(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】食品加熱装置
(51)【国際特許分類】
A47J 36/28 20060101AFI20230908BHJP
A47J 36/02 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
A47J36/28
A47J36/02
(21)【出願番号】P 2019200160
(22)【出願日】2019-11-01
【審査請求日】2022-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】511279737
【氏名又は名称】株式会社ノンピ
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】柿沼 寛之
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 航也
(72)【発明者】
【氏名】光山 徹圭
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-64673(JP,U)
【文献】特開2006-137494(JP,A)
【文献】登録実用新案第3006635(JP,U)
【文献】実開平7-9774(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 36/28
B65D 81/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口した下部容器と、
前記下部容器の上部に配置され、食品を収容する上部容器と、
前記下部容器に収容され、前記上部容器を前記食品とともに加熱する加熱部材と、
前記下部容器を覆い、前記加熱部材の下に配置される第1カバーと、
前記下部容器の上部に前記上部容器が前記食品を収容した状態で配置され、前記加熱部材の加熱中に前記下部容器及び前記上部容器を覆う第2カバーと、
前記上部容器の底面部に設けられ、前記加熱部材と、前記上部容器の前記底面部との間に配置される耐熱防水性シートと、を有する、食品加熱装置。
【請求項2】
前記上部容器及び前記下部容器は、伝熱性の高い素材で構成される、請求項1に記載の食品加熱装置。
【請求項3】
前記耐熱防水性シートは、ポリプロピレン製のシートである、請求項1又は2に記載の食品加熱装置。
【請求項4】
前記加熱部材は、加水により発熱する材料を水浸透性の部材で包んで形成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の食品加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、食品加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品を加熱させる加熱部材を備えた食品加熱装置が知られている。食品加熱装置は、下方に配置される下部容器に加熱部材を収容し、下部容器の上部に上部容器を配置して、上部容器内に食品を入れて蓋をし、食品を加熱するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
短時間で食品を加熱するため、加熱部材の加熱中の温度は非常に高くなる。特許文献1の技術では、容器に耐熱性の樹脂が用いられ、上部容器と下部容器を嵌め合わせて取り付けるような構造になっている。このため、構成が複雑で、熱に耐えるため厚くなりやすかった。食品加熱容器を運搬することを考慮すると、容器をできるだけ薄く軽量にすることが好ましいが、容器の耐熱性との兼ね合いが難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上部が開口した下部容器と、前記下部容器の上部に配置され、食品を収容する上部容器と、前記下部容器に収容され、前記上部容器を前記食品とともに加熱する加熱部材と、前記下部容器を覆い、前記加熱部材の下に配置される第1カバーと、前記下部容器の上部に前記上部容器が前記食品を収容した状態で配置され、前記加熱部材の加熱中に前記下部容器及び前記上部容器を覆う第2カバーと、前記上部容器の底面部に設けられ、前記加熱部材と、前記上部容器の前記底面部との間に配置される耐熱防水性シートと、を有する、食品加熱装置に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、耐熱性があり、かつ持ち運びに適した食品加熱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態の食品加熱装置を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態の上部容器を裏面から見た斜視図である。
【
図3】本実施形態の食品加熱装置の使用の状態を示す図である。
【
図4】本実施形態の食品加熱装置の使用の状態を示す図である。
【
図5】本実施形態の食品加熱装置の使用の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に示すように、食品加熱装置1は、下部容器2と、上部容器3と、加熱部材4と、第1カバー5と、耐熱防水性シート6と、第2カバー7と、第3カバー8と、を有する。
【0009】
下部容器2は、上部が開口した略直方体の容器である。下部容器2は、長方形の底面部21と、底面部21の周囲から上方へ起立する四つの側面部22と、を有する。アルミニウム製である。
【0010】
上部容器3は、下部容器2と同じ形状を有し、運搬時には下部容器2と重ねることが可能である。上部容器3は、長方形の底面部31と、底面部31の周囲から上方へ起立する四つの側面部32とを有し、下部容器2と同様に、伝熱性の高いアルミニウム製である。
【0011】
