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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】手洗い器付き便器装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 5/10 20060101AFI20230908BHJP
   E03C 1/01 20060101ALI20230908BHJP
   E03D 11/02 20060101ALI20230908BHJP
   E03D 9/08 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
E03D5/10
E03C1/01
E03D11/02 Z
E03D9/08 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019151828
(22)【出願日】2019-08-22
(65)【公開番号】P2021031916
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】嶋澤 祐子
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-311200(JP,A)
【文献】特開2008-303624(JP,A)
【文献】特開2014-136952(JP,A)
【文献】特開2000-054457(JP,A)
【文献】特開2019-039270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00-11/00
E03C 1/00- 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器ボウルと、手洗いボウルと、該便器ボウルに対する給水に連動して該手洗いボウルに対する連携給水の実行を可能として給水制御を行う制御部とを備えた手洗い器付き便器装置において、
前記手洗いボウルに対する給水態様を複数、登録可能とした登録部と、該登録部に登録された給水態様のいずれかを選択するための選択部とをさらに備えており、
前記制御部は、給水指示手段により前記便器ボウルに対する給水の指示がされたときに、前記選択部で選択された給水態様にもとづき、前記給水制御を行うことを特徴とする手洗い器付き便器装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記給水態様には、前記便器ボウルに対する給水と、前記手洗いボウルに対する給水との給水間隔が含まれていることを特徴とする手洗い器付き便器装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
動作態様の設定が可能とされた局部洗浄装置をさらに備え、
前記登録部には、前記給水態様の登録に加え、前記動作態様の登録が含まれており、
前記局部洗浄装置は、前記選択部で選択された前記動作態様の設定にもとづき動作することを特徴とする手洗い器付き便器装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項において、
前記給水指示手段は大/小洗浄用の操作スイッチを有し、
前記選択部は複数の選択スイッチを有し、
前記登録部には、前記選択スイッチに対応して、前記大/小洗浄の2種の給水についての給水態様の登録を可能とされており、
前記制御部は、前記大/小洗浄用の操作スイッチのいずれかが操作されたときに、選択されている前記選択スイッチに合わせ、その選択スイッチに対応する2種の給水態様のうち、操作された洗浄に合わせて該当の給水態様を実行することを特徴とする手洗い器付き便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は手洗い器付き便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の手洗い器付き便器装置としては、制御部が便器ボウルに対し給水の制御をするとともに、手洗いボウルに対する給水の制御もするものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種のものによれば、手洗いボウルに対する給水を、便器ボウルに対する給水と同時に、あるいは少し時間を遅らせて、相連携するように実施することが可能とされている。