(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】育苗容器用土供給装置
(51)【国際特許分類】
A01G 9/08 20060101AFI20230908BHJP
【FI】
A01G9/08 604H
(21)【出願番号】P 2019169496
(22)【出願日】2019-09-18
【審査請求日】2022-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000132219
【氏名又は名称】株式会社スズテック
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】藤田 一志
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-027928(JP,A)
【文献】実開昭61-108170(JP,U)
【文献】実開平06-034436(JP,U)
【文献】実開昭63-050555(JP,U)
【文献】特開昭59-025623(JP,A)
【文献】実開昭60-005338(JP,U)
【文献】特開2003-116362(JP,A)
【文献】特開平07-147845(JP,A)
【文献】特開2008-092865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
育苗容器Aを始端側から終端側に向けて略水平状態で移送する移送手段2を有する移送台1の上方位置に、上方から育苗容器A内に床土を供給する床土供給装置4を設け、該床土供給装置4は上部に設けた床土供給ホッパー6の下方に、育苗容器Aの移送方向と平行方向に回転移動する無端状の床土供給ベルト15を設け、床土供給ベルト15の上面上方に、床土繰出口20の床土の繰出量を調節する床土繰出調節シャッター21を設け、床土繰出調節シャッター21は軸24により回動自在に取付け、床土繰出調節シャッター21には床土繰出調節シャッター21を回動させて床土繰出口20の開口量を調節する床土繰出量調節機構Tを設け、
床土繰出量調節機構Tは、床土繰出調節シャッター21の回動および全開状態にさせるシャッター調節軸26とシャッター調節軸26の上下調節および上動操作させる単独の調節ダイヤル30とを有して構成し、調節ダイヤル30は、床土供給ホッパー6側に設けた支持部28に対して自由に上動するが下動は規制されかつ回転自在に支持されたシャッター調節軸26の上部に螺合させ、調節ダイヤル30を回転させるとシャッター調節軸26が上下して床土供給装置4の床土繰出口20の開口量を広狭に調節し、調節ダイヤル30を回転させることなくシャッター調節軸26と一体上動させると、床土繰出調節シャッター21を全開状態にさせるように構成した育苗容器用土供給装置。
【請求項2】
請求項1において、前記シャッター調節軸26は床土供給ホッパー6に設けた支持部28に回転および上下動自在に取付け、支持部28と床土繰出調節シャッター21の間に設けたバネ34により床土繰出調節シャッター21が常時床土繰出口20を閉鎖させる方向に付勢する構成とし、シャッター調節軸26には調節ダイヤル30の螺子孔31に螺合するネジ溝32を設けた育苗容器用土供給装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記シャッター調節軸26の上部は床土供給ホッパー6の
上側前板8に設けた支持部28に上下自在に挿通し、シャッター調節軸26の上部のネジ溝32に調節ダイヤル30には螺子孔31を螺合させ、シャッター調節軸26に上下動自在に挿通した上下一対のワッシャー26Aの間にバネ34を挿通した育苗容器用土供給装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2または請求項3において、シャッター調節軸26の外周に挿入したバネ34の弾力により調節ダイヤル30の下端面36が支持部28に当接する構成とすると共に、調節ダイヤル30およびシャッター調節軸26の支持部28に対する上動を許容する構成とした育苗容器用土供給装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れかにおいて、前記床土供給ベルト15の前端より所定間隔をおいた前方位置には、床土供給ベルト15に搬送されて落下する床土を育苗容器Aに案内誘導する反射板40を設け、反射板40の前面の左右両側には、左右一対の床土供給幅調節板55を設け、床土供給幅調節板55は前後方向の縦板部材により落下案内部56を形成し、左右の床土供給幅調節板55の落下案内部56の左右幅を広狭に調節して、床土の供給幅を調節する構成とした育苗容器用土供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、育苗容器用土供給装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、育苗容器を始端側から終端側に向けて水平状態で移送する移送手段を有する移送台の上方位置には、育苗容器内に上方から床土を供給する床土供給装置を設け、床土供給装置は床土供給ホッパーの下方に床土供給ベルトを設け、床土供給ベルトの床土繰出口に床土繰出口の開口量を調節する床土繰出調節シャッターを設け、床土繰出調節シャッターは調節ダイヤルを有するシャッター調節軸により調節する構成とした育苗容器用土供給装置は、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例は、調節ダイヤルを回して床土繰出調節シャッターの開口量を調節する構成のため、床土繰出口に開口幅より大きい土塊が詰まると、挟まった土塊部分から床土が供給されないという課題がある。
そして、この土塊を除去するには、調節ダイヤルを回して床土繰出調節シャッターを開かなければならず、除去作業が面倒あるという課題がある。
また、土塊の除去作業は、調節ダイヤルを回して床土繰出調節シャッターを開いて行うので、土塊の除去作業を行うと、再び、床土繰出調節シャッターによる床土繰出口の開口量の調節を行う必要があり、この点でも、操作が面倒であるという課題がある。
また、育苗容器に床土を供給する際に、必要以上に床土を落下させ、床土を無駄にしてしまうという課題もある。
本願は、育苗容器用土供給装置の構成を工夫し、床土繰出口の開口量の調節を容易にすると共に、簡単に土塊除去できるようにし、さらに、無駄なく、確実に床土供給できるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、育苗容器Aを始端側から終端側に向けて略水平状態で移送する移送手段2を有する移送台1の上方位置に、上方から育苗容器A内に床土を供給する床土供給装置4を設け、該床土供給装置4は上部に設けた床土供給ホッパー6の下方に、育苗容器Aの移送方向と平行方向に回転移動する無端状の床土供給ベルト15を設け、床土供給ベルト15の上面上方に、床土繰出口20の床土の繰出量を調節する床土繰出調節シャッター21を設け、床土繰出調節シャッター21は軸24により回動自在に取付け、床土繰出調節シャッター21には床土繰出調節シャッター21を回動させて床土繰出口20の開口量を調節する床土繰出量調節機構Tを設け、床土繰出量調節機構Tは、床土繰出調節シャッター21の回動および全開状態にさせるシャッター調節軸26とシャッター調節軸26の上下調節および上動操作させる単独の調節ダイヤル30とを有して構成し、調節ダイヤル30は、床土供給ホッパー6側に設けた支持部28に対して自由に上動するが下動は規制されかつ回転自在に支持されたシャッター調節軸26の上部に螺合させ、調節ダイヤル30を回転させるとシャッター調節軸26が上下して床土供給装置4の床土繰出口20の開口量を広狭に調節し、調節ダイヤル30を回転させることなくシャッター調節軸26と一体上動させると、床土繰出調節シャッター21を全開状態にさせるように構成した育苗容器用土供給装置としたものである。
請求項2の発明は、前記シャッター調節軸26は床土供給ホッパー6に設けた支持部28に回転および上下動自在に取付け、支持部28と床土繰出調節シャッター21の間に設けたバネ34により床土繰出調節シャッター21が常時床土繰出口20を閉鎖させる方向に付勢する構成とし、シャッター調節軸26には調節ダイヤル30の螺子孔31に螺合するネジ溝32を設けた育苗容器用土供給装置としたものである。
