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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】浴槽跨ぎ手摺
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/12 20060101AFI20230908BHJP
【FI】
A47K3/12
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019237299
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021104234
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000110479
【氏名又は名称】ナカ工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501362906
【氏名又は名称】積水ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】守谷 淳
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-064678(JP,A)
【文献】特開2013-017627(JP,A)
【文献】実開平04-043189(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2003/0135920(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽側壁の上端に載置される跨設部と、
浴槽の外側に前記跨設部から延びるとともに、前記浴槽側壁又は浴室床に当接する外側延在部と、
前記浴槽の内側に前記跨設部から延びるとともに、前記浴槽側壁に当接する内側延在部と、
前記跨設部又は前記外側延在部に設けられ、前記浴槽側壁に係止されることで、前記跨設部の上方への移動を規制する規制部と、
前記跨設部の上方に接続されたハンドルと、
前記内側延在部の下部と前記ハンドルの前記浴槽の内側方向の端部とに接続される支柱部材と、を有する浴槽跨ぎ手摺。
【請求項2】
浴槽側壁の上端に載置される跨設部と、
浴槽の外側に前記跨設部から延びるとともに、前記浴槽側壁又は浴室床に当接する外側延在部と、
前記浴槽の内側に前記跨設部から延びるとともに、前記浴槽側壁に当接する内側延在部と、
前記跨設部又は前記外側延在部に設けられ、前記浴槽側壁に向けて突出し、かつ係止状態において前記浴槽側壁の段差部に引っ掛けられる突出部と、前記突出部を有するストッパーと、前記突出部を前記段差部に係止させるために前記ストッパーを作動させるレバーとを備え、前記浴槽側壁に係止されることで、前記跨設部の上方への移動を規制する規制部と、
前記跨設部の上方に接続されたハンドルと、を有する浴槽跨ぎ手摺。
【請求項3】
浴槽側壁の上端に載置される跨設部と、
浴槽の外側に前記跨設部から延びるとともに、前記浴槽側壁又は浴室床に当接する外側延在部と、
前記浴槽の内側に前記跨設部から延びるとともに、前記浴槽側壁に当接する内側延在部と、
前記跨設部又は前記外側延在部に設けられ、前記浴槽側壁に係止されることで、前記跨設部の上方への移動を規制する規制部と、
前記跨設部の上方に接続されたハンドルと、
前記跨設部に設けられ、前記浴槽の内側に張り出している保持部と、を有し、
前記内側延在部は、前記保持部から下方に設けられ、
更に前記保持部から上方の前記ハンドルまで延設される内側連結部と、前記跨設部から上方の前記ハンドルまで延設される外側連結部とが設けられている浴槽跨ぎ手摺。
【請求項4】
下面側に下方に臨む凹状の凹部を有し、該凹部が浴槽側壁の上端に載置される跨設部と、
浴槽の外側に前記跨設部から延びるとともに、前記浴槽側壁又は浴室床に当接する外側延在部と、
前記浴槽の内側に前記跨設部から延びるとともに、前記浴槽側壁に当接する内側延在部と、
前記跨設部又は前記外側延在部に設けられ、前記浴槽側壁に係止されることで、前記跨設部の上方への移動を規制する規制部と、
前記跨設部の上方に接続されたハンドルと、を有し、
前記内側延在部と前記外側延在部とが、前記跨設部より下方で前記浴槽側壁を挟む浴槽跨ぎ手摺。
【請求項5】
前記跨設部には、前記浴槽の内側に張り出している保持部が設けられ、
前記保持部から下方に前記内側延在部が設けられている請求項2又は請求項4に記載の浴槽跨ぎ手摺。
【請求項6】
前記保持部から上方の前記ハンドルまで延設される連結部が設けられる請求項に記載の浴槽跨ぎ手摺。
【請求項7】
前記内側延在部は棒状部材である請求項1~6の何れか1項に記載の浴槽跨ぎ手摺。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽跨ぎ手摺に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室や浴槽は一般に平滑に作られており、その上、石鹸やシャンプー等が付着したり、浴槽底も水あかの付着でぬめるため滑り易い環境にある。
そのような滑り易い環境にある浴室において、高齢者等の身体機能の低下した人でも浴槽内に出入りすることができるように、壁付けの手摺を設ける場合があるが、壁付けの手摺の場合、手摺の取り付け工事が必要となり、また、ユニットバス等の場合、後付け等が容易ではない場合もある。また、比較的広い浴室では、壁付け手摺が設けられていても、浴室中央付近に立った場合に、手が壁付け手摺に届かないこともある。
そこで、特許文献1に開示されているような後付けができる浴槽用手摺が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-173701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の浴槽用手摺は、トルクリミッター付きのねじのノブを回し、押圧部を対向する押圧受け部に移動させて、押圧部及び押圧受け部を浴槽側壁に挟み込むことにより取り付けられる。
