(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】通知方法切替判定装置、通知方法切替判定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/01 20230101AFI20230908BHJP
【FI】
G06Q30/01
(21)【出願番号】P 2019016411
(22)【出願日】2019-01-31
【審査請求日】2021-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】TOPPANエッジ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】514326443
【氏名又は名称】livepass株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100206999
【氏名又は名称】萩原 綾夏
(72)【発明者】
【氏名】長原 優
(72)【発明者】
【氏名】大野 博樹
(72)【発明者】
【氏名】近藤 正朝
(72)【発明者】
【氏名】本多 英明
(72)【発明者】
【氏名】馬場 修二
(72)【発明者】
【氏名】竹内 大佑
(72)【発明者】
【氏名】山下 悠也
(72)【発明者】
【氏名】中尾 直之
(72)【発明者】
【氏名】小西 哲平
【審査官】谷川 智秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-167953(JP,A)
【文献】特開2004-062621(JP,A)
【文献】特開2015-184733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子的な方法による通知である電子通知に対する顧客の開封率を、前記顧客に対して行った前記電子通知に対する反応の履歴に基づいて導出し、導出した開封率が閾値未満である場合に、前記顧客に情報を通知する際の通知方法を、前記電子通知から印刷物による通知である印刷通知に切り替える分析部と、
前記分析部による判定の結果を出力する処理部と、
を備え、
前記分析部は、前記通知方法を前記印刷通知に切り替えた場合において、前記印刷通知に切り替えてから所定の期間が経過した後に前記通知方法を前記印刷通知から前記電子通知に戻す、
通知方法切替判定装置。
【請求項2】
学習済みモデルを用いて、顧客に情報を通知する際の通知方法を、電子的な方法による通知である電子通知から印刷物による通知である印刷通知に切り替えるか否か判定する分析部と、
前記分析部による判定の結果を出力する処理部と、
を備え、
前記学習済みモデルは、通知方法を前記電子通知から前記印刷通知に切り替えた切替の時点における顧客の前記電子通知の開封率と、前記切替の後における当該顧客の前記印刷通知の応答率との対応関係を、機械学習を実行することにより学習した機械学習モデルであって、学習した対応関係に基づいて、前記電子通知に対する対象顧客の開封率から推定される、当該対象顧客への通知を前記印刷通知に切り替えた場合における前記印刷通知の応答率を出力する機械学習モデルであり、
前記分析部は、前記対象顧客における前記電子通知に対する開封率を前記学習済みモデルに入力して得られる、前記対象顧客への通知を前記印刷通知に切り替えて通知した場合における前記印刷通知の応答率が閾値以上である場合に前記顧客に情報を通知する際の通知方法を前記電子通知から前記印刷通知に切り替え、前記応答率が閾値未満である場合に前記通知方法を前記電子通知のまま維持すると判定し、前記通知方法を前記印刷通知に切り替えた場合において、前記印刷通知に切り替えてから所定の期間が経過した後に前記通知方法を前記印刷通知から前記電子通知に戻す、
通知方法切替判定装置。
【請求項3】
コンピュータが行う通知方法切替判定方法であって、
分析部が、電子的な方法による通知である電子通知に対する顧客の開封率を、前記顧客に対して行った前記電子通知に対する反応の履歴に基づいて導出し、導出した開封率が閾値未満である場合に、前記顧客に情報を通知する際の通知方法を、前記電子通知から印刷物による通知である印刷通知に切り替え、
処理部が、前記分析部による判定の結果を出力し、
前記分析部は、前記通知方法を前記印刷通知に切り替えた場合において、前記印刷通知に切り替えてから所定の期間が経過した後に前記通知方法を前記印刷通知から前記電子通知に戻す、
通知方法切替判定方法。
【請求項4】
