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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】乾燥機、制御装置、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/32 20200101AFI20230908BHJP
   D06F 58/02 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
D06F58/32
D06F58/02 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019009002
(22)【出願日】2019-01-23
(65)【公開番号】P2020116097
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】進藤 清一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】高 未麗
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-086697(JP,A)
【文献】特開2008-000249(JP,A)
【文献】特開平08-178522(JP,A)
【文献】特開2015-129617(JP,A)
【文献】特開2005-315456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/00-58/52
F26B 3/347
H05B 6/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥対象物を収容する槽と、
前記槽に収容された前記乾燥対象物に含有される水分を加熱して前記乾燥対象物を乾燥するために前記槽内に電磁波を照射する照射部と、
前記照射部により前記槽内に電磁波が照射されているときに前記槽から反射された反射波の強度を検知する検知部と、
前記照射部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記検知部により検知された反射波の強度を取得する強度取得部と、
前記強度取得部により取得された反射波の強度に応じて、前記照射部の出力を調整して反射波の強度を平滑化する平滑化部と、
を備え、
前記平滑化部は、前記検知部により検知された反射波の強度にリアルタイムに追従して前記照射部の出力を調整することを特徴とする乾燥機。
【請求項2】
前記平滑化部は、前記検知部により検知された反射波の強度が所定の上限値よりも高いときに前記照射部の出力を下げることを特徴とする請求項に記載の乾燥機。
【請求項3】
前記平滑化部は、前記検知部により検知された反射波の強度が所定の下限値よりも低いときに前記照射部の出力を上げることを特徴とする請求項1又は2に記載の乾燥機。
【請求項4】
前記平滑化部は、前記検知部により検知された反射波の強度が所定の上限値よりも高いときに前記照射部の出力を停止させることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の乾燥機。
【請求項5】
前記照射部は、2.45GHz帯又は915MHz帯の周波数の電磁波を前記槽に照射し、
前記検知部は、2.45GHz帯又は915MHz帯の周波数の反射波の強度を検知する
ことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の乾燥機。
【請求項6】
槽に収容された乾燥対象物に含有される水分を加熱して前記乾燥対象物を乾燥するために前記槽内に電磁波が照射されたときに、前記槽から反射された反射波の強度を取得する強度取得部と、
前記強度取得部により取得された反射波の強度に応じて、照射部の出力を調整して反射波の強度を平滑化する平滑化部と、
を備え、
前記平滑化部は、前記強度取得部により取得された反射波の強度にリアルタイムに追従して前記照射部の出力を調整することを特徴とする制御装置。
【請求項7】
コンピュータを、
槽に収容された乾燥対象物に含有される水分を加熱して前記乾燥対象物を乾燥するために前記槽内に電磁波が照射されたときに、前記槽から反射された反射波の強度を取得する強度取得部、
前記強度取得部により取得された反射波の強度に応じて、照射部の出力を調整して反射波の強度を平滑化する平滑化部、
として機能させ、
前記平滑化部は、前記強度取得部により取得された反射波の強度にリアルタイムに追従して前記照射部の出力を調整することを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類などの乾燥対象物を乾燥する乾燥機、その乾燥機を制御する制御装置、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
衣類乾燥機や洗濯乾燥機の乾燥性能の高速化を図る方法として、衣類の水分を加熱する熱源にマイクロ波を用いる方法がある(例えば、特許文献1参照)。この方法によれば、衣類にマイクロ波を照射し、衣類の水分を直接加熱することで、すばやく衣類の水分を蒸発させることができるため、従来のヒータやヒートポンプを用いた温風乾燥と比較して、短時間で衣類を乾燥させることができる。
【0003】
図15は、特許文献1に記載された従来の衣類乾燥機のブロック図である。この衣類乾燥機は、衣類にマイクロ波を照射するマイクロ波照射手段101と、衣類を収納する衣類庫102と、衣類庫102内に外気を取り込み衣類庫102内の空気を送り出す送風機103と、衣類を乾燥するためのヒータ104と、マイクロ波照射手段101を制御するマイクロ波制御手段105と、マイクロ波の反射の状態を感知するマイクロ波反射検知手段106と、マイクロ波制御手段105を制御する制御回路107を備えたものである。
【0004】
この構成の衣類乾燥機は、マイクロ波により、衣類繊維に付着した水を直接加熱することにより、衣類の含水率が約30%以下の場合に衣類の乾燥時間を短縮することができる。また、衣類に金属ボタンなどがついている場合、マイクロ波の反射波に異常が生じたことを検知して、マイクロ波の照射を停止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-000249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
衣類庫102内に収納された衣類にボタンやファスナーなどの金属がついている場合、衣類庫102内のマイクロ波の電界強度が強くなってスパークが生じると危険であるため、金属がついた衣類が収納されている場合であってもスパークの発生をより低減させることが可能な技術が不可欠である。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、電磁波を照射することにより乾燥対象物を乾燥する乾燥機をより適切に制御する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の乾燥機は、乾燥対象物を収容する槽と、槽に収容された乾燥対象物に含有される水分を加熱して乾燥対象物を乾燥するために槽内に電磁波を照射する照射部と、照射部により槽内に電磁波が照射されているときに電磁波の強度を検知する検知部と、照射部を制御する制御部と、を備える。制御部は、検知部により検知された電磁波の強度を取得する強度取得部と、強度取得部により取得された電磁波の強度に応じて、照射部の出力を調整して電磁波の強度を平滑化する平滑化部と、を備える。
