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特許7345373保持装置、制御方法、制御装置及びロボットシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】保持装置、制御方法、制御装置及びロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/06 20060101AFI20230908BHJP
   B25J 17/02 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
B25J15/06 A
B25J17/02 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019216155
(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公開番号】P2021084199
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大内 哲志
(72)【発明者】
【氏名】高橋 侑愛
(72)【発明者】
【氏名】平田 和範
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-255814(JP,A)
【文献】特開平8-337329(JP,A)
【文献】国際公開第2015/033465(WO,A1)
【文献】特開2013-52925(JP,A)
【文献】実開昭62-157728(JP,U)
【文献】特開平7-206211(JP,A)
【文献】特開2021-53755(JP,A)
【文献】特表2011-529351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/06
B25J 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する板状部材を保持する保持装置であって、
前記板状部材を吸着する第1吸着部と、
前記板状部材を吸着し且つ回動及び移動可能である第2吸着部と、
前記第2吸着部を回動させる回動装置と、
前記第2吸着部を移動させる移動装置とを備え、
前記第1吸着部及び前記第2吸着部が前記板状部材を吸着し保持しているとき、前記回動装置は、前記第1吸着部と異なる方向を向くように前記第2吸着部を回動させることで、前記板状部材を捻じり、前記移動装置は、前記第1吸着部及び前記第2吸着部の並び方向に対して後退するように前記第2吸着部を移動させることで、前記板状部材を曲げるように構成される
保持装置。
【請求項2】
前記板状部材を捻じるとき、前記移動装置は、前記第1吸着部に近づけるように前記第2吸着部を移動させることで、前記板状部材を撓ませるように構成される
請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
前記板状部材を捻じるとき、前記移動装置は、前記第2吸着部を前記第1吸着部よりも上方へ移動させるように構成される
請求項1または2に記載の保持装置。
【請求項4】
前記第1吸着部は第1ロボットアームに配置され、
前記第2吸着部は第2ロボットアームに配置され、
前記第2ロボットアームは前記移動装置として機能する
請求項1~3のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項5】
前記第1吸着部及び前記第2吸着部は、1つのロボットアームに配置される
請求項1~3のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項6】
第1吸着部を備える第1ロボットアームと、回動装置によって回動可能な第2吸着部を備える第2ロボットアームとを用いて可撓性を有する板状部材を搬送するための制御方法であって、
前記第1ロボットアームを動作させ、前記第1吸着部に前記板状部材を吸着させることと、
前記第2ロボットアームを動作させ、前記第2吸着部に前記板状部材を吸着させることと、
前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームを動作させ、吸着されている前記板状部材を持ち上げ移動させることと、
前記第2ロボットアームを動作させ、前記第1吸着部及び前記第2吸着部の並び方向に対して前記第2吸着部を後退させることと、
前記回動装置を動作させ、前記第1吸着部と異なる方向を向くように前記第2吸着部を回動させることと、
前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームを動作させ、前記第2吸着部の回動により捻じられた前記板状部材を移動させることで、前記第1吸着部によって吸着されている前記板状部材の部位を搬送先に導入することとを含む
制御方法。
【請求項7】
前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームを動作させ、前記板状部材の位置を検出するセンサに、吸着されている前記板状部材を検知させることと、
前記センサの検出結果に基づき、前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームを動作させ、前記搬送先に対して前記板状部材の位置を調節することとをさらに含む
請求項に記載の制御方法。
【請求項8】
前記第2吸着部は、支持部及び基部を介して前記第2ロボットアームに取り付けられ、
前記支持部は、前記第2吸着部を支持し、
前記基部は、前記支持部と回動可能に連結され且つ前記第2ロボットアームに取り付けられ、
前記回動装置は、前記支持部を回動させる
請求項またはに記載の制御方法。
【請求項9】
前記基部は、前記第2ロボットアームの先端の回動可能な端部リンクに取り付けられ、
前記支持部の回動軸の方向は、前記端部リンクの回動軸の方向と交差する方向である
請求項に記載の制御方法。
【請求項10】
前記第2吸着部は、前記回動装置としての第2回動装置によって回動され、
前記第1吸着部は、回動可能であり且つ第1回動装置によって回動される
請求項のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項11】
請求項10のいずれか一項に記載の制御方法を実行する制御装置。
【請求項12】
第1ロボットアームと、
第2ロボットアームと、
前記第1ロボットアームに配置される第1吸着部と、
前記第2ロボットアームに配置され且つ回動可能である第2吸着部と、
前記第2吸着部を回動させる回動装置と、
前記第1ロボットアーム、前記第2ロボットアーム及び前記回動装置の動作を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームを動作させることで、前記第1吸着部及び前記第2吸着部によって可撓性を有する板状部材を吸着させて保持し、
前記板状部材を保持しているとき、前記第2ロボットアームを動作させ、前記第1吸着部及び前記第2吸着部の並び方向に対して前記第2吸着部を後退させることで、前記板状部材を曲げ、前記回動装置に、前記第1吸着部と異なる方向を向くように前記第2吸着部を回動させることで、前記板状部材を捻じり、
前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームを動作させ、捻じられた前記板状部材を移動させることで、前記第1吸着部によって吸着されている前記板状部材の部位を搬送先に導入する
ロボットシステム。
【請求項13】
ロボットアームと、
前記ロボットアームに配置される第1吸着部と、
前記ロボットアームに配置され且つ回動可能である第2吸着部と、
前記第2吸着部を回動させる回動装置と、
前記第2吸着部を移動させる移動装置と、
前記ロボットアーム、前記回動装置及び前記移動装置の動作を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記ロボットアームを動作させることで、前記第1吸着部及び前記第2吸着部によって可撓性を有する板状部材を吸着させて保持し、
前記板状部材を保持しているとき、前記移動装置に、前記第1吸着部及び前記第2吸着部の並び方向に対して前記第2吸着部を後退させることで、前記板状部材を曲げ、前記回動装置に、前記第1吸着部と異なる方向を向くように前記第2吸着部を回動させることで、前記板状部材を捻じり、
前記ロボットアームを動作させ、捻じられた前記板状部材を移動させることで、前記第1吸着部によって吸着されている前記板状部材の部位を搬送先に導入する
ロボットシステム。
【請求項14】
前記板状部材の位置を検出し且つ検出結果を前記制御装置に出力するセンサをさらに備え、
前記制御装置は、前記センサの検出結果に基づき、前記第1吸着部及び前記第2吸着部に対する前記板状部材の相対位置を検出し、前記相対位置に基づき、前記搬送先に対する前記板状部材の位置を制御する
