(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】内容物入りサイドガゼット袋用カートン、及び内容物入りサイドガゼット袋のカートン収納体
(51)【国際特許分類】
B65D 77/04 20060101AFI20230908BHJP
B65D 30/16 20060101ALI20230908BHJP
B65D 30/20 20060101ALI20230908BHJP
B65D 33/38 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
B65D77/04 D
B65D30/16 F
B65D30/20 Z
B65D33/38
(21)【出願番号】P 2019145427
(22)【出願日】2019-08-07
【審査請求日】2022-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000143880
【氏名又は名称】株式会社細川洋行
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】市川 徹
(72)【発明者】
【氏名】黒丸 博昭
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-049461(JP,A)
【文献】特開2019-085133(JP,A)
【文献】特開2000-190953(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0106878(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/16
B65D 33/38
B65D 30/20
B65D 77/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する一対の平面部と、該平面部に対して側部シール部を介してそれぞれ接合された互いに対向する一対の側面部と、前記一対の平面部の下縁部分どうしが接合された下部シール部と、を有し、前記一対の平面部と前記一対の側面部とで区画された収容空間に内容物が収容され、前記一対の平面部の下側部分どうしが互いに重なる方向に屈曲されて底面部を構成し、前記底面部の中央部分には谷折り線が形成され、前記底面部は、前記一対の側面部寄りの両側縁部からそれぞれ前記谷折り線に向かって上方に傾斜する2つの傾斜面を有する内容物入りサイドガゼット袋の前記底面部が接する載置面の少なくとも中央部分が突出していることを特徴とする内容物入りサイドガゼット袋用カートン。
【請求項2】
互いに対向する一対の平面部と、該平面部に対して側部シール部を介してそれぞれ接合された互いに対向する一対の側面部と、前記一対の平面部の下縁部分どうしが接合された下部シール部と、を有し、前記一対の平面部と前記一対の側面部とで区画された収容空間に内容物が収容され、前記一対の平面部の下側部分どうしが互いに重なる方向に屈曲されて底面部を構成し、前記底面部の中央部分には谷折り線が形成され、前記底面部は、前記一対の側面部寄りの両側縁部からそれぞれ前記谷折り線に向かって上方に傾斜する2つの傾斜面を有する内容物入りサイドガゼット袋を、請求項
1に記載の内容物入りサイドガゼット袋用カートンに複数個収納したことを特徴とする内容物入りサイドガゼット袋のカートン収納体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自内容物入りサイドガゼット袋、スパウト付内容物入りサイドガゼット袋、内容物入りサイドガゼット袋の製造方法、内容物入りサイドガゼット袋用カートン、及び内容物入りサイドガゼット袋のカートン収納体に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物が収容されることで膨らんで略直方体形状となるサイドガゼット袋や、このサイドガゼット袋に注出入口となるスパウトを設けたスパウト付サイドガゼット袋は、液体飲料、調味液、ゼリー状飲料、味噌等の粘稠体、アイスクリーム、氷菓等の冷菓などの各種内容物を収容する容器として広く用いられている。
【0003】
こうしたサイドガゼット袋は、内容物の充填前はサイドガゼット部が折り畳まれて、容器全体が扁平な形状となっており、省スペースで運搬や保管を行うことができる。また、内容物の充填時には、折り畳まれていたサイドガゼット部が開いて多量の内容物を収容することができる。また、自立性を有するため、内容物入りサイドガゼット袋を陳列する際自立させることで、単位面積当たりの陳列数を多くして効率的に陳列することができる。更に、内容物が取り出された後のサイドガゼット袋は、再びサイドガゼット部を折り畳むことで廃棄物の減容化にも寄与する。
【0004】
