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特許7345190堆肥原料の温度管理装置、堆肥化処理施設、堆肥原料の管理用温度計、及び、堆肥原料の温度管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】堆肥原料の温度管理装置、堆肥化処理施設、堆肥原料の管理用温度計、及び、堆肥原料の温度管理方法
(51)【国際特許分類】
   G08C 17/00 20060101AFI20230908BHJP
   B09B 3/60 20220101ALI20230908BHJP
   C02F 11/02 20060101ALI20230908BHJP
   C05F 17/90 20200101ALI20230908BHJP
   G08C 15/00 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
G08C17/00 Z
B09B3/60
C02F11/02
C05F17/90 ZAB
G08C15/00 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020090950
(22)【出願日】2020-05-25
(65)【公開番号】P2021189500
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-01-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598085674
【氏名又は名称】株式会社井上政商店
(74)【代理人】
【識別番号】100194984
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 圭太
(72)【発明者】
【氏名】井上 政義
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-342089(JP,A)
【文献】特開2003-331377(JP,A)
【文献】国際公開第2019/039118(WO,A1)
【文献】特表2019-506604(JP,A)
【文献】中国実用新案第203705071(CN,U)
【文献】特開2009-124816(JP,A)
【文献】特開平9-118350(JP,A)
【文献】実開平4-80840(JP,U)
【文献】特開2019-62495(JP,A)
【文献】特開2003-83814(JP,A)
【文献】実開昭63-177275(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 15/00-19/48
G01K 13/10
B09B 3/00- 3/80
C02F 11/02-11/04
C05F 3/00-17/993
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
堆肥原料内に挿入可能な所定長さの温度測定部、該温度測定部により測定した堆肥原料の温度情報に係るアナログ信号をデジタル信号に変換可能な信号変換部、該信号変換部で変換したデジタル信号を無線方式で機外に送信可能な送信部、該送信部及び前記信号変換部を駆動する電池、水密且つ気密な周壁で形成されて側面中間領域で分離可能な筒状であり、前記信号変換部、前記送信部及び前記電池が内蔵されると共に、前記温度測定部が所定方向に突出する態様で接続されたケーシング、該ケーシング表面の一部又は同ケーシング表面の全部の領域を水密且つ気密に被覆する被覆部を含む本体部、を有する堆肥原料の管理用温度計と、
前記送信部から送信されたデジタル信号を受信可能な受信部、及び、該受信部で受信したデジタル信号をインターネット回線を介して無線方式で機外に送信可能なインターネット通信部を有する中継装置と、を備え、
前記ケーシングは第1ケーシング部材及び第2ケーシング部材を含み、該第1ケーシング部材は、上部が開口した有底筒状で、前記温度測定部の基端が底面に接続された構造であり、該第2ケーシング部材は、天面が閉じ下部が開口した筒状で、前記第1ケーシング部材の上部開口に取り付け可能に設けた構造であり、
前記被覆部は第1被覆層及び第2被覆層を含み、該第1被覆層は、前記第1ケーシング部材と前記第2ケーシング部材との取り付け状態において、前記ケーシングの側面に現れる同第1ケーシング部材と同第2ケーシング部材の境界部分を被覆可能な所定幅の帯体を取り付けてなる構造であり、該第2被覆層は、前記帯体を含む前記ケーシングの側面領域をシュリンク材を以て被覆した構造である
堆肥原料の温度管理装置。
【請求項2】
前記管理用温度計の送信部が、一定時間毎の測定温度のデータを送信するように設定されると共に、前記中継装置のインターネット通信部が、受信した測定温度のデータを予め設定した情報通信端末にプッシュ通知するように設定されている
請求項1に記載の堆肥原料の温度管理装置。
【請求項3】
前記中継装置の前記受信部の電源が、RS485プラス電源の共用ラインを使用する構造となっている
請求項1又は請求項2に記載の堆肥原料の温度管理装置。
【請求項4】
情報通信端末と、
堆肥原料内に挿入可能な所定長さの温度測定部、該温度測定部により測定した堆肥原料の温度情報に係るアナログ信号をデジタル信号に変換可能な信号変換部、該信号変換部で変換したデジタル信号を無線方式で機外に送信可能な送信部、該送信部及び前記信号変換部を駆動する電池、水密且つ気密な周壁で形成されて側面中間領域で分離可能な筒状であり、前記信号変換部、前記送信部及び前記電池が内蔵されると共に、前記温度測定部が所定方向に突出する態様で接続されたケーシング、該ケーシング表面の一部又は同ケーシング表面の全部の領域を水密且つ気密に被覆する被覆部を含む本体部、を有する堆肥原料の管理用温度計と、
前記送信部から送信されたデジタル信号を受信可能な受信部、及び、該受信部で受信したデジタル信号をインターネット回線を介して無線方式で機外に送信可能なインターネット通信部を有する中継装置と、を備え、
前記ケーシングは第1ケーシング部材及び第2ケーシング部材を含み、該第1ケーシング部材は、上部が開口した有底筒状で、前記温度測定部の基端が底面に接続された構造であり、該第2ケーシング部材は、天面が閉じ下部が開口した筒状で、前記第1ケーシング部材の上部開口に取り付け可能に設けた構造であり、
前記被覆部は第1被覆層及び第2被覆層を含み、該第1被覆層は、前記第1ケーシング部材と前記第2ケーシング部材との取り付け状態において、前記ケーシングの側面に現れる同第1ケーシング部材と同第2ケーシング部材の境界部分を被覆可能な所定幅の帯体を取り付けてなる構造であり、該第2被覆層は、前記帯体を含む前記ケーシングの側面領域をシュリンク材を以て被覆した構造である
堆肥原料の温度管理システム
【請求項5】
堆肥原料を貯留可能な貯留部と、
該貯留部に貯留される堆肥原料内に挿入可能な所定長さの温度測定部、該温度測定部により測定した堆肥原料の温度情報に係るアナログ信号をデジタル信号に変換可能な信号変換部、該信号変換部で変換したデジタル信号を無線方式で機外に送信可能な送信部、該送信部及び前記信号変換部を駆動する電池、水密且つ気密な周壁で形成されて側面中間領域で分離可能な筒状であり、前記信号変換部、前記送信部及び前記電池が内蔵されると共に、前記温度測定部が所定方向に突出する態様で接続されたケーシング、該ケーシング表面の一部又は同ケーシング表面の全部の領域を水密且つ気密に被覆する被覆部を含む本体部、を有する堆肥原料の管理用温度計と、
