(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】自律走行型掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20230908BHJP
【FI】
A47L9/28 E
(21)【出願番号】P 2020007084
(22)【出願日】2020-01-20
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】土田 英也
(72)【発明者】
【氏名】古賀 理基
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 毅
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-051377(JP,A)
【文献】特開平07-308269(JP,A)
【文献】特開2009-089948(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0051108(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/00
A47L 9/22~ 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体を移動させるための駆動輪と、
塵埃を吸引するための吸引モータと、
前記吸引モータからの排気を前記筐体の外部へ排出するための排気口と、
前記吸引モータと前記排気口との間に設けられ、前記駆動輪を駆動するための駆動部と、
を備え
、
前記駆動輪は、少なくとも左右1対の駆動輪を含み、
前記排気口は、少なくとも前記筐体の左右両側に設けられ、
前記駆動部は、
前記吸引モータと右側の排気口との間に設けられ、右側の駆動輪を駆動するための右駆動部と、
前記吸引モータと左側の排気口との間に設けられ、左側の駆動輪を駆動するための左駆動部と、を含み、
前記吸引モータは、前記筐体の左右方向中央付近に設けられ、
前記吸引モータから前記右駆動部を介して右側の前記排気口に至る排気経路と、前記吸引モータから前記左駆動部を介して左側の前記排気口に至る排気経路が前記筐体内に形成される
自律走行型掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自律走行型掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な自律走行型掃除機は、左右夫々に駆動輪と、夫々の駆動輪に接続され、駆動輪を回転させるためのモータを有している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自律走行型掃除機を長時間連続して使用する場合、左右の駆動輪が連続して回転することになり、それに伴い、モータが高温となる可能性がある。また、モータが高温となると、モータの性能低下やモータ周辺の電子部品の性能低下を引き起こす可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の自律走行型掃除機は、筐体と、筐体を移動させるための駆動輪と、塵埃を吸引するための吸引モータと、吸引モータからの排気を筐体の外部へ排出するための排気口と、吸引モータと排気口との間に設けられ、駆動輪を駆動するための駆動部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、自律走行型掃除機のモータの発熱を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施例装置である自律走行型掃除機の斜視図である。
【
図2】本実施例装置である自律走行型掃除機の平面図である。
【
図3】本実施例装置である自律走行型掃除機の左側面図である。
【
図4】本実施例装置である自律走行型掃除機の正面図である。
【
図5】本実施例装置である自律走行型掃除機の底面図である。
【
図6】本実施例装置である自律走行型掃除機の前方下側から見た斜視図である。
【
図7】実施例2の概要を説明するための部分拡大側面図である。
【
図8】実施例2の概要を説明するための部分拡大側面図である。
【
図9】実施例2の概要を説明するための部分拡大側面図である。
【
図10】LIDAR近傍の部品を分解した斜視図である。
【
図11】
図10に示すベース部材、スイッチレバー、LIDARカバーを
図10中後方から見た図である。
【
図12】ベース部材を斜め下方から見た斜視図である。
【
図13】
図10に示すベース部材、スイッチレバー、LIDARカバーを
図10中後方から見た図である。
【
図15】実施例3の自律走行型掃除機の右前方斜視図である。
【
図16】実施例3の自律走行型掃除機の左前方斜視図である。
【
図17】実施例3の自律走行型掃除機の内部の構成を示す左前方斜視図である。
【
図18】実施例3の自律走行型掃除機の内部の構成を示す上面図である。
【
図19】実施例3の自律走行型掃除機の排気経路を示す図である。
【
図20】実施例4の自律走行型掃除機の左駆動輪及び車輪支持部材の部分拡大図である。
【
図21】実施例4の自律走行型掃除機の右側面図である。
【
図22】実施例5の自律走行型掃除機が障害物の形状を検知する様子を説明するための図である。
【
図25】実施例5の自律走行型掃除機の動作を示すフロー図である。
【
図26】実施例6の自律走行型掃除機の動作を示すフロー図である。
【
図27】実施例6の自律走行型掃除機が掃除する部屋の地図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、本実施の形態によって、本発明が限定されるものではない。
【0009】
[実施例1]
