(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】食品包装用フィルムによって包装された包装食品
(51)【国際特許分類】
B65D 65/34 20060101AFI20230908BHJP
B65D 65/10 20060101ALI20230908BHJP
B65D 85/50 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
B65D65/34
B65D65/10 A
B65D85/50 140
(21)【出願番号】P 2019044539
(22)【出願日】2019-03-12
【審査請求日】2022-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】595124284
【氏名又は名称】株式会社大阪包装社
(74)【代理人】
【識別番号】100103975
【氏名又は名称】山本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】橋本 昌和
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-255913(JP,A)
【文献】特開2004-189319(JP,A)
【文献】特開2004-262536(JP,A)
【文献】特開2004-323029(JP,A)
【文献】登録実用新案第3152459(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0100342(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/34
B65D 65/10
B65D 85/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を包装するフィルムは、
幅方向の中央部に前端部から後端部に亘ってカットテープを貼着している矩形状の第一合成樹脂フィルムと、
この第一合成樹脂フィルムにおける食品被覆面の前部上に後部を重ね合わせてその後端部を全幅に亘り帯状の融着部によって第一合成樹脂フィルムに貼着してなる第二合成樹脂フィルムと、
上記融着部から第二合成樹脂フィルムの後部下面に沿って前方に突出している第一合成樹脂フィルムの前部に上記カットテープの前部の側端面に沿って前端面か
ら切込み形成され
且つ上記カットテープの側端面に沿って上記第一合成樹脂フィルムを切断可能にする一条の開封用スリットとを備えてなり、
この食品包装用フィルムの上記食品被覆面の中央部によって食品の上面を被覆していると共に前後両側部の折り曲げによって食品の周面から下面に亘って被覆してあり、さらに、上記第一合成樹脂フィルムにおける上記帯状の融着部から前方に延出した上記スリットを設けている前部を食品の周面を被覆している上記第二合成樹脂フィルムから遊離して食品の上端縁を支点として前方に向かって斜め下方に突出した開封用摘まみ部に形成していることを特徴とする包装食品。
【請求項2】
第一合成樹脂フィルムと第二合成樹脂フィルムとを融着している帯状の融着部
上に、この食品包装用フィルムによって
包装された食品の前端角部
が載置されていることを特徴とする請求項1に記載の包装食品。
【請求項3】
一条のスリットは、第一合成樹脂フィルムの前部において、カットテープの前部の一側端面に沿ってのみ設けられていることを特徴とする請求項1に記載の包装食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おにぎりやドーナツ、パンなどの食品を包装フィルムによって包装してなる包装食品の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の包装食品としては、例えば、特許文献1に記載されているように、矩形状の合成樹脂フィルムを筒状に折り曲げて食品の下面から両側面及び上面に亘って被覆すると共に食品の上面において上記合成樹脂フィルムの両側端部を合掌状に合わせて接着した接着部と、食品の前後両端から突出する合成樹脂フィルムの前後端部を閉じた接着部とを有し、さらに、上記筒状に折り曲げたフィルムの内周面に上記合掌状に合わせた接着部の途中から周方向に伸び、他端がこの接着部に達しないカットテープを接着し、且つ、合掌状に合わせた接着部のカットテープを接着させた部位の端部に、カットテープを挟むようにしてカットテープの端部に向かって2条の開封用スリットを設けてなる構造のものが知られている。