これによれば、手洗い給水操作の手間が省け、使用者にとって利便性は高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-149460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、手洗いのタイミングは人によって異なるため、あらかじめ設定された、便器ボウルへの給水と、手洗いボウルへの給水との連携態様では、1つの便器装置を複数の使用者が使用する場合、すべての使用者にとって使いやすいものであるとは限らない。例えば、便器ボウルの洗浄とほぼ同時に手洗いしたいという人や、便器ボウルの洗浄後、衣服を整えてから手洗いしたいという人などがいるが、あらかじめ設定された一つの連携態様では、それらすべての使用者が満足するものとはならない。
【0006】
また、手洗い水の量も人によって異なるため、手洗い水量の多いケースに合わせて一定の手洗い給水時間とした場合には、少量の手洗い水しか必要としない人にとっては、給水量が無駄になる。
【0007】
ようするに、便器ボウルへの給水と、手洗いボウルへの給水との連携態様や、手洗い給水の給水時間は、それぞれに種々の態様があり、それらを組み合わせてなる複数の給水態様の中から、使用者が選択できるようにすることがより望ましい。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、個別かつ簡単な操作で、所望の給水態様で手洗いボウルへの給水ができる手洗い器付き便器装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の手洗い器付き便器装置は、便器ボウルと、手洗いボウルと、該便器ボウルに対する給水に連動して該手洗いボウルに対する連携給水の実行を可能として給水制御を行う制御部とを備えた手洗い器付き便器装置において、前記手洗いボウルに対する給水態様を複数、登録可能とした登録部と、該登録部に登録された給水態様のいずれかを選択するための選択部とをさらに備えており、前記制御部は、給水指示手段により前記便器ボウルに対する給水の指示がされたときに、前記選択部で選択された給水態様にもとづき、前記給水制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の手洗い器付き便器装置は上述した構成とされているため、使用ごとの所望の給水態様で、便器ボウルへの給水と手洗いボウルへの給水を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る手洗い器付き便器装置の要部ブロック図である。
図2】(a)は操作部(リモコン装置)の正面図、(b)はリモコン装置の別の操作態様の正面図である。
図3】登録部に登録された、給水態様および動作態様を表で示した説明図である。
図4】手洗い器付き便器装置の基本動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面(図1図4)をもとに説明する。まず、手洗い器付き便器装置1(以下、たんに便器装置1という)の基本構成について記述する。
【0013】
便器装置1は、便器ボウル11と、手洗いボウル21と、便器ボウル11に対する給水に連動して手洗いボウル21に対する連携給水の実行を可能として給水制御を行う制御部30とを備えた装置である。
【0014】
便器装置1は、手洗いボウル21に対する給水態様を複数、登録可能とした登録部31と、登録された給水態様のいずれかを選択するための選択部46とをさらに備えている。また、制御部30は、給水指示手段Aにより便器ボウル11に対する給水の指示がされたときに、選択部46で選択された給水態様にもとづき、給水制御を行うように構成されている。
【0015】
より具体的には、図1に示すように、便器装置1は、便器ボウル11および便座12などを有した便器本体10と、手洗いボウル21などを有した手洗い器20とを備えている。また、この便器装置1は、便器ボウル11洗浄用の洗浄水を直接水道水から供給する、タンクレス便器の構成とされている。便器本体10には洗浄水制御弁4aを備えた洗浄水配管4が接続され、手洗い器20には手洗い制御弁5aを備えた吐水配管5が接続され、いずれの配管にも給水管3を通じて水道水を供給できる構成とされている。
【0016】
吐水配管5の中途には、ヒータ部8が配されており、ヒータ部8が駆動されているときには、吐水配管5内の水道水が温められ、手洗い器20の手洗いボウル21には手洗い水として温水が吐水される。なお、温水用の加熱タンクを別途設けた構成であってもよい。
