(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】EME保護キャップシステムのための固定ワッシャー
(51)【国際特許分類】
F16B 37/14 20060101AFI20230908BHJP
F16B 43/00 20060101ALI20230908BHJP
F16B 35/00 20060101ALI20230908BHJP
F16J 15/14 20060101ALI20230908BHJP
B64C 1/00 20060101ALI20230908BHJP
B64D 45/02 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
F16B37/14 F
F16B43/00 Z
F16B35/00 D
F16J15/14 D
B64C1/00 A
B64D45/02
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019082563
(22)【出願日】2019-04-24
【審査請求日】2022-04-20
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】カウワン, ダニエル ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴンズ, バート
(72)【発明者】
【氏名】オッフィンガー, ショーン
(72)【発明者】
【氏名】マリガン, ブランドン
(72)【発明者】
【氏名】ウィークス, カール エー.
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-182578(JP,A)
【文献】特表2016-534934(JP,A)
【文献】実開平01-163207(JP,U)
【文献】登録実用新案第3048828(JP,U)
【文献】実開平01-131012(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0128983(US,A1)
【文献】特開2001-165138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 37/14
F16B 43/00
F16B 35/00
F16B 37/08
F16J 15/14
B64C 1/00
B64D 45/02
F16B 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体(14)を通って延在する金属製ファスナアセンブリ(11)を封入するためのキャップシステム(26A)であって、
前記金属製ファスナアセンブリ(11)のワッシャー(21)の周縁(36A)の周りに配置された、ネジ部(44A)を備える第1固定機構(34A)と、
キャップ部材(28A)とを備え、前記キャップ部材(28A)が、
前記ワッシャー(21)を受容するよう寸法設定されたキャビティ(32A)を画定する内表面(30A)であって、前記ワッシャー(21)の前記周縁(36A)の周りに配置された前記第1固定機構(34A)と係合するよう相補的に構成された第2固定機構(38A)を画定する内表面(30A)を有する、側壁(29A)を備え、
前記キャップ部材(28A)の前記側壁(29A)の端面(40A)が、開口(42A)であって、それにより前記ワッシャー(21)が前記キャビティ(32A)内へのアクセスを有するようになる、開口(42A)を画定
し、
前記キャップ部材(28A)の前記側壁(29A)の前記端面(40A)が、前記キャップ部材(28A)に沿って延在する溝(92)を画定し、
前記キャップ部材(28A)の前記側壁(29A)の第1部分(96)によって画定された第1開口(94)が、前記キャップ部材(28A)の前記側壁(29A)の前記第1部分(96)を通って延在し、前記第1開口(94)は前記溝(92)と連通しており、これにより、第1流路(98)が、密封剤を運ぶために、前記キャップ部材(28A)の前記側壁(29A)の前記第1部分(96)を通って前記溝(92)内へと延在し、
前記キャップ部材(28A)の前記側壁(29A)の第2部分(102)によって画定された第2開口(100)が、前記キャップ部材(28A)の前記側壁(29A)の前記第2部分(102)を通って延在し、前記第2開口(100)は、前記溝(92)と連通し、かつ前記キャップ部材(28A)の前記キャビティ(32A)と連通しており、これにより、第2流路(104)が、前記溝(92)から前記キャップ部材(28A)の前記側壁(29A)の前記第2開口(100)を通って前記キャビティ(32A)内へと延在し、
前記キャップ部材(28A)の前記側壁(29A)によって画定された第3開口(106)が、前記キャップ部材(28A)の前記側壁(29A)を通って延在し、前記第3開口(106)が、前記キャップ部材(28A)の前記キャビティ(32A)から前記キャップ部材(28A)の前記側壁(29A)の前記第3開口(106)を通る第3流路(108)を提供する、
キャップシステム(26A)。
【請求項2】
前記第2固定機構(38A)が、前記ワッシャー(21)の前記周縁(36A)の周りに配置された前記ネジ部(44A)に対応する、前記キャップ部材(28A)の前記内表面(30A)によって画定されたネジ部(50A)を備える、請求項1に記載のキャップシステム(26A)。
【請求項3】
前記第2固定機構(38A)の前記ネジ部(50A)が前記キャップ部材(28A)の前記内表面(30A)に沿って延在する、請求項2に記載のキャップシステム(26A)。
【請求項4】
前記金属製ファスナアセンブリ(11)が、前記金属製ファスナアセンブリ(11)のネジ式スタッドとネジ式ボルトのうちの一方(16)に対応するネジ部(24)を有するナット部材(22)を更に含み、前記ナット部材(22)は、前記金属製ファスナアセンブリ(11)の前記ネジ式スタッドとネジ式ボルトのうちの一方(16)に、前記構造体(14)に対して固定位置で配置され、前記ワッシャー(21)が前記ナット部材(22)と前記構造体(14)との間に配置され、かつ前記ワッシャー(21)の前記周縁(36A)の周りに配置された前記ネジ部(44A)が前記キャップ部材(28A)の前記内表面(30A)によって画定された前記ネジ部(50A)と係合している状態で、前記キャップ部材(28A)の前記側壁(29A)の前記端面(40A)は前記構造体(14)に接するように配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載のキャップシステム(26A)。
【請求項5】