【0003】
また、特許文献2には、幅方向の中央部にカットテープを貼着していると共にこのカットテープの長さ方向の中間部にカットテープを横断する円弧状の開封用切り込み部を設けた矩形状の合成樹脂フィルムによって円盤状のおにぎりを包装してなる包装食品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-91430号公報
【文献】実用新案登録第3190134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の包装食品によれば、開封するための2条のスリットを、物品を包装している合成樹脂フィルムにおける両側端部が互いに合掌状に接合、接着している接着部分に設けていると共に、この接着部分は、包装体の長さ方向の両端部の接着によって物品を包装している合成樹脂フィルムの表面上に密接した状態で重ね合わされた構造となっているため、スリット間によって形成されている摘まみ片も物品を包装している上記合成樹脂フィルムの表面上に密接させた状態を保持しており、そのため,開封時には、まず、この摘まみ片を指先で捲り上げて起立させる操作を必要とし、しかるのち、摘まみ片を摘んで開封しなければならず、その操作が煩わしくて開封に手間取るといった問題点があった。
【0006】
さらに、上記2条の開封用スリットは、カットテープを挟むようにして設けられているので、スリット間の摘まみ片を捲ってカットテープを接着させているフィルム部分をカットテープと共に周方向に剥離することができても、カットテープを介して区画されている包装フィルムの一半部と他半部とのいずれかのフィルム部分をカットテープによる開封と同時に剥離して食品の一半部又は他半部を露出させる操作が困難となり、食品を食するのにも手間を要することになる。
【0007】
また、、上記特許文献2に記載の包装食品においても、円盤状のおにぎりを包装している合成樹脂フィルムにおいて、円弧状の開封用切り込み部を設けたカットテープ部分は、おにぎりの上面に密着するように長さ方向に緊張させた状態で配設されているため、開封時には上記開封用切り込み部を指先で捲り上げて引き起し、しかるのち、引き起こした部分を摘んで開封する操作を必要とし、開封に手間取るといった問題点がある。
【0008】
さらに、開封はカットテープの長さ方向の両側端に沿って行われるため、カットテープ部分のみが全周に亘って剥離された状態となり、食品の一半部、或いは他半部を全面的に露出させることが困難であるといった問題点があった。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、食品を包装しているフィルム部分の開封位置が易開封な状態となるように精度よく包装されていて開封操作が簡単且つ正確に行えると共に、開封と同時に食品の一半部又は他半部を露出させることができるようにした包装食品を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の包装食品は、請求項1に記載したように、食品を包装するフィルムは、幅方向の中央部に前端部から後端部に亘ってカットテープを貼着している矩形状の第一合成樹脂フィルムと、この第一合成樹脂フィルムにおける食品被覆面の前部上に後部を重ね合わせてその後端部を全幅に亘り帯状の融着部によって第一合成樹脂フィルムに貼着してなる第二合成樹脂フィルムと、上記融着部から第二合成樹脂フィルムの後部下面に沿って前方に突出している第一合成樹脂フィルムの前部に上記カットテープの前部の側端面に沿って前端面から上記融着部近傍に達するまで切込み形成された一条の開封用スリットとを備えてなり、この食品包装用フィルムの上記食品被覆面の中央部によって食品の上面を被覆していると共に前後両側部の折り曲げによって食品の周面から下面に亘って被覆してあり、さらに、上記第一合成樹脂フィルムにおける上記帯状の融着部から前方に延出した上記スリットを設けている前部を、食品の周面を被覆している上記第二合成樹脂フィルムから遊離して食品の上端縁を支点として前方に向かって斜め下方に突出した開封用摘まみ部に形成していることを特徴とする。
【0011】
