(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】コンテナ
(51)【国際特許分類】
B65D 88/12 20060101AFI20230908BHJP
【FI】
B65D88/12 P
B65D88/12 D
(21)【出願番号】P 2019003656
(22)【出願日】2019-01-11
【審査請求日】2021-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】712004783
【氏名又は名称】株式会社総合車両製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡 成豊
(72)【発明者】
【氏名】西村 哲
(72)【発明者】
【氏名】浅田 謙二
(72)【発明者】
【氏名】奥原 正大
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/106193(WO,A1)
【文献】特開2013-056677(JP,A)
【文献】特表平09-505788(JP,A)
【文献】特開2006-117266(JP,A)
【文献】特開平07-315485(JP,A)
【文献】特開2014-037263(JP,A)
【文献】国際公開第1999/015437(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02311757(EP,A1)
【文献】特開2014-148323(JP,A)
【文献】米国特許第06220468(US,B1)
【文献】欧州特許出願公開第01659076(EP,A1)
【文献】特開2016-188105(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0231422(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 88/00-90/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
妻面の各壁面のうち前妻面が壁構造をなし、後妻面及び側面の各壁面のうち少なくとも一面が開口部を有し、該開口部に扉を備えるコンテナであって、
一対の前妻柱と、一対の後妻柱と、前記コンテナの長手方向に沿って延びる、前記一対の前妻柱と前記一対の後妻柱との辺間をつなぐ側上梁及び側下梁と、前記コンテナの幅方向に沿って延びる、前記一対の前妻柱の辺間をつなぐ前妻上梁及び前妻下梁と、前記コンテナの幅方向に沿って延びる、前記一対の後妻柱の辺間をつなぐ後妻上梁及び後妻下梁とを備えるコンテナ本体と、
前記一対の後妻柱の上端に固定される第1隅金具と、
前記前妻面の壁面からオフセットされ、
下面が前記一対の前妻柱の上面に連結される連結部を介して
、前記一対の前妻柱の上面と連結される第2隅金具と、を備え
、
前記第2隅金具及び前記連結部の下面は、前記一対の前妻柱の上面より上方にあり、
前記第2隅金具及び前記連結部の下面と前記側上梁の内側部材の、前記コンテナの高さ方向の内側端面との間に介在され、前記開口部の開口縁よりコンテナの高さ方向の最外縁寄りに位置する部材が設けられているコンテナ。
【請求項2】
前記一対の前妻柱は、外板と、該外板の内面に接合される第1内側部材及び第2内側部材と、を含み、
前記外板は、正面視矩形状の板状部材であり、
前記第1内側部材は、断面視コの字状をなし、該コの字状を構成する2つの脚部が前記外板の内面に接合され、
前記第2内側部材は、断面視L字状をなし、前記第1内側部材よりも前記コンテナの幅方向室内側に位置され、前記L字状を構成する一方の脚部が前記外板の内面に接合され、他方の脚部が前記第1内側部材に接合されることを特徴とする請求項1に記載のコンテナ。
【請求項3】
前記一対の後妻柱は、外側部材と、該外側部材の内面に接合される内側部材と、を含み、
前記外側部材は、前記コンテナの室内側から前記コンテナの幅方向外側に延びる第1脚部と、該第1脚部に続いて、前記第1脚部の基端から前記コンテナの長手方向内側へと略直角に折り曲げられ、前記コンテナの長手方向に沿って延びる平面部と、該平面部に続いて、前記コンテナの幅方向室内側にクランク状に折り曲げられるクランク部と、該クランク部に続いて、前記コンテナの幅方向室内側に略直角に折り曲げられ、前記コンテナの幅方向室内側に延びる第2脚部と、を含み、