前記金属製ファスナアセンブリ(11)は、前記ワッシャー(21)と重なる関係に配置されるネジ式ボルト部材のヘッド(53)を含み、これにより、前記ヘッド(53)が前記構造体(14)に対して固定関係にあり、前記ワッシャー(21)が前記ヘッド(53)と前記構造体(14)との間に配置され、かつ前記ワッシャー(21)の前記周縁(36A)の周りに配置された前記ネジ部(44A)が前記キャップ部材(28A)の前記内表面(30A)によって画定された前記ネジ部(50A)と係合している状態で、前記キャップ部材(28A)の前記側壁(29A)の前記端面(40A)は前記構造体(14)に接するように配置される、請求項
1から3のいずれか一項に記載のキャップシステム(26A)。
【請求項6】
構造体(14)を通って延在する金属製ファスナアセンブリ(11)を封入するためのキャップシステム(26B)であって、
前記金属製ファスナアセンブリ(11)のワッシャー(21’)の周縁(36B)の周りに配置された第1固定機構(34B)であって、前記ワッシャー(21’)の表面(49B)の平面を横切る方向に延在する第1タブ部材(45B)、及び、前記ワッシャー(21’)の前記周縁(36B)の周りで前記第1タブ部材(45B)から離間している、前記ワッシャー(21’)の前記表面(49B)の前記平面を横切る方向に延在する第2タブ部材(47B)を備える、第1固定機構(34B)と、
キャップ部材(28B)とを備え、前記キャップ部材(28B)が、
前記ワッシャー(21’)を受容するよう寸法設定されたキャビティ(32B)を画定する内表面(30B)であって、前記ワッシャー(21’)の前記周縁(36B)の周りに配置された前記第1固定機構(34B)と係合するよう相補的に構成された第2固定機構(38B)を画定する内表面(30B)を有する、側壁(29B)を備え、
前記キャップ部材(28B)の前記側壁(29B)の端面(40B)が、開口(42B)であって、それにより前記ワッシャー(21’)が前記キャビティ(32B)内へのアクセスを有するようになる、開口(42B)を画定
し、
前記第1タブ部材と前記第2タブ部材(45B、47B)は各々、複数の溝(51B)を備える、
キャップシステム(26B)。
【請求項7】
前記第2固定機構(38B)が、前記キャップ部材(28B)の前記内表面(30B)の少なくとも一部分に沿って配置された複数の歯状部(50B)を備える、請求項
6に記載のキャップシステム(26B)。
【請求項8】
前記複数の歯状部(50B)が、前記キャップ部材(28B)の端面(40B)から離れる方向に延在するように配置される、請求項
7に記載のキャップシステム(26B)。
【請求項9】
前記複数の歯状部(50B)が、複数の溝(51B)を構築している材料よりも可撓性が高い材料で構築される、請求項
7に記載のキャップシステム(26B)。
【請求項10】
前記金属製ファスナアセンブリ(11)は、前記金属製ファスナアセンブリ(11)のネジ式スタッドのネジ部と前記金属製ファスナアセンブリ(11)のネジ式ボルトのネジ部のうちの一方のネジ部に対応するネジ部(24)を有するナット部材(22)であって、前記金属製ファスナアセンブリ(11)の前記ネジ式スタッドと前記ネジ式ボルトのうちの一方(16)に、前記構造体(14)に対して固定位置で配置される、ナット部材(22)を更に含み、前記ワッシャー(21’)が前記ナット部材(22)と前記構造体(14)との間に配置され、かつ前記複数の溝(51B)と前記複数の歯状部(50B)の位置が合っている状態で、前記キャップ部材(28B)の前記端面(40B)は前記構造体(14)に接するように配置される、請求項
7から9のいずれか一項に記載のキャップシステム(26B)。
【請求項11】
前記金属製ファスナアセンブリ(11)は、前記ワッシャー(21’)と重なる関係に配置されるネジ式ボルト部材のヘッド(53)を更に含み、これにより、前記ヘッド(53)が前記構造体(14)に対して固定関係にあり、前記ワッシャー(21’)が前記ヘッド(53)と前記構造体(14)との間に配置され、かつ前記複数の溝(51B)と前記複数の歯状部(50B)の位置が合っている状態で、前記キャップ部材(28B)の前記端面(40B)が前記構造体(14)に接するように配置される、請求項
7から9のいずれか一項に記載のキャップシステム(26B)。
【請求項12】
前記キャップ部材(28B)の前記側壁(29B)が、前記第1タブ部材(45B)を受容するための第1スロット(55B)と、前記第2タブ部材(47B)を受容するための第2スロット(57B)とを画定する、請求項
6から11のいずれか一項に記載のキャップシステム(26B)。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
この開示は、電磁効果(EME)又は落雷事象が発生した際に、金属製ファスナアセンブリの所在地の付近に伝わる電流又は火花からこの金属製ファスナを絶縁するための、電気絶縁キャップアセンブリに関し、より詳細には、金属製ネジ式ファスナを封入する、電気絶縁型封じ込めキャップに関する。
【0002】
ナットと、このナットを超えて延在し、かつ一又は複数のワッシャーを含みうる、スタッドのネジ端部とを含む、金属製ファスナアセンブリの端部を覆うために、電気絶縁された密封剤及び封じ込めキャップが使用されてきた。密封剤キャップは、金属製ファスナアセンブリの端部を、(例えば、航空機内の燃料タンク又は高感度電子機器の付近における)金属製ファスナアセンブリの周囲の危険な状況から電気的に隔離し、封じ込めるように、電気絶縁する。金属製ファスナアセンブリの端部を電気的に隔離し、封じ込めることで、EME又は落雷の発生時に、望ましくない火花及び電流伝送がかかる重要な周囲状況に入り込むことが防止される。
【0003】
絶縁/封じ込めキャップは、密封材料(例えば熱硬化性プラスチックなど)から作られる。このキャップは更に、液体形態の密封材料で充填される。キャップは、液体密封剤で充填されてから、金属製ファスナアセンブリの端部を覆うように配置され、キャップと、金属製ファスナアセンブリの端部が延在し始める構造体表面との中に、金属製ファスナアセンブリの端部が封入される。時には、密封剤が、密封剤で過充填されたキャップから吐出されることもある。この密封剤の吐出は、一部の密封剤のキャップからの吐出が発生しうる(このことは、適正量の密封剤が既に使用されたことを示す)のに十分な量の密封剤が存在することによっても、生じうる。いずれの場合においても、吐出された密封剤は次いで、キャップの適切な密封を確実にするため、及び外観のために、キャップの周囲で押し延ばされる(smoothed out)必要がある。この押し延ばしプロセスは、手間も時間もかかるものである。
【0004】
