(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】薄膜インダクタ、コイル部品および薄膜インダクタの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 27/29 20060101AFI20230908BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20230908BHJP
H01F 41/04 20060101ALI20230908BHJP
H01F 41/10 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
H01F27/29 123
H01F17/00 C
H01F41/04 C
H01F41/10 C
(21)【出願番号】P 2018246018
(22)【出願日】2018-12-27
【審査請求日】2021-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】500393893
【氏名又は名称】新科實業有限公司
【氏名又は名称原語表記】SAE Magnetics(H.K.)Ltd.
【住所又は居所原語表記】SAE Technology Centre, 6 Science Park East Avenue, Hong Kong Science Park, Shatin, N.T., Hong Kong
(74)【代理人】
【識別番号】100117558
【氏名又は名称】白井 和之
(72)【発明者】
【氏名】田家 裕
(72)【発明者】
【氏名】吉田 誠
(72)【発明者】
【氏名】ビナラオ アンソニー レイモンドメラド
(72)【発明者】
【氏名】王 進武
【審査官】久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-147961(JP,A)
【文献】特開2018-182039(JP,A)
【文献】特開2008-140836(JP,A)
【文献】特開2018-056472(JP,A)
【文献】特開2012-222252(JP,A)
【文献】国際公開第2011/155241(WO,A1)
【文献】特開2018-190828(JP,A)
【文献】特開平11-068284(JP,A)
【文献】特開2015-115498(JP,A)
【文献】国際公開第2017/010009(WO,A1)
【文献】特開2017-216428(JP,A)
【文献】特開2018-170430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00-19/08、27/29、41/04、41/10
H01C 1/142、7/00-7/22、17/28
H01G 4/252、4/30
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコイルパターンを有するコイルブロックを包囲している絶縁ブロックと、
該絶縁ブロックの外側に露出し、かつ該コイルブロックに接続された一対の電極パッドとを有し、
前記コイルブロックは、前記複数のコイルパターンが接続された一連の螺旋状に形成され、
前記一対の電極パッドは、それぞれ前記絶縁ブロックの側面に沿って形成されているパッド面を有し、該パッド面に、前記複数のコイルパターンが並べられている配列方向に沿った溝状のパッド凹部が形成され、
前記絶縁ブロックは、プリント配線基板上に実装されるときに該プリント配線基板に接する実装底面と、該実装底面と対向する天表面とを有し、
前記パッド凹部は、前記パッド凹部の内側の前記天表面側の表面である内上面と、前記実装底面側の表面である内下面と、該内上面と内下面とをつなぐ内側面とを有し、
前記パッド凹部は、前記内上面の奥行よりも、前記内下面の奥行が大きい奥行相違形状と、前記内側面の大きさが、前記内上面の奥行と前記内下面の奥行とが等しい場合の大きさよりも大きくなるように形成された形状とを有する薄膜インダクタ。
【請求項2】
前記一対の電極パッドの一方を第1の電極パッド、他方を第2の電極パッドとしたときに、該第1の電極パッドの前記パッド凹部と、該第2の電極パッドの前記パッド凹部とが、前記配列方向と交差する方向に沿った前記実装底面との間隔が一致するように配置されている請求項1記載の薄膜インダクタ。
【請求項3】
前記一対の電極パッドは、それぞれ前記コイルブロックの側面に沿った矩形状のパネル面を有する電極パネルと、該パネル面を被覆しているパッドフィルムとを有し、
前記パネル面に溝状のパネル凹部が形成されて該パネル凹部に前記パッドフィルムの一部が入り込み、かつ該パッドフィルムが前記内上面、前記内下面および前記内側面に隙間なく付着することによって、前記パネル凹部に応じたフィルム凹部が前記パッドフィルムに形成され、該フィルム凹部が前記パッド凹部に相当している請求項1または2記載の薄膜インダクタ。
【請求項4】
前記複数のコイルパターンは、それぞれ前記実装底面から起立するように形成されている第1の柱部および第2の柱部を有し、該第1の柱部の側面と、第2の柱部の側面とに溝状のコイル凹部が形成され、該コイル凹部は、前記配列方向と交差する方向に沿った前記実装底面との間隔が前記パッド凹部と一致するように形成されている請求項1~3のいずれか一項記載の薄膜インダクタ。
【請求項5】
前記パッドフィルムが前記一対の電極パッドの前記パネル面だけでなく、前記実装底面にも形成され、該実装底面の前記パッドフィルムが形成されていない部分に無機絶縁膜が形成されている
請求項3記載の薄膜インダクタ。
【請求項6】
前記パッド面は、前記絶縁ブロックの前記配列方向に沿った側面幅に応じたパッド幅を有し、かつ前記絶縁ブロックの側面よりも外側に張り出して形成され、
前記パッド凹部が前記パッド面に複数形成され、そのそれぞれが前記パッド幅に応じた長さを有する請求項1~5のいずれか一項記載の薄膜インダクタ。
【請求項7】
前記絶縁ブロックは、絶縁部材からなる絶縁層を複数有し、該各絶縁層の透磁率が相違している請求項1~6のいずれか一項記載の薄膜インダクタ。
【請求項8】
前記コイルブロックは、前記複数のコイルパターンとして、少なくとも、始端部に割り当てられるスタートパターンと、終端部に割り当てられるエンドパターンとを有し、
前記一対の電極パッドの一方が前記スタートパターンに接続されているスタートパッドとして、他方が前記エンドパターンに接続されているエンドパッドとしてそれぞれ形成され、
該スタートパッドと、該エンドパッドとが、それぞれ前記配列方向に沿った前記コイルブロックの両側に配置されている請求項1~7のいずれか一項記載の薄膜インダクタ。
【請求項9】
前記実装底面が前記プリント配線基板に接しているときに、前記複数のコイルパターンのすべてが前記実装底面から起立し、かつ前記実装底面に配置されるように、前記コイルブロックが形成されている請求項1~8のいずれか一項記載の薄膜インダクタ。
【請求項10】
前記複数のコイルパターンは、それぞれ前記実装底面から起立するように形成されている第1の柱部および第2の柱部を有し、前記実装底面と交差する交差方向から逸れたシフト部が該第1の柱部の一部および第2の柱部の一部に形成されている請求項1~9のいずれか一項記載の薄膜インダクタ。
【請求項11】
複数のコイルパターンを有するコイルブロックと、該コイルブロックに接続された一対の電極パネルとを有し、
前記コイルブロックは、絶縁部材からなる絶縁ブロックによって包囲され、かつ前記複数のコイルパターンが接続された一連の螺旋状に形成され、
前記一対の電極パネルは、それぞれ該絶縁ブロックの外側に露出している矩形状のパネル面を有し、該パネル面に、前記複数のコイルパターンが並べられている配列方向に沿った溝状のパネル凹部が形成され、
前記絶縁ブロックは、プリント配線基板上に実装されるときに該プリント配線基板に接する実装底面と、該実装底面と対向する天表面とを有し、
前記パネル凹部は、前記パネル凹部の内側の前記天表面側の表面である内上面と、前記実装底面側の表面である内下面と、該内上面と内下面とをつなぐ内側面とを有し、
前記パネル凹部は、前記内上面の奥行よりも、前記内下面の奥行が大きい奥行相違形状と、前記内側面の大きさが、前記内上面の奥行と前記内下面の奥行とが等しい場合の大きさよりも大きくなるように形成された形状とを有するコイル部品。
【請求項12】
前記一対の電極パネルの一方を第1の電極パネル、他方を第2の電極パネルとしたときに、該第1の電極パネルの前記パネル凹部と、該第2の電極パネルの前記パネル凹部とが、前記配列方向と交差する方向に沿った前記実装底面との間隔が一致するように配置されている
請求項11記載のコイル部品。
【請求項13】
前記複数のコイルパターンは、それぞれ前記実装底面から起立するように形成されている第1の柱部および第2の柱部を有し、該第1の柱部の側面と、第2の柱部の側面とに溝状のコイル凹部が形成され、該コイル凹部は、前記配列方向と交差する方向に沿った前記実装底面との間隔が前記パネル凹部と一致するように形成されている
請求項11または12記載のコイル部品。
【請求項14】
前記コイルブロックは、前記複数のコイルパターンとして、少なくとも、始端部に割り当てられるスタートパターンと、終端部に割り当てられるエンドパターンとを有し、
前記電極パネルは、前記スタートパターンに接続されているスタートパネルと、前記エンドパターンに接続されているエンドパネルとを有し、
前記複数のコイルパターンは、それぞれ前記スタートパネルに沿って前記実装底面から起立するように形成されている第1の柱部と、前記エンドパネルに沿って前記実装底面から起立するように形成されている第2の柱部と、該第1の柱部と該第2の柱部とを接続する柱接続部とを有する矩形環状に形成されている
請求項11~13のいずれか一項記載のコイル部品。
【請求項15】
前記実装底面と交差する交差方向から逸れたシフト部が前記第1の柱部の一部および前記第2の柱部の一部に形成されている
請求項14記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜インダクタ、コイル部品および薄膜インダクタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機等の電子機器の小型化および薄型化が急速に進められている。電子機器には、IC等の能動部品とともに、インダクタ等の受動部品が不可欠である。そのため、電子機器の小型化および薄型化の進展に伴い、インダクタにも小型化および薄型化が求められている。