このような内容物入りサイドガゼット袋は、自立時には、内容物を充填した際に、高さ方向に延びる一対の平面部の下部を互いに重なるように直角に屈曲させて底面部を形成している。しかしながら、例えば、内容物が液体状である場合には、液体の漏れを防止するためや落袋強度をたかめるために袋に用いる包材の厚みを厚くせざるを得ない。このため、底面部のシール部近傍の包材の曲げ剛性が高くなって折れ曲がりにくくなり、折れ曲がっても戻ろうとする力が大きくなる。これにより、底面部は包材の弾性によって、下方に突出するように屈曲する力が働き、その結果、内容物入りサイドガゼット袋が転倒しやすくなるという課題があった。内容物入りサイドガゼット袋が陳列中に転倒すると、例えば平面部にプリントされている商品名やデザインが見えなくなり、宣伝訴求力が低下してしまう。
【0005】
このため、例えば、平面部とサイドガゼット部とを接合する側部シール部と、平面部どうしを下部で接合する下部シール部との間を斜めに接合した傾斜シール部を形成し、この傾斜シール部よりも外側の包材をカットすることによって、底面部が下方に突出するように屈曲する力を低減して、自立陳列時の転倒を抑制できる内容物入りサイドガゼット袋が知られている。また、底部保形予定線の位置に、ひだ形状の自立支持部を形成した口栓付きガゼットパウチも知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された口栓付きガゼットパウチは、ひだ形状の自立支持部の形成のための包材が別途必要となり、また、構造が複雑で製造工程も増加し、製造コストが高くなるという課題があった。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、自立安定性を向上させるための部材を形成することなく自立安定性の向上が可能であり、かつ低コストで製造することが可能な内容物入りサイドガゼット袋、スパウト付内容物入りサイドガゼット袋、内容物入りサイドガゼット袋の製造方法、内容物入りサイドガゼット袋用カートン、及び内容物入りサイドガゼット袋のカートン収納体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
即ち、本発明の内容物入りサイドガゼット袋用カートンは、互いに対向する一対の平面部と、該平面部に対して側部シール部を介してそれぞれ接合された互いに対向する一対の側面部と、前記一対の平面部の下縁部分どうしが接合された下部シール部と、を有し、前記一対の平面部と前記一対の側面部とで区画された収容空間に内容物が収容され、前記一対の平面部の下側部分どうしが互いに重なる方向に屈曲されて底面部を構成し、前記底面部の中央部分には谷折り線が形成され、前記底面部は、前記一対の側面部寄りの両側縁部からそれぞれ前記谷折り線に向かって上方に傾斜する2つの傾斜面を有する内容物入りサイドガゼット袋の前記底面部が接する載置面の少なくとも中央部分が突出していることを特徴とする。
【0015】
本発明の内容物入りサイドガゼット袋のカートン収納体は、互いに対向する一対の平面部と、該平面部に対して側部シール部を介してそれぞれ接合された互いに対向する一対の側面部と、前記一対の平面部の下縁部分どうしが接合された下部シール部と、を有し、前記一対の平面部と前記一対の側面部とで区画された収容空間に内容物が収容され、前記一対の平面部の下側部分どうしが互いに重なる方向に屈曲されて底面部を構成し、前記底面部の中央部分には谷折り線が形成され、前記底面部は、前記一対の側面部寄りの両側縁部からそれぞれ前記谷折り線に向かって上方に傾斜する2つの傾斜面を有する内容物入りサイドガゼット袋を、前項に記載の内容物入りサイドガゼット袋用カートンに複数個収納したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、自立安定性を向上させるための部材を形成することなく自立安定性の向上が可能であり、かつ低コストで製造することが可能な内容物入りサイドガゼット袋、スパウト付内容物入りサイドガゼット袋、内容物入りサイドガゼット袋の製造方法、内容物入りサイドガゼット袋用カートン、及び内容物入りサイドガゼット袋のカートン収納体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明のスパウト付内容物入りサイドガゼット袋を自立させた状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明のスパウト付内容物入りサイドガゼット袋を寝かせた状態を示す斜視図である。
【
図3】内容物を充填する前のスパウト付サイドガゼット袋を示す平面図である。
【
図4】充填工程において用いる治具の一例を示す斜視図である。
【