コンピュータを、請求項1から請求項2のいずれか一項に記載の通知方法切替判定装置として動作させるためのプログラムであって、前記コンピュータを前記通知方法切替判定装置が備える各部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通知方法切替判定装置、通知方法切替判定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータおよびインターネット等の通信ネットワーク技術の発展に伴い、顧客に業務上の通知を行う方法が、印刷物を郵送して通知する方法から、電子的な通知の方法に変化してきた。電子的な通知とは通信ネットワークを介した電子メールやメッセージングサービスなどを利用した通知である。メッセージングサービスは、例えば、RCS(Rich Communication Services)、及びSMS(Short Message Service)や、MMS(Multimedia Messaging Service)などの機能を利用してメッセージ等のコンテンツを送受信する仕組みである。RCSは、携帯電話用のインスタントメッセンジャーを端末レベルで実現するための規格であり、相手と通信する時にユーザ名や電子メールアドレスではなく、電話番号を使用するものである。RCSにおいては、異なる通信キャリア間の相互接続を考慮した設計がなされている。また、RCSでは、送信することができる文字数の上限が従来のSMSやMMSよりも大きく設定されている。特許文献1では、顧客に通知を行う際、顧客がすぐに見ることのできる確率が高いアドレスに電子メールを送信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、多くの企業が電子メールなどの電子的な通知による同様なサービスの提供を行っており、顧客に対して多数の通知がなされる場合がある。多数の電子的な通知がなされると、それらの通知が顧客に開封されないまま放置されてしまう事態が発生し得る。この場合、通知の内容を顧客に認識させることができない。この対策として、印刷物を郵送して顧客に通知を行う方法に戻すことが考えられる。一般に、物理的な印刷物が届けられた場合、その内容を確認しようとする意志が働きやすいと考えられるためである。しかし、印刷物を郵送するには印刷代や配送料などのコストがかかるため、印刷物による通知を行う方法に戻すと、電子的な通知と比較して経費が増大してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、顧客に通知を行う際に、通知の内容を顧客に認識されやすくすることができ、且つ通知に要するコストを増大させないようにすることができる通知方法切替判定装置、通知方法切替判定方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、電子的な方法による通知である電子通知に対する顧客の開封率を、前記顧客に対して行った前記電子通知に対する反応の履歴に基づいて導出し、導出した開封率が閾値未満である場合に、前記顧客に情報を通知する際の通知方法を、前記電子通知から印刷物による通知である印刷通知に切り替える分析部と、前記分析部による判定の結果を出力する処理部と、を備え、前記分析部は、前記通知方法を前記印刷通知に切り替えた場合において、前記印刷通知に切り替えてから所定の期間が経過した後に前記通知方法を前記印刷通知から前記電子通知に戻す、通知方法切替判定装置である。
【0007】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、コンピュータが行う通知方法切替判定方法であって、分析部が、電子的な方法による通知である電子通知に対する顧客の開封率を、前記顧客に対して行った前記電子通知に対する反応の履歴に基づいて導出し、導出した開封率が閾値未満である場合に、前記顧客に情報を通知する際の通知方法を、前記電子通知から印刷物による通知である印刷通知に切り替え、処理部が、前記分析部による判定の結果を出力し、前記分析部は、前記通知方法を前記印刷通知に切り替えた場合において、前記印刷通知に切り替えてから所定の期間が経過した後に前記通知方法を前記印刷通知から前記電子通知に戻す、通知方法切替判定方法である。