前記内側部材は、断面視コの字状をなし、該コの字状を構成する一方の脚部が前記外側部材の前記平面部の内面に接合され、他方の脚部の外面が前記外側部材の前記第2脚部の内面と接触する態様で接合されることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンテナ。
【請求項4】
前記側下梁は、外側部材と、該外側部材の内面に接合される内側部材と、を含み、
前記外側部材は、平面視矩形状の板状部材であり、
前記内側部材は、断面視コの字状をなし、該コの字状を構成する2つの脚部が前記外側部材の内面に接合され、前記外側部材が前記内側部材よりも肉厚に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコンテナ。
【請求項5】
前記部材は、前記一対の前妻柱の、前記コンテナの長手方向室内側の上端側面
から前記コンテナの長手方向に沿って延び、
前記第2隅金具及び前記連結部の下面に接合される板状の補強部材
であることを特徴とする請求項1乃至4に記載のコンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物を収納するコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な荷物を収容するコンテナは、通常、梁及び柱とからなるコンテナ枠体と、妻面及び側面の各壁面の少なくとも1つの面に、荷物の出し入れするための開口部を有し、この開口部に扉が設けられている。また、コンテナの、地上から鉄道車両への荷役作業又は鉄道車両から地上への荷役作業等のその他の荷役作業を行うために、コンテナには、トップリフタの連結具と連結される、複数の金具(隅金具)が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、荷役作業の対象となるコンテナの全長よりも短いコンテナ用のトップリフタを用いる場合には、コンテナの隅金具のスパンをトップリフタ側連結具(ツイストロックピン)のスパンに合わせて設置する必要がある。
【0005】
本発明は、上述のようなケースにおいて、コンテナの妻柱の構造を小型化し、コンテナを吊り上げた際の妻柱に対する負担を低減させ、荷物の出し入れをするための開口幅及びコンテナの室内容積を拡大させ、かつ、コンテナを軽量化させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の態様を例示するものであり、本発明の多様な構成要素の理解を容易にするために、項分けして説明するものである。以下の各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、本発明を実施する最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、または、さらに他の構成要素を付加した態様についても、本発明の一態様になり得るものである。
【0007】
(1)妻面の各壁面のうち前妻面が壁構造をなし、後妻面及び側面の各壁面のうち少なくとも一面が開口部を有し、該開口部に扉を備えるコンテナであって、一対の前妻柱と、一対の後妻柱と、前記コンテナの長手方向に沿って延びる、前記一対の前妻柱と前記一対の後妻柱との辺間をつなぐ側上梁及び側下梁と、前記コンテナの幅方向に沿って延びる、前記一対の前妻柱の辺間をつなぐ前妻上梁及び前妻下梁と、前記コンテナの幅方向に沿って延びる、前記一対の後妻柱の辺間をつなぐ後妻上梁及び後妻下梁とを備えるコンテナ本体と、前記一対の後妻柱の上端に固定される第1隅金具と、前記前妻面の壁面からオフセットされ、下面が前記一対の前妻柱の上面に連結される連結部を介して、前記一対の前妻柱の上面と連結される第2隅金具と、を備え、前記第2隅金具及び前記連結部の下面は、前記一対の前妻柱の上面より上方にあり、前記第2隅金具及び前記連結部の下面と前記側上梁の内側部材の、前記コンテナの高さ方向の内側端面との間に介在され、前記開口部の開口縁よりコンテナの高さ方向の最外縁寄りに位置する部材が設けられているコンテナ(請求項1)。
【0008】