請求項12または13に記載のロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、保持装置、制御方法、制御装置及びロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットは、人の作業を代替するために用いられてきた。例えば、特許文献1は、食品の箱詰め等のための保持装置を備えたロボットを開示している。特許文献1のロボットは、右ハンド部を有する右アームと、左ハンド部を有する左アームとを備える。右ハンド部は、食品を保持し且つ当該食品の姿勢を変更可能であるように構成され、右アームは、右ハンド部に保持された食品を所定の位置に供給する。左ハンド部は、供給された複数の食品を所定方向に重ねて保持するように構成され、左アームは、左ハンド部に保持された複数の食品を容器に収容する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-94712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の右ハンド部及び左ハンド部は、別々の食品を保持しそれぞれの食品に対して異なる作業を行う。しかしながら、ロボットには、1つの対象物に対して、2つのハンド部等によって2つの位置で保持することが要求される場合がある。さらに、2つの位置で保持された対象物に対して作用を加えることが要求される場合がある。
【0005】
本開示は、対象物を2つの位置で保持し且つ作用を加えることができる保持装置、制御方法、制御装置及びロボットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る保持装置は、可撓性を有する板状部材を保持する保持装置であって、前記板状部材を吸着する第1吸着部と、前記板状部材を吸着し且つ回動及び移動可能である第2吸着部と、前記第2吸着部を回動させる回動装置と、前記第2吸着部を移動させる移動装置とを備え、前記第1吸着部及び前記第2吸着部が前記板状部材を吸着し保持しているとき、前記回動装置は、前記第1吸着部と異なる方向を向くように前記第2吸着部を回動させることで、前記板状部材を捻じり、前記移動装置は、前記第1吸着部及び前記第2吸着部の並び方向に対して後退するように前記第2吸着部を移動させることで、前記板状部材を曲げるように構成される。
【発明の効果】
【0007】
本開示の技術によれば、対象物を2つの位置で保持し且つ作用を加えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係るロボットシステムの一例を示す斜視図
図2】実施の形態に係るロボットの構成の一例を示す側面図
図3】実施の形態に係るエンドエフェクタの構成の一例を示す側面図
図4】実施の形態に係る圧着装置を内方から外方に向かって見た構成の一例を示す斜視図
図5】実施の形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図
図6】実施の形態に係る制御装置の機能的構成の一例を示すブロック図
図7】実施の形態に係るロボットシステムの動作の一例を示すフローチャート
図8図7のフローチャートに従った動作中のロボットシステムの状態の一例を示す斜視図
図9図7のフローチャートに従った動作中のロボットシステムの状態の一例を示す斜視図
図10図7のフローチャートに従った動作中のロボットシステムの状態の一例を示す斜視図
図11図7のフローチャートに従った動作中のロボットシステムの状態の一例を示す斜視図
図12図7のフローチャートに従った動作中のロボットシステムの状態の一例を示す斜視図
図13図7のフローチャートに従った動作中のロボットシステムの状態の一例を示す斜視図
図14】変形例に係るエンドエフェクタの構成の一例を示す斜視図
図15】変形例に係るエンドエフェクタの構成の一例を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず、本開示の態様例を説明する。本開示の一態様に係る保持装置は、可撓性を有する板状部材を保持する保持装置であって、前記板状部材を吸着する第1吸着部と、前記板状部材を吸着し且つ回動及び移動可能である第2吸着部と、前記第2吸着部を回動させる回動装置と、前記第2吸着部を移動させる移動装置とを備え、前記第1吸着部及び前記第2吸着部が前記板状部材を吸着し保持しているとき、前記回動装置は、前記第1吸着部と異なる方向を向くように前記第2吸着部を回動させることで、前記板状部材を捻じり、前記移動装置は、前記第1吸着部及び前記第2吸着部の並び方向に対して後退するように前記第2吸着部を移動させることで、前記板状部材を曲げるように構成される。
【0010】
上記態様によると、第1吸着部及び第2吸着部は、2つの位置での保持部分である第1保持部分及び第2保持部分で板状部材を吸着することで当該板状部材を一緒に保持することができる。さらに、保持された状態の板状部材は、第2吸着部によって、捻じりの作用と第2保持部分を後退移動させる作用とを受け、これにより、第1保持部分が第2保持部分よりも後退方向と反対方向に突出する。そして、上記のような作用は、板状部材に与える負荷を抑えることが可能である。よって、保持装置は、対象物である板状部材を2つの位置で保持し且つ作用を加えることを可能にする。また、例えば、突出した第1保持部分が加工装置等の搬送先に導入される場合、板状部材の他の部分及び第2吸着部と搬送先との干渉が抑えられる。
【0011】
本開示の一態様に係る保持装置において、前記板状部材を捻じるとき、前記移動装置は、前記第1吸着部に近づけるように前記第2吸着部を移動させることで、前記板状部材を撓ませるように構成されてもよい。上記態様によると、板状部材が撓ませされるため、板状部材に対する捻じり及び第2保持部分の移動の際、板状部材の負荷が抑えられる。
【0012】
本開示の一態様に係る保持装置において、前記板状部材を捻じるとき、前記移動装置は、前記第2吸着部を前記第1吸着部よりも上方へ移動させるように構成されてもよい。上記態様によると、第1保持部分が搬送先に導入され載置される場合、第2保持部分が載置面と干渉することが抑えられる。
【0013】
本開示の一態様に係る保持装置において、前記第1吸着部は第1ロボットアームに配置され、前記第2吸着部は第2ロボットアームに配置され、前記第2ロボットアームは前記移動装置として機能してもよい。上記態様によると、第2ロボットアームによる第2吸着部の自在な移動が可能になる。
【0014】
本開示の一態様に係る保持装置において、前記第1吸着部及び前記第2吸着部は、1つのロボットアームに配置されてもよい。上記態様によると、ロボットアームによる第1吸着部及び第2吸着部の自在な移動が可能になる。さらに、1つのロボットアームに配置された保持装置により、板状部材に対する捻じり等の作用の付与が可能になる。
【0015】
本開示の一態様に係る保持装置は、前記第2吸着部を支持する支持部と、前記支持部と回動可能に連結され且つ前記ロボットアームに取り付けられる基部とをさらに備え、前記回動装置は、前記支持部を回動させてもよい。上記態様によると、ロボットアームに対して第2吸着部を回動させることが可能になる。例えば、ロボットアームが静止した状態での第2吸着部の回動が可能である。
【0016】
本開示の一態様に係る保持装置において、前記基部は、前記ロボットアームの先端の回動可能な端部リンクに取り付けられ、前記支持部の回動軸の方向は、前記端部リンクの回動軸の方向と交差する方向であってもよい。上記態様によると、端部リンクの回動軸周りの回動と支持部の回動軸周りの回動とにより、第2吸着部は様々な姿勢をとることができる。
【0017】
本開示の一態様に係る保持装置は、前記第2吸着部を回動させる前記回動装置としての第2回動装置と、前記第1吸着部を回動させる第1回動装置とをさらに備え、前記第1吸着部は回動可能であってもよい。上記態様によると、第1吸着部及び第2吸着部の回動により、様々な姿勢の板状部材の保持と、保持されている板状部材の姿勢の様々な変更とが可能になる。
【0018】
本開示の一態様に係る制御方法は、第1吸着部を備える第1ロボットアームと、回動装置によって回動可能な第2吸着部を備える第2ロボットアームとを用いて可撓性を有する板状部材を搬送するための制御方法であって、前記第1ロボットアームを動作させ、前記第1吸着部に前記板状部材を吸着させることと、前記第2ロボットアームを動作させ、前記第2吸着部に前記板状部材を吸着させることと、前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームを動作させ、吸着されている前記板状部材を持ち上げ移動させることと、前記第2ロボットアームを動作させ、前記第1吸着部及び前記第2吸着部の並び方向に対して前記第2吸着部を後退させることと、前記回動装置を動作させ、前記第1吸着部と異なる方向を向くように前記第2吸着部を回動させることと、前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームを動作させ、前記第2吸着部の回動により捻じられた前記板状部材を移動させることで、前記第1吸着部によって吸着されている前記板状部材の部位を搬送先に導入することとを含む。
【0019】
上記態様によると、第1及び第2ロボットアームはそれぞれ、第1及び第2吸着部を介して板状部材を保持し、当該板状部材の保持部分を移動させ且つ当該板状部材を捻じる作用を当該板状部材に加えることができる。さらに、第1及び第2ロボットアームは、当該板状部材の第1保持部分を、当該板状部材の他の部分及び第2吸着部と搬送先との干渉を抑えつつ、当該搬送先に導入することができる。
【0020】
