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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/60 20180101AFI20230908BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20230908BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
G06F8/60
H04Q9/00 331A
G06F3/01 510
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019221486
(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公開番号】P2021092853
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】392023751
【氏名又は名称】ジックオプテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167977
【弁理士】
【氏名又は名称】大友 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】湯口 翼
【審査官】武田 広太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-041842(JP,A)
【文献】特開2015-181300(JP,A)
【文献】特開2018-156521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/60
H04Q 9/00
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定値情報を上位機器と通信する1または複数の機器であって、
前記設定値情報における、機器に内蔵された機能を設定する設定値と、その内容を説明する国際標準文字コードで表記された文字列と、設定値を読み書きするための設定値番号が一覧で記憶されたテーブル、
前記文字列を表示する機器ディスプレイ、および機器操作ボタンを有し、
前記機器の設定値情報は、上位機器により前記テーブルが読み出され、その前記テーブルに記憶された前記設定値番号にて前記設定値にアクセスし、その前記設定値番号に基づいて前記設定値の内容を説明する前記文字列を読み出して、上位機器に表示することで当該機器が遠隔操作される、電子機器。
【請求項2】
請求項1において、
前記遠隔操作において、前記機器操作ボタンは上位機器の操作ボタンの押下情報と等価の機能を有し、前記機器ディスプレイは上位機器のディスプレイと同一の文字列が表示される、電子機器。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記一覧の文字列にない前記設定値情報の言語が選択されるとき、英語の言語で前記文字列を応答して設定される、電子機器。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作可能な通信機能と設定値情報を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に産業用電子機器におけるセンサやアクチュエータ類には、例えばしきい値やタイマー時間等のように何らかの設定値を有するものが多い。従来から、それらの電子機器において、各機器が独自の操作方法を有し、内蔵されたボタンとディスプレイを通信コマンドを使って外部の上位機器側と通信し、設定値を読み書きすることが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
各機器の設定値を設定するにあたっては、機器の設置されている場所まで行って直接操作する場合や、上位側の機器で通信コマンドを使って設定値にアクセスするためのプログラムを用意する場合があった(例えば、特許文献2)。
【0004】
また各機器の設定値は、指定された設定値番号を用いてアクセスされ、その値にはそれぞれ固有の意味を有することが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-146588号公報
【文献】特許第2698685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来技術では、以下の問題点がある。図4は、遠隔操作において、機器が設定値に関する資料に基づき通信コマンドを上位機器に送る状態を示す。例えば、読み出しコマンドは22番、書き込みコマンド33番、設定値番号15が表示言語設定の場合、設定値0は、表示する言語が英語、1は日本語、2はドイツ語のように割り振られている。この例では、送信データは22,15で、応答データは設定値1で日本語に設定される。この設定値は、機器に搭載された表示器では具体的な名前で表示され、操作者に分かりやすくしているものもあるが、外部からの通信で設定値にアクセスする場合は、設定値番号と設定値の数値に変換する必要があり、それを上位側の機器で設定値の情報をプログラムするかあるいはデータを転送して意味を解釈させるか、もしくは操作者が資料を見ながら変換することになり、設定作業が煩雑であった。
【0007】
また、設定値の情報をプログラムしたりデータを転送するにしても、機器のバージョンと設定値の情報が一致している必要がある。図5において、設定値に関する資料がバージョン1用で設定値1~100、タイマー時間1ms~100msであるのに対し、バージョン2用で設定値1~1000、タイマー時間0.1ms~100.0msである。このように、バージョンによって設定値が異なると誤った情報を表示したり機器に書き込んでしまうことになるため、バージョン変更されるごとに上記設定作業をする必要があった。
