(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】熱電併給システム
(51)【国際特許分類】
F24H 1/00 20220101AFI20230908BHJP
F24D 18/00 20220101ALI20230908BHJP
F24H 15/136 20220101ALI20230908BHJP
F24H 15/156 20220101ALI20230908BHJP
F24H 15/174 20220101ALI20230908BHJP
F24H 15/215 20220101ALI20230908BHJP
F24H 15/219 20220101ALI20230908BHJP
F24H 15/225 20220101ALI20230908BHJP
F24H 15/258 20220101ALI20230908BHJP
F24H 15/325 20220101ALI20230908BHJP
F24H 15/34 20220101ALI20230908BHJP
F24H 15/37 20220101ALI20230908BHJP
F24H 15/414 20220101ALI20230908BHJP
F24H 15/45 20220101ALI20230908BHJP
F24D 101/30 20220101ALN20230908BHJP
【FI】
F24H1/00 631D
F24D18/00
F24H15/136
F24H15/156
F24H15/174
F24H15/215
F24H15/219
F24H15/225
F24H15/258
F24H15/325
F24H15/34
F24H15/37
F24H15/414
F24H15/45
F24D101:30
(21)【出願番号】P 2019175019
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】P 2019047503
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 一夫
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-076998(JP,A)
【文献】特開2009-064753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D18/00,101/30
F24H1/18,15/00-15/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスの供給により作動する発電部と、湯水を貯湯する密閉型の貯湯槽と、前記発電部の排熱を回収する排熱回収熱交換部を経由する形態で、前記貯湯槽の底部と上部とを接続する湯水流動用の循環路と、前記貯湯槽の底部から取出した湯水を当該貯湯槽の上部に戻す形態で、前記循環路を通して湯水を循環させる循環ポンプと、運転制御部とが設けられ、
前記運転制御部が、前記発電部の作動状態において前記貯湯槽に温度成層を形成する状態で貯湯すべく、前記循環路を通して前記貯湯槽の上部に供給される湯水の温度が目標温度になるように前記循環路を通して流動する湯水循環量を調整する形態で、前記循環ポンプの作動を制御する排熱回収式貯湯処理を実行するように構成された熱電併給システムであって、
前記循環路を流動する湯水を加熱する凍結防止用ヒータ及び前記循環ポンプが、外部電源にて駆動される状態で設けられ、
前記運転制御部が、前記発電部の停止状態において前記貯湯槽に温度成層を形成する状態で貯湯すべく、前記凍結防止用ヒータを作動させ、且つ、前記循環路を通して前記貯湯槽の上部に供給される湯水の温度が前記目標温度になるように前記循環路を通して流動する前記湯水循環量を前記排熱回収式貯湯処理における前記湯水循環量よりも少なくなる状態に調整する形態で、前記循環ポンプの作動を制御するヒータ熱回収式貯湯処理を実行するように構成され
、
前記貯湯槽の底部から取出した湯水の温度を検出する温度センサが設けられ、
前記運転制御部が、前記温度センサの検出情報、並びに、前記貯湯槽の底部から取出した湯水の温度と前記目標温度との温度差と、前記凍結防止用ヒータの加熱により前記目標温度にするために前記循環路を流動させる湯水の目標流量との関係を示す温度差流量関係情報、及び、前記目標流量と前記循環路を流動させる湯水を前記目標流量にするために前記循環ポンプを駆動する駆動条件との関係を示す流量駆動条件関係情報に基づいて、前記循環ポンプの作動を制御するように構成されている熱電併給システム。
【請求項2】
燃料ガスの供給により作動する発電部と、湯水を貯湯する密閉型の貯湯槽と、前記発電部の排熱を回収する排熱回収熱交換部を経由する形態で、前記貯湯槽の底部と上部とを接続する湯水流動用の循環路と、前記貯湯槽の底部から取出した湯水を当該貯湯槽の上部に戻す形態で、前記循環路を通して湯水を循環させる循環ポンプと、運転制御部とが設けられ、
前記運転制御部が、前記発電部の作動状態において前記貯湯槽に温度成層を形成する状態で貯湯すべく、前記循環路を通して前記貯湯槽の上部に供給される湯水の温度が目標温度になるように前記循環路を通して流動する湯水循環量を調整する形態で、前記循環ポンプの作動を制御する排熱回収式貯湯処理を実行するように構成された熱電併給システムであって、
前記循環路を流動する湯水を加熱する凍結防止用ヒータ及び前記循環ポンプが、外部電源にて駆動される状態で設けられ、
前記運転制御部が、前記発電部の停止状態において前記貯湯槽に温度成層を形成する状態で貯湯すべく、前記凍結防止用ヒータを作動させ、且つ、前記循環路を通して前記貯湯槽の上部に供給される湯水の温度が前記目標温度になるように前記循環路を通して流動する前記湯水循環量を前記排熱回収式貯湯処理における前記湯水循環量よりも少なくなる状態に調整する形態で、前記循環ポンプの作動を制御するヒータ熱回収式貯湯処理を実行するように構成され、
前記運転制御部が、前記ヒータ熱回収式貯湯処理にて前記貯湯槽の湯水の全量が前記目標温度になると、当該ヒータ熱回収式貯湯処理に続いて、前記貯湯槽の湯水を前記目標温度よりも高温に加熱すべく、前記凍結防止用ヒータ及び前記循環ポンプを継続して作動させるヒータ熱回収式高温加熱処理を実行するように構成されている熱電併給システム。
【請求項3】
前記運転制御部が、前記発電部の停止状態で且つ前記ヒータ熱回収式貯湯処理の非実行状態において凍結防止運転条件が満たされると、前記凍結防止用ヒータ及び前記循環ポンプを作動させる凍結防止運転処理を実行するように構成されている請求項1又は2に記載の熱電併給システム。
【請求項4】
