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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】無線機及び無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/38 20180101AFI20230908BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20230908BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20230908BHJP
   G06F 8/65 20180101ALI20230908BHJP
【FI】
H04W4/38
H04W84/10
H04W84/18
G06F8/65
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023110690
(22)【出願日】2023-07-05
【審査請求日】2023-07-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂田 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】伊佐地 昭裕
(72)【発明者】
【氏名】村上 貴之
【審査官】石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-200620(JP,A)
【文献】特開2022-145061(JP,A)
【文献】国際公開第2008/102434(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/65
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線機を含むマルチホップ方式の通信ネットワークにおいて他の無線機との間でファームウェアのデータを送信及び受信可能な無線機であって、
制御装置、及び、通信装置、を備え、
前記制御装置は、
前記通信装置により他の無線機から前記ファームウェア以外のデータを受信する場合に、ビーコンを第1周期で送信しながら、前記ビーコンの送信後の第1受信待ち状態で前記データを受信し、
前記通信装置により他の無線機から前記ファームウェアのデータを受信する場合に、前記ビーコンを前記第1周期よりも短い第2周期で送信しながら、データ要求を送信し、前記ビーコンの送信後の前記第1受信待ち状態で前記ファームウェアのデータを受信する、
無線機。
【請求項2】
前記制御装置は、前記通信装置により他の無線機に前記ファームウェアのデータを送信する場合に、前記ビーコンを前記第2周期で送信しながら、前記ビーコンの送信後の前記第1受信待ち状態で前記データ要求を受信し、前記データ要求に応じた前記ファームウェアのデータを送信する、
請求項1に記載の無線機。
【請求項3】
前記制御装置は、前記通信装置により他の無線機に前記ファームウェアのデータを送信する場合に、前記ファームウェアのデータを分割し、第2受信待ち状態で前記ファームウェアのデータのうち前記データ要求に応じた分割データの送信、及び、前記分割データの受信応答の受信を行う、
請求項2に記載の無線機。
【請求項4】
前記制御装置は、前記通信装置により他の無線機から前記ファームウェアの前記分割データを受信する場合に、前記第1受信待ち状態で前記分割データを受信し、当該分割データが最終データでないとき、前記第2受信待ち状態で次の前記分割データを要求する前記データ要求の送信、及び、当該データ要求の受信応答の受信を行う、
請求項3に記載の無線機。
【請求項5】
前記通信ネットワークに含まれる複数の前記無線機は、無線子機、及び、前記無線子機とセンタ装置との通信を中継する無線親機を有し、
前記制御装置は、前記通信ネットワークにおける前記無線親機までのホップ数のうち最小のホップ数であるランクが自機のランクよりも小さい前記無線機から前記ファームウェアのデータを受信する、
請求項1に記載の無線機。
【請求項6】
前記制御装置は、他の無線機から受信した前記ファームウェアの版数が記憶している前記ファームウェアの版数よりも新しい場合、前記ビーコンの送信周期を前記第1周期から前記第2周期に変更し、前記ビーコンの送信後の前記第1受信待ち状態で前記ファームウェアのデータを受信する、
請求項1に記載の無線機。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記ファームウェアの版数と共に、時刻データを受信し、
前記時刻データに基づいて時刻を補正する、
請求項6に記載の無線機。
【請求項8】
マルチホップ方式の通信ネットワークに含まれる複数の無線機を備え、
複数の前記無線機のうち、
ファームウェア以外のデータを受信している前記無線機は、ビーコンを第1周期で送信しながら、前記ビーコンの送信後の第1受信待ち状態で前記データを受信し、
前記ファームウェアのデータを受信している前記無線機は、前記ビーコンを前記第1周期よりも短い第2周期で送信しながら、データ要求を送信し、前記ビーコンの送信後の前記第1受信待ち状態で前記ファームウェアのデータを受信する、
無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ファームウェアのデータを送信及び受信可能な無線機及び無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の無線機として、例えば、特許文献1に示す無線通信装置が知られている。この無線通信装置である親機は、更新用ファームウェアに関する通知を、第2の通信方式を介して、自装置の下位に接続された無線通信装置である子機に送信する。子機は、この通知に応じて、サーバとの間の第1の通信方式による通信の確立を試みる。ここで、この通信が確立されなかった場合、子機は、親機との間の第2の通信方式による通信を介してファームウェアをダウンロードして更新する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-200620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この上記特許文献1の子機は、ファームウェアをサーバから受信できない場合に、ファームウェアを親機から受信している。このファームウェアのデータ量は、1回の送信動作で親機から子機へ送信可能なデータ量よりも大きいため、親機はファームウェアを分割して、その分割データを何度も子機へ送信しなければならず、ファームウェアの送信に長時間を要する課題がある。
【0005】
本開示はこのような課題を解決するためになされたものであり、FOTA動作を迅速に実行することができる無線機及び無線通信システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある態様に係る無線機は、複数の無線機を含むマルチホップ方式の通信ネットワークにおいて他の無線機との間でファームウェアのデータを送信及び受信可能な無線機であって、制御装置、及び、通信装置、を備え、前記制御装置は、前記通信装置により他の無線機から前記ファームウェア以外のデータを受信する場合に、ビーコンを第1周期で送信しながら、前記ビーコンの送信後の第1受信待ち状態で前記データを受信し、前記通信装置により他の無線機から前記ファームウェアのデータを受信する場合に、前記ビーコンを前記第1周期よりも短い第2周期で送信しながら、データ要求を送信し、前記ビーコンの送信後の前記第1受信待ち状態で前記ファームウェアのデータを受信する。