請求項3の発明は、前記シャッター調節軸26の上部は床土供給ホッパー6の上側前板8に設けた支持部28に上下自在に挿通し、シャッター調節軸26の上部のネジ溝32に調節ダイヤル30には螺子孔31を螺合させ、シャッター調節軸26に上下動自在に挿通した上下一対のワッシャー26Aの間にバネ34を挿通した育苗容器用土供給装置としたものである。
請求項4の発明は、シャッター調節軸26の外周に挿入したバネ34の弾力により調節ダイヤル30の下端面36が支持部28に当接する構成とすると共に、調節ダイヤル30およびシャッター調節軸26の支持部28に対する上動を許容する構成とした育苗容器用土供給装置としたものである。
請求項5の発明は、前記床土供給ベルト15の前端より所定間隔をおいた前方位置には、床土供給ベルト15に搬送されて落下する床土を育苗容器Aに案内誘導する反射板40を設け、反射板40の前面の左右両側には、左右一対の床土供給幅調節板55を設け、床土供給幅調節板55は前後方向の縦板部材により落下案内部56を形成し、左右の床土供給幅調節板55の落下案内部56の左右幅を広狭に調節して、床土の供給幅を調節する構成とした育苗容器用土供給装置としたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、調節ダイヤル30を回転させると、床土繰出口20の開口量の調節が可能としつつ、調節ダイヤル30を回転させずに床土繰出調節シャッター21を全開状態にできるので、土塊除去操作も容易にできる。
請求項2の発明では、シャッター調節軸26は床土供給ホッパー6に設けた支持部28に回転および上下動自在に取付け、バネ34により床土繰出調節シャッター21を常時閉方向に付勢しているので、簡単な構成で、床土繰出口20の開口量の調節と、ワンタッチ操作による床土繰出調節シャッター21の全開状態とを実現でき、開口量の調節と土塊除去操作とを容易にできる。
請求項3の発明では、前記シャッター調節軸26の上部は床土供給ホッパー6の上側前板8に設けた支持部28に上下自在に挿通し、シャッター調節軸26の上部のネジ溝32に調節ダイヤル30には螺子孔31を螺合させ、シャッター調節軸26に上下動自在に挿通した上下一対のワッシャー26Aの間にバネ34を挿通しているので、床土繰出調節シャッター21の閉方向への付勢と調節ダイヤル30の回転操作による床土繰出調節シャッター21の開閉とを一つのバネ34により達成でき、簡素な構成とすることができる。
請求項4の発明では、シャッター調節軸26の外周に挿入したバネ34の弾力により調節ダイヤル30の下端面36が支持部28に当接する構成とすると共に、調節ダイヤル30およびシャッター調節軸26の支持部28に対する上動を許容する構成としているので、簡単な構成により調節ダイヤル30を回転させずに床土繰出調節シャッター21の全開状態操作を実現できる。
請求項5の発明では、反射板反射板40に設けた落下案内部56により無駄な床土の繰出を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態を図面により説明すると、1は床土供給装置Tの移送台であり、育苗容器Aを移送する移送手段2を有し、支脚3により床上に載置されるように構成する(
図1)。
なお、本発明の理解を容易にするため、前方に向かって移送台1により移送される育苗容器Aの移送方向を基準に、前後・左右・上下等の方向示して以下説明するが、これによって、本発明の構成が限定されることはない。
床土供給装置4は、床土供給フレーム5の上部に床土供給ホッパー6を設ける。床土供給ホッパー6は、平面視略四角形状に形成し、垂直の左右側板7と上側前板8と上側後板9とを有して構成する。
【0009】
上側前板8の下端には後下がりの前側傾斜板10を連設し、前側傾斜板10の下端に略垂直の下側前板11を連設する。また、上側後板9の下端には前下がりの後側傾斜板12を連設する。
床土供給ホッパー6の下方には床土供給する床土供給ベルト15を設ける。床土供給ベルト15は、育苗容器Aの移送方向と平行方向に回転し、無端状のベルトにより構成される。16は前側ローラー、17は後側ローラーである。
下側前板11の下端と床土供給ベルト15の上面との間には床土繰出口20を形成し、床土繰出口20には床土の繰出量を調節する床土繰出調節シャッター21を設ける(