【0009】
本発明の別の態様は、制御装置である。この装置は、槽に収容された乾燥対象物に含有される水分を加熱して乾燥対象物を乾燥するために槽内に電磁波が照射されたときに、電磁波の強度を取得する強度取得部と、強度取得部により取得された電磁波の強度に応じて、照射部の出力を調整して電磁波の強度を平滑化する平滑化部と、を備える。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電磁波を照射することにより乾燥対象物を乾燥する乾燥機をより適切に制御する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1に係る洗濯乾燥機の構成を概略的に示す縦断面図である。
図2】実施の形態1に係るマイクロ波加熱装置の構成を示す図である。
図3】実施の形態1に係るマイクロ波制御装置の構成を示す図である。
図4図4(a)は、マイクロ波検知部により検知された反射波の強度と、平滑化部により調整された照射波の強度の例を示す図であり、図4(b)は、平滑化部がない場合の、マイクロ波検知部により検知された反射波の強度と、照射波の強度の例を示す図である。
図5】実施の形態1に係る洗濯乾燥機の乾燥工程の手順を示すフローチャートである。
図6】マイクロ波検知部により検知された反射波の強度と、平滑化部により調整された照射波の強度の例を示す図である。
図7】実施の形態2に係る洗濯乾燥機の乾燥工程の手順を示すフローチャートである。
図8】マイクロ波検知部により検知された反射波の強度と、平滑化部により調整された照射波の強度の例を示す図である。
図9】実施の形態3に係る洗濯乾燥機の乾燥工程の手順を示すフローチャートである。
図10】実施の形態4に係るマイクロ波制御装置の構成を示す図である。
図11】マイクロ波検知部により検知された反射波の強度と、平滑化部により調整された照射波の強度の例を示す図である。
図12】実施の形態4に係る洗濯乾燥機の乾燥工程の手順を示すフローチャートである。
図13】実施の形態6に係る洗濯乾燥機の構成を示す図である。
図14】実施の形態7に係る洗濯乾燥機の構成を示す図である。
図15】特許文献1に記載された従来の衣類乾燥機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の発明の乾燥機は、乾燥対象物を収容する槽と、槽に収容された乾燥対象物に含有される水分を加熱して乾燥対象物を乾燥するために槽内に電磁波を照射する照射部と、照射部により槽内に電磁波が照射されているときに電磁波の強度を検知する検知部と、照射部を制御する制御部と、を備え、制御部は、検知部により検知された電磁波の強度を取得する強度取得部と、強度取得部により取得された電磁波の強度に応じて、照射部の出力を調整して電磁波の強度を平滑化する平滑化部と、を備えることを特徴とする。この態様によると、槽の内部の電磁波の強度を的確に制御し、スパークの発生を抑えることができる。
【0014】
第2の発明は、第1の発明において、平滑化部は、検知部により検知された電磁波の強度が所定の上限値よりも高いときに照射部の出力を下げるように構成されたものである。この態様によると、槽の内部の電磁波の強度をより的確に制御し、スパークの発生を抑えることができる。
【0015】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、平滑化部は、検知部により検知された電磁波の強度が所定の下限値よりも低いときに照射部の出力を上げるように構成されたものである。この態様によると、スパークの発生を抑えつつ、乾燥効率を向上させることができる。
【0016】
第4の発明は、第1から第3のいずれかの発明において、平滑化部は、検知部により検知された電磁波の強度が所定の上限値よりも高いときに照射部の出力を停止させるように構成されたものである。この態様によると、槽の内部の電磁波の強度をより的確に制御し、スパークの発生を抑えることができる。
【0017】
第5の発明は、第1から第4のいずれかの発明において、平滑化部は、検知部により検知された電磁波の強度の時間変化に応じて照射部の出力を調整するように構成されたものである。この態様によると、槽の内部の電磁波の強度をより的確に制御し、スパークの発生を抑えることができる。また、乾燥効率を向上させることができる。
【0018】
第6の発明は、第5の発明において、平滑化部は、検知部により検知された電磁波の強度にリアルタイムに追従して照射部の出力を調整するように構成されたものである。この態様によると、槽の内部の電磁波の強度をより的確に制御し、スパークの発生を抑えることができる。また、乾燥効率を向上させることができる。
【0019】
第7の発明は、第5の発明において、平滑化部は、検知部により検知された電磁波の強度の周期を検知し、検知された周期における電磁波の強度の時間変化に応じて照射部の出力を調整するように構成されたものである。この態様によると、槽の内部の電磁波の強度をより的確に制御し、スパークの発生を抑えることができる。また、乾燥効率を向上させることができる。
【0020】
第8の発明は、第1から第7のいずれかの発明において、照射部は、2.45GHz帯又は915MHz帯の周波数の電磁波を槽内に照射し、検知部は、2.45GHz帯又は915MHz帯の周波数の電磁波の強度を検知するように構成されたものである。この態様によると、マイクロ波加熱装置が利用可能な周波数帯のマイクロ波を利用して、槽の内部の電磁波の強度を精確に検出することができる。
【0021】
第9の発明は、第1から第8のいずれかの発明において、検知部は、槽から反射された反射波の強度を検知するように構成されたものである。この態様によると、槽の内部の電磁波の強度をより的確に制御し、スパークの発生を抑えることができる。
【0022】
第10の発明は、第1から第8のいずれかの発明において、検知部は、槽内に照射される入射波と槽から反射された反射波の合成波の強度を検知するように構成されたものである。この態様によると、槽の内部の電磁波の強度をより的確に制御し、スパークの発生を抑えることができる。また、乾燥機の製造コストを抑えることができる。
【0023】
第11の発明は、第1から第8のいずれかの発明において、検知部は、槽の外側に設けられ、槽から漏洩した電磁波の強度を検知するように構成されたものである。この態様によると、槽の内部の電磁波の強度をより的確に制御し、スパークの発生を抑えることができる。また、乾燥機の製造コストやサイズを抑えることができる。
【0024】
第12の発明は、第1から第8のいずれかの発明において、検知部は、槽の内側に設けられ、槽内の電磁波の強度を検知するように構成されたものである。この態様によると、槽の内部の電磁波の強度をより的確に制御し、スパークの発生を抑えることができる。
【0025】
第13の発明の制御装置は、槽に収容された乾燥対象物に含有される水分を加熱して乾燥対象物を乾燥するために槽内に電磁波が照射されたときに、電磁波の強度を取得する強度取得部と、強度取得部により取得された電磁波の強度に応じて、照射部の出力を調整して電磁波の強度を平滑化する平滑化部と、を備える。この態様によると、槽の内部の電磁波の強度を的確に制御し、スパークの発生を抑えることができる。
【0026】
第14の発明の制御プログラムは、コンピュータを、槽に収容された乾燥対象物に含有される水分を加熱して乾燥対象物を乾燥するために槽内に電磁波が照射されたときに、電磁波の強度を取得する強度取得部、強度取得部により取得された電磁波の強度に応じて、照射部の出力を調整して電磁波の強度を平滑化する平滑化部、として機能させる。この態様によると、槽の内部の電磁波の強度を的確に制御し、スパークの発生を抑えることができる。