キャップは更に、密封剤の硬化中、金属製ファスナアセンブリの端部が延在し始める構造体表面からのキャップの落ち込み(slumping)又は持ち上がり(lifting)の発生を防止するために、キャップ位置を維持するように、一定時間にわたり、定位置に保持されていることが必要である。キャップと構造体との接合部には、高品質標準が適用され、手直しが必要になることも多い。
【0005】
危険度の高いエリアにおいて(例えば、航空機の燃料タンク又は高感度電子機器の近位において)金属製ファスナアセンブリの端部を封入する、EME又は落雷事象からの保護キャップを、取り付けるための時間を低減することが必要である。加えて、金属製ファスナの端部にキャップを固定するための、信頼性の高い固定機構を有することも必要である。
【発明の概要】
【0006】
構造体を通って延在する金属製ファスナアセンブリを封入するためのキャップシステムは、金属製ファスナアセンブリのワッシャーの周縁の周りに配置された、ネジ部を含む第1固定機構を含む。キャップ部材は、ワッシャーを受容するよう寸法設定されたキャビティを画定する内表面であって、ワッシャーの周縁の周りに配置された第1固定機構と係合するよう相補的に構成された第2固定機構を画定する内表面を有する、側壁を含む。キャップシステムは、開口であって、それによりワッシャーがキャビティ内へのアクセスを有するようになる、開口を画定する、キャップ部材の側壁の端面を更に含む。
【0007】
構造体を通って延在する金属製ファスナアセンブリを封入するためのキャップシステムは、金属製ファスナアセンブリのワッシャーの周縁の周りに配置された第1固定機構であって、ワッシャーの表面の平面を横切る方向に延在する第1タブ部材と、ワッシャーの周縁の周りで第1タブ部材から離間している、ワッシャーの表面の平面を横切る方向に延在する第2タブ部材とを含む、第1固定機構を含む。キャップシステムはキャップ部材を更に含み、キャップ部材は、ワッシャーを受容するよう寸法設定されたキャビティを画定する内表面であって、ワッシャーの周縁の周りに配置された第1固定機構と係合するよう相補的に構成された第2固定機構を画定する内表面を有する、側壁を含む。キャップシステムは、開口であって、それによりワッシャーがキャビティ内へのアクセスを有するようになる、開口を画定する、キャップ部材の側壁の端面を更に含む。
【0008】
前述の特徴、機能、及び利点は、様々な例において個別に実現可能であるか、又は、更に別の例に組み込まれてよく、かかる更に別の例の更なる詳細事項は、以下の説明及び図面を参照することで理解されうる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】構造体から延在する金属製ファスナアセンブリの端部を封入するための、キャップシステムの第1例の分解斜視図である。
【
図2】組み立て後のキャップシステムの第1例の、
図1の線2-2に沿った断面図である。
【
図3】
図1のキャップシステムの第1例を用いた斜視断面図であり、金属製ファスナアセンブリの3つの異なる例示的な構成を利用している。
【
図4】
図1のキャップ部材の第1例の拡大底面斜視図であり、キャップ部材の端面の第1例を示している。
【
図5】構造体から延在する金属製ファスナアセンブリの端部を封入するための、キャップシステムの第2例の分解斜視図である。
【
図6】組み立て後のキャップシステムの第2例の、
図5の線6-6に沿った断面図である。
【
図7】
図5のキャップシステムの第2例を用いた斜視断面図であり、金属製ファスナアセンブリの3つの異なる例示的な構成を利用している。
【
図8】
図5のキャップ部材の拡大底面斜視図であり、キャップ部材の端面の第2例を示している。
【
図9】キャップ部材の概略的な拡大底面斜視図であり、キャップ部材の端面の第3例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本書に記載のキャップシステムは、この例では航空機の中に配置された構造体に固定され、かつかかる構造体から突出している、金属製ファスナアセンブリの端部を封入するために用いられる。キャップシステムはキャップ部材を有する。キャップ部材は、構造体から延在する金属製ファスナアセンブリの端部を覆うように配置され、それを封入するものであり、かつ、金属製ファスナアセンブリに固定される。キャップ部材の一端が構造体表面に当接して配置されることで、金属製ファスナアセンブリの端部は、キャップ部材及び構造体表面の境界の内部に封入される。金属製ファスナアセンブリの端部を封入するようキャップ部材を配置することで、更にキャップ部材は、金属製ファスナアセンブリに固定される。
【0011】
キャップは非導電性材料(ポリマー、熱硬化性材料、又はその他の非導電性材料など)で構築され、それに加えて、キャップ部材の外部にある金属製ファスナアセンブリの付近の周囲環境から金属製ファスナアセンブリの端部を更に電気的に隔離するために、非導電性の密封材料がキャップ部材に関連して使用されうる。電気伝達の金属製ファスナアセンブリからの隔離が必要とされる航空機内の近傍周囲環境とは、燃料タンクなどのエリア、高感度電子機器を包含するエリア、又は、隔離されていなければEME又は落雷事象(例えば航空機に起こるもの)からの伝送により悪影響を受けうるエリアを、含む。
【0012】
金属製ファスナアセンブリ(この例では2つの構成である)は、一端にナットを含むネジ式スタッドを含みうるか、又は、一端にヘッドを含むネジ式ボルトを含みうる。金属製ファスナアセンブリの第1構成を用いる場合、ネジ式スタッドが構造体(複数可)を通って延在し、構造体(複数可)の一方の金属製ファスナアセンブリが固定される側で、このネジ式スタッド上にナットが配置される。ネジ式スタッドのネジ部に対応するネジ部を有するナット部材が、構造体(複数可)の反対側の第2の側(本書に記載のキャップシステムが配置される側)で、ネジ式スタッドと係合する。少なくとも1つのワッシャーが、ナット部材と構造体(複数可)との間に配置され、キャップシステムは、少なくとも1つのワッシャーの、キャップシステムのキャップ部材と係合する部分を含み、キャップ部材は、ナット部材と、少なくとも1つのワッシャーと、構造体(複数可)から突出するネジ式スタッドとを封入する。
【0013】
金属製ファスナアセンブリの第2構成では、ネジ式ボルトが構造体(複数可)を通って延在すると共に、ネジ式ボルトのヘッドが、構造体(複数可)の一方の金属製ファスナアセンブリが固定される側に配置される。ネジ式ボルトのネジ部に対応するネジ部を有するナット部材が、構造体(複数可)の反対側の第2の側(本書に記載のキャップシステムが配置される側)で、ボルトと係合する。少なくとも1つのワッシャーが、ナット部材と構造体(複数可)との間に配置され、キャップシステムは、少なくとも1つのワッシャーの、キャップシステムのキャップ部材と係合する部分を含み、キャップ部材は、ナット部材と、少なくとも1つのワッシャーと、構造体(複数可)から突出するネジ式ボルトとを封入する。