しかし、上述したようなねじやノブを回す取付方法は手間がかかり、かつ締め付けが不十分だと不安定となる問題がある。
また、上記特許文献1に記載の浴槽用手摺は、浴槽外側に位置する取付脚部に対してハンドルが設けられている。そのため、浴槽側壁が分厚くなるとハンドルが浴槽内側から離れ、入浴中の利用者は浴槽内からハンドルを掴み難くなる
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、浴槽側壁に対して安定して固定でき、浴槽内から掴み易い浴槽跨ぎ手摺を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る浴槽跨ぎ手摺は、浴槽側壁の上端に載置される跨設部と、浴槽の外側に前記跨設部から延びるとともに、前記浴槽側壁又は浴室床に当接する外側延在部と、前記浴槽の内側に前記跨設部から延びるとともに、前記浴槽側壁に当接する内側延在部と、前記跨設部又は前記外側延在部に設けられ、前記浴槽側壁に係止されることで、前記跨設部の上方への移動を規制する規制部と、前記跨設部の上方に接続されたハンドルと、を有する。
【0007】
本発明によれば、浴槽側壁の上端に跨設部が載置され、この跨設部から浴槽の外側に浴槽側壁又は浴室床に当接する外側延在部と、跨設部から浴槽の内側に浴槽側壁に当接する内側延在部と、跨設部の上方への移動を規制する規制部と、跨設部の上方に接続されたハンドルとを有している。
【0008】
これにより、浴槽に出入りする人が、ハンドルを手で把持し、体重をハンドルに掛けても、ハンドルの下方にかかる力は、浴槽側壁の上端に載置される跨設部を介して、浴槽側壁の上端により安定的に支持される。
また、ハンドルを手で把持し、浴槽の内側方向へ力を加えても、このような浴槽の内側方向への力は、内側延在部を介して、浴槽側壁により支持される。
また、ハンドルを手で把持し、浴槽の外側方向へ力を加えても、このような浴槽の外側方向への力は、外側延在部を介して、浴槽側壁又は浴室床により支持される。
また、ハンドルを手で把持し、ハンドルを上方に引っ張るような力を加えても、このような浴槽側壁の上方向への力による移動は、跨設部の上方への移動を規制する規制部により規制される。
【0009】
従って、ハンドルをしっかりと、浴槽側壁に対して安定して固定することができ、高齢者や身体障害者等の身体機能の低下した人も、このハンドルを手で持つことで、自らの身体を支持することができ、そのような身体機能の低下した人でも身体を安定した状態に維持することができ、より安心して入浴することができる。
【0010】
また、上述したように、浴槽側壁の上端に跨設部が載置され、跨設部の上方にハンドルが設けられている。つまり、当該浴槽跨ぎ手摺によれば、ハンドルが浴槽側壁の上方に設けられているため、浴槽外側にハンドルが設けられている場合と比べて、入浴中の利用者は浴槽内からハンドルを掴み易い。
【0011】
また、跨設部の上方に接続されたハンドルに加わる下方への力は、跨設部を介して、浴槽側壁の上端により支持され、さらに、跨設部から浴槽の内外から内側延在部、外側延在部が浴槽側壁に当接して浴槽側壁を挟み込むことで、安定したものにすることができるため、必ずしも、浴室の床に設置するような支持脚の必要性は、必須条件ではなくなる。浴室床に支持されるような支持脚を設けない場合には、そのような支持脚の高さ調整が不要となり、設置の際の手間を省くことができ、また、高さ調整用のねじを回す必要もなく、手間を省くことができ、容易に設置作業を行うことができる。
【0012】
また、浴槽側壁を浴槽の内外から締め付ける必要もないため、そのような締め付け作業も不要となり、設置作業の手間を省くことができ、高齢者や身体機能の低下した人でも、容易に操作取り扱いを行うことができる。
【0013】
本発明に係る浴槽跨ぎ手摺は、さらに、前記跨設部には、前記浴槽の内側に張り出している保持部が設けられ、前記保持部から下方に前記内側延在部が設けられている。
【0014】
本発明によれば、跨設部の上方にはハンドルが接続されているとともに、跨設部には、浴槽の内側に張り出している保持部が設けられ、保持部から下方に内側延在部が設けられている。
ハンドルの浴槽の内側方向には、内側延在部が設けられていることで、ハンドルの浴槽の内側方向の箇所に下方に向かって荷重が加わっても、当該下方への荷重の一部を、浴槽側壁に当接する内側延在部が受ける。
【0015】
これにより、例えば、ハンドルの浴槽の内側方向の端部に下向きに荷重が加わって、ハンドルを浴槽内側方向に向かって回転させる回転モーメントのような力がハンドルに加わっても、当該回転モーメントに対して、跨設部及び跨設部から浴槽の内側に張り出している保持部を介して、浴槽側壁に当接する内側延在部で支持することができる。
【0016】
本発明に係る浴槽跨ぎ手摺は、さらに、前記保持部から上方の前記ハンドルまで延設される連結部が設けられる。
【0017】
本発明によれば、浴槽の内側に張り出している保持部から上方のハンドルまで延設される連結部が設けられていることで、浴室床のみの脚部で支持するような場合に比べて、浴槽内側寄りでハンドルを支持することができ、浴槽内側寄りの荷重に対応することができる。
【0018】
本発明に係る浴槽跨ぎ手摺は、さらに、前記内側延在部の下部と前記ハンドルの前記浴槽の内側方向の端部とに接続される支柱部材を有する。
【0019】
本発明によれば、上述したような支柱部材を有することで、浴室床のみで脚部で支持するような場合に比べて、浴槽内側寄りで支持することができる。
さらに、この支柱部材を浴槽内の人が手で掴むことができ、把持部としての機能を備えることができる。
【0020】
さらに、本発明に係る前記内側延在部は棒状部材である。
【0021】
本発明によれば、内側延在部は、浴槽跨ぎ手摺を浴槽外側へ移動することを抑えて固定するとともに、棒状部材であることで、浴槽内の人が手で当該棒状部材を掴むことができ、把持部としての機能を備えることができる。