【0017】
また、手洗い器20と便器本体10との間は排水管6で接続されており、手洗いボウル21において使用され流された水が、便器本体10側へと排出されるようになっている。
【0018】
また、便器本体10の便座12には、着座センサーよりなる着座検知部14が内装されている。着座検知部14は、便座12に対する着座/離座を検知する構成とされる。なお、着座検知部14として、着座センサーの代わりに、重量検知センサーを設け、検出値がゼロから所定値以上の値へ変化したときを着座と判断し、検出値が所定値以上の値からゼロへ変化したときを離座と判断するようにしてもよい。また、フォトセンサーにより着座/離座を検知する着座検知部であってもよい。
【0019】
便座12にはさらに、便座12の表面を加熱、保温する便座加熱部13が内装されている。便座加熱部13としては、着座した人の接触部位の内部に線状ヒータを這わせるように配設される発熱体ユニットなどが挙げられる。
【0020】
さらに、便器本体10には、お尻などを洗浄するための、前後移動を可能としたノズル15aを有した局部洗浄装置15が組み込まれている。
【0021】
また、便器本体10には、CPUやプログラムなどにより構成された制御部30が内蔵されている。便器ボウル11への洗浄水の給水開始/停止は、洗浄水制御弁4aの開閉によりなされ、その動作は上述したように制御部30の制御による。また、手洗いボウル21への給水(吐水)開始/停止は、手洗い制御弁5aの開閉によりなされ、これについても制御部30の制御による。さらに、局部洗浄装置15の種々の動作も制御部30の制御によりなされる。
【0022】
なお、手洗いボウル21への給水制御は、上述したように、便器ボウル11への給水に連動してなされるが、手洗い器20に併設された手洗い給水操作部22の操作でも可能とされている。
【0023】
また、便器装置1は壁付けされるリモコン装置33や、便器本体10に組み込まれた本体操作部(不図示)、手洗いボウル21の近傍に取り付けられた手洗い給水操作部22などを含む操作部32を備えている。操作部32には、便器ボウル11や手洗いボウル21、局部洗浄装置15に関し、それらへの給水の動作の指示をするための動作指示スイッチ群が配設され、さらに給水などに関する種々の態様を設定替えするための設定スイッチ群を備えている。
【0024】
リモコン装置33は、図2(a)に示すような外観とされ、上パネル部34には、便器洗浄に関するスイッチ群および上記選択部46を構成する複数の選択スイッチ46aが配され、選択スイッチ46aのそれぞれには、表示ランプ46bが埋め込まれている。下パネル部35には、局部洗浄に関するスイッチ群が配されている。下パネル部35は開閉式で、パネルを開けると、図2(b)に示すような裏パネル部36の操作が可能となる。
【0025】
便器洗浄に関するスイッチ群としては、便器ボウル11に対する給水指示手段を構成するための洗浄操作部40(大洗浄スイッチ41、小洗浄スイッチ42)や、便座開閉スイッチ43、便ふた開閉スイッチ44、流水音スイッチ45が配されている。局部洗浄に関するスイッチ群としては、お尻洗浄スイッチ51、ビデ洗浄スイッチ52、停止スイッチ53、乾燥スイッチ54、局部洗浄の強さの調整用の洗浄強さ調節スイッチ55、洗浄位置の前後調整用の洗浄位置調節スイッチ56が配されている。なお、選択スイッチ46aの詳細については後述する。また、ユーザー設定スイッチ60も配設されている。これについても後述する。
【0026】
これらのスイッチ群のうち、洗浄強さ調節スイッチ55および洗浄位置調節スイッチ56は設定スイッチ群に含まれる。これらのスイッチには、強弱、前後を示す表示ランプ55a、56aが併設されており、操作するたびに強弱、前後の程度がサイクリックに切り替わり、その程度におうじて表示ランプ55a、56aも切り替わる。なお、これらは、どちらかといえば個人ごとに使用の都度、設定されるものである。
【0027】
また、裏パネル部36のスイッチ群としては、自動便ふた開動作の設定やパワー脱臭設定、種々の温度設定、お尻洗浄幅の設定、流水音の音量の設定、ハネ抑制の有無設定ができる設定スイッチ群に含まれる種々のスイッチが配されている。おしり洗浄幅スイッチ57については、洗浄強さと同様に5段階の設定を可能とし、表示ランプ57aが併設されている。
【0028】
さらに、裏パネル部36の設定スイッチ群として、給水間隔スイッチ61、手洗い給水時間スイッチ62および手洗い水温スイッチ63が配されている。