【0003】
インダクタには、コイルが巻き回されている巻線タイプと、コイルが巻き回されていないタイプ(積層タイプ、薄膜タイプ)があり、電子機器には、薄膜タイプが用いられる。薄膜タイプのインダクタ(薄膜インダクタともいう)は、渦巻き状の薄膜コイルが絶縁基板に形成された構造を有している。従来の薄膜インダクタは、例えば、特許文献1、特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6223917号公報
【文献】特開2000-164426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電子機器において、薄膜インダクタは、プリント配線基板に実装されている。その場合、薄膜インダクタがプリント配線基板の電極に、はんだを用いて接続される。
【0006】
しかし、薄膜インダクタの小型化および薄型化に伴い、薄膜インダクタでは、はんだが接触する電極が小型化される。すると、プリント配線基板に実装されている薄膜インダクタにおいて、はんだ付けによって接合されている部分(はんだ接合部ともいう)の接合強度が低下しやすい。そのため、薄膜インダクタとプリント配線基板との接触不良や断線が起きやすくなる。
【0007】
その一方、電極の大きさが拡大されると、接合強度の低下が回避される。しかし、電極の大きさが拡大されると、薄膜インダクタとそれに隣接する部品とにおいて、電極と電極との間の距離が縮まり、ショートが起こりやすくなる。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、電極の大きさが拡大されることなく、はんだ接合部の接合強度が高められる薄膜インダクタ、薄膜インダクタに用いられるコイル部品および薄膜インダクタの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、複数のコイルパターンを有するコイルブロックを包囲している絶縁ブロックと、その絶縁ブロックの外側に露出し、かつそのコイルブロックに接続された一対の電極パッドとを有し、コイルブロックは、複数のコイルパターンが接続された一連の螺旋状に形成され、一対の電極パッドは、それぞれ絶縁ブロックの側面に沿って形成されているパッド面を有し、そのパッド面に、複数のコイルパターンが並べられている配列方向に沿った溝状のパッド凹部が形成され、絶縁ブロックは、プリント配線基板上に実装されるときにそのプリント配線基板に接する実装底面と、その実装底面と対向する天表面とを有し、パッド凹部は、パッド凹部の内側の天表面側の表面である内上面と、実装底面側の表面である内下面と、その内上面と内下面とをつなぐ内側面とを有し、パッド凹部は、内上面の奥行よりも、内下面の奥行が大きい奥行相違形状と、内側面の大きさが、内上面の奥行と内下面の奥行とが等しい場合の大きさよりも大きくなるように形成された形状とを有する薄膜インダクタを特徴とする。
【0010】
上記薄膜インダクタにおいて、一対の電極パッドの一方を第1の電極パッド、他方を第2の電極パッドとしたときに、その第1の電極パッドのパッド凹部と、その第2の電極パッドのパッド凹部とが、配列方向と交差する方向に沿った実装底面との間隔が一致するように配置されていることが好ましい。
【0011】
また、一対の電極パッドは、それぞれコイルブロックの側面に沿った矩形状のパネル面を有する電極パネルと、そのパネル面を被覆しているパッドフィルムとを有し、パネル面に溝状のパネル凹部が形成されてそのパネル凹部にパッドフィルムの一部が入り込み、かつそのパッドフィルムが内上面、内下面および内側面に隙間なく付着することによって、パネル凹部に応じたフィルム凹部がパッドフィルムに形成され、そのフィルム凹部がパッド凹部に相当していることが好ましい。
【0012】
複数のコイルパターンは、それぞれ実装底面から起立するように形成されている第1の柱部および第2の柱部を有し、その第1の柱部の側面と、第2の柱部の側面とに溝状のコイル凹部が形成され、そのコイル凹部は、配列方向と交差する方向に沿った実装底面との間隔がパッド凹部と一致するように形成されていることが好ましい。
【0013】
さらに、パッドフィルムが一対の電極パッドのパネル面だけでなく、実装底面にも形成され、その実装底面のパッドフィルムが形成されていない部分に無機絶縁膜が形成されているようにすることができる。
【0014】
上記薄膜インダクタの場合、パッド面は、絶縁ブロックの配列方向に沿った側面幅に応じたパッド幅を有し、かつ絶縁ブロックの側面よりも外側に張り出して形成され、パッド凹部がパッド面に複数形成され、そのそれぞれがパッド幅に応じた長さを有するようにすることができる。
【0015】
また、絶縁ブロックは、絶縁部材からなる絶縁層を複数有し、その各絶縁層の透磁率が相違しているようにすることもできる。
【0016】
さらに、コイルブロックは、複数のコイルパターンとして、少なくとも、始端部に割り当てられるスタートパターンと、終端部に割り当てられるエンドパターンとを有し、一対の電極パッドの一方がスタートパターンに接続されているスタートパッドとして、他方がエンドパターンに接続されているエンドパッドとしてそれぞれ形成され、そのスタートパッドと、そのエンドパッドとが、それぞれ配列方向に沿ったコイルブロックの両側に配置されているようにしてもよい。
【0017】
また、実装底面がプリント配線基板に接しているときに、複数のコイルパターンのすべてが実装底面から起立し、かつ実装底面に配置されるように、コイルブロックが形成されているようにすることもできる。
【0018】
複数のコイルパターンは、それぞれ実装底面から起立するように形成されている第1の柱部および第2の柱部を有し、実装底面と交差する交差方向から逸れたシフト部がその第1の柱部の一部および第2の柱部の一部に形成されているようにすることができる。
【0021】
そして、本発明は、複数のコイルパターンを有するコイルブロックと、そのコイルブロックに接続された一対の電極パネルとを有し、コイルブロックは、絶縁部材からなる絶縁ブロックによって包囲され、かつ複数のコイルパターンが接続された一連の螺旋状に形成され、一対の電極パネルは、それぞれその絶縁ブロックの外側に露出している矩形状のパネル面を有し、そのパネル面に、複数のコイルパターンが並べられている配列方向に沿った溝状のパネル凹部が形成され、絶縁ブロックは、プリント配線基板上に実装されるときにそのプリント配線基板に接する実装底面と、その実装底面と対向する天表面とを有し、パネル凹部は、パネル凹部の内側の天表面側の表面である内上面と、実装底面側の表面である内下面と、その内上面と内下面とをつなぐ内側面とを有し、パネル凹部は、内上面の奥行よりも、内下面の奥行が大きい奥行相違形状と、内側面の大きさが、内上面の奥行と内下面の奥行とが等しい場合の大きさよりも大きくなるように形成された形状とを有するコイル部品を提供する。
【0022】
また、一対の電極パネルの一方を第1の電極パネル、他方を第2の電極パネルとしたときに、その第1の電極パネルのパネル凹部と、その第2の電極パネルのパネル凹部とが、配列方向と交差する方向に沿った実装底面との間隔が一致するように配置されていることが好ましい。
さらに、複数のコイルパターンは、それぞれ実装底面から起立するように形成されている第1の柱部および第2の柱部を有し、その第1の柱部の側面と、第2の柱部の側面とに溝状のコイル凹部が形成され、そのコイル凹部は、配列方向と交差する方向に沿った実装底面との間隔がパネル凹部と一致するように形成されていることが好ましい。
【0023】
さらに、コイルブロックは、複数のコイルパターンとして、少なくとも、始端部に割り当てられるスタートパターンと、終端部に割り当てられるエンドパターンとを有し、電極パネルは、スタートパターンに接続されているスタートパネルと、エンドパターンに接続されているエンドパネルとを有し、複数のコイルパターンは、それぞれスタートパネルに沿って実装底面から起立するように形成されている第1の柱部と、エンドパネルに沿って実装底面から起立するように形成されている第2の柱部と、その第1の柱部とその第2の柱部とを接続する柱接続部とを有する矩形環状に形成されていることが好ましい。
【0024】
また、実装底面と交差する交差方向から逸れたシフト部が第1の柱部の一部および第2の柱部の一部に形成されているようにすることもできる。
【発明の効果】
【0034】
以上詳述したように、本発明によれば、電極の大きさが拡大されることなく、はんだ接合部の接合強度が高められる薄膜インダクタ、薄膜インダクタに用いられるコイル部品および薄膜インダクタの製造方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜インダクタの全体を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜インダクタの平面図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜インダクタの正面図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜インダクタに含まれるコイル部品の斜視図である。
【
図7】実装底面およびコイルパターンの実装底面に配置される部分を示す図である。
【
図8】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜インダクタの左側面図である。
【
図10】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜インダクタの要部を示す正面図である。
【
図11】コイルパターンの要部を示す正面図である。
【
図12】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜インダクタの電極パッドの要部を示す正面図である。
【
図13】プリント配線基板に実装されている薄膜インダクタを示す正面図である。
【
図14】プリント配線基板に実装されている薄膜インダクタの電極パッドの要部を示す正面図である。
【
図15】薄膜インダクタの電極パッドの凹部にかかる力を模式的に示した図で、(a)は凹部が奥行相違形状を有する場合、(b)は凹部が奥行相違形状を有しない場合である。
【
