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特許7345123情報処理装置、情報処理方法、及び、コンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/26 20060101AFI20230908BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20230908BHJP
   F21V 14/04 20060101ALI20230908BHJP
   B60Q 5/00 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
B60Q1/26 Z
F21V7/00 590
F21V14/04
B60Q5/00 620Z
B60Q5/00 630Z
B60Q5/00 640Z
B60Q5/00 660N
B60Q5/00 660Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019153501
(22)【出願日】2019-08-26
(65)【公開番号】P2021030901
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 英樹
(72)【発明者】
【氏名】田口 元康
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/097595(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/146385(WO,A1)
【文献】特開2018-177044(JP,A)
【文献】特開2011-084106(JP,A)
【文献】特開2019-087139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/26
F21V 7/00
F21V 14/04
B60Q 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
報知対象者へ横断を促すための報知装置による報知を制御する制御部と、
前記報知に対する前記報知対象者の横断の意思を判別する意思判別部と、
報知対象候補者を検出する検出部と、
前記報知対象候補者の横断の可能性を判定する横断可能性判定部と、
前記横断可能性判定部において前記報知対象候補者の横断の可能性があると判定され、当該報知対象候補者が前記報知対象者に決定された場合、前記報知対象者に横断の意思を確認する意思確認部と、を備え、
前記制御部は、
前記意思判別部において、車両側からの横断意思の問い合わせに対する前記報知対象者からの意思表示を受けて前記報知対象者が横断の意思を有していないと判別された場合、前記報知を停止するように前記報知装置を制御
前記意思確認部において前記報知対象者の横断の意思が確認された場合、前記報知を行うように前記報知装置を制御し、
前記横断可能性判定部において前記報知対象候補者の横断の可能性があると判定された場合、誤発進を抑止する制御を行うように所定の制御装置を制御する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記報知対象者の横断の状況を検知する状況検知部をさらに備え、
前記制御部は、
前記状況検知部における検知結果に基づいて、前記報知対象者が横断中の間、前記報知を継続するように前記報知装置を制御する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記報知対象者の横断中に、前記状況検知部によって前記報知対象者以外に横断しようとする横断者が検知された場合、前記横断者が横断中の間、前記報知を継続するように前記報知装置を制御する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記報知対象者の特徴を識別する特徴識別部をさらに備え、
前記制御部は、
前記特徴識別部において識別された前記報知対象者の特徴に応じて前記報知の態様を変化させるように前記報知装置を制御する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記横断可能性判定部が判定を行う頻度、及び、前記横断可能性判定部における判定に用いられる指標値に関して横断の可能性があると判定されるための閾値のうち、少なくとも一方を記憶する記憶部をさらに備え、
前記横断可能性判定部は、
前記記憶部に記憶された前記頻度及び前記閾値の少なくとも1つに基づいて、前記報知対象候補者の横断の可能性を判定する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
目的地への到着目標時刻の入力を受け付ける目標時刻受付部と、
目的地までのルート周辺の交通状況に関する情報を取得する交通状況取得部と、
前記目標時刻受付部が受け付けた前記到着目標時刻と、前記交通状況取得部が取得した交通状況に関する情報のうち少なくとも一方を用いて、前記頻度及び前記閾値の少なくとも一方を調整する調整部と、をさらに備え、
前記横断可能性判定部は、
前記調整部によって調整された前記頻度及び前記閾値のうち少なくとも一方に基づいて、前記報知対象候補者の横断の可能性を判定する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記報知装置としての光照射装置からの光の照射、及び、前記報知装置としての音声出力装置からの音声の出力のうち少なくとも一方を制御する、
請求項1~のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記報知が実行される期間として設定された報知期間の満了後から、前記報知が終了するまでの期間である猶予期間を設定し、
前記猶予期間中における前記報知の態様を、前記報知期間中における前記報知とは異なる態様に変更するように前記報知装置を制御する、
請求項1~のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記猶予期間の残り期間に応じて、前記猶予期間中における前記報知の態様を変化させるように前記報知装置を制御する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
報知対象者へ横断を促すための報知装置による報知を制御する制御ステップと、
前記報知に対する前記報知対象者の横断の意思を判別する意思判別ステップと、
報知対象候補者を検出する検出ステップと、
前記報知対象候補者の横断の可能性を判定する横断可能性判定ステップと、
前記横断可能性判定ステップにおいて前記報知対象候補者の横断の可能性があると判定され、当該報知対象候補者が前記報知対象者に決定された場合、前記報知対象者に横断の意思を確認する意思確認ステップと、を含み、
前記制御ステップは、車両側からの横断意思の問い合わせに対する前記報知対象者からの意思表示を受けて前記報知対象者が横断の意思を有していないと判別された場合、前記報知を停止するように前記報知装置を制御
前記意思確認ステップにおいて前記報知対象者の横断の意思が確認された場合、前記報知を行うように前記報知装置を制御し、
前記横断可能性判定ステップにおいて前記報知対象候補者の横断の可能性があると判定された場合、誤発進を抑止する制御を行うように所定の制御装置を制御する、
情報処理方法。
【請求項11】
報知対象者へ横断を促すための報知装置による報知を制御する制御ステップと、
前記報知に対する前記報知対象者の横断の意思を判別する意思判別ステップと、
報知対象候補者を検出する検出ステップと、
前記報知対象候補者の横断の可能性を判定する横断可能性判定ステップと、
前記横断可能性判定ステップにおいて前記報知対象候補者の横断の可能性があると判定され、当該報知対象候補者が前記報知対象者に決定された場合、前記報知対象者に横断の意思を確認する意思確認ステップと、をコンピュータに実行させ、
前記制御ステップは、車両側からの横断意思の問い合わせに対する前記報知対象者からの意思表示を受けて前記報知対象者が横断の意思を有していないと判別された場合、前記報知を停止するように前記報知装置を制御