【0008】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、コンピュータを、上記に記載の通知方法切替判定装置として動作させるためのプログラムであって、前記コンピュータを前記通知方法切替判定装置が備える各部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、この発明によれば、顧客に対してなされた電子的な方法による通知に対する反応に基づいて、通知の方法を電子的な通知から印刷物による通知に切り替える判定をすることができるために、通知の内容を顧客に認識されやすくすることができる。また、顧客ごとに、印刷物による通知か、電子的な方法による通知かを選択することができるために、全ての顧客に対して、印刷物を通知する方法に戻すよりも、通知に要するコストを抑えることが可能である。つまり、通知の内容を顧客に認識されやすくすることができ、且つ通知に要するコストを増大させないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態による通知方法切替判定装置10が適用される通知方法切替判定システム1の構成を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態による通知方法切替判定装置10の構成を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態による応答履歴情報記憶部103に記憶される情報の構成例を示す図である。
【
図4】第1の実施形態による通知方法切替判定装置10の動作を説明するフローチャートである。
【
図5】第2の実施形態による通知方法切替判定装置10Aの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態による通知方法切替判定装置10が適用される通知方法切替判定システム1の構成を示すブロック図である。通知方法切替判定システム1は、企業などからの要求に応じて、各種の情報を特定顧客に通知するシステムである。通知方法切替判定システム1は、例えば、通知方法切替判定装置10と、印刷装置20と、配信サーバ30と、印刷レイアウト生成装置40と、電子レイアウト生成装置50とを備える。
【0013】
通知方法切替判定装置10は、通知要求を取得する。ここでの通知要求は、企業などに設けられた端末装置等から通知方法切替判定装置10に送信される信号であって、当該企業から顧客に通知を行うように要求する信号である。通知要求には、少なくとも、通知の宛先を示す情報、例えば、顧客の氏名、住所、電話番号、電子メールのアドレス等を示す情報が含まれる。
また、通知要求に、通知の内容が含まれていてもよい。ここでの所定の内容の通知とは、企業が顧客に対して行う業務上の通知であり、例えば、請求の金額を通知したり、顧客が加入している保険が満期に達したことを通知したりするものである。
通知方法切替判定装置10は、通知要求に基づき、通知の対象となる顧客に応じて、通知する方法(以下、通知方法とも称する)を、電子通知から印刷通知に切り替えるか否かを判定する。
【0014】
本実施形態における通知方法は、印刷通知、及び電子通知である。印刷通知は、印刷物による通知であって、例えば、物理的な印刷物が顧客の住所に配送されることにより、通知する方法である。電子通知は、電子的な方法による通知であって、電子メール、又はメッセージングサービスを利用したメッセージが、顧客が利用する端末(デスクトップやタブレット、スマートフォン等)に配信されることにより通知する方法である。ここでのメッセージングサービスは、例えば、RCS(Rich Communication Services)、及びSMS(Short Message Service)や、MMS(Multimedia Messaging Service)などの機能を利用してメッセージ等のコンテンツを送受信する仕組みである。以下の説明においては、電子通知としてメッセージングサービスを利用した通知(以下、メッセージ通知と称する)が適用される場合を説明するが、これに限定されることはない。電子通知は、少なくとも電子的な方法による通知であればよく、電子通知に電子メールによる通知が含まれてよい。
【0015】
通知方法切替判定装置10は、電子通知から印刷通知に切り替えるか否かを判定した判定結果に応じて、印刷通知を指示する印刷通知指示データ、又は電子通知を指示する電子通知指示データを出力する。
印刷通知指示データは、印刷通知を指示する旨の情報に、通知する対象となる顧客の氏名や住所などの情報を付与したデータである。
電子通知指示データは、電子通知を指示する旨の情報に、通知する対象となる顧客の電子メールのアドレスや、メッセージ通知を行うための電話番号やアカウントなどの情報を付与したデータである。
通知方法切替判定装置10は、電子通知から印刷通知に切り替えると判定した場合、印刷通知指示データを印刷装置20に出力する。通知方法切替判定装置10は、通知方法を電子通知のまま印刷通知に切り替えないと判定した場合、電子通知指示データを配信サーバ30に出力する。
