(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】酸化染毛剤組成物セット
(51)【国際特許分類】
A61K 8/34 20060101AFI20230908BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20230908BHJP
A61K 8/22 20060101ALI20230908BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20230908BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20230908BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/19
A61K8/22
A61K8/37
A61K8/86
A61Q5/10
(21)【出願番号】P 2016103912
(22)【出願日】2016-05-25
【審査請求日】2019-05-21
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】森下 奈那
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕喜
【合議体】
【審判長】井上 典之
【審判官】野田 定文
【審判官】齊藤 真由美
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-509099(JP,A)
【文献】特表2004-529949(JP,A)
【文献】特開平2-172909(JP,A)
【文献】特開2008-94820(JP,A)
【文献】特開2007-126415(JP,A)
【文献】特開平11-49652(JP,A)
【文献】特開2016-41729(JP,A)
【文献】特表2011-503049(JP,A)
【文献】特表2012-524080(JP,A)
【文献】特表2012-524081(JP,A)
【文献】Hair Colour Cream,ID1731312,Mintel GNPD,[online],2012年2月,[検索日2020.12.03],<URL:https://www.portal.mintel.com>
【文献】医薬品・医療機器・化粧品登録許可証,台湾衛生福利部食品薬物管理署(Taiwan Food and Drug Administration,Ministry of Health and Welfare),衛署粧製字第004851號,[online],2008年9月1日,[検索日2020.12.03],<URL:https://info.fda.gov.tw/MLMS/H0001d.aspx?Type=Lic&LicId=07004851>
【文献】医薬品・医療機器・化粧品登録許可証,台湾衛生福利部食品薬物管理署(Taiwan Food and Drug Administration,Ministry of Health and Welfare),衛署粧製字第004851號,[online],2008年9月1日,[検索日2020.12.03],<URL:https://info.fda.gov.tw/MLMS/H0001D3.aspx?LicId=07004851>
【文献】医薬品・医療機器・化粧品登録許可証,台湾衛生福利部食品薬物管理署(Taiwan Food and Drug Administration,Ministry of Health and Welfare),衛署粧製字第005249號,[online],2009年10月6日,[検索日2020.12.03],<URL:https://info.fda.gov.tw/MLMS/H0001d.aspx?Type=Lic&LicId=07005249>
【文献】医薬品・医療機器・化粧品登録許可証,台湾衛生福利部食品薬物管理署(Taiwan Food and Drug Administration,Ministry of Health and Welfare),衛署粧製字第005249號,[online],2009年10月6日,[検索日2020.12.03],<URL:https://info.fda.gov.tw/MLMS/H0001D3.aspx?LicId=07005249>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ剤
、下記(A)成分、及び下記(B)成分0.02質量%以上を含有する第1剤と、酸化剤
を含有する第2剤とを
含む酸化染毛剤組成物
セットであって、(A)α-ナフトールを
使用時における酸化染毛剤組成物中において0.01~0.24質量%、(B)25℃で液状である、高級アルコール、エステル、及びロウから選ばれる少なくとも一種の油性成分、(C)エチレンオキサイドの付加モル数が20以上であるポリオキシエチレン鎖を有する非イオン性界面活性剤、ジアミン型染料を
使用時における酸化染毛剤組成物中に含有し、
使用時における酸化染毛剤組成物中において前記(C)成分の含有量に対する(B)成分の含有量の質量比が0.01~1.5である酸化染毛剤組成物
セット(但し、1種以上の植物抽出物、1種以上の天然油、及び1種以上の蛋白質加水分解物を組み合わせて含有する酸化染毛剤組成物
、非イオン性ポリエーテルポリウレタンポリマーを含有する酸化染毛剤組成物
、並びに使用時に1-ナフトール、オレイルアルコール、ラウレス-23、ステアレス-21、p-フェニレンジアミン、ベヘントリモニウムクロリド、ポリクオタニウム22、セチルアルコール、コカミドMEA、アンモニア、亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-PPDサルフェート、レゾルシノール、水、過酸化水素、ノノキシノール-2、ノノキシノール-4、及び燐酸を含む酸化染毛剤組成物を除く)。
【請求項2】
アルカリ剤
、下記(A)成分、及び下記(C)成分0.2質量%以上を含有する第1剤と、酸化剤
を含有する第2剤とを
含む酸化染毛剤組成物
セットであって、(A)α-ナフトールを
使用時における酸化染毛剤組成物中において0.01~0.24質量%、(B)25℃で液状である、高級アルコール、エステル、及びロウから選ばれる少なくとも一種の油性成分、(C)エチレンオキサイドの付加モル数が20以上であるポリオキシエチレン鎖を有する非イオン性界面活性剤、ジアミン型染料を
使用時における酸化染毛剤組成物中に含有し、
使用時における酸化染毛剤組成物中において前記(C)成分の含有量に対する(B)成分の含有量の質量比が0.01~1.5である酸化染毛剤組成物
セット(但し、1種以上の植物抽出物、1種以上の天然油、及び1種以上の蛋白質加水分解物を組み合わせて含有する酸化染毛剤組成物
、非イオン性ポリエーテルポリウレタンポリマーを含有する酸化染毛剤組成物