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、複数の実施の形態に記載された内容において、可能な範囲で組み合わされることは問題ない。
【0028】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る洗濯乾燥機の構成を概略的に示す縦断面図である。本実施の形態の洗濯乾燥機50は、衣類などの洗濯物を洗濯して乾燥する機能を有しており、洗濯機能のみを実行する洗濯機としても、乾燥機能のみを実行する乾燥機としても、洗濯機能と乾燥機能を実行する洗濯乾燥機としても機能する。
【0029】
図1に示されるように、洗濯乾燥機50は、洗浄水が溜められる有底円筒形状に形成された水槽3を備えている。水槽3は、その下方に設けられたダンパ4によって筐体2(本体)内に揺動自在に支持されている。衣類などの洗濯物(乾燥機能に言及するときは「乾燥対象物」ともいう)が収容される回転槽1が、水槽3内に回転自在に設けられている。この回転槽1は、有底円筒形状に形成されている。回転槽1は、その回転軸を水平に対して前上がりに傾斜させて設けられている。
【0030】
水槽3の背面には、駆動モータ6が取り付けられている。この駆動モータ6は、回転槽1を回転軸まわりに正方向及び逆方向に回転させる。洗濯乾燥機50は、駆動モータ6の駆動による回転槽1の回転によって、回転槽1内に収容された洗濯物に対し、撹拌たたき洗浄、すすぎ、及び乾燥を行なう。
【0031】
筐体2の前部には、回転槽1及び水槽3の開口端側に対向させて扉体5が設けられている。使用者は、扉体5を開くことによって回転槽1に対して洗濯物(衣類)を出し入れすることができる。
【0032】
また、水槽3の前部開口部の縁部には全周にわたって、弾性を有するシール部材が備えられている。使用者が扉体5を閉じると、シール部材が扉体5によって押圧され、弾性変形することによって、水槽3の機外に対する水密性及び気密性が確保される。
【0033】
給水管13が水槽3の上部に接続されている。給水弁12が給水管13の途中に設けられている。給水弁12は、給水管13を経由して水槽3内に水を供給する。また、排水管11が水槽3の最下部に接続されている。排水弁10が排水管11の途中に設けられている。排水弁10は、水槽3内の水を排水管11を経由して機外に排出する。
【0034】
水槽3の下方には、ダンパ4が設けられている。ダンパ4は、水槽3を支えるとともに、脱水時等に、回転槽1内の衣類の偏りなどに起因して発生する水槽3の振動を減衰させる。このダンパ4には、布量検知部(図示せず)が取り付けられている。布量検知部は、回転槽1内の衣類などによる重量変化によって、ダンパ4の軸が上下に変位する変位量を検知する。洗濯乾燥機は、この布量検知部によって検知された変位量に基づいて、回転槽1内の衣類の量を検知する。
【0035】
また、洗濯乾燥機50は、水槽3及び回転槽1内の空気を循環させる循環風路7と、回転槽1内の衣類の水分を加熱するマイクロ波加熱装置30とを備えている。乾燥対象物を加熱する加熱部を構成するマイクロ波加熱装置30は、水槽3内に設けられたマイクロ波照射口32から電磁波の一種であるマイクロ波を照射し、回転槽1内の衣類の水分を加熱する。
【0036】
循環風路7は、乾燥工程において衣類を乾燥させるための空気循環風路として構成されている。空気循環風路には、水槽3及び回転槽1が含まれる。循環風路7は、水槽3の上部側面に設けられた吹出口8(乾燥用空気吹出口)と水槽3の後部側面に設けられた排出口9(乾燥用空気排出口)と水槽3とに接続させて設けられている。
【0037】
送風ファン16が、送風装置として、循環風路7内に設けられている。送風ファン16は、水槽3及び回転槽1内の乾燥用空気を循環風路7内に循環させる。
【0038】
循環風路7には、吸気風路14と排気風路15とが、それぞれ接続されている。吸気風路14は、筐体2内の空気を循環風路7内に取り込むものである。排気風路15は、循環風路7内の空気を循環風路7外に排出するものである。吸気風路14及び排気風路15の循環風路7に接続されていない側の端部は、それぞれ循環風路7外に解放されている。排気風路15は、吸気風路14より乾燥用空気の流れの上流側に設けられている。また、排気風路15を設けずに、排水管11を通して、空気を循環風路7外に排出してもよい。
【0039】
循環風路7には、乾燥用空気を加熱するヒータ17が組み込まれている。このヒータ17は、吸気風路14より下流側で、水槽3の吹出口より手前に設けられている。このヒータ17もマイクロ波加熱装置30と同様に乾燥対象物を加熱する加熱部を構成し、マイクロ波加熱装置30と同時に、又はマイクロ波加熱装置30に代えて通電される。なお、加熱部により乾燥対象物を加熱する方法としては、マイクロ波により直接加熱する方法、ヒータなどにより循環する空気を加熱したり、回転槽1の内壁を加熱したりして間接的に加熱する方法などがあり、特に限定するものではない。
【0040】
本実施の形態の洗濯乾燥機50は、マイクロ波加熱装置30からマイクロ波照射口32を介して回転槽1内に照射されるマイクロ波により乾燥対象物を乾燥するが、乾燥対象物の衣類などにボタンやファスナーなどの金属がついていてスパークが発生する可能性が高い場合には、マイクロ波加熱装置30から回転槽1内に照射するマイクロ波の出力を低減させ、又は停止して、ヒータ17による乾燥に切り替える。
【0041】
本実施の形態の洗濯乾燥機50では、回転槽1内にマイクロ波が照射されるので、洗濯乾燥機50の外部に漏洩する電磁波の強度が、使用される地域において定められた基準値以下になるように構成する必要がある。そのため、本実施形態の洗濯乾燥機50は、マイクロ波照射口32から照射された電磁波の漏洩を抑制するための電磁波シールドを備える。電磁波シールドは、少なくとも扉体5及び回転槽1から構成される。例えば、電磁波シールドは、マイクロ波を反射又は吸収することが可能な金属などの電磁波遮蔽材料を含む材料で形成された扉体5及び回転槽1と、扉体5と回転槽1との間隙から漏洩する電磁波を遮蔽又は減衰させるために扉体5と回転槽1との接点に形成されたチョーク構造により構成されてもよい。チョーク構造としては、電子レンジなどの技術分野において知られている任意のチョーク構造を採用可能である。水槽3又は筐体2の一部或いは全部が、電磁波遮蔽材料を含む材料で形成されてもよい。
【0042】
漏洩電磁波に関する規格として、例えば、周波数が2.45GHz帯の電磁波(マイクロ波)によって食品の加熱を行う定格高周波出力2kW以下の電子レンジ及びそれに付加装置をもつ電子レンジについて規定した日本工業規格「JIS C9250」がある。同規格の5.8には、「同規格の8.2.12に規定される漏れ電波の電力密度試験により測定された漏れ電波の電力密度が、(1)扉を閉めているときは、1mW/cm以下であること、(2)発振管の発振停止装置が動作する直前の最大の位置まで扉を開いて固定したときは、5mW/cm以下であること、(3)主たる発振停止装置以外の発振停止装置を拘束した状態で5mW/cm以下であること」と規定されている。また、電気用品安全法第八条第一項に規定された、経済産業省令で定める技術上の基準を定める「電気用品の技術上の基準を定める省令」の解釈についての通達の別表第八の2(95)ト項にも、ほぼ同様の内容が規定されている。洗濯乾燥機についても、電子レンジと同様の基準が妥当すると考えられる。
【0043】
