージであるか否かに応じて、与える刺激の変化量を変更することができる。そのため、過剰に刺激を与えること又は刺激量が不足することを抑制できる。
【0023】
上記態様において、さらに、前記刺激の変化パターンを取得し、前記刺激の変化パターンに基づいて前記刺激の変化量を制御し、前記刺激に対する前記睡眠状態の変化を用いて前記刺激の変化パターンを設定してもよい。
【0024】
本構成によれば、刺激の変化量を決定する基となる刺激の変化パターンが刺激に対する睡眠状態の変化に基づいて制御されるため、睡眠者に適した刺激の変化量と規定値との乖離が小さくなる。すなわち、刺激の変化量の調整量が低減する。したがって、刺激の変化量を睡眠者に適した値に調整するのにかかる計算量又は計算時間を低減することができる。
【0025】
上記態様において、前記刺激に対する前記睡眠状態の変化を用いて前記刺激開始時間を設定してもよい。
【0026】
本構成によれば、刺激の開始時間が刺激に対する睡眠状態の変化に基づいてシフトされるため、睡眠者に適した刺激の変化量と規定値との乖離が小さくなる。すなわち、刺激の変化量の調整量が低減する。したがって、刺激の変化量を睡眠者に適した値に調整するのにかかる計算量又は計算時間を低減することができる。
【0027】
上記態様において、前記睡眠状態の推定に要する時間の間隔で前記刺激の変化量を制御してもよい。
【0028】
本構成によれば、睡眠状態の変化が判定される度に、睡眠状態の変化に基づく刺激の変化量の制御を実行することができる。したがって、睡眠状態の変化に対する当該制御のタイムラグを低減することができる。
【0029】
上記態様において、前記刺激に対する前記睡眠状態の変化に基づいて前記刺激の変化量を制御した結果、前記起床設定時間にて前記刺激の量が目標量に達しない場合、前記起床設定時間の後の所定のタイミングで前記刺激の量が前記目標量に達するように前記刺激の変化量を制御してもよい。
【0030】
本構成によれば、起床設定時間に刺激量が目標量に達しない場合においても、睡眠者の覚醒度を高め続けることができる。
【0031】
上記態様において、前記所定のタイミングは、前記起床設定時間に発せられるアラームが所定時間後に再動される時間であってもよい。
【0032】
本構成によれば、次のアラームのタイミングで覚醒できるように睡眠者の覚醒度を高めることができる。したがって、当該タイミングでの覚醒の可能性を高めることができる。
【0033】
上記態様において、前記刺激に対する前記睡眠状態の変化に基づいて前記刺激の変化量を制御した結果、前記起床設定時間にて前記刺激の量が目標量に達しない場合、前記睡眠者の覚醒後に前記刺激の量が前記目標量に達するように前記刺激の変化量を制御してもよい。
【0034】
本構成によれば、起床設定時間に刺激量が目標量に達しない場合においても、覚醒後に刺激量が目標量に達するため、睡眠者は覚醒後に刺激装置を操作しなくて済む。
【0035】
上記態様において、前記刺激に対する前記睡眠状態の変化に応じて前記刺激の種類または前記刺激の態様を選択し、選択された前記種類または前記態様の刺激に対する前記睡眠状態の変化に基づいて、前記選択された前記種類または前記態様の刺激の変化量を制御してもよい。
【0036】
本構成によれば、刺激の種類又は態様に対する感度に個人差があっても、覚醒度の個人差を抑制することができる。
【0037】
上記態様において、前記刺激は、光、音、触覚振動、風、及び熱、の少なくとも1つであってもよい。
【0038】
本構成によれば、様々な刺激を制御対象とすることができる。
【0039】
さらに、これらの包括的又は具体的な態様は、制御装置、刺激制御システム、集積回路、コンピュータプログラム、又は、コンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの非一時的な記録媒体で実現されてもよく、制御装置、刺激制御システム、集積回路、及び、記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0040】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また全ての実施の形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
【0041】
<1.実施の形態1>
<1-1.刺激制御システムの構成>