、並びに使用時に1-ナフトール、オレイルアルコール、ラウレス-23、ステアレス-21、p-フェニレンジアミン、ベヘントリモニウムクロリド、ポリクオタニウム22、セチルアルコール、コカミドMEA、アンモニア、亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-PPDサルフェート、レゾルシノール、水、過酸化水素、ノノキシノール-2、ノノキシノール-4、及び燐酸を含む酸化染毛剤組成物を除く)。
【請求項3】
使用時における酸化染毛剤組成物の25℃の粘度が3000~10000mPa・sであり、前記高級アルコールが分岐高級アルコールを含む請求項1
又は2に記載の酸化染毛剤組成物
セット。
【請求項4】
さらに、(D)ポリエチレングリコールを含有する請求項1
~3のいずれか一項に記載の酸化染毛剤組成物
セット。
【請求項5】
前記酸化染毛剤組成物セットは、さらに密閉容器を含み、前記第1剤は、クリーム状の剤型であり、前記第2剤は、液状の剤型であり、使用時に前記第1剤と第2剤が密閉容器内で混合され、
前記第1剤は、さらに、(E)ヒドロキシアルキルセルロース又はその誘導体を含有する請求項1~
4のいずれか一項に記載の酸化染毛剤組成物
セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ剤及び酸化剤を含有する酸化染毛剤組成物セットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、毛髪化粧料組成物として、複数の薬剤を混合することにより効果を発揮する染毛剤が知られている。そのような毛髪化粧料組成物としては、例えば、アルカリ剤及び酸化染料を含有する第1剤と、酸化剤、例えば過酸化水素を含有する第2剤とから構成される酸化染毛剤が知られている。アルカリ剤は、第2剤に含有される酸化剤の作用を促進するとともに、毛髪を膨潤させて毛髪への染料の浸透性を向上させることにより、染毛力を向上させる。酸化染料は、第2剤に含有される酸化剤による酸化重合に起因して発色可能な化合物であり、染料中間体及びカプラーに分類される。従来より、カプラーは、様々な種類が知られ、例えば特許文献1は、カプラーとしてα-ナフトールを含有し、クリーム状の剤型である酸化染毛剤について開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、カプラーとしてα-ナフトールを使用すると組成物の粘度安定性が低下するという問題があった。特に、比較的粘度が低いクリーム状の酸化染毛剤にα-ナフトールを配合すると、粘度の低下が生じ、使用時に垂れ落ち等の問題が生じた。
【0005】
本発明の目的は、α-ナフトールを使用する酸化染毛剤組成物セットにおいて、粘度安定性を向上できる酸化染毛剤組成物セットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、α-ナフトールを含有する酸化染毛剤組成物において、所定の油性成分及び界面活性剤を併用することにより、粘度安定性を向上できることを見出したことに基づくものである。尚、成分の含有量を示す質量%の数値は、水等の可溶化剤も含めた剤型中における数値である。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様では、アルカリ剤及び酸化剤を含有する酸化染毛剤組成物であって、(A)α-ナフトールを0.005~0.45質量%、(B)25℃で液状である、高級アルコール、エステル、及びロウから選ばれる少なくとも一種の油性成分、(C)エチレンオキサイドの付加モル数が20以上であるポリオキシエチレン鎖を有する非イオン性界面活性剤を含有することを特徴とする。
【0008】
前記(C)成分の含有量に対する(B)成分の含有量の質量比が0.01~1.5であってもよい。使用時における酸化染毛剤組成物の25℃の粘度が3000~10000mPa・sであってもよい。さらに、(D)ポリエチレングリコールを含有してもよい。前記酸化染毛剤組成物は、前記アルカリ剤を含有し、クリーム状の剤型である第1剤と、前記酸化剤を含有し、液状の剤型である第2剤を含んでなり、使用時に前記第1剤と第2剤が密閉容器内で混合され、前記第1剤は、さらに、(E)ヒドロキシアルキルセルロース又はその誘導体を含有してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、粘度安定性を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る酸化染毛剤組成物を具体化した一実施形態について説明する。2剤式の酸化染毛剤組成物は、第1剤と第2剤とから構成され、第1剤と第2剤が混合された後、毛髪の染毛に使用される。また、酸化染毛剤組成物は、3剤式の酸化染毛剤組成物として構成してもよい。
【0011】
<2剤式の酸化染毛剤組成物>
2剤式の酸化染毛剤組成物は、例えばアルカリ剤、酸化染料を含有する第1剤と酸化剤等を含有する第2剤から構成される。
【0012】
(2剤式の酸化染毛剤組成物の第1剤)
第1剤は、アルカリ剤及び酸化染料の他に、例えば(B)25℃で液状である、高級アルコール、エステル、及びロウから選ばれる少なくとも一種の油性成分、(C)エチレンオキサイド(以下、「EO」という)の付加モル数が20以上であるポリオキシエチレン(以下、「POE」という)鎖を有する非イオン性界面活性剤、(D)ポリエチレングリコール、及び(E)ヒドロキシアルキルセルロース又はその誘導体を含有する。酸化染料は、第2剤に含有される酸化剤による酸化重合に起因して発色可能な化合物であり、染料中間体及びカプラーに分類され、酸化染料はカプラーを含み、好ましくは染料中間体を含んでいる。
【0013】
染料中間体の具体例としては、例えばp-フェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン(p-トルイレンジアミン)、N-フェニル-p-フェニレンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルアミン、p-アミノフェノール、o-アミノフェノール、p-メチルアミノフェノール、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシエチル-p-フェニレンジアミン、o-クロル-p-フェニレンジアミン、4-アミノ-m-クレゾール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、2,4-ジアミノフェノール、それらの塩等が挙げられる。塩の具体例としては、例えば塩酸塩、硫酸塩等が挙げられる。これらの染料中間体の具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0014】
カプラーは、染料中間体と結合することにより発色する。本実施形態の酸化染毛剤組成物は、カプラーとして(A)α-ナフトールを含有している。酸化染毛剤組成物中、すなわち第1剤及び第2剤の混合物中における(A)α-ナフトールの含有量の下限は、0.005質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。(A)α-ナフトールの含有量が0.005質量%以上であると、特に染毛力をより向上できる。