前記送信部から送信されたデジタル信号を受信可能な受信部、及び、該受信部で受信したデジタル信号をインターネット回線を介して無線方式で機外に送信可能なインターネット通信部を含む中継装置と、を備え、
前記ケーシングは第1ケーシング部材及び第2ケーシング部材を含み、該第1ケーシング部材は、上部が開口した有底筒状で、前記温度測定部の基端が底面に接続された構造であり、該第2ケーシング部材は、天面が閉じ下部が開口した筒状で、前記第1ケーシング部材の上部開口に取り付け可能に設けた構造であり、
前記被覆部は第1被覆層及び第2被覆層を含み、該第1被覆層は、前記第1ケーシング部材と前記第2ケーシング部材との取り付け状態において、前記ケーシングの側面に現れる同第1ケーシング部材と同第2ケーシング部材の境界部分を被覆可能な所定幅の帯体を取り付けてなる構造であり、該第2被覆層は、前記帯体を含む前記ケーシングの側面領域をシュリンク材を以て被覆した構造である
堆肥化処理施設
【請求項6】
堆肥原料内に挿入可能な所定長さの温度測定部と、
該温度測定部により測定した堆肥原料の温度情報に係るアナログ信号をデジタル信号に変換可能な信号変換部、該信号変換部で変換したデジタル信号を無線方式で機外に送信可能な送信部、該送信部及び前記信号変換部を駆動する電池、水密且つ気密な周壁で形成されて側面中間領域で分離可能な筒状であり、前記信号変換部、前記送信部及び前記電池が内蔵されると共に、前記温度測定部が所定方向に突出する態様で接続されたケーシング、及び、該ケーシング表面の一部又は同ケーシング表面の全部の領域を水密且つ気密に被覆する被覆部を有する本体部と、を備え、
前記ケーシングは第1ケーシング部材及び第2ケーシング部材を含み、該第1ケーシング部材は、上部が開口した有底筒状で、前記温度測定部の基端が底面に接続された構造であり、該第2ケーシング部材は、天面が閉じ下部が開口した筒状で、前記第1ケーシング部材の上部開口に取り付け可能に設けた構造であり、
前記被覆部は第1被覆層及び第2被覆層を含み、該第1被覆層は、前記第1ケーシング部材と前記第2ケーシング部材との取り付け状態において、前記ケーシングの側面に現れる同第1ケーシング部材と同第2ケーシング部材の境界部分を被覆可能な所定幅の帯体を取り付けてなる構造であり、該第2被覆層は、前記帯体を含む前記ケーシングの側面領域をシュリンク材を以て被覆した構造である
堆肥原料の管理用温度計
【請求項7】
前記帯体が、伸縮性を有し、水密性及び気密性を有する環状のバンドである
請求項6に記載の堆肥原料の管理用温度計。
【請求項8】
堆肥原料内に挿入可能な所定長さの温度測定部と、該温度測定部により測定した堆肥原料の温度情報に係るアナログ信号をデジタル信号に変換可能な信号変換部、該信号変換部で変換したデジタル信号を無線方式で機外に送信可能な送信部、該送信部及び前記信号変換部を駆動する電池、水密且つ気密な周壁で形成されて側面中間領域で分離可能な筒状であり、前記信号変換部、前記送信部及び前記電池が内蔵されると共に、前記温度測定部が所定方向に突出する態様で接続されたケーシング、及び、該ケーシング表面の一部又は同ケーシング表面の全部の領域を水密且つ気密に被覆する被覆部を有する本体部と、を備え、前記ケーシングは第1ケーシング部材及び第2ケーシング部材を含み、該第1ケーシング部材は、上部が開口した有底筒状で、前記温度測定部の基端が底面に接続された構造であり、該第2ケーシング部材は、天面が閉じ下部が開口した筒状で、前記第1ケーシング部材の上部開口に取り付け可能に設けた構造であり、前記被覆部は第1被覆層及び第2被覆層を含み、該第1被覆層は、前記第1ケーシング部材と前記第2ケーシング部材との取り付け状態において、前記ケーシングの側面に現れる同第1ケーシング部材と同第2ケーシング部材の境界部分を被覆可能な所定幅の帯体を取り付けてなる構造であり、該第2被覆層は、前記帯体を含む前記ケーシングの側面領域をシュリンク材を以て被覆した構造である、堆肥原料の管理用温度計を使用し、
貯留部に貯留した堆肥原料内に、前記堆肥原料の管理用温度計の温度測定部を挿入し、堆肥原料の温度情報を得る、第1ステップと、
該第1ステップで測定された前記温度情報に係るアナログ信号を、信号変換部によりデジタル信号に変換し、該デジタル信号を送信部により無線方式で機外に送信する、第2ステップと、
該第2ステップで送信された前記デジタル信号を中継装置の受信部で受信し、中継装置が有するインターネット通信部を介して、受信した前記デジタル信号を、インターネット回線を介して無線方式で機外に送信する第3ステップと、
を備える
堆肥原料の温度管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水汚泥、食品汚泥、食品廃棄物等の動植物質材料(以下「堆肥原料」という)の温度管理装置、堆肥化処理施設、堆肥原料の管理用温度計、及び、堆肥原料の温度管理方法に関する。詳しくは、堆肥原料の温度管理を行う際に、管理用機材の設置作業が容易であると共に、遠隔監視による温度管理が可能で、温度管理作業における施設を管理する者或いは作業に従事する者(以下「管理作業者」という)の負担と手間を軽減することができるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品廃棄物等の動植物質材料を原料とし、これらを好気性微生物による発酵により分解させる堆肥の製造方法が行われている。当該堆肥の製造方法では、所定のタイミングで堆肥原料を混合する作業(以下「切り返し」という)が必要である。切り返しは、これを行うことにより、堆肥原料を満遍なく混合することで好気性微生物に酸素を供給して発酵が促され、メタンガス等が生じる嫌気性微生物による発酵が抑制されるという効果を奏する。
【0003】
ところで、好気性微生物による発酵に際しては、堆肥原料の温度が約60度まで上昇し、発酵が進むと徐々に温度が低下することが知られており、発酵の継続及び活性化のためには、温度が低下傾向にあるときに切り返しを行うことが推奨される。このため、堆肥化処理施設においては、切り返しのタイミングを計るべく、管理作業者が堆肥原料の温度を定期的に測定する作業を行うことが一般的である。
【0004】
しかしながら、温度計を都度運搬して堆肥原料に挿し、毎日毎時間のように行う堆肥原料の温度測定は、管理作業者にとって大変手間が掛かる作業である。更に、発酵中の堆肥原料は、前述の通り温度が上昇するため、温度測定作業中の管理作業者は熱気に晒されることになる。加えて、堆肥化初期の堆肥原料は臭気が強い。そして、熱気及び臭気の発生は、特に夏場に顕著である。つまり、このような条件下で行われる堆肥原料の温度測定作業は、作業者にとって手間が掛かるだけでなく、肉体的にも精神的にも負担が大きい。
【0005】
このため、前述の作業負担を軽減する一手段として、例えば、下記特許文献1に記載されているような堆肥の製造方法が提案されている。当該堆肥の製造方法は、堆肥原料を、その下部に通気配管を配した熟成槽に入れ、上記通気配管から堆肥原料の中に空気を送り込みながら微生物により酸化分解させかつ同時に発酵させて堆肥を製造する方法であり、上記熟成槽内の堆肥原料の温度を定期的又は継続的に測定し、前記通気配管を介して上記堆肥原料中に送り込むべき現在の空気量を、堆肥原料の現在の温度に比例する空気量から、堆肥原料に於ける残存未熟成分の減少に伴い発生する不要空気量を減算して得られる空気量に制御するものである。