前記意思確認ステップにおいて前記報知対象者の横断の意思が確認された場合、前記報知を行うように前記報知装置を制御し、
前記横断可能性判定ステップにおいて前記報知対象候補者の横断の可能性があると判定された場合、誤発進を抑止する制御を行うように所定の制御装置を制御する、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、歩行者等に対して報知を行う車両等に搭載される情報処理装置、情報処理方法、及び、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両が検知した歩行者に対して、当該歩行者の道路の横断を支援する技術が知られている。例えば、特許文献1には、車両が、道路を横断する可能性のある歩行者を検知した場合、対向車及び後続車両の有無に基づいて当該歩行者の横断可否を判定し、さらに歩行者が横断可能であると判定した場合、横断歩道模様を道路に照射して歩行者の横断を支援する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-143093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、横断歩道模様の照射中に歩行者又は自転車等(以下「歩行者等」という)を安全に横断させるための更なる改善の余地がある。例えば、特許文献1の構成では、横断歩道模様を照射する際に歩行者の横断の意思の判定を行う構成であるが、この判定は主にカメラによる歩行者の挙動検知(例えば、自車両方向を所定時間以上向いている等)のみに頼っており、誤って判定する可能性が高い。
【0005】
また、このように歩行者の横断の意思を、横断歩道模様を照射する際に一方的に判定する構成では、歩行者の横断意思の変化(例えば、横断しようとしていたが、電話等がかかってきて横断をやめる等)に対処することもできない。
【0006】
さらに、自動運転が普及した場合に、歩行者の横断の意思を一方的に判定する構成では、事故につながる可能性が高まってしまう。
【0007】
本開示の非限定的な実施例は、歩行者等がより安全に道路を横断できる情報処理装置、情報処理方法、及び、コンピュータプログラムに資する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る情報処理装置は、報知対象者へ横断を促すための報知装置による報知を制御する制御部と、前記報知に対する前記報知対象者の横断の意思を判別する意思判別部と、報知対象候補者を検出する検出部と、前記報知対象候補者の横断の可能性を判定する横断可能性判定部と、前記横断可能性判定部において前記報知対象候補者の横断の可能性があると判定され、当該報知対象候補者が前記報知対象者に決定された場合、前記報知対象者に横断の意思を確認する意思確認部と、を備え、前記制御部は、前記意思判別部において、車両側からの横断意思の問い合わせに対する前記報知対象者からの意思表示を受けて前記報知対象者が横断の意思を有していないと判別された場合、前記報知を停止するように前記報知装置を制御前記意思確認部において前記報知対象者の横断の意思が確認された場合、前記報知を行うように前記報知装置を制御し、前記横断可能性判定部において前記報知対象候補者の横断の可能性があると判定された場合、誤発進を抑止する制御を行うように所定の制御装置を制御する。
【0009】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、報知対象者へ横断を促すための報知装置による報知を制御する制御ステップと、前記報知に対する前記報知対象者の横断の意思を判別する意思判別ステップと、報知対象候補者を検出する検出ステップと、前記報知対象候補者の横断の可能性を判定する横断可能性判定ステップと、前記横断可能性判定ステップにおいて前記報知対象候補者の横断の可能性があると判定され、当該報知対象候補者が前記報知対象者に決定された場合、前記報知対象者に横断の意思を確認する意思確認ステップと、を含み、前記制御ステップは、車両側からの横断意思の問い合わせに対する前記報知対象者からの意思表示を受けて前記報知対象者が横断の意思を有していないと判別された場合、前記報知を停止するように前記報知装置を制御し、前記意思確認ステップにおいて前記報知対象者の横断の意思が確認された場合、前記報知を行うように前記報知装置を制御し、前記横断可能性判定ステップにおいて前記報知対象候補者の横断の可能性があると判定された場合、誤発進を抑止する制御を行うように所定の制御装置を制御する。
【0010】
本開示の一態様に係るコンピュータプログラムは、報知対象者へ横断を促すための報知装置による報知を制御する制御ステップと、前記報知に対する前記報知対象者の横断の意思を判別する意思判別ステップと、報知対象候補者を検出する検出ステップと、前記報知対象候補者の横断の可能性を判定する横断可能性判定ステップと、前記横断可能性判定ステップにおいて前記報知対象候補者の横断の可能性があると判定され、当該報知対象候補者が前記報知対象者に決定された場合、前記報知対象者に横断の意思を確認する意思確認ステップと、をコンピュータに実行させ、前記制御ステップは、車両側からの横断意思の問い合わせに対する前記報知対象者からの意思表示を受けて前記報知対象者が横断の意思を有していないと判別された場合、前記報知を停止するように前記報知装置を制御し、前記意思確認ステップにおいて前記報知対象者の横断の意思が確認された場合、前記報知を行うように前記報知装置を制御し、前記横断可能性判定ステップにおいて前記報知対象候補者の横断の可能性があると判定された場合、誤発進を抑止する制御を行うように所定の制御装置を制御する。
【0011】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、又は、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本開示の非限定的な実施例によれば、歩行者等がより安全に道路を横断できる。
【0013】
本開示の一態様における更なる利点及び効果は、明細書及び図面から明らかにされる。かかる利点及び/又は効果は、いくつかの実施形態並びに明細書及び図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つ又はそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施の形態に係る車載システムの構成例を示す図である。
図2】本実施形態に係る横断歩道模様の照射制御の第1例の処理を説明するための図である。
図3】本実施形態に係る横断歩道模様の照射制御の第2例の処理を説明するための図である。
図4】本実施の形態に係る横断歩道模様の照射の処理イメージの一例を示す図である。
図5】本実施の形態に係る横断歩道模様の照射の処理イメージの一例を示す図である。
図6】本実施の形態に係る横断歩道模様の照射の処理イメージの一例を示す図である。
図7】本実施の形態に係る横断歩道模様の照射の処理イメージの一例を示す図である。
図8】本実施の形態に係る横断歩道模様の照射の処理イメージの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0016】
なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0017】
図1は、本実施の形態に係る車載システムの構成例を示す図である。
【0018】
車両1に搭載される車載システム2は、例えば、カメラ装置3、レーダ装置4、DMD(Digital Micromirror Device)5、無線通信装置6、車両制御ECU(Electronic Control Unit)7、スピーカ/マイク装置8、及び報知制御ECU10を備える。
【0019】
カメラ装置3は、例えば車両1の前方に設置され、撮影映像に基づいて、車両1の前方の物体(人、自転車、他の車両又は障害物等)を検出する。レーダ装置4は、例えば車両1の前方、後方、左方及び右方に設置され、電磁波(例えばミリ波)を送信し、その反射波に基づいて車両1の周辺の物体を検出する。
【0020】
