(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】減速装置のシリーズ、その構築方法及び製造方法
(51)【国際特許分類】
F16H 57/033 20120101AFI20230908BHJP
F16H 1/14 20060101ALI20230908BHJP
F16H 1/28 20060101ALI20230908BHJP
F16H 1/32 20060101ALI20230908BHJP
F16H 57/038 20120101ALI20230908BHJP
【FI】
F16H57/033
F16H1/14
F16H1/28
F16H1/32 A
F16H57/038
(21)【出願番号】P 2018047405
(22)【出願日】2018-03-15
【審査請求日】2020-09-16
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117499
【氏名又は名称】小島 誠
(72)【発明者】
【氏名】松木 照一
(72)【発明者】
【氏名】石川 哲三
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】吉田 昌弘
【審判官】久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-75205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/14
F16H 1/28
F16H 1/32
F16H 57/033
F16H 57/038
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1減速装置と第2減速装置とが含まれる減速装置のシリーズであって、
前記第1減速装置は、入力軸と出力軸とが直交して配置される直交ユニットと、単純遊星歯車機構を有する単純遊星減速機ユニットと、を備え、
前記第2減速装置は、前記第1減速装置と共通の前記直交ユニットと、偏心体軸を有する偏心揺動型減速機ユニットと、前記直交ユニットの出力軸の回転を前記偏心体軸に伝達するため伝達軸と、を備え、
前記伝達軸は、前記偏心体軸及び前記直交ユニットの出力軸とは別体であり、
前記単純遊星減速機ユニットの太陽歯車軸は、前記直交ユニットの出力軸とは別体であり、
前記伝達軸及び前記太陽歯車軸は、前記共通の直交ユニットの出力軸
と直接的に連結可能である、
減速装置のシリーズ。
【請求項2】
前記偏心揺動型減速機ユニットは、互いに異なる第1偏心揺動型減速機ユニットと第2偏心揺動型減速機ユニットとを含み、
前記偏心揺動型減速機ユニットの前記偏心体軸のうち少なくとも前記第2偏心揺動型減速機ユニットの前記偏心体軸は歯を有し、
前記伝達軸は、歯を有し、前記第2偏心揺動型減速機ユニットの前記偏心体軸の歯と噛み合う、
請求項1記載の減速装置のシリーズ。
【請求項3】
前記第2減速装置の前記伝達軸は、前記第1減速装置の前記単純遊星減速機ユニットの前記太陽歯車軸と共通である、
請求項1又は2記載の減速装置のシリーズ。
【請求項4】
前記偏心体軸には雌スプラインが設けられ、前記太陽歯車軸の歯と前記雌スプラインとがスプライン結合される、
請求項3記載の減速装置のシリーズ。
【請求項5】
前記直交ユニットは、出力軸を支持するカバーを有し、
前記第1減速装置においては、前記単純遊星減速機ユニットのケーシングと前記カバーとが連結され、
前記第2減速装置においては、前記偏心揺動型減速機ユニットのケーシングと前記カバーとが連結用ケーシングを介して連結される、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の減速装置のシリーズ。
【請求項6】
第1減速装置と第2減速装置とが含まれる減速装置のシリーズの構築方法であって、
前記第1減速装置は、入力軸と出力軸とが直交して配置される直交ユニットと、単純遊星歯車機構を有する単純遊星減速機ユニットと、を用いて作成し、
前記第2減速装置は、前記第1減速装置と共通の前記直交ユニットと、偏心体軸を有する偏心揺動型減速機ユニットと、前記直交ユニットの出力軸の回転を前記偏心体軸に伝達するため伝達軸と、を用いて作成し、
前記伝達軸は、前記偏心体軸及び前記直交ユニットの出力軸とは別体であり、
前記単純遊星減速機ユニットの太陽歯車軸は、前記直交ユニットの出力軸とは別体であり、
前記伝達軸及び前記太陽歯車軸は、前記共通の直交ユニットの出力軸
と直接的に連結可能である、
減速装置のシリーズの構築方法。
【請求項7】
第1減速装置と第2減速装置とが含まれる減速装置のシリーズの製造方法であって、
入力軸と出力軸とが直交して配置される直交ユニットと、単純遊星歯車機構を有する単純遊星減速機ユニットと、を連結して前記第1減速装置を作成し、
前記第1減速装置と共通の直交ユニットの出力軸の回転が、偏心体軸を有する偏心揺動型減速機ユニットの前記偏心体軸に伝達されるように伝達軸を配置し、前記直交ユニットと前記偏心揺動型減速機ユニットとを連結して前記第2減速装置を作成し、
前記伝達軸は、前記偏心体軸及び前記直交ユニットの出力軸とは別体であり、
前記単純遊星減速機ユニットの太陽歯車軸は、前記直交ユニットの出力軸とは別体であり、
前記伝達軸及び前記太陽歯車軸は、前記共通の直交ユニットの出力軸
と直接的に連結可能である、
減速装置のシリーズの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速装置のシリーズ、その構築方法及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、入力軸と出力軸とが直交する直交軸減速装置と、入力軸と出力軸とが平行する平行軸減速装置との間で、一部の部品を共通化した減速装置のシリーズが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の直交軸減速装置は、モータ軸の回転運動をモータ軸と直交した直交軸の回転運動に変換する直交ユニットと、入力軸の回転運動を同心の出力軸に減速して伝達する平行軸減速機ユニットとを連結して構成される。
【0005】
入力軸の回転運動を同心の出力軸に減速して伝達する平行軸減速装置には、様々な種類があり、用途に応じて使い分けられる。直交ユニットと平行軸減速機ユニットとが連結される直交軸減速装置においても、様々な種類が用意されて、用途に応じて使い分けられることが望ましい。しかしながら、種類ごとに、機種専用の直交ユニット及び減速機ユニットを設けていたのでは、製品コストが高騰するという課題がある。
【0006】
本発明は、複数の種類の直交軸減速装置を低いコストで提供できる減速装置のシリーズその構築方法及び製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る1つの減速装置のシリーズは、
第1減速装置と第2減速装置とが含まれる減速装置のシリーズであって、
前記第1減速装置は、入力軸と出力軸とが直交して配置される直交ユニットと、単純遊星歯車機構を有する単純遊星減速機ユニットと、を備え、
前記第2減速装置は、前記第1減速装置と共通の前記直交ユニットと、偏心体軸を有する偏心揺動型減速機ユニットと、前記直交ユニットの出力軸の回転を前記偏心体軸に伝達するため伝達軸と、を備え、
前記伝達軸は、前記偏心体軸及び前記直交ユニットの出力軸とは別体であり、
前記単純遊星減速機ユニットの太陽歯車軸は、前記直交ユニットの出力軸とは別体であり、
前記伝達軸及び前記太陽歯車軸は、前記共通の直交ユニットの出力軸に連結可能である構成とした。
【0008】
本発明に係るもう1つの減速装置のシリーズは、
第1減速装置と第2減速装置とが含まれる減速装置のシリーズであって、
前記第1減速装置は、入力軸と第1出力軸とが直交して配置される第1直交ユニットと、単純遊星歯車機構を有する単純遊星減速機ユニットと、を備え、