また、各国の専門家による科学的根拠に基づいて作成された国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のガイドラインを人体防護の暴露限度値として採用することがWHO(世界保健機関)により推奨されている。このガイドラインでは、曝露制限値が0.08W/kg(1mW/cm)と規定されている。国際電気標準会議(IEC)により制定された国際規格「IEC62233」及びそれに基づいて制定された日本工業規格「JIS 1912」には、家庭用電気機器及び類似機器からの人体ばく露に関する電磁界の測定方法が規定されている。同規格に規定された測定方法において、電磁界を検知するセンサの信号に対して重みづけを行うことにより、曝露制限値に対する割合として電磁界が測定され、ICNIRPのガイドラインに規定された曝露制限値を超えていなければ、ICNIRPのガイドラインに適合すると判定される。電磁波シールドは、これらの規格に準拠するように構成される。
【0044】
次に乾燥空気の流れについて説明する。送風ファン16が駆動されると、回転槽1内で洗濯物から奪われた水分によって多湿状態となった乾燥用空気は、水槽3の側面下部に設けられた排出口9を通って、循環風路7又は排気風路15に流入する。排気風路15を設けない場合は、循環風路7又は排水管11に流入する。排気風路15に流入した空気は、循環風路7外に排気される。一方、循環風路7に流入した空気は、送風ファン16によってヒータ17に向けて送られ、ヒータ17が動作している場合は、ヒータ17によって加熱される。
【0045】
吸気風路14は、送風ファン16の吸気側の循環風路7に連通するように設けられている。吸気風路14は、また、ヒータ17より上流側の循環風路7に連通するように設けられている。したがって、吸気風路14から吸気された循環風路7外の空気は、循環風路7側へ流れた乾燥用空気と混合された後、ヒータ17を通過する。この際に、ヒータが動作している場合、混合された空気は、ヒータ17によって加熱される。また、循環風路7外の空気が乾燥用空気に混合されることにより、混合前と比較して混合後の乾燥用空気の湿度は低くなる。
【0046】
ヒータ17を通過した空気は、吹出口8を通過して、再び回転槽1内に吹き出される。なお、洗濯機能を有しない衣類乾燥機においては、洗浄水を溜める水槽3や給水弁12、給水管13及び排水弁10は備えられていない。そして、回転する回転槽1と循環風路7との接続は、フェルトなどのシール部材に回転槽1が摺動するように構成されている。
【0047】
流入温度検知部18が、循環風路7内の吹出口8近傍又はヒータ17近傍に設けられている。流入温度検知部18は、回転槽1に流入する乾燥用空気の温度を検知する。流入温度検知部18は、例えばサーミスタ等によって構成される。
【0048】
制御装置20が筐体2内に備えられている。制御装置20は、送風ファン16及びマイクロ波加熱装置30等を制御する。制御装置20は、また、駆動モータ6、給水弁12、排水弁10等を制御し、洗浄、すすぎ、乾燥の各工程を逐次実行する。
【0049】
図2は、実施の形態1に係るマイクロ波加熱装置30の構成を示す。マイクロ波加熱装置30は、マイクロ波照射部31と、導波管34と、マイクロ波照射口32と、マイクロ波制御装置40と、反射部33と、マイクロ波検知部36とを有している。マイクロ波照射部31は、マイクロ波を照射波として照射する。導波管34は、照射されたマイクロ波を回転槽1内へ導く。マイクロ波照射口32は、導波管34の先端で水槽3内に設けられる。マイクロ波制御装置40は、マイクロ波照射部31から照射するマイクロ波の出力を調整する。反射部33は、マイクロ波照射部31とマイクロ波照射口32の間に設けられ、回転槽1から反射されたマイクロ波の一部又は全部を反射して回転槽1内に照射する。マイクロ波検知部36は、反射部33とマイクロ波照射口32の間に設けられ、反射部33とマイクロ波照射口32の間の位置におけるマイクロ波の強度を検知する。
【0050】
マイクロ波照射部31は、マグネトロンなどのマイクロ波発振器であり、マイクロ波加熱装置が使用可能な2.45GHz帯の周波数の電磁波を発振する。なお、ISM(Industry Science Medical)バンドとして割り当てられた2.45GHz帯に限られるものではなく、同様に割り当てられた915MHz帯などの周波数の電磁波でもよい。マイクロ波制御装置40により任意の出力に調整されたマイクロ波がマイクロ波照射部31から照射される。照射されたマイクロ波は、導波管34及びマイクロ波照射口32を通じて、回転する回転槽1内に照射され、衣類などの乾燥対象物に含有される水分を加熱する。この際に、送風ファン16から回転槽1内の衣類に乾燥用空気を送風することにより、乾燥対象物から蒸発した水分は、乾燥用空気とともに、排出口9から排気風路15を通じて水槽3外へ排出される。もしくは排水管11を通じて水槽3外へ排出される。これにより、衣類の乾燥が促進される。
【0051】
回転槽1内に照射されたマイクロ波のうち、乾燥対象物に含有される水分により吸収されなかったマイクロ波の一部は、反射波として、回転槽1からマイクロ波照射口32を通じてマイクロ波照射部31に戻る。マイクロ波照射部31に戻ったマイクロ波は、熱に変換され排熱として処理される。
【0052】
マイクロ波検知部36は、マイクロ波照射部31が照射する2.45GHz帯の周波数のマイクロ波を検知可能であり、回転槽1から反射されてマイクロ波照射部31に戻る反射波の強度を検知する。後述するように、回転槽1内に照射された電磁波の強度と、回転槽1から反射された反射波の強度との比に基づいて、乾燥対象物に含有される水分の量を推定する場合には、マイクロ波検知部36は、回転槽1内に照射される入射波の強度も検知する。この場合、マイクロ波検知部36は、一般的な方向性結合器のように、マイクロ波照射部31から回転槽1の方向へ進む入射波の強度と、回転槽1からマイクロ波照射部31の方向へ進む反射波の強度とを別々に検知可能であってもよい。また、複数のマイクロ波検知部36が設けられ、入射波及び反射波を別々に検知可能であってもよい。
【0053】
反射部33は、回転槽1から反射されてマイクロ波照射部31に戻る方向へ進む反射波の一部又は全部を反射して、マイクロ波照射部31から照射されたマイクロ波と共に、再度、回転槽1内へ入射させる。したがって、マイクロ波検知部36により検知される入射波は、マイクロ波照射部31から照射される照射波に加えて、反射部33により反射されて回転槽1の方向へ進むマイクロ波が含まれてもよい。これにより、エネルギーロスを低減し、乾燥時間を短縮することができる。マイクロ波検知部36は、回転槽1と反射部33との間に設置されているため、反射部33の影響を受けることなく、回転槽1から反射されるマイクロ波の反射波の強度を精度良く検知できる。
【0054】
図3は、実施の形態1に係るマイクロ波制御装置40の構成を示す。マイクロ波制御装置40は、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、集積回路などのハードウェアにより実現される。
【0055】
マイクロ波制御装置40は、強度取得部41、出力調整部42、及び平滑化部45を備える。これらの構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIなどにより実現され、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、又はハードウエアとソフトウエアの組合せなど、いろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0056】
