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特許7345259通知方法選択装置、通知方法選択方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】通知方法選択装置、通知方法選択方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0251 20230101AFI20230908BHJP
【FI】
G06Q30/0251
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019016412
(22)【出願日】2019-01-31
(65)【公開番号】P2020123290
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】TOPPANエッジ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】514326443
【氏名又は名称】livepass株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100206999
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 綾夏
(72)【発明者】
【氏名】長原 優
(72)【発明者】
【氏名】大野 博樹
(72)【発明者】
【氏名】近藤 正朝
(72)【発明者】
【氏名】本多 英明
(72)【発明者】
【氏名】馬場 修二
(72)【発明者】
【氏名】竹内 大佑
(72)【発明者】
【氏名】山下 悠也
(72)【発明者】
【氏名】中尾 直之
(72)【発明者】
【氏名】小西 哲平
【審査官】谷川 智秀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/199250(WO,A1)
【文献】特開2004-062621(JP,A)
【文献】特開2015-184733(JP,A)
【文献】特開2007-004781(JP,A)
【文献】特開2006-163911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客における、印刷物による通知である印刷通知に対する当該顧客の応答率、電子的な方法による通知である電子通知に対する当該顧客の開封率または応答率に基づいて、前記顧客に情報を通知する際の通知方法を、前記印刷通知又は前記電子通知から少なくとも一つを選択する分析部と、
前記分析部による選択の結果を出力する処理部と、
を備え、
前記分析部は、前記印刷通知に対する前記顧客の応答率を過去に前記顧客に対して行った前記印刷通知に対する応答の有無に基づいて導出し、前記電子通知における前記顧客の応答率を過去に前記顧客に対して行った前記電子通知に対する応答の有無に基づいて導出し、前記電子通知における前記顧客の開封率を過去に前記顧客に対して行った前記電子通知に対する開封の有無に基づいて導出し、前記電子通知の応答率が前記印刷通知の応答率より小さい場合において前記電子通知の開封率が閾値以上なら前記通知方法を前記電子通知とし、前記電子通知の開封率が閾値未満なら前記通知方法を前記印刷通知とする、
通知方法選択装置。
【請求項2】
前記分析部は、前記顧客に前記印刷通知を行う場合、過去に前記顧客に対して行った前記印刷通知が通知された日付と前記印刷通知に対する前記顧客の応答率との関係に基づいて前記顧客に前記印刷通知を行う通知日を決定すると共に、同一の顧客に前記印刷通知よる複数の通知を行う場合には各通知を行う日付の間隔を決定し、前記顧客に前記電子通知を行う場合、過去に前記顧客に対して行った前記電子通知が通知された日時と前記電子通知に対する前記顧客の開封率または応答率との関係に基づいて前記顧客に前記電子通知を行う通知日時を決定すると共に、同一の顧客に前記電子通知による複数の通知を行う場合には各通知を行う時間の間隔を決定し、
前記処理部は、前記分析部による決定の結果を出力する、
請求項1に記載の通知方法選択装置。
【請求項3】
前記分析部は、前記顧客に前記印刷通知を行う場合、過去に前記顧客に対して行った前記印刷通知における記載の表現と前記印刷通知に対する前記顧客の応答率との関係に基づいて前記顧客に通知する前記印刷通知における記載の表現を決定し、前記顧客に前記電子通知を通行う場合、過去に前記顧客に対して行った前記電子通知における記載の表現と前記電子通知に対する前記顧客の開封率または応答率との関係に基づいて、前記顧客に通知する前記電子通知における記載の表現を決定し、
前記処理部は、前記分析部による決定の結果を出力する、
請求項1に記載の通知方法選択装置。
【請求項4】
コンピュータが行う通知方法選択方法であって、
分析部が、顧客における、印刷物による通知である印刷通知に対する当該顧客の応答率、電子的な方法による通知である電子通知に対する当該顧客の開封率または応答率に基づいて、前記顧客に情報を通知する際の通知方法を、前記印刷通知又は前記電子通知から少なくとも一つを選択し、
処理部が、前記分析部による選択の結果を出力し、
前記分析部は、前記印刷通知に対する前記顧客の応答率を過去に前記顧客に対して行った前記印刷通知に対する応答の有無に基づいて導出し、前記電子通知における前記顧客の応答率を、過去に前記顧客に対して行った前記電子通知に対する応答の有無に基づいて導出し、前記電子通知における前記顧客の開封率を、過去に前記顧客に対して行った前記電子通知に対する開封の有無に基づいて導出し、前記電子通知の応答率が前記印刷通知の応答率より小さい場合、前記電子通知の開封率が閾値以上なら前記通知方法を前記電子通知とし、前記電子通知の開封率が閾値未満なら前記通知方法を前記印刷通知とする、