前記第2減速装置は、偏心体軸を有する偏心揺動型減速機ユニットと、前記第1直交ユニットの前記第1出力軸が、前記偏心体軸に回転を伝達するための伝達部を有する第2出力軸に変更された第2直交ユニットと、を備える構成とした。
【0009】
本発明に係る1つの減速装置のシリーズの構築方法は、
第1減速装置と第2減速装置とが含まれる減速装置のシリーズの構築方法であって、
前記第1減速装置は、入力軸と出力軸とが直交して配置される直交ユニットと、単純遊
星歯車機構を有する単純遊星減速機ユニットと、を用いて作成し、
前記第2減速装置は、前記第1減速装置と共通の前記直交ユニットと、偏心体軸を有する偏心揺動型減速機ユニットと、前記直交ユニットの出力軸の回転を前記偏心体軸に伝達するため伝達軸と、を用いて作成し、
前記伝達軸は、前記偏心体軸及び前記直交ユニットの出力軸とは別体であり、
前記単純遊星減速機ユニットの太陽歯車軸は、前記直交ユニットの出力軸とは別体であり、
前記伝達軸及び前記太陽歯車軸は、前記共通の直交ユニットの出力軸に連結可能である方法とした。
【0010】
本発明に係るもう1つの減速装置のシリーズの構築方法は、
第1減速装置と第2減速装置とが含まれる減速装置のシリーズの構築方法であって、
前記第1減速装置は、入力軸と第1出力軸とが直交して配置される第1直交ユニットと、単純遊星歯車機構を有する単純遊星減速機ユニットと、を用いて作成し、
前記第2減速装置は、偏心体軸を有する偏心揺動型減速機ユニットと、前記第1直交ユニットの前記第1出力軸が、前記偏心体軸に回転を伝達するための伝達部を有する第2出力軸に変更された第2直交ユニットと、を用いて作成する方法とした。
【0011】
本発明に係る1つの減速装置のシリーズの製造方法は、
第1減速装置と第2減速装置とが含まれる減速装置のシリーズの製造方法であって、
入力軸と出力軸とが直交して配置される直交ユニットと、単純遊星歯車機構を有する単純遊星減速機ユニットと、を連結して前記第1減速装置を作成し、
前記第1減速装置と共通の直交ユニットの出力軸の回転が、偏心体軸を有する偏心揺動型減速機ユニットの前記偏心体軸に伝達されるように伝達軸を配置し、前記直交ユニットと前記偏心揺動型減速機ユニットとを連結して前記第2減速装置を作成し、
前記伝達軸は、前記偏心体軸及び前記直交ユニットの出力軸とは別体であり、
前記単純遊星減速機ユニットの太陽歯車軸は、前記直交ユニットの出力軸とは別体であり、
前記伝達軸及び前記太陽歯車軸は、前記共通の直交ユニットの出力軸に連結可能である方法とした。
【0012】
本発明に係るもう1つの減速装置のシリーズの製造方法は、
第1減速装置と第2減速装置とが含まれる減速装置のシリーズの製造方法であって、
入力軸と第1出力軸とが直交して配置される第1直交ユニットと、単純遊星歯車機構を有する単純遊星減速機ユニットと、を連結して前記第1減速装置を作成し、
偏心体軸を有する偏心揺動型減速機ユニットと、前記第1直交ユニットの前記第1出力軸が、前記偏心体軸に回転を伝達するための伝達部を有する第2出力軸に変更された第2直交ユニットと、を連結して前記第2減速装置を作成する方法とした。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の種類の直交軸減速装置を低いコストで提供できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る減速装置のシリーズで共通化される直交ユニットを示す断面図である。
【
図2】実施形態に係る第1単純遊星直交減速機を示す断面図である。
【
図3】実施形態に係る第2単純遊星直交減速機を示す断面図である。
【
図4】実施形態に係る第1偏心揺動直交減速機を示す断面図である。
【
図5】実施形態に係る第2偏心揺動直交減速機を示す断面図である。
【
図6】実施形態に係る第3偏心揺動直交減速機を示す断面図である。
【
図7】実施形態に係る第4偏心揺動直交減速機を示す断面図である。
【
図8】実施形態に係る第5偏心揺動直交減速機を示す断面図である。
【
図9】実施形態に係る第6偏心揺動直交減速機を示す断面図である。
【
図10】実施形態に係る第7偏心揺動直交減速機を示す断面図である。
【
図11】実施形態に係る第8偏心揺動直交減速機を示す断面図である。
【
図12】実施形態に係る第9偏心揺動直交減速機を示す断面図である。
【
図13】実施形態に係る第10偏心揺動直交減速機を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
本発明の実施形態に係る減速装置のシリーズは、
図1の直交ユニット10の全て又は直交ユニット10の大部分を共通にした複数の直交減速機を含んだ製品群である。これら複数の直交減速機には、
図2及び
図3に示す第1、第2単純遊星直交減速機20、30と、
図4から
図13に示す第1から第10偏心揺動直交減速機40~130とが含まれる。第1、第2単純遊星直交減速機20、30は、本発明に係る第1減速装置の一例に相当する。第1から第10偏心揺動直交減速機40~130は、本発明に係る第2減速装置の一例に相当する。続いて、これらの詳細について説明する。
【0017】
(直交ユニット)
図1は、本発明の実施形態に係る減速装置のシリーズで共通化される直交ユニットを示す断面図である。
【0018】
直交ユニット10は、回転運動を入力する入力軸11と、入力軸11に対して軸心が直交配置される出力軸12と、入力軸11と出力軸12とを覆うケーシング13a、13b及びカバー14a、14bとを備える。また、直交ユニット10は、ケーシング13a、13b又はカバー14a、14bと入力軸11又は出力軸12との間に配置される軸受け15a~15eと、入力軸11の先端と出力軸12の一部の区間とに設けられて互いに噛合する傘歯車(ベベルギヤ)11a、16が設けられている。ケーシング13a、13b及びカバー14a、14bは、軸受け15a~15eを介して入力軸11及び出力軸12を回転自在に支持する。傘歯車11a、16は、入力軸11の回転運動を伝達し軸心が互いに直交する出力軸12を回転運動させる。出力軸12の出力端には、出力端の径より小径の軸を圧入により連結可能な圧入穴12cが設けられている。出力軸12は、軸受け15d、15eに圧入されて支持されている。傘歯車16は、出力軸12に圧入等により相対的に回転しないように連結されている。
【0019】
なお、直交ユニット10を構成する歯車は、ベベルギヤに限定されるものではなく、軸心が互いに直交する一対の回転軸の間で回転運動を伝達できれば、例えばハイポイドギヤやウォームギヤなど、何れの種類のギヤが適用されてもよい。換言すれば、軸心の延長線同士が交わって直交するギヤセットだけでなく、軸心の延長線同士が交わることなく直交するギヤセットでもよい。
【0020】
(第1単純遊星直交減速機)
図2は、実施形態に係る第1単純遊星直交減速機を示す断面図である。
【0021】
第1単純遊星直交減速機20は、前述した直交ユニット10と、単純遊星減速機ユニット20Aとを備える。単純遊星減速機ユニット20Aは、入力軸(太陽歯車軸)21と、入力軸21と同心に配置される出力軸22と、単純遊星歯車機構(21a、22a、23g、26、27)とを備える。さらに、単純遊星減速機ユニット20Aは、入力軸21及び出力軸22の径方向外方を覆うケーシング23と、ケーシング23と及びキャリア22a、27との間に配置される軸受け25a、25bとを備える。
【0022】
単純遊星歯車機構は、入力軸21の負荷側に設けられた太陽歯車21aと、太陽歯車21aの径方向の外方に配置された内歯歯車23gとを含む。内歯歯車23gは、ケーシング23の一部であり、ケーシング23の内周部に歯が設けられて構成される。内歯歯車23gは、ケーシング23と別部材とされ、ケーシング23と連結及び一体化されてもよい。さらに、単純遊星歯車機構は、太陽歯車21aと内歯歯車23gとに噛合する複数の遊星歯車26と、遊星歯車26を回転自在に支持しつつ太陽歯車21aを中心とする周方向に遊星歯車26を回動自在に保持するキャリア22a、27とを含む。キャリア22aと出力軸22とは一体化された単一の部材である。キャリア22aと出力軸22とは、別部材とされ、連結及び一体化されてもよい。出力軸22と一体のキャリア22aが軸方向の一方で遊星歯車26の軸の一端を保持し、他方のキャリア27が軸方向の他方で遊星歯車26の軸の他端を保持する。出力軸22とキャリア27とは、出力軸22からピン状に膨出した膨出部22bを介して、遊星歯車26から周方向に離間した位置で連結される。