図1は、本開示の実施の形態1における刺激制御システムとその周辺を示す図である。
【0042】
刺激制御システムは、制御装置100A、センサ200、及び刺激装置300を備える。制御装置100A及び刺激装置300、制御装置100A及び無線ルータ400は、それぞれ互いに通信する。センサ200は、無線ルータ400を介して制御装置100Aと通信する。センサ200は、寝具500に設置される。
【0043】
例えば、制御装置100A及び刺激装置300は、Bluetooth(登録商標)通信を介して接続される。制御装置100A及び無線ルータ400、センサ200及び無線ルータ400は、それぞれWi-Fi(登録商標)通信を介して接続される。なお、接続に用いられる通信方式は、これらに限定されず、他の方式の一般的な近距離無線通信、ECHONET Lite(登録商標)などの特定用途の無線通信、4G(4th Generation)/LTE(Long Term Evolution)等の携帯電話通信、ワイヤを用いた有線通信などであってもよい。
【0044】
制御装置100Aは、通信端末である。制御装置100Aは、例えばスマートフォン、タブレット端末又はスマートスピーカである。制御装置100Aは、センサ200から生体情報を受信し、刺激装置300に制御指示を送信することで刺激装置300を制御する。
【0045】
センサ200は、人の生体情報をセンシングする。センサ200は、ベッドマット等の寝具500に設置される。センサ200は、例えば心拍、呼吸、体動、発汗、体温、又は脳波などの生体情報を取得するセンサである。例えば、センサ200は、圧電式センサ、電波式センサや、光学式センサ、又は画像処理式センサなどであってよい。また、センサ200は、ベッドマットの上下いずれに配置されもよく、マットレスに内蔵されてもよい。また、センサ200は、圧電式の場合では、ベッドの脚に配置されてもよく、電波式又は画像処理型等の場合は、寝具500の周辺に配置されてもよい。また、センサ200は、制御装置100A又は他の通信端末に内蔵されてもよい。さらに、センサ200は、無線ルータ400を介さず、Bluetooth等の無線通信を用いて制御装置100Aと直接接続してもよい。
【0046】
刺激装置300は、睡眠者の覚醒を促す刺激を出力する。例えば、刺激装置300は、光を出力する照明器具、音を出力するスピーカ、触覚振動を出力するバイブレータ、風を出力する送風機、又は熱を出力する空調装置などである。なお、刺激装置300は、複数であってもよい。また、刺激装置300が複数の刺激を出力する装置であってもよい。さらに、刺激装置300は、無線ルータ400を介して、制御装置100Aと接続してもよい。
【0047】
図1の例では、刺激装置300は、光を刺激とする照明器具としてのシーリングライトである。
【0048】
無線ルータ400は、無線通信を用いて通信を仲介する。例えば、無線ルータ400は、HEMS(Home Energy Management System)のホームゲートウェイであってもよい。
【0049】
図2は、本開示の実施の形態1における刺激制御システムの構成を示す図である。
【0050】
制御装置100Aは、睡眠状態取得部101、判定部102、刺激制御部103、時間取得部104、操作部105、記憶部106、及び刺激部107を備える。
【0051】
睡眠状態取得部101は、刺激装置300から刺激を受ける睡眠者の生体情報を取得する。刺激装置300は、睡眠者が睡眠する空間に設置される。具体的には、睡眠状態取得部101は、刺激装置300が設定される部屋で寝ている睡眠者の生体情報を、睡眠者が入っているベッドのマットレスに設置されるセンサ200から取得する。例えば、生体情報は、
図3に示したような体動量及び睡眠ステージを含み、所定の時間間隔で取得される。所定の時間間隔は、例えば睡眠状態の推定に要する時間の間隔であってよい。取得された睡眠状態は、記憶部106に記憶される。なお、睡眠状態取得部101は、生体情報を用いて睡眠状態を推定することにより、睡眠状態を取得してもよい。例えば、生体情報は、体動、心拍、及び呼吸に関するデータを含む。睡眠ステージは、入眠時間からの経過時間をさらに用いて推定されてもよい。
【0052】
判定部102は、睡眠状態の変化を判定する。具体的には、判定部102は、睡眠状態取得部101により睡眠状態が取得される度に、睡眠状態の変化を判定する。例えば、判定部102は、体動量の変化量を判定する。また、判定部102は、睡眠ステージの遷移を判定する。なお、体動量の代わりに又はそれと共に、心拍数又は呼吸数の変化量が判定されてもよい。