なお、カメラ装置3及びレーダ装置4は、車両1の周辺の物体を検出するための装置の一例であり、車両1は、これら以外の装置によって物体を検出してもよい。また、カメラ装置3及びレーダ装置4等の物体を検出する装置を、物体検出部9と呼んでもよい。物体検出部9は、物体を検出した場合、検出結果を含む検出情報を、報知制御ECU10へ通知する。
【0021】
DMD5(光照射装置の一例)は、例えば車両1のバンパ付近に設置され、道路に対して模様又は文字等を表す光を照射する装置である。例えば、DMD5は、報知制御ECU10の制御に基づいて、車両1の前方の道路の路面に対して、横断歩道の模様を表す光(以下「横断歩道模様」という)などを照射する。
【0022】
無線通信装置6は、他車両、路側機、あるいはクラウドサーバ等といった外部と通信を行うための装置である。例えば、無線通信装置6は、V2V(Vehicle to Vehicle)の規格に基づき、他車両と、車両間無線通信を行う。
【0023】
車両制御ECU7は、車両1の動作を制御するための装置である。例えば、車両制御ECU7は、車両1のステアリング、アクセル及びブレーキ等を制御する。本実施の形態では、車両制御ECU7は、報知制御ECU10の制御に基づいて、車両1の誤発進を抑止する。すなわち、車両制御ECU7は、運転手が誤ってアクセルを踏んだときの車両1の発進を抑止する。
【0024】
スピーカ/マイク装置8(音声出力装置の一例)は、車両1の周辺に対して音声を出力したり、あるいは車両1の周辺の音声を収音したりすることができる。スピーカ/マイク装置8によって出力される音声は、例えば、メモリ12に予め記憶された音声信号に基づいて再生される音声であってもよい。
【0025】
メモリ12には、状況に応じて再生される様々な音声に対応する音声信号が記憶されており、例えば後述する制御部101が状況に応じて適切な音声信号を選択し、再生してもよい。また、メモリ12には、状況に応じて再生される様々な音声に対応するテキスト情報が記憶されており、制御部101が状況に応じて適切なテキスト情報を選択し、選択されたテキストの内容を音声再生するような構成であってもよく、特に限定はされない。
【0026】
報知制御ECU10は、車両1から、歩行者等及び他車両への報知を制御するための装置である。報知制御ECU10は、例えば、通信I/F11、メモリ12、及びプロセッサ13を備える。通信I/F11、メモリ12及びプロセッサ13は、双方向通信可能な内部バス14によって接続される。なお、報知制御ECU10は、本開示に係る情報処理装置の一例である。
【0027】
通信I/F11は、車内ネットワークを通じて、カメラ装置3、レーダ装置4、DMD5、無線通信装置6、及び車両制御ECU7のそれぞれと、データを送受信する。車内ネットワークは、有線又は無線のいずれか、あるいはそれらの組み合わせによって構成されてよい。また、車内ネットワークは、少なくとも一部がCAN(Controller Area Network)によって構成されてよい。
【0028】
メモリ12は、プロセッサ13に実行されるコンピュータプログラム及びデータ等を保持する。メモリ12は、揮発性メモリ又は不揮発性メモリ、あるいはそれらの組み合わせによって構成されてよい。
【0029】
プロセッサ13は、メモリ12からコンピュータプログラムを読み出して実行することにより、報知制御ECU10が備える様々な機能を実現する。プロセッサ13は、CPU(Central Processing Unit)、LSI(Large Scale Integration)又はコントローラなどと表現されてもよい。
【0030】
例えば、プロセッサ13は、メモリ12から読み出したコンピュータプログラムを実行することにより、制御部101、意思判別部102、特徴識別部103、状況検知部104、横断可能性判定部105、意思確認部106、目標時刻受付部107、交通状況取得部108、調整部109に関する機能を実現する。
【0031】
制御部101は、報知対象者へ横断を促すため、報知装置による報知を制御する。ここで、報知対象者は、歩行者に限定されず、電動式又は人力を問わず、自転車(一輪車、二輪車、三輪車等含む)、車椅子、その他のパーソナルモビリティに乗車する者が含まれ、特に限定はされない。報知対象候補者または報知対象者(詳細は後述)のことを、以下では「歩行者等」と呼ぶ場合がある。
【0032】
また、本実施形態においては、報知装置がDMD5等の光照射装置である場合を例に説明するが、これに限定されない。例えば、報知装置は、スピーカ等の音声出力装置であってもよい。あるいは、例えば、報知装置は、歩行者等が携帯するスマートフォン等の端末へ電磁波等により情報を伝達する装置であってもよい。
【0033】
制御部101は、意思判別部102、特徴識別部103、状況検知部104、横断可能性判定部105、意思確認部106、目標時刻受付部107、交通状況取得部108、調整部109等から受信した各種の情報(以下「各種受信情報」という)に応じて報知装置による報知を制御する。
【0034】
制御部101は、各種受信情報を総合考慮し、例えば、横断歩道模様の照射の要否に関する判定結果に基づいて、DMD5を制御して、車両1の前方に横断歩道模様を照射したり、あるいは横断歩道模様の照射を停止したりする。制御部101は、これ以外にも、後述するような各種の制御を行う。
【0035】
なお、制御部101は、例えば、DMD5によって横断歩道模様の照射が行われている間(以下「横断歩道模様の照射期間中」という)、車両制御ECU7を制御して、車両1の誤発進を抑止する構成であってもよい。例えば、制御部101は、横断歩道模様の照射期間中、運転手がアクセルを踏んだとしても車両1を発進させないよう、車両制御ECU7に指示する。これにより、歩行者等が照射中の横断歩道模様を横断中に、車両1が誤発進することを抑止できる。
【0036】
また、制御部101は、横断歩道模様の照射期間中、無線通信装置6を通じて、車両1の後続車両に対して、歩行者等が横断歩道模様を横断中であることを示す情報を通知する構成であってもよい。
【0037】
意思判別部102は、報知装置による報知に対する報知対象者の横断の意思を判別する。例えば、意思判別部102は、DMD5により横断歩道模様が照射されていることに対して、歩行者等が横断の意思を有しているか否かを判別する。意思判別部102は、例えば、カメラ装置3によって撮像される歩行者等の画像に基づく画像認識技術等を用いることにより、歩行者等が横断の意思を有しているか否かを判別する。より具体的には、意思判別部102は、カメラ装置3によって撮像された画像に基づく画像認識技術等を用いて、DMD5から照射されている横断歩道模様を歩行者等が横断中であるか否かを判定する。そして、意思判別部102は、歩行者等が横断歩道模様を横断中であると判定した場合には、歩行者が横断の意思を有していると判別する。
【0038】
一方、意思判別部102は、カメラ装置3によって撮像された画像に基づく画像認識技術等を用いて、歩行者等がDMD5から照射されている横断歩道模様を横断することなく一定の時間が経過したことを認識した場合や、横断しないことを示す歩行者等のジェスチャーを認識した場合には、歩行者等が横断の意思を有していないと判別する。
【0039】
なお、意思判別部102は、カメラ装置3によって撮像された画像に基づいて、歩行者等が横断の意思を有しているか否かを判別する以外に、例えば、スピーカ/マイク装置8によって取得された歩行者等の音声に基づいて、歩行者等が横断の意思を有しているか否かを判別してもよい。例えば、スピーカ/マイク装置8が、歩行者の「渡りません」という音声を取得した場合、意思判別部102は、音声認識技術等を用いてその音声の意味を解釈し、歩行者等に横断の意思がないことを判別してもよい。
【0040】
そして、制御部101は、歩行者等が照射されている横断歩道模様を横断する意思を有していないと意思判別部102によって判別された場合、DMD5による横断歩道模様の照射を停止するように制御を行う。
【0041】