通知方法選択方法。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の通知方法選択装置として動作させるためのプログラムであって、前記コンピュータを前記通知方法選択装置が備える各部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通知方法選択装置、通知方法選択方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータおよびインターネット等の通信ネットワーク技術の発展に伴い、顧客に業務上の通知を行う方法が、印刷物を郵送して通知する方法から、電子的な通知の方法に変化してきた。電子的な通知とは通信ネットワークを介した電子メールやメッセージングサービスなどを利用した通知である。メッセージングサービスは、例えば、RCS(Rich Communication Services)、及びSMS(Short Message Service)や、SNS(Social Networking Service)などの機能を利用してメッセージ等のコンテンツを送受信する仕組みである。RCSは、携帯電話用のインスタントメッセンジャーを端末レベルで実現するための規格であり、相手と通信する時にユーザ名や電子メールアドレスではなく、電話番号を使用するものである。RCSにおいては、異なる通信キャリア間の相互接続を考慮した設計がなされている。また、RCSでは、送信することができる文字数の上限が従来のSMSやMMSよりも大きく設定されている。特許文献1では、顧客に通知を行う際、顧客がすぐに見ることのできる確率が高いアドレスに電子メールを送信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-241732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、多くの企業が電子メールなどの電子的な通知による同様なサービスの提供を行っており、顧客に対して多数の通知がなされる場合がある。多数の電子的な通知がなされると、それらの通知が顧客に開封されないまま放置されてしまう事態が発生し得る。この場合、通知の内容を顧客に認識させることができない。この対策として、印刷物を郵送して顧客に通知を行う方法に戻すことが考えられる。一般に、物理的な印刷物が届けられた場合、その内容を確認しようとする意志が働きやすいと考えられるためである。しかし、印刷物を郵送するには印刷代や配送料などのコストがかかるため、印刷物による通知を行う方法に戻すと、電子的な通知と比較して経費が増大してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、顧客に通知を行う際に、通知の内容を顧客に認識されやすくすることができ、且つ通知に要するコストを増大させないようにすることができる通知方法選択装置、通知方法選択方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、顧客における、印刷物による通知である印刷通知に対する当該顧客の応答率、電子的な方法による通知である電子通知に対する当該顧客の開封率または応答率に基づいて、前記顧客に情報を通知する際の通知方法を、前記印刷通知又は前記電子通知から少なくとも一つを選択する分析部と、前記分析部による選択の結果を出力する処理部と、を備え、前記分析部は、前記印刷通知に対する前記顧客の応答率を過去に前記顧客に対して行った前記印刷通知に対する応答の有無に基づいて導出し、前記電子通知における前記顧客の応答率を過去に前記顧客に対して行った前記電子通知に対する応答の有無に基づいて導出し、前記電子通知における前記顧客の開封率を過去に前記顧客に対して行った前記電子通知に対する開封の有無に基づいて導出し、前記電子通知の応答率が前記印刷通知の応答率より小さい場合において前記電子通知の開封率が閾値以上なら前記通知方法を前記電子通知とし、前記電子通知の開封率が閾値未満なら前記通知方法を前記印刷通知とする、通知方法選択装置である。
【0007】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、コンピュータが行う通知方法選択方法であって、分析部が、顧客における、印刷物による通知である印刷通知に対する当該顧客の応答率、電子的な方法による通知である電子通知に対する当該顧客の開封率または応答率に基づいて、前記顧客に情報を通知する際の通知方法を、前記印刷通知又は前記電子通知から少なくとも一つを選択し、処理部が、前記分析部による選択の結果を出力し、前記分析部は、前記印刷通知に対する前記顧客の応答率を過去に前記顧客に対して行った前記印刷通知に対する応答の有無に基づいて導出し、前記電子通知における前記顧客の応答率を、過去に前記顧客に対して行った前記電子通知に対する応答の有無に基づいて導出し、前記電子通知における前記顧客の開封率を、過去に前記顧客に対して行った前記電子通知に対する開封の有無に基づいて導出し、前記電子通知の応答率が前記印刷通知の応答率より小さい場合、前記電子通知の開封率が閾値以上なら前記通知方法を前記電子通知とし、前記電子通知の開封率が閾値未満なら前記通知方法を前記印刷通知とする、通知方法選択方法である。
【0008】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、コンピュータを、上記に記載の通知方法選択装置として動作させるためのプログラムであって、前記コンピュータを前記通知方法選択装置が備える各部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、この発明によれば、顧客になされた通知に対する反応に基づいて、通知の方法を選択することができるために、通知の内容を顧客に認識されやすくすることができる。また、顧客ごとに、印刷物による通知か、電子的な方法による通知かを選択することができるために、全ての顧客に対して、印刷物を通知する方法に戻すよりも、通知に要するコストを抑えることが可能である。つまり、通知の内容を顧客に認識されやすくすることができ、且つ通知に要するコストを増大させないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態による通知方法選択装置10が適用される通知方法選択システム1の構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態による通知方法選択装置10の構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態による応答履歴情報記憶部103に記憶される情報の構成例を示す図である。
図4】第1の実施形態による通知方法選択装置10の動作を説明するフローチャートである。
図5】第2の実施形態による応答履歴情報記憶部103Aに記憶される情報の構成例を示す図である。
図6】第3の実施形態による応答履歴情報記憶部103Bに記憶される情報の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態による通知方法選択装置10が適用される通知方法選択システム1の構成を示すブロック図である。通知方法選択システム1は、企業などからの要求に応じて、各種の情報を特定顧客に通知するシステムである。通知方法選択システム1は、例えば、通知方法選択装置10と、印刷装置20と、配信サーバ30と、印刷レイアウト生成装置40と、電子レイアウト生成装置50とを備える。