【0023】
<ユニットの連結>
単純遊星減速機ユニット20Aは、直交ユニット10の出力端に連結される。具体的には、先ず、単純遊星減速機ユニット20Aのケーシング23が直行ユニット10のカバー14bにボルトで連結される。
図1では省略したが直交ユニット10のカバー14bの一部には、単純遊星減速機ユニット20Aのケーシング23とボルトで連結するための複数のボルト穴h1が、出力軸12における周方向に離間して設けられている。次に、単純遊星減速機ユニット20Aの入力軸21の反負荷側が、直交ユニット10の出力軸12の圧入穴12cに圧入される。続いて、入力軸21の太陽歯車21aと遊星歯車26とが噛合するように、単純遊星減速機ユニット20Aが、直交ユニット10の出力側に配置される。そして、直交ユニット10のケーシング13bとカバー14bとがボルトで連結される。これにより、単純遊星減速機ユニット20Aと直交ユニット10とが連結される。
【0024】
<動作>
第1単純遊星直交減速機20は、直交ユニット10に回転トルクが入力されて入力軸11が回転すると、この運動が傘歯車11a、16を介して減速されて出力軸12に伝達される。直交ユニット10の出力軸12は単純遊星減速機ユニット20Aの入力軸21に連結されているので、出力軸12の回転運動は入力軸21の回転運動となる。この回転運動は、単純遊星歯車機構(21a、22a、23g、26、27)を介して減速されて出力軸22に伝達される。これにより、入力軸11に入力された回転運動が減速されかつ回転中心が直交する方向に変換された回転運動を出力軸22から取り出すことができる。
【0025】
(第2単純遊星直交減速機)
図3は、実施形態に係る第2単純遊星直交減速機を示す断面図である。
【0026】
第2単純遊星直交減速機30は、前述した直交ユニット10と、単純遊星減速機ユニット30Aとを備える。単純遊星減速機ユニット30Aは、入力軸(太陽歯車軸)31と、入力軸31と同心に配置される出力軸32と、単純遊星歯車機構(31a、32a、33g、36、37)とを備える。さらに、単純遊星減速機ユニット30Aは、入力軸31及び出力軸32の径方向外方を覆うケーシング33と、ケーシング33とキャリア32a、37との間に配置される軸受け35a、35bとを備える。
【0027】
単純遊星歯車機構は、入力軸31の負荷側に設けられた太陽歯車31aと、太陽歯車31aの径方向の外方に配置された内歯歯車33gとを含む。内歯歯車23gは、ケーシング33の一部であり、ケーシング33の内周部に歯が設けられて構成される。さらに、単純遊星歯車機構は、太陽歯車31aと内歯歯車33gとに噛合する複数の遊星歯車36と、遊星歯車36を回転自在に支持しつつ太陽歯車31aを中心とする周方向に遊星歯車36を回転自在に保持するキャリア32a、37とを含む。キャリア32aと出力軸32とは一体化された単一の部材である。出力軸32と一体のキャリア32aが軸方向の一方で遊星歯車36の軸の一端を保持し、他方のキャリア37が軸方向の他方で遊星歯車36の軸の他端を保持する。出力軸32とキャリア37とは、出力軸32からピン状に膨出した膨出部32bを介して、遊星歯車36から周方向に離間した位置で連結される。
【0028】
単純遊星減速機ユニット30Aは、太陽歯車31aの大きさと、遊星歯車36の大きさと、キャリア32a、37が遊星歯車36を保持する位置が、
図2の単純遊星減速機ユニット20Aの対応する構成要素と異なり、単純遊星減速機ユニット20Aと減速比が異なる。その他は、
図2の単純遊星減速機ユニット20Aと同一である。単純遊星減速機ユニット30Aのケーシング33及び軸受け35a、35bは、単純遊星減速機ユニット20Aのケーシング23及び軸受け25a、25bと共通の部品である。本明細書において、ある部材とある部材が「共通である」または「共通の部品である」とは、両者は物としては別物であるが、形状・寸法・素材が同じである(設計が同じであるという意味であり、製造誤差程度の差はある)ということであり、互いに互換性があるということである。単純遊星減速機ユニット30Aと直交ユニット10とは、
図2の第1単純遊星直交減速機20と同様に連結され、減速比が異なるが
図2の第1単純遊星直交減速機20と同様に回転運動を減速及び伝達する。
【0029】
(第1偏心揺動直交減速機)
図4は、実施形態に係る第1偏心揺動直交減速機を示す断面図である。
【0030】
第1偏心揺動直交減速機40は、前述した(第1単純遊星直交減速機20および第2単純遊星直交減速機30と共通の)直交ユニット10と、偏心揺動型減速機ユニット40Aとを備える。さらに、第1偏心揺動直交減速機40は、直交ユニット10の出力軸12から偏心揺動型減速機ユニット40Aに回転運動を伝達する伝達軸241と、直交ユニット10と偏心揺動型減速機ユニット40Aとを連結するための連結用ケーシング243aを備える。
【0031】
偏心揺動型減速機ユニット40Aは、伝達軸241と同心に配置される出力軸42と、ケーシング43bと、振り分け型の偏心揺動型歯車機構と、出力軸42及びキャリア47とを回転自在に支持する主軸受け45a、45bとを備える。
【0032】
振り分け型の偏心揺動型歯車機構は、伝達軸241の負荷側に設けられた伝達軸歯車41gと、偏心遊星軸46と、偏心遊星軸46に設けられた偏心体46a、46bと、偏心遊星軸46に設けられた偏心遊星軸歯車46gとを備える。さらに、この偏心揺動型歯車機構は、偏心遊星軸46を保持するキャリア47と、複数の外歯歯車48A、48Bと、ケーシング43bの内周部に設けられた内歯歯車43gと、偏心体用軸受け49a、49bと、偏心遊星軸用軸受け49c、49dとを備える。偏心遊星軸46は、本発明に係る偏心体軸の一例に相当する。偏心遊星軸歯車46gは、本発明に係る振り分け歯車の一例に相当する。
【0033】
伝達軸歯車41gを有する伝達軸241は、
図3の太陽歯車31aを有する入力軸(太陽歯車軸)31と共通である。
【0034】
キャリア47は出力軸42と連結されて一体化され、出力軸42の軸心からオフセットされた位置で、偏心遊星軸46を回転自在に支持する。キャリア47の貫通孔47aには偏心遊星軸用軸受け49cを介して偏心遊星軸46の他端が支持され、出力軸42の貫通孔42aには偏心遊星軸用軸受け49dを介して偏心遊星軸46の一端が支持されている。キャリア47と出力軸42は、周方向に離間した複数の位置で、複数の偏心遊星軸46を回転自在に支持する。また、キャリア47とケーシング43bとの間にはアンギュラ玉軸受け等の主軸受け45aが配置され、出力軸42とケーシング43bとの間にはアンギュラ玉軸受け等の主軸受け45bが配置される。
【0035】
伝達軸歯車41gは、偏心遊星軸歯車46gと噛合され、伝達軸歯車41gが回転することで偏心遊星軸歯車46gを介して偏心遊星軸46が回転する。
【0036】
外歯歯車48A、48Bは、出力軸42の軸心からオフセットされた位置で、かつ、周方向に離間した複数の位置に、偏心遊星軸46を通す貫通孔48cと、キャリア47と出力軸42とを結ぶ連結部42bを通す貫通孔48dとを有する。連結部42bは、出力軸42の一部であり、軸方向にピン状に膨出するように設けられている。外歯歯車48A、48Bは、貫通孔48cの内側に偏心体用軸受け49a、49bを介して偏心体46a、46bが配置される。偏心体46a、46bは、円柱側面形状の外面を有し、偏心遊星軸46の軸心から互いに異なる方向に偏心している。偏心遊星軸46が回転することで、偏心体46a、46bが貫通孔48cの内側で回転し、外歯歯車48A、48Bを異なる位相で揺動させる。