図16】変形例1にかかる薄膜インダクタを示す
図6に応じた断面図である。
【
図17】変形例2にかかる薄膜インダクタを示す
図6に応じた断面図である。
【
図18】変形例3にかかる薄膜インダクタを示す
図3に応じた正面図である。
【
図19】変形例4にかかる薄膜インダクタを示す
図3に応じた正面図である。
【
図20】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜インダクタの製造に用いられるインダクタパネルを示す斜視図である。
【
図21】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜インダクタの製造工程を示す
図20の21-21線断面図である。
【
図40】コネクタ層形成工程が実行されたときの隣接するインダクタ領域を示す平面図である。
【
図41】パターンコネクタ層形成工程が実行されたときのインダクタ領域を示す平面図である。
【
図42】(a)はパッド導体層が形成された状態、(b)はパッド導体層が積層された状態の要部を示す
図21に対応した断面図である。
【
図43】本発明の第2の実施の形態に係る薄膜インダクタの正面図である。
【
図44】本発明の第2の実施の形態に係る薄膜インダクタに含まれるコイル部品の斜視図である。
【
図45】コイルパターンの要部を示す斜視図である。
【
図46】本発明の第2の実施の形態に係る薄膜インダクタの製造工程を示す
図27に対応した断面図である。
【
図51】本発明の第3の実施の形態に係る薄膜インダクタの全体を示す斜視図である。
【
図52】本発明の第3の実施の形態に係る薄膜インダクタの平面図である。
【
図54】本発明の第3の実施の形態に係る薄膜インダクタの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0037】
第1の実施形態
(薄膜インダクタの構造)
まず、主に
図1~
図9を参照して本発明の第1の実施の形態に係る薄膜インダクタ100の構造について説明する。
【0038】
ここで、
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る薄膜インダクタ100の全体を示す斜視図、
図2は薄膜インダクタ100の平面図、
図3は薄膜インダクタ100の正面図である。
図4は薄膜インダクタ100に含まれるコイル部品10の斜視図、
図5はコイルパターン21,22の要部を示す斜視図、
図6は
図3の6-6線断面図である。
図7は実装底面1fおよびコイルパターンの実装底面に配置される部分を示す図、
図8は薄膜インダクタ100の左側面図である。
図9はコイル部品10の裏面図である。なお、図示の都合上、
図2、3、6では、コイル部品10が実線で示されている。
【0039】
薄膜インダクタ100は、絶縁ブロック1と、電極パッド2,3とを有している。薄膜インダクタ100は、例えば、高周波対応のインダクタとして用いられる(薄膜インダクタ100が他の用途で用いられてもよい)。
【0040】
絶縁ブロック1は、概ね直方体状に形成されている部材であり、後述するコイルブロック11を外側から包囲している。絶縁ブロック1の対向している一対の側面(後述するパッド側面1b、1c)に、電極パッド2,3が配置されている。電極パッド2,3が絶縁ブロック1の外側に露出し、それぞれパッド側面1b、1cよりも外側に張り出している。また、
図3に示すように、電極パッド2,3がそれぞれパッド側面1b、1cの内側でコイルブロック11に接続されている。
【0041】
絶縁ブロック1は天表面1aと、対向するパッド側面1b、1cと、フロント側面1dと、リア側面1eと、実装底面1fとを有している。天表面1a、パッド側面1b、1c、フロント側面1d、リア側面1eおよび実装底面1fはいずれも矩形状に形成されている。薄膜インダクタ100がプリント配線基板(例えば、後述するプリント配線基板91)上に実装されるときにそのプリント配線基板に接する絶縁ブロック1の表面が実装底面1fであり、その対向する表面が天表面1aである。天表面1a、フロント側面1d、リア側面1eのそれぞれにおいて、後述する絶縁部70がほぼ全面に露出している。パッド側面1b、1cには、それぞれ電極パッド2,3が配置されていて、電極パッド2,3以外の一部分(天表面1a側の一部分)に絶縁部70が露出している。また、実装底面1fには、後述する底部フィルム4f、5fおよび無機絶縁膜6が形成されている。
【0042】
絶縁ブロック1は、コイルブロック11と絶縁部70とを有している。絶縁ブロック1のコイルブロック11以外の部分が絶縁部70に相当している。絶縁部70は、後述するコイル部品10が一連の螺旋状コイルとして機能するように形成されている。すなわち、絶縁部70がコイル部品10の各部分(後述するコイルパターン21~26、電極パネル12,13)の間に配置され、その絶縁部70によって、コイル部品10の各部分が絶縁されている。
【0043】
絶縁部70は、
図1、
図3、
図10に示すように、2つの絶縁層71,72が交互に重なった構造を有している。第1の実施の形態に係る絶縁部70では、3つの絶縁層71,72が交互に重なっている。絶縁層71,72は、例えば磁性を有する樹脂等の絶縁部材(例えば、エポキシ樹脂またはフィラー入りのエポキシ樹脂)からなり、それぞれの透磁率が相違している。絶縁部70には2種類の絶縁部材が用いられている。また、磁性を有しない樹脂等の絶縁部材(例えば、シリカ入りのエポキシ樹脂またはポリイミドなどの非磁性材料)が用いられることもできる。
【0044】
(電極パッド)
電極パッド2,3は、コイルブロック11の後述する配列方向D11に沿った両側に配置されている。コイルブロック11の配列方向D11に沿った一方の側(パッド側面1b側)に電極パッド2が配置され、他方の側(パッド側面1c側)に電極パッド3が配置されている。
【0045】
電極パッド2,3は、絶縁ブロック1の側面幅(パッド側面1b、1cの配列方向D11に沿った方向の横幅)に応じたパッド幅w2と、高さH2とを有する矩形板状の部材である。電極パッド2,3の矩形状の外側表面がパッド面2s、3sであり、パッド面2s、3sがそれぞれ絶縁ブロック1のパッド側面1b、1cに沿って形成されている。
【0046】
パッド面2s、3sは、パッド側面1b、1cよりも外側に張り出している。また、パッド面2s、3sのそれぞれに、溝状のパッド凹部2a,2b,2c,2dと、パッド凹部3a,3b,3c,3dとが形成されている。パッド凹部2a~2dと、パッド凹部3a~3dとは、コイルブロック11の後述するコイルパターン21~26が並べられている方向(後述する配列方向D11)に沿って形成されている。
【0047】
パッド凹部2a~2dと、パッド凹部3a~3dは、パッド幅w2に応じた長さ(本実施の形態では、パッド幅w2に等しい長さ)を有している。また、パッド凹部2a~2dと、パッド凹部3a~3dは、両端部が開放された開放構造を有している。
【0048】
さらに、パッド凹部2a~2dと、パッド凹部3a~3dは、いずれもが奥行相違形状を有している。
図12は、薄膜インダクタ100の電極パッド2の要部を示す正面図である。パッド凹部2aに関しては、
図12に示すように、天表面1a側の奥行、実装底面1f側の奥行がそれぞれe1,e2であり、奥行e1よりも奥行e2が大きい。このように、天表面1a側の奥行よりも実装底面1f側の奥行が大きい形状が奥行相違形状である。その他のパッド凹部2b~2d、パッド凹部3a~3dも、パッド凹部2aと同様、奥行相違形状を有している。
【0049】
そして、電極パッド2,3は、
図2に示すように、それぞれコイルブロック11の後述するスタートパターン21、エンドパターン26に接続されている。電極パッド2が第1の実施の形態にかかるスタートパッドに相当し、電極パッド3が第1の形態にかかるエンドパッドに相当している。
【0050】
電極パッド2,3は、それぞれ後述する電極パネル12、13と、パッドフィルム4,5とを有している。電極パネル12、13がそれぞれパネル面12s,13sを有し、パッドフィルム4,5がそれぞれのパネル面12s,13sを被覆している。
【0051】
図4に示すように、パネル面12s,13sに、それぞれ溝状のパネル凹部12a,12b,12c,12d、パネル凹部13a,13b,13c,13dが形成されている。パネル凹部12a~12dと、パネル凹部13a~13dとがパッド凹部2a~2dと、パッド凹部3a~3dと同様に奥行相違形状を有している。パネル凹部12a~12dと、パネル凹部13a~13dでは、それぞれの天表面1a側の奥行よりも実装底面1f側の奥行が大きい。
【0052】
そのパネル面12s,13sに、パッドフィルム4,5が形成されている。そのため、
図12に示すように、パッドフィルム4,5の一部がパネル凹部12a~12d、パネル凹部13a~13dに入り込んでいる(
図12では、パネル面12sと、パッドフィルム4が示されている)。それによって、フィルム凹部4a,4b,4c,4dと、フィルム凹部5a,5b,5c,5dとが形成されている。フィルム凹部4a~4dと、フィルム凹部5a~5dは、それぞれパネル凹部12a~12d、パネル凹部13a~13dに応じた溝状の凹部である。フィルム凹部4a~4dと、フィルム凹部5a~5dは、それぞれ前述したパッド凹部2a~2d、パッド凹部3a~3dに相当している。
【0053】
パッドフィルム4,5は、良好な導電性とはんだ接続性とを備えた金(Au)、Ni等の金属からなる薄膜である。パッドフィルム4,5は、それぞれパネル面12s,13sだけでなく、絶縁ブロック1の実装底面1fにも形成されている。
図7に示すように、パッドフィルム4,5は、それぞれ実装底面1fのパッド側面1b、1c側部分に形成されている。パッドフィルム4,5の実装底面1fに形成されている部分は、それぞれ底部フィルム4f、5fに相当している。また、実装底面1fの中央部分(底部フィルム4f、5fが形成されていない部分)には、SiO
2等からなる無機絶縁膜6が形成されている。
【0054】
(コイル部品)
薄膜インダクタ100には、コイル部品10が用いられている。ここで、コイル部品10とは、薄膜インダクタ100に用いられている螺旋状コイルを備えた部品であって、
図4に示すように、コイルブロック11と、電極パネル12,13と、パネルコネクタ14,パネルコネクタ17とを有している。
【0055】