【0007】
本開示のある態様に係る無線通信システムは、マルチホップ方式の通信ネットワークに含まれる複数の無線機を備え、複数の前記無線機ファームウェア以外のデータを受信している前記無線機は、ビーコンを第1周期で送信しながら、前記ビーコンの送信後の第1受信待ち状態で前記データを受信し、前記ファームウェアのデータを受信している前記無線機は、前記ビーコンを前記第1周期よりも短い第2周期で送信しながら、データ要求を送信し、前記ビーコンの送信後の前記第1受信待ち状態で前記ファームウェアのデータを受信する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、例えば、ファームウェアのデータ量は、無線機の1回の送信可能データ量よりも大きい場合、無線機はファームウェアのデータを分割して送信する。この場合、無線機は、ファームウェアのデータを送受信するFOTA動作においてビーコンを第1周期よりも短い第2周期で送信することにより、ビーコンの送信に続く第1受信待ち状態でファームウェアのデータを受信する時間間隔が短くなるため、FOTA動作を迅速に行うことができる。
【0009】
本開示の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施の形態及び変形例に係る無線通信システムを概略的に示す図である。
図2】センタ装置及び無線機の構成例を示すブロック図である。
図3】周期動作を説明するための図である。
図4】第2FOTA動作を説明するための図である。
図5】無線機の動作の一例を示すフローチャートである。
図6】変形例1に係る無線機の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<無線通信システム>
本開示の一実施の形態に係る無線通信システム10は、図1に示すように、複数の無線機20及びセンタ装置30を備えている。無線通信システム10では、例えば需要家の都市ガス、LPガス及び水素ガスなどのガスの使用量を検針するメータ11に関するデータなどのデータを無線機20からセンタ装置30に送信することにより、データをセンタ装置30に収集している。以下では、メータ11の検針対象をガスとして説明するが、検針対象はガスに限定されず、電気及び水道などであってもよい。
【0012】
無線機20は、需要家のメータ11に通信可能に接続されており、メータ11とデータ通信を行う。また、無線機20は、第1通信ネットワーク12を用いた通信機能、及び、第2通信ネットワーク13を用いた通信機能を有している。これにより、無線機20は、第1通信ネットワーク12又は第2通信ネットワーク13を用いてセンタ装置30に通信可能に接続されており、センタ装置30とデータ通信を行う。
【0013】
このデータは、メータ11及び無線機20に関するデータを含んでいる。メータ11に関するデータは、メータ11により検針されたガスの使用量を示す検針値、及び、メータ11により検針されているガスの使用量などの異常を示すアラームなどを含んでおり、無線機20からセンタ装置30に送信される。無線機20に関するデータは、無線機20の時刻データ、並びにファームウェアの版数及びデータなどを含んでおり、センタ装置30から無線機20に送信される。
【0014】
第1通信ネットワーク12は、WAN(Wide Area Network)などの通信ネットワークであって、基地局12a、交換局及びケーブルなどの通信設備を有し、インターネットに接続されていてもよい。また、第2通信ネットワーク13は、FAN(Field Area Network)など、第1通信ネットワーク12とは異なる通信ネットワークであって、複数の無線機20がリレー方式でデータを伝送する無線マルチホップ方式である。例えば、第2通信ネットワーク13は、メータ11の検針対象がガスである場合、WI-SUNアライアンスで標準化された通信方式であるWISUN-JUTAであってもよい。
【0015】
センタ装置30は、無線機20からのデータを収集するサーバ機能を有しており、収集したデータに基づいたサービス及び情報などを需要家やメータ11を管理する事業者などに提供する。例えば、センタ装置30は、メータ11の検針値を収集し、それに基づいてガス使用量を算出し、需要家や事業者に送信する。また、センタ装置30は、メータ11からのアラームを収集し、それに応じてメータ11のガス流路を遮断する指示をメータ11に送信し、メータ11にガス流路を遮断させる。
【0016】
また、センタ装置30は、無線機20を管理する管理機能を有しており、無線機20の管理に関するデータを無線機20に送信する。例えば、センタ装置30は、時刻データを無線機20に送信して、時刻データに基づいて無線機20に時刻補正動作を実行させる。また、センタ装置30は、ファームウェアのデータを無線機20に送信して、ファームウェアのデータに基づいて無線機20にFOTA動作を実行させる。
【0017】
<センタ装置>
図2に示すように、センタ装置30は、センタ制御装置31、及び、センタ制御装置31に電気的に接続されているセンタ通信インターフェース32を備えている。センタ通信インターフェース32は、有線通信の通信インターフェースであって、第1通信ネットワーク12とケーブルなどにより接続されている。これにより、センタ通信インターフェース32は、無線機20から第1通信ネットワーク12を介して送信されてきたデータを受信してセンタ制御装置31に入力したり、センタ制御装置31による制御によってデータを第1通信ネットワーク12を介して無線機20に送信したりする。なお、センタ通信インターフェース32は、無線通信の通信インターフェースであってもよく、第1通信ネットワーク12と無線通信で接続されてもよい。また、センタ通信インターフェース32は、無線通信又は有線通信によりインターネットに接続されていてもよく、インターネット及び第1通信ネットワーク12を介して無線機20と通信可能であってもよい。
【0018】
センタ制御装置31は、コンピュータであって、センタ演算部33及びセンタ記憶部34を有している。センタ記憶部34は、センタ演算部33からアクセス可能なメモリであって、RAM及びROMなどにより構成されている。センタ記憶部34は、センタ装置30のデータ収集及び無線機20の管理などの各種処理を実行するためのプログラム、及び、このプログラムに用いられるデータを記憶している。また、センタ記憶部34は、無線機20から受信したデータ、及び、無線機20に送信するデータを記憶している。
【0019】
センタ演算部33は、例えば、CPUなどのプロセッサなどにより構成されており、センタ記憶部34に記憶されたプログラムを実行する。これにより、センタ制御装置31は、センタ通信インターフェース32からの入力データなどに基づいて、センタ装置30の構成部の動作を制御し、データ収集及び無線機20の管理に関する各種処理を実行する。なお、センタ制御装置31は、単独の装置により構成されていてもよく、又は、複数の装置が分散配置されていて、それらが協働してセンタ制御装置31の動作を行うよう構成されていてもよい。
【0020】
<無線機>
無線機20は、制御装置21、電池22、並びに、制御装置21に電気的に接続されている通信装置及び第3通信インターフェース25を備えている。電池22は、無線機20の電源であって、制御装置21、通信装置及び第3通信インターフェース25に接続されており、これらに電力を供給する。