【0014】
金属製ファスナアセンブリの第3構成では、ネジ式ボルトが構造体(複数可)を通って延在すると共に、ネジ式ボルトのヘッドが、構造体(複数可)の本書に記載のキャップシステムが配置される側に配置される。構造体(複数可)の反対側で、ネジ式ボルトに、対応するネジ部を有するナットが固定される。少なくとも1つのワッシャーが、ヘッドと構造体(複数可)との間に配置され、キャップシステムは、少なくとも1つのワッシャーの、キャップシステムのキャップ部材と係合する部分を含み、キャップ部材は、ヘッドと、少なくとも1つのワッシャーとを封入する。
【0015】
金属製ファスナアセンブリの第1及び第2の構成では、ネジ式スタッド上又はネジ式ボルト上のナット部材を構造体(複数可)に向かう方向に締め付けることで、ナット(図示せず)とネジ式スタッドに関連するナット部材との間に配置された構造体(複数可)に、又はヘッド(図示せず)とネジ式ボルトに関連するナット部材との間に配置された構造体(複数可)に、圧縮力が印加される。金属製ファスナアセンブリのネジ式スタッドとネジ式ボルトのうちの一方の上のナット部材により圧縮力が印加されることで、金属製ファスナアセンブリは、構造体(複数可)に対して固定位置となる。金属製ファスナアセンブリの第3構成では、構造体(複数可)に向かう方向にネジ式ボルトのヘッドを締め付けることで、ヘッドと、構造体(複数可)の他方の側に配置された、ネジ式ボルトに固定されたナットとの間に配置された構造体(複数可)に、圧縮力が印加される。この第3構成では、ネジ式のファスナアセンブリに圧縮力が印加されることで、金属製ファスナアセンブリは、構造体(複数可)に対して固定位置となる。
【0016】
金属製ファスナアセンブリが、構造体(複数可)に対して固定位置にあり、かつ、キャップシステムのキャップ部材が構造体(複数可)の一方の側から突出するように配置された金属製ファスナアセンブリの端部を封入している状態で、キャップシステムのキャップ部材は、それと同時に、キャップシステムの少なくとも1つのワッシャーの一部分に固定され、更に、金属製ファスナアセンブリに固定され、かつ構造体に接するように配置されることになる。
【0017】
図1を参照するに、この例では、構造体14の表面12から突出している、金属製ファスナアセンブリ11の端部10が示されている。構造体14は、概略的に図示されており、金属製ファスナアセンブリ11が固定される一又は複数の構成要素を含む。金属製ファスナアセンブリ11は、この例では、構造体14の下側に配置されたナット(図示せず)又はヘッド(図示せず)を有する、ネジ式のスタッド又はボルト16を含む。ネジ式スタッド又はネジ式ボルト16はネジ部18を有し、金属製ファスナアセンブリ11は、この例ではワッシャー20を含み、ワッシャー20は、ネジ式スタッド又はネジ式ボルト16を取り囲んで、かつ構造体14の表面12に当接して、配置される。金属製ファスナアセンブリ11は、ワッシャー20の上に配置されるワッシャー21を更に含む。金属製ファスナアセンブリ11は、内側にネジ部24が配置されているナット部材22も含み、ネジ部24は、構造体14を通って延在するネジ式スタッド又はネジ式ボルト16のネジ部18と係合するよう対応している。ナット部材22のネジ部24は、ネジ式スタッド又はネジ式ボルト16のネジ部18と係合し、下方に締め付けられることが可能であり、これにより、構造体14に対して圧縮力がかかる。構造体14が、金属製ファスナアセンブリ11の、ナット部材22と、ネジ式スタッド又はネジ式ボルト16のナット(図示せず)又はヘッド(図示せず)のそれぞれの間に配置されることで、金属製ファスナアセンブリ11は、構造体14に対する固定位置を得る。この例では、ワッシャー21が、ナット部材22とワッシャー20との間に配置される。
【0018】
図1では、構造体14を通って延在している金属製ファスナアセンブリ11を封入している、キャップシステムの第1例26Aが示されている。キャップシステム26Aはキャップ部材28Aを有する。前述したように、キャップ部材28Aは、非導電性材料(例えばポリマー、熱硬化性材料、又はその他の非導電性材料のうちの1つ)で構築される。キャップ部材28Aは、
図2から
図4で視認されるように、内表面30Aを有する側壁29Aを有する。キャップシステム26Aの第1固定機構34Aは、
図1で視認されるように、金属製ファスナアセンブリ11のワッシャー21の周縁36Aの周りに配置される。キャップ部材28Aは、ワッシャー21を受容するよう寸法設定されたキャビティ32Aを画定する内表面30Aであって、
図4で視認されるように、ワッシャー21の周縁36Aの周りに配置された第1固定機構34Aと係合するよう相補的に構成されている第2固定機構38Aを画定する内表面30Aを有する、側壁29Aを含む。キャップ部材28Aの側壁29Aの端面40Aは開口42Aを画定し、この例では、開口42Aにより、ワッシャー20、21と、構造体14から突出している、ネジ式スタッド又はネジ式ボルトのうちの一方16のネジ部分とを含む、ナット部材22とが、キャビティ32A内へのアクセスを有するようになる。
【0019】
図1で視認されるように、第1固定機構34Aは、ワッシャー21に配置されたネジ部44Aを含む。ナット部材22は、この例では、リッジ部材46Aを含み、リッジ部材46Aは、ワッシャー20及び21上にナット部材を締め付け、かつ構造体14に接するようにワッシャー20及び21を固定するために、標準型のソケットレンチを受容し、それと係合するよう構成される。
【0020】
第2固定機構38Aは、
図4で視認されるように、キャップ部材28Aの側壁29Aの内表面30Aによって画定されたネジ部50Aを含む。ネジ部50Aは、キャップ部材28Aの内表面30Aに沿って延在し、かつ、キャップ部材28Aの側壁29Aの端面40Aから離れる方向Dに延在する。以下で詳述するように、ナット部材22及びネジ式スタッド又はネジ式ボルト16が構造体14に対して固定位置にあり、かつネジ部50Aがワッシャー21のネジ部44Aと係合している状態で、キャップ部材28Aの側壁29Aの端面40Aは、構造体14に接するように配置されて金属製ファスナアセンブリ11の端部10を囲み、キャップ部材28Aは、金属製ファスナアセンブリ11のワッシャー21に固定される。ネジ部50Aが方向Dに延在していることにより、
図3に示しているように、端面40Aが表面12に当接することで、ネジ部50Aは、表面12に対して高さが増す方向に延在する。
図3に関連して図示し、説明するように、表面12に対するネジ部44Aの高さ位置が相違しうるのにしたがって、ネジ部50Aは、ワッシャー21のネジ部44Aに適応し、それと係合しうる。これにより、キャップ部材28Aが金属製ファスナアセンブリ11の端部10に固定されること、及び、端面40Aが端部10の表面12に当接して端部10を囲むことが、確実になる。