特徴識別部103は、報知対象者の特徴を識別する。特徴識別部103は、例えば、カメラ装置3が撮像した画像に基づく画像認識技術等を用いることにより、報知対象者が通常の歩行者なのか、杖をついている歩行者なのか、盲目の歩行者なのか、その他、車椅子なのか、パーソナルモビリティの利用者なのか等を識別する。また、特徴識別部103は、画像認識技術以外に、V2P(Vehicle to Pedestrian)技術を利用してもよい。例えば、盲目や車椅子、あるいは体の不自由な高齢者などは、交通に関連する個人の属性情報を記憶した専用の端末やスマートデバイス端末などを携帯する。そして、車両1(例えば、無線通信装置6)は、これらの端末と通信を行い、これらの端末を携帯する人物の交通に関連する個人の属性情報を取得する。そして、特徴識別部103は、その属性情報に基づいて、報知対象者の特徴を識別してもよい。
【0042】
そして、制御部101は、報知対象者の特徴に応じて報知の態様を変化させる。例えば、制御部101は、特徴識別部103において報知対象者が盲目の歩行者であると識別された場合、報知装置としてのDMD5からの横断歩道模様の照射と共に、あるいは、横断歩道模様の照射に代えて、報知装置としてのスピーカ/マイク装置8から出力される音声(例えば、報知対象者へ横断を促す内容の音声メッセージ)による報知を行ってもよい。
【0043】
状況検知部104は、報知対象者の横断の状況を検知する。状況検知部104は、例えば、カメラ装置3が撮像した画像に基づく画像認識技術等を用いることにより、歩行者等がDMD5により照射されている横断歩道模様を横断中であるかを検知する。なお、状況検知部104は、スピーカ/マイク装置8によって取得される歩行者等の音声(例えば「もう少し待ってください」という音声等)を、音声認識技術等を用いて意味を解釈し、歩行者等が横断歩道模様を横断中の状況であることを検知する。
【0044】
状況検知部104は、上述した画像認識技術や音声認識技術を用いることにより、例えば、一旦横断しようとした歩行者が横断の途中で引き返して、横断を止めたことを検出することもできる。すなわち、状況検知部104は、歩行者における横断意思の変化等についても検知することができる。
【0045】
そして、制御部101は、状況検知部104における検知結果に基づいて、歩行者等が横断中であることが検知され続ける間、DMD5からの横断歩道模様の照射及び/又はスピーカ/マイク装置8からの音声による報知を継続する。
【0046】
状況検知部104は、報知対象者と認識していた歩行者等以外の他の歩行者等が横断しようとしていることを検知してもよい。状況検知部104は、例えば、カメラ装置3が撮像した画像に基づく画像認識技術、あるいは、スピーカ/マイク装置8が取得した音声に基づく音声認識技術により、他の歩行者が横断しようとしている状況であることを検知できる。
【0047】
そして、制御部101は、状況検知部104における検知結果に基づいて、その他の歩行者等が横断中であることが検知され続ける間、DMD5からの横断歩道模様の照射及び/又はスピーカ/マイク装置8からの音声による報知を継続する。
【0048】
横断可能性判定部105は、物体検出部9が報知対象候補者として検出した歩行者等が横断する可能性を判定する。車両1の走行中等において、物体検出部9は、カメラ装置3により撮像された画像等に基づいて歩行者等を報知対象候補者として検出する。ここで、報知対象候補者とは、DMD5から横断歩道模様を照射したり、スピーカ/マイク装置8から音声を出力したりすることによって、横断を促すための報知を行う対象の候補者となる歩行者等である。ただし、この歩行者等はあくまで報知対象の候補者であって、実際に報知対象者となるか否かは横断可能性判定部105における判定結果に基づいて決定される。
【0049】
そこで、横断可能性判定部105は、報知対象候補者として検出された歩行者が横断する可能性があるか否かを判定する。横断可能性判定部105は、例えば、報知対象候補者の横断の可能性を、カメラ装置3により撮像された画像等を認識し解析することによって判定する。例えば、横断可能性判定部105は、カメラ装置3により撮像された画像を解析した結果、報知対象候補者が、道路の路側帯から所定の距離以上はみ出している場合や、自車(車両1)の方向を所定の時間向いている場合、横断の可能性があると判定してもよい。横断可能性判定部105によって横断の可能性があると判定された場合、車両1は、車両制御ECU7による制御によって報知対象候補者の位置近傍で停車する。また、横断可能性判定部105は、横断の可能性があると判定した報知対象候補者を、報知対象者に決定する。
【0050】
意思確認部106は、横断可能性判定部105において横断の可能性ありと判定されたことによって報知対象者に決定された歩行者等に対して、改めて横断の意思を確認する。意思確認部106は、例えば、スピーカ/マイク装置8から「横断しますか?」という音声メッセージを出力し、報知対象者に対して横断の意思について問いかけてもよい。さらに、意思確認部106は、例えば、スピーカ/マイク装置8が報知対象者の「横断します!」という音声を取得した場合、当該報知対象者が横断の意思を有していることを確認することができる。
【0051】
意思確認部106は、例えば、カメラ装置3により撮像された画像に基づいて、報知対象者による「横断します!」ということを示すジェスチャーを認識した場合に、当該報知対象者が横断の意思を有していることを確認する構成であってもよく、特に限定はされない。
【0052】
そして、制御部101は、意思確認部106による意思確認の結果、報知対象者の横断の意思が確認できた場合には、例えば、その報知対象者に対して報知(例えば、DMD5による横断歩道模様の照射等)を実行する。
【0053】
メモリ12は、横断可能性判定部105による判定を行う頻度、及び、その判定に用いられる指標値に関して横断の可能性があると判定されるための閾値のうち、少なくとも一方を記憶する。頻度としては、例えば、10秒毎、1分毎、5分毎、10分毎等、任意の値を設定することができる。判定に用いられる指標値は、例えば、横断の可能性を表す確率を示す値であってもよい。例えば、90%以上の確率の場合に横断の可能性ありと判断する場合、閾値として90%という値が設定されることとなる。
【0054】
横断可能性判定部105は、メモリ12に記憶された頻度及び閾値のうち少なくとも一方を用いて、報知対象候補者の横断の可能性を判定する処理を実行する。頻度及び閾値は、図示しないカーナビゲーション装置等として構成される入力インターフェースを介して、ユーザが任意に設定することができる。例えば、車両1に急病人が乗車している場合には、横断可能性判定部105による判定の頻度を下げたり、横断の可能性があると判定するための閾値を上げたりすることで、車両1が頻繁に停車しないようにすることができる。
【0055】
目標時刻受付部107は、車両1の目的地への到着目標時刻の入力を受け付ける。車両1は、例えば、図示しないカーナビゲーション装置を備えており、当該カーナビゲーション装置が目標時刻受付部107として機能する。ユーザは、当該カーナビゲーション装置等を介して、目的地への到着目標時刻の入力を行う。
【0056】
交通状況取得部108は、目的地までのルート周辺の交通状況に関する情報を取得する。交通状況取得部108は、交通状況に関する情報として、例えば、渋滞情報、交通規制情報、事故情報、または混雑情報等を、無線通信装置6を介して取得することができる。上述のカーナビゲーション装置が交通状況取得部108として機能してもよい。
【0057】
調整部109は、目標時刻受付部107が受け付けた到着目標時刻、及び、交通状況取得部108によって取得された交通状況に関する情報のうち少なくとも一方を用いて、上記頻度及び上記閾値のうち少なくとも一方の値を調整する。調整部109は、例えば、交通状況に関する情報を考慮した目的地までの航行シミュレーションを実行して到着予定時刻を算出する。そして、調整部109は、その到着予定時刻と到着目標時刻とを比較することにより上記頻度や上記閾値を調整することができる。例えば、調整部109は、到着目標時刻と到着予定時刻とを比較して、あまり余裕がない場合(所定の時間差に満たない場合)には、上記頻度を下げたり、上記閾値を上げたりして、車両1が頻繁に停車することがないように調整する。
【0058】
(横断歩道模様の照射制御の第1例)