【0015】
第1剤及び第2剤の混合物中における(A)α-ナフトールの含有量の上限は、0.45質量%以下、好ましくは0.4質量%以下、より好ましくは0.35質量%以下である。(A)α-ナフトールの含有量が0.45質量%以下であると、製剤の安定性を向上できる。
【0016】
第1剤中における(A)α-ナフトールの含有量は、適宜設定されるが、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.9質量%以下、さらに好ましくは0.8質量%以下である。第1剤中における(A)α-ナフトールの含有量が1質量%以下の場合、第1剤の粘度安定性を向上することができる。
【0017】
酸化染料は、毛髪の色調を様々に変化させることができることから、好ましくは、(A)α-ナフトール以外のカプラーも配合される。(A)α-ナフトール以外のカプラーの具体例としては、例えばレゾルシン、5-アミノ-o-クレゾール、m-アミノフェノール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール、m-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、トルエン-3,4-ジアミン、2,6-ジアミノピリジン、ジフェニルアミン、N,N-ジエチル-m-アミノフェノール、フェニルメチルピラゾロン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、それらの塩等が挙げられる。塩の具体例としては、例えば塩酸塩、硫酸塩等が挙げられる。これらのカプラーの具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。第1剤は、前記酸化染料以外の染料として、例えば「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載された酸化染料を適宜含有してもよい。
【0018】
第1剤及び第2剤の混合物中における全酸化染料の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。全酸化染料の含有量が0.01質量%以上であると、特に染毛力をより向上できる。
【0019】
第1剤及び第2剤の混合物中における全酸化染料の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。全酸化染料の含有量が10質量%以下であると、特に可溶化剤を使用する場合、可溶化剤に対する溶解性を向上できる。
【0020】
(B)成分は、(A)α-ナフトールを含有する酸化染毛剤組成物の粘度安定性を向上させる。(B)成分は、25℃で液状である高級アルコール、25℃で液状であるエステル、及び25℃で液状であるロウから選ばれる少なくとも一種の油性成分である。25℃で液状の高級アルコールの具体例としては、例えばイソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、2-ヘキシルデカノール、ラウリルアルコール等が挙げられる。25℃で液状のエステルの具体例としては、例えばアジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、セバシン酸ジイソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、パルミチン酸オクチル、乳酸ラウリル、乳酸オクチルドデシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、ジオクタン酸エチレングリコール、カプリル酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、2-エチルヘキサン酸セチル、25℃で液状のトリグリセライド、25℃で液状のアミノ酸エステル等が挙げられる。25℃で液状のトリグリセライドの具体例としては、例えばトリオレイン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン・ラウリン酸)グリセリル、トリ(カプリル・カプリン・リノール酸)グリセリル等が挙げられる。25℃で液状のアミノ酸エステルの具体例としては、例えばN-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)等が挙げられる。25℃で液状のロウの具体例としては、例えばホホバ油等が挙げられる。これらのうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。これらの中で、粘度安定性の向上効果により優れる観点から、25℃で液状である、高級アルコール及びエステルが好ましい。また、高級アルコールの中でも粘度安定性に優れる観点から、分岐高級アルコールが好ましい。
【0021】
第1剤及び第2剤の混合物中における(B)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上である。(B)成分の含有量が0.01質量%以上であると、粘度安定性をより向上できる。第1剤及び第2剤の混合物中における(B)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。(B)成分の含有量が5質量%以下であると、製剤安定性を向上できる。
【0022】
第1剤中における(B)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上である。第1剤中における(B)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは6質量%以下である。第1剤中における(B)成分の含有量をかかる範囲内に規定することにより(A)α-ナフトールを含有する製剤の安定性を向上できる。
【0023】
(C)EOの付加モル数が20以上であるPOE鎖を有する非イオン性界面活性剤は、(A)α-ナフトールを含有する酸化染毛剤組成物の粘度安定性を向上させる。(C)成分におけるPOE鎖のEOの付加モル数は、20以上、好ましくは25以上、より好ましくは30以上である。EOの付加モル数が20以上であると(A)α-ナフトールを含有する酸化染毛剤組成物の粘度安定性を向上できる。また、(A)α-ナフトールを含有する第1剤の粘度安定性を向上させる。(C)成分としては、例えばエーテル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤、アルキルグルコシド等が挙げられる。エーテル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばEOの付加モル数が20以上であるPOE鎖を有する、POEセチルエーテル(セテス)、POEステアリルエーテル(ステアレス)、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル(オレス)、POEラウリルエーテル(ラウレス)、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル、POEポリオキシプロピレンセチルエーテル、POEポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル等が挙げられる。