コイル部品10は、銅(Cu)等の良好な導電性を備えた金属を用いて形成されている。
図3に示すように、コイル部品10のうちの絶縁ブロック1によって包囲されている部分が概ねコイルブロック11と、パネルコネクタ14,パネルコネクタ17である。電極パネル12,13の一部が絶縁ブロック1の外側に配置されている。絶縁ブロック1の内側にも、電極パネル12,13の一部が配置されている。なお、
図4では、図示の都合上、絶縁ブロック1が省略されている。
【0056】
コイルブロック11は、6つのコイルパターン21~26を有している。コイルブロック11では、コイルパターン21からコイルパターン26までが配列方向D11に沿って順に並べられている。コイルパターン21からコイルパターン22,コイルパターン23,コイルパターン24,コイルパターン25,コイルパターン26までが順に接続されている。6ターン構造(絶縁部70の周囲に6回周回する構造)の一連の螺旋状コイルがコイルパターン21からコイルパターン26までによって形成されている。
【0057】
そして、
図5に示すように、電流がRで示される方向に沿ってコイルブロック11を流れたときに右ねじが進む方向(右ねじ方向RD)が配列方向D11に相当している。
【0058】
コイルブロック11において、6つのコイルパターン21~26のうち、コイルパターン21がスタートパターンであり、コイルパターン26がエンドパターンである。スタートパターンとは、螺旋状コイルのスタート部分(本実施の形態では、始端部ともいう)に割り当てられるコイルパターンである。エンドパターンとは、螺旋状コイルのエンド部分(本実施の形態では、終端部ともいう)に割り当てられるコイルパターンである。そして、電極パネル12がパネルコネクタ14を介してコイルパターン21に接続され、電極パネル13がパネルコネクタ17を介してコイルパターン26に接続されている(
図2参照)。なお、コイルパターンは、螺旋状コイルのうちの概ね一巻きに相当する部分である。
【0059】
また、
図7に示すように、コイル部品10では、6つのコイルパターン21~26のすべてが実装底面1fに配置されている。コイルパターン21~26の後述するファーストピラー部21A~26A、セカンドピラー部21B~26Bが実装底面1fに配置されている。パネルコネクタ14、パネルコネクタ17も、実装底面1fに配置されている。
【0060】
そして、コイル部品10では、絶縁ブロック1の実装底面1fがプリント配線基板(例えば、後述するプリント配線基板91)に接しているときに、コイルパターン21~26のすべてが起立するように、コイルブロック11が形成されている。すなわち、薄膜インダクタ100がプリント配線基板(例えば、後述するプリント配線基板91)に実装されているときは、
図4に示すようにして、6つのコイルパターン21~26すべてのコイル面CSが実装底面1fと直交状に交差している。コイル面CSとは、各コイルパターン21~26によって張られる平面であって、
図4のハッチングが示されている部分に相当している。
【0061】
コイルパターン21は、
図5に示すように、ファーストピラー部(第1の柱部)21Aと、セカンドピラー部(第2の柱部)21Bと、ピラーコネクタ(柱接続部)21Dと、パターンコネクタ21Eとを有している。コイルパターン21は、ファーストピラー部21A、ピラーコネクタ21D、セカンドピラー部21Bおよびパターンコネクタ21Eが一つにつながった概ね矩形環状に形成されている。また、コイルパターン21のファーストピラー部21Aがパネルコネクタ14を介してスタートパネル(電極パネル)12に接続されている。
【0062】
ファーストピラー部21Aは、スタートパネル(電極パネル)12に沿って実装底面1fから起立する真っすぐな棒状に形成されている。セカンドピラー部21Bは、エンドパネル(電極パネル)13に沿って実装底面1fから起立する起立する真っすぐな棒状に形成されている。ピラーコネクタ21Dは、ファーストピラー部21Aと、セカンドピラー部21Bとを接続する真っすぐな棒状に形成されている。パターンコネクタ21Eは、コイルパターン21からその後続のコイルパターン22までの間の部分であって、リターン部21Eaと、シフト部21Ebとを有し、その境界部分が屈曲している。リターン部21Eaは、セカンドピラー部21Bからファーストピラー部21Aに向かう棒状部分であり、シフト部21Ebは、リターン部21Eaから配列方向D11(右ねじ方向RD)に沿ってコイルパターン22に向かい、コイルパターン22に接続される部分である。
【0063】
また、
図11に示すように、ファーストピラー部21Aと、セカンドピラー部21Bの側面に、それぞれコイル凹部21a,21b,21c,21dと、コイル凹部21e,21f,21g,21hが形成されている。コイル凹部21a~21dと、コイル凹部21e~21hとは、パネル凹部12a~12dと、パネル凹部13a~13dと同様の溝状に形成されている。すなわち、
図11に示すように、コイル凹部21aは、天表面1a側の溝端面a1と、実装底面1f側の溝端面a2と、傾斜内壁面a3とを有し、溝端面a1の奥行d1よりも、溝端面a2の奥行d2の方が大きい(d1<d2)。コイル凹部21a~21dと、コイル凹部21e~21hとは、それぞれパネル凹部12a~12dと、パネル凹部13a~13dと同様の奥行相違形状を有している。
【0064】
コイルパターン22~25も、コイルパターン21と同様に、それぞれ、ファーストピラー部22A~25A、セカンドピラー部22B~25B、ピラーコネクタ22D~25Dおよびパターンコネクタ22E~25Eとを有している。コイルパターン22~25も、コイルパターン21と同様の概ね矩形環状に形成されている。
【0065】
コイルパターン26は、ファーストピラー部26Aと、セカンドピラー部26Bおよびピラーコネクタ26Dを有する概ね矩形環状に形成されている。また、
図6、
図9に示すように、コイルパターン26のセカンドピラー部26Bがパネルコネクタ17を介してエンドパネル(電極パネル)13に接続されている。
【0066】
電極パネル12、13は、矩形板状の部材であって、それぞれ矩形状のパネル面12s,13sを有している。パネル面12s,13sには、前述したとおり、溝状のパネル凹部12a~12d、パネル凹部13a~13dが形成されている。
【0067】
そして、電極パネル(スタートパネル)12、電極パネル(エンドパネル)13が、コイルパターン21~26からなる一連の螺旋状コイルの両端部にそれぞれ接続されて、コイル部品10が構成されている。
【0068】
そのため、コイル部品10において、電流Iがスタートパネル12から流れると、
図5に矢印で示したように、電流Iがパネルコネクタ14を介してコイルパターン21に流れ込む。その後、電流Iがコイルパターン21のファーストピラー部21A、ピラーコネクタ21D、セカンドピラー部21Bを通ってパターンコネクタ21Eに達し、そのシフト部21Ebからコイルパターン22に流れ込む。その後、電流Iが各コイルパターン22~26までを順次流れる。その後、電流Iがパネルコネクタ17を介してエンドパネル13に到達する。
【0069】
一方、以上の薄膜インダクタ100がプリント配線基板91上に実装されるときは、
図13に示すように、実装底面1fがプリント配線基板91上に載置される。
図13は、プリント配線基板91に実装されている薄膜インダクタ100を示す正面図である。そして、電極パッド2,3と、プリント配線基板91上の図示しない電極パッドとが、はんだ92、93によって接続される。パッド凹部2a~2dと、パッド凹部3a~3dが電極パッド2,3に形成されている。そのため、溶融状態のはんだ92、93が
図14に示すように、パッド凹部2a~2d、パッド凹部3a~3dの中に流れ込み、その後、はんだ92、93が固化することによって、薄膜インダクタ100がプリント配線基板91上に実装される(
図14では、パッド凹部2aが示され、他のパッド凹部は省略されている)。
【0070】
(薄膜インダクタの製造方法)
続いて、以上の構成を有する薄膜インダクタ100の製造方法について、
図20~
図42を参照して説明する。ここで、
図20は、薄膜インダクタ100の製造に用いられるインダクタパネル150を示す斜視図、
図21~
図39は、薄膜インダクタ100の製造工程を示す
図20の21-21線断面図である。
図40は、コネクタ層形成工程が実行されたときの隣接するインダクタ領域151を示す平面図、
図41はパターンコネクタ層が形成されたときの隣接するインダクタ領域151を示す平面図である。
図42(a)はパッド導体層164が形成された状態、(b)はパッド導体層164,169が積層された状態の要部を示す
図21に対応した断面図である。
【0071】
薄膜インダクタ100は、
図20に示すようなインダクタパネル150を用いて、薄膜形成プロセスを駆使することによって製造されている。インダクタパネル150は、フェライト、ガラスなどからなる板材である。インダクタパネル150は、薄膜インダクタ100が製造されるときのベース基板である。
【0072】
図20に示すように、そのインダクタパネル150の表面150aに、矩形状のインダクタ領域151が複数形成されている。インダクタ領域151は、そのそれぞれにおいて、薄膜インダクタ100が製造される部分であり、直線状のスクライブライン149に沿って、複数設けられている。
図20の21-21線で切断した断面が
図21~
図35に示されている。
【0073】
そして、まず、
図21に示すように、インダクタパネル150の表面150aに、剥離層152aが、チタン(Ti)や銅(Cu)などを用いてスパッタリングによって形成される。続いて、表面150aに対する酸化処理が行われて、SiO
2等からなる無機絶縁膜152bが剥離層152a上に形成される。この場合、無機絶縁膜152bには、段差部6xが形成される。前述した無機絶縁膜6が、後にその段差部6xによって形成される。
【0074】
続いて、コネクタ層形成工程と、コネクタ絶縁層形成工程とが順に実行される。その後、第1の導体層形成工程、第1の層間絶縁層形成工程、第2の導体層形成工程、第2の層間絶縁層形成工程のように、第1、第2、第3、第4の導体層形成工程と、第1、第2、第3、第4の層間絶縁層形成工程とが順に実行される。
【0075】