【0021】
図3では、金属製ファスナアセンブリ11の端部10の第1例52Aが、構造体14の表面12の上方に延在していることが視認され、金属製ファスナアセンブリ11の端部10を封入し、端部10に固定されているキャップシステムの第1例26Aが図示されている。第1例52Aにおいて、ナット部材22は、ネジ式スタッド又はネジ式ボルト16のネジ部18に固定され、かつ、表面12に当接しているワッシャー21に直接当接している。ワッシャー21のネジ部44Aはネジ部50Aと係合しており、ネジ部44Aは、表面12の上方に、第2例52A1におけるネジ部44Aよりも低い高さプロファイルで配置されている。
【0022】
図3の第2例52A1では、キャップシステムの第1例26Aは、この例では表面12の上方に延在するように配置されている金属製ファスナアセンブリ11の端部10を封入し、それに固定されている。第2例52A1では、ナット部材22は、ネジ式スタッド又はネジ式ボルト16のネジ部18に固定され、かつワッシャー21の上に配置され、これにより、ワッシャー21のネジ部44Aは、キャップ部材28Aのネジ部50Aと係合するように配置される。ネジ部44Aは、表面12の上方に、第1例52Aのワッシャー21のネジ部44Aよりも高い高さプロファイルで配置される。キャップ部材28Aのネジ部50Aは、
図4で視認されるように方向Dに延在しており、第1例52Aと第2例52A1の両方において、キャップ部材28Aの側壁29Aの端面40Aが構造体14の表面12に当接した状態で、ワッシャー21のネジ部44Aがネジ部50Aと係合することが可能になる。その結果として、第1例52A及び52A1で視認されるように、表面12に対するネジ部44Aの高さプロファイルの相違にもかかわらず、ワッシャー21のネジ部44Aとキャップ部材28Aのネジ部50Aとが係合することにより、キャップ部材28Aは、金属製ファスナアセンブリ11の端部10を封入し、かつ金属製ファスナアセンブリ11の端部10に固定される。
【0023】
ゆえに、取り付け者は、
図3の第1と第2の例52A及び52A1の、ネジ式スタッド又はネジ式ボルト16のネジ部18に対応するネジ部24を有するナット部材22を、構造体14に対して固定位置に締め付けた状態で、次いで、キャップ部材の第1例28Aを配置して、ワッシャー21のネジ部44Aとキャップ部材28Aのネジ部50Aとを係合させうる。取り付け者は次いで、ネジ部44Aと50Aとが係合した状態で、端面40Aが表面12に接する又は当接するように配置されるまで、キャップ部材28Aを回し、締め付けうる。こうして、キャップ部材28Aは、表面12及び金属製ファスナアセンブリ11に固定され、金属製ファスナアセンブリ11の端部10を封入する。上述したように、ネジ部50Aが方向Dに延在していることで、表面12の上方に異なる高さプロファイルで配置されるワッシャー21のネジ部44Aが、ネジ部50Aと係合し、かつネジ部50Aに高い信頼性を伴って固定されることが可能になり、これにより、キャップ部材28Aが金属製ファスナアセンブリ11の端部10に固定される。更に、端面40Aが表面12に当接していれば、キャップ部材28Aは、金属製ファスナアセンブリ11の端部10を確実に封入する。
【0024】
図3で視認されるように、第3例52A2では、金属製ファスナアセンブリ11はネジ式ボルト部材16のヘッド53を含み、ヘッド53は、ワッシャー21と重なる関係に配置される。ヘッド53は、ナット(図示せず)が構造体14の下側に配置されてネジ式ボルト16のネジ部18に固定されると、構造体14に対して固定関係に配置される。ワッシャー21はヘッド53と構造体14との間に配置されており、ワッシャー21の周縁36Aの周りに配置されたネジ部44Aがキャップ部材28Aの内表面30Aによって画定されたネジ部50Aと係合している状態で、
図4で視認されるキャップ部材28Aの端面40Aは、構造体14に接するように配置される。
【0025】
この第3例52A2では、取り付け者は、ネジ式ボルト16上に配置されたナット(図示せず)が構造体14のヘッド53とは反対の側に配置された状態で、ネジ式ボルト16のネジ部18上でヘッド53を構造体14に対して固定位置に締め付けた後に、キャップ部材の第1例28Aを配置して、ワッシャー21のネジ部44Aとキャップ部材28Aのネジ部50Aとを係合させうる。取り付け者は次いで、ネジ部44Aと50Aとが係合した状態で、端面40Aが表面12に当接するまで、キャップ部材28Aを回し、締め付けうる。キャップ部材28Aは次いで、表面12及び金属製ファスナアセンブリ11に固定され、金属製ファスナアセンブリ11の端部10を封入する。上述したように、ネジ部50Aが方向Dに延在していることで、例えば1つのワッシャーの追加に基づいて表面12の上方に異なる高さプロファイルで配置される、ワッシャー21のネジ部44Aが、ネジ部50Aと係合し、かつネジ部50Aに高い信頼性を伴って固定されることが可能になり、これにより、キャップ部材28Aが金属製ファスナアセンブリ11の端部10に固定される。更に、端面40Aが表面12に当接していれば、キャップ部材28Aは、金属製ファスナアセンブリ11の端部10を確実に封入する。
【0026】
図5を参照するに、構造体14を通って延在している金属製ファスナアセンブリ11を封入している、キャップシステムの第2例26Bが示されている。キャップシステム26Bはキャップ部材28Bを有する。前述したように、キャップ部材28Bは、非導電性材料(例えばポリマー、熱硬化性材料、又はその他の非導電性材料のうちの1つ)で構築され、ワッシャー21’の一部又は第1固定機構34Bを含む、金属で構築された金属製ファスナアセンブリ11よりも可撓性が高い材料のものである。キャップ部材28Bは、
図6から
図8で視認されるように、内表面30Bを有する側壁29Bを有する。キャップシステム26Bの第1固定機構34Bは、
図5で視認されるように、金属製ファスナアセンブリ11のワッシャー21の周縁36Bの周りに配置される。キャップ部材28Bは、ワッシャー21’を受容するよう寸法設定されたキャビティ32Bを画定する内表面30Bであって、ワッシャー21の周縁36Bの周りに配置された第1固定機構34Bと係合するよう相補的に構成されている、
図8で視認される第2固定機構38Bを画定する内表面30Aを有する、側壁29Bを含む。キャップ部材28Bの側壁29Bの端面40Bは開口42Bを画定し、この例では、開口42Bにより、
図5で視認されるように、ワッシャー20、21と、ナット部材22と、構造体14から突出している、ネジ式スタッド又はネジ式ボルトのうちの一方16のネジ部分とが、キャビティ32B内へのアクセスを有するようになる。