【0024】
エステル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばEOの付加モル数が20以上であるPOE鎖を有する、モノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0025】
アルキルグルコシドの具体例として、例えばEOの付加モル数が20以上であるPOE鎖を有する、POEメチルグルコシド、POEジオレイン酸メチルグルコシド等が挙げられる。これらの具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0026】
第1剤及び第2剤の混合物中における(C)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。(C)成分の含有量が0.1質量%以上であると、粘度安定性をより向上できる。第1剤及び第2剤の混合物中における(C)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。(C)成分の含有量が20質量%以下であると感触を向上できる。
【0027】
第1剤中における(C)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上である。第1剤中における(C)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。第1剤中における(C)成分の含有量をかかる範囲内に規定することにより(A)α-ナフトールを含有する第1剤に所望の粘度を付与することができる。
【0028】
上記(C)成分の含有量に対する(B)成分の含有量の質量比の下限は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.1以上である。かかる質量比を0.01以上とすることにより、粘度安定性をより向上できる。また、上記(C)成分の含有量に対する(B)成分の含有量の質量比の上限は、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.2以下、さらに好ましくは0.9以下である。かかる質量比を1.5以下とすることにより、(A)α-ナフトールを含有する第1剤の製剤安定性をより向上できる。
【0029】
(D)ポリエチレングリコールは、(A)α-ナフトールを含有する酸化染毛剤組成物の粘度安定性をより向上させる。そのため、酸化染毛剤組成物は、好ましくは(D)ポリエチレングリコールを含有する。(D)ポリエチレングリコールの数平均分子量の上限は、特に限定されないが、好ましくは2000以下、より好ましくは1600以下、さらに好ましくは1000以下である。数平均分子量を2000以下とすることにより、粘度安定性をより向上できる。(D)ポリエチレングリコールの数平均分子量の下限は、特に限定されないが、原料入手の容易性の観点から好ましくは100以上である。
【0030】
第1剤及び第2剤の混合物中における(D)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。(D)成分の含有量が0.1質量%以上であると、粘度安定性をより向上できる。第1剤及び第2剤の混合物中における(D)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。(D)成分の含有量が20質量%以下であると、染色性を向上することができる。
【0031】
(E)ヒドロキシアルキルセルロース又はその誘導体は、使用時における第1剤と第2剤の混合性を向上させる。例えば、酸化染毛剤組成物が、クリーム状の剤型である第1剤と、液状の剤型である第2剤を含む場合であっても、混合性を向上できる。そのため、第1剤中に好ましくは(E)ヒドロキシアルキルセルロース又はその誘導体を含有する。(E)成分の具体例としては、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。これらの中で、混合性に優れる観点からヒドロキシエチルセルロースが好ましい。
【0032】
第1剤中における上記(E)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上である。(E)成分の含有量が0.01質量%以上であると、使用時における第1剤と第2剤の混合性をより向上できる。
【0033】
第1剤中における上記(E)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。(E)成分の含有量が10質量%以下であると、組成物に対する溶解性を向上させることができる。
【0034】
第1剤に含有するアルカリ剤は、第2剤に含有される酸化剤の作用を促進させることにより、毛髪の染毛効果を向上する働きをする。アルカリ剤としては、例えばアンモニア、アルカノールアミン、ケイ酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、メタケイ酸塩、硫酸塩、塩化物、リン酸塩、有機アミン、塩基性アミノ酸、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物等が挙げられる。アルカノールアミンの具体例としては、例えばモノエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。ケイ酸塩の具体例としては、例えばケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等が挙げられる。炭酸塩の具体例としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等が挙げられる。炭酸水素塩の具体例としては、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。メタケイ酸塩の具体例としては、例えばメタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム等が挙げられる。硫酸塩の具体例としては、例えば硫酸アンモニウム等が挙げられる。塩化物の具体例としては、例えば塩化アンモニウム等が挙げられる。リン酸塩の具体例としては、例えばリン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等が挙げられる。有機アミンの具体例としては、例えば2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP)、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、グアニジン等が挙げられる。塩基性アミノ酸の具体例としては、例えばアルギニン、リジン等が挙げられる。アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。これらのアルカリ剤のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。これらの中で、染毛効果の向上の観点から、アンモニア、アンモニウム塩、及びアルカノールアミンが好ましく適用される。