【0016】
印刷装置20は、通知方法切替判定装置10から取得した印刷通知指示データを用いて、印刷物による通知を行う。
印刷装置20は、印刷通知指示データを取得すると、印刷レイアウト生成装置40にレイアウトデータを要求し、印刷レイアウト生成装置40から印刷レイアウトデータを取得する。印刷レイアウトデータは、印刷通知にて通知する内容を示すデータであり、例えば、印刷物となる紙面を印刷するためのプリントデータである。プリントデータには、例えば、印刷する文言や画像、紙面上の配置などのレイアウトを示す情報等が含まれる。
印刷装置20は、印刷レイアウトデータを用いて紙面に印刷し、印刷物を生成する。印刷装置20は、生成した印刷物に封をする等し、封をした封筒に印刷通知指示データに示された宛先を付して顧客に配送するための処理を行い、配送業者等を利用して顧客宛てに印刷物を送付する。これにより、顧客に印刷物による通知が行われる。
【0017】
配信サーバ30は、通知方法切替判定装置10から取得した電子通知指示データを用いて、電子的な通知を行う。
配信サーバ30は、電子通知指示データを取得すると、電子レイアウト生成装置50にレイアウトデータを要求し、電子レイアウト生成装置50から電子レイアウトデータを取得する。電子レイアウトデータは、電子通知にて通知する内容を示すデータであり、例えば、電子メールやメッセージに示すコンテンツのデータである。コンテンツのデータには、タイトル、テキスト、画像、レイアウト、及びリンク先を示す情報等が含まれる。画像には静止画像だけでなく、動画像が含まれてもよい。
配信サーバ30は、取得した電子レイアウトデータを用いてメッセージの内容を生成し、生成したメッセージを、電子通知指示データに示された顧客が利用するメッセージIDに宛てて送信する。メッセージIDは、例えば、顧客の電話番号、又はメッセージ通知を行うアプリケーションに登録された顧客の識別番号である。
【0018】
印刷レイアウト生成装置40は、印刷装置20からの要求に応じて、印刷レイアウトデータを印刷装置20に送信する。
電子レイアウト生成装置50は、配信サーバ30からの要求に応じて、電子レイアウトデータを配信サーバ30に送信する。
【0019】
なお、上記では、印刷レイアウト生成装置40が印刷レイアウトデータを生成し、電子レイアウト生成装置50が電子レイアウトデータを生成する場合を例示して説明したが、これに限定されない。例えば、通知方法切替判定装置10が、印刷レイアウトデータ及び電子レイアウトデータの何れか又は双方を生成してもよい。
【0020】
図2は、第1の実施形態による通知方法切替判定装置10の構成を示すブロック図である。通知方法切替判定装置10は、例えば、通知要求取得部100と、分析部101と、処理部102と、応答履歴情報記憶部103とを備える。
【0021】
通知要求取得部100は、通知要求を取得し、取得した通知要求を分析部101に出力する。通知要求には、通知先に関する情報、及び通知の内容に関する情報が含まれる。通知先に関する情報は、通知先を示す情報であって、例えば、通知する対象となる顧客の氏名、住所、電話番号、電子メールアドレス、メッセージID等である。通知の内容に関する情報は、通知する内容や、通知の条件を示す情報である。通知の条件は、通知する際の条件を示す情報であり、例えば、通知すべき期間などである。例えば、請求の金額を知らせる通知である場合には、その請求の金額が引き落とされる日前に顧客に通知する必要があるため、通知すべき期間は、引き落し日の一週間前などに設定される。
【0022】
分析部101は、通知要求取得部100からの通知要求に基づいて、通知方法を電子通知から印刷通知に切り替えるか否かを判定する。分析部101は、通知対象である顧客になされた過去の電子通知に対する反応を分析し、分析の結果に応じて電子通知から印刷通知に切り替えるか否かを判定する。ここでの電子通知に対する反応とは、顧客が電子通知の内容を認識したことを示す反応であり、例えば、応答と開封の二つの反応がある。ここでの反応とは、応答と開封との双方であってよいし、応答又は開封のいずれかであってもよい。
【0023】
応答は、顧客が行った、電子通知の内容に応じた応答である。例えば、請求金額の通知が行われた場合に、その金額に応じたポイント還元の案内に、当該顧客から応募があった場合などに、顧客が通知に応答したと判定することが可能である。また、保険が満期に達したことを通知した場合に、満期後に当該保険の加入を継続する旨の連絡が保険会社にあった場合や、保険が満期に達したことを通知して、学資保険の案内をした場合に、学資保険の加入の申し出がなされた場合などに、顧客が通知に応答したと判定することができる。