【0027】
第1固定機構34Bは、ワッシャー21’の表面49Bの平面Pを横切る方向D’に延在する第1タブ部材45Bと、ワッシャー21’の周縁36Bの周りで第1タブ部材45Bから離間している、ワッシャー21’の表面49Bの平面Pを横切る方向D’に延在する第2タブ部材47Bとを、含む。第1と第2のタブ部材45Bと47Bの各々は、複数の溝51Bを含む。ナット部材22をワッシャー20及び21’上で構造体14に接するように締め付けるために、ナット部材22は、標準型のソケットレンチを受容し、それと係合するように、標準型のソケットレンチに対応する複数のリッジ46Bを含む。第2固定機構38Bは、
図8で視認されるように、キャップ部材28Bの側壁29Bの内表面30Bによって画定された、複数の歯状部50Bを含む。複数の歯状部50Bは、キャップ部材28Bの側壁29Bの内表面30Bの少なくとも一部分に沿って延在する。複数の歯状部50Bは、キャップ部材28Bの側壁29Bの端面40Bから離れる方向Dに延在する。以下で詳述するように、ナット部材22及びネジ式スタッド又はネジ式ボルト16が構造体14との関係において固定位置にあり、かつ複数の歯状部50Bがワッシャー21の複数の溝51Bの少なくとも一部分と係合している状態で、端面40Bは、構造体14に接するように配置され、金属製ファスナアセンブリ11の端部10を囲む。複数の歯状部50Bは、必要に応じて、キャップ部材28Bの端面40Bから方向Dに離れるように延在しうる。複数の歯状部50Bは、構造体14の表面12の上方に、高さが増す方向に延在し(図示せず)、これにより、端面40Bが構造体14の表面12と当接関係にある状態で、複数の溝51Bの高さプロファイルの種々の位置に適応しうる。その結果として、複数の歯状部50Bは、必要に応じて、構造体14に対する溝51Bの種々の高さ位置において、ワッシャー21’の複数の溝51Bに適応し、それらと係合しうる。前述した複数の歯状部50Bは、複数の溝51Bを構築している材料よりも可撓性が高い材料で構築される。この事例では、取り付け者が下向きに又は構造体14に向けて押圧を行うにつれて、複数の歯状部50Bは、溝51Bと接触して曲がる。端面40Bが構造体14に接するように配置されて、複数の歯状部50Bと複数の溝51Bの位置が合うことで、複数の歯状部50Bは曲がって元の状態に戻り、複数の溝51Bと係合する。
【0028】
取り付け者が第1と第2のタブ部材45B及び47Bをキャップ部材28B内に挿入する際に、第1と第2のタブ部材45Bと47Bはそれぞれ、キャップ部材28Bによって画定される第1スロット55Bと第2スロット57B(
図8でそれぞれ視認される)と位置合わせされる。第1と第2のタブ部材45B及び47Bと第1と第2のスロット55B及び57Bとの、このそれぞれの位置合わせにより、取り付け者が複数の溝51Bと複数の歯状部50Bの位置を合わせることが容易になり、かつ、ワッシャー21’に対するキャップ部材28Bの回転運動への抵抗が付与される。
【0029】
図7では、金属製ファスナアセンブリ11の端部10の第1例52Bが、この例では構造体14の表面12の上方に延在していることが視認され、金属製ファスナアセンブリ11の端部10を封入し、それに固定されている、キャップシステムの第2例26Bが図示されている。第1例52Bでは、ナット部材22が、ネジ式スタッド又はネジ式ボルト16のネジ部18に固定され、かつワッシャー21’に直接当接しており、複数の溝51Bが複数の歯状部50Bと係合している状態で、端面40Bは構造体14に接するように配置されている。
【0030】
図7の第2例52B1では、キャップシステムの第2例26Bが、金属製ファスナアセンブリ11の端部10を封入し、それに固定されている。ワッシャー21’は第1例52Bに示しているのと同じ位置に配置されるが、ワッシャー21’とナット部材22との間にワッシャー23が配置されている。この例でも、複数の歯状部50Bは方向Dに延在している。しかし、複数の歯状部50Bは、この例では、端面40Bからどれほど遠くに延在するかという点で、制限されうる。第1及び第2の例52B及び52B1に関して、第1及び第2のタブ部材45B及び47Bの複数の溝51Bの高さは変化しないからである。第2例52B1では、ナット部材22は、ネジ式スタッド又はネジ式ボルト16のネジ部18に固定され、かつ、ナット部材22を持ち上げるワッシャー23上に配置されるが、ワッシャー21’は、構造体14上の、第1例52Bで視認されるのと同じ高さにあり続ける。金属製ファスナアセンブリ11は、ナット部材22を更に含む。ナット部材22は、金属製ファスナアセンブリのネジ式スタッドのネジ部と金属製ファスナアセンブリ11のネジ式ボルトのネジ部のうちの一方16のネジ部に対応するネジ部24を有し、かつ、金属製ファスナアセンブリ11のネジ式スタッドとネジ式ボルトのうちの一方16の上に、構造体14に対して固定位置で配置される。ワッシャー21’がナット部材22と構造体14との間に配置され、この例ではワッシャー23がナット部材22とワッシャー21’との間に配置され、かつ複数の溝51Bと複数の歯状部50Bの位置が合っている状態で、キャップ部材28Bの端面40Bは構造体14に接するように配置される。
【0031】
図7の第3例52B2では、ネジ式ボルト16のヘッド53がワッシャー21’上に配置される。金属製ファスナアセンブリ11のこの第3例では、ネジ式ボルト部材16のヘッド53がワッシャー21’と重なる関係に配置され、これにより、ヘッド53が構造体14に対して固定関係にあり、ワッシャー21’がヘッド53と構造体14との間に配置され、かつ複数の溝51Bと複数の歯状部50Bの位置が合っている状態で、キャップ部材28Bの端面40Bは構造体14に接するように配置される。
【0032】
キャップ部材28Bの取り付けにおいて、金属製ファスナアセンブリ11は、この例では、構造体14に対して固定関係になる。取り付け者は、金属製ファスナアセンブリ11の端部10を覆うようにキャップ部材28Bを配置し、端面40Bが構造体14に接するように配置され、かつ複数の溝51Bと複数の歯状部50Bとが位置合わせされ、係合されるまで、キャップ部材28を構造体14に向けて押圧する。その結果として、キャップ部材28Bは金属製ファスナアセンブリ11に固定され、金属製ファスナアセンブリ11の端部10は、封入され、航空機の電気的に高感度なエリアから電気的に隔離される。
【0033】
上述したキャップシステムのキャップ部材の取り付けにおいて、
図4、
図8、及び
図9で視認される端面40A、40B、及び40は、本書に記載のキャップ部材の種々の例に選択的に用いられうる。構成の3つの例は、以下で詳述する例60、70、及び90を含む。例えば、端面40A及び40Bに関しては、端面構成の3つの例60、70、又は90のいずれにも用いられうる。