マイクロ波制御装置40は、制御装置20により制御される洗浄工程、すすぎ工程、又は乾燥工程において、制御装置20からの指示にしたがってマイクロ波照射部31を制御する。マイクロ波制御装置40は、洗浄工程において洗浄水を加熱したり、すすぎ工程においてすすぎ水を加熱したり、乾燥工程において乾燥対象物に含有される水分を加熱したり、洗濯物又は乾燥対象物に付着している菌を加熱殺菌したりするために、マイクロ波照射部31から回転槽1へマイクロ波を照射させる。なお、洗浄水又はすすぎ水を加熱するときには、これらが溜められる水槽3にマイクロ波を照射させてもよい。
【0057】
強度取得部41は、マイクロ波検知部36により検知されたマイクロ波(反射波)の強度を取得する。平滑化部45は、後述するように、強度取得部41により取得された反射波の強度に応じて、この反射波を平滑化するように照射波の強度を調整する。出力調整部42は、平滑化部45により調整された出力に応じてマイクロ波照射部31の出力を調整する。具体的には、平滑化部45は、強度取得部41により取得された電磁波の強度が所定の上限値を超えた場合に、マイクロ波照射部31の出力を下げる。これにより、回転槽1内における電界強度の上昇を的確に検知してマイクロ波照射部31の出力を下げることができるので、回転槽1内の乾燥対象物に含まれる金属などによるスパークの発生を抑制することができる。
【0058】
図4(a)は、マイクロ波検知部36により検知された反射波の強度と、平滑化部45により調整された照射波の強度の例を示す。回転槽1を1回転させる間に、回転槽1内の乾燥対象物の位置が変わり、乾燥対象物に含まれる水分量の分布が変わるので、反射波の強度も変化する。平滑化部45は、強度取得部41により取得された反射波の強度が上限値を超えたときに、マイクロ波照射部31の出力を下げるように出力調整部42に指示する。その後、所定時間が経過したとき、又は、強度取得部41により取得された反射波の強度が上限値を下回ったときに、平滑化部45は、マイクロ波照射部31の出力を元に戻すように出力調整部42に指示する。図4(a)の例では、平滑化部45は、反射波の強度が上限値を超えたときに、マイクロ波照射部31の出力を停止させ、所定時間(図中のΔT)が経過したときに、マイクロ波照射部31の出力を所定値に戻す。これにより、乾燥の効率を維持しつつ、スパークの発生を抑制することができる。なお図4(b)は、平滑化部45によるマイクロ波照射部31の出力停止を行わない場合の反射波の強度及び照射波の強度を参考に示す。
【0059】
図5は、実施の形態1に係る洗濯乾燥機50の乾燥工程の手順を示すフローチャートである。乾燥工程が開始されるとき、出力調整部42は、マイクロ波照射部31の出力を所定値に設定する(S10)。マイクロ波照射部31は、出力調整部42により設定された出力でマイクロ波を回転槽1内に照射する(S12)。マイクロ波検知部36は、回転槽1から反射された反射波の強度を検知し(S14)、強度取得部41は、マイクロ波検知部36により検知された反射波の強度を取得する(S16)。
【0060】
平滑化部45は、強度取得部41により取得された反射波の強度が上限値を超えているか否かを判断する(S18)。反射波の強度が上限値を超えていない場合(S18のNo)、制御装置20は、乾燥工程を終了するか否かを判断する(S26)。乾燥工程を終了しない場合は(S26のNo)、S10に戻ってマイクロ波の照射を続行し、乾燥工程を終了する場合は(S26のYes)、マイクロ波照射部31からのマイクロ波の照射を停止させて、乾燥工程を終了する(S28)。
【0061】
S18において、反射波の強度が上限値を超えている場合(S18のYes)、平滑化部45は、マイクロ波照射部31の出力値をゼロに設定し(S20)、マイクロ波照射部31は、マイクロ波の照射を停止する(S22)。平滑化部45は、マイクロ波の照射を停止してから所定時間が経過したか否かを判断し(S24)、経過していなければ(S24のNo)、S20に戻り、引き続きマイクロ波照射部31の出力値をゼロに維持する。所定時間は、回転槽1内の電磁波の強度がスパークを生じさせない程度に低下するまでに要する時間であってもよく、実験などにより定められてもよい。所定時間が経過すると(S24のYes)、S26に進み、乾燥工程を終了するのでなければ、S10に戻ってマイクロ波照射部31によるマイクロ波の出力を再開する。
【0062】
S20において、平滑化部45は、マイクロ波照射部31の出力値を、S10において設定される値よりも低く、ゼロよりも大きい所定値に設定してもよい。この場合、S22において、マイクロ波照射部31は、S20において平滑化部45により設定された出力でマイクロ波を照射する。
【0063】
平滑化部45は、反射波の強度が所定の下限値を下回った場合に、マイクロ波照射部31の出力を高くしてもよい。例えば、S18において、反射波の強度が上限値から下限値までの範囲にあるか否かを判断し、反射波の強度が上限値を超えている場合は、S20において、マイクロ波照射部31の出力をS10において設定される値よりも低い値に設定し、反射波の強度が下限値を超えている場合は、S20において、マイクロ波照射部31の出力をS10において設定される値よりも高い値に設定し、反射波の強度が上限値から下限値までの範囲にある場合は、マイクロ波照射部31の出力をS10において設定される値に維持してもよい。これにより、スパークの発生を抑えつつ、乾燥効率を向上させることができるので、乾燥に要する時間を短縮することができる。
【0064】
乾燥工程が開始されてから、乾燥対象物に比較的多くの水分が含有されている間は、回転槽1内に照射された電磁波の多くが水分に吸収されて加熱に寄与するので、回転槽1内の電界強度は過度に高くならず、反射波の強度も低い。このときは、乾燥対象物に金属のボタンやファスナーなどがついていたとしても、スパークが発生する可能性は低いので、比較的高い出力の電磁波がマイクロ波照射部31から照射されてもよい。乾燥工程が進んで、乾燥対象物に含有される水分が少なくなると、水分により吸収されなかったマイクロ波が回転槽1内に蓄積され、スパークが発生する可能性が高まるので、マイクロ波照射部31から照射される電磁波の出力を低くしてもよい。
【0065】
したがって、出力調整部42は、マイクロ波検知部36により検知された反射波の強度、入射波の強度と反射波の強度の比などから推定される回転槽1内の水分量、乾燥工程が開始されてからの経過時間などに応じて、S10又はS20において設定されるマイクロ波の出力の値を調整してもよい。例えば、反射波の強度が高くなるにつれて、水分量が少なくなるにつれて、又は乾燥工程が開始されてからの経過時間が長くなるにつれて、マイクロ波の出力を段階的又は連続的に低くしてもよい。マイクロ波照射部31の出力の値は、回転槽1に設けられたロードセルなどにより測定された乾燥対象物の重量、使用者により設定された乾燥時間、室温、湿度などに応じて決定されてもよい。
【0066】
同様に、平滑化部45は、マイクロ波検知部36により検知された反射波の強度、入射波の強度と反射波の強度の比などから推定される回転槽1内の水分量、乾燥工程が開始されてからの経過時間、回転槽1に設けられたロードセルなどにより測定された乾燥対象物の重量、使用者により設定された乾燥時間、室温、湿度などに応じて、S18において平滑化を実行するか否かを判断する基準となる上限値を調整してもよい。例えば、反射波の強度が高くなるにつれて、水分量が少なくなるにつれて、又は乾燥工程が開始されてからの経過時間が長くなるにつれて、上限値を段階的又は連続的に低くしてもよい。
【0067】