次に、図2のフローチャートを参照して、横断歩道模様の照射制御の第1の例の処理について説明する。なお、次に説明する処理は、車両1の走行中や停車中など、車両1の電源が起動中に適宜実行される。図2は、本実施の形態に係る横断歩道模様の照射制御の第1の例の処理を説明するための図である。
【0059】
車両1の走行中等に、物体検出部9は、歩行者等を検出する(S101)。例えば、物体検出部9を構成するカメラ装置3が撮像した画像等に基づいて歩行者等を報知対象候補者として検出する。なお、カメラ装置3以外に、レーダ装置4によって歩行者等を検出する構成であってもよい。なお、S101における歩行者等の検出処理は、所定の時間間隔で繰り返される。この時間間隔は、例えばメモリ12に記憶されている。
【0060】
S101で歩行者等が検出されると、横断可能性判定部105は、物体検出部9が報知対象候補者として検出した歩行者等が横断する可能性があるか否かを判定する(S102)。横断可能性判定部105は、例えば、歩行者等が横断する可能性の有無を、カメラ装置3により撮像された画像等を認識し解析することによって判定する。
【0061】
なお、上述したとおり、横断可能性判定部105が判定を行う頻度、及び、その判定に用いられる指標値に関して横断の可能性があると判定されるための閾値は、メモリ12に記憶されている。横断可能性判定部105は、メモリ12に記憶された頻度及び閾値に基づいて、歩行者等が横断する可能性があるか否かの判定を行う。
【0062】
横断可能性判定部105が、歩行者等が横断する可能性がないと判定した場合(S102:NO)、フローはS101に戻る。そして、S101にて物体検出部9が歩行者の検出処理を行う。
【0063】
横断可能性判定部105が、歩行者等が横断する可能性があると判定した場合(S102:YES)、その歩行者等は報知対象者に決定される。そして、制御部101は、例えば、報知装置としてのDMD5を制御して、車両1の前方への横断歩道模様の照射を実行する(S103)。ここで、車両1が走行中だった場合には、車両1は停車したうえで、S103における横断歩道模様の照射処理が実行される。なお、制御部101は、スピーカ/マイク装置8から出力される音声によって横断を促す報知を行ってもよい。
【0064】
制御部101が横断歩道模様の照射を実行する際、歩行者等の特徴に応じた報知を実行してもよい。特徴識別部103は、例えば、カメラ装置3が撮像した画像に基づく画像認識技術を用いて、歩行者等が通常の歩行者なのか、盲目の歩行者なのか等を識別する。
【0065】
例えば、特徴識別部103が、歩行者等が盲目の歩行者であると識別した場合、制御部101は、報知装置としてのDMD5からの横断歩道模様の照射と共に、あるいは、照射に代えて、報知装置としてのスピーカ/マイク装置8から出力される音声(例えば、歩行者等へ横断を促す内容の音声メッセージ)による報知を行ってもよい。
【0066】
制御部101が横断歩道模様の照射を実行すると、意思判別部102は、報知装置による報知に対する歩行者等の横断の意思を判別する(S104)。例えば、意思判別部102は、DMD5により横断歩道模様が照射されていることに対して、歩行者等が横断の意思を有しているか否かを判別する。意思判別部102は、カメラ装置3によって撮像される歩行者等の画像に基づいて、歩行者等が横断の意思を有しているか否かを判別する。
【0067】
また、S104において、状況検知部104が、歩行者等の横断の状況を検知する。状況検知部104は、例えば、カメラ装置3が撮像した画像に基づく画像認識技術を用いて、歩行者等がDMD5により照射されている横断歩道模様を横断中であるか否かを検知する。
【0068】
さらに、S104において、状況検知部104は、報知対象者と認識された歩行者等以外の歩行者等(以下「新たな歩行者」という)が横断しようとしているか否かを検知する。
【0069】
S104において、意思判別部102により、歩行者等が横断の意思を有していると判別された場合、状況検知部104により、歩行者等がDMD5により照射されている横断歩道模様を横断中であることが検知された場合、又は、状況検知部104により、新たな歩行者等が横断しようとしていることが検知された場合(S104:YES)、フローは、S103へ戻る。そして、制御部101は横断歩道模様の照射の実行を継続する。
【0070】
S104において、意思判別部102により、歩行者等が横断の意思を有していないと判別された場合、状況検知部104により、歩行者等がDMD5により照射されている横断歩道模様の横断を中止していることが検知された場合、又は、状況検知部104により、新たな歩行者等が横断しようとしていることが検知されない場合(S104:NO)、制御部101は、横断歩道模様の照射を終了する(S105)。
【0071】
なお、目標時刻受付部107が上述した到着目標時刻の入力を受け付ける処理、交通状況取得部108が上述した交通状況に関する情報を取得する処理、又は、調整部109が上記到着目標時刻及び上記交通状況に関する情報の少なくとも1つを用いて、上述した頻度や閾値を調整する処理は、S101の前段階の処理として実行されてもよい。
【0072】
(横断歩道模様の照射の第2例)
次に、図3のフローチャートを参照して、横断歩道模様の照射制御の第2の例の処理について説明する。なお、次に説明する処理は、上記第1の例と同様、車両1の走行中や停車中など、車両1の電源が起動中に適宜実行される。図3は、本実施の形態に係る横断歩道模様の照射制御の第2の例の処理を説明するための図である。
【0073】
車両1の走行中等に、物体検出部9は、歩行者等を検出する(S201)。例えば、物体検出部9を構成するカメラ装置3が撮像した画像等に基づいて歩行者等を報知対象候補者として検出する。なお、カメラ装置3以外に、レーダ装置4によって歩行者等を検出する構成であってもよい。なお、S201における歩行者等の検出処理は、所定の時間間隔で繰り返される。この時間間隔は、例えばメモリ12に記憶されている。
【0074】
S201で歩行者等が検出されると、横断可能性判定部105は、物体検出部9が報知対象候補者として検出した歩行者等が横断する可能性があるか否かを判定する(S202)。横断可能性判定部105は、例えば、歩行者等が横断する可能性の有無を、カメラ装置3により撮像された画像等を認識し解析することによって判定する。
【0075】
なお、上述したとおり、横断可能性判定部105が判定を行う頻度、及び、その判定に用いられる指標値としての、横断の可能性があると判定するための閾値は、メモリ12に記憶されている。横断可能性判定部105は、メモリ12に記憶された頻度及び閾値に基づいて、歩行者等が横断する可能性があるか否かの判定を行う。
【0076】
横断可能性判定部105が、歩行者等が横断する可能性がないと判定した場合(S202;NO)、フローはS201に戻る。そして、S201にて物体検出部9が歩行者の検出処理を行う。
【0077】
横断可能性判定部105が、歩行者等が横断する可能性があると判定した場合(S202:YES)、その歩行者等は報知対象者に決定される。そして、意思確認部106は、報知対象者に決定された報知対象者対して、横断の意思について問い合わせる(S203)。
【0078】
例えば、意思確認部106は、スピーカ/マイク装置8から「横断しますか?」という音声メッセージを出力し、歩行者等に対して横断の意思を問い合わせてもよい。
【0079】
意思確認部106は、歩行者等に横断の意思があるか否かを判定する(S204)。
【0080】
例えば、意思確認部106は、スピーカ/マイク装置8が、歩行者等の「横断します!」という音声を取得した場合、当該歩行者等が横断の意思を有していると判定する。ここで、車両1が走行中だった場合には、車両1は停車したうえで、S203における横断の意思を確認する処理が実行される。
【0081】
意思確認部106が歩行者等の横断の意思を確認できない場合(S204:NO)、フローはS201に戻る。そして、S201にて物体検出部9が歩行者の検出処理を行う。
【0082】
意思確認部106が歩行者等の横断の意思を確認できた場合(S204:YES)、制御部101は、例えば、報知装置としてのDMD5を制御して、車両1の前方への横断歩道模様の照射を実行する(S205)。なお、制御部101は、スピーカ/マイク装置8から出力される音声によって横断を促す報知を行ってもよい。