本開示の一態様に係る制御方法は、前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームを動作させ、前記板状部材の位置を検出するセンサに、吸着されている前記板状部材を検知させることと、前記センサの検出結果に基づき、前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームを動作させ、前記搬送先に対して前記板状部材の位置を調節することとをさらに含んでもよい。上記態様によると、第1及び第2吸着部に対する板状部材の位置の検出が可能になる。これにより、第1及び第2ロボットアームを用いた搬送先に対する板状部材の位置決めの精度を向上することが可能になる。
【0021】
本開示の一態様に係る制御方法において、前記第2吸着部は、支持部及び基部を介して前記第2ロボットアームに取り付けられ、前記支持部は、前記第2吸着部を支持し、前記基部は、前記支持部と回動可能に連結され且つ前記第2ロボットアームに取り付けられ、前記回動装置は、前記支持部を回動させてもよい。上記態様によると、第2ロボットアームに対して第2吸着部を回動させることが可能になる。例えば、第2ロボットアームが静止した状態での第2吸着部の回動が可能である。
【0022】
本開示の一態様に係る制御方法において、前記基部は、前記第2ロボットアームの先端の回動可能な端部リンクに取り付けられ、前記支持部の回動軸の方向は、前記端部リンクの回動軸の方向と交差する方向であってもよい。上記態様によると、端部リンクの回動軸周りの回動と支持部の回動軸周りの回動とにより、第2吸着部に様々な姿勢をとらせることができる。
【0023】
本開示の一態様に係る制御方法において、前記第2吸着部は、前記回動装置としての第2回動装置によって回動され、前記第1吸着部は、回動可能であり且つ第1回動装置によって回動されてもよい。上記態様によると、第1吸着部及び第2吸着部の回動により、様々な姿勢の板状部材の保持と、保持されている板状部材の姿勢の様々な変更とが可能になる。
【0024】
本開示の一態様に係る制御方法において、前記搬送先は、前記板状部材に電子部品を圧着する圧着装置であってもよい。上記態様によると、板状部材の第1保持部分への電子部品の圧着が可能になる。よって、基板の加工への適用が可能になる。
【0025】
本開示の一態様に係る制御装置は、本開示の一態様に係る制御方法を実行する制御装置である。上記態様によると、本開示の一態様に係る制御方法と同様の効果が得られる。
【0026】
本開示の一態様に係るロボットシステムは、第1ロボットアームと、第2ロボットアームと、前記第1ロボットアームに配置される第1吸着部と、前記第2ロボットアームに配置され且つ回動可能である第2吸着部と、前記第2吸着部を回動させる回動装置と、前記第1ロボットアーム、前記第2ロボットアーム及び前記回動装置の動作を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームを動作させることで、前記第1吸着部及び前記第2吸着部によって可撓性を有する板状部材を吸着させて保持し、前記板状部材を保持しているとき、前記第2ロボットアームを動作させ、前記第1吸着部及び前記第2吸着部の並び方向に対して前記第2吸着部を後退させることで、前記板状部材を曲げ、前記回動装置に、前記第1吸着部と異なる方向を向くように前記第2吸着部を回動させることで、前記板状部材を捻じり、前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームを動作させ、捻じられた前記板状部材を移動させることで、前記第1吸着部によって吸着されている前記板状部材の部位を搬送先に導入する。上記態様によると、本開示の一態様に係る制御方法と同様の効果が得られる。
【0027】
本開示の一態様に係るロボットシステムは、ロボットアームと、前記ロボットアームに配置される第1吸着部と、前記ロボットアームに配置され且つ回動可能である第2吸着部と、前記第2吸着部を回動させる回動装置と、前記第2吸着部を移動させる移動装置と、前記ロボットアーム、前記回動装置及び前記移動装置の動作を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記ロボットアームを動作させることで、前記第1吸着部及び前記第2吸着部によって可撓性を有する板状部材を吸着させて保持し、前記板状部材を保持しているとき、前記移動装置に、前記第1吸着部及び前記第2吸着部の並び方向に対して前記第2吸着部を後退させることで、前記板状部材を曲げ、前記回動装置に、前記第1吸着部と異なる方向を向くように前記第2吸着部を回動させることで、前記板状部材を捻じり、前記ロボットアームを動作させ、捻じられた前記板状部材を移動させることで、前記第1吸着部によって吸着されている前記板状部材の部位を搬送先に導入する。上記態様によると、本開示の一態様に係る制御方法と同様の効果が得られる。
【0028】
本開示の一態様に係るロボットシステムは、前記板状部材の位置を検出し且つ検出結果を前記制御装置に出力するセンサをさらに備え、前記制御装置は、前記センサの検出結果に基づき、前記第1吸着部及び前記第2吸着部に対する前記板状部材の相対位置を検出し、前記相対位置に基づき、前記搬送先に対する前記板状部材の位置を制御してもよい。上記態様によると、ロボットシステムは、第1及び第2吸着部に対する板状部材の位置を検出することができる。これにより、ロボットシステムは、ロボットアームを用いて、搬送先に対して板状部材を高い精度で位置決めすることができる。
【0029】
本開示の一態様に係るロボットシステムにおいて、前記第2吸着部は、支持部及び基部を介して前記ロボットアームに取り付けられ、前記支持部は、前記第2吸着部を支持し、前記基部は、前記支持部と回動可能に連結され且つ前記ロボットアームに取り付けられ、前記回動装置は、前記支持部を回動させてもよい。上記態様によると、ロボットシステムは、ロボットアームに対して第2吸着部を回動させることができる。例えば、ロボットアームが静止した状態での第2吸着部の回動が可能である。
【0030】
本開示の一態様に係るロボットシステムにおいて、前記基部は、前記ロボットアームの先端の回動可能な端部リンクに取り付けられ、前記支持部の回動軸の方向は、前記端部リンクの回動軸の方向と交差する方向であってもよい。上記態様によると、ロボットシステムは、端部リンクの回動軸周りの回動と支持部の回動軸周りの回動とにより、第2吸着部に様々な姿勢をとらせることができる。
【0031】
本開示の一態様に係るロボットシステムは、前記第2吸着部を回動させる前記回動装置としての第2回動装置と、前記第1吸着部を回動させる第1回動装置とをさらに備え、前記第1吸着部は回動可能であってもよい。上記態様によると、ロボットシステムは、第1吸着部及び第2吸着部を回動させることにより、様々な姿勢の板状部材の保持と、保持されている板状部材の姿勢の様々な変更とを可能にする。
【0032】
本開示の一態様に係るロボットシステムは、前記搬送先であり且つ前記板状部材に電子部品を圧着する圧着装置をさらに備え、前記制御装置は、前記ロボットアームによる前記圧着装置への前記板状部材の導入動作と連動させて、前記圧着装置の動作を制御してもよい。上記態様によると、ロボットシステムは、圧着装置への板状部材の搬送及び導入の動作と、当該圧着装置での当該板状部材への圧着動作とを、一連の動作として円滑に連動させて実施することを可能にする。
【0033】
(実施の形態)
以下において、本開示の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、添付の図面における各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものでない。さらに、各図において、実質的に同一の構成要素に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。また、本明細書及び特許請求の範囲では、「装置」とは、1つの装置を意味し得るだけでなく、複数の装置からなるシステムも意味し得る。
【0034】
[ロボットシステムの構成]
実施の形態に係るロボットシステム1の構成を説明する。図1は、実施の形態に係るロボットシステム1の一例を示す斜視図である。図1に示すように、実施の形態に係るロボットシステム1は、ロボット100と、位置検出装置200と、圧着装置300と、搬送装置400及び500と、制御装置600とを備える。本実施の形態では、ロボット100は、第2作業場所WS2に配置され、可撓性を有する板状部材の一例である基材Wに電気回路が形成された基板(「FPC(フレキシブルプリント基板)」とも呼ばれる)を生成する工程の1つを行うものとして、以下の説明を行う。当該工程では、ロボットシステム1は、ロボット100に、他の作業工程が行われる第1作業場所WS1から搬送された基材Wを、搬送先である圧着装置300に導入させ、圧着装置300により電子部品の圧着加工を受けた基材Wを、他の作業工程が行われる第3作業場所WS3に送り出させる。ロボットシステム1が備えるロボット100、位置検出装置200、圧着装置300、搬送装置400及び500それぞれの数量は、図1のように1つに限定されず、いかなる数量でもよい。
【0035】
FPCの基材Wは、例えば、絶縁性のベースフィルムの上に接着層を介して導電性の導体が貼り合された構成を有する。ベースフィルムは、ポリイミド又はポリエステル等のプラスチックで構成され、接着層は、エポキシ樹脂系若しくはアクリル樹脂系の接着剤又はプリプレグ等で構成され、導体は、銅箔又は銀箔等で構成される。なお、ロボットシステム1が扱う対象物は、FPCの基材Wに限定されず、可撓性を有する板状部材であればよい。ロボットシステム1は板状部材を搬送するように構成されればよい。
【0036】