回転槽1内の水分量は、異なる複数の周波数のマイクロ波を発振可能な半導体素子などのマイクロ波照射部31を使用して推定されてもよい。この場合、周波数が可変なマイクロ波照射部31から異なる複数の周波数のマイクロ波を回転槽1内に照射させたときの反射波の強度をそれぞれ取得し、取得した反射波の強度の平均値又は積分値に基づいて水分量を推定する。これにより、より精確に回転槽1内の水分量を推定することができる。周波数が可変なマイクロ波照射部31のみが設けられてもよいし、周波数が可変でないマグネトロンなどの比較的安価なマイクロ波照射部31に加えて、回転槽1内の水分量を推定するために使用される周波数が可変な第2のマイクロ波照射部が設けられてもよい。後者の場合は、比較的安価な低出力の半導体素子などを使用することができるので、洗濯乾燥機50の製造コストを抑えることができる。
【0068】
入射波の強度と反射波の強度の比などから推定された回転槽1内の水分量は、制御装置20が洗濯乾燥機50の運転を制御するために使用されてもよい。例えば、制御装置20は、水分量が乾燥完了とされる所定値まで少なくなったときに、マイクロ波照射部31の出力を停止し、乾燥工程を終了させてもよい。乾燥工程を終了させるか否かを判定するための水分量の閾値は、乾燥対象物の種類に応じて定められてもよいし、使用者による設定を受け付けてもよい。例えば、含有される水分の量を比較的多めに残して、しっとりとした肌触りに仕上げたい乾燥対象物は、閾値を高めに設定し、乾燥対象物に含有される水分の量が比較的多い状態で乾燥を終了させてもよい。また、例えば、制御装置20は、マイクロ波照射部31の出力を停止してから、送風運転を実行するなどしたのち、乾燥工程を終了させてもよい。
【0069】
このように、反射波の強度に応じてマイクロ波照射部31の出力を調整することにより、回転槽1内の電界強度を調整することができるので、回転槽1内の電界強度が過度に高くなるのを防ぎ、スパークの発生を抑えることができる。また、乾燥工程の全域において、乾燥対象物に付いている金属からのスパークを適切に抑えつつ、マイクロ波により乾燥対象物に含有された水分を直接加熱することを可能にするので、乾燥効率を向上させ、乾燥時間を短縮することができる。
【0070】
[実施の形態2]
実施の形態2に係るマイクロ波制御装置40も、実施の形態1と同様に、マイクロ波検知部36により検知された反射波の強度の時間変化に応じてマイクロ波照射部31の出力を調整する。平滑化部45は、強度取得部41が取得した反射波の強度に応じて即時に平滑化を行う。実施の形態2に係るマイクロ波制御装置40の構成は、図3に示した実施の形態1に係るマイクロ波制御装置40の構成と同様である。実施の形態1と異なる点について主に説明する。
【0071】
図6は、マイクロ波検知部36により検知された反射波の強度と、平滑化部45により調整された照射波の強度の例を示す。なお破線は平滑化部45で平滑化を実施しない場合の反射波の強度及び照射波の強度を参考に示す。平滑化部45は、強度取得部41が取得した反射波の強度にリアルタイムに追従してマイクロ波照射部31の出力を調整し、反射波の強度を平滑化する。これにより、より精確に回転槽1内の電磁波の強度を調整し、スパークの発生を抑制することができる。
【0072】
図7は、実施の形態2に係る洗濯乾燥機50の乾燥工程の手順を示すフローチャートである。乾燥工程が開始されるとき、出力調整部42は、マイクロ波照射部31の出力を所定値に設定する(S60)。マイクロ波照射部31は、出力調整部42により設定された出力でマイクロ波を回転槽1内に照射する(S62)。マイクロ波検知部36は、回転槽1から反射された反射波の強度を検知し(S64)、強度取得部41は、マイクロ波検知部36により検知された反射波の強度を取得する(S66)。
【0073】
平滑化部45は、強度取得部41により取得された反射波の強度が上限値を超えているか否かを判断する(S68)。反射波の強度が上限値を超えている場合(S68のYes)、平滑化部45は、反射波の強度が上限値以下となるようにマイクロ波照射部31の出力を調整する(S70)。反射波の強度が上限値を超えていない場合(S68のNo)、平滑化部45は、マイクロ波照射部31の出力を所定値のまま維持する(S72)。
【0074】
制御装置20は、乾燥工程を終了するか否かを判断する(S74)。乾燥工程を終了しない場合は(S74のNo)、S62に戻ってマイクロ波の照射を続行し、乾燥工程を終了する場合は(S74のYes)、マイクロ波照射部31からのマイクロ波の照射を停止させて、乾燥工程を終了する(S76)。
【0075】
このように、反射波の強度に応じてリアルタイムにマイクロ波照射部31の出力を調整することにより、回転槽1内の電界強度を調整することができるので、回転槽1内の電界強度が過度に高くなるのを防ぎ、スパークの発生を抑えることができる。また、乾燥工程の全域において、乾燥対象物に付いている金属からのスパークを適切に抑えつつ、マイクロ波により乾燥対象物に含有された水分を直接加熱することを可能にするので、乾燥効率を向上させ、乾燥時間を短縮することができる。
【0076】
[実施の形態3]
実施の形態2に係るマイクロ波制御装置40では、平滑化部45は、強度取得部41が取得した反射波の強度が所定の上限値を超えている場合に、反射波の強度が上限値以下となるようにマイクロ波照射部31の出力を調整したが、実施の形態3に係るマイクロ波制御装置40では、平滑化部45は、強度取得部41が取得した反射波の強度に応じて、反射波の強度が一定の範囲の値に維持されるようにマイクロ波照射部31の出力を調整する。実施の形態3に係るマイクロ波制御装置40の構成は、図3に示した実施の形態1に係るマイクロ波制御装置40の構成と同様である。実施の形態1及び2と異なる点について主に説明する。
【0077】
図8は、マイクロ波検知部36により検知された反射波の強度と、平滑化部45により調整された照射波の強度の例を示す。なお破線は平滑化部45で平滑化を実施しない場合の反射波の強度を参考に示す。平滑化部45は、強度取得部41が取得した反射波の強度にリアルタイムに追従して、反射波の強度が一定の範囲の値に維持されるようにマイクロ波照射部31の出力を調整し、反射波の強度を平滑化する。本図の例では、検知された反射波の強度を、所定の強度を基準にして反転させたパターンになるように、照射波の強度が調整される。すなわち、反射波の強度が維持すべき値よりも大きいときには、維持すべき値との差に応じてマイクロ波照射部31の出力をげ、反射波の強度が維持すべき値よりも小さいときには、維持すべき値との差に応じてマイクロ波照射部31の出力をげてもよい。また、反射波の強度の変化率や加速度などから、反射波の強度が維持すべき値の範囲から外れることが推定されるときに、反射波の強度の変化率や加速度などに応じてマイクロ波照射部31の出力を調整してもよい。これにより、より精確に回転槽1内の電磁波の強度を調整し、スパークの発生を抑制することができる。
【0078】
図9は、実施の形態3に係る洗濯乾燥機50の乾燥工程の手順を示すフローチャートである。乾燥工程が開始されるとき、出力調整部42は、マイクロ波照射部31の出力を所定値に設定する(S80)。マイクロ波照射部31は、出力調整部42により設定された出力でマイクロ波を回転槽1内に照射する(S82)。マイクロ波検知部36は、回転槽1から反射された反射波の強度を検知し(S84)、強度取得部41は、マイクロ波検知部36により検知された反射波の強度を取得する(S86)。
【0079】