【0021】
制御装置21は、コンピュータであって、演算部26及び記憶部27を有している。記憶部27は、演算部26からアクセス可能なメモリであって、RAM及びROMなどにより構成されている。記憶部27は、無線機20のFOTA動作などの各種動作を実行するためのプログラム及びこのプログラムに用いられるデータを記憶している。また、記憶部27は、メータ11、センタ装置30及び他の無線機20から受信したデータ、及び、これらに送信するデータを記憶している。
【0022】
演算部26は、例えば、CPU及びMPUなどのプロセッサにより構成されており、記憶部27に記憶されたプログラムを実行する。これにより、制御装置21は、通信装置及び第3通信インターフェース25からの入力データなどに基づいて、無線機20の構成部の動作を制御し、FOTA動作などの各種処理を実行する。なお、制御装置21は、単独の装置により構成されていてもよく、又は、複数の装置が分散配置されていて、それらが協働して制御装置21の動作を行うよう構成されていてもよい。
【0023】
通信装置は、第1通信インターフェース23及び第2通信インターフェース24を有している。第1通信インターフェース23は、第1通信ネットワーク12用の無線通信の通信インターフェースであって、第1アンテナ28に電気的に接続されている。これにより、第1通信インターフェース23は、第1アンテナ28により第1通信ネットワーク12の基地局12aと無線通信で接続されている。第1通信インターフェース23は、センタ装置30から第1通信ネットワーク12を介して送信されてきたデータを第1アンテナ28により受信して制御装置21に入力したり、制御装置21による制御によってデータを第1アンテナ28により第1通信ネットワーク12を介してセンタ装置30に送信したりする。
【0024】
また、第2通信インターフェース24は、第2通信ネットワーク13用の無線通信の通信インターフェースであって、第2アンテナ29に電気的に接続されている。これにより、第2通信インターフェース24は、第2アンテナ29により通信可能な他の無線機20の第2アンテナ29と無線通信で接続されている。第2通信インターフェース24は、他の無線機20から送信されたデータを第2アンテナ29により受信して制御装置21に入力したり、制御装置21による制御によってデータを第2アンテナ29により他の無線機20に送信したりする。
【0025】
また、第3通信インターフェース25は、有線通信の通信インターフェースであって、メータ11にケーブルによって接続されている。これにより、第3通信インターフェース25は、メータ11からのデータを受信して制御装置21に入力したり、制御装置21による制御によってデータをメータ11に送信したりする。なお、無線機20はメータ11と無線通信の通信インターフェースにより無線通信で接続されていてもよい。
【0026】
<通信機能>
図1に示すように、無線通信システム10における複数の無線機20は、第2通信ネットワーク13に属しており、無線子機20a、及び、無線子機20aとセンタ装置30とのデータの伝送を中継する無線親機20bを有している。また、これらの無線子機20a及び無線親機20bの通信機能は、第1通信インターフェース23により第1通信ネットワーク12を用いて通信を行う第1通信機能、及び、第2通信インターフェース24により第2通信ネットワーク13を用いて通信を行う第2通信機能を有している。
【0027】
無線親機20bは、無線子機20aとセンタ装置30との通信を中継するため、第1通信インターフェース23による第1通信機能及び第2通信インターフェース24による第2通信機能を有効にする。これにより、無線親機20bは、第1通信ネットワーク12によりセンタ装置30とデータを送受信すると共に、第2通信ネットワーク13により通信可能な他の無線子機20aとデータを送受信する。
【0028】
無線子機20aは、第1通信ネットワーク12を用いてセンタ装置30と通信する場合、第1通信機能を有効にする。これにより、無線子機20aは、無線親機20bを介さずに直接、センタ装置30とデータを第1通信ネットワーク12により送受信する。なお、この場合、無線子機20aは第2通信機能を無効にしてもよい。また、無線子機20aは第2通信機能を有効にしてもよく、この場合、第2通信機能よりも第1通信機能を優先してもよい。
【0029】
無線子機20aは、第2通信ネットワーク13を用いて通信可能な他の無線子機20a及び無線親機20bと通信する場合、第1通信機能を無効にして第2通信機能を有効にする。これにより、無線子機20aは、第2通信ネットワーク13において、通信可能な他の無線子機20a又は無線親機20bとデータを送受信すると共に、他の無線子機20aと無線親機20bとのデータの伝送を中継する。このように、無線子機20aは、他の無線子機20aを介さずに直接、又は、1つ以上の他の無線子機20aを介して無線親機20bとデータを送受信することにより、無線親機20bを介してセンタ装置30とデータを送受信する。
【0030】
<第2通信ネットワーク>
第2通信ネットワーク13では、無線子機20aから送信されたデータは、ランクに基づいて無線子機20aから無線親機20bに伝送される。このランクは、無線子機20aから無線親機20bまでのホップ数のうち最小のホップ数であり、記憶部27に記憶されている。無線親機20bのランクが最小値の0であり、他の無線子機20aを介さずに無線親機20bと直接、通信可能な無線子機20aのランクが1である。そして、無線親機20bとの間に中継する無線子機20aの数が増えるほど、無線子機20aのランクが増える。第2通信ネットワーク13の無線機20(無線親機20b及び無線子機20a)は、ホップ数テーブルの交換処理により更新される。
【0031】
なお、図1の例では、第2通信ネットワーク13における無線親機20bは1台であるが、無線親機20bの数はこれに限定されない。複数の無線親機20bが互いに同じ第2通信ネットワーク13に属していてもよい。この場合、この第2通信ネットワーク13に属する無線子機20aは、複数の無線親機20bのそれぞれについてホップ数を有しており、この複数のホップ数のうち一番小さいものが無線子機20aのランクである。
【0032】
<FOTA動作>
このように、無線機20は、第1通信ネットワーク12によりセンタ装置30と通信可能であると伴に、第2通信ネットワーク13により他の無線機20と通信可能である。このため、無線機20がファームウェアのデータを受信するFOTA動作は、第1通信ネットワーク12を用いた第1FOTA動作、及び、第2通信ネットワーク13を用いた第2FOTA動作を有している。
【0033】
この第1通信ネットワーク12による通信速度は第2通信ネットワーク13による通信速度よりも速く、且つ、第1通信ネットワーク12による1回の送信可能データ量は第2通信ネットワーク13による1回の送信可能データ量よりも大きい。このため、同じ量のデータを送信する場合、第1通信ネットワーク12を用いた方が、第2通信ネットワーク13を用いるよりも速い。よって、無線機20は、第1通信ネットワーク12を用いた第1FOTA動作を試み、第1FOTA動作を実行できない場合に、第2通信ネットワーク13を用いた第2FOTA動作を実行する。
【0034】
