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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】組織弾性検出方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/08 20060101AFI20230908BHJP
【FI】
A61B8/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022519092
(86)(22)【出願日】2020-07-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-20
(86)【国際出願番号】 CN2020105028
(87)【国際公開番号】W WO2021057238
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】201910919079.0
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515182532
【氏名又は名称】ウーシー ハイスカイ メディカル テクノロジーズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】WUXI HISKY MEDICAL TECHNOLOGIES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】B401, 530 Plaza, University Science Park, Taihu International Science & Technology Park, Xinwu District Wuxi, Jiangsu 214000 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ハー,チオン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,ジンファー
(72)【発明者】
【氏名】スン,ジン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥアン,ホウリー
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2014/162966(JP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0148674(US,A1)
【文献】再公表特許第2009/118798(JP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0347992(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織弾性検出方法であって、
検出領域内の組織に第1の超音波信号を送信することは、弾性検出プローブ上の正の整数N個の超音波アレイ要素を制御することによって超音波スキャンを行い、前記第1の超音波信号の少なくとも1つのイメージングラインを形成することを含むステップと、
前記第1の超音波信号の少なくとも1つのイメージングラインの検出値を追跡するステップと、
複数の時点での前記検出値に従って前記少なくとも1つのイメージングラインの各イメージングラインの運動パラメータの値を決定し、各イメージングラインの複数の運動パラメータによって特徴付けられる運動状態を決定し、前記複数の運動パラメータの値がいずれも対応する事前設定された条件を満たす場合、前記運動状態が事前設定された条件を満たすと判定するステップと、
運動状態が事前設定された条件を満たすイメージングラインを有する位置を選択して、前記位置で組織弾性検出を行うステップとを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
組織弾性検出を行う前記ステップは、
前記検出領域剪断波を励起するステップと、
プローブ上のM個の超音波アレイ要素を制御して、選択した位置で第2の超音波信号を送信し、且つ前記第2の超音波信号のエコー信号を収集するステップと、
前記第2の超音波信号のエコー信号を処理して組織弾性検出を行うステップとを含み、ここで、Mは正の整数である、ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項3】
検出領域内の組織に第1の超音波信号を送信する前に、
プローブ上のR個の超音波アレイ要素を制御して、検出領域内の組織に第3の超音波信号を送信し、且つ第3の超音波信号のエコー信号を収集して、前記検出領域の位置を特定するステップを更に含み、