図1は、本実施例装置である自律走行型掃除機の斜視図である。
図1において、自律走行型掃除機の前側、後ろ側、左側、右側を夫々矢印で図示している。
【0010】
図1において、自律走行型掃除機の筐体1は、上ボデー2と下ボデー3を有しており、筐体1の前方にはバンパ4が配置されている。このバンパ4の内側には1又は複数の衝突検知用のスイッチ(図示せず)が配置されており、バンパ4が障害物に衝突すると、バンパ4が筐体1内側に向けて移動すると共にスイッチがオンし、バンパ4が障害物に衝突したことが検知される。
【0011】
筐体1の上面でかつバンパ4の後方には、カバー5が配置されている。このカバー5内部には集塵容器(図示せず)が配置されており、使用者がカバー5を押下するとカバー5の前方又は後方が外れ、筐体1から集塵容器を取り出すことができる。
【0012】
カバー5の後方には、LIDAR(Light Detection and Ranging)6が配置されている。このLIDAR6は、LIDAR6の中心を軸として発光部と受光部を回転させることにより、筐体1の周囲の障害物等を検知することができる。また、このLIDAR6を用いることにより、部屋の地図を作成することも可能である。
【0013】
図2は、本実施例装置である自律走行型掃除機の平面図である。
図2において、自律走行型掃除機の前側、後ろ側、左側、右側を夫々矢印で図示している。
【0014】
図2において、筐体1の前方には上から見て略コの字状の形状であるバンパ4が配置され、筐体1の後方には上ボデー2が配置されている。バンパ4と上ボデー2の間には、カバー5が配置されており、カバー5の後方にはLIDAR6が配置されている。
【0015】
バンパ4は、内部に配置されているスプリング(図示せず)により、筐体1前方へと付勢されており、バンパ4と上ボデー2との間には隙間が存在する。バンパ4が障害物に衝突すると、バンパ4はスプリングの力に抗してこの隙間分、後方へと移動可能である。
【0016】
図3は、本実施例装置である自律走行型掃除機の左側面図である。
図3において、自律走行型掃除機の前側、後ろ側、上側、下側を夫々矢印で図示している。
【0017】
筐体1の前方にはバンパ4が配置され、その後方には上ボデー2が配置されている。また、上ボデー2の左右側面には、排気口7が形成されており、上ボデー2の後方上面にはLIDAR6が配置されている。下ボデー3の前方にはサイドブラシ8が配置されており、後方には後輪9が配置されている。
【0018】
図4は、本実施例装置である自律走行型掃除機の正面図である。
図4において、自律走行型掃除機の上側、下側、左側、右側を夫々矢印で図示している。
【0019】
バンパ4の前面には2つの超音波センサ10と、発光素子と受光素子からなる左上センサ11及び右上センサ12を有している。また、下ボデー3には、発光素子と受光素子からなる左下センサ13及び右下センサ14を有しており、下ボデー3の前方左右両側には、サイドブラシ8が配置されている。尚、このサイドブラシ8は、下ボデー3の前方右側か左側のいずれかに配置しても良い。
【0020】
左上センサ11と左下センサ13は、筐体1の上下方向において、略同じ位置にある。同様に、右上センサ12と右下センサ14は、筐体1の上下方向において、略同じ位置にある。
【0021】
下ボデー3の前方は
図3を見ても明らかなように前方から後方に向けて傾斜した斜面15となっている。この斜面15に2つの凹部16が形成されており、この凹部16夫々に左下センサ13と右下センサ14が配置されている。
【0022】
また、左下センサ13と右下センサ14は、夫々、筐体1を床面に載置した状態で床面と垂直な方面と略平行な面である窓部17が形成されており、この窓部17の内部に発光素子と受光素子が配置されている。これにより、サイドブラシ8の回転により床面から埃が舞い上がっても、左下センサ13と右下センサ14の発光素子及び受光素子が配置された凹部16に埃が堆積するのを低減させることができる。また、この窓部17の近傍にはサイドブラシ8が配置されており、サイドブラシ8が回転するとこのサイドブラシ8の回転により発生した風が窓部17に当たり、窓部17に付いた埃を風により取り去ることが可能である。これにより、窓部17に埃が付着することにより左下センサ13と右下センサ14が誤検知するのを防ぐことができる。
【0023】
図5は、本実施例装置である自律走行型掃除機の底面図である。
図5において、自律走行型掃除機の前側、後ろ側、左側、右側を夫々矢印で図示している。
【0024】
図5において、下ボデー3の後方には後輪9が配置されており、この後輪9の前方には、例えばリチウムイオン電池等の二次電池からなるバッテリー18が配置されている。また、下ボデー3の略中央には右駆動輪19と左駆動輪20が配置されており、右駆動輪19と左駆動輪20夫々に車輪支持部材21が接続されている。この車輪支持部材21は、軸Aを軸として、筐体1の上下方向に移動可能である、また、2つの車輪支持部材21は夫々下ボデー3との間に車輪用のスプリング(図示せず)が配置されており、この車輪用のスプリングにより、車輪支持部材21と、右駆動輪19及び左駆動輪20は、床面に向けて付勢されている。
【0025】
図5において、右駆動輪19と左駆動輪20との間にバッテリー18の一部が位置しているが、右駆動輪19と左駆動輪20よりも後方にバッテリー18を配置する構成としても良い。しかしながら、本実施例では、バッテリー18を筐体1の後方に配置することにより、筐体1の重心を筐体後方に来るように設計している。このため、2つの車輪支持部材21夫々の軸Aの間に少なくともバッテリー18の一部が位置することが好ましい。
【0026】
図5において、バッテリー18よりも前方で且つ、右駆動輪19と左駆動輪20よりも前方には、集塵を吸い込むための吸込口22が形成されており、この吸込口22の内部には、メインブラシ23が回転可能に軸支されている。