平滑化部45は、反射波の強度が所定値となるようにマイクロ波照射部31の出力を調整する(S88)。制御装置20は、乾燥工程を終了するか否かを判断する(S90)。乾燥工程を終了しない場合は(S90のNo)、S80に戻ってマイクロ波の照射を続行し、乾燥工程を終了する場合は(S90のYes)、マイクロ波照射部31からのマイクロ波の照射を停止させて、乾燥工程を終了する(S92)。
【0080】
本実施の形態においても、平滑化部45は、マイクロ波検知部36により検知された反射波の強度、入射波の強度と反射波の強度の比などから推定される回転槽1内の水分量、乾燥工程が開始されてからの経過時間などに応じて、S88において反射波の強度を維持する目標値とされる所定値を調整してもよい。例えば、反射波の強度が高くなるにつれて、水分量が少なくなるにつれて、又は乾燥工程が開始されてからの経過時間が長くなるにつれて、反射波の強度を維持する目標値を段階的又は連続的に低くしてもよい。目標値は、回転槽1に設けられたロードセルなどにより測定された乾燥対象物の重量、使用者により設定された乾燥時間、室温、湿度などに応じて決定されてもよい。
【0081】
このように、反射波の強度に応じてリアルタイムにマイクロ波照射部31の出力を調整することにより、回転槽1内の電界強度を調整することができるので、回転槽1内の電界強度が過度に高くなるのを防ぎ、スパークの発生を抑えることができる。また、乾燥工程の全域において、乾燥対象物に付いている金属からのスパークを適切に抑えつつ、マイクロ波により乾燥対象物に含有された水分を直接加熱することを可能にするので、乾燥効率を向上させ、乾燥時間を短縮することができる。
【0082】
上記の例では、平滑化部45は、強度取得部41により取得された反射波の強度に応じてリアルタイムにマイクロ波照射部31の出力を調整したが、後述する実施の形態4と同様に、1周期分の反射波の強度を記憶し、記憶された反射波の強度に応じて、反射波の強度が所定の範囲の値に維持されるようにマイクロ波照射部31の出力を調整してもよい。
【0083】
[実施の形態4]
図10は、実施の形態4に係るマイクロ波制御装置40の構成を示す。実施の形態4に係るマイクロ波制御装置40では、マイクロ波検知部36により検知された反射波の強度の時間変化に応じてマイクロ波照射部31の出力を調整する。実施の形態4に係るマイクロ波制御装置40は、図3に示した実施の形態1に係るマイクロ波制御装置40の構成に加えて、マイクロ波検知部36により検知された反射波の強度の周期を検知する周期検知部46を備える。その他の構成及び動作は、実施の形態1と同様である。実施の形態1と異なる点について主に説明する。
【0084】
図11は、マイクロ波検知部36により検知された反射波の強度と、平滑化部45により調整された照射波の強度の例を示す。なお破線は平滑化部45で平滑化を実施しない場合の反射波の強度及び照射波の強度を参考に示す。図11において下記に説明するように、時間T0からT1は平滑化を実施しない場合の反射波の強度及び照射波の強度を示し、時間T1以降は平滑化部45で平滑化を行った場合の反射波の強度及び照射波の強度を示す。比較的多くの乾燥対象物が回転槽1内に収容されている場合、回転槽1の回転に伴って乾燥対象物も回転する。したがって、乾燥対象物の含水量を反映した反射波の強度に周期性が見られる。周期検知部46は、制御装置20から回転槽1の回転に関する情報を取得し、回転槽1の回転の周期を検知する(図11中の周期検知時)。平滑化部45は、周期検知部46により検知された回転槽1の1回転を1周期として、強度取得部41により取得された1周期分の反射波の強度のパターンを記憶する。平滑化部45は、記憶した1周期分の反射波の強度に応じて、反射波の強度が上限値を超える期間(図11中のΔT1、ΔT2)において、反射波の強度が上限値以下となるように、次回以降の周期におけるマイクロ波照射部31の出力を調整する(図11中の平滑化時)。これにより、乾燥の効率を維持しつつ、スパークの発生を抑制することができる。1周期は、回転槽1の回転周期の整数倍であってもよいし、整数分の1倍であってもよい。
【0085】
マイクロ波の照射によって乾燥対象物の含水量は変化するので、回転槽1内の電界強度の周期性が変化し、反射波の強度の周期性も変化する。したがって、平滑化部45は、記憶していた1周期分の反射波の強度のパターンを定期的に更新する。これにより、周期性の変化に追従して、より的確に反射波の強度を調整することができる。平滑化部45は、例えば、数周期毎に反射波の強度のパターンを更新して、次の更新までの平滑化のために使用してもよいし、毎周期の反射波の強度のパターンを記憶して、次の周期における平滑化のために使用してもよい。
【0086】
図12は、実施の形態4に係る洗濯乾燥機50の乾燥工程の手順を示すフローチャートである。乾燥工程が開始されるとき、平滑化部45は、周期の数をカウントするためのカウント値をクリアし(S130)、出力調整部42は、マイクロ波照射部31の出力を所定値に設定する(S132)。マイクロ波照射部31は、出力調整部42により設定された出力でマイクロ波を回転槽1内に照射する(S134)。マイクロ波検知部36は、回転槽1から反射された反射波の強度を検知し(S136)、強度取得部41は、マイクロ波検知部36により検知された反射波の強度を取得する(S138)。
【0087】
平滑化部45は、カウント値が設定値を超えたか否かを判断する(S140)。本図の例では、5周期毎に、記憶していた1周期分の反射波の強度を更新するので、設定値は4である。カウント値が設定値を超えた場合(S140のYes)、周期検知部46は、1周期の開始と終了を検知して平滑化部45に通知し(S142)、平滑化部45は、1周期分の反射波の強度のパターンを記憶して(S144)、カウント値をクリアする(S146)。S140において、カウント値が設定値を超えていなければ(S140のNo)、S142からS146をスキップする。
【0088】
平滑化部45は、記憶した1周期分の反射波の強度のパターンに応じて、反射波の強度が上限値以下となるようにマイクロ波照射部31の出力を調整する(S148)。1周期分の調整が終了すると、平滑化部45は、カウント値をインクリメントする(S150)。制御装置20は、乾燥工程を終了するか否かを判断する(S152)。乾燥工程を終了しない場合は(S152のNo)、S134に戻ってマイクロ波の照射を続行し、乾燥工程を終了する場合は(S152のYes)、マイクロ波照射部31からのマイクロ波の照射を停止させて、乾燥工程を終了する(S154)。
【0089】
本実施の形態においても、出力調整部42は、マイクロ波検知部36により検知された反射波の強度、入射波の強度と反射波の強度の比などから推定される回転槽1内の水分量、乾燥工程が開始されてからの経過時間などに応じて、S148において反射波の強度を維持する目標値とされる上限値を調整してもよい。例えば、反射波の強度が高くなるにつれて、水分量が少なくなるにつれて、又は乾燥工程が開始されてからの経過時間が長くなるにつれて、マイクロ波の出力を段階的又は連続的に低くしてもよい。マイクロ波照射部31の出力の値は、回転槽1に設けられたロードセルなどにより測定された乾燥対象物の重量、使用者により設定された乾燥時間、室温、湿度などに応じて決定されてもよい。
【0090】
同様に、平滑化部45は、マイクロ波検知部36により検知された反射波の強度、入射波の強度と反射波の強度の比などから推定される回転槽1内の水分量、乾燥工程が開始されてからの経過時間、回転槽1に設けられたロードセルなどにより測定された乾燥対象物の重量、使用者により設定された乾燥時間、室温、湿度などに応じて、S140において1周期分の反射波の強度のパターンを更新するか否かを判断する基準となる設定値を調整してもよい。例えば、反射波の強度が高くなるにつれて、水分量が少なくなるにつれて、又は乾燥工程が開始されてからの経過時間が長くなるにつれて、設定値を段階的又は連続的に低くしてもよい。