【0013】
通知方法選択装置10は、通知要求を取得する。ここでの通知要求は、企業などに設けられた端末装置等から通知方法選択装置10に送信される信号であって、当該企業から顧客に通知を行うように要求する信号である。通知要求には、少なくとも、通知の宛先を示す情報、例えば、顧客の氏名、住所、電話番号、電子メールのアドレス等を示す情報が含まれる。
また、通知要求に、通知の内容が含まれていてもよい。ここでの所定の内容の通知とは、企業が顧客に対して行う業務上の通知であり、例えば、請求の金額を通知したり、顧客が加入している保険が満期に達したことを通知したりするものである。
通知方法選択装置10は、通知要求に基づき、通知の対象となる顧客に応じて、通知する方法(以下、通知方法とも称する)を選択し、選択の結果を出力する。
【0014】
本実施形態における通知方法は、印刷通知、及び電子通知である。印刷通知は、印刷物による通知であって、例えば、物理的な印刷物が顧客の住所に配送されることにより、通知する方法である。電子通知は、電子的な方法による通知であって、電子メール、又はメッセージングサービスを利用したメッセージが、顧客が利用する端末(デスクトップやタブレット、スマートフォン等)に配信されることにより通知する方法である。ここでのメッセージングサービスは、例えば、RCS(Rich Communication Services)、及びMMS(Multimedia Messaging Service)や、SNS(Social Networking Service)などの機能を利用してメッセージ等のコンテンツを送受信する仕組みである。すなわち、電子通知には、電子メールによる通知と、メッセージングサービスを利用した通知(以下、メッセージ通知と称する)が含まれる。
【0015】
通知方法選択装置10は、通知方法を選択した選択結果に応じて、印刷通知を指示する印刷通知指示データ、又は電子通知を指示する電子通知指示データを出力する。
印刷通知指示データは、印刷通知を指示する旨の情報に、通知する対象となる顧客の氏名や住所などの情報を付与したデータである。
電子通知指示データは、電子通知を指示する旨の情報に、通知する対象となる顧客の電子メールのアドレスや、メッセージ通知を行うための電話番号やアカウントなどの情報を付与したデータである。
通知方法選択装置10は、通知方法を印刷通知とした場合、印刷通知指示データを印刷装置20に出力する。通知方法選択装置10は、通知方法を電子通知とした場合、電子通知指示データを配信サーバ30に出力する。通知方法選択装置10は、通知方法を電子通知とした場合、電子通知指示データに、電子メールによる通知か、メッセージングサービスを利用した通知(以下、メッセージ通知と称する)かを指定する情報を付与してもよい。
【0016】
印刷装置20は、通知方法選択装置10から取得した印刷通知指示データを用いて、印刷物による通知を行う。
印刷装置20は、印刷通知指示データを取得すると、印刷レイアウト生成装置40にレイアウトデータを要求し、印刷レイアウト生成装置40から印刷レイアウトデータを取得する。印刷レイアウトデータは、印刷通知にて通知する内容を示すデータであり、例えば、印刷物となる紙面を印刷するためのプリントデータである。プリントデータには、例えば、印刷する文言や画像、紙面上の配置などのレイアウトを示す情報等が含まれる。
印刷装置20は、印刷レイアウトデータを用いて紙面に印刷し、印刷物を生成する。印刷装置20は、生成した印刷物に封をする等し、封をした封筒に印刷通知指示データに示された宛先を付して顧客に配送するための処理を行い、配送業者等を利用して顧客宛てに印刷物を送付する。これにより、顧客に印刷物による通知が行われる。
【0017】
配信サーバ30は、通知方法選択装置10から取得した電子通知指示データを用いて、電子的な通知を行う。
配信サーバ30は、電子通知指示データを取得すると、電子レイアウト生成装置50にレイアウトデータを要求し、電子レイアウト生成装置50から電子レイアウトデータを取得する。電子レイアウトデータは、電子通知にて通知する内容を示すデータであり、例えば、電子メールやメッセージに示すコンテンツのデータである。コンテンツのデータには、タイトル、テキスト、画像、レイアウト、及びリンク先を示す情報等が含まれる。画像には静止画像だけでなく、動画像が含まれてもよい。
配信サーバ30は、電子レイアウトデータを用いて電子メールの内容を生成し、生成した電子メールを、電子通知指示データに示された顧客が利用するメールアドレスに宛てて送信する。配信サーバ30は、取得した電子レイアウトデータを用いてメッセージの内容を生成し、生成したメッセージを、電子通知指示データに示された顧客が利用するメッセージIDに宛てて送信する。メッセージIDは、例えば、顧客の電話番号、又はメッセージ通知を行うアプリケーションに登録された顧客の識別番号である。
【0018】
印刷レイアウト生成装置40は、印刷装置20からの要求に応じて、印刷レイアウトデータを印刷装置20に送信する。
電子レイアウト生成装置50は、配信サーバ30からの要求に応じて、電子レイアウトデータを配信サーバ30に送信する。
【0019】
なお、上記では、印刷レイアウト生成装置40が印刷レイアウトデータを生成し、電子レイアウト生成装置50が電子レイアウトデータを生成する場合を例示して説明したが、これに限定されない。例えば、通知方法選択装置10が、印刷レイアウトデータ及び電子レイアウトデータの何れか又は双方を生成してもよい。
【0020】
図2は、第1の実施形態による通知方法選択装置10の構成を示すブロック図である。通知方法選択装置10は、例えば、通知要求取得部100と、分析部101と、処理部102と、応答履歴情報記憶部103とを備える。
【0021】
通知要求取得部100は、通知要求を取得し、取得した通知要求を分析部101に出力する。通知要求には、通知先に関する情報、及び通知の内容に関する情報が含まれる。通知先に関する情報は、通知先を示す情報であって、例えば、通知する対象となる顧客の氏名、住所、電話番号、電子メールアドレス、メッセージID等である。通知の内容に関する情報は、通知する内容や、通知の条件を示す情報である。通知の条件は、通知する際の条件を示す情報であり、例えば、通知すべき期間などである。例えば、請求の金額を知らせる通知である場合には、その請求の金額が引き落とされる日前に顧客に通知する必要があるため、通知すべき期間は、引き落し日の一週間前などに設定される。