このように構成した食品包装用フィルムにより包装された包装食品において、請求項2に係る発明は、上記第一合成樹脂フィルムと第二合成樹脂フィルムとを融着している帯状の融着部は、この食品包装用フィルムによって食品を包装する際の食品の前端角部の位置付け部であることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、上記一条のスリットは、第一合成樹脂フィルムの前部において、カットテープの前部の一側端面に沿ってのみ設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の包装食品によれば、上記食品包装用フィルムによって食品を包装する過程において、第一合成樹脂フィルムの前部にその後部を帯状の融着部を介して貼着している第二合成樹脂フィルムを、食品の上面側から前側周面に向かって折り曲げて食品を被覆する際に、融着部から前方に向かって延出している上記第一合成樹脂フィルムにおけるスリットを有する開封用摘まみ部を設けた前部は、食品を被覆している第二合成樹脂フィルムの外面、即ち、食品被覆面と反対側の面上に設けられているので、第二合成樹脂フィルム上に重なった状態で一体に折り曲げられることなく、下方に向かって折り曲げられる第二合成樹脂フィルム上から、食品の上端縁を支点として前方に向かって斜め下方に遊離した食品包装形態となる。
【0014】
従って、食品を包装したフィルムにおける開封用摘まみ部の位置を一目で確認することができると共にその開封用摘まみ部を食品の前側周面を被覆している第二合成樹脂フィルム上から捲り上げることなく、直接、摘むことができ、この開封用摘まみ部を後方に向かって斜め上方に引き上げれば、スリットからカットテープの一側端に沿ってフィルムを切断しながら開封する操作が円滑且つ正確に行えると共に、開封と同時に食品の一半部又は他半部を露出させることができる。
【0015】
また、上記食品包装用フィルムによって食品を包装する際に、この食品包装用フィルムにおける上記第一合成樹脂フィルムと第二合成樹脂フィルムとの帯状の融着部に、食品の前端角部を位置付けて包装することにより、上記開封用摘まみ部を設けている第一合成樹脂フィルムの前部の中央部が食品の上面前端角部から斜め下方に向かって正確に突出した包装形態を得ることができる。
【0016】
さらに、上記開封用摘まみ部に設けているスリットを上記第一合成樹脂フィルムの前部に設けている上記カットテープの前部の一側端面に沿って一条のみ形成しておくことにより、開封用摘まみ部をカットテープ側に向かって捲り上げれば、カットテープを貼着しているフィルム部分をカットテープと共に簡単に剥離することができ、このフィルム部分により包装されていた食品の半部分を全面的に外部に露出させて食することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】食品包装用フィルムによって包装された包装食品の斜視図。
【
図2】
図1における開封開始部分のY-Y線拡大縦断側面図。
【
図3】食品被覆面を上側に向けた状態の食品包装用フィルムの斜視図。
【
図4】食品被覆面を下側に向けた状態の食品包装用フィルムの斜視図。
【
図6】食品包装用フィルムの食品被覆面上に食品を載せた状態の斜視図。
【
図7】食品包装用フィルムの両側部を折り曲げた包装途上状態の斜視図。
【
図8】食品包装用フィルムの前後部を折り畳んだ包装途上状態の斜視図。
【
図9】食品を包装した状態の食品の下面側から見た斜視図。
【
図12】食品包装用フィルムにより食品包装態様の変形例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の具体的な実施の形態を図面に基づいて説明すると、
図1は食品包装用フィルム1によって包装された円盤形状に握られたおにぎり(以下、食品Aとする)の斜視図、
図2はその開封開始部分の拡大縦断側面図であって、上記食品包装用フィルム1の一部によって形成された包装食品の開封用摘まみ部2は、食品Aの前側周面の上端縁から前方に向かって斜め下方に突出してあり、この摘まみ部2からの開封操作を円滑に行えるように構成した包装形態としている。なお、上記食品包装用フィルム1によって包装される食品としては、円盤形状に握られたおにぎりに限らず、ドーナツやパン、饅頭であってもよく、また、円盤形状に限らず、平面矩形状、リング形状等であってもよい。
【0019】
上記のように食品Aを包装するための食品包装用フィルム1としては、
図3~