【0037】
内歯歯車43gは、外歯歯車48A、48Bの一部の歯と噛合する。一部の歯とは、外歯歯車48A、48Bの外歯のうち、揺動により内歯歯車43gの軸心から最も離れて配置される歯である。内歯歯車43gは、内歯となる複数の外ピンp1と、外ピンが回転自在に配置される複数のピン溝を有する内歯歯車本体部とから構成される。
【0038】
<ユニットの連結>
偏心揺動型減速機ユニット40Aは、直交ユニット10の出力端に連結される。具体的には、先ず、連結用ケーシング243aが直交ユニット10のカバー14bにボルトで連結される。次に、偏心揺動型減速機ユニット40Aの伝達軸241の反負荷側が、直交ユニット10の出力軸12の圧入穴12cに圧入される。続いて、伝達軸歯車41gと偏心遊星軸歯車46gとが噛合するように、偏心揺動型減速機ユニット40Aの残りの部分が、直交ユニット10の出力側に配置される。そして、直交ユニット10のケーシング13bとカバー14bとがボルトで連結される。また、偏心揺動型減速機ユニット40Aのケーシング43bが連結用ケーシング243aにボルトで連結される。これにより、偏心揺動型減速機ユニット40Aが直交ユニット10に連結される。
【0039】
<動作>
第1偏心揺動直交減速機40は、直交ユニット10に回転トルクが入力されて入力軸11が回転すると、前述の通り、この運動が出力軸12に伝達されて、出力軸12に圧入された伝達軸241が回転運動する。
【0040】
伝達軸241が回転すると、伝達軸歯車41gと偏心遊星軸歯車46gとの噛合により、これらの歯数比率で伝達軸241の回転運動が減速されて偏心遊星軸46に伝達される。偏心遊星軸46が回転すると、偏心体46a、46bが回転して外歯歯車48A、48Bが揺動し、外歯歯車48A、48Bと内歯歯車43gとの噛合位置が変化する。これにより、内歯歯車43gの歯数と外歯歯車48A、48Bの歯数とによって決まる減速比で、偏心遊星軸46の回転運動が減速されて外歯歯車48A、48Bが自転する。外歯歯車48A、48Bの自転は、偏心遊星軸46を介して出力軸42及びキャリア47に伝達される。これにより、入力軸11に入力された回転運動が減速されかつ回転中心が直交する方向に変換された回転運動を出力軸42から取り出すことかできる。
【0041】
(第2偏心揺動直交減速機)
図5は、実施形態に係る第2偏心揺動直交減速機を示す断面図である。
【0042】
第2偏心揺動直交減速機50は、前述した(第1単純遊星直交減速機20および第2単純遊星直交減速機30と共通の)直交ユニット10と、偏心揺動型減速機ユニット50Aとを備える。さらに、第2偏心揺動直交減速機50は、直交ユニット10の出力軸12から偏心揺動型減速機ユニット50Aに回転運動を伝達する伝達軸251と、直交ユニット10と偏心揺動型減速機ユニット50Aとを連結するための連結用ケーシング253aとを備える。偏心揺動型減速機ユニット50Aは、伝達軸251と同心に配置される出力軸52と、ケーシング53bと、センタークランク式の偏心揺動型歯車機構と、出力軸52及びキャリア57を回転自在に支持する主軸受け55a、55bとを備える。
【0043】
センタークランク式の偏心揺動型歯車機構は、内歯歯車53gの軸心位置に配置される一本の偏心体軸56と、偏心体軸56に設けられる偏心体56a、56b、56cと、出力軸52と連結されて一体化されるキャリア57と、を備える。さらに、この偏心揺動型歯車機構は、外歯歯車58A、58B、58C、内歯歯車53g、内ピン部52c、偏心体軸用軸受け59a、59b、及び偏心体用軸受け59c、59d、59eを備える。
【0044】
偏心体軸56は、反負荷側に雌スプラインが形成された接続穴56fを有し、伝達軸251の負荷側にはスプラインが形成されている。伝達軸251は、負荷側の端部が接続穴56fに挿入され、スプライン結合により相対回転しないように連結される。スプラインが形成された伝達軸251は、
図2の太陽歯車21aを有する入力軸(太陽歯車軸)21と共通である。太陽歯車21aの歯をスプラインとして利用している。
【0045】
複数の偏心体56a、56b、56cは、円柱側面形状の外面を有し、伝達軸251の軸心から互いに異なる方向に偏心している。外歯歯車58A、58B、58Cは中央の貫通孔と、中心からオフセットされた位置に周方向に離間して設けられた複数の内ピン孔58hとを有する。外歯歯車58A、58B、58Cの貫通孔には、偏心体用軸受け59c、59d、59eを介して偏心体56a、56b、56cが相対回転自在に配置される。外歯歯車58A、58B、58Cの複数の内ピン孔58hには、それぞれ出力軸52の複数の内ピン部52cが通される。複数の内ピン部52cは、出力軸52において軸心よりオフセットされかつ周方向に離間した位置で軸方向にピン状に膨出するように設けられている。複数の内ピン部52cは、キャリア57とボルト等により連結される。
【0046】
内歯歯車53gは、ケーシング53bの内周部において、外歯歯車58A、58B、58Cの径方向の外方に配置され、外歯歯車58A、58B、58Cの一部の歯と噛合する。一部の歯とは、外歯歯車58A、58B、58Cの外歯のうち、揺動により内歯歯車53gの軸心から最も離れて配置される歯である。内歯歯車53gは、内歯となる複数の外ピンp1と、外ピンp1が回転自在に配置される複数のピン溝を有する内歯歯車本体部とから構成される。
【0047】
出力軸52及びキャリア57は、主軸受け55a、55bを介してケーシング53bに回転自在に支持される。偏心体軸56は、出力軸52及びキャリア57に偏心体軸用軸受け59a、59bを介して回転自在に支持される。
【0048】
<ユニットの連結>
偏心揺動型減速機ユニット50Aは、直交ユニット10の出力端に連結される。具体的には、先ず、連結用ケーシング253aが直交ユニット10のカバー14bにボルトで連結される。次に、伝達軸251の反負荷側が、直交ユニット10の出力軸12の圧入穴12cに圧入される。続いて、伝達軸251の負荷側が、偏心体軸56の連結孔に挿入されてスプライン接続されるように、偏心揺動型減速機ユニット50Aの残りの部分が、直交ユニット10の出力側に配置される。そして、直交ユニット10のケーシング13bとカバー14bとがボルトで連結される。また、偏心揺動型減速機ユニット50Aのケーシング53bが連結用ケーシング243aにボルトで連結される。これにより、偏心揺動型減速機ユニット50Aが直交ユニット10に連結される。
【0049】
<動作>
第2偏心揺動直交減速機50は、直交ユニット10に回転トルクが入力されて入力軸11が回転すると、前述の通り、この運動が出力軸12に伝達されて伝達軸251が回転運動する。
【0050】
伝達軸251の回転により伝達軸251と連結されて一体化された偏心体軸56が回転すると、偏心体56a、56b、56cが回転し、これにより外歯歯車58A、58B、58Cが互いに異なる位相で揺動する。この揺動により、外歯歯車58A、58B、58Cと内歯歯車53gとの噛合位置が変化し、内歯歯車53g及び外歯歯車58A、58B、58Cの各歯数によって決まる減速比で、偏心体軸56の回転運動が減速されて外歯歯車58A、58B、58Cが自転する。外歯歯車58A、58B、58Cの自転は、内ピン部52cを介して出力軸52及びキャリア57に伝達される。これにより、入力軸11に伝達された回転運動が減速されかつ回転中心が直交する方向に変換された回転運動を出力軸52から取り出すことができる。
【0051】
(第3偏心揺動直交減速機)
図6は、実施形態に係る第3偏心揺動直交減速機を示す断面図である。
【0052】
第3偏心揺動直交減速機60は、前述した(第1単純遊星直交減速機20および第2単純遊星直交減速機30と共通の)直交ユニット10と、偏心揺動型減速機ユニット60Aと、直交ユニット10の出力軸12から偏心揺動型減速機ユニット60Aに回転運動を伝達する伝達軸261と、連結用ケーシング263aとを備える。偏心揺動型減速機ユニット60Aは、伝達軸歯車61gと、偏心遊星軸歯車66gとが異なる他は、