【0024】
開封は、顧客が行った、電子通知の開封である。通知を開封したか否かは、電子的な通知に対して判定される。例えば、メッセージ通知の場合、メッセージ通知を行うアプリケーションにより、メッセージが開封されたか(既読か)否か、つまり、電子通知の開封なされたか否かが判定される。当該アプリケーションでは、例えば、通知先の顧客が利用する端末のアプリケーション上にメッセージが表示された場合に、当該メッセージが開封されたが管理サーバ等に送信されることによりメッセージが開封されたと判定される。
【0025】
分析部101は、通知要求に示される通知先に関する情報(例えば、顧客の氏名)に基づいて、応答履歴情報記憶部103に記憶された応答履歴情報(
図3参照)を参照する。応答履歴情報には、顧客ごとの電子通知に対する反応を示す情報、例えば、過去に顧客に対して行った電子通知に対する応答の有無などを示す情報が含まれる。
【0026】
分析部101は、例えば、顧客に対して過去に行った電子通知について、通知方法ごとの応答率、及び開封率を導出する。ここでの応答率は、電子通知を行った回数に対する、応答があった通知の数の割合である。また、開封率は、電子通知を行った回数に対する、開封された通知の数の割合である。
【0027】
分析部101は、電子通知について開封率を導出し、電子通知の開封率が所定の閾値未満であった場合、電子通知から印刷通知に切り替えると判定する。
【0028】
或いは、分析部101は、電子通知について応答率を導出し、応答率が所定の閾値未満であった場合、電子通知から印刷通知に切り替えると判定するようにしてもよい。これにより、電子通知を開封するが、内容について確認しない(つまり応答しない)顧客への通知を電子通知から印刷通知に切り替え、通知の内容が顧客に認識され易くなるようにすることが可能である。
【0029】
また、分析部101は、開封率や応答率を導出する際に、通知元の企業等が過去に行った電子通知を基にしてもよいし、通知元の企業等のみならず他の企業が過去に行った同一顧客に対する電子通知を用いてもよい。これにより、分析部101は、開封率や応答率を導出する際の母数を増やし、より信頼性のある開封率や応答率に基づいて的確な判定を行うことができる。
【0030】
他の企業が過去に行った電子通知を利用する場合、分析部101は、通知元の企業の等の企業属性に基づいて、他の企業が過去に行った電子通知を用いるか否かを判定するようにしてもよい。企業属性は、企業の属性を示すものであって、例えば、銀行、保険、証券、サービス等の業務内容に応じた企業の分類である。これにより、分析部101は、通知元の企業と、企業属性が同じ、又は似た企業が過去に行った電子通知を利用して、通知元の企業からの電子通知の開封率や応答率を、より確からしく導出することができる。
【0031】
ここで、実際の物として印刷物が届けられた場合、人間はその印刷物を手に取って内容を確認しようとする意志が働くのが一般的である。これに対して、メッセージ通知は、印刷物のような実態があるものではないために、端末装置などにメッセージ通知がなされた場合であっても人間はさほどその内容を確認しようとする意志が働かない。印刷通知の開封率は電子通知のようには計測することができないが、電子通知の開封率と比較して高いと考えられる。また、このような自らの意思で開封した印刷物については、内容を確認した上で応答すると考えられるため、ほとんどの顧客が、メッセージ通知の応答率よりも、印刷通知の応答率が高いと考えてよい。
このため、メッセージ通知の応答率が、印刷通知の応答率よりも高く(大きく)ない顧客に印刷通知を行うというアルゴリズムにすると、大多数の顧客に印刷物による通知を行うこととなってしまう。この場合、印刷物を配送するためのコスト(印刷代や配送料など)が過大となってしまう懸念がある。
【0032】
この対策として本実施形態では、通知方法を電子通知から印刷通知に切り替える判定の指標を、通知に割り当てられた予算に応じて変更するようにしてもよい。判定の指標は、開封率や応答率、或いは、他の企業が過去に行った電子通知を利用する場合における、企業属性の範囲等である。
【0033】
例えば、通知に割り当てられた予算が多い場合、印刷通知に切り替えると判定する電子通知の開封率の閾値を高く(大きく)設定する。この場合、電子通知から印刷通知に切り替える顧客の数は多くなる。一方、通知に割り当てられた予算が少ない場合には、当該しきい値を低く(小さく)設定して切り替える顧客の数を抑制する。これにより、割り当てられた予算の枠内において、開封率及び応答率をできる限り高めて最も顧客に確認されやすい通知を行うことが可能となる。