ここで、Rは正の整数である、ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項4】
組織弾性検出装置であって、制御ホスト及び弾性検出プローブを含み、
前記弾性検出プローブは検出領域内の組織に第1の超音波信号を送信することは、前記制御ホストが、前記弾性検出プローブ上の正の整数N個の超音波アレイ要素を制御することによって超音波スキャンを行い、前記第1の超音波信号の少なくとも1つのイメージングラインを形成することを含み、
前記制御ホストは、前記第1の超音波信号の少なくとも1つのイメージングラインの検出値を追跡し、
前記制御ホストは、複数の時点での前記検出値に従って前記少なくとも1つのイメージングラインの各イメージングラインの運動パラメータの値を決定し、各イメージングラインの複数の運動パラメータによって特徴付けられる運動状態を決定し、前記複数の運動パラメータの値がいずれも対応する事前設定された条件を満たす場合、前記運動状態が事前設定された条件を満たすと判定し、
前記制御ホストは、運動状態が事前設定された条件を満たすイメージングラインを有する位置を選択し、前記弾性検出プローブは、前記位置で組織弾性検出を行う、ことを特徴とする組織弾性検出装置。
【請求項5】
前記弾性検出プローブは励起装置を含み、前記励起装置によって検出領域剪断波を励起し、前記制御ホストは、前記弾性検出プローブ上のM個の超音波アレイ要素を制御して、選択した位置で第2の超音波信号を送信し、且つ第2の超音波信号のエコー信号を収集し、そして前記第2の超音波信号のエコー信号を処理し、ここで、Mは正の整数である、ことを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項6】
前記弾性検出プローブが検出領域内の組織に第1の超音波信号を送信する前に、前記制御ホストは、前記弾性検出プローブ上のR個の超音波アレイ要素を制御して、検出領域内の組織に第3の超音波信号を送信し、且つ第3の超音波信号のエコー信号を収集して、前記検出領域の位置を特定し、ここで、Rは正の整数である、ことを特徴とする請求項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、医用画像の技術分野に関し、特に組織弾性検出方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウイルス性肝炎(A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎など)などの様々な慢性疾患は、進行過程において損傷した組織の線維化を伴い、組織の線維化過程では組織弾性の変化を伴う。したがって、組織弾性情報は、組織線維化の程度を診断するために使用できるパラメータである。
【0003】
トランジェントエラストグラフィ技術(Transient Elastography、TEと略称)は、組織の弾性率を定量的に検出する技術であり、肝硬度測定値(Liver stiffness measurement、LSMと略称)を検出することで、組織の線維化程度を包括的に反映することができる。
【0004】
しかしながら、トランジェントエラストグラフィ技術は、検出領域の組織構造情報、特に組織の2次元構造情報を取得することができず、技師は通常、経験に基づいてトランジェントエラストグラフィ用の超音波プローブを設置及び配置することしかできない。したがって、組織弾性検出を行う場合、超音波プローブは検出領域を検出して画像を生成するが、呼吸や心拍などによる組織の運動、及び検出すべき領域内に大血管、嚢胞又は腹水などの影響要素が存在する可能性がある場合、回避できないため検出エラーが発生し、検出領域を選択する際は、上記の状況をどのように回避するかを考慮して、影響の少ない検出領域を選択すべきである。
【0005】
関連技術において、組織弾性検出の過程において、組織の動的影響がより少ない検出領域をどのように選択するかという問題に対して、これまでのところ効果的な解決策は提案されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
関連技術において、組織弾性検出の過程では、組織の動的影響がより少ない検出領域をどのように選択するかという問題に対して、本発明は、少なくとも上記の問題を解決するための組織弾性検出方法及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、組織弾性検出方法が提供され、前記方法は、
検出領域内の組織に第1の超音波信号を送信し、前記第1の超音波信号の少なくとも1つのイメージングラインを追跡するステップと、