加熱部材4は、消石灰及びアルミニウムを混合した粉末を、不織布等の水浸透性の部材で包んだものである。加熱部材4は、水に接触しない間は加熱しないが、水に接触することによって高い温度で発熱する。加熱部材4は粉末が水の浸透可能な目の粗い部材に包まれているため、アルミニウム等の密閉性の高い袋の中に使用直前まで収納されている。
【0012】
第1カバー5は、下部容器2を覆うビニルキャップである。第1カバー5は、ビニルシートの周縁にゴムを配置し、下部容器2を覆うように取り付けられる。加熱部材4は、第1カバー5で覆われた下部容器2の底面部21の上に載置されるため、加熱部材4と底面部21との間には、第1カバー5が介在する。
【0013】
図2は、上部容器3を裏返した状態を示す。
図2に示すように耐熱防水性シート6は、上部容器3の底面部31の裏面に、両面テープ61等で取り付けられる。耐熱防水性シート6は、本実施形態では、ポリプロピレン製のシートである。耐熱防水性シート6は、食品加熱装置1をセットした状態で、加熱部材4と上部容器3の底面部31の裏面との間に配置される。
【0014】
第2カバー7は第1カバー5よりやや大きいビニルキャップである(
図5参照)。第2カバー7は、第1カバー5と同様に、ビニルシートの周縁にゴムを配置して形成される。第2カバー7は、下部容器2及び上部容器3の両方を覆うことができる大きさに形成されている。第2カバー7が、食品加熱装置1の蓋としての役割を果たす。
【0015】
第3カバー8は、下部容器2を収容する上部が開口した箱である。第3カバーは、段ボールや木の耐熱性の高い素材で構成され、下部容器2の外側を覆う。
【0016】
図3~5は、本実施形態の食品加熱装置1の使用の状態を示す図である。
図1及び
図3~5を参照して、食品加熱装置1の使用の方法を説明する。
図3に示すように、下部容器2を第3カバー8で覆い、保護した状態で、第1カバー5の上に加熱部材4を配置する。
【0017】
図4に示すように、水を、第1カバー5の上から下部容器2に注ぐ。水を注ぐと、加熱部材4は直ちに発熱を開始する。発熱は、消石灰及びアルミニウムと水とが反応するため、水は強度のアルカリ性となる。本実施形態では、上部容器3はアルミニウム製であるため、強度のアルカリ性の水で加熱されて劣化したりアルミニウムが溶け出す等の化学反応が起きないようにすることが好ましい。上部容器3の底面部31の裏面と、加熱部材4との間にポリプロピレン製の耐熱防水性シートが配置されることで、上部容器3の化学反応による変質を防止することができる。
【0018】
図1に示すように、加熱部材4に水を注いだ状態で、下部容器2の上に上部容器3を重ね、食品9を上部容器3に収容する。
【0019】
図5に示すように、上部容器3に食品9を入れた状態で、上部容器3及び下部容器2の両方を覆うように第2カバー7を被せる。下部容器2に入れた水が、加熱部材4により加熱されて湯となり、蒸気をたてながら上部容器3を加熱するため、上部容器3内の食品9が加熱される。したがって、所定の時間の経過により、食品9を温めることができる。
【0020】
以上説明した実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
食品加熱装置1を、上部が開口した下部容器2と、下部容器2の上部に配置され、食品9を収容する上部容器3と、下部容器2に収容され、上部容器3を食品9とともに加熱する加熱部材4と、下部容器2を覆い、加熱部材4の下に配置される第1カバー5と、下部容器2の上部に上部容器3が食品9を収容した状態で配置され、加熱部材4の加熱中に下部容器2及び上部容器3を覆う第2カバー7と、上部容器3の底面部31に設けられ、加熱部材4と、上部容器3の底面部31との間に配置される耐熱防水性シート6と、を含んで構成した。加熱部材4と、上部容器3の底面部31との間に耐熱防水性シート6が配置されているので、上部容器3の素材にかかわらず、安全に食品をいれた上部容器3を加熱することができる。したがって、上部容器3の素材を自由に設計することができる。
【0021】
上部容器3及び下部容器2を、伝熱性の高い素材で構成した。加熱時に下部容器2と上部容器3の間に耐熱防水性シートを配置することで、上部容器3及び下部容器2が化学反応により変質する懸念がなくなるため、加熱する水を収容する下部容器2や、食品を入れる上部容器3をアルミニウム等の伝熱性の高い素材で構成することができる。また、アルミニウムは、薄くかつ高い強度に形成することができるため、食品をケータリングする場合等に、運搬する荷物が軽く、かつ衝撃に強いという利点を得ることができる。
【0022】
耐熱防水性シート6を、ポリプロピレン製のシートで構成した。耐熱防水性シート6がポリプロピレン製で構成されるため、軽量でかつ耐熱性及び防水性に優れる。
【0023】
加熱部材4を、加水により発熱する材料を水浸透性の部材で包んで形成した。このような構成にすることにより、水を加熱部材4に接触させることで発熱が開始するので、食品9を温めたい場所で、温めたい時間に温めることができるので、便利である。
【0024】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、上部容器3及び下部容器2の素材は特に限定されない。伝熱性の高い素材が好ましく、上記実施形態では、アルミニウム製を例に説明したが、これに限られない。樹脂製であっても、耐熱性が充分にあれば、薄く形成して伝熱性を高めることも可能である。
【0025】
また、耐熱防水性シートの素材は、耐熱性及び防水性があれば、特に限定されない。上記実施形態では、ポリプロピレンを例に説明したが、これに限定されない。ポリプロピレンでなくても、直接消石灰及びアルミニウムから反応して生成された強度のアルカリ性の熱湯に上部容器3の底面部31を触れないようにすることができればよく、耐熱性及び防水性があれば様々な素材が適宜選択可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 食品加熱装置
2 下部容器
3 上部容器
4 加熱部材
5 第1カバー
6 耐熱防水性シート
7 第2カバー
9 食品