本項に係るコンテナは、妻面の各壁面のうち前妻面が壁構造をなし、後妻面及び側面の各壁面のうち少なくとも一面が開口部を有し、この開口部に扉を備える。この構造により、前妻面の強度は、開口部を有した場合の後妻面と比較して、同等若しくは高くなる。また、コンテナは、一対の前妻柱、一対の後妻柱、側上梁、側下梁、前妻上梁、前妻下梁、後妻上梁及び後妻下梁を備えるコンテナ本体と、一対の後妻柱の上端に固定される第1隅金具と、前妻面の壁面からオフセットされ、下面が一対の前妻柱の上面に連結される連結部を介して一対の前妻柱の上面と連結される第2隅金具とを備える。この構成により、トップリフタの連結具と第1隅金具及び第2隅金具とを連結して、コンテナをトップリフタによって吊って上下させる際、一対の前妻柱及び一対の後妻柱に対して引張力、曲げ力等の外力がかかるが、後妻面側では、第1隅金具が一対の後妻柱の上端に取付けられているので、一対の後妻柱に対して曲げモーメントが減少し、引張力、曲げ力等の外力の影響を小さくし、外力の負担を低減させるものとなる。一方、前妻面では、第2隅金具が前妻面の壁面からオフセットされているので、一対の前妻柱に対して曲げモーメントが生じ、引張力、曲げ力等の外力の影響が大きくなる。しかしながら、前妻面は壁構造をなしているので、すなわち、外壁が一対の前妻柱にかかる引張力、曲げ力等の外力を壁面で負担しているので、一対の前妻柱に対する引張力、曲げ力等の外力が低減されるものとなる。
【0009】
(2)上記(1)項において、前記一対の前妻柱は、外板と、該外板の内面に接合される第1内側部材及び第2内側部材と、を含み、前記外板は、正面視矩形状の板状部材であり、前記第1内側部材は、断面視コの字状をなし、該コの字状を構成する2つの脚部が前記外板の内面に接合され、前記第2内側部材は、断面視L字状をなし、前記第1内側部材よりも前記コンテナの幅方向室内側に位置され、前記L字状を構成する一方の脚部が前記外板の内面に接合され、他方の脚部が前記第1内側部材に接合されるコンテナ(請求項2)。
【0010】
本項に係るコンテナにおいて、一対の前妻柱は、外板と、外板の内面に接合される第1内側部材及び第2内側部材とを含む。より具体的には、外板は、正面視矩形状の板状部材であり、第1内側部材は、断面視コの字状をなし、コの字状を構成する2つの脚部が外板の内面に接合され、第2内側部材は、断面視L字状をなし、第1内側部材よりもコンテナの幅方向室内側に位置され、L字状を構成する一方の脚部が外板の内面に接合され、他方の脚部が第1内側部材に接合される。このような構成によって、外板、第1内側部材及び第2内側部材の形状が複雑化せず、一対の前妻柱が簡易な構造となる。また、この構成であっても、上述の(1)項に記載の、前妻面が壁構造をなす構成から、前妻面の必要強度が確保され、コンテナがトップリフタに吊り上げられた状態でも外壁によって一対の前妻柱に対する引張力、曲げ力等の外力の負担が低減される。このため、一対の前妻柱の必要強度を確保しつつ、一対の前妻柱の断面積を可能な限り縮小し、かつ、一対の前妻柱の軽量化及び小型化に資するものとなる。また、一対の前妻柱の小型化によって、一対の前妻柱の内面(室内側の面)がコンテナの最外縁寄りに位置するので、コンテナの室内容積の増加に寄与するものとなる。さらに、コンテナの一方の側面又は両側面が開口部を有する構造である場合、一対の前妻柱の断面積の縮小により、一対の前妻柱の、コンテナの長手方向室内側の端面から一対の後妻柱の、コンテナの長手方向室内側の端面の寸法(すなわち、コンテナの長手方向における開口幅寸法)が大きくなり、開口部の面積の拡大に寄与するものとなる。
【0011】
(3)上記(1)又は(2)項において、前記一対の後妻柱は、外側部材と、該外側部材の内面に接合される内側部材と、を含み、前記外側部材は、前記コンテナの室内側から前記コンテナの幅方向外側に延びる第1脚部と、該第1脚部に続いて、前記第1脚部の基端から前記コンテナの長手方向内側へと略直角に折り曲げられ、前記コンテナの長手方向に沿って延びる平面部と、該平面部に続いて、前記コンテナの幅方向室内側にクランク状に折り曲げられるクランク部と、該クランク部に続いて、前記コンテナの幅方向室内側に略直角に折り曲げられ、前記コンテナの幅方向室内側に延びる第2脚部と、を含み、前記内側部材は、断面視コの字状をなし、該コの字状を構成する一方の脚部が前記外側部材の前記平面部の内面に接合され、他方の脚部の外面が前記外側部材の前記第2脚部の内面と接触する態様で接合されるコンテナ(請求項3)。
【0012】