複数の時点での前記イメージングラインに従って各イメージングラインの運動状態を判定するステップと、
運動状態が事前設定された条件を満たすイメージングラインを有する位置を選択して、組織弾性検出を行うステップとを含む。
【0008】
一実施形態では、検出領域内の組織に第1の超音波信号を送信する前記ステップは、弾性検出プローブ上のN個の超音波アレイ要素を制御することによって超音波スキャンを行い、前記第1の超音波信号の少なくとも1つのイメージングラインを形成するステップを含み、ここで、Nは正の整数である。
【0009】
一実施形態では、前記運動状態は、複数の運動パラメータによって特徴付けられ、前記複数の運動パラメータがいずれも対応する事前設定された条件を満たす場合、前記運動状態が事前設定された条件を満たすと判定する。
【0010】
一実施形態では、組織弾性検出を行う前記ステップは、検出領域内の組織に剪断波を送信するステップと、プローブ上のM個の超音波アレイ要素を制御して、選択した位置で第2の超音波信号を送信し、且つ前記第2の超音波信号のエコー信号を収集するステップと、前記第2の超音波信号のエコー信号を処理して組織弾性検出を行うステップとを含み、ここで、Mは正の整数である。
【0011】
一実施形態では、検出領域内の組織に第1の超音波信号を送信する前に、
プローブ上のR個の超音波アレイ要素を制御して、検出領域内の組織に第3の超音波信号を送信し、且つ第3の超音波信号のエコー信号を収集して、前記検出領域の位置を特定するステップを更に含み、
ここで、Rは正の整数である。
【0012】
本発明の別の態様によれば、組織弾性検出装置も提供され、前記組織弾性検出装置は、制御ホスト及び弾性検出プローブを含み、
前記弾性検出プローブは検出領域内の組織に第1の超音波信号を送信し、
前記制御ホストは、前記第1の超音波信号の少なくとも1つのイメージングラインを追跡し、
前記制御ホストは、複数の時点での前記イメージングラインに従って各イメージングラインの運動状態を判定し、
前記制御ホストは、運動状態が事前設定された条件を満たすイメージングラインを有する位置を選択し、前記弾性検出プローブは、組織弾性検出を行う。
【0013】
一実施形態では、前記制御ホストは、弾性検出プローブ上のN個の超音波アレイ要素を制御することによって超音波スキャンを行い、前記第1の超音波信号の少なくとも1つのイメージングラインを形成し、ここで、Nは正の整数である。
【0014】
一実施形態では、前記運動状態は、複数の運動パラメータによって特徴付けられ、前記複数の運動パラメータがいずれも対応する事前設定された条件を満たす場合、前記運動状態が事前設定された条件を満たすと判定する。
【0015】
一実施形態では、前記制御ホストは、検出領域内の組織に剪断波を送信し、前記制御ホストは、前記弾性検出プローブ上のM個の超音波アレイ要素を制御して、選択した位置で第2の超音波信号を送信し、且つ第2の超音波信号のエコー信号を収集し、そして前記第2の超音波信号のエコー信号を処理し、ここで、Mは正の整数である。
【0016】
一実施形態では、前記弾性検出プローブが検出領域内の組織に第1の超音波信号を送信する前に、前記制御ホストは、前記弾性検出プローブ上のR個の超音波アレイ要素を制御して、検出領域内の組織に第3の超音波信号を送信し、且つ第3の超音波信号のエコー信号を収集して、前記検出領域の位置を特定し、ここで、Rは正の整数である。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、検出領域内の組織に第1の超音波信号を送信し、該第1の超音波信号の少なくとも1つのイメージングラインを追跡し、複数の時点での該イメージングラインに従って各イメージングラインの運動状態を判定し、運動状態が事前設定された条件を満たすイメージングラインを有する位置を選択して組織弾性検出を行うことにより、検出すべき領域内の組織の運動状態が弾性検出の精度に影響を与えるという問題を解決し、検出領域内の組織の弾性検出の精度を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本明細書に記載の添付の図面は、本発明の更なる理解を提供するために使用され、本出願の一部を構成するものであり、本発明の例示的な実施形態及びそれらの説明は、本発明を説明するために使用され、本発明に対する不適切な限定を構成するものではない。
【0019】
図1図1は、本発明の実施形態による組織弾性検出装置の第1の構造ブロック図である。
図2図2は、本発明の実施形態による組織弾性検出装置の第2の構造ブロック図である。
図3図3は、本発明の実施形態による組織弾性検出方法の第1のフローチャートである。