そして、コネクタ層形成工程では、第1のコネクタ層153および第2のコネクタ層156が無機絶縁膜152b上に形成される。第1のコネクタ層153および第2のコネクタ層156は、銅などを用いためっき処理によって形成される。
【0076】
ここで、
図40には、コネクタ層形成工程が実行されたときの隣接するインダクタ領域151を示す平面図が示されている。各インダクタ領域151には、第1のコネクタ層153と、第2のコネクタ層156とが形成されている。
【0077】
第1のコネクタ層153には、スタートパターン21と、エンドパターン26とがそれぞれ電極パネル12、電極パネル13に接続されるための部分(パネルコネクタ14,17に相当する部分)と、電極パネル12,電極パネル13の一部と、コイルパターン21の一部(ファーストピラー部21Aに相当する部分)と、コイルパターン26の一部(セカンドピラー部26Bに相当する部分)とが含まれている。
【0078】
第2のコネクタ層156には、前述した各コイルパターン21~25と、それぞれの後続のコイルパターン22~26とを接続する部分、すなわち、パターンコネクタ21E~25Eに相当する部分と、コイルパターン21~26のファーストピラー部22A~26A、セカンドピラー部21B~25Bに相当する部分とが含まれている。
【0079】
続いて、コネクタ絶縁層形成工程が実行される。このコネクタ絶縁層形成工程では、
図22に示すように、絶縁層71の形成に用いられる樹脂性の絶縁部材が塗布され、その後、露光、現像等が行われてコネクタ絶縁層155が形成される。この場合、コネクタ絶縁層155は、次のパッドエリア153aと、パターンエリア153b、156aとが露出し、それ以外の部分が絶縁されるように形成される。コネクタ絶縁層形成工程では、絶縁部70を構成している2種類の絶縁部材のうちの一方の絶縁部材(第1の絶縁部材)が用いられる。
【0080】
図40に示すように、パッドエリア153a、パターンエリア153bは、それぞれ第1のコネクタ層153の一部である。パターンエリア156aは、第2のコネクタ層156の一部である。パッドエリア153aは電極パッド2,3の形成に用いられる部分、パターンエリア153b、156aはコイルパターン21~26の形成に用いられる部分である。
【0081】
続いて、第1の導体層形成工程が実行される。第1の導体層形成工程では、
図23に示すように、第1、第2のパターン導体層157,158がパターンエリア153b、156aに形成され、パッド導体層159,160がパッドエリア153aに形成される。第1、第2のパターン導体層157,158は、コイルパターン21~26の配列方向と交差する方向に離れて配置される。コイルパターン21~26(ファーストピラー部21A~26Aと、セカンドピラー部21B~26B)が第1、第2のパターン導体層157,158(および後に積層されるパターン導体層)によって形成される。また、電極パッド12,13がパッド導体層159,160(および後に積層されるパッド導体層)によって形成される。
【0082】
次に、第1の層間絶縁層形成工程が実行される。この第1の層間絶縁層形成工程では、
図24に示すように、絶縁層72の形成に用いられる樹脂製の絶縁部材が塗布され、その後、露光、現像等が行われて層間絶縁層161が形成される。この場合、層間絶縁層161は、次の開口部を備えるように形成される。この場合の開口部は、形成済みの第1、第2のパターン導体層157,158と、パッド導体層159,160の表面の一部がパターンエリア153b、156aと、パッドエリア153aに露出するように形成される。第1の層間絶縁層形成工程では、絶縁部70を構成している2種類の絶縁部材のうちの他方の絶縁部材(第2の絶縁部材)が用いられる。
【0083】
続いて、第2の導体層形成工程が実行される。第2の導体層形成工程では、
図25に示すように、第1、第2のパターン導体層162,163がパターンエリア153b、156aに形成され、パッド導体層164,165がパッドエリア153aに形成される。第1、第2のパターン導体層162,163は、コイルパターン21~26の配列方向と交差する方向に離れて配置されている。第1、第2のパターン導体層162,163は、それぞれ第1、第2のパターン導体層157,158に積層される。パッド導体層164,165は、それぞれパッド導体層159,160に積層される。
【0084】
次に、第2の層間絶縁層形成工程が実行される。この第2の層間絶縁層形成工程では、
図26に示すように、絶縁層71の形成に用いられる樹脂性の絶縁部材が塗布され、露光、現像等が行われて層間絶縁層166が形成される。この場合、層間絶縁層166は、層間絶縁層161と同様の開口部を備えるように形成される。この場合の開口部は、形成済みの第1、第2のパターン導体層162,163と、パッド導体層164,165の表面の一部がパターンエリア153b、156aと、パッドエリア153aに露出するように形成される。この第2の層間絶縁層形成工程では、2種類の絶縁部材のうちの第1の絶縁部材が用いられる。
【0085】
その後、第3の導体層形成工程が実行される。第3の導体層形成工程では、
図27に示すように、第1、第2のパターン導体層167,168がパターンエリア153b、156aに形成され、パッド導体層169,170がパッドエリア153aに形成される。第1、第2のパターン導体層167,168は、コイルパターン21~26の配列方向と交差する方向に離れて配置されている。第1、第2のパターン導体層167,168は、それぞれ第1、第2のパターン導体層162,163に積層される。パッド導体層169,170は、それぞれパッド導体層164,165に積層される。
【0086】
ところで、第2の導体層形成工程が実行されたときは、
図42(a)に示すように、パッド導体層164が形成されている。その後、第2の層間絶縁層形成工程が実行されることによって、前述の層間絶縁層166が形成される。その後、第3の導体層形成工程が実行されている。すなわち、本発明の実施形態では、層間絶縁層形成工程(第2の層間絶縁層形成工程)が実行された後に再び導体層形成工程(第3の導体層形成工程)が実行されており、それによって、
図42(b)に示すように、パッド導体層169がパッド導体層164に積層されている。
【0087】
この場合、
図42(b)に示すように、パッド導体層164、169の厚さがそれぞれh1、h2であるとすると(h1=h2でもよい)、積層されているパッド導体層の厚さはh3(h1、h2の高さの和)になる。
【0088】
仮に、第2の導体層形成工程において、形成されるめっき膜の厚さがh3に設定されると、第2の導体層形成工程が実行されたときに、厚さがh3のパッド導体層164が形成される。そのため、その後の層間絶縁層形成工程と、導体層形成工程とが不要になる。
【0089】
しかし、この場合、厚さがh3のパッド導体層164は、側面が溝状の凹部の無い平坦な形状で形成される。
【0090】
絶縁膜に穴部が形成されるときは、
図42(a)に示した穴部166aのように、底部の大きさが入り口よりも小さい穴部が形成される。この点に着目し、本実施の形態では、導体層形成工程、層間絶縁層形成工程、導体層形成工程が順に実行され、各導体層形成工程で形成されるめっき膜の厚さが適正な大きさに調整されている。このようにすることによって、
図42(b)に示すように、層間絶縁層を介して積層されているパッド導体層164、169が形成される。このパッド導体層164、169の境界部分には溝状の凹部(12b)が形成される。
【0091】
そして、第3の層間絶縁層形成工程が実行される。この第3の絶縁層形成工程では、
図28に示すように、絶縁層72の形成に用いられる樹脂性の絶縁部材が塗布され、露光、現像等が行われて層間絶縁層171が形成される。この場合、層間絶縁層171は、層間絶縁層161と同様の開口部を備えるように形成される。この場合の開口部は、形成済みの第1、第2のパターン導体層167,168と、パッド導体層169,170の表面の一部がパターンエリア153b、156aと、パッドエリア153aに露出するように形成される。この第3の層間絶縁層形成工程では、2種類の絶縁部材のうちの第2の絶縁部材が用いられる。
【0092】
さらに続いて、第4の導体層形成工程が実行される。第4の導体層形成工程では、
図29に示すように、第1、第2のパターン導体層172,173がパターンエリア153b、156aに形成され、パッド導体層174,175がパッドエリア153aに形成される。第1、第2のパターン導体層172,173は、コイルパターン21~26の配列方向と交差する方向に離れて配置されている。第1、第2のパターン導体層172,173は、第1、第2のパターン導体層167,168に積層される。パッド導体層174,175は、パッド導体層169,170に積層される。
【0093】
その後、第4の層間絶縁層形成工程が実行される。この第4の層間絶縁層形成工程では、
図30に示すように、絶縁層71の形成に用いられる樹脂性の絶縁部材が塗布され、露光、現像等が行われて層間絶縁層176が形成される。この場合、層間絶縁層176は、層間絶縁層161と同様の開口部を備えるように形成される。この場合の開口部は、形成済みの第1、第2のパターン導体層172,173の表面の一部がパターンエリア153b、156aに露出するように形成される。この第4の層間絶縁層形成工程では、2種類の絶縁部材のうちの第1の絶縁部材が用いられる。
【0094】
次に、パターンコネクタ層形成工程が実行される。パターンコネクタ層形成工程では、
図31に示すように、パターンコネクタ層177が形成される。パターンコネクタ層177は、第1、第2のパターン導体層172,173を接続する導体層であり、めっきによって形成される。パターンコネクタ層177が形成され、それによって、第1、第2のパターン導体層172,173が接続される。すると、矩形環状のコイルパターン21~26が形成される。
図41には、パターンコネクタ層177が形成されたときの隣接するインダクタ領域151を示す平面図が示されている。
【0095】
その後、表層絶縁層形成工程が実行される。この表層絶縁層形成工程では、
図32に示すように、絶縁層72の形成に用いられる樹脂性の絶縁部材が塗布され、露光、現像等が行われて表層絶縁層180が形成される。この場合、表層絶縁層180は、パターンコネクタ層177の表面を覆うように形成される。
【0096】
続いて、メタル層形成工程が実行される。メタル層形成工程では、