【0027】
このメインブラシ23の左右両側には夫々段差センサ24が配置されており、この段差センサ24は発光部と受光部からなり、筐体1が段差にさしかかったことを検知する。
【0028】
図5において、段差センサ24の先端は、メインブラシ23の回転軸の軸線上に位置するか、略同じ位置である。或いは、段差センサ24の先端を、メインブラシ23の回転軸の軸線よりも後方に配置しても良い。
【0029】
段差センサ24の前方には窪み25があり、この窪み25の略中央を軸にしてサイドブラシ8が配置されている。サイドブラシ8は、吸込口22に向けて回転する。このため、
図5において、左側のサイドブラシ8は時計回りに回転し、右側のサイドブラシ8は反時計回りに回転する。
【0030】
本実施例では、筐体1の重心Gは
図5に示すように本体の中央部分よりも後方に位置する。このため、下ボデー3の前方に段差センサ24を設けなくても良い。具体的に説明すると、筐体1が、段差がある方向に前進し、サイドブラシ8後方にある段差センサ24が段差を検知するまで筐体1が前進しても、筐体1の重心Gが右駆動輪19及び左駆動輪20よりも後方に位置しているため、段差に落ちることがなく、段差ギリギリまで清掃を行うことができる。また、下ボデー3の前方に段差センサ24を設ける必要がないため、製造コストを下げることが可能である。
【0031】
図6は、本実施例装置である自律走行型掃除機の前方下側から見た斜視図である。
図6において、下ボデー3の前方は斜面15となっており、斜面15の左右側には夫々凹部16が形成されている。また、夫々の凹部16には、左下センサ13と右下センサ14が配置されている。
【0032】
図6において、下ボデー3前方の左右側には、夫々サイドブラシ8が配置された窪み25が形成されており、この窪み25は、凹部16近傍まで形成されている。サイドブラシ8の長さは、この窪み25よりも筐体1外側に突出する長さであり、更に窪み25は凹部16近傍に向かって曲面となっているため、サイドブラシ8は吸込口22に向かってスムーズに回転できるだけでなく、サイドブラシ8の回転により発生した風を凹部16内側の窓部17まで吹き付けることができる。このため、窓部17についた埃を風で飛ばすことができる。
【0033】
[実施例2]
次に実施例2について説明する。尚、実施例2の自律走行型掃除機の構造は、実施例1で説明した構造と同一であるため、説明を省略する。
【0034】
図7~
図9は、実施例2の概要を説明するための部分拡大側面図である。
図7~
図9において、筐体1の上側、下側、前側、後ろ側を夫々矢印で図示している。
【0035】
まず、実施例2の自律走行型掃除機の構造について概要を説明する。
図7に示すように、LIDARカバー26の下方にはスイッチレバー27が配置されており、LIDARカバー26とスイッチレバー27は一体的に形成されている、或いは、LIDARカバー26がスイッチレバー27に取り付けられている。また、スイッチレバー27は、軸Bを軸として筐体1に軸支されている。
【0036】
更に、スイッチレバー27前方の軸B近傍には、LIDARカバー26に障害物が衝突したことを検知するための衝突検知部28が設けられている。スイッチレバー27後方において、スイッチレバー27がスプリング29により上方に付勢されている。
【0037】
尚、図示していないが、軸B近傍にもスプリング29が配置されており、このスプリング29によりスイッチレバー27が上方に付勢されている。
【0038】
図8に示すように、掃除機が前進している際に、前方から来た障害物がLIDARカバー26の前端に衝突すると、LIDARカバー26が前方から後方に押される。すると、軸Bを支点として、LIDARカバー26の後方とスイッチレバー27の後方がスプリング29の力に抗して下方に押し込まれると共に、衝突検知部28がスイッチレバー27により下方に押し込まれる。このようにして、LIDARカバー26に障害物が衝突したことを検知することができる。
【0039】
また、
図9に示すように、LIDARカバー26の上方からLIDARカバー26に障害物が衝突すると、軸Bを支点とし、スイッチレバー27の後方がスプリング29の力に抗して下方に押し込まれると共に、衝突検知部28も下方に押し込まれる。このようにして、LIDARカバー26に障害物が衝突したことを検知することができる。
【0040】
このように、実施例3では、LIDARカバー26が、筐体1の上方や水平方向等から障害物と衝突した場合に、容易に障害物と衝突したことを検知することができる。
【0041】
図10は、LIDAR6近傍の部品を分解した斜視図である。
図10において、上方、下方、後方、前方、左方、右方、夫々を矢印で図示している。
【0042】
図10において、タクトスイッチ30を搭載した回路基板31の上方に、ベース部材32が配され、このベース部材32には、略蹄鉄状の溝部33が形成されている。また、この溝部33前方にある2つの端部には、軸Bを軸にしてスイッチレバー27が上下方向に開閉可能に軸支されている。
【0043】
このスイッチレバー27は、略蹄鉄状の形状であり、2つの軸部Bの近傍には橋部34が形成されており、この橋部34の裏面側にはスイッチ突部35が形成されている。このスイッチ突部35は、ベース部材32に形成されたスイッチ穴部36を通り、回路基板31上のタクトスイッチ30を上から押下するようになっている。
【0044】
軸部B近傍の、溝部33とスイッチレバー27との間にはスプリング29が配置され、更にはスイッチレバー27の後端近傍の溝部33とスイッチレバー27との間にもスプリング29が配置されている。この3つのスプリング29により、スイッチレバー27は上方に付勢されている。
【0045】