図1)。床土繰出調節シャッター21は床土繰出量調節機構Tの一部を構成し、床土繰出調節シャッター21は、左右に縦板状の取付板22を有し、取付板22を左右方向の断面円弧形状の円弧板23で連結して構成し、取付板22を床土供給フレーム5に軸24により回動自在に取付ける。
【0010】
円弧板23の左右中間所定位置には前方に突出する突起状取付部25を設け、突起状取付部25には床土繰出量調節機構Tの一部を構成するシャッター調節軸26の下部を軸27により回動自在に取付ける(
図3)。シャッター調節軸26の上部は床土供給ホッパー6の
上側前板8に設けた支持部28に上下自在に挿通し、シャッター調節軸26の上部のネジ溝32に調節ダイヤル30には螺子孔31を螺合させ、シャッター調節軸26の外周に挿入したバネ34の弾力により調節ダイヤル30の下端面36が支持部28に当接して床土繰出調節シャッター21の開口量調節状態となる(
図4)。
【0011】
すなわち、床土繰出量調節機構Tは、通常では調節ダイヤル30の下端面36がバネ34の弾力により支持部28に当接して、この状態で調節ダイヤル30を回転させると、調節ダイヤル30は回転するが支持部28に対して上下移動しないので、調節ダイヤル30の螺子孔31に螺合しているシャッター調節軸26のネジ溝32が作用して、シャッター調節軸26を支持部28に対して相対的に上下移動させ、これにより、床土繰出調節シャッター21を上下回動させて床土繰出口20の開口量を広狭に調節する。
【0012】
バネ34は圧縮コイルバネにより形成し、バネ34はシャッター調節軸26の外周に挿入する。バネ34はシャッター調節軸26に上下動自在に挿通した上下一対のワッシャー26Aの間に配置する。26Bは上側ワッシャー26Aの上動を規制するストッパー、28Aは支持部28に設けたシャッター調節軸26の軸受である。
床土繰出量調節機構Tには、ワンタッチ操作により、調節ダイヤル30の回転操作することなく、床土繰出調節シャッター21を直ちに開放位置に回動させる開放機構Kを設ける。開放機構Kは、シャッター調節軸26を支持部28に対して上動自在に支持部28の挿通孔35に挿通させ、調節ダイヤル30をバネ34の弾力に抗して上方に引くと、調節ダイヤル30はシャッター調節軸26と共に床土繰出調節シャッター21を上方に牽引して床土繰出口20を開放させる構成としている。
【0013】
すなわち、開放機構Kは、通常では調節ダイヤル30の下端面36がバネ34の弾力により支持部28に当接して床土繰出量調節機構Tを作動させて床土繰出調節シャッター21により床土繰出口20の開口量を調節するが、一方で、シャッター調節軸26は支持部28に対して上下動自在で有り、しかも、調節ダイヤル30をバネ34の弾力に抗して上方に引くと、開放機構Kは調節ダイヤル30がシャッター調節軸26と共に上動するのを許容して、これにより、床土繰出調節シャッター21を軸24中心に上方回動方向に牽引し、床土繰出口20を開放させる。
【0014】
そのため、
図5のように、後述する大塊土47より大きい土塊Gが床土繰出調節シャッター21と床土供給ベルト15上面との間に挟まると、この場所から床土供給ができなくなるが、このようなときに、調節ダイヤル30を上に引くワンタッチ操作すると、床土繰出調節シャッター21を開放方向に回動させて土塊Gを排出させることができる。
【0015】
しかして、床土供給ベルト15の前端より所定間隔をおいた前方位置には、床土供給ベルト15に搬送されて落下する床土を育苗容器Aに案内誘導する反射板40を設ける(
図9)。反射板40は左右方向の縦板状部材により形成し、反射板40の左右両側を、取付部材41を介して床土供給フレーム5の側板42に角度調節自在および上下位置調節自在に取付ける。
反射板40は、床土供給ベルト15から前方に向けて放擲される床土を、受け止めて、後方に反射移動させ、反射移動させる際に、床土の粒径を大小に振り分けて通過中の育苗容器Aに供給させる作用を奏する。
【0016】
すなわち、単に床土を床土供給ベルト15から落下させると、比重の軽いふるい土45は直ぐ下方に落下し、ふるい土45よりも粒径の大きい小粒土46をふるい土45よりも遠くのふるい土45上に落下させ、小粒土46よりも粒径の大きい大塊土47はさらに遠くに落下させる。
本発明では、粒径の大きい大塊土47を反射板40に当てた衝突力の反力により遠くに飛ばして、育苗容器Aの底に位置させ、次に、小粒土46を大塊土47上に位置させ、最上層位置にふるい土45を位置させる大まかな三層構成に床土を供給でき、種苗の成長を良好にする。