【0083】
制御部101が横断歩道模様の照射を実行する際、歩行者等の特徴に応じた報知を実行してもよい。特徴識別部103は、例えば、カメラ装置3が撮像した画像に基づく画像認識技術を用いて、歩行者等が通常の歩行者なのか、盲目の歩行者なのか等を識別する。
【0084】
例えば、特徴識別部103が、歩行者等が盲目の歩行者であると識別した場合、制御部101は、報知装置としてのDMD5からの横断歩道模様の照射と共に、あるいは、照射に代えて、報知装置としてのスピーカ/マイク装置8から出力される音声(例えば、歩行者等へ横断を促す内容の音声メッセージ)による報知を行ってもよい。
【0085】
制御部101が横断歩道模様の照射を実行すると、意思判別部102は、報知装置による報知に対する歩行者等の横断の意思を判別する(S206)。例えば、意思判別部102は、DMD5により横断歩道模様が照射されていることに対して、歩行者等が横断の意思を有しているか否かを判別する。意思判別部102は、カメラ装置3によって撮像される歩行者等の画像に基づいて、歩行者等が横断の意思を有しているか否かを判別する。
【0086】
また、S206において、状況検知部104が、歩行者等の横断の状況を検知する。状況検知部104は、例えば、カメラ装置3が撮像した画像に基づく画像認識技術を用いて、歩行者等がDMD5により照射されている横断歩道模様を横断中であるか否かを検知する。
【0087】
さらに、S206において、状況検知部104は、新たな歩行者(報知対象者と認識された歩行者等以外の他の歩行者等)が横断しようとしているか否かを検知する。
【0088】
S206において、意思判別部102により、歩行者等が横断の意思を有していると判別された場合、状況検知部104により、歩行者等がDMD5により照射されている横断歩道模様を横断中であることが検知された場合、又は、状況検知部104により、新たな歩行者が横断しようとしていることが検知された場合(S206:YES)、フローはS205へ戻る。そして、制御部101は横断歩道模様の照射の実行を継続する。
【0089】
S206において、意思判別部102により、歩行者等が横断の意思を有していないと判別された場合、状況検知部104により、歩行者等がDMD5により照射されている横断歩道模様の横断を中止していることが検知された場合、又は、状況検知部104により、新たな歩行者等が横断しようとしていることが検知されない場合(S206:NO)、制御部101は、横断歩道模様の照射を終了する(S207)。
【0090】
なお、目標時刻受付部107が上述した到着目標時刻の入力を受け付ける処理、交通状況取得部108が上述した交通状況に関する情報を取得する処理、又は、調整部109が上記到着目標時刻及び上記交通状況に関する情報の少なくとも1つを用いて、上述した頻度や閾値の値を調整する処理は、S201の前段階の処理として実行されてもよい。
【0091】
(処理イメージ)
図4は、本実施の形態に係る横断歩道模様の照射の処理イメージの一例を示す図である。図4には、横断歩道模様の照射を開始した後、歩行者等の反応(身振り手振り等のジェスチャーや音声による会話)に基づいて、歩行者等の横断の意思を判別し、その結果に応じて横断歩道模様の照射を制御する処理イメージが時系列に示されている。図4において、時間軸は、図中の左側から右側へ進むとする(図5図8も同様)。
【0092】
T11において、車両1(車載システム2と言ってもよい。以下同様)は、例えば走行中の歩行者等を検出し、その歩行者等が車両1の前方を横断する可能性があるか否かを判定する。すなわち、図2に示すS101、S102の処理が行われる。車両1において歩行者等が横断する可能性があると判定された場合、車両1は停車する。
【0093】
T12において、車両1は、歩行者等に対する横断を促すための報知として、横断歩道模様を路面に照射する。そして、歩行者等の身振り手振り等を認識して、歩行者等に横断の意思があるか否か判別する。すなわち、図2に示すS103、S104の処理が実行される。図4に示す例では、T12において、横断歩道模様の照射後に歩行者等が横断の意思が無いことを示すジェスチャーを行い、車両1は歩行者等に横断の意思がないことを認識したとする。
【0094】
T13において、車両1は、横断歩道模様を消去する。すなわち、図2に示すS105の処理が実行される。
【0095】
T14において、車両1は、歩行者等の前を徐行して通過する。
【0096】
なお、横断の可能性があると判定された歩行者等が複数いる場合には、全ての歩行者等が横断の意思が無いことを示した場合に、車両1は、横断歩道模様を消去する処理(図2のS105)を行う。また、歩行者等が明示的な意思表示をせず、かつ、横断もしないような状況の場合には、車両1は、所定の時間が経過した後に、横断歩道模様を消去する処理(図2のS105)を行う。
【0097】
図5は、本実施の形態に係る横断歩道模様の照射の処理イメージの一例を示す図である。図5には、横断歩道模様の照射を開始した後、歩行者の特徴に応じた横断を促す報知を行い、歩行者等の意思を判別し、その結果に応じて横断歩道模様の照射を制御する処理イメージが時系列に示されている。図5に示す例では、歩行者等は、盲目で杖をついた歩行者であるとする。
【0098】
T21では、図4のT11と同様の処理が行われる。
【0099】
T22では、車両1は、歩行者等が盲目で杖をついているという特徴を有することを識別し、その特徴に応じた横断を促す報知を行う。図5に示す例では、車両1は、横断歩道模様を照射するとともに、音声による誘導を併せて行っている。すなわち、図2に示すS103の処理が行われる。このとき、車両1は、歩行者等の周辺の状況を音声で報知してもよい。
【0100】
また、盲目で杖をついている歩行者は、通常の歩行者よりも横断するのに時間を要することになるが、T23では、歩行者等が横断中の間は横断歩道模様の照射が継続される。すなわち、歩行者等が横断中は、図2に示すS103~S104の処理が繰り返される。
【0101】
T24では、車両1は、歩行者等に対して横断が完了したことを歩行者等に音声により通知する。そして、車両1は、横断歩道模様を消去する処理(図2のS105)を行う。その後、車両1は、走行を再開する。
【0102】
図6は、本実施の形態に係る横断歩道模様の照射イメージの一例を示す図である。図6には、横断歩道の模様の照射を開始した後、新たな歩行者等(報知対象者と認識された歩行者以外の他の歩行者等)が横断しようとしていることを検知し、その新たな歩行者が横断中であることが検知され続けている間、横断歩道模様の照射を継続する処理イメージが時系列に示されている。
【0103】
T31では、図4のT11と同様の処理が行われる。
【0104】
T32では、車両1は、歩行者等に対する横断を促すための報知として、横断歩道模様を路面に照射する。そして、歩行者等の身振り手振り等を認識して、歩行者等に横断の意思があるか否かを判別する。すなわち、図2に示すS103、S104の処理が実行される。図6に示す例では、T32において、横断歩道模様の照射後に歩行者等が横断の意思があることを示すジェスチャーを行い、車両1は歩行者等に横断の意思があることを認識したとする。
【0105】
T33において、車両1は、歩行者が横断歩道模様を横断し終えようとしているタイミングで、横断の意思がある新たな歩行者等を検知する。このとき、車両1は、横断歩道模様の照射を終了しかけていたが、車両1の左後方から新たな歩行者等が横断を開始したことを検知したことで、一転、横断歩道模様の照射の実行を継続する。すなわち、図2に示すS104の処理が実行される。
【0106】
T34において、車両1は、車両1の左後方から横断を開始した新たな歩行者等が横断を完了したことを確認し、さらなる新たな歩行者等が検知されなかった場合、横断歩道模様を消去する処理(図2のS105)を行う。
【0107】
図7は、本実施の形態に係る横断歩道模様の照射のイメージの一例を示す図である。図7には、横断歩道模様の照射を開始する際に、事前に歩行者等の反応(身振り手振り等のジェスチャーや音声による会話)に基づいて、歩行者等の意思を確認し、その結果に応じて横断歩道模様の照射を制御する処理イメージが時系列に示されている。
【0108】