この第2FOTA動作では、無線機20がファームウェアのデータを第2通信ネットワーク13により他の無線機20から受信する場合、無線機20は、第2通信ネットワーク13において自機のランクよりも小さいランクである上位の無線機20からデータを受信する。この場合、上位の無線機20のファームウェアの版数が自機の版数よりも新しいため、第2通信ネットワーク13において最小ランクの無線機20である無線親機20bは、他の無線機20からファームウェアのデータを受信しない。このため、FOTA動作では、無線親機20bは、第2FOTA動作を実行せずに、第1FOTA動作を実行する。これに対し、無線子機20aは、第1FOTA動作及び第2FOTA動作を実行可能であって、第2FOTA動作では第2通信ネットワーク13において自機のランクよりも小さいランクの上位の無線子機20a又は無線親機20bからデータを受信する。
【0035】
従って、FOTA動作では、センタ装置30は、新しい版数のファームウェアを取得すると、FOTA指示を無線親機20bに第1通信ネットワーク12を介して送信する。無線親機20bは、FOTA指示に従って第1FOTA動作を実行し、センタ装置30からファームウェアのデータを第1通信ネットワーク12を介して受信し記憶して、新しい版数のファームウェアに更新する。
【0036】
また、無線親機20bは、FOTA指示を第2通信ネットワーク13を介して無線子機20aに送信する。これに対して、無線子機20aは、FOTA指示に従って第1FOTA動作を実行し、センタ装置30からファームウェアのデータを第1通信ネットワーク12を介して受信し記憶して、新しいファームウェアに更新する。しかしながら、例えば、無線子機20aが第1通信ネットワーク12に接続できない場合、及び、無線子機20aが第1通信ネットワーク12に接続しても所定時間の間にファームウェアのデータの受信を開始できない場合など、第1FOTA動作を実行できない場合がある。この場合には、無線子機20aは、第2FOTA動作を実行し、上位の無線子機20a又は無線親機20bからファームウェアのデータを第2通信ネットワーク13を介して受信し記憶して、新しい版数のファームウェアに更新する。
【0037】
<周期動作>
図3に示すように、無線機20は、例えば、低消費電力の観点からRIT(Receiver Initiated Transmission)方式で間欠的に他の無線機20と通信を第2通信ネットワーク13により行う。この間欠動作は、ビーコンの送信、ビーコンの送信後の第1受信待ち状態、及び、第1受信待ち状態後の休止状態、を含んでいる。周期動作では、間欠動作が周期的に実行される。
【0038】
この間欠動作ではビーコンの送信及び第1受信待ちにより電力が消費する。このため、ビーコン以外のデータを送受信しない場合、及び、データ量が小さいためデータの送受信回数が少ない場合など、無線機20の通信頻度が低いときに、ビーコンの送信周期を、無線機20が送信可能な最短周期、例えば1秒毎にすると、消費電力が大きくなってしまう。このため、常にビーコンを1秒毎に送信すると、電池22の寿命を10年間、持たせることができない。
【0039】
そこで、無線機20は、図3の例のように通信頻度が低いときは、最短周期よりも長い第1周期、例えば5秒毎にビーコンを送信することにより、ビーコンの送信及び第1受信待ちによる消費電力を低く抑えることができる。例えばガス検針の場合、検針値及びアラームのセンタ装置30への送信頻度、並びに、センタ装置30からのメンテナンス通信の受信頻度に応じて、10年間の消費電力が一番小さくなるビーコンの送信周期である第1周期として、5秒が採用されている。
【0040】
これに対し、無線機20は、ファームウェアのデータなどのデータ量が大きいために無線機20の通信頻度が多い場合には、第1周期よりも短い第2周期でビーコンを送信する。これにより、無線機20は、全体の消費電力を平均して低く抑えることが可能である。
【0041】
なお、図3に示す周期動作では、ビーコンの伝送を点線で示し、ビーコン以外のデータの伝送を実線で示している。また、以下では、第2通信ネットワーク13において下位の無線機20でデータを送信すべき要因(データ送信要因)が発生した場合の動作について説明するが、上位の無線機20でデータ送信要因が発生した場合の動作もこれと同様に行ってもよい。
【0042】
具体的には、図3に示すように、第2通信ネットワーク13を構成している全ての無線機20は、RIT Data Requestの識別子、自機が属している第2通信ネットワーク13の識別情報、自機の識別情報、及びランクを含むビーコンを第2通信ネットワーク13を介して第1周期で送信する。無線機20は、他の無線機20と非同期であるため、自機のタイミングでビーコンを送信する。
【0043】
この場合、無線機20は、ビーコンの送信から、第1周期よりも短い第1時間、データの送受信など通信可能な第1受信待ち状態になる。さらに、無線機20は、第1受信待ち状態後に、第1時間よりも長い第2時間、この通信動作を休止する休止状態になる。このように、無線機20は、ビーコンの送信、第1受信待ち状態及び休止状態を含む間欠動作を第1周期で繰り返す周期動作を実行する。この休止状態により消費電力が抑えられる。
【0044】
例えば、下位の無線機20が検針値などのデータを定時に送信する場合、この定時に検針値などのデータを送信すべき要因(データ送信要因)が発生する。そして、下位の無線機20は、このデータ送信要因の発生から、受信待ち状態第1時間よりも長い第3時間、データの送受信など通信可能な第2受信待ち状態になる。そして、下位の無線機20は、第2受信待ち状態において他の無線機20からビーコンを受信すると、ビーコンの送信元の無線機20である上位の無線機20にリンク要求を送信する。
【0045】
上位の無線機20は、ビーコン送信後の第1受信待ち状態にリンク要求を受信すると、リンク要求に含まれる第2通信ネットワーク13の識別情報及び送信先情報を自機に記憶されている第2通信ネットワーク13の識別情報及び自機の識別情報と照合する。そして、上位の無線機20は、これが照合できれば、リンク要求に対するリンク承認を下位の無線機20に送信する。これにより、下位の無線機20がリンク承認を受信すると、下位の無線機20と上位の無線機20とのリンクが確立する。
【0046】
また、上位の無線機20は、リンク承認を送信すると、下位の無線機20からのデータを受信可能なように、第1受信待ち状態の時間を第1時間よりも長く延長する。これに対し、下位の無線機20は、第2受信待ち状態でリンク承認を上位の無線機20から受信すると、データを上位の無線機20に送信する。これに対し、上位の無線機20は第1受信待ち状態でデータを受信すると、そのデータの受信応答を下位の無線機20に送信してから、下位の無線機20とのリンクを解除し、第1受信待ち状態を終了して休止状態になる。下位の無線機20は、第2受信待ち状態で受信応答を受信したら、上位の無線機20とのリンクを解除して、第2受信待ち状態を終了して、次のビーコンの送信まで休止状態になる。
【0047】
なお、上位の無線機20及び下位の無線機20は、このようなリンク確立及びデータの送受信の間も第1周期でビーコンを送信する。ただし、これらの無線機20は、このビーコンの送信タイミングが第2受信待ち状態などの通信状態中である場合には、このビーコンの送信をスキップする。
【0048】
<第2FOTA動作>
このように送信するデータが、1回の送信可能データ量よりも大きい場合には、無線機20は、データを複数に分割し、全ての分割データを送信し終わるまで、分割データの送信を繰り返す。このため、1回の送信可能データ量よりも非常に大きいファームウェアなどのデータを送信する場合には、無線機20が全てのデータを送信するのに非常に長い時間を要する。例えば、送信可能データ量は100バイトであるのに対し、ファームウェアのデータ量は1メガバイトである。