ベース部材32の溝部33より内側には、LIDAR6の回転部47が配置される。この回転部47はLIDAR6の略中心部分にあり、回転部47内部に設けられた発光部と受光部が360度回転する。
【0046】
回路基板31、ベース部材32、スイッチレバー27を覆うように上ボデー2が配置されており、上ボデー2に形成された3つの上ボデー穴48を介して、LIDARカバー26とスイッチレバー27が接続、或いは一体形成されている。
【0047】
この上ボデー穴48の大きさは、LIDARカバー26裏面に形成されたカバー柱部49が上下動可能な程度の大きさである。尚、このカバー柱部49については、
図11に図示している。
【0048】
図11は、
図10に示すベース部材32、スイッチレバー27、LIDARカバー26を
図10中後方から見た図である。
図11において、上方、下方、左方、右方、夫々を矢印で図示している。
【0049】
図11に示すように、ベース部材32の溝部33後端には、壁部25が形成されており、この壁部25には略三角形の遊動穴37が形成されている。スイッチレバー27の後端には、突形状の遊動突部38が形成されており、この遊動突部38が遊動穴37に遊動可能に挿入されている。
【0050】
この遊動突部38は、略三角形の遊動穴37の3つの頂点まで移動可能である。このため、LIDARカバー26上方から力が加わった場合には、遊動突部38が遊動穴37の底辺中央まで移動可能であり、LIDARカバー26の右上から力が加わった場合には、遊動突部38は遊動穴37の左下の頂点まで移動可能であり、LIDARカバー26の左上から力が加わった場合には、遊動突部38は遊動穴37の右下の頂点まで移動可能である。
【0051】
尚、このような移動を可能とするために、溝部33を囲うようにベース部材32に形成された壁部25とスイッチレバー27との間には多少の隙間が形成されている。
【0052】
また、スイッチレバー27の橋部34とベース部材32の壁部25との間も多少の隙間が形成されている。
【0053】
図12は、ベース部材32を斜め下方から見た斜視図である。
図12において、上方、下方、後方、前方、夫々を矢印で図示している。
【0054】
図12に示すように、ベース部材32前端の軸Bには、左右の軸B夫々に遊動穴37が形成されており、この2つの遊動穴37夫々に、スイッチレバー27に形成された2つの遊動突部38が遊動可能に挿入されている。この遊動穴37も
図11に示す遊動穴37と同様に略三角形の形状となっている。
【0055】
この遊動突部38は、略三角形の遊動穴37の3つの頂点まで移動可能である。このため、LIDARカバー26上方から力が加わった場合には。遊動突部38は遊動穴37の底辺中央まで移動可能であり、LIDARカバー26の
図12中前方から力が加わった場合には、遊動突部38は遊動穴37の後方の頂点まで移動可能であり、LIDARカバー26の
図18中後方から力が加わった場合には、遊動突部38は遊動穴37の前方の頂点まで移動可能である。
【0056】
図13は、
図10に示すベース部材32、スイッチレバー27、LIDARカバー26を
図10中後方から見た図である。
図13において、上方、下方、左方、右方、夫々を矢印で図示している。
【0057】
図13に示すように、ベース部材32の略中央部分には、回転部47を配置するための回転部配置空間39が形成されている。回転部47は、この回転部配置空間39で発光部と受光部を360度回転させ、ベース部材32(より詳細には上ボデー2)とLIDARカバー26との間の隙間から光を照射し、反射した光を受光することができる。
【0058】
図14は、ベース部材32を下から見た底面図である。ベース部材32にはスイッチ穴部36が形成されており、このスイッチ穴部36からスイッチレバー27のスイッチ突部35が突出している。
【0059】
尚、
図7~
図9に示す衝突検知部28は、
図10~
図13における、スイッチ突部35とタクトスイッチ30に対応している。
【0060】
実施例3では、ベース部材32の2つの軸Bでスイッチレバー27をベース部材32に軸支すると共に、スプリング29によりスイッチレバー27を上方向に付勢している。また、ベース部材32に形成された壁部25とスイッチレバー27との間に隙間を形成すると共に、ベース部材32に形成された壁部25とスイッチレバー27の橋部34との間に隙間を形成している。
【0061】
更には、ベース部材32の軸B近傍の2か所とベース部材32の後端近傍に、略三角形の遊動穴37を形成すると共に、スイッチレバー27にはこれら3か所の遊動穴37に遊動可能に挿入される遊動突部38を形成している。
【0062】
また、スイッチレバー27には下方に突となるスイッチ突部35が形成され、このスイッチ突部35が回路基板31上に形成されたタクトスイッチ30を押下する構成となっている。
【0063】
このような構造であるため、LIDARカバー26に上方から障害物が衝突した場合でも、水平方向から障害物が衝突した場合でも、タクトスイッチ30がオンされ、LIDAR6に障害物が衝突したことを検知することが可能である。
【0064】
また、使用者がLIDARカバー26を上から押下すると、自律走行型掃除機の走行や清掃動作を停止させ、再度使用者がLIDARカバー26を上から押下すると、自律走行型掃除機の走行や清掃動作を再開させる構成としても良い。このような構成とすることにより、使用者は容易に自律走行型掃除機の走行や清掃動作を停止、或いは開始させることが可能である。
【0065】
更には、使用者がLIDARカバー26を上から押下すると、自律走行型掃除機の電源をオン、又はオフさせる構成としても良い。このような構成とすることにより、使用者は容易に自律走行型掃除機の電源のオンオフを行うことが可能であり、自律走行型掃除機を緊急停止させることも可能である。