制御装置600は、ロボットシステム1の全体を制御する。具体的には、制御装置600は、ロボット100、位置検出装置200、圧着装置300、並びに搬送装置400及び500を、これらの動作を連携させて制御する。例えば、制御装置600は、コンピュータ装置を含む。
【0037】
図2は、実施の形態に係るロボット100の構成の一例を示す側面図である。図2に示すように、本実施の形態では、ロボット100は産業用ロボットであるが、これに限定されない。ロボット100は、エンドエフェクタ110A及び110Bと、ロボットアーム120A及び120Bと、基台130とを備える。エンドエフェクタ110A及び110Bは、基材Wに作用を加え、ロボットアーム120A及び120Bはそれぞれ、当該作用を実行するようにエンドエフェクタ110A及び110Bを動かす。ロボットアーム120A及び120Bは基台130によって回動可能に支持される。ロボット100は、基台130を移動させる装置を備えてもよい。
【0038】
ロボットアーム120A及び120Bは、それぞれの先端のエンドエフェクタ110A及び110Bを動かすことができる構成を有すれば、特に限定されないが、本実施の形態では、水平多関節型アームである。ロボットアーム120A及び120Bは、例えば、垂直多関節型、極座標型、円筒座標型、直角座標型、又はその他の型式のロボットアームであってもよい。ロボットアーム120A及び120Bは、鉛直方向の第1軸S1を中心とする同軸上で水平面内で回動可能である。第1ロボットアーム120Aは第2ロボットアーム120Bに対して第1軸S1の方向に下方へずらして配置される。よって、ロボット100は、同軸双腕ロボットを構成する。ロボットアーム120A及び120Bは移動装置の一例である。
【0039】
第1ロボットアーム120Aは、リンク121A~124Aと、関節JTA1~JTA4と、アーム駆動装置MA1~MA4とを含む。第2ロボットアーム120Bは、リンク121B~124Bと、関節JTB1~JTB4と、アーム駆動装置MB1~MB4とを含む。アーム駆動装置MA1~MA4及びMB1~MB4は、電力を動力源として電気モータ等を含み、本実施の形態ではサーボモータを含む。アーム駆動装置MA1~MA4及びMB1~MB4はそれぞれ、制御装置600による制御のもと、関節JTA1~JTA4及びJTB1~JTB4を駆動する。よって、ロボットアーム120A及び120Bは互いから独立して動作する。なお、ロボットアーム120A及び120Bの関節の数量は、4つに限定されず、5つ以上又は3つ以下であってもよい。
【0040】
リンク121A及び121Bはそれぞれ、回転関節JTA1及びJTB1を介して、第1軸S1を中心に水平面内で回動可能に基台130と接続される。リンク122A及び122Bはそれぞれ、回転関節JTA2及びJTB2を介して、鉛直方向の第2軸S2a及びS2bを中心に水平面内で回動可能にリンク121A及び121Bの先端と接続される。リンク123A及び123Bはそれぞれ、直動関節JTA3及びJTB3を介して、鉛直方向の第3軸S3a及びS3bに沿って昇降可能にリンク122A及び122Bの先端と接続される。リンク124A及び124Bはそれぞれ、回転関節JTA4及びJTB4を介して、リンク123A及び123Bの長手方向の第4軸S4a及びS4bを中心に回動可能にリンク123A及び123Bの下端と接続される。第4軸S4a及びS4bは、鉛直方向の軸である。リンク124A及び124Bはそれぞれ、エンドエフェクタ110A及び110Bと接続するためのメカニカルインタフェースを構成する。リンク124A及び124Bは端部リンクの一例である。
【0041】
ここで、「水平方向」とは、ロボット100が水平な床面等の水平な表面上に配置された場合での水平方向を意味し、上記表面に平行な方向でもある。「鉛直方向」とは、同様の場合での鉛直方向を意味し、上記表面に垂直な方向である。「上方」とは、同様の場合での下方から上方に向かう方向を意味し、「下方」とは、同様の場合での上方から下方に向かう方向を意味する。「側方」とは、同様の場合での上記表面に沿う方向を意味する。
【0042】
図3は、実施の形態に係るエンドエフェクタ110A及び110Bの構成の一例を示す側面図である。本実施の形態では、エンドエフェクタ110A及び110Bは同様の構成を有している。エンドエフェクタ110A及び110Bはそれぞれ、吸着部111A及び111Bと、支持部112A及び112Bと、基部113A及び113Bと、回動装置114A及び114Bとを含む。エンドエフェクタ110A及び110Bは、保持装置の一例である。
【0043】
吸着部111A及び111Bは、特に限定されないが、例えばノズル状の中空の形状を有し、配管を介して負圧発生装置700(図5参照)と接続される。吸着部111A及び111Bは、それぞれの内部に負圧発生装置700が発生する負圧によって、その開放端において基材W等の対象物を吸着する。例えば、吸着部111A及び111Bの開放端は、可撓性又は弾性を有する材料で構成される及び/又はベローズ(蛇腹)状の中空形状を有し、伸縮可能であってもよい。例えば、吸着部111A及び111Bの開放端は、バネ等の弾性を有する部材を含んでもよい。例えば、吸着部111A及び111Bの開放端は、吸着部111A及び111Bが延びる方向に伸縮可能である。伸縮可能な吸着部111A及び111Bは、基材Wとの気密性を向上させ、確実な吸着を可能にする。さらに、吸着部111A及び111Bは、基材Wに押し付けられても基材Wに与える損傷を抑えることができる。
【0044】
負圧発生装置700の構成は、吸着部111A及び111B内に負圧を発生させることができれば特に限定されず、既存のいかなる構成であってもよい。例えば、負圧発生装置700は、空気を吸引することで負圧又は真空を発生する真空ポンプ又は空圧シリンダの構成を有してもよく、圧縮空気を送入することで負圧又は真空を発生するエジェクタの構成を有してもよい。負圧発生装置700の駆動は、制御装置600によって制御される。
【0045】
支持部112A及び112Bはそれぞれ、対向する2つの対向部1121及び1123と、対向部1121及び1123を繋ぐ中間部1122とを含む。例えば、支持部112A及び112BはそれぞれU字状の断面形状の板状部材で構成される。吸着部111A及び111Bがそれぞれ、支持部112A及び112Bそれぞれの対向部1121に取り付けられ、当該対向部1121と略垂直であり且つ対向部1123と反対である方向に延びる。支持部112A及び112Bそれぞれの中間部1122は、基部113A及び113Bと第5軸S5a及びS5bを中心に回動可能に連結される。第5軸S5a及びS5bの方向はそれぞれ、第4軸S4a及びS4bの方向と直交するが、第4軸S4a及びS4bの方向と交差する方向でよい。支持部112A及び112Bの対向部1121はそれぞれ、第4軸S4a及びS4b並びに第5軸S5a及びS5bから離れている。
【0046】
基部113A及び113Bはそれぞれ、L字状の断面形状の板状部材で構成され、互いに略垂直である長手部1131及び短手部1132を含む。基部113A及び113Bそれぞれの長手部1131は、リンク124A及び124Bのメカニカルインタフェースと着脱自在に接続されるように構成される。基部113A及び113Bそれぞれの短手部1132は、支持部112A及び112Bの中間部1122と回動可能に連結される。第5軸S5a及びS5bの方向はそれぞれ、基部113A及び113Bそれぞれの短手部1132と略垂直である。基部113A及び113Bそれぞれの短手部1132は、第4軸S4a及びS4bから離れている。
【0047】
回動装置114A及び114Bはそれぞれ、基部113A及び113Bそれぞれの短手部1132に配置され、支持部112A及び112Bと接続され且つ支持部112A及び112Bを回動させる。回動装置114A及び114Bは、電力を動力源として電気モータ等を含み、本実施の形態ではサーボモータを含む。回動装置114A及び114Bの駆動は制御装置600によって制御される。
【0048】
上記構成により、吸着部111A及び111Bはそれぞれ、第4軸S4a及びS4bを中心とする回動と第5軸S5a及びS5bを中心とする回動とによって、リンク123A及び123Bに対して様々な姿勢をとり且つその開放端を様々な向きに向けることができる。さらに、吸着部111A及び111Bはそれぞれ、第4軸S4a及びS4bを中心とする円周と第5軸S5a及びS5bを中心とする円周とに沿って移動し位置を変える。
【0049】
図1に示すように、第1搬送装置400は、第1作業場所WS1から第2作業場所WS2に基材Wを搬送する装置である。第1作業場所WS1で実施される工程は、第2作業場所WS2で実施される工程の前の工程である。第1搬送装置400は、移送装置410と、ロボット420と、仮置台430と、搬送センサ440とを備える。移送装置410は、第1作業場所WS1からロボット420の前に基材Wを搬送し、例えば、ベルトコンベヤである。ロボット420は、基材Wを仮置台430上の所定の位置に搬送し載置する。ロボット420の構成は、ロボット100と同様であるが、これに限定さない。搬送センサ440は、仮置台430上の所定の位置に存在する基材Wを検知し、当該検知を表す検知信号を制御装置600に出力する。移送装置410及びロボット420等の第1搬送装置400の構成要素の駆動は制御装置600によって制御される。
【0050】