【0022】
これにより、浴槽内で上方のハンドルを掴むことができないような位置にある場合や、身体機能の低下等の事情により浴槽内で上方のハンドルを掴むことができないような場合であっても、ハンドルよりも下方に位置する棒状部材の内側延在部を手で掴むことができ、身体を支持することが可能な範囲を広げることができ、より使用勝手の良い浴槽跨ぎ手摺を提供することができる。
【0023】
さらに、本発明に係る前記規制部は、前記浴槽側壁に向けて突出し、かつ係止状態において前記浴槽側壁の段差部に引っ掛けられる突出部を有する。
【0024】
本発明によれば、規制部が、浴槽側壁に向けて突出し、かつ係止状態において浴槽側壁の段差部に引っ掛けられる突出部を有することで、浴槽跨ぎ手摺を上方向に移動させようとする力が加わっても、突出部が段差部に引っ掛かり、浴槽跨ぎ手摺の上方向への移動が制限される。
【0025】
さらに、本発明に係る前記規制部は、前記突出部を有するストッパーと、前記突出部を前記段差部に係止させるために前記ストッパーを作動させるレバーとを備えている。
【0026】
本発明によれば、突出部を段差部に係止させるためにストッパーを作動させるためのレバーを設けたことで、ねじ式のノブでストッパーを作動させるような場合と比べて、ストッパーを容易に作動させることが可能となり、簡易な着脱が可能となる。
例えば、レバーがてこの原理を利用するようなものである場合には、てこの原理により、作業者がレバーを手で移動させることで、ストッパーを容易に作動させることができ、突出部を段差部に容易に係止させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る浴槽跨ぎ手摺の取付状態を示す側面図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係る浴槽跨ぎ手摺の取付状態を示す正面図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係る浴槽跨ぎ手摺を示す斜め上からの斜視図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係る浴槽跨ぎ手摺を示す斜め下からの斜視図である。
図5】本発明の第1の実施の形態に係る浴槽跨ぎ手摺のレバーによる動作例を示す断面図である。
図6】本発明の第1の実施の形態に係る浴槽跨ぎ手摺のレバーによる動作例を示す断面図である。
図7】本発明の第1の実施の形態に係る浴槽跨ぎ手摺のレバーによる固定状態を示す断面図である。
図8】本発明の第2の実施の形態に係る浴槽跨ぎ手摺の取付状態を示す側面図である。
図9】本発明の第3の実施の形態に係る浴槽跨ぎ手摺を示す斜め上からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1の実施形態>
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、本明細書において、図面に示されたXYZ座標軸を用いて方向を説明する場合、当該座標軸における矢印の方向を正方向としている。例えば、本明細書中で図面におけるX軸の矢印の方向を示すときは+X方向とし、矢印の方向と反対の方向を示すときは、-X方向としている。XYZ座標軸の矢印の向きに限定されず、単に各軸方向に沿った方向を示す場合、X方向等としている。
【0029】
(浴槽10)
まず、図1および図2を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る浴槽跨ぎ手摺20の概略構成について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る浴槽跨ぎ手摺の取付状態を示す側面図、図2は、本発明の第1の実施の形態に係る浴槽跨ぎ手摺の取付状態を示す正面図である。
【0030】
本実施形態に係る浴槽10は、上方が開口し、前後左右に立設する壁を有する方形状のものであり、浴室内に配置されるものである。
【0031】
浴槽10は、浴槽側壁11の外面のY方向(図1図2参照)に形成された凹状に凹んだ溝部15を有する。つまり、溝部15は、浴槽側壁11の外面の一部を構成する。
この溝部15の凹状の内面には、硬質ゴム等の溝内弾性部材16が形成されている。しかしこれに限らず、突出部80が溝部15に係止できれば、溝部15に溝内弾性部材16が形成されていなくてもよい。
【0032】
(浴槽跨ぎ手摺20)
本実施の形態に係る浴槽跨ぎ手摺20は、手摺として使用される。この浴槽跨ぎ手摺20は、例えば、高齢者や身体障害者等の身体機能が低下した人の入出槽時、入浴中の姿勢、動作の保持に用いられる。
【0033】
本実施の形態に係る浴槽跨ぎ手摺20は、洗い場となる浴室床19から、浴槽10内に入る際、又は浴槽10から洗い場の浴室床19へ出る際に、両者間を仕切る浴槽10に立設する浴槽側壁11の上端に取り付けられるものである。
本実施の形態に係る浴槽跨ぎ手摺20は、利用者の浴槽10への入出槽、または入浴中の姿勢、動作を補助するために浴槽側壁11に設けられているものである。この浴槽跨ぎ手摺20は、浴槽10の利用者本人または利用者を介助する人によって使用される。
【0034】
本実施の形態に係る浴槽跨ぎ手摺20を構成する具体的内容について説明する。
本実施の形態に係る浴槽跨ぎ手摺20は、浴槽側壁11の上端に載置される跨設部30と、浴槽10の外側に跨設部30から延びるとともに、浴槽側壁11に当接する外側延在部40と、浴槽10の内側に跨設部30から延びるとともに、浴槽側壁11に当接する内側延在部50と、跨設部30に設けられ、浴槽側壁11に係止されることで跨設部30の上方への移動を規制する規制部60と、跨設部30の上方に接続されたハンドル25と、を有する。本実施の形態では、外側延在部40が当該外側延在部40の下端の当接部42において浴槽側壁11に当接している。また、内側延在部50が当該内側延在部50の下端の当接部52において浴槽側壁11に当接している。
【0035】
(跨設部30)