【0034】
図4では、端面構成の第1例60が端面40Aとして示されている。キャップ部材28Aの側壁29Aが、キャップ部材28Aに沿って延在する溝92を画定する。キャップ部材28Aの側壁29Aの第1部分96によって画定された第1開口94が、溝92と連通するように、キャップ部材28Aの側壁29Aの第1部分96を通って延在する。第1流路98が、密封剤を運ぶために、キャップ部材28Aの側壁29Aの第1部分96を通って溝92内へと延在する。キャップ部材28Aの側壁29Aの第2部分102によって画定された第2開口100が、溝92と連通しかつ、キャップ部材28Aのキャビティ32Aと連通するように、キャップ部材28Aの側壁29Aの第2部分102を通って延在し、これにより、第2流路104は、溝92からキャップ部材28Aの側壁29Aの第2開口100を通ってキャビティ32A内へと延在する。取り付け者が溝92に密封剤を注入すると、密封剤は、溝92を通って流れ、第2開口100からキャビティ32A内に吐出される。密封剤は、引き続き、ナット部材22のリッジ部材46Aの間を通過して、この例では上方に、キャップ部材28Aの中へと流れる。キャップ部材28Aの側壁29Aによって画定された、
図1、
図2、及び
図4で視認される第3開口106が、
図4で視認されるように第3流路108を提供するように、キャップ部材28Aの側壁29Aを通って延在する。
【0035】
この第1例60では、取り付け者は、構造体14の表面12にキャップ部材28Aを固定してから、第1開口94に密封材料を注入し、キャップ部材28Aに沿った溝92内に密封剤を流す。溝92が密封剤で満たされるか、又はほぼ満たされると、密封剤は第2開口100から漏れ始める。この時点において、取り付け者は、まだ第1開口94に密封剤を注入している。キャビティ32Aが密封剤で満たされた時点で、第3開口106からの密封剤の吐出が始まる。この時点において、取り付け者は、キャップ部材28Aが密封剤で満たされていることを理解し、更なる密封剤の注入を停止する。密封剤が第3開口106から吐出されることで、取り付け者は、密封剤が溝72及びキャビティ32Aの中に配置されたという確証を得る。この確証は、取り付け者に、金属製ファスナアセンブリ11の端部10がキャップ部材28Aの中で電気的に更に隔離されたという、更なる保証を提供する。この第1の例示的な構成により、取り付け者は、余剰密封剤を表面12上に吐出させないようにすることが可能になり、手間も時間もかかる余剰密封剤の押し延ばしの必要性が低減する。
【0036】
図8に示している第2例70では、キャップ部材28Bの端面40Bは、連続した環状の平坦面62を形成しており、平坦面62は、
図6及び
図7で視認される平面構成の構造体14の表面12に当接することになる。
【0037】
図9では、端面構成の第3例90が端面40として示されている。キャップ部材28の側壁29が、キャップ部材28に沿って延在する溝110を画定している。キャップ部材28の側壁29の第1部分114によって画定された第1開口112が、キャップ部材28の側壁29の第1部分114を通って延在し、かつ、溝110と連通しており、これにより、第1流路116が、密封剤を第1開口112を通じて溝110内へと運ぶために、第1開口112を通って溝110内へと延在する。キャップ部材28の側壁29の第1部分114によって画定された第2開口118は、キャップ部材28の側壁29の第1部分114を通って延在し、キャップ部材28の周りで第1開口112から離間している。第2開口118は溝110と連通しており、これにより、第2流路120は、密封剤を運ぶために、溝110からキャップ部材28の第2開口118を通って延在する。
【0038】
この第3例90では、取り付け者は、構造体14の表面12にキャップ部材28を固定してから、第1開口112に密封材料を注入し、第2開口118から密封剤が漏れ始めるまで、キャップ部材28に沿った溝110内に密封剤を流す。この時点で、取り付け者は、密封剤が溝110の中に配置されたという確証を得る。この確証は、取り付け者に、金属製ファスナアセンブリ11の端部40がキャップ部材28の中で電気的に更に隔離されたという、更なる保証を提供する。この第3の例示的な構成90により、取り付け者は、余剰密封剤を表面12上に吐出させないようにすることが可能になり、手間も時間もかかる余剰密封剤の押し延ばしの必要性が低減する。
【0039】
更に、本開示は以下の条項による例を含む。
【0040】
条項1.構造体を通って延在する金属製ファスナアセンブリを封入するためのキャップシステムであって、
金属製ファスナアセンブリのワッシャーの周縁の周りに配置された、ネジ部を備える第1固定機構と、
キャップ部材とを備え、キャップ部材が、
ワッシャーを受容するよう寸法設定されたキャビティを画定する内表面であって、ワッシャーの周縁の周りに配置された第1固定機構と係合するよう相補的に構成された第2固定機構を画定する内表面を有する、側壁を備え、
キャップ部材の側壁の端面が、開口であって、それによりワッシャーがキャビティ内へのアクセスを有するようになる、開口を画定する、
キャップシステム。
【0041】
条項2.第2固定機構が、ワッシャーの周縁の周りに配置されたネジ部に対応する、キャップ部材の内表面によって画定されたネジ部を備える、条項1に記載のキャップシステム。
【0042】
条項3.ネジ部がキャップ部材の内表面に沿って延在する、条項2に記載のキャップシステム。
【0043】
条項4.ネジ部がキャップ部材の側壁の端面から離れる方向に延在する、条項3に記載のキャップシステム。
【0044】
条項5.金属製ファスナアセンブリが、金属製ファスナアセンブリのネジ式スタッドとネジ式ボルトのうちの一方に対応するネジ部を有するナット部材を更に含み、ナット部材は、金属製ファスナアセンブリのネジ式スタッドとネジ式ボルトのうちの一方に、構造体に対して固定位置で配置され、ワッシャーがナット部材と構造体との間に配置され、かつワッシャーの周縁の周りに配置されたネジ部がキャップ部材の内表面によって画定されたネジ部と係合している状態で、キャップ部材の側壁の端面は構造体に接するように配置される、条項4に記載のキャップシステム。
【0045】
条項6.金属製ファスナアセンブリが、ワッシャーと重なる関係に配置されるネジ式ボルト部材のヘッドを含み、これにより、ヘッドが構造体に対して固定関係にあり、ワッシャーがヘッドと構造体との間に配置され、かつワッシャーの周縁の周りに配置されたネジ部がキャップ部材の内表面によって画定されたネジ部と係合している状態で、キャップ部材の側壁の端面が構造体に接するように配置される、条項4に記載のキャップシステム。
【0046】
条項7.