【0053】
刺激制御部103は、刺激装置300による刺激を制御する。具体的には、刺激制御部103は、起床設定時間の所定時間前である制御開始時間にて、刺激装置300に刺激の増加を開始させる。より具体的には、刺激制御部103は、刺激に対する睡眠状態の変化を用いて制御開始時間を設定する。例えば、刺激制御部103は、制御開始時間が到来すると、睡眠状態を取得し、取得された睡眠状態に対応付けられた調整値を
図4に示されるようなデータベースから取得する。刺激制御部103は、取得された調整値に基づいて制御開始時間を変更する。また、刺激制御部103は、刺激制御開始直後(言い換えると初回)の刺激の変化量の制御における睡眠状態の変化に基づいて制御開始時間の調整値を決定する。例えば、睡眠状態の変化が規定よりも大きい場合、調整値を設定し、
図5に示されるように、データベースに調整値を変化前の睡眠状態に対応付けて追加する。なお、設定された調整値は、蓄積された調整値に基づいて更新されてもよい。例えば、睡眠状態が近い複数の調整値を平均するなどして調整値が更新されてよい。そして、制御開始時間が到来すると、刺激制御部103は、刺激装置300に刺激の増加を開始させる。なお、刺激制御部103は、刺激装置300が刺激を出力していない状態である場合には、刺激を開始させることになり、刺激装置300が刺激を出力している状態である場合は、出力中の刺激の量を増加させていくことになる。
【0054】
また、刺激制御部103は、刺激に対する睡眠状態の変化に基づいて刺激の変化量を制御する。具体的には、刺激制御部103は、判定部102により判定された体動量の変化と規定の範囲との関係に応じて、刺激の変化量を規定値に基づいて決定する。また、刺激制御部103は、判定部102により判定された睡眠ステージの遷移と規定の遷移との関係に応じて、刺激の変化量を規定値に基づいて決定する。刺激制御部103は、刺激の変化パターンに基づいて刺激の変化量を制御する。例えば、
図6に示したように、刺激の変化パターンとして、刺激の開始からの経過時間に応じた区間ごとに刺激の変化量の規定値が設定される。刺激の変化パターンは、記憶部106から取得される。このように、区間ごとに変化量が一定であることにより、刺激に対する睡眠状態の変化を判定することができる。
【0055】
なお、刺激制御部103は、刺激に対する睡眠状態の変化に基づいて刺激の変化パターンを設定してもよい。例えば、刺激制御部103は、睡眠状態の変化が規定よりも大きい場合、刺激の変化がより緩やかなパターンを選択する。反対に、睡眠状態の変化が規定よりも小さい場合、刺激制御部103は、刺激の変化がより急であるパターンを選択する。
【0056】
また、刺激制御部103は、操作部105により受け付けられた操作に基づいて刺激部107の動作を制御する。具体的には、刺激制御部103は、操作部105により刺激の停止操作が受け付けられると、刺激部107の刺激を停止させる。
【0057】
時間取得部104は、起床設定時間を含む時間情報を取得する。具体的には、時間取得部104は、起床設定時間を記憶部106から取得する。また、時間取得部104は、現在時間を取得する。現在時間は、通信を介して取得されてもよく、制御装置100Aに備えられる時間を管理するタイマから取得されてもよい。
【0058】
操作部105は、制御装置100Aに対する操作を受け付ける。具体的には、操作部105は、刺激部107の設定及び停止などの操作を受け付ける。
【0059】
記憶部106は、制御装置100Aの処理で用いられる情報を記憶する。具体的には、記憶部106は、上述した睡眠状態、刺激の変化パターン、制御開始時間の調整値、などの情報を記憶する。
【0060】
刺激部107は、睡眠者の覚醒を促す刺激を出力する。具体的には、刺激部107は、刺激装置300が出力する刺激と種類が異なる刺激を出力する。例えば、刺激部107は、アラームとしての音を出力するスピーカである。
【0061】
<1-2.刺激制御システムの処理>
続いて、
図7~
図9を用いて、刺激制御システムの処理について説明する。
図7は、本開示の実施の形態1における刺激制御システムの処理を示すフローチャートである。
【0062】