第2搬送装置500は、第2作業場所WS2から第3作業場所WS3に基材Wを搬送する装置である。第3作業場所WS3で実施される工程は、第2作業場所WS2で実施される工程の次の工程である。第2搬送装置500は、仮置台510と、搬送センサ520と、ロボット530とを備える。仮置台510は、圧着装置300で圧着加工を受けた基材Wが載置される台である。上記基材Wは、ロボット100によって仮置台510の所定の位置に搬送され載置される。搬送センサ520は、仮置台510上の所定の位置に存在する基材Wを検知し、当該検知を表す検知信号を制御装置600に出力する。ロボット530は、仮置台510上の基材Wを第3作業場所WS3に搬送する。ロボット530の構成は、ロボット100と同様であるが、これに限定さない。ロボット530等の第2搬送装置500の構成要素の駆動は制御装置600によって制御される。
【0051】
なお、搬送装置400及び500の構成は上記構成に限定されず、作業場所間で基材Wを搬送できる構成であればよい。例えば、搬送装置400及び500は、ロボット420及び530の代わりに又は追加して、ベルトコンベヤ、搬送車、軌道装置、ボールねじ構造を用いて搬送する装置、及び/又はラックアンドピニオン構造を用いて搬送する装置等を備えてもよい。搬送センサ440及び520は、基材Wの存在を検出できるセンサであればよく、例えば、光電センサ(「ビームセンサ」とも呼ばれる)、レーザセンサ、リミットスイッチ及び接触センサ等であってもよい。
【0052】
位置検出装置200は、ロボット100の作業範囲内に配置される。位置検出装置200は、エンドエフェクタ110A及び110Bによって保持されている基材Wの位置を検出し、検出結果を制御装置600に出力する。位置検出装置200は、基材Wを検出する複数のセンサを備え、本実施の形態では3つのセンサ201a~201cを備える。センサ201a~201cは、鉛直方向で同等の高さ位置に配置されている。センサ201a~201cは、水平方向に延びる直角三角形の辺を構成するように配置されている。センサ201a及び201bは、上記直角三角形の長辺上に互いから間隔をあけて配置され、センサ201cは、上記直角三角形の短辺上に配置されている。以下において、上記長辺に沿う水平方向を第2方向D2と呼び、上記短辺に沿う水平方向を第1方向D1と呼ぶ。第1方向D1は、ロボット100から位置検出装置200に向かう方向であり、第2方向D2は、第1方向D1と垂直であり且つロボット100の前を横切る方向である。
【0053】
センサ201a~201cは、当該センサに対する基材Wの位置を検出できればよく、光電センサ及びレーザセンサ等であってもよい。例えば、センサ201a~201cは、鉛直方向で対向して配置された発光部及び受光部を有し、発光部及び受光部の間に存在する基材Wを検知する。
【0054】
図4は、実施の形態に係る圧着装置300を内方から外方に向かって見た構成の一例を示す斜視図である。図1及び図4に示すように、圧着装置300は、基材Wの端部に、電子部品、具体的には、端子、コネクタ及びタブ等を圧着する。
【0055】
圧着装置300は、圧着体301と、受け台302と、仕切壁303と、開閉窓304とを備える。仕切壁303は、圧着装置300の内外を仕切る壁であり、仕切壁303を貫通する開口部303aを有する。開閉窓304は、上下方向にスライド可能であり、スライドすることで開口部303aを開閉する。窓駆動装置304aが、制御装置600による制御のもと、開閉窓304をスライドつまり昇降させる。窓駆動装置304aの構成は、開閉窓304を昇降できればいかなる構成であってもよい。仕切壁303及び開閉窓304は、圧着装置300の内部を外部から視認できるように透明な部材で構成されるが、これに限定されない。
【0056】
受け台302は、開口部303aを通って仕切壁303の外側から内側に延びる。受け台302は、基材Wが載置できる上面302aを有する。圧着体301は、仕切壁303の内側で受け台302の上方に配置され、上下方向に移動するように構成されている。圧着体301は、下方へ移動することで、その下端を受け台302に押し付ける。圧着体301は、図示しない発熱体を含み、圧着体301の下端と受け台302との間の基材Wを押圧し且つ加熱することで、電子部品を基材Wに圧着する。移動及び発熱のための圧着体301の駆動は、制御装置600によって制御される。
【0057】
[制御装置のハードウェア構成]
制御装置600のハードウェア構成を説明する。図5は、実施の形態に係る制御装置600のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図5に示すように、制御装置600は、CPU(Central Processing Unit)601と、ROM(Read Only Memory)602と、RAM(Random Access Memory)603と、メモリ604と、アーム駆動回路605と、回動駆動回路606と、負圧駆動回路607と、入出力I/F(インタフェース:Interface)608~612とを構成要素として含む。上記構成要素はそれぞれ、バス、有線通信又は無線通信を介して接続されている。なお、上記構成要素の全てが必須ではない。例えば、上記構成要素の一部が、制御装置600の外部に配置され制御装置600と接続されてもよい。
【0058】
例えば、CPU601はプロセッサであり、制御装置600の動作の全体を制御する。ROM602は不揮発性半導体メモリ等で構成され、CPU601に動作を制御させるためのプログラム及びデータ等を格納する。RAM603は揮発性半導体メモリ等で構成され、CPU601で実行するプログラム及び処理途中又は処理済みのデータ等を一時的に格納する。メモリ604は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリなどの半導体メモリ、ハードディスク(HDD:Hard Disc Drive)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶装置で構成され、種々の情報を記憶する。
【0059】
例えば、CPU601が動作するためのプログラムは、ROM602又はメモリ604に予め保持されている。CPU601は、ROM602又はメモリ604からプログラムをRAM603に読み出して展開する。CPU601は、RAM603に展開されたプログラム中のコード化された各命令を実行する。
【0060】
制御装置600の各機能は、CPU601、ROM602及びRAM603等からなるコンピュータシステムにより実現されてもよく、電子回路又は集積回路等の専用のハードウェア回路により実現されてもよく、上記コンピュータシステム及びハードウェア回路の組み合わせにより実現されてもよい。
【0061】
アーム駆動回路605は、CPU601の指令に従って、ロボットアーム120A及び120Bのアーム駆動装置MA1~MA4及びMB1~MB4のサーボモータに電力を供給し各サーボモータの駆動を制御する。回動駆動回路606は、CPU601の指令に従って、エンドエフェクタ110A及び110Bの回動装置114A及び114Bのサーボモータに電力を供給し各サーボモータの駆動を制御する。負圧駆動回路607は、CPU601の指令に従って、負圧発生装置700の駆動と、負圧発生装置700と吸着部111A及び111Bそれぞれとを接続する配管に設けられた開閉弁(図示せず)の駆動とを制御することで、吸着部111A及び111Bに発生させる負圧を制御する。
【0062】
第1入出力I/F608は、移送装置410、ロボット420及び搬送センサ440等の第1搬送装置400の構成要素と接続され、当該構成要素に対して情報、データ及び指令等を入出力する。第2入出力I/F609は、搬送センサ520及びロボット530等の第2搬送装置500の構成要素と接続され、当該構成要素に対して情報、データ及び指令等を入出力する。第3入出力I/F610は、位置検出装置200のセンサ201a~201cと接続され、センサ201a~201cに対して指令及び検知信号等を入出力する。第4入出力I/F611は、圧着装置300の圧着体301と接続され、圧着体301に対して情報及び指令等を入出力する。第5入出力I/F612は、圧着装置300の開閉窓304の窓駆動装置304aと接続され、窓駆動装置304aに対して情報及び指令等を入出力する。
【0063】
[制御装置の機能的構成]
制御装置600の機能的構成を説明する。図6は、実施の形態に係る制御装置600の機能的構成の一例を示すブロック図である。図6に示すように、制御装置600は、アーム制御部6001及び6002と、回動制御部6003及び6004と、吸着制御部6005と、保持位置検出部6006と、搬送制御部6007及び6008と、圧着制御部6009と、開閉制御部6010と、記憶部6011とを機能的構成要素として含む。上記機能的構成要素の全てが必須ではない。
【0064】
記憶部6011を除く機能的構成要素の機能は、CPU601等によって実現され、記憶部6011の機能は、メモリ604、ROM602及び/又はRAM603によって実現される。記憶部6011は、種々の情報を記憶し、記憶している情報の読み出しを可能にする。例えば、記憶部6011は、制御装置600を動作させるプログラムを記憶してもよい。記憶部6011は、ロボット100の搬送対象の基材の形状及びサイズ等の基材情報を記憶してもよい。記憶部6011は、位置検出装置200のセンサ201a~201cの3次元位置等の位置情報を記憶してもよい。3次元位置は、ロボットシステム1が配置される3次元空間内での位置である。
【0065】