【0034】
処理部102は、分析部101による顧客に対する通知方法を切り替えるか否かを判定した結果(判定結果)に基づいて、印刷通知指示データ、又は電子通知指示データの何れか一方を作成する。処理部102は、印刷通知指示データを作成した場合、作成したデータを印刷装置20に出力する。処理部102は、電子通知指示データを作成した場合、作成したデータを配信サーバ30に出力する。ここで、印刷通知指示データは、分析部101による「判定の結果」の一例である。また、電子通知指示データは、分析部101による「判定の結果」の一例である。
【0035】
応答履歴情報記憶部103は、応答履歴情報を記憶する。応答履歴情報は、例えば、通知方法切替判定装置10の入力部(不図示)を介して、他の装置(通知に対する反応を集計するサーバ装置など)から入力される。
【0036】
図3は、第1の実施形態による応答履歴情報記憶部103に記憶される情報(応答履歴情報)の構成例を示す図である。応答履歴情報は、通知の対象となり得る顧客ごとに生成される。
【0037】
図3に示すように、応答履歴情報は、例えば、通知元、通知手段、応答率、開封率などの項目を備える。通知元には、通知元となる企業の名称などが示される。通知手段には、過去の所定期間に通知元から顧客になされた通知における通知方法、つまり、印刷通知、電子メール、メッセージの何れかが示される。応答率には、通知手段に示された通知方法における応答率が示される。開封率には、通知手段に示された通知方法における開封率が示される。この例では、顧客に対して、A社からメッセージ通知が5通なされ、その応答率は1/5、開封率は5/5であったことが示されている。また、B社からメッセージ通知が20通なされ、その応答率は10/20、開封率は18/20であったこと、B社から印刷物による通知がなされなかったこと、C社からメッセージ通知が15通なされ、応答率は0/15、開封率は3/15であったこと、及びD社からメッセージ通知が3通なされ、応答率は0/3、開封率は0/3であったことが示されている。
【0038】
図4は、第1の実施形態による通知方法切替判定装置10の動作を説明するフローチャートである。
まず、通知方法切替判定装置10は、通知要求取得部100により通知要求を取得する(ステップS10)。通知要求取得部100は、取得した要求通知の内容を分析部101に出力する。
【0039】
次に、通知方法切替判定装置10は、分析部101により、応答履歴情報を取得する(ステップS11)。分析部101は、通知要求取得部100から要求通知を取得し、取得した通知要求において通知対象として示された顧客の氏名などの情報に基づいて応答履歴情報記憶部103を参照し、通知対象である顧客の応答履歴情報を取得する。
次に、分析部101は、電子通知の開封率が所定の閾値未満であるか否かを判定する(ステップS12)。分析部101は、応答履歴情報を用いて、過去において顧客になされた通知の通知方法ごとの応答率、及び開封率を導出する。応答率、及び開封率は、応答履歴情報記憶部103に記憶されていてもよいし、応答履歴情報記憶部103に記憶されている情報を用いて分析部101が計算により求めてもよい。
そして、通知方法切替判定装置10は、分析部101により電子通知の開封率が所定の閾値未満でありと判定された場合、分析部101による判定の結果として、処理部102により印刷通知指示データを出力する(ステップS13)。
【0040】
一方、ステップS12において、分析部101により電子通知の開封率が所定の閾値未満ではないと判定された場合、処理部102は、電子通知指示データを出力する(ステップS14)。
【0041】
以上説明した通り、第1の実施形態の通知方法切替判定装置10は、分析部101と処理部102を備える。分析部101は、電子的な方法による通知である電子通知に対して当該顧客が行った反応に基づいて、前記顧客に情報を通知する際の通知方法を、前記電子通知から印刷物による通知である印刷通知に切り替えるか否か判定する。処理部102は、分析部101による判定の結果(印刷通知の指示を示す印刷通知指示データ、又は電子通知の指示を示す電子通知指示データの何れか一方)を出力する。
これにより、第1の実施形態の通知方法切替判定装置10は、顧客の電子通知に対する反応の傾向に応じて通知方法を電子通知から印刷通知に切り替えることができ、通知が顧客に確認されやすくすることができる。また、新規の通知先となった顧客に対して、まず電子通知を行い、その結果として電子通知に対する反応が乏しい傾向にあると判定された顧客についてのみ印刷通知に切り替えることができるために、全ての顧客に印刷物による通知を行う場合よりも通知に要するコストを抑制することが可能である。