まず、制御装置100Aは、制御開始時間が到来したと判定されるまで待機する(ステップS1001)。具体的には、刺激制御部103は、時間取得部104により取得された起床設定時間から所定時間前になるまで待機する。
【0063】
ステップS1001にてYesの場合、制御装置100Aは、制御開始時間が更新済みであるか否かを判定する(ステップS1002)。具体的には、刺激制御部103は、起床設定時間から所定時間前になると、制御開始時間の更新処理が実行済みであるか否かを判定する。また、刺激制御部103は、制御開始時間の調整値がデータベースに存在するか否かを判定する。
【0064】
ステップS1002にてNoの場合、制御装置100Aは、睡眠状態を取得する(ステップS1003)。具体的には、制御開始時間の更新処理が実行済みでないと判定されると場合、刺激制御部103は、睡眠状態取得部101により取得された睡眠状態を記憶部106から取得する。
【0065】
次に、制御装置100Aは、調整値と取得した睡眠状態とを用いて制御開始時間を更新する(ステップS1004)。具体的には、刺激制御部103は、
図4に示されるようなデータベースを参照し、取得された睡眠状態(すなわち体動量、睡眠ステージ)と合致する調整値を取得する。刺激制御部103は、取得した調整値を制御開始時間に加算する。その後、ステップS1001へ処理が戻る。
【0066】
ステップS1002にてYesの場合、制御装置100Aは、刺激装置300に刺激の増加を開始させる(ステップS1005)。具体的には、刺激制御部103は、更新済みの制御開始時間が到来したとして、刺激の増加を開始させる。なお、調整値がデータベースに存在しないと判定された場合もステップS1005に処理が進む。
【0067】
次に、制御装置100Aは、睡眠状態を取得し、初回の睡眠状態の変化に基づいて制御開始時間の調整値を記憶する(ステップS1006)。具体的には、判定部102は、刺激の増加が開始されると、体動量、心拍数、又は呼吸数の変化が規定の範囲を超えているか否かを判定する。また、判定部102は、睡眠ステージの遷移が規定の遷移であるか否かを判定する。判定処理の詳細は、
図8を用いて後述する。体動量などの変化が規定の範囲を超えている場合又は睡眠ステージの遷移が規定の遷移でない場合、判定部102は、既定の範囲又は規定の遷移に対する逸脱の度合いに基づいて制御開始時間の調整値を算出する。判定部102は、算出された調整値を刺激の増加が開始される前の睡眠状態と対応付けて記憶部106内のデータベースに記憶させる。
【0068】
次に、制御装置100Aは、刺激に対する睡眠状態の変化に基づいて刺激の変化量を制御する(ステップS1007)。当該処理については後述する。
【0069】
次に、制御装置100Aは、起床設定時間が到来した、又は睡眠者が覚醒若しくは起床したか否かを判定する(ステップS1008)。具体的には、刺激制御部103は、起床設定時間が到来したか否か、及び判定部102により判定された睡眠ステージが覚醒又は起床であるか否かを判定する。判定部102は、取得された睡眠状態に基づいて睡眠ステージが覚醒又は起床であるかを判定する。なお、判定部102は、操作部105の操作に基づいて睡眠ステージが覚醒又は起床であるかを判定してもよい。例えば、操作部105がアラームを停止する操作を受け付けると、睡眠ステージが覚醒又は起床であると判定される。
【0070】
ステップS1008にてYesの場合、すなわち、起床設定時間が到来した、又は睡眠者が覚醒若しくは起床したと判定された場合、制御装置100Aは、刺激装置300に刺激の増加を停止させる(ステップS1009)。具体的には、刺激制御部103は、起床設定時間が到来した、又は判定された睡眠ステージが覚醒若しくは起床である場合、刺激装置300に刺激の増加を停止させる。
【0071】
ステップS1008にてNoの場合、すなわち、起床設定時間が到来しておらず、かつ睡眠者が覚醒若しくは起床していないと判定された場合、ステップS1007に処理が戻る。具体的には、起床設定時間が到来しておらず、かつ判定された睡眠ステージが覚醒又は起床ではない場合、ステップS1007に処理が戻る。なお、刺激の種類によっては、刺激制御部103は、刺激を停止させてもよい。例えば、刺激が音又は触覚振動である場合は、刺激制御部103は、刺激装置300に刺激を停止させる。
【0072】
さらに、
図8を用いて、ステップS1007の処理について説明する。