【0049】
このデータを送信している間、無線機20は、他の無線機20を通信することができない。このため、無線機20は、検針値などのデータを定時に送信できないなどの支障が生じることがある。また、無線機20が構成している第2通信ネットワーク13では無線機20がデータ伝送を中継することにより、データの伝送が行われるため、他の無線機20の検針値等のデータの伝送に支障が生じることがある。
【0050】
このため、図4に示すように、無線機20は、第2FOTA動作においてファームウェアのデータを第2通信ネットワーク13により送受信する場合、ビーコンを第1周期よりも短い第2周期で送信する。例えば、第1周期は5秒であるのに対し、第2周期は最短周期の1秒である。なお、無線機20は、ファームウェアのデータなどのデータの送受信の間、第2周期でビーコンを送信するが、このビーコンの送信タイミングが第2受信待ち状態などの通信状態中である場合には、このビーコンの送信をスキップする。また、図4では、図3と同様に、ビーコンの伝送を点線で示し、ビーコン以外のデータの伝送を実線で示している。
【0051】
具体的には、下位の無線機20は、FOTA指示に応じて第2FOTA動作を実行する場合、ファームウェアのデータのうち最初のデータである第1データを要求する第1データ要求のデータ送信要因が発生する。これにより、下位の無線機20は、第1データ要求のデータ送信要因の発生から、第1時間よりも長い第3時間、第2受信待ち状態になる。そして、下位の無線機20は、この第2受信待ち状態においてビーコンを他の無線機20である上位の無線機20から受信すると、リンク要求を上位の無線機20に送信する。これに対し、上位の無線機20は、ビーコンの送信直後の第1受信待ち状態にてリンク要求を受信すると、このリンク要求に含まれる第2通信ネットワーク13の識別情報及び送信先情報を自機に記憶されている第2通信ネットワーク13の識別情報及び自機の識別情報に照合し、これが照合できれば、リンク要求に対するリンク承認を送信する。これにより、下位の無線機20が第2受信待ち状態でリンク承認を受信すると、下位の無線機20と上位の無線機20とのリンクが確立する。また、上位の無線機20は、リンク承認を送信すると、下位の無線機20からのデータを受信可能なように第1受信待ち状態を第1時間から延長する。
【0052】
それから、下位の無線機20は、第2受信待ち状態にてリンク承認を受信すると、以降のビーコンの送信周期について第1周期をキャンセルしてから第2周期に設定して、ビーコンを第2周期で送信する。そして、下位の無線機20は、ファームウェアのデータ要求である第1データ要求を上位の無線機20に送信する。なお、下位の無線機20は、第1データ要求のデータ送信要因が発生したときに、ビーコンの送信周期を第1周期から第2周期に変更してもよい。
【0053】
上位の無線機20は、第1受信待ち状態でファームウェアの第1データ要求を受信すると、第1データ要求に応じてファームウェアの第1データを送信するデータ送信要因が発生する。このため、上位の無線機20は、以降のビーコンの送信周期について第1周期をキャンセルして第2周期に設定して、ビーコンを第2周期で送信する。また、上位の無線機20は、第1データ要求を受信すると、第1データ要求の受信応答を下位の無線機20に送信してから、第1受信待ち状態を終了し、第1データのデータ送信要因の発生をトリガーとする第2受信待ち状態になる。
【0054】
これに対し、下位の無線機20は、この第1データ要求の受信応答を第2受信待ち状態にて受信すると、第2受信待ち状態を終了して休止状態になる。そして、下位の無線機20は、第2周期のタイミングで休止状態を終了して、ビーコンを送信し、ビーコン送信後に第1受信待ち状態になる。
【0055】
上位の無線機20は、このビーコンを第2受信待ち状態にて受信し、ビーコンの送信元データが第1データ要求の送信元データと一致すれば、リンク要求を下位の無線機20に送信する。下位の無線機20は、第1受信待ち状態にてリンク要求を受信すると、そのリンク要求に含まれる第2通信ネットワーク13の識別情報及び送信先情報を自機に記憶しているデータと照合し、これが照合できれば、リンク承認を上位の無線機20に送信する。これにより、上位の無線機20が第2受信待ち状態にてリンク承認を受信すると、これらの無線機20のリンクが確立する。また、下位の無線機20は、リンク承認を送信すると、上位の無線機20からのデータの受信を可能なように、第1受信待ち状態の時間を第1時間よりも長く延長する。
【0056】
そして、上位の無線機20は、ファームウェアのデータを記憶部27から取得し、そのテータを分割し、ファームウェアの先頭データを含む分割データである第1データをファームウェアの第1データ要求に応じて取得する。また、上位の無線機20は、ファームウェアのデータのうち第1データの次に送信する分割データが残っている場合には、次データ有りのフラグを第1データに付して下位の無線機20に送信する。
【0057】
これに対し、下位の無線機20は、第1受信待ち状態において第1データを上位の無線機20から受信すると、その第1データを記憶部27に記憶する。また、下位の無線機20は、第1データに次データ有りのフラグが付加されている場合には、ファームウェアの分割データのうち第1データの次の分割データである第2データを要求する第2データ要求のデータ送信要因が発生する。このため、下位の無線機20は、第1データの受信応答を上位の無線機20に送信すると、第1受信待ち状態を終了してから、第2データ要求のデータ送信要因の発生をトリガーとする第2受信待ち状態になる。
【0058】
また、上位の無線機20は、この第1データの受信応答を第2受信待ち状態にて下位の無線機20から受信する。これにより、下位の無線機20及び上位の無線機20は、分割データの送受信がなされたことを確認することができる。そして、上位の無線機20は、第1データの受信応答を受信すると、第2受信待ち状態を終了して、次のビーコン送信まで休止状態になる。
【0059】
このように、ファームウェアの分割データのデータ要求の送信から、データ要求に応じた分割データの送信、さらに、その分割データの受信応答の受信までの一連の動作を、上位の無線機20及び下位の無線機20は繰り返す。これによって、下位の無線機20は、ファームウェアの分割データを順次、受信し、記憶部27に記憶していく。そして、上位の無線機20は、ファームウェアの分割データのうち、次に送信する分割データが残っていない場合、最終データのフラグを最終の分割データに付して送信する。これに対して、下位の無線機20は、最終の分割データを受信して記憶部27に記憶すると、その受信応答を送信する。また、下位の無線機20は、最終データのフラグにより、次のデータ要求のデータ送信要求が発生しないため、下位の無線機20及び上位の無線機20は、第2FOTA動作を終了して、ビーコンの送信周期を第2周期から第1周期に変更する。
【0060】
そして、下位の無線機20は、取得したファームウェアについてベリファイチェックを行い、ファームウェアの取得が正しく行われていれば、現在使用しているファームウェアから今回の第2FOTA動作で取得したファームウェアに更新する。そして、下位の無線機20は、この更新したファームウェアの版数に、記憶部27に記憶しているファームウェアの版数を変更(更新)する。
【0061】
<無線機の動作>