図4の偏心揺動型減速機ユニット40Aと同様である。同一の構成要素は、
図4と同一符号を付して詳細な説明を省略する。偏心揺動型減速機ユニット60Aにおける
図4と同一符号の部分は、
図4の偏心揺動型減速機ユニット40Aと共通の部品を使用できる。
【0053】
伝達軸261には、負荷側に伝達軸歯車61gが設けられ、軸方向における中間部にフランジ61bが設けられている。伝達軸261の負荷側は、直交ユニット10の出力軸12の圧入穴12cよりも小径であり、フランジ61bが圧入穴12cの開放端に当接することで伝達軸261の圧入の位置を決めることができる。伝達軸261は、第1単純遊星直交減速機20や第2単純遊星直交減速機30の太陽歯車軸(21、31)と共用されていない。
【0054】
偏心遊星軸歯車66gは、伝達軸歯車61gと噛み合う大きさの歯車である。偏心遊星軸歯車66gは、偏心遊星軸46に圧入、スプライン接続又はこれら両方により連結されている。
【0055】
伝達軸歯車61gは
図4の伝達軸歯車41gよりも小径であり、偏心遊星軸歯車66gは
図4の偏心遊星軸歯車46gよりも大径であり、これにより、
図4の偏心揺動型減速機ユニット40Aよりも大きな減速比が得られる。
【0056】
偏心揺動型減速機ユニット60Aと、直交ユニット10とは、
図4の第1偏心揺動直交減速機40と同様に連結され、減速比が異なる他、
図4の第1偏心揺動直交減速機40と同様に回転運動を減速及び伝達する。
【0057】
(第4偏心揺動直交減速機)
図7は、実施形態に係る第4偏心揺動直交減速機を示す断面図である。
【0058】
第4偏心揺動直交減速機70は、前述した(第1単純遊星直交減速機20および第2単純遊星直交減速機30と共通の)直交ユニット10と、偏心揺動型減速機ユニット70Aとを備える。さらに、第4偏心揺動直交減速機70は、直交ユニット10の出力軸12から偏心揺動型減速機ユニット70Aに回転運動を伝達する伝達軸271と、
直交ユニット10と偏心揺動型減速機ユニット70Aとを連結するための連結用ケーシング273aとを備える。
【0059】
偏心揺動型減速機ユニット70Aは、伝達軸271と同心に配置される出力軸72と、ケーシング73bと、センタークランク式の偏心揺動型歯車機構と、出力軸72及びキャリア77を回転自在に支持する主軸受け75a、75bとを備える。
【0060】
センタークランク式の偏心揺動型歯車機構は、伝達軸271と軸継手71Bを介して連結されて相対回転しないように接続されるホロー構造を有する偏心体軸76と、偏心体軸76に設けられる偏心体76a、76bとを備える。さらに、この偏心揺動型歯車機構は、出力軸72と連結されて一体化されるキャリア77、外歯歯車78A、78B、内歯歯車73g、内ピン部72c、偏心体軸用軸受け79a、79b、及び偏心体用軸受け79c、79dを備える。軸継手71Bは、伝達軸271が嵌入されてキー接続される嵌入孔71Baと、フランジ部71Bbとを有し、フランジ部71Bbがボルトにより偏心体軸76と連結されている。
【0061】
複数の偏心体76a、76bは、円柱側面形状の外面を有し、伝達軸271の軸心から互いに異なる方向に偏心している。外歯歯車78A、78Bは中央の貫通孔78fと、中心からオフセットされた位置に周方向に離間して設けられた複数の内ピン孔78hとを有する。外歯歯車78A、78Bの貫通孔78fには、偏心体用軸受け79a、79bを介して偏心体76a、76bが相対回転自在に配置される。外歯歯車78A、78Bの複数の内ピン孔78hには、それぞれ出力軸72の複数の内ピン部72cが通される。複数の内ピン部72cは、出力軸72において軸心よりオフセットされかつ周方向に離間した位置で軸方向にピン状に膨出するように設けられている。複数の内ピン部72cは、キャリア77とボルト等により連結される。
【0062】
内歯歯車73gは、ケーシング73bの内周部において、外歯歯車78A、78Bの径方向の外方に配置され、外歯歯車78A、78Bの一部の歯と噛合する。一部の歯とは、外歯歯車78A、78Bの外歯のうち、揺動により内歯歯車73gの軸心から最も離れて配置される歯である。内歯歯車73gは、内歯となる複数の外ピンp1と、外ピンp1が回転自在に配置される複数のピン溝を有する内歯歯車本体部とから構成される。
【0063】
出力軸72及びキャリア77は、主軸受け75a、75bを介してケーシング73bに回転自在に支持される。偏心体軸76は、出力軸72及びキャリア77に偏心体軸用軸受け79a、79bを介して回転自在に支持される。
【0064】
<ユニットの連結>
偏心揺動型減速機ユニット70Aは、直交ユニット10の出力端に連結される。具体的には、先ず、偏心体軸76と軸継手71Bとがボルトで連結される。次に、連結用ケーシング273aが直交ユニット10のカバー14bにボルトで連結される。そして、伝達軸271の反負荷側が、直交ユニット10の出力軸12の圧入穴12cに圧入される。続いて、伝達軸271の負荷側が、軸継手71Bの嵌入孔71Baに嵌入されてキー接続されるように、偏心揺動型減速機ユニット70Aの残りの部分が、直交ユニット10の出力側に配置される。そして、直交ユニット10のケーシング13bとカバー14bとがボルトで連結される。また、偏心揺動型減速機ユニット70Aのケーシング73bが連結用ケーシング273aにボルトで連結される。これにより、偏心揺動型減速機ユニット70Aが直交ユニット10に連結される。
【0065】
<動作>
第4偏心揺動直交減速機70は、直交ユニット10に回転トルクが入力されて入力軸11が回転すると、前述の通り、この運動が出力軸12に伝達されて伝達軸271が回転運動する。
【0066】
伝達軸271の回転により伝達軸271と連結されて一体化された偏心体軸76が回転すると、偏心体76a、76bが回転し、これにより外歯歯車78A、78Bが互いに異なる位相で揺動する。この揺動により、外歯歯車78A、78Bと内歯歯車73gとの噛合位置が変化し、内歯歯車73g及び外歯歯車78A、78Bの各歯数によって決まる減速比で、偏心体軸76の回転運動が減速されて外歯歯車78A、78Bが自転する。外歯歯車78A、78Bの自転は、内ピン部72cを介して出力軸72及びキャリア77に伝達される。これにより、入力軸11に伝達された回転運動が減速されかつ回転中心が直交する方向に変換された回転運動を出力軸72から取り出すことができる。
【0067】
(第5偏心揺動直交減速機)
図8は、実施形態に係る第5偏心揺動直交減速機を示す断面図である。
【0068】
第5偏心揺動直交減速機80は、前述した(第1単純遊星直交減速機20および第2単純遊星直交減速機30と共通の)直交ユニット10と、偏心揺動型減速機ユニット80Aとを備える。さらに、第5偏心揺動直交減速機80は、直交ユニット10の出力軸12から偏心揺動型減速機ユニット80Aに回転運動を伝達する伝達軸281と、直交ユニット10と偏心揺動型減速機ユニット80Aとを連結するための連結用ケーシング283aとを備える。
【0069】
偏心揺動型減速機ユニット80Aは、伝達軸281と同心に配置される出力軸82と、ケーシング83bと、センタークランク式の偏心揺動型歯車機構と、出力軸82及びキャリア87を回転自在に支持する主軸受け85a、85bとを備える。
【0070】
センタークランク式の偏心揺動型歯車機構は、伝達軸281と相対回転しないように接続される偏心体軸86と、偏心体軸86に設けられる偏心体86a、86b、86cと、出力軸82と連結されて一体化されるキャリア87と、を備える。さらに、この偏心揺動型歯車機構は、外歯歯車88A、88B、88C、内歯歯車83g、内ピン部82c、偏心体軸用軸受け89a、89b、及び偏心体用軸受け89c、89d、89eを備える。
【0071】