図8は、本開示の実施の形態1における刺激制御システムの処理の一部(すなわちステップS1007)の詳細を示すフローチャートである。
【0073】
まず、制御装置100Aは、刺激の変化量の変更間隔を取得する(ステップS1101)。具体的には、判定部102は、睡眠状態が取得される時間の間隔を刺激の変化量の変更間隔として記憶部106から取得する。睡眠状態が取得される時間の間隔は、睡眠状態の推定に要する時間の間隔である。なお、刺激の変化量の変更間隔は、当該睡眠の推定に要する時間の間隔より長い間隔であれば、任意の長さの間隔であってもよい。
【0074】
次に、制御装置100Aは、変更間隔ごとに、直前の区間(言い換えると第1区間)とさらに一つ前の区間(言い換えると第2区間)との間の体動量又は睡眠ステージの変化を判定する(ステップS1102)。具体的には、判定部102は、第1区間の体動量と第2区間の体動量とを比較して体動量の変化量を算出する。また、判定部102は、第2区間から第1区間にかけての睡眠ステージの遷移を算出する。
【0075】
次に、制御装置100Aは、刺激に対する体動量の変化量が規定の範囲を超過している、又は睡眠ステージの遷移が規定の遷移より早いか否かを判定する(ステップS1103)。具体的には、刺激制御部103は、体動量の変化が規定の範囲を超過しているか否かを判定する。例えば、規定の範囲は、規定値に所定値を加算又は減算した範囲である。また、刺激制御部103は、睡眠ステージが規定の遷移よりも早く浅い睡眠ステージに遷移したか否かを判定する。例えば、刺激制御部103は、規定の遷移がステージ3からステージ2への遷移である場合に、ステージ3からステージ1に遷移したか否かを判定する。
【0076】
ステップS1103にてYesの場合、すなわち、刺激に対する体動量の変化量が規定の範囲を超過している、又は睡眠ステージの遷移が規定の遷移より早いと判定された場合、制御装置100Aは、刺激変化量を規定値より減少させる(ステップS1104)。具体的には、刺激制御部103は、体動量の変化が規定の範囲を超えている場合、超過分に応じて、刺激の変化量を規定値より減少させる。また、刺激制御部103は、睡眠ステージが規定の遷移よりも早く浅い睡眠ステージに遷移している場合、ステージの進展度に応じて、刺激の変化量を規定値より減少させる。
【0077】
ステップS1103にてNoの場合、すなわち、刺激に対する体動量の変化量が規定の範囲を超過しておらず、かつ睡眠ステージの遷移が規定の遷移より早くないと判定された場合、制御装置100Aは、刺激に対する体動量の変化量が規定の範囲未満である、又は睡眠ステージの遷移が規定の遷移より遅いか否かを判定する(ステップS1105)。具体的には、刺激制御部103は、体動量の変化が規定の範囲(例えば、規定値に所定値を加算又は減算した範囲)未満であるか否かを判定する。また、刺激制御部103は、睡眠ステージの遷移が規定の遷移よりも遅いか否かを判定する。例えば、刺激制御部103は、規定の遷移がステージ3からステージ2への遷移である場合に、ステージ3のまま停滞しているか否かを判定する。
【0078】
ステップS1105にてYesの場合、すなわち、刺激に対する体動量の変化量が規定の範囲未満である、又は睡眠ステージの遷移が規定の遷移より遅いと判定された場合、制御装置100Aは、刺激変化量を規定値より増加させる(ステップS1106)。具体的には、刺激制御部103は、体動量の変化が規定の範囲を下回る場合、不足分に応じて、刺激の変化量を規定値より増加させる。また、刺激制御部103は、睡眠ステージの遷移が規定の遷移よりも遅い場合、ステージの停滞度に応じて、刺激の変化量を規定値より増加させる。
【0079】
ステップS1105にてNoの場合、すなわち、刺激に対する体動量の変化量が規定の範囲未満ではなく、かつ睡眠ステージの遷移が規定の遷移より遅くないと判定された場合、制御装置100Aは、刺激変化量を規定値のままにする(ステップS1107)。具体的には、刺激制御部103は、規定値を次の刺激の変化量として決定する。
【0080】
次に、
図9を用いて、刺激の変化について説明する。
図9は、本開示の実施の形態1における刺激量の変化の例を示すグラフである。
【0081】
まず、現在時間が制御開始時間T0になると、制御装置100Aは、睡眠状態から特定される調整値に基づいて制御開始時間を更新する。例えば、制御開始時間がT0からD2(T0’)に更新される。なお、刺激の変化パターンがパターンX1からパターンX2に時間方向にシフトされてもよい。さらに、シフトの際に、起床設定時間などに基づいて刺激の変化パターンが補正されてもよい。