第1アーム制御部6001は、プログラムに従って第1ロボットアーム120Aに自動で所定の作業を実行させる。第1アーム制御部6001は、アーム駆動装置MA1~MA4にそれぞれを動作させるための指令を出力する。これにより、第1ロボットアーム120Aが所定の作業に従った位置、姿勢、並びに、位置及び姿勢の移動速度で第1エンドエフェクタ110Aを動かすように、アーム駆動装置MA1~MA4が駆動する。
【0066】
第2アーム制御部6002は、プログラムに従って第2ロボットアーム120Bに自動で所定の作業を実行させる。第2アーム制御部6002は、アーム駆動装置MB1~MB4にそれぞれを動作させるための指令を出力する。これにより、第2ロボットアーム120Bが所定の作業に従った位置、姿勢、並びに、位置及び姿勢の移動速度で第2エンドエフェクタ110Bを動かすように、アーム駆動装置MB1~MB4が駆動する。
【0067】
アーム駆動装置MA1~MA4及びMB1~MB4はそれぞれ、サーボモータの回転子の回転量を検出するエンコーダ等の回転センサ(図示せず)と、サーボモータの駆動電流を検出する電流センサ(図示せず)とを備える。アーム制御部6001及び6002は、各サーボモータの回転センサ及び電流センサから出力される回転量及び駆動電流値をフィードバック情報として用いて、回転開始、回転停止、回転速度及び回転トルク等の各サーボモータの駆動を制御する。
【0068】
第1回動制御部6003は、プログラムに従って第1エンドエフェクタ110Aに自動で所定の作業を実行させる。第1回動制御部6003は、回動装置114Aにこれを動作させるための指令を出力する。これにより、回動装置114Aは、所定の作業に従った姿勢、及び姿勢の移動速度で第1吸着部111Aを動かすように、駆動する。
【0069】
第2回動制御部6004は、プログラムに従って第2エンドエフェクタ110Bに自動で所定の作業を実行させる。第2回動制御部6004は、回動装置114Bにこれを動作させるための指令を出力する。これにより、回動装置114Bは、所定の作業に従った姿勢、及び姿勢の移動速度で第2吸着部111Bを動かすように、駆動する。
【0070】
回動制御部6003及び6004はそれぞれ、回動装置114A及び114Bそれぞれに備えられるサーボモータの回転センサ(図示せず)及び電流センサ(図示せず)から出力される回転量及び駆動電流値をフィードバック情報として用いて、当該サーボモータの駆動を制御する。
【0071】
吸着制御部6005は、プログラムに従って吸着部111A及び111Bに負圧を発生させる。吸着制御部6005は、負圧発生装置700にこれを動作させるための指令を出力することで、負圧発生装置700の動作を制御する。吸着制御部6005は、第1吸着部111Aと負圧発生装置700とを連通する配管の開閉弁(図示せず)に、これを動作させるための指令を出力することで、第1吸着部111Aに発生させる負圧を制御する。吸着制御部6005は、第2吸着部111Bと負圧発生装置700とを連通する配管の開閉弁(図示せず)に、これを動作させるための指令を出力することで、第2吸着部111Bに発生させる負圧を制御する。
【0072】
保持位置検出部6006は、エンドエフェクタ110A及び110Bと、エンドエフェクタ110A及び110Bによって保持されている基材Wとの相対的な位置関係を検出する。具体的には、保持位置検出部6006は、吸着部111A及び111Bと基材Wとの相対的な位置関係を検出する。制御装置600は、上記位置関係に基づき、ロボット100の動作中の基材Wの位置決めをする。
【0073】
具体的には、制御装置600は、ロボット100に基材Wを保持させる場合、基材Wの長手方向の両端付近の位置で、吸着部111A及び111Bに基材Wを吸着させる。制御装置600は、保持されている基材Wを位置検出装置200にセンシングさせる場合、基材Wを第1方向D1(図1参照)へ移動させることで、基材Wの長手方向に沿った縁部W1をセンサ201a及び201bに検知させ、基材Wを第2方向D2(図1参照)へ移動させることで、基材Wの短手方向に沿った縁部W2をセンサ201cに検知させる。短手方向は、長手方向に直交する方向である。
【0074】
保持位置検出部6006は、センサ201a~201cが基材Wを検知した各タイミングでの吸着部111A及び111Bの位置及び姿勢を検出する。吸着部111A及び111Bそれぞれの位置及び姿勢は、3次元位置及び3次元姿勢であってもよい。3次元姿勢は、ロボットシステム1が配置される3次元空間内での姿勢であり、例えば、直交する3軸周りの姿勢角であってもよい。
【0075】
さらに、保持位置検出部6006は、記憶部6011から基材Wの基材情報とセンサ201a~201cの位置情報とを読み出す。保持位置検出部6006は、基材Wの形状及びサイズと、センサ201a~201cの3次元位置と、各タイミングでの吸着部111A及び111Bの位置及び姿勢とに基づき、基材Wの縁部W1及びW2と吸着部111A及び111Bとの相対的な位置及び姿勢を検出する。
【0076】
このように、保持位置検出部6006は、基材Wの縁部W1及びW2と吸着部111A及び111Bとの相対的な位置及び姿勢を検出することで、基材Wと吸着部111A及び111Bとの相対的な位置関係を検出する。
【0077】
なお、保持位置検出部6006は、吸着部111A及び111Bの位置及び姿勢を以下のように検出してもよい。保持位置検出部6006は、アーム駆動装置MA1~MA4の回転センサの検出値に基づき、第1エンドエフェクタ110Aの位置及び姿勢を検出する。例えば、第1エンドエフェクタ110Aの位置及び姿勢は、第1エンドエフェクタ110Aとリンク124Aとの接続部の第4軸S4aの位置での3次元位置及び3次元姿勢であってもよい。さらに、保持位置検出部6006は、第1エンドエフェクタ110Aの位置及び姿勢と、回動装置114Aの回転センサの検出値とに基づき、第1吸着部111Aの位置及び姿勢を検出する。
【0078】
同様に、保持位置検出部6006は、アーム駆動装置MB1~MB4の回転センサの検出値に基づき、第2エンドエフェクタ110Bの位置及び姿勢を検出する。さらに、保持位置検出部6006は、第2エンドエフェクタ110Bの位置及び姿勢と、回動装置114Bの回転センサの検出値とに基づき、第2吸着部111Bの位置及び姿勢を検出する。
【0079】
第1搬送制御部6007は、プログラムに従って第1搬送装置400の移送装置410及びロボット420に自動で基材Wを搬送させる。例えば、第1搬送制御部6007は、仮置台430上の基材Wがロボット100によって取り除かれることで、搬送センサ440が基材Wの検知信号の出力を停止すると、基材Wを搬送する指令をロボット420に出力する。つまり、第1搬送制御部6007は、仮置台430から基材Wが取り除かれる毎に次の基材Wを仮置台430に搬送させるように、移送装置410及びロボット420の駆動を制御する。なお、第1搬送制御部6007は、搬送センサ440の検知信号の代わりに、アーム制御部6001及び6002等から仮置台430からの基材Wの除去を示す情報を受け取り、当該情報に基づき上記指令を出力してもよい。
【0080】
第2搬送制御部6008は、プログラムに従って第2搬送装置500のロボット530に自動で基材Wを搬送させる。例えば、第2搬送制御部6008は、ロボット100によって仮置台510上に基材Wが配置されることで、搬送センサ520が基材Wの検知信号を出力すると、基材Wを搬送する指令をロボット530に出力する。つまり、第2搬送制御部6008は、仮置台510上に基材Wが配置される毎に当該基材Wを第3作業場所WS3に搬送させるように、ロボット530の駆動を制御する。なお、第2搬送制御部6008は、搬送センサ520の検知信号の代わりに、アーム制御部6001及び6002等から仮置台510への基材Wの配置を示す情報を受け取り、当該情報に基づき上記指令を出力してもよい。
【0081】
開閉制御部6010は、プログラムに従って窓駆動装置304aに自動で開閉窓304を開閉させる。例えば、図4に示すように、ロボット100による受け台302への基材Wの配置が完了すると、開閉制御部6010は、アーム制御部6001及び6002等から配置完了を示す通知を受け取り、開口部303aを閉じるように開閉窓304を下降する指令を窓駆動装置304aに出力する。また、圧着体301による基材Wへの圧着が完了すると、開閉制御部6010は、圧着制御部6009から圧着完了を示す通知を受け取り、開口部303aを開放するように開閉窓304を上昇させる指令を窓駆動装置304aに出力する。
【0082】
圧着制御部6009は、プログラムに従って圧着体301に自動で基材Wへの圧着動作をさせる。例えば、図4に示すように、受け台302への基材Wの配置完了後、窓駆動装置304aが開口部303aを閉じると、圧着制御部6009は、開閉制御部6010から閉鎖完了の通知を受け取り、圧着のために発熱及び昇降動作する指令を圧着体301に出力する。また、基材Wへの圧着が完了すると、圧着制御部6009は、基材Wの上方で停止し且つ発熱を停止する指令を圧着体301に出力する。
【0083】
[ロボットシステムの動作]
実施の形態に係るロボットシステム1の動作を図7を参照しつつ説明する。図7は、実施の形態に係るロボットシステム1の動作の一例を示すフローチャートである。図8図13はそれぞれ、図7のフローチャートに従った動作中のロボットシステム1の状態の一例を示す斜視図である。
【0084】