図4図4は、本発明の実施形態による組織弾性検出方法の第2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本出願の目的、技術的解決策及び利点をより明確に理解するために、以下、添付の図面及び実施形態を参照して、本発明を更に詳細に説明する。本明細書に記載の特定の実施形態は、本出願を説明するためにのみ使用され、本出願を限定するものではないことを理解されたい。
【0021】
本発明の実施形態において、図1は、本発明の実施形態による組織弾性検出装置の第1の構造ブロック図であり、図1に示されるように、該組織弾性検出装置100は、制御ホスト102及び弾性検出プローブ104を含み、図2は、本発明の実施形態による組織弾性検出装置の第2の構造ブロック図であり、図2に示されるように、該弾性検出プローブ104は、励起装置112及び超音波変換器114を含み、該励起装置112及び超音波変換器114は、弾性検出プローブ104に統合することができ、該制御ホスト102又は該弾性検出プローブ104は、制御命令を該励起装置112及び該超音波変換器114に送信して、検出すべき領域の検出を実現する。剪断波の励起装置112は、振動器、超音波変換器、及びスピーカーのうちのいずれか1つを含む。
【0022】
剪断波の励起プロセスは以下を含む。振動器は、組織の外面に低周波の瞬間振動を加えて組織内に剪断波を発生させ、超音波変換器114によって送信された超音波は組織内部に集束して音響放射力を生成し、組織内に剪断波を発生させ、スピーカーは、組織の外面に特定の周波数の音波を生成して組織内に剪断波を発生させる。
【0023】
超音波変換器114を用いて剪断波を発生させる方法において、剪断波を発生させるための超音波変換器114と、超音波を送信し、且つ超音波エコー信号を受信するための超音波変換器114とは、同じであっても異なっていてもよいことに留意されたい。
【0024】
該超音波変換器114によって各剪断波に対する超音波エコー信号を受信する。超音波変換器114は、受信した各剪断波に対する超音波エコー信号を制御ホスト102に送信し、それにより、制御ホスト102は各超音波エコー信号に対して後続の処理を実行する。
【0025】
それぞれ各剪断波に対応する超音波エコー信号に基づいて、各剪断波の伝搬特性パラメータを取得する。これらの伝搬特性パラメータ及び検出すべき領域の組織密度に従って、検出すべき領域の弾性パラメータを計算する。
【0026】
該弾性検出プロセスは以下を含む。励起装置112は、検出すべき領域の組織の外面に低周波の瞬間振動を加えて組織内に剪断波を発生させ、次に、超音波変換器114は、該組織に超音波を送信し、且つ超音波エコーを収集し、制御ホスト102は、収集した超音波エコー信号に応じて該組織の弾性を計算する。
【0027】
本発明の別の実施形態では、図3は、本発明の実施形態による組織弾性検出方法の第1のフローチャートであり、図3に示されるように、該方法は、以下のステップを含む。
【0028】
ステップS302では、検出領域内の組織に第1の超音波信号を送信し、該第1の超音波信号の少なくとも1つのイメージングラインを追跡する。
【0029】
ステップS304では、複数の時点での該イメージングラインに従って各イメージングラインの運動状態を判定する。
【0030】
ステップS306では、運動状態が事前設定された条件を満たすイメージングラインを有する位置を選択して、組織弾性検出を行う。
【0031】
本発明は、検出領域内の組織に第1の超音波信号を送信し、該第1の超音波信号の少なくとも1つのイメージングラインを追跡し、複数の時点での該イメージングラインに従って各イメージングラインの運動状態を判定し、運動状態が事前設定された条件を満たすイメージングラインを有する位置を選択して組織弾性検出を行う。本発明は、上記の第1の超音波の1回の測定により、運動状態が事前設定された条件を満たすイメージングラインを有する1つ以上の位置を自動的に選択して組織弾性検出の1つ以上の測定位置を特定することにより、検出すべき領域内の組織の運動状態が弾性検出の精度に影響を与えるという問題を解決し、検出領域内の組織の弾性検出の精度を向上させる。
【0032】