【0082】
現在時間が更新後の制御開始時間T0’になると、制御装置100Aは、刺激の増加を開始する。刺激の増加は、少なくとも目標刺激量に到達するか又は起床設定時間になるまで継続される。
【0083】
刺激の変化量の変更間隔D1’~D4’のそれぞれにて、制御装置100Aは、睡眠状態の変化に基づき刺激の変更量を制御する。例えば、
図9のパターンX2aの例では、刺激の変更量が規定量よりも増加させられ、規定量で刺激の変化量が制御された場合のパターンX2に比べて刺激量が急に増加している。これは、睡眠状態の変化が規定よりも小さい場合(例えば、睡眠ステージの遷移が遅い場合)の制御である。また、
図9のパターンX2bの例では、刺激の変更量が規定量よりも減少させられ、パターンX2に比べて起床設定時間T1までは刺激量が緩やかに増加している。これは、睡眠状態の変化が規定よりも大きい場合(例えば、睡眠ステージが早く浅いステージに遷移した場合)の制御である。なお、起床設定時間T1までに刺激量が目標刺激量に到達しない場合、刺激制御部103は、刺激量が目標刺激量に到達するまで継続して刺激量を増加させてもよい。また、刺激制御部103は、睡眠者が覚醒又は起床した時間Twが経過した後、刺激量が目標刺激量に到達するまで刺激量を増加させてもよい。そして、刺激量が目標刺激量に到達した時間Tnに刺激の増加が停止される。
【0084】
このように、本開示の実施の形態1によれば、起床設定時間を含む時間情報を取得し、刺激装置から刺激を受ける睡眠者の睡眠状態を取得し、睡眠状態の変化を判定し、起床設定時間の所定時間前である制御開始時間にて、睡眠者の覚醒を促す刺激の増加を刺激装置に開始させ、前記刺激に対する睡眠状態の変化に基づいて刺激の変化量を制御する。
【0085】
これにより、刺激に対する感度に個人差があったとしても、覚醒度の過不足が抑制される。よって、刺激により促される覚醒度における個人差を抑制することができる。ひいては、快適な目覚めを提供することができ、睡眠に対する満足度を向上させることが可能となる。
【0086】
<1-3.変形例1>
本開示の実施の形態1の変形例1について説明する。実施の形態1では、刺激の変化量は、刺激の増加の傾き(言い換えると時間当たりの増加量)であったが、変形例1では、刺激の変化量は、刺激の増加量である。
図10は、本開示の変形例1における刺激量の変化の例を示すグラフである。
【0087】
制御装置100Aは、刺激の変化量の変更間隔で、刺激量を制御する。具体的には、刺激制御部103は、刺激の変化量の変更間隔のタイミングで、決定された刺激の変化量に基づいて刺激量を変更する。例えば、刺激制御部103は、
図10に示したように、刺激の変化量の変更タイミングの間の区間では、刺激量を変化させず一定に保つ。そして、刺激制御部103は、刺激の変化量の変更タイミングで、睡眠状態の変化に基づいて刺激の増加量を決定し、決定された増加量だけ刺激量を増加させる。そのため、
図10に示したように、刺激量は階段状に変化する。
【0088】
これにより、上記区間すなわち睡眠状態測定期間において刺激が変化しないため、実施の形態1のように上記区間において刺激が経時的に変化する場合と比べて、隣接する上記区間の間での刺激に対する睡眠状態の変化をより正確に判定することができる。
【0089】
<1-4.変形例2>
本開示の実施の形態1の変形例2について説明する。実施の形態1では、刺激量が目標刺激量に到達すると刺激量の増加が停止されたが、変形例2では、刺激量が目標刺激量に到達した後も、刺激量の増加が継続される。
図11~
図13は、本開示の変形例2における刺激量の変化の例を示すグラフである。
【0090】
制御装置100Aは、起床設定時間になっても睡眠者が覚醒しない場合、目標刺激量よりも多い追加刺激量に到達するまで刺激量を増加させる。例えば、
図11に示したように、起床設定時間T1において刺激量は目標刺激量に到達するが、睡眠者が覚醒していない場合は、刺激制御部103は、刺激量を追加刺激量に到達するまで増加させる。また、アラームが再動するタイミングTs1で刺激量が追加刺激量に到達するように刺激量の増加が制御されてもよい。なお、追加刺激量に到達しても睡眠者が覚醒しない場合は、
図11に示したように、睡眠者が覚醒する時間Twまで刺激量が追加刺激量に保たれてもよい。睡眠者が覚醒すると、目標刺激量まで刺激量が減少される。