前記運転制御部に対する操作指令部が、前記ヒータ熱回収式貯湯処理の実行を指令するように構成され、
前記運転制御部が、前記発電部の停止状態において、前記操作指令部にて前記ヒータ熱回収式貯湯処理の実行が指令されると、前記ヒータ熱回収式貯湯処理を実行するように構成されている請求項1~3のいずれか1項に記載の熱電併給システム。
【請求項5】
前記運転制御部が、前記ヒータ熱回収式貯湯処理にて前記貯湯槽の湯水の全量が前記目標温度になると、当該ヒータ熱回収式貯湯処理に続いて、前記貯湯槽の湯水を前記目標温度よりも高温に加熱すべく、前記凍結防止用ヒータ及び前記循環ポンプを継続して作動させるヒータ熱回収式高温加熱処理を実行するように構成されている請求項
1に記載の熱電併給システム。
【請求項6】
前記運転制御部が、前記貯湯槽の湯水の全量が設定上限温度になると、前記ヒータ熱回収式高温加熱処理を停止するように構成されている請求項
2又は5に記載の熱電併給システム。
【請求項7】
前記運転制御部が、前記貯湯槽の湯水の温度の上昇速度が設定速度以下になると、前記ヒータ熱回収式高温加熱処理を停止するように構成されている請求項
2又は5又は6に記載の熱電併給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ガスの供給により作動する発電部と、湯水を貯湯する密閉型の貯湯槽と、前記発電部の排熱を回収する排熱回収熱交換部を経由する形態で、前記貯湯槽の底部と上部とを接続する湯水流動用の循環路と、前記貯湯槽の底部から取出した湯水を当該貯湯槽の上部に戻す形態で、前記循環路を通して湯水を循環させる循環ポンプと、運転制御部とが設けられ、
前記運転制御部が、前記発電部の作動状態において前記貯湯槽に温度成層を形成する状態で貯湯すべく、前記循環路を通して前記貯湯槽の上部に供給される湯水の温度が目標温度になるように前記循環路を通して流動する湯水循環量を調整する形態で、前記循環ポンプの作動を制御する排熱回収式貯湯処理を実行するように構成された熱電併給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
かかる熱電併給システムは、一般家庭等に設置されて、発電部にて発電した電力を電気負荷に供給し、かつ、発電部の排熱を回収して貯湯槽の湯水を加熱することにより、貯湯槽の湯水を給湯栓等の湯水消費部に供給できるようにしたものである。
ちなみに、発電部としては、燃料電池やエンジンにて駆動される発電機がある。
【0003】
かかる熱電併給システムの従来例として、循環路を流動する湯水を加熱する凍結防止用ヒータを設け、運転制御部が、発電部の停止状態において、外気温度が設定温度よりも低下する等の凍結防止運転条件が満たされると、凍結防止用ヒータ及び循環ポンプを作動させて、循環路を流動する湯水を加熱する凍結防止運転を実行するように構成したものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
ちなみに、特許文献1においては、貯湯槽から出湯される湯水を加熱する給湯器を設けて、貯湯槽から出湯される湯水の温度が低い場合等において、当該湯水を給湯器にて加熱することができるように構成されている。
尚、発電部の停止状態において、凍結防止用ヒータ及び循環ポンプを作動させて凍結防止運転を実行するには、商用電源等の外部電源にて凍結防止用ヒータ及び循環ポンプを駆動できるように構成することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の熱電併給システムにおいては、例えば、燃料ガスとしての都市ガスにて発電部及び給湯器を作動させる場合において、地震の発生等により、都市ガスの供給が停止された状態になって、発電部及び給湯器のいずれもが作動不能状態になる等、燃料ガスが供給されない状態になった場合には、発電部及び給湯器のいずれも作動不能状態になって、加熱された湯水を湯水消費部に供給できない状態になる虞があり、改善が望まれるものであった。
【0007】
このため、凍結防止用ヒータ及び循環ポンプを商用電源等の外部電源にて駆動させ、且つ、循環ポンプを、排熱回収式貯湯処理を実行するときと同様な駆動状態(駆動出力)で作動させて、凍結防止用ヒータにて加熱された湯水を貯湯槽に貯湯するように構成することが考えられる。
ちなみに、循環ポンプについての、排熱回収式貯湯処理を実行するときと同様な駆動状態(駆動出力)としては、例えば、循環ポンプの駆動効率が高い駆動状態(駆動出力)を設定することが考えられる。
しかしながら、この構成の場合には、使用勝手が悪いものであった。
【0008】
すなわち、凍結防止用ヒータは熱容量(加熱量)が小さなものであるから、貯湯槽の底部から取出された湯水が凍結防止用ヒータの設置箇所を一回通過するときの上昇温度は、例えば、5℃程度のかなり低い温度であるため、貯湯槽の湯水の全体を目標温度にて温度成層を形成する状態に加熱する(貯湯槽を沸き上げる)時間が、例えば、冬季において20時間になる等、かなりの時間を要するものとなる。
【0009】
しかも、貯湯槽に貯湯された湯水の温度は、時間経過に伴う放熱により低下することになるから、適当時間おきに湯水の温度を確認し、湯水の温度が低下している場合には、循環ポンプ及び凍結防止用ヒータを作動させて保温運転としての貯湯運転を行うことになるが、このような保温運転としての貯湯運転を行っているときには、貯湯槽に貯湯されている湯水を出湯できないものとなる。
【0010】
つまり、保温運転としての貯湯運転を行っているときに出湯すると、その出湯に伴い貯湯槽の底部側に給水されることになり、その給水された湯水が凍結防止用ヒータにより55℃程度昇温され、そのように5℃程度だけ昇温された湯水(目標温度よりかなり低い温度の湯水)が、貯湯槽の上部に供給されることになる結果、貯槽槽の湯水の温度成層が乱れた状態となるため、保温運転としての貯湯運転を行う際には出湯できないものとなる。
【0011】
そして、このような問題は、貯湯槽の湯水の全体が目標温度に加熱された状態において、貯湯槽の湯水の一部が消費された場合において、循環ポンプ及び凍結用ヒータを作動させて貯湯運転するときにも、同様に生じることになる。
【0012】
したがって、排熱回収式貯湯処理を実行するときと同様な駆動状態(駆動出力)で循環ポンプを作動させて、凍結防止用ヒータにて加熱された湯水を貯湯槽に貯湯するように構成する場合においては、貯湯槽の湯水の全体を目標温度にて温度成層を形成する状態に加熱した(貯湯槽を沸き上げた)後において、例えば、一旦出湯すると、保温運転としての貯湯運転を行うことなく、貯湯槽の湯水を全て使い切るようにする必要があり、また、保温運転としての貯湯運転を開始したときには、その貯湯運転が終了するまで出湯できなくなる等、使用勝手が悪いものであった。