【0006】
そして、当該堆肥の製造方法において、堆肥原料の温度を、熟成槽に於いて温度的に外部要因に影響され難い堆肥原料の部位に温度センサを挿入して測定することが開示されており(特許文献1の請求項3)、この方法によれば、管理作業者にとっては、温度計を運搬し、堆肥原料に挿す手間からは解放される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2003-146783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1記載の堆肥の製造方法では、管理作業者は、温度センサの定置によって温度計の運搬や堆肥原料に挿す手間からは解放されるものの、堆肥原料の貯留場所に定期的に足を運んで温度計を確認する作業の手間からは解放されておらず、また、熱気や臭気に晒されることによる管理作業者の肉体的精神的な負担が軽減されるとは言い難い。
【0009】
本発明は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、堆肥原料の温度管理を行う際に、管理用機材の設置作業が容易であると共に、遠隔監視による温度管理が可能で、温度管理作業における管理作業者の負担と手間を軽減することができる、堆肥原料の温度管理装置、堆肥化処理施設、堆肥原料の管理用温度計、及び、堆肥原料の温度管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の堆肥原料の温度管理装置は、堆肥原料内に挿入可能な所定長さの温度測定部、該温度測定部により測定した堆肥原料の温度情報に係るアナログ信号をデジタル信号に変換可能な信号変換部、該信号変換部で変換したデジタル信号を無線方式で機外に送信可能な送信部、該送信部及び前記信号変換部を駆動する電池、水密且つ気密な周壁で形成され、前記信号変換部、前記送信部及び前記電池が内蔵されると共に、前記温度測定部が所定方向に突出する態様で接続されたケーシング、該ケーシングに形成され、少なくとも該電池を出し入れ可能な開口部、該開口部を覆う蓋部、及び、該蓋部を含む同ケーシング表面の一部又は同ケーシング表面の全部の領域を、水密且つ気密に被覆する被覆部を含む本体部、を有する堆肥原料の管理用温度計と、前記送信部から送信されたデジタル信号を受信可能な受信部、及び、該受信部で受信したデジタル信号をインターネット回線を介して無線方式で機外に送信可能なインターネット通信部を有する中継装置と、を備える。
【0011】
ここで、堆肥原料の温度管理装置が備える堆肥原料の管理用温度計は、前述の温度測定部を有することにより、温度測定部を堆肥原料内の所定の深さに挿入して温度測定を行うことができる。
【0012】
「温度測定部」としては、製品寿命、耐熱性、機械的強度の観点から、シース型熱電対が好適に採用されるが、これに限定するものではなく、例えば、赤外線測定構造、抵抗測定構造を採用することもできる。
【0013】
「所定長さ」としては、対象となる堆肥原料の高さ方向中心方向の所定深度に到達し得る程度に長尺であることが好ましく、例えば、30cm以上200cm以下が好適であるが、これに限定するものではなく、堆肥原料の量(堆積する高さ等)により変更可能である。なお、30cm未満である場合は堆肥原料の表層近くの温度測定しかできないため好ましくなく、一方、200cmを超える場合は取り回しや保管場所に支障が生じる可能性があるため好ましくない。
【0014】
堆肥原料の管理用温度計は、本体部が前述の信号変換部を有することにより、温度測定部により測定した堆肥原料の温度情報に係るアナログ信号をデジタル信号に変換することができる。また、本体部が前述の送信部を有することにより、変換されたデジタル信号(堆肥原料の温度情報)を無線方式で機外に送信することができる。そして、本体部が前述の電池を有することにより、電力が送信部及び信号変換部に供給され、送信部及び信号変換部を駆動することができる。
【0015】
本体部は、水密且つ気密な周壁で形成されたケーシングを有することにより、信号変換部、送信部及び電池を内蔵することができ、内蔵された信号変換部等を水分や腐食性ガス等から保護することができる。また、ケーシングは、温度測定部が所定方向に突出する態様で接続されていることにより、堆肥原料に温度測定部を挿した態様で、本体部が堆肥原料の外に露出させることができる。更にまた、ケーシングと温度測定部が接続しているので、温度測定部が測定した温度情報を、ケーシング内の信号変換部に直接伝達することができる。
【0016】
そして、本体部は、ケーシングが開口部とその蓋を有することにより、通常は蓋を閉めて内蔵された信号変換部等を水分や腐食性ガス等から保護すると共に、電池が電力供給不能な際には、蓋を開けて同開口部から電池を出し入れして交換することで、装置の継続的使用を可能にしている。
【0017】
更に、本体部は、前述の被覆部を有することにより、蓋部を含む同ケーシング表面の一部、又は、同ケーシング表面の全部の領域を、水密且つ気密に被覆することができる。これにより、ケーシング自体による水分や腐食性ガス等からの保護機能に加えて、被覆部による保護機能を付加することができる。
【0018】
堆肥原料の温度管理装置が備える中継装置は、前述の受信部を有することにより、堆肥原料の管理用温度計が機外に送信したデジタル信号を受信することができる。そして、中継装置が前述のインターネット通信部を有することにより、受信部で受信したデジタル信号を、インターネット回線を介して無線方式で機外に送信することができる。
【0019】
本発明の堆肥原料の温度管理装置によれば、前述した堆肥原料の管理用温度計を堆肥原料に挿すだけでよく、電源ケーブルや通信ケーブルの取り回しが不要なため、設置作業が容易である。併せて、中継装置が比較的簡易な構造であるため、小型化可能で設置作業が容易である。そして、測定された堆肥原料の温度は、堆肥原料の管理用温度計から無線方式で中継装置に送られ、中継装置からインターネット回線を介して、管理作業者が使用する情報通信端末で確認できる(すなわち、遠隔監視による温度管理が可能)。
【0020】
つまり、管理作業者は、温度管理作業において、堆肥原料の貯留場所に定期的に足を運んで温度計を確認する作業から解放され、併せて、機材の設置時やメンテナンス時を除いて熱気や臭気に晒されることがないので、肉体的精神的な負担や手間が大きく軽減されている。
【0021】
また、ケーシングが、側面中間領域で分離可能な筒状であり、上部が開口した有底筒状で、温度測定部の基端が底面に接続された第1ケーシング部材、及び、天面が閉じ下部が開口した筒状で、第1ケーシング部材の上部開口に取り付け可能な第2ケーシング部材、を含む構造であると共に、被覆部が、第1ケーシング部材と第2ケーシング部材との取り付け状態において、ケーシングの側面に現れる第1ケーシング部材と第2ケーシング部材の境界部分を被覆可能な所定幅の帯体を取り付けてなる第1被覆層、及び、帯体を含むケーシングの側面領域をシュリンク材を以て被覆した第2被覆層、を含む構造である場合は、堆肥原料の管理用温度計の製造時及びメンテナンス時の作業性が更に向上する。
【0022】