図5】内容物入りサイドガゼット袋用カートンにスパウト付内容物入りサイドガゼット袋を収納した内容物入りサイドガゼット袋のカートン収納体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態の内容物入りサイドガゼット袋、スパウト付内容物入りサイドガゼット袋、内容物入りサイドガゼット袋の製造方法、内容物入りサイドガゼット袋用カートン、及び内容物入りサイドガゼット袋のカートン収納体について説明する。なお、以下に示す各実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0019】
なお、本発明の内容物入りサイドガゼット袋及びスパウト付内容物入りサイドガゼット袋は、スパウトの有無以外は、同様の形態の内容物入りサイドガゼット袋である。以下、本発明の内容物入りサイドガゼット袋及びスパウト付内容物入りサイドガゼット袋の実施形態として、スパウトを備えるスパウト付内容物入りサイドガゼット袋の一例を示して詳細に説明する。
【0020】
[スパウト付内容物入りサイドガゼット袋]
図1は、本発明のスパウト付内容物入りサイドガゼット袋を自立させた状態を示す斜視図である。また、
図2は、本発明のスパウト付内容物入りサイドガゼット袋を寝かせた状態を示す斜視図である。
図3は、内容物を充填する前のスパウト付サイドガゼット袋を示す平面図である。
図1、2に示すように、本実施形態のスパウト付内容物入りサイドガゼット袋1は、サイドガゼット袋2と、サイドガゼット袋2の上部に液密に取り付けられたスパウト3と、スパウト3に装着されるキャップ4とを備えている。サイドガゼット袋2の内部には収容空間Sが区画され、この収容空間S内に、流動体などの内容物Mが充填される。
【0021】
図3に示すように、内容物の充填前のサイドガゼット袋2は、前後で対向する一対の外装シートを成す平面部12,12と、この一対の平面部12,12の左右の対応する側部間に配置され、幅方向の中央が折り線13aに沿って内側に折り込まれる左右一対のガゼットシートを成す側面部13,13と、を備え、これらの平面部12,12と側面部13,13によって内部が密閉された内容物収納時には、その断面が略四角形となる筒状体14が形成されている。
【0022】
一対の平面部12,12は、略矩形状の同サイズの包材であるシート材によって形成され、相互に重ねられた状態で上縁部と下縁部が熱融着部において接合されている。ただし、一対の平面部12,12の左右両側間には、内側に折り込まれた側面部13,13が介在されているため、上縁部同士と下縁部同士が直接接合されるのは、上縁部と下縁部の両側を除く部位のみとなっている。以下、平面部12,12の上縁部の熱融着部を上部シール部17、下縁部の熱融着部を下部シール部18と称する。
【0023】
スパウト3は、平面部12,12の上縁部同士の間に挟まれるようにして、上部シール部17によって、サイドガゼット袋2に接合されている。
【0024】
また、左右の側面部13,13は、略上下方向に沿う各側縁部が前後の平面部12,12の側縁部に重ねられ、これらの平面部12,12の側縁部が熱融着部において接合されるとともに、各上縁部と下縁部は、前後の平面部12,12の上縁部と下縁部に重なる部分で熱融着部において接合されている。平面部12の側部上縁部と側面部13との熱融着部は、上部シール部17と連続して直線状に設けられているが、平面部12と側面部13の側部下縁部の熱融着部は、融着部分が下部シール部18から連続して、平面部12の左右側部へ斜め上方に傾斜して設けられている。なお、平面部12と側面部13の側部下縁部の熱融着部は、左右の一方につき前後二ヵ所に設けられているため、筒状体14の下部シール部18に隣接する箇所では、平面部12と側面部13が合計4枚重なった状態となっている。
【0025】
以下、側面部13の略上下方向に沿う各側縁部とそれに対応する平面部12の側縁部との熱融着部を側部シール部19と称する。また、側面部13の側部下縁部とそれに対応する平面部12の側部下縁部との熱融着部を傾斜シール部16と称する。
【0026】
また、この実施形態の側面部13では、平面部12と側面部13の側部下縁部の熱融着部である傾斜シール部16の外縁は、傾斜シール部16の外縁に沿って斜めに切除されている。
【0027】
以上のように、サイドガゼット袋2は、一対の平面部12,12と、この平面部12,12の左右の側部間に配置される側面部13,13とが、上部シール部17及び下部シール部18と、側部シール部19、傾斜シール部16で液密に接合され、これらに囲まれた筒状体14の内側領域が、液体や粘性体等の内容物の充填される収容空間Sとされている。
【0028】