本項に係るコンテナにおいて、一対の後妻柱の構造は、外側部材と、外側部材の内面に接合される内側部材とを含む。より具体的には、外側部材は、コンテナの室内側からコンテナの幅方向外側に延びる第1脚部と、第1脚部に続いて、第1脚部の基端からコンテナの長手方向内側へと略直角に折り曲げられ、コンテナの長手方向に沿って延びる平面部と、平面部に続いて、コンテナの幅方向室内側にクランク状に折り曲げられるクランク部と、クランク部に続いて、コンテナの幅方向室内側に略直角に折り曲げられ、コンテナの幅方向室内側に延びる第2脚部とを含む。内側部材は、断面視コの字状をなし、コの字状を構成する一方の脚部が外側部材の平面部の内面に接合され、他方の脚部の外面が外側部材の第2脚部の内面と接触する態様で接合される。このような構成であっても、上述の(1)項に記載の、第1隅金具が一対の後妻柱の上端に取付けられる構成により、コンテナがトップリフタに吊り上げられた状態でも一対の後妻柱に対する引張力、曲げ力等の外力の負担が低減される。このため、一対の後妻柱の必要強度を確保しつつ、一対の後妻柱の断面積を可能な限り縮小し、かつ、一対の後妻柱の軽量化及び小型化に資するものとなる。また、一対の後妻柱の小型化によって、一対の後妻柱の内面(室内側の面)がコンテナの最外縁寄りに位置するので、コンテナの室内容積の増加に寄与するものとなる。さらに、コンテナの一方の側面又は両側面が開口部を有する構造である場合、一対の後妻柱の断面積が縮小されることにより、一対の後妻柱の、コンテナの長手方向室内側の端面から一対の前妻柱の、コンテナの長手方向室内側の端面の寸法(すなわち、コンテナの長手方向における開口幅寸法)が大きくなり、開口部の面積の拡大に寄与するものとなる。
【0013】
(4)上記(1)乃至(3)項のいずれか1項において、前記側下梁は、外側部材と、該外側部材の内面に接合される内側部材と、を含み、前記外側部材は、平面視矩形状の板状部材であり、前記内側部材は、断面視コの字状をなし、該コの字状を構成する2つの脚部が前記外側部材の内面に接合され、前記外側部材が前記内側部材よりも肉厚に形成されているコンテナ(請求項4)。
【0014】
本項に係るコンテナにおいて、側下梁は、外側部材と、外側部材の内面に接合される内側部材とを含む。より具体的には、外側部材は、平面視矩形状の板状部材であり、内側部材は、断面視コの字状をなし、コの字状を構成する2つの脚部が外側部材の内面に接合され、外側部材が内側部材よりも肉厚に形成されている。このような構成により、必要最小限まで部品数が減り、側下梁が簡易な構造となる。また、外側部材が内側部材よりも肉厚に形成されることで、側下梁の必要強度を確保しつつ、側下梁の高さ寸法を可能な限り小さくし、かつ、側下梁の軽量化及び小型化に資するものとなる。また、側下梁の小型化によって、側下梁の内面(室内側の面)がコンテナの最外縁寄りに位置するので、コンテナの室内容積の増加に寄与するものとなる。さらに、コンテナの一方の側面又は両側面が開口部を有する構造である場合、側下梁の高さ寸法が小さくなることで、側下梁の内側部材の、コンテナの高さ方向の内側端面から側上梁の内側部材の、コンテナの高さ方向の内側端面の寸法(すなわち、コンテナの高さ方向における開口高さ寸法)が大きくなり、開口部の面積の拡大に寄与するものとなる。
【0015】
(5)上記(1)乃至(4)項のいずれか1項において、前記部材は、前記一対の前妻柱の、前記コンテナの長手方向室内側の上端側面から前記コンテナの長手方向に沿って延び、前記第2隅金具及び前記連結部の下面に接合される板状の補強部材であるコンテナ(請求項5)。
【0016】
本項に係るコンテナにおいて、一対の前妻柱の、コンテナの長手方向室内側の上端側面には、コンテナの長手方向に沿って延び、第2隅金具及び連結部の下面に接合される板状の補強部材が設けられている。この構成により、補強部材が第2隅金具及び連結具を支持しつつ、コンテナを吊り上げた際、補強部材を介して一対の前妻柱にかかる外力が緩和され、一対の前妻柱にかかる外力の低減に寄与するものとなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上のように構成したことにより、コンテナの妻柱の構造を小型化し、コンテナを吊り上げた際の妻柱に対する負担を低減させ、荷物の出し入れするための開口幅及びコンテナの室内容積を拡大させ、かつ、コンテナを軽量化させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコンテナを示す図であり、(a)は、コンテナの上面図であり、(b)は、コンテナの左側面図であり、(c)は、コンテナの右側面図である。