【0066】
尚、本実施例では、回転体に発光部と受光部を搭載した構成としたが、カメラ等の撮像部を回転体に搭載しても良い。この場合、画像解析に時間がかかるようであれば、カメラの回転速度を下げても良い。或いは、回転体に発光部と受光部、及びカメラを搭載し、いずれかの素子を選択的に使用可能、又は同時に使用可能とする構成としても良い。この場合、素子を選択的に使用可能とする際には、発光部と受光部を使用する際の回転体の回転速度よりも、カメラを使用する際の回転速度を遅くしても良い。
【0067】
[実施例3]
次に実施例3について説明する。尚、実施例3の自律走行型掃除機の構造は、実施例1で説明した構造と同一であるため、説明を省略する。
【0068】
図15は、実施例3の自律走行型掃除機の右前方斜視図である。
図16は、実施例3の自律走行型掃除機の左前方斜視図である。自律走行型掃除機の筐体1の右側面に排気口7aが設けられ、左側面に排気口7bが設けられる。
【0069】
図17は、実施例3の自律走行型掃除機の内部の構成を示す左前方斜視図である。
図18は、実施例3の自律走行型掃除機の内部の構成を示す上面図である。筐体1の内部の中央付近に吸引モータ43が設けられる。吸引モータ43の左右及び後ろに壁が設けられており、左右の壁に通気口56a及び56bが設けられる。吸引モータ43の左右に壁を隔てて、右駆動輪19を駆動するモータである右駆動部44及び左駆動輪20を駆動するモータである左駆動部45が設けられる。
【0070】
図19は、実施例3の自律走行型掃除機の排気経路を示す。
図19(a)は、実施例3の自律走行型掃除機の左側面図であり、
図19(b)は、
図19(a)のAA断面図である。吸引モータ43の左右に、通気口56a及び56bと、排気口7a及び7bが設けられるので、吸引モータ43から通気口56a及び56を介して排気口7a及び7bにそれぞれ至る排気経路が筐体1内に形成される。
【0071】
吸引モータ43の排気は、左右の壁に設けられた通気口56a及び56bから左右にほぼ均等に分散され、それぞれ排気口7a及び7bから筐体1の外部に排気される。吸引モータ43から通気口56aを介して排気口7aに至る排気経路に右駆動部44が設けられ、吸引モータ43から通気口56bを介して排気口7bに至る排気経路に左駆動部45が設けられる。したがって、吸引モータ43の左右に配置された右駆動部44及び左駆動部45を、吸引モータ43の排気によって均等に効率良く冷却することができる。
【0072】
別の例では、3以上の排気口7が設けられてもよい。この場合も、吸引モータ43から排気口7に至る排気経路に、回路基板31やバッテリー18などの発熱部材を配置してもよい。これにより、吸引モータ43の排気によって発熱部材を均等に効率良く冷却することができる。
【0073】
[実施例4]
次に実施例4について説明する。尚、実施例4の自律走行型掃除機の構造は、実施例1で説明した構造と同一であるため、説明を省略する。
【0074】
図20は、実施例4の自律走行型掃除機の左駆動輪20及び車輪支持部材21の部分拡大図である。右駆動輪19及び左駆動輪20は、車輪支持部材21によって上下方向に可動に筐体1に懸架される。車輪支持部材21と筐体1との間に、筐体1の前方を持ち上げる持上げ部として機能するカム90が設けられる。カム90は、軸91によって回転可能に筐体1に軸支され、図示しないモータによって回転される。
【0075】
自律走行型掃除機の通常状態においては、
図20(a)に示すように、カム90の長手方向が上下方向と平行になるようにカム90が配置される。筐体1の前方を持ち上げる際には、
図20(b)に示すように、カム90が軸91を中心に前方に回転される。このとき、カム90の側面が車輪支持部材21の側面を斜め下方向に押圧するので、車輪支持部材21は左駆動輪20を支点として後方が持ち上がり、筐体1は後輪9を支点として前方が持ち上がる。
【0076】
図21は、実施例4の自律走行型掃除機の右側面図である。
図21(a)は、通常状態を示す。
図21(b)は、カム90によって筐体1の前方が持ち上げられた状態を示す。筐体1の前方を持ち上げることにより、段差を乗り越えたり、後述するように障害物の上方の形状を検知したりすることができる。
【0077】
筐体1の前方が持ち上げられた状態で、筐体1の上に物が落下したり、筐体1の上面を使用者や動物などが押し下げたりして、上方から過度な力がかかると、カム90が破損する可能性がある。したがって、実施例4の自律走行型掃除機においては、カム90に上方から力が印加されたときに、カム90が車輪支持部材21に押されて逆方向に回転し、元の状態に戻るように構成される。これにより、筐体1の前方が持ち上げられた状態で情報から力がかかっても、カム90が力を逃がすことができるので、破損を防止することができる。
【0078】
より具体的には、カム90を回転させて筐体1の前方を持ち上げる際に、カム90と車輪支持部材21の接触面との角度が90°以下になるようにする。カム90と車輪支持部材21の接触面との角度が90°を超えるまでカム90を回転させると、上方から力がかかったときに、カム90が車輪支持部材21に押されて順方向に過度に回転し、破損してしまう可能性がある。カム90と車輪支持部材21の接触面との角度が90°以下になるようにしておけば、上方から力がかかったときに、カム90が車輪支持部材21に押されて逆方向に回転し、元の通常状態に戻るので、破損を防止することができる。尚、この90°という角度は一例であり、カム90と車輪支持部材21の形状を変えたり、モータの種類を変える等を検討することにより、角度を変えて設計することもできる。
【0079】
[実施例5]
次に実施例5について説明する。尚、実施例5の自律走行型掃除機の構造は、実施例1で説明した構造と同一であるため、説明を省略する。