跨設部30は、浴槽側壁11の上端に載置される部材であり、跨設部30の下面側に下方に臨む凹状の凹部31を有しており、当該凹部31の下方に臨む表面には、弾性部材としてのクッションゴムからなる下面弾性部材34が形成されている。図1に示すように、この凹部31の下面弾性部材34の下面側の表面が、浴槽側壁11の上端に接触するものである。跨設部30の凹部31を浴槽側壁11の上端に載置すると、浴槽側壁11の上端が下面弾性部材34に食い込み、両者間に大きな摩擦力が発生する。これにより、浴槽跨ぎ手摺20に大きな力が加わっても、浴槽側壁11の上端面の上を滑ったり、両者間に振動等が発生することなく安定して支持されるように形成されている。
【0036】
この跨設部30は、樹脂から形成されているが、特にこれに限定されるものではなく、金属により形成されてもよいものであり、また、内部構造の骨組みを金属により形成し、その表面側を樹脂により覆っているようなものでもよい。
この跨設部30には、浴槽10の内側に張り出している保持部33が設けられている
【0037】
この保持部33から下方に向かって上述した内側延在部50が設けられている。
跨設部30及び保持部33には、上述した上方に位置するハンドル25との間を連結する連結部55が設けられている。
連結部55は、具体的には、保持部33から上方に延設されて、ハンドル25の後述するハンドル受け26に連結する内側連結部57と、跨設部30から上方に延設されて、ハンドル25の後述するハンドル受け26に連結する外側連結部56とが設けられている。
【0038】
本実施の形態では、外側延在部40の上端と、外側連結部56の下端とは、連続して形成され、外側延在部40と外側連結部56とは全体として一体からなる棒状部材を含んで構成されている。
また、内側延在部50の上端と、内側連結部57の下端とは、連続して形成され、全体として一体からなる棒状部材を含んで構成されている。
【0039】
なお、外側延在部40は、当該外側延在部40を構成する棒状部材の下端に被蓋されたゴムキャップ37を含んでいる。したがって、外側延在部40は当接部42としてのゴムキャップ37において浴槽側壁11に当接している。また、内側延在部50は、当該内側延在部50を構成する棒状部材の下端に被蓋されたゴムキャップ37を含んでいる。したがって、内側延在部50は当接部52としてのゴムキャップ37において浴槽側壁11に当接している。本実施形態では、外側延在部40及び内側延在部50にゴムキャップ37を設けることにより、浴槽側壁11に当接する際に摩擦力を付与することができ、かつ浴槽10に傷が付くことを抑制することができる。
【0040】
このように、本実施の形態に係る浴槽跨ぎ手摺20では、使用する人が、手で握れる箇所は、上述したハンドル25だけではなく、棒状部材である内側延在部50、内側連結部57及び外側連結部56も、手で掴むことができるように形成されてあり、手で掴むことができる箇所が多く形成されている。
【0041】
保持部33には、内側延在部50及び内側連結部57からなる棒状部材を通して固定するための内側下孔35が設けられ、当該内側下孔35においてねじ211、212により、内側延在部50及び内側連結部57からなる棒状部材が固定されている(図3参照)。
また、前記跨設部30には、外側延在部40及び外側連結部56からなる棒状部材を通して固定するための外側下孔36が設けられ、当該外側下孔36においてねじ221により、外側延在部40及び外側連結部56からなる棒状部材が固定されている(図3参照)。
【0042】
なお、本実施の形態では、上述したように外側延在部40と外側連結部56とは、全体として一体の棒状部材であるが、特にこれに限定されるものではなく、それぞれ別個独立に形成してもよいものであり、さらに、それぞれ異なる本数の別個独立のものを形成してもよいものである。
【0043】
また、同様に、本実施の形態では、上述したように内側延在部50と内側連結部57とは、全体として一体の棒状部材であるが、特にこれに限定されるものではなく、それぞれ別個独立に形成してもよいものであり、さらに、それぞれ異なる本数の別個独立のものを形成してもよいものである。
【0044】
(ハンドル25)
本実施の形態に係る浴槽跨ぎ手摺20は、上述したようにハンドル25を備えている。図1図4に示すように、全体形状が略楕円状に形成されている。
ハンドル25は、金属製の芯材の周囲が樹脂被膜によって被覆された構造を有している。当該樹脂被膜には、把持をし易くするためのディンプル(凹凸)形状が設けられている。
【0045】
この楕円状のハンドル25のY方向の中央付近には、当該ハンドル25の楕円形状の短軸上を結ぶハンドル受け26が形成されてあり、ハンドル受け26とハンドル25とは、ねじ231、232、233、234により固定されている。
ハンドル受け26の下面には、図4に示すように、外側連結部56の上端が差し込まれる外側連結部用上孔27と、内側連結部57の上端が差し込まれる内側連結部用上孔28とが形成されている。
【0046】
外側連結部56の上端が、外側連結部用上孔27に差し込まれて、外側連結部用上孔27の側方からねじ222で固定されることにより、外側連結部56の上端が、ハンドル受け26に固定されている。
また、内側連結部57の上端が、内側連結部用上孔28に差し込まれて、内側連結部用上孔28の側方からねじ223で固定されることにより、内側連結部57の上端が、ハンドル受け26に固定されている。
【0047】
(規制部60)
本実施の形態に係る規制部60は、跨設部30に設けられ、浴槽側壁11の段差部12としての溝部15に係止されることで、跨設部30の上方への移動を規制するためのものである。
なお、本実施の形態では、規制部60は、跨設部30に設けられているが、設ける箇所は、特にこれに限定されるものではなく、例えば外側延在部40に設けてもよい。
【0048】
本実施の形態に係る規制部60は、図5~7に示すように、浴槽側壁11に向けて突出し、かつ係止状態において浴槽側壁11の段差部12としての溝部15の表面の溝内弾性部材16に引っ掛けられる突出部80を有している。