しかも、貯湯槽の湯水を全て使い切ったときには、貯湯槽の湯水の全体を目標温度にて温度成層を形成する状態に加熱する(貯湯槽を沸き上げる)ことになるが、その時間が、例えば、冬季において20時間になる等、かなりの時間を要するものであり、使用勝手が悪いものであった。
【0013】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、燃料ガスが供給されない状態において温度成層を形成する状態で貯湯槽に湯水を貯湯でき、しかも、貯湯運転中においても出湯できる熱電併給システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の熱電併給システムは、燃料ガスの供給により作動する発電部と、湯水を貯湯する密閉型の貯湯槽と、前記発電部の排熱を回収する排熱回収熱交換部を経由する形態で、前記貯湯槽の底部と上部とを接続する湯水流動用の循環路と、前記貯湯槽の底部から取出した湯水を当該貯湯槽の上部に戻す形態で、前記循環路を通して湯水を循環させる循環ポンプと、運転制御部とが設けられ、
前記運転制御部が、前記発電部の作動状態において前記貯湯槽に温度成層を形成する状態で貯湯すべく、前記循環路を通して前記貯湯槽の上部に供給される湯水の温度が目標温度になるように前記循環路を通して流動する湯水循環量を調整する形態で、前記循環ポンプの作動を制御する排熱回収式貯湯処理を実行するように構成された熱電併給システムであって、その特徴構成は、
前記循環路を流動する湯水を加熱する凍結防止用ヒータ及び前記循環ポンプが、外部電源にて駆動される状態で設けられ、
前記運転制御部が、前記発電部の停止状態において前記貯湯槽に温度成層を形成する状態で貯湯すべく、前記凍結防止用ヒータを作動させ、且つ、前記循環路を通して前記貯湯槽の上部に供給される湯水の温度が前記目標温度になるように前記循環路を通して流動する前記湯水循環量を前記排熱回収式貯湯処理における前記湯水循環量よりも少なくなる状態に調整する形態で、前記循環ポンプの作動を制御するヒータ熱回収式貯湯処理を実行するように構成され、
前記貯湯槽の底部から取出した湯水の温度を検出する温度センサが設けられ、
前記運転制御部が、前記温度センサの検出情報、並びに、前記貯湯槽の底部から取出した湯水の温度と前記目標温度との温度差と、前記凍結防止用ヒータの加熱により前記目標温度にするために前記循環路を流動させる湯水の目標流量との関係を示す温度差流量関係情報、及び、前記目標流量と前記循環路を流動させる湯水を前記目標流量にするために前記循環ポンプを駆動する駆動条件との関係を示す流量駆動条件関係情報に基づいて、前記循環ポンプの作動を制御するように構成されている点にある。
【0015】
すなわち、運転制御手段が、ヒータ熱回収式貯湯処理を実行することにより、燃料ガスが供給されないことにより発電部が停止している停止状態においても、貯湯槽の湯水を目標温度にて温度成層を形成する状態に適切に貯湯できることになる。
【0016】
つまり、凍結防止のために、商用電源等の外部電源にて駆動される状態で設けられている凍結防止用ヒータは、熱容量(加熱量)が小さなものであるが、循環路を通して流動する湯水循環量を排熱回収式貯湯処理における湯水循環量よりも少なくなる状態に調整して、循環路を通して貯湯槽の上部に供給される湯水の温度が目標温度になるようにしながら、温度成層を形成する状態で貯湯槽に湯水を適切に貯湯できることになる。
【0017】
そして、このヒータ熱回収式貯湯処理においては、循環路を通して貯湯槽の上部に供給される湯水の温度が目標温度になるものであるから、沸き上げや保温のための貯湯運転中において出湯しても、貯湯槽の上部には目標温度の湯水が供給されて、温度成層が乱れることがないため、貯湯運転中においても出湯できることになる。
【0018】
要するに、本発明の熱電併給システムの特徴構成によれば、燃料ガスが供給されない状態において温度成層を形成する状態で貯湯槽に湯水を貯湯でき、しかも、貯湯運転中においても出湯できる。
【0020】
また、運転制御部が、温度差流量関係情報、及び、流量駆動条件関係情報に基づいて、貯湯槽の底部から取出した湯水の温度を検出する温度センサの検出情報に応じた循環ポンプの駆動条件(駆動出力や駆動速度)を求めて、求めた駆動条件にて循環ポンプを作動させるものであるから、ヒータ熱回収式貯湯処理を開始した直後から目標温度又はその目標温度に近い温度の湯水を貯湯槽の上部に供給できることになる。
【0021】
つまり、凍結防止用ヒータにて加熱された湯水の温度を検出しながら、その検出温度と目標温度との差に基づいて循環ポンプの駆動条件を設定する制御を行う場合に較べて、温度差流量関係情報及び流量駆動条件関係情報に基づいて、貯湯槽の底部から取出した湯水の温度を検出する温度センサの検出情報に応じた循環ポンプの駆動条件(駆動出力や駆動速度)を求めるようにすることによって、循環ポンプの駆動条件を、凍結防止用ヒータにて加熱された湯水の温度を目標温度にするための駆動条件に迅速に調整できるため、ヒータ熱回収式貯湯処理を開始した直後から目標温度又はその目標温度に近い温度の湯水を貯湯槽の上部に供給できることになる。
【0022】
要するに、本発明の熱電併給システムの特徴構成によれば、ヒータ熱回収式貯湯処理を開始した直後から目標温度の湯水を貯湯槽の上部に供給できる。
【0023】
本発明の熱電併給システムの更なる特徴構成は、前記運転制御部が、前記発電部の停止状態で且つ前記ヒータ熱回収式貯湯処理の非実行状態において凍結防止運転条件が満たされると、前記凍結防止用ヒータ及び前記循環ポンプを作動させる凍結防止運転処理を実行するように構成されている点にある。
【0024】
すなわち、運転制御部が、発電部の停止状態で且つヒータ熱回収式貯湯処理の非実行状態において、凍結防止運転条件が満たされると、凍結防止用ヒータ及び前記循環ポンプを作動させる凍結防止運転処理を実行することになる。
尚、凍結防止運転条件としては、外気温度が設定温度よりも低下する又は循環路を形成する管路の温度が設定温度よりも低下する等の条件である。
【0025】
つまり、凍結防止運転処理においては、凍結防止用ヒータ及び循環ポンプが作動されることにより、循環路を流動する湯水が昇温されることにより、循環路の湯水の凍結が適切に防止される。
【0026】
要するに、本発明の熱電併給システムの更なる特徴構成によれば、循環路の湯水の凍結を適切に防止できる。
【0027】
本発明の熱電併給システムの更なる特徴構成は、前記運転制御部に対する操作指令部が、前記ヒータ熱回収式貯湯処理の実行を指令するように構成され、