より具体的には、前述の通り、ケーシングが、第1ケーシング部材及び第2ケーシング部材を含み、側面中間領域で分離可能な筒状な構造であることにより、例えば、製造時においては、温度測定部の基端が底面に接続された側である第1ケーシング部材の上部開口から、信号変換部、送信部及び電池を入れて内部に設置し、第2ケーシング部材で第1ケーシング部材の上部開口を閉じる(蓋をする)だけでよく、作業性が良い。また、蓋である第2ケーシング部材を着脱するだけで、電池交換や基板交換等のメンテナンスが可能であるため、メンテナンス時の作業性も良い。
【0023】
被覆部は、第1被覆層及び第2被覆層を含む構造であることにより、水分や腐食性ガス等からの保護機能が更に向上する。ところで、本発明のケーシングは、構造上その側面に第1ケーシング部材と第2ケーシング部材の境界部分が現れることになるが、帯体を取り付けることによって、同境界部分とその近傍が被覆され、水分や腐食性ガス等が浸入しにくくなる。加えて、シュリンク材を以て帯体を含むケーシングの側面領域を被覆することで、水分や腐食性ガス等が浸入しにくくなる。つまり、被覆部が二重層であり、水分や腐食性ガス等の浸入抑止効果がより向上している。
【0024】
なお、第1ケーシング部材と第2ケーシング部材を分離させてメンテナンスを行う際にも、帯体とシュリンク材を切断して(シュリンク材のみを切断する場合もある)ケーシングを開け、メンテナンス終了後は、帯体を再度巻き、シュリンク材を収縮させて再封止すればよいので、作業が良い。
【0025】
また、帯体が、伸縮性を有し、水密性及び気密性を有する環状のバンドである場合は、帯体を取り付ける作業が容易且つ手早く行いやすく、作業性が更に向上する。そして、帯体は、第1被覆層に水密性及び気密性を付加するので、ケーシング水分や腐食性ガス等の浸入可能性を更に低減させ、ケーシングに内蔵された信号変換部等の部品の保護を図ることができる。なお、「樹脂製バンド」としては、例えば、ゴム等の樹脂製バンドが挙げられるが、これに限定するものではなく、他の素材により形成されたものであってもよい。
【0026】
上記の目的を達成するために、本発明の堆肥原料の温度管理装置は、堆肥原料内に挿入可能な温度測定部と、該温度測定部と接続された本体部とを有し、該本体部は、水密且つ気密な周壁で形成されたケーシング内に、測定した堆肥原料の温度情報に係る信号を無線方式で機外に送信可能な送信部が内蔵された、堆肥原料の管理用温度計と、前記送信部から送信された前記信号を受信可能な受信部、及び、該受信部で受信した前記信号をインターネット回線を介して無線方式で機外に送信可能なインターネット通信部を有する、中継装置と、を備える。
【0027】
ここで、堆肥原料の温度管理装置が備える堆肥原料の管理用温度計は、前述の温度測定部を有することにより、温度測定部を堆肥原料内の所定の深さに挿入して温度測定を行うことができる。また、本体部が温度測定部と接続しているので、温度測定部が測定した温度情報を、本体部が有する送信部に直接伝達することができる。そして、本体部は、水密且つ気密な周壁で形成されたケーシングを有することにより、送信部を内蔵することができ、内蔵された送信部を水分や腐食性ガス等から保護することができる。
【0028】
堆肥原料の管理用温度計は、本体部が前述の送信部を有することにより、測定した堆肥原料の温度情報に係る信号を無線方式で機外に送信することができる。
【0029】
堆肥原料の温度管理装置が備える中継装置は、前述の受信部を有することにより、堆肥原料の管理用温度計が機外に送信した信号を受信することができる。そして、中継装置が前述のインターネット通信部を有することにより、受信部で受信した信号を、インターネット回線を介して無線方式で機外に送信することができる。
【0030】
本発明の堆肥原料の温度管理装置によれば、前述した堆肥原料の管理用温度計を堆肥原料に挿入するものであり、併せて、中継装置が比較的簡易な構造であるため、小型化可能で、設置作業が容易である。そして、測定された堆肥原料の温度は、堆肥原料の管理用温度計から無線方式で中継装置に送られ、中継装置からインターネット回線を介して、管理作業者が使用する情報通信端末で確認できる(すなわち、遠隔監視による温度管理が可能)。
【0031】
つまり、管理作業者は、温度管理作業において、堆肥原料の貯留場所に定期的に足を運んで温度計を確認する作業から解放され、併せて、機材の設置時やメンテナンス時を除いて熱気や臭気に晒されることがないので、肉体的精神的な負担や手間が大きく軽減されている。
【0032】
上記の目的を達成するために、本発明の堆肥原料の温度管理システムは、情報通信端末と、堆肥原料内に挿入可能な所定長さの温度測定部、該温度測定部により測定した堆肥原料の温度情報に係るアナログ信号をデジタル信号に変換可能な信号変換部、該信号変換部で変換したデジタル信号を無線方式で機外に送信可能な送信部、該送信部及び前記信号変換部を駆動する電池、水密且つ気密な周壁で形成され、前記信号変換部、前記送信部及び前記電池が内蔵されると共に、前記温度測定部が所定方向に突出する態様で接続されたケーシング、該ケーシングに形成され、少なくとも該電池を出し入れ可能な開口部、該開口部を覆う蓋部、及び、該蓋部を含む同ケーシング表面の一部又は同ケーシング表面の全部の領域を、水密且つ気密に被覆する被覆部を含む本体部、を含む堆肥原料の管理用温度計、及び、前記送信部から送信されたデジタル信号を受信可能な受信部、及び、該受信部で受信したデジタル信号をインターネット回線を介して無線方式で前記情報通信端末に送信可能なインターネット通信部を含む中継装置、を有する堆肥原料の温度管理装置と、を備える。
【0033】
ここで、情報通信端末は、インターネット回線を介して、中継装置が送信したデジタル信号を受信することができる。これにより、例えば、情報通信端末のWebブラウザに、或いは、情報通信端末に接続されたモニターに表示されたWebブラウザに、受信したデジタル信号に基づく堆肥原料の温度を表示することができる。なお、「情報通信端末」としては、例えばパーソナルコンピュータ(以下「PC」という)タブレット端末、スマートフォン等が挙げられる。
【0034】
つまり、作業管理者は、堆肥原料の貯留場所から離れていても、使用する情報通信端末のモニターや画面を目視し、堆肥原料の温度を確認することができる(遠隔監視による温度管理が可能である)。加えて、特定の情報通信端末のみならず、複数の情報通信端末からのアクセスも可能であり、複数の作業管理者による遠隔監視での温度管理が可能となる。
【0035】
堆肥原料の温度管理装置が有する堆肥原料の管理用温度計は、前述の温度測定部を有することにより、温度測定部を堆肥原料内の所定の深さに挿入して温度測定を行うことができる。本体部は、前述の信号変換部を有することにより、温度測定部により測定した堆肥原料の温度情報に係るアナログ信号をデジタル信号に変換することができる。また、本体部は、前述の送信部を有することにより、変換されたデジタル信号(堆肥原料の温度情報)を無線方式で機外に送信することができる。そして、本体部は、前述の電池を有することにより、電力が送信部及び信号変換部に供給され、送信部及び信号変換部を駆動することができる。
【0036】