本実施の形態に係る規制部60は、突出部80を有するストッパー100と、突出部80を段差部12としての溝部15に係止させるためにストッパー100を作動させるレバー120とを備えている。
【0049】
前記ストッパー100は、図7に示すようにY方向から見た全体形状が略L字状であって、その上部のストッパー回転軸105を回転の中心として、跨設部30に回転可能に固定されている。
前記ストッパー100は、L字状の鉛直部分(縦方向部分、図7参照)に、縦方向に長い長孔状のスライド長孔110が形成されている。このスライド長孔110の内部には、上述したレバー120と一体に固定されているスライドピン122が、スライド長孔110の長手方向にスライド可能に入り込んでいる。
【0050】
また、ストッパー100のL字状の水平部分(図7参照)には、浴槽側壁11の段差部12としての溝部15内の溝内弾性部材16に引っ掛けられる突出部80が形成されている。
この突出部80は、L字状のストッパー100の水平方向部分(図7参照)に設けられた固定調整ねじ103により形成されているものである。この固定調整ねじ103のストッパー100からの突出量を増すことで、係止状態における溝内弾性部材16への食い込みが増して、当接時の摩擦力が増加する。
一方、固定調整ねじ103のストッパー100からの突出量を減らすことで、係止状態における溝内弾性部材16への食い込みが減じて、当接時の摩擦力が低下する。
【0051】
前記レバー120は、跨設部30の浴槽10外側方向を覆うとともに、その下部側に位置する跨設部30に固定され、Y軸方向に中心軸を有するレバー回転軸125を回転中心として、回転可能に軸支されている。レバー120は、レバー120と一体になってレバー回転軸125を回転中心として円弧状に移動するスライドピン122を有している。このスライドピン122は、ストッパー100のスライド長孔110内をスライド可能(摺動可能)に形成されている。
スライドピン122がレバー回転軸125を回転の中心として円弧状に移動することにより、ストッパー100のスライド長孔110内をスライドする。これにより、スライドピン122がスライド長孔110の側面を押すことで、ストッパー回転軸105を回転の中心として、ストッパー100を回転させることができるように形成されているものである。
前記レバー120の上端部の浴槽10外側には、略四分球状の手がかり部121が形成されている。
【0052】
この手がかり部121の上面側に開口する部分に指等を差し込んで、手前側に引っ張ると、レバー120をレバー回転軸125を回転の中心として簡単に手前側(浴槽10外側方向、具体的には、図7図6図5のレバー120の移動方向)に引き倒すことができる。
【0053】
その際、レバー120が、図7図6図5に示しているように移動するに伴い、レバー120と一体に形成されているスライドピン122も、レバー回転軸125を回転の中心として円弧状に移動することになる。このようにスライドピン122が円弧状に移動することにより、スライドピン122がスライド長孔110の内面に当接して浴槽10の外側方向(+X方向)に押すことになり、ストッパー100を、ストッパー回転軸105を回転の中心として、右回転方向(時計回り方向)に回転させることができる。これにより、L字状のストッパー100の下部を、溝部15内から引き抜くことができる。
【0054】
一方、手がかり部121の外側外面を手で浴槽10内側方向に押し込むことにより、レバー120は、レバー回転軸125を回転の中心として、簡単に浴槽10の内側方向(図5図6図7のレバー120の回転方向)に回転する。
【0055】
その際、レバー120が、図5図6図7に示しているように回転移動するに伴い、レバー120と一体に形成されているスライドピン122も、レバー回転軸125を回転の中心として円弧状に移動する。スライドピン122が浴槽10の内側方向に円弧状に移動することにより、スライドピン122がスライド長孔110の内面に当接して浴槽10の内側方向に押すことになる。これにより、ストッパー100は、ストッパー回転軸105を回転の中心として、左回転方向(反時計回転方向)に回転する。これにより、L字状のストッパー100の下部を、溝部15内に押し込むことができる。
【0056】
ここで、手がかり部121であるA点から、レバー回転軸125であるB点までの距離L1(図示せず)と、レバー回転軸125であるB点から、スライドピン122の中心であるC点までの距離L2(図示せず)との長さを比較すると、L1の長さの方が、L2の長さよりも、はるかに長い距離(おおよそ2倍以上の長さ)に設定されている。
【0057】
これにより、手がかり部121に加える力P1が僅かな力であっても、スライドピン122をP1の2倍以上の力で作用させることができる。そして、本実施の形態では、スライドピン122がスライド長孔110の下端に移動すること(図7参照)を利用した、換言すると、スライドピン122の回転弧の上死点を利用したトグル機構が形成されている。そのため、スライドピン122が長孔110の下端に移動する場合に、スライドピン122に作用する力P2をさらに倍力させて突出部80対して作用させることができる。
以上、本実施の形態によれば、手がかり部121に加えた力に対し、ストッパー100の突出部80を大きな力で溝部15内部に押し込んだり、溝部15内部から容易に引き抜くことが可能となる。
【0058】
また、ここで、図5図7に示すように、本実施の形態に係るレバー120の跨設部30側に臨む側面には、半球状に跨設部30側に突出する突出半球部128が形成されている。そして、このレバー120の側面が臨む跨設部30側の側面には、上述した半球状の突出半球部128が入り込むことが可能な半球収納溝32が縦方向に形成されている。図5図6図7と、レバー120を跨設部30側に押し込んで、レバー回転軸125を回転の中心として回転させると、図7に示すように、一番押し込んだ状態において、レバー120の側面から半球状に突出する突出半球部128が、半球収納溝32の内部に入り込み、収納された状態となる。