本実施形態では、該弾性検出装置100は弾性検出プローブ104を含み、該弾性検出プローブ104が超音波変換器114を含む場合、該超音波変換器114上の事前設定されたプローブ励起領域を選択することができ、該事前設定されたプローブ励起領域は、N個のアレイ要素構モジュールに対応し、ここで、Nは正の整数であり、該N個のアレイ要素モジュールは、異なるグループ化スキャン方法によって、該第1の超音波信号を送信して該少なくとも1つのイメージングラインを形成し、そして該少なくとも1つのイメージングラインの検出値を追跡し、複数の時点での該検出値に従って該少なくとも1つのイメージングラインの各イメージングラインの該運動パラメータ値を決定し、該各イメージングラインの運動パラメータ値に従って該検出領域内の組織の異なる位置での該運動パラメータ値を決定し、超音波変換器114は該弾性検出プローブ104上に複数のプローブ励起領域を有することができるため、いくつかの実験又はコンピュータシミュレーションを通じて、プローブ励起領域を選択することができる。アレイ要素間の干渉が小さく、検出精度の高いアレイ要素に対応するプローブ励起領域を選択することで、剪断波の弾性検出精度を向上させる。
【0033】
本実施形態では、弾性検出プローブ104は、該検出領域内の組織の超音波検出データを取得し、該検出データは以下を含む。超音波の少なくとも1つのイメージングラインの検出値を追跡し、複数の時点での該検出値に従って該検出領域の該運動パラメータ値を決定し、上記実施形態の運動状態は、複数の該運動パラメータによって特徴付けられ、ここで、弾性検出プローブ104(2次元イメージング又は3次元イメージング)は、1つ以上のイメージングラインの経時的な複数のデータを選択し、相互相関、オプティカルフローなどのブロックマッチング方法、位相差計算又はフィルタリングなどの方法によって2つの連続する時点又はいくつかの時点の間の運動パラメータ値を計算し、検出領域内の組織のイメージングラインに対応する運動パラメータ値を選択することができ、それによって各イメージングラインの運動状態を追跡及び判定し、一部のイメージングラインの運動状態が該閾値範囲を超える場合、一部のイメージングラインに対応する検出領域内の組織に対して剪断波検出を行わず、一部のイメージングラインの運動状態の運動パラメータ値が事前設定された閾値未満である場合にのみ、一部のイメージングラインに対応する検出領域内の組織に対して剪断波検出を行い、又は、該検出領域内の組織の該イメージングラインの該運動パラメータ値がすべて該事前設定された閾値未満である場合、該検出領域内の組織を剪断波検出位置として判定し、該実施形態では、上記弾性検出プローブ104での1回の超音波イメージングライン測定により、運動状態が事前設定された条件を満たすイメージングラインを有する1つ以上の位置を自動的に選択して組織弾性検出の1つ以上の測定位置を特定する。各イメージングラインの運動状態を個別に追跡する上記の方法は、剪断波検出が可能な検出領域内の組織の範囲を選択し、又は、検出領域内の組織の一部の領域が剪断波検出を受けることができないことを示し、組織の他の領域を選択して検出するように試験担当者に指示することができる。
【0034】
本実施形態では、検出領域内の組織の運動状態を判定するための時間は、弾性検出装置100が剪断波を送信した後又は送信する前であってもよく、ここで、制御ホスト102は、弾性検出装置100が検出領域内の組織に剪断波を送信した後、該運動パラメータ値が事前設定された閾値未満である場合に、該イメージングラインに対応する検出領域内の組織を弾性検出位置として判定し、そして、弾性検出プローブ104上のM個の超音波アレイ要素を制御して、選択した弾性検出位置で第2の超音波信号を送信し、且つ該第2の超音波信号のエコー信号を収集し、次に該第2の超音波信号のエコー信号を処理して組織弾性検出を行い、ここで、Mは正の整数である。制御ホスト102はまた、弾性検出装置100が検出領域内の組織に剪断波を送信する前に、該第1の超音波の複数の時点での該イメージングラインを判断して各イメージングラインの運動パラメータ値を決定することができ、該運動パラメータ値が事前設定された閾値未満である場合、弾性検出装置100は検出領域内の組織に剪断波を送信し、弾性検出プローブ104上のM個の超音波アレイ要素を制御して、選択した弾性検出位置で第2の超音波信号を送信し、且つ該第2の超音波信号のエコー信号を収集し、そして該第2の超音波信号のエコー信号を処理して組織弾性検出を行い、ここで、Mは正の整数である。
【0035】
本発明の別の実施形態では、図4は、本発明の実施形態による組織弾性検出方法の第2のフローチャートであり、図4に示されるように、該方法は、以下のステップを含む。
【0036】
ステップS402では、弾性検出プローブ104上のR個の超音波アレイ要素を制御して、検出領域内の組織に第3の超音波信号を送信し、且つ第3の超音波信号のエコー信号を収集して、該検出領域の位置を特定し、ここで、Rは正の整数である。
【0037】
ステップS302では、検出領域内の組織に第1の超音波信号を送信し、該第1の超音波信号の少なくとも1つのイメージングラインを追跡する。
【0038】