【0035】
第1剤及び第2剤の混合物中におけるアルカリ剤の含有量は、pHが7~12の範囲となる量で配合されることが好ましい。第1剤及び第2剤の混合物のpHを7以上とすることにより、第2剤に含まれる酸化剤の作用をより促進することができる。第1剤及び第2剤の混合物のpHを12以下とすることにより、酸化染毛剤組成物の塗布による毛髪の損傷をより抑制することができる。
【0036】
酸化染毛剤組成物は、必要に応じて、前述した成分以外の成分、例えば可溶化剤、上記以外の水溶性ポリマー、上記以外の油性成分、上記以外の多価アルコール、上記以外の界面活性剤、pH調整剤、糖、防腐剤、安定剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン、香料、酸化防止剤、キレート化剤、紫外線吸収剤等をさらに含有してもよい。
【0037】
可溶化剤は、例えば、第1剤を液状等にする場合に配合される。使用される可溶化剤の例としては、例えば水及び有機溶媒(溶剤)が挙げられる。有機溶媒の具体例としては、例えばエタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、γ-フェニルプロピルアルコール、ケイ皮アルコール、アニスアルコール、p-メチルベンジルアルコール、α-ジメチルフェネチルアルコール、α-フェニルエタノール、エチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)、フェノキシイソプロパノール、2-ベンジルオキシエタノール、N-アルキルピロリドン、炭酸アルキレン、アルキルエーテル等が挙げられる。これらの可溶化剤のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。これらの中で、第1剤中のその他の成分を溶解する能力に優れることから水が好ましく適用される。溶媒として水が用いられる場合、第1剤と第2剤の混合物中における水の含有量(使用時の含有量)は、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上である。
【0038】
水溶性ポリマーは、酸化染毛剤組成物に適度な粘度を与える。そのため、酸化染毛剤組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内において水溶性ポリマーを含有してもよい。水溶性ポリマーとしては、例えば天然高分子、半合成高分子、合成高分子、及び無機物系高分子が挙げられる。天然高分子の具体例としては、例えばグアーガム、ローカストビーンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、トラガカントガム、ペクチン、マンナン、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン、デキストリン、トリグルコ多糖(プルラン)等が挙げられる。
【0039】
半合成高分子の具体例としては、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、デンプンリン酸エステル、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸塩等が挙げられる。カチオン化セルロースの具体例としては、例えばヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
【0040】
合成高分子の具体例としては、例えばポリビニルカプロラクタム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン-酢酸ビニル(VP/VA)コポリマー、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニル重合体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、エチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック共重合体、アクリル酸/アクリル酸アルキル共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム、イタコン酸とPOEアルキルエーテルとの半エステル、又はメタクリル酸とPOEアルキルエーテルとのエステルと、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらのアルキルエステルから選ばれる少なくとも一つの単量体と、からなる共重合体が挙げられる。これらの水溶性ポリマーのうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0041】
油性成分は、毛髪にうるおい感を付与する。そのため、酸化染毛剤組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内において油性成分を含有してもよい。油性成分としては、例えば油脂、25℃で固体状のロウ、25℃で固体状の高級アルコール、炭化水素、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、25℃で固体状のエステル、シリコーン等が挙げられる。
【0042】
油脂の具体例としては、例えばアルガニアスピノサ核油、ラノリン、オリーブ油(オリブ油)、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、月見草油等が挙げられる。25℃で固体状のロウの具体例としては、例えばミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ラノリンロウ、コメヌカロウ、サトウキビロウ、虫白ロウ、パームロウ、モンタンロウ等が挙げられる。25℃で固体状の高級アルコールの具体例としては、例えばセチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、ラノリンアルコール等が挙げられる。
【0043】