図7に示すような位置にレバー120が押し込まれた状態から図6図5に示すようなレバー120が回転した状態に移動するためには、半球収納溝32に入り込んだ突出半球部128を半球収納溝32から移動させる必要がある。レバー120が押し込まれた状態から回転させるためには、半球収納溝32に入り込んでいる突出半球部128が半球収納溝32から乗り越えるための力が必要となる。
したがって、突出半球部128の半球収納溝32への収納状態を維持しやすくすることにより、図7に示す状態にレバー120が立設した状態を安定したものに維持することが可能となる。
【0059】
また、ここで、本実施の形態に係るストッパー100は、跨設部30に固定されているストッパー回転軸105を回転の中心として回転可能に形成されているが、このストッパー回転軸105の位置を僅かに上の方に移動することができるように予備ストッパー回転軸用孔106が形成されている。すなわち、ストッパー回転軸105は、現在の位置から、この予備ストッパー回転軸用孔106の位置へ移動することができるように形成されている。
【0060】
また、同様に、本実施の形態に係るレバー120は、跨設部30に固定されているレバー回転軸125を回転の中心として回転可能に形成されているが、このレバー回転軸125の位置を僅かに上の方に移動することができるように予備レバー回転軸用孔126が形成されている。すなわち、レバー回転軸125は、現在の位置から、この予備レバー回転軸用孔126の位置へ移動することができるように形成されている。
【0061】
本実施の形態に係る浴槽跨ぎ手摺20は、当該浴槽10の浴槽側壁11の上端面から段差部12としての溝部15までの距離は、略一定に設計されてあるが、タイプにより、当該距離が短くなるような場合がある。このような場合であっても、本実施の形態に係る浴槽跨ぎ手摺20は、ストッパー回転軸105を、予備ストッパー回転軸用孔106へ移動させるとともに、レバー回転軸125を、予備レバー回転軸用孔126へ移動させることで、ストッパー100及びレバー120を、上述した回転軸を移動させた距離だけ上方に移動させることができる。これにより、浴槽側壁11の上端面から段差部12としての溝部15までの距離が短くなった場合にも対応できるように形成されている。
さらに、上述したように、ストッパー100及びレバー120を上方に移動させる場合であっても、半球収納溝32は、上下方向に長い溝に形成されていることで対応することができる。
【0062】
本実施の形態に係るストッパー100は、図7に示すように、レバー120を浴槽10側に向かって押し込んだ状態において、スライド長孔110は、長手方向が鉛直方向となるような位置となり、このスライドピン122は、上述した長手方向が鉛直方向となるような位置の下端に位置することになる。
この図7に示すような状態において、ストッパー100をストッパー回転軸105を回転の中心として、回転させるような力、すなわち、スライドピン122を図7の左方向のレバー回転軸125方向に移動させようとする力が仮に加わったとしても、スライドピン122と、レバー回転軸125とは、レバー120を介して一体に形成され、レバー回転軸125の軸心方向の力となり、回転モーメントは発生せず、レバー120が回転することは無い。レバー120が回転することが無ければ固定された状態が維持され、安定した固定状態を維持することができるものである。
【0063】
(作用効果)
本実施の形態に係る浴槽跨ぎ手摺20は、上述したような構成を有することで、以下に示すような作用及び効果を奏する。
【0064】
すなわち、本実施の形態によれば、浴槽側壁11の上端に跨設部30が載置され、浴槽側壁11の浴槽10の内側に跨設部30から延びる内側延在部50が当接し、浴槽側壁11の浴槽10の外側に跨設部30から延びる外側延在部40が当接する。これにより、浴槽側壁11を内側延在部50及び外側延在部40で挟み込むことができ、跨設部30の上方に接続されるハンドル25が浴槽10の内側方向及び外側方向への移動が制限される。
さらに跨設部30又は外側延在部40に設けられた規制部60が、浴槽側壁11に係止されることで、跨設部30の上方への移動を規制する。これにより、当該ハンドル25を有する浴槽跨ぎ手摺20を浴槽10の内側方向、外側方向、上方向に対しての移動が規制され安定したものにすることができる。
【0065】
従って、ハンドル25をしっかりと、浴槽側壁11に対して安定して固定することができ、高齢者や身体障害者等の身体機能の低下した人も、このハンドル25を手で持つことで、自らの身体を支持することができ、そのような身体機能の低下した人でも身体を安定した状態に維持することができ、より安心して入浴することができる。
【0066】
また、上述したように、浴槽側壁11の上端に跨設部30が載置され、跨設部30の上方にハンドル25が設けられている。つまり、本実施の形態によれば、ハンドル25が浴槽側壁11の上方に設けられているため、浴槽外側にハンドルが設けられている形態と比べて、入浴中の利用者は浴槽10内からハンドル25を掴み易い。
【0067】
また、跨設部30の上方に接続されたハンドル25に加わる下方への力は、跨設部30を介して、浴槽側壁11の上端により支持される。さらに、跨設部30から浴槽10の内外から内側延在部50、外側延在部40が浴槽側壁11に当接して浴槽側壁11を挟み込むことで、安定したものにすることができる。このため、必ずしも、浴室床19に設置するような支持脚を必要とすることは、必須条件ではなくなる。浴室床19に支持されるような支持脚を設けない場合には、そのような支持脚の高さ調整が不要となり、設置の際の手間を省くことができ、また、浴室床の清掃の邪魔にならない。
また、浴槽側壁11を浴槽10の内外から締め付ける必要もないため、そのような締め付け作業も不要となり、設置作業の手間を省くことができ、高齢者や身体機能の低下した人でも、容易に操作取り扱いを行うことができる。そして、浴槽側壁11を浴槽10の内外から締め付ける必要がないため、浴槽跨ぎ手摺20を設置する際に浴槽側壁11を締め過ぎて破壊することもない。