【0022】
分析部101は、通知要求取得部100からの通知要求に基づいて、通知方法を印刷通知、及び電子通知から選択する。分析部101は、通知対象である顧客になされた過去の通知に対する反応を分析し、分析の結果に応じて通知方法を選択する。ここでの通知に対する反応とは、顧客が通知の内容を認識したことを示す反応であり、例えば、応答と開封の二つの反応がある。ここでの反応とは、応答と開封との双方であってよいし、応答又は開封のいずれかであってもよい。
【0023】
応答は、顧客が行った、通知の内容に応じた応答である。例えば、請求金額の通知が行われた場合に、その金額に応じたポイント還元の案内に、当該顧客から応募があった場合などに、顧客が通知に応答したと判定することが可能である。また、保険が満期に達したことを通知した場合に、満期後に当該保険の加入を継続する旨の連絡が保険会社にあった場合や、保険が満期に達したことを通知して、学資保険の案内をした場合に、学資保険の加入の申し出がなされた場合などに、顧客が通知に応答したと判定することができる。
【0024】
開封は、顧客が行った、通知の開封である。通知を開封したか否かは、電子的な通知に対して判定される。例えば、メッセージ通知の場合、メッセージ通知を行うアプリケーションにより、メッセージが開封されたか(既読か)否か、つまり、電子通知の開封なされたか否かが判定される。当該アプリケーションでは、例えば、通知先の顧客が利用する端末のアプリケーション上にメッセージが表示された場合に、当該メッセージが開封されたが管理サーバ等に送信されることによりメッセージが開封されたと判定される。電子メールによる通知の場合、開封を確認するための画像(以下、開封確認画像と称する)やリンク先を示す情報が記載された電子メールが送信されるようにする。開封確認画像は、例えば、当該画像が表示されると、特定のURL(Uniform Resource Locator)にアクセスするように予めプログラムされている。この場合において、電子メールが開封され、開封確認画像が表示される、或いはリンク先がクリックされることにより特定のURLがアクセスされた場合に電子メールが開封されたとみなす。
【0025】
分析部101は、通知要求に示される通知先に関する情報(例えば、顧客の氏名)に基づいて、応答履歴情報記憶部103に記憶された応答履歴情報(図3参照)を参照する。応答履歴情報には、顧客ごとの通知に対する反応を示す情報、例えば、過去に顧客に対して行った通知に対する応答の有無などを示す情報が含まれる。
【0026】
分析部101は、例えば、顧客に対して過去に行った通知について、通知方法ごとの応答率、及び開封率を導出する。ここでの応答率は、通知を行った回数に対する、応答があった通知の数の割合である。また、開封率は、通知(電子的な通知方法による通知に限る)を行った回数に対する、開封された通知の数の割合である。
【0027】
分析部101は、印刷通知、電子通知(電子メールによる通知、及びメッセージ通知)の各々について応答率を導出し、最も応答率が高い通知方法を、顧客に対する通知方法として選択する。具体的に、分析部101は、顧客が電子メールによる通知の応答率が最も高い場合、顧客に対する通知方法として電子メールによる通知を選択する。分析部101は、顧客がメッセージ通知の応答率が、印刷通知の応答率よりも高い(大きい)場合に顧客に対する通知方法としてメッセージ通知を選択する。
【0028】
ここで、実際の物として印刷物が届けられた場合、人間はその印刷物を手に取って内容を確認しようとする意志が働くのが一般的である。これに対して、メッセージ通知は、印刷物のような実態があるものではないために、端末装置などにメッセージ通知がなされた場合であっても人間はさほどその内容を確認しようとする意志が働かない。印刷通知の開封率は電子通知のようには計測することができないが、電子通知の開封率と比較して高いと考えられる。また、このような自らの意思で開封した印刷物については、内容を確認した上で応答すると考えられるため、ほとんどの顧客が、メッセージ通知の応答率よりも、印刷通知の応答率が高いと考えてよい。
このため、メッセージ通知の応答率が、印刷通知の応答率よりも高く(大きく)ない顧客に印刷通知を行うというアルゴリズムにすると、大多数の顧客に印刷物による通知を行うこととなってしまう。この場合、印刷物を配送するためのコスト(印刷代や配送料など)が過大となってしまう懸念がある。
【0029】
この対策として本実施形態では、メッセージ通知の応答率が、印刷通知の応答率よりも高く(大きく)なくとも、メッセージ通知を開封している顧客については、メッセージ通知を行うようにする。そして、メッセージ通知の応答率が、印刷通知の応答率よりも高く(大きく)なく、且つ、メッセージ通知をほとんど開封すらしない顧客に対してのみ、印刷物による通知を行う。こうすることで、印刷物を配送するためのコストをできるだけ抑制する。
具体的には、分析部101は、メッセージ通知の応答率が、印刷通知の応答率よりも低い(小さい)場合であっても、例えば、メッセージ通知の開封率が所定の閾値以上であれば、顧客に対する通知方法としてメッセージ通知を選択するようにする。これにより、通知に要するコストを抑制することが可能となる。
【0030】
処理部102は、分析部101による顧客に対する通知方法を選択した結果(選択結果)に基づいて、印刷通知指示データ、又は電子通知指示データの何れか一方を作成する。処理部102は、印刷通知指示データを作成した場合、作成したデータを印刷装置20に出力する。処理部102は、電子通知指示データを作成した場合、作成したデータを配信サーバ30に出力する。ここで、印刷通知指示データは、分析部101による「選択の結果」の一例である。また、電子通知指示データは、分析部101による「選択の結果」の一例である。
【0031】
応答履歴情報記憶部103は、応答履歴情報を記憶する。応答履歴情報は、例えば、通知方法選択装置10の入力部(不図示)を介して、他の装置(通知に対する反応を集計するサーバ装置など)から入力される。
【0032】
図3は、第1の実施形態による応答履歴情報記憶部103に記憶される情報(応答履歴情報)の構成例を示す図である。応答履歴情報は、通知の対象となり得る顧客ごとに生成される。
【0033】