複数の偏心体86a、86b、86cは、円柱側面形状の外面を有し、伝達軸281の軸心から互いに異なる方向に偏心している。外歯歯車88A、88B、88Cは中央の貫通孔88fと、中心からオフセットされた位置に周方向に離間して設けられた複数の内ピン孔88hとを有する。外歯歯車88A、88B、88Cの貫通孔88fには、偏心体用軸受け89c、89d、89eを介して偏心体86a、86b、86cが相対回転自在に配置される。外歯歯車88A、88B、88Cの複数の内ピン孔88hには、それぞれ出力軸82の複数の内ピン部82cが通される。複数の内ピン部82cは、出力軸82において軸心よりオフセットされかつ周方向に離間した位置で軸方向にピン状に膨出するように設けられている。複数の内ピン部82cは、キャリア87とボルト等により連結される。
【0072】
内歯歯車83gは、ケーシング83bの内周部において、外歯歯車88A、88B、88Cの径方向の外方に配置され、外歯歯車88A、88B、88Cの一部の歯と噛合する。一部の歯とは、外歯歯車88A、88B、88Cの外歯のうち、揺動により内歯歯車83gの軸心から最も離れて配置される歯である。内歯歯車83gは、内歯となる複数の外ピンp1と、外ピンp1が回転自在に配置される複数のピン溝を有する内歯歯車本体部とから構成される。
【0073】
出力軸82及びキャリア87は、主軸受け85a、85bを介してケーシング83bに回転自在に支持される。偏心体軸86は、出力軸82及びキャリア87に偏心体軸用軸受け89a、89bを介して回転自在に支持される。
【0074】
<ユニットの連結>
偏心揺動型減速機ユニット80Aは、直交ユニット10の出力端に連結される。具体的には、先ず、連結用ケーシング283aが直交ユニット10のカバー14bにボルトで連結される。次に、伝達軸281の反負荷側が、直交ユニット10の出力軸12の圧入穴12cに圧入される。このとき、伝達軸281のフランジ部81bが圧入穴12cの開放端に接触して伝達軸281の位置を決めることができる。続いて、伝達軸281の負荷側が、偏心体軸86の連結孔に挿入されてキー接続されるように、偏心揺動型減速機ユニット80Aの残りの部分が、直交ユニット10の出力側に配置される。そして、直交ユニット10のケーシング13bとカバー14bとがボルトで連結される。また、偏心揺動型減速機ユニット80Aのケーシング83bが連結用ケーシング283aにボルトで連結され、これにより、偏心揺動型減速機ユニット80Aが直交ユニット10に連結される。
【0075】
<動作>
第5偏心揺動直交減速機80は、直交ユニット10に回転トルクが入力されて入力軸11が回転すると、前述の通り、この運動が出力軸12に伝達されて伝達軸281が回転運動する。
【0076】
伝達軸281の回転により伝達軸281と連結されて一体化された偏心体軸86が回転すると、偏心体86a、86b、86cが回転し、これにより外歯歯車88A、88B、88Cが互いに異なる位相で揺動する。この揺動により、外歯歯車88A、88B、88Cと内歯歯車83gとの噛合位置が変化し、内歯歯車83g及び外歯歯車88A、88B、88Cの各歯数によって決まる減速比で、偏心体軸86の回転運動が減速されて外歯歯車88A、88B、88Cが自転する。外歯歯車88A、88B、88Cの自転は、内ピン部82cを介して出力軸82及びキャリア87に伝達される。これにより、入力軸11に伝達された回転運動が減速されかつ回転中心が直交する方向に変換された回転運動を出力軸82から取り出すことができる。
【0077】
(第6偏心揺動直交減速機)
図9は、実施形態に係る第6偏心揺動直交減速機を示す断面図である。
【0078】
第6偏心揺動直交減速機90は、前述した(第1単純遊星直交減速機20および第2単純遊星直交減速機30と共通の)直交ユニット10と、偏心揺動型減速機ユニット90Aとを備える。さらに、第6偏心揺動直交減速機90は、直交ユニット10の出力軸12から偏心揺動型減速機ユニット90Aに回転運動を伝達する伝達軸291と、直交ユニット10と偏心揺動型減速機ユニット90Aとを連結するための連結用ケーシング293aとを備える。
【0079】
偏心揺動型減速機ユニット90Aは、伝達軸291と同心に配置される出力軸92と、ケーシング93b、93cと、センタークランク式の偏心揺動型歯車機構とを備える。
【0080】
センタークランク式の偏心揺動型歯車機構は、伝達軸291と相対回転しないように接続される偏心体軸96と、偏心体軸96に設けられる偏心体96a、96b、96cと、外歯歯車98A、98B、98Cと、内歯歯車93gとを備える。また、この偏心揺動型歯車機構は、出力軸92に圧入される内ピン97と、偏心体軸用軸受け99a、99bと、偏心体用軸受け99c、99d、99eとを備える。
【0081】
複数の偏心体96a、96b、96cは、円柱側面形状の外面を有し、伝達軸291の軸心から互いに異なる方向に偏心している。外歯歯車98A、98B、98Cは中央の貫通孔98fと、中心からオフセットされた位置に周方向に離間して設けられた複数の内ピン孔98hとを有する。外歯歯車98A、98B、98Cの貫通孔98fには、偏心体用軸受け99c、99d、99eを介して偏心体96a、96b、96cが相対回転自在に配置される。外歯歯車98A、98B、98Cの複数の内ピン孔98hには、それぞれ出力軸92に連結された複数の内ピン97が通される。複数の内ピン97は、出力軸92に設けられた連結孔に圧入されている。複数の内ピン97は、出力軸92において軸心よりオフセットされかつ周方向に離間した位置で軸方向に膨出するように固定されている。
【0082】
内歯歯車93gは、ケーシング93cの内周部において、外歯歯車98A、98B、98Cの径方向の外方に配置され、外歯歯車98A、98B、98Cの一部の歯と噛合する。一部の歯とは、外歯歯車98A、98B、98Cの外歯のうち、揺動により内歯歯車93gの軸心から最も離れて配置される歯である。内歯歯車93gは、内歯となる複数の外ピンp1と、外ピンp1が回転自在に配置される複数のピン溝を有する内歯歯車本体部とから構成される。
【0083】
偏心体軸96は、反負荷側が偏心体軸用軸受け99aを介してケーシング93bに回転自在に支持される。出力軸92は、偏心体軸用軸受け99bを介して偏心体軸96に回転自在に支持される。
【0084】
<ユニットの連結>
偏心揺動型減速機ユニット90Aは、直交ユニット10の出力端に連結される。具体的には、先ず、連結用ケーシング293aが直交ユニット10のカバー14bにボルトで連結される。次に、伝達軸291の反負荷側が、直交ユニット10の出力軸12の圧入穴12cに圧入される。このとき、伝達軸291のフランジ部91bが圧入穴12cの開放端に接触して伝達軸291の位置を決めることができる。続いて、伝達軸291の負荷側が、偏心体軸96の連結孔に挿入されてキー接続されるように、偏心揺動型減速機ユニット90Aの残りの部分が、直交ユニット10の出力側に配置される。そして、直交ユニット10のケーシング13bとカバー14bとがボルトで連結される。また、偏心揺動型減速機ユニット90Aのケーシング93b、93cが連結用ケーシング293aにボルトで連結される。これにより、偏心揺動型減速機ユニット90Aが直交ユニット10に連結される。
【0085】
<動作>
第6偏心揺動直交減速機90は、直交ユニット10に回転トルクが入力されて入力軸11が回転すると、前述の通り、この運動が出力軸12に伝達されて伝達軸291が回転運動する。
【0086】
伝達軸291の回転により伝達軸291と連結されて一体化された偏心体軸96が回転すると、偏心体96a、96b、96cが回転し、これにより外歯歯車98A、98B、98Cが互いに異なる位相で揺動する。この揺動により、外歯歯車98A、98B、98Cと内歯歯車93gとの噛合位置が変化し、内歯歯車93g及び外歯歯車98A、98B、98Cの各歯数によって決まる減速比で、偏心体軸96の回転運動が減速されて外歯歯車98A、98B、98Cが自転する。外歯歯車98A、98B、98Cの自転は、内ピン97を介して出力軸92に伝達される。これにより、入力軸11に伝達された回転運動が減速されかつ回転中心が直交する方向に変換された回転運動を出力軸92から取り出すことができる。