そして、本体部は、前述のケーシングを有することにより、信号変換部、送信部及び電池を内蔵することができ、内蔵された信号変換部等を水分や腐食性ガス等から保護することができる。また、ケーシングは、温度測定部が所定方向に突出する態様で接続されていることにより、堆肥原料に温度測定部を挿した態様で、本体部が堆肥原料の外に露出させることができる。更にまた、ケーシングと温度測定部が接続しているので、温度測定部が測定した温度情報を、ケーシング内の信号変換部に直接伝達することができる。
【0037】
更に、本体部は、ケーシングが開口部とその蓋を有することにより、通常は蓋を閉めて内蔵された信号変換部等を水分や腐食性ガス等から保護すると共に、電池が電力供給不能な際には、蓋を開けて同開口部から電池を出し入れして交換することで、装置の継続的使用を可能にしている。また、本体部は、前述の被覆部を有することにより、蓋部を含む同ケーシング表面の一部、又は、同ケーシング表面の全部の領域を、水密且つ気密に被覆することができる。これにより、ケーシング自体による水分や腐食性ガス等からの保護機能に加えて、被覆部による保護機能を付加することができる。
【0038】
堆肥原料の温度管理装置が有する中継装置は、前述の受信部を有することにより、堆肥原料の管理用温度計が機外に送信したデジタル信号を受信することができる。そして、中継装置が前述のインターネット通信部を有することにより、受信部で受信したデジタル信号を、インターネット回線を介して無線方式で機外に送信することができる。
【0039】
本発明の堆肥原料の温度管理システムによれば、前述した堆肥原料の管理用温度計を堆肥原料に挿すだけでよく、電源ケーブルや通信ケーブルの取り回しが不要なため、設置作業が容易である。併せて、中継装置が比較的簡易な構造であるため、小型化可能で設置作業が容易である。そして、測定された堆肥原料の温度は、堆肥原料の管理用温度計から無線方式で中継装置に送られ、中継装置からインターネット回線を介して、管理作業者が使用する情報通信端末で確認できる(すなわち、遠隔監視による温度管理が可能)。
【0040】
つまり、管理作業者は、温度管理作業において、堆肥原料の貯留場所に定期的に足を運んで温度計を確認する作業から解放され、併せて、機材の設置時やメンテナンス時を除いて熱気や臭気に晒されることがないので、肉体的精神的な負担や手間が大きく軽減されている。
【0041】
上記の目的を達成するために、本発明の堆肥化処理施設は、堆肥原料を貯留可能な貯留部と、該貯留部に貯留される堆肥原料内に挿入可能な所定長さの温度測定部、該温度測定部により測定した堆肥原料の温度情報に係るアナログ信号をデジタル信号に変換可能な信号変換部、該信号変換部で変換したデジタル信号を無線方式で機外に送信可能な送信部、該送信部及び前記信号変換部を駆動する電池、水密且つ気密な周壁で形成され、前記信号変換部、前記送信部及び前記電池が内蔵されると共に、前記温度測定部が所定方向に突出する態様で接続されたケーシング、該ケーシングに形成され、少なくとも該電池を出し入れ可能な開口部、該開口部を覆う蓋部、及び、該蓋部を含む同ケーシング表面の一部又は同ケーシング表面の全部の領域を、水密且つ気密に被覆する被覆部を含む本体部、を含む堆肥原料の管理用温度計、及び、前記送信部から送信されたデジタル信号を受信可能な受信部、及び、該受信部で受信したデジタル信号をインターネット回線を介して無線方式で機外に送信可能なインターネット通信部を含む中継装置を有する堆肥原料の温度管理装置と、を備える。
【0042】
ここで、本発明の堆肥化処理施設は、貯留部を備えることにより、堆肥原料を貯留することができる。「貯留部」としては、例えば、隔壁により区画された構造物の内部空間(熟成槽、ピット等とも呼ばれる)等が挙げられる。なお、例えば、貯留部は複数であってもよく、その場合は、少なくとも貯留部の数と同数の堆肥原料の管理用温度計を準備し、使用中の貯留部に貯留した堆肥原料毎に設置することが好適である。これにより、各々の貯留部に貯留された堆肥原料の温度を遠隔監視することもできる。
【0043】
堆肥原料の温度管理装置が有する堆肥原料の管理用温度計は、前述の温度測定部を有することにより、貯留部に貯留された堆肥原料に対し、温度測定部を所定の深さに挿入して温度測定を行うことができる。本体部は、前述の信号変換部を有することにより、温度測定部により測定した堆肥原料の温度情報に係るアナログ信号をデジタル信号に変換することができる。また、本体部は、前述の送信部を有することにより、変換されたデジタル信号(堆肥原料の温度情報)を無線方式で機外に送信することができる。そして、本体部は、前述の電池を有することにより、電力が送信部及び信号変換部に供給され、送信部及び変換部を駆動することができる。
【0044】
そして、本体部は、前述のケーシングを有することにより、信号変換部、送信部及び電池を内蔵することができ、内蔵された信号変換部等を水分や腐食性ガス等から保護することができる。また、ケーシングは、温度測定部が所定方向に突出する態様で接続されていることにより、堆肥原料に温度測定部を挿した態様で、本体部が堆肥原料の外に露出させることができる。更にまた、ケーシングと温度測定部が接続しているので、温度測定部が測定した温度情報を、ケーシング内の信号変換部に直接伝達することができる。
【0045】
更に、本体部は、ケーシングが開口部とその蓋を有することにより、通常は蓋を閉めて内蔵された信号変換部等を水分や腐食性ガス等から保護すると共に、電池が電力供給不能な際には、蓋を開けて同開口部から電池を出し入れして交換することで、装置の継続的使用を可能にしている。また、本体部は、前述の被覆部を有することにより、蓋部を含む同ケーシング表面の一部、又は、同ケーシング表面の全部の領域を、水密且つ気密に被覆することができる。これにより、ケーシング自体による水分や腐食性ガス等からの保護機能に加えて、被覆部による保護機能を付加することができる。
【0046】
堆肥原料の温度管理装置が有する中継装置は、前述の受信部を有することにより、堆肥原料の管理用温度計が機外に送信したデジタル信号を受信することができる。そして、中継装置が前述のインターネット通信部を有することにより、受信部で受信したデジタル信号を、インターネット回線を介して無線方式で機外に送信することができる。
【0047】
本発明の堆肥原料の温度管理システムによれば、前述した堆肥原料の管理用温度計を堆肥原料に挿すだけでよく、電源ケーブルや通信ケーブルの取り回しが不要なため、設置作業が容易である。併せて、中継装置が比較的簡易な構造であるため、小型化可能で設置作業が容易である。そして、測定された堆肥原料の温度は、堆肥原料の管理用温度計から無線方式で中継装置に送られ、中継装置からインターネット回線を介して、管理作業者が使用する情報通信端末で確認できる(すなわち、遠隔監視による温度管理が可能)。
【0048】
つまり、管理作業者は、温度管理作業において、貯留部に定期的に足を運んで温度計を確認する作業から解放され、併せて、機材の設置時やメンテナンス時を除いて熱気や臭気に晒されることがないので、肉体的精神的な負担や手間が大きく軽減されている。
【0049】
上記の目的を達成するために、本発明の堆肥原料の管理用温度計は、堆肥原料内に挿入可能な所定長さの温度測定部と、該温度測定部により測定した堆肥原料の温度情報に係るアナログ信号をデジタル信号に変換可能な信号変換部、該信号変換部で変換したデジタル信号を無線方式で機外に送信可能な送信部、該送信部及び前記信号変換部を駆動する電池、水密且つ気密な周壁で形成され、前記信号変換部、前記送信部及び前記電池が内蔵されると共に、前記温度測定部が所定方向に突出する態様で接続されたケーシング、該ケーシングに形成され、少なくとも該電池を出し入れ可能な開口部、該開口部を覆う蓋部、及び、該蓋部を含む同ケーシング表面の一部又は同ケーシング表面の全部の領域を、水密且つ気密に被覆する被覆部を有する本体部と、を備える。