図3に示すように、応答履歴情報は、例えば、通知元、通知手段、応答、開封などの項目を備える。通知元には、通知元となる企業の名称などが示される。通知手段には、過去の所定期間に通知元から顧客になされた通知における通知方法、つまり、印刷通知、電子メール、メッセージの何れかが示される。応答率には、通知手段に示された通知方法における応答率が示される。開封率には、通知手段に示された通知方法における開封率が示される。この例では、顧客に対して、A社から印刷物による通知が5通なされ、そのうちの1通に応答があったことが示されている。また、A社から電子メールによる通知が20通なされ、その全てに応答がなかったこと、B社から印刷物による通知がなされなかったこと、B社からメッセージ通知が30通なされ、28通が開封され、そのうち5通に応答があったことが示されている。
【0034】
図4は、第1の実施形態による通知方法選択装置10の動作を説明するフローチャートである。
まず、通知方法選択装置10は、通知要求取得部100により通知要求を取得する(ステップS10)。通知要求取得部100は、取得した要求通知の内容を分析部101に出力する。
【0035】
次に、通知方法選択装置10は、分析部101により、応答履歴情報を取得する(ステップS11)。分析部101は、通知要求取得部100から要求通知を取得し、取得した通知要求において通知対象として示された顧客の氏名などの情報に基づいて応答履歴情報記憶部103を参照し、通知対象である顧客の応答履歴情報を取得する。
次に、分析部101は、電子メールの応答率が最も高いか否かを判定する(ステップS12)。分析部101は、応答履歴情報を用いて、過去において顧客になされた通知の通知方法ごとの応答率、及び開封率を導出する。応答率、及び開封率は、応答履歴情報記憶部103に記憶されていてもよいし、応答履歴情報記憶部103に記憶されている情報を用いて分析部101が計算により求めてもよい。分析部101は、導出した通知方法ごとの応答率を比較することにより、電子メールの応答率が最も高いか否かを判定する。
そして、通知方法選択装置10は、分析部101により電子メールの応答率が最も高いと判定された場合、分析部101による選択の結果として、処理部102により電子メールの通知に用いる、電子メール用の電子通知指示データを出力する(ステップS13)。
【0036】
一方、ステップS12において、分析部101により電子メールの応答率が最も高くはないと判定された場合、分析部101は、メッセージの応答率が印刷通知の応答率以上であるか否かを判定する(ステップS14)。
分析部101により、メッセージの応答率が印刷通知の応答率以上であると判定された場合、処理部102は、分析部101による選択の結果として、メッセージ通知に用いるメッセージ用の電子通知指示データを出力する(ステップS15)。
【0037】
一方、ステップS14において、分析部101によりメッセージの応答率が印刷通知の応答率以上ではないと判定された場合、分析部101は、メッセージの開封率が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS16)。
分析部101により、メッセージの開封率が所定の閾値以上であると判定された場合、処理部102は、分析部101による選択の結果として、印刷通知指示データを出力する(ステップS17)。
【0038】
以上説明した通り、第1の実施形態の通知方法選択装置10は、分析部101と処理部102を備える。分析部101は、顧客における、印刷通知又は電子通知に対して当該顧客が行った反応に基づいて、前記顧客に情報を通知する際の通知方法を、印刷通知又は電子通知から少なくとも一つを選択する。処理部102は、分析部101による選択の結果(印刷通知の指示を示す印刷通知指示データ、又は電子通知の指示を示す電子通知指示データの何れか一方)を出力する。
これにより、第1の実施形態の通知方法選択装置10は、顧客の通知に対する応答に基づいて、その顧客の傾向に応じた通知方法を選択でき、通知が顧客に確認されやすくすることができる。また、印刷通知、又は電子通知から選択することができるために、印刷通知、及び電子通知の双方について、共に応答する傾向にある顧客に対しては、電子通知を選択することができるために、通知が顧客に確認されやすくしつつ、且つ、全ての顧客に印刷物による通知を行う場合よりも通知に要するコストを抑制することが可能である。
【0039】
なお、上述した実施形態では、過去の所定期間に顧客になされた通知における応答率、及び開封率に基づいて、通知方法が選択される場合を例示して説明したが、これに限定されない。通知方法として、顧客が通知を確認しやすいと推測される方法が選択されればよく、例えば、顧客から通知に対する応答があったもののうち、最新のものに対応する通知方法が選択されるようにしてもよい。
【0040】
具体的に、分析部101は、応答履歴情報に基づいて、応答があった通知のうち、最新の通知に対応する通知方法を、顧客に対する通知方法として選択する。或いは、分析部101は、通知に対してなされた応答のうち、最近に応答がなされた通知に対応する通知方法を、顧客に対する通知方法として選択するようにしてもよい。これにより、メッセージ通知を行うアプリケーションがバージョンアップする等して、使い勝手がよくなり、通知を確認する対象が電子メールからメッセージ通知に変更された場合などにおいても、最新の傾向に応じて通知がより確認されやすくなるように通知方法を選択することが可能である。
【0041】
また、上述した実施形態では、メッセージ通知の応答率が、印刷通知の応答率よりも低い(小さい)場合、メッセージ通知の開封率が所定の閾値以上であれば、顧客に対する通知方法としてメッセージ通知を選択する場合を説明した。この場合における所定の閾値は、固定された値である必要はなく、状況に応じて変更されてよい。
例えば、割り当てられた予算が多い場合には、多く経費を印刷通知のために使うことができる。この場合、所定の閾値を高く(大きく)設定し、顧客に対する通知方法として印刷通知が選択されやすくする。一方、割り当てられた予算が少ない場合には、所定の閾値を低く(小さく)設定し、顧客に対する通知方法として印刷通知が選択され難くする。これにより、割り当てられた予算の枠内において、最も顧客に確認されやすい通知を行うことが可能となる。
【0042】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。本実施形態では、分析部101が、通知の内容が確認されやすくなるように、通知を行う日時、及び複数の通知を行う場合における各通知の間隔などを決定する。
【0043】
ここでの通知を行う日時とは、印刷通知において通知が行われた日付、電子通知において通知が行われた日付と時間である。また、通知の間隔とは、複数の印刷通知を行う際における送付日の間隔、或いは、複数の電子通知を行う際における配信時間の間隔である。