【0080】
図22は、実施例5の自律走行型掃除機が障害物の形状を検知する様子を説明するための図である。実施例5の自律走行型掃除機は、
図22に示すように、筐体1が床面と略平行な状態から、筐体1の前方を持ち上げることが可能であり、この持ち上げ動作の際に、物体80の形状を検知する機能を有している。
【0081】
図23は、本実施例装置のブロック図である。
図23において、制御部40は、例えばCPU(Central Processing Unit)のようなマイクロコンピュータからなり、各回路の制御を司る。
【0082】
通信部41は、通信端末やルーター等と無線接続可能であり、例えば、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等の通信機能を有している。
【0083】
記憶部42は、例えば、フラッシュメモリのような不揮発性メモリからなり、制御部が実行する制御プログラムや各種パラメータ等を格納する。
【0084】
吸引モータ43は、吸引風を発生させるためのモータである。吸引モータ43と吸込口22は連通しており、吸引モータ43によって吸込口22から外気が吸引される。
【0085】
右駆動部44は、右駆動輪19を駆動するためのモータである。
【0086】
左駆動部45は、左駆動輪20を駆動するためのモータである。
【0087】
段差センサ24は、床面の段差を検知するためのセンサであり、例えば赤外線の発光素子と受光素子を有する。
【0088】
バンパセンサ46は、バンパ4が障害物と衝突したことを検知するためのセンサである。
【0089】
LIDAR6は、発光部及び受光部と、これらの素子を回転させるための回転機構及びモータを有している。このLIDAR6は、LIDAR6の中心を軸として発光部と受光部を回転させることにより、筐体1周囲の障害物等を検知することができる。また、このLIDAR6を用いることにより、部屋の地図を作成することも可能である。
【0090】
右上センサ12と右下センサ14、左上センサ11と左下センサ13は、例えば赤外線の発光素子と受光素子からなり、障害物までの距離等を検知する。
【0091】
地図作製部50は、障害物の形状を検知する機能や、地図情報を作成する機能等を有している。
【0092】
尚、本実施例装置は、これらの構成の他に、超音波センサ10、メインブラシ23を駆動するためのモータ、サイドブラシ8を駆動するためのモータ等も搭載しているが、本開示と直接関係がないため
図23での説明を省略する。
【0093】
図24は、地図作製部の機能ブロック図である。地図作製部50は、距離算出部51、障害物形状検知部52、自己位置判定部53、地図情報作成部54、及び地図情報格納部55を備える。
【0094】
距離算出部51は、右上センサ12と右下センサ14、左上センサ11と左下センサ13、LIDAR6等から入力した信号に基づいて、障害物までの距離を算出する。
【0095】
障害物形状検知部52は、右上センサ12と右下センサ14、左上センサ11と左下センサ13、LIDAR6等から入力した信号等に基づいて、障害物の形状を検知する。
【0096】
自己位置判定部53は、車輪の回転数やジャイロセンサ(図示せず)等の出力に基づいて、充電台を基準として筐体1の自己位置を判定する。
【0097】
地図情報作成部54は、右上センサ12と右下センサ14、左上センサ11と左下センサ13、LIDAR6、超音波センサ10等から入力した信号に基づいて、部屋の地図情報を作成する。また、作成した地図情報に、障害物形状検知部52が検知した障害物の形状の情報を加えることも可能である。
【0098】
地図情報格納部55は、地図情報作成部54が作成した地図情報を格納する。また、距離算出部51が算出した障害物までの距離情報や、障害物形状検知部52が検知した障害物の形状や、自己位置判定部53が判定した自己位置の情報等も格納可能である。
【0099】
自律走行型掃除機は、不使用時には、充電台に保持されて充電される。設定された清掃開始時刻が到来したとき、又は、使用者によって清掃開始を指示されたときに、制御部40は、右駆動部44及び左駆動部45を制御して右駆動輪19及び左駆動輪20を駆動し、自律走行型掃除機を充電台から離脱させる。制御部40は、地図情報格納部55に格納された地図を参照しながら、所定の走行計画にしたがって、又は、ランダムに室内を走行し、メインブラシ23及びサイドブラシ8を駆動して床面を清掃する。地図情報作成部54は、右上センサ12と右下センサ14、左上センサ11と左下センサ13、LIDAR6、超音波センサ10等から入力した信号に基づいて地図情報を作成し、地図情報格納部55に格納する。また、地図情報作成部54は、作成した地図情報が地図情報格納部55に格納された地図と異なる場合には、地図情報格納部55に格納された地図を更新する。制御部40は、段差センサ24により段差が検知された場合、右上センサ12、右下センサ14、左上センサ11、左下センサ13、LIDAR6、超音波センサ10等により障害物が検知された場合、及びバンパセンサ46により障害物と衝突したことが検知された場合には、段差や障害物などを回避しながら自律走行型掃除機を移動させる。清掃が終了すると、制御部40は、地図情報格納部55に格納された地図と、自己位置判定部53により判定された自己位置に基づいて、自律走行型掃除機を充電台に帰還させる。自律走行型掃除機が充電台の近傍まで帰還すると、制御部40は、後述するように、充電台に設けられた反射面を目標として充電台の位置及び向きを認識し、充電台の保持位置に自律走行型掃除機を移動させる。
【0100】
図25は、実施例5の自律走行型掃除機の動作を示すフロー図である。