炭化水素の具体例としては、例えばパラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。高級脂肪酸の具体例としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ラノリン脂肪酸等が挙げられる。アルキルグリセリルエーテルの具体例としては、例えばバチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、イソステアリルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0044】
25℃で固体状のエステルの具体例としては、例えばステアリン酸ブチル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸オレイル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジエトキシエチル等が挙げられる。
【0045】
シリコーンの具体例としては、例えばジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン(例えば、(PEG/PPG/ブチレン/ジメチコン)コポリマー)、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。これらの油性成分のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0046】
多価アルコールとしては、例えばグリコール、及びグリセリンが挙げられる。グリコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールが挙げられる。グリセリンとしては、例えばグリセリン、ジグリセリン、及びポリグリセリンが挙げられる。これらの多価アルコールのうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0047】
界面活性剤は、乳化剤又は各成分を可溶化させるための成分として酸化染毛剤組成物を使用時に乳化又は可溶化させ、粘度を調整したり粘度安定性を向上させたりする。そのため、酸化染毛剤組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内において界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び上記以外の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0048】
アニオン性界面活性剤の具体例としては、例えばアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル、N-アルキロイルメチルタウリン塩、それらの誘導体等が挙げられる。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンの具体例としては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、トリエタノールアミン等が挙げられる。より具体的には、アルキルエーテル硫酸エステル塩としては、例えばPOEラウリルエーテル硫酸ナトリウムが挙げられる。アルキル硫酸塩の具体例として、例えばラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム等が挙げられる。アルキル硫酸塩の誘導体の具体例として、例えばPOEラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。スルホコハク酸エステルの具体例として、例えばスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム等が挙げられる。N-アルキロイルメチルタウリン塩の具体例として、例えばN-ステアロイル-N-メチルタウリンナトリウム等が挙げられる。
【0049】
カチオン性界面活性剤の具体例としては、例えば塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、ベヘニルジメチルアミン、ベヘニン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリルジメチルアミン、パルミトキシプロピルジメチルアミン、ステアロキシプロピルジメチルアミン、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド等が挙げられる。塩化アルキルトリメチルアンモニウムの具体例としては、例えば塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化アラキルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0050】
両性界面活性剤の具体例としては、例えばココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0051】
非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばエーテル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤、アルキルグルコシド等が挙げられる。エーテル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばEOの付加モル数が19以下であるPOE鎖を有する、POEセチルエーテル(セテス)、POEステアリルエーテル(ステアレス)、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル(オレス)、POEラウリルエーテル(ラウレス)、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル、POEポリオキシプロピレンセチルエーテル、POEポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル等が挙げられる。
【0052】
エステル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばEOの付加モル数が19以下であるPOE鎖を有する、モノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール等、及び親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル等が挙げられる。
【0053】
アルキルグルコシドの具体例として、例えばアルキル(炭素数8~16)グルコシド等、及びEOの付加モル数が19以下であるPOE鎖を有する、POEメチルグルコシド、POEジオレイン酸メチルグルコシド等が挙げられる。これらの界面活性剤の具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0054】