【0050】
ここで、堆肥原料の管理用温度計は、前述の温度測定部を有することにより、温度測定部を堆肥原料内の所定の深さに挿入して温度測定を行うことができる。
【0051】
本体部は、前述の信号変換部を有することにより、温度測定部により測定した堆肥原料の温度情報に係るアナログ信号をデジタル信号に変換することができる。また、本体部が前述の送信部を有することにより、変換されたデジタル信号(堆肥原料の温度情報)を無線方式で機外に送信することができる。そして、本体部が前述の電池を有することにより、電力が送信部及び信号変換部に供給され、送信部及び変換部を駆動することができる。
【0052】
本体部は、前述のケーシングを有することにより、信号変換部、送信部及び電池を内蔵することができ、内蔵された信号変換部等を水分や腐食性ガス等から保護することができる。また、ケーシングは、温度測定部が所定方向に突出する態様で接続されていることにより、堆肥原料に温度測定部を挿した態様で、本体部が堆肥原料の外に露出させることができる。更にまた、ケーシングと温度測定部が接続しているので、温度測定部が測定した温度情報を、ケーシング内の信号変換部に直接伝達することができる。
【0053】
そして、本体部は、ケーシングが開口部とその蓋を有することにより、通常は蓋を閉めて内蔵された信号変換部等を水分や腐食性ガス等から保護すると共に、電池が電力供給不能な際には、蓋を開けて同開口部から電池を出し入れして交換することで、装置の継続的使用を可能にしている。また、本体部は、前述の被覆部を有することにより、蓋部を含む同ケーシング表面の一部、又は、同ケーシング表面の全部の領域を、水密且つ気密に被覆することができる。これにより、ケーシング自体による水分や腐食性ガス等からの保護機能に加えて、被覆部による保護機能を付加することができる。
【0054】
上記の目的を達成するために、本発明の堆肥原料の温度管理方法は、貯留部に貯留した堆肥原料内に、所定長さに設けられた堆肥原料の管理用温度計の温度測定部を挿入し、堆肥原料の温度情報を得る、第1ステップと、該第1ステップで測定された前記温度情報に係るアナログ信号を、信号変換部によりデジタル信号に変換し、該デジタル信号を送信部により無線方式で機外に送信する、第2ステップと、第2ステップで送信された前記デジタル信号を中継装置の受信部で受信し、中継装置が有するインターネット通信部を介して、受信した前記デジタル信号を、インターネット回線を介して無線方式で機外に送信する第3ステップと、を備える。
【0055】
本発明の堆肥原料の温度管理方法は、前述の第1ステップを備えることにより、貯留部に貯留した堆肥原料内に、所定長さに設けられた堆肥原料の管理用温度計の温度測定部を挿入し、堆肥原料の温度情報を得ることができる。
【0056】
本発明の堆肥原料の温度管理方法は、前述の第2ステップを備えることにより、第1ステップで測定された温度情報に係るアナログ信号を、信号変換部によりデジタル信号に変換し、デジタル信号を送信部により無線方式で機外に送信することができる。
【0057】
本発明の堆肥原料の温度管理方法は、前述の第3ステップを備えることにより、第2ステップで送信されたデジタル信号を中継装置の受信部で受信し、中継装置が有するインターネット通信部を介して、受信したデジタル信号を、インターネット回線を介して無線方式で機外に送信することができる。
【発明の効果】
【0058】
本発明の堆肥原料の温度管理装置、堆肥化処理施設、堆肥原料の管理用温度計、及び、堆肥原料の温度管理方法によれば、堆肥原料の温度管理を行う際に、管理用機材の設置作業が容易であると共に、遠隔監視による温度管理が可能で、温度管理作業における管理作業者の負担と手間を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】本実施の形態に係る堆肥化処理施設の概略全体構造を示した斜視図である。
図2図1の堆肥化処理施設の構造を屋外側方から示した説明図である。
図3図2の中継装置に示し、(a)は筐体の扉を閉じた状態の正面図であり、(b)は筐体の扉を開いた状態の正面図である。
図4図2の管理用温度計に示し、(a)は温度測定部を軸方向に中間省略した正面図であり、(b)は本体部の上方向からの斜視図であり、(c)は本体部の下方向からの斜視図である。
図5図4の本体部を拡大して示し、(a)は第1ケーシング部材と第2ケーシング部材を取り付けた状態の正面図であり、(b)は第1ケーシング部材と第2ケーシング部材が分離した状態の正面図である。
図6図5(b)に示す第2ケーシング部材の上方向からの斜視図である。
図7】本体部を正面視で拡大して組立手順を示し、(a)は第1ケーシング部材と第2ケーシング部材を取り付けてケーシングとなす手順の説明図であり、(b)は(a)の右側に示すケーシングにゴムバンドを取り付けて第1被覆部となす手順の説明図であり、(c)は(b)の右側に示すケーシングにシュリンク材を取り付けて第2被覆部となす手順の説明図である。
図8】本実施の形態に係る堆肥原料の温度管理システムの概略を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図1図8を参照して、本発明の実施の形態を更に詳細に説明する。なお、以下の説明は、本発明に係る堆肥化処理施設、温度管理装置(前述した「温度管理装置」に相当。以下同じ)、管理用温度計(前述した「堆肥原料の管理用温度計」に相当。以下同じ)、堆肥原料の温度管理方法の順序により行う。また、図面各図における符号は、煩雑さを軽減し理解を容易にする範囲内で付しており、同一符号が付される複数の同等物についてはその一部にのみ符号を付す場合がある。
【0061】
〔堆肥化処理施設1〕
図1及び図2を参照する。図1及び図2に示す堆肥化処理施設1は、堆肥原料Cを貯留可能な貯留部10と、貯留部10に貯留された堆肥原料Cの温度管理が可能な温度管理装置2、建物外に配置され、貯留部10内に延設されたパイプ状の送気部B1を有するブロワーB(図2参照)を備える。各部については、以下詳述する。
【0062】
(貯留部10)
堆肥化処理施設1において、貯留部10は複数設けられている(図1参照)。各貯留部10は、両側面及び背面がコンクリート壁で囲まれることで区画され、ホイールローダー等の作業車や管理作業者が通行可能な通路11側である正面と上方が開放した構造である。なお、貯留部10の上方には、屋根が設けられ、雨雪が直接降りかからないようにしてある。
【0063】
〔温度管理装置2、堆肥原料の温度管理システム3〕
図1図2及び図8を主に参照する。温度管理装置2は、管理用温度計21(前述した「堆肥原料の管理用温度計」に相当。以下同じ。本実施形態では3機使用)と、中継装置22を有する。なお、温度管理装置2に使用する情報通信端末D1、D2、D3を加えて、堆肥原料の温度管理システム3が構成される(図8参照)。
【0064】
(情報通信端末D1、D2、D3)
情報通信端末D1はPCであり、情報通信端末D2はタブレット端末であり、情報通信端末53はスマートフォンである(図8参照)。
【0065】
(管理用温度計21)
各管理用温度計21は、温度測定部210と、本体部211を有する。