前記運転制御部が、前記発電部の停止状態において、前記操作指令部にて前記ヒータ熱回収式貯湯処理の実行が指令されると、前記ヒータ熱回収式貯湯処理を実行するように構成されている点にある。
【0028】
すなわち、発電部の停止状態において、運転制御部に対する操作指令部にて、ヒータ熱回収式貯湯処理の実行を指令すれば、運転制御部がヒータ熱回収式貯湯処理を実行することになる。
【0029】
このように、発電部の停止状態において、操作指令部にて、ヒータ熱回収式貯湯処理の実行を指令すると、運転制御部がヒータ熱回収式貯湯処理を実行するものであるから、不必要にヒータ熱回収式貯湯処理が実行されることを回避しながら、必要なときにのみ、ヒータ熱回収式貯湯処理を実行させることができる。
【0030】
要するに、本発明の熱電併給システムの更なる特徴構成によれば、ヒータ熱回収式貯湯処理を、必要なときにのみ適切に実行させることができる。
【0031】
本発明の熱電併給システムの更なる特徴構成は、前記運転制御部が、前記ヒータ熱回収式貯湯処理にて前記貯湯槽の湯水の全量が前記目標温度になると、当該ヒータ熱回収式貯湯処理に続いて、前記貯湯槽の湯水を前記目標温度よりも高温に加熱すべく、前記凍結防止用ヒータ及び前記循環ポンプを継続して作動させるヒータ熱回収式高温加熱処理を実行するように構成されている点にある。
【0032】
すなわち、運転制御部が、ヒータ熱回収式貯湯処理にて貯湯槽の湯水の全量が目標温度になると、当該ヒータ熱回収式貯湯処理に続いて、貯湯槽の湯水を目標温度よりも高温に加熱すべく、凍結防止用ヒータ及び循環ポンプを継続して作動させるヒータ熱回収式高温加熱処理を実行するから、貯湯槽には、目標温度よりも高温の湯水が貯湯されることになり、貯湯槽での蓄熱量が増加することになる。
【0033】
したがって、燃料ガスが供給されないことにより、発電部及び給湯器のいずれもが作動不能状態になる非常時において、貯湯槽にて貯湯された湯水を用いて湯水消費部に供給する出湯量を増加させることができる。
【0034】
要するに、本発明の熱電併給システムの更なる特徴構成によれば、貯湯槽にて貯湯された湯水を用いて湯水消費部に供給する出湯量を増加させることができる。
【0035】
本発明の熱電併給システムの更なる特徴構成は、前記運転制御部が、前記貯湯槽の湯水の全量が設定上限温度になると、前記ヒータ熱回収式高温加熱処理を停止するように構成されている点にある。
【0036】
すなわち、運転制御部が、貯湯槽の湯水の全量が設定上限温度になると、ヒータ熱回収式高温加熱処理を停止するものであるから、貯湯槽の湯水の温度が極端な高温になることを回避できる。
【0037】
要するに、本発明の熱電併給システムの更なる特徴構成によれば、貯湯槽の湯水の温度が極端な高温になることを回避できる。
【0038】
本発明の熱電併給システムの更なる特徴構成は、前記運転制御部が、前記貯湯槽の湯水の温度の上昇速度が設定速度以下になると、前記ヒータ熱回収式高温加熱処理を停止するように構成されている点にある。
【0039】
すなわち、運転制御部が、貯湯槽の湯水の温度の上昇速度が設定速度以下になると、ヒータ熱回収式高温加熱処理を停止することになるから、凍結防止用ヒータによる加熱効率が低下した状態で当該凍結防止用ヒータを作動させることを回避して、無駄な電力消費を抑制できる。
【0040】
つまり、凍結防止用ヒータによる湯水の加熱効率は、湯水の温度が高くなるに伴って低下することになるから、貯湯槽の湯水の温度の上昇速度が設定速度以下になると、ヒータ熱回収式高温加熱処理を停止することにより、凍結防止用ヒータによる加熱効率が低下した状態で当該凍結防止用ヒータを作動させることを回避して、無駄な電力消費を抑制するのである。
【0041】
要するに、本発明の熱電併給システムの更なる特徴構成によれば、無駄な電力消費を抑制できる。
本発明の別の熱電併給システムは、燃料ガスの供給により作動する発電部と、湯水を貯湯する密閉型の貯湯槽と、前記発電部の排熱を回収する排熱回収熱交換部を経由する形態で、前記貯湯槽の底部と上部とを接続する湯水流動用の循環路と、前記貯湯槽の底部から取出した湯水を当該貯湯槽の上部に戻す形態で、前記循環路を通して湯水を循環させる循環ポンプと、運転制御部とが設けられ、
前記運転制御部が、前記発電部の作動状態において前記貯湯槽に温度成層を形成する状態で貯湯すべく、前記循環路を通して前記貯湯槽の上部に供給される湯水の温度が目標温度になるように前記循環路を通して流動する湯水循環量を調整する形態で、前記循環ポンプの作動を制御する排熱回収式貯湯処理を実行するように構成された熱電併給システムであって、その特徴構成は、
前記循環路を流動する湯水を加熱する凍結防止用ヒータ及び前記循環ポンプが、外部電源にて駆動される状態で設けられ、
前記運転制御部が、前記発電部の停止状態において前記貯湯槽に温度成層を形成する状態で貯湯すべく、前記凍結防止用ヒータを作動させ、且つ、前記循環路を通して前記貯湯槽の上部に供給される湯水の温度が前記目標温度になるように前記循環路を通して流動する前記湯水循環量を前記排熱回収式貯湯処理における前記湯水循環量よりも少なくなる状態に調整する形態で、前記循環ポンプの作動を制御するヒータ熱回収式貯湯処理を実行するように構成され、
前記運転制御部が、前記ヒータ熱回収式貯湯処理にて前記貯湯槽の湯水の全量が前記目標温度になると、当該ヒータ熱回収式貯湯処理に続いて、前記貯湯槽の湯水を前記目標温度よりも高温に加熱すべく、前記凍結防止用ヒータ及び前記循環ポンプを継続して作動させるヒータ熱回収式高温加熱処理を実行するように構成されている点にある。
すなわち、運転制御手段が、ヒータ熱回収式貯湯処理を実行することにより、燃料ガスが供給されないことにより発電部が停止している停止状態においても、貯湯槽の湯水を目標温度にて温度成層を形成する状態に適切に貯湯できることになる。
つまり、凍結防止のために、商用電源等の外部電源にて駆動される状態で設けられている凍結防止用ヒータは、熱容量(加熱量)が小さなものであるが、循環路を通して流動する湯水循環量を排熱回収式貯湯処理における湯水循環量よりも少なくなる状態に調整して、循環路を通して貯湯槽の上部に供給される湯水の温度が目標温度になるようにしながら、温度成層を形成する状態で貯湯槽に湯水を適切に貯湯できることになる。
そして、このヒータ熱回収式貯湯処理においては、循環路を通して貯湯槽の上部に供給される湯水の温度が目標温度になるものであるから、沸き上げや保温のための貯湯運転中において出湯しても、貯湯槽の上部には目標温度の湯水が供給されて、温度成層が乱れることがないため、貯湯運転中においても出湯できることになる。