【
図2】
図1に示すコンテナであり、(a)は、コンテナの前妻面の図であり、(b)は、コンテナの後妻面の図である。
【
図3】
図2に示すコンテナの前妻柱であり、(a)は、コンテナの前妻面から見た図であり、(b)は、コンテナの右側面から見た図である。
【
図4】
図3(b)に示すA-A線に沿う断面図である。
【
図5】
図3(b)に示す一点鎖線部分の拡大図である。
【
図6】
図2に示すコンテナの後妻柱であり、(a)は、コンテナの後妻側から見た図であり、(b)は、コンテナの右側面から見た図である。
【
図7】
図6(b)に示すB-B線に沿う断面図である。
【
図8】
図6(b)に示す一点鎖線部分の拡大図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るコンテナの床構造の平面図である。
【
図10】
図9に示す側下梁、前妻下梁及び後妻下梁であり、(a)は、側下梁の図であり、(b)は、前妻下梁の図であり、(c)は、後妻下梁の図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係るコンテナの構成を
図1~
図11に基づいて詳細に説明する。ここで、以下の説明では、コンテナの一例として、全長31ftの三方開きのコンテナについて説明する。
【0020】
本発明の一実施形態に係るコンテナ1は、
図1及び
図2に示すように、一方の妻面5(前妻面)の面が壁構造をなし(
図2(a)参照)、他方の妻面7(後妻面、
図2(b)参照)及び両側面3L,3R(
図1(b)及び
図1(c)参照)の三面が開口部11L,11R,11B(
図1(b)及び
図1(c)、
図2(b)の破線参照)を有するコンテナ本体9と、開口部11L,11R,11Bに設けられる扉13L,13R,13Bとを含む。また、コンテナ1には、その荷役作業時、トップリフタ(図示せず)の連結具(図示せず)と連結する、前妻側金具15L,15R(第2隅金具)及び後妻側金具17L,17R(第1隅金具)とを含む。
【0021】
コンテナ1の前妻面5側の構造は、
図2(a)に示すように、一対の前妻柱19A,19Bと、コンテナ1の幅方向(
図2(a)の紙面左右方向)に沿って延びる、一対の前妻柱19A,19Bの辺間をつなぐ前妻上梁21及び前妻下梁23と、一対の前妻柱19A,19B、前妻上梁21及び前妻下梁23に囲まれる領域に設けられる外壁板25と、この外壁板25と反対側(コンテナ1の室内側)に配置される内張板(図示せず)とを備える。外壁板25は、
図2(a)の紙面上下方向に延びる凸条部25a及び凹条部25bとが、コンテナ1の幅方向に交互に形成された波板状を有している。さらに、前妻面5には、外壁板25からオフセットされて配置された一対の前妻側金具15L,15Rが設けれている。この一対の前妻側金具15L,15Rは、連結具33L,33Rを介して一対の前妻柱19A,19Bに連結されている(
図1(b)及び
図1(c)参照)。
【0022】
図3(a)及び
図3(b)には、一対の前妻柱19A,19Bのうち、
図2(a)における紙面右側に位置する前妻柱19Aが示されている。なお、一対の前妻柱19A,19Bは、
図2(a)に示された配置において、左右対称の構造となっているので、ここでは、前妻柱19Aを例にして、以下に説明し、前妻柱19Bの説明は省略する。
図3~
図5に示すように、前妻柱19Aは、外板27と、この外板27の内面27a(コンテナ1の室内側の面)に接合される第1内側部材29及び第2内側部材31とを含む。外板27は、正面視矩形状の板状部材である。第1内側部材29は、
図4に示されるように断面視でコの字状をなし、2つの脚部35a,35bと、この脚部35a,35bとの間に位置する平面部37とを含む。また、第1内側部材29は、外板27の一端に対してコンテナ1の幅方向室内側(
図4の紙面上側)寄り、すなわち、外板27の幅方向中央寄りに位置され、コの字状を構成する脚部35a,35bが外板27の内面27aに接合されている。第2内側部材31は、断面視L字状をなし、第1内側部材29よりもコンテナ1の幅方向室内側に位置されている(