図25のフロー図に示す動作の概要は、自律走行型掃除機が掃除を実行している際に、筐体1が障害物に接触すると、筐体1を所定の距離だけ後退させる。続いて、筐体1の前方を持ち上げた際に、赤外線センサやLIDAR6等を用いて障害物の形状を下から上にスキャンし、スキャンした障害物の形状を地図情報格納部55に格納する。その後、スキャンした障害物の形状に基づいて、障害物の周囲を掃除するか、或いは、障害物から離れるか、等の動作を実行するものである。
【0101】
尚、制御部40は、
図25のフロー図に示す動作を実行する前に、筐体1を部屋の壁に沿って一周させ、地図情報作成部54が、右上センサ12と右下センサ14、左上センサ11と左下センサ13、LIDAR6、超音波センサ10等から入力した信号に基づいて、部屋の地図情報を作成する。地図情報格納部55は、作成された地図情報を格納する。
【0102】
図25において、ステップS1では、制御部40は、バンパセンサ46からバンパ4が障害物に衝突したことを示す信号を検知すると、ステップS2へ処理を進める。
【0103】
ステップS2では、制御部40は、右駆動部44と左駆動部45を制御することにより、筐体1を所定の距離(例えば、30cm)だけ後退させ、ステップS3へ処理を進める。
【0104】
ステップS3では、制御部40は、筐体1の前方を持ち上げるように制御する。尚、この持ち上げ制御の詳細は、実施例4で説明した通りである。
【0105】
ステップS4では、障害物形状検知部52が、右上センサ12と右下センサ14、左上センサ11と左下センサ13、LIDAR6等から入力した信号に基づいて、障害物の形状を判定し、その情報は地図情報格納部55に格納される。
【0106】
具体的には、
図22に示すように、右下センサ14と左下センサ13、LIDAR6を用いて、筐体1を持ち上げた際に障害物の形状をスキャンし、障害物形状検知部52が、右下センサ14と左下センサ13、LIDAR6からの信号に基づいて、障害物の形状を検知する。尚、ここでは障害物の形状を検知すると説明しているが、より具体的には、障害物の表面の凹凸を検知する。障害物形状検知部52は、右下センサ14と左下センサ13、LIDAR6による、光の照射から受光までの時間から距離を求め、障害物の表面の凹凸を検知する。
【0107】
尚、この障害物をスキャンする動作は、筐体1前方を持ち上げた際だけでなく、筐体1を持ち上げた状態から下げた際でも実行しても良いし、筐体1前方を何度も上下動させ、その際に障害物をスキャンする構成としても良い。
【0108】
ステップS5では、地図作製部50は、地図情報格納部55に予め格納されている地図情報に、障害物の情報を加えて格納する。
【0109】
以上説明したように実施例5では、自律走行型掃除機が掃除を実行している際に、筐体1が障害物に接触すると、筐体1を所定の距離だけ後退させる。続いて、筐体1の前方を持ち上げた際に、赤外線センサやLIDAR6センサ等を用いて障害物の形状を下から上にスキャンし、スキャンした障害物の形状を地図情報格納部55に格納する。
【0110】
このため、使用者は通信端末等の表示部に表示された地図上の障害物の形状から、どのような障害物がどの位置に置いてあるかを判断でき、部屋の隅々なで自律走行型掃除機に掃除させる前に、自律走行型掃除機が乗り越えられない障害物を移動させることができる。
【0111】
[実施例6]
次に実施例6について説明する。
図26は、実施例6の自律走行型掃除機の動作を示すフロー図である。
図26のフロー図に示す動作の概要は、自律走行型掃除機がある領域の中央(例えば、部屋の中央)に到着すると、筐体1の前方を持ち上げた際に、赤外線センサやLIDAR6センサ等を用いて障害物の形状を下から上にスキャンし、スキャンした障害物の形状を地図情報格納部55に格納する。その後、筐体1を所定の角度(例えば15度)時計回りに回転させ、再度障害物の形状をスキャンする動作を複数回行い、筐体1が360度回転すると、筐体1周囲の障害物の形状を地図情報格納部55に格納する。
【0112】
尚、制御部40は、
図26のフロー図に示す動作を実行する前に、筐体1を部屋の壁に沿って一周させ、地図情報作成部54が、右上センサ12と右下センサ14、左上センサ11と左下センサ13、LIDAR6、超音波センサ10等から入力した信号に基づいて、部屋の地図情報を作成する。地図情報格納部55は、作成された地図情報を格納する。
【0113】
図26のフロー図を用いて動作を説明する。まず、
図27(a)に示すように、自律走行型掃除機が充電台60を出発して部屋の中央に向かう。
図27(b)は、部屋の略中央の部分に自律走行型掃除機が到達した状態を示す図である。
【0114】
ステップS10では、制御部40は、地図情報格納部55に記憶されている地図情報の中央部分に到着したと判定すると、ステップS11へ処理を進める。尚、制御部40は、充電台を始点として、地図のX方向とY方向にどれだけ進んだかを、駆動輪の回転数等で判定し、地図情報の中央部分に到着したと判定する方法や、ジャイロセンサを用いて判定する方法等がある。
【0115】
ステップS11では、制御部40は、筐体1の前方を持ち上げるように制御する。尚、この持ち上げ制御の詳細は、実施例4で説明した通りである。
【0116】
ステップS12では、障害物形状検知部52が、右上センサ12と右下センサ14、左上センサ11と左下センサ13、LIDAR6等から入力した信号に基づいて、障害物の形状を判定し、その情報は地図情報格納部55に格納される。
【0117】
具体的には、
図22に示すように、右下センサ14と左下センサ13、LIDAR6を用いて、筐体1を持ち上げた際に障害物の形状をスキャンし、障害物形状検知部52が、右下センサ14と左下センサ13、LIDAR6からの信号に基づいて、障害物の形状を検知する。尚、ここでは障害物の形状を検知すると説明しているが、より具体的には、障害物の表面の凹凸を検知する。障害物形状検知部52は、右下センサ14と左下センサ13、LIDAR6による、光の照射から受光までの時間から距離を求め、障害物の表面の凹凸を検知する。