要するに、本発明の熱電併給システムの特徴構成によれば、燃料ガスが供給されない状態において温度成層を形成する状態で貯湯槽に湯水を貯湯でき、しかも、貯湯運転中においても出湯できる。
また、運転制御部が、ヒータ熱回収式貯湯処理にて貯湯槽の湯水の全量が目標温度になると、当該ヒータ熱回収式貯湯処理に続いて、貯湯槽の湯水を目標温度よりも高温に加熱すべく、凍結防止用ヒータ及び循環ポンプを継続して作動させるヒータ熱回収式高温加熱処理を実行するから、貯湯槽には、目標温度よりも高温の湯水が貯湯されることになり、貯湯槽での蓄熱量が増加することになる。
したがって、燃料ガスが供給されないことにより、発電部及び給湯器のいずれもが作動不能状態になる非常時において、貯湯槽にて貯湯された湯水を用いて湯水消費部に供給する出湯量を増加させることができる。
要するに、本発明の熱電併給システムの特徴構成によれば、貯湯槽にて貯湯された湯水を用いて湯水消費部に供給する出湯量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図4】追加の実施形態の制御作動を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
〔実施形態〕
以下、本発明の熱電併給システムについての実施の形態を図面に基づいて説明する。
(熱電併給システムの全体構成)
図1に示すように、複数の電気負荷1に対する給電ライン2が接続された屋内の分電盤3に、商用電力を供給する商用電源4からの商用送電ライン4Aが接続され、発電部としての燃料電池式発電モジュールMからの送電ライン5が、屋内の分電盤3に接続されている。
【0044】
燃料電池式発電モジュールMからの送電ライン5に、当該燃料電池式発電モジュールMの発電電力を商用電源4から供給される電力と同じ電圧で、同じ周波数に調整する系統連系用のインバータ等を備える電力変換部6が装備されている。
したがって、商用電源4からの商用電力、及び、燃料電池式発電モジュールMの発電電力が、複数の電気負荷1に供給されるように構成されている。
【0045】
システムケーシングKが設けられ、当該システムケーシングKには、燃料電池式発電モジュールM、湯水を貯湯する密閉型の貯湯槽8、燃料電池式発電モジュールMから排出される排ガスの熱を排熱として回収する排熱回収熱交換部N、当該排熱回収熱交換部Nを経由する形態で、貯湯槽8の底部と上部とを接続する湯水循環用の循環路9、貯湯槽8の底部から取出した湯水を当該貯湯槽8の上部に戻す形態で、循環路9を通して湯水を循環させる循環ポンプ10、及び、運転制御部Hが収納されている。
【0046】
ちなみに、図示は省略するが、商用電源4からの電力や燃料電池式発電モジュールMからの電力を蓄電する蓄電池が設けられ、この蓄電池の電力が運転制御部H等の制御系の各種の機器類に供給されるように構成されている。
また、運転制御部Hに各種の情報を指令する操作指令部としてのリモコンRが設けられている。
【0047】
運転制御部Hが、燃料電池式発電モジュールMの作動状態において貯湯槽8に温度成層を形成する状態で貯湯すべく、循環路9を通して貯湯槽8の上部に供給される湯水の温度が目標温度(例えば、65℃)になるように循環路9を通して流動する湯水循環量を調整する形態で、循環ポンプ10の作動を制御する排熱回収式貯湯処理を実行するように構成されている。
ちなみに、上記目標温度は、夏季、冬季、中間期等の季節に応じて、自動的に異なる温度を設定してもよく、また、リモコンRにて使用者の好みの温度を設定するように構成してもよい。
【0048】
したがって、貯湯槽8に貯湯した湯水を、貯湯槽8の上部に接続した出湯路11を通して、給湯栓等の湯水消費箇所に出湯できるように構成されている。
ちなみに、貯湯槽8に貯湯した湯水が出湯されると、貯湯槽8の下部に接続した給水路12を通して、上水道等の給水源より給水されることになる。
【0049】
(循環路の詳細)
循環路9は、貯湯槽8の底部と排熱回収熱交換部Nとを接続する往路9aと、排熱回収熱交換部Nと貯湯槽8の上部とを接続する復路9bとからなる。
そして、往路9aには、湯水の流れ方向に沿って、上述した循環ポンプ10、循環路9を流動する湯水を加熱する凍結防止用ヒータ13、循環路9を流動する湯水を冷却するラジエータ14が設けられている。
尚、ラジエータ14は、貯湯槽8の内部全体に目標温度(例えば、65℃)の湯水が貯湯された状態(沸き上がった状態)等において、循環路9を循環する湯水を冷却するために設けられている。
【0050】
ちなみに、図示は省略するが、循環ポンプ10のポンプ駆動回路10A及び凍結防止用ヒータ13のヒータ駆動回路13Aには、商用電源4からの商用電力又は電力変換部6からの電力が供給されるように構成されている。
つまり、循環ポンプ10及び凍結防止用ヒータ13が、熱電併給システムが停止している場合は、外部電源としての商用電源4の電力にて駆動され、熱電併給システムが発電している場合は、電力変換部6からの電力にて駆動される状態で設けられている。
【0051】
往路9aにおける循環ポンプ10の上流側箇所には、貯湯槽8の底部から取出した湯水の温度を検出する温度センサとしての冷水側センサ15が設けられている。
また、復路9bには、排熱回収熱交換部Nにて加熱された湯水の温度を検出する温度センサとしての温水側センサ16が設けられている。
【0052】
また、バイパス路9cが、往路9aにおける冷水側センサ15と循環ポンプ10との間に相当する流路部分と、復路9bとを接続する状態で設けられている。
そして、復路9bを流動する湯水を貯湯槽8の上部に流動させる貯湯槽流動状態と復路9bを流動する湯水をバイパス路9cに流動させるバイパス流動状態とに切換える3方切換え式のバイパス弁17が設けられている。
そして、凍結防止用ヒータ13を作動させる場合等においては、バイパス流動状態に切換えることができるように構成されている。
【0053】
(出湯構成の詳細)
出湯路11には、給水路12から分岐した状態で設けられた分岐路12Aから供給される湯水(冷水)と当該出湯路11を通流する湯水(温水)とを混合する混合弁18が設けられている。
そして、例えば、リモコンRにて指令された目標給湯温度(例えば、40℃等)の湯水を出湯すべく、分岐路12Aからの湯水(冷水)と出湯路11を通流する湯水(温水)とを混合弁18にて混合できるように構成されている。
【0054】
都市ガス等の燃料ガスにて作動する瞬間湯沸かし式の給湯器Dが、出湯路11からの湯水を処理して出湯する状態で設けられている。