T41において、車両1は、例えば走行中の歩行者等を検出し、その歩行者等が車両1の前方を横断する可能性があるか否かを判定する。すなわち、図3に示すS201、S202の処理が行われる。車両1において歩行者等が横断する可能性があると判定された場合、車両1は停車する。
【0109】
T42において、車両1は、歩行者等に対して、音声メッセージ等を出力することにより、横断の意思について確認する。
【0110】
T43において、車両1は、歩行者等からの音声やジェスチャーを認識して、横断の意思があることを確認したとする。すなわち、図3に示すS203、S204(YES)の処理が実行される。なお、T42からT43までの間は、車両制御ECU7が誤発進抑制機能を作動させてもよい。
【0111】
T44において、車両1は、歩行者等に対する横断を促すための報知として、横断歩道模様を路面に照射する。すなわち、図3に示すS205の処理が実行される。その後、車両1は、図3に示すS206以降の処理を行い、横断歩道模様の照射を継続したり、終了したりする。
【0112】
図8は、本実施の形態に係る横断歩道模様の照射のイメージの一例を示す図である。図8には、図7と同様、横断歩道模様の照射を開始する際に、事前に歩行者等の反応(身振り手振り等のジェスチャーや音声による会話)に基づいて、歩行者等の意思を確認し、その結果に応じて横断歩道模様の照射を制御する処理イメージが時系列に示されている。
【0113】
T51、T52は、それぞれ、図7のT41、T42と同様である。
【0114】
T53において、車両1は、歩行者等からの音声やジェスチャーを認識して、横断の意思が無いことを確認したとする。すなわち、図3に示すS203、S204(NO)の処理が実行される。
【0115】
T54において、車両1は、横断歩道模様を照射することなく、徐行して歩行者等の前方を通過する。その後、図3に示すS204(NO)の後、S201の歩行者検知処理に戻る。
【0116】
(変形例)
例えば、制御部101は、歩行者等が横断中であることが検知された場合、車両1の後続車両に対して、歩行者等が横断中である旨を通知する制御を行ってもよい。
【0117】
例えば、図2におけるS102~S105や図3におけるS202~S207の処理を行う際、制御部101は、誤発進抑止機能を動作するように車両制御ECU7を制御してもよい。
【0118】
例えば、図2におけるS103や図3におけるS205において、制御部101は、横断歩道模様の照射が実行される期間(以下「照射期間」という。報知期間の一例)を、道路幅、及び/又は、歩行者等の予測される横断速度などに基づいて決定してもよい。例えば、制御部101は、道路幅が広いほど、及び/又は、歩行者等の予測される横断速度が遅いほど、照射期間を長く設定してよい。
【0119】
例えば、制御部101は、照射期間をカウントダウンする制御を行ってもよい。
【0120】
例えば、制御部101は、DMD5を制御して、横断歩道模様の近傍に、残りの照射期間を示す情報を照射してもよい。この場合、制御部101は、残りの照射期間を示す数字を照射してもよいし、残りの照射期間に応じて短くなる棒グラフを照射してもよい。
【0121】
例えば、制御部101は、横断歩道模様の消失猶予期間(猶予期間の一例)を設定してもよい。消失猶予期間は、照射期間の満了後から、横断歩道模様の照射が終了するまでの期間である。そして、制御部101は、消失猶予期間中における横断歩道模様の照射態様を、照射期間中における横断歩道模様の照射態様とは異なる態様に変更するように制御してもよい。横断歩道模様の照射態様としては、例えば、照射強度、色、点灯照射(横断歩道模様を点灯させる照射)、点滅照射(横断歩道模様を点滅させる照射)等が挙げられる。
【0122】
例えば、制御部101は、消失猶予期間のうちの残りの期間(以下「残りの消失猶予期間」という)に応じて、横断歩道模様の照射強度を小さくしてもよい。又は、制御部101は、残りの消失猶予期間に応じて、横断歩道模様の点灯を点滅に変更してもよい。又は、制御部101は、残りの消失猶予期間に応じて、横断歩道模様の点滅間隔を変更してもよい。又は、制御部101は、残りの消失猶予期間に応じて、横断歩道模様の色を変化させてもよい。
【0123】
なお、本開示に係る情報処理装置は、図1に示す車載システム2に含まれる報知制御ECU10としての構成に限定されず、クラウド連携システムとして実現することもできる。例えば、上述した意思判別部102、特徴識別部103、状況検知部104、横断可能性判定部105、意思確認部106などが行う各種情報処理は、クラウドサーバ上で実現されてもよい。例えば、歩行者等の状況及び意思の解釈処理、それに付随する画像処理又は音声処理、あるいは、歩行者等の状況及び意思の解釈処理の結果に基づいて、歩行者等に対する振る舞いまたは歩行者等に提示する情報の内容を決定する情報処理は、クラウドサーバ上に備えられたAI(人工知能)機能又は、その他の情報処理エンジンを用いて実行されてもよい。
【0124】
また、例えば、交通状況取得部108は、走行車両の周辺の局所的なローカル情報については、例えば車車間通信などに基づいて適宜収集してもよい。また、例えば、交通状況取得部108は、広域情報に関しては、クラウドサーバ上で所定間隔ごとに収集・更新される各種交通情報(通行情報、規制情報等)から取得してもよい。
【0125】
また、本開示の構成(例えば、図1に示した構成)は、自動運転車両に特に好適であるが、ドライバーが手動で運転を行う場合のアシスト機能として動作させても良く、特に限定されないことは言うまでもない。
【0126】
<本開示のまとめ>
本開示の内容は、以下のように表現できる。
【0127】
本開示に係る情報処理装置は、道路の横断の意思をもつ者に対して横断の支援を行う、車両に搭載される情報処理装置であって、報知対象者へ横断を促すための報知装置による報知を制御する制御部と、前記報知に対する前記報知対象者の横断の意思を判別する意思判別部と、を備え、前記制御部は、前記意思判別部において、前記車両側からの横断意思の問い合わせに対する前記報知対象者からの意思表示を受けて前記報知対象者が横断の意思を有していないと判別された場合、前記報知を停止するように前記報知装置を制御する。
【0128】
また、本開示に係る情報処理方法は、道路の横断の意思をもつ者に対して横断の支援を行う、車両に搭載される情報処理装置における情報処理方法であって、報知対象者へ横断を促すための報知装置による報知を制御する制御ステップと、前記報知に対する前記報知対象者の横断の意思を判別する意思判別ステップと、を含み、前記制御ステップは、前記車両側からの横断意思の問い合わせに対する前記報知対象者からの意思表示を受けて前記報知対象者が横断の意思を有していないと判別された場合、前記報知を停止するように前記報知装置を制御する。
【0129】
また、本開示に係るコンピュータプログラムは、道路の横断の意思をもつ者に対して横断の支援を行う、車両に搭載される情報処理装置において動作するコンピュータプログラムであって、報知対象者へ横断を促すための報知装置による報知を制御する制御ステップと、前記報知に対する前記報知対象者の横断の意思を判別する意思判別ステップと、をコンピュータに実行させ、前記制御ステップは、前記車両側からの横断意思の問い合わせに対する前記報知対象者からの意思表示を受けて前記報知対象者が横断の意思を有していないと判別された場合、前記報知を停止するように前記報知装置を制御する。
【0130】
上述した本開示に係る情報処理装置(例えば、報知制御ECU10)、情報処理方法、またはコンピュータプログラムは、一方的に報知対象者の意思を判定するわけではなく、報知に対する報知対象者のリアクションに基づいて報知対象者の意思を判別し、その結果、報知対象者が横断の意思を有していないと判別された場合には、報知を停止する。また、一旦横断しかけた報知対象者が、引き返すなどした場合には、変更された横断の意思を判別することができる。
【0131】
これにより、本開示に係る情報処理装置、情報処理方法、またはコンピュータプログラムを備えた車両1によれば、車両1と報知対象者とがしっかりとコミュニケーションをとることにより横断の意思を判別することができる。そのため、報知対象者は、車両1が照射した横断歩道模様をより安全に横断できる。