【0091】
このように、以前の周期における反射波の強度のパターンに応じてマイクロ波照射部31の出力を調整することにより、回転槽1内の電界強度を調整することができるので、回転槽1内の電界強度が過度に高くなるのを防ぎ、スパークの発生を抑えることができる。また、乾燥工程の全域において、乾燥対象物に付いている金属からのスパークを適切に抑えつつ、マイクロ波により乾燥対象物に含有された水分を直接加熱することを可能にするので、乾燥効率を向上させ、乾燥時間を短縮することができる。
【0092】
[実施の形態5]
実施の形態1~4では、マイクロ波検知部36は、回転槽1から反射された反射波の強度を検知したが、実施の形態5では、マイクロ波検知部36は、回転槽1内に照射される入射波と回転槽1から反射された反射波の合成波の強度を検知する。実施の形態5の洗濯乾燥機50の構成は、図1に示した実施の形態1の洗濯乾燥機50の構成と同様である。
【0093】
実施の形態1では、マイクロ波検知部36は、回転槽1からマイクロ波照射部31の方向へ進むマイクロ波の反射波の強度を、マイクロ波照射部31から回転槽1の方向へ進むマイクロ波の入射波の強度と分離して検知するために、方向性結合器などが使用されるが、実施の形態5では、入射波と反射波の合成波の強度を検知するので、方向性結合器を要しない。これにより、洗濯乾燥機50の構成を簡略化することができるので、洗濯乾燥機50の製造コストやサイズを抑えることができる。
【0094】
実施の形態5のマイクロ波制御装置40は、反射波の強度に代えて、合成波の強度に応じてマイクロ波照射部31の出力を調整してもよい。また、マイクロ波検知部36により検知された合成波の強度から、マイクロ波照射部31から照射したマイクロ波の強度を減算することにより反射波の強度を取得し、反射波の強度に応じてマイクロ波照射部31の出力を調整してもよい。
【0095】
本実施の形態によっても、回転槽1内の電界強度が過度に高くなるのを防ぎ、スパークの発生を抑えることができる。また、乾燥工程の全域において、乾燥対象物に付いている金属からのスパークを適切に抑えつつ、マイクロ波により乾燥対象物に含有された水分を直接加熱することを可能にするので、乾燥効率を向上させ、乾燥時間を短縮することができる。
【0096】
[実施の形態6]
図13は、実施の形態6に係る洗濯乾燥機50の構成を示す。実施の形態6に係る洗濯乾燥機50は、回転槽1及び扉体5により構成される電磁波シールドの外側に設けられ、回転槽1から漏洩した電磁波の強度を検知するマイクロ波検知部36を備える。マイクロ波検知部36は電磁波シールドの外側に設けられていれば設置位置はとくに限定しない。例えば、洗濯乾燥機50内に設けてもよいし、洗濯乾燥機50とは別体に設けてもよい。洗濯乾燥機50とは別体に設ける場合、例えば、携帯端末や別体の測定装置を利用してもよい。マイクロ波検知部36とマイクロ波制御装置40とは有線信号又は無線信号で接続される。その他の構成及び動作は、実施の形態1~4と同様である。実施の形態1~4と異なる点について主に説明する。
【0097】
実施の形態6に係るマイクロ波制御装置40の構成は、実施の形態1~4に係るマイクロ波制御装置40の構成と同様である。強度取得部41は、マイクロ波検知部36により検知された漏洩電磁波の強度を取得する。平滑化部45は、強度取得部41により取得された漏洩電磁波の強度に応じて、マイクロ波照射部31の出力を調整する。これにより、回転槽1内における電界強度の上昇を的確に検知してマイクロ波照射部31の出力を下げることができるので、回転槽1内の乾燥対象物に含まれる金属などによるスパークの発生を抑制することができる。
【0098】
回転槽1内に入射されるマイクロ波の強度を100%とすると、回転槽1から反射されてマイクロ波照射部31に戻る反射波の強度は17%程度であり、電磁波シールドの外側に漏洩する電磁波の強度は0.0001%程度である。このように、マイクロ波検知部36により検知される漏洩電磁波の強度は、入射波の強度に比べて相当微弱であるから、マイクロ波検知部36に減衰器などの構成を付加する必要がない。これにより、洗濯乾燥機50の構成を簡略化することができるので、洗濯乾燥機50の製造コスト及びサイズを抑えることができる。また、電磁波シールドの外側には定在波が発生しにくいので、より精確に回転槽1内の電磁波の強度を推定することができる。
【0099】
[実施の形態7]
図14は、実施の形態7に係る洗濯乾燥機50の構成を示す。実施の形態7に係る洗濯乾燥機50は、回転槽1及び扉体5の内側に設けられ、回転槽1内の電磁波の強度を検知するマイクロ波検知部36を備える。マイクロ波検知部36は、回転槽1の回転動作と関係なく固定された位置が望ましいが、それに限定しない。その他の構成及び動作は、実施の形態1~4と同様である。実施の形態1~4と異なる点について主に説明する。
【0100】
実施の形態7に係るマイクロ波制御装置40の構成は、実施の形態1~4に係るマイクロ波制御装置40の構成と同様である。強度取得部41は、マイクロ波検知部36により検知された回転槽1内のマイクロ波の強度を取得する。平滑化部45は、強度取得部41により取得された回転槽1内のマイクロ波の強度に応じて、マイクロ波照射部31の出力を調整する。これにより、回転槽1内における電界強度の上昇を的確に検知してマイクロ波照射部31の出力を下げることができるので、回転槽1内の乾燥対象物に含まれる金属などによるスパークの発生を抑制することができる。
【0101】
実施の形態7においては、回転槽1内の電磁波の強度を直接検知してマイクロ波の出力を調整するので、より的確に回転槽1内の電界強度を調整し、スパークの発生を抑えることができる。回転槽1内の複数の位置にマイクロ波検知部36を設け、回転槽1内の複数の位置における電磁波の強度を検知してもよい。これにより、回転槽1内に定在波が発生している状況においても、回転槽1内の電磁波の強度を的確に把握してマイクロ波照射部31の出力を調整することができる。また、回転槽1内の電磁波の強度分布から水分量の分布を推定し、水分量の分布に応じて定在波の位置などを調整することにより、回転槽1内の電磁波の強度分布を調整してもよい。これにより、乾燥効率をより向上させることができる。
【0102】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0103】
なお、本発明の適用範囲は、上記実施の形態において説明されたドラム式の衣類乾燥機(洗濯乾燥機)に限定されるものではない。例えば、ドラム式以外の吊り干し乾燥方式やパルセータ方式の縦型洗濯乾燥機等に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0104】
1 回転槽、2 筐体、3 水槽、4 ダンパ、5 扉体、6 駆動モータ、7 循環風路、8 吹出口、9 排出口、10 排水弁、11 排水管、12 給水弁、13 給水管、14 吸気風路、15 排気風路、16 送風ファン、17 ヒータ、18 流入温度検知部、20 制御装置、30 マイクロ波加熱装置、31 マイクロ波照射部、32 マイクロ波照射口、33 反射部、34 導波管、36 マイクロ波検知部、40 マイクロ波制御装置、41 強度取得部、42 出力調整部、45 平滑化部、46 周期検知部、50 洗濯乾燥機。
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