図4参照)。また、第2内側部材31の一方の脚部39aが外板27の内面27aに接合され、他方の脚部39bが第1内側部材29の脚部35bに接合される。第1内側部材29と外板27と接合した状態では、第1内側部材29と外板27とによって、段部41(
図4参照)が形成され、この段部41に一対のヒンジラグ43,43(
図3(a)、
図3(b)及び
図4参照)が設置される。この一対のヒンジラグ43,43は、ヒンジ組立45(
図3(a)、
図3(b)及び
図5参照)が取付けられており、このヒンジ組立45は、コンテナ1の側面側の扉13R(
図1(c)参照)の、開閉構造を構成するものである。また、
図5に示すように、前妻柱19Aには、その上端側面、すなわち、第1内側部材29の、コンテナ1の長手方向の室内側内面からコンテナ1の長手方向室内側に向かって延びる、複数の補強部材47(本実施形態では、2つ(
図3(a)及び
図5参照)
、部材)が設けられている。この補強部材47は、側面視略楔状をなす板状部材であり、連結部33R、前妻側金具15R及び側上梁81R(右側上梁、
図1(c)参照)の一部の下面に接合されており、連結部33R及び前妻側金具15Rを支持している。
【0023】
コンテナ1の後妻面7側の構造は、
図2(b)に示すように、一対の後妻柱49A,49Bと、コンテナ1の幅方向(
図2(b)の紙面左右方向)に沿って延びる、一対の後妻柱49A,49Bの辺間をつなぐ後妻上梁51及び後妻下梁53とを備える。一対の後妻柱49A,49Bには、その上端に後妻側金具17L,17R(
図1(b)及び(c)参照)が設けられている。後妻面7側の開口部11Bには、観音開きの扉13Bが設けられている。
【0024】
図6(a)及び
図6(b)には、一対の後妻柱49A,49Bのうち、
図2(b)における紙面左側に位置する後妻柱49Aが示されている。なお、一対の後妻柱49A,49Bは、
図2(b)に示された配置において、左右対称の構造となっているので、ここでは、後妻柱49Aを例にして、以下に説明し、後妻柱49Bの説明は省略する。
図6~
図8に示すように、後妻柱49Aは、外側部材55と、この外側部材55の内面55a(コンテナ1の室内側の面)に接合される内側部材57とを含む。外側部材55は、
図7に示された断面視で、コンテナ1の幅方向室内側(
図7の紙面上側)からコンテナ1の幅方向外側(
図7の紙面下側)に延びる第1脚部59と、この第1脚部59に続いて、第1脚部59の基端(
図7の紙面下側の端部)からコンテナ1の長手方向内側(
図7の紙面左側)へと略直角に折り曲げられ、コンテナ1の長手方向に沿って延びる平面部61と、この平面部61に続いて、コンテナ1の幅方向室内側にクランク状に折り曲げられるクランク部63と、このクランク部63に続いて、コンテナ1の幅方向室内側に略直角に折り曲げられて、コンテナ1の幅方向室内側に延びる第2脚部65とを含む。外側部材55の第1脚部59と、この第1脚部59に続く平面部61とに設けられた切欠き部67(本実施形態では、4箇所、
図6(a)及び
図6(b)参照)に、後妻面7の扉13Bに対応するヒンジ組立71を取付けた一対のヒンジラグ69,69(
図6(a)及び
図6(b)参照)が設けられる。また、外側部材55のクランク部63には、右側面3R側の扉13Rに対応するヒンジ組立75を取付けた一対のヒンジラグ73,73(
図7及び
図8参照)が設けられる。内側部材57は、
図7に示されるように断面視でコの字状をなし、コの字状を構成する2つの脚部77a,77bと、この脚部77a,77bとの間に位置する平面部79とを含む。内側部材57の一方の脚部77aは、外側部材55の平面部61の内面(コンテナ1の室内側の面)に接合され、他方の脚部77bは、その外面と外側部材55の第2脚部65の内面と接触する態様で接合されている。また、
図7に示すように、脚部77aは、その紙面上下方向の長さが脚部77bの長さより長く設定されている。
【0025】
次に、コンテナ1の両側面3L,3R側の構造について、説明する。
図1(b)には、コンテナ1の左側面3Lが示され、
図1(c)には、コンテナ1の右側面3Rが示されている。なお、コンテナ1の左側面3L及び右側面3Rの構造は、略同一の構造となっているで、ここでは、コンテナ1の右側面3Rを例にして、以下に説明し、コンテナ1の左側面3Lの説明は省略する。
コンテナ1の右側面3Rの構造は、前妻柱19Aと、後妻柱49Aと、コンテナ1の幅方向(