また、分岐路12Aからの湯水(冷水)を、出湯路11における混合弁18の下流側箇所に供給する冷水路19が設けられ、この冷水路19を開閉する開閉弁19Aが設けられている。
そして、例えば、貯湯槽8の殺菌対策等により貯湯槽8の湯水を使用できない場合等において、冷水路19を開いて、冷水路19からの湯水(冷水)を給湯器Dに供給して加熱することにより、目標給湯温度(例えば、40℃等)の湯水を出湯できるように構成されている。
【0055】
(燃料電池式モジュールの詳細)
燃料電池式発電モジュールMは、都市ガス等の燃料ガスが燃料ガス供給路20を通して供給される改質処理部21及び固体酸化物形の複数の燃料電池セルを備えるセルスタック22を、高温容器23の内部に収納する形態に構成されている。
【0056】
改質処理部21は、燃料ガスを水蒸気改質処理して、水素成分が多い改質ガスを生成するものであって、生成した改質ガスが、セルスタック22に供給されるように構成されている。
ちなみに、改質処理部21には、燃料ガスに加えて、水蒸気が供給されることになるが、その構成は周知であるので、本実施形態においては詳細な説明を省略する。
【0057】
図示は省略するが、空気(酸素含有ガス)が高温容器23の内部に供給されている。
そして、セルスタック22が、改質ガスを燃料極に通流させ、かつ、高温容器23の内部に供給された空気(酸素含有ガス)を酸素極に通流させることによって、発電するように構成されている。
【0058】
また、燃料極を通流した後の改質ガスが、酸素極を通流した後の空気(酸素含有ガス)や高温容器23の内部に供給された空気(酸素含有ガス)を用いて燃焼し、その燃焼熱にて改質処理部21を加熱するように構成されている。
さらに、改質ガスを燃焼させた排ガスを高温容器23から排出する排ガス路24が、上述した排熱回収熱交換部Nを経由する形態で設けられている。つまり、排熱回収熱交換部Nが、燃料極を通流した後の改質ガスを燃焼させた排ガスの排熱を回収できるように構成されている。
【0059】
また、燃料ガス供給路20には、当該燃料ガス供給路20を開閉して燃料ガスの供給を断続する燃料ガス供給弁25、及び、燃料ガスの供給圧を検出する圧力センサ26が設けられている。
【0060】
(運転制御部の運転制御の概要)
運転制御部Hは、リモコンRから運転指令が指令されると、燃料ガス供給弁25を開いて、燃料電池式発電モジュールMを作動させる運転処理を実行し、リモコンRから運転停止指令が指令されると、燃料ガス供給弁25を閉じて、燃料電池式発電モジュールMを停止させる停止処理を実行することになる。
そして、運転制御部Hは、運転処理の実行中においては、上述した排熱回収式貯湯処理を実行するように構成されている。
【0061】
また、運転制御部Hは、圧力センサ26にて検出される燃料ガスの供給圧が設定圧よりも低い状態になると、リモコンRから運転指令が指令されていても、燃料電池式発電モジュールMを停止させる停止処理を実行することになる。
つまり、地震の発生等により、燃料ガス供給路20を通して設定圧以上の燃料ガスが供給されない状態になると、燃料電池式発電モジュールMが停止状態に維持されるように構成されている。
【0062】
そして、運転制御部Hは、燃料電池式発電モジュールMを停止させる停止処理の実行中において、リモコンRにてヒータ熱回収式貯湯処理の実行が指令されると、凍結防止用ヒータ13及び循環ポンプ10を作動させてヒータ熱回収式貯湯処理を実行するように構成されている。
【0063】
また、運転制御部Hは、燃料電池式発電モジュールMの停止状態で且つヒータ熱回収式貯湯処理の非実行状態において、凍結防止条件が満たされると、凍結防止用ヒータ13及び循環ポンプ10を作動させる凍結防止運転処理を実行するように構成されている。
【0064】
(凍結防止運転処理の詳細)
本実施形態においては、外気温度を検出する外気温センサ(図示省略)を設けて、当該外気温センサにて検出される外気温度が設定温度(例えば、3℃)未満になると、凍結防止条件が満たされたとして、運転制御部Hが、凍結防止用ヒータ13及び循環ポンプ10を作動させる凍結防止運転処理を実行するように構成されている。
【0065】
具体的には、凍結防止用ヒータ13を定格出力にて駆動させるように、ヒータ駆動回路13Aを作動させ、循環ポンプ10を定格出力の60%程度の駆動出力(ポンプ出力)で駆動させるように、ポンプ駆動回路10Aを作動させるように構成されている。
【0066】
また、凍結防止運転処理においては、バイパス弁17をバイパス流動状態に切換えて、バイパス路9cを通して循環路9を流動する湯水を流動させるように構成されている。
【0067】
(ヒータ熱回収式貯湯処理の詳細)
燃料電池式発電モジュールMの停止状態において、リモコンRにてヒータ熱回収式貯湯処理の実行が指令されると、運転制御部Hが、貯湯槽8に温度成層を形成する状態で貯湯すべく、凍結防止用ヒータ13を作動させ、且つ、循環路9を通して貯湯槽8の上部に供給される湯水の温度が目標温度(例えば、65℃)になるように循環路9を通して流動する湯水循環量を排熱回収式貯湯処理における湯水循環量よりも少なくなる状態に調整する形態で、循環ポンプ10の作動を制御するヒータ熱回収式貯湯処理を実行するように構成されている。
【0068】
具体的には、凍結防止用ヒータ13を定格出力にて駆動させるように、ヒータ駆動回路13Aを作動させ、循環ポンプ10の駆動出力(ポンプ出力)を、循環路9を通して流動する湯水循環量が貯湯槽8の上部に供給される湯水の温度が目標温度(例えば、65℃)になる湯水循環量となるように、ポンプ駆動回路10Aを作動させるように構成されている。
【0069】
本実施形態においては、運転制御部Hが、循環ポンプ10の目標駆動出力(目標ポンプ出力)を、冷水側センサ15の検出情報、並びに、温度差流量関係情報及び流量駆動条件関係情報に基づいて求めて、循環ポンプ10の駆動出力(ポンプ出力)が目標駆動出力(目標ポンプ出力)となるように、ポンプ駆動回路10Aを作動させ、且つ、温水側センサ16にて検出される湯水の温度が目標温度(例えば、65℃)になるように、目標駆動出力(目標ポンプ出力)を補正するように構成されている。
【0070】
説明を加えると、温度差流量関係情報は、
図2に示すように、貯湯槽8の底部から取出した湯水の温度と目標温度(例えば、65℃)との温度差と、凍結防止用ヒータ13の加熱により目標温度(例えば、65℃)にするために循環路9を流動させる湯水の目標流量との関係を示す情報である。
例えば、冷水側センサ15の検出温度が5℃で、且つ、目標温度が65℃の場合には、温度差が60℃となり、目標流量が71.7cc/minに求められることになる。
【0071】
また、流量駆動条件関係情報は、