ステップS304では、複数の時点での該イメージングラインに従って各イメージングラインの運動状態を判定する。
【0039】
ステップS306では、運動状態が事前設定された条件を満たすイメージングラインを有する位置を選択して、組織弾性検出を行う。
【0040】
上記のステップにより、該弾性検出装置100は、検出領域内の組織に第3の超音波信号を送信し、且つ第3の超音波信号のエコー信号を収集することにより、該検出領域内の組織の位置を特定し、検出担当者に検出領域を選択するように指示し、例えば、人体の肝臓領域を検出する場合、超音波は人体内部の画像を形成し、骨、大血管、嚢胞又は腹水領域を避けて、検出担当者は肝臓領域を選択する。
【0041】
上記弾性検出装置100における上記組織弾性検出方法の実施は、以下を含むことができる。検出領域内の組織に第1の超音波信号を送信することは以下を含む。
【0042】
制御ホスト102により弾性検出プローブ104上のN個の超音波アレイ要素を制御して超音波スキャンを行い、該第1の超音波信号の少なくとも1つのイメージングラインを形成し、ここで、Nは正の整数であり、そして第1の超音波信号のイメージングラインの運動パラメータ値を追跡し、該制御ホスト103は、該運動パラメータ値を取得して該検出領域内の組織の運動状態を判定する。
【0043】
該制御ホスト102は、該イメージングラインの該運動パラメータ値が事前設定された閾値未満であるか否かを判定する。
【0044】
該運動パラメータ値が該事前設定された閾値未満である場合、該制御ホスト102は、該イメージングラインに対応する検出領域内の組織を弾性検出位置として判定し、該弾性検出プローブ104は、該検出領域に対して弾性検出を行う。
【0045】
一実施形態では、メモリ及びプロセッサを含むコンピュータデバイスが提供され、メモリにはコンピュータプログラムが記憶されており、該プロセッサは、コンピュータプログラムを実行するときに上記の弾性検出のステップを実行する。
【0046】
当業者は、上記の実施形態の方法におけるプロセスの全部又は一部が、コンピュータプログラムを介して関連するハードウェアに指示することによって実施できることを理解することができ、コンピュータプログラムは、不揮発性コンピュータ可読記憶媒体に記憶することができ、該コンピュータプログラムは実行時に、上記の各方法の実施形態のプロセスを含むことができる。ここで、本出願で提供される各実施形態で使用されるメモリ、ストレージ、データベース又は他の媒体への参照はいずれも、不揮発性及び/又は揮発性メモリを含むことができる。非揮発性メモリには、読み取り専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、 電気的プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、又はフラッシュメモリが含まれる場合がある。揮発性メモリには、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は外部キャッシュメモリが含まれる場合がある。限定ではなく例として、RAMは、スタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、同期DRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDRSDRAM)、拡張SDRAM(ESDRAM)、同期リンク(Synchlink)DRAM(SLDRAM)、ラムバス(Rambus)ダイレクトRAM(RDRAM)、ダイレクトラムバスダイナミックRAM(DRDRAM)、及びラムバスダイナミックRAM(RDRAM)などの様々な形態で利用可能である。
【0047】
上記の実施形態の各技術的特徴は任意に組み合わせることができ、簡潔にするために、上記の実施形態における各技術的特徴のすべての可能な組み合わせについて記載していないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、それらはすべて、本明細書に記載の範囲内であると見なされるべきである。
【0048】
上記の該実施例は、本出願のいくつかの実施形態を表すに過ぎず、その説明は具体的且つ詳細であるが、本発明の特許の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。当業者であれば、本出願の概念から逸脱することなく、いくつかの変形及び改善を行うことができ、それらはすべて本出願の保護範囲に属することに留意されたい。したがって、本出願の特許の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に従うものとする。
図1
図2
図3
図4