図33に示すように、表層絶縁層180の表面にメタル層181が形成される。メタル層181は、例えば、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)などが用いられて蒸着、スパッタリングなどによって形成される。
【0097】
その後、メタルパターン形成工程が実行される。メタルパターン形成工程では、
図34に示すように、メタル層181の不要な部分がリフトオフ等の実行により除去されて、メタルパターン181Aが形成される。
【0098】
メタルパターン181Aは、各インダクタ領域151を個別に覆うように形成される。また、各メタルパターン181Aは、各インダクタ領域151において、パッド導体層174,175の外側側面から内側の領域を覆い、パッド導体層174,175の外側側面よりも外側の領域(インダクタ領域151の境界部分が含まれる)が露出するように形成される。
【0099】
次に、絶縁層除去工程が実行される。絶縁層除去工程では、
図35に示すように、各メタルパターン181Aがマスクに用いられて、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching; RIE)、O
2アッシングなどにより、表層絶縁層180、層間絶縁層176、171、166、161およびコネクタ絶縁層155が除去される。絶縁層除去工程は、積層されているパッド導体層159,164、169、174の表面、パッド導体層160、165、170、175の表面が露出するように実行される。
【0100】
こうして、電極パッド2(電極パネル12)が、パッド導体層159,164、169、174によって形成される。また、電極パッド3(電極パネル13)が、パッド導体層160、165、170、175によって形成される。
【0101】
さらに続いて、
図36に示すように、インダクタパネル150が剥離層152aとともに剥離される。その後、インダクタパネル150が剥離された側の表面が研磨されて、無機絶縁膜152bの不要な部分が除去される。すると、
図37に示すように、無機絶縁膜6が、残された無機絶縁膜152bによって形成される。
【0102】
次に、
図38に示すように、メタルパターン181Aが除去される。その後、電極パッド形成工程が実行される。この工程では、金(Au)、Ni等を用いためっき処理が行われて、
図39に示すように、パッドフィルム4がパッド導体層159,164、169、174(すなわち、電極パネル12)の表面に形成される。また、パッドフィルム5がパッド導体層160、165、170、175(すなわち、電極パネル13)の表面に形成される。こうして、電極パッド2,3が形成される。その後、インダクタ領域151が個別化される。個別化されたインダクタ領域151から薄膜インダクタ100が形成される。
【0103】
(薄膜インダクタの作用効果)
以上のように、本実施の形態に係る薄膜インダクタ100は、絶縁ブロック1と、電極パッド2,3とを有し、電極パッド2,3のパッド面2s、パッド面3sに、それぞれ溝状のパッド凹部2a~2dと、パッド凹部3a~3dとが形成されている。薄膜インダクタ100では、パッド凹部2a~2dと、パッド凹部3a~3dとがそれぞれ電極パッド2,3に形成されていることによって、パッド凹部が形成されていない平坦な場合に比べて、パッド面2s、パッド面3sの表面積が拡大されている。すると、パッド面2s、パッド面3sと、はんだ92,93とが接触する部分の大きさが、パッド凹部が形成されていない平坦な場合よりも拡大される。
【0104】
一般に、はんだと、そのはんだが接触する母材との間に合金層が形成されることによって、はんだ接合部が形成されるから、パッド面2s、3sと、はんだ92,93との接触部分の拡大によって、合金層の大きさが大きくなる。そのため、薄膜インダクタ100では、はんだ接合部の接合強度が高められる。よって、薄膜インダクタ100では、電極パッド2,3の大きさが拡大されることなく、はんだ接合部の接合強度が高められている。
【0105】
また、パッド凹部2a~2dと、パッド凹部3a~3dとが、パッド幅w2に応じた長さを有するから、はんだ接合部の接合強度が電極パッド2,3の幅方向全体にわたって高められている。
【0106】
そのうえ、パッド凹部2a~2dと、パッド凹部3a~3dとが、溝状に形成されているから、溶融状態のはんだ92,93がパッド凹部2a~2d、パッド凹部3a~3dの中に確実に入り込む。したがって、薄膜インダクタ100では、はんだ接合部の接合強度が確実に高められている。
【0107】
一方、はんだ接合が行われたときに、パッド凹部2a~2dとパッド凹部3a~3dの内側に、はんだのない部分(ボイド)が発生するおそれがある。しかし、薄膜インダクタ100では、パッド凹部2a~2d、パッド凹部3a~3dがパッド幅w2と同じ幅を有し、その両端部が開放されている。そのため、十分な量のはんだが塗布されれば、パッド凹部2a~2dとパッド凹部3a~3dの両端の開放部分からはんだが外に流れ出し得るから、これによってボイドの発生が確実に防止される。
【0108】
さらに、パッド凹部2a~2dも、パッド凹部3a~3dも奥行相違形状を有する。したがって、パッド凹部2a~2dも、パッド凹部3a~3dも、実装底面1f側の奥行が天表面1a側の奥行よりも大きい。実装底面1f側の奥行が拡大されていることで、はんだ92,93とパッド凹部2a~2d、パッド凹部3a~3dとの接触面積も拡大される。したがって、はんだ接合部の接合強度がより確実に高められる。
【0109】
一方、溶融状態のはんだ92,93が凝固するときに収縮し、はんだ92,93の体積が小さくなる。そのため、
図14に示すように、はんだ92,93が凝固したあと、はんだ92,93のパッド凹部2a~2d、パッド凹部3a~3dに入り込んだ部分(入込部92A、はんだ93は
図14に図示せず)からパッド凹部2a~2d、パッド凹部3a~3dに対して、実装底面1fに向かう圧力が作用する。すると、
図15(a)、(b)に示すように、パッド面2s、3sに向かう圧力p1とともに、実装底面1fに向かう下向き圧力p2が発生する。パッド凹部2a~2d、パッド凹部3a~3dでは、実装底面1f側の奥行が天表面側1a側の奥行よりも拡大されているため、下向き圧力p2は、奥行相違形状が有していない場合の下向き圧力p3に比べて拡大される。したがって、その結果、薄膜インダクタ100のはんだ92,93によるはんだ接合部の接合強度がよりいっそう高められる。
【0110】
そして、電極パッド2,3が絶縁ブロック1よりも外側に張り出しているから、その張り出した部分によって、電極パッド2,3と、はんだとの接触部分が拡大される。したがって、はんだ接合部の接合強度がよりいっそう高められる。
【0111】
また、薄膜インダクタ100は、絶縁部70を有し、その絶縁部70が透磁率の異なる2つの絶縁層71,72が重なった構造を有している。これにより、絶縁部70の形状が安定する。しかも、絶縁部70は、絶縁層71と、絶縁層72とが交互に重なった6層構造を有しているので、絶縁部70の形状がよりいっそう安定する。
【0112】
電極パッド2,3のパッド面2s、3sに、はんだ接続性の良好な金属からなるパッドフィルム4,5が形成されているから、合金層が、はんだ92,93と電極パッド2,3との接合部分に確実に形成される。そのため、薄膜インダクタ100のはんだ接合部の接合強度がよりいっそう高められる。
【0113】
さらに、薄膜インダクタ100では、無機絶縁膜6が実装底面1fに形成されているため、薄膜インダクタ100が実装されるときに、実装底面1fが無機絶縁膜6によって保護される。
【0114】
そして、前述した薄膜インダクタ100の製造方法では、コネクタ層形成工程と4回の導体層形成工程とが実行されている。そのことによって、4つの第1のパターン導体層157、162、167、172が積層され、同じく4つの第2のパターン導体層158、163、168、173が積層されている。こうして得られる積層構造のパターン導体層によって、コイルパターン21~26のファーストピラー部21A~26A、セカンドピラー部21B~26Bが形成されている。導体層形成工程の実行回数が変更されると、積層される導体層の個数が変わるので、ファーストピラー部21A~26Aと、セカンドピラー部21B~26Bの高さが変更される。
【0115】
このように、導体層形成工程の実行回数が変更されて、ファーストピラー部21A~26Aと、セカンドピラー部21B~26Bの高さが変更されてもよい。
【0116】
また、コネクタ層形成工程と4回の導体層形成工程の各工程で、コイルパターン21~26すべてが部分的に形成されている。そのため、ターン数が異なる(例えば8ターン)コイルブロックが製造されるときでも、薄膜インダクタ100が、上記同様、コネクタ層形成工程と4回の導体層形成工程の各工程によって製造されることができる。別の導体層形成工程が追加される必要がない。そのため、薄膜インダクタ100の製造方法は、ターン数の異なったコイルブロックの製造に容易に対応できるので、汎用性が高い。
【0117】
これに対し、1つのコイルパターンが各工程によって形成される製造方法の場合は、ターン数に応じた回数の導体層形成工程が実行される必要がある。例えば、ターン数が6の場合は導体層形成工程が6回実行されるが、ターン数が8の場合は導体層形成工程が8回実行される。
【0118】
(変形例1)
図16は、変形例1にかかる薄膜インダクタ105を示す
図6に対応した断面図である。薄膜インダクタ105は、薄膜インダクタ100と比較して、コイルパターン26を有する点では一致しているが、コイルパターン21~25の代わりにコイルパターン41~45を有する点で相違している。
【0119】
各コイルパターン41~45は、薄膜インダクタ100のコイルパターン21~25と比較して、パターンコネクタ41E~45Eを有する点で相違している。パターンコネクタ21Eは、中間に屈曲部分がある。これに対し、パターンコネクタ41Eは、中間に屈曲部分がなく、セカンドピラー部21Bからファーストピラー部22Aまでを屈曲のない斜め方向(フロント側面1dとのなす角が一定)に接続している。パターンコネクタ42E~45Eも、パターンコネクタ41Eと同様に形成されている。薄膜インダクタ105は、その他薄膜インダクタ100と共通する構成を有しているから、薄膜インダクタ100と同様の作用効果を奏する。また、薄膜インダクタ105では、パターンコネクタ41E~45Eの中間部分に屈曲部分がないため、電流がコイルパターン41~46をスムーズに流れる。