図1(c)の紙面左右方向)に沿って延びる、前妻柱19Aと後妻柱49Aとの辺間をつなぐ側上梁81R及び側下梁83R(右側下梁)とを含む。側下梁83Rは、
図10(a)及び
図11に示されるように、外側部材85と、内側部材87とを含む。また、側下梁83Rには、フォークリフト(図示せず)の爪(図示せず)を挿入するための挿入口89,89(本実施形態では、2つ、
図1(b)及び(c)、
図10(a)参照)が設けられている。外側部材85は、平面視矩形状の板状部材である。内側部材87は、
図11に示された断面視でコの字状をなし、コの字状を構成する2つの脚部91a,91bと、この脚部91a,91bとの間に位置する平面部93とを含む。2つの脚部91a,91bは、外側部材85の内面85a(コンテナ1の室内側の面)に接合される。また、コンテナ1の右側面3Rの開口部11Rに折畳式の扉13R,13Rが設けられている。
【0026】
次に、コンテナ1の床構造95(
図9参照)について、説明する。
床構造95は、前妻下梁23と、後妻下梁53と、一対の側下梁83L,83R(左側下梁、右側下梁)と、複数の床下梁97と、床板(図示せず)とを含む。前妻下梁23は、一対の側下梁83L,83Rの一方の端部に組合され、後妻下梁53は、一対の側下梁83L,83Rの他方の端部と組合される。
図10(b)に示すように、前妻下梁23は、外側部材99を含む。
図10(c)に示すように、後妻下梁53は、外側部材103と、内側部材105とを含む。複数の床下梁97は、一対の側下梁83L,83R間に配置され、床下梁97の両端部が一対の側下梁83L,83Rの内面に接合される。また、前妻下梁23と、後妻下梁53と、一対の側下梁83L,83Rと、複数の床下梁97とを組立てた際、これらの上端面が略同一面上になるように設定される。ここで、「略同一面上」とは、完全同一のみならず、構造上や寸法精度上、上記作用を発揮する上で許容可能な範囲での位置の誤差を含む意味である。
【0027】
以上、上記構成を有する一実施形態に係るコンテナ1によれば、次のような作用効果を得ることができる。コンテナ1は、妻面の各壁面のうち後妻面7、及び、両側面3L,3Rの各壁面が開口部11L,11R,11Bを有するのに対し、前妻面5が壁構造をなしていることから、前妻面5側の強度は、開口部11Bを有する後妻面7の壁面の強度と比較して、同等若しくは高くなる。ここで、コンテナ1は、トップリフタの連結具と一対の後妻側金具17L,17R及び一対の前妻柱19A,19Bとを連結して、コンテナ1をトップリフタによって吊って上下させる際、一対の前妻柱19A,19B及び一対の後妻柱49A,49Bに対して引張力、曲げ力等の外力がかかる。この際、後妻面7側では、後妻側金具17L,17Rが一対の後妻柱49A,49Bの上端に取付けられているので、一対の後妻柱49A,49Bに対しては曲げモーメントが減少し、引張力、曲げ力等の外力の影響を小さくし、外力の負担を低減させることが可能となる。一方、前妻面5側では、一対の前妻側金具15L,15Rが一対の前妻柱19A,19Bからオフセットされているので、一対の前妻柱19A,19Bには、曲げモーメントが生じ、引張力、曲げ力等の外力の影響が大きくなる。しかしながら、前妻面5側は壁構造をなしているので、すなわち、外壁板25が一対の前妻柱19A,19Bにかかる引張力、曲げ力等の外力を壁面でも負担するので、一対の前妻柱19A,19Bに対する引張力、曲げ力等の外力が低減されることとなる。これにより、一対の前妻柱19A,19Bの必要強度を確保しつつ、一対の前妻柱19A,19Bの断面積を可能な限り縮小し、かつ、一対の前妻柱19A,19Bの軽量化及び小型化に資することとなる。
【0028】
また、コンテナ1によると、一対の前妻柱19A,19Bは、正面視矩形状の外板27、断面視コの字状をなす第1内側部材29及び断面視L字状をなす第2内側部材31を含み、このような形状によって、外板27、第1内側部材29及び第2内側部材31が複雑化せず、一対の前妻柱19A,19Bが簡易な構造となる。
【0029】
さらに、コンテナ1によると、一対の前妻柱19A,19Bの小型化によって、一対の前妻柱19A,19Bの内面(室内側の面)がコンテナ1の最外縁寄りに位置するので、コンテナ1の室内容積の増加に寄与することが可能となる。また、一対の前妻柱19A,19Bの断面積の縮小により、一対の前妻柱19A,19Bの、コンテナ1の長手方向室内側の端面から一対の後妻柱49A,49Bの、コンテナの長手方向室内側の端面の寸法(すなわち、コンテナ1の長手方向における開口幅寸法)が大きくなり、両側面3L,3Rの開口部11L,11Rの面積の拡大に寄与することが可能となる。