【0008】
本発明は、前記の問題点を解決して、外部から機器の設定値情報を読み出して容易に遠隔操作が可能な電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明に係る電子機器は、設定値情報を上位機器と通信する1または複数の機器であって、前記設定値情報における、機器に内蔵された機能を設定する設定値と、その内容を説明する国際標準文字コードで表記された文字列と、設定値を読み書きするための設定値番号が一覧で記憶されたテーブル、前記文字列を表示する機器ディスプレイ、および機器操作ボタンを有し、前記機器の設定値情報は、上位機器により前記テーブルが読み出され、その前記テーブルに記憶された前記設定値番号にて前記設定値にアクセスし、その前記設定値番号に基づいて前記設定値の内容を説明する前記文字列を読み出して、上位機器に表示することで、当該機器が遠隔操作される。
【0010】
この構成によれば、機器に予め設定値、国際標準文字コードで表記された文字列、および設定値を読み書きするための設定値番号が一覧のテーブルで記憶されて、上位機器からの設定値情報によって、機器に記憶された設定値番号に基づいて前記文字列が読み出されて当該機器が遠隔操作されるので、ユーザーインターフェースを共通化することにより、容易に機器を遠隔操作することができる。これにより、従来のように機器ごとに設定値情報を上位機器側でプログラミングしたり、個別にデータ転送して変換する必要がないので、外部から設定値情報を読み出して容易に機器を遠隔操作することが可能となる。
【0011】
好ましくは、前記遠隔操作において、前記機器操作ボタンは上位機器の操作ボタンの押下情報と等価の機能を有し、前記機器ディスプレイは上位機器のディスプレイと同一の文字列が表示される。したがって、より容易に機器を遠隔操作することができる。
【0012】
また好ましくは、前記一覧の文字列にない前記設定値情報の言語が選択されるとき、英語の言語で前記文字列を応答して設定される。この場合、対応していない言語が選択されても英語で対応して設定することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、外部から容易に設定値情報を読み出して機器の遠隔操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態にかかる電子機器を示すブロック図である。
図2図1の電子機器の一例を示す構成図である。
図3図1の電子機器に記憶された一覧の一例を示す図である。
図4】従来における機器が設定値に関する資料に基づき通信コマンドを上位機器に送る状態を示す図である。
図5】バージョンによって異なる設定値の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる電子機器のブロック図を示す。機器1は、設定値情報を、送受信部4と上位機器10の送受信部14を介して、上位機器10と通信するものである。設定値情報における、機器1に内蔵された機能を設定する設定値3、その内容を説明する国際標準文字コードで表記された文字列5、および設定値3を読み書きするための設定値番号2が一覧で記憶されたテーブル6を有する。さらに、前記文字列5を表示する機器ディスプレイ7と、機器操作ボタン8と、各部を制御する制御部9とを有する。機器1は複数1~n個を有し、それぞれ通信で接続されている。
【0016】
上位機器10は公知の電子機器であり、送受信部14、ディスプレイ17、操作ボタン18、および制御部19を含む。その他の構成の記載は省略する。前記した各ディスプレイと各操作ボタンには、液晶ディスプレイとタッチスイッチを有するタッチパネルなどが好ましく用いられる。
【0017】
機器1の設定値情報は、上位機器10によりテーブル6が読み出され、そのテーブル6に記憶された設定値番号2にて設定値3にアクセスし、その設定値番号2に基づいて設定値3の内容を説明する前記文字列5を読み出して、上位機器10のディスプレイ17に表示することで、上位機器10から機器1への遠隔操作が可能となる。
【0018】
上位機器10による遠隔操作において、前記機器操作ボタンと上位機器の操作ボタンの押下情報とは、等価の機能を有する。この押下情報の送信により、前記一覧から文字列が読み出される。また機器ディスプレイ7と上位機器10のディスプレイ17に同一の文字列が表示される。
【0019】
本発明では、従来の機器であっても、設定値番号の一覧を記憶させることにより、本発明による遠隔操作に適用することが可能である。
【0020】
図2は、図1の電子機器1の一例を示す構成図である。この図では例えば4個の機器1(1-1~1-4)がそれぞれ通信で上位機器10と接続されている。各機器のディスプレイ7には、例えば機器1-1は表示言語が日本語、機器1-2はタイマー時間が10秒、機器1-3は稼働時間が150日、機器1-4はLanguage,English、の標準化された文字列がそれぞれ表示されており、上位機器10のディスプレイ17には、機器1-2におけるタイマー時間、10秒が表示されている。
【0021】
設定値情報読み出しの一例として、従来の設定値情報読み出しコマンド22番とは別に設定値情報読み出しコマンドを122番とし、読み出したい設定値の番号を読み出す。
送信データ : 122, 15
応答データ : "表示言語,英語,日本語,ドイツ語"
【0022】
この場合、応答の文字列はカンマ(",")で区切られ、先頭から設定値の名称、続いて設定値0の意味を説明する文字列、続いて設定値1,2・・・の意味を説明する文字列が続く。例えば図2の機器1-1のように、表示言語の設定値1の日本語に設定される。
【0023】
また、設定値情報読み出しの他例として、従来と同じ読み出しコマンド22番を使用して、設定値番号に一律に指定の値、例えば1000を加算して読み出す。