【0029】
これらのスイッチで設定できる給水間隔、手洗い給水時間および手洗い水温は、上述した、手洗いボウル21に対する給水態様に含まれるものである。給水間隔は、手洗いボウル21への給水が、便器ボウル11への給水に連動する場合の、それらの間の時間間隔であり、給水間隔スイッチ61の操作で設定することができる。
【0030】
給水間隔としては、例えば0秒(便器ボウル11への給水と手洗いボウル21への給水がほぼ同時)、3秒、5秒、10秒の設定が可能とされ、これらに対応して4つの表示ランプ61aが併設されている。この給水間隔スイッチ61を操作するたびに、これら4種の時間間隔に加え自動給水なしを、表示ランプ61aの点灯とともにサイクリックに設定することができる。なお、表示ランプ61aは上記4種の時間間隔に1対1に対応しており、自動給水なしの場合は、表示ランプ61aのすべてが消灯状態となる。
【0031】
また、手洗い給水時間は手洗いボウル21に対して給水する時間間隔であり、手洗い給水時間スイッチ62の操作により、5秒、10秒、20秒の3種のサイクリックな時間設定が可能とされる。設定された手洗い給水時間は、手洗い給水操作部22の操作による給水の場合も、便器ボウル11の給水の連動による給水の場合も有効とされる。
【0032】
手洗い水温は、手洗いボウル21への給水の温度であり、手洗い水温スイッチ63の操作により、室温(設定なし)、36℃、42℃の3種のサイクリックな温度設定が可能とされる。設定された手洗い水温は、手洗い給水操作部22の操作による給水の場合も、便器ボウル11の給水の連動による給水の場合も有効とされる。また、36℃、42℃の設定がなされているときには、ヒータ部8が動作する。
【0033】
なお、手洗いボウル21に対する給水態様に関する上記スイッチで設定可能とした、給水間隔の秒数と段階数、手洗い給水時間の秒数と段階数、手洗い水温の温度と段階数は一例であり、その他の数値であってもよいことはいうまでもない。
【0034】
以上に示した種々の設定スイッチ群の操作のタイミングで、給水などの動作のために準備動作がされたり、設定の情報が対応した設定情報記憶エリアに保存がされたりして、準備がなされる。なお、機能を種々設定する手段としては、各設定スイッチの操作によるものだけではなく、複数のスイッチの組み合わせ操作によるものも含まれる。
【0035】
ついで、選択部46について詳述する。本実施形態では、選択部46として4つの選択スイッチ46aを備えている。これらの選択スイッチ46aには、例えば家族4人を一人ずつ割り当てて手洗いボウル21に対する給水態様と、局部洗浄装置15の動作態様とを設定できるようになっている。
【0036】
具体的には、上記3種の給水態様が選択スイッチ46aごとに登録でき、さらに局部洗浄の動作態様も登録できるようになっている。ようするに、1つの選択スイッチ46aを操作すれば、その選択スイッチ46aに登録され紐づけされた複数の給水態様、動作態様について、同時に設定替えができ、その後の局部洗浄動作および手洗い給水について、設定された態様で洗浄、給水等がなされ得る。
【0037】
選択スイッチ46aごとの設定の登録は、裏パネル部36のユーザー設定スイッチ60と、各設定スイッチとの組み合わせ操作にてされ得る。まず、使用者が所望の選択スイッチ46aを操作選択することで、対応した表示ランプ46bが点灯する。その状態で、各機能を順次設定していき、所望の給水態様、動作態様の設定が完了すれば、ユーザー設定スイッチ60を長押しなどの特殊操作をすることで、登録が完了する。登録が完了すれば表示ランプ46bは消灯する。選択スイッチ46aに対する設定情報は、登録部31の対応するエリアに登録される。なお、選択スイッチ46aへのユーザー設定は、上記の操作手順には限らず他のものであってもよい。
【0038】
また、本実施形態では、個々の選択スイッチ46aに対して、大/小洗浄の2種の給水についての給水態様の登録を可能とされる。例えば、選択スイッチ46aの1回の操作後に行う設定を大洗浄用の設定とし、同じ選択スイッチ46aの連続2回の操作後に行う設定を小洗浄用の設定とすることで、1つの選択スイッチ46aに大/小洗浄用の設定の登録がなされ得る。また、局部洗浄の動作態様については、お尻の動作態様については大洗浄に対応させて設定されればよく、ビデの動作態様については小洗浄に対応させて設定されればよい。もちろん、局部洗浄装置15については、個別設定用のスイッチとして、選択スイッチ46aとは異なる局部洗浄用選択スイッチを設けてもよい。