ステップS101において、図1に示すように、制御装置600は、第1搬送装置400の移送装置410に基材Wを、第1作業場所WS1からロボット420の前に搬送させる。さらに、制御装置600は、ロボット420に基材Wを、第2作業場所WS2の目的位置である仮置台430上の所定の位置に搬送させる。
【0085】
次いで、ステップS102において、図8に示すように、制御装置600は、搬送センサ440(図1参照)の検知信号に基づき、仮置台430上の基材Wの存在を検出する。検出後、制御装置600は、ロボット100のロボットアーム120A及び120Bにエンドエフェクタ110A及び110Bを基材Wの長手方向の両端の上方に移動させ、エンドエフェクタ110A及び110Bに基材Wを保持させる。具体的には、制御装置600は、負圧発生装置700(図5参照)を予め駆動させておく。制御装置600は、基材Wの上方のエンドエフェクタ110A及び110Bを下降させ、吸着部111A及び111Bが基材Wの両端に接近又は接触するタイミングで開閉弁(図示せず)を開くことで、吸着部111A及び111Bに基材Wを吸着させる。
【0086】
このとき、第1エンドエフェクタ110Aの姿勢は、基部113Aの短手部1132が第1方向D1に向くように方向付けられる。第2エンドエフェクタ110Bの姿勢は、基部113Bの短手部1132が第2方向D2に向くように方向付けられる。吸着部111A及び111Bの姿勢は、下方に向くように方向付けられる。よって、第5軸S5aは第1方向D1に沿い、第5軸S5bは第2方向D2に沿う。
【0087】
次いで、ステップS103において、図9に示すように、制御装置600は、ロボットアーム120A及び120Bに基材Wを位置検出装置200に移動させ、位置検出装置200に基材Wをセンシングさせる。例えば、制御装置600は、基材Wを第1方向D1へ移動させることで、基材Wの縁部W1をセンサ201a及び201bに検知させる。さらに、制御装置600は、基材Wを第2方向D2へ移動させることで、基材Wの縁部W2をセンサ201cに検知させる。
【0088】
次いで、ステップS104において、制御装置600は、センサ201a~201cの検知結果等に基づき、吸着部111A及び111Bと基材Wとの相対的な位置関係、つまり、エンドエフェクタ110A及び110Bと基材Wとの相対的な位置関係を検出する。
【0089】
次いで、ステップS105において、図10に示すように、制御装置600は、基材Wに捻じり等の作用を付与する。具体的には、制御装置600は、ロボットアーム120A及び120Bに基材Wを位置検出装置200の外に移動させ、さらに、第2ロボットアーム120B及び第2エンドエフェクタ110Bを動作させることで、基材Wに捻じりを与える。このとき、制御装置600は、第2ロボットアーム120Bに、第2エンドエフェクタ110Bを第1エンドエフェクタ110Aに向かって移動させつつ上方へ移動させる。さらに、上記動作の後又は並行して、制御装置600は、吸着部111A及び111Bの並び方向である第3方向D3に対して基台130に向かって後退するように、第2ロボットアーム120Bに第2エンドエフェクタ110Bを移動させる。これにより、第2吸着部111Bは第1吸着部111Aよりも基台130に向かって後退する。つまり、制御装置600は、第1吸着部111Aに近づけるように第2吸着部111Bを移動させることで基材Wを撓ませつつ、第2吸着部111Bを上方へ且つ後退方向へ移動させる。なお、第3方向D3は水平方向であり、図10では、第1方向D1と略平行である。
【0090】
さらに、制御装置600は、回動装置114Bに支持部112Bを回動させることで、第2吸着部111Bの姿勢を上方へ向くように変える。これにより、基材Wは捻じられる。このとき、基材Wにおける第1吸着部111Aの吸着部分である第1保持部分は、基材Wにおける第2吸着部111Bの吸着部分である第2保持部分よりも、下方に且つ基台130から離れる方向に位置する。
【0091】
次いで、ステップS106において、図11に示すように、制御装置600は、ロボットアーム120A及び120Bに基材Wを圧着装置300に移動させる。さらに、制御装置600は、ロボットアーム120A及び120Bに、基材Wの第1保持部分を開口部303aを通って圧着装置300の内部に導入させ、受け台302上に載置させる。このとき、基材Wの第2保持部分がステップS105で説明したように位置するため、基材Wにおける第1保持部分以外の部分及び第2エンドエフェクタ110Bが仕切壁303と干渉することが抑えられる。
【0092】
次いで、ステップS107において、制御装置600は、開閉窓304に下降させ開口部303aを閉鎖させる。
【0093】
次いで、ステップS108において、図12に示すように、制御装置600は、圧着体301に基材Wへの圧着を実行させる。
【0094】
次いで、ステップS109において、制御装置600は、圧着完了後、開閉窓304に上昇させ開口部303aを開放させる。
【0095】
次いで、ステップS110において、制御装置600は、ロボットアーム120A及び120Bに基材Wを圧着装置300の外に移動させる、つまり引き出させる。
【0096】
次いで、ステップS111において、図13に示すように、制御装置600は、ロボットアーム120A及び120Bに基材Wを第2搬送装置500の仮置台510上の所定の位置に配置させる。制御装置600は、基材Wを移動させる過程で、基材Wに加えている捻じり等を除去する。具体的には、制御装置600は、ステップS105において実行された動作を逆の手順で遡るように、第2ロボットアーム120B及び回動装置114Bに動作させる。これにより、ロボットアーム120A及び120B並びにエンドエフェクタ110A及び110Bは、ステップS102と同様の状態で基材Wを保持する。
【0097】
次いで、ステップS112において、制御装置600は、搬送センサ520の検知信号に基づき、仮置台510上の基材Wの存在を検出する。検出後、制御装置600は、第2搬送装置500のロボット530に基材Wを第3作業場所WS3にまで搬送させる。
【0098】
上述のようなステップS101~S112の処理により、ロボットシステム1は、第1作業場所WS1から第2作業場所WS2に搬送された1つの基材Wに対して、圧着処理を行った後に第3作業場所WS3に搬送する。さらに、制御装置600は、ステップS102の処理の完了後、ステップS103の処理と並行して、第1作業場所WS1の次の基材Wに対してステップS101以降の処理を実行することで、複数の基材Wを連続的に圧着処理し第3作業場所WS3に搬送することができる。
【0099】
(変形例)
変形例に係るエンドエフェクタ110Cの構成を説明する。本変形例に係るエンドエフェクタ110Cは、エンドエフェクタ110A及び110Bの機能を兼ねた機能を実現するように構成される。以下、本変形例について、実施の形態と異なる点を中心に説明し、実施の形態と同様の点の説明を適宜省略する。
【0100】
図14及び図15は、変形例に係るエンドエフェクタ110Cの構成の一例を示す斜視図である。図14は、捻じりを与えていない状態の基材Wを保持する第1ロボットアーム120Aのエンドエフェクタ110Cを示し、図15は、捻じりを与えた状態の基材Wを保持する第1ロボットアーム120Aのエンドエフェクタ110Cを示す。エンドエフェクタ110A及び110Bの機能を兼ねるエンドエフェクタ110Cは、ロボットアーム120A及び120Bそれぞれに配置されてもよく、いずれか一方のみに配置されてもよい。後者の場合、ロボット100は、1つのロボットアームのみを備え、双腕ロボットではなくてもよい。
【0101】
図14及び図15に示すように、エンドエフェクタ110Cは、第1吸着部111Cと、第2吸着部112Cと、第1支持部113Cと、第1回動部114Cと、第2支持部115Cと、第2回動部116Cと、基部117Cとを備える。吸着部111C及び112Cは、実施の形態に係る吸着部111A及び111Bと同様の構成を有する。
【0102】
基部117Cは、ロボットアーム120A及び120Bのリンク124A及び124Bのメカニカルインタフェースと着脱自在に接続されるように構成される。基部117Cは、吸着部111C及び112Cを支持する。基部117Cは、第1部分117Caと第2部分117Cbとを一体的に含む。
【0103】
第1部分117Caは、例えば、Z字状の断面形状の板状部材で構成され、基部117Cとリンク124Aとの接続部分から第4方向D4に延びた後、下方へ延び、さらに、第4方向D4に延びる。第4方向D4は、第4軸S4aと略垂直な水平方向である。第2部分117Cbは、例えば、直線状の板状部材で構成され、上記接続部分から第5方向D5に延びる。第5方向D5は、第4軸S4a及び第4方向D4と略垂直な水平方向である。
【0104】
第1吸着部111Cは、第1部分117Caの先端部分の下側で、その開放端を下方に向けて当該先端部分に取り付けられる。第2回動部116Cは、第2部分117Cbの先端部分の下側で、当該先端部分と接続される。第2回動部116Cは、第2部分117Cbに第2支持部115Cを第6軸S6を中心に回動可能に連結する。第2回動部116Cは、制御装置600による制御のもと第2支持部115Cを回動させる回動装置116Caを含む。回動装置116Caは、実施の形態に係る回動装置114A及び114Bと同様の構成を有する。第6軸S6の方向は、第4軸S4aの方向と略平行である。第6軸S6を中心とする第2支持部115Cの回動は、実施の形態における第4軸S4bを中心とする第2エンドエフェクタ110Bの基部113Bの回動と同様の挙動を実現する。第2回動部116Cは移動装置の一例である。