図3に示すように、温度差流量関係情報にて求められる目標流量と循環路9を流動させる湯水を目標流量にするために循環ポンプ10を駆動する駆動出力(ポンプ出力)との関係を示す情報である。
ちなみに、本実施形態においては、流量駆動条件関係情報にて求められる循環ポンプ10の駆動条件として、循環ポンプ10の定格出力を100%のポンプ出力としたときにおける割合としてのポンプ出力(駆動出力)を求めるようにしているが、流量駆動条件関係情報にて求める循環ポンプ10の駆動条件として、循環ポンプ10の駆動速度(駆動回転数)を求めるように構成してもよい。
【0072】
例えば、温度差流量関係情報にて求められる目標流量が71.7cc/minである場合には、本実施形態においては、ポンプ出力が47.5%として求められることになり、ポンプ出力を47.5%にすべく、ポンプ駆動回路10Aが作動されることになる。
【0073】
このように、運転制御部Hが、循環ポンプ10の目標駆動出力(目標ポンプ出力)を、冷水側センサ15の検出情報、並びに、温度差流量関係情報及び流量駆動条件関係情報に基づいて求めて、循環ポンプ10の駆動出力(ポンプ出力)が目標駆動出力(目標ポンプ出力)となるように、ポンプ駆動回路10Aを作動させれば、貯湯槽8の供給される湯水の温度が目標温度(例えば、65℃)に調整されるものであるが、制御誤差等により、貯湯槽8に供給される湯水の温度が目標温度(例えば、65℃)からずれている場合には、運転制御部Hが、温水側センサ16にて検出される湯水の温度が目標温度(例えば、65℃)になるように、目標駆動出力(目標ポンプ出力)を補正することになる。
【0074】
ちなみに、運転制御部Hは、排熱回収式貯湯処理を行う際には、例えば、温水側センサ16にて検出される湯水の温度が目標温度(例えば、65℃)になるように、循環ポンプ10の駆動出力(ポンプ出力)を調整する制御を実行することになる。
尚、ヒータ熱回収式貯湯処理を実行する際に求められる循環ポンプ10の駆動出力(ポンプ出力)は、排熱回収式貯湯処理を行う際に求められる循環ポンプ10の駆動出力(ポンプ出力)よりも小さいものとなる。
【0075】
運転制御部Hは、冷水側センサ15の検出温度が目標温度(例えば、65℃)になることにより、貯湯槽8の湯水の全体(全量)が目標温度(例えば、65℃)になったことが検出されると、ヒータ熱回収式貯湯処理を停止することになる。
ちなみに、貯湯槽8の底部側の湯水の温度を検出する温度センサを設けて、この温度センサが目標温度(例えば、65℃)を検出することにより、貯湯槽8の湯水の全量が目標温度になったことを検出させるようにしてもよい。
【0076】
また、運転制御部Hは、ヒータ熱回収式貯湯処理を停止した後において、出湯路11に設けた通流センサ(図示せず)にて湯水の通流が検出されること等により、貯湯槽8の湯水が消費されたことを判別すると、ヒータ熱回収式貯湯処理を再開して、貯湯槽8の湯水の全量が目標温度(例えば、65℃)になる状態を維持することになる。
【0077】
さらに、運転制御部Hは、ヒータ熱回収式貯湯処理を停止した後において、貯湯槽8の湯水が消費されない状態の経過時間が設定時間(例えば、3時間)を経過する毎に、循環ポンプ10を作動させて、冷水側センサ15の検出温度が目標温度(例えば、65℃)よりも設定温度(例えば、5℃)低い状態であることを判別すると、ヒータ熱回収式貯湯処理を再開して、貯湯槽8の湯水の全量が目標温度(例えば、65℃)になる状態を維持する保温運転を実行することになる。
【0078】
(追加の実施形態)
上述の実施形態では、運転制御部Hが、冷水側センサ15の検出温度が目標温度(例えば、65℃)になることにより、貯湯槽8の湯水の全体(全量)が目標温度になったことが検出されると、ヒータ熱回収式貯湯処理を停止する形態を例示したが、次に述べるように構成してもよい。
【0079】
すなわち、この追加の実施形態では、運転制御部Hが、ヒータ熱回収式貯湯処理にて貯湯槽8の湯水の全体(全量)が目標温度になると、当該ヒータ熱回収式貯湯処理に続いて、貯湯槽8の湯水を目標温度よりも高温に加熱すべく、凍結防止用ヒータ13及び循環ポンプ10を継続して作動させるヒータ熱回収式高温加熱処理を実行するように構成されている。
【0080】
この追加の実施形態においては、ヒータ熱回収式高温加熱処理の循環ポンプ10の目標駆動出力(目標ポンプ出力)を、例えば、循環ポンプ10の駆動効率が高い設定出力に定めて、貯湯槽8の湯水の温度を徐々に上昇させるように構成されている。
ちなみに、ヒータ熱回収式高温加熱処理にて貯湯槽8の湯水の温度を徐々に上昇させるにあたり、現在の温度から設定温度(例えば、10℃)上昇させるのに適する循環ポンプ10の目標駆動出力(目標ポンプ出力)を、冷水側センサ15の検出情報、並びに、温度差流量関係情報及び流量駆動条件関係情報に基づいて求める形態で実施してもよい。
尚、ヒータ熱回収式高温加熱処理にて加熱する最終目標温度(例えば、90℃)を定めて、ヒータ熱回収式高温加熱処理の循環ポンプ10の目標駆動出力(目標ポンプ出力)を、冷水側センサ15の検出情報、並びに、温度差流量関係情報及び流量駆動条件関係情報に基づいて求める形態で実施することも考えられる。
【0081】
また、運転制御部Hが、貯湯槽8の湯水の全量が設定上限温度(例えば、90℃)になると、ヒータ熱回収式高温加熱処理を停止するように構成されている。
つまり、冷水側センサ15の検出温度が設定上限温度(例えば、90℃)になることにより、貯湯槽8の湯水の全量が設定上限温度(例えば、90℃)になったことが検出されると、ヒータ熱回収式高温加熱処理が停止される。
ちなみに、貯湯槽8の底部側の湯水の温度を検出する温度センサを設けて、この温度センサが設定上限温度(例えば、90℃)を検出することにより、貯湯槽8の湯水の全量が設定上限温度(例えば、90℃)になったことを検出させるようにしてもよい。
【0082】
尚、ヒータ熱回収式高温加熱処理の実行中において、冷水側センサ15が設定上限温度(例えば、90℃)よりも高い高温エラー温度(例えば、95℃)以上の高温を検出した場合には、安全性を担保するために、運転制御部Hが、ヒータ熱回収式高温加熱処理を停止するように構成されている。
【0083】
また、運転制御部Hが、貯湯槽8の湯水の温度の上昇速度が設定速度以下になると、ヒータ熱回収式高温加熱処理を停止するように構成されている。
つまり、凍結防止用ヒータ13による湯水の加熱効率は、湯水の温度が高くなるに伴って低下することになるから、貯湯槽8の湯水の温度の上昇速度が設定速度以下になると、ヒータ熱回収式高温加熱処理を停止することにより、凍結防止用ヒータ13による加熱効率が低下した状態で当該凍結防止用ヒータ13を作動させることを回避して、無駄な電力消費を抑制するように構成されている。