【0017】
具体的には、取付部材41はボルト50により床土供給フレーム5の側板42に回動自在に取付け、ボルト50を中心に取付部材41を回動させて反射板40の傾斜角度を調節する。
取付部材41の先端は、ボルト51を反射板40の上部の挿入孔52に挿入して取付け、挿入孔52は縦方向に長い長孔に形成し、ボルト51に対して反射板40を上下させて上下位置を調節する。
反射板40の前面の左右両側には、左右一対の床土供給幅調節板55を設ける。床土供給幅調節板55は前後方向の縦板部材により落下案内部56を形成し、左右の床土供給幅調節板55の落下案内部56の左右幅を広狭に調節して、床土の供給幅を調節する構成とする。
【0018】
具体的には、床土供給幅調節板55は落下案内部56の外側に左右方向の縦板部材により形成した取付部57を一体状に形成し、取付部57の上下中間部を軸58により反射板40の前面に回動自在に取付け、軸58を中心に床土供給幅調節板55の落下案内部56を回動させて落下案内部56の傾斜角度を調節する。取付部57の上部にはボルト60を設け、ボルト60は反射板40の上部に設けた軸58中心に円弧状に形成した挿入孔61に挿入して取付け、ボルト60により左右幅調節後の床土供給幅調節板55の位置を固定する。
【0019】
(実施形態の作用)
本発明は上記の構成であり、移送台1に育苗容器Aを供給すると、移送手段2により床土供給装置4の下方に至り、床土供給装置4にて床土の供給を受ける。
床土供給装置4は、床土供給フレーム5の上部に床土供給ホッパー6を設け、床土供給ホッパー6の下方に床土供給ベルト15を設け、床土供給ベルト15は育苗容器Aの移送方向と平行方向に後側から前側に回転移動し、床土供給ベルト15の前端部で床土を落下させ、下方を移動中の育苗容器Aに床土を供給する。
【0020】
床土繰出量調節機構Tは、床土供給ホッパー6の下側前板11の下端と床土供給ベルト15の上面との間に床土繰出口20を形成し、床土繰出口20には床土の繰出量を調節する床土繰出調節シャッター21を設け、床土繰出調節シャッター21は床土繰出口20の開口量を広狭に調節して育苗容器Aへの床土供給量を調節する。
【0021】
床土繰出調節シャッター21は左右両側に縦板状の取付板22を設け、取付板22を左右方向の断面円弧形状の円弧板23で連結し、取付板22を床土供給フレーム5の側板42に軸24により回動自在に取付け、床土繰出量調節機構Tは、床土繰出調節シャッター21の円弧板23の左右中間所定位置に設けた突起状取付部25に、シャッター調節軸26の下部を軸軸27により回動自在に取付け、シャッター調節軸26の上部は床土供給ホッパー6の上側後板9に設けた支持部支持部28に回転および上下動自在に取付け、シャッター調節軸26の上端には調節ダイヤル30を螺合状態に取付けているので、調節ダイヤル30を回転させると、シャッター調節軸26を床土繰出調節シャッター21に対して上下させ、これにより、床土繰出調節シャッター21による床土繰出口20に対する開口量を調節する。
【0022】
すなわち、シャッター調節軸26の外周にバネ34を挿入し、バネ34は床土繰出調節シャッター21を常時閉方向に付勢しているので、調節ダイヤル30の下端面36を支持部28に当接させた状態で回転させると、調節ダイヤル30はバネ34の弾力により支持部28に対して上下位置固定状態となり、そのため、調節ダイヤル30とシャッター調節軸26のネジ溝の螺合作用により、調節ダイヤル30を回転させると、調節ダイヤル30に対してシャッター調節軸26を上下させて、床土繰出調節シャッター21の開口量を調節できる。
【0023】
しかして、床土繰出量調節機構Tには、床土繰出調節シャッター21を瞬時に開放位置に回動させる開放機構Kを設ける。開放機構Kは、シャッター調節軸26を支持部28に対して上動自在に支持部28の挿通孔35に挿通させ、通常は調節ダイヤル30の下端面36が支持部28に当接して、シャッター調節軸26を通常位置に位置させ、この状態で調節ダイヤル30を回転させると、バネバネ34の弾力により調節ダイヤル30の下端面36が支持部28に当接状態となって、調節ダイヤル30に対してシャッター調節軸26を上下動させて床土繰出調節シャッター21の開口量を調節でき、調節ダイヤル30をバネ34の弾力に抗して上方に引くと、調節ダイヤル30はシャッター調節軸26と共に床土繰出調節シャッター21を上方に牽引して床土繰出口20を開放させる構成としているので、土塊が床土繰出調節シャッター21と床土供給ベルト15上面との間に挟まると、この場所から床土供給ができなくなるが、このようなときに、調節ダイヤル30を上に引くワンタッチ操作すると、床土繰出調節シャッター21を開放方向に回動させて土塊を排出させることができる。