【0091】
また、制御装置100Aは、起床設定時間にて刺激量が目標刺激量に達しない場合、起床設定時間の後の所定のタイミングで刺激量が目標刺激量に達するように刺激の変化量を制御してもよい。例えば、刺激制御部103は、起床設定時間T1において刺激量が目標刺激量に到達しない場合は、
図12に示したように、起床設定時間で発せられるアラームが再動する1回目のタイミングTs1で刺激量が目標刺激量に到達するように刺激量を制御してもよい。さらに、アラームが再動する2回目のタイミングTs2で刺激量が追加刺激量に到達するように刺激量が制御されてもよい。
【0092】
また、制御装置100Aは、起床設定時間の経過後に、刺激の変化の態様を変更してもよい。例えば、刺激制御部103は、
図13に示したように、起床設定時間T1の経過後、追加刺激量に到達するまで刺激量を増加させる。その後、刺激制御部103は、
図13に示したように刺激量を周期的に所定の範囲内で増減させる。例えば、刺激制御部103は、起床設定時間T1の経過後、アラームが再動する1回目のタイミングTs1で刺激量が追加刺激量に到達するように刺激量を増加させる。そして、刺激制御部103は、アラームが再動する1回目のタイミングTs1からアラームが再動する2回目のタイミングTs2までの範囲内において、刺激量を目標刺激量よりも減少させた後、再び刺激量を追加刺激量まで増加させる。刺激量の増減は、睡眠者が覚醒するまで行われる。睡眠者が覚醒した後、刺激量は目標刺激量に変更される。これにより、一定の刺激を与え続けるよりも覚醒を強く促すことができる。
【0093】
<1-5.変形例3>
本開示の実施の形態1の変形例3について説明する。実施の形態1では、制御装置100Aが睡眠状態の変化を判定したが、変形例3では、サーバ600が睡眠状態を判定する。
図14は、本開示の変形例3における刺激制御システムの構成の例を示すブロック図である。
【0094】
変形例3における刺激制御システムは、制御装置100B、センサ200、及び刺激装置300に加えて、サーバ600を備える。
【0095】
制御装置100Bは、判定部102を備えない点以外については制御装置100Aと基本的に構成が同じである。
【0096】
サーバ600は、判定部601及び記憶部602を備える。判定部601の機能は、判定部102と同一である。また、記憶部602には、睡眠状態の変化を判定するための情報、例えば睡眠状態取得部101により取得された睡眠状態などが記憶される。睡眠状態などの情報は、制御装置100Bから通信を介して取得され、記憶部602に記憶される。例えば、記憶部602の容量は、記憶部106の容量よりも大きい。また、サーバ600の処理性能は、制御装置100Bよりも高い。
【0097】
このように、記憶容量などの計算リソース又は処理性能などの計算パフォーマンスが制御装置100Bよりも高いサーバ600で睡眠状態の変化が判定される。判定に用いられる睡眠状態の情報が多いほど、睡眠状態の変化をより正確に判定することができる。そのため、より正確に刺激の変化量を制御することができ、睡眠に対する満足度を向上させることができる。なお、この場合、睡眠状態の変化を判定するための機械学習モデルをトレーニングすることもできる。
【0098】
<1-6.変形例4>
本開示の実施の形態1の変形例4について説明する。実施の形態1では、刺激の種類が固定であったが、変形例4では、刺激の種類は変更されてもよい。
【0099】
制御装置100Aは、睡眠状態の変化に応じて、刺激の種類を選択する。例えば、刺激制御部103は、睡眠状態の変化が規定よりも小さい場合、強い種類の刺激を選択する。刺激制御部103は、選択された刺激を出力する刺激装置に刺激を出力させ、選択前の刺激装置に刺激を停止させる。なお、刺激制御部103は、合計の刺激量が規定の刺激量となるように、複数の刺激を組合せてもよい。
【0100】
また、刺激の態様が変更されてもよい。制御装置100Aは、睡眠状態の変化に応じて、刺激の態様を選択する。例えば、刺激制御部103は、睡眠状態の変化が規定よりも小さい場合、刺激が強い態様を選択する。例えば、刺激制御部103は、変形例2にて説明したような、刺激量が周期的に変化する態様を選択する。
【0101】
また、制御装置100Aは、睡眠者の周辺環境に応じて、刺激の種類又は態様を選択してもよい。例えば、刺激制御部103は、朝日が差し込むなど照度が高い環境では、刺激の種類として光ではなく音を選択し、スピーカを用いて刺激を制御する。