送信データ : 22, 1015
応答データ : "表示言語,英語,日本語,ドイツ語"
【0024】
この応答データには、設定値の下限値や上限値、単位、データ形式、演算係数、小数点位置といった付加情報を追加してもよい。
送信データ : 22, 1016
応答データ : "タイマー時間,0,1000,ms,UINT16,1,1"
【0025】
ここで、カンマで区切られたそれぞれの文字列の意味は、先頭から設定値名称(タイマー時間)、下限値(0)、上限値(1000)、単位表記(ms)、データ形式(UINT16 : 符号なし整数16bit)、演算係数(1)、小数点位置(1)となる。
【0026】
機器1にどのような設定値があるのかを知るために、設定値番号の一覧のテーブル6を用意して読み出すことができるようにする。すなわち、上記した構成を有する機器1の設定値番号の一覧を用いてユーザーインターフェースを共通化している。
【0027】
図3は、機器1に記憶された一覧のテーブル6の一例を示す図である。この図では設定値番号ごとに、設定値アクセステーブルa、言語番号b、システムコマンド機能cなどが定義されており、最下欄には設定情報も定義されており、付加情報dも含まれる。
【0028】
設定値番号の一覧を読み出すには、専用の読み出しコマンド、例えば222番を設けておくか、指定された固有の設定値番号、例えば0番にしてもよい。
送信データ : 222
応答データ : 15, 16, 20, 21, 100, 101
【0029】
この場合は読み出しコマンド222番を送ることで、有効な設定値番号の羅列を応答で返す。ここで示す応答では設定値15, 16, 20, 21, 100,101番の設定値が存在すると知ることができる。
【0030】
送信データ : 22, 0
応答データ : 15, 16, 20, 21, 100, 101
この例では設定値番号0が、設定値一覧を読み出すものとした例である。
【0031】
ここで読み出された設定値番号の一覧を使って、例えば設定値15番の値を読み出し、続いてその設定値情報を読み出すために15番に1000を加算した1015番を読み出す。
送信データ : 22, 15
応答データ : 1
送信データ : 22, 1015
応答データ : "表示言語,英語,日本語,ドイツ語"
この応答データから、設定値の名称は"表示言語"であり、読み出した設定値1に相当する文字列は"日本語"であることが分かる。
【0032】
また、この設定値情報の文字列は機器の言語と連動させることができ、言語を切り替えた場合には切り替えた後の言語で応答を返すことができる。
送信データ : 33, 15, 0 (表示言語を英語に変更)
応答データ : 0 (切り替わった後の言語設定値)
送信データ : 22, 1015
応答データ : "Language,English,Japanese,German"
【0033】
ただし、機器によっては対応していない言語も考えられるので、未対応の言語番号が送られてきた場合には言語を英語に切り替えて応答し設定する。
送信データ : 33, 15, 2 (表示言語をドイツ語に変更)
応答データ : 0 (ドイツ語は対応していないので0番の英語を返す)
【0034】
機器内の一覧のテーブル6の文字列にない言語が選択されるとき、英語の言語で文字列を応答して設定されるので、対応していない言語が選択されても英語で対応して設定することができる。
【0035】
ユーザーインターフェースを共通化する手段のもう一つの方法は、設定値番号などに管理されずに、操作ボタンとディスプレイを有する機器に対し、遠隔操作するボタン制御コマンドと、ディスプレイの表示データを読み出すコマンドを用意することで、上位機器側から集中操作することもできる。
【0036】
ディスプレイの文字列読み出しコマンド : 44
ボタン操作コマンド : 55
ボタン操作データ : 0=押していない, 1=上三角ボタンを押した, 2=下三角ボタンを押した, 3=四角ボタンを押した
送信データ : 44
応答データ : "表示言語 日本語"
送信データ : 55, 1
応答データ : 1
これは上三角ボタンを押したことになるので、例えば機器側では次の設定値が表示されるとすると、
送信データ : 44
応答データ : "タイマー時間 10秒"
という表示器が表示している文字列を読み出すことができる。
【0037】
これらの通信コマンドの規定に従った機器1と、それらに接続して集中管理するための通信機能を有した上位機器10間であれば、機器1の設置された場所に移動して機器1ごとに操作する必要がなくなる。
【0038】
また、バージョンが変更されても、機器1の一覧テーブル6に予め記憶されるので、上位機器10側で機器1ごとに個別に変更する必要がないので、設定作業が容易となる。
【0039】
これにより、本発明では、機器に予め設定値、国際標準文字コードで表記された文字列、および設定値を読み書きするための設定値番号が一覧で記憶されて、上位機器からの設定値情報によって、機器に記憶された設定値番号に基づいて前記文字列を読み出すので、ユーザーインターフェースを共通化して機器を遠隔操作できる。これにより、従来のように設定値情報を上位機器側でプログラミングしたり、個別にデータ転送して変換する必要がないので、容易に機器を遠隔操作することが可能となる。
【0040】
なお、この実施形態では、各機器はセンサの測定に関して設定値情報を通信しているが、アクチュエータについて設定値情報を通信してもよい。
【0041】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
1:機器
2:設定値番号
3:設定値
5:国際標準文字コードで表記された文字列
6:設定値番号一覧のテーブル
7:機器ディスプレイ
8:機器操作ボタン
10:上位機器
図1
図2
図3
図4
図5