pH調整剤は、酸化染毛剤組成物のpHを調整するために配合してもよい。pH調整剤は、適宜公知のものから選択される。pH調整剤としては、例えば無機酸、有機酸、それらの塩等が挙げられる。有機酸の具体例としては、例えばクエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、レブリン酸、酢酸、酪酸、吉草酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、マンデル酸等が挙げられる。有機酸塩の具体例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。無機酸の具体例としては、例えばリン酸、ピロリン酸等のリン酸類、塩酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。これらは一種類のみであってもよいし、二種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0055】
糖の具体例としては、例えばグルコース、ガラクトース等の単糖、マルトース、スクロース、フルクトース、トレハロース等の二糖、糖アルコール等が挙げられる。防腐剤の具体例としては、例えばパラベン、メチルパラベン、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。安定剤の具体例としては、例えばフェナセチン、8-ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、タンニン酸等が挙げられる。酸化防止剤の具体例としては、例えばアスコルビン酸類及び亜硫酸塩等が挙げられる。キレート化剤の具体例としては、例えばエデト酸(エチレンジアミン四酢酸(EDTA))、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩類、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸及びその塩類、並びにヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)及びその塩類等が挙げられる。
【0056】
第1剤の剤型は特に限定されず、具体例として、25℃における剤型が、例えば水溶液や乳液等の液状、ゲル状、フォーム状、クリーム状、固体状等が挙げられる。これらの中で、頭髪への塗布性と、複数剤の混合性を兼ね備える観点からクリーム状の剤型が好ましい。
【0057】
(2剤式の酸化染毛剤組成物の第2剤)
第2剤は、酸化剤の他、上述した可溶化剤等を配合することもできる。酸化剤は、毛髪に含まれるメラニンの脱色性をより向上させる。酸化剤の具体例としては、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、及びピロリン酸塩の過酸化水素付加物等が挙げられる。これらの酸化剤の具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。第2剤中における酸化剤の含有量は、適宜設定されるが、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、さらに好ましくは3質量%以上である。酸化剤の含有量が0.1質量%以上の場合、メラニンの脱色性をより向上することができる。また、第2剤中における酸化剤の含有量は、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは9質量%以下であり、さらに好ましくは6質量%以下である。酸化剤の含有量が15質量%以下の場合、毛髪の損傷等をより抑制することができる。
【0058】
酸化剤として過酸化水素を第2剤に配合する場合、過酸化水素の安定性を向上させるために、好ましくは、第2剤は、安定化剤、例えばスズ酸ナトリウム、エチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)、ヒドロキシエタンジホスホン酸及びその塩を含有する。ヒドロキシエタンジホスホン酸塩としては、例えばヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム、及びヒドロキシエタンジホスホン酸二ナトリウムが挙げられる。第2剤は、酸化染毛剤組成物に一般的に含有され、且つ前述した各成分の作用を阻害しない各成分を含有してもよい。例えば、前述した第1剤に含有される成分を本発明の効果を阻害しない範囲内において適宜含有してもよい。
【0059】
第2剤の剤型は特に限定されず、具体例として、25℃における剤型が、例えば水溶液や乳液等の液状、ゲル状、フォーム状、クリーム状、固体状等が挙げられる。第1剤がクリーム状の剤型が適用される場合、第2剤の剤型は第1剤との混合性を向上させる観点から乳液等の液状の剤型であることが好ましい。
【0060】
<3剤式以上の酸化染毛剤組成物>
例えば、2剤式の酸化染毛剤組成物の第1剤について、アルカリ剤を含有する剤と、アルカリ剤以外の組成を有する剤の2つに分け、3剤式の酸化染毛剤組成物として構成してもよい。この場合、3剤式の酸化染毛剤組成物は良好な製剤安定性を有する。このようにして、製剤安定性等の観点から、第1剤又は第2剤に含有される各成分を、複数剤に分けて保存してもよい。酸化染毛剤組成物を3剤式以上に構成した場合であっても、本発明の効果を奏する限りにおいて依然として本発明に含まれるものとする。
【0061】
<酸化染毛剤組成物の混合物の調製>
酸化染毛剤組成物は、使用時に上述した各剤を混合して混合物が調製される。混合物の調製は、所定容量の密閉容器内に各剤を所定量投入し、振とう混合することにより調製してもよく、トレー等の器内に各剤を投入し、刷毛、撹拌棒等を用いて撹拌混合により調製してもよい。例えば、第1剤がクリーム状の剤型、第2剤が液状の場合、混合操作のしやすさから、好ましくは100~300mLの筒状の密閉可能な容器が用いた振とう混合が好ましい。また、容器内における混合物の総量は、混合性向上の観点から密閉容器の内容量に対して20~80容量%であることが好ましい。各剤が投入された密閉容器による振とう混合は、手動で上下・左右の往復運動や回転運動等により行ってもよく、加振機等を用いて機械的に行ってもよい。得られた酸化染毛剤組成物の混合物は、必要量だけ薄手の手袋をした手、コーム(櫛)又は刷毛、吐出口を有する蓋若しくは櫛付き容器等により毛髪に塗布される。
【0062】
混合物が吐出口を有する蓋又は櫛付き容器により毛髪に塗布される場合、混合物の25℃における粘度が3000~10000ミリパスカル秒(mPa・s)であることが好ましく、4000~9000mPa・sがより好ましい。混合物の粘度がかかる範囲内の場合、吐出口を有する蓋又は櫛付き容器からの吐出性及び塗布性を向上できる。混合物の粘度は、例えばB型粘度計を用い、25℃及び1分間の測定条件で求めることができる。B型粘度計の具体例としては、例えばBL型粘度計VISCOMETER(東機産業社製)を挙げることができる。使用するロータ及び回転速度は、測定機器の測定可能な粘度範囲に従い適宜選択される。例えば、3号ロータを用い、120rpmの条件で求めることができる。混合物の粘度は、上述した可溶化剤、水溶性高分子、油性成分、界面活性剤等の配合割合を変化させることによって適宜調節することができる。