キャップ部材の側壁の端面が、キャップ部材に沿って延在する溝を画定し、
キャップ部材の側壁の第1部分によって画定された第1開口が、キャップ部材の側壁の第1部分を通って延在し、第1開口は溝と連通しており、これにより、第1流路が、密封剤を運ぶために、キャップ部材の側壁の第1部分を通って溝内へと延在し、
キャップ部材の側壁の第2部分によって画定された第2開口が、キャップ部材の側壁の第2部分を通って延在し、第2開口は、溝と連通し、かつキャップ部材のキャビティと連通しており、これにより、第2流路が、溝からキャップ部材の側壁の第2開口を通ってキャビティ内へと延在し、
キャップ部材の側壁によって画定された第3開口が、キャップ部材の側壁を通って延在し、第3開口が、キャップ部材のキャビティからキャップ部材の側壁の第3開口を通る第3流路を提供する、条項1に記載のキャップシステム。
【0047】
条項8.
キャップ部材の側壁の端面が、キャップ部材に沿って延在する溝を画定し、
キャップ部材の側壁の第1部分によって画定された第4開口が、キャップ部材の側壁の第1部分を通って延在し、第4開口は溝と連通しており、これにより、第1流路が、密封剤を運ぶために、第4開口を通って溝内へと延在し、
キャップ部材の側壁の第1部分によって画定された第5開口は、キャップ部材の側壁の第1部分を通って延在し、かつ、キャップ部材の周りで第4開口から離間しており、第5開口は溝と連通しており、これにより、第2流路が、密封剤を運ぶために、溝からキャップ部材の第5開口を通って延在する、条項1に記載のキャップシステム。
【0048】
条項9.キャップ部材の側壁の端面が平坦面を含む、条項1に記載のキャップシステム。
【0049】
条項10.構造体を通って延在する金属製ファスナアセンブリを封入するためのキャップシステムであって、
金属製ファスナアセンブリのワッシャーの周縁の周りに配置された第1固定機構であって、ワッシャーの表面の平面を横切る方向に延在する第1タブ部材、及び、ワッシャーの周縁の周りで第1タブ部材から離間している、ワッシャーの表面の平面を横切る方向に延在する第2タブ部材を備える、第1固定機構と、
キャップ部材とを備え、キャップ部材が、
ワッシャーを受容するよう寸法設定されたキャビティを画定する内表面であって、ワッシャーの周縁の周りに配置された第1固定機構と係合するよう相補的に構成された第2固定機構を画定する内表面を有する、側壁を備え、
キャップ部材の側壁の端面が、開口であって、それによりワッシャーがキャビティ内へのアクセスを有するようになる、開口を画定する、
キャップシステム。
【0050】
条項11.第1タブ部材と第2タブ部材は各々、複数の溝を備える、条項10に記載のキャップシステム。
【0051】
条項12.第2固定機構が、キャップ部材の内表面の少なくとも一部分に沿って配置された複数の歯状部を備える、条項11に記載のキャップシステム。
【0052】
条項13.複数の歯状部が、キャップ部材の端面から離れる方向に延在するように配置される、条項12に記載のキャップシステム。
【0053】
条項14.複数の歯状部が、複数の溝を構築している材料よりも可撓性が高い材料で構築される、条項12に記載のキャップシステム。
【0054】
条項15.金属製ファスナアセンブリは、金属製ファスナアセンブリのネジ式スタッドのネジ部と金属製ファスナアセンブリのネジ式ボルトのネジ部のうちの一方のネジ部に対応するネジ部を有するナット部材であって、金属製ファスナアセンブリのネジ式スタッドとネジ式ボルトのうちの一方に、構造体に対して固定位置で配置される、ナット部材を更に含み、ワッシャーがナット部材と構造体との間に配置され、かつ複数の溝と複数の歯状部の位置が合っている状態で、キャップ部材の端面は構造体に接するように配置される、条項12に記載のキャップシステム。
【0055】
条項16.金属製ファスナアセンブリは、ワッシャーと重なる関係に配置されるネジ式ボルト部材のヘッドを更に含み、これにより、ヘッドが構造体に対して固定関係にあり、ワッシャーがヘッドと構造体との間に配置され、かつ複数の溝と複数の歯状部の位置が合っている状態で、キャップ部材の端面は構造体に接するように配置される、条項12に記載のキャップシステム。
【0056】
条項17.キャップ部材の側壁が、第1タブ部材を受容するための第1スロットと、第2タブ部材を受容するための第2スロットとを画定する、条項10に記載のキャップシステム。
【0057】
条項18.
キャップ部材の側壁の端面が、キャップ部材に沿って延在する溝を画定し、
キャップ部材の側壁の第1部分によって画定された第1開口が、キャップ部材の側壁の第1部分を通って延在し、第1開口は溝と連通しており、これにより、第1流路が、密封剤を運ぶために、キャップ部材の側壁の第1部分を通って溝内へと延在し、
キャップ部材の側壁の第2部分によって画定された第2開口が、キャップ部材の側壁の第2部分を通って延在し、第2開口は、溝と連通し、かつキャップ部材のキャビティと連通しており、これにより、第2流路が、溝からキャップ部材の側壁の第2開口を通ってキャビティ内へと延在し、
キャップ部材の側壁によって画定された第3開口が、キャップ部材の側壁を通って延在し、第3開口が、キャップ部材のキャビティからキャップ部材の側壁の第3開口を通る第3流路を提供する、条項10に記載のキャップシステム。
【0058】
条項19.
キャップ部材の側壁の端面が、キャップ部材に沿って延在する溝を画定し、
キャップ部材の側壁の第1部分によって画定された第1開口が、キャップ部材の側壁の第1部分を通って延在し、第1開口は溝と連通しており、これにより、第1流路が、密封剤を運ぶために、第1開口を通って溝内へと延在し、
キャップ部材の側壁の第1部分によって画定された第2開口は、キャップ部材の側壁の第1部分を通って延在し、かつ、キャップ部材の周りで第1開口から離間しており、第2開口は溝と連通しており、これにより、第2流路が、密封剤を運ぶために、溝からキャップ部材の第2開口を通って延在する、条項10に記載のキャップシステム。
【0059】
条項20.キャップ部材の側壁の端面が平坦面を含む、条項10に記載のキャップシステム。
【0060】
上記では様々な例について説明してきたが、この開示は、それらに限定されることを意図するものではない。開示されている例には変形が加えられてよく、これらの変形も付随する特許請求の範囲に含まれる。