【0042】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。本実施形態では、分析部101が、学習済みモデルを用いて、通知方法を電子通知から印刷通知に切り替えるか否かを判定する。以下の説明においては、上述した実施形態と異なる構成のみ説明し、上述した実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0043】
本実施形態では、通知方法切替判定装置10Aは、学習済みモデル記憶部104を備える。
【0044】
学習済みモデル記憶部104は、学習済みモデルを記憶する。学習済みモデルは、切替時における顧客の電子通知に対する反応と、切替後の顧客の印刷通知に対する反応との対応関係を、機械学習を実行することにより学習した機械学習モデルである。ここでの「切替」は、通知方法を電子通知から印刷通知に切り替えることを示す。つまり、「切替時」とは、通知方法を電子通知から印刷通知に切り替えたタイミングを示す。「切替後」とは、通知方法を電子通知から印刷通知に切り替えた後のことを示す。
【0045】
学習済みモデルに学習させる機械学習の技法としては、隠れマルコフモデル(HMM)、ディープラーニング、リカレントニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、サポートベクタマシン(SVM)、決定木学習、遺伝的プログラミング、などの一般的に用いられている技法のいずれが用いられてもよい。
【0046】
通知方法切替判定装置10Aは、まず、学習用のデータ(学習データ)を作成する。学習データは、切替時における顧客の電子通知に対する反応と、切替後の顧客の印刷通知に対する反応の実績を示すデータである。例えば、学習データは、切替を判定する電子通知の開封率と、切替を行った顧客における切替後の印刷通知の応答率の実績を示すデータである。
【0047】
この場合、例えば、通知方法切替判定装置10Aは、所定の期間ごと(例えば、1か月ごと)に、切替を判定する電子通知の開封率をランダムに変更して、切替をするか否かの判定を行う。また、通知方法切替判定装置10Aは、切替を行った顧客について、切替後の印刷通知の応答率を取得する。通知方法切替判定装置10Aは、上述した運用を継続し、切替を判定する電子通知の開封率と、切替後の印刷通知の応答率の実績を示すデータを取得する。なお、必ずしも通知方法切替判定装置10Aが学習データを作成する必要はなく、例えば、他のマーケティング機関等が同等の試行や調査を行った結果を用いて学習データに利用してもよい。
【0048】
分析部101は、学習データを用いて機械学習モデルに学習させることにより学習済みモデルを作成する。分析部101は、作成した学習済みモデルを学習済みモデル記憶部104に記憶させる。
【0049】
分析部101は、通知要求に示される通知先に関する情報(例えば、顧客の氏名)に基づいて、応答履歴情報を参照し、顧客の電子通知に対する反応を示す情報(例えば、開封率や応答率)を取得する。分析部101は、取得した情報を、未学習の入力情報として学習済みモデルに入力することにより得られる出力を基に、切替を行うか否かを判定する。
【0050】
学習済みモデルは、分析部101からの未学習の入力情報が入力されると、学習済みの学習データにおける学習済みの入力情報と、未学習の入力情報との類似度合いを算出する。ここでの学習済みの入力情報は、切替時の顧客の電子通知に対する反応の実績である。また、ここでの類似度合いは、例えば、未学習の入力情報の特徴量をベクトル表現により数値化した値と、学習済みの入力情報の特徴量をベクトル表現により数値化した値との、ベクトル空間における距離として算出される。ベクトル空間における距離は、互いのベクトル表現により数値化した値の相関量に比例し、例えば、ベクトルの内積等により算出される。
【0051】
学習済みモデルは、未学習の入力情報とのベクトル空間における距離が所定の閾値未満である、つまり類似している学習済みの入力情報を抽出する。学習済みモデルは、抽出した学習済みの入力情報に対応付けられた、学習済みの出力情報を、未学習の入力情報に対して推測される出力情報として出力する。学習済みの出力情報は、切替後の顧客の印刷通知に対する反応の実績である。推測される出力情報は、通知方法を電子通知から印刷通知に切り替えた場合に推測される、切替後の印刷通知の応答率である。