【0063】
本実施形態に係る酸化染毛剤組成物は以下の利点を有する。
(1)本実施形態に係る酸化染毛剤組成物は、所定量の(A)α-ナフトールを含有する構成において、(B)25℃で液状の高級アルコール等の油性成分、及び(C)EOの付加モル数が20以上であるPOE鎖を有する非イオン性界面活性剤を配合した。したがって、α-ナフトールを使用する酸化染毛剤組成物において、粘度安定性を向上できる。特に、酸化染毛剤組成物の混合物の25℃における粘度が3000~10000mPa・sの低粘度の場合であっても、粘度の低下を抑制し、垂れ落ち等の塗布性の低下を抑制することができる。
【0064】
(2)本実施形態に係る酸化染毛剤組成物は、第1剤中に(A)α-ナフトールを含有する構成において、(B)25℃で液状の高級アルコール等の油性成分、及び(C)EOの付加モル数が20以上であるPOE鎖を有する非イオン性界面活性剤を所定の比率で配合した。したがって、α-ナフトールを含有する第1剤の粘度安定性を向上できる。また、第1剤の製剤安定性を向上できる。
【0065】
(3)酸化染毛剤組成物が、クリーム状の剤型である第1剤と液状の剤型である第2剤を含んでなり、使用時に第1剤と第2剤が密閉容器内で振とう混合される構成において、さらに第1剤が(E)ヒドロキシアルキルセルロース又はその誘導体を含有する場合、第1剤と第2剤の混合性を向上できる。
【0066】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態の酸化染毛剤組成物では、(A)~(D)成分が、使用時において、混合物中に含有されていれば、本発明の効果を奏することができる。したがって、酸化染毛剤組成物が複数剤型として構成される場合、保存時において、(A)~(D)成分はいずれの剤中に含有されてもよい。
【0067】
・上記実施形態において、酸化染毛剤組成物を構成する第1剤、第2剤、又は第3剤に含有される各成分の一部を別剤として構成し、剤型の数を増やしてもよい。
・第1剤又は第2剤の粘度範囲は、特に限定されないが、例えば乳液の剤型の場合、25℃における粘度が好ましくは3000~10000mPa・s、クリーム状又はゲル状の剤型の場合、25℃における粘度が好ましくは10000~50000mPa・sである。粘度は、例えばB型粘度計を用い、上記と同様の方法により測定することができる。
【0068】
・上記実施形態において、上述した酸化染料以外の染料として、本発明の効果を阻害しない範囲内において、例えば「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載された直接染料を適宜含有してもよい。
【実施例】
【0069】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。尚、本発明は、実施例欄記載の構成に限定されるものではない。
酸化染毛剤組成物として、表1,2に示す各成分を含有するクリーム状の剤型である第1剤、及び表3に示す各成分を含有する乳液の剤型である第2剤をそれぞれ調製した。なお、各表における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。表中「成分」欄における(A)~(E)の表記は、本願請求項記載の各成分に対応する化合物を示す。一方、表中「成分」欄における「c」の表記は、本願請求項記載の各成分の対比化合物を示す。第1剤について、製剤安定性について下記に示す方法により評価した。
【0070】
次に、第1剤及び第2剤を2:3の比率で混合し、酸化染毛剤組成物の混合物を調製した。第1剤及び第2剤の混合操作は、高さ12cm、直径4.5cmの円筒状の蓋付き密閉容器(内容量200mL)を用い、第1剤と第2剤の合計量120mLを充填した後、上下方向へ30回往復運動により振とう混合した。得られた混合物の粘度を下記の条件で測定した。また、第1剤と第2剤を混合する際の混合性について下記に示す方法により評価した。粘度は、B型粘度計としてBL型粘度計VISCOMETER(東機産業社製)及び3号ロータを使用し、25℃、120rpmの条件で求めることができる。
【0071】
(第1剤の製剤安定性)
各例の第1剤について、ガラス瓶に入れ、60℃の恒温漕中で24時間保存した後、第1剤の分離状態を目視にて評価することによりクリーム状の第1剤の保持効果が良いか否かを判断した。分離が認められないものを評価5、分離がやや認められるもの評価3、分離がかなり認められるものを評価1、各評価の中間のものをそれぞれ評価4,2とした。結果を下記表に示す。
【0072】
(混合物の粘度安定性)
実施例1の構成に対してα-ナフトールを含有しない酸化染毛剤組成物の第1剤を用いたものを参考例1として調製した。各例の混合物を調製した直後、1分以内に混合物の粘度を、上記と同じ条件で測定した。各例の混合物の粘度及び参考例1の混合物の粘度から粘度差(参考例1の混合物の粘度-各例の混合物の粘度)を算出した。
【0073】
この粘度差が小さいほど、混合物の粘度安定性に優れることを示している。粘度差の絶対値が500mPa・s未満の場合を評価5、500mPa・s以上1500mPa・s未満の場合を評価4、1500mPa・s以上2000mPa・s未満の場合を評価3、2000mPa・s以上2500mPa・s未満の場合を評価2、2500mPa・s以上の場合を評価1とした。結果を下記表に示す。
【0074】
(混合性)
パネラー5名が、第1剤と第2剤を蓋付き密閉容器内に充填し、容器を上下方向に10回穏やかに振とうした際の振とう後の混合物の状態をパネラーが目視にて混合度合いを以下の基準で評価することにより、混合性を判断した。不均一な部分が全くないものを評価5、不均一な部分がほぼないものを評価4、不均一な部分がやや残っているものを評価3、不均一な部分が残っていると容易に判断できるものを評価2、不均一な部分が多く残っているものを評価1の5段階で採点し、各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が4.6点以上を「優れる:5」、3.6点以上4.6点未満を「良好:4」、2.6点以上3.6点未満を「可:3」、1.6点以上2.6点未満を「やや不良:2」、及び1.6点未満を「不良:1」とし、評価結果とした。結果を下記表に示す。
【0075】
【0076】
【0077】
【表3】
表1,2に示されるように、各実施例は、各評価項目について3以上の評価結果であることが確認された。(B)成分を含有しない比較例1は、各実施例に対して、粘度安定性の評価が劣ることが確認された。(C)成分を含有しない比較例2は、各実施例に対して、粘度安定性の評価が劣ることが確認された。(A)α-ナフトールの含有量が多い比較例3,4は、第1剤の安定性の評価が劣ることが確認された。なお、比較例3,4は、第1剤の安定性がよくないため、混合性の評価を行っていない。