【0087】
(第7偏心揺動直交減速機)
図10は、実施形態に係る第7偏心揺動直交減速機を示す断面図である。
【0088】
第7偏心揺動直交減速機100は、前述した直交ユニット10と大部分が共通の直交ユニット10Aと、
図6に示した偏心揺動型減速機ユニット60Aと、これらを連結するための連結用ケーシング363aとを備える。
【0089】
直交ユニット10Aにおいては、
図1の出力軸12から専用の出力軸12Aに変更され、
図1のカバー14bが省略されて、専用の連結用ケーシング363aがカバーとして兼用されている。直交ユニット10Aは、これらの点が、
図1の直交ユニット10と異なる以外、
図1の直交ユニット10と共通である。
図1と同様の構成要素は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。直交ユニット10Aにおいて、
図1と同一符号の部分は、
図1の直交ユニット10と共通の部品が使用される。
【0090】
直交ユニット10Aの出力軸12Aは、負荷側に、偏心揺動型減速機ユニット60Aの偏心遊星軸歯車66gと噛合可能な伝達軸歯車61gが設けられている。
図1の出力軸12は、本発明に係る第1出力軸の一例に相当し、
図10の出力軸12Aは、本発明に係る第2出力軸の一例に相当する。伝達軸歯車61gは、本発明に係る伝達部の一例に相当する。
【0091】
傘歯車16は、出力軸12Aに圧入等により相対的に回転しないように連結されており、
図1の直交ユニット10と共通の部品が使用される。また、出力軸12Aの被支持部分は、
図1の出力軸12の該当部分と同じ長さ及び同じ径であり、軸受け15d、15eは
図1の直交ユニット10と共通の部品が使用される。
【0092】
連結用ケーシング363aは、直交ユニット10Aのケーシング13bとボルト等で連結され、直交ユニット10Aの出力軸12Aの負荷側の径方向外方を覆う。また、連結用ケーシング363aは、直交ユニット10Aの出力側のカバーとしても兼用され、出力軸12Aとの間に軸受け15eが内嵌され、出力軸12Aを回転自在に支持する。また、連結用ケーシング363aと出力軸12Aとの間にはオイルシールo1が設けられる。
【0093】
第7偏心揺動直交減速機100の減速動作は、前述した第3偏心揺動直交減速機60(
図6)における出力軸12及び伝達軸261の回転が、出力軸12Aの回転に変更される以外は、
図6の第3偏心揺動直交減速機60の動作と同様である。
【0094】
<ユニットの連結>
第7偏心揺動直交減速機100においては、専用の出力軸12Aと専用の連結用ケーシング363aとを有し、その他の構成要素が共通化された直交ユニット10Aの出力端に、偏心揺動型減速機ユニット60Aが連結される。すなわち、出力軸12Aの伝達軸歯車61gが、偏心遊星軸歯車66gと噛合するように、偏心揺動型減速機ユニット60Aを配置し、ボルト等によりケーシング43bを連結用ケーシング363aに連結する。これにより両者の連結が完了する。
【0095】
(第8偏心揺動直交減速機)
図11は、実施形態に係る第8偏心揺動直交減速機を示す断面図である。
【0096】
第8偏心揺動直交減速機110は、前述した直交ユニット10と大部分が共通の直交ユニット10Bと、
図7に示した偏心揺動型減速機ユニット70Aと、これらを連結するための連結用ケーシング373aとを備える。
【0097】
直交ユニット10Bにおいては、
図1の出力軸12から専用の出力軸12Bに変更され、
図1のカバー14bが省略されて、専用の連結用ケーシング373aがカバーとして兼用されている。直交ユニット10Bは、これらの点が、
図1の直交ユニット10と異なる以外、
図1の直交ユニット10と共通である。
図1と同様の構成要素は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。直交ユニット10Bにおいて、
図1と同一符号の部分は、
図1の直交ユニット10と共通の部品が使用される。
【0098】
直交ユニット10Bの出力軸12Bは、負荷側に、偏心揺動型減速機ユニット70Aの軸継手71Bとキー接続可能な接続部12Baが設けられている。出力軸12Bは、本発明に係る第2出力軸の一例に相当する。接続部12Baは、本発明に係る伝達部の一例に相当する。出力軸12Bは、負荷側が異なるだけで、その他の要素は、前述の出力軸12A(
図10)と同様である。
【0099】
連結用ケーシング373aは、直交ユニット10Bのケーシング13bとボルト等で連結され、直交ユニット10Bの出力軸12Bの負荷側の径方向外方を覆う。また、連結用ケーシング373aは、直交ユニット10Bの出力側のカバーとしても兼用され、出力軸12Bとの間に軸受け15eが内嵌され、出力軸12Bを回転自在に支持する。また、連結用ケーシング373aと出力軸12Bとの間にはオイルシールo1が設けられる。
【0100】
第8偏心揺動直交減速機110の減速動作は、
図7の第4偏心揺動直交減速機70における出力軸12及び伝達軸271の回転が、出力軸12Bの回転に変更される以外は、
図7の第4偏心揺動直交減速機70の動作と同様である。
【0101】
<ユニットの連結>
第8偏心揺動直交減速機110においては、専用の出力軸12Bと専用の連結用ケーシング373aとを有し、その他の構成要素が共通化された直交ユニット10Bの出力端に、偏心揺動型減速機ユニット70Aが連結される。すなわち、出力軸12Bの接続部12Baが、軸継手71Bにキー接続されるように、偏心揺動型減速機ユニット70Aを配置し、ボルト等によりケーシング73bを連結用ケーシング373aに連結する。これにより両者の連結が完了する。
【0102】
(第9偏心揺動直交減速機)
図12は、実施形態に係る第9偏心揺動直交減速機を示す断面図である。
【0103】
第9偏心揺動直交減速機120は、前述した直交ユニット10と大部分が共通の直交ユニット10Cと、
図8に示した偏心揺動型減速機ユニット80Aと、これらを連結するための連結用ケーシング383aとを備える。
【0104】
直交ユニット10Cにおいては、
図1の出力軸12から専用の出力軸12Cに変更され、
図1のカバー14bが省略されて、専用の連結用ケーシング383aがカバーとして兼用されている。直交ユニット10Cは、これらの点が、
図1の直交ユニット10と異なる以外、
図1の直交ユニット10と共通である。
図1と同様の構成要素は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。直交ユニット10Cにおいて、
図1と同一符号の部分は、
図1の直交ユニット10と共通の部品が使用される。
【0105】
直交ユニット10Cの出力軸12Cは、負荷側に、偏心揺動型減速機ユニット80Aの偏心体軸86とキー接続可能な接続部12Caが設けられている。出力軸12Cは、本発明に係る第2出力軸の一例に相当する。接続部12Caは、本発明に係る伝達部の一例に相当する。出力軸12Cは、負荷側が異なるだけで、その他の要素は、前述の出力軸12A(
図10)と同様である。
【0106】
連結用ケーシング383aは、直交ユニット10Cのケーシング13bとボルト等で連結され、直交ユニット10Cの出力軸12Cの負荷側の径方向外方を覆う。また、連結用ケーシング383aは、直交ユニット10Cの出力側のカバーとしても兼用され、出力軸12Cとの間に軸受け15eが内嵌され、出力軸12Cを回転自在に支持する。また、連結用ケーシング383aと出力軸12Cとの間にはオイルシールo1が設けられる。
【0107】
第9偏心揺動直交減速機120の減速動作は、
図8の第5偏心揺動直交減速機80における出力軸12及び伝達軸281の回転が、出力軸12Cの回転に変更される以外は、
図8の第5偏心揺動直交減速機80の動作と同様である。
【0108】
<ユニットの連結>