【0068】
本実施の形態によれば、跨設部30の上方にはハンドル25が接続されているとともに、跨設部30には、浴槽10の内側に張り出している保持部33が設けられ、保持部33から下方に内側延在部50が設けられている。
ハンドル25の浴槽10の内側方向には、内側延在部50が設けられていることで、ハンドル25の浴槽側壁11内側方向の箇所に下方に向かって荷重が加わっても、当該下方への荷重の一部を、浴槽側壁11に当接する内側延在部50が受ける。
これにより、例えば、ハンドル25の浴槽側壁11の浴槽10内側方向の端部に下向きに荷重が加わって、ハンドル25を浴槽10内側方向に向かって回転させる回転モーメントのような力がハンドルに加わっても、当該回転モーメントに対して、跨設部30及び跨設部30から浴槽10の内側に張り出している保持部33を介して、浴槽側壁11に当接する内側延在部50で支持することができる。
【0069】
本実施の形態によれば、浴槽10の内側に張り出している保持部33から上方のハンドル25まで延設される連結部55が設けられていることで、浴室床19のみで脚部で支持するような場合に比べて、浴槽10の内側寄りでハンドル25を支持することができ、浴槽10の内側寄りの荷重に対応することができる。
【0070】
本実施の形態によれば、内側延在部50は、浴槽跨ぎ手摺20を浴槽10の外側へ移動することを抑えて固定するとともに、棒状部材であることで、浴槽10内の人が手で当該棒状部材を掴むことができ、把持部としての機能を備えることができる。
例えば、浴槽10で湯に浸かっている際に姿勢を保持する際に内側延在部50を掴むことができる。なお、浴槽10から立ち上がる際に内側連結部57を掴むことができる。結果として、身体を支持することが可能な範囲を広げることができ、より使用勝手の良い浴槽跨ぎ手摺20を提供することができる。
【0071】
本実施の形態によれば、規制部60が、浴槽側壁11に向けて突出し、かつ係止状態において浴槽側壁11の段差部12としての溝部15に引っ掛けられる突出部80を有することで、浴槽跨ぎ手摺20を上方向に移動させようとする力が加わっても、突出部80が段差部12としての溝部15に引っ掛かり、浴槽跨ぎ手摺20の上方向への移動が制限される。また、突出部80が溝部15に設けられた溝内弾性部材16に食い込むため、浴槽跨ぎ手摺20の左右方向(溝部15の方向)の移動も規制される。
【0072】
本実施の形態によれば、突出部80を段差部12としての溝部15に係止させるためにストッパー100を作動させるためのレバー120を設けたことで、ねじ式のノブでストッパーを作動させるような場合と比べて、ストッパー100を容易に作動させることが可能となり、簡易な着脱が可能となる。
【0073】
本実施の形態では、ストッパー100及びレバー120によるトグル機構が形成されている。そのため、作業者がレバー120を手で移動させることで、ストッパー100を僅かな力で容易に作動させることができ、突出部80を段差部12としての溝部15に容易に係止させることが可能となる。
【0074】
<第2の実施の形態>
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る浴槽跨ぎ手摺の取付状態を示す側面図である。なお、第1の実施の形態と同一の構成には同一の符号を付している。
第1の実施の形態では、規制部60が跨設部30に設けられているが、本実施の形態の規制部60は、外側延在部40の下端部を構成している。
【0075】
また、第1の実施の形態では、規制部60が浴槽側壁11の段差部12としての溝部15に係止されることで、跨設部30の上方への移動を規制していた。これに対し、本実施の形態に係る規制部60は、浴槽側壁11の上部の溝部15は利用せずに、浴槽側壁11の下部に設けられている段差部12を利用することで、跨設部30の上方への移動を規制している。
本実施の形態の規制部60は、外側延在部40を構成する棒状部材の下端に設けられ、浴槽側壁11に向けて張り出した樹脂製の部材である。この規制部60は、浴槽側壁11に当接する当接部62と、浴槽側壁11に向けて上方側に突出する突出部としての引っ掛け部82を有している。引っ掛け部82が、段差部12に設けられ、かつ下方側に突出する突起部130に対して下方側から引っ掛けられることにより、跨設部30の上方への移動が規制されている。
【0076】
なお、この突起部130は、浴槽側壁11の外側表面に沿ってたれ落ちる水滴を、当該突起部130から下方に落下させる機能も有しているものである。
さらに、本実施の形態では、跨設部30から下方に延びるとともに、浴槽側壁11に当接する内側延在部50を有している。特に図示していないが、跨設部30の内部には、回転ノブ140を回転させることにより、内側延在部50を浴槽10内側方向(-X方向)や、浴槽10外側方向(+X方向)に移動させることができるねじ機構が設けられている。本実施の形態に係る浴槽跨ぎ手摺20を浴槽側壁11に取り付ける際には、外側延在部40と、内側延在部50との距離を大きく開けた状態で、浴槽跨ぎ手摺20を浴槽側壁11にはめ込む。この際、規制部60の引っ掛け部82の先端が浴槽側壁11の突起部130よりも浴槽10の内側方向(-X方向)に入り込んだ状態にする。そして、回転ノブ140を回転させて内側延在部50と外側延在部40との間隔を狭くすることにより、係止状態とすることができる。
この係止状態において、浴槽跨ぎ手摺20全体を上方へ移動させようとしても、規制部60の引っ掛け部82が段差部12としての突起部130に係止していることで、上方への移動が規制される。
【0077】
また、本実施の形態では跨設部30から下方に延びる外側延在部40と、跨設部30から上方に延びる一対の外側連結部56が形成されている。
外側連結部56の上端部が、ハンドル受け26の外側連結部用上孔27に挿入されて、ねじ222により外側連結部56がハンドル受け26に固定されている。
また、本実施の形態では、第1の実施の形態で説明した内側延在部50の上端からハンドル25までを連結する内側連結部57は設けていない。