【0084】
貯湯槽8の湯水の温度の上昇速度は、冷水側センサ15の検出温度の変化と経過時間とから検出することができる。
例えば、ヒータ熱回収式貯湯処理に続いてヒータ熱回収式高温加熱処理を実行した直後においては、貯湯槽8の湯水の全体(全量)が昇温(加熱)されるまで、冷水側センサ15の検出温度は、目標温度(例えば、65℃)を維持することになる。
【0085】
その後、ヒータ熱回収式高温加熱処理にて昇温(加熱)された湯水が貯湯槽8の底部から流動すると、冷水側センサ15にて、目標温度(例えば、65℃)よりも高温のヒータ熱回収式高温加熱処理にて加熱された湯水の温度(以下、加熱温度と呼称)が検出されることになる。
従って、加熱温度と目標温度(例えば、65℃)との温度差を、目標温度(例えば、65℃)から加熱温度になるまでの経過時間にて除算することにより、貯湯槽8の湯水の温度の上昇速度(単位温度を上昇させるに必要とする時間)を求めることができる。
【0086】
尚、加熱温度は、貯湯槽8の湯水の全量が加熱される毎に、段階的に上昇することになるから、上昇後の加熱温度と上昇前の加熱温度との温度を、上昇前の加熱温度から上昇後の加熱温度になるまでの経過時間にて除算することにより、貯湯槽8の湯水の温度の上昇速度(単位温度を上昇させるに必要とする時間)を求めることができる。
【0087】
このように、ヒータ熱回収式貯湯処理に続いてヒータ熱回収式高温加熱処理を実行することにより、貯湯槽8には、目標温度よりも高温の湯水が貯湯されることになり、貯湯槽8での蓄熱量が増加することになり、貯湯槽8にて貯湯された湯水を用いて湯水消費部に供給する出湯量を増加させることができる。
【0088】
次に、この追加の実施形態における運転制御部Hの制御作動を
図4のフローチャートに基づいて説明する。
先ず、リモコンRにてヒータ熱回収式貯湯処理の実行が指令されたか否かを判別し(#1)、指令されていない場合には、指令されるまで待機する。
#1の処理にて、指令されていると判別した場合には、次に、燃料電池式発電モジュールMの停止状態であるか否か、つまり、燃料ガスの供給が停止している状態であるか否かを判別し(#2)、燃料ガスの供給が停止していない場合には、#1の処理に移行する。
【0089】
#2の処理にて、燃料ガスの供給が停止している状態であると判別した場合には、ヒータ熱回収式貯湯処理を実行する(#3)。
その後、貯湯槽8の湯水の全体(全量)が目標温度(例えば、65℃)であるか否かを判別し(#4)、湯水の全体(全量)が目標温度(例えば、65℃)でない場合には、ヒータ熱回収式貯湯処理を継続する。
【0090】
#4の処理にて、貯湯槽8の湯水の全体(全量)が目標温度(例えば、65℃)であると判別した場合には、続いて、ヒータ熱回収式高温加熱処理を実行する(#5)。
その後、貯湯槽8の湯水の全体(全量)が設定上限温度以上(例えば、90℃以上)であるか否かを判別し(#6)、湯水の全体(全量)が設定上限温度以上(例えば、90℃以上)である場合には、ヒータ熱回収式高温加熱処理を停止するために凍結防止用ヒータ13及び循環ポンプ10の作動を停止させる(#8)。
【0091】
#6の処理にて、湯水の全量が設定上限温度以上(例えば、90℃以上)でないと判別した場合には、次に、貯湯槽8の湯水の温度の上昇速度が設定速度以下であるか否かを判別し(#7)、湯水の温度の上昇速度が設定速度以下である場合には、#8の処理に移行して、凍結防止用ヒータ13及び循環ポンプ10の作動を停止させる。
【0092】
#7の処理にて、貯湯槽8の湯水の温度の上昇速度が設定速度以下でないと判別した場合には、#5のヒータ熱回収式高温加熱処理を継続することになる。
【0093】
ちなみに、上記フローチャートでは記載を省略するが、この追加の実施形態において、ヒータ熱回収式高温加熱処理を停止した後において、出湯路11に設けた通流センサ(図示せず)にて湯水の通流が検出されること等により、貯湯槽8の湯水が消費されたことを判別すると、ヒータ熱回収式高温処理を再開させてもよい。
【0094】
また、ヒータ熱回収式高温加熱処理を停止した後において、貯湯槽8の湯水が消費されない状態の経過時間が設定時間(例えば、3時間)を経過する毎に、循環ポンプ10を作動させて、冷水側センサ15の検出温度が目標温度(例えば、65℃)よりも高く且つ設定上限温度(例えば、90℃)よりも低い設定開始温度(例えば、80℃)以下であることを判別すると、ヒータ熱回収式高温加熱処理を再開させてもよい。
【0095】
また、ヒータ熱回収式高温加熱処理の実行中において、出湯路11に設けた通流センサ(図示せず)にて湯水の通流が検出されること等により、貯湯槽8の湯水の消費が開始されたことを判別すると、ヒータ熱回収式高温加熱処理の実行を一旦停止し、貯湯槽8の湯水の消費が終了したときに、ヒータ熱回収式高温加熱処理を再開させてもよいが、貯湯槽8の湯水の消費中においても、ヒータ熱回収式高温加熱処理を継続させるようにしてもよい。
【0096】
〔別実施形態〕
次に、別実施形態を列記する。
(1)上記実施形態においては、発電部として、燃料電池式発電モジュールMを例示したが、発電部として、発電機を駆動するガスエンジンを設ける形態で実施してもよい。
【0097】
(2)上記実施形態においては、燃料電池式の発電部として、固体酸化物形の燃料電池セルを備える燃料電池式発電モジュールMを例示したが、燃料電池式の発電部として、固体高分子形の燃料電池セルを備える燃料電池式の発電部を設ける形態で実施してもよい。
【0098】
(3)上記実施形態においては、ヒータ熱回収式貯湯処理を実行する際に、凍結防止用ヒータ13を、定格出力にて駆動させる場合を例示したが、凍結防止用ヒータ13の出力を増減させてもよく、又、凍結防止用ヒータ13の出力を定格出力よりも増大させることができる場合には、凍結防止用ヒータ13を最大出力にて駆動させるようにしてもよい。
【0099】
(4)上記実施形態においては、外気温度が設定温度未満になると、凍結防止運転処理を実行する凍結防止運転条件が満たされたと判別する場合を例示したが、循環路9を形成する管路の温度が設定温度未満になると、凍結防止運転処理を実行する凍結防止運転条件が満たされたと判別する形態で実施してもよい。
【0100】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0101】
4 外部電源
8 貯湯槽
9 循環路
10 循環ポンプ
13 凍結防止用ヒータ
15 温度センサ
H 運転制御部
M 発電部
N 排熱回収熱交換部
R 操作指令部