【0039】
選択部46に対して、例えば図3に示すような登録がなされ得る。本実施形態の便器装置1は、4つの選択スイッチ46aが配設してあるため、選択スイッチ46aを例えば家族4人のそれぞれに割り付けることができる。
【0040】
選択スイッチ46a(1)(図3中の項番1に相当)の大洗浄用には、給水間隔・3秒、手洗い給水時間・10秒、手洗い水温・室温、お尻洗浄、洗浄強さ・4(やや強)、洗浄幅・3(ふつう)、洗浄位置・4(やや前)が設定されている。
【0041】
また、選択スイッチ46a(1)の小洗浄用には、給水間隔・3秒、手洗い給水時間・5秒、手洗い水温・室温、ビデ洗浄、洗浄強さ・2(やや弱)、洗浄幅・2(やや細)、洗浄位置・3(中間)が設定されている。
【0042】
選択スイッチ46a(2)(図3中の項番2に相当)の大洗浄用には、給水間隔・5秒、手洗い給水時間・20秒、手洗い水温・36℃、お尻洗浄、洗浄強さ・2(やや弱)、洗浄幅・2(やや細)、洗浄位置・3(中間)が設定されている。
【0043】
また、選択スイッチ46a(2)の小洗浄用には、給水間隔・3秒、手洗い給水時間・5秒、手洗い水温・36℃、ビデ洗浄、洗浄強さ・1(弱)、洗浄幅・1(細)、洗浄位置・2(やや後ろ)が設定されている。
【0044】
選択スイッチ46a(3)(図3中の項番3に相当)の大洗浄用には、給水間隔・0秒、手洗い給水時間・10秒、手洗い水温・43℃、お尻洗浄、洗浄強さ・2(やや弱)、洗浄幅・5(太)、洗浄位置・4(やや前)が設定されている。
【0045】
また、選択スイッチ46a(3)の小洗浄用には、給水間隔・0秒、手洗い給水時間・5秒、手洗い水温・室温が設定されている。局部洗浄装置15については設定がなされていない。
【0046】
選択スイッチ46a(4)(図3中の項番4に相当)の大洗浄用には、給水間隔・設定なし、手洗い給水時間・設定なし、お尻洗浄、洗浄強さ・5(強)、洗浄幅・4(やや太)、洗浄位置・3(中間)が設定されている。つまり、この設定では、手洗いボウル21への給水は便器ボウル11への給水に連動しない。また、選択スイッチ46a(4)の小洗浄用には給水態様等は設定されていない。
【0047】
このような設定は、いずれかの選択スイッチ46aが操作された段階で有効となる。つまり、いずれかの選択スイッチ46aが操作された状態で、その後、大/小洗浄スイッチ41、42のいずれかが操作されれば、選択されている選択スイッチ46aに合わせ、それに対応する大小の給水態様のうち、該当の給水態様の給水が実行される。局部洗浄の場合は、お尻/ビデ洗浄スイッチ51、52のいずれかが操作されれば、選択されている選択スイッチ46aに合わせ、それに対応する局部洗浄の動作態様に設定替えされて、該当の態様の局部洗浄が実行される。
【0048】
いずれかの選択スイッチ46aが操作された時点で、設定スイッチに対応した表示ランプ55a、56a、61a、62a、63aが該当の状態に変更点灯され、それと同時に、設定情報(給水態様など)が所定の設定情報記憶エリアに書き換え保存される。手洗いボウル21の給水への連動の有無についても、対応した設定情報記憶エリアが書き換えられる。
【0049】
ついで、便器ボウル11への給水指示がされたときの制御部30の動作を、図4のフローチャートにしたがって説明する。なお、便器ボウル11への給水指示手段Aとしては、洗浄操作部40(大洗浄スイッチ41、小洗浄スイッチ42)の操作のほか、便座12の離座タイミング(着座センサーのオンからオフへの状態変化)によるものがある。
【0050】
制御部30は、大/小洗浄のいずれかの指示を受けた際に、洗浄水制御弁4aを制御して便器ボウル11への給水をさせ(図4のS101)、手洗いボウル21の給水への連動の有無を、該当の設定情報記憶エリアを参照して判別する(S102)。手洗いボウル21への給水の連動がない場合には、手洗いボウル21への自動給水をすることなく終了する(S102のY)。
【0051】
手洗いボウル21への給水の連動がありの場合は、給水間隔の時間分ディレイしたのち、手洗い制御弁5aを制御して手洗いボウル21への給水を開始し、手洗い給水時間分ディレイしたのち、手洗いボウル21への給水を停止する(S103~S106)。また、手洗い水温は選択スイッチ46aが操作されたタイミングで、ヒータ部8を設定替えしておけばよい。
【0052】