【0052】
分析部101は、例えば、学習済みモデルから出力される応答率が所定の閾値以上である場合、通知方法を電子通知から印刷通知に切り替えると判定する。学習済みモデルから出力される応答率は、これから通知を行おうとする顧客に対して、通知方法を電子通知から印刷通知に切り替えた場合に推測される、印刷通知の応答率である。一方、分析部101は、学習済みモデルから出力される応答率が所定の閾値未満である場合、通知方法を電子通知のまま印刷通知に切り替えないと判定する。これにより、印刷通知に切り替えた場合に、切替後の印刷通知の応答率が所定の閾値以上である、つまり顧客に通知の内容を認識させることができる見込みがあると推定されるケースについて、切替を行うことができる。一方、見込みがないと推定されるケースについては、電子通知のままとして、通知に要するコストの増大を抑制することが可能である。
【0053】
以上説明したように、第2の実施形態における通知方法切替判定装置10Aでは、分析部101Aが、学習済みモデルを用いて、通知方法を電子通知から印刷通知に切り替えるか否かを判定する。学習済みモデルは、切替時における顧客の電子通知に対する反応と、切替後の顧客の印刷通知に対する反応との対応関係を、機械学習を実行することにより学習した機械学習モデルである。
これにより第2の実施形態における通知方法切替判定装置10Aでは、学習済みモデルからの出力を閾値と比較するという簡単な処理で、印刷通知に切り替えた場合に応答率が高いと推定されるケースに対して切替を行うと判定することができ、通知を顧客に認識されやすくすることができる。
【0054】
なお、上述した少なくとも一つの実施形態では、電子通知から印刷通知に通知方法を切り替える場合の例を説明したが、分析部101は、印刷通知に通知方法を切り替えた後、再度電子通知に切り替えるか否かを判定するようにしてもよい。つまり、通知方法を切り替えて、印刷通知を行った顧客の反応の傾向がある程度判った時点で、再度、印刷通知を継続するか電子通知に戻すかを判定してもよい。これにより、印刷通知に対して反応の乏しい顧客に対する通知を電子通知に切り替えることができ、通知に要するコストを抑制することが可能である。
【0055】
例えば、分析部101は、通知方法を切り替えて印刷通知を行った顧客の応答率が所定の閾値未満である場合、通知方法を印刷通知から電子通知に戻すと判定する。或いは、分析部101は、通知方法を切り替えた後、所定の期間が経過している場合、通知方法を印刷通知から電子通知に戻すと判定するようにしてもよい。時間の経過に伴い、メッセージ通知を行うアプリケーションがバージョンアップする等して使い勝手がよくなるなど、顧客が電子通知に反応するようになる場合があり得る。このような場合、印刷通知から電子通知に戻すことにより、通知が顧客に認識されるように維持しつつ、通知に要するコストを抑制することが可能である。
【0056】
また、上述した少なくとも一つの実施形態では、応用率を導出する際に、その応答率の母数に、顧客に対して過去に行った全ての印刷通知(又は電子通知)の回数を用いる場合を例示して説明した。しかしながら、通知の内容によっては、応答する必要がないものがあり得る。例えば、請求金額の通知や保険の満了等の通知は、通知が目的であり応答の必要はない。このような通知を応答率の導出に用いると、導出した応答率が実態よりも小さく導出されてしまう可能性がある。
【0057】
このため、分析部101は、応答の必要がない通知を、応用率を導出する際の母数となる通知から除外するようにしてもよい。この場合、分析部101は、通知方法を選択するとともに、その通知の内容から、応答が必要な通知か否かを判定した判定結果を、応答履歴情報記憶部103などに記憶する。そして、分析部101は、応答率を導出する場合に、記憶した応答が必要な通知か否かを判定した判定結果に基づいて、過去に顧客に行った通知の各々について応答率の母数とするか否かを判定する。分析部101は、応答率の母数とすると判定した通知の回数に対する実際に応答があった通知の数を、応答率として導出する。
【0058】
上述した実施形態における通知方法切替判定装置10(10A)の全部又は一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0059】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1…通知方法切替判定システム、10…通知方法切替判定装置、100…通知要求取得部、101…分析部、102…処理部、103…応答履歴情報記憶部、20…印刷装置、30…配信サーバ