図5に示すように、幅方向の中央部に前端部から後端部に亘って一定幅と長さを有する帯状の合成樹脂フィルムよりなるカットテープ3を貼着したヒートシール性を有する矩形状の第一合成樹脂フィルム1aと、この第一合成樹脂フィルムにおける食品被覆面の前部上にその後部を重ね合わせてこの後部の後端部を全幅に亘って帯状の融着部4によって第一合成樹脂フィルム1aに貼着してなる横長長方形状の第二合成樹脂フィルム1bと、上記融着部4から第二合成樹脂フィルム1bの後部下面に沿って前方に延出(突出)している第一合成樹脂フィルム1aの前部に上記カットテープ3の前部の一方の側端面に沿って前端面から上記融着部近傍に達するまで切込み形成された一条の開封用スリット5とを備えてなる。
【0020】
上記第一合成樹脂フィルム1aと第二合成樹脂フィルム1bとの両側端間の幅は、食品Aの上面から左右両側側周面と下面とに亘って被覆可能な幅を有する。さらに、第二合成樹脂フィルム1bの後部を重ね合わせている上記第二合成樹脂フィルム1bの上側に向けた面(上面)は食品被覆面であって、この面の幅方向の中央部に上記前後方向に長いカットテープ3を融着することによって貼着している。
【0021】
第一合成樹脂フィルム1aの食品被覆面における前部にその後部を重ね合わせて後端部を上記融着部4によって貼着されている上記第二合成樹脂フィルム1bの前後端間の長さは、食品Aの前側周面から下面に亘って被覆可能な長さを有し、その前部は第一合成樹脂フィルム1aの前端から前方に延出している一方、上記融着部4から前方に延出している第一合成樹脂フィルム1aにおける前部は第二合成樹脂フィルム1bの下面(食品被覆面とは反対側の面)に接着することなく第二合成樹脂フィルム1bの後部下面に接してこの後部の下面に対して全面的に遊離した遊離片部1cに形成されている。
【0022】
この遊離片部1cの前後端間の長さは食品Aの前側周面の少なくとも上半部を被覆し得る長さ、即ち、食品Aの高さ(厚み)の1/2~1に相当する長さに形成されていると共に、この遊離片部1cの幅方向の中央部に上記カットテープ3の前端部が設けられてあり、このカットテープ3とカットテープ3の一側端面に沿って切込み形成された上記開封用スリット5とを設けている遊離片部1cの上記幅方向の中央部を上記開封用摘まみ部2としている。
【0023】
さらに、上記第一合成樹脂フィルム1aの前部に第二合成樹脂フィルム1bの後端部を貼着している上記帯状の融着部4は、上記第一、第二合成樹脂フィルム1a、1bによって食品Aを包装する際に、食品被覆面上に載せる食品Aの前側周面の前端角部をこの融着部4に合わせて、食品Aの包装位置を定める位置決めの役目を兼ねている。
【0024】
そして、このように第一、第二合成樹脂フィルム1a、1bを備えた食品包装用フィルム1の食品被覆面上に食品Aを載置した際に、融着部4に合わせた食品Aの前端から前方に引き出される第二合成樹脂フィルム1bの長さと、食品Aの後端から後方に引き出される第一合成樹脂フィルム1aの後部との長さが略同じ長さであって、それぞれ食品Aの前後側周面から食品Aの下面を被覆できる長さに形成されている。
【0025】
以上のように構成した食品包装用フィルム1によって、例えば、円盤形状に握られたおにぎりからなる食品Aを包装するには、まず、
図6に示すように、食品包装用フィルム1の食品被覆面を上側に向けて、この食品包装用フィルム1の中央部上に食品Aを、その上面(天面)を下向きにして載置する。この際、食品Aの前側周面における下側の前端角部を、第一合成樹脂フィルム1aと第二合成樹脂フィルム1bとを接続している上記帯状融着部4の中央部上に載せるように合わせて位置決めする。
【0026】
しかるのち、
図7に示すように、食品包装用フィルム1における第一合成樹脂フィルム1aの後部を食品Aの後側周面から、上向き状態のこの食品Aの下面(底面)の後半部上に接して上方から前方に向かって湾曲させることにより食品Aの後半部を被覆すると共に、第二合成樹脂フィルム1bを、上記融着部4を支点として食品Aの前側周面からこの食品の上記下面(底面)の前半部上に接して上方から後方に向かって湾曲させることにより食品Aの前半部を被覆させ、食品Aの上向き状態の下面(底面)における前後方向の中央部上でその内側に向かって折り曲げた第二合成樹脂フィルム1bの前端部と上記第一合成樹脂フィルム1aの内側に向かって折り曲げた後端部とを重ね合わせ、食品包装用フィルム1全体を食品Aを包み込んだ筒状形態にする。なお、上記重ね合わせ部を必要に応じて融着等により一体に接着してもよい。
【0027】