図1、2に示すように、サイドガゼット袋2の収容空間Sに内容物Mを充填した内容物入りサイドガゼット袋2は、平面部12,12のうち、左右の傾斜シール部16の上縁付近に形成される平面部屈曲線P1,P1よりも下側部分どうしが互いに重なる方向に屈曲され、下部シール部18の収容空間S側のシール際となるシール際線P2に沿って、下部シール部18が前後いずれかの方向に折れ曲がることにより、各側部シール部19と各傾斜シール部16の境界を直線で結んだ略矩形状の底面部21が形成される。こうした底面部21は、スパウト付内容物入りサイドガゼット袋1を、スパウト3が上側になるように鉛直方向に自立姿勢にすると、収容空間Sに充填された内容物Mの自重によって自然に形成される。
【0029】
そして、本実施形態のスパウト付内容物入りサイドガゼット袋1では、この底面部21の中央部分に、収容空間S側に向かって底面部21が突出するような谷折り線P3が形成される。そして、底面部21には、一対の側面部13,13寄りの両側縁部P4,P4からそれぞれ谷折り線P3に向かって上方に傾斜する2つの傾斜面21a,21bが形成される。
【0030】
これにより、スパウト付内容物入りサイドガゼット袋1は、自立状態においては、底面部21の両側縁部P4,P4付近で、陳列棚などの載置面に接する状態になる。底面部21をこうした形状にすることで、底面部21を構成する下部シール部18や傾斜シール部16の曲げ剛性が高い場合でも、底面部21が下方に突出するように屈曲する力を抑制できる。その結果、スパウト付内容物入りサイドガゼット袋1は、底面部21の両側縁部P4,P4付近で載置面に接して自立するようになり、底面部21が下方に突出することが無いので、平面部12,12の前後方向に転倒することを抑制することができる。
【0031】
なお、底面部21の谷折り線P3は、所定の幅を持つ屈曲領域であればよく、必ずしも傾斜面21a,21b同士が鋭角に屈折している必要はない。こうした谷折り線P3が形成される位置に、内容物Mを充填前のサイドガゼット袋2に予め折り目線などを形成しておくこともできる。
【0032】
サイドガゼット袋2の平面部12や側面部13を構成する包材としては、積層体からなるシート材が用いられる。シート材の外層は、例えば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系、ポリカーボネート系、ポリアセタール系等の合成樹脂からなるフィルムを用いることができる。また、これらのフィルムとしては、未延伸フィルムあるいは1軸方向または2軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。なお、フィルムの厚さとしては特に限定されるものではなく必要最低限に保持され得る厚さであればよく、通常12~25μm程度であればよい。また、外層として使用する樹脂フィルムは、印刷が施されることもあるために、印刷適性が求められ、1軸方向または2軸方向に延伸した延伸フィルムを使用するとよい。また、必要に応じて合成紙、セロハン、紙、あるいは、不織布等も適宜使用することができる。
【0033】
一方、シート材の内層としては、たとえば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等の樹脂の一種ないしそれ以上からなる樹脂ないしはこれらの樹脂フィルムを使用することができ、その厚さとしては、特に限定されるものではなく30~200μmが適当である。
【0034】
さらに、必要に応じて外層と内層の間に中間層を設けても良い。中間層としては、アルミニウム、鉄、銅、錫等の金属箔、あるいは、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物等のフィルムあるいはこれらにポリ塩化ビニリデンを塗工したフィルムないしはアルミニウムや酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等の無機物の蒸着を施したフィルムあるいはポリ塩化ビニリデン等のフィルムなどを用いることができる。また、これらのうち一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。なお、この中間層の厚さとしては、サイドガセット袋として要求される機能を満たすことができればよく、気体遮断性、水蒸気遮断性、機械的強靱性、耐屈曲性、耐突き刺し性、耐衝撃性、耐磨耗性、耐寒性、耐熱性、耐薬品性を確保し得る機能フィルムを、必要に応じて適宜選ぶことができる。より具体的には、特に限定されるものでは無いが、厚みが6~50μmが適当である。
【0035】
気体遮断性、水蒸気遮断性を確保する為に、これらのように中間層に機能性フィルムを設ける代わりに、シート材の外層に蒸着層を設けてもよい。
【0036】
蒸着層として、たとえばアルミニウムや酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等が使用される。
これらのラミネートフィルムは、公知のドライラミネート法や押出しラミネート法などの方法により積層される。
また、平面部12と側面部13は、それぞれ単層フィルムから形成されていてもよい。
【0037】