以下の説明においては、上述した実施形態と相違する事項について説明し、上述した実施形態と同等な事項については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0044】
本実施形態では、例えば、通知の内容が確認されやすくなるような日付や時間帯に通知を行い、同一の顧客に対して、同一の通知方法を用いた複数の通知を行う場合には、その通知の順序や通知の間隔を指定する。
【0045】
例えば、平日の昼過ぎにメッセージ通知を行うと開封(既読)になりやすい傾向にある顧客には、その時間帯にメッセージ通知を送信するようにし、通知する予定のメッセージ通知が複数ある場合には、各メッセージ通知の送信間隔を10分あけるようにする。
或いは、1か月の間に3通の印刷通知を行う予定の顧客が、毎月の上旬に行った印刷通知に対して応答しやすい傾向にある場合には、その月の上旬に、3日の間隔をあけて順次印刷通知を行うようにする。これにより、顧客が確認しやすい日時や時間帯に通知を行いつつ、その時間帯に複数の通知を行う場合には、通知が集中し過ぎないようにして、何れの通知も顧客に確認されやすくすることが可能である。
【0046】
本実施形態では、通知方法選択装置10Aは、分析部101Aと、処理部102Aと、応答履歴情報記憶部103Aとを備える。
【0047】
分析部101Aは、同一の顧客に対する複数の要求通知を取得し、要求通知の各々における通知方法を、上述した第1の実施形態に記載したものと同様な方法を用いて、選択する。複数の要求通知は、互いに異なる複数の企業から当該同一の顧客に通知するものであってもよいし、一つの企業から当該同一の顧客に通知するものであってもよい。
【0048】
また、分析部101Aは、応答履歴情報記憶部103Aに記憶された応答履歴情報(図5参照)を参照し、顧客に対して過去に行った電子通知について、開封率が高い傾向にある曜日や時間帯を判定する。本実施形態の応答履歴情報は、顧客になされた過去の通知ごとの通知日時を示す情報を含む。
【0049】
分析部101Aは、例えば、所定の期間に顧客に通知された全ての電子通知を、通知された曜日や時間帯ごとに分類する。曜日は、月曜日から日曜日までの7つの分類であってもよいし、平日と休日のような顧客のライフスタイルに応じた分類であってもよい。時間帯は、所定の時間(例えば一時間)ごとに区分された時間帯であってもよいし、早朝、昼間、昼過ぎ、夜間など大まかな時間帯で区分されたものであってもよい。
【0050】
そして、分析部101Aは、分類した曜日ごと、或いは時間帯ごとに、その間に通知された電子通知の開封率を導出する。分析部101Aは、導出した曜日ごと、或いは時間帯ごとの開封率を比較して開封率が高い傾向にある曜日や時間帯を判定する。
【0051】
分析部101Aは、通知方法として電子通知を選択した通知について、開封率が高い傾向にある曜日や時間帯(例えば、平日の昼過ぎ等)とを対応付けた情報を処理部102Aに出力する。その際、分析部101Aは、同一の顧客に対して電子通知を選択した通知が複数ある場合には、各通知の配信時間の間隔(例えば、10分間ごと)を処理部102Aに出力する。
【0052】
或いは、分析部101Aは、通知方法として印刷通知を選択した通知について、通知の内容と応答率が高い傾向にある日付や期間(例えば月の上旬等)とを対応付けた情報を処理部102Aに出力する。その際、分析部101Aは、同一の顧客に対して印刷通知を選択した通知が複数ある場合には、各通知の送付日の間隔(例えば、3日おき)を処理部102Aに出力する。
【0053】
処理部102Aは、分析部101Aにより印刷通知が選択された場合、送付日を指定する情報や、同一顧客宛てに複数の印刷通知がある場合には、他の印刷通知の送付日との間隔を指示する情報を付与した印刷通知指示データを、印刷装置20に出力する。ここで、送付日を指定する情報や、他の印刷通知の送付日との間隔を指示する情報は、分析部101Aによる「決定の結果」の一例である。
処理部102Aは、分析部101Aにより電子通知が選択された場合、送信時間を指定する情報や、同一顧客宛てに複数の印刷通知がある場合には、他の電子通知の送信時間との間隔を指示する情報を付与した電子通知指示データを、配信サーバ30に出力する。ここで、配信時間を指定する情報や、他の電子通知の配信時間との間隔を指示する情報は、分析部101Aによる「決定の結果」の一例である。
【0054】
応答履歴情報記憶部103Aは、応答履歴情報として、顧客になされた過去の通知ごとの通知日時を示す情報を記憶する。
【0055】
図5は、第2の実施形態による応答履歴情報記憶部103Aに記憶される情報(応答履歴情報)の構成例を示す図である。
図5に示すように、応答履歴情報は、例えば、通知元、通知手段、通知日時、応答の有無、開封の有無などの項目を備える。通知元、通知手段については、上述した第1の実施形態における応答履歴情報と同様であるため、説明を省略する。
通知日時には、通知がなされた日時が示される。例えば、印刷通知においては通知が行われた日付、電子通知においては通知が行われた日付と時間とが、通知日時として示される。応答の有無は通知に対する顧客からの応答の有無が示される。開封の有無は電子通知に対する開封の有無が示される。
この例では、顧客に対して、A社から印刷物による通知がXX/XXの日付になされ、この通知に対して顧客からの応答があったことが示されている。また、A社から電子メールによる通知がXX/XXの日付の12:00の時間になされ、この通知は開封されたが、顧客からの応答がなかったことが示されている。また、B社から印刷物による通知がXX/XXの日付になされ、この通知に対する顧客からの応答がなかったこと、B社からメッセージ通知がXX/XXの日付の18:00の時間になされ、この通知は開封され、顧客からの応答があったことが示されている。
【0056】
印刷装置20は、送付日を指定する情報を付与した印刷通知指示データを取得すると、配送業者に送付日を指示するなどして、指定された送付日に、印刷物が送付されるようにする。
配信サーバ30は、送信時間を指定する情報を付与した電子通知指示データを取得すると、配信日時を指定する電子メール、又はメッセージを作成して指定された送信時間に電子通知なされるようにする。
【0057】
以上説明したように、第2の実施形態における通知方法選択装置10Aでは、分析部101Aにより、顧客における、印刷通知又は電子通知が通知された日時と、当該通知に対する反応の有無との関係に基づいて、顧客に情報を通知する通知日時を決定すると共に、同一の顧客に対して同一の通知方法を選択した通知が複数ある場合には、各通知を行う時間的な間隔を決定する。処理部102は、分析部101による決定の結果を出力する。