第9偏心揺動直交減速機120においては、専用の出力軸12Cと専用の連結用ケーシング383aとを有し、その他の構成要素が共通化された直交ユニット10Cの出力端に、偏心揺動型減速機ユニット80Aが連結される。すなわち、出力軸12Cの接続部12Caが、偏心体軸86にキー接続されるように、偏心揺動型減速機ユニット80Aを配置し、ボルト等によりケーシング83bを連結用ケーシング383aに連結する。これにより両者の連結が完了する。
【0109】
(第10偏心揺動直交減速機)
図13は、実施形態に係る第10偏心揺動直交減速機を示す断面図である。
【0110】
第10偏心揺動直交減速機130は、前述した直交ユニット10と大部分が共通の直交ユニット10Dと、
図9に示した偏心揺動型減速機ユニット90Aと、これらを連結するための連結用ケーシング393aとを備える。
【0111】
直交ユニット10Dにおいては、
図1の出力軸12から専用の出力軸12Dに変更され、
図1のカバー14bが省略されて、専用の連結用ケーシング393aがカバーとして兼用されている。直交ユニット10Dは、これらの点が、
図1の直交ユニット10と異なる以外、
図1の直交ユニット10と共通である。
図1と同様の構成要素は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。直交ユニット10Dにおいて、
図1と同一符号の部分は、
図1の直交ユニット10と共通の部品が使用される。
【0112】
直交ユニット10Dの出力軸12Dは、負荷側に、偏心揺動型減速機ユニット90Aの偏心体軸96とキー接続可能な接続部12Daが設けられている。出力軸12Dは、本発明に係る第2出力軸の一例に相当する。接続部12Daは、本発明に係る伝達部の一例に相当する。出力軸12Dは、負荷側が異なるだけで、その他の要素は、前述の出力軸12A(
図10)と同様である。
【0113】
連結用ケーシング393aは、直交ユニット10Dのケーシング13bとボルト等で連結され、直交ユニット10Dの出力軸12Dの負荷側の径方向外方を覆う。また、連結用ケーシング393aは、直交ユニット10Dの出力側のカバーとしても兼用され、出力軸12Cとの間に軸受け15eが内嵌され、出力軸12Dを回転自在に支持する。また、連結用ケーシング393aと出力軸12Dとの間にはオイルシールo1が設けられる。
【0114】
第10偏心揺動直交減速機130の減速動作は、
図9の第6偏心揺動直交減速機90における出力軸12及び伝達軸291の回転が、出力軸12Dの回転に変更される以外は、
図9の第6偏心揺動直交減速機90の動作と同様である。
【0115】
<ユニットの連結>
第10偏心揺動直交減速機130においては、専用の出力軸12Dと専用の連結用ケーシング393aとを有し、その他の構成要素が共通化された直交ユニット10Dの出力端に、偏心揺動型減速機ユニット90Aが連結される。すなわち、出力軸12Dの接続部12Daが、偏心体軸96にキー接続されるように、偏心揺動型減速機ユニット90Aを配置し、ボルト等によりケーシング93b、93cを連結用ケーシング393aに連結する。これにより両者の連結が完了する。
【0116】
以上のように、本実施形態の減速装置のシリーズ(第1、第2単純遊星直交減速機20、30、第1~第6偏心揺動直交減速機40~90)によれば、用途に応じて複数の機種の中から1つの減速機ユニットを選択することができる。さらに、選択された減速機ユニットと、共通の直交ユニット10とを組み合わせて使用することができる。これにより、用途に適した減速動作と、回転運動の方向を直交方向に変換する機構を、低コストで提供できる。
【0117】
また、本実施形態の減速装置のシリーズによれば、第1偏心揺動直交減速機40の伝達軸241が、第2単純遊星直交減速機30の入力軸31と共通化されている。これにより、部品が更に共通化されて、製造コストをより低減できる。
【0118】
また、本実施形態の減速装置のシリーズによれば、第2偏心揺動直交減速機50の伝達軸251が、第1単純遊星直交減速機20の入力軸21と共通化されている。これより、部品が更に共通化されて、製造コストをより低減できる。
【0119】
また、本実施形態の減速装置のシリーズ(第1、第2単純遊星直交減速機20、30、第7~第10偏心揺動直交減速機100~130)によれば、用途に応じて複数の機種の中から1つの減速機ユニットを選択することができる。さらに、選択された減速機ユニットと、出力軸12A~12Dを除く大部分が共通の直交ユニット10A~10Dとを組み合わせて使用することができる。これにより、用途に適した減速動作と、回転運動の方向を直交方向に変換する機構を、低コストで提供できる。
【0120】
また、本実施形態の減速装置のシリーズ(第7~第10偏心揺動直交減速機100~130)においては、直交ユニット10A~10Dの大部分を共通にしつつ、出力軸12A~12Dを偏心揺動型減速機ユニット60A~90Aに対応する専用部品とした。これにより、直交ユニット10A~10Dと偏心揺動型減速機ユニット60A~90Aとの連結が単純化され、連結部の長さが短縮される。したがって、第7~第10偏心揺動直交減速機100~130の出力軸12A~12Dの軸方向の幅寸の縮小を図れる。
【0121】
また、本実施形態の減速装置のシリーズ(第7~第10偏心揺動直交減速機100~130)においては、直交ユニット10A~10Dの出力軸12A~12Dが専用部品となる一方、軸受け15d、15eと傘歯車16とが共通にされる。したがって、この分、製品コストを低減できる。
【0122】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限られない。例えば、直交ユニット10の出力軸12と伝達軸241、251、261、271、281、291との連結構造、各ケーシング要素の連結構造など、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、第7~第10偏心揺動直交減速機100~130において、
図1の直交ユニット10のカバー14bを省略して、カバーの機能を有する連結用ケーシング363a、373a、383a、393a等を採用した。しかし、これに限定されるものではなく、第7~第10偏心揺動直交減速機100~130においても、
図1の直交ユニット10のカバー14bを採用し、これとは別体の連結用ケーシングを設けるようにしてもよい。
【0123】
以上の説明においては、本発明を複数の減速装置が含まれる減速装置のシリーズ(製品群)の観点で説明したが、本発明は、シリーズに含まれる各減速装置をどのように構築・設計するかという観点で見れば、減速装置のシリーズ(減速装置群)の構築方法や設計方法と捉えることもできる。また、複数の減速装置を含む減速装置のシリーズ(減速装置群)をどのように製造するかという観点で見れば、減速装置のシリーズ(減速装置群)の製造方法と捉えることもできる。
【符号の説明】
【0124】
10 直交ユニット(第1直交ユニット)
10A、10B、10C、10D 直交ユニット(第2直交ユニット)
11 入力軸
12、12A、12B、12C、12D 出力軸
12Ba、12Ca、12Ca 接続部(伝達部)
20 第1単純遊星直交減速機
20A、30A 単純遊星減速機ユニット
30 第2単純遊星直交減速機
40 第1偏心揺動直交減速機
40A、50A、60A、70A、80A、90A 偏心揺動型減速機ユニット
46 偏心遊星軸(偏心体軸)
50 第2偏心揺動直交減速機
56、76、86、96 偏心体軸
60 第3偏心揺動直交減速機
61g 伝達軸歯車(伝達部)
70 第4偏心揺動直交減速機
80 第5偏心揺動直交減速機
90 第6偏心揺動直交減速機
100 第7偏心揺動直交減速機
110 第8偏心揺動直交減速機
120 第9偏心揺動直交減速機
130 第10偏心揺動直交減速機
241、251、261、271、281、291 伝達軸
363a、373a、383a、393a 連結用ケーシング