温度測定部210は、長さ150cmのシース型熱電対である。本実施の形態では、温度測定部210は、感温部分が、耐腐食性を有するステンレススチール製のシース内にサーミスタが格納された構造である。
【0066】
本体部211は、温度測定部210が突出する態様で接続されたケーシング212を有し、ケーシング212内に信号変換部213、送信部214及び電池215が内蔵された構造である(図6図8参照)。
【0067】
信号変換部213は、温度測定部210内のサーミスタと接続され、温度測定部210により測定した堆肥原料Cの温度情報に係るアナログ信号を、デジタル信号に変換可能な構造(サーミスタデジタルコンバータ)である。送信部214は、信号変換部213で変換したデジタル信号を無線方式で機外に送信可能な構造である。電池215は、送信部214及び信号変換部213を駆動可能である(図8参照)。
【0068】
ケーシング212は、高密度ポリエチレン樹脂製の円筒形であり、その側面中間領域で、第1ケーシング部材212aと第2ケーシング部材212bとに分離可能な構造である(図5(a)参照)。第1ケーシング部材212aと第2ケーシング部材212bとの境界部分は、螺合構造になっている(図5(b)参照)。
【0069】
分離状態の第1ケーシング部材212aは、上部が開口した有底円筒形状で、その開口口縁部分に雄ネジが形成され、その底面に温度測定部210の基端が接続されている(図5(b)、図6参照)。分離状態の第2ケーシング部材212bは、天面が閉じ下部が開口した円筒形状で、その開口口縁部分に雌ネジが形成されている(図5(b)参照)。なお、分離状態の第1ケーシング部材212aの開口部分は、前述した「電池を出し入れ可能な開口部」に相当し、第2ケーシング部材212bは前述した「開口部を覆う蓋部」に相当するものである。
【0070】
ケーシング212は、その側面と上面の一部を覆う被覆部212cが設けられている。被覆部212cは、第1被覆部212dと第2被覆部212eからなる二重構造である(図7(c)参照)。
【0071】
第1被覆部212dは、伸縮性、水密性及び気密性を有し、伸縮前の幅が約2cm(すなわち、「ケーシング側面に現れる第1ケーシング部材と第2ケーシング部材の境界部分を被覆可能な幅」)の帯状且つ環状のゴムバンド(前述の「帯体」に相当)により構成される(図7(b)参照)。
【0072】
第2被覆部212eは、シュリンク材を以て構成され、第1被覆部212dを構成する帯体の幅を含んで、ケーシング212の側面領域と、上面及び下面の一部(外縁部近傍)を被覆した構造である(図4(b)、(c)、図7(c)参照)。本実施の形態において、シュリンク材は、ポリエチレンテレフタレート樹脂製のチューブ形状であり、ケーシング212に被せたシュリンク材を熱収縮させることで、第2被覆部212eを設けている。なお、シュリンク材は、耐水性、耐腐食性、気密性を考慮してポリエチレンテレフタレート樹脂製を採用したが、これに限定するものではなく、他の樹脂で代替することもできる。
【0073】
(中継装置22)
中継装置22は、筐体220内に格納された受信部221及びインターネット通信部222を有する(図3(b)、図8参照)。
【0074】
受信部221は、送信部214から送信されたデジタル信号を受信可能な構造である。インターネット通信部222は、受信部221で受信したデジタル信号を、インターネット回線を介して無線方式で機外に送信可能な構造である(図8参照)。
【0075】
各管理用温度計21と中継装置22の間の無線通信は、通信プロトコルとしてESB(Enhanced ShockBurst)方式を採用している。そして、管理用温度計21の送信部214は、一定時間(例えば、15分毎、30分毎、1時間毎等の単位時間)毎の測定温度のデータを送信するように設定されている。そして、中継装置22のインターネット通信部222は、受信した測定温度のデータを、予め設定した情報通信端末D1、D2、D3にプッシュ通知するように設定されている。
【0076】
本実施の形態において、インターネット通信部222は、受信した測定温度のデータを予め設定した情報通信端末D1等にプッシュ通知するように設定されているが、これに限定するものではなく、例えば、情報通信端末D1、D2、D3からのリクエストに応じて、リクエスト受信時における直近の測定温度のデータを参照できるようにしてもよい。また、中継装置22にハードディスクやSSD等の記憶装置(図示省略)を設ける、あるいは、サーバ4を設けてもよく(図8参照)、同記憶装置又はサーバ4に蓄積された温度データを、情報通信端末D1、D2、D3からのリクエストに応じて参照できるように構成してもよい。
【0077】
本実施の形態において、各管理用温度計21と中継装置22の間の無線通信は、通信プロトコルとしてESB方式を採用しているが、これに限定するものではなく、例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)方式等の他の近距離無線通信方式を除外するものではない。
【0078】
〔堆肥原料の温度管理方法〕
本実施の形態において、堆肥原料の温度管理方法は以下のように行われる。
【0079】
(第1ステップ:設置工程)
調達した堆肥原料Cを、堆肥化処理施設1の貯留部10内に搬入し、山積みして貯留する。貯留部10内の堆肥原料Cに、各管理用温度計21の温度測定部210を挿す(挿入する)。そして、図1及び図2に示すように、3機の管理用温度計21は、貯留部10の奥側、中央、手前側に配置する。
【0080】
管理用温度計21を稼働させると、堆肥原料C内部の温度情報(アナログ信号)が得られる。なお、堆肥原料C内の正確な温度を測定すべく、管理用温度計21は、その温度測定部210を堆肥原料Cの高さ方向中央に向かって、なるべく深く挿すことが推奨される。
【0081】
なお、本実施の形態においては、管理用温度計21は3機であるが、これに限定するものではなく、例えば、1機又は2機であってもよいし、4機以上であってもよい。管理用温度計21の数及びその配置(挿す位置)は、堆肥原料Cの量や、貯留部10内の広さ等によって適宜選択可能である。
【0082】
(第2ステップ:管理工程)
測定された前述の温度情報に係るアナログ信号を、各管理用温度計21の本体部211内に内蔵する信号変換部213によりデジタル信号に変換する。そして、このデジタル信号を、送信部214により無線方式で機外に送信する。
【0083】
(第3ステップ:管理工程)
各管理用温度計21から送信された前述のデジタル信号を、中継装置22の受信部221で受信し、中継装置22が有するインターネット通信部222を介して、受信したデジタル信号を、インターネット回線を介して無線方式で機外に送信する。
【0084】
そして、インターネット回線を介して、作業管理者(ユーザー)が使用する情報通信端末D1等でデジタル信号を受信し、情報通信端末D1等のWebブラウザ等に、受信したデジタル信号に基づく堆肥原料Cの温度が表示される。作業管理者は、情報通信端末D1等の画面等を目視し、堆肥原料Cの温度を確認する。温度を確認した管理作業者は、堆肥原料Cの温度に応じて、堆肥原料Cの切り返しを行ったり、図1に示すブロワーBを使用して、貯留部10内に延設された送気部B1から、発酵中の堆肥原料Cに送気を行ったりしてもよい。
【0085】
(作 用)