これにより、第2の実施形態における通知方法選択装置10Aでは、顧客が確認しやすい日時や時間帯に通知を行いつつ、その時間帯に複数の通知を行う場合には、通知が集中し過ぎないようにして、何れの通知も顧客に、より確認されやすくすることが可能である。
【0058】
なお、上述した第2の実施形態において、複数の通知がなされる場合における通知の順序が決定されてもよい。通知の順序が適切に決定されることにより、何れの通知も認識されやすくすることができる。
通知の順序は、例えば、顧客に対する過去の通知における反応に基づいて決定される。具体的に、分析部101Aは、通知元や通知の内容ごとに、応答率や開封率を導出する。通知の内容は、例えば、請求の金額の通知や、保険の満了の通知などである。通知の内容に、キャンペーンの案内や、学資保険の案内などの付加情報の有無が含まれていてもよい。
【0059】
分析部101Aは、導出した通知元や通知の内容ごとの応答率を比較して、応答率が高い傾向にある通知元、或いは応答率が高い傾向にある通知の内容を判定する。また、分析部101Aは、導出した通知元や通知の内容ごとの開封率を比較して、開封率が高い傾向にある通知元、或いは開封率が高い傾向にある通知の内容を判定する。
【0060】
そして、分析部101Aは、判定した結果を用いて、複数の通知における通知の順序を決定する。例えば、分析部101Aは、複数の通知における各々の通知元に、応答率が高い傾向にある通知元が含まれている場合、当該通知を最初(或いは最後)に行うと決定する。或いは、複数の通知における各々の通知の内容に、応答率が高い傾向にある内容が含まれている場合、当該通知を最初(或いは最後)に行うと決定する。該通知を最初、或いは最後の何れにするかは、顧客の傾向に応じて任意に決定されてよい。
【0061】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。本実施形態では、過去に顧客に対してなされた通知の表現と、その通知に対する顧客の反応との関係に基づいて、通知の表現を選択する。
【0062】
ここでの通知の表現とは、通知においてなされた表現であって、例えば、通知に記載した文字のフォント、フォントサイズ、色、太字や下線の有無、情報量、静止画像や動画像の有無などである。
【0063】
本実施形態では、例えば、顧客にとって通知の内容が確認しやすくなる表現を用いた通知を行う。
例えば、大きな文字を用いた表記により紙一枚にまとまった印刷物に応答しやすい傾向にある顧客には、大きな文字を用いた表記で紙一枚にまとめた印刷物による通知を送付するようする。或いは、動画像を用いたメッセージ通知に応答しやすい傾向にある顧客には、動画像を用いた表現によるメッセージ通知を送信するようする。これにより、顧客が確認しやすい文字の大きさや動画像などの表現を用いた通知を行い、通知の内容が顧客に確認されやすくすることが可能である。
【0064】
本実施形態では、通知方法選択装置10Bは、分析部101Bと、処理部102Bと、応答履歴情報記憶部103Bとを備える。
【0065】
分析部101Bは、応答履歴情報記憶部103Bに記憶された応答履歴情報(図6参照)を参照し、顧客に対して過去に行った印刷通知及び電子通知について、応答率又は開封率が高い傾向にある表現を判定する。本実施形態の応答履歴情報は、顧客になされた過去の通知ごとの通知の表現を示す情報を含む。
【0066】
分析部101Bは、例えば、所定の期間に顧客に通知された全ての通知を、通知された表現ごとに分類する。
そして、分析部101Bは、分類した表現ごとに、通知の応答率や開封率を導出する。分析部101Bは、導出した表現ごとの応答率を比較して応答率が高い傾向にある表現を判定する。或いは、分析部101Bは、導出した表現ごとの開封率を比較して開封率が高い傾向にある表現を判定する。
【0067】
分析部101Bは、通知方法と、応答率又は開封率が高い傾向にある通知の表現とを対応付けた情報を処理部102Bに出力する。
【0068】
処理部102Bは、分析部101Bにより印刷通知が選択された場合、分析部101Bにより決定された内容に応じた表現を示す情報(以下、表現情報ともいう)を付与した印刷通知指示データを印刷装置20に出力する。
処理部102Bは、分析部101Bにより電子通知が選択された場合、分析部101Bにより決定された内容に応じた表現情報を付与した電子通知指示データを配信サーバ30に出力する。
ここで、内容に応じた表現情報は、分析部101Bによる「決定の結果」の一例である。なお、印刷通知における表現情報と、電子通知における表現情報とは、同じ内容であってもよいし、互いに異なる内容であってもよい。
【0069】
応答履歴情報記憶部103Bは、応答履歴情報として、顧客になされた過去の通知ごとの通知の表現を示す情報を記憶する。
【0070】
図6は、第3の実施形態による応答履歴情報記憶部103Bに記憶される情報(応答履歴情報)の構成例を示す図である。
図6に示すように、応答履歴情報は、例えば、通知元、通知手段、通知表現、応答の有無、開封の有無などの項目を備える。通知元、通知手段については、上述した第1の実施形態における応答履歴情報と同様であるため、応答の有無、開封の有無については、上述した第2の実施形態における応答履歴情報と同様であるため、説明を省略する。
通知表現には、通知に記載した表現が示される。例えば、通知に記載した文字の大きさや太さ、情報量、静止画像や動画像の有無などが通知表現として示される。応答の有無は通知に対する顧客からの応答の有無が示される。この例では、顧客に対して、A社からなされた印刷通知が太字で表現されていたこと、この通知に対して顧客からの応答があったことが示されている。また、A社からなされた電子メールによる通知には静止画像や動画像による表現がなかったこと、この通知は開封されたが、顧客からの応答もなかったことが示されている。また、B社からなされた印刷物による通知には情報量が多い表現がなされていたこと、この通知に対する顧客からの応答はなかったこと、B社からなされたメッセージ通知は動画像による表現がなされていたこと、この通知は開封され、顧客からの応答があったことが示されている。
【0071】
印刷装置20は、表現情報を付与した印刷通知指示データを取得すると、印刷レイアウト生成装置40に表現情報の内容に応じたレイアウトデータを要求する。
配信サーバ30は、表現情報を付与した電子通知指示データを取得すると、電子レイアウト生成装置50に表現情報の内容に応じたレイアウトデータを要求する。