【0030】
一方、一対の後妻側金具17L,17Rは、一対の後妻柱49A,49Bの上端に取付けられているので、コンテナ1がトップリフタに吊って上下させた状態でも一対の後妻柱49A,49Bに対する引張力、曲げ力等の外力の負担が低減される。このため、一対の後妻柱49A,49Bの必要強度を確保しつつ、一対の後妻柱49A,49Bの断面積を可能な限り縮小し、かつ、一対の後妻柱49A,49Bの軽量化及び小型化に資することとなる。さらに、一対の後妻柱49A,49Bの断面積が縮小されることにより、一対の後妻柱49A,49Bの、コンテナ1の長手方向室内側の端面から一対の前妻柱19A,19Bの、コンテナ1の長手方向室内側の端面の寸法(すなわち、コンテナ1の長手方向における開口幅寸法)が大きくなり、両側面3L,3Rの開口部11L,11Rの面積の拡大に寄与することが可能となる。
【0031】
コンテナ1によると、側下梁83L,83Rは、平面視矩形状の板状部材である外側部材85と、断面視コの字状をなす内側部材87とから構成されることで、必要最小限まで部品数が減り、側下梁83L,83Rが簡易な構造となる。また、外側部材85が内側部材87よりも肉厚に形成されているので、側下梁83L,83Rの必要強度を確保しつつ、側下梁83L,83Rの高さ寸法を可能な限り小さくし、かつ、側下梁83L,83Rの軽量化及び小型化に資することが可能となる。側下梁83L,83Rの小型化によって、側下梁83L,83Rの内面(室内側の面)がコンテナ1の最外縁寄りに位置するので、コンテナ1の室内容積の増加に寄与することが可能となる。さらに、側下梁83L,83Rの高さ寸法が小さくなることで、側下梁83L,83Rの内側部材87の、コンテナ1の高さ方向の内側端面から側上梁81L,81R(左側上梁、右側上梁)の内側部材の、コンテナ1の高さ方向の内側端面の寸法(すなわち、コンテナ1の高さ方向における開口高さ寸法)が大きくなり、一対の前妻柱19A,19B及び一対の後妻柱49A,49Bと併せて、両側面3L,3Rの開口部11L,11Rの面積の拡大に寄与することが可能となる。
【0032】
さらに、一対の前妻柱19A,19Bの、コンテナ1の長手方向室内側の上端側面に、コンテナ1の長手方向に沿って延び、側上梁81L,81Rに接合される板状の補強部材47を設けることで、補強部材47が前妻側金具15L,15R及び連結具33L,33Rを支持することとなる。よって、コンテナ1を吊り上げた際、補強部材47を介して一対の前妻柱19A,19Bにかかる外力が緩和され、一対の前妻柱19A,19Bにかかる外力の低減に寄与することが可能となる。
【0033】
なお、一実施形態に係るコンテナ1は、三方開きであるが、後妻面7及び両側面3L,3Rのうちいずれか一方が開口部を有する二方開きのコンテナや、両側面3L、3Rのみに開口部を有する二方開きのコンテナや、後妻面7のみが開口部を有する一方開きのコンテナ等の、開口部の配置が異なる他のコンテナにも本実施の形態を適用することが可能である。また、コンテナ1は、鉄道コンテナ、トレーラコンテナ等の様々なコンテナに適用してもよい。
【0034】
また、一実施形態に係るコンテナ1において、一対の前妻柱19A,19Bは、外板27と、この外板27の内面27aに接合される第1内側部材29及び第2内側部材31とから構成されているが、外板27と、第1内側部材29とから構成されてもよい。さらに、第2内側部材31は、断面視L字状をなしているが、断面視コの字状等の他の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0035】
1…コンテナ、3L…左側面(側面)、3R…右側面(側面)、5…前妻面、7…後妻面、15L,15R…前妻側金具(第2隅金具)、17L,17R…後妻側金具(第1隅金具)、19…一対の妻柱、21…前妻上梁、23…前妻下梁、33L,33R…連結具、47…補強部材(部材)、49…一対の後妻柱、51…後妻上梁、53…後妻下梁、81L…側上梁(左側上梁)、81R…側上梁(右側上梁)、83L…側下梁(左側下梁)、83R…側下梁(右側下梁)