温度管理装置2を含む堆肥化処理施設1及び堆肥原料の温度管理システム3の作用効果について説明する。
【0086】
堆肥化処理施設1は、貯留部10を備えることにより、図1に記載の如く、堆肥原料Cを貯留することができる。そして、複数の貯留部10で、同時に、多量の堆肥原料Cの堆肥化処理を行うことができる。このとき、各貯留部10は、両側面及び背面が壁で区画されている(図1参照)ことにより、多くの堆肥原料Cの処理を行う際に、熟成度(発酵の進行度合い)が異なる堆肥原料Cが混合せず、貯留部10毎に適切な熟成度での堆肥を製造することができる。
【0087】
また、各貯留部10は、コンクリート壁で区画されていることにより、木製や鉄製の壁と比較して腐食しにくく、長期間に亘って設備更新が不要な構造になっている。そして、各貯留部10は、正面と上方が開放した構造(図1参照)であることにより、発酵で生じる熱や蒸気を逃がすことができる。
【0088】
各貯留部10は、通路側である正面が開放した構造(図1参照)であることにより、ホイールローダー等の作業車によって貯留部10内に堆肥原料Cを搬入し、熟成後の堆肥を搬出することができる。そして、管理作業者が、管理用温度計21の設置等必要に応じて、正面から貯留部10内に入ることができ、通路11(すなわち、貯留部10外)からの視認も容易に行い得る。
【0089】
貯留部10に貯留された堆肥原料Cに対し、各管理用温度計21の温度測定部210を所定の深さで挿して(挿入して)、設置する。これにより、温度測定を行うことができる。
【0090】
温度測定部210により測定した堆肥原料Cの温度情報の信号(アナログ信号)は、信号変換部213に伝達され、この信号は、信号変換部213によってデジタル信号に変換される。変換されたデジタル信号(堆肥原料の温度情報)は、送信部214によって無線方式(ESB方式の通信プロトコル)で機外に送信される。信号変換部213及び送信部214は、本体部211に内蔵される電池215から電力供給されて駆動する。
【0091】
各管理用温度計21は、中継装置22との無線通信にESB方式の通信プロトコルの採用したことにより、長時間に亘る間欠通信が可能であると共に、消費電力が少なくて済み、この結果、長期間の電池交換が不要なものとなっている。
【0092】
そして、ケーシング212は、前述の構造であることにより、内蔵する信号変換部213、送信部214及び電池215を水分や腐食性ガス等から保護している。また、ケーシング212は、前述の態様で温度測定部210と接続されているので、堆肥原料Cに温度測定部210を挿した態様で、本体部211が堆肥原料Cの外に露出させることができる。更にまた、ケーシング211と温度測定部210が接続しているので、温度測定部210で測定した温度情報を、ケーシング211内の信号変換部213に直接伝達することができる。
【0093】
また、ケーシング211は、前述の構造であることにより、第1ケーシング部材212aの上部開口から、信号変換部213、送信部214及び電池215を入れて内部に設置し、第2ケーシング部材212bで第1ケーシング部材212aの上部開口を閉じる(蓋をする)だけでよく、作業性が良い。また、蓋である第2ケーシング部材212bを着脱するだけで、電池25の交換や基板交換等のメンテナンスが可能であるため、メンテナンス時の作業性も良い。
【0094】
ケーシング211は、その被覆部212cが、前述した第1被覆層212d及び第2被覆層212eを含む二重層構造であることにより、水分や腐食性ガス等の浸入抑止効果(保護機能)が更に向上している。
【0095】
第1被覆部212dは、前述のゴムバンド(前述の帯体)を引き延ばし、ケーシング211側面の境界部分に重なるように取り付けて構成される。そして、第2被覆部212eは、ケーシング212の側面領域、上面及び下面の一部(外縁部近傍)を被覆可能な長さのシュリンク材を、ケーシング211側面に位置させ、熱収縮させて構成される。
【0096】
なお、第1ケーシング部材212aと第2ケーシング部材212bを分離させてメンテナンスを行う際は、シュリンク材のみを切断するか、あるいは、ゴムバンドとシュリンク材の両方を切断して、被覆部212cの除去を行う。なお、シュリンク材のみを切断した場合は、ゴムバンドを引き延ばして外し、ゴムバンドの再利用が可能である。一方、ゴムバンドとシュリンク材の両方を切断した場合、ゴムバンドは再利用できず交換となるが、前述の通り、管理用温度計21は電池215が長持ちするため、ゴムバンドが劣化していることも多く、メンテナンスの際にゴムバンドも交換した方が好適である。
【0097】
中継装置22は、前述の受信部221を有することにより、各管理用温度計21が機外に送信したデジタル信号を受信する。そして、中継装置22のインターネット通信部222は、受信部221で受信したデジタル信号を、インターネット回線を介して無線方式で機外に送信する。なお、本実施の形態では、受信部221の電源が、RS485プラス電源の共用ラインを使用する構造となっており、これにより、受信部221は電源(ACアダプタ)が不要で、筐体220内にける配線の取り回しが簡素化できる。
【0098】
堆肥化処理施設1(温度管理装置2を含む)及び堆肥原料の温度管理システム3によれば、各管理用温度計21を堆肥原料Cに挿すだけでよく、電源ケーブルや通信ケーブルの取り回しが不要なため、設置作業が容易である。併せて、中継装置22が比較的簡易な構造であるため、小型化可能で設置作業が容易である。そして、測定された堆肥原料の温度は、各管理用温度計21から無線方式で中継装置22に送られ、中継装置22からインターネット回線を介して、管理作業者が使用する情報通信端末D1等で確認できる。
【0099】
なお、管理作業者は、堆肥原料Cの温度に応じて、堆肥原料Cの切り返しを行ったり、図1に示すブロワーBを使用して、貯留部10内に延設された送気部B1から、発酵中の堆肥原料Cに送気を行ったりしてもよい。
【0100】
つまり、管理作業者は、温度管理作業において、遠隔監視による温度管理が可能で、貯留部に定期的に足を運んで温度計を確認する作業から解放され、併せて、機材の設置時やメンテナンス時を除いて熱気や臭気に晒されることがないので、肉体的精神的な負担や手間が大きく軽減される。
【0101】
本明細書および特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書および特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。また、第一、第二等の言葉は、等級や重要度を意味するものではなく、一つの要素を他の要素から区別するために使用したものである。
【符号の説明】
【0102】
1 堆肥化処理施設
10 貯留部
11 通路
2 温度管理装置
21 管理用温度計
210 温度測定部
211 本体部
212 ケーシング
212a 第1ケーシング部材
212b 第2ケーシング部材
212c 被覆部
212d 第1被覆部
212e 第2被覆部
213 信号変換部
214 送信部
215 電池
22 中継装置
220 筐体
221 受信部
222 インターネット通信部
3 堆肥原料の温度管理システム
4 Webサーバ
A インターネット回線
B ブロワー
B1 送気部
C 堆肥原料
D1、D2、D3 情報通信端末

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8