特に、シート材の中間層に金属箔を設けたシート材は、弾性変形する合成樹脂による底面部21の折れ曲がって戻ろうとする力を、塑性変形する金属箔が抑止するため、下部シール部18や傾斜シール部16の曲げ剛性が低くなり、底面部21が下方に突出するように屈曲する力を抑制できるうえ、底面部21に谷折り線P3及び傾斜面21a,21bが安定して形成されやすく、かつ、その形状を維持し易くなるため好ましい。
【0038】
[内容物入りサイドガゼット袋の製造方法]
次に、上述したスパウト付内容物入りサイドガゼット袋1の製造方法について説明する。
まず、サイドガゼット袋2を製造する際には、例えば、一対の側面部13、13を構成する積層体をそれぞれ折り線13aにて半折して、折り線13aが向き合うように配置する。そこに、一対の平面部12,12で、一対の側面部13,13を挟み、側部シール部19,19、下部シール部18、傾斜シール部16を形成する。その後、スパウト付け工程において、平面部12,12の上端の開口にてスパウト3を狭持し、上端シール部17を形成する。
【0039】
下部シール部18および傾斜シール部16のヒートシール温度は、120℃以上250℃以下が好ましい。ヒートシール温度が120℃以上であれば、十分なヒートシール強度及び密封性が得られやすい。一方、ヒートシール温度が250℃以下であれば、ヒートシールの余熱によりシール部が広がり、予定していたヒートシール幅よりも広い幅の下部シール部18や傾斜シール部16が形成されてしまうことを抑制しやすい。これにより、内容物Mを充填した際に、底面部21の展開が阻害されることを抑制しやすくする。
また、側部シール部19及び上部シール部17のヒートシール温度の好ましい範囲は、下部シール部18および傾斜シール部16のヒートシール温度の好ましい範囲と同様である。
【0040】
この後、傾斜シール部16の外縁に沿って斜めに積層体を切除して、または広幅の包材原料からの場合にはダイセット等を用いて全体の外形形状に沿って包材を打ち抜くことで、サイドガゼット袋2が製造される。
【0041】
次に、充填工程として、サイドガゼット袋2のスパウト3を介して、内容物Mを筒状体14の収容空間S内に充填し、その後、スパウト3にキャップ4を取り付けてスパウト付内容物入りサイドガゼット袋1を形成する。
【0042】
この充填工程では、口径が小さいスパウト3からサイドガゼット袋2に内容物Mを効率的に充填させるため、充填速度を高める目的で、内容物Mが常温流通するものの場合には、内容物Mを室温よりも高い温度、例えば80℃以上、内容物の変質温度以下の範囲に加温して、内容物Mの粘度を低下させて行う。充填する内容物としては、流動体状の飲食料品、例えば、液体飲料、ゼリー、スープ等が挙げられる。
【0043】
こうした充填工程においては、
図4に示すような治具25をサイドガゼット袋2の下部に配置しておく。治具25は、例えば、二等辺三角形を成す部材である。内容物Mを筒状体14の収容空間S内に充填すると、一対の平面部12,12同士の間が広がり、これに伴い、折り線13aに沿って折り畳まれていた一対の側面部13,13が広がる。
【0044】
そして、平面部12,12の下側部分どうしが互いに重なる方向に屈曲され、底面部21が形成される。こうした底面部21に治具25が押し当てられた状態になることで、底面部21の中央部分が上方に持ち上がり、治具25の二等辺三角形の2面に倣った形状が底面部21に付与される。これにより、底面部21には谷折り線P3が形成されるとともに、底面部21の両側縁部P4,P4からそれぞれ谷折り線P3に向かって上方に傾斜する2つの傾斜面21a,21bが形成される。
【0045】
このような治具25による底面部21への形状付与は、内容物Mを室温よりも高い温度で充填することにより、平面部12,12や側面部13,13を構成する積層体が熱軟化することで容易に行うことができる。
【0046】
この後、冷却工程として、底面部21に治具25を接触させた状態で、室温以下、例えば40℃以下になるまでスパウト付内容物入りサイドガゼット袋1を冷却する。こうした冷却工程により、底面部21が治具25に倣った形状、即ち谷折り線P3の左右に傾斜面21a,21bが形成された形状が賦形され固定化される。
以上の工程を経て、本実施形態のスパウト付内容物入りサイドガゼット袋1が製造される。
【0047】
なお、底面部21に谷折り線P3や傾斜面21a,21bを形成する治具の形状としては、上述したような二等辺三角形以外にも、底面部21の中央部分を上方に持ち上げる形状であれば、とのような形状であってもよい。例えば、底面部21の中央部分に当接する棒状の部材などであってもよい。
【0048】
また、充填工程を、スパウト付け工程の前、すなわち平面部12,12の上端の開口にスパウト3を狭持して、上端シール部17を形成する前のサイドガゼット袋2に内容物Mを充填した後、スパウト付け工程を行ってもよい。