【0102】
<2.実施の形態2>
次に、本開示の実施の形態2について説明する。実施の形態2では、睡眠の質に基づいて制御開始時間が調整される。
【0103】
<2-1.刺激制御システムの構成>
実施の形態2における制御装置100の構成は、実施の形態1における制御装置100A又は100Bの構成と同一であるが、判定部102又は判定部601及び刺激制御部103の動作が一部異なる。
【0104】
判定部102は、睡眠状態を用いて睡眠スコアを判定する。具体的には、判定部102は、制御開始時間において取得されている体動量、心拍数、又は呼吸数などに基づいて睡眠スコアを判定する。なお、睡眠スコアは、就寝開始から制御開始時間までの期間の睡眠状態に基づいて判定されてもよい。
【0105】
刺激制御部103は、睡眠スコアに基づいて制御開始時間を調整する。具体的には、刺激制御部103は、判定部102により判定された睡眠スコアに基づいて制御開始を待機させる。また、刺激制御部103は、刺激開始後の睡眠状態の変化に基づいて、睡眠スコアに基づく制御開始時間の調整値を設定してもよい。例えば、刺激制御部103は、睡眠状態の変化が規定よりも大きい場合、調整値を睡眠スコアと対応付けて記憶させる。
【0106】
<2-2.刺激制御システムの処理>
続いて、
図15を用いて、実施の形態2における刺激制御システムの処理について説明する。実施の形態1との差異は、
図7にて示されたステップS1002とステップS1005との間に追加された処理である。
図15は、本開示の実施の形態2における刺激制御システムの処理の一部を示すフローチャートである。
【0107】
制御装置100は、
図7に示されたステップS1002にてYesの場合、睡眠状態を用いて睡眠スコア及び睡眠ステージを判定する(ステップS1201)。具体的には、判定部102は、体動量などの睡眠状態に基づいて睡眠スコアを判定する。また、判定部102は、実施の形態1と同様に睡眠ステージを判定する。
【0108】
次に、制御装置100は、睡眠スコアが基準値よりも高い、又は睡眠ステージが基準のステージよりも睡眠が深いステージであるか否かを判定する(ステップS1202)。具体的には、刺激制御部103は、睡眠スコアが予め設定される基準値よりも高いか否かを判定する。また、刺激制御部103は、睡眠ステージが予め設定される基準ステージよりも睡眠が深いステージであるか否かを判定する。なお、基準値又は基準ステージは、記憶部106に記憶されている。
【0109】
ステップS1202にてNoの場合、すなわち、睡眠スコアが基準値よりも高くなく、かつ睡眠ステージが基準のステージよりも睡眠が深いステージではないと判定された場合、制御装置100は、現在時間から起床設定時間までの残り時間が所定時間以上であるか否かを判定する(ステップS1203)。具体的には、刺激制御部103は、睡眠の質が基準よりも低い場合、現在時間から起床設定時間までの残り時間が所定時間以上であるか否かを判定する。例えば、残り時間の所定時間は5分などである。
【0110】
ステップS1203にてYesの場合、制御装置100は、所定時間、待機する(ステップS1204)。待機後、ステップS1201に処理が戻る。具体的には、刺激制御部103は、現在時間から起床設定時間までの残り時間が所定時間以上である場合、所定時間、待機することで、刺激開始時間を遅らせる。例えば、待機時間は1分などである。
【0111】
なお、ステップS1202にてYesの場合、すなわち、睡眠スコアが基準値よりも高い、又は睡眠ステージが基準のステージよりも睡眠が深いステージであると判定された場合及びステップS1203にてNoの場合、処理がステップS1005に進み、刺激制御が開始される。
【0112】
このように、本開示の実施の形態2によれば、睡眠の質に基づいて制御開始時間が調整される。これにより、睡眠の質が高くなった状態で起床のための刺激制御が開始される。そのため、快適な目覚めを提供することができ、睡眠に対する満足度を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本開示に係る制御方法、制御装置及びプログラムは、刺激により促される覚醒度における個人差を抑制することができるので、刺激を出力する刺激装置を制御する制御方法、制御装置及びプログラムとして有用である。