【0118】
尚、この障害物をスキャンする動作は、筐体1前方を持ち上げた際だけでなく、筐体1を持ち上げた状態から下げた際でも実行しても良いし、筐体1前方を何度も上下動させ、その際に障害物をスキャンする構成としても良い。
【0119】
ステップS13では、障害物の形状の情報と、後述する筐体1を回転させた角度の情報を地図情報格納部55に格納する。
【0120】
ステップS14では、制御部40は、筐体1を360度回転させたと判定すると処理を終了し、そうでなければ、ステップS15へ処理を進める。
【0121】
ステップS15では、制御部40は、筐体1を所定の角度(例えば15度)時計回りに回転させる。例えば、制御部40は、左駆動部45と右駆動部44を制御することにより、筐体1を後退させた後に、左駆動輪20のみ駆動させるか、或いは、左駆動輪20を前進させ、右駆動輪19を左駆動輪20とは逆回転させることにより、筐体1を所定の角度だけ回転させ、ステップS11へ処理を戻す。また、制御部40は、
図26のフロー図のステップS10以降を実行する際に、累計で何度筐体1を回転させたかという情報を記憶部42に格納し、ステップS14で、制御部40は、記憶部42に格納された情報から累計で筐体1が何度回転したかを判定する。
【0122】
このように、
図26のフロー図に示す処理を実行することにより、部屋の中心から360度周囲の障害物の形状を検知し、地図情報に加えることができる。このため、障害物の立体的な情報を地図上に表示することが可能となる。或いは、立体的な地図情報を作成、表示することが可能となる。
【0123】
地図情報格納部55に記憶された地図情報は、通信部41を用いて、携帯端末等へ送信することが可能であり、使用者は、携帯端末の表示部に2次元的な地図情報或いは、立体的な地図情報を表示させることができる。
【0124】
このため、使用者は自律走行型掃除機で部屋を掃除する前に、部屋にどのような障害物があるかを把握することができ、自律走行型掃除機が乗り越え不可能な障害物を移動させることができる。
【0125】
以上、本開示を、実施例をもとに説明した。これらの実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0126】
上述した実施例は当業者が実施可能な最良の形態であるが、以下のように実施することも考えられる。
【0127】
本実施例では、筐体1を上ボデー2、下ボデー3、カバー5を有していると説明したが、筐体1が下ボデー3、カバー5を含む下ボデー3を有している、と定義しても良い。
【0128】
図5において、右駆動輪19及び左駆動輪20、2つの車輪支持部材21を夫々別の部品で説明したが、右駆動輪19と車輪支持部材21、左駆動輪20と車輪支持部材21、を夫々右駆動輪19、左駆動輪20として定義しても良い。
【0129】
図5において、右駆動輪19の中心軸と左駆動輪20の中心軸を結ぶ軸線よりも後方にバッテリー18が位置する構成としたが、この軸線上にバッテリー18の一部が位置する構成としても良い。
【0130】
実施例3において、LIDARカバー26の上方から障害物が衝突した場合、地震等で筐体1に物体が倒れた可能性があるため、掃除を中断して筐体1を充電台に帰還させる構成や、筐体1の移動を中止し、所定時間警告音を鳴動させる構成としても良い。
【0131】
実施例3において、LIDARカバー26とスイッチレバー27を別部品で構成したが、LIDARカバー26とスイッチレバー27を一体的に形成しても良い。
【0132】
実施例3において、使用者がLIDARカバー26を押下すると、自律走行型掃除機の走行を停止させる、或いは、電源をオフにし、再度使用者がLIDARカバー26を押下すると、自律走行型掃除機の走行を再開させる、或いは、電源をオンにする構成としても良い。このような構成とすることにより、容易に使用者が自律走行型掃除機の電源をオンオフさせたり掃除の中断や再開を行うように、操作することが可能となる。
【0133】
本実施形態の技術は、自律走行型掃除機以外にも、自動運転車、無人航空機、自走式ロボットなど、自走可能な各種の移動体に適用可能である。また、上記の実施例1~6の技術のうちの2以上を任意に組み合わせて適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明の自律走行型掃除機は、家庭用の電気掃除機、或いはオフィスや工場等で使用される業務用の電気掃除機等に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0135】
1 筐体、2 上ボデー、3 下ボデー、4 バンパ、5 カバー、6 LIDAR、7 排気口、8 サイドブラシ、9 後輪、10 超音波センサ、11 左上センサ、12 右上センサ、13 左下センサ、14 右下センサ、15 斜面、16 凹部、17 窓部、18 バッテリー、19 右駆動輪、20 左駆動輪、21 車輪支持部材、22 吸込口、23 メインブラシ、24 段差センサ、25 壁部、26 LIDARカバー、27 スイッチレバー、28 衝突検知部、29 スプリング、30 タクトスイッチ、31 回路基板、32 ベース部材、33 溝部、34 橋部、35 スイッチ突部、36 スイッチ穴部、37 遊動穴、38 遊動突部、39 回転部配置空間、40 制御部、41 通信部、42 記憶部、43 吸引モータ、44 右駆動部、45 左駆動部、46 バンパセンサ、47 回転部、48 上ボデー穴、49 カバー柱部、50 地図作製部、51 距離算出部、52 障害物形状検知部、53 自己位置判定部、54 地図情報作成部、55 地図情報格納部、56 通気口、60 充電台、80 物体、90 カム、91 軸。