【0120】
(変形例2)
図17は、変形例2にかかる薄膜インダクタ107を示す
図6に対応した断面図である。薄膜インダクタ107は、薄膜インダクタ100と比較して、コイルパターン26を有する点では一致しているが、コイルパターン21~25の代わりにコイルパターン51~55を有する点で相違している。
【0121】
各コイルパターン51~55は、薄膜インダクタ100のコイルパターン21~25と比較して、パターンコネクタ51E~55Eを有する点で相違している。パターンコネクタ51Eは、パターンコネクタ21Eと同様、屈曲部分が中間にあるが、その屈曲部分からファーストピラー部22Aまでが屈曲のない斜め方向(フロント側面1dとのなす角が一定)に接続されている。パターンコネクタ52E~55Eも、パターンコネクタ51Eと同様に形成されている。薄膜インダクタ107は、その他薄膜インダクタ100と共通する構成を有しているから、薄膜インダクタ100と同様の作用効果を奏する。また、薄膜インダクタ107は、パターンコネクタ51E~55Eの屈曲部分が1か所なので(パターンコネクタ21E~25Eは、屈曲部分が2か所)、電流がコイルパターン51~56をスムーズに流れる。
【0122】
(変形例3)
図18は、変形例3にかかる薄膜インダクタ110を示す
図3に対応した正面図である。薄膜インダクタ110は、薄膜インダクタ100と比較して、電極パッド2を有する点では一致しているが、電極パッド3の代わりに電極パッド36を有する点で相違している。電極パッド36は、電極パッド3と比較して、電極パネル33とパッドフィルム35とを有する点で相違している。電極パネル33は、電極パネル13と比較して、実装底面1fからの高さと、溝状の凹部の本数とが相違している。電極パッド36にも、そのパネル面に溝状の凹部が形成されている。そのため、薄膜インダクタ110も、薄膜インダクタ100と同様に、電極の大きさが拡大されることなく、はんだ接合部の接合強度を高めることができる。
【0123】
(変形例4)
図19は、変形例4にかかる薄膜インダクタ120を示す
図3に対応した面図である。薄膜インダクタ120は、薄膜インダクタ110と比較して、電極パッド36を有する点では一致しているが、電極パッド2の代わりに電極パッド65を有する点で相違している。電極パッド65は、電極パッド2と比較して、電極パネル62とパッドフィルム64を有する点で相違している。電極パネル62は、電極パネル12と比較して、実装底面1fからの高さと、溝状の凹部の本数とが相違している。電極パッド62にも、そのパネル面に溝状の凹部が形成されている。そのため、薄膜インダクタ120も、薄膜インダクタ100と同様に、電極の大きさが拡大されることなくはんだ接合部の接合強度を高めることができる。
【0124】
第2の実施形態
(薄膜インダクタの構造)
まず、
図43~
図45を参照して本発明の第2の実施の形態に係る薄膜インダクタ300の構造について説明する。薄膜インダクタ300は、薄膜インダクタ100と比較して、コイル部品10の代わりにコイル部品210を有する点で相違している。
【0125】
コイル部品210は、コイル部品10と比較して、コイルブロック11の代わりにコイルブロック211を有する点で相違している。コイルブロック211は、コイルブロック11と比較して、コイルパターン21~26の代わりにコイルパターン221~226を有する点で相違している。コイルパターン221~226はコイルパターン21~26と比較して、ファーストピラー部21A~26Aの代わりにファーストピラー部221A~226Aを有する点と、セカンドピラー部21B~26Bの代わりにセカンドピラー部221B~226Bを有する点で相違している。
【0126】
ファーストピラー部221A~226Aは、ファーストピラー部21A~26Aと比較して、シフト部221G、222G~226G(シフト部223G~226Gは図示を省略)を有する点で相違している。また、セカンドピラー部221B~226Bは、セカンドピラー部21B~26Bと比較して、シフト部221H、222H~226H(シフト部223H~226Hは図示を省略)を有する点で相違している。
【0127】
シフト部221G~226Gは、それぞれファーストピラー部221A~226Aの高さ方向中間部分に形成されている。シフト部221G~226Gは実装底面1fと直交上に交差する交差方向から内側方向(絶縁ブロック1の中央に向かう方向)に逸れた位置に形成されている。ファーストピラー部221A~226Aは、シフト部221G~226Gが中間部分に形成されていることによって、高さ方向中間部分で内側方向に屈曲している。
【0128】
シフト部221H~226Hは、それぞれセカンドピラー部221B~226Bの高さ方向中間部分に形成されている。シフト部221H~226Hは交差方向から内側方向に逸れた位置に形成されている。セカンドピラー部221B~226Bは、シフト部221H~226Hが中間部分に形成されていることによって、高さ方向中間部分で内側方向に屈曲している。
【0129】
薄膜インダクタ300は、コイルブロック211を有している。そのコイルブロック211は、コイルパターン221~226を有し、各コイルパターン221~226が、シフト部221G~226G、シフト部221H~226Hを有している。後に詳述するが、薄膜インダクタ300が製造されるときは、2回目の導体層形成工程において、第1、第2のパターン導体層が形成される位置が内側(絶縁部70の中央に向かう方向)に変更されている。
【0130】
第1の実施形態に係る薄膜インダクタ100が製造されるときは、導体層形成工程が4回実行されている。それによって、第1、第2のパターン導体層が4回形成されているが、第1、第2のパターン導体層が形成される位置に変更がなかった。そのため、第1、第2のパターン導体層が交差方向に沿って真っすぐな柱状に形成されていた。
【0131】
これに対し、薄膜インダクタ300の場合は、第1、第2のパターン導体層が形成される位置が変更されて、一部の第1、第2のパターン導体層が内側方向に屈曲している。これによって、薄膜インダクタ300では、全体のまとまりが良好になり、形状の安定化につながる。
【0132】
(薄膜インダクタ300の製造方法)
次に、
図46~
図50を参照して本発明の第2の実施の形態に係る薄膜インダクタ300の製造方法について説明する。薄膜インダクタ300の製造方法は、本発明の第1の実施の形態に係る薄膜インダクタ100の製造方法と比較して、導体層形成工程の一部が相違している。
【0133】
薄膜インダクタ300の製造方法では、
図46に示すように、第1、第2のパターン導体層167,168が形成される代わりに、第1、第2のパターン導体層267,268が形成される。第1、第2のパターン導体層267,268は、パターンエリア153b、156aから内側にシフトした位置に形成される。第1、第2のパターン導体層267,268は、第1、第2のパターン導体層167,168とは配置間隔が異なっており、本発明の第2の実施の形態に係る第3、第4のパターン導体層に相当する。
【0134】
次に、
図47に示すように、層間絶縁層形成工程が実行される。この層間絶縁層形成工程では、
図47に示すように、薄膜インダクタ100の場合と同様に、絶縁層72の形成に用いられる樹脂性の絶縁部材が塗布され、露光、現像等が行われて層間絶縁層171が形成される。この場合、層間絶縁層171は、次のような開口部を備えるように形成される。この場合の開口部は、第1、第2のパターン導体層267,268の表面の一部がパターンエリア153b、156aからそれぞれ内側にシフトした位置で露出するように形成される。
【0135】
その後、導体層形成工程が実行される。導体層形成工程では、
図48に示すように、第1、第2のパターン導体層172,173がパターンエリア153b、156aに形成され、パッド導体層174,175がパッドエリア153aに形成される。この場合、第1、第2のパターン導体層172,173が第1、第2のパターン導体層267,268に部分的に重なるように形成される。
【0136】
次に、再び層間絶縁層形成工程が実行される。この層間絶縁層形成工程では、
図49に示すように、絶縁層71の形成に用いられる樹脂性の絶縁部材が塗布され、露光、現像等が行われて層間絶縁層176が形成される。この場合、層間絶縁層176は、層間絶縁層161と同様の開口部を備えるように形成される。この場合の開口部は、形成済みの第1、第2のパターン導体層172,173の表面の一部がパターンエリア153b、156aに露出するように形成される。この層間絶縁層形成工程では、2種類の絶縁部材のうちの第1の絶縁部材が用いられる。
【0137】
次に、パターンコネクタ層形成工程が実行される。パターンコネクタ層形成工程では、
図50に示すように、パターンコネクタ層177が形成される。パターンコネクタ層177は、第1、第2のパターン導体層172,173を接続する導体層であり、めっきによって形成される。パターンコネクタ層177が形成され、それによって、第1、第2のパターン導体層172,173が接続される。すると、矩形環状のコイルパターン221~226が形成される。その後、薄膜インダクタ100の製造方法と同様の工程が実行されることによって、薄膜インダクタ300が製造される。
【0138】
第3の実施形態
続いて、
図51~
図54を参照して本発明の第3の実施の形態に係る薄膜インダクタ400の構造について説明する。
図51は薄膜インダクタ400の全体を示す斜視図、
図52は薄膜インダクタ400の全体を示す平面図、
図53は
図51の53-53線断面図である。
図54は薄膜インダクタ400の分解斜視図である。なお、図示の都合上、
図52では、コイル部品410が実線で示されている。
【0139】
薄膜インダクタ400は、絶縁ブロック401と、電極パッド402,403とを有している。絶縁ブロック401は、絶縁ブロック1と同様の直方体状に形成されている部材であり、後述するコイルブロック411を外側から包囲している。
【0140】
電極パッド402は、パッド部402A,402Bを有している。電極パッド403は、パッド部403A,403Bを有している。パッド部402A、403Aが絶縁ブロック401の対向している一対の側面(対向側面401b、401c)に配置されている。パッド部402B、403Bが対向側面401b、401c以外の1つの側面401dに配置されている。側面401dは、電極パッド402,403が共通して配置されているので、共通側面に相当する。電極パッド402,403がそれぞれ共通側面401dの内側でコイルブロック411に接続されている。