【0105】
第2支持部115Cは、第2回動部116Cの下側に配置される。第2支持部115Cは、例えば、L字状の断面形状の板状部材で構成され、互いに略垂直である第1部分115Ca及び第2部分115Cbを一体的に含む。第1部分115Caは、第2回動部116Cと接続され、第6軸S6と略垂直な水平方向に延びる。第2部分115Cbは、第1部分115Caから下方へ第6軸S6と略平行に延びる。第2部分115Cbは、第6軸S6から離れている。
【0106】
第1回動部114Cは、第1部分115Caと反対側で第2部分115Cbと接続され、第2部分115Cbと第1支持部113Cとを第7軸S7を中心に回動可能に連結する。第1回動部114Cは、制御装置600による制御のもと第1支持部113Cを回動させる回動装置114Caを含む。回動装置114Caは、回動装置116Caと同様の構成を有する。第7軸S7の方向は、第6軸S6の方向と略垂直な水平方向である。第7軸S7を中心とする第1支持部113Cの回動は、実施の形態における第5軸S5bを中心とする第2エンドエフェクタ110Bの支持部112Bの回動と同様の挙動を実現する。第1回動部114Cは移動装置の一例である。
【0107】
第1支持部113Cは、第1回動部114Cの側方に配置される。第1支持部113Cは、例えば、L字状の断面形状の板状部材で構成され、互いに略垂直である第1部分113Ca及び第2部分113Cbを一体的に含む。第1部分113Caは、第1回動部114Cと接続され、第7軸S7と略垂直な鉛直方向に延びる。第2部分113Cbは、第1部分113Caから側方へ第7軸S7と略平行に延びる。第2部分113Cbは、第7軸S7から離れている。第2吸着部112Cは、第2部分113Cbにおける第1部分113Caと反対側の表面に取り付けられ、その開放端を当該表面と略垂直な方向に向けて配置される。
【0108】
上記構成により、第1吸着部111Cは、第4軸S4aを中心とする回動によって、リンク123Aに対する位置を変えることができる。第2吸着部112Cは、第4軸S4a、第6軸S6及び第7軸S7を中心とする回動によって、リンク123A及び第1吸着部111Cに対する位置及び姿勢を変えることができる。
【0109】
例えば、図14に示すように、エンドエフェクタ110Cは、吸着部111C及び112Cを、それぞれの開放端を下方に向けた状態で、鉛直方向で同等の高さ位置に位置させ、第5方向D5に沿った並び方向に配置することができる。
【0110】
例えば、図15に示すように、エンドエフェクタ110Cは、第2回動部116Cに第2支持部115Cを第6軸S6周りに回動させることで、第2吸着部112Cを第1吸着部111Cに近づけ、且つ、第5方向D5に沿った並び方向に対して第2吸着部112Cを後退させることができる。さらに、エンドエフェクタ110Cは、第1回動部114Cに第1支持部113Cを第7軸S7周りに回動させることで、第2吸着部112Cを第1吸着部111Cよりも上方に位置させ、且つ、第2吸着部112Cの開放端を上方へ向けることができる。よって、エンドエフェクタ110Cは、図14に示すように保持される基材Wに対して、実施の形態と同様の捻じり等の作用を与えることができる。
【0111】
なお、図14及び図15では、第2吸着部112Cは、第1吸着部111Cに対して第5方向D5に配置されていたが、これに限定されず、例えば、第5方向D5と反対方向に配置されてもよい。
【0112】
また、本変形例に係るエンドエフェクタ110Cは、第6軸S6周りに第2支持部115Cを回動させることで第2吸着部112Cを移動させるように構成されていたが、これに限定されず、例えば、第2支持部115Cを平行移動させることで第2吸着部112Cを移動させるように構成されてもよい。
【0113】
また、本変形例に係るエンドエフェクタ110Cは、さらなる回動部を備えてもよい。例えば、エンドエフェクタ110Cは、基部117Cとリンク124Aとの間に第4方向D4及び/又は第5方向D5に沿う軸を中心として回動する回動装置を備えてもよい。これにより、エンドエフェクタ110Cは、吸着部111C及び112Cの向きを変えることができる。
【0114】
(その他の実施の形態)
以上、本開示の実施の形態の例について説明したが、本開示は、上記実施の形態及び変形例に限定されない。すなわち、本開示の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。例えば、各種変形を実施の形態及び変形例に施したもの、及び、異なる実施の形態及び変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0115】
例えば、実施の形態及び変形例では、ロボット100は、ロボットアーム120A及び120Bを備える双腕ロボットとして構成されていたが、これに限定されない。例えば、ロボット100は、1つのアームのみを備えてもよく、3つ以上のアームを備えてもよい。例えば、ロボットアーム120A及び120Bは異なるロボットに搭載されてもよい。
【0116】
また、実施の形態及び変形例では、エンドエフェクタ110A~110Cの吸着部111A、111B、111C及び112Cは、負圧を発生することで物体を吸着するように構成されていたが、これに限定されない。例えば、吸着部は、粘着力により物体を付着させるように構成されてもよい。又は、吸着部は、可撓性を有するゴム又は樹脂等で構成される吸盤を備え、吸盤を押し付けることで物体を吸着してもよい。さらに、吸着力の増加のために、吸盤の吸着面の空気を吸い出す機構が設けられてもよい。
【0117】
また、実施の形態及び変形例では、エンドエフェクタ110A~110Cそれぞれの吸着部111A、111B、111C又は112Cの数量は、1つであったが、これに限定されず、2つ以上であってもよい。
【0118】
また、実施の形態及び変形例では、本開示の技術が適用可能である機械装置として、産業用ロボットであるロボット100を例示したが、本開示の技術が適用可能である機械装置は、産業用ロボット以外の機械装置であってもよい。例えば、当該機械装置は、サービスロボット、建設機械、トンネル掘削機、クレーン、荷役搬送車、及びヒューマノイド等であってもよい。サービスロボットは、介護、医療、清掃、警備、案内、救助、調理、商品提供等の様々なサービス業で使用されるロボットである。
【0119】
また、本開示の技術は、制御方法であってもよい。例えば、本開示の一態様に係る制御方法は、第1吸着部を備える第1ロボットアームと、回動装置によって回動可能な第2吸着部を備える第2ロボットアームとを用いて可撓性を有する板状部材を搬送するための制御方法であって、前記第1ロボットアームを動作させ、前記第1吸着部に前記板状部材を吸着させることと、前記第2ロボットアームを動作させ、前記第2吸着部に前記板状部材を吸着させることと、前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームを動作させ、吸着されている前記板状部材を持ち上げ移動させることと、前記第2ロボットアームを動作させ、前記第1吸着部及び前記第2吸着部の並び方向に対して前記第2吸着部を後退させることと、前記回動装置を動作させ、前記第1吸着部と異なる方向を向くように前記第2吸着部を回動させることと、前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームを動作させ、前記第2吸着部の回動により捻じられた前記板状部材を移動させることで、前記第1吸着部によって吸着されている前記板状部材の部位を搬送先に導入することとを含む。上記制御方法は、CPU、LSIなどの回路、ICカード又は単体のモジュール等によって、実現されてもよい。
【0120】
また、本開示の技術は、上記制御方法を実行するためのプログラムであってもよく、上記プログラムが記録された非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体であってもよい。また、上記プログラムは、インターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
【0121】
また、上記で用いた序数、数量等の数字は、全て本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
【0122】
また、機能ブロック図におけるブロックの分割は一例であり、複数のブロックを一つのブロックとして実現する、一つのブロックを複数に分割する、及び/又は、一部の機能を他のブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数のブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【符号の説明】
【0123】
1 ロボットシステム
100 ロボット
110A,110B,110C エンドエフェクタ(保持装置)
111A,111B,111C,112C 吸着部
112A,112B,113C,115C 支持部
113A,113B,117C 基部
114A,114B,114Ca,116Ca 回動装置
114C,115C 回動部(移動装置)
120A,120B ロボットアーム(移動装置)
124A,124B リンク(端部リンク)
200 位置検出装置
300 圧着装置
600 制御装置
W 基材(板状部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15