【0132】
また、本開示に係る情報処理装置は、前記報知対象者の横断の状況を検知する状況検知部をさらに備え、前記制御部は、前記状況検知部における検知結果に基づいて、前記報知対象者が横断中の間、前記報知を継続するように前記報知装置を制御してもよい。
【0133】
これにより、報知対象者が横断中である場合、横断歩道模様の照射等の報知が継続される。したがって、報知対象者の安全性をより一層高めることができる。
【0134】
また、本開示に係る情報処理装置では、前記制御部は、前記報知対象者の横断中に、前記状況検知部によって前記報知対象者以外に横断しようとする横断者が検知された場合、前記横断者が横断中の間、前記報知を継続するように前記報知装置を制御してもよい。
【0135】
これにより、報知対象者の横断中に、その報知対象者以外の横断者(上述した新たな歩行者等)が横断を開始しようとした状況が発生した場合には、横断歩道模様の照射等の報知が継続される。したがって、報知対象者以外の横断者の安全性についても高めることができる。
【0136】
また、本開示に係る情報処理装置は、前記報知対象者の特徴を識別する特徴識別部をさらに備え、前記制御部は、前記特徴識別部において識別された前記報知対象者の特徴に応じて前記報知の態様を変化させるように前記報知装置を制御してもよい。
【0137】
これにより、本開示に係る情報処理装置は、報知対象者の特徴(杖をついている、盲目である、車椅子である等)に応じて、横断歩道模様の照射のみならず、音声出力などを行うことができる。そのため、本開示に係る情報処理装置は、報知対象者それぞれの特徴に応じた適切な報知を行うことができる。
【0138】
また、本開示に係る情報処理装置は、報知対象候補者を検出する検出部と、前記報知対象候補者の横断の可能性を判定する横断可能性判定部と、前記横断可能性判定部によって前記報知対象候補者の横断の可能性があると判定され、当該報知対象候補者が前記報知対象者に決定された場合、前記報知対象者に横断の意思を確認する意思確認部と、をさらに備え、前記制御部は、前記意思確認部において前記報知対象者の横断の意思が確認された場合、前記報知を行うように前記報知装置を制御してもよい。
【0139】
これにより、本開示に係る情報処理装置は、報知対象候補者を検出して、その報知対象候補者について横断の可能性があると判断した場合、その報知対象候補者を報知対象者に決定し、その報知対象者に改めて横断の意思があるか否かを確認する。そして、本開示に係る情報処理装置は、報知対象者に横断の意思を確認した上で、横断歩道照射等の報知を行うことができる。したがって、報知対象者の意思を正確に確認することができるため、報知対象者の安全性をさらに高めることができる。
【0140】
また、本開示に係る情報処理装置では、前記制御部は、前記横断可能性判定部において前記報知対象候補者の横断の可能性があると判定された場合、誤発進を抑止する制御を行うように所定の制御装置(例えば、車両制御ECU7)を制御してもよい。
【0141】
これにより、報知対象候補者の横断の可能性があると判定された場合には、誤発進が抑制される。そのため、横断の意思の確認等を行っている際の事故発生を防止することができる。
【0142】
また、本開示に係る情報処理装置は、前記横断可能性判定部が判定を行う頻度、及び、前記横断可能性判定部における判定に用いられる指標値に関して横断の可能性があると判定されるための閾値の少なくとも1つを記憶する記憶部をさらに備え、前記横断可能性判定部は、前記記憶部に記憶された前記頻度及び前記閾値のうち少なくとも一方に基づいて、前記報知対象候補者の横断の可能性を判定してもよい。
【0143】
これにより、車両の利用者(例えば乗員)は、例えば、横断可能性判定部が判定を行う頻度や、横断の可能性ありと判断される確率等の指標値を調整することができる。例えば、車両の利用者は、例えば急病人の搬送等で急を要する場合において、横断可能性判定部による判定の頻度を低く設定したり、横断の可能性ありの判断基準の指標値を高く設定したりする。これにより、報知対象候補者の横断の可能性ありと判定されて車両が停止する回数を調整できる。
【0144】
また、本開示に係る情報処理装置は、目的地への到着目標時刻の入力を受け付ける目標時刻受付部と、目的地までのルート周辺の交通状況に関する情報を取得する交通状況取得部と、前記目標時刻受付部が受け付けた前記到着目標時刻と、前記交通状況取得部が取得した交通状況に関する情報のうち少なくとも一方を用いて、前記頻度及び前記閾値のうち少なくとも一方を調整する調整部をさらに備え、前記横断可能性判定部は、前記調整部によって調整された前記頻度及び前記閾値のうち少なくとも一方に基づいて、前記報知対象候補者の横断の可能性を判定してもよい。
【0145】
これにより、車両の利用者によって入力された到着目標時刻、及び、目的地までのルート周辺の交通状況に関する情報(例えばダイナミックマップ等の情報)のうち少なくとも一方に基づいて、車両が到着目標時刻までに到着できるように、横断可能性判定部による判定の頻度や、横断可能性ありの判断基準の指標値が、自動的に調整される。そのため、車両の利用者の事情に応じて、報知対象候補者の横断の可能性ありと判定されて車両が停止する回数を調整できる。
【0146】
また、本開示に係る情報処理装置では、前記制御部は、前記報知装置としての光照射装置からの光の照射、及び、前記報知装置としての音声出力装置からの音声の出力のうち少なくとも一方を制御してもよい。
【0147】
これにより、例えば、音声の出力が行われた場合では、視力が弱い報知対象者は、その音声に基づいて安全に横断することができる。
【0148】
また、本開示に係る情報処理装置では、前記制御部は、前記報知が実行される期間として設定された報知期間の満了後から、前記報知が終了するまでの期間である猶予期間を設定し、前記猶予期間中における前記報知の態様を、前記報知期間中における前記報知の態様とは異なる態様に変更するように前記報知装置を制御してもよい。
【0149】
これにより、報知対象者は、横断歩道模様の照射態様の変化を視認することにより、横断歩道模様がもうすぐ消失することを知ることができる。そのため、報知対象者をスムーズかつ安全に横断させることができる。
【0150】
また、本開示に係る情報処理装置では、前記制御部は、前記猶予期間の残り期間に応じて、前記猶予期間中における前記報知の態様を変化させるように前記報知装置を制御してもよい。
【0151】
これにより、報知対象者は、横断歩道模様の照射態様の変化を視認することにより、横断歩道模様が消失するまでの残り期間が短くなっていくことを知ることができる。そのため、報知対象者をスムーズかつ安全に横断させることができる。
【0152】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。
【0153】
上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部又は全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0154】
集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。
【0155】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0156】
本開示は、あらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【産業上の利用可能性】
【0157】
本開示の一態様は、車載システムに有用である。
【符号の説明】
【0158】
1 車両
2 車載システム
3 カメラ装置
4 レーダ装置
5 DMD
6 無線通信装置
7 車両制御ECU
8 スピーカ/マイク装置
9 物体検出部
10 報知制御ECU
11 通信I/F
12 メモリ
13 プロセッサ
14 内部バス
101 制御部
102 意思判定部
103 特徴識別部
104 状況検知部
105 横断可能性判定部
106 意思確認部
107 目標時刻受付部
108 交通状況取得部
109 調整部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8