この際、上記第二合成樹脂フィルム1bを第一合成樹脂フィルム1aとの融着部4から食品Aの前側周面に接するように上方に折り曲げた時に、上記融着部4から前方に延出している第一合成樹脂フィルム1aにおける前部によって形成された遊離片部1cは、第二合成樹脂フィルム1bと一体に重なり合った状態で折り曲げられることなく、第二合成樹脂フィルム1bの上方への折り曲げに従ってこの第二合成樹脂フィルム1bから遊離して融着部4を支点として前方に向かって突出した状態となると共に、第一、第二合成樹脂フィルム1a、1bからなる食品包装用フィルム1の筒状に湾曲した両側部は食品Aの両側周面から外方に向かって水平に突出した状態となっている。
【0028】
次いで、
図8に示すように、上記筒状に湾曲している第一、第二合成樹脂フィルム1a、1bからなる食品包装用フィルム1の両側部における上半部をそれぞれ食品Aの上向きにした面(底面)における前後角部を支点として下方に向かって折り曲げて下半部上に重ね合わせることにより偏平状の折り重ね部11、12を形成したのち、
図9に示すように、これらの折り重ね部11、12を食品Aの両側周面から上向きにした面(底面)を被覆するように上方から内方に向かって折り曲げてその対向端部を食品Aの上向きにした面(底面)上で重ね合わせて一体に貼着する。
【0029】
この際に、上記折り重ね部11、12を食品Aの両側周面から上向きにした面(底面)を被覆するように折り曲げると、上記第一合成樹脂フィルム1aの前部によって形成されている遊離片部1cは食品Aの前側周面を被覆している第二合成樹脂フィルム1bから離れて開封用摘まみ部2を有する中央部は融着部4を支点として第二合成樹脂フィルム1bに対して斜め前方に向かって突出した状態となる。
【0030】
このように、食品包装用フィルム1によって食品Aを包装することにより、
図1、
図2に示すように、食品Aの上面(天面)は食品包装用フィルム1の食品被覆面の中央部によって被覆されていると共に、食品Aの前側周面から下面の前半部に亘って食品包装用フィルム1の第二合成樹脂フィルム1bにより被覆されている一方、食品Aの後側周面から下面の後半部に亘って食品包装用フィルム1の第一合成樹脂フィルム1aの後部によって被覆されてあり、さらに、上記第一合成樹脂フィルム1aにおける上記帯状の融着部4から前方に延出した上記カットテープ3の前部の一側端面に沿ってスリット5を設けている開封用摘まみ部2を有する遊離片部1cの前部中央は、食品Aの前側周面を被覆している上記第二合成樹脂フィルム1bに対して食品Aの上端縁を支点として前方に向かって斜め下方に遊離した包装食品の形態となる。
【0031】
食品包装用フィルム1によって包装された食品を食するには、まず、上記カットテープ3の前部の一側端面に沿ってスリット5を設けている上記開封用摘まみ部2を摘む。この際、この開封用摘まみ部2を設けている第一合成樹脂フィルム1aの遊離片部1cは食品Aの前側周面を被覆している第二合成樹脂フィルム1bから遊離して食品Aの上端縁から斜め前方に向かって突出しているので、この開封用摘まみ部2による食品包装用フィルム1の開封開始位置を簡単に認知することができると共に開封用摘まみ部2のみを確実に摘んで円滑に開封操作を行うことができる。
【0032】
さらに、摘んだ開封用摘まみ部2をスリット5からカットテープ3側に向かって捲り上げると、
図10、
図11に示すように、スリット5からこのスリット5を設けているカットテープ3の一側端面に沿って食品Aの一半部を包装している第一合成樹脂フィルム1aが切断、剥離されて食品Aの一半部が全面的に露出し、食品Aの他半部を被覆しているフィルム部分を把持しながら露出した食品Aを食することができる。
【0033】
なお、上記実施例においては、食品包装用フィルム1によって食品Aを包装する際に、食品包装用フィルム1の中央部上に載置した食品Aに対して、まず、食品包装用フィルム1における第二合成樹脂フィルム1bと第一合成樹脂フィルム1aの後部とによって食品Aの前後側周面から上向きにしている面(底面)の前後半部を包んだのち、食品Aの両側周面から外方に向かって突出している筒状に湾曲した第一、第二合成樹脂フィルム1a、1bの両側部をその上半部が下半部上に重なるように偏平状に折り重ね、これらの折り重ね部11、12によって食品Aの両側周面から食品Aの上向きにしている面(底面)を被覆しているが、食品包装用フィルム1の中央部上に載置した食品Aに対して、まず、食品包装用フィルム1の両側部によって食品Aの両側周面から上向きにしている面(底面)の両側部を包んだのち、食品Aの前後周面から外方に向かって突出している第二合成樹脂フィルム1bと第一合成樹脂フィルム1aの後部とによって食品Aの前後周面から食品Aの上向きにしている面(底面)を被覆してもよい。