下位の無線機20は、例えば、図5の無線機20の制御方法の一例を示すフローチャートに沿って制御装置21により制御される。まず、下位の無線機20はFOTA指示を上位の無線機20から取得するか否かを監視する(ステップS1)。下位の無線機20は、FOTA指示を取得すると(ステップS1:YES)、ファームウェアのデータを第1通信ネットワーク12を介して取得可能か否かを判定する(ステップS2)。ここで、下位の無線機20は、ファームウェアのデータを第1通信ネットワーク12を介して取得できる場合には(ステップS2:YES)、第1FOTA動作を実行し、ファームウェアのデータを第1通信ネットワーク12を介して取得する(ステップS3)。
【0062】
一方、下位の無線機20は、ファームウェアのデータを第1通信ネットワーク12を介して取得できない場合には(ステップS2:No)、ファームウェアの版数の要求を上位の無線機20に送信する(ステップS4)。上位の無線機20は、版数の要求を受信すると、自機のファームウェアの版数を取得し、下位の無線機20に送信する。下位の無線機20は、上位の無線機20から版数を受信すると、その受信した上位の無線機20の版数が自機のファームウェアの版数よりも新しいか否かを判定する(ステップS5)。この上位の無線機20の版数が自機の版数と同じ又はそれよりも古い場合、つまり、上位の無線機20の版数が自機の版数よりも新しくない場合(ステップS5:NO)、ファームウェアを更新しなくてもよいので、処理を終了する。
【0063】
これに対し、下位の無線機20は、上位の無線機20の版数が自機の版数よりも新しい場合(ステップS5:YES)、ファームウェアのデータ要求が送信データとして発生する。このため、下位の無線機20は、第2FOTA動作を実行し、上位の無線機20とリンクを確立する。それから、下位の無線機20は、ビーコンの送信周期を第1周期から、第1周期よりも短い第2周期に変更し(ステップS6)、ビーコンを第2周期で送信する。
【0064】
そして、下位の無線機20はファームウェアのデータ要求を送信し(ステップS7)、上位の無線機20は、データ要求に応じてファームウェアの分割データを送信する。これに対して、下位の無線機20は、第1受信待ち状態においてファームウェアの分割データを上位の無線機20から受信し記憶部27に記憶する(ステップS8)。それから、下位の無線機20は、上位の無線機20から受信した分割データが、ファームウェアの分割データのうち最終のデータか否かを判定する(ステップS9)。
【0065】
ここで、下位の無線機20は、ステップS8にて受信した分割データに次データ有りのフラグが付加されている場合、分割データは最終でないと判定する(ステップS9:NO)。そして、下位の無線機20は、最終の分割データを受信するまで、ステップS7~S9の処理を繰り返す。これにより、下位の無線機20は、ファームウェアの分割データを順次、受信して記憶部27に記憶していく。
【0066】
そして、下位の無線機20は、ステップS8にて受信した分割データに、最終データのフラグが付加されていると、その分割データは最終であると判定する(ステップS9:YES)。これにより、下位の無線機20は、ファームウェアの全ての分割データを受信できたため、第2FOTA動作を終了して、ビーコンの周期を第2周期から第1周期に戻し(ステップS10)、ビーコンを第1周期で送信する。
【0067】
このように、下位の無線機20は、ステップS3の第1FOTA動作、又は、ステップS8~S9の第2FOTA動作によりファームウェアのデータを受信する。これにより、下位の無線機20は、このファームウェアに更新し、この更新したファームウェアの版数に、記憶部27に記憶している版数を変更する。
【0068】
上記構成によれば、下位の無線機20は、第1通信ネットワーク12を介してファームウェアのデータを取得できない場合、第2通信ネットワーク13を介してファームウェアのデータを取得する。これにより、下位の無線機20は、ファームウェアのデータをより確実に受信して、このファームウェアの更新を行うことができる。
【0069】
また、下位の無線機20及び上位の無線機20は、ファームウェアの分割データを第2通信ネットワーク13を介して送受信している間、ビーコンを第1周期よりも短い第2周期で送信する。そして、下位の無線機20は、ビーコンの送信直後の第1受信待ち状態においてファームウェアの分割データを受信する。これにより、下位の無線機20が分割データを受信する時間間隔が短くなり、ファームウェアのデータを送受信する第2FOTA動作を迅速に行うことができる。
【0070】
さらに、無線機20は、データ送信要因が発生すると、その発生をトリガーとした第2受信待ち状態になる。この第2受信待ち状態では、無線機20は、他の無線機20からビーコンの受信を待つ受信待ちと、ビーコンの受信後のリンク要求の送信、そのリンク要求に応じたリンク承認の受信、データの送信、及び、そのデータの受信応答の受信など、データの送受信を行う。
【0071】
平均すると、ビーコンの受信待ち時間はビーコンの送信周期の半分であり、データの送受信時間は0.1秒である。このため、ビーコンの送信周期が第1周期、例えば、5秒である場合には、ビーコンの受信待ち時間は2.5秒である。この場合、第2受信待ち状態の時間は、データの送受信時間0.1秒+ビーコンの受信待ち時間2.5秒=2.6秒であり、ビーコンの受信待ち時間は第2受信待ち状態の時間の9割以上を占める。
【0072】
これに対し、ビーコンの送信周期が第1周期よりも短い第2周期、例えば、1秒である場合には、ビーコンの受信待ち時間は0.5秒である。この場合、第2受信待ち状態の時間は、データの送受信時間0.1秒+ビーコンの受信待ち時間0.5秒=0.6秒である。このように、ビーコンの送信周期を第1周期から第2周期にすることにより、第2受信待ち状態の時間が、0.6秒/2.6秒×100=23%になる。このように、第2受信待ち状態の時間が約4分の1になることにより、第2受信待ち状態の消費電力も約4分の1になる。よって、第2受信待ち状態の消費電力を低く抑えられ、無線機20の電源である電池22の交換頻度を低減することができる。
【0073】
さらに、第2通信ネットワーク13に含まれる全ての無線機20のうち、第2FOTA動作でファームウェアのデータを送受信している無線機20は、ビーコンを第2周期で送信する。このように、ビーコンの送信周期が、第1周期よりも短い第2周期であることにより、ビーコンの送信に伴うファームウェアのデータの送受信を迅速に行うことができる。一方、ファームウェア以外のデータを送受信している無線機20は、ビーコンを第2周期よりも長い第1周期であることにより、ビーコンの送信に伴う消費電力の増加を抑制することができる。
【0074】
<変形例1>
変形例1に係る無線通信システム10では、上記実施の形態において、制御装置21は、第1受信待ち状態においてファームウェアの版数と共に時刻データを受信し、時刻データに基づいて時刻を補正する。
【0075】
具体的には、下位の無線機20は、時刻データを自機よりも上位の無線機20に定期的に要求する。このため、図5のステップS1の処理において、下位の無線機20は、上位の無線機20に対して、定期的にファームウェアの版数の要求を、時刻データの要求と共に行ってもよい。この時刻データは、無線機20の時刻補正用のデータであって、センタ装置30から定期的に送信される。第2通信ネットワーク13において、上位の無線機20は、下位の無線機20からの要求に応じて、記憶部27に記憶されている時刻データ及び版数を下位の無線機20に送信する。