図4のS103のディレイの時間間隔としては、給水時間として該当の設定情報記憶エリアに設定されている時間間隔が用いられる。つまり、選択スイッチ46aが操作選択されている場合は、その選択に対応した登録部31の情報が採用され、選択スイッチ46aが選択されていない場合は、給水間隔スイッチ61で設定されている時間間隔が採用される。
【0053】
図4のS105のディレイの時間間隔としては、手洗い時間として該当の設定情報記憶エリアに設定されている時間間隔が用いられる。つまり、選択スイッチ46aが操作選択されている場合は、その選択に対応した登録部31の情報が採用され、選択スイッチ46aが選択されていない場合は、給水間隔で設定されている時間間隔が採用される。
【0054】
なお、給水間隔はマイナス設定ができるようにしてもよい。つまり、マイナス設定の場合には、便器ボウル11に対する給水指示がされたときに、まず手洗いボウル21へ給水し、n秒ディレイ後に、便器ボウル11に対する給水がなされる。この動作については、図4のフローチャートによらず、他の動作流れとなることはいうまでもない。
【0055】
また、離座タイミングによる便器ボウル11への給水の指示は、着座時間の長さを検知することで大/小の判別がなされ、それにより給水が制御されるようにしてもよい。この場合、着座時間が所定の時間より長い場合は、大洗浄用の登録情報にもとづき、給水態様、動作態様が自動選択されるようにし、着座時間が所定の時間以下の場合は、小洗浄用の登録情報にもとづき、給水態様、動作態様が自動選択されるようすればよい。
【0056】
以上のように、本便器装置1には選択部46で個人別に給水態様を決定、登録できるため、使用者は、便器を使用する前または使用中に選択スイッチ46aを操作しておけば、その後の便器洗浄指示で、自分に合った手洗いを行うことができる。例えば、使用者は、着座のタイミングや、男子小用の場合の便器前に起立したタイミングなどに選択スイッチ46aを操作しておけばよい。
【0057】
特に、給水間隔が種々設定できるので、使用者ごとに異なる手洗いタイミングに合わせて給水することができる。例えば、便器ボウル11の洗浄後、離座し衣服を整えたのちに手洗いしたい使用者や、便器ボウル11の洗浄後、離座する前に手洗いしたい使用者、男子小用ですぐに手洗いしたい使用者など種々の態様に合わせることができる。
【0058】
また、手洗い給水時間も種々の時間間隔を設定できるため、簡単に手洗いしたい使用者、しっかりと石鹸で手洗いした使用者のいずれにも使いやすいように設定することができる。
【0059】
また、局部洗浄装置15の動作態様も給水態様に組み合わせて登録部31に登録できるため、一連の給水(局部洗浄、便器洗浄、手洗い給水)に関する設定を、使用者ごとにワンタッチで設定替えすることができる。
【0060】
さらに、大/小洗浄の2種の登録を1つの選択スイッチ46aに割り付けできるので、大/小別に多くの選択スイッチ46aを設ける必要がなく、また選択スイッチ46aの操作も複雑にならない。
【0061】
以上の実施形態では、ユーザー別に登録部31(選択部46)に登録できる、手洗いボウル21に対する給水態様として、給水間隔、手洗い給水時間および手洗い水温の3つがあるが、これらのうち2つ以下であってもよい。また、給水態様として、手洗い器20に関する他の機能の設定ができるようにしてもよい。
【0062】
また、以上の実施形態では、登録部31に、手洗いボウル21への給水態様と局部洗浄装置15の動作態様とが登録されるようにしてあるが、局部洗浄装置15の動作態様に加え、あるいは代えて、その他の機能設定を含めるようにしてもよい。例えば、流水音の有無と、その音量や、ハネ抑制の有無などが選択スイッチ46aに割り付けられるようにしてもよい。これらは、洗浄操作部40の操作で開始されるのではなく、流水音については、選択スイッチ46aが操作されたタイミングで音を発生させればよく、ハネ抑制については、選択スイッチ46aが操作されたタイミングで泡を注入するようにすればよい。
【符号の説明】
【0063】
1 手洗い器付き便器装置(便器装置)
10 便器本体
11 便器ボウル
15 局部洗浄装置
20 手洗い器
21 手洗いボウル
30 制御部
31 登録部
A 給水指示手段
41 大洗浄スイッチ
42 小洗浄スイッチ
46 選択部
46a 選択スイッチ
60 ユーザー設定スイッチ
61 給水間隔スイッチ
61a 表示ランプ
62 手洗い給水時間スイッチ
62a 表示ランプ
63 手洗い水温スイッチ
63a 表示ランプ

図1
図2
図3
図4