【0034】
詳しくは、
図6に示すように、食品包装用フィルム1の食品被覆面を上側に向けて,この食品包装用フィルム1の中央部上に食品Aを,その上面(天面)を下向きにし、且つ、食品Aの前側周面における下側の前端角部を上記帯状融着部4の中央部上に合わせた状態にして載置したのち、食品包装用フィルム1の両側部を上方に湾曲させて(
図12参照)、第一合成樹脂フィルム1aの両側中央部によって食品Aの両側周面を被覆すると共に食品Aの上向きにした面から上方に突出する食品包装用フィルム1における第一合成樹脂フィルム1aの両側部によって食品Aの上向きにした面を被覆し、且つ、この第一合成樹脂フィルム1aの両側端部を互いに重ね合わせて、この重ね合わせ部を必要に応じて融着等により一体に接着することにより食品包装用フィルム1全体を食品Aを包み込んだ筒状形態にする。
【0035】
この際、第一合成樹脂フィルム1aの食品被覆面における前部上に第二合成樹脂フィルム1bの後部を重ねた状態にして帯状融着部4により一体に貼着しているので、第二合成樹脂フィルム1bの両側部は第一合成樹脂フィルム1aの両側部上に重ねられた状態で第一合成樹脂フィルム1aと一体的に上方に向かって筒状に湾曲すると共に、食品Aの前側周面から前方に向かって水平に突出した状態となる。同様に、筒状に湾曲した第一合成樹脂フィルム1aの後部も、食品Aの後端周面から後方に向かって水平に突出した状態となる。
【0036】
次いで、食品Aの前側周面から前方に向かって水平に突出した筒状に湾曲している第二合成樹脂フィルム1bの上半部を第一合成樹脂フィルム1aの前部の遊離片部1cにおける両側部と共に食品Aの上向きにしている面(底面)の前側角部を支点として下方に向かって折り曲げて下半部上に重ねることにより偏平状の折り重ね部に形成する。
【0037】
同様に、食品Aの後側周面から後方に向かって水平に突出した筒状に湾曲している第一合成樹脂フィルム1aの後部の上半部を食品Aの上向きにしている面(底面)の後側角部を支点として下方に向かって折り曲げて下半部上に重ねることにより偏平状の折り重ね部に形成する。
【0038】
しかるのち、上記偏平状に折り重ねた前側の折り重ね部における第二合成樹脂フィルム1bを、食品Aの前側周面から上向きにした面(底面)の前半部を被覆するように上方から内方に向かって折り曲げると共に、偏平状に折り重ねた後側の折り重ね部を食品Aの後側周面から上向きにした面(底面)の後半部を被覆するように上方から内方に向かって折り曲げてこれらの折り重ね部の対向端部を食品Aの上向きにした面(底面)上で重ね合わせて一体に貼着する。
【0039】
この際、第一合成樹脂フィルム1aの前部によって形成されている上記遊離片部1cは第二合成樹脂フィルム1bにおける食品被覆面と反対側の面、即ち、第二合成樹脂フィルム1bの外面に重なっているので、上記前側の偏平状に折り重ねた折り重ね部を食品Aの前側下端角部を支点として上方に折り曲げたのち、食品Aの上向きにした面(底面)を被覆するように内方に折り曲げると、上記開封用摘まみ部2を形成している遊離片部1cの中央部は、上記折り重ね部の内面(食品被覆面)から離れて食品Aの前端角部を支点として前方に向かって斜めに突出した状態となる。
【0040】
従って、
図1に示した包装食品と同様に、上記第一合成樹脂フィルム1aにおける開封用摘まみ部2を形成している遊離片部1cの前部中央は、食品Aの前側周面を被覆している上記第二合成樹脂フィルム1bに対して食品Aの上端縁を支点として前方に向かって斜め下方に遊離した包装食品の形態となる。
【0041】
なお、以上の実施例においては、いずれも食品包装用フィルム1の食品被覆面を上側に向けてその被覆面上に食品Aを載置し、食品包装用フィルム1を上方に折り曲げて食品Aを包装しているが、食品包装用フィルム1の食品被覆面を下側に向けてその被覆面に食品Aを下方から配置した状態にして食品包装用フィルム1を下方に折り曲げることにより食品Aを包装してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 物品包装用フィルム
1a 第一合成樹脂フィルム
1b 第二合成樹脂フィルム
1c 遊離片部
2 開封用摘まみ部
3 カットテープ
4 融着部
5 スリット