【0076】
下位の無線機20は、時刻データを受信すると、記憶部27に記憶するとともに、この時刻データに基づいて時刻補正動作を実行する。下位の無線機20は、時刻補正動作において、時刻データに基づいて自機に保持している時刻を補正する。このように、第2通信ネットワーク13において上位の無線機20から下位の無線機20に順次、時刻データが送信されていき、第2通信ネットワーク13における全ての無線機20は、互いに同じ時刻データに基づいて時刻補正動作が実行されるため、時刻が同期される。
【0077】
また、下位の無線機20は、ファームウェアの版数を受信すると、ステップS5以降の処理を実行する。このように、無線機20は、ファームウェアの版数を時刻データと共に受信することにより、版数及び時刻データを別々に受信するよりも、通信回数が少なく、消費電力の低減化を図ることができる。
【0078】
さらに、図5のS1のFOTA指示の取得が無くても、無線機20は、定期的な時刻要求時に合わせてファームウェアの版数を取得する。これにより、無線機20は、FOTAが必要かを自己判断することができる。
【0079】
<変形例2>
変形例2に係る無線通信システム10では、上記実施の形態及び変形例1において、制御装置21は、第2FOTA動作の終了後から所定時間、ビーコンを第1周期よりも長い第3周期で送信してから、ビーコンを第1周期で送信する。
【0080】
例えば、無線機20は、図6の制御方法の一例を示すフローチャートに沿って制御装置21により制御される。この図6のフローチャートでは、図5のフローチャートのステップS9の処理とステップS10の処理との間に、ステップS11及びS12の処理が実行される。
【0081】
具体的には、下位の無線機20は、ステップS5:YESで第2FOTA動作を開始してから、ステップS9:YESで第2FOTA動作を終了するまで、ビーコンを第2周期で送信する。また、上位の無線機20も、第2FOTA動作を実行している間ビーコンを第2周期で送信する。そして、これらの無線機20は、第2FOTA動作を終了すると、ビーコンの送信周期を第1周期よりも短い第2周期から、第1周期よりも長い第3周期に変更する(ステップS11)。
【0082】
それから、これらの無線機20は、ビーコンの送信周期を変更してからの経過時間を計測し、この経過時間が所定時間に達するか否かを監視する(ステップS12)。ここで、これらの無線機20は、経過時間が所定時間に達するまで(ステップS12:NO)、ビーコンを第3周期で送信する。第3周期の周期動作における第1受信待ち状態の第1時間が第1周期と同様であるため、第3周期の周期動作における休止状態の第2時間が第1周期の周期動作よりも長くなる。このように、第3周期の周期動作では第1周期の周期動作よりも休止状態が長くなることにより、第3周期の周期動作では第1周期の周期動作よりも消費電力を低く抑えることができる。
【0083】
そして、これらの無線機20は、経過時間が所定時間に達すると(ステップS12:YES)、ビーコンの送信周期を第3周期から第1周期に変更する(ステップS10)。これらの無線機20は、周期動作においてビーコンを第1周期で送信する。
【0084】
このように、第2FOTA動作では、無線機20は、ビーコンを第2周期で送信することにより、ビーコンの送信直後の第1受信待ち状態にファームウェアのデータを受信する時間間隔が短くなり、第2FOTA動作を迅速に行うことができる。また、第2FOTA動作後の所定時間の間、周期動作においてビーコンを第3周期で送信することにより、ビーコンの送信の時間間隔が長くなり、ビーコン送信による消費電力を低減することができる。よって、第2FOTA動作で消費電力が増えても、その後の消費電力の低減によって、全体的に消費電力の増加を緩和することができる。
【0085】
<その他の変形例>
上記実施の形態及び全変形例に係る無線通信システム10では、無線機20は、ファームウェアのデータを送受信する第2FOTA動作では、ビーコンの送信周期を第2周期に変更した。ただし、ビーコンの送信周期を第2周期に変更する場合は、これに限定されない。例えば、無線機20は、第2通信ネットワーク13の構築時及び更新時、ポーリング時、並びに、データの伝送の中継時などに、ビーコンの送信周期を第2周期に変更してもよい。このような場合には、データの送信回数が多いため、無線機20は、ビーコンを第1周期よりも短い第2周期で送信することにより、ビーコンで同期をとりながら、データを迅速に送受信することができる。
【0086】
また、無線機20は、所定量以上のデータを送受信する場合に、ビーコンの送信周期を第2周期に変更してもよい。このように、無線機20は、一回の送信可能データ量よりも大きい所定量以上のデータを送信する場合に、そのデータを分割して送信するため、全てのデータの送信に時間を要する。このような場合であっても、無線機20は、ビーコンを第1周期よりも短い第2周期で送信することにより、ビーコンで同期をとりながら、データを迅速に送受信することができる。
【0087】
上記実施の形態及び全変形例に係る無線通信システム10では、第2通信ネットワーク13においてファームウェアのデータを上位の無線機20から下位の無線機20に送信したが、第2通信ネットワーク13においてファームウェアのデータを下位の無線機20から上位の無線機20に送信してもよい。この場合も、ファームウェアのデータを送信する場合、ビーコンの送信周期を第1周期よりも短い第2周期にすることにより、ファームウェアのデータを迅速に送受信することができる。
【0088】
上記実施の形態及び全変形例に係る無線通信システム10では、無線機20は、第2FOTA動作においてビーコンの送信周期を第1周期よりも短い第2周期としたが、第1FOTA動作においてもビーコンの送信周期を第4周期よりも短い第5周期としてもよい。
【0089】
すなわち、無線機20は、センタ装置30との第1通信ネットワーク12による通信において周期動作を行う。この周期動作は、図3の例に示す他の無線機20との第2通信ネットワーク13による周期動作と同様に、ビーコンの送信、その送信に続く第1受信待ち状態、その後の休止状態を含む間欠動作を周期的に繰り返す。この第1通信ネットワーク12による周期動作は、ビーコンの周期以外は、第2通信ネットワーク13による周期動作と同様である。第1通信ネットワーク12による周期動作では、無線機20は、ビーコンを第4周期(例えば、15秒)で送信する。
【0090】
無線機20は、ファームウェア以外のデータをセンタ装置30と送受信する場合、ビーコンを第4周期で送信し、ビーコン送信後の第1受信待ち状態でデータを受信する。これに対し、無線機20は、ファームウェアのデータをセンタ装置30から受信する場合、第4周期よりも短い第5周期でビーコンを送信すると共に、データ要求をセンタ装置30に送信する。センタ装置30は、ファームウェアのデータを分割し、データ要求に応じた分割データを無線機20に送信する。無線機20は、ビーコン送信後の第1受信待ち状態でデータ要求に応じた分割データをセンタ装置30から受信する。
【0091】
この第1FOTA動作は、ビーコンの周期以外は、図4の例の第2FOTA動作と同様である。このように、無線機20は、ビーコンを第5周期で送信することにより、ビーコンの送信後の第1受信待ち状態でファームウェアのデータを受信する時間間隔が短くなるため、ファームウェアのデータを受信する第1FOTA動作を迅速に実行することができる。
【0092】