その他の構成は、第1の実施の形態で説明した構成と略同様の構成を有しているものであり、それらの説明や作用効果は省略する。
本実施の形態においても、第1の実施の形態で説明した作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【0078】
さらに、本実施の形態によれば、浴槽側壁11の上部に、段差部12としての溝部15が形成されていないような場合にも対応することができる。
【0079】
<第3の実施の形態>
図9は、本発明の第3の実施の形態に係る浴槽跨ぎ手摺を示す斜め上からの斜視図である。なお、第1の実施の形態と同一の構成には同一の符号を付している。
第1の実施の形態では、外側延在部40と、外側連結部56とは、上下方向に一体となった棒状部材であったが、本実施の形態では、第1の実施の形態のように上下方向に一体となった棒状部材ではない。具体的には、本実施の形態に係る外側延在部40は、跨設部30から下方に延設されるとともに、その先端の当接部42において浴槽側壁11に当接している。本実施の形態の外側延在部40は、水平断面形状が長方形状であって、全体形状が長尺状の細長板状に形成されているものである。
【0080】
さらに、本実施の形態に係る外側連結部58は、外側延在部41とは一体となって連続することなく、別個独立に、跨設部30から2本、上方のハンドル25のX方向中央に設けられたハンドル受け26まで連結されている。
また、本実施の形態では、当接部52において浴槽側壁11に当接する内側延在部51も、外側延在部41と同様に、水平断面形状が長方形状であって、全体形状が長尺状の細長板状に形成されているものである。
さらに、本実施の形態に係る浴槽跨ぎ手摺20は、内側延在部51の下部とハンドル25の浴槽10の内側方向の端部とに接続される支柱部材160を有している。
この支柱部材160は、第1の実施の形態で説明した内側延在部50や内側連結部57と同様の内部構造であって、水平断面形状が略円形に形成され、金属製の芯材の周囲が樹脂被膜によって被覆された構造を有している。当該樹脂被膜には、把持をし易くするためのディンプル(凹凸)形状が設けられている。
また、詳細構造の説明は省略するが、基本的な機能は略同様であって、浴槽側壁11の段差部12としての溝部15に係止されることで、跨設部30の上方への移動を規制する規制部60が設けられている。
【0081】
本実施の形態によれば、内側延在部51の下部と、ハンドル25の浴槽10の内側方向の端部とに接続される支柱部材160を有する。これにより、例えば、ハンドル25の浴槽側壁11の浴槽10内側方向の端部に下向きに荷重が加わって、ハンドル25を浴槽10内側方向に向かって回転させる回転モーメントのような負荷がハンドル25に加わっても、支柱部材160が、ハンドルの端部に加わった荷重を、浴槽側壁11に当接する内側延在部51の下部で受け止めることができ、そのような場合にも対応することができる。
【0082】
また、本実施の形態に係る内側延在部51及び外側延在部41とが細長板状に形成されている。このため、第1の実施の形態で説明したような円柱状のものと比べて浴槽側壁11の表面に当接する面積を増大させることができ、両者の摩擦力を増大させることができ、内側延在部51及び外側延在部41を、浴槽側壁11の表面に強固に保持することが可能となる。これにより、本実施の形態に係る浴槽跨ぎ手摺20を浴槽側壁11により安定した状態で保持することが可能となる。
【0083】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0084】
例えば、上記実施形態において、楕円状(環状)のハンドル25である例を示したが、本発明は、かかる例に限定されない。例えば、ハンドル25は、水平方向に延在された平板状に形成してもよく、また、水平方向に並んだ複数の棒状部材に形成してもよい。
また、上記第1又は第3の実施の形態では、外側延在部40が浴槽側壁11に当接しているがこれに限らず、浴室床19に対して当接していてもよい。
【0085】
また、上記第1~第3の実施の形態等において、規制部60が、浴槽側壁11の上部に位置する段差部12としての溝部15や、浴槽側壁11の下部に位置する突起部130等に係止状態となる例を示したが、本発明は、かかる例に限定されない。例えば、規制部60は、ゴム等の可撓性を利用して平滑面である浴槽側壁11の側面に吸着して内部を真空に近い状態にし気圧や水圧等の圧力の差を利用して浴槽側壁11に吸着する吸盤を利用して、固定し、跨設部30の上方への移動を規制するようなものでも可能である。このような吸盤を用いると、規制部60を適用するための浴槽10の段差部12の位置が全く影響を受けないことになり、種々の寸法形状や、構造が異なる全ての一般的なユニットバス全般に渡って適用することができる。
【符号の説明】
【0086】
10 浴槽 11 浴槽側壁
12 段差部 15 溝部
16 溝内弾性部材 19 浴室床
20 浴槽跨ぎ手摺 25 ハンドル
26 ハンドル受け 27 外側連結部用上孔
28 内側連結部用上孔 30 跨設部
31 凹部 32 半球収納溝
33 保持部 34 下面弾性部材
35 内側下孔 36 外側下孔
37 ゴムキャップ 40 外側延在部
41 外側延在部 42 当接部
50 内側延在部 52 当接部
51 内側延在部 55 連結部
56 外側連結部 57 内側連結部
58 外側連結部 60 規制部
62 当接部 80 突出部
82 引っ掛け部 100 ストッパー
103 固定調整ねじ 105 ストッパー回転軸
106 予備ストッパー回転軸用孔 110 スライド長孔
120 レバー 121 手がかり部
122 スライドピン 125 レバー回転軸
126 予備レバー回転軸用孔 128 突出半球部
130 突起部 140 回転ノブ
160 支柱部材 211、212 ねじ
221~223 ねじ 231~234 ねじ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9