【0141】
電極パッド402,403は、それぞれパッド面402s、403sを有している。パッド面402s、403sは、絶縁ブロック401の対向側面401b、401cと、共通側面401dとに沿って形成されている。また、溝状のパッド凹部402a,402bと、パッド凹部403a,403bとが、それぞれパッド面402s、403sに形成されている。パッド凹部402a,402bと、パッド凹部403a,403bとは、積重交差方向D411に沿って形成されている。積重交差方向D411は、後述するコイルパターン421~423が重なった方向(積重方向D400)と直交状に交差する方向である。
【0142】
絶縁ブロック401は、コイルブロック411と絶縁部70とを有している。絶縁ブロック401のコイルブロック411以外の部分が絶縁部70に相当している。絶縁部70がコイル部品410の各部分(後述するコイルパターン421~423、電極パネル412,413)の間に配置され、その絶縁部70によって、コイル部品410の各部分が絶縁されている。第3の実施の形態に係る絶縁部70では、2つの絶縁層71,72が交互に重なっている。なお、
図54では、図示の都合上、絶縁部70が複数のパネル状部材に分解されて示されているが、各部材が一体となって絶縁部70が構成されている。
【0143】
そして、電極パッド403,402は、
図52、
図53に示すように、それぞれコイルブロック411の後述するスタートパターン421、エンドパターン423に接続されている。電極パッド403が第3の実施の形態にかかるスタートパッドに相当し、電極パッド402が第3の実施の形態にかかるエンドパッドに相当している。電極パッド402,403は、それぞれ後述する電極パネル412、413と、パッドフィルム4,5と同様の図示しないパッドフィルムとを有している。電極パネル412、413がそれぞれ矩形状のパネル面412s、413sを有し、パッドフィルムがそれぞれのパネル面412s、413sを被覆している。
【0144】
薄膜インダクタ400には、コイル部品410が用いられている。ここで、コイル部品410とは、薄膜インダクタ400に用いられている螺旋状コイルを備えた部品であって、コイルブロック411と、電極パネル412,413と、パネルコネクタ414,417とを有している。
【0145】
コイル部品410は、銅(Cu)等の良好な導電性を備えた金属を用いて形成されている。
図52に示すように、コイル部品410のうちの絶縁ブロック401によって包囲されている部分が概ねコイルブロック411と、パネルコネクタ414,パネルコネクタ417である。電極パネル412,413の一部が絶縁ブロック401の外側に配置されている。絶縁ブロック401の内側にも、電極パネル412,413の一部が配置されている。
【0146】
コイルブロック411は、3つのコイルパターン421~423を有している。コイルブロック411では、コイルパターン421からコイルパターン423までが積重方向D400に沿って順に重なっている。3ターン構造(絶縁部70の周囲に3回周回する構造)の一連の螺旋状コイルがコイルパターン421からコイルパターン423までによって形成されている。
【0147】
コイルブロック411において、3つのコイルパターン421~423のうち、コイルパターン421がスタートパターンであり、コイルパターン423がエンドパターンである。そして、電極パネル413がパネルコネクタ414を介してコイルパターン421に接続され、電極パネル412がパネルコネクタ417を介してコイルパターン423に接続されている。
【0148】
また、コイルパターン423だけが実装底面401fに配置され、コイルパターン421だけが天表面401aに配置されている。
【0149】
そして、
図54に示すように、コイルパターン421は、概ね楕円形状に形成されているターン部421Aと、パターンコネクタ421Dとを有している。パネルコネクタ414がターン部421Aの一端部に接続され、パターンコネクタ421Dがターン部421Aの他端部に接続されている。概ねL字状の延設部413Aがパネルコネクタ414に接続されている。また、概ねL字状の延設部412Aがターン部421Aの近くに配置されている。延設部413A、後述する延設部413B、延設部413Eが一体となって電極パネル413を構成している。また、延設部412A、後述する延設部412B、延設部412Eが一体となって電極パネル412を構成している。なお、
図54では、図示の都合上、電極パネル412,413が複数の延設部に分解されて示されているが、積重方向D400に重なった延設部が一体となって電極パネル412,413が構成されている。
【0150】
コイルパターン422は、概ね楕円形状に形成されているターン部422Aと、パターンコネクタ422D、422Gとを有している。パターンコネクタ422Dがターン部422Aの一端部に接続され、パターンコネクタ422Gがターン部422Aの他端部に接続されている。概ねL字状の延設部413Bが積重方向D400に沿った延設部413Aの下側に配置され、概ねL字状の延設部412Bが積重方向D400に沿った延設部412Aの下側に配置されている。
【0151】
コイルパターン423は、概ね楕円形状に形成されているターン部423Aと、パターンコネクタ423Dとを有している。パターンコネクタ423Dがターン部423Aの一端部に接続され、パネルコネクタ417がターン部423Aの他端部に接続されている。概ねL字状の延設部412Eがパネルコネクタ417に接続されている。また、概ねL字状の延設部413Eが積重方向D400に沿った延設部413Bの下側に配置されている。
【0152】
そして、以上のコイルパターン421,422,423において、パターンコネクタ421Dが絶縁部70のスルーホール70gを介してパターンコネクタ422Dに接続され、パターンコネクタ422Gが絶縁部70のスルーホール70hを介してパターンコネクタ423Dに接続されている。
【0153】
そのため、コイル部品410において、電流が電極パネル413から流れると、電流がパネルコネクタ414を通ってコイルパターン421のターン部421Aを流れ、その後、電流がパターンコネクタ421D、422Dを経由して、コイルパターン422のターン部422Aを流れる。さらに、その後、電流がパターンコネクタ422G、423Dを経由してコイルパターン423のターン部423Aを流れる。さらに、その後、電流がパネルコネクタ417を通って電極パネル412に到達する。
【0154】
薄膜インダクタ400は、前述した薄膜インダクタ100,300と異なり、各コイルパターン421,422,423が個別に形成されることによって製造される。
図54において、絶縁部70として、平板状に記載されている絶縁層が4回形成されるが、各コイルパターン421,422,423とそれぞれの延設部とが、各絶縁層が形成される間で個別に形成されることによって、薄膜インダクタ400が製造される。
【0155】
薄膜インダクタ400では、電極パッド402,403にも、そのパッド面402s、403sに溝状のパッド凹部402a,402b、403a,403bが形成されている。そのため、薄膜インダクタ400も、薄膜インダクタ100と同様に、電極の大きさが拡大されることなく、はんだ接合部の接合強度を高めることができる。
【0156】
上記実施の形態では、2つの絶縁層71,72が交互に重なった構造を有する絶縁部70が示されている。このほか、絶縁部70として、同じ材料を用いた絶縁層が重なった絶縁層とすることができる。
【0157】
以上の説明は、本発明の実施の形態についての説明であって、この発明の装置及び方法を限定するものではなく、様々な変形例を容易に実施することができる。又、各実施形態における構成要素、機能、特徴あるいは方法ステップを適宜組み合わせて構成される装置又は方法も本発明に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明を適用することにより、薄膜インダクタ、薄膜インダクタに用いられるコイル部品において、電極の大きさが拡大されることなく、はんだ接合部の接合強度が高められる。本発明は、薄膜インダクタ、薄膜インダクタに用いられるコイル部品およびこれらの製造方法の分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0159】
1,401…絶縁ブロック、1a…天表面、1b,1c…パッド側面、1f…実装底面、2,3,402,403…電極パッド、2s,3s…パッド面、2a,2b,2c,2d,3a,3b,3c,3d…パッド凹部、4,5…パッドフィルム、4a,4b,4c,4d,5a,5b,5c,5d…フィルム凹部、6…無機絶縁膜、10,210,410…コイル部品、11,211,411…コイルブロック,12,13,412,413…電極パネル、12s,13s…パネル面、12a,12b,12c,12d,13a,13b,13c,13d…パネル凹部、21,22,23,24,25,26,421,422,423…コイルパターン、21A,22A,23A,24A,25A,26A…ファーストピラー部、21B,22B,23B,24B,25B,26B…セカンドピラー部、21D,22D,23D,24D,25D,26D…ピラーコネクタ,21E,22E,23E,24E,25E,26E…パターンコネクタ、21a,21b,21c,21d,21e,21f,21g,21h…コイル凹部、70…絶縁部、71,72…絶縁層、150…インダクタパネル、153…第1のコネクタ層、155…コネクタ絶縁層、156…第2のコネクタ層、153a…パッドエリア、153b,156a…パターンエリア、157,158,162,163,167,168,172,173…第1、第2のパターン導体層、159、160,164,165,169,170,174,175…パッド導体層、161、166,171,176…層間絶縁層、177…パターンコネクタ層、180…表層絶縁層、181…メタル層、181A…メタルパターン、221G,222G,221H,222H…シフト部、100,105,107,110,120,300,400…薄膜インダクタ。