なお、上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良及び他の実施の形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更することができる。
【0093】
<付記>
以上の実施の形態及び変形例の記載により、下記の技術が開示される。
技術1は、複数の無線機を含むマルチホップ方式の通信ネットワークにおいて他の無線機との間でファームウェアのデータを送信及び受信可能な無線機であって、制御装置、及び、通信装置、を備え、前記制御装置は、前記通信装置により他の無線機から前記ファームウェア以外のデータを受信する場合に、ビーコンを第1周期で送信しながら、前記ビーコンの送信後の第1受信待ち状態で前記データを受信し、前記通信装置により他の無線機から前記ファームウェアのデータを受信する場合に、前記ビーコンを前記第1周期よりも短い第2周期で送信しながら、データ要求を送信し、前記ビーコンの送信後の前記第1受信待ち状態で前記ファームウェアのデータを受信する、無線機である。
【0094】
この構成によれば、ファームウェアのデータは、無線機の1回の送信可能データ量よりも大きいため、無線機はデータを分割して送信する。この場合、無線機は、ビーコンを第1周期よりも短い第2周期で送信することにより、ビーコンの送信後の第1受信待ち状態においてファームウェアのデータを受信する時間間隔が短くなる。このため、無線機は、ファームウェアのデータを送受信するFOTA動作を迅速に行うことができる。
【0095】
技術2は、前記制御装置は、前記通信装置により他の無線機に前記ファームウェアのデータを送信する場合に、前記ビーコンを前記第2周期で送信しながら、前記ビーコンの送信後の前記第1受信待ち状態で前記データ要求を受信し、前記データ要求に応じた前記ファームウェアのデータを送信する、技術1に記載の無線機である。
【0096】
この構成によれば、無線機は、ビーコンを第1周期よりも短い第2周期で送信することにより、ビーコンの送信後の第1受信待ち状態においてファームウェアのデータ要求を受信する時間間隔が短くなる。このため、無線機は、データ要求に応じたファームウェアのデータを送信する時間間隔が短くなり、ファームウェアのデータを送受信するFOTA動作を迅速に行うことができる。
【0097】
技術3は、前記制御装置は、前記通信装置により他の無線機に前記ファームウェアのデータを送信する場合に、前記ファームウェアのデータを分割し、第2受信待ち状態で前記ファームウェアのデータのうち前記データ要求に応じた分割データの送信、及び、前記分割データの受信応答の受信を行う、技術2に記載の無線機である。この構成によれば、無線機は、送信した分割データの受信応答を他の無線機から受信することにより、分割データを他の無線機に送信できたことを確認することができる。
【0098】
技術4は、前記制御装置は、前記通信装置により他の無線機から前記ファームウェアの前記分割データを受信する場合に、前記第1受信待ち状態で前記分割データを受信し、当該分割データが最終データでないとき、前記第2受信待ち状態で次の前記分割データを要求する前記データ要求の送信、及び、当該データ要求の受信応答の受信を行う、技術3に記載の無線機である。この構成によれば、無線機は、送信した分割データのデータ要求の受信応答を他の無線機から受信することにより、分割データのデータ要求を他の無線機に送信できたことを確認することができる。
【0099】
技術5は、前記通信ネットワークに含まれる複数の前記無線機は、無線子機、及び、前記無線子機とセンタ装置との通信を中継する無線親機を有し、前記制御装置は、前記通信ネットワークにおける前記無線親機までのホップ数のうち最小のホップ数であるランクが自機のランクよりも小さい前記無線機から前記ファームウェアのデータを受信する、技術1~4のいずれかに記載の無線機である。
【0100】
この構成によれば、通信ネットワークにおいて、ファームウェアのデータは、ランクが小さい上位の無線機からランクが大きい下位の無線機に送信される。これにより、データの衝突を抑制し、第2通信ネットワークにおける無線機にファームウェアのデータを円滑に送信して、FOTA動作を迅速に行うことができる。
【0101】
技術6は、前記制御装置は、他の無線機から受信した前記ファームウェアの版数が記憶している前記ファームウェアの版数よりも新しい場合、前記ビーコンの送信周期を前記第1周期から前記第2周期に変更し、前記ビーコンの送信後の前記第1受信待ち状態で前記ファームウェアのデータを受信する、技術1~5のいずれかに記載の無線機である。
【0102】
この構成によれば、無線機は、他の無線機から受信したファームウェアの版数が記憶しているファームウェアの版数よりも古い場合には、ファームウェアのデータを受信するFOTA動作を実行しない。このため、自機が記憶している版数と同じ又は古いファームウェアが送受信されないため、無駄なFOTA動作の実行を回避することができる。
【0103】
技術7は、前記制御装置は、前記ファームウェアの版数と共に、時刻データを受信し、前記時刻データに基づいて時刻を補正する、技術6に記載の無線機である。
【0104】
この構成によれば、無線機は、ファームウェアの版数及び時刻データをまとめて受信することにより、ファームウェアの版数及び時刻データを別々に受信する場合よりも、通信回数が少なく、通信に伴う消費電力の低減を図ることができる。
【0105】
技術8は、マルチホップ方式の通信ネットワークに含まれる複数の無線機を備え、複数の前記無線機のうち、ファームウェア以外のデータを受信している前記無線機は、ビーコンを第1周期で送信しながら、前記ビーコンの送信後の第1受信待ち状態で前記データを受信し、前記ファームウェアのデータを受信している前記無線機は、前記ビーコンを前記第1周期よりも短い第2周期で送信しながら、データ要求を送信し、前記ビーコンの送信後の前記第1受信待ち状態で前記ファームウェアのデータを受信する、無線通信システムである。
【0106】
この構成によれば、FOTA動作を実行している無線機は、第2周期でビーコンを送信することにより、ファームウェアのデータを受信するFOTA動作を迅速に行うことができる。また、FOTA動作を実行していない無線機は、第1周期でビーコンを送信することにより、ビーコンの送信による消費電力を低く抑えることができる。
【符号の説明】
【0107】
10 :無線通信システム
20 :無線機
20a :無線子機
20b :無線親機
21 :制御装置
23 :第1通信インターフェース(通信装置)
24 :第2通信インターフェース(通信装置)
30 :センタ装置
【要約】
【課題】FOTA動作を迅速に実行することができる無線機を提供する。
【解決手段】無線機20では、複数の無線機を含むマルチホップ方式の通信ネットワークにおいて他の無線機との間でファームウェアのデータを送信及び受信可能な無線機であって、制御装置21、及び、通信装置、を備え、前記制御装置は、前記通信装置により他の無線機から前記ファームウェア以外のデータを受信する場合に、ビーコンを第1周期で送信しながら、前記ビーコンの送信後の第1受信待ち状態で前記データを受信し、前記通信装置により他の無線機から前記ファームウェアのデータを受信する場合に、前記ビーコンを前記第1周期よりも短い第2周期で送信しながら、データ要求を送信し、前記ビーコンの送信後の前記第1受信待ち状態で前記ファームウェアのデータを受信する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6