【0024】
そして、上に引いた調節ダイヤル30の下端面36を支持部28の上面に当接させると、床土繰出調節シャッター21は開口量を調節したままの元の位置に復帰する。
したがって、シャッター調節軸26にバネ34を設けたことにより、床土繰出量調節機構Tに床土繰出調節シャッター21を瞬時に開放位置に回動させる開放機構開放機構Kを設けることができ、しかも、ワンタッチ操作で床土繰出口20を開放しつつ、ワンタッチ操作で床土繰出調節シャッター21を開口量を調節された調節済みの元の状態に復帰させることができ、土塊除去を容易にすることができる。
【0025】
しかして、床土供給ベルト15の前端より所定間隔をおいた前方位置には、床土供給ベルト15に搬送されて落下する床土を育苗容器Aに案内誘導する反射板40を設けているので、反射板40は床土供給ベルト15から前方に向けて放擲される床土を、受け止めて、後方に反射移動させ、反射移動させる際に、粒径の大きい大塊土47を反射板40に当てた衝突力の反力により遠くに飛ばして、育苗容器Aの底に位置させ、次に、小粒土46を大塊土47上に位置させ、最上層位置にふるい土45を位置させる大まかな三層構成に床土を供給でき、種苗の成長を良好にする。
【0026】
反射板40の前面の左右両側には、左右一対の床土供給幅調節板55を設け、床土供給幅調節板55は前後方向の縦板部材により落下案内部56を形成し、左右の床土供給幅調節板55の落下案内部56の左右幅を広狭に調節して、床土の供給幅を調節する構成としているので、床土供給の際の床土の飛散を防止することができる。
すなわち、床土繰出口20では中央に比し左右両側は若干床土の落下量が梳くなる傾向があるため、床土供給ベルト15および床土繰出口20の左右幅は育苗容器Aの左右幅より広くして、育苗容器Aに確実に床土が供給できるようにしているが、床土供給ベルト15および床土繰出口20の左右幅が育苗容器Aの左右幅より広過ぎると、床土供給の際の床土が飛散して無駄になることがあり、このことは、使用する育苗容器Aの左右幅や使用する床土の粒径や乾燥度合い等の種々の要因によって左右されるが、本発明では反射板40の前面の左右両側に一対の床土供給幅調節板55を設けているので、床土の繰出の際の供給幅を最適な状態とし、育苗容器A内に不足なく確実に床土を供給すると共に、床土供給の際の床土の飛散を防止して、無駄の床土の消費を減少させて省エネを図ることができる。
【0027】
具体的には、床土供給幅調節板55は落下案内部56の外側に左右方向の縦板部材により形成した取付部57を一体状に形成し、取付部57の上下中間部を軸58により反射板40の前面に回動自在に取付けているので、軸58を中心に床土供給幅調節板55の落下案内部56を回動させると、落下案内部56の傾斜角度を調節でき、この状態で、取付部57の上部のボルトボルト60を締めると、ボルト60により左右幅調節後の床土供給幅調節板55の位置を固定する。
【符号の説明】
【0028】
1…移送台、2…移送手段 、3…支脚、4…床土供給装置、5…床土供給フレーム 、6…床土供給ホッパー、7…左右側板、8…上側前板、9…上側後板、10…前側傾斜板、11…下側前板、12…後側傾斜板、15…床土供給ベルト、16…前側ローラー、17…後側ローラー、20…床土繰出口、21…床土繰出調節シャッター、22…取付板、23…円弧板、24…軸、25…突起状取付部、26…シャッター調節軸、27…軸、28…支持部、30…調節ダイヤル、34…バネ、35…挿通孔、40…反射板、41…取付部材、42…側板、45…ふるい土、46…小粒土、47…大塊土、50…ボルト、51…ボルト、52…挿入孔、55…床土供給幅調節板、56…落下案内部、57…取付部、58…軸、60…ボルト、61…挿入孔。