【0072】
以上説明したように、第3の実施形態における通知方法選択装置10Bでは、分析部101Bにより、顧客における、過去の通知においてなされた表現と、当該通知に対する反応の有無との関係に基づいて、顧客に情報を通知する通知の表現を決定する。処理部102は、分析部101による決定の結果を出力する。
これにより、第3の実施形態における通知方法選択装置10Bでは、顧客が確認しやすい表現で通知を行うことができ、通知が顧客に、より確認されやすくすることが可能である。
【0073】
また、上述した少なくとも一つの実施形態において、顧客における通知に対する応答のみならず、当該応答により生じた副次的な情報に基づいて、通知方法、通知日時、通知の順序、及び通知の表現などが決定されてもよい。
応答により生じた副次的な情報(以下、応答副次情報と称する)とは、顧客が通知に対して応答を行うことにより得られた顧客に関する属性情報である。例えば、保険の継続を申し出た顧客と、保険の担当者との間でやり取りされた会話の内容から得られた、顧客の予定、家族構成や性格などが、応答副次情報である。
応答副次情報は、顧客と電話などでやり取りをした担当者からの報告等に基づいて生成され、その担当者が所属する企業に設けられた端末装置などから、通知方法選択装置10に送信され、応答履歴情報記憶部103などに記憶される。
【0074】
分析部101は、応答副次情報に基づいて通知方法を選択する。分析部101は、例えば、応答副次情報に顧客が近く引っ越しする予定であることが示されていた場合、印刷通知を選択する条件を充足する場合であっても、印刷通知を選択せず、電子メールによる通知、又はメッセージ通知を、その応答率などに基づいて選択する。これにより、引っ越しにより顧客の住所が変更される場合であっても、印刷通知から電子通知に切り替えて、顧客が通知の内容を、より確認しやすくすることができる。
【0075】
また、分析部101は、応答副次情報に基づいて通知日時を選択する。分析部101は、例えば、応答副次情報に顧客が明日(平日)の昼間に保険会社の窓口に出向く予定であることが示されていた場合、平日の昼すぎの通知が既読となりやすい顧客であっても、明日の昼すぎに電子通知をせず、別の平日の昼すぎなどに通知日時を決定する。これにより、顧客の予定に応じて通知日時を変更し、顧客が通知の内容を、より確認しやすくすることができる。
【0076】
また、分析部101は、同一の顧客に、同一の通知方法を用いた複数の通知を行う場合、応答副次情報に基づいて通知の順序を決定する。分析部101は、例えば、応答副次情報に、顧客には小学校に入学する前の子供がいることが示されていた場合、保険が満期に達したこと旨の通知、外貨預金の案内を通知する通知、学資保険の案内を通知する通知、の順に通知の順序を決定する。これにより、保険が満期に達した後の運用を案内する通知など、似たような内容の通知を複数行う場合であっても、各種の運用のそれぞれについて、顧客が通知に興味を持ち、その内容を確認しやすくすることができる。
【0077】
また、分析部101は、応答副次情報に基づいて通知の表現を決定する。分析部101は、例えば、応答副次情報に顧客が、保険について興味があるが基本的な知識はないことが示されていた場合、保険が案内を通知する際に、太字で情報量を抑えた表現で通知する。これにより、顧客の性格に応じた表現による通知を行い、顧客がその内容を、より確認しやすくすることができる。
【0078】
また、上述した少なくとも一つの実施形態では、応答率を導出する際に、その応答率の母数に、顧客に対して過去に行った全ての印刷通知(又は電子通知)の回数を用いる場合を例示して説明した。しかしながら、通知の内容によっては、応答する必要がないものがあり得る。例えば、請求金額の通知や保険の満了等の通知は、通知が目的であり応答の必要はない。このような通知を応答率の導出に用いると、導出した応答率が実態よりも小さく導出されてしまう可能性がある。
【0079】
このため、分析部101は、応答の必要がない通知を、応答率を導出する際の母数となる通知から除外するようにしてもよい。この場合、分析部101は、通知方法を選択するとともに、その通知の内容から、応答が必要な通知か否かを判定した判定結果を、応答履歴情報記憶部103などに記憶する。そして、分析部101は、応答率を導出する場合に、記憶した応答が必要な通知か否かを判定した判定結果に基づいて、過去に顧客に行った通知の各々について応答率の母数とするか否かを判定する。分析部101は、応答率の母数とすると判定した通知の回数に対する実際に応答があった通知の数を、応答率として導出する。
【0080】
上述した少なくとも一つの実施形態では、印刷通知に対する開封率を導出しない場合を例示して説明したが、メッセージ通知等を用いて、印刷通知の開封率を導出するようにしてもよい。この場合、例えば、印刷通知を行う際に、印刷通知をした顧客に「(印刷通知を)開封しましたか?」などのメッセージ通知を行う。そして、顧客からの当該メッセージ通知に対する返信結果を用いて、印刷通知が開封されたか否かを判定する。分析部101は、印刷通知が開封されたか否かを判定した判定結果を用いて、印刷通知の開封率を導出する。
【0081】
上述した少なくとも一つの実施形態では、印刷通知又は電子通知の何れか一方が選択される場合を例示して説明したが、印刷通知と電子通知の双方が選択されてもよい。例えば、分析部101は、印刷通知が選択された顧客に関して、最近引っ越しをする予定であることが分かっており、印刷通知により通知を行う場合の宛先となる住所が確定できず、印刷通知が顧客に配達されるか不明である場合などに、印刷通知と電子通知の双方を選択する。これにより、印刷通知が選択された顧客の住所が確定できない場合であっても、印刷通知と電子通知の双方により通知することで、通知の内容をより確実に顧客に確認させることが可能である。
【0082】
上述した実施形態における通知方法選択装置10(10A、10B)の全部又は一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0083】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0084】
1…通知方法選択システム、10…通知方法選択装置、100…通知要求取得部、101…分析部、102…処理部、103…応答履歴情報記憶部、20…印刷装置、30…配信サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6