【0049】
また、内容物Mが冷やして凍結状のまま流通される冷菓の場合には、内容物Mが流動性を維持している限り、0℃以下、例えば-5℃程度で充填後、流動性を消失する程度までの冷却工程で底面部21に治具25を接触させることにより、底面部21が治具25に倣った形状、即ち谷折り線P3の左右に傾斜面21a,21bが形成された形状が賦形され固定化される。このように内容物Mが冷菓の場合には、積層体が熱軟化することは無いが、内容物Mが固化する程度にまで流動性を消失することにより、賦形された底面部21の形状が内容物Mの固化により固定され、時間が経過するにつれて、その形状が賦形前の状態に戻る虞が無い。逆に内容物Mが固化する場合には、内容物Mが固化する前に本発明により内容物入りサイドガゼット袋1の形状を固定しない限り、自立させることが不可能である。
【0050】
[内容物入りサイドガゼット袋用カートン、内容物入りサイドガゼット袋のカートン収納体]
図5は、内容物入りサイドガゼット袋用カートンにスパウト付内容物入りサイドガゼット袋を収納した内容物入りサイドガゼット袋のカートン収納体を示す斜視図である。
内容物入りサイドガゼット袋のカートン収納体(以下、カートン収納体と称する)30は、内容物入りサイドガゼット袋用カートン(以下、カートンと称する)31に、複数、例えば6個のスパウト付内容物入りサイドガゼット袋1を収容したものである。
【0051】
このカートン31は直方体状の箱体であり、底面31aが中央部分に向かって突出した断面二等辺三角形状に形成されている。こうしたカートン31に、スパウト付内容物入りサイドガゼット袋1を収容すると、底面部21がカートン31の底面31aに当接し、内容物Mの自重によって、
図2に示すように、底面部21に谷折り線P3およびこの谷折り線P3に向かって上方に傾斜する2つの傾斜面21a,21bが形成される。特に内容物入りサイドガゼット袋1がカートン31に収納された後、収納前より雰囲気温度が低下するように雰囲気を調整することで、より確実に谷折り線P3及び傾斜面21a,21bが、底面31aにより癖付けされて形成される。
【0052】
カートン31は、例えば、段ボールなど紙を折って製造した部材、合成樹脂製のシートを真空成形した部材などから形成されていればよい。
【0053】
このように、カートン31の底面31aの形状によって、スパウト付内容物入りサイドガゼット袋1の底面部21に、谷折り線P3およびこの谷折り線P3に向かって上方に傾斜する2つの傾斜面21a,21bを有する形状を付与する場合、スパウト付内容物入りサイドガゼット袋1同士が密着して収納されるので、平面部12,12が谷折り線P3の端部付近で前後方向に膨らむことが抑制される。
【0054】
これにより、予め谷折り線P3を形成したスパウト付内容物入りサイドガゼット袋1と比較して、輸送時の振動などによって谷折り線P3の端部付近がカートン内面と擦れたり、隣接するサイドガゼット袋1と擦れたりする等して摩擦によりピンホールが発生することを防止できる。また、このカートン31に切り取り線Cなどを設けて、上部を下部から切り離し可能にすれば、そのまま店頭の陳列用としても用いることもでき、スパウト付内容物入りサイドガゼット袋1の転倒防止にも寄与する。
【0055】
なお、内容物入りサイドガゼット袋用カートンの底面形状は、上述したような断面二等辺三角形状以外にも、例えば、断面が円形、半円形を成す柱状部材を平坦な底面の中央に設けたものなどが挙げられる。
【0056】
以上、各実施形態では、スパウトを備えたスパウト付内容物入りサイドガゼット袋を挙げて説明したが、スパウトを有さない内容物入りサイドガゼット袋にも全く同様に適用することができる。
【0057】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0058】
例えば、上述した実施形態において、谷折り線P3と2つの傾斜面21a,21bとが底面部側から見たときに90度異なる方向に設けられてもよい、具体的には、谷折り線が平面部と平行に一対の側面部を繋ぐ方向に延び、2つの傾斜面が、平面部屈曲線P1から前記谷折り線に向かう傾斜面であってもよい。さらに、谷折り線が、その長さが極めて短い点状に近い谷折り線で、傾斜面が両側縁部P4,P4及び平面部屈曲線P1,P1から前記谷折り線に向かう傾斜面であってもよい。
また、カートンはサイドガゼット袋を複数列収納するようなカートンや段ボール箱であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…スパウト付内容物入りサイドガゼット袋
2…サイドガゼット袋
3…スパウト
4…キャップ
12…平面部
13…側面部
14…筒状体
16…傾斜シール部
17…上部シール部
18…下部シール部
19…側部シール部
21…底面部
21a…傾斜面
S…収容空間
P3…谷折り線